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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1386012
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-08-23 
確定日 2022-07-05 
事件の表示 特願2017− 35338「情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月13日出願公開、特開2018−142137、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年2月27日の出願であって、令和3年1月27日付けで拒絶理由が通知され、令和3年4月1日付けで手続補正がされ、令和3年5月13日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年8月23日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和4年3月25日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和4年5月9日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願請求項1−15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明15」という。)は、令和4年5月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−15に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
特定対象となる人物を判定する情報処理装置であって、
前記特定対象となる人物の特徴を示す顔画像以外の複数の特徴を含む特徴情報の入力を受け付ける、入力受付部と、
前記特徴情報に含まれる前記人物の前記複数の特徴それぞれに対応した特徴判別器を複数有し、設定された間隔で画像データを出力する撮像装置から前記画像データを取得すると、前記複数の特徴毎に、対応する前記特徴判別器によって、前記特徴情報に含まれる特徴と、前記画像データの画像に写っている人物の特徴とが、一致及び非一致のいずれであるかを判定する、第1判定部と、
前記特定対象となる人物の複数の特徴毎の判定結果に基づいて、前記特徴判別器によって一致していると判定された複数の判定結果が所定数以上であると判定された場合、前記画像に写っている人物を前記特定対象の人物であると判定する、第2判定部と、
を備えている、ことを特徴とする情報処理装置。」

なお、本願発明2−5は、本願発明1を減縮した発明である。
また、本願発明6、11はそれぞれ、本願発明1に対応する方法、プログラムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
また、本願発明7−10は、本願発明6を減縮した発明であり、本願発明12−15は、本願発明11を減縮した発明である。

第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2010−257449号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「【0034】
<人物検索装置の概略構成例>
図1は、本実施形態における人物検索装置の概略構成の一例を示す図である。図1に示す人物検索装置10は、入力手段11と、出力手段12と、蓄積手段13と、顔領域検出手段14と、人体領域検出手段15と、同定手段16と、追跡手段17と、不審者検出手段18と、人物情報統合手段19と、フレーム情報生成手段20と、検索手段21と、画面生成手段22と、通知手段23と、送受信手段24と、制御手段25とを有するよう構成されている。なお、送受信手段24には、人物情報を抽出するための人物を撮影するカメラ等の撮像手段26が接続されており、撮像手段26により撮影された映像に含まれる時系列の各画像を取得することができる。また、撮像手段26は、人物検索装置10と一体に構成されていてもよい。」

イ 「【0059】
また、検索手段21は、後述するように監視ロボットを用いて迷子等の捜索をリアルタイムで行う場合等には、監視ロボットに備えられた撮像手段26からの映像に対して、予め設定された条件(身長、洋服の色、場所情報等)を満たす人物が表示されている画像を検索し、その結果を画面生成手段22によりリアルタイムに表示させるといった機能も有する。」

ウ 「【0074】
顔領域検出手段14は、図2(a)に示すようにトラッキング手段31と、顔認証手段32と、性別・年代推定手段33と、顔隠し判定手段34とを有している。トラッキング手段31は、検出された顔領域を用いて人物追跡を行い、その際、画像フレーム中に含まれる複数の顔領域をそれぞれ識別して蓄積するために識別情報(トラッキングID)を割り当てる。また、トラッキング手段31は、割り当てたトラッキングIDについて、トラッキングの状態等により、例えば「未使用」、「フレームイン」、「フレームアウト」、「追跡中」の4種の状態を出力する。
【0075】
(中略)
【0076】
性別・年代推定手段33は、検出された顔領域から、顔の特徴量を取得し、取得した顔の特徴量と、蓄積手段13により性別、年代を推定し、結果を出力する。
【0077】
顔隠し判定手段34は、検出された顔領域に対し、マスクやサングラス等の顔を隠すための処理が行われているか否かを検出する。具体的には、顔隠し判定手段34は、顔領域から推測される目領域、口領域の色情報を取得し、目領域の色情報がサングラスを着用していると想定される色(例えば黒系)であるときには、サングラスにより顔が隠されていると判定し、口領域がマスクをそれぞれについて着用していると想定される色(例えば白系)であるときには、マスクにより顔が隠されていると判定し、その判定結果を出力する。
【0078】
また、人体領域検出手段15は、図2(b)に示すように身長推定手段35と、色情報抽出手段36と、人物位置推定手段37とを有している。
【0079】
身長推定手段35は、検出された人体領域、顔領域それぞれに対して、人物の身長を算出する。例えば、身長推定手段35は、画像中に含まれる1又は複数の人物を検出し、その人物がいた場合に新規の人物であるか否かを判断し、新規人物である場合、その人体領域の足の先と、その画像に対応する消失点とから実空間上の人物の位置を算出し、画像上の見かけ上の大きさを併せて、実際の人物の身長を推定する。なお、消失点は、画像中に含まれる場合もあるが、カメラのアングル等により画像中に含まれない場合もある。この場合には、仮想的な空間上に消失点を設定し、その消失点を利用する。なお、身長推定手法については、本発明においてはこれに限定されない。
【0080】
色情報抽出手段36は、検出された人体領域及び顔領域のそれぞれの領域情報の位置関係を用いて、人物の頭部領域や肌領域、上半身領域、下半身領域を推定し、各領域の色情報を抽出する。具体的には、頭髪、上衣、下衣等の色情報を抽出し、抽出した色情報の代表色(平均色等)を頭髪、上衣、下衣等の色情報として決定する。」

エ 「【0083】
<フレーム情報生成手段20におけるフレーム情報の構成例>
次に、上述したフレーム情報生成手段20におけるフレーム情報の構成例について説明する。図3は、本実施形態におけるフレーム情報の一例を示す図である。フレーム情報生成手段20は、1フレーム毎に処理を行い検出された人物について、図3に示す情報が抽出される。ここで、図3に示すフレーム情報としては、例えば共通の項目として「ファイル名」、「検出日時」があり、顔領域から抽出される情報として「人物位置座標(X,Y,Z)」、「身長情報」、「各種色情報」、「登録者情報」、「似ている芸能人情報」、「年代情報」、「性別情報」、「顔の向き(PAN,TILT)」、「マスク」、「サングラス」、「取得顔画像情報」、があり「人物位置座標(X,Y,Z)」、「身長情報」、「各種色情報」等がある。
【0084】
(中略)
【0096】
また、図4は、本実施形態における検索用人物特徴を取得するまでの概要を説明するための図である。図4に示す図は、上述した顔領域検出や人体領域検出により得られる人物特徴から検索用人物特徴データを生成するための図である。なお、人物特徴データがフレーム情報生成手段20等により生成され、蓄積手段13にデータベース等により蓄積される。
【0097】
具体的に説明すると、図4(a)では、フレーム情報生成において、各フレーム(F)において検出された人物(例えば、人物A、人物B等)に対する特徴(例えば、身長、サングラスの有無等)が取得され、これらの人物特徴を図4(b)に示すように人物毎に纏めて人物特徴をカウントする。つまり、図4(b)では、全てのデータを離散化して出現回数をカウントしており、具体的には、図4(b)において、人物Aは、映像中の3フレームで抽出され、そのうち、身長が170cmと推定された場合が2回、175cmと推定された場合が1回あり、更にサングラスの着用ありと検出された場合が2回、着用なしと検出された場合が1回ある等とカウントされる。なお、上述の例では、身長を5cm毎に離散化しているが、本発明においてはこれに限定されない。
【0098】
次に、図4(c)に示すように、各フレーム数で正規化を行い、このデータを検索に使用する。具体的には、検索用人物特徴データの作成する際、様々な特徴や行動の組み合わせで人物を検索するために、例えば、身長、性別、服の色のHSV値等の様々な形態により出力される人物情報を下記の式に従い、統一的に記述する。」

オ 「【0103】
<本実施形態における検索手法>
次に、上述した検索手段21における本発明における検索手法について、図を用いて説明する。本実施形態における検索手法では、上述した人物特徴データを用いた検索スコアリング手法により、映像に映っている人物を、様々な人物の特徴や行動の組み合わせで、検索することができる。また、どの組み合わせにおいても、検索要求との一致度が高い順番に検索結果を出力することができる。
【0104】
ここで、図5は、本実施形態における検索手法を説明するための一例の図である。本実施形態では、図5(a)に示すように検索者が入力した検索要求「サングラスをしている175cmの人」を、上述した特徴量へと変換し、正規化ヒストグラム上の最大値(=1)を検索要求特徴量とする(図5(b))。また、検索要求特徴量に該当する特徴を参照して抽出し(図5(c))と、その該当特徴との距離を算出し、その距離を検索スコアとし(図5(d))、スコアの高い人物順に検索結果を出力する。」

カ 「【0108】
<画面生成手段22において生成される画面例>
次に、画面生成手段22において生成される画面例について図を用いて説明する。図6は、本実施形態における画面遷移例を示す図である。図6に示す画面例では、初期画面41と、日時指定画面42と、特徴・行動条件指定画面43と、検索結果表示画面44と、映像再生画面45と、共有画面46とを有するよう構成されている。本実施形態に係るシステム起動時には、最初に初期画面41が表示される。また、図6に示す各画面への遷移は、図6に示すように予め所定の画面に遷移する遷移ボタンを設定し、その遷移ボタンを選択することで、それぞれの画面がディスプレイ等の出力手段12に出力される。次に、上述した各画面について、以下に具体的に説明するが、本発明における画面生成される画面例はこれに限定されず、また以下に示す画面レイアウトや表示内容についてもこれに限定されるものではない。」

キ 「【0118】
<特徴・行動条件指定画面43>
図9は、本実施形態における特徴・行動条件指定画面を示す図である。上述した初期画面41において、「人物特徴から検索」又は「リアルタイム捜索」が選択された場合、特徴・行動条件指定画面43にて検索条件を指定する。全ての条件について、格納関数を呼び出す。また、検索ボタンが押されると、検索処理関数を呼び出し、検索結果表示画面44へ遷移する。
【0119】
なお、特徴・行動条件指定画面43には、日付指定領域58、場所指定領域59−1、身長指定領域59−2、色情報指定領域60、性別指定領域61、マスク指定領域62、サングラス指定領域63、年代指定領域64、登場人物指定領域65、似ている芸能人指定領域66、検索実行ボタン群67、及びハイパーリンク表示領域68を有している。
【0120】
(中略)
【0122】
また、色情報指定領域60では、検索対象の人物の頭部の色、上衣(上半身の衣類)の色、下衣(下半身の衣類)の色を設定する。なお、本実施形態では、図9に示すようにカラーマップにより指定を行う。ここで、図10は、カラーマップの一例を示す図である。本実施形態では、カラーマップによりRGB各値(0〜255)をHSV値へ変換し、H(0〜360)を外円環に、SV(0〜1)を内部矩形にプロットしたものを用いる。また、外円環は、BMPを貼り付けるのみで角度情報のみを取得する。また、外側の円ボタンによってH値を選択し、Hの値に従ったSVマップが内部矩形に表示される。つまり、Hの値と矩形内部の円ボタンの位置(SV値)とをRGBに変換することで、検索したい色情報(RGB値)を出力する。なお、内・外部の円ボタンには現在選択している色が表示される。上述したカラーマップを使用することで、検索者は多種の色情報を容易に設定することができる。なお、色情報の指定を行わない場合には、HSV値を「−1」とする。
【0123】
また、性別指定領域61では、「男性」、「女性」、「どちらでもない」の何れかを設定する。また、マスク指定領域62では、マスクの着用について「している」、「していない」、どちらでも」の何れかを設定する。サングラス指定領域63では、サングラスの着用について「している」、「していない」、「どちらでも」の何れかを設定する。」

ク 「図1



ケ 「図2



コ 「図3



サ 「図4



シ 「図5



ス 「図9




(2)引用発明
ア 上記(1)アの段落0034の「人物検索装置10は、入力手段11と、出力手段12と、蓄積手段13と、顔領域検出手段14と、人体領域検出手段15と、同定手段16と、追跡手段17と、不審者検出手段18と、人物情報統合手段19と、フレーム情報生成手段20と、検索手段21と、画面生成手段22と、通知手段23と、送受信手段24と、制御手段25とを有する」との記載、及び上記(1)クに摘記した図1の記載から、引用文献1には、「顔領域検出手段14と、人体領域検出手段15と、フレーム情報生成手段20と、検索手段21と、画面生成手段22とを有する人物検索装置10」が記載されていると認められる。

イ 上記(1)ウの段落0074の「顔領域検出手段14は、図2(a)に示すようにトラッキング手段31と、顔認証手段32と、性別・年代推定手段33と、顔隠し判定手段34とを有している。」との記載、及び上記(1)ケに摘記した図2の記載から、引用文献1には、「顔領域検出手段14は、性別・年代推定手段33と、顔隠し判定手段34とを有し」ていることが記載されていると認められる。

ウ 上記(1)ウの段落0076の「性別・年代推定手段33は、検出された顔領域から、顔の特徴量を取得し、取得した顔の特徴量と、蓄積手段13により性別、年代を推定し、結果を出力する。」との記載から、引用文献1には、「性別・年代推定手段33は、検出された顔領域から、顔の特徴量を取得し、取得した顔の特徴量と、蓄積手段13により性別、年代を推定し、結果を出力するものであ」ることが記載されていると認められる。

エ 上記(1)ウの段落0077の「顔隠し判定手段34は、検出された顔領域に対し、マスクやサングラス等の顔を隠すための処理が行われているか否かを検出する。」との記載から、引用文献1には、「顔隠し判定手段34は、検出された顔領域に対し、マスクやサングラス等の顔を隠すための処理が行われているか否かを検出するものであ」ることが記載されていると認められる。

オ 上記(1)ウの段落0078の「人体領域検出手段15は、図2(b)に示すように身長推定手段35と、色情報抽出手段36と、人物位置推定手段37とを有している。」との記載、及び上記(1)ケに摘記した図2の記載から、引用文献1には、「人体領域検出手段15は、身長推定手段35と、色情報抽出手段36とを有して」いることが記載されていると認められる。

カ 上記(1)ウの段落0079の「身長推定手段35は、検出された人体領域、顔領域それぞれに対して、人物の身長を算出する。」との記載から、引用文献1には、「身長推定手段35は、検出された人体領域、顔領域それぞれに対して、人物の身長を算出するものであ」ることが記載されていると認められる。

キ 上記(1)ウの段落0080の「色情報抽出手段36は、検出された人体領域及び顔領域のそれぞれの領域情報の位置関係を用いて、人物の頭部領域や肌領域、上半身領域、下半身領域を推定し、各領域の色情報を抽出する。」との記載から、引用文献1には、「色情報抽出手段36は、検出された人体領域及び顔領域のそれぞれの領域情報の位置関係を用いて、人物の頭部領域や肌領域、上半身領域、下半身領域を推定し、各領域の色情報を抽出するものであ」ることが記載されていると認められる。

ク 上記(1)エの段落0083の「図3は、本実施形態におけるフレーム情報の一例を示す図である。フレーム情報生成手段20は、1フレーム毎に処理を行い検出された人物について、図3に示す情報が抽出される。ここで、図3に示すフレーム情報としては、例えば共通の項目として「ファイル名」、「検出日時」があり、顔領域から抽出される情報として「人物位置座標(X,Y,Z)」、「身長情報」、「各種色情報」、「登録者情報」、「似ている芸能人情報」、「年代情報」、「性別情報」、「顔の向き(PAN,TILT)」、「マスク」、「サングラス」、「取得顔画像情報」、があり「人物位置座標(X,Y,Z)」、「身長情報」、「各種色情報」等がある。」との記載、及び上記(1)コに摘記した図3の記載から、引用文献1には、「フレーム情報生成手段20は、1フレーム毎に処理を行い検出された人物についてフレーム情報を抽出するものであり、当該フレーム情報は、顔領域から抽出される情報として「年代情報」、「性別情報」、「マスク」、「サングラス」、があり、また、人体領域から抽出される情報として「身長情報」、「各種色情報」等があ」ることが記載されていると認められる。

ケ 上記(1)エの段落0096の「図4に示す図は、上述した顔領域検出や人体領域検出により得られる人物特徴から検索用人物特徴データを生成するための図である。」との記載、同じく段落0097の「図4(a)では、フレーム情報生成において、各フレーム(F)において検出された人物(例えば、人物A、人物B等)に対する特徴(例えば、身長、サングラスの有無等)が取得され、これらの人物特徴を図4(b)に示すように人物毎に纏めて人物特徴をカウントする。つまり、図4(b)では、全てのデータを離散化して出現回数をカウントしており、具体的には、図4(b)において、人物Aは、映像中の3フレームで抽出され、そのうち、身長が170cmと推定された場合が2回、175cmと推定された場合が1回あり、更にサングラスの着用ありと検出された場合が2回、着用なしと検出された場合が1回ある等とカウントされる。」との記載、同じく段落0098の「次に、図4(c)に示すように、各フレーム数で正規化を行い、このデータを検索に使用する。具体的には、検索用人物特徴データの作成する際、様々な特徴や行動の組み合わせで人物を検索するために、例えば、身長、性別、服の色のHSV値等の様々な形態により出力される人物情報を下記の式に従い、統一的に記述する。」との記載、及び上記(1)サに摘記した図4の記載から、引用文献1には、「各フレーム(F)において検出された人物に対する特徴(例えば、身長、サングラスの有無等)が取得され、これらの人物特徴を人物毎に纏めて人物特徴をカウントし、次に、各フレーム数で正規化を行うことで検索用人物特徴データを作成」することが記載されていると認められる。

コ 上記(1)カの段落0108の「画面生成手段22において生成される画面例について図を用いて説明する。図6は、本実施形態における画面遷移例を示す図である。図6に示す画面例では、初期画面41と、日時指定画面42と、特徴・行動条件指定画面43と、検索結果表示画面44と、映像再生画面45と、共有画面46とを有するよう構成されている。」との記載、上記(1)キの段落0118の「特徴・行動条件指定画面43にて検索条件を指定する。」との記載、同じく段落0119の「特徴・行動条件指定画面43には、日付指定領域58、場所指定領域59−1、身長指定領域59−2、色情報指定領域60、性別指定領域61、マスク指定領域62、サングラス指定領域63、年代指定領域64、登場人物指定領域65、似ている芸能人指定領域66、検索実行ボタン群67、及びハイパーリンク表示領域68を有している。」との記載、同じく段落0122の「色情報指定領域60では、検索対象の人物の頭部の色、上衣(上半身の衣類)の色、下衣(下半身の衣類)の色を設定する。」との記載、同じく段落0123の「マスク指定領域62では、マスクの着用について「している」、「していない」、どちらでも」の何れかを設定する。サングラス指定領域63では、サングラスの着用について「している」、「していない」、「どちらでも」の何れかを設定する。」との記載、及び上記(1)スに摘記した図9の記載から、引用文献1には、「画面生成手段22は、検索条件を指定するための特徴・行動条件指定画面43を生成し、前記特徴・行動条件指定画面43は、身長指定領域59−2、検索対象の人物の頭部の色、上衣(上半身の衣類)の色、下衣(下半身の衣類)の色を設定するための色情報指定領域60、性別指定領域61、マスクの着用について、「している」、「していない」、「どちらでも」、の何れかを設定するマスク指定領域62、サングラスの着用について、「している」、「していない」、「どちらでも」、の何れかを設定するサングラス指定領域63及び年代指定領域64を有するものであ」ることが記載されていると認められる。

サ 上記(1)オの段落0103の「上述した検索手段21における本発明における検索手法について、図を用いて説明する。」との記載、上記(1)オの段落0104の「本実施形態では、図5(a)に示すように検索者が入力した検索要求「サングラスをしている175cmの人」を、上述した特徴量へと変換し、正規化ヒストグラム上の最大値(=1)を検索要求特徴量とする(図5(b))。また、検索要求特徴量に該当する特徴を参照して抽出し(図5(c))と、その該当特徴との距離を算出し、その距離を検索スコアとし(図5(d))、スコアの高い人物順に検索結果を出力する。」との記載、及び上記(1)シに摘記した図5の記載から、引用文献1には、「検索手段21は、検索者が入力した検索要求「サングラスをしている175cmの人」を特徴量へと変換し、正規化ヒストグラム上の最大値(=1)を検索要求特徴量とする一方、検索要求特徴量に該当する特徴を参照して抽出し、その該当特徴との距離を算出し、その距離を検索スコアとし、スコアの高い人物順に検索結果を出力」することが記載されていると認められる。

シ 上記(1)イの段落0059の「検索手段21は、後述するように監視ロボットを用いて迷子等の捜索をリアルタイムで行う場合等には、監視ロボットに備えられた撮像手段26からの映像に対して、予め設定された条件(身長、洋服の色、場所情報等)を満たす人物が表示されている画像を検索し、その結果を画面生成手段22によりリアルタイムに表示させるといった機能も有する。」との記載から、引用文献1には、「検索手段21は、監視ロボットを用いて迷子等の捜索をリアルタイムで行う場合等には、監視ロボットに備えられた撮像手段26からの映像に対して、予め設定された条件(身長、洋服の色、場所情報等)を満たす人物が表示されている画像を検索し、その結果を画面生成手段22によりリアルタイムに表示させるといった機能も有するものである」ことが記載されていると認められる。

上記(1)アないしシの検討から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「顔領域検出手段14と、人体領域検出手段15と、フレーム情報生成手段20と、検索手段21と、画面生成手段22とを有する人物検索装置10であって、
前記顔領域検出手段14は、性別・年代推定手段33と、顔隠し判定手段34とを有し、前記性別・年代推定手段33は、検出された顔領域から、顔の特徴量を取得し、取得した顔の特徴量と、蓄積手段13により性別、年代を推定し、結果を出力するものであり、前記顔隠し判定手段34は、検出された顔領域に対し、マスクやサングラス等の顔を隠すための処理が行われているか否かを検出するものであり、
前記人体領域検出手段15は、身長推定手段35と、色情報抽出手段36とを有しており、前記身長推定手段35は、検出された人体領域、顔領域それぞれに対して、人物の身長を算出するものであり、前記色情報抽出手段36は、検出された人体領域及び顔領域のそれぞれの領域情報の位置関係を用いて、人物の頭部領域や肌領域、上半身領域、下半身領域を推定し、各領域の色情報を抽出するものであり、
前記フレーム情報生成手段20は、1フレーム毎に処理を行い検出された人物についてフレーム情報を抽出するものであり、当該フレーム情報は、顔領域から抽出される情報として「年代情報」、「性別情報」、「マスク」、「サングラス」、があり、また、人体領域から抽出される情報として「身長情報」、「各種色情報」等があり、
各フレーム(F)において検出された人物に対する特徴(例えば、身長、サングラスの有無等)が取得され、これらの人物特徴を人物毎に纏めて人物特徴をカウントし、次に、各フレーム数で正規化を行うことで検索用人物特徴データを作成し、
前記画面生成手段22は、検索条件を指定するための特徴・行動条件指定画面43を生成し、前記特徴・行動条件指定画面43は、身長指定領域59−2、検索対象の人物の頭部の色、上衣(上半身の衣類)の色、下衣(下半身の衣類)の色を設定するための色情報指定領域60、性別指定領域61、マスクの着用について、「している」、「していない」、「どちらでも」、の何れかを設定するマスク指定領域62、サングラスの着用について、「している」、「していない」、「どちらでも」、の何れかを設定するサングラス指定領域63及び年代指定領域64を有するものであり、
前記検索手段21は、検索者が入力した検索要求「サングラスをしている175cmの人」を特徴量へと変換し、正規化ヒストグラム上の最大値(=1)を検索要求特徴量とする一方、検索要求特徴量に該当する特徴を参照して抽出し、その該当特徴との距離を算出し、その距離を検索スコアとし、スコアの高い人物順に検索結果を出力し、
前記検索手段21は、監視ロボットを用いて迷子等の捜索をリアルタイムで行う場合等には、監視ロボットに備えられた撮像手段26からの映像に対して、予め設定された条件(身長、洋服の色、場所情報等)を満たす人物が表示されている画像を検索し、その結果を前記画面生成手段22によりリアルタイムに表示させるといった機能も有するものである、
人物検索装置10。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2012−123460号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「【0065】
属性判別部122は、抽出部121により抽出された特徴情報と予め検索特徴情報管理部130に格納される属性情報とに基づいて、入力画像の人物の属性を判別する。属性判別部122は、抽出部121により抽出された特徴情報と予め検索特徴情報管理部130に格納される属性情報との類似度を算出することにより、入力画像の人物の属性を判別する。
【0066】
属性判別部122は、例えば、性別判別部123と年代判別部124とを備える。属性判別部122は、さらなる属性を判別するための判別部を備えていてもよい。例えば、属性判別部122は、眼鏡、マスク、または帽子などの属性を判別する判別部を備えていても良い。
【0067】
例えば、検索特徴情報管理部130は、男性の属性情報と女性の属性情報とを予め保持している。性別判別部123は、検索特徴情報管理部130により保持されている男性の属性情報及び女性の属性情報と、抽出部121により抽出された特徴情報とに基づいてそれぞれ類似度を算出する。性別判別部123は、算出された類似度の高いほうを入力画像に対する属性判別の結果として出力する。
【0068】
例えば、性別判別部123は、特開2010−044439号公報に記載されているように、顔の局所的な勾配特徴の発生頻度を統計情報として保持する特徴量を利用する。即ち、性別判別部123は、統計情報がもっとも男女を識別するような勾配特徴を選別し、その特徴を識別する識別器を学習によって算出し、男女のような2クラスを判別する。」

イ「【0076】
検索特徴情報管理部130は、基準年齢を10歳から60歳までずらしながら準備した年代判別用の辞書の画像を基準年齢にあわせて二つに分類する。これにより、検索特徴情報管理部130は、SVMの学習器を基準年齢の数に応じて準備することができる。なお、本実施例では、検索特徴情報管理部130は、10歳から60歳まで6個の学習器を準備する。
【0077】
検索特徴情報管理部130は、「X歳以上」とするクラスを「正」のクラスとして学習することで、「基準年齢より年齢が上の画像が入力されると指標はプラスの値を返す」ようになる。この判別処理を基準年齢を10歳から60歳までずらしながら実行していくことにより、基準年齢に対して上か下かの指標を得ることができる。また、この出力された指標の中で、もっとも指標がゼロに近いところが出力すべき年齢に近いことになる。
【0078】
ここで年齢の推定方法を図4に示す。イベント検出部120の年代判別部124は、各基準年齢に対するSVMの出力値を算出する。さらに、年代判別部124は、縦軸を出力値、横軸を基準年齢として出力値をプロットする。このプロットに基づいて年代判別部124は、入力画像の人物の年齢を特定することができる。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2008−217602号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「【0001】
本発明は、特にカメラなどの光学系センサを使用する不審行動検知システムに関する。」

イ 「【0019】
行動識別部22は、複数の識別器を含み、最終的な出力結果としてそれらを総合した識別結果(判定結果)を出力する行動統合部45を有する。行動統合部45は、例えば多数決や論理積などの方法や、前処理としてルールによる判別処理を実行して、その結果に過不足があった場合に学習機械による識別処理を実行する方法で、識別結果(判定結果)を出力する。
【0020】
具体的には、行動識別部22は、例えばSVM(Support Vector Machine)のようなパターン認識方法を適用して構築されており、監視対象の歩行軌跡情報(移動軌跡データ)の特性を数学的に分析する。これにより、人間系での正常パターン、異常パターンを学習により教示することで不審行動の判別を行なう。
【0021】
複数の識別器としては、性別識別器40、年代識別器41、正常/異常識別器42、滞留/走行識別器43、及びうろうろ識別器44などが設けられている。各識別器は、事前に歩行(移動)軌跡に応じた学習により取得した学習情報を記憶し、当該学習情報を使用して識別処理を実行する。」

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2016−157165号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「【0037】
次に、サーバー装置3の機能(サーバー側演算処理部32が実行する処理及びサーバー側記憶部31が記憶するデータ)及び、処理フロ−について説明する。
図9及び図13に示すように、第11ステップS11にて、カメラ装置1から送信された人物管理用データGを受信すると、第12ステップS12に進んで、受信した人物管理用データGのベストショット集計データD内で、顔角度範囲が相互に近接(隣接)する顔画像データA同士を、比較して、特徴点の差(非同一人物可能性確率)又は特徴点の一致数(同一人物可能性確率)を算出する。求めた比較結果が、所定判定条件を満たすか否かによって(他の比較結果と大きく異なるか、又は、所定閾値以上か否か、或いは、所定閾値範囲内か否かによって)、同一人物の可能性が低い顔画像データAを抽出し、さらに、抽出した顔画像データAに対して、上述の求めた比較結果を参照して同一人物か否かを判定する。同一人物でない(非同一人物)と判定した顔画像データAを削除し、同一人物と判定した顔画像データAを残存させる同一人物確認処理を行う。」

5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2014−203353号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「【0040】
例えば、認証実行部26は、図4に示すように、登録画像の比較特徴量と、入力画像の比較特徴量との差分が所定値以下であれば、部位点の特徴が一致または類似していると判定してもよい。ここで、1つの部位点に対する比較特徴量が複数種類ある場合、全ての比較特徴量の差分が所定値以下の場合に、当該部位点の特徴が一致または類似していると判定してもよいし、比較特徴量の差分が所定値以下のものが所定数以上ある場合に、当該部位点の特徴が一致または類似していると判定してもよい。また、認証実行部26は、物体の部位点が複数ある場合、全ての部位点の特徴が一致または類似していると判定した場合に、登録画像の人物と入力画像の人物とが同一人物であると判定してもよいし、所定数以上の部位点に対して、部位点の特徴が一致または類似していると判定した場合に、登録画像の人物と入力画像の人物とが同一人物であると判定してもよい。」

6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6(特開2011−035806号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「【0045】
一方、画像管理動作を行うように設定されている場合(ステップS6:YES)、主制御部28は、取得した画像データと、アドレス帳データ格納部262に登録されている顔の画像データとを比較し、顔認証機能を用いて、それらのうちの何れかが一致するか否かを判定する(ステップS7)。ここで、顔認証機能については、公知の顔認証技術が用いられ、取得した画像およびアドレス帳データ格納部262に登録されている顔の画像データの特徴をそれぞれ抽出して比較し、一致する特徴の割合が画像データ記憶部26の設定データ格納部263に格納された閾値よりも高いものを一致するとして判定される。なお、閾値を超える画像データが複数ある場合には、一致する特徴割合が最も高いものを一致するとして判定する。また、取得した画像データに複数の人物が含まれる場合には、それぞれについて判定が行われる。」

7.引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7(小久保 嘉人、歩行者の詳細認識精度を向上させるための追加型手法、電子情報通信学会論文誌D VolumeJ100−D No.2 [online]、電子情報通信学会、2017年 2月 1日、第J100−D巻 第2号、pp.265−276、[2017年3月23日検索]Internet)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「2.3 グラフィカルモデル
歩行者の詳細認識では性別,年齢,体格,服装の属性のクラス分類に焦点を当てている.これらの属性間には相関が存在する(例:子供は年配と比較して痩せ型である傾向が強い等).グラフィカルモデルによる手法では,画像による識別結果に加えて,このような傾向による補正を加えることで精度を更に向上させる.本アプローチでは,四種類の属性の中で性別は他の属性と比べて相関が弱いと判断したため,年齢,体格,服装の属性を用いて補正を行う.
本アプローチは次のような流れで行われる:(2.3.1)傾向補正のためのグラフィカルモデルの提案・立式,(2.3.2)補正に用いる傾向情報を算出する,(2.3.3)補正パラメータの学習する,(2.3.4)テストデータに対して各識別器の識別確率と傾向情報,補正パラメータを使用して結果を導出する.以下にそれぞれのステップの詳細を記述する.」(第270頁左欄15−31行)

8.引用文献8について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献8(特開2016−146176号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「【0022】
本明細書に開示される段階は、プロセッサ112により、メモリ114に包含される命令にしたがって行われる。具体的には、メモリ114は以下を保存する:映像データ132から抽出される特性を、動作クラスに属すると分類するよう動作する、事前に訓練された分類器116(例えば、サポートベクターマシン(SVM)、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト(RF)など);映像データを画像撮像デバイス106から取得する、映像取得/緩衝モジュール118;映像データを処理して、撮像される動作を映像データにおいて判定する、動作認識モジュール120;映像データにおいて行われる動作の配列を判定して、活動が配列を使用して適切に行われたか判定する、活動認識モジュール122;所定の物体(複数可)を検索および検出するために映像データを処理する、物体検出モジュール124;および、検出物体に関する定量化を行って、物体と関連付けられる測定量を判定する、定量化モジュール126。これらの命令が、単一モジュールにおいて、または、異なるデバイスにおいて具現化される複数のモジュールとして、保存され得る実施形態が、考慮される。モジュール116〜126は、例示的な方法を参照して、後に記載される。」

9.引用文献9について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献9(中国特許出願公開第101980242号明細書)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)

ア 「


(当審訳:[0011]本発明のさらなる技術的解決手段は、前記変装分類器は、帽子分類器と、サングラス分類器と、を備え、前記変装識別モジュールは、前記帽子分類器により前記顔画像が帽子変装であるかどうかを識別し、前記変装識別モジュールは、前記サングラス分類器により前記顔画像がサングラス変装であるかどうかを識別することを特徴とする、請求項1に記載の変装識別装置である。)


第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア(ア)引用発明の「検索手段21」は、検索者が「検索要求(サングラスをしている175cmの人)」を入力すると、当該「検索要求」に該当する「人」を検索して、「スコアの高い人物」を順に出力するものであるから、引用発明の検索要求の例である「サングラスをしている175cmの人」は、本願発明1の「特定対象となる人物」に相当する。
(イ)上記(ア)より、引用発明の「検索手段21」は、本願発明1の「特定対象となる人物を判定」する機能を有するものであるから、引用発明の「検索手段21」を有する「人物検索装置10」は本願発明1の「特定対象となる人物を判定する情報処理装置」に相当するといえる。

イ 引用発明の「画面生成手段22」が生成する「検索条件を指定するための特徴・行動条件指定画面43」は、「身長指定領域59−2、検索対象の人物の頭部の色、上衣(上半身の衣類)の色、下衣(下半身の衣類)の色を設定するための色情報指定領域60、性別指定領域61、マスクの着用について、「している」、「していない」、「どちらでも」、の何れかを設定するマスク指定領域62、サングラスの着用について、「している」、「していない」、「どちらでも」、の何れかを設定するサングラス指定領域63及び年代指定領域64」を有するものである。
ここで、「身長指定領域59−2」に設定される「身長情報」と、「色情報指定領域60」に設定される「検索対象の人物の頭部の色、上衣(上半身の衣類)の色、下衣(下半身の衣類)の色」などの「各種色情報」は、「人体領域から抽出される情報」であって「顔画像から抽出される特徴」ではないから、“顔画像以外の複数の特徴”といえる。
そして、引用発明において、「特徴・行動条件指定画面43」に設定される「身長情報と各種色情報(顔画像以外の複数の特徴)」は、「検索条件を指定するための」「特徴」であるから、上記ア(ア)の検討も踏まえると、本願発明1の「特定対象となる人物の特徴を示す顔画像以外の複数の特徴」に相当する。
また、引用発明の「身長指定領域59−2」及び「色情報指定領域60」は、「身長情報」及び「各種色情報」の“入力を受け付ける領域”であるといえる。
そうすると、引用発明の「身長指定領域59−2」及び「色情報指定領域60」を有する「前記特徴・行動条件指定画面43」は、本願発明1の「特定対象となる人物の特徴を示す顔画像以外の複数の特徴を含む特徴情報の入力を受け付ける、入力受付部」に相当する。

ウ 引用発明の「人体領域検出手段15」が有する「身長推定手段35」は、「検出された人体領域、顔領域それぞれに対して、人物の身長を算出するものであり」、また、「人体領域検出手段15」が有する「色情報抽出手段36」は、「検出された人体領域及び顔領域のそれぞれの領域情報の位置関係を用いて、人物の頭部領域や肌領域、上半身領域、下半身領域を推定し、各領域の色情報を抽出するものであ」るから、引用発明の「身長推定手段35」及び「色情報抽出手段36」を有する「人体領域検出手段15」と本願発明1の「前記特徴情報に含まれる前記人物の前記複数の特徴それぞれに対応した特徴判別器」とは、上記イの検討も踏まえると、“特徴情報に含まれる人物の複数の特徴それぞれに対応した特徴処理手段”である点で共通する。
そうすると、引用発明と本願発明1とは、後記する点で相違するものの、“特徴情報に含まれる人物の複数の特徴それぞれに対応した特徴処理手段を複数有”する点で共通している。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
特定対象となる人物を判定する情報処理装置であって、
前記特定対象となる人物の特徴を示す顔画像以外の複数の特徴を含む特徴情報の入力を受け付ける、入力受付部と、

前記特徴情報に含まれる前記人物の前記複数の特徴それぞれに対応した特徴処理手段を複数有する、情報処理装置。

(相違点)
(相違点1)本願発明1は、「特徴情報に含まれる人物の複数の特徴それぞれに対応した特徴判別器を複数有し、設定された間隔で画像データを出力する撮像装置から前記画像データを取得すると、前記複数の特徴毎に、対応する前記特徴判別器によって、前記特徴情報に含まれる特徴と、前記画像データの画像に写っている人物の特徴とが、一致及び非一致のいずれであるかを判定する、第1判定部」を備えているのに対して、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(相違点2)本願発明1は、「特定対象となる人物の複数の特徴毎の判定結果に基づいて、特徴判別器によって一致していると判定された複数の判定結果が所定数以上であると判定された場合、画像に写っている人物を前記特定対象の人物であると判定する、第2判定部」を備えているのに対して、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点1及び2についてまとめて検討する。
引用発明は、「フレーム情報生成手段20」が「1フレーム毎に処理を行い検出された人物についてフレーム情報を抽出」し、「各フレーム(F)において検出された人物に対する特徴(例えば、身長、サングラスの有無等)が取得され、これらの人物特徴を人物毎に纏めて人物特徴をカウントし、次に、各フレーム数で正規化を行うことで検索用人物特徴データを作成し」、「前記検索手段21は、検索者が入力した検索要求「サングラスをしている175cmの人」を特徴量へと変換し、正規化ヒストグラム上の最大値(=1)を検索要求特徴量とする一方、検索要求特徴量に該当する特徴を参照して抽出し、その該当特徴との距離を算出し、その距離を検索スコアとし、スコアの高い人物順に検索結果を出力」するという検索手法を採用したものであり、「人物毎に複数の特徴を組み合わせた検索用人物特徴」という指標の生成を必須としているものであって、本願発明1とは、顔画像以外の特徴情報を用いるという点では共通しているものの、具体的な検索手法の点では異なるものである。
そして、引用発明の検索手法において、「人物毎に複数の特徴を組み合わせた検索用人物特徴」という指標を用いることをやめて、各特徴毎に検索要求の特徴との「一致・不一致」を個別に判定し、「一致していると判定された複数の判定結果が所定数以上であると判定された場合」に、画像に写っている人物を検索要求した特徴を有する人物であると判定するという本願発明1の上記相違点1及び2に係る構成に変更することを示唆ないし動機付けるような記載は、引用文献1にも、引用文献2−9のいずれにもみられない。
また、引用発明の検索手法を上記相違点1及び2に係る構成に変更することが当該技術分野における周知技術であったということもできない。
そうすると、上記相違点1及び2に係る構成は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−9に記載の技術的事項に基づいて容易に想到しえたものであるとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−9に記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2−5について
本願発明2−5は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−9に記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明6、11について
本願発明6、11はそれぞれ、本願発明1に対応する方法、プログラムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−9に記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4.本願発明7−10、12−15について
本願発明7−10は、本願発明6を減縮した発明であり、本願発明12−15は、本願発明11を減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−9に記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1−15について上記引用文献1に記載の発明及び引用文献2−9に記載の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、上記のとおり、本願発明1−15は、引用発明及び引用文献2−9に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
<特許法第36条第6項第2号について>
(1)当審では、請求項1の記載は、「情報処理装置」が「特定対象となる人物を判定する情報処理装置」であるのか否かが不明確である旨の拒絶の理由を通知したが、令和4年5月9日付けの補正において、「特定対象となる人物を判定する情報処理装置」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(2)当審では、請求項1の記載は、「入力受付部」が「前記特定対象となる人物の特徴を示す顔画像以外の複数の特徴を含む特徴情報の入力を受け付ける」ものであるのか否かが不明確である旨の拒絶の理由を通知したが、令和4年5月9日付けの補正において、「前記特定対象となる人物の特徴を示す顔画像以外の複数の特徴を含む特徴情報の入力を受け付ける、入力受付部」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(3)当審では、請求項1の記載は、「第1判定部」が「前記特徴情報に含まれる前記人物の前記複数の特徴それぞれに対応した特徴判別器を複数有し」、「前記複数の特徴毎に、対応する前記特徴判別器によって、前記特徴情報に含まれる特徴と、前記画像データの画像に写っている人物の特徴とが、一致及び非一致のいずれであるかを判定する」ものであるのか否かが不明確である旨の拒絶の理由を通知したが、令和4年5月9日付けの補正において、「前記特徴情報に含まれる前記人物の前記複数の特徴それぞれに対応した特徴判別器を複数有し、設定された間隔で画像データを出力する撮像装置から前記画像データを取得すると、前記複数の特徴毎に、対応する前記特徴判別器によって、前記特徴情報に含まれる特徴と、前記画像データの画像に写っている人物の特徴とが、一致及び非一致のいずれであるかを判定する、第1判定部」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

(4)当審では、請求項1の記載は、「第2判定部」が「前記特定対象となる人物の複数の特徴毎の判定結果に基づいて、前記特徴判別器によって一致していると判定された複数の判定結果が所定数以上であると判定された場合、前記画像に写っている人物を前記特定対象の人物であると判定する」ものであるのか否かが不明確である旨の拒絶の理由を通知したが、令和4年5月9日付けの補正において、「前記特定対象となる人物の複数の特徴毎の判定結果に基づいて、前記特徴判別器によって一致していると判定された複数の判定結果が所定数以上であると判定された場合、前記画像に写っている人物を前記特定対象の人物であると判定する、第2判定部」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1−15は、当業者が引用発明及び引用文献2−9に記載の技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-06-23 
出願番号 P2017-035338
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 須田 勝巳
山崎 慎一
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム  
代理人 特許業務法人ブライタス  

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