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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H03H
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H03H
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H03H
管理番号 1386924
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-14 
確定日 2022-04-07 
事件の表示 特願2019−557990「共振子、及び共振装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月13日国際公開、WO2019/111439、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成30年7月27日(パリ条約による優先権主張 2017年12月8日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和 2年 4月23日 手続補正書、上申書の提出
令和 2年10月30日付け 拒絶理由通知
令和 2年12月24日 意見書、手続補正書の提出
令和 3年 2月12日付け 拒絶査定
令和 3年 5月14日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年12月13日付け 拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)通知
令和 4年 1月 7日 意見書、手続補正書の提出


第2 原査定の概要

原査定(令和3年2月12日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

●理由1(新規性)について
・請求項:1−4、6−8、11−13
・引用文献等:2

●理由2(進歩性)について
・請求項:1−4、6−8、11−13
・引用文献等:2

・請求項:9−10
・引用文献等:2、3

●理由3(明確性)について
・請求項:6−10

請求項6−10に係る発明は、明確でない。

<引用文献等一覧>
1.国際公開第2013/114857号
2.国際公開第2017/203741号
3.特開2015−41785号公報

(当審注)
なお、原査定の<引用文献等一覧>には、「1.国際公開第2013/114857号」の文献が示されているが、当該文献は原査定の理由には用いられていない。


第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由(令和3年12月13日付け拒絶理由)の概要は、次のとおりである。

1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

●理由1(明確性)について

請求項6−10に係る発明は、明確でない。


第4 本願発明

本願請求項1−13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明13」という。)は、令和4年1月7日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−13に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された複数の振動領域であって、各振動領域が、前記絶縁膜上に形成された下部電極、前記下部電極上に形成された圧電膜、及び、前記圧電膜上に形成された上部電極を有し、少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動するように、前記絶縁膜上に形成された複数の前記下部電極のうち、少なくとも1つの前記下部電極が他の前記下部電極とは異なる電位となる、複数の振動領域と、
前記基板、前記絶縁膜、前記複数の振動領域を有する共振子を封止するパッケージであって、前記基板を接地させる接地用端子を有する、パッケージと、
を備え、
前記上部電極および前記下部電極の各々は、接地させるための接地用端子と接続されていない、
共振装置。
【請求項2】
前記基板は、半導体基板である、請求項1に記載の共振装置。
【請求項3】
前記基板は、
絶縁体又は半導体からなる第1層と、当該第1層と前記絶縁膜の間に形成された導電体からなる第2層とを有し、
前記接地用端子は、前記第2層を接地させる、
請求項1に記載の共振装置。
【請求項4】
前記パッケージは、
前記基板に対向して設けられた下蓋と、
前記上部電極に対向して設けられた上蓋と、
を備える、請求項1乃至3の何れか一項に記載の共振装置。
【請求項5】
前記共振子は、
固定端と開放端とを有し屈曲振動する2本以上の振動腕、並びに、前記振動腕の固定端に接続される前端及び当該前端に対向する後端を有する基部、
を有し、
前記2本以上の振動腕は、前記複数の振動領域である、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の共振装置。
【請求項6】
前記共振子は、
前記圧電膜が当該圧電膜に印加された電圧に応じて輪郭振動を行うように構成され、
前記複数の振動領域はそれぞれ、前記複数の振動領域が形成されている振動部の短辺に平行な長辺と、前記圧電膜の輪郭振動の半波長に相当する短辺とを有する矩形の形状である、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の共振装置。
【請求項7】
前記絶縁膜は、
前記基板より導電率の低い膜である、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の共振装置。
【請求項8】
前記絶縁膜は、
窒化シリコン、窒化アルミニウム、二酸化ケイ素、ダイヤモンド、及びサファイアのいずれかから成る、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の共振装置。
【請求項9】
前記絶縁膜は、
熱伝導率が20W/mk以上の高熱伝導率の材料から成る層を含む、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の共振装置。
【請求項10】
前記高熱伝導率の材料は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ダイヤモンド、及びサファイアの何れかからなる、
請求項9に記載の共振装置。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された複数の振動領域であって、各振動領域が、前記絶縁膜上に形成された下部電極、前記下部電極上に形成された圧電膜、及び、前記圧電膜上に形成された上部電極を有し、少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動するように、前記絶縁膜上に形成された複数の前記下部電極のうち、少なくとも1つの前記下部電極が他の前記下部電極とは異なる電位となる、複数の振動領域と、
を備え、
前記基板は、
接地させるための接地用端子と接続されるよう構成され、
前記上部電極および前記下部電極の各々は、接地させるための接地用端子と接続されていない、
共振子。
【請求項12】
前記基板は、半導体からなる請求項11に記載の共振子。
【請求項13】
前記基板は、
絶縁体又は半導体からなる第1層と、当該第1層と前記絶縁膜の間に形成された導電体からなる第2層とを有し、
前記接地用端子は、前記第2層を接地させる、
請求項11に記載の共振子。」


第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献2(国際公開第2017/203741号)について

原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2017/203741号(以下、「引用文献2」という。下線は、当審において付与した。)には、次の事項が記載されている。

(ア)「[0006] 本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、共振子において、2次以上のTCFを低減することを目的とする。」

(イ)「[0010] [第1実施形態]
以下、添付の図面を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る共振装置1の外観を概略的に示す斜視図である。また、図2は、本発明の第1実施形態に係る共振装置1の構造を概略的に示す分解斜視図である。
[0011] この共振装置1は、共振子10と、共振子10を挟んで設けられた上蓋30及び下蓋20と、を備えている。すなわち、共振装置1は、下蓋20と、共振子10と、上蓋30とがこの順で積層されて構成されている。
[0012] また、共振子10と下蓋20及び上蓋30とが接合され、これにより、共振子10が封止され、また、共振子10の振動空間が形成される。共振子10、下蓋20及び上蓋30は、それぞれSi基板を用いて形成されている。そして、共振子10、下蓋20及び上蓋30は、Si基板同士が互いに接合されて、互いに接合される。共振子10及び下蓋20は、SOI基板を用いて形成されてもよい。」

(ウ)「[0021] (b)保持部140
保持部140は、XY平面に沿って矩形の枠状に形成される。保持部140は、平面視において、XY平面に沿って振動部120の外側を囲むように設けられる。なお、保持部140は、振動部120の周囲の少なくとも一部に設けられていればよく、枠状の形状に限定されない。例えば、保持部140は、振動部120を保持し、また、上蓋30及び下蓋20と接合できる程度に、振動部120の周囲に設けられていればよい。
[0022] 本実施形態においては、保持部140は枠体140a、140b、140c、140dからなる。なお、図2に示すように、枠体140a〜140cは、一体形成される角柱形状を有している。枠体140a、140bは、図3に示すようにX軸方向に平行に、振動部120の長辺に対向して延びている。また、枠体140c、140dは、振動部120の短辺に対向してY軸方向に平行に延び、その両端で枠体140a、140bの両端にそれぞれ接続される。」

(エ)「[0027] 本実施形態に係る共振子10では、保持部140、振動部120、保持腕110は、同一プロセスで一体的に形成される。図4(A)、(B)に示すように、共振子10では、まず、Si(シリコン)基板F2(基板の一例である。)の上に、下部電極E1が積層されている。そして、下部電極E1の上には、下部電極E1を覆うように圧電薄膜F3(圧電体の一例である。)が積層されており、さらに、圧電薄膜F3の上には、上部電極E2が積層されている。」

(オ)「[0029] さらにSi基板F2の下面には酸化ケイ素(例えばSiO2)から成る温度特性補正層F1が形成されている。これにより、温度特性を向上させることが可能になる。」

(カ)「[0077] (2.保持部140)
本実施形態では、保持部140は、枠体140aと枠体140bとにおいて、保持腕110に接続されている。さらに保持部140は、本実施形態では、枠体140aと枠体140bとにおいて、端子V3、V4を備えている。」

(キ)「[0083] 図15(A)、(B)に示す通り、第1実施形態における上部電極E2に対応する構成は、本実施形態において、圧電薄膜F3上に積層された後、上部電極E22〜E24、及びバスバーB1、B2となるように、エッチング等によって加工されている。
[0084] さらに、図15(A)に示すとおり、振動部120は、上部電極E21〜E24に対応する振動領域122a〜122dに区画される。すなわち、振動領域122a〜122dには、それぞれ上部電極E21〜E24が形成されている。上部電極E21〜E24は、隣接する電極とは逆位相となるように、圧電薄膜F3のc軸方向に交番電界が印加されると、隣接する振動領域122a〜122dが機械的に結合する。それにより、各領域のX軸方向における中心付近が振動の節(ノードライン)となり、4つの振動領域122a〜122dは、隣接する領域同士が逆位相で面内方向において振動する。これによって、振動部120は、全体として高次輪郭振動する。なお、Si基板F2、下部電極E1及び圧電薄膜F3は、振動領域122a〜122dで共有されている。」

(ク)「[0089] [第3実施形態]
図16、17を用いて、第3実施形態に係る共振子10の構成、機能について説明する。本実施形態では、共振子10は、高調波(4倍波)輪郭振動モードで振動を行う。以下に、本実施形態に係る共振装置1の詳細構成のうち、第2実施形態との差異点を中心に説明する。
[0090] 本実施形態では、保持部140は、第2実施形態において説明した構成に加えて、枠体140bにおいて、端子V5を備えている。端子V5は、下部電極E1をグランド接続させるための端子である。その他の端子V5の構成は、第1実施形態における端子V2の構成と同様である。また、その他の保持部140の構成は第1実施形態と同様である。
[0091] 次に、図17を用いて共振子10の積層構造について、第2実施形態との違いを説明する。図17(A)は、図16のEE´断面図であり、図17(B)は、図16のFF´断面図である。
[0092] 図17(B)に示す通り、端子V5は、圧電薄膜F3に形成されたビアを介して下部電極E1と接続するように形成される。端子V5は、例えば上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極を介してグランド接続される。
[0093] このように、本実施形態に係る共振子10によると、下部電極E1がグランド接続されている。下部電極E1が接地されることによって、下部電極E1付近に存在する他の電位(例えば、配線、他部品、人などの影響による電位)の影響を低減することができる。その結果、共振周波数や安定させることができる。
その他の構成、機能は第1実施形態及び第2実施形態と同様である。」

(ケ)「
[図1]


[図2]


[図3]


[図4]


[図14]


[図15]


[図16]


[図17]



上記(ア)〜(ケ)の記載によれば、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>
「2次以上のTCF(周波数温度係数)を低減することができる共振子10を備える共振装置1であって([0006])、
共振装置1は、共振子10と、共振子10を挟んで設けられた上蓋30及び下蓋20と、を備え、共振子10と下蓋20及び上蓋30とが接合され、これにより、共振子10が封止され、また、共振子10の振動空間が形成されるものであり([0011]、[0012])、
共振子10は、同一プロセスで一体的に形成される、保持部140、振動部120、保持腕110を備えており([0027])、
具体的には、共振子10は、Si(シリコン)基板F2(基板の一例である。)の上に、下部電極E1が積層され、そして、下部電極E1の上には、下部電極E1を覆うように圧電薄膜F3(圧電体の一例である。)が積層されており、さらに、圧電薄膜F3の上には、上部電極E2が積層されており、さらにSi基板F2の下面には酸化ケイ素(例えばSiO2)から成る温度特性補正層F1が形成されており、ここで、上部電極E2に対応する構成は、圧電薄膜F3上に積層された後、上部電極E22〜E24、及びバスバーB1、B2となるように、エッチング等によって加工されており([0027]、[0029]、[0083])、
振動部120は、振動領域122a〜122dに区画され、振動領域122a〜122dには、それぞれ上部電極E21〜E24が形成されており、上部電極E21〜E24は、隣接する電極とは逆位相となるように、圧電薄膜F3のc軸方向に交番電界が印加されると、隣接する振動領域122a〜122dが機械的に結合することにより各領域のX軸方向における中心付近が振動の節(ノードライン)となり、4つの振動領域122a〜122dは、隣接する領域同士が逆位相で面内方向において振動し、これによって、振動部120は、全体として高次輪郭振動し、なお、Si基板F2、下部電極E1及び圧電薄膜F3は、振動領域122a〜122dで共有されており([0084])、
保持部140は、振動部120を保持し、また、上蓋30及び下蓋20と接合できる程度に、振動部120の周囲に設けられていればよく、具体的には、枠体140a、140b、140c、140dからなり、枠体140a、枠体140bとにおいて、保持腕110に接続されると共に端子V3、V4を備え、さらに枠体140bにおいて、下部電極E1をグランド接続させるための端子V5を備えており([0021]、[0022]、[0077]、[0090])、
端子V5は、圧電薄膜F3に形成されたビアを介して下部電極E1と接続するように形成され、上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極を介してグランド接続される([0092])、
共振装置1。」


2.引用文献3(特開2015−41785号公報)について

原査定の拒絶の理由に引用された特開2015−41785号公報(以下、「引用文献3」という。下線は、当審において付与した。)には、次の事項が記載されている。

(コ)「【0029】
図1に示すように、振動片1は、基部10と、基部10からY軸方向に延出している3本の振動腕11a,11b,11cと、を備えている。本実施形態では、3本の振動腕11a,11b,11c及び基部10にSi基板(一例として、Poly−Si基板)を用いている。
振動腕11a,11b,11cは、略角柱状に形成され、平面視において、Y軸方向と直交するX軸方向に並列状態となっている。
振動腕11a,11cは、後述する圧電膜としての圧電体13により駆動される駆動振動腕であり、中央の振動腕11bは、駆動されない非駆動振動腕である。
振動腕11a,11cのX軸とY軸とで特定される平面(XY平面)に沿った2つの主面10a,10bのうち、主面10aには、励振部12a,12cが設けられている。なお、主面10aは、振動腕11b及び基部10の外縁まで一体的に延在している。
【0030】
振動腕11a,11cは、励振部12a,12cによって、主面10aと直交するZ軸方向(図1(c)の矢印方向)に同相の屈曲振動(面外振動:主面10aと交差する方向の振動)をする。
振動腕11bは、励振部を持たないが、共振作用により主面10aと直交するZ軸方向(図1(b)の矢印方向)に、振動腕11a,11cと逆相の屈曲振動をする。
基部10及び振動腕11a,11b,11c、励振部12a,12cなどは、例えば、スパッタ(スパッタリング)技術、フォトリソグラフィー技術、エッチング技術などを用いて精度よく形成されている。
【0031】
励振部12a,12cは、主面10a側に設けられている第1電極12a1,12c1と、第1電極12a1,12c1の上方に設けられている圧電体13と、圧電体13の上方に設けられている第2電極12a2,12c2と、第1電極12a1,12c1と圧電体13との間に設けられている絶縁膜14と、を備えた積層構造となっている。
なお、圧電体13は、圧電効果(逆圧電効果)によって振動腕11a,11cを駆動する(振動させる)機能を有する。
振動腕11bには、振動腕11a,11cとQ値、固有振動数などの特性を極力合わせるために、第1電極12b1、圧電体13、絶縁膜14が設けられていることが好ましい。」

(サ)「【0035】
励振部12a,12cの第1電極12a1,12c1、第2電極12a2,12c2、振動腕11bの第1電極12b1、第1引き出し配線15、第2引き出し配線16には、TiN(窒化チタン)を含む膜が用いられ、圧電体13には、信頼性及び絶縁性に優れるAlN(窒化アルミニウム)を含む膜が用いられている。また、絶縁膜14には、アモルファス状態のSiO2(二酸化ケイ素)を含む膜が用いられている。
なお、第1電極12a1,12c1、第2電極12a2,12c2、振動腕11bの第1電極12b1、第1引き出し配線15、第2引き出し配線16には、TiNと異なる、例えば、Mo、Ti、Pt、Au、W、Taなどを含む膜が用いられてもよい。
また、圧電体13には、AlNと異なる、例えば、ZnO(酸化亜鉛)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)、KNbO3(ニオブ酸カリウム)などを含む膜が用いられてもよい。」

上記(コ)〜(サ)の記載によれば、引用文献3には、発振器、電子機器及び移動体に用いられる「振動片1」に関して、次の技術事項が記載されている。

「振動片1は、基部10と、基部10からY軸方向に延出している3本の振動腕11a、11b、11cと、を備えており(【0029】)、
振動腕11a、11cは、励振部12a,12cによって、主面10aと直交するZ軸方向に同相の屈曲振動をするものであり(【0030】)、
励振部12a,12cは、主面10a側に設けられている第1電極12a1,12c1と、第1電極12a1,12c1の上方に設けられている圧電体13と、圧電体13の上方に設けられている第2電極12a2,12c2と、第1電極12a1,12c1と圧電体13との間に設けられている絶縁膜14と、を備えた積層構造となっており(【0031】)、
圧電体13には、信頼性及び絶縁性に優れるAlN(窒化アルミニウム)を含む膜が用いられ、また、絶縁膜14には、アモルファス状態のSiO2(二酸化ケイ素)を含む膜が用いられる(【0035】)。」という技術事項。


第6 対比・判断

1.本願発明1について

(1)本願発明1と引用発明との対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

(1−1)本願発明1の『基板と、』について

本願明細書の記載を参酌すると本願発明1の『基板』は、共振子10を構成しているもの(例示として、「Si(シリコン)基板F2」が明示されている。(本願明細書の【0043】))である。
してみると、引用発明の「Si基板F2」は、本願発明1の『基板』に相当する。


(1−2)本願発明1の『前記基板上に形成された絶縁膜と、』について

引用発明の「共振装置1」は、本願発明1でいう『前記基板上に形成された絶縁膜』を備えていない。


(1−3)本願発明1の『前記絶縁膜上に形成された複数の振動領域であって、各振動領域が、前記絶縁膜上に形成された下部電極、前記下部電極上に形成された圧電膜、及び、前記圧電膜上に形成された上部電極を有し、少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動するように、前記絶縁膜上に形成された複数の前記下部電極のうち、少なくとも1つの前記下部電極が他の前記下部電極とは異なる電位となる、複数の振動領域と、』について

(1−3−1)引用発明の「振動領域122a〜122d」、「下部電極E1」、「圧電薄膜F3」、「上部電極E21〜E24」は、それぞれ、本願発明1でいう『複数の振動領域』、『下部電極』、『下部電極上に形成された圧電膜』、『圧電膜上に形成された上部電極』に対応するものであることは明らかである一方、前記「振動領域122a〜122d」及び「下部電極E1」は、本願発明1のように『絶縁膜上に形成された』ものではない。

(1−3−2)引用発明の「振動部120」は、「振動領域122a〜122dに区画され、振動領域122a〜122dには、それぞれ上部電極E21〜E24が形成されており、上部電極E21〜E24は、隣接する電極とは逆位相となるように、圧電薄膜F3のc軸方向に交番電界が印加されると、隣接する振動領域122a〜122dが機械的に結合することにより各領域のX軸方向における中心付近が振動の節(ノードライン)となり、4つの振動領域122a〜122dは、隣接する領域同士が逆位相で面内方向において振動し、これによって、振動部120は、全体として高次輪郭振動」するものであることを踏まえると、引用発明の「振動部120」を構成している「振動領域122a〜122d」は、本願発明1でいう『少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動する』との構成を備えているといえる。
なお、引用発明においては、本願発明1で特定されている『(少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動するように、)前記絶縁膜上に形成された複数の前記下部電極のうち、少なくとも1つの前記下部電極が他の前記下部電極とは異なる電位となる、』との事項は特定されていない。

(1−3−3)上記「(1−3−1)」及び「(1−3−2)」で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明とは、『複数の振動領域であって、各振動領域が、下部電極、前記下部電極上に形成された圧電膜、及び、前記圧電膜上に形成された上部電極を有し、少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動する、複数の振動領域と、』という点で共通している。


(1−4)本願発明1の『前記基板、前記絶縁膜、前記複数の振動領域を有する共振子を封止するパッケージであって、前記基板を接地させる接地用端子を有する、パッケージと、を備え、』について

(1−4−1)本願発明1の『パッケージ』とは、本願明細書の【0012】によれば、下蓋20と上蓋30とから成るものである。
一方、引用発明の「共振装置1」は、「共振子10と、共振子10を挟んで設けられた上蓋30及び下蓋20と、を備え、共振子10と下蓋20及び上蓋30とが接合され、これにより、共振子10が封止され、また、共振子10の振動空間が形成されるもの」であるから、引用発明の「上蓋30及び下蓋20」から成るものは、本願発明1の『前記基板、前記複数の振動領域を有する共振子を封止するパッケージ』に対応するものといえる。

(1−4−2)引用発明においては、「端子V5は、圧電薄膜F3に形成されたビアを介して下部電極E1と接続するように形成され、上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極を介してグランド接続される」のであるから、前記「上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極」は、本願発明1でいう『接地用端子』に対応するものといえる。

(1−4−3)上記「(1−4−1)」及び「(1−4−2)」で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明とは、『前記基板、前記複数の振動領域を有する共振子を封止するパッケージであって、接地用端子を有する、パッケージ』を備える点で共通する。


(1−5)本願発明1の『前記上部電極および前記下部電極の各々は、接地させるための接地用端子と接続されていない、』について

引用発明においては、「端子V5は、圧電薄膜F3に形成されたビアを介して下部電極E1と接続するように形成され、上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極を介してグランド接続される」のであるから、本願発明1でいう『前記上部電極および前記下部電極の各々は、接地させるための接地用端子と接続されていない、』との構成は備えていない。


上記(1−1)〜(1−5)で言及した事項を踏まえると、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致する。

<一致点>
「基板と、
複数の振動領域であって、各振動領域が、下部電極、前記下部電極上に形成された圧電膜、及び、前記圧電膜上に形成された上部電極を有し、少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動する、複数の振動領域と、
前記基板、前記複数の振動領域を有する共振子を封止するパッケージであって、接地用端子を有する、パッケージと、
を備える、
共振装置。」

そして、本願発明1と引用発明とは、次の点で相違する。

<相違点1>
本願発明1では、『前記基板上に形成された絶縁膜』を備えているのに対し、引用発明では、そのような『絶縁膜』を備えていない点。

<相違点2>
上記<相違点1>と関連して、引用発明では、『絶縁膜』を備えていないのに伴い、引用発明の「振動領域122a〜122d」及び「下部電極E1」が本願発明1のように『絶縁膜』上に形成されていない点、並びに、引用発明の「下部電極E1」について、本願発明1のように『(少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動するように、)前記絶縁膜上に形成された複数の前記下部電極のうち、少なくとも1つの前記下部電極が他の前記下部電極とは異なる電位となる』との事項が特定されていない点。

<相違点3>
上記<相違点1>と関連して、引用発明では、『絶縁膜』を備えていないのに伴い、引用発明の「上蓋30及び下蓋20」から成るもの(本願発明1でいう『パッケージ』)は、本願発明1のように『前記絶縁膜』を封止していない点。

<相違点4>
パッケージが備える『接地用端子』について、本願発明1においては『基板を接地させる』ものであって、『前記上部電極および前記下部電極の各々は、接地させるための接地用端子と接続されていない、』との構成が特定されているのに対し、引用発明の「上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極」は、「下部電極E1」をグランド接続させるためのものである点。


(2)新規性についての判断

本願発明1と引用発明とは、上記相違点1〜4を有するから,本願発明1は、引用発明と同一であるとはいえない。


(3)進歩性についての判断

(3−1)相違点1〜4についての判断

事案に鑑み、相違点4について検討する。

引用発明の「上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極」は、「下部電極E1」をグランド接続させるためのものであるところ、これに替えて、Si基板F2を接地させるとともに、上部電極E21〜E24および下部電極E1の各々と接続されていない構成にする旨の記載や示唆は、引用文献2には開示されておらず、また、そのようなものにする動機もない。
そして、パッケージが備える『接地用端子』について、『基板を接地させる』ものであって、『前記上部電極および前記下部電極の各々は、接地させるための接地用端子と接続されていない、』との構成は、引用文献3にも開示されておらず、周知技術であるともいえない。
よって、引用発明の「上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極」について、Si基板F2を接地させるとともに、上部電極E21〜E24および下部電極E1の各々と接続されていない構成にすることは、当業者が容易に想到しえたものであるとはいえない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。


2.本願発明11について

(1)本願発明11と引用発明の「共振子10」との対比

本願発明11は『共振子』の発明であるから、本願発明11と引用発明の「共振子10」とを対比する。

ここで、引用発明の「共振子10」は、上記「第5 引用文献、引用発明等」の「1.引用文献2(国際公開第2017/203741号)について」において特定した引用発明である共振装置1のうちの「共振子10」を特定している以下のとおりのものである。

<引用発明の「共振子10」>
「共振装置1が備える共振子10であって、
共振子10は、同一プロセスで一体的に形成される、保持部140、振動部120、保持腕110を備えており([0027])、
具体的には、共振子10は、Si(シリコン)基板F2(基板の一例である。)の上に、下部電極E1が積層され、そして、下部電極E1の上には、下部電極E1を覆うように圧電薄膜F3(圧電体の一例である。)が積層されており、さらに、圧電薄膜F3の上には、上部電極E2が積層されており、さらにSi基板F2の下面には酸化ケイ素(例えばSiO2)から成る温度特性補正層F1が形成されており、ここで、上部電極E2に対応する構成は、圧電薄膜F3上に積層された後、上部電極E22〜E24、及びバスバーB1、B2となるように、エッチング等によって加工されており([0027]、[0029]、[0083])、
振動部120は、振動領域122a〜122dに区画され、振動領域122a〜122dには、それぞれ上部電極E21〜E24が形成されており、上部電極E21〜E24は、隣接する電極とは逆位相となるように、圧電薄膜F3のc軸方向に交番電界が印加されると、隣接する振動領域122a〜122dが機械的に結合することにより各領域のX軸方向における中心付近が振動の節(ノードライン)となり、4つの振動領域122a〜122dは、隣接する領域同士が逆位相で面内方向において振動し、これによって、振動部120は、全体として高次輪郭振動し、なお、Si基板F2、下部電極E1及び圧電薄膜F3は、振動領域122a〜122dで共有されており([0084])、
保持部140は、振動部120を保持し、また、上蓋30及び下蓋20と接合できる程度に、振動部120の周囲に設けられていればよく、具体的には、枠体140a、140b、140c、140dからなり、枠体140a、枠体140bとにおいて、保持腕110に接続されると共に端子V3、V4を備え、さらに枠体140bにおいて、下部電極E1をグランド接続させるための端子V5を備えており([0021]、[0022]、[0077]、[0090])、
端子V5は、圧電薄膜F3に形成されたビアを介して下部電極E1と接続するように形成され、上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極を介してグランド接続される([0092])、
共振子10。」

(1−1)本願発明11の『基板と、前記基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された複数の振動領域であって、各振動領域が、前記絶縁膜上に形成された下部電極、前記下部電極上に形成された圧電膜、及び、前記圧電膜上に形成された上部電極を有し、少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動するように、前記絶縁膜上に形成された複数の前記下部電極のうち、少なくとも1つの前記下部電極が他の前記下部電極とは異なる電位となる、複数の振動領域と、を備え、』について

(1−1−1)上記「“1.本願発明1について”の(1−1)〜(1−3)」で言及した事項を踏まえると、本願発明11と引用発明の「共振子10」とは、『基板と、複数の振動領域であって、各振動領域が、下部電極、前記下部電極上に形成された圧電膜、及び、前記圧電膜上に形成された上部電極を有し、少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動する、複数の振動領域』を備える点で共通する。

(1−1−2)なお、引用発明の「共振子10」は、本願発明11でいう『前記基板上に形成された絶縁膜』を備えておらず、それに伴い、引用発明の「共振子10」の「振動領域122a〜122d」及び「下部電極E1」は、本願発明11のように『絶縁膜上に形成された』ものではない。
また、引用発明の「共振子10」においては、本願発明11で特定されている『(少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動するように、)前記絶縁膜上に形成された複数の前記下部電極のうち、少なくとも1つの前記下部電極が他の前記下部電極とは異なる電位となる、』との事項は特定されていない。


(1−2)本願発明11の『前記基板は、接地させるための接地用端子と接続されるよう構成され、前記上部電極および前記下部電極の各々は、接地させるための接地用端子と接続されていない、』について

引用発明の「共振子10」においては、「端子V5は、圧電薄膜F3に形成されたビアを介して下部電極E1と接続するように形成され、上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極を介してグランド接続される」のであるから、前記「上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極」は、本願発明11でいう『接地用端子』に対応するものといえる。

なお、引用発明の「共振子10」においては、本願発明11でいう『前記基板は、接地させるための接地用端子と接続されるよう構成され、前記上部電極および前記下部電極の各々は、接地させるための接地用端子と接続されていない、』との構成は備えていない。


上記(1−1)〜(1−2)で言及した事項を踏まえると、本願発明11と引用発明の「共振子10」とは、次の点で一致する。

<一致点>
「基板と、
複数の振動領域であって、各振動領域が、下部電極、前記下部電極上に形成された圧電膜、及び、前記圧電膜上に形成された上部電極を有し、少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動する、複数の振動領域と、
を備える、
共振子。」

そして、本願発明11と引用発明の「共振子10」とは、次の点で相違する。

<相違点5>
本願発明11では、『前記基板上に形成された絶縁膜』を備えているのに対し、引用発明の「共振子10」では、そのような『絶縁膜』を備えていない点。

<相違点6>
上記<相違点5>と関連して、引用発明の「共振子10」では、『絶縁膜』を備えていないのに伴い、引用発明の「共振子10」の「振動領域122a〜122d」及び「下部電極E1」が本願発明11のように『絶縁膜』上に形成されていない点、並びに、引用発明の「共振子10」の「下部電極E1」について、本願発明11のように『(少なくとも1つの振動領域が他の振動領域とは逆相で振動するように、)前記絶縁膜上に形成された複数の前記下部電極のうち、少なくとも1つの前記下部電極が他の前記下部電極とは異なる電位となる』との事項が特定されていない点。

<相違点7>
本願発明11においては『前記基板は、接地させるための接地用端子と接続されるよう構成され、』との構成が特定されているのに対し、引用発明の「共振子10」においては「Si(シリコン)基板F2」は「上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極」と接続されるよう構成されていない点。

<相違点8>
本願発明11においては『前記上部電極および前記下部電極の各々は、接地させるための接地用端子と接続されていない、』との構成が特定されているのに対し、引用発明の「共振子10」においては「下部電極E1は、圧電薄膜F3に形成されたビアを介して端子V5に接続され、上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極を介してグランド接続され」ている点。



(2)新規性についての判断

本願発明11と引用発明の「共振子10」とは、上記相違点5〜8を有するから,本願発明11は、引用発明と同一であるとはいえない。


(3)進歩性についての判断

(3−1)相違点5〜8についての判断

事案に鑑み、相違点7について検討する。

引用発明の「共振子10」においては、「Si(シリコン)基板F2」は「上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極」と接続されるよう構成されておらず、「Si(シリコン)基板F2」を上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極と接続するよう構成を変更する動機もない。
また、<相違点7>で言及した本願発明11が備える構成(『前記基板は、接地させるための接地用端子と接続されるよう構成され、』)は、引用文献3にも開示されておらず、周知技術であるともいえない。
よって、引用発明の「共振子10」において、「Si(シリコン)基板F2」を上蓋30、又は下蓋20の外面に形成された電極と接続するような構成にすることは、当業者が容易に想到しえたものであるとはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明11は、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。


3.本願発明2−10について

本願発明2−10は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明1と同様の理由により、引用発明と同一であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。


4.本願発明12−13について

本願発明12−13は、本願発明11の発明特定事項を全て含むものであるから、本願発明11と同様の理由により、引用発明と同一であるとはいえず、また、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定についての判断

1.「●理由1(新規性)について」の判断

本願発明1−13は、上記「第6 対比・判断」で言及したとおり、引用発明と同一であるとはいえない。


2.「●理由2(進歩性)について」の判断

本願発明1−13は、上記「第6 対比・判断」で言及したとおり、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえない。


3.「●理由3(明確性)」についての判断

(1)本願発明6について

令和3年5月14日の手続補正書の請求項6においては、振動領域を『節』という用語を用いて特定しているが故に振動領域の構成が明確でないといわざるを得なかったが、令和4年1月7日の手続補正により、請求項6(本願発明6)は、その一部が『前記複数の振動領域はそれぞれ、前記複数の振動領域が形成されている振動部の短辺に平行な長辺と、前記圧電膜の輪郭振動の半波長に相当する短辺とを有する矩形の形状である、』と補正され、振動領域の構成を『節』という用語を用いないで特定したことにより、振動領域の構成が明確になった。


(2)本願発明7−10について

本願発明6を引用する本願発明7−10についても、本願発明6の上記理由と同様の理由により、明確になった。


以上より、原査定を維持することはできない。


第8 当審拒絶理由についての判断

上記「第7 原査定についての判断」の「3.「●理由3(明確性)」についての判断」で言及したとおり、令和4年1月7日付けの手続補正により、本願発明6−10は明確になったので、令和3年12月13日付けの当審拒絶理由で通知した拒絶理由は解消した。


第9 結び

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-03-24 
出願番号 P2019-557990
審決分類 P 1 8・ 113- WY (H03H)
P 1 8・ 121- WY (H03H)
P 1 8・ 537- WY (H03H)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 伊藤 隆夫
特許庁審判官 佐藤 智康
福田 正悟
発明の名称 共振子、及び共振装置  
代理人 内藤 和彦  
代理人 佐藤 睦  
代理人 大貫 敏史  
代理人 江口 昭彦  
代理人 稲葉 良幸  
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