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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1386812
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-03-15 
確定日 2022-07-07 
事件の表示 特願2016−192607「情報処理装置及び情報処理装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 4月 5日出願公開、特開2018− 52013〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月30日に出願され、令和1年9月24日付けで手続補正書が提出され、令和2年9月30日付けで拒絶理由が通知され、同年12月1日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月1日付けで拒絶査定がなされたのに対し、令和3年3月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和3年3月15日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年3月15日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和2年12月1日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲へと補正することを含むものである。(下線は当審決で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
情報処理装置であって、
オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の所定の負荷に電力を供給する電力供給手段と、
前記情報処理装置を、前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する電源制御手段と、を有し、
前記電源制御手段は、前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因に基づいて前記力率改善回路をオンにするかどうかを決定する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、
前記力率改善回路をオンにすると決定した場合、前記力率改善回路をオンして、その所定の遅延時間後に、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電源制御手段は、
前記力率改善回路をオンしないと決定した場合、前記所定の遅延時間を待たずに、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、
前記情報処理装置を前記省電力状態に移行させる信号が入力されたことに従って、前記力率改善回路をオフする、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電源制御手段は、
前記情報処理装置を前記省電力状態に移行させる信号が入力されたことに従って、前記負荷への電力供給が停止されるよう制御した後に、前記力率改善回路をオフする、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる復帰ボタンをさらに備え、
前記電源制御手段は、
前記要因が前記復帰ボタンの押下であれば、前記力率改善回路をオンすると決定する、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ファクスデータを受信するファクス部をさらに備え、
前記電源制御手段は、
前記要因が前記ファクスデータの受信であれば、前記力率改善回路をオンすると決定する、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
外部装置からデータを受信するネットワークインターフェースをさらに備え、
前記電源制御手段は、
前記要因が前記ネットワークインターフェースによる第1タイプのデータの受信であれば、前記力率改善回路をオンすると決定し、前記要因が前記ネットワークインターフェースによる第2タイプのデータの受信であれば、前記力率改善回路をオンしないと決定する、ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
用紙に画像を印刷する印刷部をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記電源制御手段は、
前記要因が前記印刷部に印刷を実行させる印刷ジョブの受信であれば、前記力率改善回路をオンすると決定する、ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
情報処理装置であって、
オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の所定の負荷に電力を供給する電力供給手段と、
前記情報処理装置を、前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する電源制御手段と、を有し、
前記電源制御手段は、
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因が第1要因であれば、前記力率改善回路をオンにし、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御し、
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因が第2要因であれば、前記力率改善回路をオンせずに、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
前記電源制御手段は、
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因が前記第1要因であれば、前記力率改善回路をオンにして、その所定の遅延時間後に、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する、ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記電源制御手段は、
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因が前記第2要因であれば、前記所定の遅延時間を待たずに、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する、ことを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記電源制御手段は、
前記情報処理装置を前記省電力状態に移行させる信号が入力されたことに従って、前記力率改善回路をオフする、ことを特徴とする請求項11乃至13の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記電源制御手段は、
前記情報処理装置を前記省電力状態に移行させる信号が入力されたことに従って、前記負荷への電力供給が停止されるよう制御した後に、前記力率改善回路をオフする、ことを特徴とする請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる復帰ボタンをさらに備え、
前記第1要因は、前記復帰ボタンの押下である、ことを特徴とする請求項11乃至15の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
ファクスデータを受信するファクス部をさらに備え、
前記第1要因は、前記ファクスデータの受信である、ことを特徴とする請求項11乃至16の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項18】
外部装置からデータを受信するネットワークインターフェースをさらに備え、
前記第1要因は、前記ネットワークインターフェースによる第1タイプのデータの受信であり、前記第2要因は、前記ネットワークインターフェースによる第2タイプのデータの受信である、ことを特徴とする請求項11乃至17の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項19】
用紙に画像を印刷する印刷部をさらに備える、ことを特徴とする請求項11乃至18の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記第1要因は、前記印刷部に印刷を実行させる印刷ジョブの受信である、ことを特徴とする請求項19に記載の情報処理装置。
【請求項21】
情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置は、オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の所定の負荷に電力を供給する電力供給手段を備え、
前記情報処理装置の所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態に移行するステップと、
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御するステップと、
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因に基づいて前記力率改善回路をオンにするか否かどうかを決定するステップと、を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項22】
情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置は、オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の所定の負荷に電力を供給する電力供給手段を備え、
前記情報処理装置の所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態に移行するステップと、
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる信号を受信するステップと、
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因が第1要因であれば、前記力率改善回路をオンにし、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御するステップと、
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因が第2要因であれば、前記力率改善回路をオンせずに、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御するステップと、を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
情報処理装置であって、
用紙に画像を印刷するプリンタ部と、
オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の前記プリンタ部に電力を供給する電力供給手段と、
前記情報処理装置を、前記プリンタ部への電力供給が停止され且つ前記力率改善回路がオフである省電力状態から復帰させる復帰要求が入力されたことに従って、前記電力供給手段から負荷に電力が供給されるよう制御する電源制御手段と、を有し、
前記電源制御手段は、前記省電力状態の前記情報処理装置を前記プリンタ部への電力供給が必要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合、前記力率改善回路をオンにし、前記省電力状態の前記情報処理装置を前記プリンタ部への電力供給が不要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合、前記力率改善回路をオンしない、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、
前記力率改善回路をオンにすると決定した場合、前記力率改善回路をオンして、その所定の遅延時間後に、前記電力供給手段から前記プリンタ部に電力が供給されるよう制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電源制御手段は、
前記力率改善回路をオンしないと決定した場合、前記所定の遅延時間を待たずに、前記電力供給手段から前記プリンタ部に電力が供給されるよう制御する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、
前記情報処理装置を前記省電力状態に移行させる信号が入力されたことに従って、前記力率改善回路をオフする、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記電源制御手段は、
前記情報処理装置を前記省電力状態に移行させる信号が入力されたことに従って、前記プリンタ部への電力供給が停止されるよう制御した後に、前記力率改善回路をオフする、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる復帰ボタンをさらに備え、
前記電源制御手段は、
前記要因が前記復帰ボタンの押下であれば、前記力率改善回路をオンすると決定する、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ファクスデータを受信するファクス部をさらに備え、
前記電源制御手段は、
前記要因が前記ファクスデータの受信であれば、前記力率改善回路をオンすると決定する、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
外部装置からデータを受信するネットワークインターフェースをさらに備え、
前記電源制御手段は、
前記要因が前記ネットワークインターフェースによるプリントデータの受信であれば、前記力率改善回路をオンすると決定し、前記要因が前記ネットワークインターフェースによる問い合わせデータの受信であれば、前記力率改善回路をオンしないと決定する、ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
用紙に画像を印刷するプリンタ部と、オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記プリンタ部に電力を供給する電力供給手段とを有する情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置を、前記プリンタ部への電力供給が停止され且つ前記力率改善回路がオフである省電力状態から復帰させる復帰要求が入力されたことに従って、前記電力供給手段から負荷に電力が供給されるよう制御する電源制御ステップを有し、
前記電源制御ステップは、
前記省電力状態の前記情報処理装置を前記プリンタ部への電力供給が必要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合、前記力率改善回路をオンにし、
前記省電力状態の前記情報処理装置を前記プリンタ部への電力供給が不要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合、前記力率改善回路をオンにしない、ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。」

ここで、本件補正後の請求項1が本件補正前の請求項1を補正したものだとすると、本件補正前の請求項1に「用紙に画像を印刷するプリンタ部」を有する特定を加える補正は、特許法第17条の2第5項第1号ないし第4号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しないが、本件補正後の請求項1の「プリンタ部」は本件補正前の請求項9の「印刷部」に対応するものと認められることを踏まえると、「用紙に画像を印刷するプリンタ部」を有する特定が加えられた本件補正後の請求項1は、「用紙に画像を印刷する印刷部をさらに備える」との特定がなされている本件補正前の請求項9を補正するものであると認められる。

そして、本件補正は、以下のア〜ウの補正事項を含むものである。

ア 本件補正前の請求項9の発明特定事項である「電源制御手段」について、「前記情報処理装置を、前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する」とされていたものを、本件補正後の請求項1においては、「前記情報処理装置を、前記プリンタ部への電力供給が停止され且つ前記力率改善回路がオフである省電力状態から復帰させる復帰要求が入力されたことに従って、前記電力供給手段から負荷に電力が供給されるよう制御する」とし、本件補正前の請求項9においては、「電源制御手段」は「信号」が入力されたことに従って、「前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する」ものであったものを、本件補正後の請求項1においては、「電源制御手段」は「復帰要求」が入力されたことに従って、「前記電力供給手段から負荷に電力が供給されるよう制御する」ものとする補正(以下、「補正事項1」という)。

イ 本件補正前の請求項9の発明特定事項である「電源制御手段」について、「前記情報処理装置を、前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する」とされていたものを、本件補正後の請求項1においては、「前記情報処理装置を、前記プリンタ部への電力供給が停止され且つ前記力率改善回路がオフである省電力状態から復帰させる復帰要求が入力されたことに従って、前記電力供給手段から負荷に電力が供給されるよう制御する」とし、本件補正前の請求項9においては、「電源制御手段」が「電力が供給されるよう制御する」のが「前記所定の負荷」であったのに対し、本件補正後の請求項1においては、「電源制御手段」が「電力が供給されるよう制御する」のが「負荷」であるとする補正(以下、「補正事項2」という)。

ウ 本件補正前の請求項9の発明特定事項である「電源制御手段」について、「前記電源制御手段は、前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因に基づいて前記力率改善回路をオンにするかどうかを決定する」としていたものを、本件補正後の請求項1においては、「前記電源制御手段は、前記省電力状態の前記情報処理装置を前記プリンタ部への電力供給が必要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合、前記力率改善回路をオンにし、前記省電力状態の前記情報処理装置を前記プリンタ部への電力供給が不要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合、前記力率改善回路をオンしない」とする補正(以下、「補正事項3」という)。

2 本件補正の適否について
(1)補正目的について
ア 補正事項1について
特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明瞭でない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
そこで、補正事項1について、以下、検討する。
補正事項1は、本件補正前の請求項9においては、「電源制御手段」は「信号」が入力されたことに従って、「前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する」ものを、本件補正後の請求項1においては、「電源制御手段」は「復帰要求」が入力されたことに従って、「前記電力供給手段から負荷に電力が供給されるよう制御する」ものとするものであり、「復帰要求」は、「信号」ではないものを含むものであるから、補正事項1は、本件補正前の請求項9において特定されている発明特定事項をさらに特定するものには該当せず、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、補正事項1が、同項第1、3、4の各号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しないことは明らかである。

イ 補正事項2について
本件補正前の請求項9においては、「電源制御手段」が「電力が供給されるよう制御する」「前記所定の負荷」は、「所定の負荷」に「前記」が付されていることから、その前に記載されている「オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の所定の負荷に電力を供給する電力供給手段と、前記情報処理装置を、前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、」との記載における「所定の負荷」と一致するものであったが、補正事項2によって、「所定の」との記載がなくなったことにより、本件補正後の請求項1に係る発明は、「電源制御手段」が「電力が供給されるよう制御する」「負荷」が、その前に記載されている「オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の前記プリンタ部に電力を供給する電力供給手段と、前記情報処理装置を、前記プリンタ部への電力供給が停止され且つ前記力率改善回路がオフである省電力状態から復帰させる復帰要求が入力されたことに従って、」との記載における「プリンタ部」(「所定の負荷」に対応)と一致しないもの含むものとなった。
してみると、補正事項2は、本件補正前の請求項9において特定されている発明特定事項をさらに特定するものには該当せず、補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、補正事項2が、同項第1、3、4の各号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しないことは明らかである。

ウ 小括
よって、補正事項1及び補正事項2を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではない。

(2)新規事項追加について
ア 補正事項3について
まず、本件補正前の請求項1及び請求項9は
「【請求項1】
情報処理装置であって、
オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の所定の負荷に電力を供給する電力供給手段と、
前記情報処理装置を、前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する電源制御手段と、を有し、
前記電源制御手段は、前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因に基づいて前記力率改善回路をオンにするかどうかを決定する、ことを特徴とする情報処理装置。」
「【請求項9】
用紙に画像を印刷する印刷部をさらに備える、ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の情報処理装置。」
となっており、本件補正前の請求項9に係る発明は、「用紙に画像を印刷する印刷部をさらに備える」ものである。
してみると、本件補正前の請求項9に係る発明は、「用紙に画像を印刷する印刷部」を「さらに」備えるものであるから、「用紙に画像を印刷する印刷部」以外に、「力率改善回路」をオンする必要がある部材(例えば「スキャナ部」や「ファックス部」などの大きな電力を必要とする部材)を有しており、本件補正前の請求項9に係る発明は「力率改善回路」をオンする必要がある部材(例えば「スキャナ部」や「ファックス部」などの大きな電力を必要とする部材)に加え、「用紙に画像を印刷する印刷部」を有するものであるといえる。
そして、本件補正後の請求項1は本件補正前の請求項9を補正したものと認められることから、本件補正後の請求項1に係る発明も、「力率改善回路」をオンする必要がある部材(例えば「スキャナ部」や「ファックス部」などの大きな電力を必要とする部材)に加え、「用紙に画像を印刷するプリンタ部」を有しているものと認められる。
また、補正事項3により、本件補正後の請求項1に係る発明は、「前記電源制御手段は、前記省電力状態の前記情報処理装置を前記プリンタ部への電力供給が必要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合、前記力率改善回路をオンにし、前記省電力状態の前記情報処理装置を前記プリンタ部への電力供給が不要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合、前記力率改善回路をオンしない」ものとなったため、本件補正後の請求項1に係る発明は、「プリンタ部への電力供給」が「必要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合」か「不要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合」かにより、「力率改善回路」を「オン」するかしないかが決定されるものであると認められる。
そうすると、本件補正後の請求項1に係る発明は、「力率改善回路」をオンする必要がある部材(例えば「スキャナ部」や「ファックス部」などの大きな電力を必要とする部材)に加え、「用紙に画像を印刷するプリンタ部」を有しており、かつ、「プリンタ部への電力供給」が「必要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合」か「不要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合」かにより、「力率改善回路」を「オン」するかしないかが決定されるものであると認められる。
一方、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア) 「【0038】
続いて、実施例1におけるPFC部207の制御方法について説明する。 本実施例において、PFC制御信号209は、基本的な制御として通常モード502においてはオン、省電力モード503においてはPFC部207のロスを減らすためにオフ制御とする。
【0039】
しかし、ネットワーク103を経由して外部から複合機101へのステータス問い合わせ等で装置を省電力モード503から通常モード502に復帰させるような場合には、大きく電力を消費するスキャナ部106、プリンタ部107、及びファクス部108には給電せずに、コントローラ部104の一部に通電させて応答を行う。つまり、省電力状態で何らかの復帰要因が入力された場合、電源制御部201は、復帰要因に応じてスイッチ203、スイッチ204、スイッチ205、スイッチ308の制御、及びPFC制御信号209を復帰要因に応じて制御する。
【0040】
このように、複合機101では、復帰要因によって、装置が遷移する電力状態を想定してPFC制御信号209をオフしたままで省電力の状態を継続可能とすることで、より効果的な電力制御を可能としている。
【0041】
なお、PFC制御信号209を変化させてから電源ユニット202が定格電力を出力できるまでには、予め規定された遅延時間が必要となる。そのため、PFC制御信号209を変化させる場合には各種スイッチの遅延制御も必要となる。 表1に、復帰要因毎のPFC制御信号209の制御テーブル(復帰要因毎のPFC制御テーブル)を例示する。
【0042】
【表1】


【0043】
前述のようにPFC制御信号209のオン/オフ制御は、PFC部207をオフした場合に許容される電力値(例えば定格電力値1000Wに対して20W程度)を閾値として、復帰要因によって想定される電力値が、それ以下であればPFC部207をオフしたままで省電力状態を維持し、それ以上であればPFC部207をオンする制御を行う。本実施例によると、例えば、復帰要因がネットワーク問い合わせによる復帰のようにコントローラ部104のみに通電して応答可能な場合にはPFCをオフしたままで応答し、ネットワークプリントジョブのように大きな電力を必要とするプリンタ部107等に通電が必要となる場合にはPFCをオンする必要がある。」

(イ) 「【0049】
S704において、電源制御部201は、表1の復帰要因テーブルに応じてPFC部207をオンする要因か否かを判断する。そして、PFC部207をオンする要因であると判断した場合(S704でYesの場合)、電源制御部201は、S705に処理を遷移させる。
【0050】
S705において、電源制御部201は、でPFC制御信号209をオンする。 次に、S706において、電源制御部201は、PFC部207をオンにしてから電源ユニット202で規定された遅延時間の経過後に、スイッチ308をオンして、CPU301を起動させる。ここで、「規定された遅延時間」は、電源ユニットによって異なるが、一般的には数100ms程度である。また、遅延時間を付加する方法は、スイッチ308の制御信号を電源制御部201内の遅延回路を通して遅らせる方法や内部タイマーを用いる方法などのいずれでも構わないものとする。
【0051】
次に、S707において、電源制御部201は、復帰要因に応じて該当するスイッチをオンする。例えば、ネットワークプリントジョブであればスイッチ204をオンしてプリンタ部107を起動させる。S707の処理の後、電源制御部201は、本フローチャートの処理を終了する。
【0052】
また、上記S703において、PFC制御状態がオンであると判断した場合(S703でYesの場合)、電源制御部201は、S709に処理を遷移させる。 また、上記S704において、PFCをオンする要因でないと判断した場合(S704でNoの場合)も、電源制御部201は、S709に処理を遷移させる。
【0053】
S709において、電源制御部201は、スイッチ308をオンする。この場合、PFC制御信号209に変化がないため、「電源ユニット202で規定された遅延時間」を待たずに即座にスイッチ308をオンさせることが可能である。S709の処理の後、電源制御部201は、本フローチャートの処理を終了する。」

(ウ) 「【図7】


このように、審判請求人が審判請求書において補正の根拠としている当初明細書等の段落【0049】〜【0053】、図7を含め、当初明細書等の段落【0038】〜【0043】、【0049】〜【0053】、図7の記載からは、「PFC部207をオフした場合に許容される電力値(例えば定格電力値1000Wに対して20W程度)を閾値として、復帰要因によって想定される電力値が、それ以下であればPFC部207をオフしたままで省電力状態を維持し、それ以上であればPFC部207をオンする制御」するものは記載されていると認められるが、「力率改善回路」をオンする必要がある部材(例えば「スキャナ部」や「ファックス部」などの大きな電力を必要とする部材)に加え、「用紙に画像を印刷するプリンタ部」を有しているにも関わらず、「プリンタ部への電力供給」が「必要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合」か「不要な状態に復帰させる復帰要因が入力された場合」かにより、「力率改善回路」を「オン」するかしないかが決定される構成は記載されていない。
さらに、当初明細書等のその他の箇所を参酌しても、上記構成は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等及び出願日時点での技術常識からみてもから自明な事項でもなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

イ 小括
よって、補正事項3を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定を満たすものではない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、また、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和2年12月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
情報処理装置であって、
オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の所定の負荷に電力を供給する電力供給手段と、
前記情報処理装置を、前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する電源制御手段と、を有し、
前記電源制御手段は、前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因に基づいて前記力率改善回路をオンにするかどうかを決定する、ことを特徴とする情報処理装置。」(以下、「本願発明」という。)

2 原査定の拒絶の理由
原査定の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用例1.特開2007−90832号公報

3 引用例
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由において引用された特開2007−90832号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が示されている。

ア 「【0001】
本発明は拡張装置を装着でき省電力モードを有する印刷装置において、より一層の省電力化を促進するための拡張装置および印刷装置に関する。」

イ 「【0006】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、拡張装置の電力負荷により電源部の力率改善回路のスイッチング動作の動作あるいは停止を行い、無駄な電力の消費をなくして、印刷装置のより一層の省電力化を促進でき、また、複数の電源を用意する事がないので安価に構成できる省電力モードを有する拡張装置および印刷装置を提供することを目的とする。」

ウ 「【0022】
プリンタ3は、ヘッド駆動機構や用紙供給・搬送機構等の印刷(記録)に必要な機構からなるエンジン13と、ホスト1からの印刷データを処理してプリントエンジンを制御するコントローラ15とを備える。コントローラ15は、一般のプリンタのそれと同様に、ホスト1と通信するためのホストI/F17、ホスト1から受信した印刷データを処理するためのCPU19、CPU19の動作に最低限必要なプログラムを搭載したROM21、CPU19の動作プログラムと拡張スロットに挿入された拡張ボードの動作プログラムが記憶されているフラッシュROM33、主記憶やワークエリアや受信バッファやページメモリや印刷バッファ等として利用されるRAM23、RAM23はCPU19の命令でセルフリフレッシュ状態になり、電力の消費を抑えられる。さらに、設定されているプリンタ3の現在のステータスを保持するためのEEPROM25、フォントデータを保持したキャラクタジェネレータ(以下、CGという)27、エンジン13との通信のためのエンジンインタフェース29、後述する省電力モードを備えた電源24、及び拡張ボード30を格納するための拡張スロット31等を備えている。CPU19は、Halt状態を作り出せ動作を止める事で省電力モードに移行することができる。
【0023】
ホストI/F17は、省電力モード時にデータを検出するとCPU19に割り込み信号を生成する機能を有する。拡張スロット31には拡張ボード30と通信することによりデータを送受信し拡張ボードの機能を実現する機能と省電力モード時にデータを検出するとCPU19に割り込み信号を生成する機能を有する。CPU19はプリンタ3を後述する方法により省電力モード1、2、印刷モードやスタンバイモードに移行させることができる。また、電源24はプリンタ3内の各素子に対して電力を供給するがCPU19の命令により省電力モードや動作モードに移行することができる。」

エ 「【0025】
電源24は、電源プラグ241を介して得た交流電源を全波整流回路242に介して直流電源へと変換し、さらに力率改善回路243を介して、スイッチングレギュレータ回路244にて所望の電圧に変換して、プリンタ3各部に電力を供給する。246は力率改善回路制御部である。これらの図は模式的に示したに過ぎず、これに限るものではなく、同様の効果の得られるのもでもよい。力率改善回路243は、アクティブフィルタで構成されて、スイッチング回路としてFET245を備えている。このFETは不図示のフィードバック制御回路によってフィードバック制御され、高周波の発生を抑制する。
【0026】
力率改善回路243の動作または動作停止の制御について説明する。力率改善制御部246はプリンタ3の動作モード状態(印刷およびスタンバイ状態を示す)ではFET245をスイッチング制御し、力率改善回路243を動作状態に設定する。これに対し、省電力モード状態では、FET245のスイッチング制御を停止する。具体的には、FET245のゲートに印加するスイッチング制御信号の発生を停止し、FET245をオフ状態に維持する。これにより、力率改善回路243は動作停止状態になり、同力率改善回路243で消費される電力が減少する。力率改善回路制御部246への指示は、CPU19によって行われる。力率改善回路制御部246は、CPU19より力率改善回路243の停止命令を受けると一定時間保持した後FET245のスイッチング制御を停止する様に制御する。この一定時間は、エンジン13、コントローラ15が省電力モードに移行するのに必要な時間である。」

オ 「【0040】
プリンタ3が省電力モード状態2で印刷データを検出する、すなわち、ネットワークコントローラ46で拡張ホストインターフェース45を通して省電力モード2状態の時に印刷データを受信すると出力されるPME信号47によりCPU19に印刷データを受信したことを検出すると(ステップS21)、前述のCPU19内の不図示の内部レジスタに記憶された力率改善回路243は不要または必要であることを示すデータを読み出し、省電力モード2の状態になる前の力率改善回路243の状態を判断する(ステップS22)。力率改善回路243が必要であった場合は、前述の方法により力率改善回路制御部246に制御信号を送り、力率改善回路243を動作状態にし(ステップS23)、力率改善回路243が不要であった場合は、そのままプリンタ3を印刷モード状態に移行させる(ステップS24)。」

カ 「【0042】
本実施の形態では、印字データを受信すると直に印刷を始めることのできるスタンバイモード、印字中のモード印字モード、エンジン部13の電源を遮断してスタンバイモードのときの消費電力に比べ低い電力を消費する省電力モード2、電源のプラグがACに接続されているだけのオフモードがある。スタンバイモードには、力率改善回路243が動作状態であるスタンバイAと、力率改善回路243が停止状態の省電力モード1がある。印刷動作が終了してから、スタンバイモードの状態で時間t1を計時すると省電力モード2へ移行させる。時間t1は、本実施例では前述のように15分である。省電力モード状態2では、エンジン部13の電源を切り、消費電力は軽減される。この時、印刷データを検出するとCPU19はエンジン部13に電力を供給し、印刷モードに移行する。印刷終了後は、前述同様に時間t1の経過を待つ。オフモードは、不図示の電源スイッチの押下を検出すると行われる。」

キ 上記アないしカから、引用文献1には以下に示す発明が記載されていると認められる。
「プリンタ3であって、
省電力モード2を備えた電源24を備え、
電源24は、力率改善回路243を介して、エンジン部13を含めたプリンタ3各部に電力を供給し、
省電力モード2では、エンジン部13の電源を切り、消費電力は軽減され、
CPU19は、省電力モード2において、印刷データを検出するとエンジン部13に電力を供給し、印刷モードに移行し、
力率改善制御部246はプリンタ3の動作モード状態ではFET245をスイッチング制御し、力率改善回路243を動作状態に設定し、省電力モード状態では、FET245のスイッチング制御を停止し、FET245をオフ状態に維持することで、力率改善回路243は動作停止状態になり、同力率改善回路243で消費される電力を減少させ、
力率改善回路制御部246への指示は、CPU19によって行われ、
プリンタ3が省電力モード状態2で印刷データを検出する、すなわち、ネットワークコントローラ46で拡張ホストインターフェース45を通して省電力モード2状態の時に印刷データを受信すると出力されるPME信号47によりCPU19に印刷データを受信したことを検出すると、CPU19内の内部レジスタに記憶された力率改善回路243は不要または必要であることを示すデータを読み出し、省電力モード2の状態になる前の力率改善回路243の状態を判断し、力率改善回路243が必要であった場合は、力率改善回路制御部246に制御信号を送り、力率改善回路243を動作状態にし、力率改善回路243が不要であった場合は、そのままプリンタ3を印刷モード状態に移行させる、
プリンタ3。」(以下、「引用発明1」という。)

(2)対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 後者の「プリンタ3」、「電源24」、「省電力モード2」は、それぞれ前者の「情報処理装置」、「電力供給手段」、「省電力状態」に、それぞれ相当する。

イ 後者は、「力率改善回路243」に関し、「力率改善制御部246はプリンタ3の動作モード状態ではFET245をスイッチング制御し、力率改善回路243を動作状態に設定し、省電力モード状態では、FET245のスイッチング制御を停止し、FET245をオフ状態に維持することで、力率改善回路243は動作停止状態になり、同力率改善回路243で消費される電力を減少させ」るものであるから、後者の「力率改善回路243」は、前者の「オンオフ可能な力率改善回路」に相当する。

ウ 後者の「CPU19」は、「省電力モード2において、印刷データを検出するとエンジン部13に電力を供給し、印刷モードに移行」するものであり、後者の「印刷データ」及び「エンジン部13」は、それぞれ前者の「前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号」及び「所定の負荷」に相当することを踏まえると、後者の「CPU19」は、前者の「前記情報処理装置を、前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する電源制御手段」に相当する。

エ 後者は、「力率改善回路制御部246への指示は、CPU19によって行われ、プリンタ3が省電力モード状態2で印刷データを検出する、すなわち、ネットワークコントローラ46で拡張ホストインターフェース45を通して省電力モード2状態の時に印刷データを受信すると出力されるPME信号47によりCPU19に印刷データを受信したことを検出すると、CPU19内の内部レジスタに記憶された力率改善回路243は不要または必要であることを示すデータを読み出し、省電力モード2の状態になる前の力率改善回路243の状態を判断し、力率改善回路243が必要であった場合は、力率改善回路制御部246に制御信号を送り、力率改善回路243を動作状態にし、力率改善回路243が不要であった場合は、そのままプリンタ3を印刷モード状態に移行させる」ものであり、後者の「印刷データの受信」は、前者の「前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因」に相当し、後者の「CPU19内の内部レジスタに記憶された力率改善回路243は不要または必要であることを示すデータを読み出し、省電力モード2の状態になる前の力率改善回路243の状態を判断し、力率改善回路243が必要であった場合は、力率改善回路制御部246に制御信号を送り、力率改善回路243を動作状態にし、力率改善回路243が不要であった場合は、そのままプリンタ3を印刷モード状態に移行させる」という動作は、「力率改善回路243」を「オンにするかどうかを決定する」動作であるといえる。
そして、後者の「CPU19」は、「印刷データを受信」に起因して、「CPU19内の内部レジスタに記憶された力率改善回路243は不要または必要であることを示すデータを読み出し、省電力モード2の状態になる前の力率改善回路243の状態を判断し、力率改善回路243が必要であった場合は、力率改善回路制御部246に制御信号を送り、力率改善回路243を動作状態にし、力率改善回路243が不要であった場合は、そのままプリンタ3を印刷モード状態に移行させる」という動作を行っていると認められることから、後者において「CPU19」が、「プリンタ3が省電力モード状態2で印刷データを検出する、すなわち、ネットワークコントローラ46で拡張ホストインターフェース45を通して省電力モード2状態の時に印刷データを受信すると出力されるPME信号47によりCPU19に印刷データを受信したことを検出すると、CPU19内の内部レジスタに記憶された力率改善回路243は不要または必要であることを示すデータを読み出し、省電力モード2の状態になる前の力率改善回路243の状態を判断し、力率改善回路243が必要であった場合は、力率改善回路制御部246に制御信号を送り、力率改善回路243を動作状態にし、力率改善回路243が不要であった場合は、そのままプリンタ3を印刷モード状態に移行させる」ことは、前者において「電源制御手段」が、「前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因に基づいて前記力率改善回路をオンにするかどうかを決定する」ことに相当する。

オ したがって、本願発明と引用発明1とは、
「情報処理装置であって、
オンオフ可能な力率改善回路を有し、前記情報処理装置の所定の負荷に電力を供給する電力供給手段と、
前記情報処理装置を、前記所定の負荷への電力供給が停止されている省電力状態から復帰させる信号が入力されたことに従って、前記電力供給手段から前記所定の負荷に電力が供給されるよう制御する電源制御手段と、を有し、
前記電源制御手段は、前記情報処理装置を前記省電力状態から復帰させる要因に基づいて前記力率改善回路をオンにするかどうかを決定する、ことを特徴とする情報処理装置。」
の点で一致し、本願発明の発明特定事項を、すべて引用発明1が備えているから、本願発明と、引用発明1とに差異はない。
したがって、本願発明は、引用発明1である。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-04-28 
結審通知日 2022-05-10 
審決日 2022-05-24 
出願番号 P2016-192607
審決分類 P 1 8・ 113- Z (B41J)
P 1 8・ 561- Z (B41J)
P 1 8・ 57- Z (B41J)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 藤本 義仁
特許庁審判官 佐々木 創太郎
吉村 尚
発明の名称 情報処理装置及び情報処理装置の制御方法  
代理人 特許業務法人ひのき国際特許事務所  
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