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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1386922
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-12 
確定日 2022-08-02 
事件の表示 特願2018−220802「サーバ装置、コンテンツ特定方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 6月 4日出願公開、特開2020− 86976、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年11月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年 8月 4日:手続補正書の提出
令和2年 9月25日:拒絶理由通知書(起案日)
令和2年11月27日:意見書、手続補正書の提出
令和3年 2月 3日:拒絶査定(原査定)(起案日)
令和3年 5月12日:審判請求書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年2月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1〜3に係る発明は、以下の引用文献1、2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2009−188922号公報
引用文献2:特開2012−95012号公報

第3 本願発明
本願請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明3」という。)は、令和2年11月27日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
クライアント装置の移動前後それぞれにおいて前記クライアント装置が接続先を検索することにより得られる通信ホスト装置の固有情報を受信する受信部と、
前記クライアント装置の状態に応じて前記クライアント装置に送信するコンテンツの識別情報を関連づけて記憶する記憶部と、
前記受信部が受信した移動前後それぞれにおいて取得した前記固有情報に基づき前記通信ホスト装置が形成するエリアを特定し、前記クライアント装置が移動前に第1の通信ホスト装置が形成する第1のエリアに入っている場合に、移動後に前記第1のエリアと1つまたは複数の第2の通信ホスト装置が形成する第2のエリアとの共通のエリアに入っている状態か否かを判断し、前記共通のエリアに入っている状態である場合に前記記憶部を参照して第1のコンテンツを特定し、前記共通のエリアに入っていない状態である場合に前記記憶部を参照して第2のコンテンツを特定する制御部と、
特定したコンテンツを前記クライアント装置に送信する送信部と、
を有することを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
コンピュータが、
クライアント装置の移動前後それぞれにおいて前記クライアント装置が接続先を検索することにより得られる通信ホスト装置の固有情報を受信し、
受信した移動前後それぞれにおいて取得した前記固有情報に基づき前記通信ホスト装置が形成するエリアを特定し、前記クライアント装置が移動前に第1の通信ホスト装置が形成する第1のエリアに入っている場合に、移動後に前記第1のエリアと1つまたは複数の第2の通信ホスト装置が形成する第2のエリアとの共通のエリアに入っている状態か否かを判断し、前記共通のエリアに入っている状態である場合に前記クライアント装置の状態に応じて前記クライアント装置に送信するコンテンツの識別情報を関連づけて記憶する記憶部を参照して第1のコンテンツを特定し、前記共通のエリアに入っていない状態である場合に前記記憶部を参照して第2のコンテンツを特定し、
特定したコンテンツを前記クライアント装置に送信する、
ことを特徴とするコンテンツ特定方法。
【請求項3】
コンピュータに、
クライアント装置の移動前後それぞれにおいて前記クライアント装置が接続先を検索することにより得られる通信ホスト装置の固有情報を受信し、
受信した移動前後それぞれにおいて取得した前記固有情報に基づき前記通信ホスト装置が形成するエリアを特定し、前記クライアント装置が移動前に第1の通信ホスト装置が形成する第1のエリアに入っている場合に、移動後に前記第1のエリアと1つまたは複数の第2の通信ホスト装置が形成する第2のエリアとの共通のエリアに入っている状態か否かを判断し、前記共通のエリアに入っている状態である場合に前記クライアント装置の状態に応じて前記クライアント装置に送信するコンテンツの識別情報を関連づけて記憶する記憶部を参照して第1のコンテンツを特定し、前記共通のエリアに入っていない状態である場合に前記記憶部を参照して第2のコンテンツを特定し、
特定したコンテンツを前記クライアント装置に送信する、
処理を実行させることを特徴とするプログラム。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2009−188922号公報)には、以下のとおりの記載がある。下線は、当審において付与した。
「【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、街中に配置された無線LANのアクセスポイント装置のSSIDを用いて、場所や利用者に応じて適切に広告を提供するのに好適な広告提供システム、広告提供方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。」
「【0009】
本発明の第1の観点に係る広告提供システムは、サーバ装置と、端末装置と、を有し、サーバ装置は、広告記憶部、履歴受信部、広告取得部、広告送信部を有し、端末装置は、検知部、履歴記憶部、履歴送信部、広告受信部、広告表示部を有し、以下のように構成する。
【0010】
まず、サーバ装置において、広告記憶部には、街中に配置された複数の無線LANのアクセスポイント装置のSSIDと、広告情報と、が対応付けて記憶される。
【0011】
当該アクセスポイント装置は、当該サーバ装置によって管理されるものでも良いが、必ずしもその必要はない。広告情報は、当該アクセスポイントが設置される場所の近傍で提示されると、特に有用と考えられる広告を表すものである。すなわち、本広告提供システムでは、アクセスポイント装置の設置場所を広告出稿の単位とする。
【0012】
一方、端末装置において、検知部は、当該街中に配置された無線LANのアクセスポイント装置のSSIDを検知し、履歴記憶部には、検知されたSSIDの履歴が記憶され、履歴送信部は、記憶されたSSIDの履歴をサーバ装置に送信する。
【0013】
ユーザが使用する端末装置は、無線LANアクセス機能を有するものであるが、街中に配置されるアクセスポイント装置を介したインターネット接続を可能とする契約がなされていなくとも良い。当該SSIDは、アクセスポイントからの電波ビーコンによって端末装置に通知されるものだからである。
【0014】
端末装置は、街中に配置されている、自身が必ずしも利用可能とは限らないアクセスポイント装置のSSIDの履歴を記憶しておく。
【0015】
そして、当該履歴は、所定のタイミング、たとえば、自身が利用可能な無線LANアクセスポイント装置の近傍でインターネット接続が可能となったときや、有線LANに接続されたときや、これらの条件が満たされた上で、ユーザの指示があった場合に、サーバ装置に送信される。このため、ユーザの位置がリアルタイムでサーバに把握されることはなく、また、典型的にはユーザの自発的な意思に基づいて広告が取得されるため、プライバシー上の問題は生じないと考えられる。
【0016】
一方、サーバ装置において、履歴受信部は、端末装置から送信されたSSIDの履歴を受信し、広告取得部は、広告記憶部を参照して、受信された履歴に含まれるSSIDに対応付けて広告記憶部に記憶された広告情報を取得し、広告送信部は、取得された広告情報を端末装置に送信する。
【0017】
サーバ装置では、SSIDに対応付けられた広告、すなわち、当該アクセスポイント装置が配置されている場所に紐付けされた広告をユーザに送信する。広告主は、場所に対応付けて広告を出しているため、このような広告配信の手法をとることで、より広告効果を高めることができると考えられる。
【0018】
さらに、端末装置において、広告受信部は、サーバ装置から送信された広告情報を受信し、広告表示部は、受信された広告情報を表示する。」
「【0039】
また、本発明の広告提供システムにおいて、広告記憶部は、当該複数のアクセスポイント装置のそれぞれについて、当該アクセスポイント装置のSSID(以下「通過SSID」という。)に、当該アクセスポイント装置が配置される場所の近傍に配置される1つまたは複数のアクセスポイント装置のSSID(以下「直前SSID」という。)を対応付けて、さらに記憶し、当該通過SSIDに対応付けられる広告情報には、当該直前SSIDのいずれか少なくとも1つがさらに対応付けられ、広告取得部は、受信された履歴に含まれるSSIDのそれぞれについて、当該SSIDおよび当該履歴において当該SSIDの直前に含まれるSSIDが、通過SSIDおよび直前SSIDとして、広告記憶部に記憶されている広告情報を取得するように構成することができる。
【0040】
上記発明においては、1つのSSIDについて1つの広告情報が対応付けられていたが、本発明においては、近傍に隣接しているアクセスポイント装置のSSIDの対に対して1つの広告情報が対応付けることも可能となる。
【0041】
ここで、「近傍」とは、物理的に近傍であることが望ましいが、時間的に近傍である場合や、SSIDが提供する広告の種類を考慮した上で近傍である場合等を含むものとしても良い。
【0042】
本発明によれば、端末装置が移動する方向によって、提供される広告が変化するため、たとえば、ショッピングモールから離れる場合と、ショッピングモールに近付く場合とで、異なる広告を提供することができるようになる。」
「【0049】
また、サーバ装置の管理下にないアクセスポイント装置のSSID単独のものに対しても、広告主の希望によっては、広告情報を割り当てることができる。広告主は、サーバ装置の管理下にあるアクセスポイント装置に隣接するアクセスポイント装置のSSID、その近傍にあるアクセスポイント装置のSSID、その近傍にある隣接するアクセスポイント装置のSSID、・・・、のように、通過SSIDと直前SSIDを順にたどることで、サーバ装置の管理下にないアクセスポイント装置のおおまかな場所を知ることができるからである。」
「【0098】
サーバ装置202は、広告記憶部301、履歴受信部302、広告取得部303、広告送信部304を備える。典型的には、出稿入力受付部305、サーバ設定部306、設定通知部307をさらに備える。
【0099】
まず、広告記憶部301は、街中に配置された複数の無線LANのアクセスポイント装置のSSIDに関する情報と、提供する広告情報とを対応付けて記憶する。
【0100】
一方、履歴受信部302は、端末装置205から送信されたSSIDの履歴を受信する。
【0101】
さらに、広告取得部303は、広告記憶部301を参照して、受信された履歴に含まれるSSIDに対応付けて広告記憶部301に記憶された広告情報を取得する。
【0102】
そして、広告送信部304は、取得された広告情報を端末装置205に送信する。」
「【0108】
(2)当該識別名を有するアクセスポイント装置203の近傍に配置される(と推定される)アクセスポイント装置203の識別名(直前SSID欄404)。通過SSIDと直前SSIDの組を広告出稿の単位とできることで、端末装置205の移動の方向に応じて、広告情報を提供することができる。
【0109】
なお、アクセスポイント装置203単独で広告情報を対応付けることも可能であり、この場合には、直前SSIDには、識別名が登録されない(長さ0の文字列が登録される)。」
「【0125】
端末装置205は、ユーザがこれを所持しながら移動すると、街中に設置されたアクセスポイント装置203が放出する電波ビーコンを受信して(501)、電波ビーコン内に指定されるSSIDの履歴を記録する。上述のように、当該受信(501)は、当該アクセスポイント装置203がサーバ装置202に管理されるか否か、ならびに、端末装置205のユーザが当該アクセスポイント装置203をインターネット接続に利用できるか否
か、を問わずに行うことが可能である。」
「【0130】
履歴を受信したサーバ装置202は、当該履歴に含まれるSSIDに対応付けられる広告情報を取得して、この広告情報を端末装置205へ送信する(503)。端末装置205は、送信された広告情報を画面に表示して、ユーザに提示する。
【0131】
ここで、履歴に含まれるSSIDに対応付けられる広告情報としては、以下のような態様が考えられる。
(a)SSID単独で対応付けられる広告情報。その場所に注目して出稿される広告である。
(b)履歴の中で隣り合う2つのSSIDの対に対応付けられる広告情報。ユーザの移動方向にも注目して出稿される広告である。
【0132】
いずれの場合の広告情報も、SSIDの種類に応じて、「スポット広告」「スポンサー広告」の場合がありうる。」
「【0140】
そして、入力を受け付けた情報を、サーバ装置202に送信する(ステップS654)。識別名は、単独で指定しても良いし、通過SSIDと直前SSIDに相応する2つの識別名を指定しても良い。また、スポット広告の場合には、識別名を指定しないこともありうる。
【0141】
サーバ装置202は、当該入力フォームにおいて入力された情報を受信し(ステップS603)、当該情報に基づいて、広告記憶部301を更新する(ステップS604)。この際に、サーバ装置202の管理下のアクセスポイント装置203の識別名については、上記の規則に基づいて、通過SSID(および直前SSID)が生成されて、登録される。」
「【0171】
履歴受信部302は、インターネット204を介して、端末装置205から、SSIDの履歴を受信する(ステップS972)。
【0172】
そして、受信された履歴を先頭から最後まで順に走査する(ステップS973〜)。すなわち、履歴中から現在注目しているSSIDを取得し(ステップS974)、表401中の行402のうち、当該注目SSIDが通過SSID(通過SSID欄403に格納されている。)であり、直前SSID(直前SSID欄404に格納されている。)が指定されていない行402を、表401から検索し(ステップS975)、得られた行402の広告情報(広告情報欄406に格納されている。)を取得して(ステップS976)、これを広告情報記憶領域に追加する(ステップS977)。
【0173】
つぎに、履歴中から現在注目しているSSIDの次のSSIDを取得して、表401中の行402のうち、当該注目SSIDが直前SSID(直前SSID欄404に格納されている。)であり、当該次のSSIDが通過SSID(通過SSID欄403に格納されている。)である行402を表401から検索し(ステップS978)、得られた行402の広告情報(広告情報欄406に格納されている。)を取得して(ステップS979)、これを広告情報記憶領域に追加する(ステップS981)。
【0174】
さらに、ステップS978の検索の際に、当該注目SSIDが直前SSID(直前SSID欄404に格納されている。)であり、当該次のSSIDが通過SSID(通過SSID欄403に格納されている。)である行402が発見できたか否かを調べ(ステップS982)、発見できなかった場合(ステップS982;No)、当該注目SSIDを直前SSID欄404に、当該次のSSIDを通過SSID欄403に、現在時刻に所定の有効期間を加算した日時を有効期限欄405に、スポット広告等の既定広告を広告情報欄406に、それぞれ指定した行402を、広告記憶部301の表401に追加する(ステップS983)。」

イ 引用文献1から把握できる事項
(ア) 【0007】、【0009】、【0098】の記載によると、引用文献1には、「街中に配置された無線LANのアクセスポイント装置のSSIDを用いて、場所や利用者に応じて適切に広告を端末装置に提供するのに好適な広告提供システムのサーバ装置であって、広告記憶部、履歴受信部、広告取得部、広告送信部を備えたサーバ装置。」が記載されている。
(イ) 【0010】、【0039】、【0040】、【0099】、図4の記載によると、上記(ア)の「広告記憶部」には、「通過SSIDと直前SSIDの対に対して広告情報が対応付けられて記憶され」る。
(ウ) 【0009】、【0012】、【0014】、【0015】、【0100】の記載によると、上記(ア)の「端末装置」は、「街中に配置された無線LANのアクセスポイント装置のSSIDを検知し、検知されたSSIDの履歴を履歴記憶部に記憶し、記憶されたSSIDの履歴をサーバ装置に送信」するものであり、上記(ア)の「履歴受信部」は、「端末装置から送信されたSSIDの履歴を受信する」。
(エ) 【0016】、【0039】、【0101】の記載によると、上記(ア)の「広告取得部」は、「受信された履歴に含まれるSSIDのそれぞれについて、当該SSIDおよび当該履歴において当該SSIDの直前に含まれるSSIDが、通過SSIDおよび直前SSIDとして、広告記憶部に記憶されている広告情報を取得する」。
(オ) 【0016】、【0102】の記載によると、上記(ア)の「広告送信部」は、「取得された広告情報を端末装置に送信する」。

ウ 引用発明
上記イより、引用文献1には、
「街中に配置された無線LANのアクセスポイント装置のSSIDを用いて、場所や利用者に応じて適切に広告を端末装置に提供するのに好適な広告提供システムのサーバ装置であって、
通過SSIDと直前SSIDの対に対して広告情報が対応付けられて記憶された広告記憶部と、
端末装置において、街中に配置された無線LANのアクセスポイント装置のSSIDを検知し、検知されたSSIDの履歴を履歴記憶部に記憶し、記憶されたSSIDの履歴が、端末装置から送信されると、送信されたSSIDの履歴を受信する履歴受信部と、
受信された履歴に含まれるSSIDのそれぞれについて、当該SSIDおよび当該履歴において当該SSIDの直前に含まれるSSIDが、通過SSIDおよび直前SSIDとして、広告記憶部に記憶されている広告情報を取得する広告取得部と、
取得された広告情報を端末装置に送信する広告送信部とを、
備えたサーバ装置。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2012−95012号公報)には、次のとおりの記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、無線配信装置、無線配信方法、および無線配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、無線端末が参加したアクセスポント(AP)によって無線端末の位置を管理するものがある。通常、無線端末(T)は、所定の無線通信エリア内に設置した複数のアクセスポントの内、受信電波強度が強いアクセスポントを選択後、同アクセスポントに参加し、上位の無線配信装置と通信を行う。そして、無線端末が参加したアクセスポントがカバーする無線通信エリアに同端末は存在するとして無線端末の位置を管理している。」
「【0005】
そこで、上述した問題を解決するため、本発明では、アクセスポントの設置数を増加させずに、無線端末の所在を短時間で探すことを可能とする無線配信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の一つの態様は、敷設したアクセスポイントの位置座標と電波出力強度の情報を管理する管理部と、無線端末が測定した参加アクセスポイントの電波受信強度の測定結果を収集する収集部と、前記測定結果に前記参加アクセスポイントと隣接する隣接アクセスポイントが含まれるか否かを判定する判定部と、前記隣接アクセスポイントが含まれない場合、前記参加アクセスポイントの近傍エリアを前記無線端末の存在エリアとして特定し、且つ、前記隣接アクセスポイントが含まれる場合、前記参加アクセスポイントの近傍エリアを除いて分割したエリアの内、最大の電波受信強度が得られたアクセスポイントに最も近いエリアを前記無線端末の存在エリアとして特定する存在エリア特定部と、を有することを特徴とする無線配信装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
上記本発明の一態様によれば、無線端末の参加アクセスポイントと同端末の無線送受信強度により、参加アクセスポイントの通信エリア内の存在領域を限定することが可能となるため、アクセスポイントの設置コストを増加させずに、スタッフ等が該当端末保持者や搭載装置等の所在を探す範囲を小さくでき、短時間での探索が行える環境を提供できる。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「端末装置」、「サーバ装置」、端末装置により検知される「無線LANのアクセスポイント装置のSSID」は、それぞれ、本願発明1の「クライアント装置」、「サーバ装置」、「接続先を検索することにより得られる通信ホスト装置の固有情報」に相当する。
そして、引用発明の検知したSSIDは、移動しながら履歴として履歴記憶部に記憶されるから、引用発明の「端末装置において、街中に配置された無線LANのアクセスポイント装置のSSIDを検知し、検知されたSSIDの履歴を履歴記憶部に記憶し、記憶されたSSIDの履歴が、端末装置から送信されると、送信されたSSIDの履歴を受信する履歴受信部」は、本願発明1の「クライアント装置の移動前後それぞれにおいて前記クライアント装置が接続先を検索することにより得られる通信ホスト装置の固有情報を受信する受信部」に相当する。
イ 引用発明の「広告情報」は本願発明1の「コンテンツ」に相当し、引用発明において、広告情報が識別情報で記憶されることは明らかであるから、引用発明の「通過SSIDと直前SSIDの対に対して広告情報が対応付けられて記憶された広告記憶部」は、本願発明1の「前記クライアント装置の状態に応じて前記クライアント装置に送信するコンテンツの識別情報を関連づけて記憶する記憶部」に相当する。
ウ 引用発明の「直前SSID」、「通過SSID」は、本願発明1の「移動前後それぞれにおいて取得した前記固有情報」に相当する。
そうすると、引用発明の「受信された履歴に含まれるSSIDのそれぞれについて、当該SSIDおよび当該履歴において当該SSIDの直前に含まれるSSIDが、通過SSIDおよび直前SSIDとして、広告記憶部に記憶されている広告情報を取得する広告取得部」と、本願発明1の「前記受信部が受信した移動前後それぞれにおいて取得した前記固有情報に基づき前記通信ホスト装置が形成するエリアを特定し、前記クライアント装置が移動前に第1の通信ホスト装置が形成する第1のエリアに入っている場合に、移動後に前記第1のエリアと1つまたは複数の第2の通信ホスト装置が形成する第2のエリアとの共通のエリアに入っている状態か否かを判断し、前記共通のエリアに入っている状態である場合に前記記憶部を参照して第1のコンテンツを特定し、前記共通のエリアに入っていない状態である場合に前記記憶部を参照して第2のコンテンツを特定する制御部」とは、「前記受信部が受信した移動前後それぞれにおいて取得した前記固有情報に基づき、前記記憶部を参照してコンテンツを特定する制御部」である点で共通する。
エ 引用発明の「取得された広告情報を端末装置に送信する広告送信部」は、本願発明1の「特定したコンテンツを前記クライアント装置に送信する送信部」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「 クライアント装置の移動前後それぞれにおいて前記クライアント装置が接続先を検索することにより得られる通信ホスト装置の固有情報を受信する受信部と、
前記クライアント装置の状態に応じて前記クライアント装置に送信するコンテンツの識別情報を関連づけて記憶する記憶部と、
前記受信部が受信した移動前後それぞれにおいて取得した前記固有情報に基づき、前記記憶部を参照してコンテンツを特定する制御部と、
特定したコンテンツを前記クライアント装置に送信する送信部と、
を有することを特徴とするサーバ装置。」
(相違点)
制御部によるコンテンツの特定が、本願発明1では、「前記通信ホスト装置が形成するエリアを特定し、前記クライアント装置が移動前に第1の通信ホスト装置が形成する第1のエリアに入っている場合に、移動後に前記第1のエリアと1つまたは複数の第2の通信ホスト装置が形成する第2のエリアとの共通のエリアに入っている状態か否かを判断し、前記共通のエリアに入っている状態である場合に前記記憶部を参照して第1のコンテンツを特定し、前記共通のエリアに入っていない状態である場合に前記記憶部を参照して第2のコンテンツを特定する」のに対し、引用発明では、移動前後の固有情報に基づいてコンテンツを特定するものであり、共通のエリアに入っている状態か否かの判断によりコンテンツを特定するものではない点。

(2)相違点についての判断
引用文献2には、「前記測定結果に前記参加アクセスポイントと隣接する隣接アクセスポイントが含まれるか否かを判定する」ことにより、移動端末の所在を確定することは記載されているが、コンテンツを特定するものではないから、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用したとしても、相違点に係る構成は得られないし、相違点に係る構成が本願出願時において周知技術であったともいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1に対応する「コンテンツ特定方法」の発明であり、本願発明1の上記相違点に係る構成に対応する構成を有するから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明3について
本願発明3は、本願発明1に対応する「プログラム」の発明であり、本願発明1の上記相違点に係る構成に対応する構成を有するから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1〜3は、当業者が、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-07-20 
出願番号 P2018-220802
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 高瀬 勤
古川 哲也
発明の名称 サーバ装置、コンテンツ特定方法およびプログラム  
代理人 井上 真一郎  
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