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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C09D
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:637  C09D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09D
管理番号 1386152
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-10-08 
確定日 2022-04-27 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6860046号発明「塗料、塗膜及び塗装方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6860046号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9について訂正することを認める。 特許第6860046号の請求項1〜9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6860046号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜9に係る特許についての出願は、令和元年8月13日を出願日とするものであって、令和3年3月30日に特許権の設定登録がされ、令和3年4月14日に特許掲載公報が発行され、その請求項1〜9に係る発明の特許に対し、令和3年10月8日にエスケー化研株式会社(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。
特許異議の申立て以後の手続の経緯は次のとおりである。
令和3年12月21日付け 取消理由通知
令和4年 2月 8日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年 2月15日付け 訂正請求があった旨の通知
なお、申立人は、令和4年2月15日付けの訂正請求があった旨の通知に対して、指定した期間内に応答しなかった。

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
令和4年2月8日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の「請求の趣旨」は『特許第6860046号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜9について訂正することを求める。』というものであり、その内容は、以下の訂正事項1〜9からなるものである(なお、訂正箇所に下線を付す。)。

(1)訂正事項1
訂正前の請求項1の「前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり、」との記載部分を、
訂正後の請求項1の「前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に訂正する。

(2)訂正事項2
訂正前の請求項2の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子のみからなるか、又は、前記同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり、」との記載部分を、
訂正後の請求項2の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に訂正する。

(3)訂正事項3
訂正前の請求項3の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子のみからなるか、又は、前記同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり、」との記載部分を、
訂正後の請求項3の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に訂正する。

(4)訂正事項4
訂正前の請求項4の「前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり、」との記載部分を、
訂正後の請求項4の「前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に訂正する。

(5)訂正事項5
訂正前の請求項5の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子のみからなるか、又は、前記同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり、」との記載部分を、
訂正後の請求項5の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に訂正する。

(6)訂正事項6
訂正前の請求項6の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子のみからなるか、又は、前記同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり、」との記載部分を、
訂正後の請求項6の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に訂正する。

(7)訂正事項7
訂正前の請求項7の「前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり、」との記載部分を、
訂正後の請求項7の「前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に訂正する。

(8)訂正事項8
訂正前の請求項8の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子のみからなるか、又は前記同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり、」との記載部分を、
訂正後の請求項8の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に訂正する。

(9)訂正事項9
訂正前の請求項9の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子のみからなるか、又は前記同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり、」との記載部分を、
訂正後の請求項9の「前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に訂正する。

2.本件訂正による訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「95質量%以上であり、」との記載部分を「95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に改めて、訂正前の「95質量%以上」の数値範囲から「100質量%」の場合を除いて限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

イ.特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項1は「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲が拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

ウ.新規事項の有無
訂正事項1は、訂正前の「95質量%以上」の数値範囲から「100質量%」の場合を除いて限定するものであって、新たな技術的事項を導入しないものであることが明らかであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
ア.訂正の目的
訂正事項2は、訂正前の複数のゲル状着色粒子に関する記載について「同系色のゲル状着色粒子のみからなるか、又は、前記」との記載箇所を削除して、同系色のゲル状着色粒子のみからなる選択肢を削除して限定するとともに、訂正前の請求項2の「95質量%以上であり、」との記載部分を「95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、」との記載に改めて、訂正前の「95質量%以上」の数値範囲から「100質量%」の場合を除いて限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

イ.特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
訂正事項2は「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲が拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

ウ.新規事項の有無
訂正事項2は、訂正前の範囲から同系色のゲル状着色粒子のみからなる選択肢を削除するとともに、それに応じて同系色のゲル状着色粒子の割合が「100質量%」の場合を除いたものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正事項3、5〜6及び8〜9について
訂正事項3、5〜6及び8〜9は、上記(2)ア.に示した理由と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項3、5〜6及び8〜9は、上記(2)イ.に示した理由と同様の理由により、実質上特許請求の範囲が拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項3、5〜6及び8〜9は、上記(2)ウ.に示した理由と同様の理由により、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項3、5〜6及び8〜9は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4及び7について
訂正事項4及び7は、上記(1)ア.に示した理由と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項4及び7は、上記(1)イ.に示した理由と同様の理由により、実質上特許請求の範囲が拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項4及び7は、上記(1)ウ.に示した理由と同様の理由により、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項4及び7は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3.まとめ
以上総括するに、訂正事項1〜9による本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、なおかつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6、7、8及び9について訂正を認める。

第3 本件発明
本件訂正により訂正された請求項1〜9に係る発明(以下「本1発明」〜「本9発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも2種が組み合わされた、塗料。
【請求項2】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とが組み合わされた、塗料。
【請求項3】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちのいずれか2種が組み合わされており、前記いずれか2種のゲル状着色粒子のうち相対的にサイズの大きい方のゲル状着色粒子の割合が、前記同系色のゲル状粒子の総質量に対して5.0〜40質量%である、塗料。
【請求項4】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む、被塗装面に形成された塗膜であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも2種が組み合わされた、塗膜。
【請求項5】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む、被塗装面に形成された塗膜であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とが組み合わされた、塗膜。
【請求項6】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む、被塗装面に形成された塗膜であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちのいずれか2種が組み合わされており、前記いずれか2種のゲル状着色粒子のうち相対的にサイズの大きい方のゲル状着色粒子の割合が、前記同系色のゲル状粒子の総質量に対して5.0〜40質量%である、塗膜。
【請求項7】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料を被塗装面に塗装する方法であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも2種を組み合わせる、塗装方法。
【請求項8】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料を被塗装面に塗装する方法であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とを組み合わせる、塗装方法。
【請求項9】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料を被塗装面に塗装する方法であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちのいずれか2種を組み合わせ、前記いずれか2種のゲル状着色粒子のうち相対的にサイズの大きい方のゲル状着色粒子の割合を、前記同系色のゲル状粒子の総質量に対して5.0〜40質量%とする、塗装方法。」

第4 取消理由通知の概要
令和3年12月21日付けの取消理由通知で通知された取消理由は、次の理由1〜3の取消理由からなるものである。

〔理由1〕本件特許の請求項2〜3、5〜6及び8〜9に係る発明は、本件出願日前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
刊行物1:特開平8−173899号公報(甲第1号証に同じ。)
刊行物2:特開2011−36849号公報(甲第2号証に同じ。)
よって、本件特許の請求項2〜3、5〜6及び8〜9に係る発明に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定に該当し取り消されるべきものである。

〔理由2〕本件特許の請求項2〜3、5〜6及び8〜9に係る発明は、本件出願日前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
刊行物1:特開平8−173899号公報(甲第1号証に同じ。)
刊行物2:特開2011−36849号公報(甲第2号証に同じ。)
刊行物3:特開2014−105228号公報
刊行物4:カタログ「水性シリコン系多彩模様塗料 水性ペリアート(R)UV」、日本ペイント株式会社、2018年8月現在(https://s3b-prd-nptuweb-01.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/product/document/document_file/%E6%B0%B4%E6%80%A7%E3%83%9A%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88UV_prd_217.pdf)
よって、本件特許の請求項2〜3、5〜6及び8〜9に係る発明に係る特許は、同法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定に該当し取り消されるべきものである。

〔理由3〕本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。
(あ)本件特許の請求項1〜9には「…同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上…」との記載があるが、その割合の上限が規定されていないので、同系色のゲル状着色粒子の割合が「100質量%」の態様も含まれるのか明確に理解することができない。
よって、本件特許の請求項1〜9に係る発明に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号の規定に該当し取り消されるべきものである。

第5 当審の判断
1.理由3(明確性要件)について
上記第4の〔理由3〕の記載不備は『本件特許の請求項1〜9には「…同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上…」との記載があるが、その割合の上限が規定されていないので、同系色のゲル状着色粒子の割合が「100質量%」の態様も含まれるのか明確に理解することができない。』というものであるが、本件訂正により、本1〜本9発明の複数のゲル状着色粒子の総質量に対する同系色のゲル状着色粒子の割合は「95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)」と訂正されたので、本件特許の請求項1〜9の記載は、特許を受けようとする発明が明確ではないとはいえない。
したがって、本件特許の請求項1〜9に係る発明に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであるとはいえない。

2.理由1(新規性)及び理由2(進歩性)について
(1)引用刊行物の記載事項
ア 上記刊行物1には、次の記載がある。
摘記1a:請求項8
「【請求項8】CIE 1976 L*a*b*色空間における色差ΔE(以下、「ΔE」という。)の最大値が5〜10になる複数色からなる、粒子径分布が1mm〜15mmの模様色形成分散相粒子と、該模様色形成分散相粒子を粒子状態で分散可能な透明の分散媒を、主要構成成分とする自然石調塗料組成物を、該模様色形成分散相粒子それぞれとのΔEのうち、最小値が0.1〜1になる色相の塗装下地に塗装することを特徴とする自然石調塗装方法。」

摘記1b:段落0007〜0008
「【0007】この、自然石調塗料組成物は上記のような構成であれば特に限定はされないが、具体例としては、例えば特開昭54−87738号公報に、「アクリル樹脂の中和物またはマレイン化ポリブタジエン系重合体の中和物を乳化剤として重合性ビニル単量体を乳化重合して得られる水分散性ビニル系重合体と該アクリル樹脂の中和物との混合物を主要成分とした着色水性塗料からなる分散相を、ポリアミノカルボン酸誘導体に合成樹脂エマルションおよび/または着色合成樹脂エマルション塗料を混合してなる分散媒中で撹拌分散し、分散粒子表面をゲル化させて水分散体とした水性多彩模様塗料」として記載されている多彩模様塗料で上記規定に該当するもの、特開平1−289877号公報に、「(1)水系塗料中に該塗料の分散媒に対し相溶性のない着色剤粒子及び液体含浸性のない中空状粒子を分散含有せしめた多彩模様塗料。(2)前記着色剤粒子が、水に対し相溶性のない着色塗料を水中に懸濁分散させて得られた粒子であることを特徴とする請求項1記載の多彩模様塗料。」として記載されている多彩模様塗料で上記規定に該当するものが挙げられる。特に、(a)ポリビニルアルコール水溶液に対して、(b)酸価を有するビニル系合成樹脂と着色材料を必須成分として含有する有機溶剤系組成物、(c)有機チタネート化合物を分散させてなる水中油型の懸濁組成物の異色を複数混合した多彩模様塗料組成物がより望ましい。該多彩模様塗料組成物を使用することにより、耐候性のある塗膜形成が可能となる。
【0008】…色差を次式で計算する。
ΔEab*=〔(L1*−L2*)2+(a1*−a2*)2+(b1*−b2*)2〕1/2
実際には色差計を用いて二つの物体色の色差を測定する。」

摘記1c:段落0015、0016、0018、0020及び0022
「【0015】【実施例】(参考例1)表1の原料を使用して、表2の配合例に基づき、分散媒をインペラーの周速1.0m/SECにて撹拌しながら分散相となる有機溶剤系組成物を配合した。この結果、分散相の粒子径分布が2〜6.0mmで、平均粒子径3.5mmの懸濁型塗料組成物ができた。この、懸濁型塗料組成物は、…L*=77.6、a*=−0.1、b*=4.0であった。
(参考例2)表1の原料を使用して表2の配合例に基づき、参考例1と同様にして分散相となる有機溶剤組成物を得た。この有機溶剤組成物は L*=69.6、a*=−0.2、b*=4.9であった。…
(参考例4)表1の原料を使用して表2の配合例に基づき、分散相となる有機溶剤組成物を分散媒中のインペラーの周速を2.5m/SECにて撹拌しながら配合した。その結果、分散相の粒子径分布が0.03〜0.5mmで、平均粒子径0.1mmの懸濁型塗料組成物を得た。この懸濁型塗料組成物は L*=77.8、a*=−0.1、b*=4.1であった。…
【0016】…(配合例2)表3のような配合で多彩模様塗料を製造した。…
【0018】【表1】

【表2】

【表3】

…【0020】(実施例8)スレート板にL*=77.4、a*=−0.7、b*=3.6に調色した通常のアクリルフラットペイントを、スプレーにて0.3Kg/m2の割合で塗布乾燥し、下地色1とした。…多彩模様塗料を使用して以下の試験を行った。結果を表8に示した。
<塗装むら試験>この多彩模様塗料を、HSガンを使用して、チップ口径5mm、空気圧200〜300kPaの条件にて、前記塗装スレート板に塗布し、塗装むらを目視にて確認した。結果を、
○:塗装むらなし
△:塗装むら多少あり
×:塗装むら多い
にて表した。…
(実施例9)配合例2の多彩模様塗料を製造し…塗膜について実施例8と同様にして試験を行った。結果を表8に示した。…
【0022】…なお、各参考例と下地色の色差ΔEを表9に示す。…
【表9】



上記刊行物2には、次の記載がある。
摘記2a:請求項1
「【請求項1】基材に対し、
(1)着色塗料を筋状に塗付して、筋状模様面を形成する工程、
(2)当該筋状模様面に対し、
少なくとも1種以上の透明着色粒状物が分散媒中に分散した上塗材
を塗付する工程、
を行うことを特徴とする模様面の形成方法。」

摘記2b:段落0024
「【0024】上塗材における透明着色粒状物としては、透明着色塗料が粒状化されたものが好適である。…このような着色粒状物は、液状の透明着色塗料が内包された形態、透明着色塗料がゲル化した状態、のいずれであってもよい。」

摘記2c:段落0045〜0047、0053及び0058
「【0045】…容器内にアクリル樹脂液(固形分50重量%)200重量部を仕込み、攪拌を行いながら白色顔料液(酸化チタン60重量%分散液)5重量部と、体質顔料130重量部と、粘性調整剤4重量部と、溶剤156重量部と、消泡剤5重量部とを均一に混合することにより透明着色塗料A(着色顔料濃度0.6重量%)を製造した。…透明着色塗料Aを徐々に添加・分散することにより、約1mmの透明白色粒子が分散した分散液Aを得た。…
【0046】…透明着色塗料Aに代えて…透明着色塗料Bを使用した以外は、分散液Aと同様の製造方法で分散液Bを得た。この分散液Bは、約2mmの透明白色粒子が分散したものであった。…
【0047】以上の方法で得られた分散液Aと分散液Bを、60:40の重量比率で混合することにより、上塗材2を製造した。…
【0053】…透明着色塗料Aと、着色塗料1との色差は13であった。…
【0058】(実施例6)…予めシーラー(白色)が塗装されたスレート板に対し、着色塗料1を用いてローラー塗装を行い、筋状模様を形成させ、4時間乾燥した。…次に、上塗材2を塗付け量0.5kg/m2にて吹き付け塗装し、24時間乾燥した。なお、…上塗材2の着色粒子を構成する透明着色塗料Aと、透明着色塗料Bとの色差は0.8であった。透明着色塗料Bと、着色塗料1との色差は13であった。」

上記刊行物3には、次の記載がある。
摘記3a:段落0002
「【0002】近年、建築物の壁面などを塗装する塗料として、複数の色がついた塗膜を形成することができる多彩模様塗料が注目されている。例えば下記特許文献1には、水系の分散媒中に2色以上の塗料を分散させてなるゲル状着色粒子を含む多彩模様塗料および多彩模様塗膜が開示されている。」

上記刊行物4には、次の記載がある。
摘記4a:第2頁




(2)刊行物に記載された発明
ア.刊1発明
摘記1aの「CIE 1976 L*a*b*色空間における色差ΔE(以下、「ΔE」という。)の最大値が5〜10になる複数色からなる、粒子径分布が1mm〜15mmの模様色形成分散相粒子と、該模様色形成分散相粒子を粒子状態で分散可能な透明の分散媒を、主要構成成分とする自然石調塗料組成物を、該模様色形成分散相粒子それぞれとのΔEのうち、最小値が0.1〜1になる色相の塗装下地に塗装することを特徴とする自然石調塗装方法。」との記載、及び 摘記1cの「(参考例1)表1の原料を使用して、表2の配合例に基づき、…平均粒子径3.5mmの懸濁型塗料組成物ができた。この、懸濁型塗料組成物は、…L*=77.6、a*=−0.1、b*=4.0であった。(参考例2)この有機溶剤組成物は L*=69.6、a*=−0.2、b*=4.9であった。…(参考例4)…平均粒子径0.1mmの懸濁型塗料組成物を得た。この懸濁型塗料組成物は L*=77.8、a*=−0.1、b*=4.1であった…(配合例2)表3のような配合で多彩模様塗料を製造した。…【表1】…分散相…樹脂1 ビニル系合成樹脂 アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合
物、酸価:3、分子量:約15万、固形分:50%…チタンペースト 着色材 二酸化チタン、固形分:60%…【表2】…参考例1…チタンペースト…樹脂1…分散相平均粒子径(mm) 3.5…参考例2…3.5…参考例4…0.1…(配合比率は重量部で表示)…【表3】…配合例2…参考例1 35…参考例2 35…参考例4 30…小計 100…(実施例8)スレート板にL*=77.4、a*=−0.7、b*=3.6に調色した通常のアクリルフラットペイントを…塗布乾燥し、下地色1とした。…この多彩模様塗料を…前記塗装スレート板に塗布し、塗装むらを目視にて確認した。…(実施例9)配合例2の多彩模様塗料を製造し…塗膜について実施例8と同様にして試験を行った。結果を表8に示した。…各参考例と下地色の色差ΔEを表9に示す。…【表9】ΔE…下地色1…参考例1…0.7…参考例2…7.9…参考例4 −」との記載からみて、刊行物1には、配合例2の多彩模様塗料を用いた「実施例9」の具体例として、
『塗装スレート板(下地色1:L*=77.4、a*=−0.7、b*=3.6)に塗布して塗膜とする多彩模様塗料(配合例2)であって、
着色材(二酸化チタン)と、ビニル系合成樹脂(アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合物)を含む原料を使用して得られる組成物として、
平均粒子径が3.5mmの模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物(参考例1:L*=77.6、a*=−0.1、b*=4.0)35部と、
平均粒子径が3.5mmの模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物(参考例2:L*=69.6、a*=−0.2、b*=4.9)35部と、
平均粒子径が0.1mmの模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物(参考例4:L*=77.8、a*=−0.1、b*=4.1)30部とからなり、
下地色1と参考例1の色差ΔEが0.7、下地色1と参考例2の色差ΔEが7.9、下地色1と参考例4の色差ΔEが−である、多彩模様塗料。』についての発明(以下「刊1発明」という。)が記載されているといえる。

そして、刊1発明の「塗装スレート板(下地色1…)に塗布して塗膜とする多彩模様塗料(配合例2)」は「塗装スレート板」に塗布して「塗膜」を形成するものであるから、刊行物1には、
『刊1発明の多彩模様塗料(配合例2)を塗装スレート板に塗布して形成した塗膜。』についての発明(以下「刊1発明の2」という。)が記載されているといえる。

さらに、刊1発明の「塗装スレート板(下地色1…)に塗布して塗膜とする多彩模様塗料(配合例2)」は「塗装スレート板」に「塗布」するものであるから、刊行物1には、
『刊1発明の多彩模様塗料(配合例2)を塗装スレート板に塗布する方法。』についての発明(以下「刊1発明の3」という。)が記載されているといえる。

イ.刊2発明
摘記2aの「少なくとも1種以上の透明着色粒状物が分散媒中に分散した上塗材」との記載、
摘記2bの「上塗材における透明着色粒状物としては、透明着色塗料が粒状化されたものが好適である。…このような着色粒状物は、液状の透明着色塗料が内包された形態、透明着色塗料がゲル化した状態、のいずれであってもよい。」との記載、及び
摘記2cの「透明着色塗料A(着色顔料濃度0.6重量%)…を徐々に添加・分散することにより、約1mmの透明白色粒子が分散した分散液Aを得た。…透明着色塗料Aに代えて…透明着色塗料Bを使用した以外は、分散液Aと同様の製造方法で分散液Bを得た。この分散液Bは、約2mmの透明白色粒子が分散したものであった。…以上の方法で得られた分散液Aと分散液Bを、60:40の重量比率で混合することにより、上塗材2を製造した。…透明着色塗料Aと、着色塗料1との色差は13であった。…(実施例6)…予めシーラー(白色)が塗装されたスレート板に対し、着色塗料1を用いてローラー塗装を行い、筋状模様を形成させ、4時間乾燥した。…次に、上塗材2を塗付け量0.5kg/m2にて吹き付け塗装し、24時間乾燥した。なお、…上塗材2の着色粒子を構成する透明着色塗料Aと、透明着色塗料Bとの色差は0.8であった。透明着色塗料Bと、着色塗料1との色差は13であった。」との記載からみて、刊行物2には、
『透明着色塗料Aを使用した約1mmの透明白色粒子が分散した分散液Aと、透明着色塗料Bを使用した約2mmの透明白色粒子が分散した分散液Bを、60:40の重量比率で混合することにより製造した、着色塗料1が塗装されたスレート板に対し塗装する上塗材2であって、透明着色塗料Aと着色塗料1との色差が13であり、透明着色塗料Bと着色塗料1との色差が13であり、透明着色塗料Aと透明着色塗料Bとの色差が0.8である上塗材2。』についての発明(以下「刊2発明」という。)が記載されているといえる。

そして、刊2発明の「着色塗料1が塗装されたスレート板に対し塗装する上塗材2」は「着色塗料1が塗装されたスレート板に対し塗装」するものであって、この「塗装」により「塗膜」が形成されることは明らかであるから、刊行物2には、
『刊2発明の上塗材2を塗装スレート板に対し塗装して形成した塗膜。』についての発明(以下「刊2発明の2」という。)が記載されているといえる。

さらに、刊2発明の「着色塗料1が塗装されたスレート板に対し塗装する上塗材2」は「着色塗料1が塗装されたスレート板に対し塗装」するものであるから、刊行物2には、
『刊2発明の上塗材2を塗装スレート板に対し塗装する方法。』についての発明(以下「刊2発明の3」という。)が記載されているといえる。

(3)対比・判断
本件特許の請求項1〜9に係る発明(以下「本1発明」〜「本9発明」ともいう。)は、その「同色系」という用語に関して、本件特許明細書の段落0010の記載からみて、被塗装面との色差ΔEが13以下であるものが「同系色」に該当し、同ΔEが13よりも大きいものが「非同系色」に該当するものとして、以下検討する。

ア.本2発明について
(ア)刊行物1を主引用例とした場合の検討
a.対比
本2発明と刊1発明とを対比する。

摘記1bの「分散粒子表面をゲル化させて水分散体とした水性多彩模様塗料」との記載からみて、刊1発明の「模様色形成分散相粒子」は「分散粒子表面をゲル化」されているものと解され、本2発明の「ゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子」に対応するといえるので、
刊1発明の「着色材(二酸化チタン)と、ビニル系合成樹脂(アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合物)を含む原料を使用」して得られる「模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物」の参考例1、2及び4とからなる配合例2の「多彩模様塗料」は、
本2発明の「着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって」に相当する。

刊1発明の「模様色形成分散相粒子」と「塗装スレート板(下地色1:L*=77.4、a*=−0.7、b*=3.6)」の各々が、本2発明の「前記複数のゲル状着色粒子」と「前記塗料を塗装する被塗装面」の各々に対応し、
刊1発明の「下地色1と参考例1の色差ΔEが0.7」と「下地色1と参考例2の色差ΔEが7.9」の「色差ΔE」は、13以下の値にあることから、参考例1及び2の「模様色形成分散相粒子」の色は、下地色1に対して「同系色」にあるといえるものであり、
刊1発明の「下地色1と参考例4の色差ΔEが−」の「色差ΔE」は、その「−」との記載にあるように、測定値が不明であるものの、刊行物1の段落0008(摘記1b)の「ΔEab*=〔(L1*−L2*)2+(a1*−a2*)2+(b1*−b2*)2〕1/2」との記載にある計算式を用いて計算するに、
刊1発明の「下地色1:L*=77.4、a*=−0.7、b*=3.6」に対する「参考例4:L*=77.8、a*=−0.1、b*=4.1」の「色差ΔE」の計算値は、0.39〔=((77.4-77.8)^2+(-0.7-(-0.1))^2+(3.6-4.1)^2)
^1/2〕と計算され、13以下の値にあることから、参考例4の「模様色形成分散相粒子」の色も、下地色1に対して「同系色」にあるといえるので、
刊1発明の「平均粒子径が3.5mmの模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物(参考例1:L*=77.6、a*=−0.1、b*=4.0)35部と、
平均粒子径が3.5mmの模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物(参考例2:L*=69.6、a*=−0.2、b*=4.9)35部と、
平均粒子径が0.1mmの模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物(参考例4:L*=77.8、a*=−0.1、b*=4.1)30部とからなり、
下地色1と参考例1の色差ΔEが0.7、下地色1と参考例2の色差ΔEが7.9、下地色1と参考例4の色差ΔEが−」である「塗装スレート板(下地色1…)に塗布して塗膜とする多彩模様塗料(配合例2)」は、
本件訂正により削除された、前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と「同系色のゲル状着色粒子のみからなる」ものに相当する。

刊1発明の「平均粒子径が3.5mmの模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物(参考例1…)」と「平均粒子径が3.5mmの模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物(参考例2…)」は、本2発明の「粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子」に相当し、
刊1発明の「平均粒子径が0.1mmの模様色形成分散相粒子を構成成分とする懸濁型塗料組成物(参考例4…)」は、本2発明の「粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子」に相当するので、
刊1発明の「平均粒子径が3.5mmの…参考例1」と「平均粒子径が3.5mmの…参考例2」と「平均粒子径が0.1mmの…参考例4」とからなる「模様色形成分散相粒子」の組み合わせである配合例2の「多彩模様塗料」は、本2発明の「前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とが組み合わされた、塗料」に相当する。

してみると、本2発明と刊1発明は、両者とも『着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とが組み合わされた、塗料。』という点において一致し、次の(α)の点において相異する。

(α)本2発明は「前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)」のに対して、刊1発明は、塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子のみからなる点

b.判断
上記a.に示したとおり、本2発明と刊1発明は、上記(α)の点において相異し、当該相違点が実質的な差異ではないといえる合理的な理由も見当たらない。
したがって、本2発明は、刊行物1に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえない。

また、例えば、刊行物1(摘記1c)の【表3】及び【表9】には、下地色1(又は下地色2)との色差ΔEが13.8(又は13.7)である、分散相粒子分布が2.0〜6.0mmの参考例3の懸濁型塗料組成物が記載されているが、当該参考例3に含まれる分散相粒子は、色差ΔEが13以上という点において被塗装面に対して「非同系色」であるものの、粒子分布が2.0〜6.0mmであるという点において「粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子」に該当するものではなく、刊行物1〜4に記載された全ての技術事項を精査しても、上記(α)の相違点に係る「複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)」という構成については、示唆を含めて記載がない。
そして、本件特許明細書の段落0065には、複数のゲル状着色粒子が、塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子〔D−3(小)85質量%とD−5(中)15質量%〕と、前記被塗装面と非同系色(ΔE=50)かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子〔D−4(小)1質量%〕とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が99質量%の「実施例2」のものが、晴天時及び曇天時の「塗装状況の視認性」において「○:塗装作業者本人がどこを塗装しているか、どこまで塗装したかを視認できる。」の評価になっていることが記載されているので、上記(α)の相違点に係る構成を具備することにより刊1発明に比べ予測できない効果を奏しているといえる。
したがって、本2発明は、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。

(イ)刊行物2を主引用例とした場合の検討
a.対比
本2発明と刊2発明とを対比する。
刊2発明の「透明着色塗料Aを使用した約1mmの透明白色粒子」及び「透明着色塗料Bを使用した約2mmの透明白色粒子」は、摘記2bの「着色粒状物は、液状の透明着色塗料が内包された形態、透明着色塗料がゲル化した状態、のいずれであってもよい。」との記載からみて、本2発明の「着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子」に相当する。
刊2発明の「透明着色塗料Aを使用した約1mmの透明白色粒子」及び「透明着色塗料Bを使用した約2mmの透明白色粒子」を「混合することにより製造」した「上塗材2」は、本2発明の「着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料」に相当する。
刊2発明の「透明着色塗料Aと着色塗料1との色差が13であり、透明着色塗料Bと着色塗料1との色差が13であり」は、本件訂正により削除された、前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と「同系色のゲル状着色粒子のみからなる」ものに相当する。
刊2発明の「透明着色塗料Aを使用した約1mmの透明白色粒子」は、本2発明の「 前記同系色のゲル状着色粒子」としての「粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子」に相当し、
刊2発明の「透明着色塗料Bを使用した約2mmの透明白色粒子」は、本2発明の「前記同系色のゲル状着色粒子」としての「粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子」に相当し、
刊2発明の「透明着色塗料Aを使用した約1mmの透明白色粒子」及び「透明着色塗料Bを使用した約2mmの透明白色粒子」の組み合わせは、本2発明の「前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちのいずれか2種が組み合わされており」に相当する。
刊2発明の「透明着色塗料Aを使用した約1mmの透明白色粒子が分散した分散液Aと、透明着色塗料Bを使用した約2mmの透明白色粒子が分散した分散液Bを、60:40の重量比率で混合することにより製造した」は、本2発明の「前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とが組み合わされた」に相当する。
してみると、本2発明と刊2発明は、両者とも『着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とが組み合わされた、塗料。』という点において一致し、次の(β)の点において相異する。

(β)本2発明は「前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)」のに対して、刊2発明は、塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子のみからなる点

b.判断
上記a.に示したとおり、本2発明と刊2発明は、上記(β)の点において相異し、当該相違点が実質的な差異ではないといえる合理的な理由も見当たらない。
したがって、本2発明は、刊行物2に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえない。

また、刊行物1〜4に記載された全ての技術事項を精査しても、上記(β)の相違点に係る「前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)」という構成については、示唆を含めて記載がない。
そして、本件特許明細書の段落0065には、上記(β)の相違点に係る構成を具備した「実施例2」のものが、晴天時及び曇天時の「塗装状況の視認性」において「○」の評価になることが記載されているので、上記(β)の相違点に係る構成を具備することが、技術的に無意味な構成要件の付加に相当するものとは認められない。
したがって、本2発明は、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。

イ.本3発明について
本3発明は、上記ア.で検討した本2発明と『着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって、前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、…塗料。』という点において共通し、その「同系色ゲル状着色粒子」を構成する小サイズ、中サイズ、及び大サイズのゲル状着色粒子の組み合わせに関する特定において異なるものである。
してみると、本3発明と刊2発明とを対比すると、上記(β)と同様な点において相違するといえるが、上記ア.(ア)b.に示した理由と同様の理由により、本3発明は、刊行物2に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえず、また、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。

ウ.本5〜本6及び本8〜本9発明について
本5発明は、本2発明の「塗料」を「被塗装面に形成された塗膜」として表記した発明であり、本8発明は、本2発明の「塗料」を「塗料を被塗装面に塗装する方法」として表記した発明である。してみると、上記ア.に示した理由と同様の理由により、本5及び本8発明は、刊行物1又は2に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえず、また、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。
また、本6発明は、本3発明の「塗料」を「被塗装面に形成された塗膜」として表記した発明であり、本9発明は、本3発明の「塗料」を「塗料を被塗装面に形成する方法」として表記した発明である。してみると、上記イ.に示した理由と同様の理由により、本6及び本9発明は、刊行物2に記載された発明であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえず、また、刊行物1〜4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。

3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)<理由1>:特許法第36条第6項第2号(請求項1〜9)
申立人が主張する理由1の要旨は、本件特許発明1〜9は、特許法第36条第6項第2号お規定に違反しているため、同法第113条第4号により、その特許は取り消されるべきであるというものであって(申立書の第54頁)、その不備として、次の点を主張している(申立書の第36〜37頁)。
〔不備1〕請求項1〜9の「同系色」及び「非同系色」の条件が具体的に特定されていないため不明確である。
〔不備2〕請求項1〜9の「95質量%以上」という割合の上限が規定されていないため、100質量%との態様も含み得るのか不明確である。
ここで、上記〔不備2〕については、上記第4〔理由3〕において採用されているから、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由に該当しない。
また、上記〔不備1〕について、本件特許明細書の段落0010には「『被塗装面と同系色』とは、被塗装面との色差(ΔE)が13以下であることを示す。『被塗装面と非同系色』とは、同系色ではないこと、つまり被塗装面との色差(ΔE)が13よりも大きいことを示す。」との記載があるから、請求項1〜9の「同系色」及び「非同系色」の条件が不明確であるとはいえない。
したがって、訂正後の請求項1〜9の記載に不明確な点があるとはいえないから、本件特許の請求項1〜9の記載が特許法第36条第6項第2号に適合しないとはいえず、申立人が主張する<理由1>に理由があるとはいえない。

(2)<理由2>:特許法第29条第1項第3号及び/または同条第2項(請求項2、3、5、6、8、及び9)
申立人が主張する理由2の要旨は、請求項2、5、及び8について、甲1記載の発明と同一であり、甲2記載の発明と同一であるから、それらの特許は取り消されるべきであり、請求項3、6、及び9について、甲2記載の発明と同一であり、甲1記載の発明、及び甲2記載の発明から容易に想到できるため、それらの特許は取り消されるべきであるというものであるところ(申立書の第54〜55頁)、当該<理由2>については、上記第4〔理由1〕及び〔理由2〕において採用されているから、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由に該当しない。

第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、本件発明1〜9に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1〜9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも2種が組み合わされた、塗料。
【請求項2】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とが組み合わされた、塗料。
【請求項3】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記塗料を塗装する被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちのいずれか2種が組み合わされており、前記いずれか2種のゲル状着色粒子のうち相対的にサイズの大きい方のゲル状着色粒子の割合が、前記同系色のゲル状粒子の総質量に対して5.0〜40質量%である、塗料。
【請求項4】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む、被塗装面に形成された塗膜であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも2種が組み合わされた、塗膜。
【請求項5】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む、被塗装面に形成された塗膜であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とが組み合わされた、塗膜。
【請求項6】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む、被塗装面に形成された塗膜であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちのいずれか2種が組み合わされており、前記いずれか2種のゲル状着色粒子のうち相対的にサイズの大きい方のゲル状着色粒子の割合が、前記同系色のゲル状粒子の総質量に対して5.0〜40質量%である、塗膜。
【請求項7】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料を被塗装面に塗装する方法であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも2種を組み合わせる、塗装方法。
【請求項8】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料を被塗装面に塗装する方法であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちの少なくとも1種と、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子とを組み合わせる、塗装方法。
【請求項9】
着色塗料がゲル化膜で包まれた複数のゲル状着色粒子を含む塗料を被塗装面に塗装する方法であって、
前記複数のゲル状着色粒子が、前記被塗装面と同系色のゲル状着色粒子と、前記被塗装面と非同系色かつ粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子とからなり、前記複数のゲル状着色粒子の総質量に対する前記同系色のゲル状着色粒子の割合が95質量%以上であり(但し、100質量%の場合を除く。)、
前記同系色のゲル状着色粒子として、粒径2.0mm未満の小サイズのゲル状着色粒子、粒径2.0mm以上10.0mm未満の中サイズのゲル状着色粒子、及び粒径10.0mm以上の大サイズのゲル状着色粒子のうちのいずれか2種を組み合わせ、前記いずれか2種のゲル状着色粒子のうち相対的にサイズの大きい方のゲル状着色粒子の割合を、前記同系色のゲル状粒子の総質量に対して5.0〜40質量%とする、塗装方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-04-19 
出願番号 P2019-148417
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C09D)
P 1 651・ 113- YAA (C09D)
P 1 651・ 637- YAA (C09D)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 木村 敏康
門前 浩一
登録日 2021-03-30 
登録番号 6860046
権利者 藤倉化成株式会社
発明の名称 塗料、塗膜及び塗装方法  
代理人 清水 雄一郎  
代理人 及川 周  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 清水 雄一郎  
代理人 及川 周  
代理人 片岡 央  
代理人 小室 敏雄  
代理人 五十嵐 光永  
代理人 片岡 央  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 丹野 拓人  
代理人 小室 敏雄  
代理人 五十嵐 光永  
代理人 丹野 拓人  
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