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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1386931
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-19 
確定日 2022-07-26 
事件の表示 特願2020−102702「首掛け型装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月27日出願公開、特開2021− 82802、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和元年11月15日に出願した特願2019−207493号の一部を令和2年6月12日に新たな特許出願とするものであって、その手続きの経緯は以下のとおりである。
令和 2年 8月 7日 :手続補正書の提出
令和 2年10月13日付け:拒絶理由の通知
令和 2年12月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 2月18日付け:拒絶査定
令和 3年 5月19日 :審判請求書の提出
令和 4年 2月28日付け:当審による最後の拒絶理由の通知
令和 4年 4月18日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年2月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項:1−3
・引用文献等:1、3、4

・請求項:4
・引用文献等:1−4

引用文献等一覧
1.米国特許出願公開第2016/0205453号明細書
2.特開2019−110524号公報
3.米国特許出願公開第2017/0347192号明細書(周知技術を示す文献)
4.米国特許出願公開第2019/0138603号明細書(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由(令和4年2月28日付け最後の拒絶理由通知)の概要は次のとおりである。
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

・請求項 3、4
請求項3は「前記放音部は、首裏に沿う方向に向かって音を放出するように構成されている」と記載されると共に、請求項1を引用するものである。そして、請求項1には「前記本体部は、前記装着者側とは反対側の面に前記放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部が形成されている」と記載されている。よって、請求項3に係る発明は「前記本体部は、前記装着者側とは反対側の面に前記放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部が形成されている」と共に「前記放音部は、首裏に沿う方向に向かって音を放出するように構成されている」ものである。
一方、本願明細書の発明の詳細な説明には「穴部」に関し、図4を参照して段落【0037】に「すなわち、本体部筐体32の外側の面にグリル32b(孔部)が形成されており、このグリル32bを通じて放音部84から出力された音(音波)が本体部筐体32の外部へ放出されるようになっている。このように、装着者の首裏から真後ろに向かって音を放出することで、この放音部84から出力された音が、装着者の正面前方に存在する対話者に直接的に届きにくくなる。」及び「なお、本体部筐体32の内側の面にグリル32bを設けるとともに、回路基板85の内側に放音部84を設けておき、本体部30の内側に向かって音を放出する構成を採用することもできる。」と記載され、段落【0039】に「グリル32bは、放音部84から出力された音を通過させるだけでなく、バッテリー90から生じた熱を大気中に排熱する機能を担う。グリル32bを本体部筐体32の外側の面に形成しておくことにより、グリル32bを通じて排出された熱が装着者に直接届きにくくなるため、装着者に対して不快感を与えずに効率的に排熱することができる。」と記載されているのみである。してみると、本願明細書の発明の詳細な説明には「グリル32bを通じて放音部84から出力された音(音波)」は「装着者の首裏から真後ろに向かって」放出されること、あるいは「本体部30の内側に向かって」放出されることが記載されているのみであり、「首裏に沿う方向に向かって」放出されることは記載されていない。ここで、本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0015】及び段落【0053】には「放音部84を」「首裏に沿う方向(鉛直方向上方)に向かって音を放出するように構成する」旨記載されてはいるが、その場合に「穴部」に相当する構成をどのように設けるかは記載されていない。さらに、本体部の装着者側とは反対側の面に設けられた穴部から放出された音が、首裏に向かうことが技術常識であるとも認められない。
以上のとおりであるから、請求項3に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものではない。請求項3を引用する請求項4に係る発明についても同様である。

第4 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、令和4年4月18日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(下線は、補正箇所を示す)。
「【請求項1】
装着者の首元に装着される首掛け型装置であって、
首元を挟んだ位置に配置可能な第1腕部及び第2腕部と、
前記第1腕部と前記第2腕部とを前記装着者の首裏に相当する位置にて連結する本体部と、
前記第1腕部と前記第2腕部の両方又はいずれか一方に設けられた集音部と、
前記本体部に設けられた放音部と、を備え、
前記本体部は、前記装着者側とは反対側の面に前記放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部が形成されている
首掛け型装置。
【請求項2】
前記放音部は、装着者の首裏から離れる方向に向かって音を放出するように構成されている
請求項1に記載に首掛け型装置。
【請求項3】
前記装着者の首裏に相当する位置に近接センサをさらに備え、
前記近接センサが物体を検出していない状態にあるときには前記集音部が起動しないように構成されている
請求項1又は請求項2に記載の首掛け型装置。」

第5 引用文献の記載事項、引用発明等
1 引用文献1
(1)原査定で引用された引用文献1(米国特許出願公開第2016/0205453号明細書)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、引用個所を示す)。
「[0110] FIG.4 shows schematically and exemplarily a first view of a second embodiment of an external speaker/microphone apparatus 200 for use with an electrical device (not shown in this figure) for providing audio signals and/or for voice communication. Again, it is assumed in the following that the electrical device is a smartphone.」
(当審訳:[0110]図4は、音声信号を提供するため、および/または音声通信のために電気装置(この図には示されていない)と共に使用するための外部スピーカー/マイクロフォン装置200の第2の実施形態の第1の図を概略的かつ例示的に示す。ここでも、以下では電気機器はスマートフォンであると想定しています。)

「[0111] The external speaker/microphone apparatus 200,in this embodiment, comprises a first and a second speaker 80, 81 for reproducing high and mid audio frequencies and a third and a fourth speaker 82, 83 for reproducing low audio frequencies, and four microphones 90, 91, 92, 93, as well as a housing 201 that encloses the first and the second speaker 80, 81, the third and the fourth speaker 82, 83, and the four microphones 90, 91, 92, 93. The shape of the housing 201 is formed, here, in substantially a U-shape for being worn by a user on the shoulders around the neck.」
(当審訳:[0111]外部スピーカー/マイクロフォン装置200は、この実施形態では、高および中程度の音声周波数を再生するための第1および第2のスピーカー80、81と、低音声周波数を再生するための第3および第4のスピーカー82、83と、4つのマイク90、91、92、93とを、第1および第2のスピーカー80、81、第3および第4のスピーカー82、83、および4つのマイク90、91、92、93を含むハウジング201と共に備える。ハウジング201の形状は、ここでは、首の周りと肩の上にユーザが着用するように実質的にU字形に形成されている。)

「[0113] A second microphone group of the external speaker/microphone apparatus 200 comprises a first and a second microphone 92, 93 that are arranged, in this embodiment, with a distance therebetween between 15 cm and 18 cm in order to mimic the distance between the ears in human perception. More generally, however, the first and the second microphone 92, 93 of the second microphone group may also be arranged with a distance therebetween between 13 cm and 20 cm or even between 11 cm and 22 cm. The external speaker/microphone apparatus 200 is adapted to simultaneously acquire first and second audio signals by means of the first and the second microphone 92, 93 of the second microphone group for providing binaural-like audio signals, i.e., audio signals that are intended to create a 3D stereo sound sensation for the listener (see above).」
(当審訳:[0113]外部スピーカー/マイクロフォン装置200の第2のマイクロフォングループは、この実施形態では、人間の知覚において両耳間の距離を模倣するために15cmから18cmの間の距離で配置された第1および第2のマイクロフォン92、93を備える。しかしながら、より一般的には、第2のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン92、93は、13cmから20cmの間、または11cmから22cmの間の距離で配置され得る。外部スピーカー/マイクロフォン装置200は、リスナーに3Dステレオサウンドセンセーションを作成するような、バイノーラルなオーディオ信号を提供するために、第2のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン92、93によって第1および第2のオーディオ信号を同時に取得するように用いられる(上記を参照)。)

「[0114] The housing 201 of the external speaker/microphone apparatus 200 comprises a first part 202 and a second part 203 that can be folded via a central hinge 205. Here, the first and the second microphone 90, 91 of the first microphone group are arranged in a same part, here, the first part 202, of the housing 201 near an end of the first part 202 that is opposite to an end at which the first part 202 is hinged to the second part of the housing 201 and the first and the second microphone 92, 93 of the second microphone group are respectively arranged in the first part 202 and the second part 203 on opposite sides of the housing 201. It shall be noted, however, that other relative and or absolute arrangements of the four microphones 90, 91, 92, 93 are of course possible.」
(当審訳:[0114]外部スピーカー/マイクロフォン装置200のハウジング201は、中央ヒンジ205を介して折り畳むことができる第1の部分202および第2の部分203を備える。ここで、第1のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン90、91は、ハウジング201の同じ部分、ここでは第1の部分202の、ハウジング201の第2の部分にヒンジで固定されている部分と反対側の端部の近くである部分に配置され、そして、第2のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン92、93は、それぞれ、ハウジング201の両端の第1の部分202および第2の部分203に配置される。しかしながら、4つのマイクロフォン90、91、92、93の他の相対的および/または絶対的配置がもちろん可能であることが留意されるべきである。)

「[0118] It shall be noted that the housing 201 of the external speaker/microphone apparatus 200 comprises in a first region 204 at the outside a synthetic material, for example, a TPR (thermoplastic rubber), and is provided in a second region 206, which is, for example, made from a soft leatherette, at least partially with a plurality of holes for improving the passage of audio waves (only shown-as small dots-in FIG. 4).」
(当審訳:[0118]外部スピーカー/マイクロフォン装置200のハウジング201は、第1の領域204の外側に、例えばTPR(熱可塑性ゴム)などの合成材料を含み、ソフトレザーレットから作られた、オーディオ波の通過を改善するための複数の穴を少なくとも部分的に備えた第2の領域206が設けられることに留意されたい(図4中、小さな点として示される)。)

「図4



(2)上記「(1)」より、引用文献1には、次の技術事項が記載されていると認められる。
ア 段落[0111]には「外部スピーカー/マイクロフォン装置200は」「第1および第2のスピーカー80、81と、低音声周波数を再生するための第3および第4のスピーカー82、83と、4つのマイク90、91、92、93とを、第1および第2のスピーカー80、81、第3および第4のスピーカー82、83、および4つのマイク90、91、92、93を含むハウジング201と共に備える」こと、及び、「ハウジング201の形状は」「首の周りと肩の上にユーザが着用するように実質的にU字形に形成され」ることが記載されている。
よって、外部スピーカー/マイクロフォン装置200は、第1および第2のスピーカー80、81と、低音声周波数を再生するための第3および第4のスピーカー82、83と、4つのマイク90、91、92、93と、第1および第2のスピーカー80、81、第3および第4のスピーカー82、83、および4つのマイク90、91、92、93を含むハウジング201とを備えるものである。また、ハウジング201の形状は首の周りと肩の上にユーザが着用するように実質的にU字形に形成されるものである。

イ 段落[0113]には「人間の知覚としての耳の間の距離にならい15cmから18cmの間の距離で配置された第1および第2のマイクロフォン92、93」と記載されている。
よって、第1および第2のマイクロフォン92、93は、人間の知覚としての耳の間の距離にならい15cmから18cmの間の距離で配置される。

ウ 段落[0114]には「ハウジング201は、中央ヒンジ205を介して折り畳むことができる第1の部分202および第2の部分203を備え」、「第1のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン90、91は」、「第1の部分202の、ハウジング201の第2の部分にヒンジで固定されている部分と反対側の端部の近くである部分に配置され」、「第2のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン92、93は、それぞれ、ハウジング201の両端の第1の部分202および第2の部分203に配置される」と記載されている。

エ 段落[0110]には「図4は」「外部スピーカー/マイクロフォン装置200の第2の実施形態の第1の図を概略的かつ例示的に示す」と記載され、段落[0118]には「ハウジング201は」「オーディオ波の通過を改善するための複数の穴を少なくとも部分的に備えた第2の領域206が設けられる」と記載されている。
そして、図4からは、第1のスピーカー80は、第2の部分203の、第1の部分202にヒンジで固定されている部分と反対側の端部に配置され、第2のスピーカー81は、第1の部分202の、第2の部分203にヒンジで固定されている部分と反対側の端部に配置され、第3のスピーカー82は、第2の部分203の、第1の部分202にヒンジで固定されている側の端部に配置され、第4のスピーカー83は、第1の部分202の、第2の部分203にヒンジで固定されている側の端部に配置され、第1および第2のスピーカー80、81、第3および第4のスピーカー82、83、および2つのマイク90、91が配置された領域は、オーディオ波の通過を改善するための複数の穴をU字形に形成されたハウジング201の内側に備えた第2の領域206であることが見てとれる。

(3)上記「ア」ないし「エ」の記載事項より、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「外部スピーカー/マイクロフォン装置200であって、
第1および第2のスピーカー80、81と、
低音声周波数を再生するための第3および第4のスピーカー82、83と、
4つのマイク90、91、92、93と、
第1および第2のスピーカー80、81、第3および第4のスピーカー82、83、および4つのマイク90、91、92、93を含むハウジング201とを備え、
ハウジング201の形状は首の周りと肩の上にユーザが着用するように実質的にU字形に形成されたものであり、
ハウジング201は、中央ヒンジ205を介して折り畳むことができる第1の部分202および第2の部分203を備え、
第1のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン90、91は、第1の部分202の、第2の部分203にヒンジで固定されている部分と反対側の端部に配置され、
第2のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン92、93は、それぞれ、ハウジング201の対向する第1の部分202および第2の部分203に配置され、かつ、両耳間の距離を模倣するために15cmから18cmの間の距離で配置され
第1のスピーカー80は、第2の部分203の、第1の部分202にヒンジで固定されている部分と反対側の端部に配置され、
第2のスピーカー81は、第1の部分202の、第2の部分203にヒンジで固定されている部分と反対側の端部に配置され、
第3のスピーカー82は、第2の部分203の、第1の部分202にヒンジで固定されている側の端部に配置され、
第4のスピーカー83は、第1の部分202の、第2の部分203にヒンジで固定されている側の端部に配置され、
第1および第2のスピーカー80、81、第3および第4のスピーカー82、83、および2つのマイク90、91が配置された領域は、オーディオ波の通過を改善するための複数の穴をU字形に形成されたハウジング201の内側に備えた第2の領域206である、
外部スピーカー/マイクロフォン装置200。」

2 引用文献3
(1)原査定で周知技術を示す文献として引用された引用文献3(米国特許出願公開第2017/0347192号明細書)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、引用個所を示す)。
「[0115] FIG.3 is a diagram illustrating a state where an upper case 221 provided in one example of the wireless sound equipment 200. FIG.4 is a perspective diagram illustrating one example of the wireless sound equipment 200, viewed in another direction.」
(当審訳:段落[0115]図3は、無線音響装置200の一例に上側ケース221が設けられた状態を示す図である。図4は、無線音響装置200の一例を別の方向から見た斜視図である。)

「[0116] In each of the housings 220 may be located a first speaker 246 for outputting voice via a first hole 226 formed in an upper surface and a second speaker 247 for outputting sound via a second hole 227 formed in a lower surface.」
(当審訳:段落[0116]各ハウジング220には、上面に形成された第1の穴226を介して音声を出力するための第1のスピーカー246と、下面に形成された第2の穴227を介して音を出力するための第2のスピーカー247が配置され得る。)

「[0117] The first speaker 246 and the second speaker 247 may be arranged toward a different direction. The first speaker 246 is arranged toward an upper surface of the housing to output sound toward the user's ear and the second speaker 247 is arranged toward a lower surface of the housing to output sound toward the user's body. The first speaker 246 and the second speaker 247 may be located in the housing 220 as one module or located in the housing 220 as independent modules, respectively.」
(当審訳:段落[0117]第1のスピーカー246および第2のスピーカー247は、異なる方向に向けて配置され得る。第1のスピーカー246は、ユーザの耳に向かって音を出力するためにハウジングの上面に向かって配置され、第2のスピーカー247は、ユーザの体に向かって音を出力するためにハウジングの下面に向かって配置される。第1のスピーカー246および第2のスピーカー247は、それぞれ、1つのモジュールとしてハウジング220内に配置され得るか、または独立したモジュールとしてハウジング220内に配置され得る。)

「[0121] FIG.5 is a perspective diagram illustrating a state where a user wears one example of the wireless sound equipment 200. FIG. 6 is a diagram illustrating a location relation among speakers 246 and 247 provided in one example of the wireless sound equipment 200.」
(当審訳:段落[0121]図5は、ユーザが無線音響装置200の一例を着用している状態を示す斜視図である。図6は、無線音響機器200の一例で提供されるスピーカー246と247との間の位置関係を示す図である。)

「[0128] The first speaker 246 is located behind the user's ear and the sound output from the first speaker 246 is transmitted via the earflap, different from the sound transmitted the speaker located in front of the user or the sound directly transmitted to the earhole via the speaker inserted in the ear. Accordingly, the sound output from the first speaker 246 causes time difference to be heard like the sound reflected in a closed space or the sound heard behind the user.」
(当審訳:段落[0128]第1のスピーカー246はユーザーの耳の後ろに配置され、第1のスピーカー246から出力される音は、ユーザーの前にあるスピーカーから送信される音または挿入されたスピーカーを介して耳穴に直接送信される音とは異なり、イヤーフラップを介して耳に送信される。したがって、第1のスピーカー246から出力された音は、閉空間で反射された音または使用者の後ろで聞こえた音のように時差を聞く。)

「図3



「図5



(2)引用文献3の段落[0116]には「各ハウジング220には、上面に形成された第1の穴226を介して音声を出力するための第1のスピーカー246」「が配置され得る」と記載されている。よって、ハウジング220には、上面に第1の穴226が形成され、第1のスピーカー246が配置されるといえ、また、音声は第1の穴226を介して出力されるといえる。
次に、段落[0116]には「第1のスピーカー246は、ユーザの耳に向かって音を出力するためにハウジングの上面に向かって配置され」と記載されている。よって、ユーザの耳に向かって音を出力するためにハウジングの上面に向かって、第1のスピーカー246が配置されるといえる。
さらに、段落[0128]には「第1のスピーカー246から出力される音はイヤーフラップを介して耳に送信される」と記載されている。上記段落[0116]の記載を踏まえると、第1のスピーカー246から第1の穴226を介して出力された音はユーザーの耳に送信されるといえる。
上記記載によれば、引用文献3には、次の技術事項(以下、「引用文献3に記載された技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
ハウジング220には、上面に第1の穴226が形成されると共に、ユーザの耳に向かって音を出力するためにハウジング220の上面に向かって第1のスピーカー246が配置され、第1のスピーカー246から第1の穴226を介して出力された音はユーザーの耳に送信される。

3 引用文献4
(1)原査定で周知技術を示す文献として引用された引用文献4(米国特許出願公開第2019/0138603号明細書)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、引用個所を示す)。
「[0012] FIG. 1 shows a wearable speaker device on a person.」
(当審訳:[0012]図1は、人に装着することが可能なスピーカ装置を示している。)

「[0014] FIG. 3 shows a wearable speaker device in communication with a translation service through a network interface device and a network.」
(当審訳:[0014]図3は、ネットワーク・インターフェース・デバイスおよびネットワークを介して翻訳サービスと通信する着用可能なスピーカ装置を示している。)

「[0016] To further improve the utility of the device described in the '917 patent, an array 100 of microphones is included, as shown in FIG. 1. The same or similar array may be included in the modified version of the device. In either embodiment, beam-forming filters are applied to the signals output by the microphones to control the sensitivity patterns of the microphone array 100. In a first mode, the beam-forming filters cause the array to be more sensitive to signals coming from the expected location of the mouth of the person wearing the device, who we call the “user.” In a second mode, the beam-forming filters cause the array to be more sensitive to signals coming from the expected location (not shown) of the mouth of a person facing the person wearing the device, i.e., at about the same height, centered, and one to two meters away. We call this person the “partner.” It happens that the original version of the device, described in the '917 patent, has similar audibility to a conversation partner as it has to the wearer that is, the ability of the device to confine its audible output to the user is most effective for distances greater than where someone having a face-to-face conversation with the user would be located.」
(当審訳:[0016]’917特許に記載された装置の有用性をさらに改善するために、図1に示すようにマイクロフォンホンのアレイ100が含まれている。同じまたは同様のアレイは、装置の修正されたバージョンに含まれてもよい。いずれの実施形態においても、マイクロフォンによって出力された信号に適用されるマイクロフォンアレイ100の感度パターンを制御するビーム形成フィルタである。第1のモードでは、ビーム成形フィルタは、装置を着用した「ユーザ」と称する人の口の予想される位置から来た信号に対して、アレイをより敏感にさせる。第2のモードでは、ビーム形成フィルタが、装置を装着した人物と対面した人の口の予想される、即ち、約同じ高さで、中心、および1〜2メートル離れている位置(図示せず)から来た信号に対して、アレイをより敏感にさせる。本発明者らは、この人物を「パートナー」と呼ぶ。’917特許に記載された装置の元のバージョンは、会話パートナーに対して装着者と同様の可聴性を有する。つまり、可聴出力をユーザーに限定するデバイスの機能は、ユーザーと対面で会話している人がいる場所よりも長い距離で最も効果的である。)

「[0020] Multiple devices and services are involved in implementing the translation device contemplated, as shown in FIG. 3. First, there is the speaker device 300 discussed above, incorporating microphones and speakers for detecting utterances and outputting translations of them. This device may alternatively be provided by a headset, or by separate speakers and microphones. Some or all of the discussed systems may be relevant to any acoustic embodiment. Second, a translation service 302, shown as a cloud-based service, receives electronic representations of the utterances detected by the microphones, and responds with a translation for output.」
(当審訳:[0020]図3に示すように、複数のデバイス及びサービスは、考えられる翻訳装置を実現することに関与している。まず、上述したスピーカ装置300は、発話を検出し翻訳文を出力するためのマイクロフォンとスピーカーを組み込む。代替的に、本装置は、ヘッドセットまたは別個のスピーカー及びマイクロフォンによって提供されてもよい。いくつかの議論されたシステムの全ては、任意の音響形態に関連し得る。)

「図1



「図3



(2)引用文献4の段落[0012]には「人に装着することが可能なスピーカ装置」と記載されている。
次に、段落[0016]には「図1に示すようにマイクロフォンのアレイ100が含まれている」と記載され、図1及び図3からはマイクロフォンのアレイをU字形の本体の端部に設けた構造が見て取れる。
また、段落[0016]には「可聴出力をユーザーに限定するデバイスの機能」と記載されている。よって、可聴出力はユーザーに限定されるといえる。
さらに、段落[0020]には「上述したスピーカ装置300は」「マイクロフォンとスピーカーを組み込む」と記載されている。
上記記載によれば、引用文献4には、次の技術事項(以下、「引用文献4に記載された技術事項」という。)が記載されているものと認められる。
人に装着することが可能なスピーカ装置において、マイクロフォンとスピーカーを組み込み、マイクロフォンのアレイをU字形の本体の端部に設け、可聴出力をユーザーに限定する技術。

第6 対比、判断
1 本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「外部スピーカー/マイクロフォン装置200」は、「ハウジング201」「を備え」、「ハウジング201の形状は首の周りと肩の上にユーザが着用するように」「形成されたもの」であり、「首の周りと肩の上にユーザが着用する」ことは、装着者の首元に装着すると共に首に掛けることであると認められるから、本願発明1の「装着者の首元に装着される首掛け型装置」に相当する。

イ 引用発明の「実質的にU字形に形成された」ことは、本願発明1の「第1腕部及び第2腕部と、前記第1腕部と前記第2腕部とを」「連結する本体部」とを備えることに相当する。
また、引用発明において「第2のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン92、93は、それぞれ、ハウジング201の対向する第1の部分202および第2の部分203に配置され、かつ、人間の知覚としての耳の間の距離にならい15cmから18cmの間の距離で配置される」から、「ハウジング201の対向する第1の部分202および第2の部分203」も「人間の知覚としての耳の間の距離にならい15cmから18cmの間の距離」だけ離間すると認められる。
以上のことより、引用発明の「外部スピーカー/マイクロフォン装置200」が「ハウジング201」「を備え」、「ハウジング201の形状は首の周りと肩の上にユーザが着用するように実質的にU字形に形成されたもの」であることは、本願発明1の「首元を挟んだ位置に配置可能な第1腕部及び第2腕部と、前記第1腕部と前記第2腕部とを前記装着者の首裏に相当する位置にて連結する本体部と」を備えることに相当する。

ウ 引用発明の「第1のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン90、91は、第1の部分202の、第2の部分203にヒンジで固定されている部分と反対側の端部に配置され」、「第2のマイクロフォングループの第1および第2のマイクロフォン92、93は、それぞれ、ハウジング201の対向する第1の部分202および第2の部分203に配置され」ることは、本願発明1の「前記第1腕部と前記第2腕部の両方又はいずれか一方に設けられた集音部」を備えることに相当する。

エ 引用発明において「ハウジング201」は、「実質的にU字形に形成されたものであり」、「中央ヒンジ205を介して折り畳むことができる第1の部分202および第2の部分203を備え」るものであり、「ヒンジ205」は「実質的にU字形に形成された」「ハウジング201」の中央に設けられるものであるから、引用発明の「ヒンジ205」は、本願発明1の「本体部」に相当する位置に配置されると認められる。
してみると、引用発明の「第3のスピーカー82は、第2の部分203の、第1の部分202にヒンジで固定されている側の端部に配置され、第4のスピーカー83は、第1の部分202の、第2の部分203にヒンジで固定されている側の端部に配置された」ことは、「第3のスピーカー82」及び「第4のスピーカー83」が「実質的にU字形に形成された」「ハウジング201」の中央に設けられることに他ならないから、本願発明1の「前記本体部に設けられた放音部」を備えることに相当する。

オ 上記「エ」を考慮すると、引用発明の「第3および第4のスピーカー82、83」「が配置された領域は、オーディオ波の通過を改善するための複数の穴を備えた第2の領域206である」ことは、本願発明1の「前記本体部は」「前記放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部が形成されている」ことに対応するものである。
しかし、本願発明1は「前記装着者側とは反対側の面に」前記放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部が形成されているのに対し、引用発明は、第3および第4のスピーカー82、83が配置された領域の「オーディオ波の通過を改善するための複数の穴」を「U字形に形成されたハウジング201の内側に」備えるものであり、装着者とは反対側の面に備えるものではない点で、相違する。

カ そして、引用発明の「首の周りと肩の上にユーザが着用するように実質的にU字形に形成された」「外部スピーカー/マイクロフォン装置200」は、本願発明1の「首掛け型装置」に対応するものである。

よって、上記「ア」ないし「カ」によれば、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致ないし相違するといえる。

(一致点)
「装着者の首元に装着される首掛け型装置であって、
首元を挟んだ位置に配置可能な第1腕部及び第2腕部と、
前記第1腕部と前記第2腕部とを前記装着者の首裏に相当する位置にて連結する本体部と、
前記第1腕部と前記第2腕部の両方又はいずれか一方に設けられた集音部と、
前記本体部に設けられた放音部と、を備え、
前記本体部は、前記放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部が形成されている
首掛け型装置。」

(相違点1)
本願発明1は「前記装着者側とは反対側の面に」前記放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部が形成されているのに対し、引用発明は、第3および第4のスピーカーが配置された領域の「オーディオ波の通過を改善するための複数の穴」を「U字形に形成されたハウジングの内側に」備えるものであり、装着者とは反対側の面に備えるものではない点。

(2)相違点1について判断する。
原査定で周知技術を示す文献として引用された引用文献3に記載された技術事項において(「第5 2(2)」を参照)、ハウジングには上面に「第1の穴」が形成され、「第1の穴」を介して出力された音はユーザーの耳に送信されるから、「第1の穴」は装着者側とは反対側の面に配置されるものとはいえない。よって、引用文献3の記載から、装着者側とは反対側の面に、放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部を形成することが本願の出願時において周知技術であったということはできない。
そして、引用文献3に記載された上記構成を引用発明に適用しても、第3および第4のスピーカーが配置された領域の「オーディオ波の通過を改善するための複数の穴」は、穴を介して出力された音はユーザーの耳に送信されるように配置されるから、上記相違点1に係る構成にはならないことは明らかである。
また、原査定で周知技術を示す文献として引用された引用文献4に記載された技術事項は(「第5 3(2)」を参照)、スピーカーから出力された音を放出させるための穴を備えたものではないから、引用文献4の記載からも、装着者側とは反対側の面に、放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部を形成することが本願の出願時において周知技術であったということはできない。
よって、引用文献1、3及び4からは、相違点1に係る構成を導き出すことはできない。
そして、相違点1に係る構成により「対話者が、装着者自身が発した音声と首掛け型装置の放音部から発せられた音とを混同する事態を防止でき」ると共に、「装着者等の音声に混入される自己出力音の音量を最小化」でき、さらに「グリル32bを通じて排出された熱が装着者に直接届きにくくなるため、装着者に対して不快感を与えずに効率的に排熱することができる」という格別な効果を奏するものである(本願明細書の段落【0037】及び段落【0039】を参照)。

(3)したがって、本願発明1は、引用文献1に記載された発明、及び、周知の技術事項(引用文献3、4に記載された技術事項)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2 本願発明2について
請求項2は、請求項1に従属する請求項であり、相違点1に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明、及び、周知の技術事項(引用文献3、4に記載された技術事項)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3 本願発明3について
原査定で引用された引用文献2(特開2019−110524号公報、段落【0034】ないし段落【0044】、図1ないし図4)には、ユーザの首に装着されるウェアラブルスピーカにおいて、ユーザの首裏に相当する位置に近接センサ7を設け、近接センサ7が近接を検出していない状態にあるときには、ウェアラブルスピーカを起動しないように構成するという技術事項が開示されているに過ぎない。
そして、請求項3は、請求項1に直接的又は間接的に従属する請求項であり、相違点1に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された上記技術事項、並びに、周知の技術事項(引用文献3、4に記載された技術事項)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

第7 原査定についての判断
令和2年12月7日にされた補正により、補正後の請求項1ないし3は「前記本体部は、前記装着者側とは反対側の面に前記放音部から出力された音を外部へ放出するための穴部が形成されている」という特定事項を有するものとなった。当該特定事項は、上記「第6」で述べたとおり、原査定で引用した引用文献のいずれにも記載されておらず、本願発明1ないし3は、上記引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2ないし4に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由についての判断
令和4年4月18日の手続補正により、補正前の請求項3が削除された結果、当審拒絶理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし3は、当業者が引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2ないし4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願の拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-07-07 
出願番号 P2020-102702
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
P 1 8・ 537- WY (H05K)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 棚田 一也
須原 宏光
発明の名称 首掛け型装置  
代理人 廣瀬 隆行  
代理人 関 大祐  
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