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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65D
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B65D
管理番号 1386102
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-01-22 
確定日 2022-04-08 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6769212号発明「含水内容物用包装材料およびその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6769212号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1〜4]について訂正することを認める。 特許第6769212号の請求項1、3、4に係る特許を維持する。 特許第6769212号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6769212号の請求項1〜4に係る特許についての出願は、平成28年9月27日にされた出願であって、令和2年9月28日にその特許権の設定登録がされ、令和2年10月14日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、令和3年1月22日に特許異議申立人小西美奈子(以下「申立人」という。)により本件特許異議の申立てがされた。当審は、令和3年6月25日付けで審尋を通知したところ、令和3年7月15日に特許権者より回答書が提出された。当審は、令和3年10月27日付けで取消理由を通知したところ、令和3年12月27日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求がされた。なお、この訂正の請求について、申立人に期間を指定して意見を求めたが、当該指定期間内に申立人から何らの応答がなされなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、次のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における「前記親水性界面活性剤を含んでなる層が、前記親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体の界面活性剤および40℃以下で液体の界面活性剤を含んでなる」との記載を、「前記親水性界面活性剤を含んでなる層が、前記親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体のノニオン性界面活性剤および40℃以下で液体のノニオン性界面活性剤を含んでなる」と訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3における「請求項1または2」との記載を「請求項1」と訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4における「請求項1〜3のいずれか一項」との記載を「請求項1または3」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
ア.訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「0〜85℃で固体の界面活性剤」および「40℃以下で液体の界面活性剤」について、それぞれ「ノニオン性」であることを限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正前の請求項2には、「前記親水性界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤である」と記載されているから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。

ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「0〜85℃で固体の界面活性剤」および「40℃以下で液体の界面活性剤」との発明特定事項を、上位概念から下位概念にするものであり、発明の対象やカテゴリーを変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(2)訂正事項2
ア.訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新たな技術的事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。

(3)訂正事項3
ア.訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項3において引用している請求項を、「請求項1または2」から「請求項1」へと削減するものであるから、訂正事項3は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新たな技術的事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。

(4)訂正事項4
ア.訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項4において引用している請求項を、「請求項1〜3のいずれか一項」から「請求項1または3」へと削減するものであるから、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、新たな技術的事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。

3.一群の請求項について
本件訂正前の請求項1〜4は、請求項2〜4が請求項1を直接又は間接的に引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、本件特許請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。

4.まとめ
上記のとおり、訂正事項1〜4に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜4について訂正することを認める。

第3 本件発明
請求項1、3、4に係る発明(以下「本件発明1」、「本件発明3」、「本件発明4」という。)は、それぞれ、訂正特許請求の範囲の請求項1、3、4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
基材と、
ヒートシール性樹脂フィルムと、を備えてなる積層体からなる包装材料であって、
前記ヒートシール性樹脂フィルムが、親水性界面活性剤を0.1質量%以上、3質量%以下含んでなり、
前記ヒートシール性樹脂フィルムが、前記包装材料の内面に位置し、前記親水性界面活性剤が、前記ヒートシール性樹脂フィルムの前記包装材料の内面側にブリードアウトしており、
前記親水性界面活性剤を含んでなる層が、前記親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体のノニオン性界面活性剤および40℃以下で液体のノニオン性界面活性剤を含んでなることを特徴とする、含水内容物用包装材料。」
「【請求項3】
前記ヒートシール性樹脂フィルム表面に対する水の接触角が、85°以下である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項4】
請求項1または3に記載の包装材料の製造方法であって、
基材を準備する工程と、
ヒートシール性樹脂フィルムを準備する工程と、
前記基材と、前記ヒートシール性樹脂フィルムとをラミネートし、積層体を得る工程と、
前記積層体をヒートシール成形する工程と、
を含んでなることを特徴とする、方法。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
訂正前の請求項1〜4に係る特許に対して、当審が特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)本件特許の請求項1に係る発明は、甲第6号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2)本件特許の請求項1〜4に係る発明は、甲第6号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

[引用文献]
甲第6号証:特開2006−281725号公報(以下「甲6」という。)
甲第5号証:特開2001−48229号公報(以下「甲5」という。)
甲第2号証:特開2015−120322号公報(以下「甲2」という。)

2.当審の判断
(1)本件発明1について
ア.甲6
(ア)甲6には、以下の記載がある。なお、下線は当審が付与した。
「【請求項1】
ポリオレフィン系多層フィルムと基材フィルムとをポリウレタン系接着剤層を介して貼り合わせた積層フィルムであって、ポリオレフィン系多層フィルムが共押し出し法により成形されたものであり且つポリウレタン系接着剤層と隣接していないフィルム層の一つ又は二つ以上として下記のポリオレフィン系樹脂組成物から形成されたフィルム層を有するものであることを特徴とする積層フィルム。
ポリオレフィン系樹脂組成物:ポリオレフィン系樹脂に下記の非イオン界面活性剤と有機スルホン酸塩とを合計で0.05〜3質量%となるよう含有させたもの
非イオン界面活性剤:3〜6価の脂肪族多価アルコールと炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸との部分エステル化合物、脂肪族炭化水素基の炭素数が8〜22であって且つ置換基が2−ヒドロキシエチル基であるN,N−二置換脂肪族第3アミン及びアシル基の炭素数が8〜22であって且つ置換基が2−ヒドロキシエチル基であるN,N−二置換脂肪族第3アミドから選ばれる一つ又は二つ以上
有機スルホン酸塩:アルキル基の炭素数6〜22のアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキル基の炭素数2〜22のアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル基の炭素数2〜22の1,2−ビス(アルキルオキシカルボニル)−1−エタンスルホン酸アルカリ金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上
【請求項2】
ポリオレフィン系多層フィルムが、ポリウレタン系接着剤層と隣接していない最外層のフィルム層としてのみポリオレフィン系樹脂組成物から形成されたフィルム層を有するものである請求項1記載の積層フィルム。」
「【0001】
本発明は積層フィルムに関する。プラスチックフィルムは、食品包装を始め、様々なものの包装材料として広く使用されている。かかるプラスチックフィルムは、その用途に応じて複数の機能を同時に要求されるため、二つ以上の材質の異なるフィルムを貼り合わせた積層フィルムが主流となりつつある。本発明は、かかる積層フィルムのうちで、ポリオレフィン系多層フィルムと基材フィルムとをポリウレタン系接着剤層を介して貼り合わせた積層フィルムの改良に関する。」
「【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ポリオレフィン系多層フィルムと基材フィルムとをポリウレタン系接着剤層を介して貼り合わせた積層フィルムであって、優れた制電性及び防曇性、更には層間接着性を有する積層フィルムを提供する処にある。」
「【0024】
ポリオレフィン系樹脂組成物は、以上説明したようなポリオレフィン樹脂と非イオン界面活性剤と有機スルホン酸塩とからなるものであって、ポリオレフィン系樹脂に非イオン界面活性剤と有機スルホン酸塩とを合計で0.05〜3質量%となるように含有させたものであるが、合計で0.1〜2質量%となるように含有させたものが好ましく、合計で0.2〜1.5質量%となるように含有させたものがより好ましい。また非イオン界面活性剤と有機スルホン酸塩とは、非イオン界面活性剤/有機スルホン酸塩=40/60〜95/5(質量比)の割合となるように含有させたものが好ましく、60/40〜80/20(質量比)の割合となるように含有させたものがより好ましい。」
「【0035】
図3は本発明の更に他の積層フィルムを例示する部分断面図である。図3に例示した積層フィルムは、ポリオレフィン系多層フィルム13と基材フィルム23とをポリウレタン系接着剤層33を介して貼り合わせたものとなっている。この積層フィルムでは、ポリオレフィン系多層フィルム13は、ポリウレタン系接着剤層33に隣接していない最外層のフィルム層47と、ポリウレタン系接着剤層33に隣接している最内層のフィルム層48との合計2層を有しており、フィルム層47はポリオレフィン系樹脂組成物から形成されていて、フィルム層48はポリオレフィン系樹脂から形成されている。」
「【0040】
A−1:ジグリセリン=モノステアラート
A−2:ジグリセリン=モノラウラート
A−3:ソルビタン=モノステアラート
A−4:グリセリン=モノステアラート/ジグリセリン=モノステアラート=50/50(質量比)の混合物
A−5:ジグリセリン=モノオレアート
A−6:ソルビタン=モノラウラート
A−7:グリセリン=モノステアラート/ジグリセリン=モノラウラート=50/50(質量比)の混合物
A−8:グリセリン=モノベヘナート
A−9:トリグリセリン=モノステアラート
A−10:グリセリン=モノステアラート/トリグリセリン=モノステアラート=50/50(質量比)の混合物
A−11:ジグリセリン=モノオクタナート
A−12:テトラグリセリン=モノラウラート
A−13:グリセリン=モノステアラート/テトラグリセリン=モノラウラート=50/50(質量比)の混合物
A−14:グリセリン=モノステアラート/N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデカンアミン=50/50(質量比)の混合物
A−15:グリセリン=モノステアラート/N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデカンアミド=50/50(質量比)の混合物
A−16:グリセリン=モノステアラート/N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)テトラデカンアミド=50/50(質量比)の混合物
【0041】
B−1:テトラデシルスルホン酸ナトリウム
B−2:ペンタデシルスルホン酸ナトリウム
B−3:ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム
B−4:テトラデシルスルホン酸ナトリウム/ペンタデシルスルホン酸ナトリウム=50/50(質量比)の混合物
B−5:ドデシルスルホン酸ナトリウム
B−6:オクタデシルスルホン酸ナトリウム
B−7:テトラデシルスルホン酸ナトリウム/ペンタデシルスルホン酸ナトリウム/ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム=25/50/25(質量比)の混合物
B−8:デシルスルホン酸リチウム
B−9:ドコシルスルホン酸カリウム
B−10:デシルスルホン酸リチウム/ドデシルスルホン酸リチウム=50/50(質量比)の混合物
B−11:オクチルスルホン酸カリウム
B−12:エイコシルスルホン酸カリウム
B−13:ドデシルスルホン酸カリウム/エイコシルスルホン酸カリウム=50/50(質量比)の混合物
B−14:ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム
B−15:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
B−16:1,2−ビス(オクチルオキシカルボニル)−1−エタンスルホン酸エステルナトリウム」
「【0045】
・防曇性
各例の積層フィルムを、20℃で相対湿度65%の条件下に24時間調湿した後、20℃の水を入れたビーカーにポリオレフィン系多層フィルム側(フィルム層41)がビーカーの内面となるように被せ、5℃の雰囲気に1時間放置後、積層フィルムへの水滴の付着程度を観察し、下記の基準で評価した。経時評価として、40℃で相対湿度50%の条件下に4週間保管したものについても同様の評価を行なった。
評価基準
◎:水滴が無く透明で、防曇性が優れている
○:大きな水滴があるが透明で、防曇性が良好である
△:水滴がありやや不透明で、防曇性が劣っている
×:小さな水滴があり不透明で、防曇性が著しく劣り実用的でない」
「【0054】
試験区分5(積層フィルムの製造)
実施例33
図3に例示した積層フィルムを次のように製造した。基材フィルム23(二軸延伸ポリエステルフィルム、厚さ12μm)にポリウレタン系接着剤(武田薬品工業株式会社製の脂肪族エーテル系接着剤、商品名タケラックA−712/商品名タケネートA−72=1/1(質量比)の混合物を酢酸エチルで固形分濃度20%に調製したもの)を塗工量が固形分で3g/m2となるよう塗布し、乾燥した後、ポリオレフィン系多層フィルム13とニップロールで貼り合せ、40℃で48時間放置し、ポリウレタン系接着剤を硬化させて製造した。ここで用いたポリオレフィン系多層フィルム13は以下のように作製した。エチレン・1−ブテン共重合体(密度0.920g/cm3、MFR2.1g/10分、エチレン共重合比率95%)90部、ジグリセリン=モノステアラート7部及びテトラデシルスルホン酸ナトリウム3部をタンブラーブレンダーに投入して、混合した後、更に二軸押出機により溶融混練して、マスターペレットを得た。このマスターペレット5部と前記のエチレン・1−ブテン共重合体95部をタンブラーブレンダーにて混合し、エチレン・1−ブテン共重合体にジグリセリン=モノステアラート/テトラデシルスルホン酸ナトリウム=70/30(質量比)のものを合計で0.5%となるよう含有させたフィルム層47用のポリオレフィン系樹脂組成物を得た。フィルム層48用のポリオレフィン系樹脂としては、前記のエチレン・1−ブテン共重合体を用いた。これらのポリオレフィン系樹脂組成物及びポリオレフィン系樹脂を用いてTダイ法により成形し、厚さ50μmのポリオレフィン系多層フィルム13(各フィルム層の厚さの比は、フィルム層47/フィルム層48=1/4)を得た。
【0055】
実施例34〜48及び比較例9〜12
実施例33と同様にして、実施例34〜48及び比較例9〜12の積層フィルムを製造した。実施例33も含めこれらの内容を表5にまとめて示した。
【0056】
【表5】


「【図3】



(イ)上記の記載事項について、実施例37〜39に着目すると、甲6には次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。
「基材フィルム23と、ポリオレフィン系多層フィルム層13とをポリウレタン系接着剤33で貼り合わせた積層フィルムであって、
ポリオレフィン系多層フィルム層13が、ポリウレタン系接着剤層33に隣接するポリオレフィン系樹脂からなるフィルム層48と、ポリオレフィン系樹脂組成物からなるフィルム層47の合計2層からなり、
ポリオレフィン系樹脂組成物は、
(実施例37)エチレン・1−ブテン共重合体に対し、
有機スルホン酸塩としてのドデシルスルホン酸ナトリウムと、
非イオン界面活性剤としてのジグリセリン=モノオレアートを、合計で0.1質量%、
(実施例38)エチレン・1−ブテン共重合体に対し、
有機スルホン酸塩としてのオクタデシルスルホン酸ナトリウムと、
非イオン界面活性剤としてのソルビタン=モノラウラートを、合計で1.7質量%、
又は、
(実施例39)エチレン・1−ブテン共重合体に対し、
有機スルホン酸塩としてのテトラデシルスルホン酸ナトリウム/ペンタデシルスルホン酸ナトリウム/ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム=25/50/25(質量比)の混合物と、
非イオン界面活性剤としてのグリセリン=モノステアラート/ジグリセリン=モノラウラート=50/50(質量比)の混合物を、合計で2.0質量%、
となるよう含有させたものであり、
ポリオレフィン系多層フィルム層13が、包装材料の内面となるようにし、食品包装を始めとした包装材料として使用され、防曇性を有する積層フィルム。」

イ.対比、判断
(ア)本件発明1と甲6発明とを対比すると、甲6発明の「基材フィルム23」は、本件発明1の「基材」に相当する。また、甲6発明は「食品包装を始めとした包装材料として使用され」るものであるから、甲6発明の「積層フィルム」は、本件発明1の「積層体からなる包装材料」及び「包装材料」に相当する。
甲6発明の「ポリオレフィン系多層フィルム層13」と、本件発明1の「ヒートシール性樹脂フィルム」とは、「樹脂フィルム」の限りにおいて一致する。
甲6発明において、「ポリオレフィン系多層フィルム層13」が含有する「有機スルホン酸塩」及び「非イオン界面活性剤」は「親水性界面活性剤」であること、「ドデシルスルホン酸ナトリウム」、「オクタデシルスルホン酸ナトリウム」及び「テトラデシルスルホン酸ナトリウム/ペンタデシルスルホン酸ナトリウム/ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム=25/50/25(質量比)の混合物」は「0〜85℃で固体の」「界面活性剤」であること、また、「ジグリセリン=モノオレアート」、「ソルビタン=モノラウラート」及び「グリセリン=モノステアラート/ジグリセリン=モノラウラート=50/50(質量比)の混合物」は「40℃以下で液体のノニオン性界面活性剤」であることから、甲6発明の「(実施例37)」「有機スルホン酸塩としてのドデシルスルホン酸ナトリウムと非イオン界面活性剤としてのジグリセリン=モノオレアートを、合計で0.1質量%」、「(実施例38)」「有機スルホン酸塩としてのオクタデシルスルホン酸ナトリウムと非イオン界面活性剤としてのソルビタン=モノラウラートを、合計で1.7質量%」、
又は、
「(実施例39)」「有機スルホン酸塩としてのテトラデシルスルホン酸ナトリウム/ペンタデシルスルホン酸ナトリウム/ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム=25/50/25(質量比)の混合物と非イオン界面活性剤としてのグリセリン=モノステアラート/ジグリセリン=モノラウラート=50/50(質量比)の混合物を、合計で2.0質量%」、「となるよう含有させた」ことは、本件発明1の「親水性界面活性剤を0.1質量%以上、3質量%以下含んでな」ること、及び「前記親水性界面活性剤を含んでなる層」が、「40℃以下で液体のノニオン性界面活性剤を含んでなる」ことに相当し、また、甲6発明において、「ポリオレフィン系樹脂組成物」に、「有機スルホン酸塩としてのドデシルスルホン酸ナトリウム」、「有機スルホン酸塩としてのオクタデシルスルホン酸ナトリウム」又は「有機スルホン酸塩としてのテトラデシルスルホン酸ナトリウム/ペンタデシルスルホン酸ナトリウム/ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム=25/50/25(質量比)の混合物」を含有させたことと、本件発明1において、「前記親水性界面活性剤を含んでなる層が、前記親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体のノニオン性界面活性剤」を含んでなることとは、「親水性界面活性剤を含んでなる層が、親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体の界面活性剤」を含んでなる限りで一致する。
甲6発明の「包装材料の内面となるようにし」たことは、本件発明1の「包装材料の内面に位置」することに相当する。
また、甲6発明の、「食品包装を始めとした包装材料として使用され、防曇性を有する積層フィルム」は、食品包装用であること、及び、防曇性を有することより、本件発明1の「含水内容物用包装材料」に相当する。

(イ)以上を踏まえると、本件発明1と甲6発明とは、以下の<一致点>で一致し、<相違点1>〜<相違点3>で相違する。

<一致点>
基材と、樹脂フィルムと、を備えてなる積層体からなる包装材料であって、樹脂フィルムが、親水性界面活性剤を0.1質量%以上、3質量%以下含んでなり、樹脂フィルムが、包装材料の内面に位置し、親水性界面活性剤を含んでなる層が、親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体の界面活性剤および40℃以下で液体のノニオン性界面活性剤を含んでなる、含水内容物用包装材料。

<相違点1>
「樹脂フィルム」に関して、本件発明1は「ヒートシール性樹脂フィルム」であるのに対して、甲6発明のポリオレフィン系多層フィルム層13はヒートシール性について不明である点。

<相違点2>
本件発明1は、「親水性界面活性剤」が、「包装材料の内面側にブリードアウトして」いるのに対して、甲6発明は、その点が不明である点。

<相違点3>
「親水性界面活性剤を含んでなる層が、親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体の界面活性剤」を含んでなることに関して、本件発明1は、「親水性界面活性剤を含んでなる層」が、「0〜85℃で固体のノニオン性界面活性剤」を含んでなるのに対し、甲6発明は、「ポリオレフィン系樹脂組成物」に、「有機スルホン酸塩としてのドデシルスルホン酸ナトリウム」、「有機スルホン酸塩としてのオクタデシルスルホン酸ナトリウム」又は「有機スルホン酸塩としてのテトラデシルスルホン酸ナトリウム/ペンタデシルスルホン酸ナトリウム/ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム=25/50/25(質量比)の混合物」を含有させた点。

(ウ)<相違点3>について検討する。
<相違点3>は実質的な相違点である。
また、甲6発明は、親水性界面活性剤として、非イオン界面活性剤及び有機スルホン酸塩を併用するものであり、実施例37、実施例38及び実施例39に特定された組み合わせの活性剤によって、4週間後までの防曇性が良好であることが確認されているものである(段落0058【表6】)。そうすると、甲2に、防曇に係る親水性界面活性剤の例としてジグリセリンラウレート等のノニオン性界面活性剤が例示されていたとしても(段落0046)、甲6発明の非イオン性界面活性剤について変更することなく、有機スルホン酸塩について非イオン性界面活性剤に変更すること、すなわち2種の非イオン性界面活性剤の組み合わせとすることの動機付けはないといえる。さらに、甲6発明の有機スルホン酸塩を非イオン性界面活性剤に変更することが可能であったと仮定しても、0〜85℃で固体のものを選択する動機付けはない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲6発明ではないし、甲6発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明3〜4について
本件発明3〜4は、本件発明1にさらに技術的事項を追加し限定したものである。
よって、上記(1)に示した理由により、本件発明3〜4も、甲6発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1.特許法第29条第2項に係る申立理由
(1)甲第1号証(国際公開第2012/144536号。以下「甲1」という。)を主引用文献とした場合
ア.甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている(段落0001、0021〜0032)。
「基材層と、シーラント層と、を備えてなる多層フィルムからなる包装袋であって、
シーラント層が、HLB値が1.5以下の界面活性剤を100〜50000ppm含んでなり、
シーラント層が、包装袋の内面に位置し、
界面活性剤が、シーラント層の包装袋の内面側にブリードアウトしており、
シーラント層が、界面活性剤として、常温(23℃)で固体の界面活性剤および常温(23℃)で液体の界面活性剤を含んでなる、練り餡、ショートニング、ジャム、マヨネーズ等、粘性の高い内容物用包装袋。」

イ.本件発明1と甲1発明とは、少なくとも以下の<相違点4>で相違する。
<相違点4>
本件発明1は、「ヒートシール性樹脂フィルムが、親水性界面活性剤を」含んでなるのに対して、甲1発明は、多層フィルムが、HLB値が1.5以下の界面活性剤を含んでなる点。

ウ.<相違点4>について検討する。
甲1には、「シーラント層12に添加する剥離剤としては、公知の界面活性剤を用いることが可能である。その中でも、フラワーペーストや練り餡などの粘性が高く、さらに油分の高い内容物に対しても良好な剥離性を備えるために、グリフィン法によるHLB値が低い界面活性剤、特に脂肪酸エステルで構成することが好ましい。好ましいHLBの値としては、1.5以下であり、1.0以下であることが更に好ましい。これは、HLB値が1.5より高い脂肪酸エステルは、内容物、特に油分の高いチョコレートペーストに対する剥離性が悪く、また、HLB値が1.5以下の脂肪酸エステルは、チョコレートペーストのように油分の高い内容物に対しても良好な剥離性を得ることができるためである。」(段落0024)、と記載されている。
上記記載によると、甲1発明では、油分の高い内容物に対しても良好な剥離性を備えるために、HLB値が1.5以下の界面活性剤を用いている。そして、HLB値が1.5より高くなり、界面活性剤が親水性になると、油分の高い内容物に対する剥離性が悪くなることが理解できる。そうすると、甲1に接した当業者が、甲1発明におけるHLB値が1.5以下の界面活性剤を、親水性のものに変更しようとする動機付けはない。
したがって、本件発明1は、甲1発明から当業者が容易に発明することができたものではない。また、本件発明1を更に限定した本件発明3〜4も、甲1発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

(2)甲第4号証(特開2001−164056号公報。以下「甲4」という。)を主引用文献とした場合
ア.甲4には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されている(請求項1、段落0001、0046)。
「ポリオレフィン系樹脂層と、防曇剤を含むポリオレフィン系樹脂層と、を備えてなる2層以上の多層構成のポリオレフィン系樹脂フィルムであって、
防曇剤を含むポリオレフィン系樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂100重量部、融点が23〜60℃でHLBが2〜12であって、一般式(1)で表されるポリグリセリン系脂肪酸エステルからなる防曇剤(A)0.2〜5重量部、融点50℃以下の、グリセリン不飽和脂肪酸エステル又はジグリセリン不飽和脂肪酸エステルからなる防曇剤(B)0.1〜0.6重量部、並びに、融点50℃以下の、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びその10モル以下のアルキレンオキサイド付加物よりなる群から選ばれた防曇剤(C)0.2〜5重量部からなる、農業用温室ハウスやトンネル用被覆資材に好適なポリオレフィン系樹脂フィルム。



イ.本件発明1と甲4発明とは、以下の<相違点5>及び<相違点6>で相違する。
<相違点5>
本件発明1は、「親水性界面活性剤を含んでなる層が、前記親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体のノニオン性界面活性剤」を含んでなるのに対して、甲4発明は、防曇剤を含むポリオレフィン系樹脂層が、融点が23〜60℃でHLBが2〜12であって、一般式(1)

で表されるポリグリセリン系脂肪酸エステルからなる防曇剤(A)、融点50℃以下の、グリセリン不飽和脂肪酸エステル又はジグリセリン不飽和脂肪酸エステルからなる防曇剤(B)、並びに、融点50℃以下の、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びその10モル以下のアルキレンオキサイド付加物よりなる群から選ばれた防曇剤(C)からなる点。

<相違点6>
本件発明1は、「含水内容物用包装材料」であるのに対して、甲4発明は、「農業用温室ハウスやトンネル用被覆資材に好適なポリオレフィン系樹脂フィルム」である点。

ウ.<相違点6>について検討する。
本件発明1の用途は、「含水内容物用包装材料」であって、その目的は、含水内容物に対して、高い滑落性能および残存防止性能を発揮することである(段落0007)。そして、「用途限定」の観点で、本件発明1は、「用途に特に適した構造等」として、例えば、開封しやすい材料、構成を有していると考えられる。一方、甲4発明の用途は、「農業用温室ハウスやトンネル用被覆資材に好適なポリオレフィン系樹脂フィルム」であって、その目的は、防曇剤のブリードアウトによる白化が少なく、且つ、初期防曇性及び防曇持続性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムを提供することである(段落0007)。
そうすると、互いに用途も目的も異なる、甲4発明の「農業用温室ハウスやトンネル用被覆資材に好適なポリオレフィン系樹脂フィルム」を、本件発明1の「含水内容物用包装材料」に転用する動機付けはない。
したがって、<相違点5>について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本件発明1を更に限定した本件発明3〜4も、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.特許法第36条第6項第1号に係る申立理由
(1)申立人の主張
請求項1の「前記親水性界面活性剤を含んでなる層が、前記親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体の界面活性剤および40℃以下で液体の界面活性剤を含んでなる」ことについて、本件発明の実施例で用いられたEAM−760、LAM−360、及びMOE−39に含まれる界面活性剤は、「親水性界面活性剤」に該当するか否か、また、「0〜85℃で固体の界面活性剤」及び「40℃以下で液体の界面活性剤」に該当するか否かは明らかでない。そのため、出願時の技術常識に照らしても、発明の詳細な説明に開示された内容を請求項1に係る発明の範囲まで拡張ないし一般化できるとはいえない。したがって、本件の請求項1及び請求項1を引用する請求項2ないし4に記載の特許発明は、本件の発明の詳細な説明に記載したものではない旨、申立人は主張するので(申立書27ページ1行〜28ページ4行)、以下、検討する。

(2)本件発明が解決しようとする課題
本件発明が解決しようとする課題は、「含水内容物に対して、高い滑落性能および残存防止性能を有する包装材料を提供すること」(段落0007)である。

(3)課題を解決するための手段
上記課題を解決する手段に関して、本件特許明細書には、「樹脂フィルムは、親水性界面活性剤として、0℃〜85℃において固体の界面活性剤および40℃以下で液体の界面活性剤を含んでなることが好ましい。これにより、樹脂フィルムの生産性を向上させることができると共に、樹脂フィルムの滑落性能および残存防止性能を長期に渡って持続させることができる。」(段落0031)と記載されている。
そうすると、請求項1に係る発明は、課題を解決する手段である、「前記親水性界面活性剤を含んでなる層が、前記親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体の界面活性剤および40℃以下で液体の界面活性剤を含んでなる」ことを発明特定事項としており、本件発明の課題を解決できることが理解できる。
また、本件特許の実施例で用いられたEAM−760の成分については、甲第9号証の「3.組成及び成分情報」(1ページ下から3行〜2ページ7行)に、一般名で記載されている。また、LAR−360の成分についても、甲第10号証の「3.組成及び成分情報」(1ページ下から3行〜2ページ5行)に、一般名で記載されている。なお、申立書27ページ15〜19行には、「LAM−360」は存在しない旨が記載されていること、並びに甲第10号証の内容から、「LAM−360」は「LAR−360」の誤記であったと認める。また、MOE−39の成分についても、乙第1号証の「3.組成及び成分情報」(2ページ3〜11行)に、一般名で記載されている。そうしてみると、EAM−760、LAR−360、及びMOE−39に含まれる界面活性剤を一般名で特定できるため、界面活性剤が「親水性界面活性剤」に該当するか否か、また、「0〜85℃で固体の界面活性剤」及び「40℃以下で液体の界面活性剤」のいずれに該当するかを判断することができる。さらに、本件発明の実施例に記載された滑落性能・残存防止性能試験の結果(段落0057、0058、0065、0066)により、請求項1に係る発明は、本件発明の課題を解決できることが確かめられている。
よって、本件発明1、3、4は、発明の詳細な説明に記載したものである。

3.特許法第36条第6項第2号に係る申立理由
申立人は、本件請求項1に係る発明の「0〜85℃で固体の界面活性剤」という発明特定事項は(1)「0〜85℃のいずれかの温度で固体の界面活性剤」及び(2)「0〜85℃の全ての温度で固体の界面活性剤」の二通りの解釈が可能であって、上記(1)又は(2)のいずれであるかを特定することができない。よって、本件の請求項1及び請求項1を引用する請求項2ないし4に記載の特許発明は明確ではない旨主張するので(申立書28ページ5〜13行)、以下検討する。
「0〜85℃で固体のノニオン性界面活性剤」については、「0〜85℃」の全ての温度範囲で固体であると解され、当該温度範囲の特定に続いて「および」の後の「40℃以下で液体のノニオン性界面活性剤」との特定は、融点又は凝固点が40℃以下であることを特定していると認められる。
よって、本件発明1、3、4は、明確である。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1、3、4に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由及び本件特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1、3、4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項2は、本件訂正により削除されたため、請求項2に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなった。よって、本件特許の請求項2に係る特許異議の申立ては、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
ヒートシール性樹脂フィルムと、を備えてなる積層体からなる包装材料であって、
前記ヒートシール性樹脂フィルムが、親水性界面活性剤を0.1質量%以上、3質量%以下含んでなり、
前記ヒートシール性樹脂フィルムが、前記包装材料の内面に位置し、前記親水性界面活性剤が、前記ヒートシール性樹脂フィルムの前記包装材料の内面側にブリードアウトしており、
前記親水性界面活性剤を含んでなる層が、前記親水性界面活性剤として、0〜85℃で固体のノニオン性界面活性剤および40℃以下で液体のノニオン性界面活性剤を含んでなることを特徴とする、含水内容物用包装材料。
【請求項2】(削除)
【請求項3】
前記ヒートシール性樹脂フィルム表面に対する水の接触角が、85°以下である、請求項1に記載の包装材料。
【請求項4】
請求項1または3に記載の包装材料の製造方法であって、
基材を準備する工程と、
ヒートシール性樹脂フィルムを準備する工程と、
前記基材と、前記ヒートシール性樹脂フィルムとをラミネートし、積層体を得る工程と、
前記積層体をヒートシール成形する工程と、
を含んでなることを特徴とする、方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照
異議決定日 2022-03-29 
出願番号 P2016-188431
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B65D)
P 1 651・ 113- YAA (B65D)
P 1 651・ 537- YAA (B65D)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 藤原 直欣
特許庁審判官 藤井 眞吾
矢澤 周一郎
登録日 2020-09-28 
登録番号 6769212
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 含水内容物用包装材料およびその製造方法  
代理人 宮嶋 学  
代理人 宮嶋 学  
代理人 浅野 真理  
代理人 浅野 真理  
代理人 中村 行孝  
代理人 柏 延之  
代理人 中村 行孝  
代理人 柏 延之  

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