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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C10B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C10B
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 C10B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C10B
管理番号 1386524
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-07 
確定日 2022-07-06 
事件の表示 特願2017−514488「モノリス構成要素構造を有するコークス炉」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月24日国際公開、WO2016/044347、平成29年 9月14日国内公表、特表2017−526798〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年9月15日〔パリ条約による優先権主張 外国庁受理2014年9月15日(US)米国〕を国際出願日とする出願であって、
令和元年7月30日付けの拒絶理由通知に対し、その指定期間内に意見書の提出がなされず、
令和2年3月31日付けの拒絶査定(謄本発送は同年4月7日)に対し、令和2年8月7日付けで審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、その後、令和2年12月22日付けで上申書の提出がなされ、
令和3年4月20日付けの審尋に対し、令和3年10月27日付けで回答書の提出がなされたものである。

第2 令和2年8月7日付け手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
令和2年8月7日付けの手続補正を却下する。

〔理由〕
1.補正の内容
令和2年8月7日付けの手続補正(以下「第1補正」という。)は、審判請求と同時になされた補正であって、本願の請求項1、14、19及び25の記載について、補正前の
「【請求項1】
コークス炉室であって、
モノリスソールフリュー区分であって、その内部に蛇行経路を有するモノリスソールフリュー区分と、
前記モノリスソールフリュー区分から垂直に上方に延びる前壁、及び前記前壁と対向する後壁と、
前記前壁と前記後壁との間で床から垂直に上方に延びる第1の側壁、及び前記第1の側壁と反対側の第2の側壁と、
前記モノリスソールフリュー区分の上に位置付けられ、前記第1の側壁から前記第2の側壁に架かるモノリスクラウンと、
を備える、コークス炉室。」との記載を、補正後の
「【請求項1】
コークス炉室であって、
ソールフリューであって、その内部に蛇行経路を有するソールフリューと、
前記ソールフリューから垂直に上方に延びるソールフリュー前壁、及び前記ソールフリュー前壁と対向するソールフリュー後壁と、
前記ソールフリュー前壁と前記ソールフリュー後壁との間で床から垂直に上方に延びる第1のソールフリュー側壁、及び前記第1のソールフリュー側壁と反対側の第2のソールフリュー側壁と、
前記ソールフリューの上に位置付けられ、前記第1のソールフリュー側壁から前記第2のソールフリュー側壁に架かるモノリスソールフリュークラウンと、
を備え、
前記モノリスソールフリュークラウンが、前記蛇行経路を覆う単一のモノリスソールフリュークラウンとして形成されていて、単一の構造として加熱すると膨張し冷却すると収縮するようになっている、コークス炉室。」との記載に改め、補正前の
「【請求項14】
コークス炉室であって、
室床と、
前記室床に略直交する複数の側壁と、
前記室床の上に位置付けられ、少なくとも2つの側壁の間の領域に少なくとも部分的に架かるモノリス構成要素と、を備え、前記モノリス構成要素が、熱的に体積安定な材料を含む、コークス炉室。」との記載を、補正後の
「【請求項14】
コークス炉室であって、
室床と、
前記室床に略直交する複数の側壁と、
前記室床の上に位置付けられ、少なくとも2つの側壁の間の領域に少なくとも部分的に架かるモノリス構成要素と、を備え、前記モノリス構成要素が、熱的に体積安定な材料を含み、前記熱的に体積安定な材料が、溶融シリカ材料、ジルコニア、耐火材料、またはセラミック材料であり、
ソールフリューであって、その内部に蛇行経路を有するソールフリューと、
前記ソールフリューの上に位置付けられたモノリスソールフリュークラウンと、
を更に備え、
前記モノリスソールフリュークラウンが、前記蛇行経路を覆う単一のモノリスソールフリュークラウンとして形成されていて、単一の構造として加熱すると膨張し冷却すると収縮するようになっている、コークス炉室。」との記載に改め、補正前の
「【請求項19】
水平熱回収コークス炉の温度を下げる方法であって、
床と、第1の側壁及び前記第1の側壁と反対側の第2の側壁と、前記床の上部において少なくとも部分的に前記第1の側壁と前記第2の側壁間の空間にある炉クラウンと、を有するコークス炉構造であって、前記床、前記第1の側壁、前記第2の側壁、または前記炉クラウンのうちの少なくとも1つはモノリシック構成要素であるコークス炉構造を形成すること、
前記コークス炉を加熱すること、
前記コークス炉の温度を熱的に体積安定な温度未満に下げること、および、
前記コークス炉構造を維持すること、
を含む、方法。」との記載を、補正後の
「【請求項19】
水平熱回収コークス炉の温度を下げる方法であって、
床と、第1の側壁及び前記第1の側壁と反対側の第2の側壁と、前記床の上部において少なくとも部分的に前記第1の側壁と前記第2の側壁間の空間にある炉クラウンと、ソールフリューであって、その内部に蛇行経路を有するソールフリューと、前記ソールフリューの上に位置付けられたモノリスソールフリュークラウンと、を更に備え、前記モノリスソールフリュークラウンが、前記蛇行経路を覆う単一のモノリスソールフリュークラウンとして形成されていて、単一の構造として加熱すると膨張し冷却すると収縮するようになっている、コークス炉構造であって、前記床、前記第1の側壁、前記第2の側壁、または前記炉クラウンのうちの少なくとも1つはモノリシック構成要素であるコークス炉構造を形成すること、
前記コークス炉を加熱すること、
前記コークス炉の温度を任意のより低い温度に下げること、および、
前記コークス炉構造を維持すること、
を含む、方法。」との記載に改め、補正前の
「【請求項25】
コークス炉室であって、
炉床と、
前端部及び前記前端部と反対側の後端部と、
前壁と後壁との間の前記床から垂直に上方に延びる第1の側壁及び前記第1の側壁と反対側の第2の側壁と、
前記床の上方に位置付けられ、前記第1の側壁から前記第2の側壁に架かるクラウンと、
熱的に体積安定な材料を含み、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に複数の隣接する道を有するソールフリューと、
を備える、コークス炉室。」との記載を、補正後の
「【請求項25】
コークス炉室であって、
炉床と、
前端部及び前記前端部と反対側の後端部と、
前壁と後壁との間の前記床から垂直に上方に延びる第1の側壁及び前記第1の側壁と反対側の第2の側壁と、
前記床の上方に位置付けられ、前記第1の側壁から前記第2の側壁に架かるクラウンと、
熱的に体積安定な材料を含み、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に複数の隣接する道を有し、前記熱的に体積安定な材料が、溶融シリカ材料、ジルコニア、耐火材料、またはセラミック材料である、ソールフリューと、
を備え、
前記ソールフリューが、その内部に蛇行経路を有し、
前記ソールフリューの上にモノリスソールフリュークラウンが位置付けられていて、
前記モノリスソールフリュークラウンが、前記蛇行経路を覆う単一のモノリスソールフリュークラウンとして形成されていて、単一の構造として加熱すると膨張し冷却すると収縮するようになっている、コークス炉室。」との記載に改める補正を含むものである。

2.補正の適否
(1)請求項1の「明りょうでない記載の釈明」について
ア 補正前の請求項1の「モノリスソールフリュー区分」との記載を「ソールフリュー」との記載にする補正について、令和2年9月24日付けの手続補正により補正された審判請求書の第1頁では『この補正は、本出願当初明細書段落0020〜0023および図1A、1B等の記載に基づき、前記拒絶理由通知書の理由3(明確性)の(3)においてクラウン区分なる記載が不明であることに関して明瞭でない記載の釈明をする目的で、請求項の記載を全体的に明確にするためにした補正であり、新規事項を含むものではありません。』との釈明がなされている。

イ しかしながら、令和元年7月30日付けの拒絶理由通知書の理由3(明確性)においては、その(2)で「請求項12」の「前記クラウン区分」なる記載が不明確である旨の指摘がなされているものの、補正前の請求項1の記載が不明確である旨の指摘はなされていないので、当該補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものに該当しない。

ウ そして、補正前の請求項1の「モノリスソールフリュー区分」との記載における「モノリス」及び「区分」との用語を削除して、補正後の「ソールフリュー」との記載に改める補正について、補正前の「モノリスソールフリュー区分」との記載が「明りょうでない記載」に該当するといえる事情は存在せず、また、補正前の「モノリス」という発明特定事項(当該「モノリス」という語句は「ソールフリュー」が「一体的」に形成されていることを特定する意味で用いられていると解される。)を削除するとともに、補正前の「区分」に関する事項を、補正後の「ソールフリュー」に関する事項(区分に関するものではない事項)に変更することによって「記載の不明りょうさを正してその記載本来の意味内容を明らか」にする「釈明」がなされているともいえないので、当該補正は、特許法第17条の2第5項第4号の「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものに該当しない。

エ さらに、補正前の請求項1の「モノリスソールフリュー区分」との記載を「ソールフリュー」との記載にする補正が、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる「第三十6条第5項に規定する請求項の削除」、同2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」、又は同3号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものに該当するともいえない。

オ したがって、補正前の請求項1の「モノリスソールフリュー区分」との記載を「ソールフリュー」との記載にする補正は、目的要件を満たすものではないから、特許法第17条の2第5項の規定に違反する。

(2)請求項1、14、19、及び25の「外的付加」について
ア 補正前の請求項1、14、19、及び25において「前記モノリスソールフリュークラウンが、前記蛇行経路を覆う単一のモノリスソールフリュークラウンとして形成されていて、単一の構造として加熱すると膨張し冷却すると収縮するようになっている」という事項が発明特定事項として追加され、これらの補正について、令和2年9月24日付けの手続補正により補正された審判請求書の第2頁では『この補正は、本出願当初明細書段落0021第7〜10行、段落0022第6行〜最終行、および図1A、1Bの記載に基づきモノリスソールフリュークラウンの構成を限定的に減縮するためにした補正であり、新規事項を含むものではありません。…この補正は、本出願当初明細書段落0019等に基づきモノリスソールフリュークラウンの構成を限定的に減縮するためにした補正であり、新規事項を含むものではありません。』との釈明がなされている。

イ しかしながら、補正後の「前記モノリスソールフリュークラウンが、前記蛇行経路を覆う単一のモノリスソールフリュークラウンとして形成されていて、単一の構造として加熱すると膨張し冷却すると収縮するようになっている」という事項に対応する事項は、特許を受けようとする発明を特定するために必要な事項として、補正前の特許請求の範囲に記載がなされていないので、上記事項を追加することは、いわゆる外的付加に該当するというべきであり、限定的減縮を目的とするものとはいえない。

ウ してみると、請求項1、14、19、及び25の「外的付加」を伴う補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものに該当するとはいえず、同第1号に掲げる「第三十6条第5項に規定する請求項の削除」、同3号に掲げる「誤記の訂正」、又は同4号に掲げる「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものに該当するともいえない。

エ したがって、請求項1、14、19、及び25の「外的付加」を伴う補正は、目的要件を満たすものではないから、特許法第17条の2第5項の規定に違反する。

(3)請求項19の「明りょうでない記載の釈明」について
ア 補正前の請求項19の「前記コークス炉の温度を熱的に体積安定な温度未満に下げること」との記載を「前記コークス炉の温度を任意のより低い温度に下げること」との記載にする補正について、令和2年9月24日付けの手続補正により補正された審判請求書の第2頁では『この補正は、拒絶理由通知書の理由3(明確性)の(3)の指摘に対して明瞭でない記載の釈明をする目的で、本出願当初明細書段落0046の記載に基づき請求項の記載を全体的に明確にするためにした補正であり、新規事項を含むものではありません。』との釈明がなされている。

イ しかしながら、令和元年7月30日付けの拒絶理由通知書の理由3(明確性)においては『(3)請求項19には「熱的に体積安定な温度」なる記載があり、明細書には「所与の材料の熱的に体積安定な温度(例えば、シリカ炉の場合、1,200°Fを超える)」と記載されているところ、「熱的に体積安定な温度」はどの材料を対象にするかによって変化するものであるし、どの程度の体積変化までを体積安定とみなすのかも不明であるから、「熱的に体積安定な温度」に含まれる温度範囲が不明である。』との指摘がなされているところ、補正前の「熱的に体積安定な温度未満」という事項に対して、補正後の「任意のより低い温度」という事項は、当該「任意」との用語の意味する範囲が明瞭ではないため、補正前の「温度を熱的に体積安定な温度未満に下げる」との記載を「温度を任意のより低い温度に下げる」との記載に改めても、補正前の発明特定事項の意味内容が明確化されているとはいえない。

ウ してみると、補正前の請求項19の「前記コークス炉の温度を熱的に体積安定な温度未満に下げること」との記載を「前記コークス炉の温度を任意のより低い温度に下げること」との記載にする補正は、当該補正によって「記載の不明りょうさを正してその記載本来の意味内容を明らか」にする「釈明」がなされているとはいえないので、特許法第17条の2第5項第4号の「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものに該当するとはいえず、当該補正が、同1号に掲げる「第三十6条第5項に規定する請求項の削除」、同2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」、又は同3号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものに該当するともいえない。

エ したがって、補正前の請求項19の「前記コークス炉の温度を熱的に体積安定な温度未満に下げること」との記載を「前記コークス炉の温度を任意のより低い温度に下げること」との記載にする補正は、目的要件を満たすものではないから、特許法第17条の2第5項の規定に違反する。

(4)令和3年10月27日付けの回答書について
令和3年10月27日付けの回答書の第7頁において、審判請求人は『補正案による補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮…」を目的とするものであると思料いたします。…是非とも補正の機会を与えていただけますようお願いいたします。』と主張する。
しかしながら、第1補正の内容は、当該「補正案による補正」の内容と異なるものであるから、上記回答書の釈明を参酌しても、第1補正が目的要件を満たすものとは認められない。

(5)補正の却下のまとめ
以上総括するに、第1補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、〔補正の却下の決定の結論〕のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願請求項1〜51に係る発明
第1補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜51に係る発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1〜51に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項14及び25に係る発明(以下「本14発明」及び「本25発明」ともいう。)は、上記『第2 1.』に示したとおりである。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は「この出願については、令和1年7月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。」というものである。
そして、令和元年7月30日付けの拒絶理由通知書には、理由4及び5として、
「4.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
5.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
との理由が示されるとともに、その「記」には、次のとおりの指摘がなされている。
「●理由4(新規性)、理由5(進歩性)について
・請求項14、16−25、27−28、31、36−44、46−51
・引用文献1
・備考
引用文献1には、炉床煙道室34(「フリュー区分」に相当)と、仕込み末端部及びコークス末端部(「前壁」及び「後壁」に相当)と、側壁16と、弧状の屋根20(「クラウン」に相当)と、下降管38(「ダウンカマーチャネル」を備えるといえる)、煙突44(「取り込みチャネル」を備えるといえる)を備え、側壁16、屋根20及び床22が鋳造可能耐火性材料(「熱的に体積安定な材料」に相当)で形成されている(すなわち、側壁16と屋根20はモノリス構造である)コークス化室の発明(図1−5、[0013]〜[0016])が記載されている。…
●理由5(進歩性)について…
・請求項15、26
・引用文献1、3−4
・備考
引用文献1記載の発明は、モノリス構造が溶融シリカを含むことが特定されていない点で、本願請求項15、26に係る発明と相違する。
しかしながら、コークス炉に用いる不定形耐火物として溶融シリカを含むものは周知であるから(例えば、引用文献3の請求項1、引用文献4の請求項1)、引用文献1記載の発明においても、モノリス構造として溶融シリカを含むものを用いて、本願請求項15、26に係る発明とすることは、当業者が容易になし得ることである。
… <引用文献等一覧>
1.特表2005−503448号公報
2.特開昭53−019301号公報
3.特開2013−189322号公報(周知技術を示す文献)
4.米国特許第04506025号明細書(周知技術を示す文献)
5.特開平05−230466号公報(周知技術を示す文献)」

3.理由4(新規性)及び理由5(進歩性)について
(1)引用文献の記載事項
ア 上記「引用文献1」には、次の記載がある。
摘記1a:請求項1
「【請求項1】少なくとも1番目のコークス炉と少なくとも2番目のコークス炉を含んで成っていて前記1番目および2番目のコークス炉の各々が室側壁と室屋根と室床で限定されているコークス化室を含んでおり、ここで、各コークス化室がコークス床の上に気体空間部を含んでいて、前記1番目のコークス炉のコークス床の下方に位置する室床が1番目の炉床煙道ガス装置で加熱され、前記2番目のコークス炉の室床が2番目の炉床煙道ガス装置で加熱され、そして前記1番目のコークス炉と2番目のコークス炉の間に位置する室側壁の少なくとも1つが、煙道ガスを前記1番目のコークス化室の気体空間部から前記1番目の炉床煙道ガス装置に向かわせるための少なくとも1つの下降管を前記1番目のコークス化室の気体空間部と前記1番目の炉床煙道ガス装置の間に流動伝達状態で含有しているコークス炉一式であって、前記1番目のコークス化室の気体空間部からの煙道ガスの少なくとも一部を前記2番目のコークス炉に向けるための連結用気体導管を前記1番目のコークス化室の気体空間部と少なくとも前記2番目のコークス化室の気体空間部または少なくとも前記2番目のコークス炉の炉床煙道ガス装置の間に気体流動伝達状態で含有することにより、前記気体導管が存在しない時の1番目のコークス炉に関して前記1番目の炉床煙道ガス装置の中の煙道ガス流量が低下しているコークス炉一式。」

摘記1b:段落0013〜0014
「【0013】石炭コークス化プラント10を図1および2に示し、これは好適には一式14において横に並んだ関係で構成されている多数のコークス炉12を含有し、この一式の中の隣接する炉12は好適には共通の側壁16を有する。この一式14の中の個々の炉12は、各々、垂直に伸びる相対する側壁16とこの側壁16で支えられている一般に弧状の屋根20とコークス化すべき石炭の仕込み物を担持する水平床22で限定されている細長いコークス化室18を有する。前記炉は室18の相対する末端部が開放された状態で構成されており、そしてその末端部は、コークス化工程中には、取り外し可能なドア24および26(図2)[ドア24が仕込み末端部を閉鎖しかつドア26が炉12のコークス末端部(coke end)を閉鎖する]で閉じられている。側壁16と屋根20と床22は適切な耐熱性材料、例えばコークス化工程中に遭遇する高温および加熱されている炉室18に石炭の新しい仕込み物を入れる時に結果として生じる熱衝撃に耐え得る耐火性れんがまたは鋳造可能耐火性材料などから形成されている。
【0014】図3および4で最も良く分かるであろうように、床22は好適には鋳造可能(castable)耐火性材料の床30[これは各炉室18の下方を伸びる一般に長方形の細長い炉床煙道室(sole flue chambers)34の装置のれんが製弧状上部32の上に鋳造されている]の上に位置する耐火性れんがの上部層28で構成されている。前記弧状上部32は炉側壁16および多数の平行に位置する中間の耐火性れんが側壁36で支えられており、前記炉側壁16と中間側壁36が協力して前記床22の下方に位置する細長い炉床煙道室34を前記細長いコークス化室18の長さ全体に亘って限定している。以下により詳細に記述するように、前記炉床煙道ガス装置は個々別々の炉床煙道室セクション(sole flue chamber sections)を室床22の下方に含むことができる。」

摘記1c:図1〜2及び4A
「【図1】

【図2】

…【図4A】



イ 上記「引用文献3」には、次の記載がある。
摘記3a:段落0002、0004及び0019〜0020
「【0002】一般的に、コークス炉では、珪石れんががライニングされて30年以上の長期間使用され、その長期間使用中損傷したライニング部位の補修は、れんがの交換あるいは耐火材料の溶射などによって行われている。このうち、補修用れんがは、500℃前後で保温されたコークス炉内壁に築造されるため、熱衝撃抵抗性が要求される。…
【0004】そのため、通常、熱間補修用の珪石れんがとしては、焼成珪石と低熱膨張性である溶融石英を使用したれんがが使用されている。…
【0006】キャスタブル耐火物は、耐火性骨材と硬化剤を混合した粉体の耐火物で、水和性又は化学結合を有し、加水して混練後、振動、突き硬め等の種々の形式で施工される。…
【0019】…本発明に係る珪石質キャスタブル耐火物は、珪石質耐火原料配合物(骨材)として、溶融石英と焼成珪石(結晶質珪石)を用いる。…
【0020】珪石質耐火原料配合物における溶融石英と焼成珪石の配合割合は、焼成珪石がトリジマイトを主成分とする場合、溶融石英40〜100質量%、焼成珪石0〜60質量%とし、…溶融石英100質量%、すなわち珪石質耐火原料配合物中に焼成珪石を含まない場合もあり得る。…焼成珪石の割合が40質量%を超える(溶融石英の配合割合が60質量%より少ない)と、熱衝撃抵抗性が低下する。」

(2)引用文献1に記載された発明
摘記1bの「石炭コークス化プラント10を図1および2に示し、これは好適には一式14において横に並んだ関係で構成されている多数のコークス炉12を含有し、この一式の中の隣接する炉12は好適には共通の側壁16を有する。この一式14の中の個々の炉12は、各々、垂直に伸びる相対する側壁16とこの側壁16で支えられている一般に弧状の屋根20とコークス化すべき石炭の仕込み物を担持する水平床22で限定されている細長いコークス化室18を有する。前記炉は室18の相対する末端部が開放された状態で構成されており、そしてその末端部は、コークス化工程中には、取り外し可能なドア24および26(図2)[ドア24が仕込み末端部を閉鎖しかつドア26が炉12のコークス末端部(coke end)を閉鎖する]で閉じられている。側壁16と屋根20と床22は適切な耐熱性材料、例えばコークス化工程中に遭遇する高温および加熱されている炉室18に石炭の新しい仕込み物を入れる時に結果として生じる熱衝撃に耐え得る耐火性れんがまたは鋳造可能耐火性材料などから形成されている。…床22は好適には鋳造可能(castable)耐火性材料の床30[これは各炉室18の下方を伸びる一般に長方形の細長い炉床煙道室(sole flue chambers)34の装置のれんが製弧状上部32の上に鋳造されている]の上に位置する耐火性れんがの上部層28で構成されている。前記弧状上部32は炉側壁16および多数の平行に位置する中間の耐火性れんが側壁36で支えられており、前記炉側壁16と中間側壁36が協力して前記床22の下方に位置する細長い炉床煙道室34を前記細長いコークス化室18の長さ全体に亘って限定している。」との記載、並びに摘記1cの図1及び図4Aの記載からみて、引用文献1には、
『垂直に伸びる相対する側壁16と、この側壁16で支えられている一般に弧状の屋根20と、コークス化すべき石炭の仕込み物を担持する水平床22で限定されている、細長いコークス化室18を有するコークス炉12であって、
コークス炉12は、コークス化室18の相対する末端部が開放された状態で構成されており、その末端部は、取り外し可能なドア24および26で閉じられており、
側壁16と屋根20と床22は、適切な耐熱性材料(例えばコークス化工程中に遭遇する高温および加熱されている炉室18に石炭の新しい仕込み物を入れる時に結果として生じる熱衝撃に耐え得る鋳造可能耐火性材料など)から形成され、
炉室18の下方に、一般に長方形の細長い炉床煙道室(ソールフリューチャンバー)34が伸び、
細長い炉床煙道室34は、多数の平行に位置する中間の耐火性れんが側壁36と、れんが製弧状上部32と、室34の下方に位置する床(図4Aの一番下に図示される床)からなり、
れんが製弧状上部32の上に耐火性材料の床30が鋳造されることで床22が構成されているコークス炉12。』についての発明(以下「引1発明」という。)が記載されているといえる。

(3)本14発明について
ア 対比
本14発明と引1発明とを対比する。
引1発明の「コークス化室18を有するコークス炉12」は、本14発明の「コークス炉室」に相当する。
引1発明の「コークス化すべき石炭の仕込み物を担持する水平床22」と「垂直に伸びる相対する側壁16」の各々は、本14発明の「室床」と「前記室床に略直交する複数の側壁と」の各々に相当する。
引1発明の「側壁16で支えられている一般に弧状の屋根20」は、本14発明の「前記室床の上に位置付けられ、少なくとも2つの側壁の間の領域に少なくとも部分的に架かる…構成要素」に相当する。

してみると、本14発明と引1発明は『コークス炉室であって、室床と、前記室床に略直交する複数の側壁と、前記室床の上に位置付けられ、少なくとも2つの側壁の間の領域に少なくとも部分的に架かる構成要素と、を備える、コークス炉室。』という点において一致し、次の(α)の点において一応相違する。

(α)室床の上に位置付けられ、少なくとも2つの側壁の間の領域に少なくとも部分的に架かる構成要素が、本14発明は「モノリス構成要素」であって、これが「熱的に体積安定な材料を含む」のに対して、引1発明は「適切な耐熱性材料(例えばコークス化工程中に遭遇する高温および加熱されている炉室18に石炭の新しい仕込み物を入れる時に結果として生じる熱衝撃に耐え得る鋳造可能耐火性材料など)」から形成された「屋根20」であって、当該「屋根20」が「モノリス」構造であるか不明であって、当該「熱衝撃に耐え得る鋳造可能耐火性材料など」の「耐熱性材料」が「熱的に体積安定な材料を含む」か否か不明な点。

イ 判断
上記(α)の相違点について検討する。
本件優先日前の技術常識を示すために引用する特開2011−503254号公報の請求項11の「コークス炉…型枠の周囲に耐火キャスタブル材を流し込み、前記材料を硬化させる」との記載、及び同段落0033の「耐火材は、…販売されている製品であってもよい、これは、…溶融シリカをベースとする、ゼロ膨張のポンプ圧送可能なキャスタブルである。」との記載にあるように、コークス炉に用いられる市販の「耐火キャスタブル材」は、溶融シリカをベースとした材料であって、型枠に流し込まれて一体化(モノリス)構造を形成する材料であると、自然には認識される。
してみると、引1発明の「鋳造可能耐火性材料」は、引用文献1の段落0014(摘記1b)の「鋳造可能(castale)耐火性材料」との記載にあるように、キャスタブルな「耐火性材料」を意味するから、引1発明のキャスタブルな「耐火性材料」を用いた場合に、引1発明の「屋根20」が「モノリス」構造となることは明らかである。
そして、本願明細書の段落0019には「熱的に体積安定な材料は、溶融シリカ材料、…耐火材料…である。」との記載がなされているところ、引用文献3の段落0007及び0019〜0020(摘記3a)の「低熱膨張性である溶融石英」の配合割合が少ないと「キャスタブル耐火物」の「熱衝撃抵抗性」が低下してしまう旨の記載にあるように、熱衝撃抵抗性(熱衝撃に耐え得る性能)のキャスタブル(鋳造可能)耐火物には、溶融石英(溶融シリカ)のような「低熱膨張性」の材料が配合されていることが普通に知られており、市販の耐火キャスタブル材に「溶融シリカ」が含まれていることが周知であることをも考慮するに、引1発明の「熱衝撃に耐え得る鋳造可能耐火性材料」は「熱的に体積安定な材料を含む」ものと解される。
してみると、上記(α)の相違点について、実質的な差異があるとは認められない。

また、仮に上記(α)の相違点が、実質的な差異を構成するとしても、引用文献3(摘記3a)には、コークス炉では「熱衝撃抵抗性が要求」される補修用れんがに「低熱膨張性である溶融石英」が使用され、珪石質キャスタブル耐火物に含まれる「溶融石英」の配合割合が少ないと「熱衝撃抵抗性が低下」することが記載されているところ、コークス炉の耐火性材料に「熱的に体積安定な材料」を含ませることは、本願優先日前の技術水準における技術常識にすぎないものと認められるので、引1発明の「熱衝撃に耐え得る鋳造可能耐火性材料」に「低熱膨張性である溶融石英」などの「熱的に体積安定な材料」を含ませることは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲であり、溶融石英(溶融シリカ)のような低熱膨張性(熱的に体積安定)の材料を適宜使用することで「熱衝撃抵抗性が低下」することも普通に知られているので、本14発明に格別予想外の効果があるとは認められない。

したがって、本14発明は、引用文献1に実質的に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、引用文献1に記載された発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4)本25発明について
ア 対比
本25発明と引1発明とを対比する。
引1発明の「コークス化室18を有するコークス炉12」は、本25発明の「コークス炉室」に相当する。
引1発明の「室34の下方に位置する床(図4Aの一番下に図示される床)」は、引1発明の「垂直に伸びる相対する側壁16」の間に位置するものであって、本25発明の「炉床」及び「前壁と後壁との間の前記床」に相当する。
引1発明の「コークス化室18の相対する末端部が開放された状態で構成されており、その末端部は、取り外し可能なドア24および26で閉じられており」は、その「相対する末端部」のうちの「24」と「26」のそれぞれに対応する「末端部」の各々が、本25発明の「前端部」及び「前記前端部と反対側の後端部」の各々に相当する。
引1発明の「多数の平行に位置する中間の耐火性れんが側壁36」は、引用文献1の図4Aの下中央で多数(3本)が形成されていることから、本25発明の「前壁と後壁との間の前記床から垂直に上方に延びる第1の側壁及び前記第1の側壁と反対側の第2の側壁」に相当する。
引1発明の「れんが製弧状上部32」の上に設けられた「耐火性材料の床30」は、引用文献1の図4Aの中央で、左右の側壁36に対してアーチ状に形成されていることから、本25発明の「前記床の上方に位置付けられ、前記第1の側壁から前記第2の側壁に架かるクラウン」に相当する。
引1発明の「炉室18の下方に、一般に長方形の細長い炉床煙道室(ソールフリューチャンバー)34」は、引用文献1の図4Aの下中央で複数(4本)が形成されていることから、本25発明の「前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に複数の隣接する道を有するソールフリュー」に相当する。

してみると、本25発明と引1発明は『コークス炉室であって、炉床と、前端部及び前記前端部と反対側の後端部と、前壁と後壁との間の前記床から垂直に上方に延びる第1の側壁及び前記第1の側壁と反対側の第2の側壁と、前記床の上方に位置付けられ、前記第1の側壁から前記第2の側壁に架かるクラウンと、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に複数の隣接する道を有するソールフリューと、を備える、コークス炉室。』という点において一致し、次の(β)の点において一応相違する。

(β)ソールフリュー(炉床煙道)が、本25発明は「熱的に体積安定な材料を含」むのに対して、引1発明は「熱的に体積安定な材料」を含むか否か明らかではない点。

イ 判断
上記(β)の相違点について検討する。
引1発明の「細長い炉床煙道室(ソールフリューチャンバー)34」は、引用文献1の図4Aに示されるように、左右の「耐火性れんが側壁36」の組合せ(又は「側壁16」と「側壁36」の組合せ)と、上部の「れんが製弧状上部32」と、室34の下方に位置する床(図4Aの一番下に図示される床)に囲まれてなるものである。
そして、当該「耐火性れんが側壁36」を構成する「耐火性れんが」は、本願明細書の段落0019の「熱的に体積安定な材料は、…耐火材料…である。」との記載に例示される「耐火材料」に該当するから、当該「耐火性れんが」は、本25発明の「熱的に体積安定な材料」に該当するものと解さざるを得ないし、
例えば、引用文献3の段落0004(摘記3a)の「通常、熱間補修用の珪石れんがとしては、焼成珪石と低熱膨張性である溶融石英を使用したれんがが使用されている。」との記載にあるように、引1発明の「耐火性れんが」には「低熱膨張性である溶融石英」が使用されているものと自然には解されるので、
上記(β)の相違点について、実質的な差異があるとは認められない。

また、仮に上記(β)の相違点が、実質的な差異を構成するとしても、引用文献3(摘記3a)には、コークス炉の補修用れんがに「低熱膨張性である溶融石英」が使用されることが記載されており、前記(3)イにおいて引用した特開2011−503254号公報の段落0033には「耐火材は、…溶融シリカをベースとする」と記載されているところ、コークス炉の耐火性材料に「熱的に体積安定な材料」を含ませることは、本願優先日前の技術水準における技術常識にすぎないものと認められるので、引1発明の「炉床煙道室(ソールフリューチャンバー)34」を構成する耐火性材料に、低熱膨張性である溶融石英(溶融シリカ)のような「熱的に体積安定な材料」を含ませることは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲であり、本25発明に格別予想外の効果があるとも認められない。

したがって、本25発明は、引用文献1に実質的に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、引用文献1に記載された発明及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(5)審判請求人の主張について
令和2年9月24日付けの手続補正により補正された審判請求書の第6〜7頁において、審判請求人は『補正後の請求項14の発明…と、引用文献1の発明とを対比すると、…引用文献1は、本発明の上記重要な特徴構成(前記モノリスソールフリュークラウンが、前記蛇行経路を覆う単一のモノリスソールフリュークラウンとして形成されていて、単一の構造として加熱すると膨張し冷却すると収縮するようになっている)を全く記載ないし示唆していません。…補正後の独立請求項…25も…同様な特徴的構成を有し、…引用文献1の発明に基づき当業者が容易に想到し得るものでもありません。』と主張する。
しかしながら、第1補正は、上記のとおり却下されたので、当該主張は採用できない。

4.むすび
以上のとおり、本願請求項14及び25に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
仮に、前記した相違点(α)及び相違点(β)が実質的な相違点であったとしても、本願請求項14及び25に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び本願優先日前の技術水準における技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、原査定に誤りはなく、その余の理由及び請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 門前 浩一
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2022-01-18 
結審通知日 2022-01-25 
審決日 2022-02-15 
出願番号 P2017-514488
審決分類 P 1 8・ 572- Z (C10B)
P 1 8・ 121- Z (C10B)
P 1 8・ 113- Z (C10B)
P 1 8・ 574- Z (C10B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 門前 浩一
特許庁審判官 木村 敏康
川端 修
発明の名称 モノリス構成要素構造を有するコークス炉  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

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