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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1386586
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-16 
確定日 2022-04-26 
事件の表示 特願2018−514471「資産管理システム、資産管理方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 6月28日国際公開、WO2018/116401、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年12月21日を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

手続補正 :平成30年 3月16日
拒絶理由通知 :令和 元年 5月13日(起案日)
手続補正 :令和 元年 7月19日
拒絶理由通知(最後) :令和 元年12月 3日(起案日)
手続補正 :令和 2年 1月31日
補正の却下の決定 :令和 2年 7月 8日(起案日)
拒絶査定 :令和 2年 7月 8日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :令和 2年10月16日
手続補正 :令和 2年10月16日
拒絶理由通知(当審) :令和 3年11月25日(起案日)
手続補正 :令和 4年 1月27日

第2 原査定の概要
原査定(令和2年7月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2015−210607号公報
2.特開2016−181069号公報
3.国際公開第2014/030266号
4.“すぐに探せる! コピペも自在 パソコン情報整理術”,日経PC21 第21巻 第10号,日本,日経BP社,2016年 7月24日,第21巻,第29-30頁,表紙,奥付,裏表紙
5.特開2014−235484号公報
6.特開2008−146122号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1〜4に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1〜5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
ア.特開2015−210607号公報(上記引用文献1と同じである。)
イ.特開2016−181069号公報(上記引用文献2と同じである。)
ウ.特開2009−93318号公報
エ.特開2014−235484号公報(上記引用文献5と同じである。)
オ.特開2008−146122号公報(上記引用文献6と同じである。)

第4 本願発明
本願請求項1〜4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」などという。)は、令和4年1月27日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

【請求項1】
資産データベースと、会計情報データベースとを備え、対象となるユーザの資産管理を行う資産管理システムであって、
前記ユーザによる商品の購入情報を受信し、前記購入情報と商品情報との教師学習または機械学習または深層学習による学習結果に基づいて、前記購入情報に含まれる商品の商品情報を取得する取得手段と、
前記受信した購入情報と、前記取得した商品情報とに基づいて、当該購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録する場合は、実際に当該ユーザの資産を当該資産データベースに登録する前に、当該ユーザに登録内容を確認させ、必要に応じて当該商品情報の編集を受け付けるとともに、当該ユーザからの選択を受け付けた当該商品情報を当該資産データベースに登録する資産登録手段と、
過去に特定された商品情報と、勘定科目との教師学習または機械学習による学習結果に基づいて、前記取得した商品情報の勘定科目を特定する勘定科目特定手段と、
前記取得した商品情報と、前記特定した勘定科目を関連付けて会計情報として前記会計情報データベースに登録する会計情報登録手段と、
を備え、
前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録することを特徴とする資産管理システム。

なお、本願発明2〜4の概要は以下のとおりである。

本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明3、4は、それぞれ、本願発明1に対応する「方法」及び「コンピュータ読み取り可能なプログラム」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献ア(特開2015−210607号公報)
令和3年11月25日付けの拒絶の理由に引用された引用文献アには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0007】
そこで本発明の発明者は、購入した商品を資産として、ユーザがアクセス可能なサーバで一元管理することによって管理を容易にし、加えて、会計処理に至るまでを一括で処理することによって、帳簿処理の観点からもユーザの利便性を高められることに着目した。
【0008】
本発明は、ユーザが購入した商品を資産として登録しインターネット上で一元管理するとともに、購入情報から帳簿の作成を含む会計処理までを一括で行う資産管理サーバ、資産管理方法、及び、資産管理サーバ用プログラムを提供することを目的とする。」
「【0033】
[資産管理システム1のシステム構成]
図2は、資産管理システム1のシステム構成を示す。資産管理システム1は、インターネット網などの公衆回線網3と、ユーザ利用端末10、資産管理サーバ200、資産データベース250、及び会計情報データベース251、及びECサーバ300から構成される。ユーザ利用端末10は、公衆回線網3を介して、資産管理サーバ200、ECサーバ300と通信可能に接続されている。資産管理サーバ200は、資産データベース250、及び会計情報データベース251を記憶部に備える。
【0034】
ここで、ユーザ利用端末10は、公衆回線網を介して取得した情報を表示し、ユーザから入力を受け付ける一般的な情報端末であってよく、後述する機能を備える情報機器や電化製品である。例えば、ユーザ利用端末10は、パソコンのみならず、携帯電話、スマートフォン、スレート端末、ネットブック端末、電子書籍端末、電子辞書端末、携帯型音楽プレーヤ、携帯型コンテンツ再生・録画プレーヤ等の一般的な情報家電であってよい。
【0035】
資産管理サーバ200は、後述の資産管理機能を備える一般的なサーバである。なお、一般的な構成の一つとして、資産データベース250、及び会計情報データベース251は通信可能なハードウェア上別のサーバの記憶部に記憶されていてもよい。
【0036】
ECサーバ300は電子商取引機能を備える、一般的なサーバであってよい。」

「【0049】
資産管理サーバ200の購入情報受信モジュール204は、ECサーバ300又はユーザ利用端末10から購入情報を受信する(ステップS16)。
【0050】
なお、資産管理サーバ200によって管理される資産の対象はECを通じて購入された商品に限定されず、例えばユーザ利用端末10が、レシートの写真を撮影し購入情報として資産管理サーバ200に送信することで、購入した商品を資産として登録することも可能である。その場合、購入情報受信モジュール204が受信した画像を、光学文字認識モジュール207が文字認識、いわゆるOCR(Optical Character Recognition)処理を行い、以降の処理ではテキストとして送信された購入情報と同様に扱う。また、それ以外にも、購入確認メールを購入情報として受信してもよいし、電子マネーやクレジットカードの利用履歴が受け入れ可能であってよい。
【0051】
次に、資産管理サーバ200の商品情報取得モジュール205は、購入情報に含まれる商品について、商品情報を取得する(ステップS17)。具体的には、商品情報は購入情報に含まれているので、単に購入情報を解析し、商品名、商品コード、価格、商品種別等を抽出すればよい。一般に、購入情報は商品名や商品コード等の商品情報、数量、小計、税額、決済情報、売り主、買い主の情報等により構成される。
【0052】
あるいは、レシートをOCR処理したテキストや、購入確認メールから商品情報を抽出する場合には、予め送信されうるフォーマットを規定してもよいし、キーワードに基づいた自然言語処理によるパターンマッチングによって商品情報を抽出可能である。例えば表を検出して、見出しが「商品名」「価格」等になっている部分を抽出したり、テキスト中を「パソコン」「用紙」「インク」等の一般後や商品固有名で検索したりすることで商品情報を抽出可能である。
【0053】
なお、より詳細な商品情報を取得したい場合には、商品情報取得モジュール205は商品名を検索エンジンで検索したり、メーカーサイトを参照したりすることで、ウェブマイニングによってより詳細な商品情報を取得してもよい。
【0054】
次に、資産管理サーバ200の資産登録モジュール208は、購入情報と商品情報に基づき、購入商品を資産として資産データベース250に登録する(ステップS18)。」
「【0058】
資産登録が完了した後、資産管理サーバ200の勘定科目特定モジュール206は、購入された商品について、勘定科目を特定する(ステップS22)。
【0059】
勘定科目について、借方勘定科目は商品の品目や種類により一意に定まるので、商品名や商品のカテゴリを参照して決定してよい。また、ユーザから個別に商品の勘定科目を指定された場合には、それを用いてよい。これらの勘定科目は、リスト化又はデータベース化して記憶部に記憶してよく、そのユーザや他のユーザに関する商品の勘定科目の特定において利用してもよい。一方で、貸方勘定科目については、ユーザや購入商品ごとに異なるので、購入情報に含まれる決済情報を参照し決定する。
【0060】
最後に、資産管理サーバ200の会計情報登録モジュール209は、購入商品について購入日、商品名、価格、勘定科目等を会計情報データベース251に会計登録する(ステップS23)。これにより、会計情報データベース251の内容が、そのまま会計帳簿として利用可能となる。

以上の記載によれば、引用文献アには、以下の発明(引用発明という。)が記載されている。

「ユーザ利用端末10、資産管理サーバ200、資産データベース250、及び会計情報データベース251などからなる資産管理機能を備える資産管理システムであって、
資産管理サーバ200の購入情報受信モジュール204は、ECサーバ300又はユーザ利用端末10から購入情報を受信し、
資産管理サーバ200によって管理される資産の対象は、ユーザ利用端末10が、レシートの写真を撮影し購入情報として資産管理サーバ200に送信することで、購入した商品を資産として登録することも可能であり、
資産管理サーバ200の商品情報取得モジュール205は、購入情報に含まれる商品について、商品情報を取得し、
上記商品情報の取得は、
商品情報は購入情報に含まれているので、単に購入情報を解析し、商品名、商品コード、価格、商品種別等を抽出したり、
表を検出して、見出しが「商品名」「価格」等になっている部分を抽出したり、テキスト中を「パソコン」「用紙」「インク」等の一般後や商品固有名で検索したりすることで商品情報を抽出したり、
商品名を検索エンジンで検索したり、メーカーサイトを参照したりすることで、ウェブマイニングによってより詳細な商品情報を取得したものでもよく、
資産管理サーバ200の資産登録モジュール208は、購入情報と商品情報に基づき、購入商品を資産として資産データベース250に登録し、
資産登録が完了した後、資産管理サーバ200の勘定科目特定モジュール206は、購入された商品について、勘定科目を特定し、
上記特定は、
勘定科目について、借方勘定科目は商品の品目や種類により一意に定まるので、商品名や商品のカテゴリを参照して決定してよく、また、ユーザから個別に商品の勘定科目を指定された場合には、それを用いてもよく、これらの勘定科目は、リスト化又はデータベース化して記憶部に記憶してよく、そのユーザや他のユーザに関する商品の勘定科目の特定において利用してもよく、貸方勘定科目については、ユーザや購入商品ごとに異なるので、購入情報に含まれる決済情報を参照し決定するものであり、
資産管理サーバ200の会計情報登録モジュール209は、購入商品について購入日、商品名、価格、勘定科目等を会計情報データベース251に会計登録する、
資産管理システム」

2.引用文献イ(特開2016−181069号公報)
令和3年11月25日付けの拒絶の理由に引用された引用文献イには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0004】
このように、Web情報から、関係性を有する整理された情報(構造化情報)を抽出する必要が生じる場合がある。
【0005】
特許文献1は、Webページを構成する文書における複数の要素をクラスタリングすることにより、Webページから抽出したい部分を抽出することが可能な技術を開示している。
【0006】
特許文献2は、Web上の検索エンジンに検索条件を入力して、その結果を使ってインターネット上の企業データを抽出する技術を開示している。
【0007】
特許文献3は、予め作成したキーワードとのマッチングをとる等、予め設定したルールに基づいてWeb情報から企業情報等を抽出する技術について開示している。
【0008】
特許文献4は、インターネット上に存在するWebサイトから、話題のトピックス情報および論評情報を収集し、収集した情報を集約した情報を提供可能な情報提供サーバに関する技術を開示している。」

「【0015】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、Webサイトから効率的に構造化された情報を抽出することにある。」

「【0073】
蓄積データ閲覧部29は、蓄積部25に保存された、抽出結果のデータである構造化情報を、ユーザが閲覧可能な状態にする。また、蓄積データ閲覧部29は、構造化情報の組み合わせが間違っていた場合には、ユーザが修正することを可能とする。
【0074】
さらに、蓄積データ閲覧部29は、情報の種類と、その情報の表示内容および表示位置との修正された対応関係を示す新たな教師データ(修正データ)を教師データ作成部27に渡す。そして、構造化学習部28が、教師データ作成部27からの情報に基づいて、構造化モデル情報を作り直す。構造化学習部28は、再作成された構造化モデル情報を構造化モデル保持部23に格納する。」

「【0080】
蓄積データ閲覧部29は、蓄積部25に保存された、抽出したデータである構造化情報を読み込み、ユーザが閲覧できるように表示する(ステップS202)。さらに、間違いがあった場合には、ユーザからの修正の指示を蓄積データ閲覧部29から受けた教師データ作成部27が、新たな教師データの作成(図6に示すようなラベル付け)を行う(ステップS203)。このように、蓄積データ閲覧部29の指示により、修正した情報の種類と表示内容および表示位置との対応関係を示すデータを教師データ作成部27が作成する。」

以上の記載によれば、引用文献イには、Webサイトなどの構造化された情報から、所望の情報を効率よく抽出する一般的な手法として、教師学習を用いて学習を行い、この学習結果から必要な情報を抽出する手法があることが開示されている。

3.引用文献ウ(特開2009−93318号公報)
令和3年11月25日付けの拒絶の理由に引用された引用文献ウには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
領収書の領収データを管理する領収データ管理システム、印刷装置、領収データ管理装置、領収データ管理方法および領収データ管理プログラムに関する。」

「【0032】
まず、レジスター装置2の構成について説明する。図2に示すように、レジスター装置2は、商品に貼付された商品ラベルのバーコードを読み取るバーコードリーダ20と、領収書印刷用のレシート用紙がセットされたプリント機構21と、これらの構成の動作を制御するコントローラ22と、を備えている。」

「【0049】
まず、図6のフローチャートに従って、商品の購入時に、レジスター装置2が行う処理について説明する。図6の処理を開始すると、レジスター装置2のCPU23は、バーコードリーダ20により読み取った商品ラベルのバーコードBCを復号して商品コードを取得し(ステップS100)、ネットワークI/F26を介して商品データベースに商品コードに対応する商品データを問い合わせることにより、該当する商品の商品データを取得する(ステップS110)。
【0050】
次に、CPU23は、商品入力を終了するか否かを判断する(ステップS120)、商品入力が終了していない場合(ステップS120:No)、ステップS100に戻って、バーコードリーダ20によって読み取られる次の商品について処理を行う。
【0051】
タッチパネルなどから精算する旨の指示が入力されると、購入する全商品についてバーコードBCの読み取りを終え、商品入力が終了したと判断して(ステップS120:Yes)、CPU23は、取得した商品データから領収データRDを生成し(ステップS130)、領収データRDに対応するバーコードBCを生成する(ステップS140)。
【0052】
次に、CPU23は、領収データRDおよびバーコードBCを表すレシート印刷データを生成し、プリントI/F28を介してレシート印刷データをプリント機構21に出力することにより、プリント機構21にレシートRを印刷させる(ステップS150)。このとき、レシート印刷データには記入欄ESのデータも含まれ、レシートRには、領収データRDの商品名に対応する位置に記入欄ESが印刷される(図3参照)。レシートRが印刷されると、図6の処理を終了する。」

「【0054】
レジスター装置2によって印刷されたレシートRは、読取装置3および会計管理装置4がある自宅に持ち帰られる。ユーザーが、持ち帰ったレシートRをスキャナ3aの原稿台にセットするか、またはデジタルカメラ3bによって撮影可能な位置にレシートRをセットした状態で、会計処理アプリケーションに対して、領収データRDの登録を指示する旨の操作入力を行うと、図7のフローチャートに示した処理が開始される。
【0055】
図7の処理を開始すると、会計管理装置4のCPU40は、セットされたレシートRを読取装置3に読み取らせ(ステップS200)、読み取ったレシートの読取画像データSDを入力I/F44を介して読取装置3から取得する(ステップS210)。
【0056】
次に、CPU40は、ネットワークI/F46を介してタイムスタンプサーバ5と通信して、タイムスタンプデータTSを取得する(ステップS220)。
【0057】
次に、CPU40は、読取画像データSDに含まれるバーコードBCの画像から領収データRDを復元する(ステップS230)。また、このとき、読取画像データSDに含まれる記入欄ESに記入された印の有無に応じて、領収データRDの商品ごとに、会計の対象とするか否かを示す会計計上フラグFを設定する。
【0058】
次に、CPU40は、読取画像データSDに対して圧縮処理を行って、データ量を低減させる(ステップS240)。
【0059】
次に、CPU40は、タイムスタンプデータTS、圧縮された読取画像データSD、領収データRD、会計計上フラグFを暗号化し、暗号化された各データおよび暗号化鍵CKを含む所定のデータ形式の領収ファイルRFを生成し、領収ファイルRFをデータベースDBに登録する(ステップS250)。領収ファイルRFを登録すると、領収データRDがデータベースDBにより管理されるようになって、図7の処理を終了する。」

「【0069】
(4)レシートRに印刷された記入欄ESに記入される指示に従って、会計処理の対象となる商品が決められるので、ユーザーは、レシートRの記入欄ESに指示を記入することにより、会計対象とする商品を任意に選択することができる。したがって、ユーザーにとっての利便性が向上する。」

以上の記載によれば、レシートRに印刷された画像を読み取り、読取画像データから、領収データを復元し、会計処理の対象となる商品の情報を領収ファイルRFとしてデータベースDBに登録することを前提として、読取画像データSDに含まれる記入欄ESに記入された印の有無に応じて、領収データRDの商品ごとに、会計の対象とするか否かを示す会計計上フラグFを設定可能とすることで、レシートRに印刷された記入欄ESに記入される指示に従って、会計処理の対象となる商品を決めることができ、ユーザーは、レシートRの記入欄ESに指示を記入することにより、会計対象とする商品を任意に選択することができ、ユーザーにとっての利便性が向上する技術思想が開示されている。

4.引用文献エ(特開2014−235484号公報)
令和3年11月25日付けの拒絶の理由に引用された引用文献エには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、ブラウザ機能を備えた端末の利用者を対象として会計に関する仕訳解析サービスを提供する処理を行うコンピュータシステム(以下、「仕訳解析センターシステム」と呼ぶ)に関し、特に、利用者が携帯端末等で写真撮影したレシートや領収書などの証憑を仕訳の対象として、その電子データ(以下「証憑データ」と呼ぶ)を仕訳解析センターシステムに送信するだけで、一般ユーザによるWeb画面上での仕訳明細情報の確認や、会計ソフト所有者(登録ユーザ)が所有する会計ソフトへの仕訳データの取込みを行うことが可能な仕訳解析センターシステムに関する。」

「【0010】
本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の主要な目的は、レシートや領収書などの会計作業にかかわる証憑の電子データを、ブラウザ機能を備えた携帯端末等の任意のWeb端末から仕訳解析センターシステムに送信するだけで、その証憑に示される簿記上の取引についての仕訳の結果をユーザがリアルタイムに参照することが可能なクラウド型のコンピュータシステムを提供することにある。」

「【0012】
そして、本発明の更なる目的は、新規の仕訳要素(新規の商品や新たな支払形態)の情報を自動的に学習し、その仕訳要素を含む取引についての仕訳の結果をユーザに提示することが可能となるシステムを提供することにある。」

「【0042】
商品マスタ21は、レシート等の証憑に記載された商品名とマスタで管理する商品グループとをリンクするためのテーブルである。ここで言う「商品名」とは、証憑に記載された商品を特定するための名称であり、「商品グループ」とは、その商品名で特定される商品が属するグループを示す情報であり、例えば「医薬品」,「書籍」などの商品カテゴリの情報が商品グループとして登録されている。本実施の形態では、商品マスタ21に登録されていない新たな商品名のレシートが取り込まれて仕訳された場合、その商品名を随時商品グループに追加登録することで、新商品等の商品名を自動的に学習する形態としている。また、商品グループについても、商品マスタ21に登録されていない新たな商品グループの商品が記入されたレシートが取り込まれて仕訳された場合、その商品名と商品グループとをリンクさせて商品マスタ21に追加登録することで、新規の商品グループを自動的に学習する形態としている。」

「【0058】
ユーザ1(一般ユーザ1a又は登録ユーザ1b)は、所定のデータ取込手段を用いて証憑データを取得し(ステップS12)、その証憑データの仕訳解析サービスを仕訳解析センター100に対して要求する場合は、ユーザ端末2の記憶部に記憶されている証憑データをWeb30経由で仕訳解析サーバ10へ送信する(ステップS13)。
仕訳解析サーバ10のサービス要求受付手段11では、ユーザ端末2からの証憑データを受信し、本人認証情報を用いたログインによる仕訳解析要求の場合には、以降、登録ユーザ1bによる仕訳解析要求として処理する(ステップS21)。続いて、仕訳解析サーバ10は、仕訳要素抽出手段12によって証憑データを解析して仕訳要素情報をテキスト形式のデータとして抽出する(ステップS22)。
【0059】
仕訳解析サーバ10の推奨仕訳提示手段13では、上記ステップS22において抽出した仕訳要素情報をもとに以下の仕訳処理を実行する。
【0060】
推奨仕訳提示手段13は、先ず、利用者データベース26に利用者情報が登録されているか否かを判定し(ステップS23)、登録されていると判定した場合には、抽出した仕訳要素情報(商品名,購入先,支払方法等)と履歴データベース25に記録されている仕訳解析要求元の登録ユーザ1bの過去履歴とを比較して、過去履歴に類似証憑が有るか否かを判定する(ステップS24)。
【0061】
上記ステップS24において過去履歴に類似証憑が有ると判定した場合には、推奨仕訳提示手段13は、類似証憑の仕訳(本人が過去に使用した仕訳のうち、類似する証憑の全ての仕訳)を履歴データベース25から抽出し(ステップS25)、一方、上記ステップS24において類似証憑が無い判定した場合、または、前記ステップS23において利用者データベース26に利用者情報が登録されていないと判定した場合には、仕訳パターン毎の仕訳処理人数を示す前述の「人数」の情報に基づいて、利用者がよく使う仕訳(使用人数の多い勘定科目を設定した仕訳)を抽出する(ステップS26)。
【0062】
そして、推奨仕訳提示手段13では、上記ステップS25又はステップS26において抽出した仕訳の内容を仕訳結果(仕訳データ)D2として要求元のユーザ端末2のWeb画面G上に表示する(ステップS27)。
【0063】
前記ステップS13において仕訳解析サービスを要求したユーザ1は、上記仕訳結果D2を見て証憑の仕訳の内容を確認し(ステップS14)、修正がある場合は、Web画面G上で仕訳データを修正してその修正内容を確認し、操作を終了したい場合はログアウトする若しくはWeb画面Gを閉じることで、ユーザ端末2側の操作を終了する(ステップS15)。
【0064】
一方、仕訳解析サーバ10側では、上記ステップS15において仕訳データがユーザ1によって修正されたか否かを判定し(ステップS28)、仕訳データが修正されて確認が終了したと判定した場合は、学習手段14が、上記ステップS15において修正された仕訳要素が仕訳アドバイザーデータベース20に登録されているか否かを検索し、登録されていない場合には、その仕訳要素の情報を仕訳アドバイザーデータベース20内の該当のユーザ共用テーブルに追加登録することで、新たな仕訳要素情報を学習する(ステップS29)。
【0065】
続いて、仕訳解析サーバ10は、要求元のユーザ1が登録ユーザ1bの場合には、仕訳結果D2を基に仕訳履歴を生成し、当該登録ユーザ1bの利用者IDに対応付けて履歴データベース25に蓄積記録する(ステップS30)。そして、仕訳解析サーバ10は、利用者データベース26に利用者情報が登録されているか否かを判定し(ステップS31)、登録されていない場合には仕訳解析サービスの処理を終了する。」

「【0078】
なお、専用のWebページに記憶された証憑のデータファイル(イメージデータ及びテキスト形式のデータのファイル)は、登録ユーザ1bの場合には一定規模の容量分だけ保管され、一般ユーザ1aの場合には後述の仕訳確認後に自動的に削除される。なお、ユーザ自身で削除することも可能である。」

以上の記載によれば、引用文献エには、レシートや領収書などの会計作業にかかわる証憑の電子データを、仕訳解析センターシステムで仕分けを行うことを前提として、仕訳解析サーバ10は、ユーザ端末2から証憑データを受信し、推奨仕訳提示手段にて過去の類似証憑の仕訳履歴や利用者がよく使う仕訳などに基づいて仕訳した結果(仕訳データ)を、ユーザ端末の画面に表示し、仕訳解析サービスを要求したユーザ1は、上記仕訳結果D2を見て証憑の仕訳の内容を確認し、修正がある場合は仕訳データを修正し、その修正内容を確認し、操作を終了する際に、仕訳解析サーバ10側では、仕訳データがユーザ1によって修正された場合、学習手段14が、上記ステップS15において修正された仕訳要素の情報を仕訳アドバイザーデータベース20内の該当のユーザ共用テーブルに追加登録することで、新たな仕訳要素情報を学習する技術事項が開示されている。

5.引用文献オ(特開2008−146122号公報)
令和3年11月25日付けの拒絶の理由に引用された引用文献オには、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、損益計算書の生成に必要となる会計情報の処理を行う会計情報処理装置に関し、特に、要約損益計算書を生成する会計情報処理装置およびコンピュータをその装置として機能させるためのコンピュータプログラムに関する。」

「【0004】
しかしながら、上記のような従来の会計情報処理方法および会計情報処理装置の場合、単に損益計算書を生成するのみであり、その生成された損益計算書の分析を効果的に行うような工夫はなされていなかった。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、損益計算書を自動的に生成するとともに、その生成された損益計算書の分析が容易にできるような出力を行う会計情報処理装置、およびコンピュータをその装置として機能させるためのコンピュータプログラムを提供することにある。」

「【0017】
(会計情報の概念)
本発明において、会計情報とは、次のような会計に関する情報から構成される情報を意味する。なお、この会計情報を構成する情報は、適宜のタイミングで生成され、入力される。例えば、オーダーなどに依存しない固定的な情報は予めユーザによって入力される。また、オーダーを受注した場合に発生する情報であればそのオーダーの受注のときなどに、費用に関する情報であればその費用が確定したときなどにそれぞれ入力される。さらに、本発明の会計情報処理装置によって算出される数値に関する情報であれば、その数値が算出されたときなどに格納される。
【0018】
会計情報を構成する情報には、まず、オーダーを識別するための「オーダー番号」、オーダーを受注した日付を示す「オーダー受注日」、そのオーダーの売上を計上した日付を示す「オーダー売上計上日」、そのオーダーの販売先の名称を示す「販売先名」、オーダーが属する市場を識別するための「市場区分」、並びにオーダー別で算出される「オーダー別売上高」、「オーダー別専用材料費」、および「オーダー別外注加工費」などが含まれる。
【0019】
また、「共通材料配賦額」、「人件費」、「製造経費」、「減価償却費」、「未来投資額」、「販売費」、「管理費」、「人件費配賦額」、「経費配賦額」、「減価償却費配賦額」、「未来投資配賦額」、「営業外収益」、および「営業外費用」などの費用に関する情報も、会計情報を構成する情報に含まれる。」

「【0022】
さらに、人件費を識別するための「人件費番号」、減価償却費を識別するための「減価償却番号」、決算を識別するための「決算番号」、未来投資額を識別するための「未来投資番号」、その未来投資額が発生する部門を識別するための「発生部門コード」、製造原価および販売管理費などの原価区分を示す「原価区分」、並びに、専用材料、外注加工、共通材料、減価償却費、または経費などを使用した部門を識別するための「使用部門コード」などの情報も、会計情報を構成する情報に含まれる。」

以上の記載によれば、引用文献オには、会計情報の処理を行う会計情報処理装置に関する発明において、会計情報を構成する情報として、「減価償却費」を含むことは通常行われていることであることが開示されている。

6.引用文献3(国際公開第2014/030266号)
令和2年7月8日付けの拒絶の査定に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0109]
(ステップS105)レコード生成部105は、ステップS103で蓄積した領収書画像のうちのm番目の領収書画像を読み出し、この領収書画像に画像認識処理を行う。例えば、OCR処理を行う。
[0110]
(ステップS106)レコード生成部105は、ステップS105による領収書画像に対する画像認識処理の結果を利用して、領収書画像が示す領収書について1または2以上の購入対象を検出する。例えば、OCRで取得した文字列から、手がかり句や、文字の配列パターン等を検出することで、1または2以上の購入対象を示す情報や、各購入対象と特定可能な情報(例えば、購入対象毎に対応した金額等)を検出する。
[0111]
(ステップS107)レコード生成部105は、カウンターnの値に1を代入する。
[0112]
(ステップS108)レコード生成部105は、ステップS106で検出した購入対象のうちの一番目の購入対象について、伝票情報レコードを生成する。例えば、領収書から取得した内容を入力するための1または2以上の項目の値が空欄であるレコードを生成する。そして、レコード生成部105は、生成した伝票情報レコードを、伝票情報格納部104に蓄積する。
[0113]
(ステップS109)対応付与部106は、m番目の領収書画像と、直前のステップS108で取得した伝票情報レコードとを対応付ける。例えば、対応付与部106は、伝票情報レコードの一の項目のデータとして、m番目の領収書画像の識別情報(例えばファイル名)を蓄積しても良いし、m番目の領収書画像の識別情報と、直前のステップS108で取得した伝票情報レコードに付与した識別情報とを対応付けて有する管理情報を、領収書画像格納部101や、伝票情報格納部104や、図示しない記憶媒体等に蓄積するようにしても良い。」

以上の記載によれば、引用文献3には、商品情報と共にレシート画像等を記憶して管理することが開示されている。

7.引用文献4(すぐに探せる! コピペも自在 パソコン情報整理術)
令和2年7月8日付けの拒絶の査定に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(あ)「レシレコの利用に必要な個人情報は最低限のものだけだ(図7)。レシートを撮影すると、日付や店舗名、金額、品名が自動入力される(図8〜図10)。品名に合わせて「食料品」などの費目も設定しよう。ひもp句は一括変更でできるほか(図11)、個別設定も可能(図12)。店舗名は電話番号から自動判定されるが、うまく表示されなかった場合は手動で入力する(図13)。次回以降は同じ電話番号に対してその店舗名が使われる。
・・・中略・・・
撮影したレシート写真を一緒に保存することもできる(図16〜図18)。認識ミスがないか確認したり、後でレシートを見返したいときに便利だ。」(29頁下欄〜30頁下欄)

図16〜図18


以上の記載によれば、引用文献4には、商品情報と共にレシート画像等を記憶して管理することが開示されている。

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア.引用発明は、「ユーザ利用端末10、資産管理サーバ200、資産データベース250、及び会計情報データベース251などからなる資産管理機能を備える資産管理システム」であるから、本願発明1の「資産データベースと、会計情報データベースとを備え、対象となるユーザの資産管理を行う資産管理システム」と相違はない。
イ.引用発明の「資産管理サーバ200の購入情報受信モジュール204」は、ECサーバ300又はユーザ利用端末10から購入情報を受信し、「資産管理サーバ200の商品情報取得モジュール205」は、購入情報に含まれる商品について、商品情報を取得しているから、引用発明は、本願発明1の「前記ユーザによる商品の購入情報を受信し、前記購入情報と商品情報との教師学習または機械学習または深層学習による学習結果に基づいて、前記購入情報に含まれる商品の商品情報を取得する取得手段」のうち、「前記ユーザによる商品の購入情報を受信し、前記購入情報に含まれる商品の商品情報を取得する取得手段」に対応する構成を備えている。
ウ.引用発明は、「資産管理サーバ200の資産登録モジュール208は、購入情報と商品情報に基づき、購入商品を資産として資産データベース250に登録し」ているから、本願発明1の「前記受信した購入情報と、前記取得した商品情報とに基づいて、当該購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録するにあたり、実際に当該ユーザの資産を当該資産データベースに登録する前に、当該ユーザに登録内容を確認させ、必要に応じて当該商品情報の編集を受け付けるとともに、当該ユーザからの選択を受け付けた当該商品情報を当該資産データベースに登録する資産登録手段」のうち、「前記受信した購入情報と、前記取得した商品情報とに基づいて、当該購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録する資産登録手段」に対応する構成を備えている。
エ.引用発明は「資産登録が完了した後、資産管理サーバ200の勘定科目特定モジュール206は、購入された商品について、勘定科目を特定し」ているから、当該勘定項目特定モジュールは、本願発明1の「過去に特定された商品情報と、勘定科目との教師学習または機械学習による学習結果に基づいて、前記取得した商品情報の勘定科目を特定する勘定科目特定手段」の「前記取得した商品情報の勘定科目を特定する勘定科目特定手段」に対応する。
オ.引用発明は「資産管理サーバ200の会計情報登録モジュール209は、購入商品について購入日、商品名、価格、勘定科目等を会計情報データベース251に会計登録する」から、上記会計情報登録モジュールは、前記取得した商品情報と、前記特定した勘定科目を関連付けて会計情報として前記会計情報データベースに登録しているという点で、本願発明1の「前記取得した商品情報と、前記特定した勘定科目を関連付けて会計情報として前記会計情報データベースに登録する会計情報登録手段」と相違はない。
カ.対比のまとめ(一致点・相違点)
以上の対比によれば、本願発明1と引用発明とは、以下の一致点で一致し相違点で相違する。

<一致点>
資産データベースと、会計情報データベースとを備え、対象となるユーザの資産管理を行う資産管理システムであって、
前記ユーザによる商品の購入情報を受信し、前記購入情報に含まれる商品の商品情報を取得する取得手段と、
前記受信した購入情報と、前記取得した商品情報とに基づいて、当該購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録する資産登録手段と、
前記取得した商品情報の勘定科目を特定する勘定科目特定手段と、
前記取得した商品情報と、前記特定した勘定科目を関連付けて会計情報として前記会計情報データベースに登録する会計情報登録手段と、
を備えることを特徴とする資産管理システム。

<相違点>
相違点1
「商品情報を取得する取得手段」が、本願発明1では、「前記購入情報と商品情報との教師学習または機械学習または深層学習による学習結果に基づいて、前記購入情報に含まれる商品の商品情報を取得する」のに対し、引用発明では「商品情報は購入情報に含まれているので、単に購入情報を解析し、商品名、商品コード、価格、商品種別等を抽出したり、表を検出して、見出しが「商品名」「価格」等になっている部分を抽出したり、テキスト中を「パソコン」「用紙」「インク」等の一般後や商品固有名で検索したりすることで商品情報を抽出したり、商品名を検索エンジンで検索したり、メーカーサイトを参照したりすることで、ウェブマイニングによってより詳細な商品情報を取得」する点。
相違点2
資産登録手段が、本願発明1では「資産データベースに登録する場合は、実際に当該ユーザの資産を当該資産データベースに登録する前に、当該ユーザに登録内容を確認させ、必要に応じて当該商品情報の編集を受け付けるとともに、当該ユーザからの選択を受け付けた当該商品情報を当該資産データベースに登録する」のに対し、引用発明では、上記ユーザからの選択に係る処理を行っていない点。
相違点3
勘定項目特定手段が、本願発明1では、「過去に特定された商品情報と、勘定科目との教師学習または機械学習による学習結果に基づいて」商品情報の勘定科目を特定するのに対し、引用発明では、「借方勘定科目は商品の品目や種類により一意に定まるので、商品名や商品のカテゴリを参照して決定してよく、また、ユーザから個別に商品の勘定科目を指定された場合には、それを用いてもよく、これらの勘定科目は、リスト化又はデータベース化して記憶部に記憶してよく、そのユーザや他のユーザに関する商品の勘定科目の特定において利用してもよく、貸方勘定科目については、ユーザや購入商品ごとに異なるので、購入情報に含まれる決済情報を参照し決定する」点。
相違点4
本願発明1は、「前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録する」構成を有しているのに対し、引用発明は当該構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討すると、相違点4に係る本願発明1の「前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録する」という構成は、上記引用文献ア〜オ、及び、引用文献3、引用文献4には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献イ〜オ、引用文献3、引用文献4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2について

本願発明2も、本願発明1の「前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録する」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献イ〜オ、引用文献3、引用文献4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明3について
本願発明3は、本願発明1に対応する方法の発明であり、本願発明1の「前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献イ〜オ、引用文献3、引用文献4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明4について
本願発明4は、本願発明1に対応するコンピュータ読み取り可能なプログラムの発明であり、本願発明1の「前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録する」に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献イ〜オ、引用文献3、引用文献4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和4年1月27日にされた補正により、補正後の請求項1、2は、「前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録する」という技術的事項を有し、また、請求項3は本願発明1の「前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録する」に対応する構成を有する資産管理方法に、請求項4は本願発明1の「前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録する」に対応する構成を有するコンピュータ読み取り可能なプログラムとなった。当該「前記会計情報登録手段は、前記資産登録手段が購入情報及び当該商品を前記ユーザの資産として前記資産データベースに登録しない場合は、前記資産データベースに登録を行わなかったことを判別するための情報を登録する」という構成は、原査定における引用文献1〜6には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1〜4は、当業者であっても、原査定における引用文献1〜6に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審が通知した拒絶の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-04-05 
出願番号 P2018-514471
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 吉田 誠
渡邊 聡
発明の名称 資産管理システム、資産管理方法、およびプログラム  
代理人 小木 智彦  

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