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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  E04H
審判 全部申し立て 2項進歩性  E04H
管理番号 1386117
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-21 
確定日 2022-04-19 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6788398号発明「機械式駐車設備の出入口扉復帰方法及び機械式駐車設備」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6788398号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、10〕、〔3−9〕について訂正することを認める。 特許第6788398号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6788398号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、平成28年7月6日に出願され、令和2年11月4日にその特許権の設定登録がされ、同月25日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の特許異議の申立ての経緯は以下のとおりである。

令和3年 5月21日 特許異議申立人小松珠美(以下「申立人」と
いう。)による請求項1ないし7に係る発明
の特許に対する特許異議の申立て
同年 7月30日付け 取消理由通知
同年10月 1日 意見書の提出(特許権者)
同年10月29日付け 取消理由通知(決定の予告)
同年12月27日 意見書及び訂正請求書の提出(特許権者)
令和4年 2月21日付け 意見書の提出(申立人)

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和3年12月27日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)による訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)に係る訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし10について訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、」
と記載されているのを、
「予め登録されると共に前記解除コードとは別である前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、」
に訂正する(請求項1を引用する請求項10も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、」
と記載されているのを、
「予め登録されると共に前記解除コードとは別である前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、」
に訂正する(請求項2を引用する請求項10も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3
ア 訂正事項3−1
特許請求の範囲の請求項3に
「前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている、
請求項1又は2に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
と記載されているのを、請求項1を引用するものについて独立形式に改め、
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
に訂正する(請求項3を引用する請求項5−7も同様に訂正する)。

イ 訂正事項3−2
特許請求の範囲の請求項3に
「前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている、
請求項1又は2に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
と記載されているのを、請求項2を引用するものについて独立形式に改め、
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
と記載し、新たに請求項8とする。

(4)訂正事項4
ア 訂正事項4−1
特許請求の範囲の請求項4に
「前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
と記載されているのを、請求項1を引用するものについて独立形式に改め、
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
に訂正する(請求項4を引用する請求項5−7も同様に訂正する)。

イ 訂正事項4−2
特許請求の範囲の請求項4に
「前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
と記載されているのを、請求項2を引用するものについて独立形式に改め、
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
と記載し、新たに請求項9とする。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に
「前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
と記載されているのを、請求項3又は4に従属するものについて、
「前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、
請求項3又は4に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項7も同様に訂正する)。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に
「前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
と記載されているのを、請求項3又は4に従属するものについて、
「前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、
請求項3又は4に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」
に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する)。


(7)訂正事項7
ア 訂正事項7−1
特許請求の範囲の請求項7に
「請求項1〜6のいずれか1項に記載の出入口扉復帰方法を制御する制御装置を備えている、
ことを特徴とする機械式駐車設備。」
と記載されているのを、請求項3〜6のいずれか1項に従属するものについて、
「請求項3〜6のいずれか1項に記載の出入口扉復帰方法を制御する制御装置を備えている、
ことを特徴とする機械式駐車設備。」
に訂正する。

イ 訂正事項7−2
特許請求の範囲の請求項7に
「請求項1〜6のいずれか1項に記載の出入口扉復帰方法を制御する制御装置を備えている、
ことを特徴とする機械式駐車設備。」
と記載されているのを、請求項1又は2に従属するものについて、
「請求項1又は2に記載の出入口扉復帰方法を制御する制御装置を備えている、
ことを特徴とする機械式駐車設備。」
と記載し、新たに請求項10とする。

(8)一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて
訂正前の請求項1ないし7について、請求項3ないし7は、請求項1又は2を択一的に引用し、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるとともに、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものであるから、一群の請求項である請求項1及び3ないし7及び一群の請求項である請求項2ないし7は、共通する請求項3ないし7を有することにより組み合わされ、請求項1ないし7が、一群の請求項となる。
よって、訂正事項1ないし7によって記載が訂正される訂正前の請求項1ないし7は一群の請求項であり、それに対応する訂正後の請求項1ないし10は、一群の請求項である。
特許権者は、訂正後の独立項である請求項3、4、8及び9並びに訂正後の請求項3及び4のいずれかを引用する訂正後の請求項5ないし7について、訂正が認められる場合には、これらをまとめて一つの訂正単位とし、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位として扱われることを求めている。

2 本件訂正請求についての当審の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1に係る訂正は、復帰者を認証する第1復帰認証処理を、「予め登録されると共に前記解除コードとは別である前記復帰者の認証データの入力に基づいて」行われるものに特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。

イ 新規事項の有無
(ア)本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)には、「第1復帰認証処理」、「解除コード」及び「認証データ」に関連して以下の記載がある。
a「【0022】
(機械式駐車設備における入出庫部の構成)
図1は、この実施形態に係る機械式駐車設備1の入出庫部3における構成を示す平面図である。この機械式駐車設備1は、矩形状に形成された駐車塔2の正面側に入出庫口4が設けられている。入出庫口4には、出入口扉5が備えられている。また、入出庫口4の近傍の側方(図では右方)には、機械式駐車設備1の運転操作を行う運転盤7が設けられている。この実施形態では、運転盤7と制御装置8が一体となった例を示している。制御装置8には、契約した利用者(以下、「契約者」ともいう)と、後述する復帰者(契約した利用者)の第1認証処理及び第2認証処理における認証データが予め登録されている。制御装置8には、これらのデータ及び後述する出入口扉5の開閉を含む制御方法を記憶する記憶部(記憶メモリなど)が備えられている。」
b「【0045】
開扉放置報知処理(S20)が行われると、次の利用者は、開扉放置を復帰させる復帰者となる。復帰者は、コールセンター30(管理部)に電話などで解除コードを確認する(S21)。この解除コードとしては、復帰者から出入口扉5の閉め忘れ開放置の連絡を受けた管理部がその都度指示する。このようにすることで、出入口扉5の閉め忘れ開放置が生じた場合、コールセンター30において、解除コードをその都度指示することになり、利用者のみではなくコールセンター30を含む適切な復帰操作を行うことができる。
【0046】
解除コードとしては、例えば、「9999+*」等の固定コードの他、曜日、時間等で解除コードを変化させることができる。解除コードを変化させれば、利用者による解除コードの覚え込みを防止できる。
【0047】
そして、復帰者は、コールセンター30から得た解除コードを運転盤7で入力する(S22)。これにより、機械式駐車設備1では復帰操作を開始する復帰開始処理が行われる。これにより、出入口扉5の閉め忘れ開放置の復帰処理が開始すると判断される。復帰開始処理としては、復帰者から出入口扉5の閉め忘れ開放置の連絡を受けたコールセンター30が、機械式駐車設備1に対して遠隔操作で行う解除コード入力可能状態に移行させた後に可能となるようにしてもよい。このようにすれば、管理部による遠隔操作によって解除コード入力可能状態に移行させなければ、復帰者による解除コードの入力が可能とならないので、管理部による管理がより厳格な復帰開始処理を行うことができる。解除コードを入力することで、機械式駐車設備1において、出入口扉5の閉め忘れ開放置の復帰操作が可能となる。
【0048】
まず、復帰者を認証する第1復帰認証操作が実行されたか否かが判定される(S23)。上記復帰者の第1復帰認証操作としては、例えば、暗証番号、リモコン、登録カード、指紋、静脈、などの認証手段を用いることができる。この第1復帰認証操作は、上記解除コードの入力後、実行されない状態で所定時間経過すると(S24)、上記解除コードの入力(S22)がキャンセルされて、開扉放置報知処理の状態(S20)に戻るようにしている。この所定時間(S24)としては、例えば、5〜10秒程度に設定できる。
【0049】
上記第1復帰認証操作が実行されると、この第1復帰認証操作の第1復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第1復帰認証処理が行われる(S25)。この第1復帰認証操作は、出入口扉5を閉め忘れた前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて復帰者の認証を有効とするようにしてもよい。このようにすれば、出入口扉5の閉め忘れ開放置が生じた場合の復帰開始処理を、復帰者の認証手段によって適切に行うことができる。ここで、先の利用者による出入口扉5の開放が入庫、出庫のいずれの操作で行われたかを判定し、第1認証データを後で利用する必要がない出庫の場合だけ書き換えを行うようにしてもよい。こうすることで処理を簡素化することができる。」
(イ)上記(ア)の記載によれば、「復帰者(契約した利用者)」の「認証データ」は、「制御装置8」に「予め登録されている」(【0022】)ものであり、また、「第1復帰認証操作の第1復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第1復帰認証処理が行われる」(【0049】)ものであって、「第1復帰認証操作」において入力され、「契約者の認証データと一致するか否かが照合され」る「第1復帰認証データ」が、「復帰者(契約した利用者)」の「認証データ」であることは明らかであるから、本件明細書には、「予め登録される復帰者の認証データの入力に基づいて復帰者を認証する第1復帰認証処理を行」うことが記載されているといえる。
(ウ)そして、本件明細書には、「解除コード」が、「復帰者から出入口扉5の閉め忘れ開放置の連絡を受けた管理部がその都度指示する」(【0045】)ものであり、「利用者による解除コードの覚え込み」の「防止」が図られている(【0046】)ことが記載されており、「解除コード」と「予め登録される」「復帰者の認証データ」とは別であることが記載されているといえる。
(エ)そうすると、訂正事項1に係る「予め登録されると共に前記解除コードとは別である前記復帰者の認証データの入力に基づいて」前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行うことは、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アのとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)の訂正事項1と同様であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とし、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3及び4
訂正事項3−1に係る訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3が引用していた請求項1または2のうち、請求項2は引用しないものとするとともに、請求項1を引用するものを書き下して、請求項3とするものであり、訂正事項3−2に係る訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3が引用していた請求項1または2のうち、請求項1は引用しないものとするとともに、請求項2を引用するものを書き下して、新たに請求項8とするものである。
訂正事項4−1及び訂正事項4−2に係る訂正は、訂正事項3−1及び訂正事項3−2に係る訂正と同様に、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項4のうち請求項1、請求項2を引用するものを、それぞれ書き下して、請求項4、9とするものである。
よって、訂正事項3−1ないし訂正事項4−2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とし、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項5及び6
訂正事項5及び6に係る訂正は、訂正前の請求項5及び6が、いずれも、請求項1〜4のいずれかを引用していたのを、請求項1または2は引用しないものとし、請求項3又は4のみを引用するようにするものであって、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。
そして、訂正事項5及び6に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項7
訂正事項7−1に係る訂正は、訂正前の請求項7が請求項1〜6のいずれか1項を引用していたのを、請求項1または2は引用しないものとし、請求項3〜6のいずれか1項を引用するようにするものであって、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。
訂正事項7−2に係る訂正は、訂正前の請求項7が請求項1〜6のいずれか1項を引用していたのを、請求項3〜6は引用しないものとし、請求項1又は2を引用するようにするものであって、多数項を引用している請求項の引用請求項数を削減する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする。
そして、訂正事項7−1及び7−2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6)訂正単位について
訂正後の請求項1〜10に係る訂正事項1〜7は、上記(1)〜(5)で検討したとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合し、訂正の要件を満たすものであるから、訂正後の請求項3〜9を、訂正後の一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを認める。

3 小括
以上検討したとおり、訂正事項1ないし7に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、特許権者の上記別の訂正単位とする求めに応じ、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、10〕、〔3−9〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件訂正請求により訂正された請求項1ないし10に係る発明(以下、各請求項に係る発明を「本件訂正発明1」等という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
予め登録されると共に前記解除コードとは別である前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する、
ことを特徴とする機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項2】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
予め登録されると共に前記解除コードとは別である前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する、
ことを特徴とする機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項3】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項4】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項5】
前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、
請求項3又は4に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項6】
前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、
請求項3又は4に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の出入口扉復帰方法を制御する制御装置を備えている、
ことを特徴とする機械式駐車設備。
【請求項8】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項9】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の出入口扉復帰方法を制御する制御装置を備えている、
ことを特徴とする機械式駐車設備。」

第4 特許異議申立理由の概要及び証拠
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、概ね以下の申立理由を主張するとともに、証拠として、以下の2に示す各甲号証を提出している。
(1)訂正前の請求項1ないし7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証及び甲第3号証に記載された事項及び甲第4号証ないし甲第7号証に示される周知技術に基いて、当業者が当業者が容易に発明をすることができたものであり、その特許は、特許法第29条第2項に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

(2)訂正前の請求項5ないし7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、その特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反して特許されたものであるから、取り消されるべきである。

(3)訂正前の請求項5ないし7に係る発明は、明確でなく、その特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

2 申立書に添付して提出された証拠
甲第1号証 特開2015−117470号公報
甲第2号証 特開平11−303438号公報
甲第3号証 特開2000−182195号公報
甲第4号証 特開2012−26121号公報
甲第5号証 特開2006−118216号公報
甲第6号証 特許第5480423号公報
甲第7号証 特開平9−35030号公報

第5 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要
当審が令和3年10月29日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。

(1)訂正前の請求項1、5ないし7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲第6号証に記載された技術に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。

(2)訂正前の請求項2、5ないし7に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された技術に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。

第6 当審の判断
1 証拠
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載
甲第1号証には次の事項が記載されている(下線は当審で付した。他の証拠も同じ。)。
(ア)「【図面の簡単な説明】
【0027】
・・・
【図9】本発明の実施形態に係る機械式駐車場設備の制御装置の全体概略構成を示すブロック図である。
・・・
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る機械式駐車装置の制御装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、機械式駐車場設備100の実施形態を示すエレベータ式の立体駐車場の縦断面図である。なお、本発明に係る制御装置及び制御方法は、以下に述べるエレベータ式の立体駐車場に限らず、複数の駐車スペースに搬送機で駐車車両を入出庫させる機械式駐車場設備100であれば、他の様々な形式のものにも幅広く適用することができる。また、機械式駐車場設備100は、複数の立体駐車場で構成されていてもよい。
【0030】
この立体駐車場とされた機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なタワー型の駐車塔3を備えている。駐車塔3の一階部分には車両2を入出庫させる入出庫口4が開設されている。入出庫口4には上下スライド式の入出庫扉4aが設けられている。
【0031】
駐車塔3の地上階は図2にも示す乗入階7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。ターンテーブル8は、乗入階7の床面に形成された凹状のピット9内に旋回板10と旋回駆動部11が設けられた構成である。
・・・
【0037】
図2は、乗入階7を示す斜視透視図である。外側から見て、入出庫口4に向かって左側に非常用出入口20があり、入出庫口4の上部に青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。また、入出庫口4の上部には、入庫又は出庫させる車両2の利用者を特定する情報(以下「利用者番号」という。)を表示する利用者番号表示器60が設けられている。
さらに、入出庫口4に向かって右側に操作盤22が設けられている。
【0038】
操作盤22は、利用者が各自で、利用者認証と、入出庫予約と、入出庫扉4aの開閉操作等を含む機械操作とを行う入力部である。さらに、操作盤22の上方の壁面等に、緑、黄、赤の3色を有する三色灯23が設置されている。
【0039】
乗入階7の内部には、中央部にパレット18が配置されるスペースがあり、入出庫口4の正面の壁には車両2の位置をドライバーが確認するための鏡24と、「前進」、「停車」、「後退」の指示を行う電光式の停車位置指示灯25が設けられている。また、乗入階7の両側面の壁には、車両2の大きさや前後位置を検知するための人感・車両センサ26,27や、非常停止ボタン28等が設けられている。停車位置指示灯25は、人感・車両センサ26,27により検知される車両位置のデータに基づいて、車両2のドライバーに車両位置の指示を行う。
【0040】
さらに、図1、図2及び図8に示すように、乗入階7の内部等に、この機械式駐車装置1の全体の制御を行う立駐制御装置(CPU)30が設置されている。立駐制御装置30は、入出庫口4、ターンテーブル8、リフト14等による一連の入出庫動作(機械操作)を実行する装置である。立駐制御装置30には操作盤22が接続されており、操作盤22と情報を交換しながら入出庫操作を実行する。」
(イ)「【0061】
図9は、機械式駐車場設備100の制御装置の全体概略構成を示すブロック図である。
【0062】
主制御装置70は、機械式駐車場設備100の全体の制御を司る。
主制御装置70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他
の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0063】
また、主制御装置70は、機械式駐車装置1を制御する立駐制御装置30と接続され、立駐制御装置30と各種情報の送受信を行う。また、主制御装置70は、機械式駐車場設備100に対する操作が利用者によって入力される操作盤である出庫予約盤22B及び入庫予約盤22Cや、各種情報を表示する出庫順番表示機49とも接続され、これらと各種情報の送受信を行う。さらに、主制御装置70は、外部との情報の送受信のためにインターネット等の外部ネットワーク72とも接続されている。
また、本実施形態では、立駐制御装置30が2基、出庫順序表示器49、出庫予約盤22B、入庫予約盤22Cを各々1台としているが、この数量に限定されるものではない。
【0064】
そして、主制御装置70は、号機決定部74、入出庫指示部76、扉閉忘検知部78、及び表示指示部80を備える。
【0065】
号機決定部74は、出庫予約盤22Bを介して入力された出庫予約、又は入庫予約盤22Cを介して入力された入庫予約等の入出庫操作に基づいて、車両2を入庫させる機械式駐車装置1又は車両2を出庫させる機械式駐車装置1を決定する。
【0066】
入出庫指示部76は、号機決定部74によって決定された機械式駐車装置1へ、パレット18を車両格納棚17から乗入階7へ呼び出す入出庫指示を出力する。
【0067】
扉閉忘検知部78は、乗入階7の入出庫扉4aの閉め忘れを検知する。扉閉忘検知部78は、例えば、車両2が出庫又は入庫したのち、入出庫扉4aが所定時間閉められない場合に、入出庫扉4aが閉め忘れられたと検知する。
以下の説明において、上記所定時間を扉閉忘時間という。扉閉忘時間は、予め定められており、車両2の出庫又は入庫が完了してから例えば1分である。なお、出庫の完了は、人感・車両センサ26,27によって、パレット18に車両2が載置されていない状態が検知されることで判定される。また、入庫の完了は、人感・車両センサ26,27によって、利用者の乗入階7からの退出が検知されることで判定される。
【0068】
表示指示部80は、入力された入出庫操作等に基づいて、利用者が視認する画像表示手段に表示させる情報を生成して出力する。本実施形態に係る画像表示手段は、出庫順番表示機49、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41B、入庫予約盤22Cのディスプレイ画面41C、及び操作盤22のディスプレイ画面41や操作画面35である。
また、表示指示部80は、扉閉忘検知部78によって入出庫扉4aの閉め忘れが検知された場合、操作盤22、入庫予約盤22C、及び出庫予約盤22Bに、入出庫扉4aの閉操作を促す情報を表示させる。
【0069】
また、各機械式駐車装置1が備える操作盤22は、出庫順番繰上部82を備える。
出庫順番繰上部82は、出庫予約の順番を繰り上げる処理を行う。
【0070】
立駐制御装置30は、入出庫指示部76から入力された入出庫指示に基づいて、対応する機械式駐車装置1を動作させる。これに伴い、立駐制御装置30は、機械式駐車装置1に入出庫する利用者を示す利用者番号を利用者番号表示器60に表示させる。
そして、立駐制御装置30は、操作盤22への利用者からのリモコン送信機50等を介した各種入力に応じて入出庫扉4aの開閉等の制御を行う。」
(ウ)「【0071】
ここで、本実施形態に係る機械式駐車場設備100は、入出庫扉4aの閉め忘れに関する処理(以下「扉閉忘処理」という。)を行う。
扉閉忘処理は、利用者が入出庫後に入出庫扉4aを閉め忘れ、扉閉忘検知部78が閉め忘れを検知すると、表示指示部80が、操作盤22のディスプレイ画面41、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41B、入庫予約盤22Cのディスプレイ画面41C、及び出庫順番表示機49に、入出庫扉4aの閉操作を促す情報を表示させる処理である。
なお、本実施形態に係る機械式駐車装置1は、入出庫扉4aが閉め忘れられた場合に利用者によって入出庫扉4aの閉操作が可能とされている。
【0072】
図10は、扉閉忘処理が行われず、正常に出庫される場合の処理の流れである。図10では、出庫予約盤22B前での利用者の動作(左端のフロー)、出庫予約盤22Bの動作(左端から2つめのフロー)、出庫順番表示機49の動作(中央のフロー)、操作盤22及び利用者番号表示器60の動作(右端から2つめのフロー)、及び機械式駐車装置1の動作(右端のフロー)毎に示されている。
・・・
【0083】
利用者は入出庫口4の前に到着すると、操作盤22に対して認証操作を行う(S404)。認証操作は、リモコン送信機50に対するボタン操作、もしくは操作盤22のトランスポンダリーダー36Bにリモコン送信機50を接触させ、認証情報を操作盤22へ送信することで行ってもよいし、タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで行ってもよい。
【0084】
認証に成功すると、機械式駐車装置1は、入出庫扉4aを開ける(S506)。そして、利用者は、乗入階7へ入り、車両2を出庫する(S410)。車両2が出庫されると、車両2を出庫させた利用者が入出庫扉4aのリモコン送信機50を用いて再度認証を行った後に操作盤22で入出庫扉4aの閉操作を行う。これにより、入出庫扉4aは閉まり(S508)、車両2の出庫が完了する。
【0085】
図11は、扉閉忘処理が行われる場合の処理の流れを示す。なお、図11における図10と同一のステップについては図10と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0086】
ステップ410で、車両2の出庫が完了したのち、車両2を出庫した利用者が入出庫扉4aを閉めないまま、扉閉忘時間が経過すると、扉閉忘検知部78によって入出庫扉4aの閉め忘れが検知される(S412)。入出庫扉4aの閉め忘れが検知されると、出庫順番表示機49の出庫順番の先頭は出庫を完了した利用者のままで、入出庫扉4aの閉め忘れが発生していることが表示される(S304)。また、閉め忘れの発生は、操作盤22のディスプレイ画面41、出庫予約盤22Bのディスプレイ画面41B、及び入庫予約盤22Cのディスプレイ画面41Cにも表示される。
これにより、機械式駐車装置1の次の出庫予約を行った利用者(以下「出庫利用者」という。)、又は入庫予約を行った利用者(以下「入庫利用者」という。)は、乗入階7の入出庫扉4aの閉め忘れの発生を目視によって認識し、入出庫扉4aの閉操作を行うことができる。
【0087】
入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者は、入出庫口4への移動を開始する(S106)。
次の出庫利用者は入出庫口4の前に到着すると、操作盤22に対して認証操作を行い、認証に成功すると、乗入階7の安全を確認した後に入出庫扉4aの閉操作を行う(S414)。これにより、入出庫扉4aは閉まることとなる(S508)。
なお、閉め忘れられている入出庫扉4aは、予め登録されている利用者による閉操作のみが可能とされる。予め登録されている利用者とは、機械式駐車場設備100の利用者として認証可能な者である。これにより、出庫順番表示機49等の表示を目視した次の出庫利用者が入出庫扉4aの閉操作をできるため、入出庫扉4aが閉まっていない状態を早期に解消できる。また、入出庫扉4aを閉操作する利用者が固定されているため、入出庫扉4aを閉じる際の安全性が高められ
る。」
(エ)【図9】は以下のとおり。



上記【図9】からは、機械式駐車場設備100は、主制御装置70及び立駐制御装置30を含む制御装置を備えることが看取される。

イ 甲1発明
上記アからみて、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が 記載されているといえる。

(甲1発明)
「機械式駐車場設備100は、主制御装置70及び立駐制御装置30を含む制御装置を備え、
機械式駐車場設備100は、入出庫扉4aの閉め忘れに関する処理を行い、
扉閉忘処理が行われず、正常に出庫される場合、
利用者は入出庫口4の前に到着すると、操作盤22に対して認証操作を行い(S404)、認証操作は、認証情報を操作盤22へ送信することで行ってもよいし、タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力することで行ってもよく、
認証に成功すると、機械式駐車装置1は、入出庫扉4aを開け(S506)、そして、利用者は、乗入階7へ入り、車両2を出庫し(S410)、
車両2が出庫されると、車両2を出庫させた利用者が再度認証を行った後に操作盤22で入出庫扉4aの閉操作を行い、これにより、入出庫扉4aは閉まり(S508)、車両2の出庫が完了する、
との処理の流れを有し、
扉閉忘処理が行われる場合、
ステップ410で、車両2の出庫が完了したのち、車両2を出庫した利用者が入出庫扉4aを閉めないまま、扉閉忘時間が経過すると、扉閉忘検知部78によって入出庫扉4aの閉め忘れが検知され(S412)、
入出庫扉4aの閉め忘れが検知されると、出庫順番表示機49の出庫順番の先頭は出庫を完了した利用者のままで、入出庫扉4aの閉め忘れが発生していることが表示され(S304)、
入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者は、操作盤22に対して認証操作を行い、認証に成功すると、乗入階7の安全を確認した後に入出庫扉4aの閉操作を行い(S414)、これにより、入出庫扉4aは閉まることとなる(S508)、
との処理の流れを有する、
機械式駐車場設備100。」

(2)甲第2号証
ア 甲第2号証の記載
甲第2号証には次の事項が記載されている。
(ア)「【0053】図4は、第3の実施形態におけるフローチャートを示しており、運転盤30は、直接の格納部情報(パレット3の番号情報)をテンキー14から入力することによって、対応する格納部のパレット3を車輌5と共に搬出入口6に搬出する管理人モードと、所定のメンテナンスコードをテンキー14から入力することによって、車輌5の搬出入動作に伴う各駆動部の個々の動作を、別々に動作可能とする保守モードとに、運転モードの切り替えが行えるモード切替暗証コードが別途設定可能とされている。
【0054】即ち、ステップS1における運転準備暗証コードを入力した後、引き続き、テンキー14によりモード切替暗証コードを入力すれば(ステップS31)、ステップS32に移行して、モード切替暗証コードが管理人モードか保守モードかが判断され、管理人モードであれば、管理人モードに移行して管理人モードで作動される(ステップS33)。また、モード切替暗証コードが保守モードであれば、保守モードに移行して保守モードで作動される(ステップS34)。
【0055】そして、ステップS31において、モード切替暗証コードが入力されなければ、ステップS2に移行して上記第1の実施形態と同様に動作されるように構成されている。
【0056】図5は、管理人モードのフローチャートの一例を示しており、先ず、パレット3呼びが必要かどうかを判断して(ステップS41)、パレット3呼びが必要であれば、即ち、呼び出すパレット3が上段の収納スペースA〜Cもしくは下段の収納スペースG〜Iにある場合には、テンキー14により直接、パレット3の番号情報を入力した後(ステップS42)、スタートボタン14aを押せば(ステップS43)、そのパレット3の番号情報に対応するパレット3が搬出入口6のある地上位置に搬出される(ステップS44)。
【0057】そして、所望のパレット3が地上位置に搬出されたことを確認した後、開ボタン16を押せば(ステップS45)、ゲート7が上昇して開操作される(ステップS46)。
【0058】一方、ステップS41において、パレット3呼びが不要であれば、即ち、呼び出すパレット3が中段の収納スペースD〜Fにある場合には、直接、ステップS45に移行して、その後の操作を行えばよい。
【0059】そして、ゲート7が開操作された状態で、入出庫動作、即ち、パレット3に対する車輌5の入庫動作もしくはパレット3からの車輌5の出庫動作を行う(ステップS47)。
【0060】この入出庫動作が終了すれば、閉ボタン17を押し(ステップS48)、上昇していたゲート7が下降して閉操作される(ステップS49)。そして、次のパレット3の呼び出し操作が必要かどうかが判断され(ステップS50)、必要であれば、ステップS42に戻って、同様の操作を繰り返せばよい。また、次のパレット3の呼び出し操作が必要なければ、例えば、ゲート7が閉操作された後、予めタイマー設定された所定時間(例えば、20秒程度)以内に、運転盤30に対する次の操作がなければ、自動的に管理人モードの終了と判断され、駐車設備1は初期状態としての、テンキー14による運転準備暗証コードの受付待機状態に復帰するように構成されている。
【0061】また、保守モードに切り替えられた場合にあっては、所定のメンテナンスコードをテンキー14から入力することによって、車輌5の搬出入動作に伴う各駆動部の個々の動作を、別々に動作可能とされており、保守点検が行えるように構成されている。
【0062】本実施形態は以上のように構成されており、上記第1の実施形態の利点に加えて、各利用者が運転準備暗証コードや車輌呼び暗証コードを入力して自動入出庫を行う通常の運転モードから、管理人または保守員のみが知るモード切替暗証コードを入力することによって、管理人モードまたは保守モードに容易に切り替えが可能となるため、簡単な操作で駐車設備1の運転モードを効率よく変更することができ、使い勝手が向上する利点もある。
【0063】また、各利用者が自分の運転準備暗証コード等で駐車設備1を運転中に何らかの異常が生じた場合、管理人や保守員が復旧運転をするために、モード切替暗証コードを入力することによって、容易に管理人モードや保守モードに切り替えることができる利点がある。
【0064】そして、管理人モードにあっては、例えば、駐車設備1を運転する場合に、各利用者の運転準備暗証コード等を入力する必要なく、パレット番号、格納部番号等の直接の格納部情報を入力するだけで、全車輌に対してアクセスが可能となる利点があり、保守モードにあっては、例えば、移動させたいパレツト番号に続いて、上昇・下降・右横行・左横行等のメンテナンス番号を続けて入力する所定のメンテナンスコードの入力によって、対応するパレット3がメンテナンス番号に応じた移動方向に、通常の運転モードにおける自動運転ではインタロックがかかるような禁止動作であっても、強制的に低速移動を開始して、保守点検が可能となる利点がある。
【0065】以上のように、モード切替暗証コードは、管理人モード用と保守モード用とをそれぞれ異なる暗証コードを設定してもよいが、両モードのコード入力方法が全く異なるため、両モードへ切り替えるためのモード切替暗証コードを共通化しても、特に不都合は生じないため、両モード共通の暗証コードを設定し、その後のテンキー14による入力によって対応するモードで動作する構成としてもよい。」
(イ)図4、図5は以下のとおり。




イ 甲2発明
上記アからみて、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が 記載されているといえる。

(甲2発明)
「各利用者が運転準備暗証コードや車輌呼び暗証コードを入力して自動入出庫を行う通常の運転モードから、管理人または保守員のみが知るモード切替暗証コードを入力することによって、管理人モードまたは保守モードに切り替えが可能となり、
各利用者が自分の運転準備暗証コード等で駐車設備1を運転中に何らかの異常が生じた場合、管理人や保守員が復旧運転をするために、モード切替暗証コードを入力することによって、容易に管理人モードや保守モードに切り替えることができ、
管理人モードにあっては、駐車設備1を運転する場合に、各利用者の運転準備暗証コード等を入力する必要なく、パレット番号、格納部番号等の直接の格納部情報を入力するだけで、全車輌に対してアクセスが可能となり、保守モードにあっては、移動させたいパレツト番号に続いて、上昇・下降・右横行・左横行等のメンテナンス番号を続けて入力する所定のメンテナンスコードの入力によって、対応するパレット3がメンテナンス番号に応じた移動方向に、通常の運転モードにおける自動運転ではインタロックがかかるような禁止動作であっても、強制的に低速移動を開始して、保守点検が可能となる、
駐車設備1。」

(3)甲第3号証
ア 甲第3号証の記載事項
甲第3号証には次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の駐車場を一括管理するための駐車場管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、機械設備を用いて自動車の入庫から出庫まで一連の動作を管理する機械設備式駐車場が一般に設営されている。この機械設備式駐車場においては、機械設備が誤作動した場合に、機械設備の運転操作方法を知らなければ、駐車場利用者の安全性を害するような事故および駐車場利用車両を損傷するような事故が発生する場合がある。そのため、各駐車場ごとに管理人を常時駐在させて、機械設備の運転状態を監視し、機械設備に異常が生じた場合に、機械設備を操作または停止することにより、駐車場利用者の安全性を害するような事故および駐車場利用車両を損傷するような事故が発生することを防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような機械設備を使用する駐車場においては、機械設備が安全に運転されているか否かを常に監視し、異常が発生した場合に即座に対応できるように、管理人が常時駐在すること、または、管理人が常時駐在している状況と同じ程度に遠隔監視できる設備を設けることが法律により義務づけられている。これにより、管理人が常時駐在している状況と同じ程度に遠隔監視できる程度の設備を有していなければ、複数の駐車場を運営する場合においても、各駐車場に管理人をそれぞれ常時駐在させなければならないため、人件費の削減ができない状態にある。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、各駐車場の無人化を図り、遠隔監視制御センターで複数の駐車場を一括して遠隔監視および遠隔制御できる駐車場管理システムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明の駐車場管理システムは、複数の駐車場を一括管理するための駐車場管理システムであって、複数の駐車場のそれぞれに設置された、複数の駐車場のそれぞれの駐車場利用者および駐車場機械装置の利用状況情報を入手し、かつ、複数の駐車場のそれぞれの駐車場利用者および駐車場機械装置に指示情報を送るための駐車場管理用機器を有する監視ステーションと、複数の駐車場それぞれの利用状況を遠隔監視し、かつ、安全のための指示を遠隔制御情報として送るための遠隔監視制御用機器を有する遠隔監視制御センターと、駐車場利用状況情報および指示情報を相互に交換するために駐車場管理用機器と遠隔監視制御用機器とを接続する通信手段とを備えている。
・・・
【0009】請求項3に記載の駐車場管理システムは、請求項1または2に記載の駐車場管理システムにおいて、駐車場情報入手手段が、駐車場利用車両の入庫開始から出庫終了までの一連の動作を、カメラにより得られる第1の映像情報、スピーカホンにより得られる第1の音声情報、駐車場機械装置の動作状態を示す第1の動作情報および駐車場利用者の機械操作の状態を示す第1の操作情報として得るためのものである。また、駐車場遠隔監視手段が、通信手段を介して伝達された、第1の映像情報、第1の音声情報、第1の動作情報および第1の操作情報を、ディスプレイおよびスピーカホンに出力するためのものである。また、駐車場情報指示手段が、監視員またはコンピュータによる、安全のための意思決定を、通信手段を介して、カメラにより得られる第2の映像情報、スピーカホンにより得られる第2の音声情報、駐車場機械装置を動作するための第2の動作情報および駐車場利用者に操作盤の操作方法を伝達するための第2の操作情報として、駐車場情報指示手段に送るためのものである。また、駐車場情報指示手段が、通信手段を介して送られた第2の映像情報、第2の音声情報、第2の動作情報および第2の操作情報を、ディスプレイおよびスピーカホンに出力するためのものである。
【0010】このような駐車場管理システムにおいては、遠隔監視制御センターでは、ディスプレイおよびスピーカホンにより、第1の映像情報、第1の音声情報、第1の動作情報および第1の操作情報を得ることができるため、各駐車場の駐車場利用者の状況、駐車場利用車両の状況および駐車場機械装置の動作状況等がより詳細に遠隔監視できる。また、第2の映像情報、第2の音声情報、第2の動作情報および第2の操作情報を、各駐車場の駐車場利用者および駐車場機械装置に送ることができるため、駐車場利用者はより具体的な指示情報を得ることができ、また、駐車場機械装置にはより具体的な指示情報を送ることが可能となる。その結果、各駐車場にそれぞれ管理人を常時駐在させなくても、駐車場をさらに安全に運営することが可能となる。
【0011】また、監視センターから駐車場機械装置を遠隔制御することにより、トラブルによる駐車場機械装置の稼働時間、および、サービス拠点からの人員の出動回数を低減することができる。その結果、機械式駐車場の効率的な運転と、サービス拠点で待機する人員の人件費の削減とを実現できる。」
(イ)「【0016】上記監視ステーション10aに設けられている駐車場管理用機器が、駐車場情報を得るための駐車情報入手手段と、指示情報を駐車場利用者および駐車場機械装置に伝達するための駐車場情報指示手段とを含んでいる。また、上記センターシステム20aに設けられた駐車場遠隔監視制御用機器が、駐車場10の利用状況を遠隔監視できる遠隔監視手段と、駐車場情報指示手段を制御するための遠隔制御情報として、コンピュータまたは監視員の指示を送る遠隔制御手段とを含んでいる。さらに、上記通信手段は、駐車場情報入手手段から遠隔監視手段へ駐車場利用状況情報を送り、遠隔制御手段から駐車場情報指示手段へ遠隔制御情報を送るためのものである。」
(ウ)「【0020】次に本実施の形態の駐車場管理システムの使用方法を説明する。本実施の形態の駐車場管理システムにおいては、使用する前に、まず、駐車場利用者、すなわち、駐車場利用車両の運転手に機械式駐車設備の操作方法等に関する知識を身につけてもらうため、機械式駐車設備の運転方法等の取扱い方法の説明を取扱説明書を用いて行う。その後、実技指導および実技テストを駐車場利用者に対して行う。その実技テストに合格した人を、認定された駐車場利用者として登録する。また、駐車場利用車両の車検証による車の外形寸法および重量が入庫車制限をクリアすることが確認された駐車場利用車両を認定された駐車場利用車両として登録する。この登録により、登録された駐車場利用者と駐車場利用車両とは、IDカードで代表される身分または車両証明書で管理される。このときの、はじめて駐車場を利用する場合1と登録による認定者が利用する場合2とのフローは図1に示すようになる。
【0021】上記登録に際しては、機械式駐車設備には各種の安全装置が装備されているが、必ずしも万全ではないため、運転操作や取扱いを誤ると人身事故や物損事故を招く恐れがある。人身事故や物損事故が発生すると管理会社または管理人が事故に対しての管理責任を問われる。そのため、運転管理人の自己利用管理責任を明確にする必要がある。
【0022】その方法として、機械式駐車設備による人身事故や物損事故を防止するために、駐車場利用者は運転操作や取扱いに対し、図2に示すように、運転操作パネルでの対話方式、すなわち、図2に示されるような事項がディスプレイに表示され、登録者認識装置によって登録が確認された駐車場利用者が、指等で安全確認の事項を触れることにより、次の事項へと安全確認を順次行っていく方式が採用されている。この方式においては、安全確認のための事項を順次触れていかなければ駐車場機械装置は作動しないようになっている。
【0023】また、監視センターの監視員が、視覚および聴覚を用いて、駐車場利用者、駐車場利用車両および駐車場機械装置の状況が認識できるようにする必要がある。そのため、図3および図4に示すように、監視センター20では、駐車場機械装置、駐車場利用者および駐車場利用車両の動きを見るためのCCDカメラ13による映像情報13a、駐車場機械装置の音および駐車場利用者の音声を聞くためのスピーカホン14による音声情報14a、駐車場機械装置の動作確認をするための制御盤P・C15の動作情報15a、および、駐車場利用者の操作確認をするための運転操作盤16の操作情報16aを得ることができるようにする。
【0024】その手段として、監視ステーション10aのコンピュータ19と通信手段、たとえば、ISDN回線のような電話回線30を介して監視センター20のセンターシステム20aのコンピュータ29を用いて得た映像情報13a、動作情報15a、操作情報16aをリアルタイムで一台のディスプレイ21に同時表示する手段を用いる。
【0025】また、監視センター20では、駐車場機械装置の音、駐車場利用者の音声および駐車場利用車両の音を聞くためのスピーカホン24により、音声情報14aが、リアルタイムで監視センター20のスピーカホン24に出力される。
【0026】これらの視覚による映像情報13aおよぴ聴覚による音声情報14aは、監視センター員の判断情報となる。これにより、監視センター20の監視員は、危機回避のための判断を下し、駐車場機械装置の遠隔制御を行う。」
(エ)「【0032】また、監視センター20のセンターシステム20aのコンピュータ29は動作情報15a、操作情報16aを解析し、解析結果はディスプレイ21の遠隔制御ウインドに表示される。監視センター員は、映像情報13a、音声情報14aによる判断とディスプレイ21に表示される解析結果に基づき遠隔制御を行う。このとき、遠隔制御情報は、センターシステム20aの、CCDカメラ23による映像情報23aおよびスピーカホン24による音声情報24aならびにコンピュータ29の端末から送られる動作情報25aおよび操作情報26aとして駐車場利用者および駐車場機械装置に送られる。」
(オ)図1〜図5は、以下のとおり。

図1



図2



図3



図4



図5




(4)甲第4号証
ア 甲第4号証の記載
甲第4号証には次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式立体駐車場に係り、特に車両の入庫時および出庫時に、該車両のユーザー(ドライバー)自身が入出庫扉を開閉操作するように構成された機械式立体駐車場の制御方法およびこの制御方法により制御される機械式立体駐車場に関するものである。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、車庫装置内に人が取り残された状態で入出庫扉が閉じられてしまうことを防止して安全に運行することのできる機械式立体駐車場の制御方法およびこの制御方法により制御される機械式立体駐車場を提供することを目的とする。」
(イ)「【0031】
このように構成された機械式立体駐車場1にユーザーが車両を入庫させる時の手順は次の通りである。
まず、図3に示すように、車両2を入出庫扉11の前(ターンテーブル9の上)に停車させ、同乗者を降車させ、ドアミラーを畳み、アンテナを下げる。次に、図4に示すように、ユーザー(車両のドライバー)は、操作盤12に向かい、第1の認証操作を行う。この第1の認証操作に基づき、主制御部17の認証照合部21において、ユーザーが機械式立体駐車場1の正式な契約者であるか否かの判定が行われる。仮に非契約者が認証操作を行っても、表示画面31と音声スピーカ32によりエラー表示がなされ、機械式立体駐車場1は動作しない。
【0032】
この第1の認証操作は、ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体を操作盤12に認識させることによって行われる。この機械式立体駐車場1では、例えば図示しないICカードが暗証記号媒体として用いられており、ユーザーはICカードを操作盤12のICカードリーダー34にタッチして認識させる。
【0033】
第1の認証操作でユーザーが正式な契約者であると認証されると、表示画面31と音声スピーカ32によってユーザーに起動ボタン35を押すように指示がなされる。ユーザーは起動ボタン35を押して再び車両に乗り込む。主制御部17は、ユーザーの認証内容によって入庫か出庫かを見分け、起動ボタン35が押されると同時に図2に示すパレット駆動機構25を起動させて空のパレット5を入出庫口3の位置に搬送させる。空のパレット5が到着すると、入出庫扉開閉制御部18と入出庫扉開閉機構22が自動的に入出庫扉11を開扉させ、同時に入出庫口3の上方に設けられた入庫管制灯38が赤から青に変わる。
【0034】
次に、ユーザーは、図5に示すように車両を前進させて入出庫口3に進入し、パレット5上の規定位置に車両を停車させる。図6に示すように、パレット5の前方となる壁面には電光板39が設けられており、この電光板39には、「前進」、「停車」、「後退」といった表示ランプ41,42,43と、各種の注意事項が記載された注意表示部44,45が設けられている。ユーザーは、電光板の「前進」の表示ランプ41が「停車」の表示ランプ42に切り替わるまで車両を前進させて停車する。前に進み過ぎた場合は「後退」の表示ランプ43が点灯するため、ユーザーは「後退」の表示ランプ43が「停車」の表示ランプ42に切り替わるまで車両を後退させて位置を調整する。
【0035】
車両をパレット5の規定位置に停車させたら、ユーザーはパーキングブレーキを掛けてエンジンを停止させ、ドアミラーが畳まれているか、アンテナが下がっているか、ドアや窓が開いていないか、貴重品が残ってないか等を確認し、図7に示すように降車してキーロックを掛ける。ここで、例えば車両がバッテリーの充電を要する電動車両であり、パレット5に充電用の充電用コンセントが設置されている場合には、ユーザーは充電用コンセントと、車体側に設けられた充電口との間を充電ケーブルで接続する作業を行い、図示しない操作部を操作して充電を開始させる。
【0036】
次に、ユーザーは、車庫装置4の外部に出て、図8に示すように再び操作盤12に向かい、第2の認証操作を行う。第2の認証操作は第1の認証操作と同様な操作である。この第2の認証操作では、第1の認証操作を行ったユーザーと、第2の認証操作を行ったユーザーとが同一人物であるか否かの判定が行われる。仮に第2の認証操作を行ったユーザーが第1の認証操作を行ったユーザーと異なる場合、例えば第1のユーザーが車庫装置4の中に居る時に次のユーザーが訪れて第1の認証操作を行った場合には、第1の認証操作と第2の認証操作の認証情報が一致しないため、表示画面31と音声スピーカ32によりエラー表示がなされ、機械式立体駐車場1は動作しない。このため、前のユーザーがまだ車庫装置4の中に居る状態で入出庫扉11が閉じられてパレット駆動機構25が起動してしまうことが防止される。
【0037】
第2の認証操作において、主制御部17の認証照合部21が第1の認証操作を行ったユーザーと同一であると判定すると、表示画面31と音声スピーカ32により、ユーザーに車庫装置4内の安全確認を行うよう報知がなされ、さらに安全確認が取れたら閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じるように指示がなされる。これに従いユーザーは車庫装置4内に人が残っていないかどうかを確認してから閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じる。
【0038】
操作盤12は入出庫口3の近傍に設けられていて、ここから車庫装置4の内部を目視可能であるため、ユーザーは庫内の安全確認をたやすく行うことができる。そして、入出庫扉11を閉じたユーザーは機械式立体駐車場1から立ち去ることができる。」

イ 甲4技術事項
上記アからみて、甲第4号証には、次の技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されているといえる。

(甲4技術事項)
「車庫装置内に人が取り残された状態で入出庫扉が閉じられてしまうことを防止して安全に運行することのできる機械式立体駐車場にユーザーが車両を入庫させる時の手順であって、
ユーザーは、操作盤12に向かい、第1の認証操作を行い、この第1の認証操作は、ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体を操作盤12に認識させることによって行われ、
第1の認証操作でユーザーが正式な契約者であると認証されると、表示画面31と音声スピーカ32によってユーザーに起動ボタン35を押すように指示がなされ、パレット5が到着すると、入出庫扉開閉制御部18と入出庫扉開閉機構22が自動的に入出庫扉11を開扉させ、
次に、ユーザーは、車両を前進させて入出庫口3に進入し、パレット5上の規定位置に車両を停車させ、
車両をパレット5の規定位置に停車させたら、ユーザーはパーキングブレーキを掛けてエンジンを停止させ、ドアミラーが畳まれているか、アンテナが下がっているか、ドアや窓が開いていないか、貴重品が残ってないか等を確認し、降車してキーロックを掛け、
次に、ユーザーは、車庫装置4の外部に出て、再び操作盤12に向かい、第2の認証操作を行い、この第2の認証操作では、第1の認証操作を行ったユーザーと、第2の認証操作を行ったユーザーとが同一人物であるか否かの判定が行われ、
同一であると判定すると、表示画面31と音声スピーカ32により、ユーザーに車庫装置4内の安全確認を行うよう報知がなされ、さらに安全確認が取れたら閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じるように指示がなされ、これに従いユーザーは車庫装置4内に人が残っていないかどうかを確認してから閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じる、入庫させる時の手順。」

(5)甲第5号証
ア 甲第5号証の記載
(ア)「【0032】
図5は、駐車装置1における車両の入出庫処理のフロー図である。本図を参照しながら、駐車装置1の入出庫処理及び利用者の動作について説明する。
【0033】
まず、車両を入出庫しようとする利用者は、駐車装置1のカード読取部25にICカード91を接触させる。待機状態(S202)にあった駐車装置1では、カード読取部25でICカード91が検出されて(S204)、電源が入り、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれる(S206)。そして、諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされる(S208)。この正当性チェックでは、例えば、利用者IDが正しいデータであるか否か、利用者に駐車装置1の操作の権限があるか否か、パレット番号が駐車装置1に存在するパレットか否かが確認される。このとき、読み込まれた利用者ID又はパレット番号が不当であると判断された場合は、ICカード91が正当なカードではなく、カードの保持者に駐車装置1の操作の権限がないものとみなして、処理はS202の待機状態へ戻る。
・・・
【0038】
続いて、車両の入出庫を終えた利用者は、操作盤23のロック解除ボタン34の操作(例えば、ボタンの押下)を行う。駐車装置1ではロック解除ボタン34の操作が検出され(S226)、操作ロック状態が解除される(S228)。このように、操作ロック状態を解除する際にロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促すことができる。」
(イ)図5は以下のとおり。




(6)甲第6号証
ア 甲第6号証の記載
甲第6号証には次の事項が記載されている。
(ア)「【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0009】
あるいは、契約利用者または駐車場管理者が入出庫操作を行っている最中に、何らかの事情により操作盤の前から離れた場合(例えば電動車両の充電作業のために乗入室の中に入っている時等)に、他の利用者が来場して操作盤を操作してしまい、入出庫扉を閉じて車両搬送機を起動させる可能性がある。そうなると、予期しない動作により、機械式駐車場設備の安全性が損なわれる懸念があり、駐車場の運行にも支障を来す。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、認証を容易にして利便性を高めるとともに、初回の認証から入出庫扉が開かれて入出庫が行われ、最後に入出庫扉が閉じられるまで、終始一貫して同一操作者により操作がなされるようにし、保安性および運用性を高めることができる機械式駐車場設備の制御装置、これを備えた機械式駐車場設備、および機械式駐車場設備の制御方法を提供することを目的とする。」
(イ)「【0060】
まず、演算処理部30aは、前述したように操作盤22の蓋34が開錠されると、操作画面35に図7に示す認証画面を表示し、契約利用者に認証ボタン51をタッチさせる。この認証ボタン51がタッチされると、契約利用者が所持する携帯認証媒体41から発信されている認証情報を元に契約利用者の初回認証が自動的に行われる。
・・・
【0064】
空きパレット18が乗入室7に到着すると、図10に示す入庫指示画面が表示されるとともに、入出庫扉4aが開く。契約利用者は車両2を運転して乗入室7に乗り入れる。車両2が乗入室7の定位置に停車すると、操作画面35の表示が図11に示す安全確認指示画面に変わり、「場内の安全を確認し、確認ボタンを押して下さい」という案内と、確認ボタン56が表示される。契約利用者は車両2のアンテナが格納されているか、ドアミラーが畳まれているか、ドアが開いていないか、エンジンが停止しているか、車体がパレットからはみ出していないか、等を一通り確認し、異常が無ければ確認ボタン56にタッチする。
【0065】
すると、図12に示す閉扉操作画面に変わり、「場内の無人を確認し、扉を閉めて下さい」という案内と、閉扉ボタン57が表示される。契約利用者は、場内の無人を再度確認してから閉扉ボタン57にタッチして入出庫扉4aを閉める。これで入庫操作が完了する。なお、出庫の場合は、図8〜図12中に表示されている「入庫」の文字が「出庫」となる。」
(ウ)「【0075】
ところで、制御装置50(演算処理部30a)は、契約利用者が入出庫扉4aを閉扉操作する際に、当該契約利用者の再認証を行い、その認証結果と、初回認証時における認証結果とが一致した場合にのみ入出庫扉4aの閉扉を許可する制御を実行するようになっている。
【0076】
この制御の流れを図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。このフローチャートにおいて、各制御ステップには符号S21,S22,S23…を付してある。
【0077】
この制御のスタート後、契約利用者が図12に示す閉扉ボタン57にタッチすると(S21)、契約利用者が所持している携帯認証媒体41から発信される認証情報がアンテナ43に取得され(S22)、認証情報の取得が成功したか否かが判定される(S23)。
【0078】
認証情報の取得に失敗した場合(S23→NO)には、入出庫扉4aの閉扉が不許可になる(S24)。また、認証情報の取得に成功した場合(S23→YES)には、取得された認証情報が主制御部30に送られ、データベースに記憶されているユーザー登録情報と照合される(S25)。
【0079】
次に、取得した認証情報がデータベースに記憶されている契約利用者の認証情報であるか否かが判定される(S26)。データベースに記憶されている契約利用者の認証情報ではない場合(S26→NO)には、入出庫扉4aの閉扉が不許可になる(S24)。
【0080】
また、取得した認証情報がデータベースに記憶されている契約利用者の認証情報である場合(S26→YES)には、この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定される(S27)。取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致しない場合(S27→NO)には、入出庫扉4aの閉扉が不許可になる(S24)。また、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合(S27→YES)には、入出庫扉4aの閉扉が許可され(S28)、制御が終了する。
【0081】
このように、入出庫扉4aが閉じられる前に、この閉扉操作を行っている契約利用者の再認証が行われ、この再認証の結果が初回認証の結果と一致した場合にのみ入出庫扉4aの閉扉が許可されるため、例えば初回認証を受けた契約利用者が操作盤22から離れた時(乗入室7の中に入った時等)に、認証を受けていない他の利用者が操作盤22を操作して入出庫扉4aを閉じてしまうことが規制される。」
(エ)図11、図12は以下のとおり。




イ 甲6技術事項
上記アからみて、甲第6号証には、次の技術事項(以下「甲6技術事項」という。)が記載されているといえる。

(甲6技術事項)
「認証ボタン51がタッチされると、契約利用者が所持する携帯認証媒体41から発信されている認証情報を元に契約利用者の初回認証が自動的に行われ、
空きパレット18が乗入室7に到着すると、入庫指示画面が表示されるとともに、入出庫扉4aが開き、
車両2が乗入室7の定位置に停車すると、操作画面35の表示が安全確認指示画面に変わり、確認ボタン56が表示され、確認ボタン56にタッチすると、閉扉操作画面に変わり、「場内の無人を確認し、扉を閉めて下さい」という案内と、閉扉ボタン57が表示され、
契約利用者は、場内の無人を確認してから閉扉ボタン57にタッチすると、認証情報が取得され、認証情報の取得が成功したか否かが判定され、認証情報の取得に成功した場合には、この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合には、入出庫扉4aの閉扉が許可され、入出庫扉4aが閉じられる前に、この閉扉操作を行っている契約利用者の再認証が行われ、この再認証の結果が初回認証の結果と一致した場合にのみ入出庫扉4aの閉扉が許可されるため、例えば初回認証を受けた契約利用者が操作盤22から離れた時(乗入室7の中に入った時等)に、認証を受けていない他の利用者が操作盤22を操作して入出庫扉4aを閉じてしまうことが規制される技術。」

(7)甲第7号証
ア 甲第7号証の記載
甲第7号証には次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はICカード等に代表される携帯用情報記憶媒体に関し、特に認証を要するメモリ領域に対して不当なアクセスがなされにくいセキュリティ性の高い携帯用情報記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】ICカードに代表される、内部にCPUを内蔵した情報記憶媒体は外部から命令をCPUに与えることによって、単なるメモリへのデータの書込み、読み出し等といった動作以外に、各種の演算、条件判断等を行わせることができる。そして、セキュリティ性を確保したいデータについては、該データが格納されるメモリ領域に対するアクセス権を設定しておいて、パスワードや暗号キー等と所定の認証データとを照合させることで不当なアクセスからデータを保護している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、或るメモリ領域に対するデータの記録/読出等のアクセス権を得る為に、単一の認証方法で単一の認証データとの照合を一回のみ行う様な認証方法では、多数の認証方法、多数の認証データをトライアルすることで不正行為者に、正規の認証方法、正規の認証データを解析されてしまう危険性もあり得る。そこで、或る一つのアクセス権を得るために用いる認証データも一つでなく複数用いることで、それら複数の論理和や論理積といった組合せ結果によって、最終的なアクセス許可を得ることも行われている。しかし、これも上記単一の場合の単なる組合せであるから、セキュリティ性は向上するも限界がある。特に、論理和や論理積といった時間的要素を含まないアクセス許可条件であるから、不正な解析にありがちな異常な順序の認証については何ら防御がなされていなかった。このため、従来の認証方法では高度なセキュリティ性は確保できないという問題があった。そこで、本発明の目的は、高度なセキュリティ性を確保できる携帯用情報記憶媒体を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の携帯用情報記憶媒体は、上記課題を解決し目的を達成するために、外部からの命令を実行する命令実行手段と、複数の認証データを格納する第1記憶手段と、利用データを格納する第2記憶手段と、を備えた携帯用情報記憶媒体において、第2記憶手段の中の認証を要する領域に対してデータの書込み或いは読出し等のアクセスをする際に、第1記憶手段に格納された認証データを用いた、複数回の認証を要し、認証方法と用いる認証データ及び該認証方法による連続認証成功回数と、さらに複数の認証方法による場合は認証方法の順番も含み、少なくとも2回の認証成功をアクセス許可条件とするアクセス制御情報を、前記第2記憶手段の領域に対応して記憶する第3記憶手段と、第2記憶手段の認証を要する領域に対してアクセスする為になされた認証要求のうち、少なくとも認証に成功した認証要求について、認証方法及び該認証方法の連続認証成功回数、且つ複数の認証方法が用いられた場合は認証方法の順番も含む、認証履歴を記憶する第4記憶手段と、命令実行手段からの認証要求に対して、少なくとも認証に成功した認証要求についての認証履歴を第4記憶手段に格納し、該認証履歴が前記アクセス制御情報が規定するアクセス許可条件を満足する場合のみ、第2記憶手段の所望の領域に対するアクセスを命令実行手段の命令毎に許可するアクセス制御手段と、を備えた構成とする。」

2 対比・判断
(1)本件訂正発明1
ア 対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「入出庫扉4a」及び「機械式駐車場設備100」は、それぞれ、本件訂正発明1の「出入口扉」及び「機械式駐車設備」に相当する。
(イ)本件訂正発明1の「開放置を復帰させる」とは、本件明細書によれば、「第1認証を行った利用者が第2認証を忘れて出入口扉を開放したまま機械式駐車設備から離れてしまう、閉め忘れの開放置」の状態であって、「次の利用者等」では「出入口扉を閉鎖する復帰方法がな」く、「次の入出庫操作を行うことができない状態」を、「適切に出入口扉を閉鎖」することで復帰させることと認められる(本件明細書段落【0005】【0006】【0008】)。
そうすると、甲1発明の「入出庫扉4aの閉め忘れに関する処理」において「閉め忘れ」た「入出庫扉4a」の「閉操作を行」うことは、本件訂正発明1の「開放置を復帰させ」ることに相当するといえる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)の対比を踏まえると、甲1発明の「機械式駐車場設備100」の「閉め忘れ」た「入出庫扉4a」の「閉操作を行」う「入出庫扉4aの閉め忘れに関する処理」は、本件訂正発明1の「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法」に相当するといえる。
(エ)甲1発明の「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」は、本件訂正発明1の「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者」に相当する。
(オ)甲1発明は、「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」が「操作盤22に対して認証操作を行い」、「認証に成功すると、」「入出庫扉4a」が「開け」られるものであるところ、この「認証操作」は、「正常に出庫される場合」の処理における「利用者」の「認証操作」同様、「認証情報を操作盤22へ送信」したり、「タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力する」ことで行われると理解できる。
そして、甲1発明の「扉閉忘処理が行われる場合」において、「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」を認証する処理を行うにあたって、「認証に成功する」場合、その前提として「認証操作」を行った「利用者」である「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」を認証する処理を行うものと認められる
以上のこと及び上記(エ)の対比を踏まえると、甲1発明の「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」が「操作盤22に対して認証操作を行」うことと、本件訂正発明1の「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、予め登録されると共に前記解除コードとは別である前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行」うこととは、「予め登録される前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行」うことで共通する。
(カ)甲1発明が、「認証に成功」し「入出庫扉4a」が「開け」られたことを前提に、「乗入階7の安全を確認した後に入出庫扉4aの閉操作を行」うことと、本件訂正発明1が「その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する」こととは、甲1発明において、「入出庫扉4a」(出入口扉)を閉鎖すれば、開放置の復帰操作が終了することは自明であるから、「その後、入出庫部内の確認を行った後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する」ことで共通する。
(キ)上記(ア)〜(カ)からみて、本件訂正発明1と甲1発明とは以下の一致点及び相違点を有する。

(一致点)
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
予め登録される前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の確認を行った後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」

(相違点1)
本件訂正発明1は、「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後」、「前記解除コードとは別である」「前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行」うのに対し、甲1発明は、「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行」うものではなく、復帰者の認証が「解除コードとは別」の「認証データ」ではない点。
(相違点2)
本件訂正発明1は、入出庫部内の確認が「無人確認」であり、「入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」するのに対し、
甲1発明は、乗入階7の確認が「安全」の「確認」であって、「入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行」うものではなく、また、「その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」するとも特定されていない点。

イ 判断
上記相違点1について検討する。
(ア)甲2発明の「自分の運転準備暗証コード等で駐車設備1を運転中に何らかの異常が生じた場合」に「復旧運転をする」ことと、本件訂正発明1の「機械式駐車設備」の「出入口扉の開放置を復帰」することとは、「機械式駐車設備に生じた異常を復旧する」点で共通し、甲2発明の「管理人や保守員」と本件訂正発明1の「出入口扉の開放置を復帰する復帰者」とは、「異常を復旧する」「復帰者」の点で共通する。
(イ)上記(ア)の対比を踏まえると、甲2発明の「管理人や保守員」が「復旧運転をする」ために「モード切替暗証コードを入力することによって」「管理人モードや保守モードとする」ことと、本件訂正発明1の「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行」うこととは、「復旧」をする「復帰者」が「コードを入力」して「復旧可能とする」点で共通するといえる。
(ウ)しかし、甲2発明において「復旧」をする「復帰者」が「復旧可能とする」際に「コードを入力」するのは、「管理人」や「保守員」などの作業をする者の属性を確認、認証してその属性に応じた復旧作業ができるようにするためのものと解するのが自然である。
(エ)一方、甲1発明は、「復帰者」である「次の出庫利用者」が「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識し」て操作盤22に対して認証操作を行うことによって、「入出庫扉4aの閉操作を行」うことができるものであって、「次の出庫利用者」の当該「認証操作」によって「復帰者」が認証されて入出庫扉の閉め忘れの復旧作業が可能な状態とされているといえる。
(オ)そうすると、甲1発明は、「復帰者」が「次の出庫利用者」であって、「次の出庫利用者」の「認証操作」によって入出庫扉の閉め忘れの復旧作業が可能な状態とされるものであるから、上記「次の出庫利用者」の認証に加えてさらに、甲2発明の「管理人モードや保守モード」となる別のコードを入力する動機付けはない。
(カ)甲第3号証には、管理人が常時駐在している状況と同じ程度に遠隔監視できるよう、遠隔監視制御センターが駐車場機械装置と通信し、駐車場機械装置や駐車場利用者へ指示を行うことについて記載されているが、出入口扉の開放置を復帰する復帰者の認証の態様については記載も示唆もない。
(キ)甲第4号証ないし甲第6号証は、駐車場機械装置の入出庫扉の閉操作時の認証を初回認証と一致させる技術に関するものであり、利用者の認証は行っているものの、出入口扉の開放置を復帰する復帰者の認証の態様については記載も示唆もない。
(ク)甲第7号証は、ICカード等の携帯用情報記憶媒体において、不当なアクセスからデータを保護するために複数回の認証を行うことに関するものであって、機械式駐車設備の出入口扉復帰に関し、記載も示唆もない。また、甲第7号証が複数回の認証を行うものであるとしても、甲1発明と技術分野が異なり、また、甲第7号証に記載された課題は、携帯用情報記憶媒体の認証方法を改善してデータへのアクセスに関して高度なセキュリティ性を確保することであって、甲1発明の課題と異なるものであるから、甲1発明に甲第7号証の「複数回の認証を行う」技術を採用する動機はない。
(ケ)以上検討したように、相違点1に係る構成は、甲1発明に甲第2号証ないし甲第7号証に記載された発明を適用することにより、当業者が容易になし得たものではない。

ウ 申立人の主張
(ア)申立人の主張について
本件訂正発明1が「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後」、「前記解除コードとは異なる」前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行うことについて、申立人は、概略以下の主張をしている。
甲第2号証の明細書段落【0054】、【0063】及び技術常識から、甲第2号証には、「駐車設備1の運転中に異常が生じた場合に、管理部から取得したモード切替暗証コードを入力することによって、復帰操作を開始する復旧開始モードに切り替えられる点が記載されている。甲第2号証に記載されるように、従来は、扉の閉め忘れ等の異常が発生した場合、管理人や保守員が復旧運転を行うのが一般的であったところ、甲1発明は、扉の閉め忘れに関しては管理人や保守員に限らずに、予め登録された利用者まで復旧権限を拡張したものであるから、甲1発明において、甲2に記載された上記技術事項を適用し、復旧者となり得る予め登録された利用者に「モード切替暗証コード(解除コード)」を付与しておき、扉に閉め忘れが検知された場合には、復旧者である次の利用者が管理部から与えられた「モード切替暗証コード」を入力することによって、扉の閉め忘れの復旧操作を開始するよう構成し、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(令和4年2月21日付け意見書(以下「申立人意見書」という。)第5頁最終行〜第7頁第6行。)
(イ)主張の検討
申立人の上記主張について検討する。
上記イ(ウ)で説示したように、甲2発明において「異常を復旧する復帰者」が「復旧可能とする」際に「コードを入力」するのは、「管理人」や「保守員」などの作業をする者の属性を確認、認証してその属性に応じた復旧作業ができるようにするためのものと解するのが自然であって、甲第2号証において、操作者の属性を離れて「モード切替暗証コードを入力することによって、復帰操作を開始する復旧開始モードに切り替えられる」ことまでもが記載されていると解することはできない。
そして、上記イ(エ)及び(オ)で検討したとおり、甲1発明は、「復帰者」である「次の出庫利用者」が「認証操作」を行うことによって、「入出庫扉4aの閉操作を行」うことができるものであるから、甲1発明の「次の出庫利用者」の認証に加えてさらに、甲2発明の「管理人モードや保守モード」となる別のコードを入力する動機付けはない。
そうすると、申立人が主張するように、甲第2号証の復旧者となり得る予め登録された利用者に「モード切替暗証コード(解除コード)」を付与しておき、扉に閉め忘れが検知された場合には、復旧者である次の利用者が管理部から与えられた「モード切替暗証コード」を入力するとの技術事項を甲1発明に採用するものとはならず、相違点2に係る発明の構成は、当業者といえども容易に想到し得たことではない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。

エ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

(2)本件訂正発明2について
ア 対比
本件訂正発明2と甲1発明とを対比する。
(ア)上記(1)ア(ア)〜(カ)においてした本件訂正発明1と甲1発明との対比は、本件訂正発明2と甲1発明との対比においても同様である。
(イ)そうすると、本件訂正発明2と甲1発明とは以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
予め登録される前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の確認を行った後で前記出入口扉を閉鎖する、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」

(相違点1’)
本件訂正発明2は、「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後」、「前記解除コードとは異なる」前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行うのに対し、甲1発明は、「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行」うものではなく、復帰者の認証が「解除コードと別の」認証データではない点。
(相違点3)
本件訂正発明2は、入出庫部内の確認が「無人確認」であり、
「入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」するのに対し、
甲1発明は、乗入階7の確認が「安全」の「確認」であって、「入出庫部内の無人確認を行った後で復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行」うものではなく、また、「その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」すると特定されていない点。

イ 判断
上記相違点1’について検討する。
相違点1’は、上記相違点1と同様の点であり、上記(1)イで本件訂正発明1について検討したのと同様の理由により、相違点1’に係る構成は、甲1発明に甲第2号証ないし甲第7号証に記載された発明を適用することにより、当業者が容易になし得たものではない。

ウ 申立人の主張
申立人の主張(申立人意見書第10頁第4〜6行)及びその検討については、上記(1)ウと同様である。

エ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

(3)本件訂正発明10
ア 対比
本件訂正発明10と甲1発明とを対比する。
甲1発明の機械式駐車場設備100は、主制御装置70及び立駐制御装置30を含む制御装置を備え、入出庫扉4aの閉め忘れに関する処理を行うものであるところ、「制御装置」が、「入出庫扉4aの閉め忘れに関する処理」を実行するように「制御する」ことは自明である。そうすると、甲1発明の「主制御装置70及び立駐制御装置30を含む制御装置を備え」る「機械式駐車場設備100」は、本件訂正発明10の「出入口扉復帰方法を制御する制御装置を備えている、」「機械式駐車設備」に相当するといえる。
そうすると、本件訂正発明10と甲1発明とは、上記(1)ア(キ)の相違点1及び相違点2もしくは上記(2)ア(イ)の相違点1’及び相違点3で相違し、その余の点で一致する。

イ 判断
少なくとも相違点1については、上記(1)イにおいて検討したとおりであり、相違点1’についても、上記(2)イにおいて検討したとおりである。

ウ 申立人の主張
申立人の主張及びその検討については、上記(1)ウと同様である。

エ 小括
以上のとおりであるから、相違点2又は3について検討するまでもなく、本件訂正発明10は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

第7 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断
1 特許法第29条第2項進歩性
(1)本件訂正発明3
ア 対比
本件訂正発明3と甲1発明とを対比する。
(ア)上記第6の2(1)ア(ア)〜(エ)においてした本件訂正発明1と甲1発明との対比は、本件訂正発明3と甲1発明との対比においても同様である。
(イ)甲1発明は、「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」が「操作盤22に対して認証操作を行」うものであるところ、この「認証操作」は、「正常に出庫される場合」の処理における「利用者」の「認証操作」同様、「認証情報を操作盤22へ送信」したり、「タッチパネルとされているディスプレイ画面41に、認証情報を入力する」ことで行われると理解できる。また、「認証情報」が駐車場を管理する「管理部」から与えられることは技術常識である。
以上のこと及び上記第6の2(1)ア(エ)の対比を踏まえると、甲1発明の「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」が「操作盤22に対して認証操作を行」うことと、本件訂正発明3の「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力」することに相当する。
(ウ)そして、本件訂正発明3は、「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行」うものであって、「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力」することが「復帰操作を開始する復帰開始処理を行」うことであると解されるところ、上記(イ)の対比を踏まえると、甲1発明は、本件訂正発明3と同様に、前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力するものであるから、それによって、「復帰操作を開始する復帰開始処理を行」うものといえる。
そうすると、甲1発明の「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」が「操作盤22に対して認証操作を行」うことは、本件訂正発明3の「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行」うことに相当するといえる。
(エ)甲1発明は、「認証に成功すると、機械式駐車装置1は、入出庫扉4aを開け(S506)」るものであるが、上記(イ)で検討したように、「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」が「操作盤22に対して認証操作を行」う際の「認証操作」は、「正常に出庫される場合の処理」における「利用者」の「認証操作」同様に行われると理解できる。また、「認証に成功する」場合に、その前提として「認証操作」を行った「利用者」を認証する処理を行うこと、認証を「予め登録される」「認証データ」の入力に基づいて行うことは技術常識である。
そして、上記技術常識を考慮すると、甲1発明の「扉閉忘処理が行われる場合」において、「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」を認証する処理を行うにあたって、「認証に成功する」場合、その前提として「認証操作」を行った「利用者」である「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者」を認証する処理を行うものと認められる。
そうすると、甲1発明の「入出庫扉4aの閉め忘れの発生を認識した次の出庫利用者は、操作盤22に対して認証操作を行い、認証に成功する」ことは、本件訂正発明3の「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、前記復帰者の認証を行う第1復帰認証処理を行」うことに相当するといえる。
(オ)甲1発明が、「認証に成功」したことを前提に、「乗入階7の安全を確認した後に入出庫扉4aの閉操作を行」うことと、本件訂正発明3が、「その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する」こととは、甲1発明において「入出庫扉4a」(出入口扉)を閉鎖すれば、開放置の復帰操作が終了することは自明であるから、「その後、入出庫部内の確認を行った後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する」ことで共通する。
(カ)上記(ア)〜(オ)からみて、本件訂正発明3と甲1発明とは以下の一致点及び相違点を有する。

(一致点)
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力した後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の確認を行った後で前記出入口扉を閉鎖する、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」

(相違点2’)
本件訂正発明3は、入出庫部内の確認が「無人確認」であり、「入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」するのに対し、
甲1発明は、乗入階7の確認が「安全」の「確認」であって、「入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行」うものではなく、また、「その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」するとも特定されていない点。
(相違点4)
本件訂正発明3は、「前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている」のに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点4について
事案に鑑み、まず、上記相違点4について検討する。
相違点4に係る構成は、甲第2号証ないし甲第7号証のいずれにも記載されていない。
また、甲1発明において本件訂正発明3の「解除コード」に相当するとしたのは、「次の出庫利用者」の「認証情報」である。そして、「認証情報」が、機械式駐車設備等の利用設備に記憶される対応する情報との同一性により正当な利用者を認めるべく、正当な利用者に予め付与される情報であることは技術常識である。
そうすると、正当な利用者に予め付与されるという「認証情報」の性質上、これを「前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている」ものとする動機付けはない。
よって、上記相違点4に係る構成は、甲1発明に甲第2号証ないし甲第7号証に記載された発明を適用することにより、当業者が容易になし得たものではない。

ウ 申立人の主張
(ア)申立人の主張について
上記相違点4に関し、申立人は概略以下の主張をしている。
甲第3号証には、遠隔監視制御センターから駐車場利用者に操作情報や指示情報を送信することが記載されている。
甲第3号証において、復帰者から出入口扉の開放置の連絡を受けた監視センター員がその都度指示するようにすることは、甲第3号証において自明な事項であるし、仮に自明な事項でないとしても、単なる設計事項に過ぎない。
(申立書第23頁第2〜9行)
(イ)主張の検討
甲第3号証には、遠隔監視制御センターが駐車場機械装置と通信し、駐車場機械装置や駐車場利用者へ指示を行うことが記載されているが、上記イで検討したように、相違点4に係る構成は、甲第3号証には記載されておらず、また、甲1発明において本件訂正発明3の「解除コード」に相当するとしたのは「次の出庫利用者」の「認証情報」であって、「前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示」される性質のものではないから、当該構成とすることが当業者が適宜なし得る設計事項であるともいえない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

エ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明3は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

(2)本件訂正発明4
ア 対比
本件訂正発明4と甲1発明とを対比する。
上記(1)アの本件訂正発明3と甲1発明との対比は、本件訂正発明4と甲1発明との対比でも同様であり、本件発明4と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。

(一致点)
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力した後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の確認を行った後で前記出入口扉を閉鎖する、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」

(相違点2’’)
本件訂正発明4は、入出庫部内の確認が「無人確認」であり、「入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」するのに対し、
甲1発明は、乗入階7の確認が「安全」の「確認」であって、「入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行」うものではなく、また、「その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」するとも特定されていない点。
(相違点5)
本件訂正発明4は、「前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている」のに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点5について
事案に鑑み、上記相違点5について検討する。
甲1発明において「解除コード」の入力による「復帰開始操作」と認定したのは、「次の出庫利用者」の「認証情報」の入力による第1認証処理に係る操作であって、機械式駐車場設備に車両を入出庫する利用者が入出庫を開始する際に通常行う手続であるから、「管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成」するものではない。
また、甲第3号証は、管理人が常時駐在している状況と同じ程度に遠隔監視できるよう、遠隔監視制御センターから駐車場装置を遠隔制御したり、駐車場利用者へ指示情報を送るものであって、異常が発生した場合や不慣れな駐車場利用者への対応等、駐車場の管理人が通常行うことが想定される内容について遠隔監視制御センターから駐車場装置を遠隔制御したり、駐車場利用者へ指示情報を送るものであるといえる。しかし、「次の出庫利用者」による「解除コード」の入力による「復帰開始操作」やそれに伴う管理部の対応は、通常管理人が行う内容として周知のものではなく、甲第3号証に遠隔監視制御センターから駐車場装置を遠隔制御することが記載されていたとしても、相違点5に係る構成とすることが当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
甲第2号証、甲第4号証ないし甲第7号証には、「前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている」ことについて、記載も示唆もない。
(イ)よって、相違点5に係る構成は、甲1発明に甲第2号証ないし甲第7号証に記載された発明を適用することにより、当業者が容易になし得たものではない。

ウ 申立人の主張
(ア)申立人の主張について
上記相違点5に関し、申立人は概略以下の主張をしている。
甲第3号証には、遠隔監視制御センターから駐車場装置を遠隔制御することが記載されている。甲第3号証において、復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた監視センター員が駐車場機械装置を遠隔制御し、次の利用者である復帰者による閉扉を可能とするために、解除コード入力可能状態に移行させることは、当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。
(イ)主張の検討
甲第3号証に遠隔監視制御センターから駐車場装置を遠隔制御することが記載されているとしても、相違点5に係る構成とすることが当業者が容易になし得たことでないことは、上記イ(ア)において検討したとおりである。
よって、申立人の上記主張は採用できない。

エ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明4は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

(3)本件訂正発明5ないし7について
本件訂正発明5ないし7は、本件訂正発明3または4の構成をすべて含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものである。
そうすると、上記(1)または(2)における判断と同様の理由により、本件訂正発明5ないし7は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

(4)本件訂正発明8について
ア 対比
本件訂正発明8と甲1発明とを対比する。
上記(1)アの本件訂正発明3と甲1発明との対比は、本件訂正発明8と甲1発明との対比でも同様であり、本件発明8と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。

(一致点)
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力した後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の確認を行った後で前記出入口扉を閉鎖する、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」

(相違点3’)
本件訂正発明8は、入出庫部内の確認が「無人確認」であり、
「入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」するのに対し、
甲1発明は、乗入階7の確認が「安全」の「確認」であって、「入出庫部内の無人確認を行った後で復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行」うものではなく、また、「その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」すると特定されていない点。
(相違点4’)
本件訂正発明8は、「前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている」のに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点4’について
事案に鑑み、まず、上記相違点4’について検討する。
上記相違点4’は、上記(1)アの上記相違点4と同様の点であり、上記(1)イで検討したとおり、相違点4’に係る構成は、甲1発明に甲第2号証ないし甲第7号証に記載された発明を適用することにより、当業者が容易になし得たものではない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

(5)本件訂正発明9について
ア 対比
本件訂正発明9と甲1発明とを対比する。
上記(2)アの本件訂正発明4と甲1発明との対比は、本件訂正発明9と甲1発明との対比でも同様であり、本件訂正発明9と甲1発明とは、以下の一致点、相違点を有する。

(一致点)
「出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力した後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の確認を行った後で前記出入口扉を閉鎖する、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。」

(相違点3’’)
本件訂正発明9は、入出庫部内の確認が「無人確認」であり、
「入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」するのに対し、
甲1発明は、乗入階7の確認が「安全」の「確認」であって、「入出庫部内の無人確認を行った後で復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行」うものではなく、また、「その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖」すると特定されていない点。
(相違点5’)
本件訂正発明9は、「前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている」のに対し、甲1発明は、そのように特定されていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点5’について
事案に鑑み、まず、上記相違点5’について検討する。
上記相違点5’は、上記(2)アの上記相違点5と同様の点であり、上記(2)イで検討したとおり、相違点5’に係る構成は、甲1発明に甲第2号証ないし甲第7号証に記載された発明を適用することにより、当業者が容易になし得たものではない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明9は、甲第1号証ないし甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)
(1)申立人の主張の概要
申立人は、申立書及び申立人意見書において、概略、次のとおり主張している。
ア 第1復帰認証処理について
(ア)本件明細書の段落【0048】及び【0049】の記載によれば、「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」のは、「第1復帰認証操作」であって「第1復帰認証処理」ではない。
そうすると、請求項5の「第1復帰認証処理」が「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」点については、発明の詳細な説明に記載されていない。
(申立書第25頁第8行〜第26頁第5行、同頁第7〜10行)
(イ)本件明細書の段落【0048】ないし【0050】の記載によれば、「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」のは、「第1復帰認証操作」であって「第1復帰認証処理」ではない。
そうすると、請求項6の「第1復帰認証処理」が「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」点については、発明の詳細な説明に記載されていない。
(申立書第26頁第17行〜第27頁第21行、同頁第23〜26行)

イ 開扉放置処理と解除コード取得の先後について
(ア)本件明細書には、「機械式駐車設備における出入口扉の開放置が生じた場合、次の利用者などの復帰者が適切に出入口扉を閉鎖できる」との課題(【0008】)の解決のために、出入口扉の開放置が発生した後に、復帰者が管理部から解除コードを取得することのみが発明として記載され(【0045】−【0047】、【0062】)、「開放置放置処理(S20)」が行われる以前に復帰者が「解除コード」を管理部から取得していることについては何ら言及されていない。
訂正後の請求項1には、出入口扉の開放置が発生した後に、復帰者が管理部から解除コードを得るとの内容が反映されていないから、訂正後の請求項1には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであるから、サポート要件を満たさない。
(申立人意見書第2頁第7行〜第3頁第24行)
(イ)訂正後の請求項2は、訂正後の請求項1と同様の理由により、サポート要件を満たさない。訂正後の請求項1または2を引用する請求項10も同様である。
(申立人意見書第8頁第4〜9行、第11頁第3〜4、7〜8行)

(2)当審の判断
ア 本件明細書及び図面の記載
本件明細書及び図面には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車設備における出入口扉の閉め忘れなどによる開放置の復帰方法とそれを備えた機械式駐車設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械式駐車設備においては、入出庫を行っている利用者(この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「利用者」は、「運転者」、「操作者」を含む。)が入出庫部内に居るときに、他の利用者が、前の利用者が入出庫部内に居ることに気付かずに運転盤を操作して前の利用者を入出庫部内に閉じ込めることがないように、開扉操作を行った利用者が、入出庫部内の無人確認を行った後、閉扉操作を行うようにしている。
【0003】
この種の先行技術として、入出庫の際に、出入口扉を開く前にユーザーの認証を行う第1の認証処理を行い、出入口扉を閉じる前にユーザーの認証を再度行う第2の認証処理を行い、第1の認証処理の認証情報と第2の認証処理の認証情報とを照合し、照合結果が一致した場合にのみ出入口扉を閉じる閉扉操作を入力して閉扉処理が行えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、利用者が操作する機械式駐車設備において、上記した特許文献1のように、出入口扉を開放する前の第1認証と、出入口扉を閉める前の第2認証とが一致したことを条件に出入口扉を閉鎖できるようにした機械式駐車設備の場合、出入口扉の開閉は利用者の操作に委ねられている。このため、第1認証を行った利用者が第2認証を忘れて出入口扉を開放したまま機械式駐車設備から離れてしまう、閉め忘れの開放置が生じることがある。
【0006】
そして、出入口扉の開放置が生じた場合、次の利用者等では先の利用者の第1認証と一致する第2認証が行えないため、出入口扉を閉鎖する復帰方法がない。そのため、出入口扉の開放置が生じた場合、次の利用者が次の入出庫操作を行うことができない状態が長時間続くことになる。
【0007】
このため、特許文献1では、出入口扉の開放置が生じた場合の復帰手段として、専用の認証一致手段を与えられた入出庫口近傍又は遠隔位置の管理人室に駐在する管理者または保守作業員自身が現地で対応できるようにしている。しかし、即座に対応することは難しく、復旧までに多大な時間を要する。このため、長時間、入出庫ができない場合が多くある。
【0008】
そこで、本発明は、機械式駐車設備における出入口扉の開放置が生じた場合、次の利用者などの復帰者が適切に出入口扉を閉鎖できる復帰方法とそれを備えた機械式駐車設備を提供することを目的とする。」
(イ)「【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る機械式駐車設備の出入口復帰方法は、出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する。
また、出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、その後、入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する。
この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「管理部」は、駐車設備の管理者、コールセンター、サービスセンターなどや、これらの連携を含む。上記復帰開始処理としては、解除コードとして固定コードなどを入力する処理などが含まれる。上記復帰者の第1復帰認証処理としては、例えば、暗証番号、リモコン、登録カード、指紋、静脈、などの手段を用いることができる。上記無人確認処理における「起動許可操作」は、無人確認操作と閉扉操作を含む。
【0010】
これらの構成によれば、解除コードを入力することで、機械式駐車設備の制御装置に対して出入口扉の開放置を復帰する復帰開始処理が開始されることを認識させる。その後、復帰者が第1復帰認証処理を行い、無人確認処理と第2復帰認証処理とを行う。これにより、復帰者の第1復帰認証処理と第2復帰認証処理との情報が照合され、照合結果が一致した後で出入口扉を閉鎖することが可能となる。このように、出入口扉の開放置の場合、前操作者の第1認証が記憶されている状態であるため、復帰者が第2認証を入力しても照合不一致となる事でエラー処理となる。しかし、解除コードを入力することで復帰処理が開始されると判断され、復帰者の第1復帰認証と第2復帰認証との照合一致により閉扉動作が可能となる。これにより、次の利用者などの復帰者によって、出入口扉の閉め忘れによる開放置を早期に復帰させることができる。
・・・
【0015】
また、前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されていてもよい。
【0016】
このように構成すれば、出入口扉の閉め忘れ開放置が生じた場合の復帰開始処理を、復帰者の認証によって適切に行うことができる。
【0017】
また、前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されていてもよい。このように構成すれば、出入口扉の閉め忘れによる開放置が生じた場合の復帰開始処理を、復帰者の認証によって適切に行うことができる。しかも、出入口扉の開放置を行った利用者を記録することもでき、次の利用時に注意を促すこともできる。」
(ウ)「【発明を実施するための形態】
・・・
【0022】
(機械式駐車設備における入出庫部の構成)
図1は、この実施形態に係る機械式駐車設備1の入出庫部3における構成を示す平面図である。この機械式駐車設備1は、矩形状に形成された駐車塔2の正面側に入出庫口4が設けられている。入出庫口4には、出入口扉5が備えられている。また、入出庫口4の近傍の側方(図では右方)には、機械式駐車設備1の運転操作を行う運転盤7が設けられている。この実施形態では、運転盤7と制御装置8が一体となった例を示している。制御装置8には、契約した利用者(以下、「契約者」ともいう)と、後述する復帰者(契約した利用者)の第1認証処理及び第2認証処理における認証データが予め登録されている。制御装置8には、これらのデータ及び後述する出入口扉5の開閉を含む制御方法を記憶する記憶部(記憶メモリなど)が備えられている。
・・・
【0026】
また、上記運転盤7は、第1認証操作及び第2認証操作を行う装置を兼ねており、利用者は運転盤7において、認証手段によって第1認証操作及び第2認証操作を行うようになっている。認証手段としては、例えば、運転盤7に、暗証番号による認証、IDカードによる認証、リモコンによる認証、その他、指紋、静脈、などによる生体認証、など、様々な手段による認証が可能な認証装置20を備えさせることができる。この実施形態では、画面を有する認証装置20を有している。なお、認証装置20は、運転盤7ではなく出入口扉5の近傍に独立して備えさせてもよい。
・・・
【0028】
また、運転盤7には、復帰者を認証する復帰者認証部が備えられている。この実施形態では、上記認証装置20の画面が復帰者認証部を兼ねている。復帰者認証部における復帰者の認証手段としては、暗証番号による認証、IDカードによる認証、リモコンによる認証、その他、指紋、静脈などによる生体認証、など、様々な手段を利用できる。」
(エ)「【0030】
(機械式駐車設備における入出庫フロー)
図2は、図1に示す機械式駐車設備における入出庫フローを示すフロー図である。開始後、第1認証操作が実行されたか否か判定される(S1)。そして、第1認証操作が実行されると、その第1認証データが契約者の認証データと一致するか否かが判定される(S2)。契約者の認証データと一致しない場合、エラー表示処理がなされて(S3)、第1認証操作を待つ状態(S1)に戻る。
【0031】
第1認証操作の第1認証データが契約者の認証データと一致することが照合されると、第1認証処理が完了する(S4)。これにより、機械式駐車設備1において、搬送呼出処理が行われて、呼出しパレット6が入出庫部3まで搬送される(S5)。呼出しパレット6が入出庫部3に到着すると、開扉処理が実行されて(S6)、出入口扉5が自動的に開放される。その後、入庫であれば、車両Vを呼出しパレット6に搭載する。出庫であれば、呼出しパレット6の車両Vに乗り込んで退出する。
・・・
【0039】
上記第2認証操作(S11)が所定時間内に実行されると(S12)、第2認証操作の第2認証データが契約者の認証データと一致することが照合され、第2認証処理が行われる(S13)。なお、次の照合処理S14で、第1認証処理S4で契約者の認証データとの一致を照合済みである第1認証データとの照合処理を行うため、第2認証処理S13を省略してもよい。そして、上記第1認証処理(S4)における第1認証データと第2認証処理(S13)における第2認証データとが一致するか否かの照合処理がなされる(S14)。なお、第1認証操作と第2認証操作は、異なる方法、例えば、第1認証を暗証番号データの入力で行ない、第2認証をIDリモコンによるIDデータ送信で行うことなどができる。この場合、予め登録処理において、第1認証用の第1認証データと第2認証用の利用者用認証データを関連付けて登録しておき、照合処理では、第1認証処理での第1認証データに対応する第2認証用の利用者認証データを第2認証データと照合する(S14)。
・・・
【0041】
そして、この照合処理(S14)において、第1認証処理の第1認証データと第2認証処理の第2認証データとが一致した場合、閉扉動作(閉扉処理)が実行される(S16)。この閉扉動作は、第2認証操作後、第1認証との照合が一致した後、音声、ブザー、画面表示、ランプ等により閉扉動作が開始されることを利用者に報知し、報知後に所定時間(例えば、5秒〜10秒程度)を経過すると閉扉動作を開始するようにしてもよい。そして、出入口扉5が閉鎖されることで、終了する。」
(オ)「【0043】
(出入口扉の閉め忘れ復帰操作)
図3は、図2に示すフロー図において出入口扉5の開放置を生じた場合の出入口扉復帰方法を示すフロー図である。機械式駐車設備1は、上記図2における通常フローにおいて運用されるが、利用者が上記起動許可操作(S8)または第2認証操作(S11)の実行を忘れて所定時間を経過した場合(S9)または(S12)、機械式駐車設備1は安全確認報知処理(S7)の状態のままとなる。この状態が長く続くと、出入口扉5が開放されたままの閉め忘れ開放置の状態となる。
【0044】
出入口扉5の開放置が生じたと判定する条件としては、上記所定時間経過(S9)及び(S12)の判定において、例えば開扉処理(S6)の後、センサ10〜15が人又は車両Vの侵入検知後に退出を検知したときから所定時間(例えば5〜10秒程度)経過したときや、開扉処理(S6)の後、所定時間(例えば40秒〜1分)経過したときなどとすることができる。この場合、この実施形態では、機械式駐車設備1によって開扉放置報知処理(S20)が行われる。この開扉放置報知処理(S20)としては、例えば、「出入口扉の開放置が生じています。コールセンターに連絡して復帰操作を行ってください」などの報知を行うことができる。報知としては、音声、画面表示の他、ブザー、ランプなどで行うことができる。
【0045】
開扉放置報知処理(S20)が行われると、次の利用者は、開扉放置を復帰させる復帰者となる。復帰者は、コールセンター30(管理部)に電話などで解除コードを確認する(S21)。この解除コードとしては、復帰者から出入口扉5の閉め忘れ開放置の連絡を受けた管理部がその都度指示する。このようにすることで、出入口扉5の閉め忘れ開放置が生じた場合、コールセンター30において、解除コードをその都度指示することになり、利用者のみではなくコールセンター30を含む適切な復帰操作を行うことができる。
【0046】
解除コードとしては、例えば、「9999+*」等の固定コードの他、曜日、時間等で解除コードを変化させることができる。解除コードを変化させれば、利用者による解除コードの覚え込みを防止できる。
【0047】
そして、復帰者は、コールセンター30から得た解除コードを運転盤7で入力する(S22)。これにより、機械式駐車設備1では復帰操作を開始する復帰開始処理が行われる。これにより、出入口扉5の閉め忘れ開放置の復帰処理が開始すると判断される。復帰開始処理としては、復帰者から出入口扉5の閉め忘れ開放置の連絡を受けたコールセンター30が、機械式駐車設備1に対して遠隔操作で行う解除コード入力可能状態に移行させた後に可能となるようにしてもよい。このようにすれば、管理部による遠隔操作によって解除コード入力可能状態に移行させなければ、復帰者による解除コードの入力が可能とならないので、管理部による管理がより厳格な復帰開始処理を行うことができる。解除コードを入力することで、機械式駐車設備1において、出入口扉5の閉め忘れ開放置の復帰操作が可能となる。
【0048】
まず、復帰者を認証する第1復帰認証操作が実行されたか否かが判定される(S23)。上記復帰者の第1復帰認証操作としては、例えば、暗証番号、リモコン、登録カード、指紋、静脈、などの認証手段を用いることができる。この第1復帰認証操作は、上記解除コードの入力後、実行されない状態で所定時間経過すると(S24)、上記解除コードの入力(S22)がキャンセルされて、開扉放置報知処理の状態(S20)に戻るようにしている。この所定時間(S24)としては、例えば、5〜10秒程度に設定できる。
【0049】
上記第1復帰認証操作が実行されると、この第1復帰認証操作の第1復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第1復帰認証処理が行われる(S25)。この第1復帰認証操作は、出入口扉5を閉め忘れた前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて復帰者の認証を有効とするようにしてもよい。このようにすれば、出入口扉5の閉め忘れ開放置が生じた場合の復帰開始処理を、復帰者の認証手段によって適切に行うことができる。ここで、先の利用者による出入口扉5の開放が入庫、出庫のいずれの操作で行われたかを判定し、第1認証データを後で利用する必要がない出庫の場合だけ書き換えを行うようにしてもよい。こうすることで処理を簡素化することができる。
【0050】
また、第1復帰認証操作は、出入口扉5を閉め忘れた前利用者の第1認証処理のデータを無効にして復帰者の認証を有効とするようにしてもよい。このようにすれば、出入口扉5の閉め忘れ開放置が生じた場合の復帰開始処理を、復帰者の認証手段によって適切に行うことができる。しかも、出入口扉5の閉め忘れを行った利用者を記録することもでき、次の利用時に注意を促すこともできる。なお、先の利用者が入庫を行なおうとしていた場合は、その先の利用者の車両を第1認証データと関連付けて格納しているので、出庫の際には車両Vを適切に選択して搬出することができる。
・・・
【0056】
その後、復帰者による第2復帰認証操作が実行された否かが判定される(S30)。この第2復帰認証操作が実行されずに所定時間を経過すると(S31)、上記開扉放置報知処理の状態(S20:(C))、もしくは第1復帰認証操作を実行する前の状態(S23:(D))のいずれかに戻るようにしている。この所定時間(S31)としては、例えば、5〜10秒程度に設定できる。
・・・
【0058】
そして、第2復帰認証操作が実行されると(S30)、この第2復帰認証操作の第2復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第2復帰認証処理がなされる(S32)。なお、次の照合処理S33で、第1復帰認証処理S25で契約者の認証データとの一致を照合済みである第1復帰認証データとの照合処理を行うため、第2復帰認証処理S32を省略してもよい。その後、第1復帰認証処理(S25)の情報と第2復帰認証処理(S32)の情報とが照合(照合処理)される(S33)。この照合処理で、照合結果が一致しない場合、エラー表示処理がなされて(S34)、上記開扉放置報知処理の状態(S20:(E))、もしくは第1復帰認証操作を実行する前の状態(S23:(F))のいずれかに戻る。なお、この場合、起動許可操作を実行する前の状態(S27:(G))か、閉扉起動のための認証操作アナウンスが行われている状態(S29:(H))のいずれかに戻るようにしてもよい。
【0059】
そして、照合結果が一致することで上記出入口扉5の閉鎖動作が実行される(S35)。これにより、出入口扉5の開放置を生じた場合の復帰操作が終了する。」
(カ)図2及び図3は以下のとおり
「【図2】


「【図3】



イ 第1復帰認証処理について
(ア)請求項5の「第1復帰認証処理」が「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」点及び請求項6の「第1復帰認証処理」が「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」点については、発明の詳細な説明に記載されている(上記ア(イ)中の段落【0015】【0017】)。
(イ)また、発明を実施するための形態(上記ア(ウ)ないし(カ))では、「上記第1復帰認証操作が実行されると、この第1復帰認証操作の第1復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第1復帰認証処理が行われる」(上記ア(オ)中の段落【0049】)と記載されており、「第1復帰認証処理」は、制御装置による第1復帰認証データの照合と一致不一致の判定を意味していると解される。
(ウ)そうすると、請求項5の「第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている」について、段落【0049】(上記ア(オ))に「第1復帰認証操作は、出入口扉5を閉め忘れた前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて復帰者の認証を有効とするようにしてもよい。」と記載されているのは、「第1復帰認証操作」が実行されることによって「第1復帰認証データ」が取得され、「第1復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第1復帰認証処理が行われ」るものであり、その際に、制御装置による「第1復帰認証処理」が、復帰者の認証データによって後続する出入口扉閉鎖が可能となるように、「第1復帰認証データ」と「契約者の認証データ」との照合及び一致不一致の判定を行う際に、「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている」ものと理解できるから、請求項5の「第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている」は、発明の詳細な説明に記載されている。
(エ)上記(ウ)と同様、請求項6の「前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、」について、段落【0050】(上記ア(オ))に「第1復帰認証操作は、出入口扉5を閉め忘れた前利用者の第1認証処理のデータを無効にして復帰者の認証を有効とするようにしてもよい。」と記載されているのは、「第1復帰認証操作」が実行されることによって「第1復帰認証データ」が取得され、「第1復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第1復帰認証処理が行われ」るものであり、その際に、制御装置による「第1復帰認証処理」が、復帰者の認証データによって後続する出入口扉閉鎖が可能となるように、「第1復帰認証データ」と「契約者の認証データ」との照合及び一致不一致の判定を行う際に、「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている」ものと理解できるから、請求項6の「前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、」は、発明の詳細な説明に記載されているといえる。

ウ 開扉放置処理と解除コード取得の先後について
(ア)訂正後の請求項1、2及び10については、発明の詳細な説明(本件明細書の段落【0043】〜【0059】)に記載されている。
(イ)申立人は、解除コードを復帰者が管理部から得るのが開放置の発生より後であることを特定しない訂正後の請求項1、2及び10は、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えると主張する。
(ウ)しかし、本件特許の発明の課題とされる「機械式駐車設備における出入口扉の開放置が生じた場合、次の利用者などの復帰者が適切に出入口扉を閉鎖できる復帰方法とそれを備えた機械式駐車設備を提供する」ことは、復帰者が解除コードを得ていれば機械式駐車設備における出入口扉の開放置が生じた場合に解除コードを入力して復帰開始処理を行い、復帰者が適切に出入口扉を閉鎖できるから、解決することができるといえる。
また、復帰者以外の者が解除コードを知得しているか否かは、課題の解決に無関係であるから、解除コードを復帰者が管理部から得るのが開放置の発生より後であることを特定しないことによって、発明の課題を解決するための手段が反映されておらず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものとなっているとはいえない。

3 特許法第36条第6項第2号明確性要件)
(1)申立人の主張の概要
申立人は、申立書及び令和4年2月21日提出の申立人意見書において、概略、次のとおり主張している。
ア 請求項5について
(ア)本件明細書の段落【0048】及び【0049】の記載によれば、「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」のは、「第1復帰認証操作」であって「第1復帰認証処理」ではない。そうすると、請求項5の記載と本件明細書の記載に矛盾が生じており、請求項5の発明特定事項に技術的な不備がある。
(申立書第25頁第8行〜第26頁第7行)
(イ)請求項5の「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」との発明特定事項は、「前利用者の第1認証処理のデータ」を何のデータに書き換えるのか不明であり、また、「前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」の意味が不明であるから、発明が明確でない。
(申立書第26頁第11〜15行)

イ 請求項6について
(ア)本件明細書の段落【0048】及び【0050】の記載によれば、「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」のは、「第1復帰認証操作」であって「第1復帰認証処理」ではない。そうすると、請求項6の記載と本件明細書の記載に矛盾が生じており、請求項6の発明特定事項に技術的な不備がある。
(申立書第26頁第17行〜第27頁第23行)
(イ)請求項6の「前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」の意味が不明であるから、発明が明確でない。
(申立書第27頁第27〜28行)

ウ 訂正後の請求項1について
出入口扉の開放置が発生する前に「解除コード」が復帰者に付与されている場合も含まれる。そのような場合には、そもそも当該機械式駐車装置の利用者全員が復帰者になり得るから、利用者全員に予め解除コードを付与する必要がある。しかしながら、そのように解釈する場合、出入口扉の開放置が発生することにより「復帰者」が特定されるのであるから、「前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して」との発明特定事項と著しく矛盾することとなる。よって、「解除コード」が出入口扉の開放置が発生する前に復帰者(利用者全員)に付与されていることを含む訂正後の請求項1は明確でない。
(申立人意見書第3頁第26行〜第4頁第7行)

エ 訂正後の請求項2及び10について
訂正後の請求項2及び10は、訂正後の請求項1と同様の理由により、明確性要件を満たさない。訂正後の請求項1または2を引用する請求項10も同様である。
(申立人意見書第8頁第4〜6、9〜11行、第11頁第3〜4、7〜8行)

(2)当審の判断
ア 請求項5について
(ア)上記(1)ア(ア)について
請求項5に「第1復帰認証処理」は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されていると記載されていることについては、上記1(2)イ(ウ)で検討したとおり、本件明細書段落【0049】に「第1復帰認証操作は、出入口扉5を閉め忘れた前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて復帰者の認証を有効とするようにしてもよい。」と記載されているのは、「第1復帰認証操作」が実行されることによって「第1復帰認証データ」が取得され、「第1復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第1復帰認証処理が行われ」るものであり、その際に、制御装置による「第1復帰認証処理」が、復帰者の認証データによって後続する出入口扉閉鎖が可能となるように、「第1復帰認証データ」と「契約者の認証データ」との照合及び一致不一致の判定を行う際に、「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている」ものと理解できるから、請求項5の発明特定事項に技術的な不備があるものではなく、発明は明確である。
(イ)上記(1)ア(イ)について
a 請求項5の「第1認証操作」と「第1復帰認証操作」とについて、「第1認証操作」がその「実行」により、「第1認証操作の第1認証データが契約者の認証データと一致するか否かが判定される(S2)」とのステップの後、「第1認証操作の第1認証データが契約者の認証データと一致することが照合されると、第1認証処理が完了する(S4)」ものであり、「第1復帰認証操作」がその「実行」により「第1復帰認証操作の第1復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第1復帰認証処理が行われる(S25)」(【0049】)ものである。そうすると、「第1認証操作」と「第1復帰認証操作」とは、「入出庫フロー」における認証操作か「出入口扉の閉め忘れ復帰操作」における認証操作かで相違するものの、いずれも、認証操作により「認証データ」を取得し、取得した「認証データ」が「契約者の認証データと一致するか否か」が判定されるものである。
b 「第2認証操作」と「第2復帰認証操作」とについては、上記aで検討した「第1認証操作」と「第1復帰認証操作」とについてと同様、それぞれ、「第2認証操作」がその実行により「第2認証操作の第2認証データが契約者の認証データと一致することが照合され、第2認証処理が行われる(S13)」(【0039】)ものであり、「第2復帰認証操作」が「第2復帰認証操作の第2復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第2復帰認証処理がなされる(S32)」(【0058】)ものであって、「入出庫フロー」における認証操作か「出入口扉の閉め忘れ復帰操作」における認証操作かで相違するものの、いずれも、認証操作により「認証データ」を取得し、取得した「認証データ」が「契約者の認証データと一致するか否か」が判定されるものである。
c そして、本件特許の請求項5に係る発明は、「出入口扉の開放置が生じた場合、次の利用者等では先の利用者の第1認証と一致する第2認証が行えない」(本件明細書段落【0006】)という不都合、すなわち、出入口扉を閉め忘れた前利用者の「第1認証データ」が残されたままとされて先の利用者の「第2認証データ」と一致させることができず「出入口扉5が閉鎖され」ない不都合を解消するために、「前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている」ものであるから、「前利用者の第1認証処理のデータ」を復帰者の第1復帰認証処理のデータに書き換えるものであり、「前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」とは、この復帰者の第1復帰認証のデータについて、第2復帰認証処理のそれと照合できるものとし、照合結果が一致した場合に出入口扉を閉鎖できるものとすることを意味することは明白である。

イ 請求項6について
(ア)上記(1)イ(ア)について
請求項6に「前記第1復帰認証処理」は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されていると記載されていることについて、本件明細書段落【0050】に「第1復帰認証操作は、出入口扉5を閉め忘れた前利用者の第1認証処理のデータを無効にして復帰者の認証を有効とするようにしてもよい。」と記載されているのは、「第1復帰認証操作」が実行されることによって「第1復帰認証データ」が取得され、「第1復帰認証データが契約者の認証データと一致するか否かが照合され、一致することで第1復帰認証処理が行われ」るものであり、その際に、制御装置による「第1復帰認証処理」が、復帰者の認証データによって後続する出入口扉閉鎖が可能となるように、「第1復帰認証データ」と「契約者の認証データ」との照合及び一致不一致の判定を行う際に、「前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている」ものと理解できるから、請求項6の発明特定事項に技術的な不備があるものではなく、発明は明確である。
(イ)上記(1)イ(イ)について
請求項6の「前記復帰者の第1復帰認証を有効とする」の意味は、上記ア(イ)で請求項5について検討したのと同様であって、発明は明確である。

ウ 上記(1)ウについて
訂正後の請求項1は、扉の開放置を復帰する「復帰者」が解除コードを知得していれば当該解除コードを入力して復帰操作を開始し、出入口扉の開放置を復帰させることができるものであり、解除コードの知得と開放置発生の先後や、復帰者以外の者が解除コードを知得しているか否かによって当該事情が変わるものではない。よって、発明は明確である。

エ 上記(1)エについて
上記ウと同様の理由により、発明は明確である。

第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び申立人が申し立てた特許異議申立及び証拠によっては本件訂正発明1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。また、他に本件訂正発明1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
予め登録されると共に前記解除コードとは別である前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する、
ことを特徴とする機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項2】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
予め登録されると共に前記解除コードとは別である前記復帰者の認証データの入力に基づいて前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了する、
ことを特徴とする機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項3】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項4】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
その後、前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項5】
前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを書き換えて前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、
請求項3又は4に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項6】
前記第1復帰認証処理は、前記出入口扉を開放置した前利用者の第1認証処理のデータを無効にして前記復帰者の第1復帰認証を有効とするように構成されている、
請求項3又は4に記載の機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の出入口扉復帰方法を制御する制御装置を備えている、
ことを特徴とする機械式駐車設備。
【請求項8】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記解除コードは、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部がその都度指示するように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項9】
出入口扉の開放置を復帰させる機械式駐車設備の出入口扉復帰方法であって、
前記出入口扉の開放置を復帰する復帰者が管理部から得た解除コードを入力して復帰操作を開始する復帰開始処理を行った後、
前記復帰者を認証する第1復帰認証処理を行い、
その後、入出庫部内の無人確認を行った後で前記復帰者の認証を行う第2復帰認証処理を行い、
その後、起動許可操作を行う無人確認処理を行い、
前記第1復帰認証処理と前記第2復帰認証処理との情報を照合し、照合結果が一致した後で前記出入口扉を閉鎖して復帰操作を終了し、
前記復帰開始処理は、前記復帰者から前記出入口扉の開放置の連絡を受けた前記管理部が遠隔で行う解除コード入力可能状態に移行させる操作の後に可能となるように構成されている、
機械式駐車設備の出入口扉復帰方法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の出入口扉復帰方法を制御する制御装置を備えている、
ことを特徴とする機械式駐車設備。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照
異議決定日 2022-04-07 
出願番号 P2016-134010
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (E04H)
P 1 651・ 121- YAA (E04H)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 住田 秀弘
特許庁審判官 土屋 真理子
西田 秀彦
登録日 2020-11-04 
登録番号 6788398
権利者 新明和工業株式会社
発明の名称 機械式駐車設備の出入口扉復帰方法及び機械式駐車設備  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  

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