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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1386077
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-08 
確定日 2022-07-05 
事件の表示 特願2019−548312「心房性不整脈を検出するためのシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月13日国際公開、WO2018/165289、令和 2年 4月16日国内公表、特表2020−511216、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」と記す。)は、2018年(平成30年)3月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年3月7日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和2年10月27日付けで拒絶理由が通知され、これに対し令和3年2月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月28日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年10月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、令和4年3月25日付けで拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年5月13日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和3年5月28日付け)の概要は次のとおりである。

理由1:(新規性)本願請求項1,2,4及び15に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2:(進歩性)本願請求項1ないし15に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2015/0342466号明細書

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由通知(令和4年3月25日付け)の概要は次のとおりである。

理由1:(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の請求項1ないし15の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願の請求項1ないし15に係る発明(以下「本願発明1ないし15」という。)は、令和4年5月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されたとおりのものである。
「 【請求項1】
心房頻脈性不整脈検出器回路を備える心房頻脈性不整脈を検出するためのシステムであって、
前記心房頻脈性不整脈検出器回路は、
第1の複数の心拍数分析窓内で判定される複数の代表的な心室心拍数を使用して第1の心室心拍数統計値を生成し、
予め定められた特定の持続時間中に1つまたは複数の種類からなる複数個の第2の心室心拍数統計値を生成し、前記複数個の第2の心室心拍数統計値は、それぞれ、第2の複数の心拍数分析窓内で判定される複数の代表的な心室心拍数から生成され、
(1)第1の条件を満足する前記第1の心室心拍数統計値、および、(2)前記予め定められた特定の持続時間にわたって第2の条件を満足する前記複数個の第2の心室心拍数統計値に応答して、前記予め定められた特定の持続時間にわたって持続する持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントを検出する
ように構成されている、心房頻脈性不整脈を検出するためのシステム。
【請求項2】
前記持続性AFLイベントの前記検出に応答して心臓の治療または神経の治療を生成及び施すように構成されている治療回路を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記予め定められた特定の持続時間は2時間〜8時間の間でプログラミング可能である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の代表的な心室心拍数のそれぞれは、各心拍数分析窓内の心室心拍数測定値のうち最も頻繁な心拍数を示す中心傾向を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の心室心拍数統計値は、心拍数しきい値を超える、前記第1の複数の心拍数分析窓内の前記代表的な心室心拍数の第1の相対数を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記心房頻脈性不整脈検出器回路は、10個の連続的な心拍数分析窓から判定される10個の代表的な心室心拍数のうち少なくとも8個が前記心拍数しきい値を超えることを示す前記第1の条件を満足する前記第1の心室心拍数統計値に応答して前記複数個の第2の心室心拍数統計値を生成するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数個の第2の心室心拍数統計値は、心拍数しきい値を超える、前記第2の複数の心拍数分析窓内の前記代表的な心室心拍数の第2の相対数を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記心房頻脈性不整脈検出器回路は、前記予め定められた特定の持続時間にわたって任意の10個の連続的な心拍数分析窓から判定される10個の代表的な心室心拍数のうち少なくとも6個が前記心拍数しきい値を超えることを示す前記第2の条件を満足する前記複数個の第2の心室心拍数統計値に応答して前記持続性AFLイベントを検出するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記心拍数しきい値は、100拍/分〜150拍/分の間でプログラミング可能である、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記予め定められた特定の持続時間は、4時間〜8時間の間でプログラミング可能である、請求項7〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つまたは複数の種類からなる第2の心室心拍数統計値のうちの少なくとも1つの種類は、前記第2の複数の心拍数分析窓から計算される前記代表的な心室心拍数の心拍数安定性をさらに含み、
前記心房頻脈性不整脈検出器回路は、安定性しきい値を超える前記心拍数安定性にさらに応答して前記持続性AFLイベントを検出するように構成されている、請求項7〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記心房頻脈性不整脈検出器回路は、前記第2の複数の心拍数分析窓から計算される前記代表的な心室心拍数のヒストグラムを使用して前記心拍数安定性を生成するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記持続性AFLイベントの前記検出に応答して前記予め定められた特定の持続時間を短縮させるように構成されているパラメータ調整回路をさらに備える、請求項1〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記心房頻脈性不整脈検出器回路は、
AFL持続時間にわたってAFL心拍数しきい値を含むAFL検出条件を満足する前記複数個の第2の心室心拍数統計値に応答して前記持続性AFLイベントを検出するとともに、
速いAFL持続時間にわたって速いAFL心拍数しきい値を含む速いAFL検出条件を満足する前記複数個の第2の心室心拍数統計値に応答して速い持続性AFLイベントを検出する、
ように構成されており、
前記速いAFL心拍数しきい値は前記AFL心拍数しきい値よりも高く、前記速いAFL持続時間は前記AFL持続時間よりも短い、請求項1〜13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記心房頻脈性不整脈検出器回路の少なくとも一部を含む携帯用デバイスをさらに備える、請求項1〜14のいずれか1項に記載のシステム。」

第5 当審拒絶理由通知の理由1について
1.当審拒絶理由通知の理由1は、補正前の請求項1ないし15の発明特定事項のうち、
(1)「特定の持続時間」とはどのような時間を指すのか不明である。
(2)「1つまたは複数の第2の心室心拍数統計値」において、「1つ又は複数の」とは「第2の心室心拍数統計値」の個数を指すのか、種類を指すのか不明である。
というものである。

2.これに対し、請求人は、令和4年5月13日提出の手続補正書により、補正前の請求項1ないし15の発明特定事項である、
「特定の持続時間」を、「予め定められた特定の持続時間」に補正し、
「1つまたは複数の第2の心室心拍数統計値」を、「1つまたは複数の種類からなる複数個の第2の心室心拍数統計値」に補正した。

3.上記補正は、本願の明細書の段落【0053】、【0054】ないし【0058】の記載に基づくものであり、特定の持続時間が、タイマ/カウンタ回路234で設定するAT持続時間DATである予め定められた特定の持続時間であること、及び第2の心室心拍数統計値が、心拍数閾値HRT2(150bpm)を超える、第2の複数の心拍数分析窓内のrHRの第2の相対数(割合)や、rHRの心拍数安定性などの複数の種類からなる複数個の値であること、が明確になった。

4.したがって、本願発明1ないし15に対する当審拒絶理由通知の理由1は解消された。

第6 引用文献、引用発明等
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(米国特許出願公開第2015/0342466号明細書)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与した。また、当審訳を引用箇所の後に記す。)
1.「[0002] This document relates generally to medical devices, and more particularly, to systems, devices and methods for detecting atrial tachyarrhythmia using hemodynamic sensors.」
(当審訳:[0002] この文献は、医療デバイスに関し、より具体的には、血行動態センサを使用して、心房頻脈性不整脈を検出するためのシステム、装置、及び方法に関するものである。)

2.「[0025] Disclosed herein are systems, devices, and methods fordetecting atrial tachyarrhythmias such as atrial fibrillation (AF). By monitoring a patient's hemodynamic status using a hemodynamic sensor such as a heart sound sensor, the system and methods discussed in the present document can be used to timely and reliably detect onset and termination of an AF episode, thereby allowing immediate medical attention to the patient. The systems and methods discussed in this document can also be used for detecting other types of atrial tachyarrhythmias such atrial tachycardia, atrial flutter, or supraventricular tachycardia.
[0026] FIG. 1 illustrates an example of a Cardiac Rhythm Management (CRM) system 100 and portions of an environment in which the CRM system 100 can operate. The CRM system 100 can include an ambulatory medical device, such as an implantable medical device (IMD) 110 that can be electrically coupled to a heart 105 such as through one or more leads 108A-C, and an external system 120 that can communicate with the IMD 110 such as via a communication link 103. The IMD 110 may include an implantable cardiac device such as a pacemaker, an implantable cardioverter-defibrillator (ICD), or a cardiac resynchronization therapy defibrillator (CRT-D). The IMD 110 can include one or more monitoring or therapeutic devices such as a subcutaneously implanted device, a wearable external device, a neural stimulator, a drug delivery device, a biological therapy device, a diagnostic device, or one or more other ambulatory medical devices. The IMD 110 may be coupled to, or may be substituted by a monitoring medical device such as a bedside or other external monitor.」
(当審訳:[0025] 本明細書では、心房細動(AF)などの心房性頻拍性不整脈を検出するためのシステム、装置、及び方法が開示される。心音センサなどの血行動態センサを使用して患者の血行力学的状態を監視することによって、本明細書に述べたシステム及び方法は、AF発症の開始及び終了を検出することを適時かつ確実に使用することができ、それによって、患者に迅速な治療を可能にする。この文書で説明するシステムと方法はまた、心房頻脈、心房粗動、上室性頻拍症のような他の種類の心房性頻脈性不整脈の検出のために使用することができる。
[0026] 図1は、心調律管理(CRM)システム100、およびCRMシステム100が動作する環境の所定部分の実施例を示す図である。CRMシステム100は、携帯型医療用デバイスは、1つ又は複数のリード線108aを介して、心臓105に電気的に結合することができる埋め込み可能医療デバイス(IMD)110と、植込み型医療機器110と通信することができる通信リンク103を介して外部システム120を含むことができる。植込医療装置110は、ペースメーカ、埋め込み可能カーディオバータ-ディフィブリレータ(ICD)、又は心臓再同期治療除細動器(CRT-D)のような埋め込み可能な心臓デバイスを含むことができる。植込医療装置110は、皮下に移植された装置は、着用可能な体外装置、神経刺激装置、薬物送達装置、生物治療装置、診断装置、あるいは1つ又は複数の他の携帯医療装置のような一つ以上の監視又は治療装置を含むことができる。植込医療装置110は、連結され得るか、又はベッドサイド又は外部モニタなどの監視医療装置によって置き換えられてもよい。)

3.「[0041] The heart rate sensor circuit 210 can include a heart rate (HR) feature extraction circuit 212 configured to generate one or more heart rate features such as by using the detected electrophysiological events or the detected mechano-physiologic events. In an example, the HR feature can include a cardiac cycle length (CL) or a HR derived from the cardiac cycle (e.g., HR=60/CL). The CL can be measured using the detected electrophysiological events such as an interval between two adjacent R waves (R-R interval) or P waves (P-P interval), an interval between adjacent impedance peaks or adjacent impedance troughs from the cardiac impedance signal, or an interval between two adjacent blood pressure peaks (i.e., systolic pressure) or adjacent blood pressure troughs (i.e., diastolic pressure) from the blood pressure signal.
[0042] The heart rate sensor circuit 210 can take a plurality of measurements of HR or CL at different time instances, and the heart rate feature extraction circuit 212 can generate the HR features as a statistical index derived from the plurality of measurements of HR or CL. In an example, the heart rate feature can include signal mean, median, or other central tendency measures of a plurality of the heart rate or CL measured over a specified period of time. In another example, the heart rate feature can include a variability of heart rate or variability of cardiac cycle length, or higher order statistics computed from the plurality of the heart rate CL measurements.」
(当審訳:[0041] 心拍数センサ210は、検出された生理学的事象、又は検出された機械的生理的事象を使用することなどによって、1つ又は複数の心拍数特徴を生成するように構成された心拍数(HR)特徴抽出回路212を含むことができる。この例では、HRは、心周期長(CL)または心周期(例えば、60/Cl)から誘導されるHRを含むことができる。CLは、血圧信号から2個の隣接するR波の間隔(R-R間隔)の間隔、即ち、P波(P-P間隔)のような検出された生理学的事象は、心臓インピーダンス信号からインピーダンスのピークまたは隣接するインピーダンスの谷と谷との間隔、又は隣接する2本の血液圧力ピーク(収縮期圧)との間の間隔を使用して、又は隣接する圧力トラフ(拡張期圧)を測定することができる。
[0042] 心拍数センサ回路210は、異なる時間インスタンスで、HRまたはCLの複数の測定を行うことができ、心拍数特徴抽出回路212は、HRまたはCLの複数の測定値から誘導される統計的指標として、HR特徴を生成することができる。1つの例では、心拍数は、指定された時間の期間にわたる、測定心拍数またはCLの複数の信号の平均値、中央値、又は他の中心傾向尺度を含むことができる。別の例において、心拍数は、心臓の周期長の心拍数又は変動の変動性、心拍数CLの測定から計算された高次統計量を含むことができる。)

4.「[0046] The atrial fibrillation (AF) detector circuit 230 can be communicatively coupled to the heart rate sensor circuit 210 and the hemodynamic sensor circuit 220, and use at least the HR features provided by the heart rate sensor circuit 210 and the hemodynamic features provided by the hemodynamic sensor circuit 220 to detect an AF episode. The AF detector circuit 230 can include a detection criterion determination circuit 231, an AF onset event 232, and an AF termination event detector 233. The detection criterion determination circuit 231 can be configured to determine or receive detection criteria used for detecting onset and termination of an AF episode. The detection criterion determination circuit 231 can determine or receive a first detection criterion and a different second detection criterion, wherein the first detection criterion is more sensitive to the AF episode than the second detection criterion, and the second detection criterion is more specific to the AF episode than the first detection criterion. The first detection criterion can include a heart rate criterion, and the second detection criterion can include a hemodynamic status criterion. The AF onset event detector 232 can detect the AF onset event when the heart rate output meets the heart rate criterion, and the AF termination event detector 233 can detect the AF termination event when the hemodynamic status output meets the hemodynamic status criterion.
[0047] In an example, the detection criterion determination circuit 231 can determine or receive a first heart rate criterion, a different second heart rate criterion, a first hemodynamic status criterion, and a different second hemodynamic status criterion. The first heart rate criterion and the first hemodynamic status criterion can be used by the AF onset event detector 232 to detect an AF onset event. The second heart rate criterion and the second hemodynamic status criterion can be used by the AF termination event detector 233 to detect an AF termination event. The detection criterion determination circuit 231 can also receive instructions from an end-user to modify or confirm the automatically determined detection criteria.」
(当審訳:[0046] 心房細動(AF)検出回路230は、心拍センサ210と、血行力学的センサ回路220に通信可能に結合することができ、心臓センサ回路210によって提供される少なくともHR特徴および血行力学的センサ回路220によって提供される血行力学的特徴を使用して、AF事例を検出する。AF検出回路230は、検出条件判定回路231、AF開始事象検出器232、およびAF終了事象検出器233を含むことができる。検出条件判定回路231は、AF発症の開始および終了を検出するための検出基準を決定または受け取るように構成することができる。検出条件判定回路231は、第1の検出基準とは異なる第2の検出基準は、第1の検出基準である第2の検出基準よりも、AF発症に対してより感受性を決定するか、又は受け取ることができ、第2の検出基準である第1の検出基準よりも、AF発症に対してより特異的である。第1の検出基準は、心拍数の基準を含むことができ、第2の検出基準を、血行動態の基準を含むことができる。AF開始事象検出器232は、心拍数、心拍数の基準を満たす場合、AF開始事象を検出することができ、AF終了事象検出器233は、血行動態の状態出力が、血行動態の状態の基準を満たす場合、AF終了事象を検出することができる。
[0047] ある例では、検出条件判定回路231は、第1心拍数判定基準と異なる第2心拍数判定基準、第1血行動態基準と異なる第2血行動態基準を決定又は受信することができる。第1心拍数判定基準及び第1血行動態基準は、AF開始事象検出器232によりAF開始事象を検出するために用いられることができる。第2心拍数判定基準及び第2血行動態基準は、AF終了事象検出器233によってAF終了事象を検出するために用いられることができる。検出条件判定回路231は又、エンドユーザからの命令を受信するように自動的に決定した検出基準を変更するか、又は確認することができる。)

5.「[0050] The detection criterion determination circuit 231 can determine the first and second heart rate threshold values (HRTH1 and HRTH2) or the first and second HRV threshold values (HRVTH1 and HRVTH2) based on empirical knowledge such as population-based statistics of the heart rate or statistics of the variability of heart rate from a group of patients experiencing AF episodes. Alternatively or additionally, the HR threshold values or HRV threshold values can be determined based on patient-specific statistics of the heart rate or statistics of the variability of heart rate calculated using the patient's historical AF episodes. Such statistics can be stored in a memory circuit and is retrievable or otherwise made available to the detection criterion determination circuit 231. In an example, if the population-based statistics or the patient-specific statistics indicate that the heart rate during AF is X bpm or the variability of heart rate during AF is Y bpm, the detection criterion determination circuit 231 can automatically determine the HRTH1 to be lower than X (e.g., HRTH1=X?a where a>0) and the HRTH2 to be at or close to X, such that HRTH1<HRTH2. Similarly, the detection criterion determination circuit 231 can automatically determine the HRVTH1 to be lower than Y (e.g., HRVTH1=Y?b where b>0) and the HRVTH2 to be at or close to Y, such that HRVTH1<HRVTH2. As an example, HRTH1 is approximately in the range of 120-150 beats per minute (bpm), HRTH2 is approximately in the range of 150-170 bpm, HRVTH1 is approximately in the range of 20-50 bpm, and HRVTH2 is approximately in the range of 50-90 bpm.
[0051] The difference between the first and second heart rate criteria can also be achieved by choosing different HR features such as provided by the HR feature extraction circuit 212. A HR feature that is more sensitive to presence of an AF episode can be used for AF onset detection, and a HR feature that is more specific to the presence of the AF episode can be used for AF termination detection. For example, a short-term average of HR measurements can be a HR feature sensitive to the presence of AF episode, and a combination of a long-term average of HR measurements and the variability of the HR measurements can be HR features specific to the presence of AF episode. Therefore, the detection criterion determination circuit 231 can determine the first heart rate criterion to be a short-term average of HR exceeding HRTH1, while determine the second heart rate criterion to be both a long-term average of HR falling below HRTH2 and the variability of the HR falling below HRVTH2.」
(当審訳:[0050] 検出条件判定回路231は、第1及び第2の心拍数閾値(HRTH1およびHRTH2)又は心拍数の集団に基づく統計値又はAFエピソードを経験している患者の群からの心拍数の変動性の統計値のような経験的知識に基づいて、第1および第2のHRV閾値(HRVTH1およびHRVTH2)を決定することができる。代替的又は追加的に、HRしきい値またはHRV閾値値は、心拍数又は患者の過去のAF事例を使用して計算された心拍数の変動性の統計値の患者に固有の統計値に基づいて決定することができる。そのような統計は、記憶回路に記憶させることができ、回収可能である、又は検出条件判定回路231に供給される。この例では、集団に基づく統計または患者特異的統計は、AF中の心拍数はX bpmまたはAF中の心拍数の変動性は、Y[bpm]であることを示す場合、検出条件判定回路231は、HRTH1は、HRTH1<HRTH2のような、X(例えば、HRTH1=X-a ここでa>0)下に、HRTH2はXの近くに自動的に決めることができる。同様に、検出判定基準決定回路231は、HRVTH1<HRVTH2のような、HRVTH1はY(例えば、HRVTH1=Y-b ここでb>0)下に、HRVTH2は、Yの近くに、自動的に決めることができる。一例として、HRTH1は120-150拍毎分(bpm)の範囲程度で、HRTH2は150-170bpmの範囲程度で、HRVTH1は20-50bpmの範囲程度であり、HRVTH2は50-90bpmの範囲に位置している。
[0051] 第1および第2の心拍数の基準との間の差は、HR特徴抽出回路212によって提供されるような異なるHR特徴を選択することによっても達成することができる。AF事例の存在に対してより敏感であるHR特徴は、AF開始を検出するために使用することができるが、AF事例の存在により特異的なHR特徴がAF終了検出に使用することができる。例えば、HRの測定値の短期平均は、AF事例の存在に敏感なHR特性であってもよいし、HRの測定の長期的な平均とHRの測定値の変動との組み合わせは、AF事例の存在に対して特異的なHRの特徴であることができる。したがって、検出条件判定回路231により、HRの短期間の平均がHRTH1を超える第1の心拍の基準を決定することができ、第2の心拍の基準は、HRの長期平均がHRTH2を下回ることとHRの偏差がHRVTH2を下回ることとの両方と決定することができる。)

6.「[0053] The AF onset event detector 232 and the AF termination detector 233 can both be coupled to the detection criterion determination circuit 231. The AF onset event detector 232 detect an AF onset event when the heart rate feature received from the HR feature extraction circuit 212 meets the first heart rate criterion and the hemodynamic status output received from the hemodynamic feature extraction circuit 222 meets the first hemodynamic status criterion. The AF termination event detector 233 detect an AF termination event when a heart rate feature received during a detected AF episode meets the second heart rate criterion and a hemodynamic status feature received during the detected AF episode meets the second hemodynamic status criterion. Examples of AF onset detector 232 and AF termination detector 233 are described below, such as with reference to FIGS. 4A and 4B.」
(当審訳:[0053] AF開始事象検出器232及びAF終了事象検出器233は共に、検出判定基準決定回路231に結合することができる。AF開始事象検出器232は、特徴抽出回路212から受信した心拍数特徴が第1心拍数判定基準を充足し、血行力学的特徴抽出回路222から受信された血行力学的状態の出力が、第1血行動態基準を満たす場合、AF開始事象を検出する。AF終了事象検出器233は、検出されたAF事例の間に受信された心拍数特徴が第2心拍数判定基準を満たし、AF事例の間に受信された血行力学的状態の特徴が第2血行動態基準を満たす場合、AF終了事象を検出する。AF開始事象検出器232とAF終了事象検出器233の例は、以下に説明する、図4Aおよび図4Bを参照している。)

7.「FIG.1



8.上記引用文献1の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「血行動態センサを使用して、心房細動(AF)などの心房頻脈性不整脈を検出するためのシステムにおいて、
心拍数センサ回路210は、異なる時間インスタンスで、心拍数(HR)又は心周期長(CL)の複数の測定を行うことができ、心拍数特徴抽出回路212は、HR又はCLの複数の測定値から誘導される統計的指標として、HR特徴を生成することができ、
心房細動(AF)検出回路230は、心拍数センサ回路210と、血行動態センサ回路220に通信可能に結合することができ、心拍数センサ回路210によって提供される少なくともHR特徴及び血行動態センサ回路220によって提供される血行動態特徴を使用して、AF事例を検出し、
AF検出回路230は、検出条件判定回路231、AF開始事象検出器232、及びAF終了事象検出器233を含むことができ、
検出条件判定回路231は、第1心拍数判定基準と異なる第2心拍数判定基準、第1血行動態基準と異なる第2血行動態基準を決定又は受信することができ、第1心拍数判定基準及び第1血行動態基準は、AF開始事象検出器232によりAF開始事象を検出するために用いられ、第2心拍数判定基準及び第2血行動態基準は、AF終了事象検出器233によってAF終了事象を検出するために用いられ、
検出条件判定回路231は、第1及び第2の心拍数閾値(HRTH1およびHRTH2)又は心拍数の集団に基づく統計値またはAF事例を経験している患者の群からの心拍数の変動性の統計値のような経験的知識に基づいて、第1及び第2のHRV閾値(HRVTH1およびHRVTH2)を決定することができ、
また検出条件判定回路231は、HRの短期間の平均がHRTH1を超える第1心拍数判定基準を決定することができ、第2心拍数判定基準は、HRの長期平均がHRTH2を下回ることとHRの偏差がHRVTH2を下回ることとの両方と決定することができ、
AF開始事象検出器232は、特徴抽出回路212から受信した心拍数特徴が第1心拍数判定基準を充足し、血行力学的特徴抽出回路222から受信された血行動態状態の出力が、第1血行動態基準を満たす場合、AF開始事象を検出し、
AF終了事象検出器233は、検出されたAF事例の間に受信された心拍数特徴が第2心拍数判定基準を満たし、AF事例の間に受信された血行動態状態の特徴が第2血行動態基準を満たす場合、AF終了事象を検出し、
それによりAF発症の開始および終了を検出することができる、
システム。」

第7 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1を、引用発明1と比較する。
ア 引用発明1における「検出条件判定回路231、AF開始事象検出器232、およびAF終了事象検出器233を含む」「心房細動(AF)検出回路230」は、本願発明1における「心房頻脈性不整脈検出器回路」に相当する。
イ 引用発明1における「心房細動(AF)などの心房頻脈性不整脈を検出するためのシステム」は、「心房細動(AF)検出回路230」を有しているシステムであるから、本願発明1における「心房頻脈性不整脈検出器回路を備える心房頻脈性不整脈を検出するためのシステム」に相当する。
ウ 引用発明1における「HRまたはCLの複数の測定値から誘導される統計的指標として」「生成」される「HR特徴」は、本願発明1における「複数の代表的な心室心拍数を使用して」「生成」される「心室心拍数統計値」に相当する。
エ 引用発明1は、「心拍数センサ回路210」により「異なる時間インスタンスで、心拍数(HR)または心周期長(CL)の複数の測定を行うことができ」、「心拍数特徴抽出回路212」で「HRまたはCLの複数の測定値から誘導される統計的指標として、HR特徴を生成することができ」ることから、本願発明1とは、「第1の複数の心拍数分析窓内で判定される複数の代表的な心室心拍数を使用して第1の心室心拍数統計値を生成し、」「第2の複数の心拍数分析窓内で判定される複数の代表的な心室心拍数から」「1つまたは複数の種類からなる」「前記複数個の第2の心室心拍数統計値」を「生成」する点で共通する。
オ 引用発明1の「AF事象」は、心房細動(AF)事象であるから、本願発明1の「持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベント」に相当する。
カ 引用発明1は、「AF開始事象検出器232」で「特徴抽出回路212から受信した心拍数特徴が第1心拍数判定基準を充足し、血行動態特徴抽出回路222から受信された血行動態状態の出力が、第1血行動態基準を満たす場合、AF開始事象を検出し」、「AF終了事象検出器233」で「検出されたAF事例の間に受信された心拍数特徴が第2心拍数判定基準を満たし、AF事例の間に受信された血行動態状態の特徴が第2血行動態基準を満たす場合、AF終了事象を検出し」て「それによりAF発症の開始および終了を検出する」ことから、本願発明1とは、「(1)第1の条件を満足する前記第1の心室心拍数統計値、および、」「第2の条件を満足する前記複数個の第2の心室心拍数統計値に応答して、」「持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントを検出する」点で共通する。

すると、本願発明1と、引用発明1とは、次の点で一致する。
<一致点>
「心房頻脈性不整脈検出器回路を備える心房頻脈性不整脈を検出するためのシステムであって、
前記心房頻脈性不整脈検出器回路は、
第1の複数の心拍数分析窓内で判定される複数の代表的な心室心拍数を使用して第1の心室心拍数統計値を生成し、
1つまたは複数の種類からなる複数個の第2の心室心拍数統計値を生成し、前記複数個の第2の心室心拍数統計値は、それぞれ、第2の複数の心拍数分析窓内で判定される複数の代表的な心室心拍数から生成され、
(1)第1の条件を満足する前記第1の心室心拍数統計値、および、(2)第2の条件を満足する前記複数個の第2の心室心拍数統計値に応答して、持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントを検出する
ように構成されている、心房頻脈性不整脈を検出するためのシステム。」

一方で、両者は、次の点で相違する。
<相違点>
持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントを検出する手法が、本願発明1は、「予め定められた特定の持続時間中にわたって」生成される複数個の第2の心室心拍数統計値が第2の条件を満足するかに応答して「予め定められた特定の持続時間にわたって持続する」持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントを検出するのに対し、引用発明1は「検出されたAF事例の間に受信された心拍数特徴が第2心拍数判定基準を満たし」ているかで「AF発症の」「終了を検出する」点。

(2)相違点についての判断
ア 本願発明1は「予め定められた特定の持続時間にわたって持続する」持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントを検出するものであり、特定の持続時間は予め定められた時間である。したがって、本願発明1では、予め定められた時間の間絶え間なく第2の心室心拍数統計値が第2の条件を満足する場合に、予め定められた特定の持続時間にわたって持続する持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントが検出されるのであり、予め定められた時間の間に第2の心室心拍数統計値が第2の条件を満足しないことが起きた場合は、予め定められた特定の持続時間にわたって持続する持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントは検出されないこととなる。
イ 一方、引用発明1は、AF発症の開始および終了を検出するものであり、AF発症の終了を第2の心室心拍数統計値が第2の条件を満足することにより検出することから、さまざまな時間の長さで発症するAFが検知できるものの、「予め定められた特定の持続時間にわたって持続する」持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントを区別して検出することはできない。
ウ そして、相違点に係る本願発明1の「予め定められた特定の持続時間中にわたって生成される」「第2の条件を満足する」「複数個の第2の心室心拍数統計値に応答して」「予め定められた特定の持続時間にわたって持続する持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントを検出する」という技術的事項は、上記引用文献1には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
エ したがって、本願発明1は、引用発明1ではなく、当業者であっても引用発明1に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2ないし15について
本願発明1を引用する本願発明2ないし15も、本願発明1の上記相違点に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1ではなく、当業者であっても、引用発明1に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。

第8 原査定についての判断
令和4年5月13日付けの手続補正により、補正後の請求項1ないし15は、
「予め定められた特定の持続時間中にわたって生成される」「第2の条件を満足する」「複数個の第2の心室心拍数統計値に応答して」「予め定められた特定の持続時間にわたって持続する持続性心房粗動(AFL)イベントを含む心房頻脈性不整脈(AT)イベントを検出する」
という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献1には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし15は、原査定における引用文献1に記載された発明ではなく、当業者であっても、原査定における引用文献1に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-06-20 
出願番号 P2019-548312
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A61B)
P 1 8・ 121- WY (A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 伊藤 幸仙
樋口 宗彦
発明の名称 心房性不整脈を検出するためのシステム  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  
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