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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65G
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B65G
管理番号 1386127
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-01 
確定日 2022-04-11 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6810772号発明「入出荷支援システム、入出荷支援方法及び無人搬送車」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6810772号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2〜3〕、4、5、6、7、8について訂正することを認める。 特許第6810772号の請求項1〜8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6810772号(以下、「本件特許」という。)の請求項1〜8に係る特許についての出願は、平成26年8月27日に出願した特願2014−172383号(以下、「本件特許の原出願」という。)の一部を令和元年8月8日に特願2019−146822号として出願したものであって、令和2年12月15日にその特許権の設定登録がされ、令和3年1月6日に特許掲載公報が発行された。

本件特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和3年 7月 1日 :特許異議申立人浜俊彦(以下、「申立人1」 という。)による請求項1、4、6〜8に係 る特許に対する特許異議の申立て
令和3年 7月 6日 :特許異議申立人小川鐵夫(以下、「申立人2 」という。)による請求項1〜8に係る特許 に対する特許異議の申立て
令和3年11月 2日付け:取消理由通知
令和4年 1月 6日 :特許権者による意見書の提出及び訂正請求( 以下、この訂正請求を「本件訂正請求」とい い、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」 という。)
令和4年 1月21日付け:訂正請求があった旨の通知
令和4年 2月24日 :申立人2による意見書(以下、「申立人2意 見書」という。)の提出
令和4年 2月25日 :申立人1による意見書(以下、「申立人1意 見書」という。)の提出


第2 本件訂正の適否についての判断
1.訂正の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、「特許第6810772号の明細書及び特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜8について訂正することを求める。」というものである。

2.訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所である。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、・・・」
と記載されているのを、
「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、
前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、前記積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、・・・」
に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を独立形式に改め、
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車は、
前記積載部としてローラコンベアを備えており、
前記積載場所及び前記荷下ろし場所にローラコンベアが備えられていることを特徴とする入出荷支援システム。」
に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を独立形式に改め、
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車において、
前記積載部は、昇降が可能であり、
前記積載場所及び前記荷下ろし場所には、チェーンコンベアが備えられており、
前記無人搬送車は、前記積載場所に到着すると、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも低くした状態で、前記積載場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも高くなるよう、前記積載部を上昇させ、
前記無人搬送車は、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも高くした状態で、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも低くなるよう、前記積載部を下降させることを特徴とする入出荷支援システム。」
に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5を独立形式に改め、
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記積載部は、前記物品の底面に備えられているRFIDタグを読み取るためのRFIDタグリーダを上面に有し、
前記無人搬送車の制御部は、前記積載部に前記物品を積載する際に、前記RFIDタグリーダが、前記RFIDタグを読み取ることで、前記無人搬送車の直上に前記物品が到着したか否かを判定するとともに、前記RFIDタグに格納されている前記物品の情報を基に積載された前記物品が積載されるべき物品であるか否かを判定することを特徴とする入出荷支援システム。」
に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に
「物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろすことを特徴とする入出荷支援システム。」
と記載されているのを、
「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、
前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、
前記自動倉庫は、前記コンベアから前記物品を取得して入庫することを特徴とする入出荷支援システム。」
に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に
「物品を積載する積載部を有する無人搬送車が、
前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろして自動倉庫からの前記物品の出荷又は入荷を支援することを特徴とする入出荷支援方法。」
と記載されているのを、
「物品を保管する自動倉庫が、第1のコンベアに前記物品を出庫し、
前記第1のコンベアが、前記自動倉庫から出庫された前記物品を、積載場所まで搬送し、
前記物品を積載する積載部を有する無人搬送車が、
前記積載場所で前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を第2のコンベアに下ろして、
前記自動倉庫からの前記物品の出荷又は入荷を支援することを特徴とする入出荷支援方法。」
に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に
「物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろすことを特徴とする無人搬送車。」
と記載されているのを、
「物品を積載する積載部を有する無人搬送車であって、
前記無人搬送車は、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記荷下ろし場所のコンベアよりも前記積載部を高くした状態で、前記コンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、前記コンベアを介して前記物品は自動倉庫に入庫されて保管されることを特徴とする無人搬送車。」
に訂正する。

(8)訂正事項8
明細書の段落【0007】に
「前記した課題を解決するため、本発明は、物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろすことを特徴とする。
その他の解決手段は実施形態中において適宜記載する。」
と記載されているのを、
「前記した課題を解決するため、本発明は、物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され、前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、前記積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろすことを特徴とする。
その他の解決手段は実施形態中において適宜記載する。」
に訂正する。

3.訂正要件の適否の検討
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「物品の入出庫を行う自動倉庫」について、「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫」とより具体的に特定して限定するとともに、「物品」について、「前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され、」と具体的に特定して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、上記アに示すとおり特許請求の範囲を減縮するものであり、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0011】には、「自動倉庫2は、物品9を保管しており、入出庫コンベア21を有している。」と記載されていることから、訂正事項1による訂正後の請求項1の「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫」が記載されているといえる。
また、明細書の段落【0014】には、「逆に、自動倉庫2から物品9が出庫される場合、物品9は、自動倉庫2から出庫された後、入出庫コンベア21で搬送される。」と、段落【0016】には、「自動倉庫2には、前記したように、入出庫コンベア21が備わっており、自動倉庫2から出庫又は入庫される物品9(図1)は入出庫コンベア21を介して、無人搬送車1に積載又は無人搬送車1から荷下ろしされる。」と、段落【0029】には、「自動倉庫2(図1)から入出庫コンベア21に物品9が出庫されると、入出庫コンベア21のローラコンベア22が回転することによって物品9が積載場所まで運ばれる。」と、それぞれ記載されていることから、訂正事項1による訂正後の請求項1の「前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され」ることが記載されているといえる。
したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載を総合して導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用するところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2は、訂正前の請求項2について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、訂正前の請求項2について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正前の請求項4が請求項1の記載を引用するところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3は、訂正前の請求項4について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、訂正前の請求項4について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正前の請求項5が請求項1の記載を引用するところ、請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項4は、訂正前の請求項5について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、訂正前の請求項5について何ら実質的な内容の変更を伴うものではないことが明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正前の請求項6の「入出荷支援システム」について、「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫」という構成を追加し、その動作について「前記自動倉庫は、前記コンベアから前記物品を取得して入庫する」と具体的に特定して限定するとともに、「無人搬送車」の動作について、訂正前の請求項6において「前記積載した物品を下ろす」となっていたのを、「前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、」とより具体的に特定して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項5は、上記アに示すとおり特許請求の範囲を減縮するものであり、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0011】には、「自動倉庫2は、物品9を保管しており、入出庫コンベア21を有している。」と記載されていることから、訂正事項5による訂正後の請求項6の「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫」が記載されているといえる。
また、明細書の段落【0014】には、「すなわち、自動倉庫2に物品9を入庫する場合、物品9は、入出荷コンベア3で搬送された後、無人搬送車1に積載され、その後入出庫コンベア21に荷下ろしされ、自動倉庫2に入庫される。」と、段落【0016】には、「自動倉庫2には、前記したように、入出庫コンベア21が備わっており、自動倉庫2から出庫又は入庫される物品9(図1)は入出庫コンベア21を介して、無人搬送車1に積載又は無人搬送車1から荷下ろしされる。また、自動倉庫2は、自動倉庫コントローラ6を介して制御装置4から指示を受信し、受信した指示に基づいて物品9の入出庫を行う。」と、段落【0033】には、「荷下ろし場所W8に到着した無人搬送車1は入出庫コンベア21B(21)上に物品9を荷下ろしする。」と、それぞれ記載されていることから、訂正事項5による訂正後の請求項6の「無人搬送車」が「前記積載した物品を前記コンベア上に下ろ」すこと、及び、「前記自動倉庫は、前記コンベアから前記物品を取得して入庫する」ことが、それぞれ記載されているといえる。
したがって、訂正事項5による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載を総合して導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正前の請求項7の「入出荷支援方法」について、「物品を保管する自動倉庫が、第1のコンベアに前記物品を出庫し、前記第1のコンベアが、前記自動倉庫から出庫された前記物品を、積載場所まで搬送し、」という構成を追加して限定するとともに、「無人搬送車」の動作について、訂正前の請求項7において「前記積載部に前記物品を積載し」、「前記積載した物品を下ろして」となっていたのを、「前記積載場所で前記積載部に前記物品を積載し」、「前記積載した物品を第2のコンベアに下ろして」とより具体的に特定して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項6は、上記アに示すとおり特許請求の範囲を減縮するものであり、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0011】には、「自動倉庫2は、物品9を保管しており、入出庫コンベア21を有している。自動倉庫2は、制御装置4からの指示に従って物品9を入出庫コンベア21に送りだしたり、入出庫コンベア21から入庫する物品9を取得したりする。」と、段落【0014】には、「逆に、自動倉庫2から物品9が出庫される場合、物品9は、自動倉庫2から出庫された後、入出庫コンベア21で搬送される。」と、段落【0016】には、「自動倉庫2には、前記したように、入出庫コンベア21が備わっており、自動倉庫2から出庫又は入庫される物品9(図1)は入出庫コンベア21を介して、無人搬送車1に積載又は無人搬送車1から荷下ろしされる。」と、段落【0029】には、「自動倉庫2(図1)から入出庫コンベア21に物品9が出庫されると、入出庫コンベア21のローラコンベア22が回転することによって物品9が積載場所まで運ばれる。」と、それぞれ記載されていることから、訂正事項6による訂正後の請求項7の「物品を保管する自動倉庫が、第1のコンベアに前記物品を出庫し、前記第1のコンベアが、前記自動倉庫から出庫された前記物品を、積載場所まで搬送し」ていることが記載されているといえる。
また、明細書の段落【0013】には、「入出荷コンベア3の一方は、無人搬送車1が物品9を積載又は荷下ろしするために近接停車する場所となっている。」と、段落【0030】には、「すると、無人搬送車1の積載装置12上の物品9が、積載装置12(図12)から入出荷コンベア3へと移動していく。」と、段落【0032】には、「荷下ろし場所W3に到着した無人搬送車1は入出荷コンベア3A(3)上に物品9を荷下ろしする。」と、それぞれ記載されていることから、訂正事項6による訂正後の請求項7の「無人搬送車」が「前記積載場所で前記積載部に前記物品を積載し」、「前記積載した物品を第2のコンベアに下ろして」いることが記載されているといえる。
したがって、訂正事項6による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載を総合して導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(7)訂正事項7
ア 訂正の目的
訂正事項7は、訂正前の請求項8の「無人搬送車」の動作について、「物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす」ことまで特定されていたのを、さらに、「前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記荷下ろし場所のコンベアよりも前記積載部を高くした状態で、前記コンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、前記コンベアを介して前記物品は自動倉庫に入庫されて保管される」ことまで特定して限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項7は、上記アに示すとおり特許請求の範囲を減縮するものであり、かつ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0072】には、「物品9を積載している無人搬送車1aが荷下ろしコンベアC2に到着すると、無人搬送車1aは荷下ろしコンベアC2の下に潜り込む。そして、無人搬送車1aは積載装置12aを下降させることで、物品9を積載装置12aから荷下ろしする。」と、段落【0073】には、「荷下ろしコンベアC2は、前記したように自動倉庫2に物品9を入庫する場合、入出庫コンベア21aであり、自動倉庫2から物品9を出庫する場合、入出荷コンベア3aである。」と、それぞれ記載されていることから、訂正事項7による訂正後の請求項8の「前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記荷下ろし場所のコンベアよりも前記積載部を高くした状態で、前記コンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、前記コンベアを介して前記物品は自動倉庫に入庫されて保管される」ことが記載されているといえる。
したがって、訂正事項7による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載を総合して導き出される技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(8)訂正事項8
ア 訂正の目的
訂正事項8は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の整合を図るため、願書に添付した明細書の段落【0007】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項8は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しないことが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることが明らかであり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合する。

(9)一群の請求項及び別の訂正単位とする求めについて
本件訂正前の請求項1〜5について、請求項2〜5は、訂正請求の対象である請求項1を引用する関係にあるから、本件訂正前において一群の請求項に該当する。
したがって、本件訂正は、一群の請求項に対してなされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
また、訂正後の請求項2〜5について、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とする求めがなされているところ、上記(2)〜(4)のとおり訂正事項2〜4は適法と認められるから、訂正後の請求項2〜5についての訂正は、別の訂正単位として扱う。

(10)明細書の訂正と関係する請求項について
訂正事項8は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図ることを目的とする明細書に係る訂正であり、これは一群の請求項〔1〜5〕、6、7、8に関係する訂正である。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法126条第4項の規定に適合する。

4.小括
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第4項及び同条第9項で準用する同法126条第4項〜第6項の規定に適合するから、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2〜3〕、4、5、6、7、8について訂正することを認める。


第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正が認められたので、本件特許の請求項1〜8に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明8」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、
前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、前記積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろすことを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項2】
物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車は、
前記積載部としてローラコンベアを備えており、
前記積載場所及び前記荷下ろし場所にローラコンベアが備えられていることを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項3】
前記積載部には、前記積載部に積載されている前記物品が落下しないようにするためのストッパが備えられており、
前記積載部に前記物品を積載する時は、前記物品が移動してくる側のストッパが下降し、
前記積載部から前記物品を下ろす時は、前記物品が移動していく側のストッパが下降することを特徴とする請求項2に記載の入出荷支援システム。
【請求項4】
物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車において、
前記積載部は、昇降が可能であり、
前記積載場所及び前記荷下ろし場所には、チェーンコンベアが備えられており、
前記無人搬送車は、前記積載場所に到着すると、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも低くした状態で、前記積載場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも高くなるよう、前記積載部を上昇させ、
前記無人搬送車は、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも高くした状態で、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも低くなるよう、前記積載部を下降させることを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項5】
物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記積載部は、前記物品の底面に備えられているRFIDタグを読み取るためのRFIDタグリーダを上面に有し、
前記無人搬送車の制御部は、前記積載部に前記物品を積載する際に、前記RFIDタグリーダが、前記RFIDタグを読み取ることで、前記無人搬送車の直上に前記物品が到着したか否かを判定するとともに、前記RFIDタグに格納されている前記物品の情報を基に積載された前記物品が積載されるべき物品であるか否かを判定することを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項6】
物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、
前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、
前記自動倉庫は、前記コンベアから前記物品を取得して入庫することを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項7】
物品を保管する自動倉庫が、第1のコンベアに前記物品を出庫し、
前記第1のコンベアが、前記自動倉庫から出庫された前記物品を、積載場所まで搬送し、
前記物品を積載する積載部を有する無人搬送車が、
前記積載場所で前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を第2のコンベアに下ろして、
前記自動倉庫からの前記物品の出荷又は入荷を支援することを特徴とする入出荷支援方法。
【請求項8】
物品を積載する積載部を有する無人搬送車であって、
前記無人搬送車は、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記荷下ろし場所のコンベアよりも前記積載部を高くした状態で、前記コンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、前記コンベアを介して前記物品は自動倉庫に入庫されて保管されることを特徴とする無人搬送車。」


第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1.取消理由の概要
訂正前の請求項1、6〜8に係る特許に対して、当審が令和3年11月2日付け取消理由通知書(以下、「取消理由通知書」という。)で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。

進歩性)本件特許の請求項1、6〜8に係る発明は、本件特許の原出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の原出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、6〜8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

引用文献等一覧
引用文献1:特開2013−67517号公報(申立人1が提出した甲第 1号証)
引用文献2:特開平6−43934号公報(申立人1が提出した甲第2号 証)
引用文献3:特表2007−531105号公報(申立人2が提出した甲 第2号証)
引用文献4:特開2001−134318号公報(申立人2が提出した甲 第3号証)

2.引用文献に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明
取消理由通知書で引用した引用文献1である特開2013−67517号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。以下同様。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は概括的には目録品システム(inventory system)に、より詳細には目録品システム内で移動式駆動ユニットの効率的な管理のための方法およびシステムに関する。」

イ 「【0009】
図1は、目録品システム10の内容を示している。目録品システム10は、管理モジュール15、一つまたは複数の移動駆動ユニット20、一つまたは複数の目録品ホルダー30および一つまたは複数の目録品ステーション50を含む。移動駆動ユニット20は、管理モジュール15によって通信されるコマンドに応答して、作業スペース70内の点の間で、目録品ホルダー30を輸送する。各目録品ホルダー30は一つまたは複数の種類の目録品を保管している。結果として、目録品システム10は、目録品システム10からの目録品の入力(entry)、処理(processing)および/または取り出し(removal)ならびに目録品に関わるその他のタスクの完了を容易にするために、作業スペース70内の位置間で目録品を動かすことができる。」

ウ 「【0011】
移動駆動ユニット20は、作業スペース70内の位置間で目録品ホルダー30を動かす。移動駆動ユニット20が表しているのは、目録品ホルダー30および/または目録品システム10の他の要素の特性および構成に基づいて目録品システム10において使うために適切ないかなるデバイスまたはコンポーネントであってもよい。目録品システム10のある特定の実施形態では、移動駆動ユニット20は、作業スペース70を自由に動き回るよう構成された、独立した、自己動力のデバイスを表す。代替的な諸実施形態では、移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30をトラック、レール、ケーブルまたは作業スペース70を通る他の案内もしくは支持要素に沿って動かすよう構成された、軌道式(tracked)目録品システム10の要素を表していてもよい。そのような実施形態では、移動駆動ユニット20は、電力を与えられたレール(powered rail)のような案内要素への接続を通じて動力および/または支持を受領しうる。さらに、目録品システム10の特定の諸実施形態では、移動駆動ユニット20は、作業スペース70内および/または作業スペース70の別個の諸部分間を動くために代替的な搬送設備を利用するよう構成されてもよい。移動駆動ユニット20の例示的な実施形態の内容および動作は図3Aおよび図3Bとの関連でのちにさらに論じる。」

エ 「【0013】
目録品ホルダー30は、目録品を保管する。ある特定の実施形態では、目録品ホルダー30は複数の保管ビンを含み、各保管ビンが一つまたは複数の型の目録品を保持することができる。目録品ホルダー30は、移動駆動ユニット20によって、運ばれ、ローラー移動され(rolled)、および/または他の仕方で動かされることができる。個別的な実施形態では、目録品ホルダー30は、目録品ホルダー30を動かすときに移動駆動ユニット20によって提供される推力を補充する追加的な推力を提供してもよい。」

オ 「【0015】
目録品(inventory item)は、自動化された目録品システム10における保管、取り出しおよび/または処理のために好適な任意の対象を表す。本記載の目的のためには、「目録品」は、目録品システム10に保管されるある特定の型の任意の一つまたは複数の対象を表しうる。よって、特定の目録品ホルダー30は、その目録品ホルダー30が現在、その型の一つまたは複数の単位を保持している場合、その特定の目録品を現在「保管している(storing)」ことになる。一例として、目録品システム10はメールオーダー商店の施設を表していてもよく、目録品は該商店の施設に保管された商品を表していてもよい。動作の間、移動駆動ユニット20は、注文に含まれる、顧客に配達するために梱包されるべき一つまたは複数の目録品を含む目録品ホルダー30または発送のための目録品の集積されたコレクションを含むパレットを担持する目録品ホルダー30を取り出しうる。さらに、目録品システム10の特定の諸実施形態では、完了された注文を含む箱それ自身が目録品目を表していてもよい。」

カ 「【0019】
特定の諸実施形態では、目録品システム10は一つまたは複数の目録品ステーション50をも含んでいてもよい。目録品ステーション50は、目録品に関わる特定のタスクの完了のために指定された位置を表す。そのようなタスクは、目録品ホルダー30からの目録品の取り出し、目録品ホルダー30への目録品の導入、目録品ホルダー30内の目録品の計数、目録品の分解(たとえば、パレット・サイズまたはケース・サイズのグループから個々の目録品へ)および/または他の任意の好適な仕方での目録品の処理もしくは扱いを含みうる。個別的な諸実施形態では、目録品ステーション50は単に目録品に関わる特定のタスクが完了されることができる作業スペース70内の物理的な位置を表していてもよい。代替的な諸実施形態では、目録品ステーション50は物理的位置および目録品を処理または扱うための任意の適切な設備の両方を表してもよい。該設備は、目録品システム10を出入りする目録品の流れを監視するためのスキャナ、管理モジュール15と通信するための通信インターフェースおよび/または他の任意の好適なコンポーネントといったものである。目録品ステーション50は、完全にまたは部分的に人間のオペレーターによって制御されてもよいし、あるいは完全に自動化されてもよい。さらに、目録品ステーション50の人間または自動化されたオペレーターは、目録品システム10の動作の一部として、目録品に対して、目録品の梱包または計数といったある種のタスクを実行できてもよい。」

キ 「【0026】
これらのタスクを完了することの一環として、移動駆動ユニット20は作業スペース70内の目録品ホルダー30とドッキングしてこれを輸送してもよい。移動駆動ユニット20が目録品ホルダー30とドッキングするのは、ドッキングしたときに移動駆動ユニット20が目録品ホルダー30に結合されおよび/またはこれを支持して目録品ホルダー30を作業スペース70内で動かすことができるようになるよう、目録品ホルダー30に接続する、目録品ホルダー30を持ち上げるおよび/または他の仕方で目録品ホルダー30と相互作用することによってでよい。本記述は特定の仕方でドッキングするよう構成された移動駆動ユニット20および目録品ホルダー30の特定の実施形態に焦点を当てているが、移動駆動ユニット20が目録品ホルダー30を作業スペース70内で動かすことを許容するのに好適な任意の仕方でドッキングするよう構成された、移動駆動ユニット20および目録品ホルダー30の他の実施形態が構成されてもよい。さらに、後述するように、特定の諸実施形態では、移動駆動ユニット20は目録品ホルダー30の全部または諸部分を表す。そのような実施形態では、移動駆動ユニット20は目録品ホルダー30を輸送する前に目録品ホルダー30にドッキングしなくてもよい、および/または、移動駆動ユニット20はそれぞれ、特定の目録品ホルダー30に連続的にドッキングされたままでいてもよい。」

ク 「【0042】
図3Aおよび3Bは、移動駆動ユニット20のある特定の実施形態のコンポーネントをより詳細に示している。特に、図3Aおよび3Bは、例示的な移動駆動ユニット20の正面図および側面図を含んでいる。移動駆動ユニット20はドッキング・ヘッド110、駆動モジュール120、ドッキング・アクチュエータ130および制御モジュール170を含む。さらに、移動駆動ユニット20は、移動駆動ユニット20、目録品ホルダー30および/または目録品システム10の他の適切な要素の位置を検出または決定するよう構成された一つまたは複数のセンサーを含みうる。図示した実施形態では、移動駆動ユニット20は位置センサー140、ホルダー・センサー150、障害物センサー160および識別情報信号送信機162を含む。
【0043】
ドッキング・ヘッド110は、移動駆動ユニット20の特定の諸実施形態では、移動駆動ユニット20を目録品ホルダー30に結合させ、および/または移動駆動ユニット20が目録品ホルダー30にドッキングされたときに目録品ホルダー30を支持する。ドッキング・ヘッド110はさらに、移動駆動ユニット20が目録品ホルダー30を操縦することを許容してもよい。該操縦は、目録品ホルダー30を持ち上げる、目録品ホルダー30を推進する、目録品ホルダー30を回転させるおよび/または目録品ホルダー30を他の任意の仕方で動かすといったものである。ドッキング・ヘッド110はまた、目録品ホルダー30のそのような操作を容易にするために、リブ、スパイクおよび/または波形(corrugation)といった構成要素の任意の適切な組み合わせを含んでいてもよい。たとえば、特定の諸実施形態では、ドッキング・ヘッド110は、移動駆動ユニット20が目録品ホルダー30にドッキングされている間に目録品ホルダー30の一部分に当接する高摩擦部分を含みうる。そのような実施形態では、ドッキング・ヘッド110の高摩擦部分と目録品ホルダー30の表面との間で作り出される摩擦力が、ドッキング・ヘッド110が移動および回転するときにそれぞれ目録品ホルダー30における並進および回転の動きを誘起しうる。結果として、移動駆動ユニット20は、ドッキング・ヘッド110を、独立して、あるいは移動駆動ユニット20全体の動きの一環として動かすまたは回転させることによって、目録品ホルダー30を操作することができうる。」

ケ 「【0045】
ドッキング・アクチュエータ130は、移動駆動ユニット20と目録品ホルダー30のドッキングを容易にするために、ドッキング・ヘッド110を目録品ホルダー30のほうに動かす。ドッキング・アクチュエータ130はまた、ドッキング・ヘッド110の位置または配向を、ドッキングを容易にする他の好適な仕方で調節できてもよい。ドッキング・アクチュエータ130は、移動駆動ユニット20および目録品ホルダー30の構成に基づいて、ドッキング・ヘッド110を動かすためまたは他の仕方でドッキング・ヘッド110の位置または配向を調節するためにいかなる適切なコンポーネントを含んでいてもよい。たとえば、図示した実施形態では、ドッキング・アクチュエータ130は、ドッキング・ヘッド110の中心に取り付けられた動力付きのシャフト(図示せず)を含む。動力付きのシャフトは、目録品ホルダー30とのドッキングのために適宜、ドッキング・ヘッド110を持ち上げるよう動作可能である。」

コ 「【0047】
位置センサー140は、移動駆動ユニット20の位置を任意の適切な仕方で決定するために好適な一つまたは複数のセンサー、検出器または他のコンポーネントを表す。たとえば、特定の諸実施形態では、目録品システム10に関連付けられた作業スペース70は、作業スペース70の全部または一部をカバーする二次元グリッド上の点をマークするいくつかの基準マーク(fiducial mark)を含む。そのような実施形態では、位置センサー140は、カメラと、位置センサー140がカメラの視野内の基準マークを検出することを許容するための適切にプログラムされたデジタル信号プロセッサのような好適な画像および/またはビデオ処理コンポーネントとを含みうる。制御モジュール170は、位置センサー140が基準マークを検出する際に位置センサー140が更新する位置情報を記憶していてもよい。結果として、位置センサー140は、基準マークを利用して、移動駆動ユニット20の位置の精確な指標を維持し、作業スペース70内で動くときにナビゲーションを支援しうる。
【0048】
ホルダー・センサー150は、任意の適切な仕方で目録品ホルダー30を検出するおよび/または目録品ホルダー30の位置を絶対位置としてまたは移動駆動ユニット20に対する位置として決定するのに好適な一つまたは複数のセンサー、検出器または他のコンポーネントを表す。ホルダー・センサー150は、目録品ホルダー30の特定の部分または全体としての目録品ホルダー30の位置を検出できうる。よって移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30とドッキングするまたは他の仕方で相互作用するために、検出された情報を使用しうる。」

サ 「【0061】
ホルダー識別部(holder identifier)360は、目録品ホルダー30の所定の部分をマークし、移動駆動ユニット20は、ホルダー識別部360を使って、ドッキングの間、目録品ホルダー30を位置合わせし(align)、および/または目録品ホルダー30の位置を決定し(determine)てもよい。より具体的には、特定の諸実施形態では、移動駆動ユニット20は、ホルダー識別部360を検出し移動駆動ユニット20に対するその位置を決定できる、ホルダー・センサー150のようなコンポーネントを装備されてもよい。結果として、移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30の全体としての位置を決定できうる。たとえば、特定の諸実施形態において、ホルダー識別部360は、目録品ホルダー30の所定の位置に位置されており、ホルダー・センサーが適切に構成されたカメラを使って光学的に検出できる反射性マーカーを表していてもよい。」

シ 「【0064】
目録品システム10の図示した実施形態では、作業スペース70は、複数のセル14を有するグリッド12に関連付けられており、移動駆動ユニット20は、一つのセル14の中心から別のセルの中心へとナビゲートすることによって作業スペース70内を動くよう構成される。にもかかわらず、代替的な諸実施形態では、移動駆動ユニット20は、いかなる適切な仕方でグリッド12をナビゲートするよう構成されてもよく、移動駆動ユニット20が通過する経路の開始点、行き先および任意の途中点は、セル14の中心点またはグリッド12の他のいかなる部分を表していても、いなくてもよい。さらに、図5は目録品システム10のグリッド・ベースの実施形態を示しているが、目録品システム10の代替的な諸実施形態は、任意のスペースおよび構造をもつグリッドのない作業空間を利用してもよい。」

ス 「【0204】
図18〜図20は、目録品システム10内で目録品ホルダー30を輸送する一環として目録品ホルダー30を回転させる特定の技法を利用する、目録品システム10の実施形態の例示的な動作を示している。これらの技法は、たとえば、目録品ホルダーの特定の面を目録品ステーション50のオペレーターに呈することにおいて有用でありうる。記載される技法およびシステム構成は、目録品システム10の特定の諸実施形態が、低減された大きさの作業スペース70内で動作し、移動駆動ユニットの移動の調整を簡略化することを許容しうる。目録品ステーション50を利用する目録品システム10の特定の諸実施形態では、回転領域790を目録品ステーション50近くに配置することは、管理モジュール15に、特定の目録品ステーション50において呈されるべき面の選択を、割り当てられた移動駆動ユニット20が目録品ステーション50の近くにくるまで遅らせることを許容しうる。これは、管理モジュール15が、目録品システム10の現在状態に基づいて面選択を最適化することを許容しうる。
【0205】
図18は、図1に関して上記したのと同様の作業スペース870内で動作する、管理モジュール15、一つまたは複数の移動駆動ユニット20、一つまたは複数の目録品ホルダー30ならびに一つまたは複数の目録品ステーション50を含む目録品システム10の実施形態を示している。さらに、作業スペース870は、移動駆動ユニット20が目録品ホルダー30を回転させることに関連する特定の諸動作を実行する複数の回転領域892を含む。回転領域892において目録品ホルダー30の一部または全部の回転を実行することにより、目録品システム10の特定の諸実施形態はより小さな作業スペース内で動作するよう構成されうる。」

セ 「【0227】
図20A〜20Gは、移動駆動ユニット20が、目録品ホルダー30を回転させることなく、指定された回転領域892の外側で作業スペース870の諸部分をどのように通過しうるかの例を示している。具体的には、図20A〜20Gは、移動駆動ユニット20が第一の位置から第二の位置に、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って移動する際の、移動駆動ユニット20の動作を示している。図示した実施形態では、移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30を回転させることなく角を曲がることができるので、移動駆動ユニット20がその進行方向を変えるとき、目録品ホルダー30は、隣接セル14に重なったり、および/または隣接セル14内の目録品ホルダー30に干渉したりしなくてもよい。結果として、目録品システム10は、より小さな作業スペースで動作でき、よって図20A〜20Gに示されるように動作するよう構成された移動駆動ユニット20は、スペース節約の恩恵を提供しうる。
【0228】
図20Aは、移動駆動ユニット20iおよび目録品ホルダー30iの両方の開始位置を示している。最初、目録品ホルダー30iは、関連する作業スペース870における点910aに位置しており、移動駆動ユニット20iは点910bに位置している。図20Bに示されるように、移動駆動ユニット20iは点910aにある目録品ホルダー30iの位置まで移動する。この時点では、移動駆動ユニット20iはまだ目録品ホルダー30とドッキングしてはいない。
【0229】
図示した例では、移動駆動ユニット20iは、モズ空を目録品ホルダー30iの下に位置させ、移動駆動ユニット20iのドッキング・ヘッドを上げることによって、目録品ホルダー30iとドッキングするよう構成されている。よって、ドッキング・ヘッド110のアウトラインによって示されるように、図20Cは、目録品ホルダー30iとドッキングする移動駆動ユニット20を示している。移動駆動ユニット20iは次いで、図20Dに示されるように、自分自身および目録品ホルダー30iを第一の方向に、点910bまで推進する。
【0230】
点910bでは、移動駆動ユニット20は、図20Eに示されるように、前記第一の方向から第二の方向に回転する。ドッキング・ヘッド110のアウトラインによって示されるように、移動駆動ユニット20は、図示した例では、回転を通じて目録品ホルダー30とドッキングしたままである。たとえば、特定の諸実施形態では、移動駆動ユニット20iは、目録品ホルダー30iとドッキングした後、移動駆動ユニット20が目録品ホルダー30iと独立して回転するのを防ぐよう回転ロックを係合させた状態で、目録品ホルダー30iを輸送しうる。そのような諸実施形態では、移動駆動ユニット20iが角を曲がるよう試みるとき、移動駆動ユニット20iは、移動駆動ユニット20の残りの部分がドッキング・ヘッド110とは独立して回転できるよう、回転ロックを解放しうる。こうして、そのような実施形態では、移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30とドッキングされているまま、しかし目録品ホルダー30の回転させることなく、回転できうる。
【0231】
回転後、移動駆動ユニット20iは、移動駆動ユニット20iおよび目録品ホルダー30iを第二の方向に推進する。結果として、移動駆動ユニット20は図20Fに示されるように点910cまで移動する。移動駆動ユニット20iが完了しつつあるタスクに依存して、移動駆動ユニット20は次いで目録品ホルダー30iからドッキング解除する、目録品ホルダー30iを、特定の面の呈示のために指定された回転領域892で回転させる、および/または割り当てられたタスクを完了させるための他の任意の適切な動作を実行することができる。」

ソ 「【図3A】



タ 「【図3B】




チ ウの「目録品システム10のある特定の実施形態では、移動駆動ユニット20は、作業スペース70を自由に動き回るよう構成された、独立した、自己動力のデバイスを表す。」(段落【0011】)という記載から、「作業スペース70」は、「移動駆動ユニット20」が「自由に動き回る」ことができるように無軌道であるといえる。

ツ コの「制御モジュール170は、位置センサー140が基準マークを検出する際に位置センサー140が更新する位置情報を記憶していてもよい。結果として、位置センサー140は、基準マークを利用して、移動駆動ユニット20の位置の精確な指標を維持し、作業スペース70内で動くときにナビゲーションを支援しうる。」(段落【0047】)という記載から、基準マークは、作業スペース70における位置情報が格納されているといえる。

テ ソの【図3A】及びタの【図3B】より、移動駆動ユニット20において、カメラである位置センサー140が床面を指向していることが看取できるから、作業スペース70,870の基準マークは床面に設置されているものと認められる。

上記摘記事項ア〜タ及び認定事項チ〜テから、引用文献1には次の発明(以下、各発明を「引用発明1」〜「引用発明3」といい、「引用発明1」〜「引用発明3」をまとめて「引用発明」という。)が記載されている。

【引用発明1】
「目録品の入力(entry)、処理(processing)および/または取り出し(removal)ならびに目録品に関わるその他のタスクを行う目録品システム10において、一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する移動駆動ユニット20を含み、
移動駆動ユニット20は、目録品を保管する目録品ホルダー30を支持するドッキング・ヘッド110を含み、作業スペース870における点910aで目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキングし、無軌道の作業スペース870を、作業スペース870の床面に設置された、作業スペース870における位置情報が格納された基準マークを検出して、目録品ホルダー30を回転させることなく、第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って、点910cまで移動し、目録品ホルダー30からドッキング解除し、
移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30とのドッキングのためにドッキング・ヘッド110を持ち上げるよう動作可能であるドッキング・アクチュエータ130を含む、移動式駆動ユニットの効率的な管理のためのシステム。」

【引用発明2】
「目録品の入力(entry)、処理(processing)および/または取り出し(removal)ならびに目録品に関わるその他のタスクを行う目録品システム10において、一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する移動駆動ユニット20を含み、
移動駆動ユニット20は、目録品を保管する目録品ホルダー30を支持するドッキング・ヘッド110を含み、作業スペース870における点910aで目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキングし、無軌道の作業スペース870を、作業スペース870の床面に設置された、作業スペース870における位置情報が格納された基準マークを検出して、目録品ホルダー30を回転させることなく、第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って、点910cまで移動し、目録品ホルダー30からドッキング解除する、
移動式駆動ユニットの効率的な管理のための方法。」

【引用発明3】
「目録品の入力(entry)、処理(processing)および/または取り出し(removal)ならびに目録品に関わるその他のタスクを行う目録品システム10において、一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する移動駆動ユニット20であって、
移動駆動ユニット20は、目録品を保管する目録品ホルダー30を支持するドッキング・ヘッド110を含み、作業スペース870における点910aで目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキングし、無軌道の作業スペース870を、作業スペース870の床面に設置された、作業スペース870における位置情報が格納された基準マークを検出して、目録品ホルダー30を回転させることなく、第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って、点910cまで移動し、目録品ホルダー30からドッキング解除し、
移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30とのドッキングのためにドッキング・ヘッド110を持ち上げるよう動作可能であるドッキング・アクチュエータ130を含む、移動駆動ユニット20。」

(2)引用文献2に記載された事項
取消理由通知書で引用した引用文献2である特開平6−43934号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア 「【0010】図3を参照して上に述べた初期値について説明する。本図は無人搬送車が点Pから点Qへ走行するときの軌跡を示している。いま、XY直交座標系において、無人搬送車(無人搬送車にも長さ及び幅があるから、実際には無人搬送車の基準点)がP点を通過したとする。このときに、P点の正確な座標(xp,yp)及びP点における無人搬送車の正確な方位θpが分れば、それらの座標位置xp,yp及び方位θpを時間積分における初期値にすることにより、少なくともしばらくの間は速度及び角速度の時間積分により高い精度で無人搬送車の位置及び方位を決めることができる。そこで、本発明では座標が明らかになるようにしたコードの印されたマークを床に設け、無人搬送車がそのマーク上を通過するときに、マークの座標を検出し、その座標から無人搬送車の座標位置(図の例ではxp,yp)を計算により求めることにより、時間積分による誤差の蓄積を防いでいる。」

イ 「【0013】図1の方式を搭載した無人搬送車は、図2に示すマークM1〜M10が印された床の上を走行する。各マークは磁性体または光反射体でなるが、この実施例では光反射体でなっている。各マークは、数m〜数十m間隔で配置され、光反射体でバーコードをなしている。図2に示す如く、各マークの位置は所定のXY座標において既知の座標に配置されており、各マークの位置の座標が当該マークにバーコードで表わされている。例えば、マークM1はバーコードで座標(x1,y1)を表わしている。」

(3)引用文献3に記載された事項
取消理由通知書で引用した引用文献3である特表2007−531105号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア 「【0030】
先ず、本発明による自律移動ロボット101はその形象や模様を限定しない。
【0031】
そして、本発明は正確な絶対座標を制御部が獲得して移動手段を制御することで效果的な移動がなされるようにすることにあるので、前記した移動手段は通常的な構造として、本体102に車輪107を設置して、この車輪107を駆動する駆動モーターの組合構造でなされることができるし、本体102の両側にそれぞれ一対のスプロケットと駆動モーターを設置して、一対のスプロケットには無限軌道を設置することもできることで、本発明はこれを具体的に限定しない。」

イ 「【0033】
すなわち、既存のフロア面103に所定の間隔で二次元バーコード104を印刷するか、または二次元バーコード104が印刷したシートを付着することもでき、別途の床マットやタイルなどに二次元バーコード104を印刷するか、または二次元バーコード104が印刷したシートを付着して使用することもできる。
【0034】
ここで言う二次元バーコード104は、図6に示すように多様な幅を有した図形及び文様の配列パターンで情報を表現する符号または符号体系として、本発明では多様な二次元バーコード104が適用されることができる。」

ウ 「【0038】
したがって、自律移動ロボット101が運行されると同時に現在自律移動ロボット101が位置されたフロア面103をバーコードリーダー105がスキャンして二次元バーコード104を読んで、この二次元バーコード104に記録された座標値を獲得して、制御部は獲得された座標値がメモリーに保存された所定の設定領域内での絶対座標で認識する。
【0039】
そして、前記制御部はプログラムされた移動アルゴリズムに絶対座標を適用して、本体102が移動しなければならない方向に移動手段を制御するようになる。
【0040】
すなわち、二次元バーコード104の固有座標値がバーコードリーダー105によって読まれた後に、制御部はこの固有座標値をメモリーに設定された領域内での絶対座標で認識して設定された領域内で現在の自律移動ロボット101の位置(絶対的位置)を認識するようになる。」

(4)引用文献4に記載された事項
取消理由通知書で引用した引用文献4である特開2001−134318号公報には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア 「【0010】
【実施例】図1〜図3に実施例を示す。図1において、2は無人搬送車で、4はステーション等との間で物品を移載するための移載装置である。6は無人搬送車の走行車輪で、図示しない走行駆動部により制御され、ロータリーエンコーダ等でその回転数を監視し、ステアリング部でステアリング角を算出して積算しているものとする。8はCCDカメラ等のカメラで、無人搬送車2の車体底部などに向きを固定して取り付けられ、床面上のテクスチャーパターン等を撮像する。10は現在位置認識部で、カメラ8からの画像を用いて無人搬送車2の現在位置を認識する。カメラ8で撮像する範囲は、好ましくは無人搬送車2の下部(底部)あるいは前方の床面とする。12はグレーティング床で、例えばクリーンルームの床であリ、無人搬送車2はクリーンルーム内等での搬送に用いる。
【0011】図2にグレーティング床12上のテクスチャーパターンを示すと、個々の床板14には規則正しく十字あるいは千鳥などに貫通孔16が設けられている。これ以外に、床板14,14間の境界18もテクスチャーパターンとして用いることができる。20はIDマークで、グレーティング床12に、無人搬送車2の走行経路に沿って配置し、例えばIDマーク20の番号をバーコードや2次元バーコード等で表示したものである。」

イ 「【0014】マップ26では、IDマーク20のバーコードから読み込んだマークの番号とマップ上の座標とを比較し、無人搬送車2の現在位置を求める。さらにカメラ画像上の所定位置からのIDマーク20の画像の位置のずれから、IDマークがカメラ画像上の所定位置に現れる場合に対する、前後(進行方向)左右(車体幅方向)の位置のずれを求めた、マップ上の座標を補正する。これによって、無人搬送車2の現在位置を正確に認識する。方位はグレーティング床12のテクスチャーパターンの撮像でほぼ常時判明しており、走行経路からの左右のずれもほぼ常時判明している。そして間欠的にではあるが、IDマーク20を認識することにより、現在位置が正確に判明する。」

ウ 「【0016】実施例では天井に備え付けのカメラを用いず、また床面上に設置した誘導テープも用いずに、無人搬送車2を正確に自律走行させることができる。そして方位の認識にはグレーティング床12の貫通孔16や境界18の向き等を用いるので、正確に方位を認識できる。さらに貫通孔16に対する撮像した画像の中心位置等から、走行経路からの左右のずれも正確に求めることができる。また間欠的にIDマーク20を認識すれば、絶対位置を認識できる。」

(5)引用文献5に記載された事項
申立人1が提出した甲第5号証である特開平2−253406号公報(以下、「引用文献5」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

ア 「この発明の一実施例を以下説明する。第2図は、この発明を自動倉庫における無人搬送システムに適用した一例を示す全体構成図である。無人車10が走行する床上には発磁体または光学反射テープあるいは、電磁誘導線等が敷設されて、走行路12を構成している。棚14から排出された荷16は無人車10に載せられて、走行路12に沿って目的地方向に搬送され、目的地においてコンベア18に移載される。無人車10の動作(走行方向、走行速度、荷積、荷卸等)は、無人車10が個々に有するマップに従って実行される。走行路12上には適宜の間隔でマーカー部P0が設定されている。また、分岐、合流点20の手前の各走行路12上には各行先方向に対応してブロックポイントP1,P2,……が設定されている(第2図の例で分岐点20では、2方向へ分岐するので、各走行路12上には2箇所のブロックポイントP1,P2が設定されている。合流点21では1箇所のブロックポイントP1を設定している。)。また分岐、合流部の終了地点にはブロックポイントP1′が設定されていて、無人車がP1′通過で、その区間のブロックコントロールを解除するものとする。これらマーカー部P0およびブロックポイントP1,P2,……には例えば鉄片等のマーカーが設置され、無人車10はその底面に取り付けた近接スイッチでこれを検出してその数をカウントし、マップに示されたカウント値に達した位置でそのマップに示された動作を実行する。」(第2ページ右下欄第5行〜第3ページ左上欄第13行)

イ 「第2図



ウ イの第2図より、「棚14」から排出された「荷16」は、コンベアによって「無人車10」への積載場所まで搬送されることが看取できる。

3.当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「目録品」は、本件発明1の「物品」に相当する。
引用発明1の「目録品」の「入力(entry)」及び「取り出し(removal)」の「タスク」は、「物品」の「入出庫を行う」ことの限りにおいて、本件発明1の「コンベアを介して前記物品の入出庫を行う」ことと一致する。
引用発明1の「目録品システム10」は、「メールオーダー商店の施設を表していてもよく、目録品は該商店の施設に保管された商品を表していてもよい」(段落【0015】)ものであり、「目録品システム10」が備える「一つまたは複数の目録品ステーション50」が、「目録品ホルダー30からの目録品の取り出し、目録品ホルダー30への目録品の導入」の「タスク」を行う位置であり(段落【0019】)、「目録品ステーション50は、完全にまたは部分的に人間のオペレーターによって制御されてもよいし、あるいは完全に自動化されてもよい」ものである(段落【0019】)から、本件発明1の「自動倉庫」に相当する。
引用発明1の「一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する」ことは、「目録品ホルダー30」に保管された「一つまたは複数の種類の目録品」を「輸送する」ことを意味するから、本件発明1の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、引用発明1の「移動駆動ユニット20」は、本件発明1の「無人搬送車」に相当する。
引用発明1の「目録品を保管する目録品ホルダー30を支持する」ことは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「支持する」ことを意味するから、本件発明1の「前記物品を積載する」ことに相当する。したがって、引用発明1の「ドッキング・ヘッド110」は、本件発明1の「積載部」に相当する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキング」することは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「ドッキング・ヘッド110」に積載することを意味するから、本件発明1の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、引用発明1の「作業スペース870における点910a」は、本件発明1の「積載場所」に相当する。
引用発明1の「無軌道の作業スペース870」は、本件発明1の「無軌道の走行領域」に相当する。
引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明1の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致し、引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」が「作業スペース870の床面に設置された」ことは、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」が「走行領域の床面に設置された」という限りにおいて、本件発明1の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」が「前記走行領域の床面に設置された」ことと一致する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30の回転させることなく」は、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が回転しないことを意味するから、本件発明1の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、引用発明1の「第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って」移動することは、本件発明1の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、引用発明1の「目録品ホルダー30からドッキング解除する」ことは、「ドッキング・ヘッド110」から「目録品ホルダー30」を解除することで、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が「ドッキング・ヘッド110」から下ろされることを意味するから、本件発明1の「前記積載した物品を下ろすこと」に相当する。したがって、引用発明1の「点910c」は、本件発明1の「荷下ろし場所」に相当する。
引用発明1の「移動式駆動ユニットの効率的な管理のためのシステム」は、「移動式駆動ユニット」を効率的に動作させることで、目録品関係のタスクを支援しているといえるから、本件発明1の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点1】
「物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす入出荷支援システム。」

【相違点1−1】
「自動倉庫」について、本件発明1では、「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う」ものであって、「前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され」るのに対し、引用発明1では、かかる構成を有していない点。

【相違点1−2】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明1では、「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、引用発明1では、「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

イ 判断
上記相違点1−1について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、引用文献5に例示されるように、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められる。
一方、引用発明1は、一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30が、目録品システム10の作業スペース870に保管されることにより、目録品が目録品システム10に保管されるものであって、移動駆動ユニット20は、作業スペース870を移動することによって、目録品ホルダー30を作業スペース870内で動かすものである。
そうしてみると、引用発明1は、移動駆動ユニット20が、一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品システム10の内部を移動するものであって、目録品システム10の外部を移動するものではないから、自動倉庫の外部を無人搬送車が移動する上記周知技術とは、前提とする構成が大きく異なるものである。
そして、引用文献1には、引用発明1において、移動駆動ユニット20を目録品システム10の外部で移動させてもよいことを示唆する記載は無い。また、引用発明1は、移動駆動ユニット20によって輸送される目録品ホルダー30を目録品システム10の作業スペース870に保管することにより、目録品を目録品システム内に保管するものであるから、作業スペース870内にさらに自動倉庫やコンベアを設け、目録品ホルダー30をその内部に搬送して保管する必要もない。
そうであれば、自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することが、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったといえども、引用発明1に対し、上記周知技術を採用する動機付けは無いというべきである。
よって、引用発明1に対し、上記周知技術を採用し、上記相違点1−1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

ウ 結論
したがって、上記相違点1−2について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1及び引用文献2〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「目録品」は、本件発明2の「物品」に相当し、引用発明1の「目録品」の「入力(entry)」及び「取り出し(removal)」の「タスク」は、本件発明2の「物品」の「入出庫を行う」ことに相当する。
引用発明1の「目録品システム10」は、「メールオーダー商店の施設を表していてもよく、目録品は該商店の施設に保管された商品を表していてもよい」(段落【0015】)ものであり、「目録品システム10」が備える「一つまたは複数の目録品ステーション50」が、「目録品ホルダー30からの目録品の取り出し、目録品ホルダー30への目録品の導入」の「タスク」を行う位置であり(段落【0019】)、「目録品ステーション50は、完全にまたは部分的に人間のオペレーターによって制御されてもよいし、あるいは完全に自動化されてもよい」ものである(段落【0019】)から、本件発明2の「自動倉庫」に相当する。
引用発明1の「一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する」ことは、「目録品ホルダー30」に保管された「一つまたは複数の種類の目録品」を「輸送する」ことを意味するから、本件発明2の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、引用発明1の「移動駆動ユニット20」は、本件発明2の「無人搬送車」に相当する。
引用発明1の「目録品を保管する目録品ホルダー30を支持する」ことは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「支持する」ことを意味するから、本件発明2の「前記物品を積載する」ことに相当する。したがって、引用発明1の「ドッキング・ヘッド110」は、本件発明2の「積載部」に相当する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキング」することは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「ドッキング・ヘッド110」に積載することを意味するから、本件発明2の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、引用発明1の「作業スペース870における点910a」は、本件発明2の「積載場所」に相当する。
引用発明1の「無軌道の作業スペース870」は、本件発明2の「無軌道の走行領域」に相当する。
引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明2の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致し、引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」が「作業スペース870の床面に設置された」ことは、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」が「走行領域の床面に設置された」という限りにおいて、本件発明2の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」が「前記走行領域の床面に設置された」ことと一致する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30の回転させることなく」は、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が回転しないことを意味するから、本件発明2の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、引用発明1の「第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って」移動することは、本件発明2の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、引用発明1の「目録品ホルダー30からドッキング解除する」ことは、「ドッキング・ヘッド110」から「目録品ホルダー30」を解除することで、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が「ドッキング・ヘッド110」から下ろされることを意味するから、本件発明2の「前記積載した物品を下ろすこと」に相当する。したがって、引用発明1の「点910c」は、本件発明2の「荷下ろし場所」に相当する。
引用発明1の「移動式駆動ユニットの効率的な管理のためのシステム」は、「移動式駆動ユニット」を効率的に動作させることで、目録品関係のタスクを支援しているといえるから、本件発明2の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明2と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点2】
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす入出荷支援システム。」

【相違点2−1】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明2では、「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、引用発明1では、「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点2−2】
本件発明2では、「前記無人搬送車は、前記積載部としてローラコンベアを備えており、前記積載場所及び前記荷下ろし場所にローラコンベアが備えられている」のに対し、引用発明1では、かかる構成を有していない点。

イ 判断
事案に鑑み、上記相違点2−2について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記(1)イにおいて示したとおり、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められるものの、引用発明1において、作業スペース870内にさらにコンベアを設ける必要がないことは、上記(1)イにおいて示したとおりである。
そうであれば、引用発明1において、上記相違点2−2に係る本件発明2の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

ウ 結論
したがって、上記相違点2−1について検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明1及び引用文献2〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明3について
本件発明2を引用する本件発明3は、本件発明2をさらに減縮するものであって、本件発明2の「前記無人搬送車は、前記積載部としてローラコンベアを備えており、前記積載場所及び前記荷下ろし場所にローラコンベアが備えられている」点と同一の構成を備えるものであるから、本件発明2を引用する本件発明3は、本件発明2と同様の理由により、引用発明1及び引用文献2〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「目録品」は、本件発明4の「物品」に相当し、引用発明1の「目録品」の「入力(entry)」及び「取り出し(removal)」の「タスク」は、本件発明4の「物品」の「入出庫を行う」ことに相当する。
引用発明1の「目録品システム10」は、「メールオーダー商店の施設を表していてもよく、目録品は該商店の施設に保管された商品を表していてもよい」(段落【0015】)ものであり、「目録品システム10」が備える「一つまたは複数の目録品ステーション50」が、「目録品ホルダー30からの目録品の取り出し、目録品ホルダー30への目録品の導入」の「タスク」を行う位置であり(段落【0019】)、「目録品ステーション50は、完全にまたは部分的に人間のオペレーターによって制御されてもよいし、あるいは完全に自動化されてもよい」ものである(段落【0019】)から、本件発明4の「自動倉庫」に相当する。
引用発明1の「一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する」ことは、「目録品ホルダー30」に保管された「一つまたは複数の種類の目録品」を「輸送する」ことを意味するから、本件発明4の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、引用発明1の「移動駆動ユニット20」は、本件発明4の「無人搬送車」に相当する。
引用発明1の「目録品を保管する目録品ホルダー30を支持する」ことは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「支持する」ことを意味するから、本件発明4の「前記物品を積載する」ことに相当する。したがって、引用発明1の「ドッキング・ヘッド110」は、本件発明4の「積載部」に相当する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキング」することは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「ドッキング・ヘッド110」に積載することを意味するから、本件発明4の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、引用発明1の「作業スペース870における点910a」は、本件発明4の「積載場所」に相当する。
引用発明1の「無軌道の作業スペース870」は、本件発明4の「無軌道の走行領域」に相当する。
引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明4の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致し、引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」が「作業スペース870の床面に設置された」ことは、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」が「走行領域の床面に設置された」という限りにおいて、本件発明4の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」が「前記走行領域の床面に設置された」ことと一致する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30の回転させることなく」は、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が回転しないことを意味するから、本件発明4の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、引用発明1の「第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って」移動することは、本件発明4の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、引用発明1の「目録品ホルダー30からドッキング解除する」ことは、「ドッキング・ヘッド110」から「目録品ホルダー30」を解除することで、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が「ドッキング・ヘッド110」から下ろされることを意味するから、本件発明4の「前記積載した物品を下ろすこと」に相当する。したがって、引用発明1の「点910c」は、本件発明4の「荷下ろし場所」に相当する。
引用発明1の「移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30とのドッキングのためにドッキング・ヘッド110を持ち上げるよう動作可能であるドッキング・アクチュエータ130を含む」ことは、「作業スペース870における点910aで目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキング」するために、「ドッキング・ヘッド110」を持ち上げ、「点910c」において「目録品ホルダー30からドッキング解除する」ために、「ドッキング・ヘッド110」を下げることを意味するから、「前記無人搬送車において、前記積載部は、昇降が可能であり、前記無人搬送車は、前記積載場所に到着すると、前記積載部を上昇させ、前記無人搬送車は、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載部を下降させる」との限りにおいて、本件発明4の「前記無人搬送車において、前記積載部は、昇降が可能であり、前記積載場所及び前記荷下ろし場所には、チェーンコンベアが備えられており、前記無人搬送車は、前記積載場所に到着すると、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも低くした状態で、前記積載場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも高くなるよう、前記積載部を上昇させ、前記無人搬送車は、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも高くした状態で、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも低くなるよう、前記積載部を下降させる」ことと一致する。
引用発明1の「移動式駆動ユニットの効率的な管理のためのシステム」は、「移動式駆動ユニット」を効率的に動作させることで、目録品関係のタスクを支援しているといえるから、本件発明4の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明4と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点4】
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車において、
前記積載部は、昇降が可能であり、
前記無人搬送車は、前記積載場所に到着すると、前記積載部を上昇させ、
前記無人搬送車は、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載部を下降させる入出荷支援システム。」

【相違点4−1】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明4では、「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、引用発明1では、「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点4−2】
本件発明4では、「前記積載場所及び前記荷下ろし場所には、チェーンコンベアが備えられており、前記無人搬送車は、前記積載場所に到着すると、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも低くした状態で、前記積載場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも高くなるよう、前記積載部を上昇させ、前記無人搬送車は、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも高くした状態で、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも低くなるよう、前記積載部を下降させる」のに対し、引用発明1では、かかる構成を有していない点。

イ 判断
事案に鑑み、上記相違点4−2について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記(1)イにおいて示したとおり、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められるものの、引用発明1において、作業スペース870内にさらにコンベアを設ける必要がないことは、上記(1)イにおいて示したとおりである。
そうであれば、引用発明1において、上記相違点4−2に係る本件発明4の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

ウ 結論
したがって、上記相違点4−1について検討するまでもなく、本件発明4は、引用発明1及び引用文献2〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「目録品」は、本件発明5の「物品」に相当し、引用発明1の「目録品」の「入力(entry)」及び「取り出し(removal)」の「タスク」は、本件発明5の「物品」の「入出庫を行う」ことに相当する。
引用発明1の「目録品システム10」は、「メールオーダー商店の施設を表していてもよく、目録品は該商店の施設に保管された商品を表していてもよい」(段落【0015】)ものであり、「目録品システム10」が備える「一つまたは複数の目録品ステーション50」が、「目録品ホルダー30からの目録品の取り出し、目録品ホルダー30への目録品の導入」の「タスク」を行う位置であり(段落【0019】)、「目録品ステーション50は、完全にまたは部分的に人間のオペレーターによって制御されてもよいし、あるいは完全に自動化されてもよい」ものである(段落【0019】)から、本件発明5の「自動倉庫」に相当する。
引用発明1の「一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する」ことは、「目録品ホルダー30」に保管された「一つまたは複数の種類の目録品」を「輸送する」ことを意味するから、本件発明5の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、引用発明1の「移動駆動ユニット20」は、本件発明5の「無人搬送車」に相当する。
引用発明1の「目録品を保管する目録品ホルダー30を支持する」ことは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「支持する」ことを意味するから、本件発明5の「前記物品を積載する」ことに相当する。したがって、引用発明1の「ドッキング・ヘッド110」は、本件発明5の「積載部」に相当する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキング」することは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「ドッキング・ヘッド110」に積載することを意味するから、本件発明5の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、引用発明1の「作業スペース870における点910a」は、本件発明5の「積載場所」に相当する。
引用発明1の「無軌道の作業スペース870」は、本件発明5の「無軌道の走行領域」に相当する。
引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明5の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致し、引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」が「作業スペース870の床面に設置された」ことは、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」が「走行領域の床面に設置された」という限りにおいて、本件発明5の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」が「前記走行領域の床面に設置された」ことと一致する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30の回転させることなく」は、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が回転しないことを意味するから、本件発明5の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、引用発明1の「第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って」移動することは、本件発明5の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、引用発明1の「目録品ホルダー30からドッキング解除する」ことは、「ドッキング・ヘッド110」から「目録品ホルダー30」を解除することで、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が「ドッキング・ヘッド110」から下ろされることを意味するから、本件発明5の「前記積載した物品を下ろすこと」に相当する。したがって、引用発明1の「点910c」は、本件発明5の「荷下ろし場所」に相当する。
引用発明1の「移動式駆動ユニットの効率的な管理のためのシステム」は、「移動式駆動ユニット」を効率的に動作させることで、目録品関係のタスクを支援しているといえるから、本件発明5の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明5と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点5】
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす入出荷支援システム。」

【相違点5−1】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明5では、「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、引用発明1では、「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点5−2】
本件発明5では、「前記積載部は、前記物品の底面に備えられているRFIDタグを読み取るためのRFIDタグリーダを上面に有し、前記無人搬送車の制御部は、前記積載部に前記物品を積載する際に、前記RFIDタグリーダが、前記RFIDタグを読み取ることで、前記無人搬送車の直上に前記物品が到着したか否かを判定するとともに、前記RFIDタグに格納されている前記物品の情報を基に積載された前記物品が積載されるべき物品であるか否かを判定する」のに対し、引用発明1では、かかる構成を有していない点。

イ 判断
事案に鑑み、上記相違点5−2について検討する。
RFIDタグ及びRFIDタグリーダは、文献を示すまでもない周知技術である。
一方、引用文献1の段落【0048】、【0061】には、ホルダー識別部360は、目録品ホルダー30の所定の部分をマークし、移動駆動ユニット20は、ホルダー識別部360を使って、ドッキングの間、目録品ホルダー30を位置合わせし、および/または目録品ホルダー30の位置を決定してもよく、移動駆動ユニット20は、ホルダー識別部360を検出し移動駆動ユニット20に対するその位置を決定できる、ホルダー・センサー150を装備されてもよいことが記載されている。
しかしながら、引用文献1には、目録品ホルダー30に保管される目録品に対して、位置を識別できる識別部を設けることは、記載も示唆もされていない。
そして、引用発明1において、目録品は目録品ホルダー30に保管されるものであり、移動駆動ユニット20と目録品ホルダー30とを位置合わせするに際し、目録品ホルダー30内における目録品の位置が問題とはならないことを鑑みれば、目録品ホルダー30を位置合わせし、および/または目録品ホルダー30の位置を決定するための識別部を、目録品に設けるようにする動機付けは無いというべきである。
そうであれば、引用発明1において、上記相違点5−2に係る本件発明5の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

ウ 結論
したがって、上記相違点5−1について検討するまでもなく、本件発明5は、引用発明1及び引用文献2〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6)本件発明6について
ア 対比
本件発明6と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「目録品」は、本件発明6の「物品」に相当する。
引用発明1の「目録品」の「入力(entry)」及び「取り出し(removal)」の「タスク」は、「物品」の「入出庫を行う」ことの限りにおいて、本件発明6の「コンベアを介して前記物品の入出庫を行う」ことと一致する。
引用発明1の「目録品システム10」は、「メールオーダー商店の施設を表していてもよく、目録品は該商店の施設に保管された商品を表していてもよい」(段落【0015】)ものであり、「目録品システム10」が備える「一つまたは複数の目録品ステーション50」が、「目録品ホルダー30からの目録品の取り出し、目録品ホルダー30への目録品の導入」の「タスク」を行う位置であり(段落【0019】)、「目録品ステーション50は、完全にまたは部分的に人間のオペレーターによって制御されてもよいし、あるいは完全に自動化されてもよい」ものである(段落【0019】)から、本件発明6の「自動倉庫」に相当する。
引用発明1の「一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する」ことは、「目録品ホルダー30」に保管された「一つまたは複数の種類の目録品」を「輸送する」ことを意味するから、本件発明6の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、引用発明1の「移動駆動ユニット20」は、本件発明6の「無人搬送車」に相当する。
引用発明1の「目録品を保管する目録品ホルダー30を支持する」ことは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「支持する」ことを意味するから、本件発明6の「前記物品を積載する」ことに相当する。したがって、引用発明1の「ドッキング・ヘッド110」は、本件発明6の「積載部」に相当する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキング」することは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「ドッキング・ヘッド110」に積載することを意味するから、本件発明6の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、引用発明1の「作業スペース870における点910a」は、本件発明6の「積載場所」に相当する。
引用発明1の「無軌道の作業スペース870」は、本件発明6の「無軌道の走行領域」に相当する。
引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明6の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致し、引用発明1の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」が「作業スペース870の床面に設置された」ことは、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」が「走行領域の床面に設置された」という限りにおいて、本件発明6の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」が「前記走行領域の床面に設置された」ことと一致する。
引用発明1の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明1の「目録品ホルダー30の回転させることなく」は、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が回転しないことを意味するから、本件発明6の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、引用発明1の「第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って」移動することは、本件発明6の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、引用発明1の「目録品ホルダー30からドッキング解除する」ことは、「ドッキング・ヘッド110」から「目録品ホルダー30」を解除することで、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が「ドッキング・ヘッド110」から下ろされることを意味するから、「前記積載した物品を下ろすこと」の限りにおいて、本件発明6の「前記積載した物品を前記コンベア上に下ろ」すことと一致する。したがって、引用発明1の「点910c」は、本件発明6の「荷下ろし場所」に相当する。
引用発明1の「移動式駆動ユニットの効率的な管理のためのシステム」は、「移動式駆動ユニット」を効率的に動作させることで、目録品関係のタスクを支援しているといえるから、本件発明6の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明6と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点6】
「物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす入出荷支援システム。」

【相違点6−1】
「自動倉庫」について、本件発明6では、「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う」ものであって、「前記自動倉庫は、前記コンベアから前記物品を取得して入庫する」のに対し、引用発明1では、かかる構成を有していない点。

【相違点6−2】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明6では、「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、引用発明1では、「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点6−3】
無人搬送車について、本件発明6では、「前記積載した物品を前記コンベア上に下ろ」すのに対し、引用発明1では、かかる構成を有していない点。

イ 判断
上記相違点6−1について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記(1)イにおいて示したとおり、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められるものの、引用発明1において、作業スペース870内にさらに自動倉庫やコンベアを設ける必要がないことは、上記(1)イにおいて示したとおりである。
よって、引用発明1に対し、上記周知技術を採用し、上記相違点6−1に係る本件発明6の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

ウ 結論
したがって、上記相違点6−2及び6−3について検討するまでもなく、本件発明6は、引用発明1及び引用文献2〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(7)本件発明7について
ア 対比
本件発明7と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「目録品」は、本件発明7の「物品」に相当する。
引用発明2の「目録品システム10」は、「メールオーダー商店の施設を表していてもよく、目録品は該商店の施設に保管された商品を表していてもよい」(段落【0015】)ものであり、「目録品システム10」が備える「一つまたは複数の目録品ステーション50」が、「目録品ホルダー30からの目録品の取り出し、目録品ホルダー30への目録品の導入」の「タスク」を行う位置であり(段落【0019】)、「目録品ステーション50は、完全にまたは部分的に人間のオペレーターによって制御されてもよいし、あるいは完全に自動化されてもよい」ものである(段落【0019】)から、本件発明7の「自動倉庫」に相当する。
引用発明2の「目録品」の「入力(entry)」及び「取り出し(removal)」の「タスク」は、「物品」の「出庫を行う」ことの限りにおいて、本件発明7の「第1のコンベアに前記物品を出庫」することと一致する。
引用発明2の「目録品を保管する目録品ホルダー30を支持する」ことは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「支持する」ことを意味するから、本件発明7の「前記物品を積載する」ことに相当する。したがって、引用発明2の「ドッキング・ヘッド110」は、本件発明7の「積載部」に相当する。
引用発明2の「一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する」ことは、「目録品ホルダー30」に保管された「一つまたは複数の種類の目録品」を「輸送する」ことを意味するから、引用発明2の「一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する移動駆動ユニット20」は、本件発明7の「無人搬送車」に相当する。
引用発明2の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明2の「目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキング」することは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「ドッキング・ヘッド110」に積載することを意味するから、本件発明7の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、引用発明2の「作業スペース870における点910a」は、本件発明7の「積載場所」に相当する。
引用発明2の「無軌道の作業スペース870」は、本件発明7の「無軌道の走行領域」に相当する。
引用発明2の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明7の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致し、引用発明2の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」が「作業スペース870の床面に設置された」ことは、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」が「走行領域の床面に設置された」という限りにおいて、本件発明7の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」が「前記走行領域の床面に設置された」ことと一致する。
引用発明2の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明2の「目録品ホルダー30の回転させることなく」は、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が回転しないことを意味するから、本件発明7の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、引用発明2の「第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って」移動することは、本件発明7の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、引用発明2の「目録品ホルダー30からドッキング解除する」ことは、「ドッキング・ヘッド110」から「目録品ホルダー30」を解除することで、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が「ドッキング・ヘッド110」から下ろされることを意味するから、「前記積載した物品を下ろす」ことの限りにおいて、本件発明7の「前記積載した物品を第2のコンベアに下ろ」すことと一致する。したがって、引用発明2の「点910c」は、本件発明7の「荷下ろし場所」に相当する。
引用発明2の「移動式駆動ユニットの効率的な管理のための方法」は、「移動式駆動ユニット」を効率的に動作させることで、目録品関係のタスクを支援しているといえるから、本件発明7の「前記自動倉庫からの前記物品の出荷又は入荷を支援することを特徴とする入出荷支援方法」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明7と引用発明2との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点7】
「物品を保管する自動倉庫が、前記物品を出庫し、
前記物品を積載する積載部を有する無人搬送車が、
前記積載場所で前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろして、
前記自動倉庫からの前記物品の出荷又は入荷を支援する入出荷支援方法。」

【相違点7−1】
「自動倉庫」に関し、本件発明7では、「第1のコンベアに前記物品を出庫し、前記第1のコンベアが、前記自動倉庫から出庫された前記物品を、積載場所まで搬送し」ているのに対し、引用発明2では、かかる構成を有していない点。

【相違点7−2】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明7では、「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、引用発明2では、「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点7−3】
無人搬送車について、本件発明7では、「前記積載した物品を第2のコンベアに下ろ」すのに対し、引用発明2では、かかる構成を有していない点。

イ 判断
上記相違点7−1について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記(1)イにおいて示したとおり、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められるものの、引用発明2を「物の発明」とする引用発明1において、作業スペース870内にさらに自動倉庫やコンベアを設ける必要がないことは、上記(1)イにおいて示したとおりである。
よって、引用発明2に対し、上記周知技術を採用し、上記相違点7−1に係る本件発明7の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

ウ 結論
したがって、上記相違点7−2及び7−3について検討するまでもなく、本件発明7は、引用発明2及び引用文献2〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(8)本件発明8について
ア 対比
本件発明8と引用発明3とを対比する。
引用発明3の「目録品」は、本件発明8の「物品」に相当する。
引用発明3の「目録品を保管する目録品ホルダー30を支持する」ことは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「支持する」ことを意味するから、本件発明8の「前記物品を積載する」ことに相当する。したがって、引用発明3の「ドッキング・ヘッド110」は、本件発明8の「積載部」に相当する。
引用発明3の「一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する」ことは、「目録品ホルダー30」に保管された「一つまたは複数の種類の目録品」を「輸送する」ことを意味するから、引用発明3の「一つまたは複数の種類の目録品を保管する目録品ホルダー30を輸送する移動駆動ユニット20」は、本件発明8の「無人搬送車」に相当する。
引用発明3の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明3の「目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキング」することは、「目録品ホルダー30」を介して「目録品」を「ドッキング・ヘッド110」に積載することを意味するから、本件発明8の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、引用発明3の「作業スペース870における点910a」は、本件発明8の「積載場所」に相当する。
引用発明3の「無軌道の作業スペース870」は、本件発明8の「無軌道の走行領域」に相当する。
引用発明3の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明8の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致し、引用発明3の「作業スペース870における位置情報が格納された基準マーク」が「作業スペース870の床面に設置された」ことは、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」が「走行領域の床面に設置された」という限りにおいて、本件発明8の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」が「前記走行領域の床面に設置された」ことと一致する。
引用発明3の「目録品ホルダー30」は、「目録品を保管する」ものであり、引用発明3の「目録品ホルダー30の回転させることなく」は、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が回転しないことを意味するから、本件発明8の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、引用発明3の「第一の方向から第二の方向に回転して、90度の曲がりを含む経路16の一部に沿って」移動することは、本件発明8の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、引用発明3の「目録品ホルダー30からドッキング解除する」ことは、「ドッキング・ヘッド110」から「目録品ホルダー30」を解除することで、「目録品ホルダー30」に保管された「目録品」が「ドッキング・ヘッド110」から下ろされることを意味するから、本件発明8の「前記積載した物品を下ろすこと」に相当する。したがって、引用発明3の「点910c」は、本件発明8の「荷下ろし場所」に相当する。
引用発明3の「移動駆動ユニット20は、目録品ホルダー30とのドッキングのためにドッキング・ヘッド110を持ち上げるよう動作可能であるドッキング・アクチュエータ130を含む」ことは、「作業スペース870における点910aで目録品ホルダー30とドッキング・ヘッド110をドッキング」するために、「ドッキング・ヘッド110」を持ち上げ、「点910c」において「目録品ホルダー30からドッキング解除する」ために、「ドッキング・ヘッド110」を下げることを意味するから、「前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を下ろ」すことの限りにおいて、本件発明8の「前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記荷下ろし場所のコンベアよりも前記積載部を高くした状態で、前記コンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろ」すことと一致する。

以上のとおりであるから、本件発明8と引用発明3との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点8】
「物品を積載する積載部を有する無人搬送車であって、
前記無人搬送車は、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を下ろす、無人搬送車。」

【相違点8−1】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明8では、「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、引用発明3では、「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点8−2】
無人搬送車について、本件発明8では、「前記荷下ろし場所で、前記荷下ろし場所のコンベアよりも前記積載部を高くした状態で、前記コンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、前記コンベアを介して前記物品は自動倉庫に入庫されて保管される」のに対し、引用発明3では、かかる構成を有していない点。

イ 判断
事案に鑑み、上記相違点8−2について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記(1)イにおいて示したとおり、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められるものの、引用発明3の「無人搬送車」を有する引用発明1において、作業スペース870内にさらに自動倉庫やコンベアを設ける必要がないことは、上記(1)イにおいて示したとおりである。
よって、引用発明3に対し、上記周知技術を採用し、上記相違点8−2に係る本件発明8の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

ウ 結論
したがって、上記相違点8−1について検討するまでもなく、本件発明8は、引用発明3及び引用文献2〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(9)小括
以上のとおりであるから、本件発明1〜8は、引用発明及び引用文献2〜5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.申立人の申立人意見書における主張について
(1)申立人1の主張
申立人1は、申立人1意見書において、以下の参考資料1〜4を追加し、概略以下の主張をしている。
参考資料1:日立評論、VOL.71、No.6、平成元年6月25日発 行、pp.55−62、「自動倉庫システム」
参考資料2:特開2001−84038号公報
参考資料3:実公平3−18302号公報
参考資料4:無人化技術、第33巻、第4号、平成4年4月1日発行、
pp.85−90、「プリント基板実装ラインにおける無人 搬送車システムの最新導入事例」

ア 本件発明1について
コンベアを介して物品の入出庫を行う点や、出庫された物品がコンベアで積載場所まで搬送される点は、甲第5号証(特開平2−253406号公報)及び参考資料1に記載されているとおり周知の技術であり、引用発明とは同一の技術分野であるから、引用発明に対し、周知の技術を適用する動機付けがある。
また、参考資料2には、「物品を保管しコンベアを介して物品の入出庫を行う自動倉庫」と「物品の搬送を行う無人搬送車」が記載されており、さらに無人搬送車が「位置を固定したままで進行方向のみを例えば90°変化させる」との記載があり、引用発明と参考資料2に記載された事項では作用機能が共通しているから、引用発明に対し、参考資料2に記載された事項を適用する動機付けがある。
また、参考資料3には、「自動倉庫」と、「物品の搬送を行う無人搬送車」が記載されており、さらに無人搬送車に関して「台車を旋回させても台車の上部に設けた載荷台の向きが変化しないようにした」との記載があり、引用発明と参考資料3に記載された事項では作用機能が共通しているから、引用発明に対し、参考資料3に記載された事項を適用する動機付けがある。

イ 本件発明6、7について
本件発明6、7は、本件発明1と同様に「コンベア」に関する特定を追加する訂正を行っているから、本件発明1と同様である。

ウ 本件発明8について
荷下ろし場所でコンベアよりも積載部を高くし、コンベアの下に潜り込んで積載部を下降させて物品をコンベア上に下ろし、コンベアを介して物品を入庫させる点は、甲第3号証、参考資料2、参考資料4に記載されており、引用発明とは同一の技術分野であるから、引用発明に対し、上記各文献に記載された事項を適用する動機付けがある。

(2)申立人2の主張
申立人2は、申立人2意見書において、以下の甲第11号証〜甲第12号証を追加し、概略以下の主張をしている。
甲第11号証:実願平2−97915号(実開平4−56106号)のマ イクロフィルム
甲第12号証:特開2006−232437号公報

ア 本件発明1について
本件発明1の「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され、前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、前記積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、」という構成は、甲第11号証及び甲第12号証に記載されているように、本件特許の原出願の出願前の周知技術である。そして、甲第11号証及び甲第12号証に記載された事項は、無人搬送車によって物品を搬送する技術に関するものであり、引用発明と技術分野が共通するから、引用発明に対し、甲第11号証及び甲第12号証に例示される周知技術を寄せ集めることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 本件発明2〜5について
訂正前の請求項2〜5の構成要件は、以下の甲第5号証〜甲第10号証のいずれかに記載されているように、いずれも本件特許の原出願の出願前の周知技術であり、引用発明に対し、甲第5号証〜甲第10号証に例示される周知技術を寄せ集めることは、当業者が容易になし得たことである。
甲第5号証 :特開平7−44238号公報
甲第6号証 :特開2005−206344号公報
甲第7号証 :実願昭58−171781号(実開昭60−82306号 )のマイクロフィルム
甲第8号証 :特開2013−136458号公報
甲第9号証 :特開2001−114419号公報
甲第10号証:特表2009−539727号公報

ウ 本件発明6について
本件発明6の「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、」「「前記無人搬送車は、(中略)前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、前記自動倉庫は、前記コンベアから前記物品を取得して入庫する」という構成は、甲第11号証及び甲第12号証に記載されているように、本件特許の原出願の出願前の周知技術であり、本件発明1と同様に、引用発明に対し、甲第11号証及び甲第12号証に例示される周知技術を寄せ集めることは、当業者が容易になし得たことである。

エ 本件発明7について
本件発明7の「物品を保管する自動倉庫が、第1のコンベアに前記物品を出庫し、前記第1のコンベアが、前記自動倉庫から出庫された前記物品を、積載場所まで搬送し、」「前記物品を積載する積載部を有する無人搬送車が、前記積載場所で前記積載部に前記物品を積載し、(中略)前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を第2のコンベアに下ろし」という構成は、甲第11号証及び甲第12号証に記載されているように、本件特許の原出願の出願前の周知技術であり、本件発明1と同様に、引用発明に対し、甲第11号証及び甲第12号証に例示される周知技術を寄せ集めることは、当業者が容易になし得たことである。

オ 本件発明8について
本件発明8の「前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記荷下ろし場所のコンベアよりも前記積載部を高くした状態で、前記コンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、」という構成は、甲第8号証及び甲第9号証に記載されているように、本件特許の原出願の出願前の周知技術であり、「前記コンベアを介して前記物品は自動倉庫に入庫されて保管される」という構成は、甲第11号証及び甲第12号証に記載されているように、本件特許の原出願の出願前の周知技術であり、本件発明1と同様に、引用発明に対し、甲第8号証及び甲第9号証に例示される周知技術、及び、甲第11号証及び甲第12号証に例示される周知技術を寄せ集めることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)申立人の主張に対する判断
ア 申立人1の主張及び申立人2の本件発明1〜4、6〜8に対する主張について
申立人1の主張及び申立人2の本件発明1〜4、6〜8に対する主張の要旨は、引用発明において、本件発明1〜4、6〜8の「積載場所」又は「荷下ろし場所」に相当する箇所に、「コンベア」を設けることは、当業者であれば容易に想到し得たことである、と認められる。
しかしながら、引用発明において、さらに「コンベア」を設ける必要が無いことは、上記3.(1)イに示したとおりであるから、申立人1の主張及び申立人2の本件発明1〜4、6〜8に対する主張は、いずれも採用できない。

イ 申立人2の本件発明5に対する主張について
申立人2の本件発明5に対する主張の要旨は、引用発明に対し、甲第10号証に記載された事項を適用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである、と認められる。
しかしながら、引用発明において、目録品ホルダー30を位置合わせし、および/または目録品ホルダー30の位置を決定するための識別部を、目録品に設けることに動機づけが無いというべきであることは、上記3.(5)イに示したとおりである。
そして、甲第10号証に記載された事項も、在庫ホルダ30を特異に識別する無線周波数(RF)信号を送信する無線周波数(RF)エミッタを含み得るホルダ識別子360は、在庫ホルダ30に設けられているものであって(甲第10号証の段落【0040】、【図3】等参照)、在庫品目40に設けられるものではないから、引用発明に対し、甲第10号証に記載された事項を採用したとしても、本件発明5の構成とはならない。
よって、申立人2の本件発明5に対する主張は採用できない。


第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人1及び申立人2が提出した特許異議申立書において申立てている申立理由のうち、取消理由通知において採用しなかったものは、概略以下のとおりである。

1.申立人1による申立理由
(1)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
本件訂正前の請求項1について、「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行する」と記載されているところ、「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えない」と解釈すると、当該事項は本件特許の明細書に記載されていないから、本件訂正前の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、その特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである。

2.申立人2による申立理由
(1)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
ア 本件訂正前の請求項1、6〜8について、「積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行する」と記載されているところ、本件特許の明細書には、段落【0007】に形式的に記載されている点を除いて、「略90°単位」との文言は記載されていないから、本件訂正前の請求項1、6〜8に係る発明と、本件訂正前の請求項1を引用する本件訂正前の請求項2〜5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、その特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである。

イ 本件訂正前の請求項6、8について、「自動倉庫」の要件が含まれていないところ、本件特許の明細書の段落【0001】に「本発明は、自動倉庫から物品を入出荷する際における入出荷支援システム、入出荷支援方法及び無人搬送車の技術に関する。」と記載されていることからも明らかなように、本件特許の各発明において、「自動倉庫」は必須の構成要件であり、本件特許の明細書には、自動倉庫以外の設備における入出荷支援システムの発明や、自動倉庫以外の設備における無人搬送車の発明について、一切記載されていないから、本件訂正前の請求項6、8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、その特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである。

(2)特許法第36条第6項第2号明確性)について
本件訂正前の請求項1、6〜8について、「積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行する」と記載されているところ、「略90°」が90°に対してどれだけの広がりがある角度かが明確でないために、「略90°単位」がどのような角度単位を意味しているのか明確でなく、本件特許の明細書を参酌しても、段落【0007】に形式的に記載されている点を除いて明細書に記載されておらず、段落【0029】、【0031】に記載の「90°単位」との関係は全く説明されていないから、本件訂正前の請求項1、6〜8に係る発明と、本件訂正前の請求項1を引用する本件訂正前の請求項2〜5に係る発明は明確でなく、その特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである。

(3)特許法第29条第2項進歩性について)について
本件訂正前の請求項1〜8に係る発明は、甲第1号証〜甲第10号証(以下、「申立2甲第1号証」〜「申立2甲第10号証」という。)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである。
申立2甲第1号証 :特表2010−514647号公報
申立2甲第2号証 :特表2007−531105号公報
申立2甲第3号証 :特開2001−134318号公報
申立2甲第4号証 :「Warehouse Robots at Wo rk」、2008年7月22日、
https://www.youtube.com/watch?v=lWsMdN7HMuA
申立2甲第5号証 :特開平7−44238号公報
申立2甲第6号証 :特開2005−206344号公報
申立2甲第7号証 :実願昭58−171781号(実開昭60−823 06号)のマイクロフィルム
申立2甲第8号証 :特開2013−136458号公報
申立2甲第9号証 :特開2001−114419号公報
申立2甲第10号証:特表2009−539727号公報

3.当審の判断
(1)申立人1のサポート要件についての申立理由について
上記1.(1)に示す申立理由について検討する。
本件訂正後の請求項1は、本件訂正前の請求項1の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行する」と同様の記載を有するが、同記載を、「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えない」と解釈することは明らかに適当ではないから、申立人1の主張は前提において誤りである。
そして、本件訂正後の請求項1の「前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行する」ことは、明細書の段落【0007】等に記載されているから、本件訂正後の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものであり、その特許は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしているといえる。
よって、申立人1のサポート要件についての申立理由は採用できない。

(2)申立人2のサポート要件についての申立理由について
上記2.(1)に示す申立理由について検討する。
アについて、形式的であるか否かに関わらず、本件特許の明細書の段落【0007】に「略90°単位」と記載されていることに変わりはないから、本件訂正後の請求項1、6〜8に係る発明の「積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行する」ことは、発明の詳細な説明に記載したものであり、その特許は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしているといえる。

イについて、本件訂正により、本件訂正後の請求項6、8に「自動倉庫」の発明特定事項が追加されたから、本件訂正後の請求項6、8に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていることは、明らかである。

よって、申立人2のサポート要件についての申立理由は採用できない。

(3)申立人2の明確性についての申立理由について
上記2.(2)に示す申立理由について検討する。
無人搬送車に限らず、わずかな誤差も生じないように機械を制御することが不可能であることは、本件特許の原出願の出願時において技術常識であるといえる。
ここで、本件特許の明細書及び図面の記載並びに本件特許の原出願の出願時の技術常識を考慮すると、本件発明1〜8は、自動倉庫において、無人搬送車が、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行するものである、ということが理解できる。
そして、ここでいう「略90°単位で走行方向を変えて走行する」とは、無人搬送車の走行方向が90°単位で変わるように制御することを意味することが明確に把握できるから、「略90°単位」と記載されていたとしても、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。
したがって、本件訂正前の請求項1、6〜8に係る発明と同様の記載を有する本件発明1〜8は明確であるから、その特許は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たしているといえる。
よって、申立人2の明確性についての申立理由は採用できない。

(4)申立人2の進歩性についての申立理由について
上記2.(3)に示す申立理由について検討する。

ア 申立2甲第1号証に記載された事項及び申立2甲1発明
申立人2が主引例として提示した申立2甲第1号証には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0009】
図1は、可動駆動ユニット20と在庫ホルダ30とを含む、在庫品目40を貯蔵し、分類し、且つ、回収するための在庫システム10を例証している。在庫ホルダ30は、多様な品目種類の多数の在庫品目40を貯蔵する。可動駆動ユニット20は、在庫システム10と関連付けられた作業空間内の指定地点の間で在庫ホルダ30を移動する。具体的な実施態様では、可動駆動ユニット20は、在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益をもたらし得る、在庫ホルダ30を輸送するための特定の技法を支援する。
【0010】
可動駆動ユニット20は、在庫システム10の作業空間内で移動することができ、それ自体を推進し且つ作業空間内の特定の目的地に操縦するための如何なる適切な構成部品をも含み得る。加えて、可動駆動ユニット20は、在庫ホルダ30が可動駆動ユニット20によって結合され且つ/或いは支持されるよう、在庫ホルダ30と合体し得る。在庫ホルダ30と合体されるとき、可動駆動ユニット20は、在庫ホルダ30を操縦し且つ/或いはその他の方法で移動することもできる。可動駆動ユニット20は、在庫ホルダ30が可動駆動ユニット20と合体される間に在庫ホルダ30と合体するための並びに在庫ホルダ30を操作するための如何なる適切な構成部品をも含み得る。可動駆動ユニット20の具体的な実施態様の構成部品は、図2A−2B及び3A−3Dに関連して以下により詳細に記載される。」

(イ)「【0012】
在庫品目40は、自動在庫システム内の貯蔵、回収、及び/又は、処理に適した如何なる物体をも表す。1つの実施例として、在庫システム10は、通信販売倉庫施設を表し得るし、在庫品目40は倉庫施設内に貯蔵される商品を表し得る。他の実施例として、在庫システム10は、商品返却施設を表し得るし、在庫品目40は顧客によって返品される商品を表し得る。さらに他の実施例として、在庫システム10は製造施設を表し得るし、在庫品目40は、特注コンピュータシステム用の電子構成部品のような、最終製品に組み立てられるべき製造キットの個々の構成部品を表し得る。しかしながら、より一般的には、在庫品目40は、在庫システム10内に貯蔵され且つ回収され得る如何なる適切な物体をも表し得る。」

(ウ)「【0015】
動作中、可動駆動ユニット20は、在庫システム10に関連付けられた作業空間内の地点の間で移動し得るし、在庫ホルダ30に結合されるときには、作業空間内の場所の間で在庫ホルダ30を輸送し得る。可動駆動ユニット20は、可動駆動ユニット20の動作を自律的に並びに/或いは可動駆動ユニット20によって受信される命令に基づき決定し得る。例えば、具体的な実施態様では、可動駆動ユニット20は、在庫システム10の管理装置から、在庫システム10の操作者から、或いは、あらゆる他の適切な当事者又は装置から、可動駆動ユニット20の目的地を特定する情報を受信し得る。可動駆動ユニット20は、無線インターフェースを通じて、有線接続に亘って、或いは、在庫システム10の操作者又は管理装置と通信するあらゆる他の適切な構成部品を使用して、その情報を受信し得る。加えて、具体的な実施態様において、可動駆動ユニット20は、操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される、基準マークのような固体物体を使用し得る。そのような実施態様では、可動駆動ユニット20は、基準マークを検出するよう、並びに、可動駆動ユニット20の場所を決定し且つ/或いは基準マークの検出に基づくその動作を測定するよう構成され得る。しかしながら、一般的には、可動駆動ユニット20の動作は、可動駆動ユニット20及び在庫システム10の構造に依存して、可動駆動ユニット20又はあらゆる適切な外部装置若しくは外部当事者によって、全体的に或いは部分的に制御され得る。」

(エ)「【0017】
そのような命令の受信に応答して、可動駆動ユニット20は、その命令によって特定される貯蔵場所に移動する。次に、可動駆動ユニット20は、特定された在庫ホルダ30との合体プロセスを開始し得る。可動駆動ユニット20は、可動駆動ユニット20が在庫ホルダ30と合体されるときに、在庫ホルダ30が可動駆動ユニット20に結合され且つ支持されるよう、如何なる適切な方法でも在庫ホルダ30と合体し得る。具体的な実施態様において、可動駆動ユニット20は、それ自体を在庫ホルダ30の下に位置付け且つ合体ヘッドが在庫ホルダ30を地面から持ち上げるまで可動駆動ユニット20の合体ヘッドを上昇することによって、在庫ホルダ30と合体する。
【0018】
図2A−2C及び3A−3Dに関してより詳細に議論されるように、可動駆動ユニット20の具体的な実施態様は、合体ヘッド204に取り付けられる昇降シャフト202を含む。そのような実施態様では、可動駆動ユニット20は、可動駆動ユニット20の残部の一部又は全部を昇降シャフト202に対して回転することによって、合体ヘッド204を上昇し得る。可動駆動ユニット20の構造及び特徴に依存して、可動駆動ユニット20は、可動駆動ユニット20が可動駆動ユニット20に対して昇降シャフト202を回転しながら合体ヘッド204の向きを維持する追加的なステップも遂行し得る。例えば、具体的な実施態様において、昇降シャフト202は、ネジ又は他の形態のネジ山付きシャフトを含み、ネジ又は他の形態のネジ山付きシャフトは、可動駆動ユニット20の特定の部分がネジ又はネジ山付きシャフトに対して回転されるときに上昇され或いは降下される。結果的に、そのような実施態様では、可動駆動ユニット20は、昇降シャフト202の向きが固定される間に円形に駆動することによって、昇降シャフト202を上昇し得る。」

(オ)「【0021】
具体的な実施態様において、可動駆動ユニット20は、二次元グリッドに沿って在庫ホルダ30を移動することができ、直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進む。加えて、前方及び後方に移動しながら、可動駆動ユニット20は、操縦補正を行い或いはその取扱いを他の方法で調節するために、より小さい回転動作も遂行し得る。可動駆動ユニット20が回転するとき、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204の向きを維持し得る。これを達成するための技法は、図2A−2C及び3A−3Dに関して、以下により詳細に記載される。可動駆動ユニット20が回転する間に合体ヘッド204の向きを維持することは、特に在庫システム10が密集的に詰まった作業空間を利用し且つ精密に拘束される動作を遂行するために構成部品に依存する場合には、合体された在庫ホルダ30が他の付近の在庫ホルダ30と衝突することを防止し得る。
【0022】
可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、在庫ホルダ30から切り離される。可動駆動ユニット20は、可動駆動ユニット20の構造及び特徴に基づくあらゆる適切な方法で在庫ホルダ30から切り離され得る。具体的な実施態様において、合体ヘッド204は、可動駆動ユニット20の残部の一部又は全部の回転に応答して上昇され或いは降下される昇降シャフト202に取り付けられる。そのような実施態様では、可動駆動ユニット20は、昇降シャフト202を可動駆動ユニット20の残部に対して回転することによって合体ヘッド204を下げ得る。その上、具体的な実施態様において、可動駆動ユニット20は、昇降シャフト202に対して第一方向に可動駆動ユニット20の関連部分を回転することによって合体ヘッド204を上げ得るし、昇降シャフト202に対して第二方向に可動駆動ユニット20の関連部分を回転することによって合体ヘッド204を下げ得る。」

(カ)「【0025】
図2A及び2Bは、それぞれ、可動駆動ユニット20の具体的な実施態様の側面図及び上面図である。具体的には、図2A及び2Bは、昇降シャフト202と、合体ヘッド204と、駆動モジュール206と、回転モジュール208と、負荷制御モジュール210と、処理モジュール212とを含む、可動駆動ユニット20aを例証している。これらの構成部品の一部又は全部は、ハウジング200内に取り囲まれている。」

(キ)「【0059】
この実施例において、動作は、ステップ600で、第一場所で選択的な在庫ホルダの下にそれ自体を位置付ける可動駆動ユニット20で開始する。可動駆動ユニット20が、選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けるや否や、可動駆動ユニット20は、合体プロセスを開始し得る。このプロセスの一部として、可動駆動ユニット20は、ステップ610で、合体ヘッド204を上昇し得る。具体的な実施態様では、可動駆動ユニット20は、ハウジング200を昇降シャフト202に対して第一方向に回転することによって、合体ヘッド204を上昇する。次に、可動駆動ユニット20は、可動駆動ユニット20及び選択的な在庫ホルダ30の構造に基づき合体プロセスを完了するよう、如何なる他の適切なステップをも実行し得る。合体プロセスの結果として、可動駆動ユニット20は、在庫ホルダ30に結合され且つ/或いは在庫ホルダ30を支持する。」

上記摘記事項(ア)〜(キ)から、申立2甲第1号証には次の発明(以下、各発明を「申立2甲1発明1」〜「申立2甲1発明3」といい、「申立2甲1発明1」〜「申立2甲1発明3」をまとめて「申立2甲1発明」という。)が記載されている。

【申立2甲1発明1】
「在庫品目40を貯蔵し、分類し、且つ、回収するための自動在庫システム10と、自動在庫システム10の作業空間内の指定地点の間で在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する可動駆動ユニット2を有し、
可動駆動ユニット2は、在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204を有し、第一場所で選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始し、操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マークを検出し、可動駆動ユニット20の場所を決定し且つ/或いは基準マークの検出に基づくその動作を測定するよう構成され、二次元グリッドに沿って、直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進み、可動駆動ユニット20が回転するとき、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204の向きを維持し、
可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される、
在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益をもたらし得る、在庫ホルダ30を輸送するためのシステム。」

【申立2甲1発明2】
「在庫品目40を貯蔵し、分類し、且つ、回収するための自動在庫システム10と、自動在庫システム10の作業空間内の指定地点の間で在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する可動駆動ユニット2を有し、
可動駆動ユニット2は、在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204を有し、第一場所で選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始し、操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マークを検出し、可動駆動ユニット20の場所を決定し且つ/或いは基準マークの検出に基づくその動作を測定するよう構成され、二次元グリッドに沿って、直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進み、可動駆動ユニット20が回転するとき、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204の向きを維持し、
可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される、
在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益をもたらし得る、在庫ホルダ30を輸送するための方法。」

【申立2甲1発明3】
「在庫品目40を貯蔵し、分類し、且つ、回収するための自動在庫システム10において、自動在庫システム10の作業空間内の指定地点の間で在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する可動駆動ユニット2であって、
可動駆動ユニット2は、在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204を有し、第一場所で選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始し、操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マークを検出し、可動駆動ユニット20の場所を決定し且つ/或いは基準マークの検出に基づくその動作を測定するよう構成され、二次元グリッドに沿って、直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進み、可動駆動ユニット20が回転するとき、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204の向きを維持し、
可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される、可動駆動ユニット20。」

イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と申立2甲1発明1とを対比する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40」は、本件発明1の「物品」に相当し、申立2甲1発明1の「在庫品目40を貯蔵し、分類し、且つ、回収する」ことは、本件発明1の「物品を保管」することに相当する。
申立2甲1発明1の「自動在庫システム10」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、「在庫品目40を貯蔵」する以上、「在庫品目40」を入出庫することは明らかであるから、「前記物品の入出庫を行う自動倉庫」の限りにおいて、本件発明1の「コンベアを介し前記物品の入出庫を行う自動倉庫」と一致する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する」ことは、「在庫ホルダ30」に貯蔵された「在庫品目40」を「移動する」ことを意味するから、本件発明1の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット2」は、本件発明1の「無人搬送車」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204」は、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明1の「前記物品を積載する積載部」に相当する。
申立2甲1発明1の「選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始」することは、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明1の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「第一場所」は、本件発明1の「積載場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明1の「前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致する。
申立2甲1発明1の「二次元グリッド」は、「走行領域」の限りにおいて、本件発明1の「無軌道の走行領域」と一致する。
申立2甲1発明1の「合体ヘッド204」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、申立2甲1発明1の「合体ヘッド204の向きを維持」することは、「合体ヘッド204」に貯蔵された「在庫品目40」の向きが維持されていることを意味するから、本件発明1の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、申立2甲1発明1の「直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進」むことは、本件発明1の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される」ことは、「合体ヘッド204」から「在庫ホルダ30」を切り離すことで、「在庫ホルダ30」に保管された「在庫品目40」が「合体ヘッド204」から下ろされることを意味するから、本件発明1の「前記積載した物品を下ろすこと」に相当する。したがって、申立2甲1発明1の「第二場所」は、本件発明1の「荷下ろし場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益をもたらし得る、在庫ホルダ30を輸送するためのシステム」は、「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益」をもたらすことによって、「在庫ホルダ30」を輸送するための技法を支援するものであるから(申立2甲第1号証の段落【0009】参照)、本件発明1の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明1と申立2甲1発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点1´】
「物品を保管し、前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、前記積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、走行領域を、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす入出荷支援システム。」

【相違点1´−1】
「自動倉庫」について、本件発明1では、「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う」ものであって、「前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され」るのに対し、申立2甲1発明1では、かかる構成を有していない点。

【相違点1´−2】
「走行領域」について、本件発明1では、「無軌道の走行領域」であるのに対し、申立2甲1発明1では、「二次元グリッド」を有するものの、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点1´−3】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明1では、「走行領域の床面に設置された」「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、申立2甲1発明1では、「作業空間内に配置される」「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

(イ)判断
上記相違点1´−1について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記第4 3.(1)イに示したように、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められる。
一方、申立2甲1発明1は、在庫ホルダ30が、在庫品目40を自動在庫システム10内に貯蔵するものであって、可動駆動ユニット2は、自動在庫システム10の作業空間内の指定地点の間で在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動するものである。
そうしてみると、申立2甲1発明1は、可動駆動ユニット2が、自動在庫システム10の内部を移動するものであって、自動在庫システム10の外部を移動するものではないから、自動倉庫の外部を無人搬送車が移動する上記周知技術とは、前提とする構成が大きく異なるものである。
そして、申立2甲第1号証には、申立2甲1発明1において、可動駆動ユニット2を自動在庫システム10の外部で移動させてもよいことを示唆する記載は無い。また、申立2甲1発明1は、可動駆動ユニット2によって移動される在庫ホルダ30を自動在庫システム10の作業空間に貯蔵することにより、在庫品目40を自動在庫システム10内に保管するものであるから、作業空間内にさらに自動倉庫やコンベアを設け、在庫ホルダ30をその内部に搬送して保管する必要もない。
そうであれば、自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することが、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったといえども、申立2甲1発明1に対し、上記周知技術を採用する動機付けは無いというべきである。
よって、申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証の存在を前提としても、申立2甲1発明1に対し、上記周知技術を採用し、上記相違点1´−1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

(ウ)結論
したがって、上記相違点1´−2〜1´−3について検討するまでもなく、本件発明1は、申立2甲1発明1並びに申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明2について
(ア)対比
本件発明2と申立2甲1発明1とを対比する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40」は、本件発明2の「物品」に相当し、申立2甲1発明1の「自動在庫システム10」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、「在庫品目40を貯蔵」する以上、「在庫品目40」を入出庫することは明らかであるから、本件発明2の「物品の入出庫を行う自動倉庫」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する」ことは、「在庫ホルダ30」に貯蔵された「在庫品目40」を「移動する」ことを意味するから、本件発明2の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット2」は、本件発明2の「無人搬送車」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204」は、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明2の「前記物品を積載する積載部」に相当する。
申立2甲1発明1の「選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始」することは、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明2の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「第一場所」は、本件発明2の「積載場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明2の「前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致する。
申立2甲1発明1の「二次元グリッド」は、「走行領域」の限りにおいて、本件発明2の「無軌道の走行領域」と一致する。
申立2甲1発明1の「合体ヘッド204」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、申立2甲1発明1の「合体ヘッド204の向きを維持」することは、「合体ヘッド204」に貯蔵された「在庫品目40」の向きが維持されていることを意味するから、本件発明2の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、申立2甲1発明1の「直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進」むことは、本件発明2の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される」ことは、「合体ヘッド204」から「在庫ホルダ30」を切り離すことで、「在庫ホルダ30」に保管された「在庫品目40」が「合体ヘッド204」から下ろされることを意味するから、本件発明2の「前記積載した物品を下ろすこと」に相当する。したがって、申立2甲1発明1の「第二場所」は、本件発明2の「荷下ろし場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益をもたらし得る、在庫ホルダ30を輸送するためのシステム」は、「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益」をもたらすことによって、「在庫ホルダ30」を輸送するための技法を支援するものであるから(申立2甲第1号証の段落【0009】参照)、本件発明2の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明2と申立2甲1発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点2´】
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、走行領域を、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす入出荷支援システム。」

【相違点2´−1】
「走行領域」について、本件発明2では、「無軌道の走行領域」であるのに対し、申立2甲1発明1では、「二次元グリッド」を有するものの、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点2´−2】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明2では、「走行領域の床面に設置された」「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、申立2甲1発明1では、「作業空間内に配置される」「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点2´−3】
本件発明2では、「前記無人搬送車は、前記積載部としてローラコンベアを備えており、前記積載場所及び前記荷下ろし場所にローラコンベアが備えられている」のに対し、申立2甲1発明1では、かかる構成を有していない点。

(イ)判断
事案に鑑み、上記相違点2´−3について検討する。
申立2甲1発明1において、自動在庫システム10の作業空間内にさらにコンベアを設ける必要がないことは、上記イ(イ)において示したとおりである。
そうであれば、申立2甲1発明1において、上記相違点2´−3に係る本件発明2の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

(ウ)結論
したがって、上記相違点2´−1〜2´−2について検討するまでもなく、本件発明2は、申立2甲1発明1並びに申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明3について
本件発明2を引用する本件発明3は、本件発明2をさらに減縮するものであって、本件発明2の「前記無人搬送車は、前記積載部としてローラコンベアを備えており、前記積載場所及び前記荷下ろし場所にローラコンベアが備えられている」点と同一の構成を備えるものであるから、本件発明2を引用する本件発明3は、本件発明2と同様の理由により、申立2甲1発明1及び申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明4について
(ア)対比
本件発明4と申立2甲1発明1とを対比する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40」は、本件発明4の「物品」に相当し、申立2甲1発明1の「自動在庫システム10」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、「在庫品目40を貯蔵」する以上、「在庫品目40」を入出庫することは明らかであるから、本件発明4の「物品の入出庫を行う自動倉庫」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する」ことは、「在庫ホルダ30」に貯蔵された「在庫品目40」を「移動する」ことを意味するから、本件発明4の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット2」は、本件発明4の「無人搬送車」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204」は、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明4の「前記物品を積載する積載部」に相当する。
申立2甲1発明1の「選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始」することは、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明4の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「第一場所」は、本件発明4の「積載場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明4の「前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致する。
申立2甲1発明1の「二次元グリッド」は、「走行領域」の限りにおいて、本件発明4の「無軌道の走行領域」と一致する。
申立2甲1発明1の「合体ヘッド204」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、申立2甲1発明1の「合体ヘッド204の向きを維持」することは、「合体ヘッド204」に貯蔵された「在庫品目40」の向きが維持されていることを意味するから、本件発明4の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、申立2甲1発明1の「直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進」むことは、本件発明4の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される」ことは、「合体ヘッド204」から「在庫ホルダ30」を切り離すことで、「在庫ホルダ30」に保管された「在庫品目40」が「合体ヘッド204」から下ろされることを意味するから、本件発明4の「前記積載した物品を下ろすこと」に相当する。したがって、申立2甲1発明1の「第二場所」は、本件発明4の「荷下ろし場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益をもたらし得る、在庫ホルダ30を輸送するためのシステム」は、「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益」をもたらすことによって、「在庫ホルダ30」を輸送するための技法を支援するものであるから(申立2甲第1号証の段落【0009】参照)、本件発明4の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明4と申立2甲1発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点4´】
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、走行領域を、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす入出荷支援システム。」

【相違点4´−1】
「走行領域」について、本件発明4では、「無軌道の走行領域」であるのに対し、申立2甲1発明1では、「二次元グリッド」を有するものの、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点4´−2】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明4では、「走行領域の床面に設置された」「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、申立2甲1発明1では、「作業空間内に配置される」「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点4´−3】
本件発明4では、「前記無人搬送車は、前記積載部としてローラコンベアを備えており、前記積載場所及び前記荷下ろし場所にローラコンベアが備えられている」のに対し、申立2甲1発明1では、かかる構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点4´−1について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記第4 3.(1)イに示したように、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められる。
一方、申立2甲1発明1は、在庫ホルダ30が、在庫品目40を自動在庫システム10内に貯蔵するものであって、可動駆動ユニット2は、自動在庫システム10の作業空間内の指定地点の間で在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動するものである。
そうしてみると、申立2甲1発明1は、可動駆動ユニット2が、自動在庫システム10の内部を移動するものであって、自動在庫システム10の外部を移動するものではないから、自動倉庫の外部を無人搬送車が移動する上記周知技術とは、前提とする構成が大きく異なるものである。
そして、申立2甲第1号証には、申立2甲1発明1において、可動駆動ユニット2を自動在庫システム10の外部で移動させてもよいことを示唆する記載は無い。また、申立2甲1発明1は、可動駆動ユニット2によって移動される在庫ホルダ30を自動在庫システム10の作業空間に貯蔵することにより、在庫品目40を自動在庫システム10内に保管するものであるから、作業空間内にさらに自動倉庫やコンベアを設け、在庫ホルダ30をその内部に搬送して保管する必要もない。
そうであれば、自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することが、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったといえども、申立2甲1発明1に対し、上記周知技術を採用する動機付けは無いというべきである。
よって、申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証の存在を前提としても、申立2甲1発明1に対し、上記周知技術を採用し、上記相違点4´−1に係る本件発明4の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

(ウ)結論
したがって、上記相違点4´−2〜4´−3について検討するまでもなく、本件発明4は、申立2甲1発明1並びに申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 本件発明5について
(ア)対比
本件発明5と申立2甲1発明1とを対比する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40」は、本件発明5の「物品」に相当し、申立2甲1発明1の「自動在庫システム10」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、「在庫品目40を貯蔵」する以上、「在庫品目40」を入出庫することは明らかであるから、本件発明5の「物品の入出庫を行う自動倉庫」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する」ことは、「在庫ホルダ30」に貯蔵された「在庫品目40」を「移動する」ことを意味するから、本件発明5の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット2」は、本件発明5の「無人搬送車」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204」は、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明5の「前記物品を積載する積載部」に相当する。
申立2甲1発明1の「選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始」することは、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明5の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「第一場所」は、本件発明5の「積載場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明5の「前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致する。
申立2甲1発明1の「二次元グリッド」は、「走行領域」の限りにおいて、本件発明5の「無軌道の走行領域」と一致する。
申立2甲1発明1の「合体ヘッド204」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、申立2甲1発明1の「合体ヘッド204の向きを維持」することは、「合体ヘッド204」に貯蔵された「在庫品目40」の向きが維持されていることを意味するから、本件発明5の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、申立2甲1発明1の「直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進」むことは、本件発明5の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される」ことは、「合体ヘッド204」から「在庫ホルダ30」を切り離すことで、「在庫ホルダ30」に保管された「在庫品目40」が「合体ヘッド204」から下ろされることを意味するから、本件発明5の「前記積載した物品を下ろすこと」に相当する。したがって、申立2甲1発明1の「第二場所」は、本件発明5の「荷下ろし場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益をもたらし得る、在庫ホルダ30を輸送するためのシステム」は、「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益」をもたらすことによって、「在庫ホルダ30」を輸送するための技法を支援するものであるから(申立2甲第1号証の段落【0009】参照)、本件発明5の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明5と申立2甲1発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点5´】
「物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、走行領域を、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす入出荷支援システム。」

【相違点5´−1】
「走行領域」について、本件発明5では、「無軌道の走行領域」であるのに対し、申立2甲1発明1では、「二次元グリッド」を有するものの、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点5´−2】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明5では、「走行領域の床面に設置された」「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、申立2甲1発明1では、「作業空間内に配置される」「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点5´−3】
本件発明5では、「前記積載部は、前記物品の底面に備えられているRFIDタグを読み取るためのRFIDタグリーダを上面に有し、前記無人搬送車の制御部は、前記積載部に前記物品を積載する際に、前記RFIDタグリーダが、前記RFIDタグを読み取ることで、前記無人搬送車の直上に前記物品が到着したか否かを判定するとともに、前記RFIDタグに格納されている前記物品の情報を基に積載された前記物品が積載されるべき物品であるか否かを判定する」のに対し、申立2甲1発明1では、かかる構成を有していない点。

(イ)判断
事案に鑑み、上記相違点5´−3について検討する。
RFIDタグ及びRFIDタグリーダは、文献を示すまでもない周知技術である。
しかしながら、申立2甲第1号証には、在庫ホルダ30に保管される在庫品目40に対して、位置を識別できる識別部を設けることは、記載も示唆もされていない。
そして、申立2甲1発明1において、在庫品目40が在庫ホルダ30に保管されるものであり、可動駆動ユニット2と在庫ホルダ30とを位置合わせするに際し、在庫ホルダ30内における在庫品目40の位置が問題とはならないことを鑑みれば、在庫ホルダ30を位置合わせし、および/または在庫ホルダ30の位置を決定するための識別部を、在庫品目40に設けるようにする動機付けは無いというべきである。
そうであれば、申立2甲1発明1において、上記相違点5´−3に係る本件発明5の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

(ウ)結論
したがって、上記相違点5´−1〜5´−2について検討するまでもなく、本件発明5は、申立2甲1発明1並びに申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

カ 本件発明6について
(ア)対比
本件発明6と申立2甲1発明1とを対比する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40」は、本件発明6の「物品」に相当し、申立2甲1発明1の「在庫品目40を貯蔵し、分類し、且つ、回収する」ことは、本件発明6の「物品を保管」することに相当する。
申立2甲1発明1の「自動在庫システム10」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、「在庫品目40を貯蔵」する以上、「在庫品目40」を入出庫することは明らかであるから、「前記物品の入出庫を行う自動倉庫」の限りにおいて、本件発明6の「コンベアを介し前記物品の入出庫を行う自動倉庫」と一致する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する」ことは、「在庫ホルダ30」に貯蔵された「在庫品目40」を「移動する」ことを意味するから、本件発明6の「前記物品の搬送を行う」ことに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット2」は、本件発明6の「無人搬送車」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204」は、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明6の「前記物品を積載する積載部」に相当する。
申立2甲1発明1の「選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始」することは、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明6の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、申立2甲1発明1の「第一場所」は、本件発明6の「積載場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明6の「前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致する。
申立2甲1発明1の「二次元グリッド」は、「走行領域」の限りにおいて、本件発明6の「無軌道の走行領域」と一致する。
申立2甲1発明1の「合体ヘッド204」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、申立2甲1発明1の「合体ヘッド204の向きを維持」することは、「合体ヘッド204」に貯蔵された「在庫品目40」の向きが維持されていることを意味するから、本件発明6の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、申立2甲1発明1の「直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進」むことは、本件発明6の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、申立2甲1発明1の「可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される」ことは、「合体ヘッド204」から「在庫ホルダ30」を切り離すことで、「在庫ホルダ30」に保管された「在庫品目40」が「合体ヘッド204」から下ろされることを意味するから、「積載した物品を下ろす」との限りにおいて、本件発明6の「前記積載した物品をコンベア上に下ろ」すことと一致する。したがって、申立2甲1発明1の「第二場所」は、本件発明6の「荷下ろし場所」に相当する。
申立2甲1発明1の「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益をもたらし得る、在庫ホルダ30を輸送するためのシステム」は、「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益」をもたらすことによって、「在庫ホルダ30」を輸送するための技法を支援するものであるから(申立2甲第1号証の段落【0009】参照)、本件発明6の「入出荷支援システム」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明6と申立2甲1発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点6´】
「物品を保管し、前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、前記積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、走行領域を、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろす入出荷支援システム。」

【相違点6´−1】
「自動倉庫」について、本件発明6では、「物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う」ものであって、「前記自動倉庫は、前記コンベアから前記物品を取得して入庫する」のに対し、申立2甲1発明1では、かかる構成を有していない点。

【相違点6´−2】
「走行領域」について、本件発明6では、「無軌道の走行領域」であるのに対し、申立2甲1発明1では、「二次元グリッド」を有するものの、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点6´−3】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明6では、「走行領域の床面に設置された」「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、申立2甲1発明1では、「作業空間内に配置される」「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点6´−4】
無人搬送車について、本件発明6では、「積載した物品を前記コンベア上に下ろ」すのに対し、申立2甲1発明1では、かかる構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点6´−1について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記第4 3.(1)イに示したように、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められるものの、申立2甲1発明1において、自動在庫システム10の作業空間内にさらに自動倉庫やコンベアを設ける必要がないことは、上記イ(イ)に示したとおりである。
よって、申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証の存在を前提としても、申立2甲1発明1に対し、上記周知技術を採用し、上記相違点6´−1に係る本件発明6の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

(ウ)結論
したがって、上記相違点6´−2〜6´−3について検討するまでもなく、本件発明6は、申立2甲1発明1並びに申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

キ 本件発明7について
(ア)対比
本件発明7と申立2甲1発明2とを対比する。
申立2甲1発明2の「在庫品目40」は、本件発明7の「物品」に相当し、申立2甲1発明2の「在庫品目40を貯蔵し、分類し、且つ、回収する」ことは、本件発明7の「物品を保管する」ことに相当する。
申立2甲1発明2の「自動在庫システム10」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、「在庫品目40を貯蔵」する以上、「在庫品目40」を入出庫することは明らかであるから、「物品」の「出庫を行う」「自動倉庫」の限りにおいて、本件発明7の「第1のコンベアに前記物品を出庫」する「自動倉庫」と一致する。
申立2甲1発明2の「在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204」は、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明7の「前記物品を積載する積載部」に相当する。
申立2甲1発明2の「在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する可動駆動ユニット2」は、「在庫ホルダ30」に貯蔵された「在庫品目40」を「移動する」ことを意味するから、本件発明7の「無人搬送車」に相当する。
申立2甲1発明2の「選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始」することは、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明7の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、申立2甲1発明2の「第一場所」は、本件発明7の「積載場所」に相当する。
申立2甲1発明2の「操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明7の「前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致する。
申立2甲1発明2の「二次元グリッド」は、「走行領域」の限りにおいて、本件発明7の「無軌道の走行領域」と一致する。
申立2甲1発明2の「合体ヘッド204」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、申立2甲1発明2の「合体ヘッド204の向きを維持」することは、「合体ヘッド204」に貯蔵された「在庫品目40」の向きが維持されていることを意味するから、本件発明7の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、申立2甲1発明2の「直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進」むことは、本件発明7の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、申立2甲1発明2の「可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される」ことは、「合体ヘッド204」から「在庫ホルダ30」を切り離すことで、「在庫ホルダ30」に保管された「在庫品目40」が「合体ヘッド204」から下ろされることを意味するから、「前記積載した物品を下ろ」すことの限りにおいて、本件発明7の「前記積載した物品を第2のコンベアに下ろ」すことと一致する。したがって、申立2甲1発明2の「第二場所」は、本件発明7の「荷下ろし場所」に相当する。
申立2甲1発明2の「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益をもたらし得る、在庫ホルダ30を輸送するためのシステム」は、「在庫品目40のための輸送回数の減少、電力使用の減少、輸送中の在庫ホルダ30のより洗練された制御、及び/又は、他の利益」をもたらすことによって、「在庫ホルダ30」を輸送するための技法を支援するものであるから(申立2甲第1号証の段落【0009】参照)、本件発明7の「自動倉庫からの前記物品の出荷又は入荷を支援することを特徴とする入出荷支援方法」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明7と申立2甲1発明2との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点7´】
「物品を保管する自動倉庫が、前記物品を出庫し、
前記物品を積載する積載部を有する無人搬送車が、
前記積載場所で前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろして、
前記自動倉庫からの前記物品の出荷又は入荷を支援する入出荷支援方法。」

【相違点7´−1】
「自動倉庫」に関し、本件発明7では、「第1のコンベアに前記物品を出庫し、前記第1のコンベアが、前記自動倉庫から出庫された前記物品を、積載場所まで搬送し」ているのに対し、申立2甲1発明2では、かかる構成を有していない点。

【相違点7´−2】
「走行領域」について、本件発明7では、「無軌道の走行領域」であるのに対し、申立2甲1発明2では、「二次元グリッド」を有するものの、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点7´−3】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明7では、「走行領域の床面に設置された」「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、申立2甲1発明2では、「作業空間内に配置される」「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点7´−4】
無人搬送車について、本件発明7では、「前記積載した物品を第2のコンベアに下ろ」すのに対し、申立2甲1発明2では、かかる構成を有していない点

(イ)判断
上記相違点7´−1について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記第4 3.(1)イに示したように、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められるものの、申立2甲1発明2において、自動在庫システム10の作業空間内にさらに自動倉庫やコンベアを設ける必要がないことは、上記イ(イ)に示したとおりである。
よって、申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証の存在を前提としても、申立2甲1発明2に対し、上記周知技術を採用し、上記相違点7´−1に係る本件発明7の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

(ウ)結論
したがって、上記相違点7´−2〜7´−4について検討するまでもなく、本件発明7は、申立2甲1発明2並びに申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ク 本件発明8について
(ア)対比
本件発明8と申立2甲1発明3とを対比する。
申立2甲1発明3の「在庫品目40」は、本件発明8の「物品」に相当し、申立2甲1発明3の「在庫ホルダ30と合体する合体ヘッド204」は、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明6の「物品を積載する積載部」に相当する。
申立2甲1発明3の「在庫品目40を貯蔵する在庫ホルダ30を移動する可動駆動ユニット2」は、「在庫ホルダ30」に貯蔵された「在庫品目40」を「移動する」ことを意味するから、本件発明8の「無人搬送車」に相当する。
申立2甲1発明3の「選択的な在庫ホルダ30の下にそれ自体を位置付けて合体ヘッド204を上昇することによって在庫ホルダ30と合体する合体プロセスを開始」することは、「在庫ホルダ30」が「在庫品目40を貯蔵する」ものであり、「在庫ホルダ30」が「合体ヘッド204」と合体することにより、「在庫ホルダ30」を介して「在庫品目40」を「合体ヘッド204」に積載することを意味するから、本件発明8の「前記積載部に前記物品を積載」することに相当する。したがって、申立2甲1発明3の「第一場所」は、本件発明8の「積載場所」に相当する。
申立2甲1発明3の「操縦を助ける基準地点として作業空間内に配置される基準マーク」は、「走行領域における位置情報が格納されているマーク」という限りにおいて、本件発明8の「無軌道の走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)」と一致する。
申立2甲1発明3の「二次元グリッド」は、「走行領域」の限りにおいて、本件発明8の「無軌道の走行領域」と一致する。
申立2甲1発明3の「合体ヘッド204」は、「在庫品目40を貯蔵」するものであり、申立2甲1発明3の「合体ヘッド204の向きを維持」することは、「合体ヘッド204」に貯蔵された「在庫品目40」の向きが維持されていることを意味するから、本件発明8の「積載した前記物品の向きを変えず」に相当し、申立2甲1発明3の「直線区間に沿う前方移動及び後方移動と90度回転を組み合わせ、第一場所から第二場所に在庫ホルダ30を輸送するために経路を弧状に進」むことは、本件発明8の「略90°単位で走行方向を変えて走行すること」に相当する。また、申立2甲1発明3の「可動駆動ユニット20が第二場所に到着した後、可動駆動ユニット20は、合体ヘッド204を下げて在庫ホルダ30から切り離される」ことは、「合体ヘッド204」から「在庫ホルダ30」を切り離すことで、「在庫ホルダ30」に保管された「在庫品目40」が「合体ヘッド204」から下ろされることを意味するから、本件発明8の「前記積載した物品を下ろ」すことに相当する。したがって、申立2甲1発明3の「第二場所」は、本件発明8の「荷下ろし場所」に相当する。

以上のとおりであるから、本件発明8と申立2甲1発明3との一致点及び相違点は、以下のとおりとなる。

【一致点8´】
「物品を積載する積載部を有する無人搬送車であって、
前記無人搬送車は、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているマークに基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を下ろす、無人搬送車。」

【相違点8´−1】
「走行領域」について、本件発明8では、「無軌道の走行領域」であるのに対し、申立2甲1発明3では、「二次元グリッド」を有するものの、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点8´−2】
走行領域における位置情報が格納されているマークについて、本件発明8では、「走行領域の床面に設置された」「バーコードまたはQRコード(登録商標)」を用いているのに対し、申立2甲1発明3では、「作業空間内に配置される」「基準マーク」を用いており、かかる構成を有しているか否かが不明である点。

【相違点8´−3】
無人搬送車について、本件発明8では、「前記荷下ろし場所で、前記荷下ろし場所のコンベアよりも前記積載部を高くした状態で、前記コンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、前記コンベアを介して前記物品は自動倉庫に入庫されて保管される」のに対し、申立2甲1発明3では、かかる構成を有していない点。

(イ)判断
事案に鑑み、上記相違点8´−3について検討する。
自動倉庫が、物品を保管し、コンベアを介して物品の入出庫を行い、コンベアから物品を取得して自動倉庫に入庫し、又は、自動倉庫から出庫された物品が、コンベアで積載場所まで搬送され、無人搬送車が積載場所にて物品を積載して走行することは、上記第4 3.(1)イに示したように、本件特許の原出願の出願時において周知技術であったと認められるものの、申立2甲1発明33の「無人搬送車」を備える申立2甲1発明3において、自動在庫システム10の作業空間内にさらに自動倉庫やコンベアを設ける必要がないことは、上記イ(イ)に示したとおりである。
よって、申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証の存在を前提としても、申立2甲1発明3に対し、上記周知技術を採用し、上記相違点8´−3に係る本件発明8の構成とすることは、当業者といえども容易に想到し得たことではない。

(ウ)結論
したがって、上記相違点8´−1〜8´−2について検討するまでもなく、本件発明8は、申立2甲1発明3並びに申立2甲第2号証〜申立2甲第10号証に記載された事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ケ 小括
以上のとおりであるから、本件発明1〜8は、申立2甲1発明を主引例として、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反していない。
よって、申立人2の進歩性についての申立理由は採用できない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1〜8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】入出荷支援システム、入出荷支援方法及び無人搬送車
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫から物品を入出荷する際における入出荷支援システム、入方法及び無人搬送車の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫に保管されている物品を、人手を介さずに入出庫するためのシステムが知られている。
このようなシステムにおいて、自動倉庫から出庫された物品を出荷場所まで搬送したり、入荷場所から自動倉庫の入庫位置まで搬送したりする搬送装置として、ループコンベア、ループ有軌道台車、ループ無軌道台車等が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、ある製造行程で処理されたカセットが、無人搬送車によって自動倉庫の工程内搬送移載口に運ばれる。その後、カセットは搬送ロボットにより、自動倉庫の上段に設けられた工程間搬送移載口にセットされると、天井搬送車にセットされ、天井搬送車によって次の製造工程に運ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−213526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ループコンベア、ループ有軌道台車、ループ無軌道台車を用いた搬送装置では、搬送方向を転回するための場所が必要である。このように、方向を転回する場所では、物品の授受ができないため、無駄なスペースが生じてしまう。
さらに、ループ内を多数の無人搬送車が走行するため、渋滞が起きやすく、また、1つの無人搬送車において、メンテナンスが必要となると、システム全体を停止させる必要が生じてしまい、作業が非効率的となってしまう。
特許文献1に記載の技術においても、無人搬送車はループ軌道を走行するので、前記した課題を有している。
【0006】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、効率的な入出荷支援システム、入出荷支援方法及び無人搬送車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するため、本発明は、物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され、前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、前記積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろすことを特徴とする。
その他の解決手段は実施形態中において適宜記載する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、効率的な入出荷支援システム、入出荷支援方法及び無人搬送車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態に係る入出荷支援システムの構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る入出荷支援システムのブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る無人搬送車の外観の例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【図5】第1実施形態に係る無人搬送車の機能ブロック図である。
【図6】第1実施形態に係る入出荷支援システムの動作概念図である。
【図7】第1実施形態に係る物品の積載及び荷下ろしの手法を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る入出荷支援システムの動作手順を示すフローチャート(その1)である。
【図9】第1実施形態に係る入出荷支援システムの動作手順を示すフローチャート(その2)である。
【図10】第1実施形態に係る集荷計画情報の例を示す図である。
【図11】本実施形態に対する比較例を示す図である。
【図12】第2実施形態に係る入出荷支援システムの構成を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る無人搬送車の外観の例を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る入出荷支援システムの動作概念図である。
【図15】第2実施形態に係る物品の積載及び荷下ろしの手法を示す図である。
【図16】第2実施形態に係るチェーンコンベアと、無人搬送車との関係を示す図である。
【図17】第2実施形態に係る入出荷支援システムの処理手順を示すフローチャート(その1)である。
【図18】第2実施形態に係る入出荷支援システムの処理手順を示すフローチャートで(その2)ある。
【図19】本実施形態に係る入出荷支援システムの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
(システム構成)
図1は、第1実施形態に係る入出荷支援システムの構成を示す図である。
入出荷支援システムZは、自動倉庫2、複数の無人搬送車1、入出荷コンベア3及び制御装置4(図2)を有する。
自動倉庫2は、物品9を保管しており、入出庫コンベア21を有している。自動倉庫2は、制御装置4からの指示に従って物品9を入出庫コンベア21に送りだしたり、入出庫コンベア21から入庫する物品9を取得したりする。本実施形態において、入出庫コンベア21はローラコンベア22を有しており、該ローラコンベア22は制御装置4からの指示によって動作したり、停止したりする。
【0012】
無人搬送車1は、無軌道の走行領域Z1を走行して、物品9を搬送する。走行領域Z1の床面は、図示しない格子に区切られており、各格子の中心には格子の位置情報が格納されているマーカ(不図示)が設置されている。無人搬送車1は、制御装置4から経路情報を受信すると、無人搬送車1の底面に備わっているカメラ103(図5)で、床面に設置されているマーカを読み取ることで、自身の現在位置を推定しつつ、経路情報に沿った走行を行う。無人搬送車1については後記して説明する。ここでは、マーカとしてバーコードが用いられるものとする。
【0013】
入出荷コンベア3は、無人搬送車1のステーションを兼ねており、無人搬送車1から受け取った物品9を入出荷支援システムZ外へ運び出す。入出荷コンベア3はローラコンベア31を有している。入出荷コンベア3の一方は、無人搬送車1が物品9を積載又は荷下ろしするために近接停車する場所となっている。そして、他方は、作業員等が物品9を入出荷コンベア3に積載したり、作業員が入出荷コンベア3から物品9を荷下ろししたりする場所となっている。
【0014】
なお、本実施形態では自動倉庫2(入出庫コンベア21)と、入出荷コンベア3とを適宜、積載コンベアC1、荷下ろしコンベアC2と記載する。
すなわち、自動倉庫2に物品9を入庫する場合、物品9は、入出荷コンベア3で搬送された後、無人搬送車1に積載され、その後入出庫コンベア21に荷下ろしされ、自動倉庫2に入庫される。この場合、入出荷コンベア3が積載コンベアC1であり、入出庫コンベア21が荷下ろしコンベアC2となる。
逆に、自動倉庫2から物品9が出庫される場合、物品9は、自動倉庫2から出庫された後、入出庫コンベア21で搬送される。そして、物品9は無人搬送車1に積載された後、入出荷コンベア3に荷下ろしされる。この場合、入出庫コンベア21が積載コンベアC1であり、入出荷コンベア3が荷下ろしコンベアC2となる。
また、入出庫コンベア21のローラコンベア22及び入出荷コンベア3のローラコンベア31を、ローラコンベアC11と適宜記載する。
【0015】
(システムブロック図)
図2は、第1実施形態に係る入出荷支援システムのブロック図である。
入出荷支援システムZは、制御装置4、自動倉庫コントローラ6、自動倉庫2、コンベアコントローラ7、入出荷コンベア3、無人搬送車コントローラ8、複数の無人搬送車1等を有している。
制御装置4は、自動倉庫コントローラ6や、コンベアコントローラ7や、無人搬送車コントローラ8を介して、自動倉庫2や、入出荷コンベア3、無人搬送車1の制御を行う。また、制御装置4には、クライアント端末5が接続されており、物品9の入出荷に関する情報等がクライアント端末5を介して、制御装置4に入力される。
【0016】
自動倉庫2には、前記したように、入出庫コンベア21が備わっており、自動倉庫2から出庫又は入庫される物品9(図1)は入出庫コンベア21を介して、無人搬送車1に積載又は無人搬送車1から荷下ろしされる。また、自動倉庫2は、自動倉庫コントローラ6を介して制御装置4から指示を受信し、受信した指示に基づいて物品9の入出庫を行う。
【0017】
入出荷コンベア3は、自動倉庫2へ入庫される物品9や、自動倉庫2から出庫される物品9が、入出荷支援システムZの外部から運ばれてくるコンベアである。前記したように、入出荷コンベア3の一方は、無人搬送車1が物品9を積載又は荷下ろしするために近接停車する場所である。また、他方は、作業員等が物品9を入出荷コンベア3に積載したり、作業員が入出荷コンベア3から物品9を荷下ろししたりする場所となっている。
【0018】
無人搬送車1は、無人搬送車コントローラ8を介して、制御装置4から経路情報等を受信し、受信した経路情報に基づいて目的地まで自走する。また、無人搬送車1は、目的地に到着したか否か、物品9の積載や荷下ろしが完了したか否かといった情報を、無人搬送車コントローラ8を介して制御装置4へ送信している。
【0019】
無人搬送車1の詳細については、後記する。なお、無人搬送車コントローラ8と、無人搬送車1とは無線による通信が行われる。また、制御装置4と自動倉庫コントローラ6との間、自動倉庫コントローラ6と自動倉庫2との間、制御装置4とコンベアコントローラ7との間、コンベアコントローラ7と入出荷コンベア3との間は、有線による通信でも、無線による通信でもよい。
なお、自動倉庫コントローラ6、コンベアコントローラ7、無人搬送車コントローラ8は省略可能である。この場合、制御装置4と、自動倉庫2、入出荷コンベア3、無人搬送車1とが、直接通信を行う。
【0020】
(無人搬送車の外観)
図3は、第1実施形態に係る無人搬送車の外観の例を示す図である。
図3に示すように、無人搬送車1は本体装置11と積載装置(積載部)12とを有している。本体装置11の下部には、駆動輪105(図5)が備えられており、走行しつつ、走行方向を変えることが可能である。無人搬送車1の方向転回は、例えば、左右の駆動輪105のうち、一方の駆動輪105が他方の駆動輪105に対して逆向きに回転する等して行われる。また、本体装置11の底面にはカメラ103(図5)が備えられている。前記したように走行領域Z1(図1)の床面は、格子状に区切られており、各格子の中央には格子の位置情報が格納されているバーコード(不図示)が設置されている。無人搬送車1は、本体装置11底面のカメラ103で、床面に設置されているバーコードを読み取ることで、自身の現在位置を推定する。
なお、無人搬送車1は、基本的に+90°、±180°又は−90°に回転することが可能であるが、それ以外の角度に回転してもよい。ちなみに、ここでは無人搬送車1を上からみて時計まわりを「+」、反時計まわりを「−」としている。
【0021】
積載装置12は、物品9(図1)を載置するための装置である。本体装置11は、積載装置12とは独立に方向を変えることができる(符号D11)。このようにすることで、積載装置12の方向はそのままで、本体装置11のみ走行方向を変えることができる。
【0022】
本実施形態では、図3に示されているように、積載装置12にローラコンベア14が備えられている。
ローラコンベア14の積載・荷下ろし口には、ストッパ13が設置されている。無人搬送車1に設置されているローラコンベア14に物品9が積載される際には、積載側、すなわち、物品9が運ばれてくる側(物品9が移動してくる側)のストッパ13が下降する。同様に、無人搬送車1に設置されているローラコンベア14から物品9が荷下ろしされる際には、荷下ろし側、すなわち物品9が運び出される側(物品9が移動していく側)のストッパ13が下降する。それ以外の場合、ストッパ13は図3に示すような状態となっている。
このようなストッパ13を備えることで、無人搬送車1の走行中に物品9がローラコンベア14から落下するのを防いだり、ローラコンベア14への物品9の積載中に、積載側の反対側から物品9が落下したりするのを防ぐことができる。
【0023】
(制御装置の機能ブロック図)
図4は、第1実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
制御装置4は、例えばPC(Personal Computer)等であり、RAM(Random Access memory)等のメモリ401、CPU(Central Processing Unit)402、HD(Hard Disk)等の記憶装置403、送受信装置404を有している。
送受信装置404は、無人搬送車コントローラ8を介して無人搬送車1と情報の送受信を行ったり、自動倉庫コントローラ6を介して自動倉庫2と情報の送受信を行ったり、庫ベアコントローラ7を介して入出荷コンベア3と情報の送受信を行ったりする。また、送受信装置404はクライアント端末5から入力された情報を受け付ける。
そして、記憶装置403に格納されているプログラムがメモリ401に展開され、CPU402によって実行されることで、処理部410や、処理部410を構成する搬送計画部411、移動制御部412、搬入出制御部413が具現化している。
また、記憶装置403には、搬送が行われる物品9(図1)に関する情報が格納されている集荷計画情報431が格納されている。集荷計画情報431は後記して説明する。
【0024】
搬送計画部411は集荷計画情報431を生成する。
移動制御部412は、無人搬送車1が移動する経路の情報である経路情報を生成し、無人搬送車コントローラ8を介して、無人搬送車1へ送信する。
搬入出制御部413は、自動倉庫2の入出庫コンベア21や、入出荷コンベア3を、自動倉庫コントローラ6や、コンベアコントローラ7を介して、作動させたり、停止させたりする。また、集荷計画情報431に基づいて、自動倉庫2に物品9の出庫や、入庫を指示する。
【0025】
(無人搬送車の機能ブロック図)
図5は、第1実施形態に係る無人搬送車の機能ブロック図である。
無人搬送車1は、ROM(Read Only memory)等のメモリ101、CPU102、送受信装置106等を有している。
【0026】
また、無人搬送車1は、カメラ103、自在輪104、駆動輪105、積載装置12を有している。
カメラ103は、前記したように、無人搬送車1の本体装置11(図3)の底面中央に備えられており、走行領域Z1(図1)の床面に設置されているバーコードを読み取る。
自在輪104は、無人搬送車1の走行や、方向転回を補助するための車輪であり、処理部110による制御が行われないものである。自在輪104は、例えば、無人搬送車1の進行方向を前とした場合、前部に1対、後部に1対の計4つ備えられたり、前後に1対ずつ備えられていたりするものである。
駆動輪105は、無人搬送車1を前進、後進又は方向転回させるための車輪である。駆動輪105は、例えば、無人搬送車1の左右に1対備えられるものである。前記したように、例えば無人搬送車1の方向転回は、左右の駆動輪105のうち、一方の駆動輪105が他方の駆動輪105に対して逆向きに回転する等して行われる。
積載装置12は図3において説明済みであるので、ここでの説明を省略する。
【0027】
送受信装置106は、無人搬送車コントローラ8を介して制御装置4と情報の送受信を行う。
そして、メモリ101に格納されているプログラムが、CPU102によって実行されることで、処理部110や、処理部110を構成する信号制御部111、走行制御部112、積載装置制御部113が具現化している。
【0028】
信号制御部111は、目的地に到着した際の到着通知や、積載が完了した旨の通知である積載完了通知、荷下ろしが完了した旨の通知である荷下ろし完了通知等を、無人搬送車コントローラ8を介して、制御装置4へ送信する。
走行制御部112は、走行領域Z1の床面に設置されているバーコードを無人搬送車1の底面に設置されているカメラ103で読み取ると、読み取ったバーコードから自身の現在位置を推定する。そして、走行制御部112は、推定した現在位置と、制御装置4から送信された経路情報とを基に目的地まで走行する。
積載装置制御部113は、積載装置12におけるローラコンベア14の回転や、ストッパ13の上昇、下降等を行う。
【0029】
(システム動作図)
次に、図6を参照して、本実施形態に係る入出荷支援システムの動作概念図を説明する。
自動倉庫2(図1)から入出庫コンベア21に物品9が出庫されると、入出庫コンベア21のローラコンベア22が回転することによって物品9が積載場所まで運ばれる。そして、予め出庫が行われる入出庫コンベア21に近接して停車している無人搬送車1の積載装置12(ローラコンベア14:図3)に物品9が積載される。なお、図6において、無人搬送車1上の矢印は無人搬送車1の進行方向を示している。
物品9を積載した無人搬送車1は、符号W11〜W13に示すように、90°単位で方向を変えながら走行領域Z1を走行して、制御装置4から指定された入出荷コンベア3まで走行する。このとき、できる限り最短ルートで入出荷コンベア3にたどり着くよう走行する。
【0030】
入出荷コンベア3に到着した無人搬送車1は、入出荷コンベア3に近接して停車し、積載装置12はローラコンベア14を回転するとともに、荷下ろし側のストッパ13(図3)を下降させる。また、入出荷コンベア3のローラコンベア31も回転を始める。すると、無人搬送車1の積載装置12上の物品9が、積載装置12(図12)から入出荷コンベア3へと移動していく。
【0031】
また、自動倉庫2への入庫が行われる場合、入出荷コンベア3に物品9が運ばれてくると、予め入出荷コンベア3に近接して停車している無人搬送車1はローラコンベア14を回転するとともに、積載側のストッパ13を下降させる。これとともに、入出荷コンベア3のローラコンベア31が回転することによって、物品9が無人搬送車1の積載装置12に積載される。
物品9を積載した無人搬送車1は、90°単位で方向を変えながら走行領域Z1を走行して、制御装置4から指定された自動倉庫2の入出庫コンベア21まで走行する。このとき、できる限り最短ルートで入出庫コンベア21にたどり着くよう走行する。
入出庫コンベア21に到着した無人搬送車1は、入出庫コンベア21に近接して停車し、積載装置12のローラコンベア14を回転させるとともに、荷下ろし側のストッパ13を下降させる。また、入出庫コンベア21のローラコンベア22も回転を始める。すると、無人搬送車1の積載装置12上の物品9が、積載装置12から入出庫コンベア21へと移動していく。
【0032】
つまり、積載場所W1で入出庫コンベア21A(21)から物品9を積載した無人搬送車1は、制御装置4(図2)から送信された経路W2に沿って荷下ろし場所W3まで走行する。荷下ろし場所W3に到着した無人搬送車1は入出荷コンベア3A(3)上に物品9を荷下ろしする。ちなみに、経路W2に沿って無人搬送車1が走行する場合、入出庫コンベア21Aが積載コンベアC1となり、入出荷コンベア3Aが荷下ろしコンベアC2となる。
【0033】
また、積載場所W6で入出荷コンベア3B(3)から物品9を積載した無人搬送車1は、制御装置4(図2)から送信された経路W7に沿って荷下ろし場所W8まで走行する。荷下ろし場所W8に到着した無人搬送車1は入出庫コンベア21B(21)上に物品9を荷下ろしする。ちなみに、経路W7に沿って無人搬送車1が走行する場合、入出荷コンベア3Bが積載コンベアC1となり、入出庫コンベア21Bが荷下ろしコンベアC2となる。
【0034】
このようにすることで、物品9は最短ルートで自動倉庫2の入出庫コンベア21から入出荷コンベア3まで運ばれる。
なお、図6における符号W22,W23については後記する。
【0035】
(積載及び荷下ろし)
図7は、第1実施形態に係る物品の積載及び荷下ろしの手法を示す図である。
図7(a)は、物品9の積載時の動作を示す図である。
図7(a)に示すように、無人搬送車1が積載コンベアC1に近接して停車すると、積載側(積載コンベアC1側)のストッパ13a(13)が下降し、無人搬送車1のローラコンベア14が回転するとともに、積載コンベアC1のローラコンベアC11も回転する。これにより、物品9は積載コンベアC1から無人搬送車1の積載装置12(ローラコンベア14)に積載される。
なお、積載コンベアC1は、前記したように自動倉庫2に物品9を入庫する場合、入出荷コンベア3であり、自動倉庫2から物品9を出庫する場合、入出庫コンベア21である。
【0036】
図7(b)は、物品9の荷下ろし時の動作を示す図である。
図7(b)に示すように、無人搬送車1が荷下ろしコンベアC2に近接して停車すると、荷下ろし側(荷下ろしコンベアC2側)のストッパ13b(13)が下降し、無人搬送車1のローラコンベア14が回転するとともに、荷下ろしコンベアC2のローラコンベアC11も回転する。これにより、物品9は無人搬送車1の積載装置12(ローラコンベア14)から、荷下ろしコンベアC2に荷下ろしされる。
なお、荷下ろしコンベアC2は、前記したように自動倉庫2に物品9を入庫する場合、入出庫コンベア21であり、自動倉庫2から物品9を出庫する場合、入出荷コンベア3である。
【0037】
(フローチャート)
図8及び図9は、第1実施形態に係る入出荷支援システムの動作手順を示すフローチャートである。適宜、図1〜図5を参照する。図8及び図9では、1台の無人搬送車1に注目した処理を示すが、実際には、図8及び図9に示す処理が無人搬送車1毎に行われている。
まず、制御装置4の搬送計画部411が、入力された集荷情報を基に集荷計画情報431を生成する(図8のS101)。ステップS101の処理は、例えば、図示しないクライアント端末5を介して管理者が制御装置4に入力した情報を基に、制御装置4の搬送計画部411が、空いている無人搬送車1や、空いている積載コンベアC1及び荷下ろしコンベアC2を検索して生成する。
【0038】
(集荷計画情報)
図10は、第1実施形態に係る集荷計画情報の例を示す図である。
集荷計画情報には、「物品ID(Identification)」、「積載」、「荷下ろし」、「無人搬送車ID」等の各情報が格納されている。
「物品ID」とは、搬送の対象となる物品9に割り振られているIDである。物品IDは、クライアント端末5を介して、物品9に関する情報が入力されると、制御装置4によって割り振られるIDである。
「積載」には、無人搬送車1への積載が行われる位置に関する情報が格納されている。
「荷下ろし」には、無人搬送車1からの荷下ろしが行われる位置に関する情報が格納されている。
「無人搬送車ID」には、物品9を搬送する無人搬送車1のIDが格納されている。
【0039】
例えば、物品ID「F1005」は、無人搬送車ID「AGV03」の無人搬送車1によって「A03」の位置で積載され、搬送され、「E04」で荷下ろしされる。
ちなみに、物品ID「F2032」、「F3051」のレコードにおいて、「積載」、「荷下ろし」、「無人搬送車ID」の欄が空欄であるが、これらの物品9については、まだ入出庫の計画がなされていないことを示している。
【0040】
図8の説明に戻り、制御装置4の移動制御部412は、無人搬送車1の現在位置を基に、積載場所までの経路情報を生成し(S102)、生成した経路情報を、無人搬送車コントローラ8を介して、処理対象となる無人搬送車1へ送信する(S103)。
【0041】
ちなみに、制御装置4は処理対象となる無人搬送車1の現在位置を、例えば、以下の手順で取得する。制御装置4の移動制御部412が、無人搬送車コントローラ8を介して、無人搬送車1に位置通知要求を送信する。位置通知要求を受信した無人搬送車1の信号制御部111は、自身の位置に関する情報を、無人搬送車コントローラ8を介して送信する。無人搬送車1自身の位置は、床面に設置されているバーコードを、無人搬送車1底面に設置されているカメラ103で読み取ることにより取得する。
【0042】
経路情報を受信した無人搬送車1の走行制御部112は、走行領域Z1の床面に設置されているバーコードを基に無人搬送車1自身の位置を推定し、指定された積載場所まで移動する(S201)。
そして、無人搬送車1の走行制御部112は、走行領域Z1の床面に設置されているバーコードを基に、目的地である積載場所に到着したか否かを判定する(S202)。
ステップS202の結果、到着していない場合(S202→No)、無人搬送車1の走行制御部112はステップS201の移動を行う。
【0043】
ステップS202の結果、到着している場合(S202→Yes)、無人搬送車1の信号制御部111は、積載場所に到着した旨の情報(到着通知)を、無人搬送車コントローラ8を介して制御装置4へ送信する(S203)。その後、無人搬送車1の積載装置制御部113が、積載コンベアC1側のストッパ13を下降させ(S204)、積載装置12に備えられているローラコンベア14を回転させる(S205)。このとき、無人搬送車1のローラコンベア14と、積載コンベアC1のローラコンベアC11とが接するように、走行制御部112は無人搬送車1を停車させる。
【0044】
一方、無人搬送車1から到着通知を受信した制御装置4の搬入出制御部413は、積載コンベアコントローラを介して、積載コンベアC1にローラコンベアC11の回転を指示する(S104)。積載コンベアコントローラとは、自動倉庫2から物品9が出庫される場合では自動倉庫コントローラ6であり、自動倉庫2へ物品9が入庫される場合ではコンベアコントローラ7である。
ローラコンベアC11の回転を指示された積載コンベアC1は、ローラコンベアC11を回転させる(S301)。このとき、積載コンベアC1が自動倉庫2の入出庫コンベア21である場合、制御装置4の搬入出制御部413は集荷計画情報431を基に、物品9の出庫を指示し、自動倉庫2は指示された物品9の出庫を行う。
【0045】
これにより、積載コンベアC1から無人搬送車1への物品9の積載が行われる。
無人搬送車1の積載装置制御部113は、物品9の積載が完了したか否かを判定している(S206)。積載が完了したか否かは、例えば、単位時間における積載装置12にかかる重量の変化を積載装置制御部113が監視すること等で行われる。この場合、単位時間内に積載装置12にかかる重量が変化(増加)していれば、積載装置制御部113は積載が完了していないと判定し、積載装置12にかかる重量が単位時間変化しなければ、積載装置制御部113は積載が完了したと判定する。
【0046】
ステップS206の結果、物品9の積載が完了していない場合(S206→No)、積載装置制御部113はステップS205へ処理を戻す。
ステップS206の結果、物品9の積載が完了している場合(S206→Yes)、無人搬送車1の信号制御部111は、積載が完了した旨の通知(積載完了通知)を、無人搬送車コントローラ8を介して制御装置4へ送信する(S207)。
そして、無人搬送車1の積載装置制御部113は、積載装置12のローラコンベア14を停止させ(S208)、下降させていたストッパ13を上昇させる(S209)。
【0047】
一方、無人搬送車1から積載完了通知を受信した制御装置4の搬入出制御部413は、積載コンベアコントローラを介して、積載コンベアC1にローラコンベアC11の停止を指示する(S105)。
ローラコンベアC11の停止を指示された積載コンベアC1は、ローラコンベアC11を停止させる(S302)。
【0048】
制御装置4の移動制御部412は、処理対象となっている無人搬送車1の現在位置(積載場所の位置)を基に、荷下ろし場所までの経路情報を生成し(図9のS121)、生成した経路情報を、無人搬送車コントローラ8を介して、処理対象となる無人搬送車1へ送信する(S122)。
【0049】
経路情報を受信した無人搬送車1の走行制御部112は、走行領域Z1の床面に設置されているバーコードを基に無人搬送車1自身の位置を推定し、指定された荷下ろし場所まで移動する(S221)。
そして、無人搬送車1の走行制御部112は、走行領域Z1の床面に設置されているバーコードを基に、目的地である荷下ろし場所に到着したか否かを判定する(S222)。
ステップS222の結果、到着していない場合(S222→No)、無人搬送車1の走行制御部112はステップS221の移動を行う。
【0050】
ステップS222の結果、到着している場合(S222→Yes)、無人搬送車1の信号制御部111は、荷下ろし場所に到着した旨の情報(到着通知)を、無人搬送車コントローラ8を介して制御装置4へ送信する(S223)。その後、無人搬送車1の積載装置制御部113が、荷下ろしコンベアC2側のストッパ13を下降させ(S224)、積載装置12に備えられているローラコンベア14を回転させる(S225)。このとき、無人搬送車1のローラコンベア14と、荷下ろしコンベアC2のローラコンベアC11とが接するように、走行制御部112は無人搬送車1を停車させる。
【0051】
一方、無人搬送車1から到着通知を受信した制御装置4の搬入出制御部413は、荷下ろしコンベアコントローラを介して、荷下ろしコンベアC2にローラコンベアC11の回転を指示する(S123)。荷下ろしコンベアコントローラとは、自動倉庫2から物品9が出庫される場合ではコンベアコントローラ7であり、自動倉庫2へ物品9が入庫される場合では自動倉庫コントローラ6である。
ローラコンベアC11の回転を指示された荷下ろしコンベアC2は、ローラコンベアC11を回転させる(S321)。
【0052】
これにより、無人搬送車1から荷下ろしコンベアC2への物品9の荷下ろしが行われる。
無人搬送車1の積載装置制御部113は、物品9の荷下ろしが完了したか否かを判定している(S226)。荷下ろしが完了したか否かは、例えば、単位時間における積載装置12にかかる重量の変化を積載装置制御部113が監視すること等で行われる。この場合、単位時間内に積載装置12にかかる重量が変化(減少)していれば、積載装置制御部113は荷下ろしが完了していないと判定し、積載装置12にかかる重量が一定時間変化しなければ、積載装置制御部113は荷下ろしが完了したと判定する。
【0053】
ステップS226の結果、物品9の荷下ろしが完了していない場合(S226→No)、積載装置制御部113はステップS225へ処理を戻す。
ステップS226の結果、物品9の荷下ろしが完了している場合(S226→Yes)、無人搬送車1の信号制御部111は、荷下ろしが完了した旨の通知(荷下ろし完了通知)を、無人搬送車コントローラ8を介して制御装置4へ送信する(S227)。
そして、無人搬送車1の積載装置制御部113は、積載装置12のローラコンベア14を停止させ(S228)、下降させていたストッパ13を上昇させる(S229)。
【0054】
その後、無人搬送車1の走行制御部112は、所定の待機場所等へ無人搬送車1自身を移動させる。なお、所定の待機場所を指定せず、無人搬送車1の走行制御部112は、他の無人搬送車1と回避しつつ、走行領域Z1を走行して、次の指示を待機するようにしてもよい。
【0055】
(第1実施形態のまとめ)
図11は、本実施形態に対する比較例を示す図である。
比較例における自動出荷システムZbでは、ループ状の軌道(ループ軌道R)上を無人搬送車1等が周回することで、物品9の入出庫を行っている。
このようなループ軌道R上を無人搬送車1が走行する入出荷支援システムZbでは、符号W21で示されるように、無人搬送車1の方向を転回する箇所が必要となる。このような場所では、積載場所や、荷下ろし場所を設置することができないので、冗長な箇所が生じ、無人搬送車1が走行する走行領域Z1を広くする必要がある。そのため、建屋を大きくする必要がある。
これに対し、本実施形態の入出荷支援システムZによれば、図6に示すように、軌道を必要としないため、比較例の技術のような冗長な箇所が生じることがなく、比較例と比べて走行領域Z1を小さくすることができ、建屋を小さくすることができる。すなわち、省スペース化を図ることができる。
【0056】
また、比較例の入出荷支援システムZbは、軌道上を無人搬送車1等が走行するため、符号W21で示されるように、無人搬送車1の方向を転回する場所の半径を大きくとる必要がある。
これに対し、本実施形態の入出荷支援システムZでは、図3で前記したように積載装置12の方向はそのままで、本体装置11のみの方向を変えることができるので、図6の符号W11〜W13のように方向転回のための半径を極めて小さくすることができる。
特に、本実施形態のように、左右の駆動輪105のうち、一方の駆動輪105が他方の駆動輪105に対して逆向きに回転することで方向転回を行うことで、無人搬送車1はスピンターンを行うことができ、方向転回のための半径を極めて小さくすることができる。
【0057】
また、比較例の入出荷支援システムZbでは、物品9を積載した無人搬送車1はループ軌道Rに沿って周回することしかできない。そのため、例えば、符号W22で積載し、符号W23で荷下ろしをする場合、ループ軌道Rに沿って符号W22から符号W23まで移動するため、無人搬送車1は遠回りをする必要がある。
これに対し、本実施形態の入出荷支援システムZでは、図6に示すように、最短距離で符号W22から符号W23まで到達することができる。
【0058】
さらに、比較例の入出荷支援システムZbでは、同時に搬送できる量は限られているが、本実施形態によれば、比較例の技術と比べて格段に多くの搬送を同時に行うことができる。
つまり、比較例の入出荷支援システムZbでは、前記したように冗長な経路を介して物品9を搬送する。これに対し、本実施形態の入出荷支援システムZでは、最短距離で物品9を搬送することができるため、結果として比較例の入出荷支援システムZbと比べて、多くの物品9を搬送することができる。
【0059】
また、比較例の入出荷支援システムZbでは、ループを走行している無人搬送車1に故障が生じたり、メンテナンスが必要になったり、無人搬送車1を追加する必要が生じたりすると、走行している無人搬送車1のすべてを停止させる必要がある。そして、多くの場合、復旧するまで、無人搬送車1の走行を再開することができない。
これに対して、本実施形態の入出荷支援システムZでは、無人搬送車1を走行させた状態のまま、必要な無人搬送車1のみを取り除いたり、無人搬送車1を追加したりすることができるので、作業を大幅に効率化することができる。
【0060】
さらに、比較例の入出荷支援システムZbでは、ある入出荷コンベア3や、入出庫コンベア21に不具合が生じて、積載や、荷下ろしの作業が遅くなった場合、渋滞が生じる可能性がある。
これに対し、本実施形態の入出荷支援システムZでは、不具合が生じた入出荷コンベア3や、入出庫コンベア21のみの積載、荷下ろしが影響を受け、その他の積載、荷下ろしの作業には影響しないため、渋滞が生じるおそれがない。
【0061】
また、比較例の入出荷支援システムZbでは、無人搬送車1に不具合が生じて、走行速度が落ちた場合、渋滞が生じてしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態の入出荷支援システムZでは、不具合が生じた無人搬送車1のみを走行領域Z1から外せばよいので、無人搬送車1に不具合が生じて、走行速度が落ちた場合でも渋滞が生じるおそれがない。
【0062】
そして、比較例の入出荷支援システムZbでは、ループ軌道Rがあるため、レイアウトを大幅に変更することができない。
これに対し、本実施形態の入出荷支援システムZでは、積載場所や、荷下ろし場所の一部を突出させたり、引っ込めたりすることによる走行領域Z1の変形が容易にできる。例えば、走行領域Z1の形状が変化しても、新たに加わった床面にバーコードを設置したり、使用されなくなった床面のバーコードを経路情報生成の際に使用禁止したりすることで、レイアウトの変更に対して容易に対処できる。
【0063】
また、既にループ軌道Rによる入出荷支援システムZbが設置されている場合、ループ軌道Rの部分を床面による走行領域Z1とすることで、本実施形態に係る入出荷支援システムZに改変することが容易にできる。
【0064】
また、比較例の入出荷支援システムZbでは、物品9の搬送量が多いときでも、少ないときでも動作する無人搬送車1の台数が決められているので、搬送が滞ったり、逆に搬送を行っていない無人搬送車1が生じたりすることがある。
これに対し、本実施形態の入出荷支援システムZによれば、搬送量に応じて動作する無人搬送車1の数を調整することができる。
【0065】
このように、本実施形態に係る入出荷支援システムZによれば、効率的な物品9の搬送を可能にすることができる。
【0066】
[第2実施形態]
(システム構成)
図12は、第2実施形態に係る入出荷支援システムの構成を示す図である。
第2実施形態に係る入出荷支援システムZaが、図1に示す入出荷支援システムZと異なる点は、自動倉庫2に備えられている入出庫コンベア21aがローラコンベアではなく、両側に1対のベルトを有するチェーンコンベア22aとなっている点である。また、入出荷コンベア3aにおけるコンベアがローラコンベアではなく、チェーンコンベア31aとなっている点も、図1の入出荷支援システムZと異なる点である。
また、無人搬送車1aの積載装置が第1実施形態のようにローラコンベア14(図3)を有していない点も、図1に示す入出荷支援システムとは異なる点である。無人搬送車1aについては後記して説明する。
【0067】
なお、本実施形態では自動倉庫2(入出庫コンベア21a)と、入出荷コンベア3aとを適宜、積載コンベアC1、荷下ろしコンベアC2と適宜記載する。
すなわち、自動倉庫2に物品9を入庫する場合、物品9は、入出荷コンベア3aに搬送された後、無人搬送車1に積載され、その後入出庫コンベア21aに荷下ろしされた後、自動倉庫2に入庫される。この場合、入出荷コンベア3aが積載コンベアC1であり、入出庫コンベア21aが荷下ろしコンベアC2となる。
逆に、自動倉庫2から物品9が出庫される場合、物品9は、自動倉庫2から出庫された後、入出庫コンベア21aに搬送される。そして、無人搬送車1に積載された後、入出荷コンベア3aに荷下ろしされる。この場合、入出庫コンベア21aが積載コンベアC1であり、入出荷コンベア3aが荷下ろしコンベアC2となる。
また、入出庫コンベア21aのチェーンコンベア22a、入出荷コンベア3aのチェーンコンベア31aを、チェーンコンベアC11aと適宜記載する。
【0068】
(無人搬送車の外観)
図13は、第2実施形態に係る無人搬送車の外観の例を示す図である。
第2実施形態では、無人搬送車1aはローラコンベア14(図3)を備えていない。
なお、第2実施形態に係る無人搬送車1aにおいて積載装置12aは昇降(符号D21)が可能である。また、図3に示す無人搬送車1と同様、無人搬送車1aにおいて、本体装置11は、積載装置12aに対して独立に回転可能である(符号D22)。
また、図13の例では、本体装置11の底面中央に備えられているカメラ103(図5)とは別に、積載装置12aの上面中央にカメラ103aが設置されている。このカメラ103aの機能については後記して説明する。
その他の構成は、図3に示す無人搬送車1と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0069】
なお、入出荷支援システムZaのシステムブロック図は入出庫コンベア21が入出庫コンベア21aになったこと、入出荷コンベア3が入出荷コンベア3aになったこと、無人搬送車1が無人搬送車1aになったこと以外は図2と同様であるので、ここでの図示及び説明を省略する。
また、制御装置4の機能ブロック図は図4と同様であるので、ここでの図示及び説明を省略する。
さらに、無人搬送車1aの機能ブロック図は、積載装置12が積載装置12aになったこと、カメラ103aが加わったこと以外は、図5と同様であるので、ここでの図示及び説明を省略する。
【0070】
(システム動作図)
次に、図14を参照して、本実施形態に係る入出荷支援システムの動作概念図を説明する。
図14における動作について、図6で示す動作と同様の点は説明を省略し、異なる点のみを説明する。
図6に示す第1実施形態において、無人搬送車1は、入出庫コンベア21や、入出荷コンベア3に近接して物品9の積載、荷下ろしを行うが、図14に示す第2実施形態では、入出庫コンベア21aや、積載場所あるいは荷下ろし場所に到着した無人搬送車1aは、入出庫コンベア21aや、入出荷コンベア3aのチェーンコンベア22a,31aの下に潜り込む(W31)ことで、物品の積載あるいは荷下ろしを行う。以下、このことを説明する。
図14における無人搬送車1aの動作は、図6と同様であるので、図6と同様の符号を付し、ここでは説明を省略する。
【0071】
ちなみに、経路W41に沿って無人搬送車1aが走行する場合、入出庫コンベア21aAが積載コンベアC1となり、入出荷コンベア3aAが荷下ろしコンベアC2となる。同様に、経路W42に沿って無人搬送車1aが走行する場合、入出荷コンベア3aBが積載コンベアC1となり、入出庫コンベア21aBが荷下ろしコンベアC2となる。
【0072】
(積載及び荷下ろし)
図15は、第2実施形態に係る物品の積載及び荷下ろしの手法を示す図である。
図15(a)に示すように、無人搬送車1aが積載コンベアC1に到着すると、無人搬送車1aは積載コンベアC1の下に潜り込む。そして、無人搬送車1aは積載装置12aを上昇させることで、物品9を積載装置12aに積載する。
同様に、図15(a)に示すように、物品9を積載している無人搬送車1aが荷下ろしコンベアC2に到着すると、無人搬送車1aは荷下ろしコンベアC2の下に潜り込む。そして、無人搬送車1aは積載装置12aを下降させることで、物品9を積載装置12aから荷下ろしする。
【0073】
なお、積載コンベアC1は、前記したように自動倉庫2に物品9を入庫する場合、入出荷コンベア3aであり、自動倉庫2から物品9を出庫する場合、入出庫コンベア21aである。
同様に、荷下ろしコンベアC2は、前記したように自動倉庫2に物品9を入庫する場合、入出庫コンベア21aであり、自動倉庫2から物品9を出庫する場合、入出荷コンベア3aである。
【0074】
図16は、第2実施形態に係るチェーンコンベアと、無人搬送車との関係を示す図である。
図16は、図15(a)の矢印A側からみた図である。
図16に示すように、無人搬送車1aの本体装置11の高さはチェーンコンベアC11aより低くなっており、無人搬送車1aがチェーンコンベアC11aの下に潜り込めるようになっている。
そして、無人搬送車1aの積載装置12aの幅は、2本のチェーンコンベアC11aの幅よりも狭くなっている。また、図16(a)に示すように、積載装置12aが上昇している状態では、積載装置12aの上面がチェーンコンベアC11aより高くなり、図16(b)に示すように積載装置12aが下降している状態では、積載装置12aの上面がチェーンコンベアC11aより低くなるようになっている。そして、物品9の幅がチェーンコンベアC11a内側の幅よりも広くなるようにすることで、図16(a)に示すように、積載装置12aを上昇させるとチェーンコンベアC11a上の物品9を積載装置12aに積載できる。同様に、物品9が積載装置12aに積載されている状態で、積載装置12aを下降させると、図16(b)に示すように、物品9をチェーンコンベアC11aに載置することができる。
【0075】
従って、図15(a)に示すように、無人搬送車1aへの物品9の積載時では、無人搬送車1aが、物品9を積載しているチェーンコンベアC11aの下に潜り込んで、積載装置12aを、チェーンコンベアC11aの高さ以上をなるよう上昇させると、物品9が積載装置12aに積載される。
【0076】
また、図15(b)に示すように、無人搬送車1aからの物品9の荷下ろし時では、物品9を積載している無人搬送車1aがチェーンコンベアC11aの下に潜り込んで、積載装置12aを、チェーコンベアC11aの高さ以下になるよう下降させると、物品9のみがチェーンコンベアC11aに載置される。チェーンコンベアC11aが作動すれば、チェーンコンベアC11aに載置された物品9はチェーンコンベアC11a上を搬送されていく。
【0077】
(フローチャート)
図17及び図18は、第2実施形態に係る入出荷支援システムの処理手順を示すフローチャートである。適宜、図1、図2、図4、図5、図13を参照する。図17及び図18では、1台の無人搬送車1aに注目した処理を示すが、実際には、図17及び図18に示す処理が無人搬送車1a毎に行われている。
制御装置4における図17のステップS151〜S153及び無人搬送車1aにおける図17のステップS251〜S253は、図8におけるステップS101〜S103及びステップS201〜S203と同様の処理であるので、ここでは説明を省略する。
【0078】
無人搬送車1aから到着通知を受信した制御装置4の搬入出制御部413は、積載コンベアコントローラを介して、積載コンベアC1にチェーンコンベアC11aの回転を指示する(S154)。積載コンベアコントローラとは、自動倉庫2から物品9が出庫される場合では自動倉庫コントローラ6であり、自動倉庫2へ物品9が入庫される場合ではコンベアコントローラ7である。
チェーンコンベアC11aの回転を指示された積載コンベアC1は、チェーンコンベアC11aを回転させる(S351)。このとき、積載コンベアC1が自動倉庫2の入出庫コンベア21aである場合、制御装置4の搬入出制御部413は集荷計画情報431を基に、物品9の出庫を指示し、自動倉庫2は指示された物品9の出庫を行う。
【0079】
また、ステップS253の後、無人搬送車1aの積載装置制御部113は、無人搬送車1aの上に物品9が到着したか否かを判定する(S254)。無人搬送車1aの上に物品9が到着したか否かの判定は、例えば、積載装置12a上面の中央に設置されているカメラ103aが、物品9中央に貼付されているバーコードを読み取ったか否かによって行われる。
【0080】
ステップS254の結果、無人搬送車1aの上に物品9が到着していない場合(S254→No)、積載装置制御部113は、ステップS254へ処理を戻す。
ステップS254の結果、無人搬送車1aの上に物品9が到着した場合(S254→Yes)、無人搬送車1aの信号制御部111は、物品9が無人搬送車1aの上に到着した旨の通知(物品到着通知)を、無人搬送車コントローラ8を介して制御装置4へ送信する(S255)。
無人搬送車1aから物品到着通知を受信した制御装置4の搬入出制御部413は、積載コンベアコントローラを介して、積載コンベアC1にチェーンコンベアC11aの停止を指示する(S155)。
チェーンコンベアC11aの停止を指示された積載コンベアC1は、チェーンコンベアC11aを停止させる(S352)。
【0081】
ステップS255で物品到着通知を制御装置4へ送信した無人搬送車1aの積載装置制御部113は、積載装置12aを上昇させる(S256)。これにより、積載コンベアC1のチェーンコンベアC11a上の物品9が積載装置12aに載置される。
【0082】
その後、制御装置4は図18のステップS171,S172の処理を行い、無人搬送車1aは図18のステップS271〜S273の処理を行う。ステップS171,S172の処理は図9のステップS121,S122、ステップS271〜S273の処理は図9のステップS221〜S223の処理と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0083】
無人搬送車1aから到着通知を受信した制御装置4の搬入出制御部413は、荷下ろしコンベアコントローラを介して、荷下ろしコンベアC2にチェーンコンベアC11aの回転を指示する(S173)。荷下ろしコンベアコントローラとは、自動倉庫2から物品9が出庫される場合ではコンベアコントローラ7であり、自動倉庫2へ物品9が入庫される場合では自動倉庫コントローラ6である。
チェーンコンベアC11aの回転を指示された荷下ろしコンベアC2は、チェーンコンベアC11aを回転させる(S371)。
【0084】
また、ステップS273の後、無人搬送車1aの積載装置制御部113は積載装置12aを下降させる(S274)。これにより、物品9が荷下ろしコンベアC2のチェーンコンベアC11aに載置される。
ステップS274の後、無人搬送車1aの信号制御部111は制御装置4へ荷下ろしが完了した旨の通知(荷下ろし完了通知)を送信する(S275)。
その後、無人搬送車1aは、予め決められた待機場所等へ移動する。
【0085】
(第2実施形態のまとめ)
第2実施形態によれば、第1実施形態と比して無人搬送車1aの構成を簡素なものとすることができる。また、第2実施形態によれば、第1実施形態と比して無人搬送車1aの処理を簡素なものとすることができる。
【0086】
なお、図17のステップS254において、無人搬送車1aの上に物品9が到着したか否かを、積載装置12a中央に備えられているカメラ103aが物品9の底面中央に貼付されているバーコードを読み取ったか否かによって判定するとしているがこれに限らない。例えば、積載装置12a中央に赤外線照射装置を上向きに備えておき、この赤外線照射装置から照射された赤外線の反射光が検出されたか否かで、無人搬送車1aの上に物品9が到着したか否かが判定されてもよい。
【0087】
(別の例)
図19は、本実施形態に係る入出荷支援システムの別の例を示す図である。
図19に示す入出荷支援システムでは、無人搬送車1の出入口G1が設けられており、無人搬送車1は、出入口G1から排出されたり、投入されたりすることが可能である。
このようにすることで、無人搬送車1による物品9の搬送の流れを乱すことなく、無人搬送車1のメンテナンスや、新たな無人搬送車1の投入が可能となる。
それ以外の構成は、図6と同様であるので、図6と同様の符号を付し、ここでの説明は省略する。
【0088】
また、作業員が作業する場所に、図示しない作業指示端末が設けられてもよい。制御装置4は、物品9が入出荷コンベア3aによって運ばれると、作業指示端末の表示装置(不図示)に、物品9が運ばれてくる旨の情報を、物品9の種類等といった物品9に関連する情報とともに表示させてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、積載コンベアC1や、荷下ろしコンベアC2において、ローラコンベアC11や、チェーンコンベアC11aが用いられているものとしたが、コンベアの形態はこれに限らず、ベルトコンベアのような形式でもよい。無人搬送車1,1aの積載装置12におけるコンベアの形式についても同様である。
このように、本実施形態では、積載装置12,12aの構造を物品9の形式に合わせて柔軟に変更することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る入出荷支援システムZ,Zaでは、自動走行2の入出庫コンベア21,21aを経由して自動倉庫2に対する入出庫が行われているが、入出庫コンベア21,21aが省略されてもよい。この場合、自動走行2の図示しないスタッカクレーンが、無人搬送車1,1aから直接物品9を取得する構成としてもよい。
【0091】
同様に、本実施形態に係る入出荷支援システムZ,Zaでは、入出荷コンベア3,3aを経由して物品の入出荷が行われているが、入出荷コンベア3,3aが省略されてもよい。この場合、ピッキング作業員が、無人搬送車1,1aから直接物品9をピッキングする構成としてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、床面にバーコードが設置されているとしたが、これに限らず、バーコードの代わりにQR(Quick response)コード(登録商標)が設置されてもよい。このようにすることで、バーコードより情報量を増やすことができ、広大な走行領域Z1でも本実施形態を適用することができる。
また、マーカとしてRFID(Radio Frequency Identification)タグが用いられてもよい。なお、マーカとしてRFIDタグを用いる場合、無人搬送車1,1aには、本体装置11の底面に設置されているカメラ103の代わりにRFIDタグリーダが搭載される。このようにすることで、さらに多くの情報をマーカに有することができ、正確な位置推定が可能となる。
【0093】
また、第2実施形態では、物品9の底面に図示しないバーコードを貼付し、無人搬送車1aは積載装置12の中央に設置されているカメラ103aが該バーコードを読み取ることで、物品9の真下に到着したか否かを判定しているが、これに限らない。例えば、バーコードの代わりにQRコード(登録商標)が用いられてもよい。あるいは、バーコードの代わりにRFIDタグが物品9の底面に貼付されてもよい。バーコードの代わりにRFIDタグが物品9の底面に貼付される場合、積載装置12の中央に設置されているカメラ103aの代わりにRFIDタグリーダが搭載される。このようにすることで、例えば、物品9の情報をRFIDタグに格納することで、物品9の積載時に無人搬送車1aが積載するべき物品9であるか否かを確認すること等ができる。
【0094】
また、本実施形態では、制御装置4が無人搬送車1,1aに対し、積載場所から荷下ろし場所までの経路情報を生成・送信し、無人搬送車1,1aは、受信した経路情報に従って、目的地(荷下ろし場所)まで走行するとしたが、これに限らなくてもよい。例えば、無人搬送車1,1aは、走行領域Z1の床面に設置されている格子にたどり着く毎に、バーコードから現在位置を読み取って制御装置4に送り、制御装置4は受信した無人搬送車1,1aの位置を基に、次に向かう方向を指示してもよい。つまり、無人搬送車1,1aは、床面に設置された格子毎に制御装置4から向かうべき方向を指示されてもよい。このようにすることで、各無人搬送車1,1aの現在位置を制御装置4がリアルタイムで管理することができるので、無人搬送車1,1aの衝突を回避させる等といったことが可能となる。
【0095】
また、本実施形態では、走行領域Z1の床面に設置されたバーコードの情報から無人搬送車1,1aの現在位置を推定しているが、これに限らず、可能であれば、予め作成されている環境地図を基に、無人搬送車1,1aの現在位置を推定してもよい。この場合、無人搬送車1,1aには、図示しない所定角度の範囲でレーザを照射するレーザ距離センサが備えられ、該レーザ距離センサによって得られる形状データと、環境地図とが比較されることで、無人搬送車1,1aの現在位置が推定される。
【0096】
また、本実施形態において、無人搬送車1,1aは、制御装置4からの指示に従って動作しているが、個々の無人搬送車1,1aが、図4に示す制御装置4の構成を有することで、制御装置4が省略されてもよい。この場合、例えば、個々の無人搬送車1,1a同士で通信が行われることで、どの無人搬送車1,1aがどの物品9を搬送しているか、どの位置に存在しているか等を各無人搬送車1,1aが管理する。これにより、個々の無人搬送車1,1aが自律的に物品9を搬送する。また、この場合、個々の無人搬送車1,1aが集荷計画情報431を有している。
【0097】
また、本実施形態では、無人搬送車1,1aが積載場所へ向かうとき、積載場所から荷下ろし場所へ向かうときのそれぞれにおいて、制御装置4が経路情報を生成、送信しているが、これに限らなくてもよい。例えば、無人搬送車1,1aが積載場所へ向かうとき、制御装置4は、積載場所へ向かう経路情報を生成するとともに、積載場所から荷下ろし場所へ向かう経路情報も生成し、積載場所へ向かう経路情報と積載場所から荷下ろし場所へ向かう経路情報とを同時に無人搬送車1,1aへ送信してもよい。
【0098】
また、本実施形態において、無人搬送車1,1aの方向転回は、無人搬送車1,1aにおける左右の駆動輪105のうち、一方の駆動輪105が他方の駆動輪105に対して逆向きに回転する等して行われるとしたが、これに限らない。例えば、自在輪104の代わりに、走行制御部114による制御が可能な方向転回輪を有し、この方向転回輪の方向を変えることによって無人搬送車1,1aの方向が転回されるようにしてもよい。
【0099】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0100】
また、無人搬送車1,1aのすべてが図3に示す構造をしていたり、図13に示す構造をしていたりする必要はない。つまり、図3に示す構造を有する無人搬送車1や、図13に示す構造を有する無人搬送車1aや、その他の構造を有する無人搬送車1が混在していてもよい。この場合、入出庫コンベア21,21aや、入出庫コンベア21、入出庫コンベア21aが混在していたり、入出荷コンベア3、入出荷コンベア3aが混在していたりしてもよい。無人搬送車1,1aは、自身の積載装置12,12aの形状に合う入出庫コンベア21,21aや、入出荷コンベア3,3で、物品9の積載・荷下ろしをしてもよい。
【0101】
また、前記した各構成、機能、各部110〜113,410〜413、記憶装置403等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図4、図5に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HDに格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0102】
1,1a 無人搬送車
2 自動倉庫
3,3a 入出荷コンベア
4 制御装置
5 クライアント端末
6 自動倉庫コントローラ
7 コンベアコントローラ
8 無人搬送車コントローラ
9 物品
11 本体装置
12,12a 積載装置(積載部)
13 ストッパ
14 無人搬送車のローラコンベア
21,21a 入出庫コンベア
22 入出庫コンベアのローラコンベア
22a 入出庫コンベアのチェーンコンベア
31 入出荷コンベアのローラコンベア
31a 入出荷コンベアのチェーンコンベア
110 無人搬送車の処理部
111 信号制御部
112 走行制御部
113 積載装置制御部
410 制御装置の処理部
411 搬送計画部
412 移動制御部
413 搬入出制御部
431 集荷計画情報
C1 積載コンベア
C2 荷下ろしコンベア
C11 ローラコンベア
C11a チェーンコンベア
W1,W6 積載場所
W3,W8 荷下ろし場所
Z,Za 入出荷支援システム
Z1 走行領域
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、
前記自動倉庫から出庫された前記物品は、前記コンベアで積載場所まで搬送され、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、前記積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろすことを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項2】
物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車は、
前記積載部としてローラコンベアを備えており、
前記積載場所及び前記荷下ろし場所にローラコンベアが備えられていることを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項3】
前記積載部には、前記積載部に積載されている前記物品が落下しないようにするためのストッパが備えられており、
前記積載部に前記物品を積載する時は、前記物品が移動してくる側のストッパが下降し、
前記積載部から前記物品を下ろす時は、前記物品が移動していく側のストッパが下降することを特徴とする請求項2に記載の入出荷支援システム。
【請求項4】
物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車において、
前記積載部は、昇降が可能であり、
前記積載場所及び前記荷下ろし場所には、チェーンコンベアが備えられており、
前記無人搬送車は、前記積載場所に到着すると、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも低くした状態で、前記積載場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記積載場所のチェーンコンベアよりも高くなるよう、前記積載部を上昇させ、
前記無人搬送車は、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも高くした状態で、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を、前記荷下ろし場所のチェーンコンベアよりも低くなるよう、前記積載部を下降させることを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項5】
物品の入出庫を行う自動倉庫における前記物品の搬送を行う無人搬送車を有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記積載部は、前記物品の底面に備えられているRFIDタグを読み取るためのRFIDタグリーダを上面に有し、
前記無人搬送車の制御部は、前記積載部に前記物品を積載する際に、前記RFIDタグリーダが、前記RFIDタグを読み取ることで、前記無人搬送車の直上に前記物品が到着したか否かを判定するとともに、前記RFIDタグに格納されている前記物品の情報を基に積載された前記物品が積載されるべき物品であるか否かを判定することを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項6】
物品を保管し、コンベアを介して前記物品の入出庫を行う自動倉庫と、
前記物品の搬送を行う無人搬送車とを有し、
前記無人搬送車は、前記物品を積載する積載部を有し、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、
前記自動倉庫は、前記コンベアから前記物品を取得して入庫することを特徴とする入出荷支援システム。
【請求項7】
物品を保管する自動倉庫が、第1のコンベアに前記物品を出庫し、
前記第1のコンベアが、前記自動倉庫から出庫された前記物品を、積載場所まで搬送し、
前記物品を積載する積載部を有する無人搬送車が、
前記積載場所で前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を第2のコンベアに下ろして、
前記自動倉庫からの前記物品の出荷又は入荷を支援することを特徴とする入出荷支援方法。
【請求項8】
物品を積載する積載部を有する無人搬送車であって、
前記無人搬送車は、積載場所にて前記積載部に前記物品を積載し、無軌道の走行領域を、前記走行領域の床面に設置された、前記走行領域における位置情報が格納されているバーコードまたはQRコード(登録商標)に基づいて、積載した前記物品の向きを変えずに略90°単位で走行方向を変えて走行することで、荷下ろし場所まで移動し、前記荷下ろし場所に到着すると、前記積載した物品を下ろし、
前記無人搬送車は前記荷下ろし場所で、前記荷下ろし場所のコンベアよりも前記積載部を高くした状態で、前記コンベアの下に潜り込んだ後、前記積載部を下降させ、前記積載した物品を前記コンベア上に下ろし、前記コンベアを介して前記物品は自動倉庫に入庫されて保管されることを特徴とする無人搬送車。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-03-28 
出願番号 P2019-146822
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B65G)
P 1 651・ 537- YAA (B65G)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 中村 大輔
尾崎 和寛
登録日 2020-12-15 
登録番号 6810772
権利者 株式会社日立インダストリアルプロダクツ
発明の名称 入出荷支援システム、入出荷支援方法及び無人搬送車  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  
代理人 特許業務法人磯野国際特許商標事務所  
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