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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
管理番号 1386119
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-05-21 
確定日 2022-03-11 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6792251号発明「酢酸含有飲食品」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6792251号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1−13〕、14について訂正することを認める。 特許第6792251号の請求項1ないし16に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6792251号の請求項1ないし16に係る特許についての出願は、令和1年12月25日に特許出願され、令和2年11月10日に特許権の設定登録がされ、同年同月25日にその特許公報が発行され、その後、令和3年5月21日に、特許異議申立人 奥田 ひとみ(以下「特許異議申立人1」という。)により特許異議の申立て(以下「特許異議の申立て1」という。)がされ、令和3年5月24日に、特許異議申立人 特許業務法人 藤央特許事務所(以下「特許異議申立人2」という。)により特許異議の申立て(以下「特許異議の申立て2」という」がされ、令和3年5月25日に、特許異議申立人 森田 弘潤(以下「特許異議申立人3」という。)により特許異議の申立て(以下「特許異議の申立て3」という」がされたものである。
そして、令和3年8月27日付けで当審から取消理由通知が通知され、令和3年10月29日に訂正請求書及び意見書が提出され、令和3年11月12日付けで当審から特許法120条の5第5項に基づく通知書が出され、特許異議申立人1から令和3年12月14日付けで意見書が提出され、特許異議申立人2から令和3年12月13日付けで意見書が提出され、特許異議申立人3から令和3年12月20日付けで意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和3年10月29日付け訂正請求(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲及び明細書を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり、以下の訂正事項1〜5の訂正を求めるものである。

(1)訂正事項1
訂正事項1は、請求項1の訂正前の「酢酸を0.02w/v%以上含有し」との記載を、「酢酸を0.02〜3w/v%以上含有し」に訂正する。
また、上記訂正事項1による請求項1の訂正によって、請求項1を引用する請求項2〜13についても同様の訂正が行われている。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、請求項14の訂正前の「酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合」との記載を、「酢酸を0.02〜3w/v%以上の濃度になるように配合」に訂正する。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、【0118】の訂正前の表15から、訂正後「タイプB」の列を削除し、【0119】の訂正前の表16から「実施例77」の列を削除する。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、【0119】の訂正前の「試験例3−4.つゆ
表17に示す組成に従って原料を配合し、・・・結果を表18に示す。」を削除し、訂正前の【0120】【0121】を削除する。

(5)訂正事項5
訂正事項5は、【0123】の訂正前の「試験例3−6.ドレッシング
表21に示す組成に従って原料を配合し、・・・結果を表22に示す。」を削除し、訂正前の【0124】【0125】を削除する。

2 一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1〜13について、請求項2〜13はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1〜13に対応する訂正後の請求項1〜13に係る本件訂正請求は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対してされたものである。

3 目的の適否
(1)上記訂正事項1は、請求項1の訂正前の酢酸の濃度の範囲に上限を設けて「酢酸を0.02〜3w/v%含有し」として酢酸の濃度の範囲を限定したものである。
したがって、上記訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記訂正事項1による請求項1の訂正によって、請求項1を引用する請求項2〜13についても、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正が行われている。

(2)上記訂正事項2は、請求項14の訂正前の酢酸の濃度の範囲に上限を設けて「酢酸を0.02〜3w/v%の濃度となるように配合」として酢酸の配合の範囲を限定したものである。
したがって、上記訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(3)上記訂正事項3は、訂正前の成分の含有量の点で不明瞭な記載である表15の「タイプB」の列及び表16の「実施例77」の列の記載を削除したものである。
したがって、上記訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(4)上記訂正事項4は、訂正前の成分の含有量の点で不明瞭な記載である表17及び表18及びそれらの説明記載を削除したものである。
したがって、上記訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(5)上記訂正事項5は、訂正前の成分の含有量の点で不明瞭な記載である表21及び表22及びそれらの説明記載を削除したものである。
したがって、上記訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

4 新規事項についての判断
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1の「酢酸を0.02〜3w/v%含有し」に関しては、願書に添付した明細書(以下「本件特許明細書」という。)の【0014】の「本発明の酢酸含有飲食品中の酢酸の含有量は、0.02w/v%以上である限り、特に制限されない。この程度の含有量である場合、さらには下記の好ましい下限値以上の濃度である場合、酢酸臭の不快さがより大きくなる、すなわち本発明の酢酸臭抑制技術の必要性がより高くなる。該含有量は、そのまま喫食(特に飲用)するために適しているという観点、喫食に供される飲食品の調製に適しているという観点等(特に、そのまま喫食(特に飲用)するために適しているという観点)から、好ましくは0.02〜15w/v%、より好ましくは0.02〜10w/v%、さらに好ましくは0.02〜3w/v%」との記載から、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

(2)訂正事項2について
上記訂正事項2の「酢酸を0.02〜3w/v%の濃度になるように配合」に関しても、本件特許明細書の【0014】の記載から、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項2による訂正も、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

(3)訂正事項3について
上記訂正事項3は、列ごとに独立した情報であるものを列全体を削除したものであるから、新たな技術的事項を導入するものとはいえず、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

(4)訂正事項4及び5について
上記訂正事項4及び5は、いずれも表の記載全体及びその説明記載を削除したものであるから、新たな技術的事項を導入するものとはいえず、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載されているものと認められる。
したがって、訂正事項4及び5による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合している。

5 実質上特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
(1)訂正事項1について
上記3、4で検討したとおり、訂正事項1は、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、カテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。

(2)訂正事項2について
上記3、4で検討したとおり、訂正事項2も、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮したものであり、カテゴリーを変更するものでもないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。

(3)訂正事項3について
上記3、4で検討したとおり、訂正事項3は、本件特許明細書の表の一部の列全体を削除するものであり、特許請求の範囲の請求項1〜16に関係するものではあるが、特許請求の範囲の記載の意味内容を間接的に変更するものとはいえず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。

(4)訂正事項4及び5について
上記3、4で検討したとおり、訂正事項4及び5は、いずれも、本件特許明細書の表の記載全体及びその説明記載を削除したものであるから、特許請求の範囲の請求項1〜16に関係するものではあるが、特許請求の範囲の記載の意味内容を間接的に変更するものとはいえず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4及び5による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合している。

6 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び訂正明細書のとおり訂正後の請求項〔1〜13〕、14について訂正することを認める。

第3 特許請求の範囲の記載
上記第2で述べたとおり、本件訂正後の請求項〔1〜13〕、14について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1〜16に係る発明は、令和3年10月29日付けの訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1〜16に記載された事項により特定される次のとおりのものである(請求項1〜16に係る特許発明をそれぞれ、「本件特許発明1」〜「本件特許発明16」といい、まとめて「本件特許発明」ともいう。)。

「【請求項1】
酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である、酢酸含有飲食品。
【請求項2】
さらに、前記B成分を含有する、請求項1に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項3】
前記B成分の含有量が0.02〜20000ppbである、請求項2に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項4】
さらに(C成分)プロピオン酸ブチルを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項5】
前記C成分の含有量が0.05〜100000ppbである、請求項4に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項6】
さらに(D成分)酢酸イソアミルを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項7】
前記D成分の含有量が0.005〜50000ppbである、請求項6に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項8】
前記A成分及び前記B成分の合計含有量に対する酢酸エチル含有量の比(酢酸エチル濃度値(ppm)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.0001〜35000である、請求項1〜7のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項9】
前記A成分及び前記B成分の合計含有量に対するアセトアルデヒド含有量の比(アセトアルデヒド濃度値(ppm)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.0001〜20000である、請求項1〜8のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項10】
前記A成分、前記B成分、(C成分)プロピオン酸ブチル、及び(D成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A〜D合計の濃度値(ppb))が0.000001〜20である、請求項1〜9のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項11】
そのまま喫食に供される飲食品である、請求項1〜10のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項12】
喫食に供される飲食品の調製用組成物である、請求項1〜10のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項13】
飲料、該飲料の調製用組成物、又は調味料である、請求項1〜12のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項14】
酢酸を0.02〜3w/v%の濃度になるように配合すること、及び(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法。
【請求項15】
(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように酢酸含有飲食品に配合することを含み、且つ前記配合において前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように配合する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法。
【請求項16】
(A成分)2−ブタノンを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように酢酸含有飲食品に添加するための組成物。」

第4 取消理由及び特許異議申立理由
1 特許異議申立人が申し立てた理由
(1)特許異議申立人1が申し立てた理由
特許異議申立人1が申し立てた理由の概要は以下のとおりである。
(1−1)新規性
訂正前の本件の請求項1〜3、6〜10、12、13に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜3、6〜10、12、13に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(1−2)進歩性
訂正前の請求項1〜3、6〜16に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証に記載された発明および甲第3号証の周知慣用技術に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、1〜3、6〜16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(1−3)サポート要件
訂正前の請求項1〜16に係る特許は、試験例の表の酢酸イソアミル、2−ブタノン、3−メチルブタナール、プロピオン酸ブチルの値が、実際の含有量ではなく、添加した試薬の量であると理解できるから、特許請求の範囲に記載された酢酸イソアミル、2−ブタノン、3−メチルブタナール、プロピオン酸ブチルの含有量は、原料の酢の酢酸以外の成分が特定されていないのでわからず、請求項1〜16に係る発明の課題を解決できると当業者が認識できるといえないから、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

(2)特許異議申立人2が申し立てた理由
特許異議申立人2が申し立てた理由の概要は以下のとおりである。
(2−1−1)新規性
訂正前の請求項1〜3、6〜10、12、13に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜3、6〜10、12、13に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2−1−2)進歩性
訂正前の請求項1〜3、6〜10、12、13に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、1〜3、6〜10、12、13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2−2−1)新規性
訂正前の請求項1〜10、12〜16に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜10、12〜16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2−2−2)進歩性
訂正前の請求項1〜10、12〜16に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明および下記の甲第4〜12号証記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜10、12〜16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2−3−1)新規性
訂正前の請求項1〜11、14、15に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜11、14、15に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2−3−2)進歩性
訂正前の請求項1〜11、14、15に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第3号証に記載された発明および下記の甲第4〜12号証記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜11、14、15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(2−4)サポート要件
訂正前の請求項1〜16に係る特許は、3−メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第4号証を考慮すると、醤油には、3−メチルブタナールが含まれており、試験例3−3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3−4(表17、18)、試験例3−6(表21、表22)の実施例や比較例に3−メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第13号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、請求項1〜16に係る発明が、その課題を解決できることの関係が不明確であるため、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

(2−5)明確性要件
訂正前の請求項1〜16に係る特許は、3−メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第4号証を考慮すると、醤油には、3−メチルブタナールが含まれており、試験例3−3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3−4(表17、18)、試験例3−6(表21、表22)の実施例や比較例に3−メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第13号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、請求項1〜16に係る発明の3−メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量を当業者が理解できないから、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

(2−6)実施可能要件
訂正前の請求項1〜16に係る特許に関して、3−メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第4号証を考慮すると、醤油には、3−メチルブタナールが含まれており、試験例3−3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3−4(表17、18)、試験例3−6(表21、表22)の実施例や比較例に3−メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第13号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、発明の詳細な説明の3−メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量の記載に不備があり、当業者が請求項1〜16に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないから、その発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

(3)特許異議申立人3が申し立てた理由
特許異議申立人3が申し立てた理由の概要は以下のとおりである。
(3−1)サポート要件
訂正前の請求項1〜16に係る特許は、官能評価試験に関して、適切な手続が踏まれていない点、パラメータに関して、数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意が出願時の技術常識を参酌して、当該範囲内であれば所望の効果が得られると当業者が認識できる程度に具体例を示していない点、酢酸の含有割合に関する上限値の規定が存在せず、酢酸の濃度が大きくなれば本件特許発明の課題の解決が困難であることは技術常識である(甲第9号証提出)点から、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではなく、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。

(3−2―1)新規性
訂正前の請求項1〜16に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(3−2−2)進歩性
訂正前の請求項1〜16に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3−3―1)新規性
訂正前の請求項1〜16に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照すると、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(3−3−2)進歩性
訂正前の請求項1〜16に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第2号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3−4―1)新規性
訂正前の請求項1〜3、6〜10、12〜16に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第6〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜3、6〜10、12〜16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(3−4−2)進歩性
訂正前の請求項1〜3、6〜10、12〜16に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第6〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜3、6〜10、12〜16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3−5―1)新規性
訂正前の請求項1〜3、6〜10、12〜16に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5、6、8、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜3、6〜10、12〜16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(3−5−2)進歩性
訂正前の請求項1〜3、6〜10、12〜16に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5、6、8、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜3、6〜10、12〜16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(3−6―1)新規性
訂正前の請求項1〜3、8〜10、12〜16に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜7、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照すると、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第8号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、訂正前の請求項1〜3、8〜10、12〜16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(3−6−2)進歩性
訂正前の請求項1〜3、8〜10、12〜16に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第8号証に記載された発明および本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜7、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1〜3、8〜10、12〜16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。


特許異議申立人1の提出した証拠
甲第1号証:Z.Xiao外6名,Discrimination of Chinese Vinegars Based on Headspace Solid-Phase Microextraction-Gas Chromatography Mass Spectrometry of Volatile Compounds and Multivariate Analysis,Journal of Food Science,2011年,Vol. 76,Nr.8,p.C1125〜C1135(抄訳添付)
甲第2号証:John Wiley&Sons,Inc.のウェブサイト,インターネット<URL:https://onlinelibrary.wiley.com/toc/17503841/76/8>(甲第1号証の公知日を明らかにするための証拠)(抄訳添付)
甲第3号証:特開2016−7208号公報

特許異議申立人2の提出した証拠
甲第1号証:Z.Xiao外6名,Discrimination of Chinese Vinegars Based on Headspace Solid-Phase Microextraction-Gas Chromatography Mass Spectrometry of Volatile Compounds and Multivariate Analysis,Journal of Food Science,2011年,Vol. 76,Nr.8,p.C1125〜C1135(抄訳添付)
甲第2号証:クックパッドレシピ、“お酢嫌いの春色鶏の南蛮漬け”[online]、2009年2月27日(更新日)、クックパッド、[2021年4月19日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/745483>
甲第3号証:クックパッドレシピ、“絶品!簡単さっぱりイチゴのデザートスープ” [online]、2015年5月21日(公開日),クックパッド、[2021年4月19日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/3188185>
甲第4号証:横塚保(決定注:原文では、「塚」は旧字体) 外3名、醤油の香り(2)、日本釀造協會雜誌、1980年、第75巻、第9号、p.717〜728
甲第5号証:永瀬一郎、醤油の香気成分についての一考察、日本釀造協會雜誌、1978年、第73巻、第9号、p.697〜700
甲第6号証:Kyung Eun Lee外4名,Comparative Volatile Profiles in Soy Sauce According to Inoculated Microorganisms,Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry,2013年,Vol.77,No.11,p.2192〜2200(抄訳添付)
甲第7号証:食品成分データベース、検索食品:食酢[online]、日本食品標準成分表2020年版(八訂)、文部科学省、[2021年4月22日検索]、インターネット<https://fooddb.mext.go.jp/result/result_top.pl?USER_ID=16622&MODE=8>
甲第8号証:伊藤寛、食酢(2)、日本釀造協會雜誌、1978年、第73巻、第6号、p.453〜460
甲第9号証:食材デポ、検索食材:ミツカンやさしいお酢[online]、株式会社ハピネス、[2021年4月26日検索]、インターネット<https://www.shokudepo.com/shop/g/g3131656/>
甲第10号証:Carolina Parra-Palma外5名,Comparative study of the volatile organic compounds of four strawberry cultivars and it relation to alcohol acyltransferase enzymatic activity,Scientia Horticulturae,2019年,Vol. 251,p.65〜72(抄訳添付)
甲第11号証:森田日出男 外1名、みりんと調理、調理科学、1970年、第3巻、第3号、p.135〜139
甲第12号証:森田日出男 外2名、みりんの香気成分、日本釀造協會雜誌、1975年、第70巻、第1号、p.33〜38
甲第13号証:近藤徹弥 外2名、市販食酢の成分と官能特性の多変量解析、愛知県食品工業技術センター年報、1998年3月、第38号、p.29〜35

特許異議申立人3の提出した証拠
甲第1号証:クックパッドレシピ、即席 リンゴ酢ジュース、[online]、2012年2月21日(更新日)、クックパッド、[2021年5月14日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/1410714>
甲第2号証:クックパッドレシピ、黒酢はちみつりんごジュース、[online]、2013年8月31日(更新日)、クックパッド、[2021年5月14日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/1727197>
甲第3号証−1:消費者庁ウェブサイト、様式I :届出食品の科学的根拠等に関する基本情報(一般消費者向け) 商品名:まろやかりんご酢 はちみつりんご、[online]、<2016年10月7日(届出日) https://db.plusaid.jp/foods/B250>、[2021年5月24日検索]、インターネット<URL:https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=42104010160800>
甲第3号証−2 : 消費者庁ウェブサイト、商品名:まろやかりんご酢 はちみつりんごの変更事項 新旧対照表、[online]、令和3年4月9日(最終変更日)」インターネット<URL: https:/www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/shinkyu?taisyouHyouFile=B250%255 CB250_shinkyu.pdf>
甲第3号証−3 : ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんごの商品情報、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:http://www. mizkan.co.jp/products/detai1/series03/979942.pdf?_ga=2.82679318318.1854542095.1621855975-1877410275.162 1340865>
甲第4号証−1:消費者庁ウェブサイト、様式I :届出食品の科学的根拠等に関する基本情報(一般消費者向け) 商品名:りんご黒酢、[online]、<2015年5月9日(届出日)https://db.plusaid.jp/foods/A33>、[2021年5月24日検索]、インターネット<URL:https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=42104140700900>
甲第4号証−2 : 消費者庁ウェブサイト、商品名:りんご黒酢の変更事項 新旧対照表、[online]、令和3年4月16日(最終変更日)」インターネット<URL: https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/shinkyu?taisyouHyouFile=B242%255CB242_shinkyu.pdf>
甲第4号証−3 : ミツカン りんご黒酢の商品情報、[online]、2015年11月23日(アーカイブ画面から)、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:http://www.mizkan.co.jp/products/detai1/series03/979937.pdf?_ga=2.179714468.1854542095.1621855975-1877410275.1621340865>
甲第5号証:YOUKI鎮江香酢、ユウキ食品株式会社、[online]、2019年11月20日(アーカイブ画面から)、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://www2.youki.co.jp/goods/524>
甲第5号証−2:お料理レシピ、黒酢のサングリア風、ユウキ食品株式会社、[online]、2015年3月16日(アーカイブ画面から)、[2021年5月25日印刷日]、インターネット<URL:https://web.archive,org/web/20150316093256/https://www2.youki.co.jp/recipes/460>
甲第6号証:BRAGG オーガニックアップルサイダービネガー日本正規品 りんご酢、[online]、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/miya-naturalfoods/brasa001.html>
甲第7号証:MAILLE白ワインビネガー、LOHACO、[online]、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://lohaco.jp/product/J265482/?int_id=product_related.List_l>
甲第8号証:内堀醸造 美濃三年酢、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://item.rakuten.co.jp/tsutsu-uraura/uchibori-sannen500-3s/>
甲第9号証:株式会社エコニクスのウェブサイト、Econews Vo1.315 、感覚量と刺激量、株式会社エコニクス、[online]、2019年9月1日、[2021年5月20日印刷日]、インターネット<URL:http://www.econixe.co.jp/econews/detail.php?id=325>
甲第10号証:試験結果報告書、異議申立人 森田 弘潤、2021年5月24日
甲第11号証:N.Kakiuchi 外4名、Changes in the Composition and Amounts of Volatile Compounds of Apple Juice Associated with Thermal Processing、Nippon Syokuhin Kogyo Gakkaishi、1987年、Vol.34、No.2、p.115〜122(抄訳添付)
甲第12号証:F.Gasperi 外6名,Effects of supercritical CO2 and N2O pasteurisation on the quality of fresh apple juice,Food Chemistry,2009年,115,p.129〜136(抄訳添付)
甲第13号証:カロリー Slism リンゴジュース(林檎ジュース)、株式会社amaze、[online]、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://calorie, slism.jp/107149/>
甲第14号証:ウルトラフリーダム、黒酢大さじ1は何グラムか?黒酢小さじ1は何グラム?黒酢大さじ2は何グラムか?【黒酢の密度(比重)】、[online]、2020年4月19日、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://life-freedom888.com/kurozu-oosaji-g/>
甲第15号証:ウルトラフリーダム、はちみつ大さじ1は何グラム(何g)か?はちみつ大さじ2は何グラムか?はちみつ大さじ3は何gか?、[online]、2020年4月15日、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:https://life-freedom888.com/hachimitu-oosaji-g/>
甲第16号証:A.Bouseta 外2名,Characteristic aroma profiles of unifloral honeys obtained with a dynamic headspace GC-MS system,Journal of Apicultural Research,1992年,Vol.31,No.2,p.96〜109(抄訳添付)
甲第17号証:荒井 綜一 外3名編、最新 香料の事典、株式会社 朝倉書店、2000年5月10日、p.256〜259、360〜361
甲第18号証:F.D.Tusa(決定注:原文は、「s」の下に「,」) 外5名、Analysis Of Flavor Compounds By GC/MS After Liquid-Liquid Extraction From Fruit Juices、AIP Conference Proceedings、2012年2月、Vol.1425、No.53、p.53〜57(抄訳添付)
甲第19号証:L.Acena(決定注:原文は、「n」の上に「〜」) 外4名、Chemical Characterization of Commercial Sherry Vinegar Aroma by Headspace Solid-Phase Microextraction and Gas Chromatography-Olfactometry、Journal of Agricultural and Food Chemistry、2011年3月16日、Vol.59、No.8、p.4062〜4070(抄訳添付)
甲第20号証:平山 令明著、「香り」の科学 匂いの正体からその効能まで、株式会社 講談社、2017年6月20日、p.176〜177
甲第21号証:クックパッドレシピ、家で簡単ビネガードリンク、[online]、2013年1月30日(更新日)、クックパッド、[2021年5月21日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/2100074>
甲第22号証:クックパッドレシピ、リンゴジュース酢ドリンク、[online]、2017年3月2日(更新日)、クックパッド、[2021年5月21日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/3983698>
甲第23号証:クックパッドレシピ、お酢が苦手な人に♪黒酢オレンジジュース、[online]、2012年9月13日(更新日)、クックパッド、[2021年5月21日検索]、インターネット<URL:https://cookpad.com/recipe/1953971>
甲第24号証:mizkanウェブサイト、お酢ドリンクの商品情報、<2017年10月4日(アーカイブ画面から)>、[2021年5月21日印刷日]、インターネット<URL:
http://www3.mizkan.co.jp/sapari/product/series/index.html?id=03>
甲第25号証:特開2019−129806号公報
甲第26号証:特開2005−15686号公報
甲第27号証:ミツカン ブルーベリー黒酢の商品情報、[online]、<2016年7月5日(アーカイブ画面から)>、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:http://www.mizkan.co.jp/products/detail/series03/979936.pdf?_ga=2.178705956.1854542095.1621855975-1877410275.1621340865>
甲第28号証:ミツカン うめ黒酢の商品情報、[online]、<2018年4月17日(アーカイブ画面から)>、[2021年5月24日印刷日]、インターネット<URL:http://www.mizkan.co.jp/products/detail/series03/979939.pdf?_ga=2.155095480.1854542095.1621855975-1877410275.1621340865>

2 当審が通知した取消理由の概要
理由1:本件訂正前の請求項1〜3、6〜10、12〜14に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1〜3、6〜10、12〜14に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

理由2:本件訂正前の請求項1〜3、6〜14に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1〜3、6〜14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

理由3:本件訂正前の特許は、本件特許明細書【0013】の記載との整合性からみて、試験例2や試験例3の結果は、原材料の各成分の配合量が不明な場合であるから、試験例2の【0097】〜【0104】に示された分析方法で測定した値であると一応理解できるところ、表16の実施例77(50ppb)、表18の実施例79(200ppb)、比較例6(0ppb)、表22の実施例81(1ppb)、実施例82(1ppb)、比較例8(0ppb)、比較例9 (0ppb)に示されたB成分である3−メチルブタナールの測定結果が特許異議申立人2の提出した甲第4号証の醤油の香味成分の定量の記載や表15、17、21の原料組成を考慮すると、整合しているとはいえず、請求項1の「A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である、酢酸含有飲食品」との記載、請求項3の、「前記B成分の含有量が0.02〜20000ppbである、請求項2に記載の酢酸含有飲食品。」との記載の(B成分)3−メチルブタナールの含有量の技術的意味が、結果として不明確となっており、請求項8〜10、14〜16にも、B成分である3−メチルブタナールの含有量に関する特定事項が存在し、上記請求項を請求項2、4〜7、11、12も直接又は間接的に引用するし、同様に不明確であるから特許請求の範囲の請求項1〜16の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである。



刊行物1:Z.Xiao外6名,Discrimination of Chinese Vinegars Based on Headspace Solid-Phase Microextraction-Gas Chromatography Mass Spectrometry of Volatile Compounds and Multivariate Analysis,Journal of Food Science,2011年,Vol. 76,Nr.8,p.C1125〜C1135(特許異議申立人1、2の甲第1号証)

第5 当審の判断
当審は、請求項1〜16に係る特許は、当審の通知した取消理由及び特許異議申立人が申し立てた理由によっては、取り消すことはできないと判断する。
理由は以下のとおりである。

各甲号証及び刊行物の記載
1 特許異議申立人1の甲号証について
(1−1)甲第1号証(刊行物1)
訳文にて示す。
(1−1a)「揮発性化合物のヘッドスペース固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフィー質量分析及び多変量解析による中国酢の識別」(1125頁の表題)

(1−1b)「要約:ヘッドスペース固相マイクロ抽出(HS-SPME)とガスクロマトグラフィー質量分析 (GC-MS)を組み合わせて、中国の酢の特徴的な揮発性物質のプロフィールを決定した。主成 分分析(PCA)やクラスター分析(CA)などの多変量統計手法を使用して、さまざまな中国酢を種類、発酵方法、生産地域ごとに特徴付けた。15種類のエステル、10種類のアルデヒド、5種類の酸、12種類のアルコール、5種類のケトン、4種類の揮発性フェノール、2種類のピラジン、3種類のその他の化合物を含む合計56種類の揮発性化合物が同定された。中国酢の主な化合物は、フルフラール、酢酸、酢酸エチル、3−ヒドロキシ− 2−ブタノン、3−メチル−1−ブタノール、酢酸イソペンチル、ベンズアルデヒド、フェニルエチルアルコールであった。 PCAの結果、HS?SPME?GC-MSによる中国酢の特性評価が、その種類、発酵方法及び生産地域に大きく関連しており、これら全ての影響要因が独立していないことを示した。CAの結果は、発酵法が酢の種類と生産地域よりも大きな効果を持っていることを示した。結果は、HS-SPME-GC-MSと計量化学を組み合わせることで、中国酢の特性評価の実用的なリファレンスを提供できることを示した。」(1125頁の要約)

(1−1c)「イントロダクション
酢は、特に中国の食生活において、調味料及び防腐剤として世界中で消費されている。中国の酢は3000年以上の歴史がある(Shi1999)。毎年2600万へクトリットル以上の酢が生産されており、中国では毎日320万リットル以上の酢が消費されている。今日、中国政府は酢の品質管理にますますの注意を払っている(Liu 2010)。アロマビネガー、熟成酢、米酢及び白酢は、中国の有名な4種類の酢である。アロマビネガーは、濃い灰色又は黄褐色で光沢があり、クリーミーで芳香性があり、弱酸性で、美味しく、わずかに甘い味がする。熟成酢は、茶色から濃い灰色の範囲で、色は光沢があり、スモーキーな香りがあり、適度に酸性で、甘い味がする。米酢は、赤みがかったピンク色で、心地よいフレッシュで甘い香り、やや酸性、やや美味しく、甘い味わいがある。白酢は、黄色がかった色で、芳香があり、風味は強酸性である。
ヨーロッパでは、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)を使用して、酢の識別と評価が広く調査されている(Gerbiら1997;Tesfayeら2002;Callejon(注:原文では、「o」の上に「,」)ら2009)。中国では、GC-MSを使用して中国酢を分析するためにいくつかの研究が実施された(Zhangら2006;Yinら2008)。中国の酢とヨーロッパの酢の主な違いは原材料である。中国の酢は通常、米、もち米、ソルガム及び小麦ふすまから製造されるが、ヨーロッパの酢は主にワイン、サイダ ―、フルーツジュース、麦芽大麦、蜂蜜及び純粋なアルコールから発酵される(Mejias (注:原文では、「1」の上に「,」)ら2002) 。中華酢は地域性が強い。例えば、山西省は熟成酢で有名であり、江蘇省はアロマビネガーで有名である(Zhangら2006)。
フレーバーは酢の特徴の重要な要素の1つである。酢の風味は、原材料(米、もち米、小麦ふすま、砂糖、塩等)、発酵中に生成される成分、場合によっては熟成中に生成される物質によって異なる(Cocchiら2008)。酢の揮発性プロファイルはサンプルの指紋を表すため、化合物の分析に基づく識別アプローチは、酢の信頼性を評価するための効果的なツールであると想定される。いくつかの研究では、さまざまなヨーロッパの酢の分類と識別のための揮発性化合物の分析の効果 的な適用について説明されている(Del Signore200l;Plessiら2006;Cocchiら2007)。しかし、GC-MSを使用した中国酢の特性評価に関する研究は報告されていない。
ヘッドスペース固相マイクロ抽出(HS-SPME)は、高速、高感度、強力な方法であり、抽出溶媒の使用を排除し、抽出と濃縮のステップを同時に実行できるため 、他のサンプル前処理技術に比べて大きな利点がある(Guerreroら2007)。HS-SPME-GC-MSは、特性評価と分類の両方の目的で、多種多様な食品から性の化揮合発物の分析に使用されている(Wangら2009;Yangら2009;Zhaoら2009;Callejon(注: 原文では、「o」の上に「,」)ら2010;Garcia-Martin (注:原文では、2箇所の「i」は、「1」の上に「,」)ら2010)。ピザロら(2008)は、HS-SPME-GC-MS と段階的線形判別分析(SLDA)法を適用して、さまざまな種類のヨーロッパ酢を分類した。Crliniら(2011)は、HS-SPME-GC-MSと主成分分析(PCA)及び分類ツリー (CT)を使用して、成熟と経年変化の異なるモデナのバルサミ酢(BVM)を分類し、それさまざまな成熟度と経年変化のBVMサンプルを識別するのに役立つことを示した。
本研究では、HS-SPME-GC-MSを適用して、中国酢中の揮性発化合物を同定及び定量した。PCAやクラスター分析(CA)のような多変量解析ツールを使用して、酢サンプル発酵方法及び生産地域に応じて特性を評価した。」(1125頁〜1126頁の緒言)

(1−1d)「
材料及び方法
酢のサンプル
11種類の市販の中国酢は、中国の上海の地元の市場から購入した。サンプルは 4°Cで冷蔵保存された。表1に、酢瓶のラベルからコピーした名前、種類、原材 発酵方法、生産地域を示す。
地理的な識別が試みられたため、生産地域を図1に示す。



(1126頁の 表1及びMaterial and MethodsのVinegar samplesの項(図1を除く。))

(1−1e)「
結果及び考察
中国酢サンプル中の揮発性化合物
HS-SPME-GC-MS分析から得られた中国酢サンプルの揮発性物質の主なピークを 図2に示した。表2は、HP-Innowaxカラムの化学分類、相対濃度及びIRごとに、11種のサンプルで特定された揮発性化合物をそれぞれリストにしている。15種のエステル、10種のアルデヒド、5種の酸、12種のアルコール、5種のケトン、4種の揮発性フェノール、2種のピラジン及び3種のその他の化合物を含む合計56種の揮発性成分が同定された。定量化された揮発性物質の中で、エステル、酸、アルデヒド及びアルコールが最大のグループであった。中国の酢に最も豊富に含まれる化合物はフルフラールと酢酸で、それぞれ総揮発性物質の約35%及び29%を占めていた。さらに、酢酸エチル、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、3−メチル−1−ブタノール、酢酸イソペンチル、ベンズアルデヒド、フェニルエチルアルコール等が主要な揮発性物質であり、定量された揮発性物質全体の1%から7%を占めていた。フルフラールは低濃度で検出され、酢酸メチルとトリメチルピラジンは液体発酵が採用されたサンプルには存在しなかった。さらに、4−メトキシベンズアルデヒド及びアネトールは低濃度であり、2−アセチルフランは米を原料としたサンプルには含まれていない。」(1127頁右欄34〜44行及び1129頁右欄1〜11行)

(1−1f)「


(1128頁〜1129頁表2)

(1−2)甲第2号証
(1−2a)「揮発性化合物のヘッドスペース固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフィー質量分析及び多変量解析による中国酢の識別
(略)
ページ:C1125−C1135 最初の発行:2011年10月17日」

(1−3)甲第3号証
(1−3a)「【0030】
本発明の製造方法における風味改善工程を経て得た食酢は、そのまま製品として成立してもよいほか、当該食酢を添加することで飲食品全体の風味が改善された食酢含有飲食品として成立してもよい。食酢を含有する飲食品の例としては、例えば、食酢を含有する飲料(食酢飲料)や、食酢を含有する液状調味料(合わせ酢、すし酢、ぽん酢、ドレッシング、めんつゆなど)等を挙げることができる。」

2 特許異議申立人2の甲号証について
(2−1)甲第1号証(刊行物1)
前記(1−1)参照。

(2−2)甲第2号証
(2−2a)「
■ 漬けダレ
ミツカン やさしいお酢 100cc
苺 50g(5〜6粒)
砂糖 大さじ1 1/2
みりん 大さじ1
醤油 小さじ2」(「材料」の欄)

(2−2b)「このレシピの生い立ち
お酢嫌いの主人の為に、作ってみました。」(「このレシピの生い立ち」の欄)

(2−3)甲第3号証
(2−3a)「
材料 (4人分)
いちご 500g
酢 大さじ 1.5〜2
醤油 小さじ 1〜1.5
砂糖 大さじ 1〜2」(「材料」の欄)

(2−4)甲第4号証
(2−4a)「



(722頁表7)

(2−5)甲第5号証
(2−5a)「


(698頁右欄表)

(2−6)甲第6号証
訳文にて示す。
(2−6a)「揮発性成分の抽出
固相マイクロ抽出(SPME)及び溶媒抽出を使用して醤油の揮発性プロファイルを得た。固相マイクロ抽出を用い、シリコン/テフロンセプタム(スペルコ、ベルフォンテ、米国ペンシルベニア州)を備える60mLバイアルに醤油サンプル(20mL)を入れ、lOμLのllppm(Z)-3-へキセニルアセテー卜(w/v)を内標準物質として加えた。」
(2193頁左欄36〜41行)

(2−6b)「


(2193頁表1)

(2−6c)「


(2194〜2195頁表2)

(2−7)甲第7号証
(2−7a)
酢酸可食部100gあたりに含まれる食酢中の食品成分の酢酸量の列に、穀物酢中の酢酸量が4.2g、米酢中の酢酸量が4.4g、果実酢/ぶどう酢中の酢酸量が4.8g、果実酢/りんご酢中の酢酸量が4.7g、黒酢中の酢酸量が4.0g、果実酢/バルサミコ酢中の酢酸量が5.6gであると示されている。

(2−8)甲第8号証
(2−8a)「

」(458頁第7表)

(2−9)甲第9号証
(2−9a)
ミツカン やさしいお酢業務用1L|業務用食品・食材の通販は食材デポの中央の写真に
「※本品15mlあたり食酢約5ml入っています。」との記載がある。

(2−10)甲第10号証
訳文にて示す。
(2−10a)「VOCは、ヘッドスペース固相マイクロ抽出(HS-SPME)によって抽出された。この目的のために、3.75 gの3つの粉砕したイチゴを3.75mLのmilliQ水と混合し、10μLの4−メチル−2−ペンタノール(O.75mgL-1)(内標準物質として用いられる)を含む20mLのガラスバイアル に入れた。」(66頁1〜4行)

(2−10b)「


(68頁表1)

(2−11)甲第11号証
(2−11a)「


(138頁左欄第9表)

(2−12)甲第12号証
(2−12a)「 みりん中の揮発性アルデヒド含有量は亜硫酸法で測定すると,アセトアルデヒドとして,1.2〜1.8mg%18)程度である。」(34頁左欄38〜40行)


(2−13)甲第13号証
(2−13a)「


(29頁左欄表1)

(2−13b)「食酢の香気成分としてアセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,酢酸エチル,エタノール,ジアセチル,酢酸イソアミル,フルフラールをヘッドスペースアナライザー (HSG−63型(株)パーキンエルマージャパン製)によって測定した。測定試料には,10ml容のバイアル瓶に食塩l.Ogと食酢1.8mlを入れ,内部標準物質として lOOOppmカプロン酸エチルとlOOOppm n-アミルアルコール水溶液をそれぞれ0.1mlずつ入れ,密栓し,50℃で30分加温後の気相成分を用いた。内部標準物質はあらかじめ食酢中に含まれていないことを確認した。それぞれの成分の含量は,得られたクロマトグラム上の各成分の対応するピーク面積を求め,内部標準であるn-アミルアルコールのピーク面積に対する比として表した。」(29頁右欄13〜27行)

(2−13c)「


(30頁表2)

3 特許異議申立人3の甲号証について
(3−1)甲第1号証
(3−1a)「材料 (1杯分)
リンゴ酢、黒酢などお好みの酢 大さじ1〜2
りんごジュース(100%) 200ml (コップ1杯分)
蜂蜜、黒蜜など お好みで小さじ1〜」(材料の欄)

(3−1b)「作り方
1
上の写真は、リンゴ酢、リンゴジュース、蜂蜜を入れたもの。
グラスに全て入れて、かき混ぜたら出来上がり。」(作り方の欄)

(3−2)甲第2号証
(3−2a)「材料(1人分)
りんごジュース 100cc
黒酢 大さじ1
はちみつ 小さじ1」(材料の欄)

(3−3)甲第3号証
(3−3a)
甲第3号証−1には、「まろやかりんご酢 はちみつりんご」が機能性表示食品として届けられていることが、
甲第3号証−2には、「まろやかりんご酢 はちみつりんご」に対して、H28.12.8からR3.4.9まで変更事項が存在していることが、それぞれ示され、
甲第3号証−3には、「ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんご」に関して、商品特徴の欄に、「商品特徴 りんご果汁をたっぷりと使用したまろやかなりんご酢に、はちみつを加えた、おいしいりんご酢飲料です。6倍希釈タイプです。本品90ml(希釈後540ml)に食酢(りんご酢)の主成分である酢酸750mgを含んでいます。酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。内臓脂肪が気になる方に適した、機能性表示食品です。」との記載がある。

(3−4)甲第4号証
(3−4a)
甲第4号証−1には、「りんご黒酢」が機能性表示食品として届けられていることが、
甲第4号証−2には、「りんご黒酢」に対して、H28.12.9からR3.4.16まで変更事項が存在していることが、それぞれ示され、
甲第4号証−3には、「ミツカン りんご黒酢」に関して、商品特徴の欄に、「商品特徴 国産玄米を100%使って醸造した黒酢に、りんご果汁を加えて飲みやすく仕上げた、おいしく黒酢をとることができる黒酢飲料です。6倍希釈タイプです。本品60ml(希釈後360ml)に食酢(黒酢)の主成分である酢酸750mgを含んでいます。酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。内臓脂肪が気になる方に適した、機能性表示食品です。」との記載がある。

(3−5)甲第5号証
(3−5a)「YOUKI鎮江香酢」「賞味期間 2年」との記載がある。

(3−6)甲第6号証
(3−6a)「BRAGG オーガニックアップルサイダービネガー日本正規品 りんご酢」「賞味期限60ヶ月」との記載がある。

(3−7)甲第7号証
(3−7a)「MAILLE白ワインビネガー」「賞味期限42ヶ月」との記載がある。

(3−8)甲第8号証
(3−8a)「内堀醸造 美濃三年酢」「賞味期限 製造日より2年」との記載がある。

(3−9)甲第9号証
(3−9a)「臭気指数とは、6人のパネラーに試料を嗅いでもらう判定試験で、試料を無臭空気で薄めていき、においを感じなくなるときの希釈倍率(臭気濃度)に10を乗じた値となります。・・・臭気指数=10×log(臭気濃度)」(1/3下から2行から2/3 2行)

(3−10)甲第10号証
(3−10a)「









(測定方法の欄)

(3−10b)「

」(結果の欄)

(3−11)甲第11号証
訳文にて示す。
(3−11a)「

」(119頁表2)

(3−12)甲第12号証
訳文にて示す。
(3−12a)「

」(133頁表4)

(3−13)甲第13号証
(3−13a)「りんごジュースのカロリーは100ml(105g)」(出力物の1/10頁)

(3−14)甲第14号証
(3−14a)「黒酢大さじ1は何グラムか?黒酢小さじ1は何グラム? 黒酢大さじ2は何グラムか?【黒酢の密度(比重)】
黒酢小さじ1は何グラム?
→約5g

私達が生活している中でよく体積や重さに関する計算が必要となることがあります。
例えば、黒酢大さじ1や小さじ1、〜グラムなどの表記をみかけることがありますが、これらはどのように変換できるのか理解していますか。
ここでは「黒酢大さじ1の重さは何グラムなのか?」「黒酢小さじ1は何グラムか?」「黒酢大さじ2は何グラムか」について黒酢の比重?密度から計算する方法について解説していきます。
黒酢大さじ一杯の重さは何グラムなのか【黒酢の比重(密度)】
結論からいいますと、黒酢大さじ1は約15gほどに相当します。
黒酢大さじ1は何グラム?
→約15g
この詳細について以下で解説していきます。
基本的に黒酢の比重は約1.0 (つまり密度は約1.0g/cc(=1.0g/ml))であることと、大さじ1 = 15cc(15ml)であることを活用していきます。
具体的には黒酢大さじ1の重さを求めるにはこれらをかけ算すればよく、15×1.0=l5g程度となります。
もちろん黒酢の種類によっても若干の密度は変化しますが、おおよそこの数値となると理解しておくといいです。
黒酢小さじ1は何グラムなのか?【黒酢の比重や密度】
続いて今度は黒酢小さじ1に着目して計算してみましょう。
小さじ1=5cc (5ml)であることと黒酢の密度約1.0g/ccを使用しますと、5×1.0 =約5gほどが黒酢小さじ1 に相当することがわかります。
黒酢小さじ1は何グラム?
→約5g
黒酢の場合、比重が約1であるため、ccとグラムの前につく数値がほぼ一致することを理解しておくといいです。
黒酢大さじ2杯は何グラムなのか【黒酢の比重(密度)】
さらには、黒酢大さじ2の重さについても確認していきます。
黒酢の大さじ2となっても同じように計算すればよく、15x 2 xl.0=約30gがこれに相当するといえます。
まとめ 黒酢小さじ1の重さは何グラムか?黒酢大さじ1は何グラム?黒酢大さじ2は何グラムか?【黒酢の密度(比重)】
ここでは黒酢小さじ1の重さは何グラムか?黒酢大さじ1は何グラム?黒酢大さじ2は何グラムか?について黒酢の密度(比重)を用いて計算する方法を確認しました。
黒酢の密度が約1.0g/cc、大さじl=15cc、小さじl= 5ccとなることとを活用して
・黒酢大さじ1=約15g
・黒酢小さじ1=約5g
・黒酢大さじ2 =約30g
と理解しておくといいです。
各種黒酢の重さと体積の関係を理解し、毎日の生活に役立てていきましょう。」(出力物の1/3〜3/3頁)

(3−15)甲第15号証
(3−15a)「はちみつ大さじ1は何グラム(何g)か?はちみつ大さじ2は何グラムか?はちみつ大さじ3は何gか?
はちみつ大さじ2は何グラム?
→約42g
私達が生活している中でよく体積や重さに関する計算が必要となることがあります。
例えば、はちみつ大さじ1や大さじ2、大さじ3、〜グラムなどの表記をみかけることがありますが、これらはどのように変換できるのか理解していますか。
ここでは「はちみつ大さじ1の重さは何グラムなのか?」「はちみつ大さじ2は何グラムか?」「はちみつ大さじ3は何グラムか」についてはちみつの比重?密度から計算する方法について解説していきます。
はちみつ大さじ1の重さは何グラムなのか【はちみつの比重(密度)】
結論からいいますと、はちみつ大さじ1は約21gほどに相当します。
はちみつ大さじ1は何グラム?
→約 21g
この詳細について以下で解説していきます。
基本的にはちみつの比重は約1.4 (つまり密度は約1.4g/cc(=1.4g/ml))であることと、大さじl =15cc(15ml)であることを活用していきます。
具体的にははちみつ大さじ1の重さを求めるにはこれらをかけ算すればよく、15×1.4=21g程度となリます。
もちろんはちみつの種類によっても若干の密度は変化しますが、おおよそこの数値となると理解しておくといいです。
はちみつ大さじ2は何グラムなのか?【はちみつの比重や密度】
続いて今度ははちみつ大さじ2に着目して計算してみましょう。
上と同様に計算すればよく大さじ2杯であることを考慮すると、15×2×1.4=約42gほどがはちみつ大さじ2に相当することがわかります。
はちみつ大さじ2は何グラム?
→約42g
はちみつの場合、密度が1よりも若干大きいためccの前の数値よりもgの目につく数値の方が大きくなることを理解しておくといいです。
粘り気があることからも想像しやすいことがわかるでしょう。
はちみつ大さじ3は何グラムなのか【はちみつの比重(密度)】)
さらには、はちみつ大さじ3の重さについても確認していきます。
はちみつの大さじ3となっても同じように計算すればよく、15×3×l.4=約63gがこれに相当するといえます。
まとめ はちみつ大さじ3の重さは何グラムか?はちみつ大さじ1は何グラム?はちみつ大さじ2は何グラムか?【はちみつの密度(比重)】

ここでははちみつ大さじ3の重さは何グラムか?はちみつ大さじ1は何グラム?はちみつ大さじ2は何グラムか?についてはちみつの密度(比重)を用いて計算する方法を確認しました。
はちみつの密度が約1.4g/cc、大さじ1=15ccとなることとを活用して
・はちみつ大さじ1=約21g
・はちみつ大さじ2=約42g
・はちみつ大さじ3=約63g
と理解しておくといいです。
各種はちみつの重さと体積の関係を理解し、毎日の生活に役立てていきましょう。」(出力物の1/3〜3/3頁)

(3−16)甲第16号証
訳文にて示す。
(3−16a)「


」(99頁、100頁から4化合物の部分を抜粋)

(3−17)甲第17号証
訳文にて示す。
(3−17a)「

」(258頁表6.5)

(3−18)甲第18号証
訳文にて示す。
(3−18a)「

」(55頁表1から3化合物の部分を抜粋)

(3−19)甲第19号証
訳文にて示す。
(3−19a)「

」(F頁表2,3から抜粋)

(3−20)甲第20号証
(3−20a)「酢酸エチル(ethyl acetate)はパインアップルの果実に含まれ、日本酒やワインにも含まれるエステルで、エチルアルコールと酢酸を脱水縮合して得られます。香りは強く、甘くフルーティですが、薬品のエーテルのような香りが鼻につきます。草のようなグリーンな感じもします。酢酸エチルはマニキュアの除光液にも使われます。
・・・
酢酸イソアミル (isoamyl acetate) はバナナ、リンゴ、ブドウなどの果物に含まれます。甘く新鮮なバナナのような果物の強い香りを持ちます。希釈すると、果物のナシのような香りを感じるようになります。」(176頁10行〜177頁8行)

(3−21)甲第21号証
(3−21a)「
材料 (1人分)
100%果汁ジュース 50cc
■(写真はりんごジュース)
水(炭酸水) 100cc
お酢 小さじ1杯」(材料の欄)

(3−22)甲第22号証
(3−22a)「
酢を手軽にとるためにやってる方法です。
砂糖が気になる方に。

材料 (1人分)
酢 大匙1
リンゴジュース 200ml
塩 少々」(材料の欄)

(3−23)甲第23号証
(3−23a)「
お酢が苦手な人に♪黒酢オレンジジュース
オレンジジュースの酸味が黒酢でマイルドに!
しかも、ジュースのレベルもアップした気分になれます。
・・・
材料
100%オレンジジュース 300cc
黒酢 大さじ1(15cc)」(出力物1/2頁1〜4行及び材料の欄)

(3−24)甲第24号証
(3−24a)
甲第24号証には、mizkan商品情報として、お酢ドリンクカテゴリの商品一覧が示され、ブルーベリー黒酢等の一覧が示されている。

(3−25)甲第25号証
(3−25a)「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の方法における3−ヒドロキシ4,5−ジメチル2(5H)−フラノンは、高濃度では典型的なフェヌグリークまたはカレーの臭いがし、低濃度ではメープルシロップ、キャラメル、焦がした砂糖の臭いがする。そのため、これを含有した酸含有調味料の種類によっては、これらの臭いが被添加飲食品の風味に違和感を与えてしまうという問題があった。
【0008】
特許文献2の方法では、飲食品の風味に影響を与えず、酢酸臭を抑制する方法が提案されているが、焼成カルシウムは水に溶けにくく、液体状あるいは水分を多く含む飲食品には適用しづらいという問題があった。また、酸臭のみを抑制することで香りによる忌避効果は避けられるものの、摂取時に口腔内に入れた場合の酸味の刺激性は残ったままとなり、摂食忌避の要因の一つとして未だ改善の余地が残っていた。
【0009】
同様に特許文献3の方法においても、酢酸臭を低減させることはできるが、酸味の刺激性については低減できておらず、同様の課題があった。
【0010】
つまり、従来においては上記の通り、刺激的な酸臭及び酸味の両方をともに抑制できる簡単かつ応用性がある方法の開発が求められていた。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、風味に悪影響を及ぼすことなく酢酸含有飲食品の酸味及び酸臭をともに抑制することができる酢酸含有飲食品及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、風味に悪影響を及ぼすことなく酢酸含有飲食品の酸味及び酸臭をともに抑制することを通じてその品質を改善する方法を提供することにある。本発明のさらに別の目的は、上記の酢酸含有飲食品の一態様である酢酸含有穀類加工品を製造するのに好適な調製用飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の事情に鑑みて鋭意研究を行った結果、酢酸含有飲食品において酢酸以外の香気成分に着目し、特定種類の香気成分を含有させておくことで酸味及び酸臭の両方をともに抑制できることを新規に知見した。そして、本発明者らは上記の知見に基づいてさらに鋭意研究を進めることにより、最終的に下記の発明を完成させるに至ったのである。」

(3−26)甲第26号証
(3−26a)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然香料類、エステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素及び/又は含硫化合物類、酸類からなる群より選ばれる1種又は2種以上の香料を含むことを特徴とするフルーツ様香料組成物、及び、該フルーツ様香料組成物を含む食品に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、例えば飲料、冷菓、デザート、菓子、調味料などの食品に清涼感、爽快感を有し、快適な使用感を付与することができ、また、上記食品の原材料、例えば着色料、苦味料、甘味料、調味料、酸化防止剤、酸味料、保存料、強化剤、増粘安定剤、乳化剤、溶剤、ガムベース、油脂、光沢剤などの香味(渋味、苦味、甘味、塩味、酸味、粉っぽさ、金属味など)の改善、原材料の匂い(脂肪臭、醗酵臭、焦げ臭、酸臭、薬品臭、金属臭などの悪臭)のマスキングなどに有効で、持続性があり且つ液性が酸性あるいは塩基性領域で安定であり、上記食品の原材料の作用・機能を阻害することのない優れた嗜好性を有するフルーツ様香料組成物および該香料組成物を含有する食品に関する。」

(3−27)甲第27号証
(3−27a)
甲第27号証には、「ミツカン ブルーベリー黒酢」に関して、商品特徴の欄に、「商品特徴 国産玄米を100%使って醸造した黒酢に、ブルーベリーとぶどうの果汁を加えて飲みやすく仕上げた、おいしく黒酢をとることができる黒酢飲料です。6倍希釈タイプです。本品60ml(希釈後360ml)に食酢(黒酢)の主成分である酢酸750mgを含んでいます。酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。内臓脂肪が気になる方に適した、機能性表示食品です。」との記載がある。

(3−28)甲第28号証
(3−28a)
甲第28号証には、「ミツカン うめ黒酢」に関して、商品特徴の欄に、「商品特徴 国産玄米を100%使って醸造した黒酢に、梅果汁を加えて飲みやすく仕上げた、おいしく黒酢をとることができる黒酢飲料です。6倍希釈タイプです。本品60ml(希釈後360ml)に食酢(黒酢)の主成分である酢酸750mgを含んでいます。酢酸には肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる機能があることが報告されています。内臓脂肪が気になる方に適した、機能性表示食品です。」との記載がある。

当審が通知した取消理由の判断

1 理由1(特許法第29条第1項第3号)及び理由2(特許法第29条第2項)について
(1) 刊行物1記載の発明
ア 摘記(1−1a)(1−1d)のとおり、刊行物1には、15種類のエステル、10種類のアルデヒド、5種類の酸、12種類のアルコール、5種類のケトン、4種類の揮発性フェノール、2種類のピラジン、3種類のその他の化合物を含む計56 種類の揮発性化合物が同定され、中国酢の主な化合物は、フルフラール、酢酸、酢酸エチル、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、3−メチル−1−ブタノール、酢酸イソペンチル、ベンズアルデヒド、フェニルエチルアルコールであったことが記載され、具体的には、摘記(1−1b)(1−1c)のとおり、表1の11種類の市販の中国酢を、HS-SPME-GC-MSを適用して、中国酢中の揮性発化合物を同定及び定量したこと、表2に、アセトアルデヒド、イソバレルアルデヒド、酢酸エチル、イソペンチルアセテート、2−ブタノンの各濃度(mg/L)が、それぞれ[0.357,0.363,1.834,0.363,0.049][0.428,0.409,0.984,0.456,0.038][0.312,0.676,1.831,0.385,0.03][0.636,0.316,4.588,1.094,0.056][0.844,0.267,1.627,0.222,0.107][0.603,0.191,0.929,0.271,0.049][0.336,0.082,6.638,1.652,0.082][0.324,0.031,8.156,0.18,nd][0.072,0.013,3.09,0.982,nd][0.095,nd,10.69,2.355,nd][0.176,nd,9.914,0.056,nd]である結果が示されているといえる。

イ したがって、イソバレルアルデヒドは、3−メチルブタナールであり、イソペンチルアセテートは、酢酸イソアミルの別称であるから、摘記(1−1c)の総酢酸度の値とから、刊行物1には、以下の発明が記載されているといえる。
「市販の酢であって、酢酸を5.00g/100ml、2−ブタノンを0.049mg/L、3−メチルブタナールを0.363mg/L、酢酸イソアミルを0.363mg/L、酢酸エチルを1.834mg/L、アセトアルデヒドを0.357mg/L含有するもの」(以下「刊行物1−1発明」という。)

「市販の酢であって、酢酸を5.00g/100ml、2−ブタノンを0.038mg/L、3−メチルブタナールを0.409mg/L、酢酸イソアミルを0.456mg/L、酢酸エチルを0.984mg/L、アセトアルデヒドを0.428mg/L含有するもの」(以下「刊行物1−2発明」という。)

「市販の酢であって、酢酸を5.50g/100ml、2−ブタノンを0.03mg/L、3−メチルブタナールを0.676mg/L、酢酸イソアミルを0.385mg/L、酢酸エチルを1.831mg/L、アセトアルデヒドを0.312mg/L含有するもの」(以下「刊行物1−3発明」という。)

「市販の酢であって、酢酸を4.00g/100ml、2−ブタノンを0.056mg/L、3−メチルブタナールを0.316mg/L、酢酸イソアミルを1.094mg/L、酢酸エチルを4.588mg/L、アセトアルデヒドを0.636mg/L含有するもの」(以下「刊行物1−4発明」という。)

「市販の酢であって、酢酸を6.00g/100ml、2−ブタノンを0.107mg/L、3−メチルブタナールを0.267mg/L、酢酸イソアミルを0.222mg/L、酢酸エチルを1.627mg/L、アセトアルデヒドを0.844mg/L含有するもの」(以下「刊行物1−5発明」という。)

「市販の酢であって、酢酸を6.00g/100ml、2−ブタノンを0.049mg/L、3−メチルブタナールを0.191mg/L、酢酸イソアミルを0.271mg/L、酢酸エチルを0.929mg/L、アセトアルデヒドを0.603mg/L含有するもの」(以下「刊行物1−6発明」という。)

「市販の酢であって、酢酸を9.00g/100ml、2−ブタノンを0.082mg/L、3−メチルブタナールを0.082mg/L、酢酸イソアミルを1.652mg/L、酢酸エチルを6.638mg/L、アセトアルデヒドを0.335mg/L含有するもの」(以下「刊行物1−7発明」という。)

ウ また、刊行物1において、刊行物1−1〜1−7発明は、原料から配合されたものを含むのであるから、刊行物1には、以下の製造方法の発明も記載されているといえる。

「市販の酢の製造方法であって、酢酸を5.00g/100ml、2−ブタノンを0.049mg/L、3−メチルブタナールを0.363mg/L、酢酸イソアミルを0.363mg/L、酢酸エチルを1.834mg/L、アセトアルデヒドを0.357mg/L含有するものの製造方法」(以下「刊行物1−1製造方法発明」という。)

「市販の酢の製造方法であって、酢酸を5.00g/100ml、2−ブタノンを0.038mg/L、3−メチルブタナールを0.409mg/L、酢酸イソアミルを0.456mg/L、酢酸エチルを0.984mg/L、アセトアルデヒドを0.428mg/L含有するものの製造方法」(以下「刊行物1−2製造方法発明」という。)

「市販の酢の製造方法であって、酢酸を5.50g/100ml、2−ブタノンを0.03mg/L、3−メチルブタナールを0.676mg/L、酢酸イソアミルを0.385mg/L、酢酸エチルを1.831mg/L、アセトアルデヒドを0.312mg/L含有するものの製造方法」(以下「刊行物1−3製造方法発明」という。)

「市販の酢の製造方法であって、酢酸を4.00g/100ml、2−ブタノンを0.056mg/L、3−メチルブタナールを0.316mg/L、酢酸イソアミルを1.094mg/L、酢酸エチルを4.588mg/L、アセトアルデヒドを0.636mg/L含有するものの製造方法」(以下「刊行物1−4製造方法発明」という。)

「市販の酢の製造方法であって、酢酸を6.00g/100ml、2−ブタノンを0.107mg/L、3−メチルブタナールを0.267mg/L、酢酸イソアミルを0.222mg/L、酢酸エチルを1.627mg/L、アセトアルデヒドを0.844mg/L含有するものの製造方法」(以下「刊行物1−5製造方法発明」という。)

「市販の酢の製造方法であって、酢酸を6.00g/100ml、2−ブタノンを0.049mg/L、3−メチルブタナールを0.191mg/L、酢酸イソアミルを0.271mg/L、酢酸エチルを0.929mg/L、アセトアルデヒドを0.603mg/L含有するものの製造方法」(以下「刊行物1−6製造方法発明」という。)

「市販の酢の製造方法であって、酢酸を9.00g/100ml、2−ブタノンを0.082mg/L、3−メチルブタナールを0.082mg/L、酢酸イソアミルを1.652mg/L、酢酸エチルを6.638mg/L、アセトアルデヒドを0.335mg/L含有するものの製造方法」(以下「刊行物1−7製造方法発明」という。)

(2) 対比・判断
ア 本件特許発明1と刊行物1−1,2,3,4,5,6,7発明との対比・判断
(ア)本件特許発明1と刊行物1−1発明との対比
a 本件特許明細書【0034】には、「酢酸含有飲食品としては、特に制限されないが、例えば、そのまま喫食に供される飲食品、喫食に供される飲食品の調製用組成物(つまり、そのまま喫食に供される飲食品を調製に使用するための組成物)等が挙げられる。なお、「そのまま喫食に供される飲食品」とは、何らの成分も添加されずに喫食される飲食品以外にも、喫食者が喫食時に必要に応じて調味料を適宜添加して喫食される飲食品も包含される。」(下線は当審にて追加。以下同様。)と記載され、【0042】には、「喫食に供される飲食品の調製用組成物としては、特に制限されないが、例えば飲料の調製用組成物、調味料、レトルト食品等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは飲料の調製用組成物、調味料等が挙げられ、より好ましくは飲料の調製用組成物が挙げられる。」と記載されていることから、刊行物1−1発明の「市販の酢」は、本件特許発明1の「酢酸含有飲食品」に該当する。
また、刊行物1−1発明の「酢酸を5.00g/100ml」「含有する」ことは、本件特許明細書において、「本発明の酢酸含有飲食品における酢酸の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、食品添加物由来(本発明の酢酸含有飲食品の酢酸が該食品添加物に含まれる酢酸)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品の酢酸が調味料、食品原料等に含まれる酢酸)であることもできる」(【0014】)と記載されているのであるから、本件特許発明1の「酢酸を0.02〜3w/v%含有」することと、「酢酸を特定濃度含有する」という限りで共通している。
そして、刊行物1−1発明の「2−ブタノンを0.049mg/L」「含有する」は、本件特許発明1の「(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり」に該当する。
さらに、刊行物1−1発明の市販の酢に、酢酸、2−ブタノン、3−メチルブタナールが含有され、酢酸濃度、2−ブタノン濃度、3−メチルブタナール濃度から、2−ブタノン及び3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比が計算できることは明らかであり、刊行物1−1発明の上記計算の値は、0.0121となるので、本件特許発明1の「A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」に該当するといえる。

b したがって、本件特許発明1と刊行物1−1発明とは、「酢酸を特定濃度含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である、酢酸含有飲食品。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:酢酸の特定濃度として、本件特許発明1が、「酢酸を0,02〜3w/v%含有」するのに対して、刊行物1−1発明は、「酢酸を5.00g/100ml」含有する点。

(イ)本件特許発明1と刊行物1−1発明との相違点1の判断
a 本件特許発明1と刊行物1−1発明の酢酸含有飲食品における、酢酸含有量が相違している点は、実質的な相違点であることは明らかであり、本件特許発明1は、本件訂正によって、酢酸の上限が設定されたことによって、刊行物1−1発明とは、相違することとなった。

b また、刊行物1−1発明は、刊行物1において、中国酢の個々のサンプルの一つとして確立したものとして記載されており、各成分中、酢酸を5.00g/100ml含有すると特定されているにもかかわらず、それらの成分のうち酢酸の濃度を敢えて3w/v%以下に減少し変更することには、動機付けがない。

c さらに、酢酸の濃度を減少させる場合に、その他の成分に関しては変更を加えない理由は、なく、結果として、刊行物1−1発明において、本件特許発明1の構成となるかも不明であるといえる。

d そして、本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%以上含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である、酢酸含有飲食品」との構成全体によって、本件特許明細書【0009】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制された酢酸含有飲食品を提供することができる。さらに、本発明の好ましい態様によれば、酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供」できるという予測できない顕著な効果を奏している。

e したがって、本件特許発明1は、刊行物1−1発明ではなく、刊行物1−1発明から当業者が容易に発明することができたものでもない。

(ウ)本件特許発明1と刊行物1−2,3,4,5,6,7発明との対比・判断
本件特許発明1と刊行物1−2,3,4,5,6,7発明との対比・判断についても、上記(ア)(イ)で検討したのと同様の一致点(酢酸を特定濃度含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である、酢酸含有飲食品。)・相違点(本件特許発明1が、酢酸を0,02〜3w/v%含有するのに対して、刊行物1−2,3,4,5,6,7発明は、それぞれ、酢酸を5.00,5.00,5.50,4.00,6.00,6.00,9.00g/100ml含有する点。)を有し、本件特許発明1は、刊行物1−2,3,4,5,6,7発明ではなく、刊行物1−2,3,4,5,6,7発明から当業者が容易に発明することができたものでもない。

イ 本件特許発明2〜13と刊行物1−1,2,3,4,5,6,7発明との対比・判断
本件特許発明2〜13は、本件特許発明1を引用し、さらに技術的特定を加えたものであるから、刊行物1−1,2,3,4,5,6,7発明のいずれとの対比・判断においても、本件特許発明1と同様に、刊行物1に記載された発明であるとはいえず、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本件特許発明14と刊行物1−1,2,3,4,5,6,7製造方法発明との対比・判断(ア)本件特許発明14と刊行物1−1製造方法発明との対比
a 本件特許発明14と刊行物1−1製造方法を対比すると、
刊行物1−1発明の「市販の酢の製造方法」は、本件特許発明14の「酢酸含有飲食品の製造方法」に該当する。
また、刊行物1−1製造方法発明の「酢酸を5.00g/100ml」「含有する」ことは、本件特許明細書において、「本発明の酢酸含有飲食品における酢酸の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、食品添加物由来(本発明の酢酸含有飲食品の酢酸が該食品添加物に含まれる酢酸)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品の酢酸が調味料、食品原料等に含まれる酢酸)であることもできる」(【0014】)と記載されているのであるから、本件特許発明14の「酢酸を0.02〜3w/v%以上の濃度になるように配合すること」と、「酢酸を特定濃度になるように配合すること」という限りで共通している。
そして、刊行物1−1製造方法発明の「2−ブタノンを0.049mg/L」「含有する」は、本件特許明細書において、「本発明の酢酸含有飲食品におけるA成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のA成分が該製剤に含まれるA成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のA成分が調味料、食品原料等に含まれるA成分)であることもできる。」(【0017】)、「本発明の酢酸含有飲食品におけるB成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のB成分が該製剤に含まれるB成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のB成分が調味料、食品原料等に含まれるB成分)であることもできる。」(【0019】)、「酢酸、A成分、B成分、及び必要に応じて配合される他の成分(C成分、D成分等)それぞれの配合のタイミングは、特に制限されない。該タイミングとしては、例えば飲食品の製造時、飲食品の製造後、喫食前等が挙げられる。酢酸、A成分、B成分、C成分、D成分等の由来は飲食品に適する由来である限り特に限定されず、これらの成分は、例えばフレーバー等の製剤、食品添加物、調味料、食品原料等に由来するものである。酢酸、A成分、B成分、及び必要に応じて配合される他の成分を配合した後は、必要に応じて、成分が飲食品中にできるだけ均一に分散されるように、混合することが好ましい。」(【0073】)と記載されているのであるから、「(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように配合すること」に該当するといえる。
さらに、刊行物1−1製造方法発明の市販の酢に、酢酸、2−ブタノン、3−メチルブタナールが含有され、酢酸濃度、2−ブタノン濃度、3−メチルブタナール濃度から、2−ブタノン及び3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比が計算できることは明らかであるかり、刊行物1−1製造方法発明の上記計算の値は、0.0121であるので、本件特許発明14の「A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように配合する」に該当するといえる。
そして、香料成分を含む酢酸含有飲食品が、酢酸自体に比べれば酢酸臭及び/又は刺激臭が低減されたものになることは明らかである。

b したがって、本件特許発明14と刊行物1−1製造方法発明とは、「酢酸を特定濃度になるように配合すること、及び(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1−14:酢酸の特定濃度として、本件特許発明14が、「酢酸を0,02〜3w/v%になるように配合」するのに対して、刊行物1−1製造方法発明は、「酢酸を5.00g/100ml」「含有する」ようにする点。

(イ)本件特許発明14と刊行物1−1製造方法発明との相違点1−14の判断
a 本件特許発明14と刊行物1−1製造方法発明の酢酸含有飲食品における、酢酸含有量が相違している点は、実質的な相違点であることは明らかであり、本件特許発明14は、本件訂正によって、酢酸の上限が設定されたことによって、刊行物1−1製造方法発明とは、相違することとなった。

b また、刊行物1−1製造方法発明で製造する中国酢は、刊行物1において、中国酢の個々のサンプルの一つとして確立したものとして記載されており、各成分中、酢酸を5.00g/100ml含有すると特定されているにもかかわらず、それらの成分のうち酢酸の濃度を敢えて3w/v%以下に減少し変更することには、動機付けがない。

c さらに、酢酸の濃度を減少させる場合に、その他の成分に関しては変更を加えない理由は、なく、結果として、刊行物1−1製造方法発明において、本件特許発明14の構成となるかも不明であるといえる。

d そして、本件特許発明14は、「酢酸を0.02〜3w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法。」との構成全体によって、本件特許明細書【0009】に記載された「酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制された酢酸含有飲食品を提供することができる。さらに、本発明の好ましい態様によれば、酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供」できるという予測できない顕著な効果を奏している。

e したがって、本件特許発明14は、刊行物1−1製造方法発明ではなく、刊行物1−1製造方法発明から当業者が容易に発明することができたものでもない。

(ウ)本件特許発明14と刊行物1−2,3,4,5,6,7製造方法発明との対比・判断
本件特許発明14と刊行物1−2,3,4,5,6,7製造方法発明との対比・判断についても、上記(ア)(イ)で検討したのと同様の一致点(酢酸を特定濃度になるように配合すること、及び(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法。)・相違点(本件特許発明14が、酢酸を0,02〜3w/v%になるように配合するのに対して、刊行物1−2,3,4,5,6,7製造方法発明は、それぞれ、酢酸を5.00,5.00,5.50,4.00,6.00,6.00,9.00g/100ml含有するようにする点。)を有し、本件特許発明14は、刊行物1−2,3,4,5,6,7製造方法発明ではなく、刊行物1−2,3,4,5,6,7製造方法発明から当業者が容易に発明することができたものでもない。

(3)取消理由1、2のまとめ
以上のとおり、本件特許発明1〜14は、刊行物1に記載された発明ではなく、刊行物1に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものでもない。
したがって、取消理由1、2は、本件訂正によって解消し、理由がない。

2 理由3(特許法第36条第6項第2号)について
(1)特許請求の範囲の記載について
ア 請求項1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である、酢酸含有飲食品。」と特定されているので、この記載の明確性を検討する。
「酢酸を・・・含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が・・・であり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が・・・である、酢酸含有飲食品。」(下線は、当審にて追加。以下同様。)との特定事項からみて、酢酸、(A成分)2−ブタノンの含有量、A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))を数値範囲で特定していることは明らかであり、その数値範囲は、語のかかり具合及びその文脈から最終的な酢酸含有飲食品における濃度であると理解できる。

イ 請求項3は、「前記B成分の含有量が0.02〜20000ppbである、請求項2に記載の酢酸含有飲食品。」と特定されているので、この記載の明確性を検討する。
「前記B成分の含有量が・・・である、請求項2に記載の酢酸含有飲食品。」との特定事項からみて、B成分である3−メチルブタナールの数値範囲で特定していることは明らかであり、その数値範囲は、語のかかり具合及びその文脈から最終的な酢酸含有飲食品における濃度であると理解できる。

ウ 請求項8〜10,14〜16にも、B成分である3−メチルブタナールの含有量に関する特定事項が存在しているが、請求項1,3について検討したのと同様に数値範囲は、明確であるといえる(請求項14の「酢酸を・・・の濃度になるように配合すること、及び(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が・・・になるように配合することを含み、且つ前記配合において前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が・・・になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法。」、請求項15の「(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が・・・になるように酢酸含有飲食品に配合することを含み、且つ前記配合において前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が・・・になるように配合する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法。」、請求項16の「(A成分)2−ブタノンを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記A成分の含有量が・・・になるように且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が・・・になるように酢酸含有飲食品に添加するための組成物。」との記載についても、その数値範囲は、語のかかり具合及びその文脈から最終的な酢酸含有飲食品における濃度であると理解できる。)。
また、請求項2,4〜7,11〜13についても、上記請求項を直接又は間接的に引用しているところ、上記のとおり明確であるといえる。

(2)本件特許明細書の記載
ア 本件特許明細書の記載を、念のため、その全体を理解する前提で参照すると、【0013】には、「本発明の酢酸含有飲食品中の各成分の濃度の算出方法は、次の通りである。本発明の酢酸含有飲食品中の成分の濃度は、その成分の配合量が明らかである場合(例えば、酢酸含有飲食品が精製された各成分を混合することにより得られたものである場合等)はその配合量及び酢酸含有飲食品の容量から算出することができ、その成分の配合量が不明である場合は、後述の試験例2に記載の方法に従って又は準じて算出することができる。なお、本明細書中の「ppm」、及び「ppb」は、いずれも質量濃度(w/w)である。」との記載、
【0097】〜【0104】には、「【0097】
なお、飲料中の酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びA〜D成分それぞれの含有量は、以下のようにして測定した。
【0098】
<酢酸の含有量>
サンプルは、酢酸の濃度が100mg%付近になるように超純水で希釈し、以下の条件に従って、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、酢酸のピーク面積を分析した。また、超純水で希釈した100mg%の酢酸を、標品サンプルとして同様に分析し、外部標準法により各サンプルの酢酸の含有量を算出した。
・測定機器:高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製、機種LC-10ADVP)
・移動相(1)4mMp−トルエンスルホン酸水溶液、流速0.9mL/min
・移動相(2)4mMp−トルエンスルホン酸、80μMEDTAを含む16mMBis−Tris水溶液、流速0.9mL/min
・カラム:Shodex KC810P+KC−811×2(昭和電工社製)
・カラム温度:50℃
・検出:電気伝導度検出器
【0099】
<酢酸エチルの含有量>
サンプルは、酢酸エチルの濃度が0.05〜0.20v/v%付近になるように超純水で希釈し、内部標準としてアセトン(純度99.9%以上、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)を0.25v/v%になるように添加し、以下の条件に従って、ガスクロマトグラフィー(GC)を用い、酢酸エチルのピーク面積を分析した。また、超純水で希釈した酢酸とアセトンの濃度が各0.25%(v/v)である標品サンプルを同様に分析し、内部標準法により各サンプルの酢酸エチルの含有量を算出した。
・測定機器:ガスクロマトグラフィー GC2014、クロマトパック C-R5A(島津製作所社製)
・カラム:パックドカラム(3.1m)充填剤:PEG-1000 25% Shimalite 60/80 BT(信和化工株式会社)
・キャリアガス:Heガス、ガス流量 40ml/min
・温度条件 :105℃(7min)→100℃/min昇温→120℃(2min)
・検出器: FID(150℃)
【0100】
<アセトアルデヒドの含有量>
サンプルはそのまま、以下の条件に従って、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、アセトアルデヒドのピーク面積を分析した。また、アセトアルデヒド(純度99.0%以上、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)を100ppmとなるよう超純水で希釈した標品サンプルを同様に分析し、外部標準法により各サンプルのアセトアルデヒドの含有量を算出した。
・測定機器:ガスクロマトグラフィ 6890(Agilent Technologies社製)
・カラム:TC-WAX 0.53mm X 30m 膜厚1.0μm (ジーエルサイエンス社製)
・キャリアガス:Heガス、ガス流量 5ml/min
・温度条件:40℃(5min) →2℃/min昇温→ 100℃(0min) →20℃/min昇温→ 230℃(10min)
・検出器:FID(250℃)
【0101】
<A〜D成分の含有量>
〔1〕成分の分離濃縮方法
以下の条件に従って、成分の分離濃縮を行った。
サンプルは100gを1Lバイアルに測り取り、密封した後40℃で30min予備加熱をした。その後、バイアル中の気相をサンプルとして200mlを濃縮装置に導入した。
・揮発性成分濃縮装置
Entech7200(Entech社製)
・濃縮モード:CTD
・M1(Empty)温度 : Trap −40℃→Desorb 10℃
・M2(Tenax)温度 : Trap −50℃→Desorb 220℃
・M3(CryoFoucus)温度 : Trap −150℃→Desorb 80℃
【0102】
〔2〕成分の分析方法
以下の条件に従ってガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、各成分のピーク面積を分析した。
<ガスクロマトグラフ条件>
・測定機器:Agilent 7980B GC System (Agilent Technologies社製)
・GCカラム:DB−1 (Agilent Technologies社製) 長さ60m,口径0.32mm,膜厚1.0μm
・キャリア:Heガス、ガス流量2.68mL/min
・温度条件:35℃(5min)保持→220℃まで3℃/min昇温→5分間保持
<質量分析条件>
・測定機器:Agilent 5977B MSD(Agilent Technologies社製)
・イオン化方式:EI
・測定モード:SCAN
【0103】
〔3〕成分の定量方法(外部標準法)
無水エタノールで希釈した濃度既知の各成分(配合に使用したものと同一のもの)を、標品サンプルとして分析し、検出されたピーク面積をもとに検量線を作成した。分析サンプルの分析結果を検量線にあてはめ、含有量を算出した。
【0104】
飲料のブリックス(Bx:%)については、市販のブリックス糖度計(株式会社アタゴ社製、型式:PR-201 α)を用いて、従来公知の手法に測定した。また、pHについては、pHメーター(HORIBA社製 pHMETER F-51)を用いて、品温20℃でのpH値を測定した。」との記載がある。

イ そして、【0013】の記載からみて、特許請求の範囲の請求項で特定された各成分の濃度は、本発明の酢酸含有飲食品中の成分の濃度は、その成分の配合量が明らかである場合(例えば、酢酸含有飲食品が精製された各成分を混合することにより得られたものである場合等)はその配合量及び酢酸含有飲食品の容量から算出することができ、その成分の配合量が不明である場合は、試験例2の【0097】〜【0104】に示された分析方法で測定した値であると理解でき、不明確な点はない。
また、実施例や比較例の結果をみても不明確な実験結果が存在しているわけでもない。

(3)取消理由3のまとめ
以上のとおり、請求項1〜16に係る特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たした特許出願に対してされたものであるといえ、取消理由3は解消されている。

取消理由に採用しなかった特許異議申立人が申し立てた理由について(一部採用したものも含め記載)

1 申立理由1(1−1)、申立理由2(2−1−1、2−2−1、2−3−1)、申立理由3(3−2−1、3−3−1、3−4−1、3−5−1、3−6−1)(特許法第29条第1項第3号)及び申立理由1(1−2)、申立理由2(2−1−2、2−2−2、2−3−2)、申立理由3(3−2−2、3−3−2、3−4−2、3−5−2、3−6−2)(特許法第29条第2項)について

(1)特許異議申立人1の申立てた新規性進歩性の理由(申立理由1(1−1)申立理由1(1−2))について
申立理由1(1−1)申立理由1(1−2)は、甲第1号証(刊行物1)に基づく新規性進歩性の理由であり、取消理由1及び2で検討したのと同様に、本件特許発明1〜3、6〜10、12、13、は、甲第1号証に記載された発明ではなく、本件特許発明1〜3、6〜16は、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものでもない(本件特許発明15、16は、それぞれ、「酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法。」、「酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ」「酢酸含有飲食品に添加するための組成物。」である点で、刊行物1−1〜1〜7製造方法発明又は刊行物1−1〜1〜7発明とさらなる相違点を有しており、「酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する」ことについての記載も示唆もない甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものでもないことは明らかである。)

特許異議申立人1は、本件特許発明11に関して、甲第3号証を提示して、「そのまま喫食に供される飲食品」に酢を用いることが周知慣用技術である旨主張し、甲第1号証に記載された発明から進歩性がない旨主張しているが、「そのまま喫食に供される飲食品」に酢を用いることが周知慣用技術であるかどうかはともかく、上述のとおり、本件特許発明11は、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものでもないとの結論に影響はなく、上記特許異議申立人1の主張は採用できない。

したがって、申立理由1(1−1)申立理由1(1−2)には理由がない。

(2)特許異議申立人2の申立てた新規性進歩性の理由(申立理由2(2−1−1、2−2−1、2−3−1)申立理由2(2−1−2、2−2−2、2−3−2))について

ア 特許異議申立人2の甲第1号証に記載された発明に基づく理由について
申立理由2(2−1−1、2−1−2)は、甲第1号証(刊行物1)に基づく新規性進歩性の理由であり、取消理由1及び2で検討したのと同様に、本件特許発明1〜3、6〜10、12、13は、甲第1号証に記載された発明ではなく、本件特許発明1〜3、6〜10、12,13は、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明することができたものでもない。

イ 特許異議申立人2の甲第2号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第2号証には、摘記(2−2a)及びその原料から漬けダレが製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。

「ミツカン やさしいお酢 100cc、苺 50g(5〜6粒)、砂糖 大さじ1 1/2、みりん 大さじ1、醤油 小さじ2からなる漬けだれ」(以下「甲2発明」という。)

「ミツカン やさしいお酢 100cc、苺 50g(5〜6粒)、砂糖 大さじ1 1/2、みりん 大さじ1、醤油 小さじ2からなる漬けだれの製造方法」(以下「甲2製造方法発明」という。)

(イ)本件特許発明1と甲2発明とを対比すると、「酢含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。

相違点2:本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」ことが特定されているのに対して、甲2発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。

(ウ)上記相違点2について、甲第2号証には、原料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、商品名が同じであるからといって、同一組成であるとは限らないことが技術常識であることを考慮すると、甲第9号証の商品名が同じであるだけの、ミツカン やさしいお酢に関する記載、甲第7、8号証の食酢中の酢酸の量に関する記載、甲第4号証〜甲第6号証の醤油中の各成分の記載、甲第10号証の苺中のプロピオン酸ブチルの濃度の記載、甲第11号証のみりん中の酢酸の濃度の記載、甲第12号証のみりん中のアセトアルデヒドの濃度の記載を参照しても、甲2発明の漬けダレに含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」ことが記載されているに等しいということはできない。

(エ)また、甲2発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲2発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点2の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
そして、すでに論じたとおり、本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」との特定事項を有することにより、予測できない顕著な効果を奏している。

(オ)以上のとおり、本件特許発明1は、甲第4〜12号証記載の技術的事項を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第4〜12号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(カ)本件特許発明2〜10、12、13、16と甲2発明との対比・判断、本件特許発明14、15と甲2製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)〜(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明2〜10、12〜16は、甲第4〜12号証記載の技術的事項を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第4〜12号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

ウ 特許異議申立人2の甲第3号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第3号証には、摘記(2−3a)及びその材料からデザートスープが製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。

「いちご 500g、酢 大さじ 1.5〜2、醤油 小さじ 1〜1.5、砂糖 大さじ 1〜2からなるデザートスープ」(以下「甲3発明」という。)

「いちご 500g、酢 大さじ 1.5〜2、醤油 小さじ 1〜1.5、砂糖 大さじ 1〜2からなるデザートスープの製造方法」(以下「甲3製造方法発明」という。)

(イ)本件特許発明1と甲3発明とを対比すると、「酢含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3:本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」ことが特定されているのに対して、甲3発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。

(ウ)前記イで検討したのと同様に、本件特許発明1は、甲第4〜12号証記載の技術的事項を参照しても、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、甲第3号証に記載された発明及び甲第4〜12号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(エ)また、本件特許発明2〜11と甲3発明との対比・判断、本件特許発明14、15と甲3製造方法発明との対比・判断においても、前記イ及び、上記(イ)(ウ)で検討したのと同様に、本件特許発明2〜11、14、15は、甲第4〜12号証記載の技術的事項を参照しても、甲第3号証に記載された発明とはいえないし、甲第3号証に記載された発明及び甲第4〜12号証記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

エ 申立理由2(2−1−1、2−2−1、2−3−1)申立理由2(2−1−2、2−2−2、2−3−2)には、理由がない。

(3)特許異議申立人3の申立てた新規性進歩性の理由(申立理由3(3−2−1、3−3−1、3−4−1、3−5−1、3−6−1)申立理由3(3−2−2、3−3−2、3−4−2、3−5−2、3−6−2)について

ア 特許異議申立人3の甲第1号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第1号証には、摘記(3−1a)摘記(3−1b)及びその材料からリンゴ酢ジュースが製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。

「リンゴ酢、黒酢などお好みの酢 大さじ1〜2、りんごジュース(100%) 200ml(コップ1杯分)、蜂蜜、黒蜜など お好みで小さじ1〜からなるリンゴ酢ジュース」(以下「甲3−1発明」という。)

「リンゴ酢、黒酢などお好みの酢 大さじ1〜2、りんごジュース(100%) 200ml(コップ1杯分)、蜂蜜、黒蜜など お好みで小さじ1〜からなるリンゴ酢ジュースの製造方法」(以下「甲3−1製造方法発明」という。)

(イ)本件特許発明1と甲3−1発明とを対比すると、「酢含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−1:本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」ことが特定されているのに対して、甲3−1発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。

(ウ)上記相違点3−1について、甲第1号証には、材料についてどのようなものを用いるかの記載も示唆もなく、商品名が同じであるからといって、同一組成であるとは限らないことが技術常識であることを考慮すると、黒酢はちみつりんごジュースに関する甲第2号証の記載、ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんごに関する甲第3号証−1〜甲第3号証−3の記載、ミツカン りんご黒酢に関する甲第4号証−1〜甲第4号証−3の記載、YOUKI鎮江香酢に関する甲第5号証の記載、BRAGG オーガニックアップルサイダービネガー日本正規品 りんご酢に関する甲第6号証の記載、MAILLE白ワインビネガーに関する甲第7号証の記載、内堀醸造 美濃三年酢に関する甲第8号証の記載、市販の食酢・お酢ドリンク製品の各成分測定結果を記載しているものの、その測定サンプルの保管状態、入手経緯、甲第1号証の材料との関係が不明な甲第10号証の試験結果報告書、高真空蒸留法によるリンゴの生果汁および低温殺菌果汁中の揮発性化合物の含有量推定に関する甲第11号証の記載、参照及び処理したリンゴジュースの化学的特性に関する甲第12号証の記載、リンゴジュースのカロリ−に関する甲第13号証の記載、黒酢やはちみつの大さじ1の質量に関する甲第14、15号証の記載、パージ&トラップインジェクターを用いて84種類のユニフローラルハニーから同定された化合物に関する甲第16号証の記載、果物やシェリービネガー、日本酒、ワインに含まれる香気成分に関する甲第17〜20号証の記載、果汁と食酢の混合飲料に関する甲第21〜24号証の記載、酢酸含有飲食品の酸味及び酸臭の抑制の課題について記載がある甲第25号証の記載、フルーツ様香料組成物を含み香味の改善や原材料のマスキングに関する甲第26号証の記載、ミツカン ブルーベリー黒酢、ミツカン うめ黒酢の商品情報に関する甲第27、28号証の記載を参照しても、甲3−1発明のリンゴ酢ジュースに含有される各成分が特定でき、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」ことが記載されているに等しいということはできない。

特許異議申立人3は、ミツカン まろやかりんご酢 はちみつりんごに関する甲第3号証−1〜甲第3号証−3の記載、ミツカン りんご黒酢に関する甲第4号証−1〜甲第4号証−3の記載から機能性表示食品の変更履歴に基づき製品の成分配合量が不変であることや甲第1号証との直接の関係がない甲第10号証の試験結果報告書、及び甲第1号証との直接の関係がないその他の証拠の各成分の記載を前提に計算を行い、本件特許発明1が新規性がないことについて主張しているが、上述のとおり、甲第3号証には、甲3−1発明の材料として何が用いられたかの具体的記載も示唆もないし、甲第10号証の試験結果報告書で用いられた商品との関係も入手経緯、保管状態も全く記載がないことも考慮すると、多くの仮定の上で計算した結果に基づく上記特許異議申立人3の主張を採用することはできない。

(エ)また、甲3−1発明は、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲3−1発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、相違点3−1の構成は、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
そして、すでに論じたとおり、本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」との特定事項を有することにより、予測できない顕著な効果を奏している。

(オ)以上のとおり、本件特許発明1は、甲第2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(1−3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(カ)本件特許発明2〜13、16と甲3−1発明との対比・判断、本件特許発明14、15と甲3−1製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)〜(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明2〜16は、甲第2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

イ 特許異議申立人3の甲第2号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第2号証には、摘記(3−2a)の記載があり、その材料から黒酢はちみつりんごジュースが製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。

「りんごジュース 100cc、黒酢 大さじ1、はちみつ 小さじ1からなる黒酢はちみつりんごジュース」(以下「甲3−2発明」という。)

「りんごジュース 100cc、黒酢 大さじ1、はちみつ 小さじ1からなる黒酢はちみつりんごジュースの製造方法」(以下「甲3−2製造方法発明」という。)

(イ)本件特許発明1と甲3−2発明とを対比すると、「酢含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−2:本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」ことが特定されているのに対して、甲3−2発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。

(ウ)前記ア(ウ)〜(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明1は、甲第1号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(エ)本件特許発明2〜13、16と甲3−2発明との対比・判断、本件特許発明14、15と甲3−2製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)〜(ウ)で検討したのと同様に、本件特許発明2〜16は、甲第1号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明及び甲第1号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

ウ 特許異議申立人3の甲第5号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第5号証には、摘記(3−5a)の記載があり、YOUKI鎮江香酢が何らかの方法で製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。

「YOUKI鎮江香酢」(以下「甲3−3発明」という。)

「YOUKI鎮江香酢の製造方法」(以下「甲3−3製造方法発明」という。)

(イ)本件特許発明1と甲3−3発明とを対比すると、「酢含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−3:本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」ことが特定されているのに対して、甲3−3発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。

(ウ)前記ア(ウ)〜(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明1は、甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第6〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第5号証に記載された発明とはいえないし、甲第5号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第6〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(エ)本件特許発明2、3、6〜10、12、13、16と甲3−3発明との対比・判断、本件特許発明14、15と甲3−3製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)〜(ウ)で検討したのと同様に、本件特許発明2、3、6〜10、12〜16は、甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第6〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第5号証に記載された発明とはいえないし、甲第5号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第6〜9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

エ 特許異議申立人3の甲第7号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第7号証には、摘記(3−7a)の記載があり、MAILLE白ワインビネガーが何らかの方法で製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。

「MAILLE白ワインビネガー」(以下「甲3−4発明」という。)

「MAILLE白ワインビネガーの製造方法」(以下「甲3−4製造方法発明」という。)

(イ)本件特許発明1と甲3−4発明とを対比すると、「酢含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−4:本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」ことが特定されているのに対して、甲3−4発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。

(ウ)前記ア(ウ)〜(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明1は、甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5、6、8、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第7号証に記載された発明とはいえないし、甲第7号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第6、8、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(エ)本件特許発明2、3、6〜10、12、13、16と甲3−4発明との対比・判断、本件特許発明14、15と甲3−4製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)〜(ウ)で検討したのと同様に、本件特許発明2、3、6〜10、12〜16は、甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5、6、8、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第7号証に記載された発明とはいえないし、甲第7号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5、6、8、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

オ 特許異議申立人3の甲第8号証に記載された発明に基づく理由について
(ア)甲第8号証には、摘記(3−8a)の記載があり、内堀醸造 美濃三年酢が何らかの方法で製造されたのは明らかであるから、以下の発明が記載されている。

「内堀醸造 美濃三年酢」(以下「甲3−5発明」という。)

「内堀醸造 美濃三年酢の製造方法」(以下「甲3−5製造方法発明」という。)

(イ)本件特許発明1と甲3−5発明とを対比すると、「酢含有飲食品。」という点で一致し、以下の点で相違する。

相違点3−5:本件特許発明1は、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」ことが特定されているのに対して、甲3−5発明においては、そのような成分に関する特定がされていない点。

(ウ)前記ア(ウ)〜(オ)で検討したのと同様に、本件特許発明1は、甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜7、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第8号証に記載された発明とはいえないし、甲第8号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜7、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

(エ)本件特許発明2、3、8〜10、12、13、16と甲3−5発明との対比・判断、本件特許発明14、15と甲3−5製造方法発明との対比・判断においても、上記(イ)〜(ウ)で検討したのと同様に、本件特許発明2、3、8〜10、12〜16は、甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜7、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書を参照しても、甲第8号証に記載された発明とはいえないし、甲第8号証に記載された発明及び甲第1、2号証、甲第3号証(−1〜3)、甲第4号証(−1〜3)、甲第5〜7、9、11〜28号証および甲第10号証の実験成績証明書記載の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものともいえない。

カ 申立理由3(3−2−1、3−3−1、3−4−1、3−5−1、3−6−1)申立理由3(3−2−2、3−3−2、3−4−2、3−5−2、3−6−2)には、理由がない。

2 申立理由1(1−3)、申立理由2(2−4)、申立理由3(3−1)(特許法第36条第6項第1号)及び、申立理由2(2−6)(特許法第36条第4項第1項)について(なお、(2−5)特許法第36条第6項第2項については、取消理由通知の理由3として採用されている。)

(1)申立理由1(1−3)、申立理由2(2−4)、申立理由3(3−1)(特許法第36条第6項第1号)について
ア 特許法第36条第6項第1号の判断の前提
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

イ 特許請求の範囲の記載
前記第3に記載されたとおりの発明特定事項を有する酢酸含有飲食品の発明が、請求項1〜13に、酢酸含有飲食品の製造方法の発明が請求項14に、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法の発明が請求項15に、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ酢酸含有飲食品に添加するための組成物の発明が請求項16にそれぞれ記載されている。

ウ 発明の詳細な説明の記載
(ア)本件特許明細書の発明の詳細な説明には、請求項1〜16に係る発明に関する記載として、特許請求の範囲の実質的繰り返し記載を除いて、【0002】〜【0007】の背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決しようとする課題の記載、【0009】の発明の効果の記載、【0013】〜【0015】の酢酸含有飲食品の酢酸の含有量、刺激臭源としての酢酸エチル、アセトアルデヒドに関する記載、【0016】【0017】のA成分(2−ブタノン)の香気特性や酢酸臭や刺激臭抑制効果に関する数値範囲の技術的意義の記載、【0018】【0019】のB成分(3−メチルブタナール)の香気特性や酢酸臭や刺激臭抑制効果に関する数値範囲の技術的意義の記載、【0020】〜【0024】のA成分とB成分の合計含有量の数値範囲の技術的意義の記載、A成分とB成分の合計含有量に対する酢酸含有量の比の数値範囲の技術的意義の記載、A成分とB成分の合計含有量に対するアセトアルデヒド含有量の比の数値範囲の技術的意義の記載、【0025】【0026】のC成分(プロピオン酸ブチル)の香気特性や酢酸臭や刺激臭抑制効果に関する数値範囲の技術的意義の記載、【0027】【0028】のD成分(酢酸イソアミル)の香気特性や酢酸臭や刺激臭抑制効果に関する数値範囲の技術的意義の記載、【0029】のC成分とD成分の割合に関する記載、【0030】〜【0032】のA〜D成分の合計含有量に対する酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒドの含有量の比の数値範囲の技術的意義の記載、【0033】〜【0070】の酢酸含有飲食品の性状、そのまま喫食に供される飲食品の例示、喫食に供される飲食品の調製用組成物の例示、調味料等の例示、原料の例示、食酢の例示等の記載、【0071】の本件特許発明の酢酸含有飲食品の製造方法に関する記載、【0072】の本件特許発明の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法の記載、【0073】の酢酸、A〜D成分、その他の成分の配合のタイミングに関する記載、【0074】【0075】の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ酢酸含有飲食品に添加するための組成物、その性状に関する記載、【0076】のC,D成分添加の技術的意義に関する記載がある。

(イ)そして、実施例として、
試験例1の風味評価試験1として、風味評価対象成分の希釈液を調製した。70%エタノール水溶液に、(A成分)2−ブタノン、(B成分)3−メチルブタナール、(C成分)プロピオン酸ブチル、及び(D成分)酢酸イソアミルの各種成分をそれぞれ添加し、十分に攪拌して10,000ppmの溶液を調製し、イオン交換水で希釈して、1000ppmの溶液及び100ppmの溶液を調製し、続いて、イオン交換水に、酢酸、酢酸エチル及びアセトアルデヒドの各種成分をそれぞれ添加し、十分に攪拌して15%溶液、及び、1%溶液を調製し、続いて評価対象成分の希釈液を添加し、十分に攪拌して、表1〜6に示される配合組成及び濃度の試験液(実施例1〜57)を調製したこと、一方で、評価対象成分を含まない以外は実施例1〜57と同配合のコントロール(対照試験液)を調製したこと、評価に先立って、酢酸、酢酸エチル、及びアセトアルデヒドが低い濃度のコントロール(コントロールA(酢酸0.02w/v%、酢酸エチル0.1ppm、アセトアルデヒド0.01ppm)、及びコントロールB(酢酸0.2w/v%、酢酸エチル5ppm、アセトアルデヒド3ppm))であっても、酢酸臭及び刺激臭が感じられることを確認したことが記載されている(【0078】【0079】)。
また、【0080】〜【0085】には、評価方法、評価基準、専門パネラーの条件等の記載があり、【0086】〜【0092】には、表1〜6の実験結果、【0093】〜【0095】の考察結果の記載がある。
さらに、試験例2の風味評価試験2として、表7〜8に示す組成に従って原料を配合し、酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びA〜D成分(試験例1と同じものを使用した。)を表9〜10に記載の含有量となるように適宜添加して、飲料(比較例1及び実施例58〜71)を調製したことが示されている(【0097】〜【0104】には、各成分の含有量測定方法の記載が、【0105】〜【0110】には評価方法の記載が、【0111】には、表7〜10の実験結果の記載がある。
そして、【0112】〜【0119】【0122】【0123】には、試験例3の風味評価試験3として、風味ゼリー、すし酢、調味酢、たれの原料配合表(表11、1315)、実験結果(表12、14、16)の記載がある。

エ 判断
(ア)本件特許発明の課題について
上記ウの【0002】〜【0007】の背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決しようとする課題の記載及び本件特許明細書全体を参酌して、本件特許発明1〜13の課題は、酢酸臭及び/又は刺激臭が抑制された酢酸含有飲食品を提供することにあり、本件特許発明14の課題は、該酢酸含有飲食品の製造方法を提供することにあり、本件特許発明15の課題は、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法を提供することにあり、本件特許発明16の課題は、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するために酢酸含有飲食品に添加する組成物を提供することにあると認める。

(イ)判断
上記ウの(ア)(イ)のとおり、本件特許発明1の各構成であるパラメータに対応して、本件特許明細書には、酢酸含有量、A成分(2−ブタノン)の含有量、A成分とB成分(3−メチルブタナール)の合計含有量に対する酢酸含有量の比の各パラメータの上下限の技術的意義の一般的記載が存在し、酢酸含有飲食品に対するA成分とB成分の添加によって、含まれる酢酸エチル、アセトアルデヒドによる酢酸臭及び/又は刺激臭の発生を抑制するという技術的思想が示されており、各パラメータ間の技術的意議の相関記載に技術的矛盾はなく、酢酸含有飲食品の各成分の配合方法や含有量測定方法や酢酸含有飲食品の製造方法の記載が存在し、各成分の含有量を変更した場合でも本件特許発明1の効果を奏した具体的検証結果の記載も存在するのであるから、本件特許発明1の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明1の課題を解決できることを認識できるといえる。

また、本件特許発明2〜16に関しても、【0035】〜【0070】の酢酸含有飲食品の性状、そのまま喫食に供される飲食品の例示、喫食に供される飲食品の調製用組成物の例示、調味料等の例示、原料の例示、食酢の例示等の記載、【0071】の本件特許発明の酢酸含有飲食品の製造方法に関する記載、【0072】の本件特許発明の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法の記載、【0073】の酢酸、A〜D成分、その他の成分の配合のタイミングに関する記載、【0074】【0075】の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ酢酸含有飲食品に添加するための組成物、その性状に関する記載についても併せて考慮すれば、本件特許発明1と同様に、本件特許発明2〜16の構成によって、当業者であれば上記本件特許発明2〜16の課題を解決できることを認識できるといえる。

(ウ)特許異議申立人1のサポート要件に関する主張(申立理由1(1−3))について
特許異議申立人1は、前記第4 1(1−3)に記載のとおり、請求項1〜16に係る特許は、試験例の表の酢酸イソアミル、2−ブタノン、3−メチルブタナール、プロピオン酸ブチルの値が、実際の含有量ではなく、添加した試薬の量であると理解できるから(試験例2,3において、醸造酢を用いているのに通常含まれている酢酸イソアミルが含まれているものと検出されていないものがある。)、特許請求の範囲に記載された酢酸イソアミル、2−ブタノン、3−メチルブタナール、プロピオン酸ブチルの含有量は、原料の酢の酢酸以外の成分が特定されていないのでわからず、請求項1〜16に係る発明の課題を解決できると当業者が認識できるといえない旨主張している。
しかしながら、実施例の含有成分の一部に原料組成として不明な部分があるからといって、サポート要件違反となるわけではないことはもちろんのこと、本件特許明細書において、酢酸含有飲食品に含まれる各成分の含有量についての詳細な測定方法の記載があり、表に記載の含有量となるように実施例、比較例を調製したことが記載されている以上、最終的に調製され分析された組成が記載されていると理解できるといえる。
そして、醸造酢に通常酢酸イソアミルが含まれているからといって、含まないように調製することができないわけではなく、訂正された本件特許明細書全体の記載を考慮すると、表の成分の値が実際の含有量ではなく、添加した試薬の量であると理解しなければならないとはいえないから、特許請求の範囲に記載された酢酸イソアミル、2−ブタノン、3−メチルブタナール、プロピオン酸ブチルの含有量は、原料の酢の酢酸以外の成分が特定されていないのでわからず、発明の課題を解決できると当業者が認識できない旨の上記主張を採用することはできない。

(エ)特許異議申立人2のサポート要件に関する主張(申立理由2(2−4))について
特許異議申立人2は、前記第4 2(2−4)に記載のとおり、請求項1〜16に係る特許は、3−メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第4号証を考慮すると、醤油には、3−メチルブタナールが含まれており、試験例3−3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3−4(表17、18)、試験例3−6(表21、表22)の実施例や比較例に3−メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第13号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、発明の課題を解決できることの関係が不明確である旨主張している。
しかしながら、本件訂正によって、試験例3−3のタイプBの醤油を用いた実施例77、試験例3−4(表17、18)、試験例3−6(表21、表22)の実施例や比較例の不明瞭な記載は訂正によって削除されており、訂正された本件特許明細書を考慮すると、上記(イ)で検討したとおり、本件の特許請求の範囲の記載は、サポート要件を満たしており、訂正前存在した実施例や比較例が技術常識に反するとの上記主張を採用することはできない。

(オ)特許異議申立人3のサポート要件に関する主張(申立理由3(3−1))について
特許異議申立人3は、前記第4 3(3−1)に記載のとおり、請求項1〜16に係る特許は、官能評価試験に関して、適切な手続が踏まれていない点、パラメータに関して、数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意が出願時の技術常識を参酌して、当該範囲内であれば所望の効果が得られると当業者が認識できる程度に具体例を示していない点、酢酸の含有割合に関する上限値の規定が存在せず、酢酸の濃度が大きくなれば本件特許発明の課題の解決が困難であることは技術常識である点からサポート要件を満たさない旨主張している。
しかしながら、本件特許明細書の【0080】〜【0085】、【0105】〜【0110】、【0112】には、試験例1〜3の官能評価試験について、パネラーの選考や評価手法を含めた評価基準が詳細に記載されており、酢酸臭、刺激臭、ボディ感の説明も存在し、酢酸含有飲食品という本件特許発明との関係で特殊な評価項目とはいえないことも考慮すると、本件特許発明に係る官能評価試験に関して、適切な手続が踏まれていないとはいえない。
また、本件特許明細書には、酢酸含有量、A成分(2−ブタノン)の含有量、A成分とB成分(3−メチルブタナール)の合計含有量に対する酢酸含有量の比の各パラメータの上下限の技術的意義の一般的記載が存在し、酢酸含有飲食品に対するA成分とB成分の添加によって、含まれる酢酸エチル、アセトアルデヒドによる酢酸臭及び/又は刺激臭の発生を抑制するという技術的思想が示されており(C成分とD成分の添加によってさらに作用効果が高まることも示されている。)のであるから、本件特許発明のパラメータが特殊なパラメータの数式を発明の特定事項にしているわけではないことも考慮すると、数式が示す範囲と得られる効果(性能)との関係の技術的な意が出願時の技術常識を参酌して、当該範囲内であれば所望の効果が得られると当業者が認識できる程度に具体例を示していないとはいえない。
さらに、酢酸の含有割合に関する上限値の規定については、本件訂正によって上限値が規定されている。
以上のとおり、上記特許異議申立人3の主張は採用できない。

(2)申立理由2(2−6)(特許法第36条第4項第1項)について
ア 本件特許明細書の発明の詳細な説明には、前記(1)ウの記載があり、本件特許発明1〜13の酢酸含有飲食品、本件特許発明14の酢酸含有飲食品の製造方法、本件特許発明15の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法、本件特許発明16の酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するために酢酸含有飲食品に添加する組成物の各発明を、本願出願時の技術常識を考慮して、当業者が過度な試行錯誤なく製造でき、使用できるように記載されているといえ、前記(1)エ(イ)で検討したのと同様に、本件の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしているといえる。

イ 特許異議申立人2は、前記第4 2(2−6)に記載のとおり、請求項1〜16に係る特許に関して、3−メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量やそれを用いた他成分の含有量との比が規定されているところ、甲第4号証を考慮すると、醤油には、3−メチルブタナールが含まれており、試験例3−3のタイプBの醤油を用いた実施例77(表15および表16)、試験例3−4(表17、18)、試験例3−6(表21、表22)の実施例や比較例に3−メチルブタナールが含まれていない(あるいは明らかに低すぎる)ことや、甲第13号証を考慮すると、食酢には一般的に酢酸イソアミルが含まれており、試験例の比較例に酢酸イソアミルが含まれていないのは、ともに技術常識に反する結果が記載されており、発明の詳細な説明の3−メチルブタナール又は酢酸イソアミルの含有量の記載に不備があり、当業者が請求項1〜16に係る発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない旨主張している。
しかしながら、本件訂正によって、試験例3−3のタイプBの醤油を用いた実施例77、試験例3−4(表17、18)、試験例3−6(表21、表22)の実施例や比較例の不明瞭な記載は訂正によって削除されており、訂正された本件特許明細書を考慮すると、発明の詳細な説明には、上述のとおり、前記(1)ウの記載があり、上述のとおり本件の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしており、訂正前存在した実施例や比較例が技術常識に反するとの上記主張を採用することはできない。

3 特許異議申立人の意見書について
(1)特許異議申立人1の意見書の主張について
ア 特許異議申立人1は、令和3年12月14日付け意見書において、参考資料1〜8を提出して、酢が種々の飲食品の原料として使用され、所定濃度に希釈されることは技術常識で、刊行物1記載の発明の酢を0.02〜3w/v%の範囲内にすることは当業者が容易に想到する旨主張している。
しかしながら、刊行物1記載の発明は、刊行物1において、中国酢の個々のサンプルとして確立したものとして記載されており、各成分中、例えば、刊行物1−1発明であれば、酢酸を5.00g/100ml含有すると特定されているにもかかわらず、それらの成分のうち酢酸の濃度を敢えて3w/v%以下に減少し変更することには、全く別の文献である参考資料を考慮しても、動機付けがないし、仮に酢酸の濃度を減少させる場合に、その他の成分に関しては変更を加えない理由はなく、結果として、本件特許発明1の構成となるかも不明であるといえる。
したがって、上記主張を採用することはできない。

イ 特許異議申立人1は、削除された実施例について、試験例2の分析手法で分析した場合の矛盾が説明されていない点、分析結果の数字の区切りがいい値になっている点から実際の測定値とはいえない点を問題にして明確性要件欠如の主張をしている。
しかしながら、不明瞭な記載として上記実施例等が削除されたのであるから、削除された記載に関する説明がないからといって、訂正された本件特許明細書全体の記載を考慮して、本件特許発明が不明確であるとはいえず、本件の特許請求の範囲の記載が明確性要件を満たさないという上記主張を採用することはできない。
また、実施例の数値の表現方法の一部に不明確な点が存在するからといって、特許請求の範囲に記載された、請求項に係る発明全体が不明確になるとはいえず、分析結果の数字の区切りがいい値になっていることを根拠として実際の測定値とはいえないことを前提とした上記主張を採用することはできない。

(2)特許異議申立人2の意見書の主張について
ア 特許異議申立人2は、令和3年12月13日付け意見書において、刊行物1(甲第1号証)に記載された発明を主引用発明とした進歩性の主張として、訂正された酢酸の濃度の上限を超えても本件特許発明の効果を奏していることや、酢を希釈した飲料が知られていることを指摘して、酢酸の濃度を低減している点は設計事項である旨主張している。
しかしながら、上記(1)アで述べたとおり、刊行物1記載の発明は、刊行物1において、中国酢の個々のサンプルとして確立したものとして記載されており、各成分中、例えば、刊行物1−1発明であれば、酢酸を5.00g/100ml含有すると特定されているにもかかわらず、それらの成分のうち酢酸の濃度を敢えて3w/v%以下に減少し変更することには、上限の前後で本件特許発明の効果にどのような変化があるかとは直接関係しておらず、酢を希釈した飲料が知られていることを考慮しても、動機付けがあるとはいえず、仮に酢酸の濃度を減少させる場合に、その他の成分に関しては変更を加えない理由はなく、結果として、本件特許発明1の構成となるかも不明であるといえる。
したがって、上記主張を採用することはできない。

イ 特許異議申立人2は、実施例77、表17、18、実施例79、81、82、比較例8、9を指摘し、3―メチルブタナールの測定方法や測定結果の不備の根本的原因について釈明していないので、その他の成分についても同様に不備がある蓋然性が高い旨主張している。
しかしながら、本件訂正によって、試験例3−3のタイプBの醤油を用いた実施例77、試験例3−4(表17、18)、試験例3−6(表21、表22)の実施例や比較例の不明瞭な記載は訂正によって削除されており、訂正された本件特許明細書を考慮すると、前記2で検討したとおり、本件の特許請求の範囲の記載は、明確性要件を満たしており、訂正前存在した実施例や比較例に基づく不備の釈明やその他の成分についての不備の蓋然性に言及する上記主張を採用することはできない。

(3)特許異議申立人3の意見書の主張について
ア 特許異議申立人3は、令和3年12月20日付け意見書において、訂正前の請求項の記載が最終含有量を示すことが明らかであれば、明瞭でない記載が存在しないし、取消理由に対し最終的に最終含有量であると理解できるようになったのであれば実質上特許請求の範囲を拡張または変更するもので、訂正要件を満たさない旨主張している。
しかしながら、本件訂正は、取消理由の通知を受けて、不明瞭な記載である実施例や比較例の記載を単に削除したものであるから、前記第2で検討したとおり、訂正要件を満たすものであり、上記主張を採用することはできない。

イ 特許異議申立人3は、本件特許明細書の【0013】を指摘し、その成分の配合量が明らかであり、その配合量等から算出する場合と、その成分の配合量が不明で試験例2の方法で算出する場合の基準が絶対的に決まらないので本件の特許請求の範囲の記載が明確性要件を満たさない旨主張している。
しかしながら、本件特許明細書の【0013】の配合量の基準は、技術常識からみて合理的なものであり、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとする事情はなく、上記主張を採用することはできない。

ウ 特許異議申立人3は、刊行物1(特許異議申立人1、2の甲第1号証)を主引用発明とした進歩性の主張及び甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に基づく新規性進歩性の主張として、食酢を水や炭酸で希釈することは通常行われていることを指摘し、甲第1号証、甲第2号証記載の発明については、香気成分の揮発等を考慮しても構成を充足している旨主張している。
しかしながら、上記(1)アで述べたとおり、刊行物1記載の発明は、刊行物1において、中国酢の個々のサンプルとして確立したものとして記載されており、各成分中、例えば、刊行物1−1発明であれば、酢酸を5.00g/100ml含有すると特定されているにもかかわらず、それらの成分のうち酢酸の濃度を敢えて3w/v%以下に減少し変更することには、上限の前後で本件特許発明の効果にどのような変化があるかとは直接関係しておらず、酢を希釈した飲料が知られていることを考慮しても、動機付けがあるとはいえず、仮に酢酸の濃度を減少させる場合に、その他の成分に関しては変更を加えない理由はなく、結果として、本件特許発明1の構成となるかも不明であるといえる。
また、前記2(3)ア、イで述べたとおり、甲第1号証、甲第2号証記載の発明は、レシピとして記載されたものであり、甲第1号証、甲第2号証との直接の関係がない甲第10号証の試験結果報告書、及びそれらの証拠との直接の関係がないその他の証拠の各成分の記載を前提に計算を行い、本件特許発明1が新規性がないことについて主張しているが、甲第1号証、甲第2号証記載の発明の材料として何が用いられたかの具体的記載も示唆もないし、甲第10号証の試験結果報告書で用いられた商品との関係も入手経緯、保管状態も全く記載がないことも考慮すると、多くの仮定の上で計算した結果に基づく主張を採用することはできない。
また、レシピとして完成されたものとして提示されているのであるから、甲第1号証、甲第2号証記載の発明において、含まれる成分について全く着目していない状況で、「酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である」との特定事項を満たすように成分組成を変更する動機付けはなく、当業者が容易になし得る技術的事項であるとはいえない。
したがって、上記主張を採用することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、本件請求項1〜16に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、取り消されるべきものとはいえない。
また、他に本件請求項1〜16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】酢酸含有飲食品
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢酸含有飲食品等に関する。
【背景技術】
【0002】
酢酸は、調味成分として、またその静菌作用等を期待して、各種食品において利用されている。また、近年では、健康志向の高まりと共に、酢酸の各種有用作用、例えば肥満改善作用、血圧抑制作用、血糖値上昇抑制作用等を期待して、飲料として積極的に摂取することが広まっている。
【0003】
しかしながら、酢酸含有飲食品には、酢酸に特有の不快な酸臭(酢酸臭)、また酢酸(特に醸造酢)製造の際、または保管中に産生される成分(酢酸エチル、アセトアルデヒド等)に由来する刺激臭が感じられることがあり、これが酢酸含有飲食品の摂取の妨げになり得る。特に、上記有用作用を期待する場合は、酢酸含有飲食品を日常的に摂取することが重要であるので、この酢酸臭及び刺激臭の問題の解決が特に重要となる。
【0004】
特許文献1では、酢酸を含有する飲食品中に、酢酸とヘキサナールの含有質量比が特定の範囲になるように、ヘキサナールを添加するという、簡易かつ汎用的な方法で、食品の味に悪影響を及ぼすことなく酢酸含有飲食品の酢酸臭を低減する方法が提案されている。しかしながら、刺激臭の対策については、記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−124696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制された酢酸含有飲食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、酢酸を0.02w/v%以上含有し、(A成分)2−ブタノン及び(B成分)3−メチルブタナールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、酢酸含有飲食品、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
【0008】
項1. 酢酸を0.02w/v%以上含有し、(A成分)2−ブタノン及び(B成分)3−メチルブタナールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、酢酸含有飲食品.
項2. 前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbである、項1に記載の酢酸含有飲食品. 項3. 前記B成分の含有量が0.02〜20000ppbである、項1又は2に記載の酢酸含有飲食品.
項4. さらに(C成分)プロピオン酸ブチルを含有する、項1〜3のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項5. 前記C成分の含有量が0.05〜100000ppbである、項4に記載の酢酸含有飲食品. 項6. さらに(D成分)酢酸イソアミルを含有する、項1〜5のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項7. 前記D成分の含有量が0.005〜50000ppbである、項6に記載の酢酸含有飲食品. 項8. 前記A成分及び前記B成分の合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である、項1〜7のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項9. 前記A成分及び前記B成分の合計含有量に対する酢酸エチル含有量の比(酢酸エチル濃度値(ppm)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.0001〜35000である、項1〜8のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項10. 前記A成分及び前記B成分の合計含有量に対するアセトアルデヒド含有量の比(アセトアルデヒド濃度値(ppm)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.0001〜20000である、項1〜9のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項11. 前記A成分、前記B成分、(C成分)プロピオン酸ブチル、及び(D成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A〜D合計の濃度値(ppb))が0.000001〜20である、項1〜10のいずれかに記載の酢酸含有飲食品. 項12. そのまま喫食に供される飲食品である、項1〜11のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項13. 喫食に供される飲食品の調製用組成物である、項1〜11のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項14. 飲料、該飲料の調製用組成物、又は調味料である、項1〜13のいずれかに記載の酢酸含有飲食品.
項15. 酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(A成分)2−ブタノン及び(B成分)3−メチルブタナールからなる群より選択される少なくとも1種を配合することを含む、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法. 項16. (A成分)2−ブタノン及び(B成分)3−メチルブタナールからなる群より選択される少なくとも1種を酢酸含有飲食品に配合することを含む、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法.
項17. (A成分)2−ブタノン及び(B成分)3−メチルブタナールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するための組成物.
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制された酢酸含有飲食品を提供することができる。さらに、本発明の好ましい態様によれば、酢酸臭及び/又は刺激臭(好ましくはその両方)が抑制され、且つボディ感が向上した酢酸含有飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0011】
本明細書中において、「及び(並びに)/又は(若しくは)」なる表現については、「及び(並びに)」と「又は(若しくは)」の両方の意を包含する。例えば「A及び/又はB」は、A及びBとA又はBの両方の意を包含し、A単独、B単独、及びAとBの両方の3つを示す。
【0012】
本発明は、その一態様において、酢酸を0.02w/v%以上含有し、(A成分)2−ブタノン及び(B成分)3−メチルブタナールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、酢酸含有飲食品(本明細書において、「本発明の酢酸含有飲食品」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
【0013】
本発明の酢酸含有飲食品中の各成分の濃度の算出方法は、次の通りである。本発明の酢酸含有飲食品中の成分の濃度は、その成分の配合量が明らかである場合(例えば、酢酸含有飲食品が精製された各成分を混合することにより得られたものである場合等)はその配合量及び酢酸含有飲食品の容量から算出することができ、その成分の配合量が不明である場合は、後述の試験例2に記載の方法に従って又は準じて算出することができる。なお、本明細書中の「ppm」、及び「ppb」は、いずれも質量濃度(w/w)である。
【0014】
本発明の酢酸含有飲食品は酢酸を含有するが、酢酸とは、酢酸分子(CH3COOH)と酢酸イオン(CH3COO−)をいい、酢酸の含有量とは、これらを合計した濃度をいう。本発明の酢酸含有飲食品中の酢酸の含有量は、0.02w/v%以上である限り、特に制限されない。この程度の含有量である場合、さらには下記の好ましい下限値以上の濃度である場合、酢酸臭の不快さがより大きくなる、すなわち本発明の酢酸臭抑制技術の必要性がより高くなる。該含有量は、そのまま喫食(特に飲用)するために適しているという観点、喫食に供される飲食品の調製に適しているという観点等(特に、そのまま喫食(特に飲用)するために適しているという観点)から、好ましくは0.02〜15w/v%、より好ましくは0.02〜10w/v%、さらに好ましくは0.02〜3w/v%、よりさらに好ましくは0.04〜1.5w/v%、とりわけ好ましくは0.04〜1w/v%、特に好ましくは0.05〜0.5w/v%である。なお、本発明の酢酸含有飲食品における酢酸の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、食品添加物由来(本発明の酢酸含有飲食品の酢酸が該食品添加物に含まれる酢酸)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品の酢酸が調味料、食品原料等に含まれる酢酸)であることもできる。
【0015】
本発明の酢酸含有飲食品は、酢酸と共に、刺激臭源として、酢酸エチル及び/又はアセトアルデヒドを含み得る。本発明の酢酸含有飲食品中の酢酸エチルの含有量は、酢酸エチル由来の刺激臭がより大きくなる、すなわち本発明の刺激臭抑制技術の必要性がより高くなるという観点等から、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは1ppm以上、さらに好ましくは3ppm以上であり、該含有量の上限は特に制限されず、例えば20000ppm、10000ppm、3000ppm、1000ppm、300ppm、100ppm、50ppmである。本発明の酢酸含有飲食品中のアセトアルデヒドの含有量は、アセトアルデヒド由来の刺激臭がより大きくなる、すなわち本発明の刺激臭抑制技術の必要性がより高くなるという観点等から、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.1ppm以上、さらに好ましくは1ppm以上であり、該含有量の上限は特に制限されず、例えば20000ppm、10000ppm、3000ppm、1000ppm、300ppm、100ppm、50ppmである。
【0016】
A成分(2−ブタノン、2−Butanone(CAS登録番号:78−93−3))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:バター、チーズ、チョコレート、フルーティー、甘い、ミント様。A成分により、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、刺激臭)を抑制することができる。さらに、A成分の含有量を調整することにより、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、刺激臭)の抑制効果をより向上させること、及び/又はボディ感を向上させること(特に、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、刺激臭)の抑制効果をより向上させること)ができる。
【0017】
本発明の酢酸含有飲食品中のA成分の含有量は、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、刺激臭)の抑制効果を発揮できる限りにおいて、特に制限されない。A成分の含有量は、例えば0.01〜20000ppbである。該含有量は、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、刺激臭)の抑制効果をより向上させること、及び/又はボディ感を向上させること(特に、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、刺激臭)の抑制効果をより向上させること)ができるという観点、酢酸の爽やかな香りを残しつつ、酢酸臭の不快さ及び/又は刺激臭を抑制できるという観点等から、好ましくは0.015〜20000ppb、より好ましくは0.02〜20000ppb、さらに好ましくは0.05〜20000ppb、よりさらに好ましくは0.1〜20000ppb、とりわけ好ましくは0.5〜20000ppb、とりわけより好ましくは0.8〜20000ppb、とりわけさらに好ましくは1〜20000ppb、特に好ましくは1〜10000ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3ppb、10ppb、30ppb、100ppb、300ppb、800ppb、又は1000ppbであることができる。なお、本発明の酢酸含有飲食品におけるA成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のA成分が該製剤に含まれるA成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のA成分が調味料、食品原料等に含まれるA成分)であることもできる。
【0018】
B成分(3−メチルブタナール、Butanal,3−methyl−(CAS登録番号:590−86−3))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:アーモンド、パン、飴、カラメル、チーズ、チョコレート、コーヒー、ヘーゼルナッツ、麦、肉、ミント、キノコ、ナッツ様、桃、ココア、熟れた果物、酸、トースト。B成分により、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、酢酸臭)を抑制することができる。さらに、B成分の含有量を調整することにより、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、酢酸臭)の抑制効果をより向上させること、及び/又はボディ感をより向上させること(特に、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、酢酸臭)の抑制効果をより向上させること)ができる。
【0019】
本発明の酢酸含有飲食品中のB成分の含有量は、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、酢酸臭)の抑制効果を発揮できる限りにおいて、特に制限されない。B成分の含有量は、例えば0.01〜20000ppbである。該含有量は、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、酢酸臭)の抑制効果をより向上させること、及び/又はボディ感を向上させること(特に、酢酸臭及び/又は刺激臭(特に、酢酸臭)の抑制効果をより向上させること)ができるという観点、酢酸の爽やかな香りを残しつつ、酢酸臭の不快さ及び/又は刺激臭を抑制できるという観点等から、好ましくは0.015〜20000ppb、より好ましくは0.02〜20000ppb、さらに好ましくは0.05〜20000ppb、よりさらに好ましくは0.1〜20000ppb、とりわけ好ましくは0.5〜20000ppb、とりわけより好ましくは0.8〜20000ppb、とりわけさらに好ましくは1〜20000ppb、特に好ましくは1〜10000ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3ppb、10ppb、30ppb、100ppb、300ppb、800ppb、又は1000ppbであることができる。なお、本発明の酢酸含有飲食品におけるB成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のB成分が該製剤に含まれるB成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のB成分が調味料、食品原料等に含まれるB成分)であることもできる。
【0020】
本発明の酢酸含有飲食品中のA成分及びB成分の合計含有量は、酢酸臭及び/又は刺激臭の抑制効果を発揮できる限りにおいて、特に制限されない。A成分及びB成分の合計含有量は、例えば0.01〜20000ppbである。該含有量は、酢酸臭及び/又は刺激臭の抑制効果をより向上させること、及び/又はボディ感を向上させること(特に、酢酸臭及び/又は刺激臭の抑制効果をより向上させること)ができるという観点、酢酸の爽やかな香りを残しつつ、酢酸臭の不快さ及び/又は刺激臭を抑制できるという観点等から、好ましくは0.015〜20000ppb、より好ましくは0.02〜20000ppb、さらに好ましくは0.05〜20000ppb、よりさらに好ましくは0.1〜20000ppb、とりわけ好ましくは0.5〜20000ppb、とりわけより好ましくは0.8〜20000ppb、とりわけさらに好ましくは1〜20000ppb、特に好ましくは1〜10000ppbである。該含有量の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3ppb、10ppb、30ppb、100ppb、300ppb、800ppb、又は1000ppbであることができる。
【0021】
本発明の一態様においては、酢酸臭の抑制効果をより効果的に発揮できるという観点、酢酸の爽やかな香りを残しつつ、酢酸臭の不快さを抑制できるという観点等から、A成分及びB成分の合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸/A〜B合計)を一定範囲内とすることが好ましい。該比(=単位をw/v%とした場合の酢酸濃度の数値を、単位をppbとした場合のA成分及びB成分の合計濃度の数値で除してなる比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))は、好ましくは0.00005〜20、より好ましくは0.0005〜17、さらに好ましくは0.0005〜15、よりさらに好ましくは0.0008〜15、とりわけ好ましくは0.001〜15である。該比の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば0.01、0.1、0.3、1、3、又は10であることができる。
【0022】
本発明の一態様においては、刺激臭の抑制効果をより効果的に発揮できるという観点、酢酸の爽やかな香りを残しつつ、刺激臭の不快さを抑制できるという観点等から、A成分及びB成分の合計含有量に対する酢酸エチル含有量の比(酢酸エチル/A〜B合計)を一定範囲内とすることが好ましい。該比(=単位をppmとした場合の酢酸エチル濃度の数値を、単位をppbとした場合のA成分及びB成分の合計濃度の数値で除してなる比(酢酸エチル濃度値(ppm)/A及びB合計の濃度値(ppb))は、好ましくは0.0001〜35000、より好ましくは1〜25000、さらに好ましくは1.5〜25000、よりさらに好ましくは2〜25000である。該比の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3、10、30、100、300、1000、3000、又は10000であることができる。
【0023】
本発明の一態様においては、刺激臭の抑制効果をより効果的に発揮できるという観点、酢酸の爽やかな香りを残しつつ、刺激臭の不快さを抑制できるという観点等から、A成分及びB成分の合計含有量に対するアセトアルデヒド含有量の比(アセトアルデヒド/A〜B合計)を一定範囲内とすることが好ましい。該比(=単位をppmとした場合のアセトアルデヒド濃度の数値を、単位をppbとした場合のA成分及びB成分の合計濃度の数値で除してなる比(アセトアルデヒド濃度値(ppm)/A及びB合計の濃度値(ppb))は、好ましくは0.0001〜20000、より好ましくは0.2〜15000、さらに好ましくは0.5〜12500、よりさらに好ましくは1〜12500である。該比の上限又は下限は、上記範囲からさらに低い値又は高い値であることができ、これらの値は、例えば3、10、30、100、300、1000、3000、又は10000であることができる。
【0024】
本発明の好ましい一態様において、本発明の酢酸含有飲食品は、A成分及びB成分を両方とも含有する。これにより、酢酸臭及び刺激臭の抑制効果をより向上させること、及び/又はボディ感を向上させること(特に、酢酸臭及び刺激臭の抑制効果をより向上させること)ができる。この場合、該効果をより向上させるという観点から、A成分(又はB成分)の含有量は、A成分及びB成分の合計含有量100%に対して、好ましくは5〜95%、より好ましくは10〜90%、さらに好ましくは15〜85%である。
【0025】
本発明の好ましい一態様において、本発明の酢酸含有飲食品は、A成分及び/又はB成分に加えて、さらにC成分を含有する。C成分(プロピオン酸ブチル、Propanoic acid, butyl ester(CAS登録番号:590−01−2))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:甘い、レッドフルーツ、ストロベリー。C成分により、ボディ感を向上させること並びに/又は酢酸臭及び/若しくは刺激臭を抑制させること(特に、ボディ感を向上させること)ができる。さらにC成分の含有量を調整することにより、該効果をより向上させることができる。
【0026】
本発明の酢酸含有飲食品中のC成分の含有量は、特に制限されない。該含有量は、ボディ感をより向上させること並びに/又は酢酸臭及び/若しくは刺激臭の抑制効果をより向上させること(特に、ボディ感をより向上させること)ができるという観点等から、好ましくは0.05〜100000ppb、より好ましくは0.1〜100000ppb、さらに好ましくは0.2〜70000ppb、よりさらに好ましくは0.5〜50000ppbである。なお、本発明の酢酸含有飲食品におけるC成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のC成分が該製剤に含まれるC成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料の由来(本発明の酢酸含有飲食品のC成分が調味料、食品原料等に含まれるC成分)であることもできる。
【0027】
本発明の好ましい一態様において、本発明の酢酸含有飲食品は、A成分及び/又はB成分に加えて、さらにD成分を含有する。D成分(酢酸イソアミル、1−Butanol,3−methyl−,acetate(CAS登録番号:123−92−2))は、香気成分であり、香気成分データベース(Aroma Office Ver.7.0西川計測株式会社製)上の香気特性は次の通りである:樹脂、バナナ、メロン様。D成分により、ボディ感を向上させること並びに/又は酢酸臭及び/若しくは刺激臭を抑制させること(特に、ボディ感を向上させること)ができる。さらにD成分の含有量を調整することにより、該効果をより向上させることができる。
【0028】
本発明の酢酸含有飲食品中のD成分の含有量は、特に制限されない。該含有量は、ボディ感をより向上させること並びに/又は酢酸臭及び/若しくは刺激臭の抑制効果をより向上させること(特に、ボディ感をより向上させること)ができるという観点等から、好ましくは0.005〜50000ppb、より好ましくは0.01〜50000ppb、さらに好ましくは0.03〜20000ppb、よりさらに好ましくは0.1〜10000ppbである。なお、本発明の酢酸含有飲食品におけるD成分の由来は、飲食品に適する由来である限り特に限定されず、例えば、添加されるフレーバー等の製剤由来(本発明の酢酸含有飲食品のD成分が該製剤に含まれるD成分)であることもできるし、飲食品に配合される調味料、食品原料等の由来(本発明の酢酸含有飲食品のD成分が調味料、食品原料等に含まれるD成分)であることもできる。
【0029】
本発明の好ましい一態様において、本発明の酢酸含有飲食品は、C成分及びD成分を両方とも含有する。これにより、ボディ感をさらに向上させること並びに/又は酢酸臭及び/若しくは刺激臭をさらに向上させること(特に、ボディ感をさらに向上させること)ができる。この場合、該効果をさらに向上させるという観点から、C成分(又はD成分)の含有量は、C成分及びD成分の合計含有量100%に対して、好ましくは0.5〜99.5%、より好ましくは1〜99%、さらに好ましくは1.5〜98.5%である。
【0030】
本発明の好ましい一態様において、本発明の酢酸含有飲食品は、A成分、B成分、C成分、及びD成分の合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸/A〜D合計)を一定範囲内とすることが好ましい。該比(=単位をw/v%とした場合の酢酸濃度の数値を、単位をppbとした場合のA〜D成分の合計濃度の数値で除してなる比(酢酸濃度値(w/v%)/A〜D合計の濃度値(ppb))は、好ましくは0.000001〜20、より好ましくは0.000005〜15である。
【0031】
本発明の好ましい一態様において、本発明の酢酸含有飲食品は、A成分、B成分、C成分、及びD成分の合計含有量に対する酢酸エチル含有量の比(酢酸エチル/A〜D合計)を一定範囲内とすることが好ましい。該比(=単位をppmとした場合の酢酸エチル濃度の数値を、単位をppbとした場合のA〜D成分の合計濃度の数値で除してなる比(酢酸エチル濃度値(ppm)/A〜D合計の濃度値(ppb))は、好ましくは0.00001〜35000である。
【0032】
本発明の好ましい一態様において、本発明の酢酸含有飲食品は、A成分、B成分、C成分、及びD成分の合計含有量に対するアセトアルデヒド含有量の比(アセトアルデヒド/A〜D合計)を一定範囲内とすることが好ましい。該比(=単位をppmとした場合のアセトアルデヒド濃度の数値を、単位をppbとした場合のA〜D成分の合計濃度の数値で除してなる比(アセトアルデヒド濃度値(ppm)/A〜D合計の濃度値(ppb))は、好ましくは0.00001〜20000である。
【0033】
本発明の酢酸含有飲食品の性状としては、飲食品が採り得る性状である限り特に制限されず、例えば液状、乳化液状、ゲル状、フォーム状、固形状等が挙げられる。本発明の酢酸含有飲食品は、単一性状のもの、及び複数の性状の飲食品の組合せからなるものを包含する。
【0034】
酢酸含有飲食品としては、特に制限されないが、例えば、そのまま喫食に供される飲食品、喫食に供される飲食品の調製用組成物(つまり、そのまま喫食に供される飲食品を調製に使用するための組成物)等が挙げられる。なお、「そのまま喫食に供される飲食品」とは、何らの成分も添加されずに喫食される飲食品以外にも、喫食者が喫食時に必要に応じて調味料を適宜添加して喫食される飲食品も包含される。
【0035】
そのまま喫食に供される飲食品としては、特に制限されないが、例えば飲料、米飯類、麺類、惣菜、汁物(スープ)、弁当等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは飲料が挙げられる。
【0036】
飲料としては、例えば果汁含有飲料(例えば柑橘類(みかん、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、柚子、カボス、スダチ、ベルガモット、ピンクグレープフルーツ、八朔等)、熱帯果実(パイナップル、バナナ、グアバ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツ等)、ライチ、イチゴ、リンゴ、桃、ぶどう、白ぶどう、カシス、ラズベリー、ざくろ、ウメ、梨、杏、スモモ、キウイフルーツ、メロン、ブルーベリー、アサイー等のフルーツジュース、エード、ニアウォーター、美容系飲料、スムージー等)、乳製品含有飲料(例えば乳等の乳及びその加工品である脱脂粉乳や全脂粉乳、濃縮乳、ヨーグルト、生クリーム、練乳、バター、脱脂乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー等の乳成分を含む飲料)、野菜飲料(例えばトマト、ニンジン、かぼちゃ等のジュース、スムージー、青汁等)、清涼飲料水(例えばスポーツドリンク、レモネード等のエード、果実風味ドリンク)、炭酸飲料、ゼリー飲料、穀物飲料(例えば米、豆乳、アーモンドを主原料とする穀物飲料類等)、茶系飲料(例えば紅茶、ウーロン茶、緑茶、黒茶、抹茶、ジャスミン茶、ローズヒップ茶、カモミール茶、ほうじ茶の他、ブレンド茶(はと麦、大麦、玄米、大豆、とうもろこし等の穀物、柿の葉、びわの葉、クマ笹、アマチャヅル、アシタバ、ドクダミ等の葉、昆布、ベニバナ、しいたけ、レイシ等))、コーヒー飲料、粉末飲料(例えばココア、青汁等)、酒(例えばビール、発泡酒等のビールテイスト飲料、果実酒、日本酒等の醸造酒、焼酎、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ等の蒸留酒、蒸留酒に糖類等の副原料を混合するリキュール等の混成酒、さらにこれら酒類に果汁やフレーバー、炭酸ガス等を加えたカクテル、フィズ、チューハイ等)等が挙げられる。
【0037】
米飯類としては、例えば、白飯、塩飯、赤飯、おこわ、炊き込み御飯、混ぜ込みご飯、おにぎり、寿司飯、餅、団子等が挙げられる。なお、「米」は、粳米、もち米や、精米度の異なる無洗米や、玄米等が挙げられる。また、これら以外にも、これらの米飯類と他の食材との調理品、例えば寿司、ちらし寿司、カレーライス、丼物、チャーハン、天津飯等が挙げられる。
【0038】
麺類とは、小麦粉、米粉、そば粉、マメ等の穀類の粉を主原料とし、麺状や板状やリボン状等に成形、加工されたものを、茹でたり、煮たり、蒸煮したりすることで調理される食品であり、この限りにおいて特に制限されない。例えば、そば、うどん、きしめん、ラーメン、中華麺、パスタ、マカロニ、素麺、フォー、韓国冷麺、春雨等が挙げられる。
【0039】
惣菜は、肉類、魚介類、卵、乳、野菜、果物、ハーブ、海藻等の具材を適当な方法で調理して得られた食品である。惣菜としては、例えば漬物、煮物、焼き物、揚げ物、炒め物、蒸し物、和え物等が挙げられる。より具体的には、例えば酢豚、酢の物、酢漬け等が挙げられる。
【0040】
汁物(スープ)は、肉類、魚介類、卵、乳、野菜、果物、ハーブ、海藻等の具材を適当な方法で調理して得られた、水を多く含む食品である。汁物として、具体的には、例えばミネストローネ、サンラータン、白湯スープ、チゲスープ等が挙げられる。
【0041】
弁当は、容器に上記飲食品が1種又は複数種配置されてなるものであり、この限りにおいて特に制限されない。
【0042】
喫食に供される飲食品の調製用組成物としては、特に制限されないが、例えば飲料の調製用組成物、調味料、レトルト食品等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは飲料の調製用組成物、調味料等が挙げられ、より好ましくは飲料の調製用組成物が挙げられる。
【0043】
飲料の調製用組成物としては、例えば飲料の濃縮タイプが挙げられる。これは、適当な飲料(例えば、水、又は上記で例示された飲料)で希釈してから、飲用に供される。推奨される希釈倍率は、例えば1.1〜50倍、好ましくは2〜20倍、より好ましくは3〜12倍、さらに好ましくは4〜8倍である。
【0044】
調味料としては、特に制限されないが、例えばタレ(ごまだれ等のごま含有調味料、焼肉だれ等)、ドレッシング(ノンオイルドレッシング、分離ドレッシング、乳化ドレッシング等)、調味酢(例えば汎用性調味酢、酢の物用調味酢、すし飯用調味酢、酢漬け(例えばピクルス等)用調味液、甘酢等)、米飯用調味料、ぽん酢調味料、だし含有調味料(例えばめんつゆ、鍋つゆ等)、納豆用調味料、漬物用調味料、肉用調味料、食酢、ウスターソース、ケチャップ、オイスターソース、サルサ、サンバルソース、チリソース、辛味スパイス含有調味料、チャツネ、マスタード、マヨネーズ等が挙げられる。
【0045】
レトルト食品としては、レトルトパウチ又は缶内に調理済み又は半調理済みの食品が詰められてなるものである限り、特に制限されない。詰められる食品としては、例えば、上記した食品そのもの、又は簡単な調理(例えば、食材を加えて加熱調理するなど)により上記した食品を得ることができるもの等が挙げられる。
【0046】
本発明の酢酸含有飲食品は、飲食品の種類に応じて、他の原料を含有することができる。他の原料としては、水、糖類(高甘味度甘味料を含む)、果実や野菜を切削やすり潰す等の処理により得られる破砕物(搾汁液(果汁や、野菜汁)、ピューレ、ペースト等)、フレーバー、食酢、食塩、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、有機酸系調味料(又は酸味料)、酸味料、風味原料、旨味調味料、酒類、油脂類、香辛料、香辛料抽出物、香味オイル、粘度調整剤、安定剤、着色料、カルシウム塩、具材等が挙げられる。これら他の原料の組合せ及び含有量は、特に限定はされず、飲食品の種類に応じて適宜設定することができる。
【0047】
上記他の原料は、特に、飲料、飲料の調製用組成物、調味料において、好適に使用することができる。また、中でも、飲料、飲料の調製用組成物において好適に使用できるものとしては、例えば水、糖類(高甘味度甘味料を含む)、果実や野菜を切削やすり潰す等の処理により得られる破砕物(搾汁液(果汁や、野菜汁)、ピューレ、ペースト等)、フレーバー、食酢、食塩、安定剤、着色料、カルシウム塩、アミノ酸系調味料、核酸系調味料、有機酸系調味料(又は酸味料)、風味原料、旨味調味料、酒類等が挙げられる。
【0048】
本発明の酢酸含有飲食品が飲料又はその調製用組成物である場合、そのpHは、酸性値(pH7未満)であればよく、特に限定されない。通常は風味と呈味のバランスの観点から決定すればよい。但し、特に限定されるものではないが、通常2.0以上、中でも2.2以上、更には2.4以上であることが好ましく、また、通常4.6以下、中でも4.5以下、更には4.4以下であることが好ましい。
【0049】
上記糖類としては、例えば、砂糖、麦芽糖、果糖、異性化液糖、ブドウ糖、黒糖、はちみつ、水あめ、デキストリン、ラクトース、ガラクトースや、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコール類等が挙げられる。これらの糖類は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0050】
上記高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、甘草抽出物、ステビアやその酵素処理物等が挙げられる。これらの高甘味度甘味料は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0051】
上記果実としては、例えば、リンゴ、桃、ぶどう、アセロラ、ブルーベリー、梨、杏、オレンジ、レモン、柚子、カボス、スダチ、ライム、みかん、グレープフルーツ、いちご、パイナップル、バナナ、メロン、キウイフルーツ、パイナップル、カシス、アプリコット、グアバ、プラム、マンゴー、パパイヤ、ライチ、ウメ、ざくろ、アサイー、ピンクグレープフルーツ、ラズベリー、白ぶどう、ベルガモット、パッションフルーツ、八朔等に由来する果実が挙げられる。果実はこれらに限定されるものではなく、1種又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。
【0052】
上記野菜としては、例えば、トマト、ピーマン、パプリカ、キュウリ、ナス、レッドベルペッパー、かぼちゃ、枝豆、等の果菜、タマネギ(オニオン)、ショウガ(ジンジャー)、ニンニク(ガーリック)、大根、ニンジン、ビーツ等の根菜、キャベツ、レタス、ほうれん草、白菜、セロリ、小松菜、チンゲン菜、モロヘイヤ、ケール、シソ、ニラ、パセリ、ネギ等の葉菜、ニンニク、アスパラガス、たけのこ等の茎菜、ブロッコリー、カリフラワー等の花菜等、その他きのこ類等に由来する野菜が挙げられる。野菜はこれらに限定されるものではなく、1種又は2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用することができる。なお、これらの野菜、果実より得られた搾汁液(果汁や、野菜汁)やピューレ、ペースト等を、本発明の飲料に1種又は2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で配合してもよい。
【0053】
上記フレーバーとしては、例えば、ぶどうフレーバー、リンゴフレーバー、レモンフレーバー、オレンジフレーバー、グレープフルーツフレーバー、柚子フレーバー、すだちフレーバー、ブルーベリーフレーバー、ウメフレーバー、カシスフレーバー、ざくろフレーバー、ラズベリーフレーバー等や、ヨーグルトフレーバー等の乳フレーバー、その他、ローズヒップフレーバー、カモミールフレーバー、ジャスミンフレーバー、ジンジャーフレーバー、ガーリックフレーバー、マスタードフレーバー、オニオンフレーバー、ゴマフレーバー、ねぎフレーバー、ニラフレーバー、シソフレーバー、わさびフレーバー等が挙げられる。これらのフレーバーは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0054】
上記食酢としては、例えば、米や麦などの穀物や果汁を原料として生産される醸造酢と、氷酢酸や酢酸の希釈液に砂糖等の調味料を加えるか、又はそれに醸造酢を加えた合成酢と、があり、何れも使用することができる。醸造酢としては、例えば、米酢、穀物酢(玄米酢、黒酢、粕酢、麦芽酢、はと麦酢、大豆酢等)、果実酢(リンゴ酢、ぶどう酢、レモン酢、カボス酢、梅酢、ワイン酢、バルサミコ酢等)、エタノールを原料とした酢酸発酵によって製造される酒精酢、中国酢、シェリー酢などが挙げられる。また、合成酢としては、氷酢酸又は酢酸を水で適宜希釈したものなどが挙げられる。なお、これらの食酢は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
上記食塩はそのものでもよいが、食塩を含有する食品でも良い。食塩を含有する食品は特に限定はないが、例として、醤油、味噌、出汁等が挙げられる。
【0056】
上記醤油としては特に限定されるものではないが、例えば濃口醤油、淡口醤油、白醤油、溜り醤油、再仕込み醤油等が挙げられる。これらの醤油は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0057】
上記味噌としては特に限定されるものではないが、例えば麦味噌、米味噌、豆味噌、調合味噌などに加えて、その製法に起因する色の違いによって命名される赤味噌・白味噌・淡色味噌等が挙げられる。これらの味噌は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0058】
上記アミノ酸系調味料としては、例えば、L−グルタミン酸ナトリウム、DL−アラニン、グリシン、L−又はDL−トリプトファン、L−フェニルアラニン、L−又はDL−メチオニン、L−リシン、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−アルギニン等が挙げられる。これらのアミノ酸系調味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0059】
上記核酸系調味料としては、例えば、5’−イノシン酸二ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム、5’−ウリジル酸二ナトリウム、5’−シチジル酸二ナトリウム、5’−リボヌクレオチドカルシウム、5’−リボヌクレオチド二ナトリウム等が挙げられる。これらの核酸系調味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0060】
上記有機酸系調味料としては、例えば、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸水素カリウム、L−酒石酸水素カリウム、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸ナトリウム等が挙げられる。これらの有機酸系調味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。2種以上の有機酸系調味料を併用することで、双方の呈味が相乗的に高まるため好ましい。
【0061】
上記酸味料としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フィチン酸、フマル酸、リン酸等が挙げられる。これらの酸味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0062】
上記風味原料としては、例えば、鰹だし、昆布だし、野菜エキス、鰹エキス、昆布エキス、魚介エキス、蓄肉エキス等が挙げられる。これらの風味原料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0063】
上記旨味調味料としては、例えば、たん白加水分解物、酵母エキス等が挙げられる。これらの旨味調味料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0064】
上記酒類としては、清酒、合成清酒、みりん、焼酎、ワイン、リキュール、紹興酒等が挙げられる。これらの酒類は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0065】
上記油脂類としては、例えば、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、綿実油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、藻類油等が挙げられる。これらの油脂類は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0066】
上記香辛料とは、特有の香り、刺激的な呈味、色調を有し、香り付け、消臭、調味、着色等の目的で飲食品に配合する植物体の一部(植物の果実、果皮、花、蕾、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎など)をいい、香辛料にはスパイス又はハーブが含まれる。スパイスとは、香辛料のうち、利用部位として茎と葉と花を除くものをいい、例えば、胡椒(黒胡椒、白胡椒、赤胡椒)、ニンニク、ショウガ、ごま(ごまの種子)、唐辛子、ホースラディシュ(西洋ワサビ)、マスタード、ケシノミ、柚子、ナツメグ、シナモン、パプリカ、カルダモン、クミン、サフラン、オールスパイス、クローブ、山椒、オレンジピール、ウイキョウ、カンゾウ、フェネグリーク、ディルシード、カショウ、ロングペッパー、オリーブの実などが挙げられる。また、ハーブとは、香辛料のうち、茎と葉と花を利用するものをいい、例えば、クレソン、コリアンダー、シソ、セロリ、タラゴン、チャイブ、チャービル、セージ、タイム、ローレル、ニラ、パセリ、マスタードグリーン(からしな)、ミョウガ、ヨモギ、バジル、オレガノ、ローズマリー、ペパーミント、サボリー、レモングラス、ディル、ワサビ葉、山椒の葉などが挙げられる。
【0067】
上記香辛料抽出物としては、一般的に「香辛料」又は「スパイス」と表示される食品の抽出物であれば何でもよく、その例としては、唐辛子抽出物、マスタード抽出物(カラシ抽出物)、ショウガ抽出物(ジンジャー抽出物)、ワサビ抽出物、ペッパー抽出物、ニンニク抽出物(ガーリック抽出物)、オニオン抽出物、サンショウ抽出物等が挙げられる。これらの香辛料抽出物は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0068】
上記香味オイルとしては、例えば、ジンジャーオイル、ガーリックオイル、マスタードオイル、オニオンオイル、ゴマ油、ねぎオイル、ニラオイル、セリオイル、シソオイル、わさびオイル、レモンオイル、柚子オイル、魚介オイル、蓄肉オイル等が挙げられる。これらの香味オイルは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0069】
また、上記粘度調整剤としては、例えばキサンタンガム、グァーガム、ジェランガム、アラビアガム、タマリンドシードガム、タラガム、トラガントガム、ペクチン、セルロース、カラギーナン、寒天、澱粉、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラヤガム、プルラン、キチン、キトサン等が挙げられる。これらの粘度調整剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0070】
上記具材としては、例えば野菜(ニンジン、ゴボウ、大根等)や、穀類(小豆、大豆等)や、肉類や、魚類等が挙げられる。これらの具材は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせや任意の比率で併用してもよい。
【0071】
本発明の酢酸含有飲食品は、酢酸を0.02w/v%以上の濃度になるように配合すること、及び(A成分)2−ブタノン及び(B成分)3−メチルブタナールからなる群より選択される少なくとも1種を配合することを含む方法により、製造することができる。このため、本発明は、その一態様において、該方法を含む、酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法(本明細書において、「本発明の製造方法」と示すこともある。)、に関する。
【0072】
さらに、本発明は、その一態様において、(A成分)2−ブタノン及び(B成分)3−メチルブタナールからなる群より選択される少なくとも1種を酢酸含有飲食品に配合することを含む、酢酸含有飲食品の酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法(本明細書において、「本発明の方法」と示すこともある。)、に関する。
【0073】
酢酸、A成分、B成分、及び必要に応じて配合される他の成分(C成分、D成分等)それぞれの配合のタイミングは、特に制限されない。該タイミングとしては、例えば飲食品の製造時、飲食品の製造後、喫食前等が挙げられる。酢酸、A成分、B成分、C成分、D成分等の由来は飲食品に適する由来である限り特に限定されず、これらの成分は、例えばフレーバー等の製剤、食品添加物、調味料、食品原料等に由来するものである。酢酸、A成分、B成分、及び必要に応じて配合される他の成分を配合した後は、必要に応じて、成分が飲食品中にできるだけ均一に分散されるように、混合することが好ましい。
【0074】
また、本発明によれば、(A成分)2−ブタノン及び(B成分)3−メチルブタナールからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、酢酸含有飲食品の酸臭及び/又は刺激臭を抑制するための組成物(本明細書において、「本発明の組成物」と示すこともある。)を提供することもできる。本発明の組成物は、その一態様において、A成分及びB成分を、本発明の組成物100質量%に対して、例えば1〜100質量%、20〜100質量%、40〜100質量%、60〜100質量%、80〜100質量%、90〜100質量%、95〜100質量%、99〜100質量%、又は99.9〜100質量%含有することができる。
【0075】
本発明の組成物の性状としては、特に制限されず、例えば固体(例えば粉末)、半固体、液体等が挙げられる。本発明の組成物は、例えば飲食品、食品添加物として利用することができる。飲食品としては、例えば、上記で例示した飲食品が挙られる。食品添加剤は、他の成分が含まれるものであってもよい。ここで食品添加剤とは、食品の製造過程において、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用されるものである。他の成分としては、食品に配合可能な成分であれば特に限定されないが、食品に配合可能な担体(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊補助剤、滑沢剤、湿潤剤等)や添加剤等が挙げられる。食品添加剤の形態としては、特に制限されず、例えば顆粒剤、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤(硬カプセル剤および軟カプセル剤が含まれる)等が挙げられる。本発明の組成物は、飲食品に配合することにより、酢酸含有飲食品の酸臭及び/又は刺激臭を抑制することができる。
【0076】
本発明の製造方法、本発明の方法、本発明の組成物においては、本発明の酢酸含有飲食品と同様に、さらにC成分及び/又はD成分を使用することができる。これにより、ボディ感を向上させること並びに/又は酢酸臭及び/若しくは刺激臭を抑制させること(特に、ボディ感を向上させること)ができる。
【実施例】
【0077】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0078】
試験例1.風味評価試験1
まず、評価対象成分の希釈液を調製した。70%エタノール水溶液に、(A成分)2−ブタノン(試薬名:2−Butanone、東京化成工業株式会社製 グレード:吸光分析用、純度99%以上、CAS#:78−93−3)、(B成分)3−メチルブタナール(試薬名:Butanal,3−methyl−、東京化成工業株式会社製 グレード:特級、純度98%以上、CAS#:590−86−3)、(C成分)プロピオン酸ブチル(試薬名:Propanoic acid,butyl ester、東京化成工業株式会社製、グレード:特級、純度99%以上、CAS#:590−01−2)、及び(D成分)酢酸イソアミル(試薬名:1−Butanol,3−methyl−,acetate、シグマアルドリッチジャパン合同会社製、グレード:特級、純度98%以上、CAS#:123−92−2)の各種成分をそれぞれ添加し、十分に攪拌して10,000ppmの溶液を調製し、イオン交換水で希釈して、1000ppmの溶液及び100ppmの溶液を調製した。
続いて、イオン交換水に、酢酸(関東化学株式会社製、グレード:特級、純度99.7%以上)、酢酸エチル(関東化学株式会社製、グレード:特級、純度99.5%以上)、及びアセトアルデヒド(富士フィルム和光純薬株式会社製、グレード:1級、純度88.0%以上)、の各種成分をそれぞれ添加し、十分に攪拌して15%溶液、及び、1%溶液を調製した。続いて評価対象成分の希釈液を添加し、十分に攪拌して、表1〜6に示される配合組成及び濃度の試験液(実施例1〜57)を調製した。
【0079】
一方で、評価対象成分を含まない以外は実施例1〜57と同配合のコントロール(対照試験液)を調製した。なお、評価に先立って、酢酸、酢酸エチル、及びアセトアルデヒドが低い濃度のコントロール(コントロールA(酢酸0.02w/v%、酢酸エチル0.1ppm、アセトアルデヒド0.01ppm)、及びコントロールB(酢酸0.2w/v%、酢酸エチル5ppm、アセトアルデヒド3ppm))であっても、酢酸臭及び刺激臭が感じられることを確認した。
【0080】
試験液及びコントロールの酢酸臭、刺激臭(酢酸エチル臭、アセトアルデヒド臭)、及びボディ感(水っぽさが弱く、味の厚みやコクが感じられること)を、味や香りに関する判定能力が一定の試験により担保された専門パネラー10名に評価させた。なお、前記の味や香りに関する一定の試験とは、下記1)および2)の識別試験をいい、本試験で特に成績が優秀であった者を専門パネラーとした。各試験液について、評価対象成分を含まない以外はその試験液と同配合のコントロールの評価との比較に基づいて下記評価基準に従って評点を付けてもらい、その平均点を算出した。
識別試験1)五味(甘味:砂糖の味、酸味:酒石酸の味、旨味:グルタミン酸ナトリウムの味、塩味:塩化ナトリウムの味、苦味:カフェインの味)について、各成分の閾値に近い濃度の水溶液を各1つずつ作製し、これに蒸留水2つを加えた計7つのサンプルから、それぞれの味のサンプルを正確に識別する味質識別試験。
識別試験2)濃度がわずかに異なる5種類の食塩水溶液、酢酸水溶液の濃度差を正確に識別する濃度差識別試験。
【0081】
なお、評価は具体的には次のようにして行った。中身色が見えないよう着色された官能検査用のグラスに試験液又はコントロールを10ml入れたものに、シャーレなどでフタをした。この状態でグラスを数回回してからフタをあけて臭いをかぎ、酢酸臭及び刺激臭を評価し、また、液を口に含み、ボディ感を評価した。鼻腔から香りが消えたら次のサンプル評価を行った。また、試験液を口に含んだ後は、蒸留水を口に含み、口内における風味を十分に消した後、次のサンプル評価を行った
【0082】
酢酸臭評価基準
1:コントロールに比べ、酢酸臭が増している。
2:コントロールに比べ、酢酸臭がやや増している。
3:コントロールと同じ。
4:コントロールに比べ、酢酸臭がやや弱まっている。
5:コントロールに比べ、酢酸臭が弱まっている。
【0083】
刺激臭評価基準
1:コントロールに比べ、刺激臭が増している。
2:コントロールに比べ、刺激臭がやや増している。
3:コントロールと同じ。
4:コントロールに比べ、刺激臭がやや弱まっている。
5:コントロールに比べ、刺激臭が弱まっている。
【0084】
ボディ感評価基準
1:コントロールに比べ、ボディ感が弱まっており、水っぽさが非常に増加している。2:コントロールに比べ、ボディ感がやや弱まっており、水っぽさもやや増加している。3:コントロールと同じ。
4:コントロールに比べ、ボディ感がやや強まっており、水っぽさがやや低減している。5:コントロールに比べ、ボディ感が強まっており、水っぽさが低減している。
さらに、上記評価項目の平均値に基づいて、下記評価基準に従って総合評価した:
【0085】
総合評価
◎:全項目の平均値が4.5以上。
○:全項目の平均値が4以上4.5未満。
△:全項目の平均値が3以上4未満。
×:全項目の平均値が3未満。
【0086】
結果を表1〜6に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
表1〜6より、A成分及びB成分からなる群より選択される少なくとも1種により、酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制でき、さらにこれらの含有量及び/又はこれらと各種成分(例えば臭気源(酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド))との比を調整することにより、またA成分とB成分とを組合わせることにより、該効果をより(場合によっては、顕著に)向上できること、及び/又はボディ感を向上できることが分かった。
【0094】
また、C成分及びD成分からなる群より選択される少なくとも1種をさらに組合わせることにより、ボディ感を向上させること並びに/又は酢酸臭及び/若しくは刺激臭を抑制させること(特に、ボディ感を向上させること)ができ、さらにこれらの含有量を調整することにより、またC成分とD成分とを組合わせることにより、該効果をより(場合によっては、顕著に)向上できることが分かった。
【0095】
なお、実施例15は、A成分の香りが際立ち、酢酸の爽やかな香りとのバランスが若干崩れ、実施例28は、B成分の香りが際立ち、酢酸の爽やかな香りとのバランスが若干崩れ、実施例34は、A成分及びB成分の香りが際立ち、酢酸の爽やかな香りとのバランスが若干崩れていた。これらの結果から、A成分、B成分の含有量及び/又はこれらと酢酸との比を調整することにより、酢酸の爽やかな香りを残しつつ、酢酸臭の不快さ及び/又は刺激臭を抑制できることが分かった。
【0096】
試験例2.風味評価試験2
表7〜8に示す組成に従って原料を配合し、酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びA〜D成分(試験例1と同じものを使用した。)を表9〜10に記載の含有量となるように適宜添加して、飲料(比較例1及び実施例58〜71)を調製した。なお、実施例67の野菜938kgの内訳は次の通りである:トマトジュース400、ニンジン300、セロリ55、キャベツ50、パプリカ50、かぼちゃ40、ビーツ20、枝豆10、大根5、ショウガ4、及びネギ4。
【0097】
なお、飲料中の酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びA〜D成分それぞれの含有量は、以下のようにして測定した。
【0098】
<酢酸の含有量>
サンプルは、酢酸の濃度が100mg%付近になるように超純水で希釈し、以下の条件に従って、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、酢酸のピーク面積を分析した。また、超純水で希釈した100mg%の酢酸を、標品サンプルとして同様に分析し、外部標準法により各サンプルの酢酸の含有量を算出した。
・測定機器:高速液体クロマトグラフィー(島津製作所社製、機種LC−10ADVP)・移動相(1)4mMp−トルエンスルホン酸水溶液、流速0.9mL/min
・移動相(2)4mMp−トルエンスルホン酸、80μMEDTAを含む16mMBis−Tris水溶液、流速0.9mL/min
・カラム:Shodex KC810P+KC−811×2(昭和電工社製)
・カラム温度:50℃
・検出:電気伝導度検出器
【0099】
<酢酸エチルの含有量>
サンプルは、酢酸エチルの濃度が0.05〜0.20v/v%付近になるように超純水で希釈し、内部標準としてアセトン(純度99.9%以上、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)を0.25v/v%になるように添加し、以下の条件に従って、ガスクロマトグラフィー(GC)を用い、酢酸エチルのピーク面積を分析した。また、超純水で希釈した酢酸とアセトンの濃度が各0.25%(v/v)である標品サンプルを同様に分析し、内部標準法により各サンプルの酢酸エチルの含有量を算出した。
・測定機器:ガスクロマトグラフィー GC2014、クロマトパック C−R5A(島津製作所社製)
・カラム:パックドカラム(3.1m)充填剤:PEG−1000 25% Shimalite 60/80 BT(信和化工株式会社)
・キャリアガス:Heガス、ガス流量40ml/min
・温度条件 :105℃(7min)→100℃/min昇温→120℃(2min)・検出器:FID(150℃)
【0100】
<アセトアルデヒドの含有量>
サンプルはそのまま、以下の条件に従って、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、アセトアルデヒドのピーク面積を分析した。また、アセトアルデヒド(純度99.0%以上、シグマアルドリッチジャパン合同会社製)を100ppmとなるよう超純水で希釈した標品サンプルを同様に分析し、外部標準法により各サンプルのアセトアルデヒドの含有量を算出した。
・測定機器:ガスクロマトグラフィ6890(Agilent Technologies社製)・カラム:TC−WAX 0.53mm X30m 膜厚1.0μm(ジーエルサイエンス社製)・キャリアガス:Heガス、ガス流量5ml/min
・温度条件:40℃(5min)→2℃/min昇温→100℃(0min)→20℃/min昇温→230℃(10min)
・検出器:FID(250℃)
【0101】
<A〜D成分の含有量>
〔1〕成分の分離濃縮方法
以下の条件に従って、成分の分離濃縮を行った。
サンプルは100gを1Lバイアルに測り取り、密封した後40℃で30min予備加熱をした。その後、バイアル中の気相をサンプルとして200mlを濃縮装置に導入した。
・揮発性成分濃縮装置
Entech7200(Entech社製)
・濃縮モード:CTD
・M1(Empty)温度 : Trap −40℃→Desorb 10℃
・M2(Tenax)温度 : Trap −50℃→Desorb 220℃
・M3(CryoFoucus)温度 : Trap −150℃→Desorb 80℃
【0102】
〔2〕成分の分析方法
以下の条件に従ってガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、各成分のピーク面積を分析した。
<ガスクロマトグラフ条件>
・測定機器:Agilent 7980B GC System (Agilent Technologies社製)・GCカラム:DB−1 (Agilent Technologies社製) 長さ60m,口径0.32mm,膜厚1.0μm
・キャリア:Heガス、ガス流量2.68mL/min
・温度条件:35℃(5min)保持→220℃まで3℃/min昇温→5分間保持
<質量分析条件>
・測定機器:Agilent 5977B MSD(Agilent Technologies社製)・イオン化方式:EI
・測定モード:SCAN
【0103】
〔3〕成分の定量方法(外部標準法)
無水エタノールで希釈した濃度既知の各成分(配合に使用したものと同一のもの)を、標品サンプルとして分析し、検出されたピーク面積をもとに検量線を作成した。分析サンプルの分析結果を検量線にあてはめ、含有量を算出した。
【0104】
飲料のブリックス(Bx:%)については、市販のブリックス糖度計(株式会社アタゴ社製、型式:PR−201 α)を用いて、従来公知の手法に測定した。また、pHについては、pHメーター(HORIBA社製 pH METER F−51)を用いて、品温20℃でのpH値を測定した。
【0105】
飲料の酢酸臭、刺激臭(酢酸エチル臭、アセトアルデヒド臭)、及びボディ感(水っぽさが弱く、味の厚みやコクが感じられること)を、試験例1同様、味や香りに関する判定能力が一定の試験により担保された専門パネラー10名に評価させた。各飲料について、下記評価基準に従って評点を付けてもらい、その平均点を算出した。
【0106】
なお、評価は具体的には次のようにして行った。中身色が見えないよう着色された官能検査用のグラスに飲料を10ml入れたものに、シャーレなどでフタをした。この状態でグラスを数回回してからフタをあけて臭いをかぎ、酢酸臭及び刺激臭を評価し、また、飲料を口に含み、ボディ感を評価した。鼻腔から香りが消えたら次のサンプル評価を行った。また、飲料を口に含んだ後は、水を口に含み、口内における風味を十分に消した後、次のサンプル評価を行った。
【0107】
酢酸臭評価基準
1:酢酸臭を強く感じる。
2:酢酸臭をやや強く感じる。
3:酢酸臭を感じる。
4:酢酸臭をやや感じる。
5:酢酸臭が感じられない。
【0108】
刺激臭評価基準
1:刺激臭を強く感じる。
2:刺激臭をやや強く感じる。
3:刺激臭を感じる。
4:刺激臭をやや感じる。
5:刺激臭が感じられない。
【0109】
ボディ感評価基準
1:ボディ感が弱く、水っぽさを非常に強く感じる。
2:ボディ感がやや弱く、水っぽさを強く感じる。
3:ボディ感はあるが、水っぽさを感じる。
4:ボディ感が強く、水っぽさをほとんど感じない。
5:ボディ感が非常に強く、水っぽさを感じない。
さらに、上記評価項目の平均値に基づいて、下記評価基準に従って総合評価した:
【0110】
総合評価
◎:全項目の平均値が4.5以上。
○:全項目の平均値が4以上4.5未満。
△:全項目の平均値が3以上4未満。
×:全項目の平均値が3未満。
【0111】
結果を表9〜10に示す。
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0112】
試験例3.風味評価試験3
各種調味料を調製し、その風味を評価した。酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びA〜D成分(試験例1と同じものを使用した。)それぞれの含有量の測定及び風味の評価は、試験例2と同様にして行った。
【0113】
試験例3−1.調味ゼリー
表11に示す組成に従って原料を配合し、酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びA〜D成分を表12に記載の含有量となるように適宜添加して、調味ゼリーを調製した。結果を表12に示す。
【0114】
【表11】

【0115】
【表12】

試験例3−2.すし酢
表13に示す組成に従って原料を配合し、酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びA〜D成分を表14に記載の含有量となるように適宜添加して、すし酢を調製した。結果を表14に示す。
【0116】
【表13】

【0117】
【表14】

試験例3−3.調味酢
表15に示す組成に従って原料を配合し、酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びA〜D成分を表16に記載の含有量となるように適宜添加して、調味酢を調製した。結果を表16に示す。
【0118】
【表15】

【0119】
【表16】

【0120】 (削除)
【0121】 (削除)
試験例3−5.たれ
表19に示す組成に従って原料を配合し、酢酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、及びA〜D成分を表20に記載の含有量となるように適宜添加して、たれを調製した。結果を表20に示す。
【0122】
【表19】

【0123】
【表20】

【0124】(削除)
【0125】(削除)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸を0.02〜3w/v%含有し、(A成分)2−ブタノンを含有し、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbであり、且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20である、酢酸含有飲食品。
【請求項2】
さらに、前記B成分を含有する、請求項1に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項3】
前記B成分の含有量が0.02〜20000ppbである、請求項2に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項4】
さらに(C成分)プロピオン酸ブチルを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項5】
前記C成分の含有量が0.05〜100000ppbである、請求項4に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項6】
さらに(D成分)酢酸イソアミルを含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項7】
前記D成分の含有量が0.005〜50000ppbである、請求項6に記載の酢酸含有飲食品。
【請求項8】
前記A成分及び前記B成分の合計含有量に対する酢酸エチル含有量の比(酢酸エチル濃度値(ppm)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.0001〜35000である、請求項1〜7のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項9】
前記A成分及び前記B成分の合計含有量に対するアセトアルデヒド含有量の比(アセトアルデヒド濃度値(ppm)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.0001〜20000である、請求項1〜8のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項10】
前記A成分、前記B成分、(C成分)プロピオン酸ブチル、及び(D成分)酢酸イソアミルの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A〜D合計の濃度値(ppb))が0.000001〜20である、請求項1〜9のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項11】
そのまま喫食に供される飲食品である、請求項1〜10のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項12】
喫食に供される飲食品の調製用組成物である、請求項1〜10のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項13】
飲料、該飲料の調製用組成物、又は調味料である、請求項1〜12のいずれかに記載の酢酸含有飲食品。
【請求項14】
酢酸を0.02〜3w/v%の濃度になるように配合すること、及び(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように配合することを含み、且つ前記配合において前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように配合する、酢酸臭及び/又は刺激臭が低減された酢酸含有飲食品の製造方法。
【請求項15】
(A成分)2−ブタノンを、前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように酢酸含有飲食品に配合することを含み、且つ前記配合において前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように配合する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制する方法。
【請求項16】
(A成分)2−ブタノンを含有する、酢酸含有飲食品の酢酸臭及び/又は刺激臭を抑制するためであり且つ前記A成分の含有量が0.015〜20000ppbになるように且つ前記A成分及び(B成分)3−メチルブタナールの合計含有量に対する酢酸含有量の比(酢酸濃度値(w/v%)/A及びB合計の濃度値(ppb))が0.00005〜20になるように酢酸含有飲食品に添加するための組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-02-28 
出願番号 P2019-233963
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A23L)
P 1 651・ 537- YAA (A23L)
P 1 651・ 536- YAA (A23L)
P 1 651・ 113- YAA (A23L)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 村上 騎見高
特許庁審判官 瀬良 聡機
吉岡 沙織
登録日 2020-11-10 
登録番号 6792251
権利者 株式会社Mizkan 株式会社Mizkan Holdings
発明の名称 酢酸含有飲食品  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
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