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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61M
管理番号 1386440
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-23 
確定日 2022-07-19 
事件の表示 特願2016−533038「マルチ内腔構造を備えるカテーテルアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月28日国際公開、WO2015/077560、平成28年12月 1日国内公表、特表2016−537126〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)11月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年11月21日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年10月 5日付け:拒絶理由通知
平成31年 4月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和 1年 6月20日付け:拒絶査定
令和 1年10月23日 :審判請求、同時に手続補正書の提出
令和 2年 9月25日付け:拒絶理由通知
令和 2年12月23日 :意見書の提出

第2 本願発明について
1 本願発明
本願の請求項1〜18に係る発明は、令和1年10月23日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1〜18に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
カテーテルアセンブリであって、
対向する平坦な側部を有する長円形の断面形状を有する外面を含み、第1の内腔と第2の内腔と第3の内腔とを形成する細長いカテーテルチューブを備え、
前記第1の内腔および前記第2の内腔の各々は、前記第3の内腔に隣接して配置される凹部を断面に備え、
前記第1の内腔および前記第2の内腔の各々は、第1の角部および第2の角部を断面に備え、
前記凹部は、前記第1の角部側にオフセットされた形態で前記第1の角部と前記第2の角部との間に介在し、
前記第3の内腔は、実質的に円形の断面形状を備え、
前記カテーテルチューブは、
前記第1の内腔に流体連通し、前記カテーテルチューブの外面に開口する第1の側方開口であって、該第1の側方開口における前記第1の内腔の軸線が前記カテーテルチューブの軸方向に対して傾斜するように形成された第1の側方開口と、
前記第2の内腔に流体連通し、前記カテーテルチューブの外面に開口する第2の側方開口であって、該第2の側方開口における前記第2の内腔の軸線が前記カテーテルチューブの前記軸方向に対して傾斜するように形成された第2の側方開口と
を備える
カテーテルアセンブリ。」

第3 拒絶の理由
令和2年9月25日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。

本願の請求項1〜18に係る発明は、その出願(優先日)前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特表2011−502583号公報

第4 引用文献1の記載事項および引用発明の認定
1 引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当審において付与した。
(1)「【0013】
まず図1Aを参照すると、これは一例示実施形態による全体に10にて指し示す血液透析カテーテル組立体の様々な特徴を描写する。図示のように、カテーテル10は基端11Aと末端11Bとを含む細長いカテーテル本体11を含む。細長いカテーテル本体11は、その基端11Aから末端11Bまで長手方向に伸びる第1の管腔12と第2の管腔14と第3の管腔15とを画定している(図7A)。管腔12、14、および15は、それらの個々の長さに沿って円形、楕円形、D字形断面形状、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の断面形状を有することができる。一実施形態では、第1の管腔12と第2の管腔14は血液透析に必要な流体流量、すなわち約250mmHg圧で約300ミリリッタ/分に適応する大きさとしてある。一実施形態では、第3の管腔はそこを介する採血と流体吸引/注入に適応する約0.35から約0.38インチの直径を有する大きさとしてある。
【0014】
三つ又のハブ20がカテーテル本体の基端11Aに含まれ、第1と第2と第3の管腔12、14、15とそれぞれ動脈延長脚部16、静脈延長脚部18、パワー延長脚部19との間の流体連通を提供している。延長脚部16、18、19は、それぞれルアーコネクタ16A、18A、19Aとクランプ16B、18B、19Bとを含む。そのように構成することで、延長脚部16、18が第1の管腔12と第2の管腔14との流体連通を提供し、それにより患者の中心静脈系からの流体の注入または吸引が可能になる。したがって、例えば血液透析装置等の流体注入あるいは吸引装置は、ルアーコネクタ16A、18Aを介してカテーテル組立体10に接続し、したがって患者に対する血管内アクセスを提供することができる。同様に、延長脚部19が第3の管腔15との流体連通を提供し、対応装置をコネクタ19Aを介してそこに接続したときに血管からの流体注入/吸引を可能にする。ここに詳述する延長脚部の個々の位置や構成は具体的なカテーテル組立体の設計にしたがって変えることができ、したがって限定するものと見なすべきでないことに留意されたい。カテーテル本体11はさらに、患者に対するカテーテル本体の固定をもたらす縫合翼21を含む。
【0015】
図2は、別の例示実施形態によるカテーテル組立体10を示し、ここで延長脚部16、18はそれぞれ予め湾曲させた部分16C、18Cを含む。予め湾曲させた部分16C、18Cにより、一旦カテーテル組立体の末端が器官内血管系内に配置されて患者に安心感をもたらすと、カテーテル組立体10の延長脚部16、18が患者の体に対し下方に伸ばせるようになる。
【0016】
より詳しくは、図1Aと図2のパワー延長脚部19は三つ又状のハブ20を介して第3の管腔15に流体連通接続される。特に、パワー延長脚部19は、一実施形態において、急速注入、すなわち造影強調CTスキャン撮像に有用な造影剤または他の流体の第3の管腔15を介する患者の血管内へのパワー注入を可能にする構成としてある。具体的には、一実施形態において、パワー延長脚部19と第3の管腔15は毎秒約3ミリリッタから約8ミリリッタの間の流量で約50から約250psiの間の流体圧力にて流体を注入するよう構成されているが、他の流量と流体圧力もまた可能である。パワー延長脚部19と第3の管腔15はまた、単独かもしくは第1の管腔12と第2の管腔14の同時使用の期間中に血液または他の流体を除去したり、変換装置の支援を用いて中心静脈圧力を監視するのに用いることができる。パワー延長脚部19と第3の管腔15はまた、ガイドワイヤを介するカテーテル組立体の挿入を可能にすべく、そこを通るガイドワイヤを受け入れる十分な大きさとしてある。パワー延長脚部19の構成要素は、一実施形態において、パワー注入可能性を示すよう紫に着色することに留意されたい。他の色もまた、用い得る。
【0017】
図1Aおよび図2は共にさらに全体を50にて指し示す末端領域を含んでおり、これは本発明の一例示実施形態により構成され、その詳細を下記に述べる。下記に記述する末端領域に、例えば図1Aおよび図2に示したもの等の血液透析カテーテル、または中心静脈カテーテル等の他のカテーテルを含めることができることを理解すべきである。事実、本発明の実施形態によりカテーテル組立体は慢性透析治療等の他の用途、または患者の頸静脈、鎖骨下部、もしくは大腿骨の血管もしくは他の体腔等の血管に対しアクセスが得られるよう望まれる箇所での使用に向け適合させることができる。このような他の用途の例には、血漿交換や血液かん流等が含まれる。
【0018】
ここで図2から図6を参照するが、それらはカテーテル組立体10の全体を50にて指し示す一実施形態により構成される末端領域の様々な図を示している。詳しくは、末端領域50は全体に終端カテーテル部分50Aと、終端カテーテル部分の末端に配置されてカテーテル組立体10の末端を形成するノーズ部分50Bとを含む。終端カテーテル部分50Aは、カテーテル本体11のより基端側の部分として、血管に外傷を生ずることなく挿入を容易にできるような適切な柔らかさや、カテーテルを意図したように操作できるようにする生体適合性等の品質を呈する適当な材料で出来ている。一実施形態では、カテーテル本体11は熱可塑性ポリウレタンを基材とする樹脂材料、具体的には商標名TECOFLEXとして販売されているポリエーテルを基材とする脂肪族熱可塑性ポリウレタン、すなわち約60のショアD硬度を有するTECOFLEX EG−60D−B20を含む材料で出来ており、ここで「B20」は放射線不透過剤(raidopacifier)の添加、すなわち20%の硫酸バリウム添加を指す。他の適当な材料もまた、用いることができる。
【0019】
対照的に、ノーズ部分50Bは終端カテーテル部分50Aよりも比較的柔らかい材料を含み、血管への進入または移行期間中に血管もしくは他の器官内血管系を先端部分が損傷しないようにする。一実施形態では、ノーズ部分50Bは約85のショアA硬度を有するTECOFLEX EG−85A−B20を含む材料で出来ている。上記の説明にも拘わらず、終端カテーテル部分とノーズ部分に、本明細書に説明し、当業者が理解しているような所望の特性を有する他の材料を含めることができることは理解すべきである。終端カテーテル部分とノーズ部分とに使用することのできる材料の非限定的な一例は、シリコーンである。
【0020】
例示実施形態では、ノーズ部分50Bがカテーテル組立体10の製造中に成形工程を介して終端カテーテル部分50Aに接合されることに留意されたい。しかしながら、他の実施形態では、カテーテル本体にノーズ部分を接合させる他の工程、例えば高周波融合(RFチッピング)、接着剤を介するボンディング、カテーテル本体とノーズ部分の一体成形等を含め用いることができる。
【0021】
図3と図4に最も良く見て取れるように、ノーズ部分50Bは末端方向に収れんしている。本実施形態では、患者の器官内血管系または他の内腔へのカテーテル本体11の末端部分の進入と移動を容易にすべく、ノーズ部分50Bは先細にされている。ノーズ部分50Bはカテーテル本体11の残りの部分とは異なる着色とし、前記により詳しく説明したように、カテーテル組立体10が第3の管腔15と対応するパワー延長脚部19とを介する比較的高速の流体吸引と注入とに用いることができることを示すことができる。
【0022】
末端領域50は流体の注入と吸引を可能にする様々な開口を含んでおり、一方でカテーテル組立体10は患者の器官内血管系内での使用に向け配置される。具体的には、一実施形態によれば、末端領域は静脈用側方開口60と動脈用側方開口62と末端開口64とを含む。
【0023】
より詳しくは、静脈用側方開口60および動脈用側方開口62はカテーテル本体末端11Bのすぐ近くに互いに対向配置してあり、カテーテル本体11の外壁の側方部分に画定され、それぞれ第1の管腔12と第2の管腔14に流体連通し、したがってカテーテル組立体10を患者の器官内血管系内に配置したときに管腔に対し開口を介して血液または他の流体を流入出させることができる。静脈用開口60と動脈用開口62は、図4に最も良く見て取れるように、さらに下記に説明するようにそれぞれ周縁60A、62Aにより画定されている。
【0024】
側方開口60、62がそれぞれ末端カテーテル部分50Aからノーズ部分50B内へ末端方向に延在することに、留意されたい。もちろん、カテーテル本体11の長手方向軸に沿う側方開口60、62の正確な配置は具体的な用途の必要性に応じて変えることができる。
【0025】
図4は、本発明の実施形態において、静脈用側方開口60と動脈用側方開口62をほぼ非千鳥配置し、すなわちカテーテル本体11の長手方向軸沿いに互いに等しく配置し、それぞれがカテーテル末端11Bからほぼ等距離に配置されるようにしてあることを示している。側方開口60、62のこのような非千鳥配置により、両開口は器官内血管系内の所望の位置のすぐ近くに配置できるようになり、カテーテル組立体10を介する処置済み血液の再循環率が側方開口の個々の血液流入/出方向に関係なく比較的一定に保たれるよう保証される。カテーテルを流れる血流方向の逆転が必要であれば、この特徴が有用となる。一実施形態では、いずれの方向の再循環率も約5%以下である。別の実施形態では、静脈用開口と側方開口を千鳥配置することができる。
【0026】
図2から図6はさらに、末端領域50内に静脈用開口60と側方開口62とを画定する形式を示している。側方開口60、62は、さらに下記に示すように、様々な形状と構成を取ることができるが、本実施形態では側方開口はカテーテル本体11の外壁を通る傾斜穿孔切断により画定され、個々の第1または第2の管腔12、14との連通を確立する。一実施形態では、このような切断は「スカイブ」カットと呼ばれる。
【0027】
一実施形態では、側方開口60、62の各傾斜穿孔切断の長軸が一実施形態において、カテーテル本体11の長手方向軸に対し約35度の角度θ1を画定しているが、この角度は一実施形態において、零から約90度まで変えることができる。この角度状の特徴が、図4中の流れ矢印により表わされるようにいずれの開口60、62を流出する流体に対しても側方および末端の両方の方向成分を分与し、このことがいずれの開口も少再循環流体が流出あるいは流入できるよう支援する。本実施形態の各側方開口60、62は長手方向軸70に対し同角度θ1を有する同一の傾斜切断(cross cuts)により画定されるが、角度を大まかに変えたり、各開口ごとに角度を異ならしめて変えることも可能である。
【0028】
一実施形態では、側方開口は複合傾斜切断により画定することができ、ここで各側方開口の長軸がカテーテル本体長手方向軸と、第1の管腔と第2の管腔を分割する平面、すなわち末端領域の基部近くで第1と第2の管腔を分断する隔壁との共面との角度を画定している。
【0029】
図6に描かれた傾斜切断の端面図は、例示実施形態における各開口60、62の傾斜切断が末端領域50の周縁部分を通る半円形空腔全体を画定するようなされることを示している。空腔は、図6に示す半径「R」を有する円72の一部により画定される。本実施形態では、側方開口60、62を画定する傾斜切断は筒状ドリル刃または円72の半径Rに等しい半径を有する除芯工具の使用と角度θ1に設定された末端領域50を通る切断とを介して達成される。例えば、一実施形態では、1/16インチの半径を有するドリル刃を用いてカテーテル本体を通り静脈用側方開口60と動脈用側方開口62とを対角線的に傾斜切断して横長断面を形成し、ここで最大直径と最小直径との平均は約0.173インチとなる。一実施形態におけるカテーテル本体の大きさは7から16Frで可変できるが、他のフレンチサイズもまた可能であることに留意されたい。静脈用側方開口60に関連して示したが、上記の説明は動脈用開口62にも当てはまる。ここで、本発明では同一の大きさと形状としたが、第1と第2の開口が具体的用途向けに所望によりまたは必要に応じて個々に異なる寸法とし得ることに留意されたい。
【0030】
直前に説明した傾斜切断部を形成した結果、静脈用開口60と動脈用開口62は前述のそれらの個々の周縁部60A、60Bにより画定される。傾斜切断を行う角度は、切断点でのカテーテル本体11の形状と併せ、添付図面に見られる形状の周縁部60A、62Aに帰着する。図4に最も良く見て取れるように、各周縁部60A、62Aは、本発明では二次元透視にて視たときに数字の8形状またはアナレンマを、また三次元透視にて視たときに細長いサドル形状を形成する。さらに、各開口60、62の末端部分が先細ノーズ部分50Bの一部に画定される(図4と図5に最も良く見て取れる)ため、各開口は図5に最も良く見て取れる末端指向構成要素を有しており、同図では各側方開口の一部が末端側から視認可能である。
【0031】
上記の静脈用側方開口60と動脈用側方開口62の構成は、カテーテル組立体10に対し様々な態様を提供する。まず、そのサドル形状が故に、側方開口60、62はカテーテル本体11の外周周りに周方向に一部延在する。このことが、開口の負の流体圧力がカテーテル本体周辺の一部分周りに分布した際に一方の開口が血管から血液を取り除いているときの血管壁に対する末端領域50の不要な吸引を阻止するのに役立つ。血管のサックアップが発生する場合、側方開口60、62はそれでもカテーテル組立体10に流入出する受容可能な流体を供給するような形状とする。比較的大きな寸法の側方開口60、62もまた閉塞や包皮形成の阻止を支援し、そこから流出する流体のファンアウトまたは幅広い分配をもたらす。その結果、再循環効率は改善される。
【0032】
第2に、各側方開口60、62の末端指向態様が、そこから排出される流体に対し末端方位を分与するのを支援する。これにより、たとえカテーテル本体11が血管壁に対して位置決めされているときでも、排出流体が個々の側方開口から末端方向へ流れ去るようにし、末端から基端への流れを他の側方開口へ流せるようにする。加えて、側方開口60、62は互いに対称的に対向する方向、すなわち図4に最も良く見て取れるように180度切り離され、側方開口による流体の進入排出がカテーテル組立体10の両側で行われ、再循環をさらに低減するのを確実にする。さらに、この対称的な配置が、図3に最も良く見て取れるように側方開口60、62間に「十文字」関係を生み出し、そのことが再循環の低減を支援する。その上、さらに下記に説明するように、たとえカテーテル組立体10を介する流体の流れが逆転したときでも、同様の流体流動特性が実現される。加えて、ここに説明した側方開口構成は側方開口60、62のいずれかを介するカテーテル本体11からの流出時に流体の急激な方向転換を最小化し、そのことが流体の乱流および起き得る凝固または溶血を阻止する。
【0033】
図2から図6に示すように、末端開口64は末端ノーズ領域部分50の末端に末端方向に位置して第3の管腔15に流体連通しており、したがって大流量の注入、すなわち造影剤やまたは血管へのTPN栄養補給流体および投与薬物等の他の流体のパワー注入、加えてカテーテル使用中の血管からの血液の除去を可能にする。造影剤または投与薬物の血管内への注入の場合、有利には第1の開口60と第2の開口62の末端側への末端開口64の配置は、血液透析または他の治療期間中のように注入が静脈用開口60と動脈用開口62を通る流体の移動と同時に行われる場合、第1または第2の開口のいずれかへの造影剤/投与薬物の吸入の最小化に帰着する。
【0034】
一実施形態では、患者の器官内血管系内の最初のまたは交換のためのカテーテル位置決め期間中に、ガイドワイヤを末端開口64と第3の管腔15とパワー延長脚部19とに挿通できることに留意されたい。また、カテーテル本体11の末端部分における3個の開口60、62、64の比較的近位への配置により、各開口が上大静脈(SVC)等の器官内血管系内の所望の位置近くに配置できるようになることに留意されたい。
【0035】
ここで、本実施形態によるカテーテル組立体10の末端領域50の構成に対する流れ特性の説明に、図7Aと図7Bに対し参照を行う。図7Aと図7Bは、カテーテル組立体10が患者の血管内に適切に配置された後の末端領域50を示す。矢印84は、患者の血管内の末端領域50を通る血流の方向を示す。
【0036】
より詳しくは、図7Aは末端領域50を「順」方向に流れる流体の流れを示しており、ここで血液は第2の管腔14すなわち「アップテイク」管腔により、人体からの除去と血液透析装置による治療もしくは他の適当な目的に合わせ吸引される。吸引された血液は、末端領域50の動脈用側方開口62を介して第2の管腔14に進入する。同様に、血液透析装置あるいは何らかの他の適当な目的による処置の後、血液は第1の管腔12すなわち「リターン」管腔により血管へ注入されるか、または戻される。注入された血液は、静脈用側方開口60から第1の管腔12から流出する。静脈用側方開口60と動脈用側方開口62の側方方位が血管内の既処置済み血液の少再循環を規定し、再循環は再治療対象である動脈内腔により直前に吸引された静脈内腔を介する血流へ戻される既処置済み血液として規定されることに留意されたい。このような再循環は望ましくなく、何故ならそれはより低い治療効率に帰着し、より長い治療時間に終わるからである。
【0037】
血液透析処理期間中、時としてカテーテル組立体10を介して血流を逆転させる必要がある。図7Bは、このような「逆」流状況の間に末端領域50を流れる流体の流れを示す。図7Aの順方向流状態とは対照的に、図7Bの第2の管腔14は、第1の管腔12が血管から血液を吸引している間に血管に血液を注入するのに用いられる。この構成にあっては、注入血液は動脈用側方開口62を介して血管に入り、一方で吸引血液は静脈用側方開口60を介して除去される。ここでも、静脈用側方開口60と動脈用側方開口62の側方方位が血管内の既処置済み血液の少再循環を規定する。したがって、カテーテルが操作されている方向に拘わらず少再循環に帰着することが分かる。
【0038】
図7Aと図7Bはさらに、静脈用側方開口60と動脈用側方開口62による注入/吸引の前、後または最中に第3の管腔15に流体連通する末端開口64を介して流体が吸引あるいは注入できることを示している。前記したように、第3の管腔15と末端開口64は血管内への比較的高圧の流体流の注入に耐えるよう構成される。他の実施形態では、所望であれば、高圧流体流注入用に2以上のカテーテル管腔が構成できることを理解されたい。
【0039】
本カテーテル組立体の様々な構成要素の記述に上記に使用した標識「静脈」や「動脈」が、本実施形態の態様の説明における便宜を図るため採用されたものであることを、理解すべきである。事実、直前に説明したように、動脈用側方開口は通常カテーテルを配置する血管から血液を吸引する血液透析処置に用いられ、静脈用側方開口は既処置血液を血管に戻すのに用いられるが、これを逆転し、血液を動脈用側方開口を介して戻し、静脈用側方開口により吸引することができる。したがって、本発明の実施形態は本明細書におけるこれや他の説明的述語により限定されると見なすべきではない。
【0040】
ここで、カテーテル本体11に関する様々な細部を描写する図8Aから図8Cを参照する。詳しくは、図8Aは末端領域50の基部近くの点におけるカテーテル本体11の断面図を示すものであり、第1の管腔12と第2の管腔14と第3の管腔15とを示している。3個の管腔12、14、15は、カテーテル本体11の長手方向の長さに沿って画定してあり、外周縁すなわち壁86によって、境界付けられている。本実施形態におけるカテーテル本体11の外壁86は横長の形状を画定しており、第1の管腔12と第2の管腔14とを交差してカテーテル本体の幅にまたがる横軸88を含む。第3の管腔をそれらの下側に配置した状態での第1の管腔12と第2の管腔14相互の隣接配置は、カテーテル本体11のねじれを介する管腔の偶然の閉塞に抵抗する頑丈な管腔構成をもたらす。加えて、カテーテル本体11の横長の断面構成により管腔12、14、15に対し円形の断面形状を用いることができるようになり、それらは流体の流れの点で「D」形状または他の形状の管腔よりもかなり効率的である。
【0041】
図8Bに見られるように、かつ前述したように、静脈用側方開口60はそれが第1の管腔12を交差するよう画定され、一方で動脈用側方開口はそれが第2の管腔14を交差するよう画定される。したがって、第1の管腔12は静脈延長脚部18と静脈用側方開口60との間に流体連通を確立し、一方で第2の管腔14は動脈延長脚部16と動脈用側方開口62との間に流体連通を確立する。一実施形態では、静脈用開口60と動脈用開口62とを画定する傾斜切断は第1の管腔12と第2の管腔14とを仕切る隔壁90に対し接線方向になされ、したがって隔壁は2個の管腔間に障壁として無傷のまま残る。
【0042】
図8Aから図8Cは、図5に示すように第3の管腔が末端開口64から出る際に、カテーテル本体11の長さに沿って底部中心の場所から中心位置へ持ち上げられる形式を連続的に描写している。もちろん、他の管腔位置構成もまた可能である。
【0043】
前述のカテーテル組立体構成に様々な改変がなせることは、理解されたい。明確さを目的とし、前述と後述の実施形態の間の選択された差異だけを記述することに留意されたい。例えば、図9Aから図9Fは、カテーテル本体11に一体形成した終端カテーテル部分150Aと、比較的低硬度の、例えば軟質材料を含み、図2から図6に関連して既に前記したのと同様の形式で終端カテーテル部分150Aに接合したノーズ部分150Bとを含む末端領域150を描写している。」

(2)「【0048】
図12Aから図20Dは、追加の例示実施形態により3個の管腔を含むカテーテル組立体末端領域が取り得る構成を描写する。これらは、図2から図7Bに関連して前記した実施形態と態様を共有しているため、追従する実施形態の選択された態様だけが下記に説明される。」

(3)「【0054】
図17Aから図17Dは、第1の管腔12に流体連通する静脈用側方開口960と第2の管腔14に流体連通する動脈用側方開口962とを含むカテーテル組立体末端領域950を描写する。末端開口964は末端領域850の末端にも画定されており、カテーテル本体11の中心軸から軸方向にオフセットしている。本実施形態では、側方開口960、962は隔壁990により仕切られていて、それぞれが図16Cの斜視図で視たときに外部カテーテル本体壁986の一部と併せ鋭角形状周縁部を画定している。これまでのように、側方開口960、962は図17Dに最も良く見て取れるように互いに対称的に対向している。」

(4)【図1A】

(5)【図2】

(6)【図3】

(7)【図8A】

(8)【図17A】

(9)【図17B】


2 上記1(1)〜(9)の摘記事項から、次の事項が把握できる。
(1)段落【0040】および【図8A】より、カテーテル本体11は、外壁86が横長の形状を画定している、横長の断面構成であり、対向する平坦な側部を有する長円形の断面形状であることが看取できる。
(2)段落【0040】および【図8A】より、第1〜3の管腔12,14,15は隣接配置され、円形の断面形状を備えている。
(3)段落【0023】および【図2】より、静脈用側方開口60は、第1の管腔12に流体連通し、カテーテル本体11の外壁の側方部分に画定される。
(4)段落【0023】および【図2】より、動脈用側方開口62は、第2の管腔14に流体連通し、カテーテル本体11の外壁の側方部分に画定される。
(5)段落【0027】および【図3】より、静脈用側方開口60の傾斜穿孔切断の長軸が、カテーテル本体11の長手方向軸に対し約35度の角度θ1を画定している。
(6)段落【0027】および【図3】より、動脈用側方開口62の傾斜穿孔切断の長軸が、カテーテル本体11の長手方向軸に対し約35度の角度θ1を画定している。
(7)段落【0054】、【図17A】および【図17B】より、第1の管腔12および第2の管腔14は、カテーテル本体11の直径方向の隔壁990を介して対向配置されており、第1の管腔12および第2の管腔14の断面形状は、各々、カテーテル本体11の円形断面に沿った円弧状部分と、上記隔壁990に沿った直線状部分と、カテーテル本体11の中心軸から軸方向にオフセットして配置された第3の管腔の円形断面に隣接し、当該第3の管腔の円形断面に沿った凹状部分と、上記円弧状部分と上記直線状部分との間並びに上記円弧状部分と上記凹状部分との間の角状部分とを有する断面形状となっていることが看取される。

3 上記1および2の事項を踏まえると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「カテーテル10であって、
横長の断面構成を有する外壁86を含み、その基端11Aから末端11Bまで長手方向に伸びる第1の管腔12と第2の管腔14と第3の管腔15とを画定している細長いカテーテル本体11を備え、
上記第1の管腔12、第2の管腔14および第3の管腔15は隣接配置され、円形の断面形状を備えており、
上記カテーテル本体11は、
上記第1の管腔12に流体連通し、上記カテーテル本体11の外壁86の側方部分に画定される静脈用側方開口60であって、静脈用側方開口60の傾斜穿孔切断の長軸が、上記カテーテル本体11の長手方向軸に対し約35度の角度θ1を画定する静脈用側方開口60と、
上記第2の管腔14に流体連通し、上記カテーテル本体11の外壁86の側方部分に画定される動脈用側方開口62であって、動脈用側方開口62の傾斜穿孔切断の長軸が、上記カテーテル本体11の長手方向軸に対し約35度の角度θ1を画定する動脈用側方開口62と
を備える
カテーテル10。」

第5 対比
1 本願発明と引用発明1とを対比する。
(1)引用発明1の「カテーテル10」は、本願発明の「カテーテルアセンブリ」に相当し、以下同様に、「外壁86」は「外面」に、「第1の管腔12」は「第1の内腔」に、「第2の管腔14」は「第2の内腔」に、「第3の管腔15」は「第3の内腔」に、「カテーテル本体11」は「カテーテルチューブ」に、「静脈用側方開口60」は「第1の側方開口」に、「動脈用側方開口62」は「第2の側方開口」に相当する。
(2)引用発明1の「カテーテル本体11」の「横長の断面構成を有する外壁86」は、上記第4の2(1)に示したとおり、対向する平坦な側部を有する長円形の断面形状といい得るものであるから、本願発明の「カテーテルチューブ」の「対向する平坦な側部を有する長円形の断面形状を有する外面」に相当する。
(3)引用発明1の「その基端11Aから末端11Bまで長手方向に伸びる第1の管腔12と第2の管腔14と第3の管腔15とを画定している細長いカテーテル本体11」は、本願発明の「第1の内腔と第2の内腔と第3の内腔とを形成する細長いカテーテルチューブ」に相当する。
(4)引用発明1の「第1の管腔12、第2の管腔14および第3の管腔15は隣接配置され」ている態様は、第1の管腔12および第2の管腔14の各々が第3の管腔15に隣接して配置されている態様といい得るものであるから、引用発明1の「第1の管腔12、第2の管腔14および第3の管腔15は隣接配置され、円形の断面形状を備えている」ことと、本願発明の「前記第1の内腔および前記第2の内腔の各々は、前記第3の内腔に隣接して配置される凹部を断面に備え」ていることとは、「第1の内腔および第2の内腔の各々は、第3の内腔に隣接して配置される部分を断面に備え」ているという限りにおいて一致する。
(5)引用発明1の「静脈用側方開口60」に関し、「静脈用側方開口60の傾斜穿孔切断の長軸が、カテーテル本体11の長手方向軸に対し約35度の角度θ1を画定する」態様は、それにより、静脈用側方開口60における第1の管腔12の軸線がカテーテル本体11の軸方向に対して傾斜するようになるから、本願発明の「第1の側方開口における第1の内腔の軸線がカテーテルチューブの軸方向に対して傾斜するように形成された」態様に相当する。
(6)引用発明1の「動脈用側方開口62」に関し、「動脈用側方開口62の傾斜穿孔切断の長軸が、カテーテル本体11の長手方向軸に対し約35度の角度θ1を画定する」態様は、それにより、動脈用側方開口62における第2の管腔14の軸線がカテーテル本体11の軸方向に対して傾斜するようになるから、本願発明の「第2の側方開口における第2の内腔の軸線がカテーテルチューブの軸方向に対して傾斜するように形成された」態様に相当する。

2 したがって、本願発明と引用発明1とは、以下に示す一致点および相違点が認められる。

(一致点)
「カテーテルアセンブリであって、
対向する平坦な側部を有する長円形の断面形状を有する外面を含み、第1の内腔と第2の内腔と第3の内腔とを形成する細長いカテーテルチューブを備え、
前記第1の内腔および前記第2の内腔の各々は、第3の内腔に隣接して配置される部分を断面に備え、
前記第3の内腔は、実質的に円形の断面形状を備え、
前記カテーテルチューブは、
前記第1の内腔に流体連通し、前記カテーテルチューブの外面に開口する第1の側方開口であって、該第1の側方開口における前記第1の内腔の軸線が前記カテーテルチューブの軸方向に対して傾斜するように形成された第1の側方開口と、
前記第2の内腔に流体連通し、前記カテーテルチューブの外面に開口する第2の側方開口であって、該第2の側方開口における前記第2の内腔の軸線が前記カテーテルチューブの前記軸方向に対して傾斜するように形成された第2の側方開口と
を備える
カテーテルアセンブリ。」

(相違点)
第1の内腔および第2の内腔の各々の断面形状に関し、本願発明は、第3の内腔に隣接して配置される凹部を備え、第1の角部および第2の角部を備え、凹部は、第1の角部側にオフセットされた形態で第1の角部と第2の角部との間に介在するのに対し、引用発明1は、円形である点。

第6 判断
1 上記相違点について検討する。
引用文献1には、上記第4の2(7)に示したとおり、第1の管腔12および第2の管腔14がカテーテル本体11の直径方向の隔壁990を介して対向配置されており、第1の管腔12および第2の管腔14の断面形状は、各々、カテーテル本体11の円形断面に沿った円弧状部分と、上記隔壁990に沿った直線状部分と、カテーテル本体11の中心軸から軸方向にオフセットして配置された第3の管腔の円形断面に隣接し、当該第3の管腔の円形断面に沿った凹状部分と、上記円弧状部分と上記直線状部分との間並びに上記円弧状部分と上記凹状部分との間の角状部分とを有する断面形状となっている実施例(以下「図17実施例」という。)が記載されている。当該図17実施例における第1の管腔および第2の管腔の各々の断面形状は、その形状からみて、本願発明の「第3の内腔に隣接して配置される凹部を備え、第1の角部および第2の角部を備え、凹部は、第1の角部側にオフセットされた形態で第1の角部と第2の角部との間に介在する」ものであること、すなわち、上記相違点における本願発明に係る構成に相当している。
そして、引用文献1には、第1の管腔と第2の管腔の断面形状について、「円形、楕円形、D字形断面形状、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の断面形状を有することができる。」(段落【0013】)としており、引用発明1として着目した【図8A】の実施例は円形の断面形状ではあるものの、当該実施例について「前述のカテーテル組立体構成に様々な改変がなせることは、理解されたい。」(段落【0043】)との記載があるように種々の断面形状を採用し得ることが示唆されているところ、さらに「図12Aから図20Dは、追加の例示実施形態により3個の管腔を含むカテーテル組立体末端領域が取り得る構成を描写する。」(段落【0048】)との記載があるように、図17実施例の断面形状は、様々な改変の例として、種々の断面形状の取り得る態様のひとつが記載されたものであると当業者であれば十分理解することができる。
そうすると、例えば、カテーテルの断面に占める内腔の断面積の割合が大きくなるように工夫することは、細径のカテーテル断面について内腔の流路を最大限確保するためのカテーテルの技術分野における一般的な課題であるから、引用発明1について、上記課題に照らして第1の管腔12および第2の管腔14の断面積が占める割合を大きくするために、図17実施例の断面形状を採用する程度のこと、すなわち上記相違点における本願発明に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明1および引用文献1記載の事項から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明1及び引用文献1記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 請求人の主張について
請求人は、意見書において以下のように主張している。
「上記相違点について引用された図17Bは、管腔12、14に流体連通する側方開口960、962を記載しています。図17Bの側方開口960、962は、凹部を備える輪郭形状を有しています。しかし、当業者が、図8Aに示されるカテーテル本体11、すなわち、対向する平坦な側部を有する長円形の断面形状を有するカテーテル本体内の管腔断面に、図17Bの形状を採用することはありません。なぜなら、段落0040は、カテーテル本体11の横長の断面構成において、管腔の円形の断面形状が、他の断面形状よりもかなり有利であることを明記しているからです。このような記載に接した当業者が、図8Aの管腔の断面形状に、円形以外の形状を採用しようとすることはありません。
従いまして、引用文献1に基づいて、当業者が本願請求項1に係る発明を容易に達成することはできないものと思料致します。」(意見書第2頁下から第5行〜第3頁第5行)
しかしながら、上述したとおり、引用文献1には、第1の管腔と第2の管腔の断面形状について種々の断面形状を採用し得ることが示唆されているところ、引用発明1として着目した【図8A】の実施例についても、「前述のカテーテル組立体構成に様々な改変がなせることは、理解されたい。」(段落【0043】)との記載があり、他の断面形状を採用しようと試みることは何ら阻害されない。【図8A】の実施例において、管腔12、14が円形の断面形状であることで、流体の流れの点で「D」形状または他の形状の管腔よりもかなり効率的であるとの記述があることについては、種々取り得る断面形状のうち好適な例を提示する程度のものであって、そのことをもって、例えば上述したカテーテルの技術分野における一般的な課題に基づく改変も含めて、他の断面形状をおよそ採用し得ないことまでを示唆するものであるとはいえない。
なお、本願発明は、本願明細書の段落【0065】および【図24】に示される「凹部1394」を有した略腎臓形の断面形状を有する実施例に対応するものと認められるが、一方で、本願明細書の【図8A】に係る実施例は、本願発明と同様のカテーテル本体が楕円形の断面構成のものにおいて、第1の内腔12および第2の内腔14は円形断面形状が採用され、当該円形断面形状が、流体の流れの点で「D」形状または他の形状の管腔よりもかなり効率的であるとの記述がされている。
出願人の上記主張によれば、上記【図8A】に係る実施例が提示されているのであれば、上記【図24】に係る実施例は、当業者は想起し得ないものとなるが、本願明細書には、【図8A】に係る実施例があるにもかかわらず、あえて【図24】の断面形状を採用したことの説明やそれによる作用効果について何らの記載は見当たらない。むしろ、本願明細書中の「このような断面形状には、丸形断面形状、長円形断面形状、D形断面形状、または、これらの任意の組み合わせが含まれる。」(段落【0014】)、「上述のカテーテルアセンブリの構成に対して様々な変形がなされ得ることが理解される。」(段落【0044】)、「直上で説明されたカテーテル本体1311の様々な断面の特徴は、大きさ、形状および位置が、本明細書で図示され説明されるものから変わり得ることに留意されたい。」(【0068】)との記載からは、本願明細書記載のいずれの実施例においても、第1の管腔と第2の管腔の断面形状については種々の断面形状を採用し得ることが示唆されるのみであるから、【図24】の断面形状もそれら種々に取り得る断面形状のひとつと理解するほかない。
したがって、出願人の上記主張は、自ら開示した本願明細書の記載とも矛盾しており、当を得たものとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1および引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 千壽 哲郎
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2021-03-22 
結審通知日 2021-03-23 
審決日 2021-04-05 
出願番号 P2016-533038
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61M)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 井上 哲男
宮崎 基樹
発明の名称 マルチ内腔構造を備えるカテーテルアセンブリ  
代理人 山本 修  
代理人 田上 靖子  
代理人 宮前 徹  
代理人 中西 基晴  
代理人 小野 新次郎  
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