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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
管理番号 1386193
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-03-11 
確定日 2022-06-13 
異議申立件数
事件の表示 特許第6936004号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6936004号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6936004号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成28年12月21日に出願され、令和3年8月30日にその特許件の設定登録がされ、同年9月15日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年3月11日に特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行い、同年3月31日に異議申立書の手続補正書を提出した。

第2 本件発明
本件特許の請求項1の特許に係る発明(以下「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、符号AないしKは分説するために当審で付したものである。

「【請求項1】
A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B 遊技の制御を行う遊技制御手段と、
C 前記遊技制御手段から送信される制御情報にもとづいて、遊技機に設けられる演出手段の制御を行う演出制御手段と、
D 第1設定と、第2設定と、を設定するために操作される一の操作部と、を備え、
E 前記演出手段は、発光手段とスピーカを含み、
F 前記第1設定は、前記スピーカから出力される音量の設定であり、
G 前記第2設定は、前記発光手段の消費電力を低下させる特殊制御を行うか否かの設定であり、
H 前記演出制御手段は、遊技機への電力供給が開始された後、前記遊技制御手段から制御情報が送信される前に前記第1設定と前記第2設定を行い、
I 前記第1設定については前記一の操作部に対する所定操作のみで設定される一方、前記第2設定については前記一の操作部に対する特定操作と他の操作部に対する遊技機に電力を供給するための特別操作とで設定され、
J 前記特定操作と前記特別操作とにより前記特殊制御が行われるように遊技機への電力供給が開始された後に、前記所定操作が行われても、前記特殊制御が継続して行われることを特徴とする
K 遊技機。」

第3 申立理由の概要
本件特許発明は、甲第1号証並びに第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。また、本件特許に係る出願は、その特許請求の範囲に記載された発明がその明細書及び図面に記載されていないので、特許法第36条第6項第1号の規定により、特許を受けることができない(特許異議申立書の第10ページ第6行〜第16行、特許異議申立書の手続補正書の第1ページ下から3行〜第2ページ第3行。)。

(証拠方法)
1 甲第1号証:特許第5970109号公報
2 甲第2号証:特開2015−146974号公報

第4 各甲号証の内容
1 甲第1号証について
(1)甲第1号証の記載(下線は当審で付した。以下同様。)
ア 「【0033】
また、このスロットマシン1では、遊技の進行に関する制御を行うメインCPU61が実装されたメイン制御基板63と、メイン制御基板63から送信された情報に基づき遊技の進行に合わせた演出の制御を行うサブCPU71が実装されたサブ制御基板73とが別々に設けられており、メイン制御基板63からサブ制御基板73に対して各種の遊技情報が一方向で送信される。」

イ 「【0037】
また、サブ制御基板73のメモリ75は、各種データを一時的に記憶するRAM部と、演出用の各種プログラムなどを記憶するROM部とを備えている。また、サブ制御基板73のサブCPU71は、タイマ割込などの割込機能を有し、サブCPU71は、メインCPU61から送信されるスロットマシン1に関する各種の遊技情報に基づいてメモリ75に格納されたプログラムを実行することで、遊技者に対する遊技に関連する演出の内容を決定する。また、サブ制御基板73のサブCPU71は、決定された演出の内容に基づいて、サブ制御基板73が有するI/Oポートを介して、液晶表示器27やスピーカ31L,31Rなどの演出機器の制御を行う。
【0038】
また、サブ制御基板73には、それぞれスピーカ31L,31Rから出力される音量を調整するための装置側音量調整スイッチ34a(本発明の「音量調整スイッチ」に相当)および遊技者側音量調整スイッチ34b(本発明の「遊技者音量指定手段」に相当)が接続される。なお、この実施形態では、装置側音量調整スイッチ34aは、サブ制御基板73に実装されて筐体3の内側面に固定される。これに対して、遊技者側音量調整スイッチ34bは、遊技者が操作できるように、例えば操作板7などに配設され、ハーネスなどを介してサブ制御基板73に接続される。
【0039】
なお、この実施形態のスロットマシン1では、照明、演出用ランプ、液晶表示器27、スピーカ31L,31Rを含む複数の演出部材の消費電力を抑制した状態で稼働させるエコモードオンと、抑制しない状態で稼働させるエコモードオフとのエコモード状態の切り換えができるようになっている。エコモードオン時の消費電力の抑制の一例について説明すると、例えば、スロットマシン1の稼働状態では、エコモードオフ時では点灯されている下部パネル35用の照明を消灯する。また、スロットマシン1の待機状態では、下部パネル35用の照明の輝度をエコモードオフ時の50%に抑制するとともに、各リールのバックライトを消灯し、さらに演出用のランプである上部ランプ部33および下部ランプ部37L,37Rをいずれも消灯する。」

ウ 「【0041】
この実施形態では、エコモードオンおよびエコモードオフの切り換え設定(エコモード切り換え設定)が、スピーカ31L,31Rの出力音量を調整する装置側音量調整スイッチ34aを利用して行われる。装置側音量調整スイッチ34aは、図3に示すように、つまみを回転操作して0〜9番のスイッチ番号を切り換えるための10個の切換接点を有するロータリースイッチにより構成される。なお、以下では、装置側音量調整スイッチ34aをロータリースイッチ34aという場合もある。」

エ 「【0044】
このように、各スイッチ番号それぞれにエコモードの状態および音量レベルの両方が対応付けられていると、エコモード状態および音量レベルのいずれか一方のみを変更したい場合の対応が難しくなるが、この実施形態では、エコモード状態の切り換え設定の条件と音量切り換え設定の条件とを異ならせることで、エコモード状態および音量レベルのいずれか一方のみを変更したい場合に対応できるように構成されている。以下、エコモード切り換え設定および音量調整について説明する。
【0045】
まず、エコモードオンあるいはエコモードオフの切り換えについて説明する。サブ制御基板73は、まず、設定値の確認操作が行われたか否か、すなわち、設定表示スイッチ56がオン状態であるか否かを判断する。該判断は、メイン制御基板63から送信される情報(設定表示スイッチがオン状態であるか否かの情報)に基づいて行われる。サブ制御基板73は、設定表示スイッチ56がオン状態であると判断すると、次にロータリースイッチ34aのスイッチ番号が切り換えられたか否かを判断する。次に、サブ制御基板73は、設定表示スイッチ56がオン状態でロータリースイッチ34aのスイッチ番号が切り換えられたと判断すると(本発明の「エコモード切り換え設定条件の成立」に相当)、切り換え後のスイッチ番号に対応付けられたエコモード状態がオンであるかオフであるかをさらに判断した上で、切り換え後のスイッチ番号に対応付けられたエコモードオンまたはエコモードオフのエコモード状態に切り換え設定を行う。すなわち、切り換え後のスイッチ番号に対応付けられたエコモード状態を、現在のエコモード状態に反映する。
【0046】
これに対して、サブ制御基板73は、上述の確認操作が行われていない、すなわち、設定表示スイッチ56がオフ状態であると判断すると、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号が切り換えられた場合であっても、エコモード状態の切り換え設定を行わず、スイッチ番号を切り換える前のエコモード状態を維持する。なお、エコモード状態は、サブ制御基板73のメモリ75の所定のエコモード記憶領域に格納され、エコモード状態が切り換え設定される度に書き換えられる。
【0047】
次に、音量切り換え設定について説明すると、サブ制御基板73は、音量調整を電源スイッチ50のオン操作またはオフ操作があったか否かを判断して行う。具体的には、メモリ75の所定の記憶領域には、設定された音量レベルを格納するための音量記憶領域が設けられており、サブ制御基板73で設定した音量レベルを記憶できるようになっている。そして、サブ制御基板73は、電源スイッチ50のオン操作またはオフ操作がある度に、メモリ75の音量記憶領域に格納された音量レベルを、当該操作時のロータリースイッチ34aのスイッチ番号に対応付けられた音量レベルに書き換えた上で、スピーカ31L,31Rから出力される音量を当該書き換えた音量レベルに調整する。この構成によると、音量調整しようとして、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号を切り換えた場合であっても、直ちに切り換え後のスイッチ番号の音量レベルに音量調整されることはなく、スイッチ番号の切り換えた後の電源スイッチ50のオン操作またはオフ操作を待って、切り換え後のスイッチ番号の音量レベルに調整されることになる。なお、電源スイッチ50のオン操作またはオフ操作を行うことが、本発明の「音量切り換え設定条件」に相当する。」

オ 「【0055】
したがって、上記した実施形態によれば、エコモード切り換え設定条件は、「設定値の確認操作が行われている状態でスイッチ番号が切り換えられること」であり、設定値の確認操作が行われている状態でなければ、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号が切り換えられても、当該切り換え後のスイッチ番号のエコモード状態に切り換え設定されることはない。これに対して、音量切り換え設定条件は、「電源スイッチ50のオン操作またはオフ操作」であり、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号が切り換えられても、その後に電源スイッチ50が操作されなければ、切り換え後のスイッチ番号の音量レベルに切り換え設定されることはない。そのため、音量調整およびエコモード切り換え設定の一方を行おうとしたときに、本来変更するつもりのない他方を行ってしまうという誤操作を防止することができる。」

カ 「【0065】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、例えば、音量切り換え設定条件は、エコモード切り換え設定条件と異なるものであれば、適宜、変更することができる。例えば、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作を行うことを、音量切り換え設定条件としてもよい。この場合、音量は、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作により、直ちに切り換え後のスイッチ番号の音量に調整されることになるが、エコモード状態は、設定値の確認操作が行われなければ切り換え設定されないことになる。」

キ 「【0068】
また、上記した各実施形態では、本発明の遊技機としてスロットマシン1を例に挙げて説明したが、パチンコ機や、スロットマシンとパチンコ機とを組み合わせた遊技機(いわゆるパロット)、あるいは、コンピュータプログラムが実行されることによるビデオゲームに本発明を適用してもよい。」

(2)甲第1号証に記載された発明
上記(1)アないしキに摘記した事項を踏まえると、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、aないしjの符号は、分説するために当審で付したものである。

「a スロットマシン1(【0033】)であって、
b 遊技の進行に関する制御を行うメインCPU61が実装されたメイン制御基板63と(【0033】)、
c メイン制御基板63から送信された情報に基づき演出の制御を行うサブCPU71が実装されたサブ制御基板73と(【0033】)、
d サブ制御基板73のサブCPU71は、決定された演出の内容に基づいて、液晶表示器27やスピーカ31L,31Rなどの演出機器の制御を行い(【0037】)、
e サブ制御基板73には、それぞれスピーカ31L,31Rから出力される音量を調整するための装置側音量調整スイッチ34aが接続され(【0038】)、
f 照明、演出用ランプ、液晶表示器27、スピーカ31L,31Rを含む複数の演出部材の消費電力を抑制した状態で稼働させるエコモードオンと、抑制しない状態で稼働させるエコモードオフとのエコモード状態の切り換えができるようになっており、エコモードオンおよびエコモードオフの切り換え設定(エコモード切り換え設定)が、スピーカ31L,31Rの出力音量を調整する装置側音量調整スイッチ34aを利用して行われ(【0041】)、
g エコモードオンあるいはエコモードオフの切り換えについては、サブ制御基板73は、まず、設定表示スイッチ56がオン状態であるか否かを判断し、設定表示スイッチ56がオン状態であると判断すると、次にロータリースイッチ34aのスイッチ番号が切り換えられたか否かを判断し、次に、設定表示スイッチ56がオン状態でロータリースイッチ34aのスイッチ番号が切り換えられたと判断すると、切り換え後のスイッチ番号に対応付けられたエコモード状態がオンであるかオフであるかをさらに判断した上で、切り換え後のスイッチ番号に対応付けられたエコモードオンまたはエコモードオフのエコモード状態に切り換え設定を行うものであり(【0045】)、
h 音量切り換え設定については、サブ制御基板73は、電源スイッチ50のオン操作またはオフ操作がある度に、メモリ75の音量記憶領域に格納された音量レベルを、当該操作時のロータリースイッチ34aのスイッチ番号に対応付けられた音量レベルに書き換えた上で、スピーカ31L,31Rから出力される音量を当該書き換えた音量レベルに調整するものであり(【0047】)、
i 音量切り換え設定条件は、エコモード切り換え設定条件と異なるものであれば、適宜、変更することができるものであって、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作を行うことを、音量切り換え設定条件としてもよく、この場合、音量は、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作により、直ちに切り換え後のスイッチ番号の音量に調整されることになる(【0065】)、
j スロットマシン1(【0033】)。」

2 甲第2号証について
(1)甲第2号証の記載
ア 「【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、スロットマシン等の遊技機に関し、特に、遊技者により遊技が行なわれる遊技機に関する。」

イ 「【0033】
遊技機用枠3の左右上部位置には、音声等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域周辺部には、遊技効果ランプが設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(たとえば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。具体的には、遊技者が打球操作ハンドルを操作することに応じて駆動モータが駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域に発射する打球発射装置550(後述する図2に示す)が設けられている。」

ウ 「【0037】
スティックコントローラ30に設けられたトリガボタン31Aは、遊技者がスティックコントローラ30の操作桿を操作手で把持した状態において、操作指で押引操作することなどにより指示操作ができるように構成されている。その一方で、プッシュボタン31Bは、スティックコントローラ30とは別個に上皿を形成する遊技機用枠3の所定位置に設けられており、遊技者がスティックコントローラ30の操作桿を把持しない状態などにおいて、操作手で押下操作することなどにより指示操作ができるように構成されている。」

エ 「【0039】
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号を受け取る機能、演出制御基板12、払出制御基板19などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンド(後述の演出制御コマンドなど)を制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LED(たとえばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の可変表示を制御することといった、所定の表示図柄の可変表示を制御する機能も備えている。また、主基板11は、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどを制御して、各種保留記憶数を表示する機能も備えている。」

オ 「【0041】
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号などを受信して、画像表示装置5、スピーカ8L、8R及び遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9や装飾用LEDなどにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させる機能を備えている。」

カ 「【0051】
一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理(たとえば、上記主基板11の機能を実現するための処理など。)が実行される。このときには、CPU103がROM101から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU103がRAM102に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU103がRAM102に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行なわれる。」

キ 「【0057】
演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行なう演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、画像表示装置5における表示動作を制御する処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行なう乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。」

ク 「【0065】
また、演出制御基板12には、パチンコ遊技機1における後述する第1音量段階や第1光量段階を設定するための設定切替スイッチ300が搭載されている。第1音量段階や第1光量段階は、スピーカ8L、8Rの音量や、遊技効果ランプ9や装飾用LEDなどの発光光量を設定するための段階であり、複数段階からなる。詳しくは後述するが、設定切替スイッチ300は、通常、遊技店の関係者のみが操作できるものである。つまり、第1音量段階や第1光量段階は、遊技店側の操作によって変更される段階である。また、後述のように、スティックコントローラ30への遊技者による操作などに基づいて、第2音量段階や第2光量段階が設定される。第2音量段階や第2光量段階は、スピーカ8L、8Rの音量や、遊技効果ランプ9や装飾用LEDなどの発光光量を設定するための段階であり、複数段階からなる。第2音量段階や第2光量段階は、遊技者側の操作によって変更される段階である。」

ケ 「【0194】
次に、演出制御基板12における主な動作を説明する。
演出制御基板12では、電源基板等から電源電圧の供給を受けると、演出制御用CPU120が起動して、所定の演出制御メイン処理を実行する。図20は、演出制御メイン処理の一例のフローチャートである。演出制御メイン処理を開始すると、演出制御用CPU120は、まず、所定の初期化処理(ステップS71)を実行して、RAM122のクリアや各種初期値の設定、また演出制御基板12に搭載されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定等を行なう。その後、RAM122の所定領域(たとえば演出制御フラグ設定部)に設けられたタイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定を行なう(ステップS72)。タイマ割込みフラグは、たとえばCTCのレジスタ設定に基づき、所定時間(たとえば2ミリ秒)が経過するごとにオン状態にセットされる。このとき、タイマ割込みフラグがオフであれば、待機する(ステップS72;No)。
【0195】
また、演出制御基板12の側では、所定時間が経過するごとに発生するタイマ割込みとは別に、主基板11から演出制御コマンドを受信するための割込みが発生する。この割込みは、たとえば主基板11からの演出制御INT信号がオン状態となることにより発生する割込みである。演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みが発生すると、演出制御用CPU120は、自動的に割込み禁止に設定するが、自動的に割込み禁止状態にならないCPUを用いている場合には、割込み禁止命令(DI命令)を発行することが望ましい。演出制御用CPU120は、演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みに対応して、たとえば所定のコマンド受信割込み処理を実行する。このコマンド受信割込み処理では、I/O125に含まれる入力ポートのうちで、中継基板15を介して主基板11から送信された制御信号を受信する所定の入力ポートより、演出制御コマンドとなる制御信号を取り込む。このとき取り込まれた演出制御コマンドは、たとえばRAM122に設けられた演出制御コマンド受信用バッファに格納する。その後、演出制御用CPU120は、割込み許可に設定してから、コマンド受信割込み処理を終了する。」

コ 「【0231】
音量や光量は、取り得る範囲が予め定められている。具体的には、音量は、「2」〜「22」の21段階(数字が大きい方が音量が大きい)があり、光量は「30%」、「50%」、「65%」、「75%」、「100%」の5段階がある(図28参照)。なお、演出時などの音量は、常に一定ではない。設定される音量は、たとえば、演出時などに出力されることが許容される最大の音量である。演出時などの光量も、常に一定ではない。上記光量は、たとえば、演出時などで許容される最大の光量である。なお、光量は、最大の光量を100%とした割合(%)で段階が示される。」

サ 「【0241】
電源投入時における初期音量及び初期光量は、たとえば、電源投入時における設定切替スイッチ300のチャンネルに応じて予め定められていればよい。たとえば、演出制御用CPU120は、ステップS71の初期化処理において、設定切替スイッチ300のチャンネルを読み取って、読み取ったチャンネルの段階(「0」〜「F」)に対応した段階(「0」〜「F」であり、上述のようにチャンネルに一対一で対応している。)を第1音量段階及び第1光量段階として設定し(たとえば、RAM122の所定領域に格納し)、設定した第1音量段階及び第1光量段階に基づいて音量及び光量を初期音量及び初期光量として設定すればよい(たとえば、RAM122の所定領域に格納する)。第1音量段階及び第1光量段階と初期音量及び初期光量との関係は、予め定められていればよい。当該関係は、たとえば、図28に示す、「A」〜「F」と音量及び光量の関係、及び、「0」〜「9」と初期表示の第2音量段階及び第2光量段階での音量及び光量との関係などであればよい。このような設定が行なわれると、この設定された初期音量や初期光量が現在の設定音量として設定される(RAM122の所定領域に格納される)。」

シ 「【0280】
(9) 前述した実施の形態では、電源投入時(主基板11側から電源投入時に演出制御基板12側に送信される電源投入コマンドの受信時)のタイミングにおいて、演出制御用CPU120は、音量の設定が基準値より小音の設定の場合に演出音が小音であることを報知するようにしてもよい。たとえば、電源投入コマンド受信時(RAMクリア時)に30秒間「音量が小になっています」と音による報知を行なうようにしてもよい。また、停電から復旧したときに送信される停電復旧コマンドを受信したときに4秒間「音量が小になっています」と音による報知を行なうようにしてもよい。なお、このような場合、演出制御用CPU120が、音量が小になっていることをエラーとして判定するようにすればよい。また、報知音は、エラーであることが認識できるように最大音量で報知するようにしてもよい。また、音による報知だけでなく、遊技効果ランプ9等を用いた光による報知を音による報知の代わりに行なうか、または、音による報知と同時に行なうようにしてもよい。」

ス 「【0288】
(17) 前述した実施の形態は、遊技を行なうための遊技機全般に適用できる。たとえば、遊技媒体として遊技球を遊技領域に発射して所定の遊技を行い、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値が付与可能となるパチンコ遊技機1に限定されず、たとえば複数種類の識別情報となる図柄の可変表示といった所定の遊技を行い、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値を付与可能となる任意の遊技機に適用することもできる。より具体的には、1ゲームに対して所定の賭数(メダル枚数またはクレジット数)を設定することによりゲームが開始可能になるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報(図柄)を可変表示する可変表示装置(たとえば複数のリールなど)の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、その表示結果に応じて入賞(たとえばチェリー入賞、スイカ入賞、ベル入賞、リプレイ入賞、BB入賞、RB入賞など)が発生可能とされたスロットマシンにも適用できる。たとえば、パチンコ遊技機1と同様に、音量調整や光量調整を行なうことができるスロットマシンなどの遊技機にも適用できる。これら遊技機であっても、遊技店用の操作手段(第1音量段階などの設定用の操作手段)が筐体内部の演出制御用の基板などに設けられてもよいし、電源投入後一定期間などにおいて、遊技者が普段操作する遊技者用の操作手段(遊技の進行に用いられる操作部や第2音量段階などを設定するための操作手段など)を遊技店用の操作手段として機能させてもよい。遊技者側の音量設定など(第2音量段階の変更など)は、たとえば、デモ画面の表示中(ゲームが実行されていない期間)に実行可能とする。また、リプレイが成立してゲームが終了した場合には、自動でBETが行なわれるので、音量設定などを制限してもよい。音量の調整などは、ジョグダイヤルや処理の調整ボタン、スティックコントローラ、スロットマシンのレバーやストップボタンなどによって行えばよい。音量などを調整するときは、上記実施形態と同様に、メニュー画面などから設定画面を表示して調整可能としてもよいし、調整ボタンなどの専用の操作部が操作されたことに応じて画面に前記段階表示を表示するようにしてもよい。また、遊技が開始されるときに基準値より音量が小さいときには、基準値まで音量を引上げるようにしてもよく、好適な音量で遊技を開始できるようにしてもよい。」

第5 判断(進歩性
1.本件発明と甲1発明との対比
(1)本件発明の構成A、Kについて
甲1発明における構成a及びjの「スロットマシン1」は、本件発明の構成Aの「遊技を行うことが可能な遊技機」又は構成Kの「遊技機」に相当する。

(2)本件発明の構成B、C、Eについて
甲1発明の構成bの「遊技の進行に関する制御を行うメインCPU61が実装されたメイン制御基板63」は、本件発明の構成Bの「遊技の制御を行う遊技制御手段」に相当し、同じく、甲1発明の構成cの「メイン制御基板63から送信された情報に基づき演出の制御を行うサブCPU71が実装されたサブ制御基板73」は、本件発明の構成Cの「前記遊技制御手段から送信される制御情報にもとづいて」、「制御を行う演出制御手段」に相当する。また、甲1発明の構成dの「サブ制御基板73のサブCPU71は、決定された演出の内容に基づいて、液晶表示器27やスピーカ31L,31Rなどの演出機器の制御を行い」において、「液晶表示器27」、「スピーカ31L,31R」、「演出機器」は、それぞれ、本件発明の構成Eの「発光手段」、「スピーカ」、「演出手段」に相当し、当該「演出機器」(演出手段)は、その制御を「サブ制御基板73」(演出制御手段)が行うのであるから、甲1発明が、本件発明の構成Cの「遊技機に設けられる演出手段の制御を行う演出制御手段」を備えることは自明である。
そうすると、甲1発明は、本件発明の構成B、C、Eの構成を備えたものである。

(3)本件発明の構成D、F、Gについて
甲1発明の構成eによれば、「サブ制御基板73には、それぞれスピーカ31L,31Rから出力される音量を調整するための装置側音量調整スイッチ34aが接続され」とされるのであるから、甲1発明は、「装置側音量調整スイッチ34a」で、「スピーカ31L,31Rから出力される音量」を「調整」するものであり、前記「スピーカ31L,31Rから出力される音量」、前記「調整」は、それぞれ本件発明の「前記スピーカから出力される音量」、「設定」に相当する。
また、甲1発明の構成fによれば、「照明、演出用ランプ、液晶表示器27、スピーカ31L,31Rを含む複数の演出部材の消費電力を抑制した状態で稼働させるエコモードオンと、抑制しない状態で稼働させるエコモードオフとのエコモード状態の切り換えができるようになっており、エコモードオンおよびエコモードオフの切り換え設定(エコモード切り換え設定)が、スピーカ31L,31Rの出力音量を調整する装置側音量調整スイッチ34aを利用して行われ」るのであるから、甲1発明は、「装置側音量調整スイッチ34a」を利用して、「照明、演出用ランプ、液晶表示器27、スピーカ31L,31Rを含む複数の演出部材の消費電力を抑制した状態で稼働させるエコモードオン」と、「抑制しない状態で稼働させるエコモードオフ」との「エコモード状態の切り換え」の「設定」を行うものであり、前記「照明、演出用ランプ、液晶表示器27、スピーカ31L,31Rを含む複数の演出部材の消費電力を抑制した状態で稼働させるエコモードオン」、前記「抑制しない状態で稼働させるエコモードオフ」は、それぞれ、本件発明の「前記発光手段の消費電力を低下させる特殊制御を行う」こと、「否」に相当し、同じく構成fにおける「エコモード状態の切り換え」の「設定」は、「特殊制御を行うか否か」の「設定」に相当する。
そして、甲1発明の構成eの「スピーカ31L,31Rから出力される音量」(スピーカから出力される音量)の「調整」(設定)と、同じく構成fの「照明、演出用ランプ、液晶表示器27、スピーカ31L,31Rを含む複数の演出部材の消費電力を抑制した状態で稼働させるエコモードオン」(発光手段の消費電力を低下させる特殊制御を行う)か「抑制しない状態で稼働させるエコモードオフ」(否)かの「設定」の双方を、それぞれ、本件発明の構成FないしGに倣い、「第1設定」、「第2設定」と呼ぶことにしたとき、甲1発明では、いずれの設定も、同じ「装置側音量調整スイッチ34a」により行うことができるのであるから、前記「装置側音量調整スイッチ34a」が、本件発明の「第1設定と、第2設定と、を設定するために操作される一の操作部」に相当することは自明である。
そうすると、甲1発明は、本件発明の構成D、F、Gの構成を備えたものである。

(4)本件発明の構成I、Jについて
甲1発明は、構成hによれば、「音量切り換え設定については、サブ制御基板73は、電源スイッチ50のオン操作またはオフ操作がある度に、メモリ75の音量記憶領域に格納された音量レベルを、当該操作時のロータリースイッチ34aのスイッチ番号に対応付けられた音量レベルに書き換えた上で、スピーカ31L,31Rから出力される音量を当該書き換えた音量レベルに調整するものであり」とされているが、構成iによれば、「音量切り換え設定条件は、エコモード切り換え設定条件と異なるものであれば、適宜、変更することができるものであって、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作を行うことを、音量切り換え設定条件としてもよく」、「音量は、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作により、直ちに切り換え後のスイッチ番号の音量に調整されることになる」ことを許容するものである。
上記(3)で述べたように、甲1発明の「音量」の「調整」は、本件発明の「第1設定」に対応し、同じく、甲1発明の「装置側音量調整スイッチ34a」は、本件発明の「一の操作部」に対応するものであるところ、上記したように、甲1発明において「音量は、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作により、直ちに切り換え後のスイッチ番号の音量に調整されることになる」とされていることから、甲1発明が、本件発明の構成Iのうち、「前記第1設定については前記一の操作部に対する所定操作のみで設定される」に相当する構成を備えることは自明である。
一方、甲1発明における「エコモード状態の切り換え」の「設定」は、本件発明の「第2設定」に対応するものであるところ、当該「第2設定」については、甲1発明の構成gで「サブ制御基板73は、まず、設定表示スイッチ56がオン状態であるか否かを判断し、設定表示スイッチ56がオン状態であると判断すると、次にロータリースイッチ34aのスイッチ番号が切り換えられたか否かを判断し、次に、設定表示スイッチ56がオン状態でロータリースイッチ34aのスイッチ番号が切り換えられたと判断すると、切り換え後のスイッチ番号に対応付けられたエコモード状態がオンであるかオフであるかをさらに判断した上で、切り換え後のスイッチ番号に対応付けられたエコモードオンまたはエコモードオフのエコモード状態に切り換え設定を行う」とされるように、「装置側音量調整スイッチ34a」(一の操作部)である「ロータリースイッチ34a」の「切り換え」の操作と、「設定表示スイッチ56がオン状態である」という他の条件とを満たすことで設定されるものである。
そうすると、甲1発明と本件発明の構成Iとは、「前記第1設定については前記一の操作部に対する所定操作のみで設定される一方、前記第2設定については、前記一の操作部に対する特定操作と他の条件を満たすことで設定され」る点で共通するといえる。

(5)本件発明と甲1発明との一致点、相違点
上記(1)ないし(4)の検討を踏まえると、本件発明と甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点1ないし2で相違する。

(一致点)
「A 遊技を行うことが可能な遊技機であって、
B 遊技の制御を行う遊技制御手段と、
C 前記遊技制御手段から送信される制御情報にもとづいて、遊技機に設けられる演出手段の制御を行う演出制御手段と、
D 第1設定と、第2設定と、を設定するために操作される一の操作部と、を備え、
E 前記演出手段は、発光手段とスピーカを含み、
F 前記第1設定は、前記スピーカから出力される音量の設定であり、
G 前記第2設定は、前記発光手段の消費電力を低下させる特殊制御を行うか否かの設定であり、
I’ 前記第1設定については前記一の操作部に対する所定操作のみで設定される一方、前記第2設定については前記一の操作部に対する特定操作と他の条件とを満たすことで設定される、
K 遊技機。」

(相違点1)(本件発明の構成H)
本件発明は、「前記演出制御手段は、遊技機への電力供給が開始された後、前記遊技制御手段から制御情報が送信される前に前記第1設定と前記第2設定を行い、」とされるのに対し、甲1発明では、遊技機への電力供給の開始後の、制御情報の送信と、第1設定及び第2設定の実行との前後関係について明らかにされていない点。

(相違点2)(本件発明の構成I、J)
第2設定が設定されるために、前記一の操作部に対する特定操作とともに必要とされる「他の条件」が、本件発明では、「他の操作部に対する遊技機に電力を供給するための特別操作」であるのに対し、甲1発明は「設定表示スイッチ56がオン状態である」こととされていることに加え、本件発明では、「前記特定操作と前記特別操作とにより前記特殊制御が行われるように遊技機への電力供給が開始された後に、前記所定操作が行われても、前記特殊制御が継続して行われる」のに対し、甲1発明においては、特殊制御が行われるように遊技機への電力供給が開始された後に所定操作が行われたときの制御について、明らかにされていない点。

2 相違点についての判断
事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。
本件発明の構成Iについて、甲第1号証には、上記第4の1(1)カに摘記したように、「なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、例えば、音量切り換え設定条件は、エコモード切り換え設定条件と異なるものであれば、適宜、変更することができる。例えば、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作を行うことを、音量切り換え設定条件としてもよい。・・・。」と記載されているが、上記記載は、その趣旨を逸脱しない「種々の変更」として、「音量切り換え設定」の条件変更を例示するのみであって、本件発明の「第2設定」に対応する「エコモード切り換え設定」の条件変更まで例示しておらず、このことが想定されているという根拠もない。
加えて、上記第4の1(1)エに摘記した記載によれば、本件発明の「遊技機に電力を供給するための操作」に対応する「電源スイッチ50のオン操作」は、もとは、本件発明の「所定操作」に対応する「音量切り換え設定」の条件とされていたものであるところ、これを、「エコモード切り換え設定」の条件として、「設定表示スイッチ56がオン状態である」ことに置き換えて採用することを動機付けることも根拠に乏しい。
本件発明の構成Jは、構成要件Iを前提とした構成であるところ、上で述べたように、構成Iを甲1発明から導き出すことができない以上は、それを前提とした構成Jについても同様である。また、仮に、「設定表示スイッチ56がオン状態である」ことに置き換えて、「エコモード切り換え設定」(第2設定)の変更の条件として採用した場合であったとしても、本件発明の「特殊制御」に対応する「エコモード」の進行について、本件発明の構成Jの如くの、「エコモード」(特殊制御)の進行中における、「音量切り換え設定」(所定操作)に対して、「エコモード」(特殊制御)を「継続」することが一義的に導かれるものではない。
甲第2号証にも、上記第4の2(1)アないしスに摘記した事項を含めて、上記相違点2に係る本件発明の構成は、記載も示唆もされていない。
そうすると、相違点1について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基いて当業者が容易に想到しうるものではない。

3 申立人の主張について
上記相違点2の、特に構成Iに係る点について、申立人は、異議申立書で以下ア、イを主張している。
なお、異議申立書における「構成要件I)」、「構成要件J)は、それぞれ、本件発明の「構成I」、「構成J」に対応する。

ア 「(i)本件特許発明の構成要件I)について
・・・(中略)・・・
そして、前記甲1発明は、段落【0045】〜【0047】、【0065】の前記記載から、「ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作を行うことを、音量切り換え設定条件としてもよ」く、「この場合、音量は、ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作により、直ちに切り換え後のスイッチ番号の音量に調整されることになるが、エコモード状態は、設定値の確認操作が行われなければ切り換え設定されないことになる」というものである。
そうすると、エコモード状態は、「設定の確認操作」が行うことが必要となるが、音量切り換え設定条件は、エコモード切り換え設定条件と異なるものであれば、適宜変更可能とされており、これは、エコモード切り換え設定手段が変更されても、両者が異なる限り、適宜変更した設定手段を採用可能であると解することができる。
したがって、甲第1号証にも、設定手段として利用可能なことが示されている、「電源スイッチ50のオン操作又はオフ操作」も、エコモード切り換え設定手段の一手段として利用することも当業者であれば想起可能であると解される。
以上によれば、音量切り換え設定条件をロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作を行うこととし、エコモード切り換え設定条件を電源スイッチ50のオン操作又はオフ操作とすることも、甲第1発明の想定内のものであるといえる。」(異議申立書の第32ページ下から5行〜第33ページ第19行)

イ 「(j)本件特許発明の構成要件J)について
・・・(中略)・・・
前記「(i)本件特許発明の構成要件I)について」において述べたとおり、「所定操作」を「ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作」と、「特定操作」を「ロータリースイッチ34aのスイッチ番号の切り換え操作」と、そして、「特別操作」を「電源スイッチ50のオン操作又はオフ操作」とした場合には、「エコモード状態を切り換えるためのエコモード切り換え設定条件と、音量調整を行うための音量切り換え設定条件とが異なるため、エコモード状態および音量の一方を変更しようとしたときに、本来変更するつもりのない他方の設定を変更してしまうという誤操作を防止でき」るので、遊技機への電力供給が開始された後に所定操作が行われても、エコモード状態は変更されないので、発光手段の消費電力を低下させる特殊制御は継続すると言い換えることができる。」(異議申立書の第34ページ第3行〜第20行)

しかしながら、上記アの主張(構成要件I))について、甲第1号証には、その趣旨を逸脱しない「種々の変更」として、「音量切り換え設定」の条件変更を例示するのみであって、「エコモード切り換え設定」の条件変更まで例示しておらず、このことが想定されているという根拠もないことに加え、「電源スイッチ50のオン操作」は、もとは、「音量切り換え設定」の条件とされていたものであるところ、これを、「エコモード切り換え設定」の条件として、「設定表示スイッチ56がオン状態である」ことに置き換えて採用することを動機付けることも根拠に乏しいことは、上記2で述べたとおりである。
次に、上記イの主張(構成要件J))について、構成要件J)が構成要件I)を前提としたものであるところ、構成要件I)を甲1発明から導き出すことができない以上は、それを前提とした構成要件J)についても同様であることも、上記2で述べたとおりである。
そうすると、申立人の上記主張には理由がない。

4 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明は、甲1発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
したがって、本件発明に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反したものではない。

第6 判断(サポート要件)
1 申立人の主張について
(1)申立人の主張
申立人は、異議申立書で以下の主張をしている。

「(4−2)理由2(サポート要件)について
・・・(中略)・・・
(ア)「遊技機」の定義について
本件特許発明は、「遊技を行うことが可能な遊技機であって、・・・」、「・・・特徴とする遊技機。」等々「遊技機」に関するものであるが、本件特許の明細書(以下、本件特許明細書と呼ぶ。)には、「遊技機」に対応する実施例としてスロットマシンに適用した実施例以外は記載されていない。一応、本件特許明細書の段落【0178】にはパチンコ遊技機に適用してもよい旨の記載があるが、パチンコ遊技機に適用した場合の具体的な実施例が記載されてはいない。
・・・(中略)・・・
(イ)明細書等の記載について
・・・(中略)・・・
具体的には、本件特許明細書の段落【0178】にパチンコ遊技機に適用しても良い旨の記載があるが、これをもって、遊技機全般にまで拡張又は一般化することはできず、請求項に記載された発明は、完全に明細書等に記載されているということはできない。つまり、詳細な説明の記載から当業者であればパチンコ遊技機に適用することは容易かもしれないが、パチンコ遊技機の実施例が記載されているというわけでもないし、記載されているに等しいということができない。
さらに、本件特許明細書の詳細な説明の他の記載等において、スロットマシン以外の各種ゲーム機も含む「遊技機」については記載されておらず、しかも、出願時の技術常識を考慮しても、本件特許発明は発明の詳細な説明等に記載されたものとは言えない。
そうすると、そのような構成の特定(限定)のない表示画面を用いた演出を主とする遊技機の発明であれば、パチンコ機、スロットマシンの他、各種ゲーム機、例えばアーケードゲーム機、その他の電子ゲーム機、そして最近のソーシャルゲーム等広範な種類を含むものと解するのは当然である。
だからこそ、基本的に、パチンコ機に限定しようとする発明であれば、・・・(中略)・・・、スロットマシンに限定した発明であれば・・・(中略)・・・、また、その両者に適用しようとする発明であれば、共通する上位概念の構成を用いて発明を特定し、実施例としてはその両方が記載されることになると言うべきである。
よって、本件特許明細書の詳細な説明等にスロットマシンに適用した実施例以外の遊技機、例えば、ゲーム機等の遊技機が記載されていない以上、本件特許発明は、遊技機に関してサポート要件を満たしていないといえる。
(ウ)まとめ
上記(ア)及び(イ)で検討したように、本件特許発明がその対象を「遊技機」としているにも係わらず、本件特許の明細書及び図面には、スロットマシン以外には概括的な適用に関する願望を記載するだけで、具体的に、ゲーム機等を含む各種遊技機についての記載がなく、また、それを示唆する記載もない上、それらの記載から本件特許発明に係る請求項の記載はサポート要件を満たしているとはいえない。」(異議申立書の第39ページ下から2行〜第41ページ下から6行)

(2)申立人の主張について
申立人の主張について検討するにあたり、本件特許に係る明細書には、以下アないしイの記載が認められる。

ア 「【背景技術】
【0002】
遊技機として、所定の賭数を設定し、スタート操作が行われたことに基づいて、複数種類の識別情報の可変表示が行われるスロットマシンや、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行われるパチンコ遊技機などがある。
【0003】
こうした遊技機において、一つの音量節電切り替えスイッチを用いて音量調整とエコモードの2つの設定を行う遊技機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この遊技機では、音量節電切り替えスイッチが指定するポイントを定期的に読み取ってポイントに応じた音量調整とエコモードの設定を行っている。」

イ 「【0178】
以上説明した実施形態では、スロットマシンを例に説明したが、パチンコにおいても、音量設定、及び省電力設定が可能であり、電源スイッチ39が設けられているため、パチンコに図15(a)に示した音量調整器57を備えることで、本実施形態をパチンコにも適用することができる。」

上記イの記載から、本件発明は、「スロットマシン」のみならず、「音量設定」、「省電力設定」、「電源スイッチ39」等の、所定の設定、構造を有する「パチンコ」に、「図15(a)に示した音量調整器57を備え」て適用したものも実施例としているといえる。
一方、本件発明は、上記アの背景技術として例に挙げられておらず、また、上記した所定の設定、構造を有し、「図15(a)に示した音量調整器57を備え」て適用されうることがない、ソーシャルゲーム等も含めた遊技機一般まで技術範囲を想定しているというべきではなく、想定されないこれらの範囲にまで出願当初の明細書における裏付けが求められるものでもない。
そうすると、申立人の上記主張には理由がない。

2 まとめ
以上のとおりであるから、本件特許に係る出願について、その特許請求の範囲に記載された発明がその明細書及び図面に記載されたものでないとはいえない。
したがって、本件特許に係る出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしたものである。

第7 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2022-05-31 
出願番号 P2016-248166
審決分類 P 1 651・ 537- Y (A63F)
P 1 651・ 121- Y (A63F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 小林 俊久
蔵野 いづみ
登録日 2021-08-30 
登録番号 6936004
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人平木国際特許事務所  
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