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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) E01B |
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管理番号 | 1386450 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-02-21 |
確定日 | 2022-04-06 |
事件の表示 | 特願2018−530778「斜角先端レール鉄道」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月15日国際公開、WO2017/096673、平成31年 1月31日国内公表、特表2019−502844〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、2016年(平成28年)4月26日(パリ条約による優先権主張2015年12月9日、中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 令和1年 7月19日付け:拒絶理由通知 令和1年10月17日 :意見書、手続補正書の提出 令和1年11月21日付け:拒絶査定 令和2年 2月21日 :審判請求書の提出 令和2年10月23日付け:拒絶理由通知 令和3年 1月21日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 4月22日付け:拒絶理由通知(最後) 令和3年 7月21日 :意見書、手続補正書の提出 2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年1月21日受付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 小鋭角斜め遊間接続設計とプレフォーム縦方向遊間設計を用いた斜角先端レール鉄道であって、レール接続部での斜め遊間とレールの縦軸線の最小夾角が15°≦θ<45°で、斜角先端レール間に縦方向遊間クリアランスが予め残されており、標準斜角先端レールを用いて小鋭角斜め遊間接続設計を実現する斜角先端レール鉄道であって、標準斜角先端レールは、斜角部位のレール腹部の厚みとレール頭部の幅が同じであり、レール両端の切削面が平行で、レール先端の切削面がレール底部の所在する平面に垂直で、レールの縦軸線との最小夾角が15°≦θ<45°であり、レールの軌道平面(軌道平面の両側辺線に平行で且つ等距離である)の中心線がレールの縦軸線として設定されることを特徴とする斜角先端レール鉄道。」 3 拒絶の理由 本願発明について、令和3年4月22日付けで当審から通知した拒絶理由は、概略、次のとおりである。 この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物である下記引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.実願平4−19704号 (実開平5−67602号)のCD−ROM 4 引用文献の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載 引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。)。 ア「 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、車両用レールを敷設するときその継ぎ目部に配設する接続部材で、特に隙間の構成部分を改良して走行車輪で発生する騒音を防止し、かつレールの損傷を少なくすると共に継ぎ目部分の衝撃を緩和するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来車両用レールとしては、図1に1として例示するようなレールが利用されている。そしてこのレール1は頭部1aと肉薄の腹部1bと底部1cが一体で形成され、敷設に当たっては枕木の上に犬釘等で底部1cが係止されている。 ところでレールの敷設は単位長さのレールを順次接続して延長しており、かつレールは外気温の変化によって伸縮するので図1に示すようにレール1,2の接続繋ぎ目には伸縮を吸収する隙間4が設けられている。そしてレール1,2は当て板3,3a(一方は図示せず)で係着されている。 【0003】 しかるにこの隙間4はレール路の最大の弱点となっており、走行車輪がこの隙間溝に入って騒音を発生し車両の乗り心地を悪くしている。またこの隙間4は車輪並びにレールの損傷を助長させているので各種の対策が検討されている。その一例として前記隙間4をレールの方向に傾斜させて車輪との衝撃を緩和しようとするものもあるが、レールの端側(細幅先端側)が弱体化して車両の荷重に耐えられず変形したり損壊する等の欠点が指摘されている。 【0004】 【考案が解決しようとする課題】 そこで本考案は、レールの敷設に当たってその接続部に、別に形成した二つの接続部材を互いに配設するようにすると共に、この接続部材の間に隙間を形成するようにし、しかもこれらの隙間形成部は肉厚て底部にわたって側壁で形成して荷重に耐えるようにし、隙間は全体の長さをレールの頭部においてレール方向に不直角に形成して走行車輪との衝撃を緩和させようとするものである。またこれらの接続部材はレールの幅方向に離れないように支持する。」 イ「 【0005】 【課題を解決するための手段】 接続部材の頭部頂面に形成される隙間保持接合面線を、レールの長さ方向に傾斜させるか或はジグザグ状に形成し、その接合面線形成部分はレールの頭部幅方向端にほぼ垂直な側壁を腹部高さに形成し、取り付けレールとの接続側はこのレールの腹部に相当する高さ及び肉厚を残す凹部として形成したものである。またこの接合面線はその中央部分においてレールの長さ方向に平行な二つの垂直摺動面を形成して接合部材が互いに横方向に移動しないように形成してもよい。」 ウ「 【0006】 【実施例】 以下図面に基づいて本考案を詳細に説明するが、図は本考案の具体的な実施の一例を示したもので、本考案は図示例に限定されず後記する趣旨に沿って一部の設計を変更したり或は一部の構成を変更しても同様に実施することができる。 図2〜図7は本考案に係る接続部材5,8,11,12及び13を示しており、1,2は接続される一般レールを示している。 【0007】 図2で示す接続部材5は、対称型の部材5a,5bで構成され、その対応面で形成される接合面線6はレールの長さ方向に傾斜(ほぼ15〜30度)して設け、その間に平行な隙間4を形成している。そしてこの接続部材5の構成部材5a,5bは、それぞれ接合面線形成部を除いてレールの頭部幅の厚さにほぼ等しい厚さで、両側にほぼ垂直な側壁5c,5c(一方は図示せず)を形成して底部1cの上部傾斜面の中程に接続して、一体的に形成している。そして底部側の隙間4aとしては、レールに直交し接合面線6の対応面と角度を設けたものを図示したが、必要によつては接合面線6と平面である隙間4aとしてもよい。そしてこれらの構成部材5a,5bは側壁5cに当て金7を配してボルト、ナットで係止する。尚この当て金7による係止は、ボルト孔をレール長さ方向に長軸としてレールの伸縮を吸収し、隙間4の開閉を許容するようにする。またこの当て金7は走行車輪のフランジ部に触れないよう低位置に配設する。 【0008】 一方これらの構成部材5a,5bはそれぞれ他のレール1,2の端部に取り付けるものであり、そのため構成部材のレール取り付け側はレール1,2の腹部1bに相当する肉厚及び高さとしそれぞれ凹部5d,5dを形成する。そしてその接続は従来と同じように当て板3,3aをもってボルト、ナットで緊締する。なおこの取り付けに当たっては隙間を形成しないように密接して緊締するものであり、必要によつてはレール1,2にそれぞれ溶接して固着させてもよい。」 エ「 【0013】 【考案の効果】 本考案車両用レールの接続部材はこのように構成したから、車両走行時の隙間による騒音の発生を少なくしかつ衝撃を緩和して、車両の乗り心地をよくすることができる。またこのように構成する接続部材では、隙間形成部分をレールの高さ方向に底部から側壁を形成して、一体的に形成するので荷重に耐えることができ、レールの損傷が少なく、長期にわたって使用できる。また軌道の保持管理を容易にできる。」 オ 引用文献1には【図1】及び【図2】として以下の図が掲載されている。 「【図1】 ![]() 【図2】 ![]() 」 上記ア及びウの記載を踏まえると、【図1】及び【図2】からは、引用文献1の実施例に用いられる一般レール1,2は、従来車両用レールとして用いられた一般レール1,2と同様、頭部1aと肉薄の腹部1bと底部1cが一体で形成されたレールであることが看取される。 また、【図2】からは、一般レール1,2の断面が左右対称であり、レールの頭部平面の両側辺線に平行で且つ等距離である線の方向が、レールの長さ方向と同じであること、構成部材5a、5bは、接合面線6付近でレールの腹部の厚みがレールの頭部幅の厚さと同じ厚さであることが看取される。 (2)引用発明 上記(1)ア及びイより、引用文献1の実施例は、車両用レールを敷設してレール路とするに当たって、従来技術における隙間の構成部分を改良するために、レールの接続部に接続部材を配設して接続部材の間に隙間を形成するようにしたものと理解できる。 そのため、引用文献1の実施例においても、レールの敷設は、単位長さのレールを順次接続して行うとともに、隙間を設けて車両用レールが敷設されたレール路とする構成を有すると理解できることを踏まえると、上記(1)より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が開示されていると認められる。 引用発明 「継ぎ目部に接続部材を配設した車両用レールが敷設されたレール路であって、 車両用レールを敷設するときその継ぎ目部に配設する接続部材で、特に隙間の構成部分を改良して走行車輪で発生する騒音を防止し、かつレールの損傷を少なくすると共に継ぎ目部分の衝撃を緩和するものであり、 頭部1aと肉薄の腹部1bと底部1cが一体で形成された単位長さの一般レール1,2を順次接続するにあたり、 継ぎ目部に配設する接続部材5は、対称型の部材5a、5bで構成され、その対応面で形成される接合面線6はレールの長さ方向に傾斜(ほぼ15〜30度)して設け、その間に平行な隙間4を形成し、 接続部材5の構成部材5a、5bは、レールの長さ方向に傾斜して設けられる接合面線6付近でレールの腹部の厚みがレールの頭部の幅の厚さと同じ厚さであり、 レールの長さ方向は、レールの頭部平面の両側辺線に平行で且つ等距離である線の方向と同じであり、 構成部材5a,5bはそれぞれ他のレール1,2の端部に当て板3,3aをもってボルト、ナットで隙間を形成しないように密接して緊締したり溶接して固着させて取り付けられる、 レール路。」 5 対比、判断 (1)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明における「継ぎ目部に接続部材を配設した車両用レールが敷設されたレール路」は、「継ぎ目部」の「接合面線6」が「レールの長さ方向に傾斜」しており、「その間に平行な隙間4を形成」しているから、「継ぎ目部」の「隙間4」で区切られる各々のレールの先端は傾斜していることを踏まえると、本願発明における「斜角先端レール」を用いた「斜角先端レール鉄道」に相当する。 イ 本願発明の「小鋭角」について、本願明細書は、小鋭角の角度範囲を明記するものではないが、本願明細書の段落【0077】には、「90°>θ>45°の場合」と「45°>θ>0°の場合」とに分けて説明がなされ、前者について「大鋭角(90°>θ>45°)」と記載されていることから、小鋭角は、45°>θ>0°と解される。 そうすると、引用発明の「継ぎ目部に接続部材を配設した車両用レールが敷設されたレール路」において、「継ぎ目部」における「接合面線6はレールの長さ方向に傾斜(ほぼ15〜30度)」しており、「その間に平行な隙間4を形成」している構成は、「平行な隙間4」と「レールの長さ方向」のなす角度が「ほぼ15〜30度」であって「小鋭角」といえるから、本願発明の「斜角先端レール鉄道」において、「レール接続部での斜め遊間とレールの縦軸線の最小夾角が15°≦θ<45°」である構成、及び、「小鋭角斜め遊間接続設計」が用いられている構成に相当する。 ウ 引用発明の「レール路」において、「継ぎ目部」の「隙間4」で区切られる各々のレールは、「単位長さの一般レール1,2」の「端部」に「レールの長さ方向に傾斜して設けられる接合面」を有する「接続部材5の構成部材5a、5b」が「隙間を形成しないように密接して緊締したり溶接して固着させて取り付けられ」ており、「隙間4」で区切られる各々のレールは一体化されており、その長さや仕様はある程度標準化されているということができる。そうすると、引用発明の「単位長さの一般レール1,2」の「端部」に「レールの長さ方向に傾斜して設けられる接合面」を有する「接続部材5の構成部材5a、5b」が「隙間を形成しないように密接して緊締したり溶接して固着させて取り付けられ」たレールは、本願発明の「標準斜角先端レール」に相当する。 エ 上記ウの対比を踏まえると、引用発明の「レール路」において、「継ぎ目部」の「隙間4」で区切られる各々のレールの先端が傾斜しており、当該レール間に「隙間4」が設けられている構成は、本願発明の「斜角先端レール鉄道」において、「標準斜角先端レールを用いて小鋭角斜め遊間接続設計を実現する」構成に相当するとともに、本願発明の「斜角先端レール間に縦方向遊間クリアランスが予め残されて」いる構成、及び、「プレフォーム縦方向遊間設計」が用いられている構成に相当する。 オ 引用発明において、「単位長さの一般レール1,2」の「端部」に「隙間を形成しないように密接して緊締したり溶接して固着させて取り付け」た「接続部材5の構成部材5a、5b」が、「レールの長さ方向に傾斜して設けられる接合面線6付近でレールの腹部の厚みがレールの頭部幅の厚さと同じ厚さであ」る構成は、本願発明において、「標準斜角先端レールは、斜角部位のレール腹部の厚みとレール頭部の幅が同じ」である構成に相当する。 カ 引用発明において、「継ぎ目部に配設する接続部材5」を構成する「対称型の部材5a、5b」の「対応面で形成される接合面線6」が、「レールの長さ方向に傾斜(ほぼ15〜30度)して設け、その間に平行な隙間4を形成」する構成は、本願発明において、「レール先端の切削面」の「レールの縦軸線との最小夾角が15°≦θ<45°」である構成に相当する。また、引用文献1には「接合面線6」を底面に垂直な方向に傾斜させる旨の記載は無いし、そのような傾斜を形成すべき特段の事情もない。そして、引用発明において、同「平行な隙間4」を形成する「接合面線6」は、「対称型の部材5a、5b」の「対応面で形成」されるものであるところ、「部材5a、5b」を「対称型」としながら、「対応面」をレールの長さ方向に傾斜させ、かつ底面に対して垂直な方向にも傾斜させることは困難である。そうすると、同「対応面」が「レールの長さ方向」のみに傾斜しており、レールの底面に垂直な方向には傾斜していないことは明らかである。そして、引用発明において同「対応面」がレールの底面に垂直な方向には傾斜していないことは、本願発明において「レール先端の切削面がレール底部の所在する平面に垂直」である構成に相当する。 キ 引用発明において、「レールの長さ方向は、レールの頭部平面の両側辺線に平行で且つ等距離である線の方向と同じ」である構成は、本願発明において、「レールの軌道平面(軌道平面の両側辺線に平行で且つ等距離である)の中心線がレールの縦軸線として設定される」構成に相当する。 ク そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の一致点、相違点を有する。 (一致点) 小鋭角斜め遊間接続設計とプレフォーム縦方向遊間設計を用いた斜角先端レール鉄道であって、レール接続部での斜め遊間とレールの縦軸線の最小夾角が15°≦θ<45°で、斜角先端レール間に縦方向遊間クリアランスが予め残されており、標準斜角先端レールを用いて小鋭角斜め遊間接続設計を実現する斜角先端レール鉄道であって、標準斜角先端レールは、斜角部位のレール腹部の厚みとレール頭部の幅が同じであり、レール先端の切削面がレール底部の所在する平面に垂直で、レールの縦軸線との最小夾角が15°≦θ<45°であり、レールの軌道平面(軌道平面の両側辺線に平行で且つ等距離である)の中心線がレールの縦軸線として設定される斜角先端レール鉄道。 (相違点) 本願発明は「レール両端の切削面が平行」であるのに対し、引用発明は、「レール両端の切削面が平行」であるか不明な点。 (2)判断 上記相違点について検討する。 引用発明には、レールの接続部に、二つの「対称型の部材5a、5bで構成され」た「接続部材5」を配設して、この接続部材5の間に「隙間」を形成するようにすることが開示されている。また、引用発明は、「レール」を「順次接続する」とともに「間に平行な隙間4を形成」して「車両用レールが敷設されたレール路」とするものである。 引用文献1の図2においては、一のレールの一端と他のレールの他端との接続部のみが記載されていて、一のレールの他端は示されておらず、そのため、「レール両端の切削面が平行」であることも明示されているとはいえない。 しかし、引用発明は「一般レール1,2を順次接続する」ものであるところ、その際に、異なる形状のレールを順次接続してレール路とすることは引用文献1には記載されていないし、異なる形状のレールを用いるべき特段の事情もない。また、レールを順次接続するとともに隙間を形成して「レール路」とするためには、全てのレールが同様の接続部を有する方が、複数のレールのうちのいずれのレールを選択しても接続可能であって、施工上有利である。そうすると、引用文献1の図2において、一のレールの他端は他のレールの他端と同じ構造とするのが自然であるし、上記利点を考慮して、一のレールの一端及び他端を、他のレールの一端及び他端と同様とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 よって、引用発明において、直線状のレールの一端と他端にそれぞれ接続部材5の対称型の部材5a、5bを配するものとし、もって「レール両端の切削面が平行」なものとすることは、当業者が容易になし得たことである。 (3)意見書における審判請求人の主張について 審判請求人は、令和3年7月21日受付けの意見書(以下「意見書」という。)にて、以下の図面を示し、文献1(実開平5−67602号)(図2)は2つの横レール継ぎ目と1つの斜めレールシームの組み合わせであり、本願発明は1つの傾斜したレールジョイントを備えているため、構造設計に明らかな違いがある旨主張する(意見書3.本願が特許されるべき理由 ●3審査理由2の説明中の3.1)。 ![]() 上記主張について検討する。 ア 審判請求人が意見書で「2つの横レール継ぎ目」と表現しているのは、引用発明において「一般レール1,2」と「接続部材5の構成部材5a、5b」とを「隙間を形成しないように密接して緊締したり溶接して固着させた」境界であるところ、当該境界においては、両側の部材が隙間なく溶接すること等により一体化されているから、上記(1)ウのように「単位長さの一般レール1,2」と、「単位長さの一般レール1,2」の「端部」に「隙間を形成しないように密接して緊締したり溶接して固着させて取り付けられ」た「接続部材5の構成部材5a、5b」とを合わせて本願発明の「標準斜角先端レール」に相当するとした点に誤りはない。 イ 審判請求人の上記主張は、本願発明が、レールが1つの傾斜したレールジョイントのみを備え、溶接等による境界は備えないことを前提とするものである。 そこで本願発明について検討するに、本願発明において「斜角先端レール」及び「標準斜角先端レール」に関して「斜角先端レール間に縦方向遊間クリアランスが予め残されて」いること及び「標準斜角先端レールを用いて小鋭角斜め遊間接続設計を実現」することは特定される一方、「標準斜角先端レール」及び「標準斜角先端レール」内に溶接等による境界がないことは特定されていない。また、明細書及び図面を参酌しても、本願発明のレールを溶接等による境界がないものに限定する事情はない。 ウ 以上のとおりであるから、「2つの横レール継ぎ目」の有無によって本願発明と引用発明とには構造設計に明らかな違いがあるとした審判請求書の上記主張は採用することができず、引用発明において「隙間4」で区切られる各々のレールを「上記(1)ア及びウにおいて本願発明の「斜角先端レール」及び「標準斜角先端レール」に相当するとしたことに、誤りはない。 エ そして、上記構成の相違を前提として、引用発明と本願発明とは効果においても縷々異なるものである旨をいう、意見書における審判請求人のその余の主張も、妥当なものとして採用することができない。 オ よって、審判請求人の主張は採用できない。 (4)小括 本願発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。 6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 審判長 森次 顕 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |
審理終結日 | 2021-11-08 |
結審通知日 | 2021-11-09 |
審決日 | 2021-11-22 |
出願番号 | P2018-530778 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(E01B)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
森次 顕 |
特許庁審判官 |
土屋 真理子 有家 秀郎 |
発明の名称 | 斜角先端レール鉄道 |
代理人 | SK特許業務法人 |
代理人 | 坪内 康治 |
代理人 | 奥野 彰彦 |
代理人 | 伊藤 寛之 |