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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1386074
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-05 
確定日 2022-06-21 
事件の表示 特願2020− 15881「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月23日出願公開、特開2020− 62557、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年1月9日(優先権主張 平成25年10月15日)に出願した特願2014−2373号の一部を平成31年2月27日に新たな特許出願(特願2019−34466号)とし、さらにその一部を令和2年1月31日に新たな特許出願(特願2020−15881号)としたものであって、令和3年2月4日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月12日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年6月30日付け(送達日:同年7月6日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対し、同年10月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

(拡大先願)この出願の請求項1に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特願2012−230787号(特開2014−79497号)

第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年10月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、本願発明は、次のとおりのものである。なお、符号A等は、分説するため当審が付した。

「【請求項1】
A 遊技球を発射する発射手段と、
前記発射手段によって発射された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な始動入球手段と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球し易い第1状態と、該第1状態よりも遊技球が入球し難い第2状態とに可変する可変入球装置と、
前記始動入球手段への入球を契機として、前記可変入球装置を前記第1状態と前記第2状態に繰り返し作動させることで遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生させることが可能な抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選の結果を遊技者に視覚を通じて認識させる識別情報の変動表示を制御する手段と、
前記変動表示の結果が前記特定遊技状態を発生させる特定結果となった場合に前記特定遊技状態を発生させる手段と、
を備え、
B 前記可変入球装置は、前記特定遊技状態において前記第2状態の時に遊技球を該可変入球装置上に設けられた所定の領域を次に前記第1状態となるまで転動させることにより、前記第1状態の時に前記遊技領域のうち前記所定の領域を含む特定の領域を流下する遊技球を概ね全て入球させることが可能なように構成されており、
C 前記可変入球装置の下流には、前記第2状態の時に前記所定の領域を転動した遊技球が入球可能な常に開口された開口部を備え、該開口部への入球によって少なくとも遊技者に所定数の賞球が払出される入球手段を備える
D ことを特徴とする遊技機。」

第4 引用文献等1の記載、先願発明
1 原査定で引用された引用文献等1(特願2012−230787号(特開2014−79497号))には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。以下同じ。

記載事項
「【0017】
このパチンコ遊技機1は、図1及び図2に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠2と、外枠2に開閉可能に取り付けられた前面枠3と、で主に構成されている。前面枠3の前面には、ガラス扉枠4及び下扉枠5がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
【0018】
下扉枠5の下部表面には打球供給皿(上皿)6がある。打球供給皿6の下部には、打球供給皿6に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿7(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル8が設けられている。また、ガラス扉枠4の後方においては、遊技盤9が前面枠3に対して着脱可能に取り付けられている。
【0019】
遊技盤9は、遊技領域10が遊技盤9の前面側に形成された透光性の合成樹脂材からなる盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有する非透光性の合成樹脂材からなり、上記盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)と、から構成されている。また、遊技盤9の背面側には、演出表示装置11及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技盤ユニット260が一体的に組み付けられている(図2参照)。」

「【0021】
上記演出表示装置(飾り図柄表示装置)11は、遊技領域10の中央付近に設けられ、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を有している。演出表示装置11には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア、図中11L,11C,11R)がある。
演出表示装置11は、後述する第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置11は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。」

「【0026】
演出表示装置11は、第1特別図柄表示器12aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器12bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器12aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置11における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器12bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置11における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器12aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器12bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置11において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
【0027】
演出表示装置11の下方には、上記第1始動入賞口13aを有する普通入賞装置20が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ、図3参照)によって検出される。
【0028】
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する普通入賞装置20の下方には、遊技球が入賞可能な上記第2始動入賞口13bを有する普通可変入賞装置21が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び第2入賞確認スイッチ15b(図3参照)によって検出される。」

「【0035】
大入賞口24内には、大入賞口24内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ25aと第3入賞確認スイッチ25b、図3参照)が設けられている。なお、図示省略するが、本実施形態では、大入賞口24内において、カウントスイッチ25aが上側に配置され、その下側に第3入賞確認スイッチ25bが配置される。従って、この実施形態では、大入賞口24内に入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、まずカウントスイッチ25aで検出され、次いで第3入賞確認スイッチ25bで検出されることになる。
【0036】
カウントスイッチ25aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。ここで、特別可変入賞球装置22において開状態となった大入賞口24を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出されるようになっている。したがって、特別可変入賞球装置22において大入賞口24が開状態となれば、遊技者にとって有利な状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置22において大入賞口24が閉状態となれば、大入賞口24に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な状態となる。
【0037】
次に、第1特別図柄表示器12aの下側には、普通図柄表示器26(可変表示手段)が設けられている。普通図柄表示器26は、例えば2つのランプからなる。遊技球が、後述のゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、または後述のゲート33を通過しゲートスイッチ33aで検出されると、普通図柄表示器26の表示の可変表示が開始される。この実施形態では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器26の下側のランプが点灯して当りである場合に、普通可変入賞装置21が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、普通可変入賞装置21の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32又はゲート33を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器27が設けられている。ゲート32またはゲート33への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aまたはゲートスイッチ33aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器27は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器26の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。」

「【0039】
本実施形態では、上記ゲート32が、演出表示装置11の左方に設けられている。また、ゲート33が、特別可変入賞装置22と、普通可変入賞装置21との間に設けられている。更に詳しくは、ゲート33は、底面部材23の左下方に設けられている。また、特別可変入賞装置22及びゲート33の周囲には、多数の釘34が植設されている。これらの釘34は、特別可変入賞装置22に遊技球を案内したり、大入賞口24に入賞せずに特別可変入賞装置22を通過した遊技球をゲート33に案内したり、ゲート33を通過した遊技球を普通可変入賞装置21に案内したりするために植設されている。なお、遊技領域10における左側の領域においても、遊技球を普通入賞装置20や普通可変入賞装置21などに案内するための釘が設けられている。」

「【0043】
遊技領域10おける遊技球の通過ルート、および該通過ルートと打球操作ハンドル8の操作方法について説明すると、このパチンコ遊技機1では、打球操作ハンドル8の操作によって発射された遊技球が、飾り枠体35の左右のいずれか一方のルートを通るようになっている。図1において、R1は、飾り枠体35の左方に規定されるルートを示し、矢印R2は飾り枠体35の右方に規定されるルートを示している。なお、ルートR2は、上記右側通過領域36を通過するルートである。遊技球は、これらルートR1およびルートR2のいずれかのルートを通って、遊技領域10の下方に流下することになる。」

「【0050】
第1特別図柄表示器12aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器12bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞装置22の大入賞口24が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する開放制御が行われる。開放制御は、所定回(所定ラウンド、例えば15ラウンド)継続する。遊技者は、この大当り遊技状態では、「右打ち」をすることで、遊技球を大入賞口24に入賞させる可能性を高めることができる。」

「【0064】
次に図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板40には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ156(遊技制御手段)が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
【0065】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板40以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0066】
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。」

「【0105】
また、CPU56は、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよびカウントスイッチ25aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよびカウントスイッチ25aのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
なお、上述したが、カウントスイッチ25aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。また、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出される。」

「【0143】
図13〜図16に示すように、特別可変入賞球装置22は、左右方向に長い矩形板状のベース板部101を備えている。特別可変入賞球装置22は、このベース板部101が遊技領域10に例えば螺子などで固定されることで、遊技領域10に固定支持される。ベース板部101の略中央領域には、前方に向けて開口する大入賞口24が形成されるとともに、ベース板部101における大入賞口24よりも上方の位置には、底面部材23が後退移動した際に、底面部材23を遊技領域10の背面側(後方)に収容するための左右方向に長いスリット状の収容孔102が形成されている。なお、本実施形態において大入賞口24は詳しくは、ベース板部101の左右方向中央よりやや左側に形成されているが、これよりも左または右であってもよい。
【0144】
底面部材23は、右方からその上面に進入した遊技球を、左方に向けて流下させるように、左下がり傾斜し、収容孔102は、底面部材23の傾斜に沿うように、左下がり傾斜するように形成されている。底面部材23は、図14に示す前進移動された状態と、図15に示す後退移動した状態と、に進退移動可能とされており、図16及び図17を参照し、ベース板部101の背面側(後方)には、底面部材23を進退移動させる駆動装置103が配置されている。」

「【0153】
特別可変入賞球装置22では、ベース板部101と被覆部117との間において、上流側流路部113、底面部材23、および下流側流路部114からなる、左右方向に連なる遊技球の流路Fが形成される。ここで、本実施形態では、ベース板部101及び被覆部117に、流路Fを流下する遊技球の流下速度を低下させる複数の規制片118(遅延手段に相当)が形成されている。
【0154】
本実施形態において、規制片118は、ベース板部101及び被覆部117に一体形成され、ベース板部101から前方に突出する、または被覆部117から後方に突出するリブ状に形成され、遊技球に干渉することで、左方に向けて流下する遊技球を前後方向成分の動きをもって蛇行するように、遊技球の流下方向を変更させて、その流下にかかる時間を、規制片118がない場合よりも遅延させる。これら規制片118は、流路Fにおける遊技球の流下方向で、所定間隔を空けて並ぶように形成され、かつベース板部101及び被覆部117に交互に形成されている。また、規制片118は、底面部材23の前後方向幅の1/3〜1/4程度の幅寸法に設定され、かつ隣接するもの同士の間に遊技球が通過可能な幅寸法に設定されている。
さらに詳しくは、本実施形態では、被覆部117のうちの上流側流路部113を前方から覆う部位に、規制片118が1つ形成されるとともに、被覆部117のうちの下流側流路部114を前方から覆う部位に、規制片118が1つ形成されている。また、ベース板部101および被覆部117のうちの底面部材23を覆う部位には、ベース板部101および被覆部117に交互に形成された規制片118が合計5つ形成されている。なお、このような規制片118の数は、特段限定されるものではない。
また、本実施形態では、規制片118の大部分が、前方(遊技者側)から被覆部117によって覆われるようになっている。
【0155】
以上のような規制片118の配置により、図14及び図16に示すように、本実施形態の特別可変入賞球装置22では、流路Fを流下しようとする遊技球Pが、流路F上を蛇行するようにして流下することになる。そして、このような流路Fが形成される特別可変入賞球装置22の閉状態では、遊技球Pが大入賞口24に入賞せずに、特別可変入賞球装置22を基本的に通過する。一方で、図15を参照し、底面部材23が後退移動した特別可変入賞球装置22の開状態では、遊技球Pが、流路形成台部112の案内流路部115に落下することが可能となり、この案内流路部115を流下して、大入賞口24に入賞することが可能となる。」

「【0159】
以上に記載した第1の実施形態に係るパチンコ遊技機1では、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態となり、特別可変入賞装置22が開閉制御された際に、遊技者は、右打ちをして遊技球を特別可変入賞装置22に向けて発射し、大入賞口24に遊技球を入賞させようとする場合に、有益な効果が得られる。
すなわち、このパチンコ遊技機1では、上記のように右打ちを行い、遊技球が底面部材23の上流領域23Uに達した際に特別可変入賞装置22が閉状態であっても、規制片118によって遊技球が底面部材23の下流領域23Lに達するまでの時間がかかる。つまり、遊技球の流下速度が低下されることで、遊技球の流下に時間がかかる。これにより、遊技球が上記下流領域23Lに達したときに、特別可変入賞装置22が開状態になっている可能性を高くすることができる。このため、このパチンコ遊技機1では、遊技球を大入賞口24に入賞させ易くすることができるといった有益な効果が得られる。
【0160】
また具体的に、この実施形態のパチンコ遊技機1では、特別可変入賞装置22が、遊技の結果が特定遊技結果(大当り遊技状態)となったときに複数回開状態に制御され、規制片118により遅延された遊技球の、底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下時間Ta(s)が、特別変入賞装置22を開状態から閉状態に変化させたあと、再度開状態に変化させる時間であるラウンドインターバルTin(s)よりも長く設定される(制御される)ことで、1回前の開状態への変化で入賞しなかった遊技球が、この次の開状態で入賞する可能性を高めている。ちなみに、この時間関係としない場合であっても、入賞の可能性は高まる。」

図面の図示内容
















2 先願発明
上記1(1)記載事項及び(2)図面の図示内容からみて、引用文献等1には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。なお、符号a等については本願発明の構成A等に概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。

「a 遊技球を発射する打球操作ハンドル8と(【0018】、【0043】)、
遊技球がルートR1およびルートR2のいずれかのルートを通って、下方に流下する遊技領域10が遊技盤9の前面側に形成された透光性の合成樹脂材からなる盤面板と、所定の厚み幅寸法を有する非透光性の合成樹脂材からなる遊技盤9と(【0019】、【0043】)、
入賞した遊技球が、遊技盤9の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される第1始動入賞口13aを有する普通入賞装置20と(【0027】)、入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15aによって検出される第2始動入賞口13bを有する普通可変入賞装置21と(【0028】)、
大当り遊技状態においては、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する開放制御が行われ、開放制御は、所定回(所定ラウンド、例えば15ラウンド)継続する特別可変入賞装置22の大入賞口24と(【0050】)、
プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ156(遊技制御手段)が搭載されている主基板40と(【0064】)、CPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行する遊技制御用マイクロコンピュータ156と(【0065】)、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であり、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である乱数回路60と(【0066】)、
第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う演出表示装置11を制御する演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータと(【0021】)、
を備え、
停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、大当り遊技状態に移行し(【0050】)、第1特別図柄表示器12aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器12bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置11において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示され(【0026】)、
b 大当り遊技状態においては、特別可変入賞装置22の大入賞口24が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する開放制御が行われ、開放制御は、所定回(所定ラウンド、例えば15ラウンド)継続し(【0050】)、特別可変入賞球装置22は、ベース板部101が遊技領域10に例えば螺子などで固定されることで、遊技領域10に固定支持され、ベース板部101の略中央領域には、前方に向けて開口する大入賞口24が形成されるとともに、大入賞口24よりも上方の位置には、底面部材23が後退移動した際に、底面部材23を遊技領域10の背面側(後方)に収容するための左右方向に長いスリット状の収容孔102が形成され(【0143】)、底面部材23は、右方からその上面に進入した遊技球を、左方に向けて流下させるように、左下がり傾斜し(【0144】)、ベース板部101に、流路Fを流下する遊技球の流下速度を低下させる複数の規制片118(遅延手段に相当)が形成され(【0153】)、遊技球が底面部材23の上流領域23Uに達した際に特別可変入賞装置22が閉状態であっても、規制片118によって遊技球が底面部材23の下流領域23Lに達するまでの時間がかかり(【0159】)、規制片118により遅延された遊技球の、底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下時間Ta(s)が、特別変入賞装置22を開状態から閉状態に変化させたあと、再度開状態に変化させる時間であるラウンドインターバルTin(s)よりも長く設定され、1回前の開状態への変化で入賞しなかった遊技球が、この次の開状態で入賞する可能性を高めており(【0160】)、大入賞口24内に入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、まずカウントスイッチ25aで検出され、次いで第3入賞確認スイッチ25bで検出され(【0035】)、カウントスイッチ25aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出され(【0036】)、
c ゲート33は、底面部材23の左下方に設けられ、大入賞口24に入賞せずに特別可変入賞装置22を通過した遊技球をゲート33に案内する多数の釘34が植設され【0039】)、ゲート33を通過しゲートスイッチ33aで検出されると、普通図柄表示器26の表示の可変表示が開始され、普通図柄表示器26の下側のランプが点灯して当りである場合に、普通可変入賞装置21が所定回数、所定時間だけ開状態になり(【0037】)、カウントスイッチ25aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出され、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出される(【0105】)
d パチンコ遊技機1(【0017】)。」

第5 対比
本願発明と先願発明を対比する。

1 構成Aについて
先願発明の構成aの「打球操作ハンドル8」、「遊技領域10」、「遊技盤9」、「普通入賞装置20」又は「普通可変入賞装置21」、「一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する開放制御が行われ」ている状態、「開放制御が行われ」ていない状態、「特別可変入賞装置22」、「ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であ」ること、「一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する開放制御が行われ、開放制御は、所定回(所定ラウンド、例えば15ラウンド)継続する」こと、「大当り遊技状態に移行」すること、「CPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行する遊技制御用マイクロコンピュータ156」、「大当りとするか否か」、「装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄」、「演出表示装置11を制御する演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ」、「演出表示装置11において」「停止表示され」た「演出図柄の組み合せ」、「大当りを想起させるような演出図柄の組み合せ」、「CPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行する遊技制御用マイクロコンピュータ156」が、それぞれ本願発明の構成Aの「発射手段」、「遊技領域」、「遊技盤」、「遊技球が入球可能な始動入球手段」、「遊技球が入球し易い第1状態」、「該第1状態よりも遊技球が入球し難い第2状態」、「可変入球装置」、「前記始動入球手段への入球を契機と」すること、「前記可変入球装置を前記第1状態と前記第2状態に繰り返し作動させること」、「遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生させること」、「抽選を行う抽選手段」、「前記抽選手段による抽選の結果」、「遊技者に視覚を通じて認識させる識別情報」、「変動表示を制御する手段」、「前記変動表示の結果」、「前記特定遊技状態を発生させる特定結果」、「前記特定遊技状態を発生させる手段」に相当する。
よって、先願発明は、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。

2 構成Bについて
先願発明の構成bの「底面部材23」、「遊技球が底面部材23の上流領域23Uに達した際に特別可変入賞装置22が閉状態」である時に「遊技球が底面部材23の下流領域23Lに達する」こと、「遊技球が底面部材23の上流領域23Uに達した際に特別可変入賞装置22が閉状態であっても、規制片118によって遊技球が底面部材23の下流領域23Lに達するまでの時間がかかり、規制片118により遅延された遊技球の、底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下時間Ta(s)が、特別変入賞装置22を開状態から閉状態に変化させたあと、再度開状態に変化させる時間であるラウンドインターバルTin(s)よりも長く設定され、1回前の開状態への変化で入賞しなかった遊技球が、この次の開状態で入賞する可能性を高めて」いることは、それぞれ本願発明の構成Bの「該可変入球装置上に設けられた所定の領域」、「次に前記第1状態となるまで転動させること」、「前記第1状態の時に前記遊技領域のうち前記所定の領域を含む特定の領域を流下する遊技球を概ね全て入球させることが可能なように構成されて」いることに相当する。
よって、先願発明は、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。

3 構成Cについて
先願発明の構成cの「底面部材23の左下方」は、本願発明の構成Cの「前記可変入球装置の下流」に相当する。
また、先願発明の構成cの「ゲート33」は遊技球が通過するものであり、入球するものではなく、通過により遊技者に所定数の賞球が払い出されないものの、常に開口した開口部を備えていることは遊技機分野における技術常識であるから、先願発明と本願発明の構成Cとは「前記可変入球装置の下流には、前記第2状態の時に前記所定の領域を転動した遊技球が通過可能な常に開口された開口部を備えた遊技球が通過可能な手段を備える」点で共通する。

4 構成Dについて
先願発明の構成dの「パチンコ遊技機1」は、本願発明の構成Dの「遊技機」に相当する。
よって、先願発明は、本願発明の構成Dに相当する構成を有する。

5 以上のとおりであるから、本願発明と先願発明とは、
「A 遊技球を発射する発射手段と、
前記発射手段によって発射された遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な始動入球手段と、
前記遊技領域を流下する遊技球が入球し易い第1状態と、該第1状態よりも遊技球が入球し難い第2状態とに可変する可変入球装置と、
前記始動入球手段への入球を契機として、前記可変入球装置を前記第1状態と前記第2状態に繰り返し作動させることで遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生させることが可能な抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選の結果を遊技者に視覚を通じて認識させる識別情報の変動表示を制御する手段と、
前記変動表示の結果が前記特定遊技状態を発生させる特定結果となった場合に前記特定遊技状態を発生させる手段と、
を備え、
B 前記可変入球装置は、前記特定遊技状態において前記第2状態の時に遊技球を該可変入球装置上に設けられた所定の領域を次に前記第1状態となるまで転動させることにより、前記第1状態の時に前記遊技領域のうち前記所定の領域を含む特定の領域を流下する遊技球を概ね全て入球させることが可能なように構成されており、
C’ 前記可変入球装置の下流には、前記第2状態の時に前記所定の領域を転動した遊技球が通過可能な常に開口された開口部を備えた遊技球が通過可能な手段を備える
D 遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点(構成C)
本願発明では、「前記可変入球装置の下流には、前記第2状態の時に前記所定の領域を転動した遊技球が入球可能な常に開口された開口部を備え、該開口部への入球によって少なくとも遊技者に所定数の賞球が払出される入球手段を備える」のに対して、
先願発明では、「ゲート33」は、遊技球が通過するものであって、入球するものではなく、また、通過により遊技者に所定数の賞球が払い出されない点。

第6 判断
・相違点について
上記相違点に係る本願発明の構成は、引用文献等1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されておらず、また、その点が課題解決のための具体化手段における微差ということもできないから、上記相違点は実質的な相違点である。
したがって、本願発明は、先願発明と同一ではない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、先願発明と同一ではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-06-07 
出願番号 P2020-015881
審決分類 P 1 8・ 161- WY (A63F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 蔵野 いづみ
澤田 真治
発明の名称 遊技機  
代理人 杉谷 勉  
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