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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B23K
審判 全部申し立て 2項進歩性  B23K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B23K
管理番号 1386140
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-08-13 
確定日 2022-04-08 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6831666号発明「半田付けシステム、半田付け製品製造方法、半田付け方法、及び半田」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6831666号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−5,10〕、6−9について訂正することを認める。 特許第6831666号の請求項1−10に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6831666号(以下「本件特許」という。)の請求項1−10に係る特許についての出願は、平成28年10月13日に出願されたものであり、令和3年2月2日にその特許権の設定登録がされ、同月17日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 3年 8月13日 : 特許異議申立人山下桂(以下「特許異議
申立人」という。)による請求項1−1
0に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 3年10月27日付け: 取消理由通知
令和 3年12月21日 : 特許権者との面接
令和 3年12月27日 : 特許権者による訂正請求書及び意見書の
提出
令和 4年 2月28日 : 特許異議申立人による意見書の提出

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
令和3年12月27日提出の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の訂正事項は、以下のとおりである。
なお、下線部は当審で付した。(以下、同様。)

(1)訂正事項1
請求項1に「前記フラックスは、前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱される」と記載されているのを、本件訂正により「前記フラックスは、前記半田または前記糸半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱される」に訂正する。
なお、請求項1の記載を引用する請求項3−5,10についても、上記訂正に伴い同様に訂正するものである。

(2)訂正事項2
請求項1に「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する」と記載されているのを、本件訂正により「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する」に訂正する。
なお、請求項1の記載を引用する請求項3−5,10についても、上記訂正に伴い同様に訂正するものである。

(3)訂正事項3
請求項2に「前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱される」と記載されているのを、本件訂正により「前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、前記半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱される」に訂正する。
なお、請求項2の記載を引用する請求項4−5,10についても、上記訂正に伴い同様に訂正するものである。

(4)訂正事項4
請求項2に「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する」と記載されているのを、本件訂正により「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する」に訂正する。
なお、請求項2の記載を引用する請求項4−5,10についても、上記訂正に伴い同様に訂正するものである。

訂正事項1−4は、一群の請求項〔1−5,10〕に対して請求されたものである。

(5)訂正事項5
請求項6に「フラックスが含有されている前記半田を前記加熱手段により加熱された半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成である」と記載されているのを、本件訂正により「加熱されると炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成であるフラックスが含有されている前記半田を前記加熱手段により加熱された半田ごての前記囲み形状の内側で加熱する」に訂正する。

(6)訂正事項6
請求項7に「フラックスが含有されている前記半田を前記加熱手段により加熱された半田ごての囲み形状内で加熱し、前記フラックスを炭化温度に到達するまでに90%以上揮発させる」と記載されているのを、本件訂正により「加熱されると炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成であるフラックスが含有されている前記半田を前記加熱手段により加熱された半田ごての囲み形状内で加熱する」に訂正する。

(7)訂正事項7
請求項8に「前記フラックスは、前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱される」と記載されているのを、本件訂正により「前記フラックスは、前記半田または前記糸半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱される」に訂正する。

(8)訂正事項8
請求項8に「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発させる」と記載されているのを、本件訂正により「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発させる」に訂正する。

(9)訂正事項9
請求項9に「前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱される」と記載されているのを、本件訂正により「前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、前記半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱される」に訂正する。

(10)訂正事項10
請求項9に「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発させる」と記載されているのを、「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発させる」に訂正する。

(11)訂正事項11
請求項10に「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発するフラックスが含有され、」と記載されているのを、「前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、フラックスが含有され、前記フラックスは、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成であり、」に訂正する。

2.訂正の検討
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、訂正により、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱されるものであることについて、フラックスが「半田または糸半田に含有された状態で」半田ごての囲み形状の内側で加熱されるものと、加熱時のフラックスの状態を限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱されるものであることについて、フラックスが「半田または糸半田に含有された状態で」半田ごての囲み形状の内側で加熱されるものであることに限定するものであるところ、明細書の段落【0047】には、「・・・半田は、半田材料とフラックスによって形成されており・・・」、段落【0075】には、「・・・半田は、ノズル24内という周囲が囲まれた閉鎖空間の中で加熱される。・・・」と記載され、半田にフラックスが含有されるものであり、当該フラックスが含有された半田がノズル内という周囲が囲まれた閉鎖空間の中で加熱されることが記載されているから、当該訂正事項1は、新規事項の追加に該当しない。
また、上述のとおり、訂正事項1は、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱されるものであることについて、フラックスが「半田または糸半田に含有された状態で」半田ごての囲み形状の内側で加熱されるものであることに限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
なお、請求項3−5,10は、請求項1についての訂正に伴い訂正されるものであるところ、請求項3−5,10の訂正についても、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、明細書に記載された事項の範囲内で行われたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当しない。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
訂正事項2は、訂正により、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発することについて、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱される「ものであり、加熱されると炭化が進む」炭化温度に到達するまでに90%以上揮発すると、炭化温度が炭化が進む温度であることを明確にするものであるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発することについて、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱される「ものであり、加熱されると炭化が進む」炭化温度に到達するまでに90%以上揮発すると、炭化温度を明確にしようとするものであるところ、明細書の段落【0047】には、「・・・半田は、半田材料とフラックスによって形成されており・・・」、段落【0075】には、「・・・半田は、ノズル24内という周囲が囲まれた閉鎖空間の中で加熱される。・・・」、段落【0064】には、「・・・実施例1の揮発減量率は、350℃で97.28%、400℃では98.41%に達している。すなわち、炭化が進む400℃前後で、実施例1のフラックスの残渣(残量)は2%以下となっている。」、段落【0066】には、「・・・このため、さらに温度上昇してフラックスが炭化する温度である400℃に到達する際には、ほとんどのフラックスが蒸発して残存しておらず、ノズル24内に炭化したフラックスが付着することを防止できる。」と記載され、炭化が進む温度である400℃が炭化する温度(炭化温度)であることが理解できるから、当該訂正事項2は、新規事項の追加に該当しない。
また、上述のとおり、訂正事項2は、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発することについて、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱される「ものであり、加熱されると炭化が進む」炭化温度に到達するまでに90%以上揮発することに限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
なお、請求項3−5,10は、請求項1についての訂正に伴い訂正されるものであるところ、請求項3−5,10の訂正についても、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、明細書に記載された事項の範囲内で行われたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当しない。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的
訂正事項3は、訂正により、上記訂正事項1と実質的に同様な限定をするものであるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、上記訂正事項1と実質的に同様な限定をするものであるから、上記訂正事項1(上記(1)イを参照。)について検討したとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
なお、請求項4−5,10は、請求項2についての訂正に伴い訂正されるものであるところ、請求項4−5,10の訂正についても、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、明細書に記載された事項の範囲内で行われたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当しない。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正により、上記訂正事項2と実質的に同様に明確化するものであるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、上記訂正事項2(上記(2)イを参照。)について検討したとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
なお、請求項4−5,10は、請求項2についての訂正に伴い訂正されるものであるところ、請求項4−5,10の訂正についても、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、明細書に記載された事項の範囲内で行われたものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものに該当しない。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的
訂正事項5は、訂正により、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、上記訂正事項2(上記(2)イを参照。)について検討したとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的
訂正事項6は、訂正により、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、上記訂正事項2(上記(2)イを参照。)について検討したとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。

(7)訂正事項7
ア 訂正の目的
訂正事項7は、訂正により、上記訂正事項1と実質的に同様な限定をするものであるから、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7は、上記訂正事項1と実質的に同様な限定をするものであるから、上記訂正事項1(上記(1)イを参照。)について検討したとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。

(8)訂正事項8
ア 訂正の目的
訂正事項8は、訂正により、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8は、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、上記訂正事項2(上記(2)イを参照。)について検討したとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。

(9)訂正事項9
ア 訂正の目的
訂正事項9は、訂正により、上記訂正事項1と実質的に同様な限定をするものであるから、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項9は、上記訂正事項1と実質的に同様な限定をするものであるから、上記訂正事項1(上記(1)イを参照。)について検討したとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。

(10)訂正事項10
ア 訂正の目的
訂正事項10は、訂正により、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、訂正事項10は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項10は、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、上記訂正事項2(上記(2)イを参照。)について検討したとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。

(11)訂正事項11
ア 訂正の目的
訂正事項11は、訂正により、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項11は、上記訂正事項2と実質的に同様な限定をするものであるから、上記訂正事項2(上記(2)イを参照。)について検討したとおり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。

3.小括
上記のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の一群の請求項〔1−5,10〕及び請求項6−9について訂正することを認める。


第3 本件特許
上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1−10に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等といい、全てをまとめて「本件発明」という場合がある。なお、以下の第4以降においては、便宜上、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1−10に係る発明を「訂正前の本件発明1」等という場合がある。)は以下のとおりである。

【請求項1】
半田ごてと、
前記半田ごてを加熱する加熱手段と、
前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置と、
前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けする半田付けシステムであって、
前記半田ごては、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田は、糸半田から切断された半田片であり、
前記半田および前記糸半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、前記半田または前記糸半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成である
半田付けシステム。
【請求項2】
半田ごてと、
前記半田ごてを加熱する加熱手段と、
前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置と、
前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けする半田付けシステムであって、
前記半田ごては、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、前記半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成である
半田付けシステム。
【請求項3】
前記糸半田から所定量の前記半田片を切断する手段と、
前記切断した前記半田片を前記半田ごての前記囲み形状の内側へ供給する半田導入筒とを備え、
前記半田導入筒から前記半田ごての前記囲み形状の内側へ前記半田片単体で供給された前記フラックス含有の前記半田片を、前記加熱手段で加熱された前記半田ごてにより前記囲み形状の内側にて溶融して前記半田付けを行う
請求項1記載の半田付けシステム。
【請求項4】
前記半田に含まれる前記フラックスのフラックス含有量が3重量%以下である
請求項1、2、または3に記載の半田付けシステム。
【請求項5】
前記フラックスは、特殊変性ロジンとジエチルアミン・HBrと液状有機酸とを含有し、
前記特殊変性ロジン、前記ジエチルアミン・HBr、及び前記液状有機酸の含有量が、それぞれ約92重量%、3重量%、及び5重量%である
請求項1から4の何れかに記載の半田付けシステム。
【請求項6】
半田ごてと、前記半田ごてを加熱する加熱手段と、前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置が、前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けする半田付け方法であって、
前記半田ごては、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田は、糸半田から切断された半田片であり、
前記半田および前記糸半田は、フラックスが含有され、
前記駆動手段によって前記半田ごてと前記半田付け対象の相対位置を両者が当接する方向へ変化させて、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された前記半田ごてにより前記半田付け部の周囲を囲み、
加熱されると炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成であるフラックスが含有されている前記半田を前記加熱手段により加熱された半田ごての前記囲み形状の内側で加熱する
半田付け方法。
【請求項7】
半田ごてと、前記半田ごてを加熱する加熱手段と、前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置が、前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けする半田付け方法であって、
前記半田ごては、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、
前記駆動手段によって前記半田ごてと前記半田付け対象の相対位置を両者が当接する方向へ変化させて、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された前記半田ごてにより前記半田付け部の周囲を囲み、
加熱されると炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成であるフラックスが含有されている前記半田を前記加熱手段により加熱された半田ごての囲み形状内で加熱する
半田付け方法。
【請求項8】
半田ごてと、前記半田ごてを加熱する加熱手段と、前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置が、前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けし、半田付け製品を製造する半田付け製品製造方法であって、
前記駆動手段によって前記半田ごてと前記半田付け対象の相対位置を両者が当接する方向へ変化させて、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された前記半田ごてにより前記半田付け部の周囲を囲み、
前記半田は、糸半田から切断された半田片であり、
前記半田および前記糸半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、前記半田または前記糸半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発させる
半田付け製品製造方法。
【請求項9】
半田ごてと、前記半田ごてを加熱する加熱手段と、前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置が、前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けし、半田付け製品を製造する半田付け製品製造方法であって、
前記駆動手段によって前記半田ごてと前記半田付け対象の相対位置を両者が当接する方向へ変化させて、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された前記半田ごてにより前記半田付け部の周囲を囲み、
前記半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、前記半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発させる
半田付け製品製造方法。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか1つに記載の半田付けシステムに用いられ、
前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、フラックスが含有され、
前記フラックスは、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成であり、
円柱形で切断可能に形成されている
糸半田。


第4 取消理由通知により通知した取消理由について
本件訂正請求による訂正前の請求項1−10に係る特許に対して、当審が令和3年10月27日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
なお、以下、特許異議申立人が特許異議申立書と共に提出した甲第1号証ないし甲第14号証、及び後述する甲第15号証ないし甲第17号証を「甲1」などという。

1.【特許法第36条第6項第2号明確性)違反】
訂正前の本件発明1−10は明確でない。

2.【特許法第36条第6項第1号(サポート要件)違反】
訂正前の本件発明1−10は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない。

3.【特許法第36条第4項第1号実施可能要件)違反】
本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、当業者が訂正前の本件発明1−10を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではない。

4.【特許法第29条第2項進歩性)違反】
訂正前の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲11−13の周知技術、又は、甲1に記載された発明及び甲2−3,8−10の周知技術に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
また、訂正前の請求項2−3,7,9に係る発明は甲1に記載された発明及び甲2−4,8−13に基いて、訂正前の請求項4に係る発明は甲1に記載された発明及び甲2−5,8−13に基いて、訂正前の請求項5,10に係る発明は甲1に記載された発明及び甲2−13に基いて、訂正前の請求項6,8に係る発明は甲1に記載された発明及び甲2−3,8−13に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

<甲号証>
甲第1号証:国際公開第2008/023461号
甲第2号証:特開平9−94691号公報
甲第3号証:国際公開第98/30352号
甲第4号証:特開2015−80814号公報
甲第5号証:特開2000−135592号公報
甲第6号証:特開平1−157798号公報
甲第7号証:特開平6−155078号公報
甲第8号証:特開2010−75960号公報
甲第9号証:特開2001−232496号公報
甲第10号証:特開2012−86269号公報
甲第11号証:特開2010−46689号公報
甲第12号証:特開平10−85984号公報
甲第13号証:特開2003−1487号公報


第5 取消理由についての当審の判断

1.取消理由1:【特許法第36条第6項第2号明確性)違反】について
(1)取消理由通知において通知した理由の内容
取消理由通知で特許法第36条第6項第2号違反として通知した取消理由は以下のとおりである。

ア 訂正前の請求項1、請求項2、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9における「・・・炭化温度に到達するまでに・・・」という記載の「炭化温度」は、材料が炭化する温度を意味するものと解されるが、炭化が開始する温度、炭化が進む温度、炭化が完了する温度のいずれを表しているのか明確でない。また、材料が炭化する温度は、その材料の成分に応じて決まるものであると解されるが、材料が特定されていない「フラックス」において、炭化する温度がどの程度であるか明確でない。

イ 訂正前の請求項1又は請求項8における「前記フラックスは、前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発・・・」という記載、訂正前の請求項2又は請求項9における「前記フラックスは、・・・前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発・・・」という記載、及び、訂正前の請求項6又は請求項7における「・・・炭化温度に達するまでに90%以上揮発・・・」という記載は、フラックスの揮発に影響を与える炭化温度に到達するまでの加熱時間及びフラックスが受ける総熱量を決定する加熱条件が特定されておらず、どのような加熱条件の下で炭化温度に到達した場合に、90%以上揮発するのか明確でない。

ウ 訂正前の請求項6における「フラックスが含有されている前記半田を前記加熱手段により加熱された半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成である・・・」という記載は、炭化温度に到達するまでに90%以上揮発するものの主体の特定がないため、揮発するものが何であるのか(フラックスか半田か)明確でない。

よって、訂正前の本件発明1−2,6−9及び訂正前の本件発明1又は2を引用する本件発明3−5,10は明確でない。

(2)判断
上記ア−ウについて検討する。
なお、以下、特許権者が意見書と共に提示した乙第1号証ないし乙第3号証を「乙1」などという。

ア 特許権者は、訂正事項2、訂正事項4−6、訂正事項8、訂正事項10−11により、「炭化温度」が「炭化が進む炭化温度」であることを明確化する訂正を行った。
そして、乙1(特開平6−176760号公報:段落【0010】)、乙2(特開2001−239157号公報:段落【0025】)にも記載されているように、「炭化温度」とは、「炭化が進む温度」又は「炭化が進む温度」と同じ意味の「炭化が始まる温度」であって、材料の成分に応じて定まるその物特有の温度であることは明らかである。
してみると、「炭化が進む炭化温度」とは、材料の成分に応じて定まるその物特有の温度であることから、材料によっては予め知られているものであるか、知られていないとしても実験により得られるものであることは出願時点において技術常識である。
よって、「炭化が進む炭化温度」は明確である。

イ 特許権者は、訂正事項1、訂正事項3、訂正事項5−7、訂正事項9により、半田(又は糸半田)に含有されたフラックスが、半田ごての囲み形状の内側で加熱される旨の訂正を行った。
当該訂正により、加熱条件が、半田(又は糸半田)に含有されたフラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱されるというものであるという加熱条件が明確となった。

ウ 特許権者は、訂正事項5により、フラックスが加熱されると炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する旨の訂正を行った。
当該訂正により、炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する主体がフラックスである点が明確となった。

よって、特許法第36条第6項第2号違反に基づく取消理由1によっては、本件特許を取り消すことはできない。

2.取消理由2:【特許法第36条第6項第1号(サポート要件)違反】について
(1)取消理由通知において通知した理由の内容
取消理由通知で特許法第36条第6項第1号違反として通知した取消理由は以下のとおりである。

ア 訂正前の請求項1、請求項2、請求項6、請求項7、請求項8又は請求項9における「・・・炭化温度に到達するまでに・・・」という記載の「炭化温度」は、材料によって決まる温度であって実験によりはじめて確認できる温度であるところ、上記記載の「炭化温度」がどの程度の温度であるか、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない。

イ 訂正前の請求項1又は請求項8における「前記半田および前記糸半田は、フラックスが含有され、前記フラックスは、前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発・・・」という記載、訂正前の請求項2又は請求項9における「前記半田は、フラックスが含有され、前記フラックスは、・・・前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発・・・」という記載、及び、訂正前の請求項6又は請求項7の「前記半田・・・は、フラックスが含有され、・・・炭化温度に到達するまでに90%以上揮発・・・」という記載の「フラックス」は、どのようなものであるか、発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない。
なお、段落【0055】の【表1】には、実施例1−3のフラックスにおける揮発減少量が記載されているが、当該揮発減少量は、フラックス単体における値であり、半田に含有されるフラックスにおける値とはいえない。
また、実施例1−3のフラックスにおける揮発減少量を測定する際の昇温速度は10℃/min(図6参照)であって、フラックスが半田ごての囲み形状の内側で加熱される際の昇温速度と異なるものであり、昇温速度が異なると、フラックスの揮発に影響を与える炭化温度に到達するまでの加熱時間及びフラックスが受ける総熱量が異なることから、実施例1−3のフラックスにおける揮発減少量は、半田ごての囲み形状の内側で加熱され炭化温度に到達するまでに揮発する半田に含有されるフラックスの揮発減少量とはいえない。
また、「フラックスに起因した半田付け不良の発生を抑制する」という本件発明の課題を解決する手段として、半田ごての囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発するフラックスが記載されているが、当該フラックスを用いることにより課題を解決できることを示す評価結果が発明の詳細な説明中に記載も示唆もされていない。

よって、訂正前の本件発明1−2,6−9及び訂正前の本件発明1又は2を引用する本件発明3−5,10は発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。

(2)判断
上記ア−イについて検討する。

ア 上記1.(2)アで検討したように、「炭化が進む炭化温度」は、材料の成分に応じて定まるその物特有の温度であって、材料によっては予め知られているものであるか、知られていないとしても実験により得られるものであることは出願時点において技術常識であることから、本件発明において、材料が特定されていないからといって、本件発明が、発明の詳細な説明において課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとまではいえず、発明の詳細な説明に記載されたものでないということできない。

イ 本件特許の明細書の発明の詳細な説明をみると、段落【0055】の【表1】には、フラックス単体における揮発減少量が記載されている。
そして、フラックスは半田に含有される際に、段落【0047】に記載されているように、単に、半田に含有されているものであり、半田とフラックスを反応させるようなことは記載されていないことから、フラックス自体の性質には変化が生じていないと考えられるところ、フラックスが単体で加熱された場合と、フラックスが半田に含有された状態で加熱された場合とで、フラックスの揮発性等の振る舞いについては相関性を有すると理解できる。
よって、発明の詳細な説明にその揮発減少量が記載されているフラックス単体と本件発明に記載された半田(又は糸半田)に含有されたフラックスとは相関性を有するものであって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に、半田に含有されたフラックスにおける揮発減少量が記載されておらず、実施例1−3の昇温速度が半田ごての囲み形状の内側で加熱されたものと異なるからといって、本件発明が、発明の詳細な説明において課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとまではいえず、発明の詳細な説明に記載されたものでないということできない。
また、段落【0066】、段落【0067】、段落【0085】には、半田ごての囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発するフラックスを用いることにより課題を解決することができることが示唆されている。

よって、特許法第36条第6項第1号違反に基づく取消理由2によっては、本件特許を取り消すことはできない。

3.取消理由3:【特許法第36条第4項第1号実施可能要件)違反】について
(1)取消理由通知において通知した理由の内容
取消理由通知で特許法第36条第4項第1号違反として通知した取消理由は以下のとおりである。

訂正前の請求項1又は請求項8には「前記半田および前記糸半田は、フラックスが含有され、前記フラックスは、前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発・・・」、訂正前の請求項2又は請求項9には「前記半田は、フラックスが含有され、前記フラックスは、・・・前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されると炭化温度に到達するまでに90%以上揮発・・・」、及び、訂正前の請求項6又は請求項7には「前記半田・・・は、フラックスが含有され、・・・炭化温度に到達するまでに90%以上揮発・・・」と記載され、炭化温度に到達するまでのフラックスの不揮発量が10%未満であって0%である場合も包含するところ、フラックスが完全に揮発する場合にはその炭化温度が確認できないから、本件明細書からは、どのようにすればフラックスの炭化温度を測定できるのか把握できない。
よって、発明の詳細な説明は、当業者が訂正前の本件発明1−10に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。

(2)判断
上記取消理由3について検討する。

上記1.(2)アで検討したように、「炭化が進む炭化温度」は、材料の成分に応じて定まるその物特有の温度であって、材料によっては予め知られているものであるか、知られていないとしても実験により得られるものであることは出願時点において技術常識であることから、仮に、炭化温度に到達するまでにフラックスの不揮発量が0%のものがあったとしても、使用するフラックスの炭化温度が知られているものであれば、半田付け時に炭化温度を測定しなくても炭化温度を把握することができ、知られていないものであれば、予め実験により炭化温度を把握することができる。
加えて、半田ごての囲み形状の内側で加熱されるとフラックスが炭化することなく全て揮発するものであれば、炭化温度に到達するまでにフラックスが90%以上揮発していることは明らかである。
してみると、本件特許の明細書の発明の詳細な説明が、本件発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないとまではいえない。

よって、特許法第36条第4項第1号違反に基づく取消理由3によっては、本件特許を取り消すことはできない。


4.取消理由4:【特許法第29条第2項進歩性)違反】について

(1) 甲1の記載及び引用発明1等
ア 甲1の記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。

(ア) [0004]
「・・・それ故、この発明の第1の課題は、フラックスの飛散を防止するとともに、詰まりの生じにくい半田鏝を提供することにある。・・・」

(イ) [0020]
「−実施形態1− この発明の製造装置の第一の実施形態を図面とともに説明する。図1は実施形態の電子機器製造装置を示す斜視図、図2は同装置に用いられるカッターユニットを示す鉛直方向断面図((a)は切り刃の後退時、(b)は前進時)、図3は同装置に用いられる半田鏝と配線基板を示す斜視図、図4は同半田鏝と配線基板を示す鉛直方向要部断面図((a)は半田溶融前、(b)は溶融後)である。 」

(ウ) [0021]
「 製造装置1は、電子機器の配線基板S上のランドに金属ピンを挿入した状態でランドとピンを糸半田Wで接合するもので、平坦な台2a及び台2aに垂直に固定された壁2bからなる本体2を備えている。台2a上にはX方向に延びるレール2xが敷かれ、そのレール2x上にY方向に延びるレール2yがレール2xに沿って移動可能に固定されている。レール2y上には配線基板Sを載せるジグ2eがXY方向に移動可能に固定されている。また、壁2bにはZ方向に延びるレール2zが取り付けられている。レール2zには連結プレート2cがレール2zに沿って移動可能に固定されている。各移動は、モータなどの図示しない駆動源によりなされる。 」

(エ) [0024]
「 また、連結プレート2cには、ブラケット2dよりも下方に銅などの高熱伝導性材料からなる加熱ブロック8が取り付けられている。加熱ブロック8は、図3に示すように固定端側の薄肉部8aとこれに連なる自由端側の厚肉部8bとからなり、薄肉部8aには連結プレート2cと厚肉部8bとの間を断熱するために多数の孔が形成されている。厚肉部8bにはヒータ8c及び筒9が埋め込まれている。筒9は、保持孔52aとほぼ同じ内径を有し、上下に貫通していて加熱ブロック8よりも下方に突出しており、周辺部品との干渉を避けるため下端部外径はテーパになっている。筒9は、600℃程度の温度に耐えることができて少なくとも下端部内周面が半田に対して濡れにくい性質を有するものであればよく、単一材料からなっていても複数部材の組み合わせであってもよい。単一材料からなる場合は、セラミック、またはステンレス、チタンなどの非半田濡れ性金属が望ましい。また、セラミックの場合は窒化アルミニウム、炭化ケイ素などの高熱伝導性セラミックが特に望ましい。」

(オ) [0025]
「 糸半田Wの直径、保持孔52a及び筒9の寸法は、一回の半田付けに必要な半田の量に応じて適宜定めればよいが、例えばピンの外径が1mmであるとき、糸半田Wの直径を1.2mm、保持孔52a及び筒9の内径を3mm、糸半田Wの切断片(半田片)の長さを6mm、保持孔52aの長さを7mmに設定することで、半田片が筒9内でピンに隣接しながら起立した状態となり、半田片全体が速やかに均等に加熱される。従って、糸半田Wが共晶半田である場合、筒9の下端温度を350℃とすれば、良好に半田付けをすることができる。 」

(カ) [0026]
「 製造装置1を用いて半田付けをする手順は次の通りである。 配線基板SのランドPに金属ピンを挿入し、配線基板Sをジグ2eに載せる。そして、ランドが筒9の真下に位置するようにジグ2eを配線基板Sとともに移動させる。連結プレート2cを筒9の下端面がランドの直近に位置するところまで下げる。図2(a)に示すように切り刃52を保持孔52aが供給孔51bと一致するところまで後退させておき、ヒータ8cに通電しておく。ランドPとピンTはこの輻射熱で予熱される。送りローラ4を回転させて半田リール3より糸半田Wを引き出して供給孔51bに通す。糸半田Wが保持孔52aに入り、所定の長さ送られた時点で送りローラ4を停止させる。糸半田Wの送り量は、送りローラ4の回転数によって制御される。この状態でシリンダ53を駆動して切り刃52を前進させる。 」

(キ) [0027]
「 すると図2(b)に示すように、切り刃52と受け刃51との間に剪断力が働いて糸半田Wが所定の長さに切断され、半田片Fとなって保持孔52aとともに排出孔51d上に移動する。ここで導入孔51cに接続されたホース51eを介して空気を保持孔52aに吹き付ける。半田片Fは、排出孔51dよりガイド管7内に落下し、図4(a)に示すように筒9に入ってランドP上に向かう。途中、センサ6が半田片Fの通過を検知し、その信号に基づいて、保持孔52aが供給孔51bと一致するところまで切り刃52を後退させた所で送りローラ4が再度回転し、後続の糸半田Wを保持孔51bに供給する。ランドPに達した半田片Fは、図4(b)に示すようにヒータ8cの熱により溶融半田F’となってランドPとピンTを接合する。溶融半田F’は筒9で囲まれているので、周囲に飛散することはない。また、筒9の下端部内周面が半田に濡れにくい材料からなっているので、半田片Fの全量が金属ピンTとランドPとの接合に消費され、接合後の外観もきれいに仕上がる。溶融中にフラックスの燃焼により発生する煙は、吸引管8dより吸引される。その後、連結プレート2cが上昇し、筒9が配線基板Sから遠ざかる。そして、ジグ2eが配線基板Sを伴ってX方向又はZY方向に移動し、次のランドと金属ピンとの接合工程を開始する。 」

(ク) [0028]
「 装置1において、ヒータ8cは前記と異なり、筒9と平行になるように加熱ブロックに埋め込んでも良い。この場合、図5に斜視図として示すように加熱ブロック18におけるヒータ8c周囲の肉厚を一層厚くするとよい。筒と加熱ブロックとの組み合わせ構造は種々のものが適用可能である。例えば、図6(a)に示すように筒19を加熱ブロックと一体成形したものでもよい。図6(b)は筒29を加熱ブロックと一体成形するとともに、筒29の上部内周面を上向きに広がるテーパとしたものである。図6(c)は筒39を加熱ブロックと一体成形するとともに、筒39の内周面に半田に濡れにくい材料からなる被膜39aを形成したものである。被膜39aは下端部内周面にだけ形成してもよい。図6(d)は図4と同様に筒9を加熱ブロック28と別体成形したものであるが、加熱ブロック28を筒9の下端部の周囲に突出させて加熱ブロック28から筒9下端部への熱伝導を良くしたものである。図6(e)は筒の一部を構成する貫通孔を加熱ブロック38と一体成形するとともに、その貫通孔の下端部に筒の残部を構成する短筒状チップ49を嵌合したものである。加熱ブロック38を高熱伝導性材料で成形し、短筒状チップ49を非半田濡れ性耐熱材料で成形することができる。」

(ケ) [0039]
「 シャッター17が閉じられているので、溶融半田から揮発したフラックスは、排出孔15cや保持孔15aに付着することなく、ランドPとピンTの表面を浄化する。従って、ランドPとピンTが良好に接合される。一回の半田付けに使用される半田は、保持孔15aに供給された長さで定まる一定長の半田片である。」

(コ) 図1


(サ) 図4



イ 甲1記載の技術的事項
上記アの記載事項から、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

(ア) 上記ア(ウ)及び(コ)からみて、筒9とランドP及びピンTとの相対位置をZ方向へ変化させる駆動源を有する。

(イ) 上記ア(キ)及び(サ)からみて、筒9は、ランドP及びピンTの半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成されている。

(ウ) 上記ア(ケ)からみて、半田片Fおよび糸半田Wには、フラックスが含有されている。

(エ) 上記ア(キ)、(ケ)及び(サ)からみて、フラックスは、半田片Fまたは糸半田Wに含有された状態で筒9の囲み形状の内側で加熱されている。

ウ 甲1発明したがって、上記アの記載事項及びイの技術的事項からみて、甲1には、次の発明が記載されていると認められる。

「 筒9と、
前記筒9を加熱するヒータ8cと、
前記筒9とランドP及びピンTとの相対位置をZ方向へ変化させる駆動源を有する製造装置1と、
前記筒9によって溶融されて前記ランドP及びピンTに半田付けされる半田片Fを用いて半田付けする製造装置1であって、
前記筒9は、前記ランドP及びピンTの半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田片Fは、糸半田Wから切断された半田片であり、
前記半田片Fおよび前記糸半田Wは、フラックスが含有され、
前記フラックスは、前記半田片Fまたは前記糸半田Wに含有された状態で前記筒9の前記囲み形状の内側で加熱されるものである
製造装置1。」 (以下、「甲1発明」という。)

(2) 甲2の記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている。

ア 【0003】
「また、はんだペーストにおいては、ペーストの材料構成が、はんだ粉、溶剤、固形分(ロジン、活性剤など)から成るのが一般的である。市販の無洗浄型の物は、固形分を減らしたり、ハロゲン化物を含有させない等の工夫は成されているが、はんだ付後、必ずロジン等の樹脂成分或いは活性剤成分等の残渣が発生する。特に、活性剤による残渣(活性剤自身または反応生成物)は、信頼性を著しく悪化させる。一方、ロジンのような樹脂の残渣は、主にプリント基板(家電用、一部車載用等)のはんだ付では、あまり問題にならない。しかし、HICでのはんだ付では、このような残渣が少しでも残るはんだペーストでは、微細接続部を有する製品に対しては、フリップチップの端子リーク、回路腐食及び後工程のワイヤボンディング等の信頼性の点から問題があるため、結局のところ代替フロン洗浄や水系洗浄を実施しているのが現状である。」

イ 【0006】
「従って本発明の目的は、通常の温度プロファイルで、また非還元雰囲気であっても、被接合部である母材に対して良好な濡れを示し、かつその残渣をほぼ皆無とすることのできる、はんだ付用フラックス或いははんだペーストを構成する際のバインダとして用いて好適な新たな活性剤を提供することである。」

ウ 【0009】
「沸点でフラックスやペーストを特定する従来の考え方では、はんだ部の適切な濡れ状態を実現できない材料が含まれる場合があったのに比べ、本願発明者らが見いだした(-OH)水酸基含有材料におけるTG法による材料特定の方法では、はんだ部の良好な濡れ及びはんだ表面の十分な還元を実現する材料を確実に選択できる。またTG法による評価は、物質の蒸気圧と相関ある特性を示し、蒸気圧によっても適切な物質を特定することができる。これらの物質は、はんだ付用フラックスとして、或いははんだペースト用フラックスとして、はんだ及び基板電極及び部品電極に対して還元性の働きかけをして、これら表面の酸化物を分解し、はんだ付を容易にする。そしてこれらの物質では、はんだ溶融の際にはんだ部にフラックスが液体の状態で存在して濡れの状態を実現し、その還元反応がはんだ及び基板電極及び部品電極全体に渡ってはんだを滑らかに広がらせ、確実なはんだ接合を形成させる。はんだ付が終了する時点では、フラックス全てが蒸発もしくは分解・蒸発することにより残渣が発生しない。従って、後工程の洗浄を必要としない。」

(3) 甲3の記載事項
甲3には、以下の事項が記載されている。

ア 第15ページ第6−10行
「こうして準備が済むと、まず基板の半田付け部位に 2〜5秒間、予熱気体流を吹き付けて半田付け部位の予熱(プリヒート)を行い、これにより半田付け部位の低残渣フラックスを活性化できる。また、予熱気体流を吹き付けると同時に、先端チップ34を半田付け部位に接触させてもよい。 また、O2濃度5ppm以下の場合はフラックスレス半田付けを可能である。」

(4) 甲11の記載事項
甲11には、以下の事項が記載されている。

ア 【0018】
「〔実施例A〕
アクリル変性ロジン40%(質量%、以下同じ)、カスターワックス6%、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩1%、末端OH水添1,4-ポリイソプレン13%(水酸基含有量は0.9mol/kg以下、酸価は0.03mgKOH/g以下)、へキシレングリコール40%を混合して液状フラックスを作成し、この液状フラックス11%にSn-3.0Ag-0.5Cuはんだ粉末(平均粒径20μm)89wt%を混ぜてソルダペーストを調製した。・・・」

イ 【0022】
「〔実施例B〕
wwロジン77.5%(質量%、以下同じ)、trans-2,3-ジブロモブテンジオール2%(活性剤)、トリエチルアミン臭化水素酸塩0.5%(活性剤)、末端OH水添1,4-ポリイソプレン13%(水酸基含有量は0.9mol/kg以下、酸価は0.03mgKOH/g以下)を混合して半液状フラックスを作成し、この半液状フラックスをSn-3.0Ag-0.5Cuはんだの中空管に導入し、伸線して外径Φ1mmのやに入りはんだを作製した。」

(5) 甲12の記載事項
甲12には、以下の事項が記載されている。

ア 【0024】


イ 【0025】


ウ 【0029】
「比較例1〜4については、はんだ付け後の残渣を力強くブラシ掛けしたが、残渣は、こびりついて剥がれなかった。・・・」

(6) 甲13の記載事項
甲13には、以下の事項が記載されている。

ア 【0052】・・・
【表1】


イ 【0053】
【表2】


ウ 【0054】
【表3】


(7) 本件発明1と甲1発明との対比
ア 本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。

(ア) 甲1発明の「筒9」は、本件発明1の「半田ごて」に相当する。

(イ) 甲1発明の「ヒータ8c」は、本件発明1の「加熱手段」に相当する。

(ウ) 甲1発明の「Z方向」は、本件発明1の「当接離間方向」に相当し、以下同様に、「駆動源」は、「駆動手段」に、「製造装置1」は、半田付けを用いて電子機器を製造する製造装置であるから、「半田付け装置」又は「半田付けシステム」に相当する。

(エ) 甲1発明の「半田片F」は、本件発明1の「半田」に相当する。

(オ) 甲1発明の「糸半田W」は、本件発明1の「糸半田」に相当する。

イ 以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「 半田ごてと、
前記半田ごてを加熱する加熱手段と、
前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置と、
前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けする半田付けシステムであって、
前記半田ごては、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田は、糸半田から切断された半田片であり、
前記半田および前記糸半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、前記半田または前記糸半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものである
半田付けシステム。」

【相違点1】
本件発明1では、フラックスが「加熱されるとフラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する」のに対し、甲1発明では、フラックスがどの程度揮発するか明らかでない点。

(8) 相違点1の判断
上記相違点1について検討する。

ア 相違点1の判断1
ロジンの分解温度及び沸点が約280℃であり、水素添加ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジンの分解温度が400℃以下であることは技術常識であることから、炭化温度に到達するまでに90%以上揮発することは、ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジンのいずれかを、90質量%以上含むフラックスを用いることに伴い生じ得るものともいえるが、甲11−甲13(上記(4)−(6)を参照)についてみても、ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジンのいずれかを、90質量%以上含むフラックスを用いる実施例は開示されていない。
また、甲11−甲13には、ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジンのいずれかを、90質量%以上含むフラックスを包含するという記載も示唆もされていない。
よって、甲1発明に各甲号証記載の技術的事項を適用して、相違点1に係る本件発明1の構成に到達することが、当業者にとっての容易になし得たということはできない。

イ 相違点1の判断2
甲2には、フラックス全てが蒸発もしくは分解・蒸発することにより残渣が発生しない点(上記(2)ウ)が記載されているが、このことは、半田付け対象に予め半田を付けた状態とするリフロー方式を前提とするものであり、当該リフロー方式においてフラックス全てが蒸発もしくは分解・蒸発することができることが開示されるに留まるものである。
よって、リフロー方式のフラックスの技術と半田ごて方式のフラックスの技術とが相互に転用可能であることが周知の技術事項(甲8の段落【0008】、甲9の段落【0029】、甲10の段落【0013】等参照)であるとしても、甲2記載の技術的事項を、甲1発明の半田ごて方式のフラックスに適用する動機が見いだせず、甲1発明のフラックスとして「加熱されるとフラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する」ものを選択することが当業者にとって容易になし得るものとはいえない。
また、甲3には、O2濃度5ppm以下の場合はフラックスレス半田付けが可能である点(上記(3)ア)が記載されているが、このことは、O2濃度5ppm以下という特殊な条件下での実施を前提としており、通常のO2濃度の場合にフラックス残渣をほぼ皆無とする具体的な手段については何ら開示も示唆もされていない。
よって、甲3記載の技術的事項を、O2濃度5ppm以下という条件下での実施を前提としていない甲1発明に適用する動機が見いだせない。
したがって、甲1発明に甲11−13の技術的事項を適用しても、又は、甲1発明に甲2−3,8−10の技術的事項を適用しても、相違点1に係る本件発明1の構成に到達することが、当業者にとっての容易になし得たということはできない。

(9) 本件発明2について
本件発明2と甲1発明と対比すると、少なくとも、上記相違点1と同様の以下の相違点2で相違するものである。

【相違点2】
本件発明2では、フラックスが「加熱されるとフラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する」のに対し、甲1発明では、フラックスがどの程度揮発するか明らかでない点。

そして、上記(8)で説示したのと同様の理由により、上記相違点2に係る本件発明2とすることが容易になし得るものでない。

(10) 本件発明3−5,10について
本件発明3−5,10は、いずれも直接又は間接的に本件発明1又は本件発明2を引用するものであるから、少なくとも、上記相違点1に係る本件発明1の構成又は上記相違点2に係る本件発明2の構成を有するものである。
したがって、上記(8)又は(9)で説示したとおり、上記相違点1に係る構成又は上記相違点2に係る構成とすることが容易になし得るものでない。

(11) 本件発明6について
半田付けシステムである本件発明1を、半田付け方法の発明として表現したものである本件発明6も、上記相違点1と同様の相違点を備えたものであるから、本件発明1と同様に、容易になし得るものでない。

(12) 本件発明7について
半田付けシステムである本件発明2を、半田付け方法の発明として表現したものである本件発明7も、上記相違点2と同様の相違点を備えたものであるから、本件発明2と同様に、容易になし得るものでない。

(13) 本件発明8について
半田付けシステムである本件発明1を、半田付け製品製造方法の発明として表現したものである本件発明8も、上記相違点1と同様の相違点を備えたものであるから、本件発明1と同様に、容易になし得るものでない。

(14) 本件発明9について
半田付けシステムである本件発明2を、半田付け製品製造方法の発明として表現したものである本件発明9も、上記相違点2と同様の相違点を備えたものであるから、本件発明2と同様に、容易になし得るものでない。

(15)小括
以上のとおり、本件発明1−10は、甲1発明及び各甲号証記載の技術的事項に基いて、容易に想到し得るものではないから、その他の相違点について検討するまでもなく、取消理由4によって、本件特許を取り消すことはできない。

5.特許異議申立理由及び特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、特許異議申立書において、理由1:特許法第36条第6項第2号、理由2:特許法第36条第6項第1号、理由3:特許法第36条第4項第1号、理由4:特許法第29条第2項、の特許異議申立理由を主張しているところ、それぞれ合議体が取消理由通知(上記第4を参照)で通知した取消理由であるから、特許異議申立理由において、合議体が判断していない理由は見当たらない。
また、特許異議申立人は、令和4年2月28日提出の意見書において、概ね以下の点を主張し、合わせて甲15−甲17を提出したので(なお、甲15−17について、その標目の記載は省略する。)、以下に検討する。

(1)特許法第36条第6項第2号の取消理由について
ア 「炭化が進む炭化温度」なる温度が一義に定まらず、「炭化が進む炭化温度」は明確でない。(意見書1−5ページ)

イ 特許権者は、意見書において、「炭化温度」が、「炭化が進む温度」又は「炭化が進む温度」と同じ意味の「炭化が始まる温度」である旨主張しているが、本件特許発明において「炭化が進む温度」と「炭化が始まる温度」が異なる意味を有することは明白であり、「炭化が進む温度」は明確でない。(意見書5−6ページ)

ウ 「炭化温度」がどのような意味を有する温度であるか、当業者間で共通の認識は存在しないし、そのような認識が存在するとの証拠も示されていない。(意見書6ページ)

エ 特許権者は、意見書において、「炭化温度」が、材料によっては予め知られているものであるか、知られていないとしても実験により得られるものであることは出願時点において技術常識である旨主張しているが、「炭化温度」が材料によっては予め知られているものである主張を裏付ける事実について何ら示されておらず、また、どのような実験により炭化温度が得られるか不明である。(意見書6−7ページ)

オ 本件発明1−2,6−9の「加熱される」という文言は、加熱条件について何も特定していない。(意見書7−8ページ)

(2)特許法第36条第6項第1号の取消理由について
ア 特許権者は、意見書において、「炭化温度」が材料によっては予め知られているものであるか、知られていないとしても実験により得られるものであることは出願時点において技術常識である旨主張しているが、実験によって確認されるべき「炭化温度」が本件特許の明細書において実施例においてすら示されておらず、「炭化温度」がどの程度であるか把握できない。(意見書8−9ページ)

イ 特許権者は、意見書において、フラックスが単体で加熱された場合と、フラックスが半田に含有された状態で加熱された場合とで、フラックスが同様の振る舞いをすることは、出願時点において技術常識である旨主張しているが、技術常識を裏付ける証拠が示されておらず、むしろ、両者の挙動が同一であるとはいえない。また、両者に相関があるとしても、どのような相関があるか不明である。(意見書9−11ページ)

ウ 実施例1−3の揮発減少量を測定する際の昇温速度は、半田ごての囲み形状の内側で加熱される際の昇温速度と異なることから、炭化温度に到達するまでの加熱時間および総熱量が異なるので、実施例1−3の揮発減少量は、半田ごての囲み形状の内側で加熱され炭化温度に到達するまでに揮発するフラックスの揮発減少量とはいえない。(意見書11ページ)

(3)特許法第36条第4項第1号の取消理由について
ア 特許権者は、意見書において、「炭化温度」が材料によっては予め知られているものであるか、知られていないとしても実験により得られるものであることは出願時点において技術常識である旨主張しているが、「炭化温度」がどのような意味を有するか不明であるから、材料によっては予め知られているものであるか、知られていないとしても実験により得られるものであることは出願時点において技術常識である旨の主張は誤りである。材料によっては予め知られているものであることを裏付ける事実は示されていない。(意見書12ページ)

イ 特許権者は、意見書において、仮に、炭化温度に到達するまでにフラックスの不揮発量が0%のものがあったとしても、使用するフラックスの物理的性質として炭化温度が知られているものであれば、炭化温度を測定しなくても炭化温度を把握することができる旨主張しているが、炭化温度がわかっていない場合において、フラックスが完全に揮発する場合に炭化温度が確認できない。また、使用するフラックスの物理的性質として炭化温度が知られているという主張の根拠がない。(意見書12−13ページ)

(4)特許法第29条第2項の取消理由について
ア 甲11−甲13は、実施例に記載されたロジンの含有量に限定されるものでなく、ロジンを90質量%以上含むことを包含している。(意見書14ページ)

イ 本件特許発明においては加熱条件が特定されておらず、長時間かけて加熱する態様も含まれる。(意見書14ページ)

ウ 甲1発明において各甲号証記載の技術的事項を適用しても本件発明1の構成に到達することが容易でないとするのであれば、本件特許の明細書は特許法第36条第4項第1号の記載要件を満たすものとはいえない。(意見書15ページ)

6.特許異議申立人の主張についての検討
以下、上記5.の特許異議申立人の主張について、それぞれ検討する。

(1)特許法第36条第6項第2号の主張について
ア 上記5.(1)アに関して、上記1.(2)アで説示したとおり、乙1(段落【0010】)、乙2(段落【0025】)にも記載されているように、「炭化温度」が、「炭化が進む温度」又は「炭化が進む温度」と同じ意味の「炭化が始まる温度」であって、材料の成分に応じて定まる温度であることが明らかであり、また、本件特許の明細書の発明の詳細な説明をみた当業者であれば、「炭化温度」が材料の成分に応じて定まる温度であることは明らかであることから、「炭化が進む炭化温度」なる温度が一義に定まらず、「炭化が進む炭化温度」は明確でないとはいえない。

イ 上記5.(1)イに関して、上記1.(2)アで説示したとおり、本件特許の明細書の発明の詳細な説明をみた当業者であれば、「炭化温度」が、「炭化が進む温度」と同じ意味の「炭化が始まる温度」を表しているは明らかである。

ウ 上記5.(1)ウに関して、上記1.(2)アで説示したとおり、乙1(段落【0010】)、乙2(段落【0025】)にも記載されているように、「炭化温度」が、「炭化が進む温度」又は「炭化が進む温度」と同じ意味の「炭化が始まる温度」であって、材料の成分に応じて定まる温度であることが明らかである。

エ 上記5.(1)エに関して、乙2の段落【0025】には、炭化温度について、親水性高分子基材がパルプである場合190℃であり、再生セルロースである場合180℃である点が記載されていることは、材料によっては炭化温度が予め知られているものである主張を裏付ける事実であるといえる。
また、親水性高分子基材がパルプや再生セルロースの炭化温度は、所定の実験により得られるものであるといえることから、実験が具体的に示されていないことにより本件発明が不明確であるとまではいえない。

オ 上記5.(1)オに関して、本件発明1−2,6−9は、半田ごての囲み形状の内側で加熱される点が特定されることから、加熱条件は、半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された半田ごてにおいて通常用いられる加熱条件であるといえる。

カ よって、特許法第36条第6項第2号についての特許異議申立人の主張は採用できない。

(2)特許法第36条第6項第1号の主張について
ア 上記5.(2)アに関して、上記1.(2)アで説示したとおり、乙1(段落【0010】)、乙2(段落【0025】)にも記載されているように、「炭化温度」が、「炭化が進む温度」又は「炭化が進む温度」と同じ意味の「炭化が始まる温度」であって、材料の成分に応じて定まる温度であることが明らかであることから、「炭化温度」がどの程度であるか把握できないとまではいえない。

イ 上記5.(2)イに関して、上記2.(2)イで説示したとおり、フラックスは半田に含有される際に、段落【0047】に記載されているように、単に、物理的に半田に含有されているものであり、半田とフラックスを反応させるようなことは記載されていないことから、フラックス自体の性質に変化が生じておらず、フラックスが単体で加熱された場合と、フラックスが半田に含有された状態で加熱された場合とで、フラックスの揮発性等の振る舞いについては相関性を有すると理解できる。

ウ 上記5.(2)ウに関して、本件発明は、半田(又は糸半田)に含有された状態のフラックスが、半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された半田ごてにおいて通常用いられる加熱条件において、材料の成分に応じて定まる温度である「炭化温度」に到達するまでに90%以上揮発するものであるところ、実施例1−3の揮発減少量を測定する際の昇温速度が半田ごての囲み形状の内側で加熱される際の昇温速度と異なるからといって、本件発明が、発明の詳細な説明において課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとまではいえず、発明の詳細な説明に記載されたものでないということできない。

エ よって、特許法第36条第6項第1号についての特許異議申立人の主張は採用できない。

(3)特許法第36条第4項第1号の主張について
ア 上記5.(3)アに関して、上記1.(2)アで説示したとおり、乙1(段落【0010】)、乙2(段落【0025】)にも記載されているように、「炭化温度」が、「炭化が進む温度」又は「炭化が進む温度」と同じ意味の「炭化が始まる温度」であって、材料の成分に応じて定まる温度であることが明らかである。また、乙2の段落【0025】には、炭化温度について、親水性高分子基材がパルプである場合190℃であり、再生セルロースである場合180℃である点が記載されていることは、材料によっては炭化温度が予め知られているものである主張を裏付ける事実であるといえる。

イ 上記5.(3)イに関して、上記1.(2)アで説示したとおり、乙1(段落【0010】)、乙2(段落【0025】)にも記載されているように、「炭化温度」が、「炭化が進む温度」又は「炭化が進む温度」と同じ意味の「炭化が始まる温度」であって、材料の成分に応じて定まる温度であることが明らかであることから、使用するフラックスが特定されれば、「炭化温度」を把握することは可能であるといえる。
加えて、半田ごての囲み形状の内側で加熱されるとフラックスが炭化することなく全て揮発するものであれば、炭化温度に到達するまでにフラックスが90%以上揮発していることは明らかである。

ウ よって、特許法第36条第4項第1号についての特許異議申立人の主張は採用できない。

(4)特許法第29条第2項の主張について
ア 上記5.(4)アに関して、甲11−甲13には、実施例に記載されたロジンの含有量に限定されるものでなく、ロジンを90質量%以上含むことを包含している旨の根拠は記載されていない。

イ 上記5.(4)イに関して、本件発明1−2,6−9は、半田ごての囲み形状の内側で加熱される点が特定されることから、加熱条件は、半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された半田ごてにおいて通常用いられる加熱条件であるといえ、フラックスを炭化できないような長時間かけて加熱する態様は含まれないことは明らかである。

ウ 上記5.(4)ウに関して、上記4.で説示したとおり、甲1発明において各甲号証記載の技術的事項を適用しても本件発明に到達することが容易でないし、上記3.で説示したとおり、本件発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないとはいえない。

エ よって、特許異議申立人の特許法第29条第2項に基づく主張については採用できない。


第6 むすび
以上のとおり、本件発明1−10に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由又は特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。
さらに、他に本件発明1−10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田ごてと、
前記半田ごてを加熱する加熱手段と、
前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置と、
前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けする半田付けシステムであって、
前記半田ごては、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田は、糸半田から切断された半田片であり、
前記半田および前記糸半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、前記半田または前記糸半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成である
半田付けシステム。
【請求項2】
半田ごてと、
前記半田ごてを加熱する加熱手段と、
前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置と、
前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けする半田付けシステムであって、
前記半田ごては、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、前記半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成である
半田付けシステム。
【請求項3】
前記糸半田から所定量の前記半田片を切断する手段と、
前記切断した前記半田片を前記半田ごての前記囲み形状の内側へ供給する半田導入筒とを備え、
前記半田導入筒から前記半田ごての前記囲み形状の内側へ前記半田片単体で供給された前記フラックス含有の前記半田片を、前記加熱手段で加熱された前記半田ごてにより前記囲み形状の内側にて溶融して前記半田付けを行う
請求項1記載の半田付けシステム。
【請求項4】
前記半田に含まれる前記フラックスのフラックス含有量が3重量%以下である請求項1、2、または3に記載の半田付けシステム。
【請求項5】
前記フラックスは、特殊変性ロジンとジエチルアミン・HBrと液状有機酸とを含有し、
前記特殊変性ロジン、前記ジエチルアミン・HBr、及び前記液状有機酸の含有量が、それぞれ約92重量%、3重量%、及び5重量%である
請求項1から4の何れかに記載の半田付けシステム。
【請求項6】
半田ごてと、前記半田ごてを加熱する加熱手段と、前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置が、前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けする半田付け方法であって、
前記半田ごては、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田は、糸半田から切断された半田片であり、
前記半田および前記糸半田は、フラックスが含有され、
前記駆動手段によって前記半田ごてと前記半田付け対象の相対位置を両者が当接する方向へ変化させて、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された前記半田ごてにより前記半田付け部の周囲を囲み、
加熱されると炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成であるフラックスが含有されている前記半田を前記加熱手段により加熱された半田ごての前記囲み形状の内側で加熱する
半田付け方法。
【請求項7】
半田ごてと、前記半田ごてを加熱する加熱手段と、前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置が、前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けする半田付け方法であって、
前記半田ごては、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成され、
前記半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、
前記駆動手段によって前記半田ごてと前記半田付け対象の相対位置を両者が当接する方向へ変化させて、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された前記半田ごてにより前記半田付け部の周囲を囲み、
加熱されると炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成であるフラックスが含有されている前記半田を前記加熱手段により加熱された半田ごての囲み形状内で加熱する
半田付け方法。
【請求項8】
半田ごてと、前記半田ごてを加熱する加熱手段と、前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置が、前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けし、半田付け製品を製造する半田付け製品製造方法であって、
前記駆動手段によって前記半田ごてと前記半田付け対象の相対位置を両者が当接する方向へ変化させて、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された前記半田ごてにより前記半田付け部の周囲を囲み、
前記半田は、糸半田から切断された半田片であり、
前記半田および前記糸半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、前記半田または前記糸半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発させる
半田付け製品製造方法。
【請求項9】
半田ごてと、前記半田ごてを加熱する加熱手段と、前記半田ごてと半田付け対象との相対位置を当接離間方向へ変化させる駆動手段を有する半田付け装置が、前記半田ごてによって溶融されて前記半田付け対象に半田付けされる半田を用いて半田付けし、半田付け製品を製造する半田付け製品製造方法であって、
前記駆動手段によって前記半田ごてと前記半田付け対象の相対位置を両者が当接する方向へ変化させて、前記半田付け対象の半田付け部の周囲を囲む囲み形状に形成された前記半田ごてにより前記半田付け部の周囲を囲み、
前記半田は、フラックスが含有され、
前記フラックスは、基材として軟化点74度のロジンを含有し、前記半田に含有された状態で前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発させる
半田付け製品製造方法。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか1つに記載の半田付けシステムに用いられ、
前記半田ごての前記囲み形状の内側で加熱されるものであり、フラックスが含有され、
前記フラックスは、加熱されると前記フラックスの炭化が進む炭化温度に到達するまでに90%以上揮発する構成であり、
円柱形で切断可能に形成されている
糸半田。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-03-30 
出願番号 P2016-201866
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B23K)
P 1 651・ 121- YAA (B23K)
P 1 651・ 536- YAA (B23K)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 見目 省二
特許庁審判官 久保田 信也
大山 健
登録日 2021-02-02 
登録番号 6831666
権利者 株式会社パラット 株式会社ニホンゲンマ
発明の名称 半田付けシステム、半田付け製品製造方法、半田付け方法、及び半田  
代理人 西原 広徳  
代理人 西原 広徳  
代理人 西原 広徳  

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