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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F24F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F24F
審判 全部申し立て 2項進歩性  F24F
管理番号 1386144
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-08-24 
確定日 2022-04-15 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6838595号発明「空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6838595号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−8〕について訂正することを認める。 特許第6838595号の請求項1、3、4、6ないし8に係る特許を維持する。 特許第6838595号の請求項2及び5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許6838595号の請求項1〜8に係る特許についての出願は、平成30年10月26日を出願日とするものであって、令和3年2月16日に特許権の設定登録がされ、令和3年3月3日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議申立ての経緯は、次のとおりである。
令和3年8月24日:特許異議申立人 伊藤 裕美(以下「特許異議申立人」という。)による特許異議の申立て
令和3年10月28日付け:取消理由通知書
令和3年12月28日:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和4年1月19日付け:訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項
令和4年2月15日:特許異議申立人による意見書の提出

第2 訂正の請求
1 訂正の内容
令和3年12月28日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次の事項からなる(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「吹出口(16)から吹き出される空気の上下の風向を調整する風向調整部材(14,17)、前記風向調整部材(14、17)を駆動する駆動部材(15、18)、及び、前記駆動部材(15、18)を駆動制御する制御部(8)を備えた室内機(1)と、
前記室内機(1)と一体又は別体で設けられ、前記制御部(8)に風向調整部材についてのメンテナンス信号及びメンテナンス解除信号を含む制御信号を送信する操作部(23)と、
を備えた空気調和機であって、
前記制御部(8)は、前記操作部(23)からメンテナンス信号を受信することにより、前記駆動部材(15、18)を駆動制御して前記風向調整部材(14、17)を、前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行し、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号以外の制御による制御を実行しない、空気調和機。」と記載されているのを、
「吹出口(16)から吹き出される空気の上下の風向を調整する風向調整部材(14、17)、前記風向調整都材(14、17)を駆動する駆動部材(15、18)、及び、前記駆動部材(15、18)を駆動制御する制御部(8)を備えた室内機(1)と、
前記室内機(1)と一体又は別体で設けられ、前記制御部(8)に風向調整部材についてのメンテナンス信号及びメンテナンス解除信号を含む制御信号を送信する操作部(23)と、
を備えた空気調和機であって、
前記制御部(8)は、前記操作部(23)からメンテナンス信号を受信することにより、前記駆動部材(15、18)を駆動制御して前記風向調整部材(14、17)を、前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行し、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しないで、
前記メンテナンス処理を実行中であることを表示する表示部(22)をさらに備え、
前記操作部(23)はリモコン(3)に設けられ、
前記表示部(22)は、前記リモコン(3)に設けた表示画面(22)であり、
前記表示画面には、前記操作部(23)の操作によって表示されたメニュー画面に設定可能なモードを切替可能に表示し、前記モードには、前記メンテナンス処理を実行するためのメンテナンスモードが含まれる、空気調和機。」と訂正する(下線は、訂正箇所を示す。以下同様である。)。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3において、
「前記制御部(8)は、前記メンテナンス信号を受信することにより、実行中の他の処理を中止し、少なくとも室内ファン(6)を停止した後、前記メンテナンス処理を実行する、請求項1又は2に記載の空気調和機。」と記載されているのを、
「前記制御部(8)は、前記メンテナンス信号を受信することにより、実行中の他の処理を中止し、少なくとも室内ファン(6)を停止した後、前記メンテナンス処理を実行する、請求項1に記載の空気調和機。」と訂正する。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4において、
「前記風向調整部材(14、17)は、第1風向調整部材(17)と、前記第1風向調整部材(17)よりも上方側に配置される第2風向調整部材(14)とからなり、
前記制御部(8)は、前記メンテナンス処理において前記第2風向調整部材(14)に比べて前記第1風向調整部材(17)の開度が大きくなるように前記駆動部材を駆動制御する、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機。」と記載されているのを、
「前記風向調整部材(14、17)は、第1風向調整部材(17)と、前記第1風向調整部材(17)よりも上方側に配置される第2風向調整部材(14)とからなり、
前記制御部(8)は、前記メンテナンス処理において前記第2風向調整部材(14)に比べて前記第1風向調整部材(17)の開度が大きくなるように前記駆動部材を駆動制御する、請求項1又は3に記載の空気調和機。」に訂正する。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6において、
「前記操作部(23)は決定ボタン(29)を有し、
前記表示画面(22)に、メニュー画面として前記メンテナンスモードを
表示した状態で、前記決定ボタン(29)を操作することにより、前記メン
テナンスモードを確定すると共に、ユーザに次の操作方法を示す表示を行い

前記次の操作方法に従って操作した場合にのみ、前記メンテナンス信号を
送信する、請求項5に記載の空気調和機。」
と記載されているのを、
「前記操作部(23)は決定ボタン(29)を有し、
前記表示画面(22)に、メニュー画面として前記メンテナンスモードを
表示した状態で、前記決定ボタン(29)を操作することにより、前記メン
テナンスモードを確定すると共に、ユーザに次の操作方法を示す表示を行い、
前記次の操作方法に従って操作した場合にのみ、前記メンテナンス信号を
送信する、請求項1に記載の空気調和機。」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存

(1) 訂正事項1について
ア 訂正の目的について
訂正事項1のうち、訂正前の請求項1に係る「前記メンテナンス処理を解
除するメンテナンス解除信号以外の制御による制御を実行しない」について
、「前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外
の制御を実行しない」とする訂正は、その記載を日本語として意味するとこ
ろを明確にするものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に
規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項1のうち、訂正後の請求項1に係る、「前記メンテナンス
処理を実行中であることを表示する表示部(22)をさらに備え、
前記操作部(23)はリモコン(3)に設けられ、
前記表示部(22)は、前記リモコン(3)に設けた表示画面(22)で
あり、
前記表示画面には、前記操作部(23)の操作によって表示されたメニュ
ー画面に設定可能なモードを切替可能に表示し、前記モードには、前記メン
テナンス処理を実行するためのメンテナンスモードが含まれる、」と特定す
る訂正は、空気調和機について、メンテナンス処理と、メンテナンス処理を
実行するためのメンテナンスモードとを、具体的に特定して限定するもので
あるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の
範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1の制御部の制御について、明細書には、以下の事項が記載されている。
「【0046】
(室内機1でのメンテナンス解除処理)
制御部8では、図9のフローチャートに示すように、リモコン3からお手入れ解除信号を受信すれば(ステップS41)、第1モータ15及び第2モータ18を駆動して上フラップ14及び下フラップ17をお手入れ用開放位置から閉鎖位置へと回動させる(ステップS42)。この状態では、前述のように、全ての駆動部分が停止しているので、次にリモコン3が操作されるまで空気調和機は運転を停止したままとなる。
【0047】
このように、一旦、お手入れ処理に移行すれば、リモコン3を操作しようとしても、前述の解除処理が実行されない限り、他の操作ボタン23を操作しても空調処理が開始されることはない。したがって、ユーザが上フラップ14及び下フラップ17の拭き取り作業中に誤操作で、例えば、室内ファン6が駆動して布等が巻き込まれる等の不具合が発生することはない。」
これらの記載に基づけば、「前記制御部(8)は、前記操作部(23)からメンテナンス信号を受信することにより、前記駆動部材(15、18)を駆動制御して前記風向調整部材(14、17)を、前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行し」た後は、「前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しない」ことが記載されており、「前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しない」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正前の請求項2には、「前記メンテナンス処理を実行中であることを表示する表示部(22)をさらに備える、請求項1に記載の空気調和機。」と記載され、訂正前の請求項5には、「前記操作部(23)はリモコン(3)に設けられ、前記表示部(22)は、前記リモコン(3)に設けた表示画面(22)であり、前記表示画面には、前記操作部(23)の操作によって表示されたメニュー画面に設定可能なモードを切替可能に表示し、前記モードには、前記メンテナンス処理を実行するためのメンテナンスモードが含まれる、請求項2に記載の空気調和機。」と記載されているから、訂正事項1の「前記メンテナンス処理を実行中であることを表示する表示部(22)をさらに備え、
前記操作部(23)はリモコン(3)に設けられ、
前記表示部(22)は、前記リモコン(3)に設けた表示画面(22)であり、
前記表示画面には、前記操作部(23)の操作によって表示されたメニュー画面に設定可能なモードを切替可能に表示し、前記モードには、前記メンテナンス処理を実行するためのメンテナンスモードが含まれる」は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
本件訂正は、上記アのように訂正前の請求項1における記載を明瞭にし、さらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当しない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(2) 訂正事項2について
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、請求項2を削除するというものであるから、当該訂正事項
2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範
囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲
内の訂正であること
訂正事項2は、請求項2を削除するというものであるから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、請求項2を削除するというものであるから、当該訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。
(3) 訂正事項3について
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、請求項3の従属先を示す「請求項1又は2に記載」から「請求項1に記載」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項3は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(4) 訂正事項4について
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、請求項4の従属先を示す「請求項1から3のいずれか1項に記載」から「請求項1又は3に記載」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(5) 訂正事項5について
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、請求項5を削除するというものであるから、当該訂正事項
5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範
囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲
内の訂正であること
訂正事項5は、請求項5を削除するというものであるから、当該訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、請求項5を削除するというものであるから、当該訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合する。
(6) 訂正事項6について
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、訂正事項2、5の訂正に伴い、訂正前の請求項6の従属先を示す「請求項5に記載」から「請求項1に記載」に変更するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、当該訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである
3 一群の請求項について
本件訂正に係る訂正前の請求項1〜8について、請求項2〜8は、それぞれ請求項1を直接又は間接的に引用するものであって、本件訂正によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正は、訂正前の請求項〔1〜8〕の一群の請求項について請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合するものである。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1〜8〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正後の特許請求の範囲の記載は以下のとおりであり、本件訂正後の本件特許の請求項1〜8に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」などという。また、まとめて、「本件訂正発明」ともいう。)は、それぞれ本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
吹出口(16)から吹き出される空気の上下の風向を調整する風向調整部材(14、17)、前記風向調整都材(14、17)を駆動する駆動部材(15、18)、及び、前記駆動部材(15、18)を駆動制御する制御部(8)を備えた室内機(1)と、
前記室内機(1)と一体又は別体で設けられ、前記制御部(8)に風向調整部材についてのメンテナンス信号及びメンテナンス解除信号を含む制御信号を送信する操作部(23)と、
を備えた空気調和機であって、
前記制御部(8)は、前記操作部(23)からメンテナンス信号を受信することにより、前記駆動部材(15、18)を駆動制御して前記風向調整部材(14、17)を、前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行し、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しないで、
前記メンテナンス処理を実行中であることを表示する表示部(22)をさらに備え、
前記操作部(23)はリモコン(3)に設けられ、
前記表示部(22)は、前記リモコン(3)に設けた表示画面(22)であり、
前記表示画面には、前記操作部(23)の操作によって表示されたメニュー画面に設定可能なモードを切替可能に表示し、前記モードには、前記メンテナンス処理を実行するためのメンテナンスモードが含まれる、空気調和機。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記制御部(8)は、前記メンテナンス信号を受信することにより、実行中の他の処理を中止し、少なくとも室内ファン(6)を停止した後、前記メンテナンス処理を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記風向調整部材(14、17)は、第1風向調整部材(17)と、前記第1風向調整部材(17)よりも上方側に配置される第2風向調整部材(14)とからなり、
前記制御部(8)は、前記メンテナンス処理において前記第2風向調整部材(14)に比べて前記第1風向調整部材(17)の開度が大きくなるように前記駆動部材を駆動制御する、請求項1又は3に記載の空気調和機。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記操作部(23)は決定ボタン(29)を有し、
前記表示画面(22)に、メニュー画面として前記メンテナンスモードを表示した状態で、前記決定ボタン(29)を操作することにより、前記メンテナンスモードを確定すると共に、ユーザに次の操作方法を示す表示を行い、
前記次の操作方法に従って操作した場合にのみ、前記メンテナンス信号を送信する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記メンテナンス信号の送信後、前記表示画面(22)に、前記メンテナンス処理を解除する際の解除操作方法を表示する、請求項6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記解除操作方法に従って操作した場合にのみ、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号を送信する、請求項7に記載の空気調和機。」

第4 取消理由の概要
1 (新規性) 請求項1、2、5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物(甲第1号証)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、2、5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
2 (進歩性) 請求項1〜8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物(甲第1号証〜甲第4号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3 (明確性) 請求項1に係る特許は、「前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号以外の制御による制御を実行しない」と記載が日本語としてその意味するところが不明確であって、特許請求の範囲の記載に不備があるため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

<甲号証>
甲第1号証:国際公開第2017/130320号
甲第2号証:特開2003−240259号公報
甲第3号証:特開2015−143592号公報
甲第4号証:特開2016−115224号公報
(当審注:以下、上記「甲第1号証」ないし「甲第4号証」を「甲1」ないし「甲4」という。)

第5 当審の判断
1 各甲号証の記載等
(1) 甲1
ア 甲1の記載
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審が参考のため付与したものである。)。
(ア) 「[0001] 本発明は、内部のお手入れの作業性の向上を図った空気調和機の室内機に関するものである。」
(イ) 「[0015] 室内機2は、図2に示すように、横長の直方体形状に形成された筐体20を有する。ただし、筐体20は、横長の直方体形状に限定されず、図3に示すように前面吸込み口21a及び天面吸込み口21bのような室内空気を吸い込むための開口部と、下面の吹出し口22のような空調空気を吹き出すための開口部とが一箇所以上設けられている箱体形状であれば、いかなる形状でもよい。」
(ウ) 「[0019] 吹出し口22の近傍には、水平または左右の風向を変更する左右風向板36と、鉛直または上下の風向を変更する上下風向板28とが設けられている。なお、左右風向板36は、一部が着脱可能に設けられており、上下風向板28は、全部が着脱可能に設けられている。
[0020] 上下風向板28は、図3に示すように、筐体20の下面の一部を構成し、筐体20の内部の背面側に設けられたケーシング背壁39の下部の近傍に配置され、上下風向支持部材29によって上下風向板回転軸30の回りを回動可能に支持されている。この上下風向板28は長手方向に沿って延びており、上下方向について吹出し口22から吹出される空気の風向を変更するとともに、吹出し口22の開閉を行う。
[0021] この上下風向板28は、駆動モータ(図示せず)が駆動されることによって、上下風向板回転軸30を中心に上側構造当たり(全閉状態)から下側構造当たり(全開状態)までの範囲を回動できるようになっている。」
(エ) 「[0023] 図4は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機1のリモートコントローラ71の外観図である。
本実施の形態1に係る空気調和機1の室内機2は、図4に示すように、室内機2を遠隔操作するリモートコントローラ71を備えている。また、図3に示すように、リモートコントローラ71の操作または直接操作に応じて、室内機2の運転を制御する制御装置70が設けられている。」
(オ) 「[0025] <お手入れの手順>
リモートコントローラ71は、図4に示すように、室内機2に指示信号を発信する発信部72と、設定内容を表示する液晶画面73と、電源を入り切りする電源ボタン74と、筐体20の内部の点検、清掃など保守に関する動作であるお手入れ動作の開始をする際に押す、つまり、お手入れ動作の開始を指示するお手入れ開始ボタン75と、お手入れ動作が完了した際に押す、つまり、お手入れ動作の完了を指示するお手入れ完了ボタン76と、を備えている。また、室内機2には、リモートコントローラ71から送信された指示信号を受信するための受信部(図示せず)を備えている。リモートコントローラ71に、お手入れ開始ボタン75とお手入れ完了ボタン76とを備えているので、ユーザーは取扱説明書を見なくても、お手入れが可能であることを容易に認識することができる。
[0026] なお、本実施の形態1では、リモートコントローラ71に、お手入れ開始ボタン75と、お手入れ完了ボタン76とを備えている場合について説明するが、1つのボタンでお手入れの開始動作と完了動作を交互に送信する構成にしてもよい。そうすることで、リモートコントローラ71のボタン数の削減を図ることができる。
[0027] また、メニュー項目の中にお手入れ開始機能、お手入れ完了機能を持たせ、選択操作により、信号を送信してもよい。また、お手入れ開始ボタン75及びお手入れ完了ボタン76の代わりにスイッチなどでもよい。また、例えば室内機2にお手入れ動作の開始を指示する手段を設けるなど、リモートコントローラ71の代わりにお手入れ動作を指示する手段を設けてもよい。
なお、リモートコントローラ71は、本発明の「指示手段」に相当する。
[0028] ユーザーが、空気調和機1が停止中に、リモートコントローラ71のお手入れ開始ボタン75を押すことにより、お手入れ動作の開始が指示され、制御装置70はお手入れ動作を開始する。ここで、空気調和機1が運転中にお手入れ開始ボタン75を押した場合は、制御装置70はその操作、つまりお手入れ動作の開始の指示を受け付けず、無効操作として液晶画面73に無効操作の表示をする。逆に言うと、制御装置70は空気調和機1が運転停止時のみお手入れ開始ボタン75の操作を受け付ける。これは、室内機2の運転中は室内送風機5が駆動しており、駆動中の室内送風機5にユーザーが触れたりするのを防止するため、お手入れできないようにしている。
[0029] なお、お手入れ開始ボタン75を押すと強制的に運転を停止する仕様も可能ではあるが、誤操作による運転停止を防ぐことを目的として、本実施の形態1では、運転中のお手入れ開始ボタン75の操作は無効操作としている。また、お手入れ動作の開始後は、お手入れ完了するまでお手入れ動作中であることを音、光などの報知手段で報知することで、ユーザーによる誤操作を抑制することができる。また、お手入れ動作中は他の動作を受け付けなくすることで、例えばお手入れ中に室内送風機5が駆動したりするのを防ぐことができる。なお、報知手段は例えばLED、スピーカーなどであり、室内機2に設けてもよいし、リモートコントローラ71に設けてもよい。
[0030] 図5は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機1の室内機2のお手入れ時を側面側から見た断面概略図である。
次に、お手入れ開始ボタン75を押した後の室内機2の動作について図5を用いて説明する。
空気調和機1の運転停止中に、リモートコントローラ71のお手入れ開始ボタン75が押されると、制御装置70は、お手入れ開始ボタン75の操作を受け付ける。つまり、制御装置70は、お手入れ動作の開始の指示を受け付ける。その後、お手入れ動作が開始され、上下風向板28は、上下風向板駆動用モータ51(後述する図8参照)が回転することで上下風向板回転軸30を中心として回転し、停止時に意匠面をなす面(以下、意匠面と称する)と反対側の面(以下、内側面と称する)が正面を向く状態で上下風向板28が停止する。
[0031] 図6は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機1の室内機2のお手入れ時を正面側から見た斜視図であり、図7は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機1の室内機2の上下風向板着脱機構部56の拡大図である。
お手入れ開始ボタン75が押されると、お手入れ動作が開始され、図6に示すように、上下風向板28は、停止時に内側面が正面を向く状態で停止し、図7に示すように、上下風向板28を着脱する際に操作する上下風向板着脱機構部56が露出する。つまり、上下風向板着脱機構部56が外から見えるようになる。さらに、上下風向板着脱機構部56の近傍には、上下風向板28の着脱操作方法28aが記載されており、取扱説明書を見なくても、着脱操作方法が容易に分かる。」
(カ) 「[0038] ケーシング背壁39、ケーシング前壁40、及び、室内送風機5のお手入れが完了した後は、左右風向板36を元に戻し、上下風向板28を室内機2に取り付ける。上下風向板28を取り付けた後、リモートコントローラ71のお手入れ完了ボタン76が押されると、制御装置70は、お手入れ完了ボタン76の操作を受け付ける。つまり、制御装置70は、お手入れ動作の完了の指示を受け付ける。その後、上下風向板28が停止状態(図3参照)に戻る。そして、お手入れ動作が完了したことを光、音などの報知手段で報知することで、お手入れ動作が完了したことをユーザーに知らせることができる。」
(キ) 「[0042] なお、一般に室内機2は高所に取り付けられることから、上下風向板28を取り外す作業の実施中に、他者がリモートコントローラ71を操作して不意に運転が開始することで、ユーザーが驚いて転落してしまう可能性がある。そこで、その予防のために、電源プラグ(図示せず)を抜いてからの作業を推奨しており、リモートコントローラ71のお手入れ開始ボタン75が押されると、上下風向板28が回動するとともに、液晶画面73には、「電源プラグをコンセントから抜いてください」というメッセージを表示して、電源プラグをコンセントから抜く操作をユーザーに促すことで、さらに安全性を高めることができる。」
(ク) 「[0058] <お手入れの手順>
図13は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機1の室内機2のお手入れ時を側面側から見た断面概略図であり、図14は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機1の室内機2のお手入れ時に上下風向板28を取り外した状態を側面側から見た断面概略図であり、図15は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機1の室内機2の吹出し口22近傍の左右風向板36を取り外した状態を下面側から見た斜視図である。
[0059] 次に、本実施の形態2のお手入れ作業の手順について図13−図15を用いて説明する。
なお、リモートコントローラ71の構成については、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
リモートコントローラ71のお手入れ開始ボタン75を押すと、制御装置70はお手入れ開始ボタン75の操作を受け付ける。その後、お手入れ動作が開始され、図13に示す位置に、上下風向板28、第一上下補助風向板31、第二上下補助風向板33の順に回動する。つまり、第一上下補助風向板31、及び、第二上下補助風向板33は可動範囲内で最前部に移動し、上下風向板28は可動範囲内で最後部に移動する。
次に、実施の形態1と同様の手順により上下風向板28を取り外すと、図14に示した状態になる。
[0060] 次に、実施の形態1と同様の手順により左右風向板36を回動させると、図15に示した状態になる。
お手入れ開始ボタン75が押下されたら、お手入れ動作が開始され、第一上下補助風向板31及び第二上下補助風向板33は、可動範囲内で最前部となる位置に移動する。つまり、左右風向板台座61の回動軌跡よりも外側に移動しており、左右風向板36の着脱の妨げにならない位置に移動している。そのため、第一上下補助風向板31及び第二上下補助風向板33を取り外す必要がなく、実施の形態1に比べて作業性を悪化させることなく、ケーシング背壁39、ケーシング前壁40、及び、室内送風機5のお手入れを行うことができる。
[0061] ケーシング背壁39、ケーシング前壁40、及び、室内送風機5のお手入れが完了した後は、左右風向板36を元に戻し、上下風向板28を室内機2に取り付ける。上下風向板28を取り付けた後、リモートコントローラ71のお手入れ完了ボタン76が押されると、制御装置70はお手入れ完了ボタン76の操作を受け付ける。その後、第二上下補助風向板33、第一上下補助風向板31、上下風向板28の順で停止状態、つまり、図11に示す位置に戻る。」
(ケ) 「





(コ) 「


(サ) 上記(エ)の[0023]及び第4図から、リモートコントローラは室内機と別体で設けられていることが分かる。
(シ) 上記(オ)の[0027]、[0030]より、リモートコントローラは、室内機の制御装置に、上下風向板についてのお手入れ動作の開始の指示及びお手入れ動作の完了の指示を含む信号を送信するものであることが分かる。
(ス) 上記(オ)の[0025]及び図4より、リモートコントローラは、設定内容を表示する液晶画面と、電源を入り切りする電源ボタン等の操作部を有していることが分かる。
(セ) 上記(オ)の[0027]及び図4の各ボタン配置から、リモートコントローラの液晶画面のメニュー項目の中に、お手入れ開始機能、お手入れ完了機能を持たせ、リモートコントローラの操作部による選択操作により、信号を送信することが分かる。
イ 甲1発明
上記アを総合し、本件訂正発明1に倣って整理すると、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内は、上記アの参照箇所を示す。)。
「吹出し口から吹き出される空気の上下の風向を変更する上下風向板と、前記上下風向板を駆動する上下風向板駆動用モータと、前記上下風向板駆動用モータを駆動制御する制御装置と、を有する室内機と([0015]、[0019]〜[0021]、[0023]、[0030]、図3)、
前記室内機と別体で設けられ、前記制御装置に前記上下風向板についてのお手入れ動作の開始の指示及びお手入れ動作の完了の指示を含む信号を送信するリモートコントローラと、を備えた空気調和機であって([0023]、[0025]、[0030]、[0038]、図4)、
前記制御装置は、前記リモートコントローラの操作部からお手入れ動作の開始の指示を受信することにより、前記上下風向板駆動用モータを駆動制御して、前記上下風向板を内側面が正面を向く状態に回転させて停止させるお手入れ動作を実行し、お手入れ動作中は他の動作を受け付けないようにし、前記リモートコントローラのお手入れ完了ボタンが押されると、お手入れ動作の完了の指示を受け付けて、前記上下風向板を停止状態に戻し([0025]、[0029]、[0030]、[0038]、図3〜図5)、
前記リモートコントローラは、液晶画面を備え([0025]、図4)、
前記操作部が前記リモートコントローラに設けられ(上記ア(セ))、
前記液晶画面は、前記リモートコントローラに設けた表示画面であり(上記ア(セ))、
前記液晶画面のメニュー項目の中に、お手入れ開始機能、お手入れ完了機能を持たせ、選択操作により、信号を送信する(上記ア(セ))、
空気調和機。」
(2) 甲2
ア 甲2の記載
(ア) 「【請求項1】 気体を送風する送風装置であって、
筐体と、
前記筐体に着脱可能に設置され、前記筐体の内部から外部へ送出される気体の吹出口に配置された吹出口部材と、
前記気体の送出を制御する制御部と、
前記吹出口部材の着脱を検出して前記制御部に通知する第1の検出手段と、
前記吹出口部材の着脱を検出して、前記吹出口部材の着脱状態に基づいて送風装置の運転電源のON/OFFを切替える第2の検出手段とを備える、送風装置。」
(イ) 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、送風装置およびその制御方法に関し、より特定的には、着脱自在な吹出口部材を備える送風装置およびその制御方法に関する。」
(ウ) 「【0043】次に、図4〜図6に示したように吹出口部材7(以下ルーバユニットともいう)を室内機の本体から取外す工程を実施する際に、室内機において行なわれる制御について、図7〜図9を参照して説明する。
【0044】図8に示すように、吹出口部材7を取外す工程を開始した後(S110)、図5に示すように吹出口部材7が矢印16aに示した方向へとスライドする。このため、マイコン側スイッチ13の入力部13aから吹出口部材7のスイッチ押圧部15が離れた状態となる。この結果、マイコン側スイッチ13(マイコン側マイクロスイッチともいう)がOFF状態になる(S120)。このようにマイコン側スイッチ13がOFF状態となるので、図7に示すように、マイコン側スイッチ13に接続されていたマイクロコンピュータ33のポートにおいて検出される電圧がたとえば5Vから0Vに変化する。
【0045】マイクロコンピュータ33においてマイコン側スイッチ13に接続されていたポートの電圧が0Vになったことを検知すると、マイクロコンピュータ33において図8に示すように空気調和機(エアコンともいう)が運転中であるかどうかを確認する工程(S130)を実施する。そして、エアコンが運転中であれば、マイクロコンピュータ33(図7参照)を含む制御部26(図7参照)は、図8に示すように、送風停止工程としてエアコンの運転を即時に停止するように制御を行なう(S150)とともに、表示部23(図3参照)において使用者にエアコンが運転中であり危険であることを知らせるためのアラーム表示を行なう(S140)。なお、エアコンが運転中であるかどうかを確認する工程(S130)を実施するために要する時間はごく短いため、送風停止工程としてエアコンの運転を停止するように制御を行なう工程(S150)は、マイクロコンピュータ33においてマイコン側スイッチ13に接続されたポートの電圧が0Vになったことを検知したタイミングとほぼ同じ時点から開始される(送風停止工程が開始されるブレーキ動作開始時点は、マイコン側スイッチ13からマイクロコンピュータ33に吹出口部材7の移動が通知されることにより決定され、実質的にはマイクロコンピュータ33に吹出口部材7の移動が通知された時点とほぼ同じになる)。」
(エ) 「【0047】但し、エアコンの運転停止制御(S150)を行ななう場合には、通常のエアコンの運転停止時における制御のようにルーバ9、10(図1参照)を閉じる方向に動作させることはせず、ルーバ9、10は現状を維持したまま停止した状態とすることが好ましい。また、クロスフローファン4(図5参照)がたとえば150rpm以上で回転しているような場合には、クロスフローファン4(図5参照)を駆動する交流モータに所定の電圧を印加してクロスフローファン4にブレーキをかけることが好ましい。この場合、クロスフローファン4の停止までの時間を、単純に投入電力をゼロとした場合より短くできる。このときモータに印加する電圧パターンとしては、たとえば図9に示すような電圧パターンであってもよい。図9においては、縦軸がクロスフローファン4(図5参照)のモータに印加される電圧の値、横軸が時間をそれぞれ示している。」
(オ) 「


(カ) 「




(3) 甲3
ア 甲3の記載
(ア) 「【0032】
ある時点において、上下風向板12a,13aは図5に示すように一定角度で上方を向いているのに対し、上下風向板12b,13bは図6に示すように下方を向くようにする。このとき、上下風向板12a,13a,12b,13bは、それぞれ別角度となっている。本体10の左側の吹きだしは、図5に示すように、吹きだし風20が上下風向板12a,13aに沿って風路の上流側から下流側に向けて、徐々に拡大するように形成される。また、本体10の右側の吹きだしも、図6に示すように、吹きだし風20が上下風向板12b,13bに沿って風路の上流側から下流側に向けて、徐々に拡大するように形成される。
なお、上下風向板12a,13a,12b,13bは、左右が逆でも良く、また、左右の角度が時折、定期的もしくは不定期に入れ替わっても良い。」
(イ) 「【図5】


(4) 甲4
ア 甲4の記載
(ア) 「【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、操作頻度の高い運転設定項目を自動的にショートカットメニューに設定することができるリモコンを備えた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の課題を解決するものであって、本発明のリモコンは、電気機器本体を運転操作するものであって、表示部と操作部と制御部とを有し、表示部は、電気機器本体の運転状態と、電気機器本体の複数の運転設定項目メニューと、特定の運転設定項目を割り付ける少なくとも1つのショートカットメニューを表示し、操作部は、各運転設定項目の表示、選択および決定を行う複数のキーを有する。そして、制御部は、運転設定項目毎に操作部による操作回数を記憶し、操作回数が多いものを少なくとも1つ表示部にショートカットメニューとして表示する。」
(イ) 「【0015】
次に、リモコン20について説明する。リモコン20は、図3に示すように、使用者の操作を受け付ける操作部22と、運転情報や使用者がリモコン20を操作する際のメニュー画面等を表示する表示部23と、リモコン20の制御に関わるプログラムやデータ等を記憶する記憶部24と、室内機10に使用者が操作部22を操作して指示した運転内容に応じた信号を送信する送信部25と、時間を計測する計時部26と、使用者の操作に応じた室内機10への運転指示や表示部23に表示する画像データの表示制御を行う制御部21とを備えている。
【0016】
図2に示すように、リモコン20は樹脂材で略直方体形状に形成された筐体を有し、この筐体の表面には、操作部22や表示部23が備えられている。表示部23は、リモコン20の筐体表面上側に配置されており、ドットマトリクスタイプの液晶パネルで構成されている。表示部23には、後述する階層構造に構築された運転設定項目の設定手順に応じた設定画面が表示されるようになっているため、設定画面もこれに合わせて階層構造を有している。
【0017】
尚、図2では、表示部23に階層構造を有する設定画面の一つであり最上層の画面であるトップ画面23dが表示されている場合を図示している。このトップ画面23dには、室内機10の現在の運転モード、現在の設定温度、現在の時刻、後述する第1ショートカットメニュー23a、第2ショートカットメニュー23b、および第3ショートカットメニュー23cが表示される。
【0018】
操作部22は、リモコン20の筐体表面下側に配置されており、リモコン20の表示部23に表示される項目の選択に使用するカーソルキー22b、選択した項目を決定する決定キー22a、階層構造を有する設定画面の一つであり後述する運転設定項目メニュー画面23eを表示部23に表示させるためのメニューキー22c、空気調和機1の運転あるいは停止を指示する運転/停止キー22dが配置されている。」
(ウ) 「【0022】
使用者がリモコン20のメニューキー22cを押下すると、表示部23の表示が画面aのトップ画面23dから階層が1段階下の画面bの運転設定項目メニュー画面23eに切り替わる。」
2 理由についての判断
2−1 新規性(特許法第29条第1項)・進歩性(特許法第29条第2項)について
(1) 本件訂正発明1について
ア 対比
本件訂正発明1と、甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明の「吹出し口」は、本件訂正発明1の「吹出口」に相当し、以下同様に、
「上下風向板」は「上下の風向を調整する風向調整部材」に、
「上下風向板駆動用モータ」は「駆動部材」に、
「制御装置」は「制御部」に、
「お手入れ」は「メンテナンス」に、
「お手入れ動作の開始の指示」「を含む信号」は「風向調整部材についてのメンテナンス信号」に、
「お手入れ動作の完了の指示を含む」「信号」は「風向調整部材についての」「メンテナンス解除信号」に、
「リモートコントローラ」は「リモコン」に、
「上下風向板を内側面が正面を向く状態」は「前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置」に、
「室内機」は「室内機」に、
「空気調和機」は「空気調和機」に、
「操作部」は「操作部」に、
「液晶画面」は「表示部」及び「表示画面」に、
それぞれ相当する。
そうすると、甲1発明の「操作部」を有する「リモートコントラーラ」が「お手入れ動作の開始の指示及びお手入れ動作の完了の指示を含む信号を送信する」ことは、本件訂正発明1の「操作部(23)」が「メンテナンス信号及びメンテナンス解除信号を含む制御信号を送信する」ことに相当する。
また、甲1発明の「制御装置は、リモートコントローラからお手入れ動作の開始の指示を受信することにより、上下風向板駆動用モータを駆動制御して、上下風向板を内側面が正面を向く状態に回転させて停止させるお手入れ動作を実行」することは、本件訂正発明1の「前記制御部(8)は、前記操作部(23)からメンテナンス信号を受信することにより、前記駆動部材(15、18)を駆動制御して前記風向調整部材(14、17)を、前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行」することに相当する。
さらに、甲1発明の「お手入れ動作中は他の動作を受け付けないようにし、リモートコントローラのお手入れ完了ボタンが押されると、お手入れ動作の完了の指示を受け付けて、上下風向板を停止状態に戻」すことは、本件訂正発明1の「前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しない」ことに相当する。
甲1発明の「リモートコントローラは、液晶画面を備え」ることは、本件訂正発明1の「表示する表示部(22)をさらに備え」、「前記表示部(22)は、前記リモコン(3)に設けた表示画面(22)であ」ることに相当する。
甲1発明の「前記液晶画面のメニュー項目の中に、お手入れ開始機能、お手入れ完了機能を持たせ、前記操作部の選択操作により、信号を送信する」ことは、甲1の図4におけるリモートコントローラの液晶画面、ボタンの種類や配置からみて、甲1発明において、お手入れ動作を行う際に、操作部の選択操作により、液晶画面において、お手入れ動作のモードに切替えて表示すること明らかであるから、本件訂正発明1の「前記表示画面には、前記操作部(23)の操作によって表示されたメニュー画面に設定可能なモードを切替可能に表示し、前記モードには、前記メンテナンス処理を実行するためのメンテナンスモードが含まれる」ことに相当する。

そうすると、本件訂正発明1と甲1発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。

<一致点>
「吹出口から吹き出される空気の上下の風向を調整する風向調整部材、前記風向調整都材を駆動する駆動部材、及び、前記駆動部材を駆動制御する制御部を備えた室内機と、
前記室内機と一体又は別体で設けられ、前記制御部に風向調整部材についてのメンテナンス信号及びメンテナンス解除信号を含む制御信号を送信する操作部と、
を備えた空気調和機であって、
前記制御部は、前記操作部からメンテナンス信号を受信することにより、前記駆動部材を駆動制御して前記風向調整部材を、前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行し、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行せず、
表示する表示部をさらに備え、
前記操作部はリモコンに設けられ、
前記表示部は、前記リモコンに設けた表示画面であり、
前記表示画面には、前記操作部の操作によって表示されたメニュー画面に設定可能なモードを切替可能に表示し、前記モードには、前記メンテナンス処理を実行するためのメンテナンスモードが含まれる、空気調和機。」

<相違点>
メンテナンス処理及び表示について、本件訂正発明1は、「前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行し、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しないで、
前記メンテナンス処理を実行中であることを表示する」のに対して、 甲1発明はそのような特定を有していない点。

以下相違点について検討する。
甲1には、お手入れ動作及び表示について、「お手入れ動作の開始後は、お手入れ完了するまでお手入れ動作中であることを音、光などの報知手段で報知することで、ユーザーによる誤操作を抑制することができる。また、お手入れ動作中は他の動作を受け付けなくすることで、例えばお手入れ中に室内送風機5が駆動したりするのを防ぐことができる。なお、報知手段は例えばLED、スピーカーなどであり、室内機2に設けてもよいし、リモートコントローラ71に設けてもよい。」(上記1(1)ア(オ)の[0029])と記載されている。そして、当該記載は、「お手入れ動作中は他の動作を受け付けなくすることで、例えばお手入れ中に室内送風機5が駆動したりするのを防ぐこと」と「お手入れ動作中であることを音、光などの報知手段で報知する」こととを、接続詞「また、」で連結するもので、両者を必ず同時に行うことを特定するものではなく、むしろ、両者のうちのどちらかを選択的に行うことを記載しているといえる。
また、他の甲2〜甲4をみても、上記相違点に係る「前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行し、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しないで、
前記メンテナンス処理を実行中であることを表示する」構成は、記載も示唆もなされていない。
そして、本件訂正発明1は、「前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行し、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しない」という状態で、「前記メンテナンス処理を実行中であることを表示する」ことにより、「【0009】
この構成により、ユーザは表示部を見れば、メンテナンス処理が開始されていることを把握できる。」(本件特許明細書)、「前記メンテナンス処理の実行中、『メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御』(例えば、室内を冷房するための制御)をメニュー画面からユーザが選択しようとした場合、ユーザが所望した『メンテナンス解除信号による制御以外の制御』が実行されないが、この制御の不実行の原因はメンテナンス処理の実行であると、リモコンの表示画面の表示でユーザに容易に気付かせることができる。」(令和3年12月28日:特許権者による意見書第5ページ)、「もし、前記メンテナンス解除信号による制御以外の制御が行われない原因がメンテナンス処理の実行であると、ユーザが認識できなければ、室内機などが故障しているという誤解をユーザに与えてしまう。」(令和3年12月28日:特許権者による意見書第6ページ)との効果を奏するものであるから、当業者が適宜なし得た事項であるとすることはできない。
イ 以上のとおりであるから、相違点は実質的な相違点であり、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明であるとすることはできず、また、甲1発明、甲1〜甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件訂正発明3、4、6〜8について
本件訂正発明3、4、6〜8は、本件訂正発明1を直接あるいは間接的に引用するものであって、本件訂正発明1の発明特定事項の全て、含むものである。
そして、上記1で述べたとおり、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲1〜甲4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件訂正発明3、4、6〜8も、甲1発明及び甲1〜甲4に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないことが明らかである。
(3) 特許異議申立人の主張
ア 令和4年2月15日付けの意見書において、特許異議申立人は、以下の主張をしている。
「また、甲第1号証の[0042]には、お手入れ動作の実行中であることを他者が気づきやすいように、『リモートコントローラ71のお手入れ開始ボタン75が押されると、上下風向板28が回動するとともに、液晶画面73には、『電源プラグをコンセントから抜いてください』というメッセージを表示して、電源プラグをコンセントから抜く操作をユーザーに促すことで、さらに安全性を高めることができる。』と記載されている。これは、お手入れ動作の実行中であることの表示(報知)に他ならない。」(意見書第4ページ)
イ 以下に、特許異議申立人の上記主張について検討する。
液晶画面に、「電源プラグをコンセントから抜いてください」というメッセージが表示されたとしても、お手入れ動作中であることを表示するものではなく、また、お手入れ動作を行っている者以外の者が当該表示を見た場合に、必ず「メンテナンス処理を実行中であること」を認識できるものではなく、電源プラグをコンセントから抜かなければならない理由を直ちに把握することはできないので、上記主張は、採用できない。
2−2 明確性(特許法第36条第6項第2号)について
本件訂正により、請求項1は、「・・・前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しないで、・・・」と訂正されたことにより、日本語としてその意味するところが明確となったので、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1、3、4、6〜8に係る特許を取り消すことはできない。
また、請求項2及び5に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項2及び5に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
また、他に本件特許の請求項の請求項1、3、4、6〜8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口(16)から吹き出される空気の上下の風向を調整する風向調整部材(14、17)、前記風向調整部材(14、17)を駆動する駆動部材(15、18)、及び、前記駆動部材(15、18)を駆動制御する制御部(8)を備えた室内機(1)と、
前記室内機(1)と一体又は別体で設けられ、前記制御部(8)に風向調整部材についてのメンテナンス信号及びメンテナンス解除信号を含む制御信号を送信する操作部(23)と、
を備えた空気調和機であって、
前記制御部(8)は、前記操作部(23)からメンテナンス信号を受信することにより、前記駆動部材(15、18)を駆動制御して前記風向調整部材(14、17)を、前記吹出口が開放されるメンテナンス用開放位置に移動させるメンテナンス処理を実行し、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号による制御以外の制御を実行しないで、
前記メンテナンス処理を実行中であることを表示する表示部(22)をさらに備え、
前記操作部(23)はリモコン(3)に設けられ、
前記表示部(22)は、前記リモコン(3)に設けた表示画面(22)であり、
前記表示画面には、前記操作部(23)の操作によって表示されたメニュー画面に設定可能なモードを切替可能に表示し、前記モードには、前記メンテナンス処理を実行するためのメンテナンスモードが含まれる、空気調和機。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記制御部(8)は、前記メンテナンス信号を受信することにより、実行中の他の処理を中止し、少なくとも室内ファン(6)を停止した後、前記メンテナンス処理を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記風向調整部材(14、17)は、第1風向調整部材(17)と、前記第1風向調整部材(17)よりも上方側に配置される第2風向調整部材(14)とからなり、
前記制御部(8)は、前記メンテナンス処理において前記第2風向調整部材(14)に比べて前記第1風向調整部材(17)の開度が大きくなるように前記駆動部材を駆動制御する、請求項1又は3に記載の空気調和機。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記操作部(23)は決定ボタン(29)を有し、
前記表示画面(22)に、メニュー画面として前記メンテナンスモードを表示した状態で、前記決定ボタン(29)を操作することにより、前記メンテナンスモードを確定すると共に、ユーザに次の操作方法を示す表示を行い、
前記次の操作方法に従って操作した場合にのみ、前記メンテナンス信号を送信する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記メンテナンス信号の送信後、前記表示画面(22)に、前記メンテナンス処理を解除する際の解除操作方法を表示する、請求項6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記解除操作方法に従って操作した場合にのみ、前記メンテナンス処理を解除するメンテナンス解除信号を送信する、請求項7に記載の空気調和機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-04-06 
出願番号 P2018-201799
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (F24F)
P 1 651・ 121- YAA (F24F)
P 1 651・ 113- YAA (F24F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 松下 聡
特許庁審判官 山崎 勝司
林 茂樹
登録日 2021-02-16 
登録番号 6838595
権利者 ダイキン工業株式会社
発明の名称 空気調和機  
代理人 山崎 敏行  
代理人 山田 卓二  
代理人 山田 卓二  
代理人 山崎 宏  
代理人 磯江 悦子  
代理人 磯江 悦子  
代理人 山崎 宏  
代理人 山崎 敏行  
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