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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H03H
管理番号 1386981
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-14 
確定日 2022-02-15 
事件の表示 特願2019−562159「フィルタモジュール」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月 4日国際公開、WO2019/131868、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)12月27日(優先権主張 平成29年12月28日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。

令和 2年12月 8日付け 拒絶理由通知書
令和 3年 2月 1日 意見書・手続補正書
3月 9日付け 拒絶査定
6月14日 審判請求書・手続補正書
8月20日 前置報告書


第2 原査定の概要
令和3年3月9日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)の概要は、以下のとおりである。

この出願の請求項1〜21に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特表2008−533914号公報
2.特開2008−118624号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2017−204761号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2014−154942号公報(周知技術を示す文献)


第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正(令和3年6月14日の手続補正書による補正。以下、「本件補正」という。)は、特許法第17条の2第3項から第5項までの要件に違反しているものとはいえない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、本件補正後の請求項1〜20に係る発明は、同条第6項において準用する同法第126条第7項(独立特許要件)を満たすものである。


第4 本願発明
本願の請求項1〜20係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明20」という。)は、本件補正によって補正された特許請求の範囲に記載される以下のとおりのものであると認める。

「【請求項1】
第1入出力端子と、
第2入出力端子と、
前記第1入出力端子と前記第2入出力端子とを結ぶ経路上に配置された第1フィルタと、
第3入出力端子と、
第4入出力端子と、
前記第3入出力端子と前記第4入出力端子とを結ぶ経路上に配置された第2フィルタと、
前記第1入出力端子、前記第2入出力端子、前記第1フィルタ、前記第3入出力端子、前記第4入出力端子および前記第2フィルタが設けられた第1基板と、
前記第1入出力端子に接続され、前記第1フィルタを通過する信号が伝搬される第1配線と、
前記第1配線とグランドとの導通および非導通を切り替える第1スイッチと、
前記第3入出力端子に接続され、前記第2フィルタを通過する信号が伝搬される第2配線と、
前記第2配線とグランドとの導通および非導通を切り替える第2スイッチと、
前記第2入出力端子に接続され、前記第1フィルタを通過する信号が伝搬される第3配線と、
前記第3配線とグランドとの導通および非導通を切り替える第3スイッチと、
前記第4入出力端子に接続され、前記第2フィルタを通過する信号が伝搬される第4配線と、
前記第4配線とグランドとの導通および非導通を切り替える第4スイッチと、を備え、
前記第1スイッチによって前記第1配線とグランドとが導通となっており、かつ、前記第3スイッチによって前記第3配線とグランドとが導通となっているときには、前記第2スイッチによって前記第2配線とグランドとは非導通となり、かつ、前記第4スイッチによって前記第4配線とグランドとは非導通となり、
前記第2スイッチによって前記第2配線とグランドとが導通となっており、かつ、前記第4スイッチによって前記第4配線とグランドとが導通となっているときには、前記第1スイッチによって前記第1配線とグランドとは非導通となり、かつ、前記第3スイッチによって前記第3配線とグランドとは非導通となり、
前記第1入出力端子と前記第3入出力端子とは、隣接しており、
前記第2入出力端子と前記第4入出力端子とは、隣接しており、
前記第1基板は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子とを結ぶ経路上に配置された第1の基板上配線と、前記第3入出力端子と前記第4入出力端子とを結ぶ経路上に配置された第2の基板上配線と、を有し、
前記第1の基板上配線の少なくとも一部と、前記第2の基板上配線の少なくとも一部とは、前記第1基板上で隣接している、
フィルタモジュール。
【請求項2】
前記第1フィルタと前記第2フィルタとは、前記第1基板上で分離して設けられる、
請求項1に記載のフィルタモジュール。
【請求項3】
前記第1スイッチは、SPST(single pole single throw)のスイッチであり、
さらに、前記第1配線と前記第1フィルタを通過する信号の入出力端子との導通および非導通を切り替えるSPSTのスイッチを備える、
請求項1または2に記載のフィルタモジュール。
【請求項4】
前記第1スイッチは、SPDT(single pole double throw)のスイッチであり、
前記第1スイッチの共通端子に前記第1配線が接続され、
前記第1スイッチの2つの選択端子のうちの一の選択端子に、前記第1フィルタを通過する信号の入出力端子が接続され、他の選択端子にグランドが接続される、
請求項1または2に記載のフィルタモジュール。
【請求項5】
前記第2スイッチは、SPSTのスイッチであり、
さらに、前記第2配線と前記第2フィルタを通過する信号の入出力端子との導通および非導通を切り替えるSPSTのスイッチを備える、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項6】
前記第2スイッチは、SPDTのスイッチであり、
前記第2スイッチの共通端子に前記第2配線が接続され、
前記第2スイッチの2つの選択端子のうちの一の選択端子に、前記第2フィルタを通過する信号の入出力端子が接続され、他の選択端子にグランドが接続される、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項7】
前記フィルタモジュールは、さらに、第2基板を備え、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、前記第2基板に設けられる、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項8】
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、同一のチップに設けられる、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項9】
前記第3スイッチは、SPSTのスイッチであり、
さらに、前記第3配線と前記第1フィルタを通過する信号の入出力端子との導通および非導通を切り替えるSPSTのスイッチを備える、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項10】
前記第3スイッチは、SPDTのスイッチであり、
前記第3スイッチの共通端子に前記第3配線が接続され、
前記第3スイッチの2つの選択端子のうちの一の選択端子に、前記第1フィルタを通過する信号の入出力端子が接続され、他の選択端子にグランドが接続される、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項11】
前記第4スイッチは、SPSTのスイッチであり、
さらに、前記第4配線と前記第2フィルタを通過する信号の入出力端子との導通および非導通を切り替えるSPSTのスイッチを備える、
請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項12】
前記第4スイッチは、SPDTのスイッチであり、
前記第4スイッチの共通端子に前記第4配線が接続され、
前記第4スイッチの2つの選択端子のうちの一の選択端子に、前記第2フィルタを通過する信号の入出力端子が接続され、他の選択端子にグランドが接続される、
請求項1〜10のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項13】
前記フィルタモジュールは、さらに、第2基板を備え、
前記第1スイッチ乃至前記第4スイッチは、前記第2基板に設けられる、
請求項1〜12のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項14】
前記第1スイッチ乃至前記第4スイッチは、同一のチップに設けられる、
請求項1〜13のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項15】
前記フィルタモジュールは、さらに、
前記第1フィルタに接続される第1入力端子、前記第2フィルタに接続される第2入力端子および出力端子を有し、前記第1入力端子に入力される前記第1フィルタを通過する信号および前記第2入力端子に入力される前記第2フィルタを通過する信号の一方を増幅して前記出力端子から出力する増幅回路と、
前記第1入力端子とグランドとの導通および非導通を切り替える第5スイッチと、
前記第2入力端子とグランドとの導通および非導通を切り替える第6スイッチと、を備え、
前記第1スイッチによって前記第1配線とグランドとが導通となっているときには、前記第5スイッチによって前記第1入力端子とグランドとは導通となり、かつ、前記第6スイッチによって前記第2入力端子とグランドとは非導通となり、
前記第2スイッチによって前記第2配線とグランドとが導通となっているときには、前記第5スイッチによって前記第1入力端子とグランドとは非導通となり、かつ、前記第6スイッチによって前記第2入力端子とグランドとは導通となる、
請求項1〜12のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項16】
前記フィルタモジュールは、さらに、第2基板を備え、
前記第1スイッチ乃至前記第6スイッチは、前記第2基板に設けられる、
請求項15に記載のフィルタモジュール。
【請求項17】
前記増幅回路は、前記第2基板に設けられる、
請求項16に記載のフィルタモジュール。
【請求項18】
前記第1スイッチ乃至前記第6スイッチ、および、前記増幅回路は、同一のチップに設けられる、
請求項15〜17のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項19】
前記第1基板には、さらに、前記第1フィルタおよび前記第2フィルタに接続される少なくとも1つのグランド端子が設けられ、
前記第1入出力端子と前記第3入出力端子とは、前記少なくとも1つのグランド端子のいずれも間に挟まずに隣接しており、
前記第2入出力端子と前記第4入出力端子とは、前記少なくとも1つのグランド端子のいずれも間に挟まずに隣接している、
請求項1〜18のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
【請求項20】
前記第1フィルタの通過帯域と、前記第2フィルタの通過帯域とは、互いに異なる帯域である、
請求項1〜19のいずれか1項に記載のフィルタモジュール。」


第5 文献の記載事項
1 文献1の記載事項
原査定で引用された特表2008−533914号公報(以下、「文献1」という。)には、以下の事項(下線は強調のため当審にて付与した。以下同様。)が記載されている。

(1)「【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから分かるように、先行技術においては、安定した出力インピーダンスを実現して、異なる帯域通過フィルタがフィルタバンクから選択されるときの位相シフトを最小にするように構成されるスイッチマルチプレクサが必要になる。更に、先行技術においては、HB DF脚の高調波性能を向上させる機能を有するスイッチマルチプレクサが必要になる。更に詳細には、先行技術においては、システムに組み込まれるスイッチ群が、フィルタリングされない不所望の高調波成分を付加するように動作することがないスイッチマルチプレクサが必要になる。」

(2)「【0037】
図2を参照すると、本発明のスイッチマルチプレクサ10が例示としての実施形態として示され、この実施形態のスイッチマルチプレクサは送信スイッチ16と、第2ダイプレクサに並列に接続される第1ダイプレクサ20と、第1ダイプレクサ20及び第2ダイプレクサ22に接続されるパワーコンバイナ62と、を備える。第1ダイプレクサ20は第2信号経路36に並列に接続される第1信号経路34を含む。第1ダイプレクサ20の第1信号経路34及び第2信号経路36は、第1ダイプレクサ抵抗減衰器50によって終端される。同様に、第2ダイプレクサ22は、互いに並列に接続される第3信号経路38及び第4信号経路40により構成される。第1信号経路34は第1スイッチ24を含む。同様に、第2信号経路36は第2スイッチ26を含む。同じようにして、第3信号経路38及び第4信号経路40は、第3スイッチ28及び第4スイッチ30の個々のスイッチを含む。」

(3)「【0040】
送信スイッチ16は入力信号14を送信機12から受信し、送信信号18を入力信号14に従って生成するように構成される。図示の実施形態では、送信スイッチ16は送信信号18を、図2に参照番号1〜4で示す4つの使用可能な出力のうちの一つの出力に振り向ける。送信スイッチ16は種々の別の構造に構成することができ、これらの構造では、送信スイッチ16は単極4投(1P4T)スイッチ58として構成される。この点に関して、送信スイッチ16は機械式リレーとして、ダイオードとして、または他の任意の種々のスイッチング機構として構成することができる。送信スイッチ16は当該スイッチの特定の構成に関係なく、共通ポート“C”を、図2に送信スイッチ16の参照番号1〜4として示す4つの出力のうちの一つの出力に接続するように構成される。」

(4)「【0043】
第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチは、図2に参照記号“1”で示すこれらのスイッチの個々の入力端子で送信信号18を送信スイッチ16から受信するように好ましくは構成される。第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチは更に、送信信号18を、第1信号経路HPF42、第2信号経路LPF44、第3信号経路抵抗減衰器52、及び第4信号経路HPF48の個々に渡すように構成される。送信信号18は、第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチの出力端子から供給され、これらのスイッチは単極2投(1P2T)スイッチ58として構成することができる。第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチの出力端子は参照記号“C”で示される。
【0044】
第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、及び第4スイッチ30のうちの適切な一つのスイッチを選択する動作は、送信機12及び/又は送信スイッチ16に組み込まれる或る形態の高性能手段によって制御することができる。第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、及び第4スイッチ30の内、送信スイッチ16または送信機12によって選択されない残りのスイッチ群は、これらのスイッチへの入力信号14を、これらのスイッチの各スイッチに示す端子“2”の抵抗性負荷または抵抗体32で終端させる。このような抵抗体は、送信機12が送信スイッチ16によって選択されるときに対応する同じスイッチのピン“1”で検出される終端をエミュレートする終端抵抗となる。第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチは単極2投(1P2T)スイッチ58として構成することが好ましい。
【0045】
終端抵抗または抵抗体32を、第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30のうちの少なくとも3つのスイッチに取り付けることにより、安定した出力インピーダンスが、模式図に示す出力ピン64から見たときに分かるように、信号経路フィルタのうちの特定の一つのフィルタが受け持つ周波数帯域(例えば、2.0〜3.5GHz)に渡って得られる。更に詳細には、第1フィルタ66、第2フィルタ68、第3フィルタ70、及び第4フィルタ72の各フィルタに良好な50オーム終端を形成するか、または実際に50Ω終端抵抗を送信機12自体に取り付ける。このような抵抗終端を行なうことにより、第1フィルタ66、第2フィルタ68、第3フィルタ70、及び第4フィルタ72の各フィルタの出力インピーダンスを安定させ、従ってスイッチマルチプレクサ10の出力インピーダンスを安定させることができる。」

(5)「【0047】
ここで、第4信号経路40はフィルタを含む必要はないことに注目されたい。第4信号経路40は最高周波数帯域(例えば、10.4〜18.0GHz)で動作するので、当該経路における最低周波数の2倍高調波成分(例えば、10.4GHz×2=20.8GHz)は、パワーコンバイナ62によって減衰させることができるか、または送信機12の出力で減衰させることができる。しかしながら、第4フィルタ72を第4信号経路40の途中に配置して、第4フィルタ72が第4スイッチ30を第4信号経路HPF48に相互接続するようにしてもよい。第4フィルタ72を配置する場合、第4フィルタ72は約10.4〜約18.0GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。前述したように、第1フィルタ66は約6〜約10.4GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。第2フィルタ68は約2〜約3.5GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。第3フィルタ70は約3.5〜約6GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。」

(6)「【0049】
第1信号経路HPF42及び第2信号経路LPF44の各々は、約4GHzで動作するように構成される。同様に、第3信号経路LPF46及び第4信号経路HPF48の各々は、約8GHzで動作するように構成される。このようにして、第1信号経路HPF42及び第2信号経路LPF44によって構成される第1ダイプレクサ回路20では、第1信号経路34及び第2信号経路36を組み合わせて、約2.0〜約3.5GHz、及び約6.0〜約10.4GHzそれぞれの範囲を通過させる通過経路を形成する。これにより、第1ダイプレクサ20の第1信号経路34及び第2信号経路36では、第1信号経路34及び第2信号経路36の周波数帯域内の損失がほぼゼロとなり、かつ反射インピーダンスが第1信号経路34及び第2信号経路36の帯域外に設定される。」

(7)「【0053】
図2に示すパワーコンバイナ62は2ウェイパワーコンバイナ62として構成することができ、2ウェイパワーコンバイナは約2GHz〜約18GHzの範囲で動作するように構成され、かつ第1ダイプレクサ20及び第2ダイプレクサ22の各々から、参照番号“1”及び“2”で示すパワーコンバイナ62の端子群のそれぞれの端子で受信する入力を合計するように構成される。このような構成により、マルチオクターブ出力(例えば、2.0〜18GHz)が出力ピン64で生成される。パワーコンバイナ62を通過するときの公称電力損失は約3dBである。スイッチマルチプレクサ回路10を出力ピン64から当該回路の方向に眺めると、第1信号経路34、第2信号経路36、第3信号経路38、または第4信号経路40のうちのいずれが送信スイッチ16によって選択されるかどうかに関係なく、出力インピーダンスの測定値は約2GHz〜約18GHzの範囲でほぼ一定である。」

(8)図2


図2によれば、文献1には以下のア〜クが記載されていると認められる。

ア スイッチマルチプレクサ10は、送信機12、送信スイッチ16、第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30、第1フィルタ66、第2フィルタ68、第3フィルタ70、第4フィルタ72、第1信号経路HPF42、第2信号経路LPF44、第3信号経路LPF46、第4信号経路HPF48、第1ダイプレクサ抵抗減衰器50、第3信号経路抵抗減衰器52、パワーコンバイナ62及び4個の抵抗体32(以下、これら4個の抵抗体32を、図2の上側から下側への順で、それぞれ「第1抵抗体32」、「第2抵抗体32」、「第3抵抗体32」及び「第4抵抗体32」という。)を備える。

イ 送信機12は、送信スイッチ16の共通ポート“C”と接続する。

ウ 送信スイッチ16の出力1は、第1スイッチ24の端子“1”と接続し、第1スイッチ24の端子“2”は第1抵抗体32を介して接地され、第1スイッチ24の出力端子“C”は第1フィルタ66の一端(以下、「第1端」という。)と接続し、第1フィルタ66の他端(以下、「第2端」という。)は第1信号経路HPF42を介して第1信号経路34に接続する。

エ 送信スイッチ16の出力2は、第2スイッチ26の端子“1”と接続し、第2スイッチ26の端子“2”は第2抵抗体32を介して接地され、第2スイッチ26の出力端子“C”は第2フィルタ68の一端(以下、「第3端」という。)と接続し、第2フィルタ68の他端(以下、「第4端」という。)は第2信号経路LPF44を介して第2信号経路36に接続する。

オ 送信スイッチ16の出力3は、第3スイッチ28の端子“1”と接続し、第3スイッチ28の端子“2”は第3抵抗体32を介して接地され、第3スイッチ28の出力端子“C”は第3フィルタ70の一端と接続し、第3フィルタ70の他端は第3信号経路抵抗減衰器52及び第3信号経路LPF46を介して第3信号経路38に接続する。

カ 送信スイッチ16の出力4は、第4スイッチ30の端子“1”と接続し、第4スイッチ30の端子“2”は第4抵抗体32を介して接地され、第4スイッチ30の出力端子“C”は第4フィルタ72の一端と接続し、第4フィルタ72の他端は第4信号経路HPF48を介して第4信号経路40に接続する。

キ 第1信号経路34及び第2信号経路36は、第1ダイプレクサ抵抗減衰器50を介してパワーコンバイナ62の端子“1”に接続する。

ク 第3信号経路38及び第4信号経路40は、パワーコンバイナ62の端子“2”に接続する。

(9)以上によれば、文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。なお、後の参照での便宜のため、引用発明を構成毎に分説し、それぞれの構成にA〜Oの記号を付した。

「A スイッチマルチプレクサ10であって、
B 送信機12、送信スイッチ16、第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30、第1フィルタ66、第2フィルタ68、第3フィルタ70、第4フィルタ72、第1信号経路HPF42、第2信号経路LPF44、第3信号経路LPF46、第4信号経路HPF48、第1ダイプレクサ抵抗減衰器50、第3信号経路抵抗減衰器52、パワーコンバイナ62並びに第1抵抗体32、第2抵抗体32、第3抵抗体32及び第4抵抗体32を備え(前記(8)ア)、
C 送信機12は、送信スイッチ16の共通ポート“C”と接続し(前記(8)イ)、
D 送信スイッチ16の出力1は、第1スイッチ24の端子“1”と接続し、第1スイッチ24の端子“2”は第1抵抗体32を介して接地され、第1スイッチ24の出力端子“C”は第1端と接続し、第2端は第1信号経路HPF42を介して第1信号経路34に接続し(前記(8)ウ)、
E 送信スイッチ16の出力2は、第2スイッチ26の端子“1”と接続し、第2スイッチ26の端子“2”は第2抵抗体32を介して接地され、第2スイッチ26の出力端子“C”は第3端と接続し、第4端は第2信号経路LPF44を介して第2信号経路36に接続し(前記(8)エ)、
F 送信スイッチ16の出力3は、第3スイッチ28の端子“1”と接続し、第3スイッチ28の端子“2”は第3抵抗体32を介して接地され、第3スイッチ28の出力端子“C”は第3フィルタ70の一端と接続し、第3フィルタ70の他端は第3信号経路抵抗減衰器52及び第3信号経路LPF46を介して第3信号経路38に接続し(前記(8)オ)、
G 送信スイッチ16の出力4は、第4スイッチ30の端子“1”と接続し、第4スイッチ30の端子“2”は第4抵抗体32を介して接地され、第4スイッチ30の出力端子“C”は第4フィルタ72の一端と接続し、第4フィルタ72の他端は第4信号経路HPF48を介して第4信号経路40に接続し(前記(8)カ)、
H 第1信号経路34及び第2信号経路36は、第1ダイプレクサ抵抗減衰器50を介してパワーコンバイナ62の端子“1”に接続し(前記(8)キ)、
I 第3信号経路38及び第4信号経路40は、パワーコンバイナ62の端子“2”に接続し(前記(8)ク)、
J 第2フィルタ68は約2〜約3.5GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し、第3フィルタ70は約3.5〜約6GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し、第1フィルタ66は約6〜約10.4GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し、第4フィルタ72は約10.4〜約18.0GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し(【0047】)、
K 送信スイッチ16は、共通ポート“C”を、出力1〜4のうちの一つの出力に接続するように構成され(【0040】)
L 第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、及び第4スイッチ30の内、送信スイッチ16または送信機12によって選択されない残りのスイッチ群は、これらのスイッチへの入力信号14を、これらのスイッチの各スイッチに示す端子“2”の抵抗体32で終端させ(【0044】)、
M スイッチマルチプレクサ回路10を出力ピン64から当該回路の方向に眺めると、第1信号経路34、第2信号経路36、第3信号経路38、または第4信号経路40のうちのいずれが送信スイッチ16によって選択されるかどうかに関係なく、出力インピーダンスの測定値はほぼ一定であり(【0053】)、
N 第1ダイプレクサ20は第2信号経路36に並列に接続される第1信号経路34を含む(【0037】)
O スイッチマルチプレクサ10。」

2 文献2の記載事項
原査定で引用された特開2008−118624号公報(以下、「文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(1)「【0009】
図2は、本発明に係る高周波電力増幅装置の構成を示す第一のブロック図である。105は2段増幅器の入力整合回路ブロック、106は2段増幅器の前段増幅回路ブロック、107は段間整合回路ブロック、108は後段増幅回路ブロック、109は出力整合回路ブロックである。図2の構成は、出力整合回路109にスイッチ素子が含まれており整合回路素子とスイッチ素子が第二の半導体チップ102上に形成されている例である。ブロック105、106、107、108は増幅素子を含む第一の半導体チップに形成されている。ブロック105、106、107、108は、まとめて主増幅ステージとも呼ばれ、ブロック109は主整合ステージとも呼ばれる。主増幅ステージは、主整合ステージの上流側に設けられる。主増幅ステージは、少なくともブロック108を含み、ブロック105、106、107は、省略してもよい。入力整合回路ブロック105および段間整合回路ブロック107は、高周波電力増幅装置内における比較的小電力信号の整合処理を行うため、外部インピーダンス回路への比較的大電力信号の整合処理を行う出力整合回路ブロック109に比べて、簡単な構成になっている。第一の半導体チップ101は高周波増幅素子が増幅した出力信号を出力する出力端子T1を有し、第二の半導体チップ102は高周波増幅素子の出力信号を受ける入力端子T2と、出力信号を整合させる高周波整合回路素子を有する。第二の半導体チップ102に設けられる高周波整合回路素子については、図6Aで詳しく説明する。
【0010】
図3は、本発明に係る高周波電力増幅装置の他の構成を示す第二のブロック図である。この構成例においては、入力整合回路105と出力整合回路109がスイッチ素子を含む第二の半導体チップ102に形成され、ブロック106、107、108は高周波増幅素子を含む第一の半導体チップに形成されている。ブロック105は前整合ステージとも呼ばれ、ブロック106、107、108はまとめて主増幅ステージとも呼ばれ、ブロック109は主整合ステージとも呼ばれる。主増幅ステージは主整合ステージの上流側に設けられ、前整合ステージは主増幅ステージの上流側に設けられる。主増幅ステージは、少なくともブロック108を含み、ブロック106、107は、省略してもよい。段間整合回路ブロック107は、高周波電力増幅装置内における比較的小電力信号の整合処理を行うため、外部インピーダンス回路への比較的大電力信号の整合処理を行う出力整合回路ブロック109に比べて、簡単な構成になっている。第一の半導体チップ101は高周波増幅素子が増幅する元信号を受ける入力端子T4を有し、第二の半導体チップは元信号を出力する出力端子T3と、元信号を整合させる高周波整合回路素子を有する。第二の半導体チップ102に設けられる高周波整合回路素子については、図7で詳しく説明する。
なお、ブロック109は、第二の半導体チップ102から切り離した個別の半導体チップで構成しても良い。この場合、ブロック109は、第一の半導体チップ101に含ませても良い。
【0011】
図4は、本発明に係る高周波電力増幅装置のさらに他の構成を示す第三のブロック図である。この構成例においては、入力整合回路105と段間整合回路107と出力整合回路109がスイッチ素子を含む第二の半導体チップ102に形成され、ブロック106、108は増幅素子を含む第一の半導体チップ101に形成されている。ブロック105は前整合ステージとも呼ばれ、ブロック106は前増幅ステージとも呼ばれ、ブロック107は中間整合ステージとも呼ばれ、ブロック108は主増幅ステージとも呼ばれ、ブロック109は主整合ステージとも呼ばれる。主増幅ステージは主整合ステージの上流側に設けられ、中間整合ステージは主増幅ステージの上流側に設けられ、前増幅ステージは中間整合ステージの上流側に設けられ、前整合ステージは前増幅ステージの上流側に設けられる。第一の半導体チップ101は前段の高周波増幅素子(ブロック106内にある)と後段の高周波増幅素子(ブロック108内にある)を有すると共に、前段の高周波増幅素子が増幅した整合前の段間信号を出力する出力端子T5を有し、第二の半導体チップ102は、整合前の段間信号を受ける入力端子T6と、整合前の段間信号を整合させる高周波整合回路素子を有する。更に、第一の半導体チップ101は、整合後の段間信号を受ける入力端子T8を有し、第二の半導体チップ102は整合後の段間信号を出力する出力端子T7を有する。第二の半導体チップ102に設けられる高周波整合回路素子については、図8で詳しく説明する。」

(2)図2


(3)図3


(4)図4


(5)以上によれば、文献2には、以下の技術(以下、「文献2技術」という。)が記載されている。

「入力整合回路ブロック105、前段増幅回路ブロック106、段間整合回路ブロック107、後段増幅回路ブロック108、スイッチ素子が含まれた出力整合回路ブロック109からなる高周波電力増幅装置であって(【0109】)、
第一の半導体チップにはブロック105、106、107、108及び出力端子T1が形成され、第二の半導体チップには出力整合回路ブロック109及び入力端子T2が形成される(【0009】)、又は、
第一の半導体チップにはブロック106、107、108が形成され、第二の半導体チップには入力整合回路105と出力整合回路109が形成される(【0010】)、又は、
第一の半導体チップにはブロック106、108が形成され、第二の半導体チップには入力整合回路105と段間整合回路107と出力整合回路109が形成される(【0011】)
高周波電力増幅装置。」

3 文献3の記載事項
原査定で引用された特開2017−204761号公報(以下、「文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。

(1)「【0014】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係るスイッチモジュール1の回路図である。図1に示されるように、スイッチモジュール1は、共通端子P1と、入出力端子P2,P3と、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)フィルタである第1フィルタSAW1と、第1スイッチSW1と、弾性表面波フィルタである第2フィルタSAW2と、第2スイッチSW2とを備える。第2フィルタSAW2の通過帯域は第1フィルタSAW1の非通過帯域に含まれる。スイッチモジュール1はSPDT(Single Pole Double Throw:単極双投)型のスイッチモジュールである。スイッチモジュール1はSPnT型(nが3以上)のスイッチモジュールであってもよい。」

(2)「【0021】
図2は、比較例1に係るスイッチモジュール100の回路図である。スイッチモジュール100とスイッチモジュール1との違いは、シャント接続スイッチとして第4スイッチSW4および第6スイッチSW6を備える点である。それ以外の構成についてはスイッチモジュール1と同様であるため説明を繰り返さない。
【0022】
第4スイッチSW4は、接地点と、第2スイッチSW2および第2フィルタSAW2の間の第1接続点C1との間の導通および非導通を切り替えるように構成されている。第4スイッチSW4は、第2スイッチSW2が導通している場合には非導通とされ、第2スイッチSW2が非導通である場合には導通とされるように構成されている。図2においては第2スイッチSW2が導通しているため第4スイッチSW4は非導通となっている。
【0023】
図2に示す第6スイッチSW6は、接地点と、第1スイッチSW1および第1フィルタSAW1の間の第3接続点C3との間の導通および非導通を切り替えるように構成されている。第6スイッチSW6は、第1スイッチSW1が導通している場合には非導通とされ、第1スイッチSW1が非導通である場合には導通とされるように構成されている。図2においては第1スイッチSW1が非導通であるため第6スイッチSW6は導通している。
【0024】
共通端子P1と入出力端子P3との間を第2フィルタSAW2の通過帯域の信号MS1が通過する場合、第1スイッチSW1が非導通状態としても、信号MS1の一部が信号LS1として、第1スイッチSW1に漏洩する。そのとき、第6スイッチSW6が無い場合、第1スイッチSW1(非導通)が、理想的なオープン状態ではなく、容量として見えるため、第1フィルタSAW1のインピーダンスの影響を受けてしまう。第1フィルタSAW1のインピーダンスの影響を受けないために、第3接続点C3に接地点と導通、非導通を切り替える第6スイッチSW6を配置し、第1スイッチSW1を非導通時に第6スイッチSW6を導通することで、第3接続点C3から見たインピーダンスは、ショート状態となり、第1フィルタSAW1のインピーダンスの影響を受けないようにすることができる。すなわち、共通端子P1から入出力端子P2を見たときのインピーダンスは、非導通である第1スイッチSW1の特性インピーダンスによって決定される。
【0025】
第2スイッチSW2の導通時の挿入損失を低減する方法として、非導通時の第1スイッチSW1の容量を小さくし、当該容量を介した漏洩電力を低減する方法を挙げることができる。非導通時の第1スイッチSW1の容量を小さくするには、第1スイッチSW1に使用するトランジスタのサイズ(例えば電界効果トランジスタのゲート幅)を小さくする必要がある。しかし、トランジスタのサイズを小さくすると、導通時の第1スイッチSW1の抵抗が大きくなり、第1スイッチSW1が導通している場合の挿入損失が大きくなってしまう。非導通時の第1スイッチSW1の容量値および導通時の第1スイッチSW1の抵抗値はトレードオフの関係にある。」

(3)「【0026】
そこで実施の形態1においては非導通であるシリーズ接続スイッチのインピーダンスおよび非通過帯域の信号に対するSAWフィルタのインピーダンスのいずれもが容量性(インピーダンスの虚数成分が負)であることに着目し、共通端子P1から第1フィルタSAW1を見たときのインピーダンスが、非導通である第1スイッチSW1のインピーダンスおよび非通過帯域の信号に対する第1フィルタSAW1のインピーダンスの合成となるように、シャント接続スイッチを備えないこととした。このような構成により、共通端子P1から第1フィルタSAW1を見たときのインピーダンスをオープン状態とすることができる。」

(4)「【0028】
スイッチが非導通である信号経路への信号の漏れは、当該信号経路のインピーダンスがオープン状態に近づくほど小さくなる。シャント接続スイッチを備えなくても、信号経路のインピーダンスをオープン状態に近づけることにより、当該信号経路に接続されている端子からの信号の漏れを防止し、挿入損失を改善することができる。
【0029】
実施の形態1によれば、スイッチモジュール1の挿入損失を低減することができる。
以下では、実施の形態1に係るスイッチモジュール1のインピーダンスが比較例1に係るスイッチモジュール100のインピーダンスとどのように異なるかを説明するために、まず図3を用いて比較例1に係るスイッチモジュール100のインピーダンスについて説明し、その後に図4を用いて実施の形態1に係るスイッチモジュール1のインピーダンスについて説明する。」

(5)「【0047】
[実施の形態1の変形例1]
スイッチモジュール1においては、第1フィルタSAW1の通過帯域および第2フィルタSAW2の通過帯域が重複しておらず、スイッチモジュール1はシャント接続スイッチを備えていない。しかし、スイッチモジュールに含まれる2つのフィルタの通過帯域が重複している場合、シャント接続スイッチが必要になる。実施の形態1の変形例1においては、シャント接続スイッチが必要になる場合について説明する。実施の形態1の変形例1において実施の形態1と同じ参照符号が付されている構成については同様の構成であるため説明を繰り返さない。
【0048】
図8は、実施の形態1の変形例1に係るスイッチモジュール1Aの回路図である。図8に示されるように、スイッチモジュール1Aは、入出力端子P4と、第3スイッチSW3と、弾性表面波フィルタである第3フィルタSAW3と、シャント接続スイッチである第4スイッチSW4および第5スイッチSW5とを備える。スイッチモジュール1AはSPT型のスイッチモジュールである。スイッチモジュール1AはSPnT型(nが4以上)のスイッチモジュールであってもよい。」

(6)「【0057】
[実施の形態1の変形例2]
実施の形態1、および変形例1においては、スイッチモジュールに共通端子P1と、SAWフィルタ毎に接続された入出力端子とが備えられている場合について説明した。複数の入出力端子は1つの共通端子にまとめることができる。実施の形態1の変形例2においては、スイッチモジュールが2つの共通端子を備える場合について説明する。実施の形態1の変形例2において、各SAWフィルタと共通端子P1との間の構成は実施の形態1の変形例1と同様であるため説明を繰り返さない。
【0058】
図9は、実施の形態1の変形例2に係るスイッチモジュール1Bの回路図である。図9に示されるように、スイッチモジュール1Bは、共通端子P2B(第2端子)と、第7スイッチSW7と、第8スイッチSW8と、第9スイッチSW9と、シャント接続スイッチである第10スイッチSW10および第11スイッチSW11とを備える。」

(7)「【0064】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、共通端子P1から各入出力端子までのインピーダンスをオープン状態とするために、シャント接続スイッチを備えず、スイッチからSAWフィルタまでの接続経路が接地点と接続されていない場合について説明した。共通端子P1から各入出力端子までのインピーダンスをオープン状態とする方法は、シャント接続スイッチを備えないことに限定されない。スイッチからSAWフィルタまでの接続経路が接地点と導通されなければどのような方法でもよい。実施の形態2においては、シャント接続スイッチを備えながら、スイッチの導通および非導通によらずシャント接続スイッチを非導通と制御することにより、スイッチからSAWフィルタまでの接続経路が接地点に導通されない場合について説明する。実施の形態2において実施の形態1と同じ参照符号が付されている構成については同様の構成であるため説明を繰り返さない。
【0065】
図10は、実施の形態2に係るスイッチモジュール2の回路図である。図10に示されるように、スイッチモジュール2は、シャント接続スイッチとして第4スイッチSW4と第6スイッチSW6とを備える。
【0066】
第4スイッチSW4は、接地点と、第2スイッチSW2および第2フィルタSAW2の間の第1接続点C1との間の導通および非導通を切り替えるように構成されている。第4スイッチSW4は第2スイッチSW2が導通である場合も非導通である場合も非導通であるように構成される。
【0067】
第6スイッチSW6は、接地点と、第1スイッチSW1および第1フィルタSAW1の間の第3接続点C3との間の導通および非導通を切り替えるように構成されている。第6スイッチSW6は第1スイッチSW1が導通である場合も非導通である場合も非導通であるように構成される。」

(8)「【0069】
[実施の形態2の変形例1]
実施の形態2についても、実施の形態1と同様にスイッチモジュールに含まれる2つのフィルタの通過帯域が重複している場合の変形例1に係るスイッチモジュール2A(図11)を示すことができる。実施の形態1の変形例1と実施の形態2の変形例1との違いは、接地点と、第1スイッチSW1と第1フィルタSAW1との間の第3接続点C3との間に実施の形態2において既に説明した第6スイッチSW6が接続されている点である。それ以外の構成については実施の形態1の変形例1と同様であるため説明を繰り返さない。
【0070】
実施の形態2の変形例1によっても実施の形態1と同様にスイッチモジュール2の挿入損失を低減することができる。
【0071】
[実施の形態2の変形例2]
実施の形態2についても、実施の形態1と同様に共通端子を2つ備える変形例2に係るスイッチモジュール2B(図12)を示すことができる。実施の形態1の変形例2と実施の形態2の変形例2との違いは、第1スイッチSW1と第1フィルタSAW1との間の第3接続点C3との間に第6スイッチSW6が接続されている点、および第7スイッチSW7と第1フィルタSAW1との間の第6接続点C6との間に第12スイッチSW12が接続されている点である。それ以外の構成については実施の形態1の変形例2と同様であるため説明を繰り返さない。また、第6スイッチSW6は実施の形態2と同様であるため説明を繰り返さない。」

(9)図1


(10)図2


(11)図8


(12)図9


(13)図10


(14)図11


(15)図12


(16)以上によれば、文献3には、以下の技術(以下、「文献3技術」という。)が記載されている。

「スイッチモジュール1、1A、1B、2、2A及び2Bであって、
比較例1に係るスイッチモジュール100は、シャント接続スイッチとして第4スイッチSW4および第6スイッチSW6を備え(【0021】)、第4スイッチSW4は、接地点と、第2スイッチSW2および第2フィルタSAW2の間の第1接続点C1との間の導通および非導通を切り替えるように構成され(【0022】)、第6スイッチSW6は、接地点と、第1スイッチSW1および第1フィルタSAW1の間の第3接続点C3との間の導通および非導通を切り替えるように構成され(【0023】)、非導通時の第1スイッチSW1の容量値および導通時の第1スイッチSW1の抵抗値はトレードオフの関係にある(【0025】)ところ、
実施の形態1に係るスイッチモジュール1(【0014】)においては、共通端子P1から第1フィルタSAW1を見たときのインピーダンスが、非導通である第1スイッチSW1のインピーダンスおよび非通過帯域の信号に対する第1フィルタSAW1のインピーダンスの合成となるように、シャント接続スイッチを備えないこととし、このような構成により、共通端子P1から第1フィルタSAW1を見たときのインピーダンスをオープン状態とすることができ(【0026】)、信号経路のインピーダンスをオープン状態に近づけることにより、当該信号経路に接続されている端子からの信号の漏れを防止し、挿入損失を改善することができ(【0028】)、
実施の形態1の変形例1に係るスイッチモジュール1A(【0048】)は、スイッチモジュールに含まれる2つのフィルタの通過帯域が重複している場合、シャント接続スイッチが必要になる(【0047】)ものであり、
実施の形態1の変形例2に係るスイッチモジュール1B(【0058】)においては、複数の入出力端子を1つの共通端子にまとめることができ(【0057】)、
実施の形態2に係るスイッチモジュール2(【0065】)においては、共通端子P1から各入出力端子までのインピーダンスをオープン状態とする方法がシャント接続スイッチを備えないことに限定されず、スイッチの導通および非導通によらずシャント接続スイッチを非導通と制御する(【0064】)ものであり、
実施の形態2の変形例1に係るスイッチモジュール2Aは、実施の形態1と同様にスイッチモジュールに含まれる2つのフィルタの通過帯域が重複している場合の変形例1に係り(【0069】)、
実施の形態2の変形例2に係るスイッチモジュール2Bは、実施の形態1と同様に共通端子を2つ備える変形例2に係る、
スイッチモジュール1、1A、1B、2、2A及び2B。」

4 文献4の記載事項
原査定で引用された特開2014−154942公報(以下、「文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。

(1)「【0001】
本発明は、高周波モジュールに関し、例えば複数の分波器を備えた高周波モジュールに関する。」

(2)「【0016】
図1は、実施例1に係る高周波モジュールを備えた携帯電話端末の無線装置部を示す回路図である。図1のように、携帯電話端末の無線装置部は、アンテナ10、スイッチ12、実施例1の高周波モジュール20、パワーアンプ(PA:Power Amplifier)14、及びIC(Integrated Circuit)16を備えている。高周波モジュール20は、5つの分波器22と1つのフィルタ24とを備えている。IC16は、複数のローノイズアンプ(LNA:Low Noise Amplifier)18を備えている。IC16は、信号の周波数の変換を行うダイレクトコンバータとして機能する。」

(3)「【0023】
図3は、実施例1に係る高周波モジュールの断面図である。なお、図3では、図の明瞭化のために、1つの分波器22について図示しているが、その他の分波器22及びフィルタ24についても同様である。図3のように、分波器22は、バンプ34により基板36にフリップチップ実装された受信フィルタ26と送信フィルタ28とを有する。なお、図3においては、受信フィルタ26のみを図示している。受信フィルタ26と送信フィルタ28とは、封止部38によって封止されている。基板36は、例えばセラミック等の絶縁体により形成されている。バンプ34は、例えば金(Au)等の金属により形成されている。封止部38は、例えばエポキシ樹脂等により形成されている。
【0024】
配線基板32は、複数の層が積層された多層配線基板であり、上側の層である第1層40と下側の層である第2層42とを有する。配線基板32は、例えば樹脂からなるプリント基板である。第1層40の上面には、パッド44が設けられている。パッド44は、例えばAu等の金属により形成されている。分波器22は、半田46によりパッド44に搭載されている。受信フィルタ26及び送信フィルタ28とパッド44とは、基板36を貫通して設けられた配線(不図示)によって電気的に接続されている。」

(4)「【0028】
図5(a)のように、配線基板32を構成する第1層40の上面には、複数のパッド44が設けられている。分波器22及びチップ部品33は、パッド44に搭載されている。分波器22のアンテナ端子はアンテナ用パッドAntに接続され、送信端子は送信用パッドTxに接続され、受信端子は受信用パッドRx1、Rx2に接続されている。分波器22のグランド端子は、グランド用パッド(Ant、Tx、Rx1、Rx2以外のパッド)に接続されている。複数のパッド44には、第1層40を貫通するビア配線(図中の黒丸)が接続されている。分波器22が搭載された複数のパッド44に接続されるビア配線をそれぞれV1〜V9とする。ビア配線V1〜V9は、図3で示した配線48の一部である。
【0029】
図5(b)のように、配線基板32を構成する第2層42の上面には、面内を延在する複数の配線パターン56が設けられている。複数の配線パターン56には、第1層40を貫通するビア配線V1〜V9が接続されている。また、複数の配線パターン56には、第2層42を貫通するビア配線V11〜V19が接続されている。即ち、配線パターン56は、ビア配線間を接続するパターンである。配線パターン56及びビア配線V11〜V19は、図3で示した配線48の一部である。ビア配線V1、V3、V7、及びV8はそれぞれ、アンテナ用パッドAnt、送信用パッドTx、受信用パッドRx1、Rx2に接続されていることから(図5(a)参照)、これらのビア配線に接続する配線パターン56a、56b、56c、及び56dは、信号が伝搬する信号配線パターンである。
【0030】
図5(c)のように、第2層42の下面には、複数の外部接続端子30が設けられている。複数の外部接続端子30には、第2層42を貫通するビア配線V11〜V19が接続されている。したがって、複数の外部接続端子30は、アンテナ用の外部接続端子Ant、送信用の外部接続端子Tx、受信用の外部接続端子Rx1、Rx2、及びグランド用の外部接続端子Gndを含んでいる。複数の外部接続端子30のうちのグランド用の外部接続端子Gndを全て含む大部分の外部接続端子30は、格子状に規則性を持って配置されている。アンテナ用の外部接続端子Ant、送信用の外部接続端子Tx、受信用の外部接続端子Rx1、Rx2は、格子状の規則性から外れて配置されている。」

(5)「【0037】
一方、実施例1では、図5(c)のように、複数の外部接続端子30のうちのアンテナ用の外部接続端子Ant、送信用の外部接続端子Tx、及び受信用の外部接続端子Rx1、Rx2が、複数の外部接続端子30の格子状の規則的な配置からずれて配置されている。これにより、図5(b)での信号が伝搬する配線パターン56a〜56dの長さを短くできるような位置に、アンテナ用の外部接続端子Ant、送信用の外部接続端子Tx、及び受信用の外部接続端子Rx1、Rx2を配置することができる。したがって、実施例1によれば、信号が伝搬する配線の長さを短くできるため、信号へのノイズの混入及び送受信感度の低下等を抑制でき、特性の劣化を抑えることができる。なお、図5(c)では、アンテナ用の外部接続端子Ant、送信用の外部接続端子Tx、及び受信用の外部接続端子Rx1、Rx2の全てが規則的な配置からずれて配置されているが、これらの外部接続端子の少なくとも1つが規則的な配置からずれて配置されていれば、特性の劣化抑制の効果が得られる。」

(6)図1


(7)図3


(8)図5


(9)以上によれば、文献4には、以下の技術(以下、「文献4技術」という。)が記載されている。

「複数の分波器を備えた高周波モジュールであって(【0001】)、
高周波モジュール20は、5つの分波器22と1つのフィルタ24とを備えており(【0016】)、
分波器22は、バンプ34により基板36にフリップチップ実装された受信フィルタ26と送信フィルタ28とを有し(【0023】)、
配線基板32は、複数の層が積層された多層配線基板であり、上側の層である第1層40と下側の層である第2層42とを有し、第1層40の上面には、パッド44が設けられ、分波器22は、半田46によりパッド44に搭載され、受信フィルタ26及び送信フィルタ28とパッド44とは、基板36を貫通して設けられた配線によって電気的に接続され(【0024】)、
分波器22のアンテナ端子はアンテナ用パッドAntに接続され、送信端子は送信用パッドTxに接続され、受信端子は受信用パッドRx1、Rx2に接続され(【0028】)、
配線基板32を構成する第2層42の上面には、面内を延在する複数の配線パターン56が設けられ、複数の配線パターン56には、第1層40を貫通するビア配線V1〜V9が接続され、複数の配線パターン56には、第2層42を貫通するビア配線V11〜V19が接続され、ビア配線V1、V3、V7、及びV8はそれぞれ、アンテナ用パッドAnt、送信用パッドTx、受信用パッドRx1、Rx2に接続され(【0029】)、
第2層42の下面には、複数の外部接続端子30が設けられ、複数の外部接続端子30には、第2層42を貫通するビア配線V11〜V19が接続され、複数の外部接続端子30のうちのグランド用の外部接続端子Gndを全て含む大部分の外部接続端子30は、格子状に規則性を持って配置され、アンテナ用の外部接続端子Ant、送信用の外部接続端子Tx、受信用の外部接続端子Rx1、Rx2は、格子状の規則性から外れて配置され(【0030】)、
これにより、信号が伝搬する配線パターン56a〜56dの長さを短くできるような位置に、アンテナ用の外部接続端子Ant、送信用の外部接続端子Tx、及び受信用の外部接続端子Rx1、Rx2を配置することができる(【0037】)
高周波モジュール。」


第6 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比する。
(1)対比
ア 引用発明の「第1フィルタ66」及び「第2フィルタ68」は、それぞれ本願発明1の「第1フィルタ」及び「第2フィルタ」に相当する。

イ 引用発明の「第1端」及び「第2端」は、第1フィルタに信号を入出力するためのものである点で、それぞれ本願発明1の「第1入出力端子」及び「第2入出力端子」と対応する。
よって、本願発明1と引用発明とは、「第1入出力部と」、「第2入出力部と」、「前記第1入出力部と前記第2入出力部とを結ぶ経路上に配置された第1フィルタと」を備える点で共通する。

ウ 引用発明の「第3端」及び「第4端」は、第2フィルタに信号を入出力するためのものである点で、それぞれ本願発明1の「第3入出力端子」及び「第4入出力端子」と対応する。
よって、本願発明1と引用発明とは、「第3入出力部と」、「第4入出力部と」、「前記第3入出力部と前記第4入出力部とを結ぶ経路上に配置された第2フィルタと」を備える点で共通する。

エ 引用発明では「第1スイッチ24の出力端子“C”は第1端と接続し」ている(構成D)から、「第1スイッチ24」と「第1端」との間に配線(以下、「第1配線」という。)が接続されていることは明らかである。
そして、引用発明の「第1配線」が「第1フィルタ66」を通過する信号を伝搬することは明らかであるから、本願発明1と引用発明とは「前記第1入出力部に接続され、前記第1フィルタを通過する信号が伝搬される第1配線」を備える点で共通する。

オ 引用発明では「第2スイッチ26の出力端子“C”は第3端と接続し」ている(構成E)から、「第2スイッチ26」と「第3端」との間に配線(以下、「第2配線」という。)が接続されていることは明らかである。
そして、引用発明の「第2配線」が「第2フィルタ68」を通過する信号を伝搬することは明らかであるから、本願発明1と引用発明とは「前記第3入出力部に接続され、前記第2フィルタを通過する信号が伝搬される第2配線」を備える点で共通する。

カ 引用発明では「第2端は第1信号経路HPF42を介して第1信号経路34に接続し」ている(構成D)から、「第2端」と「第1信号経路HPF42」との間に配線(以下、「第3配線」という。)が接続されていることは明らかである。
そして、引用発明の「第3配線」が「第1フィルタ66」を通過する信号を伝搬することは明らかであるから、本願発明1と引用発明とは「前記第2入出力部に接続され、前記第1フィルタを通過する信号が伝搬される第3配線」を備える点で共通する

キ 引用発明では「第4端は第2信号経路LPF44を介して第2信号経路36に接続し」ている(構成E)から、「第4端」と「第2信号経路LPF44」との間に配線(以下、「第4配線」という。)が接続されていることは明らかである。
そして、引用発明の「第4配線」が「第2フィルタ68」を通過する信号を伝搬することは明らかであるから、本願発明1と引用発明とは「前記第4入出力部に接続され、前記第2フィルタを通過する信号が伝搬される第4配線」を備える点で共通する

ク 引用発明の「第1ダイプレクサ20」は、「第1信号経路34」及び「第2信号経路36」を含む(構成N)から、「第1フィルタ66」及び「第2フィルタ68」を備えるフィルタモジュールであるといえる。
よって、本願発明1と引用発明とは「フィルタモジュール」である点で共通する。

ケ 前記ア〜クによれば、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

〈一致点〉
「第1入出力部と、
第2入出力部と、
前記第1入出力部と前記第2入出力部とを結ぶ経路上に配置された第1フィルタと、
第3入出力部と、
第4入出力部と、
前記第3入出力部と前記第4入出力部とを結ぶ経路上に配置された第2フィルタと、
前記第1入出力部に接続され、前記第1フィルタを通過する信号が伝搬される第1配線と、
前記第3入出力部に接続され、前記第2フィルタを通過する信号が伝搬される第2配線と、
前記第2入出力部に接続され、前記第1フィルタを通過する信号が伝搬される第3配線と、
前記第4入出力部に接続され、前記第2フィルタを通過する信号が伝搬される第4配線と、を備える
フィルタモジュール。」
である点。

〈相違点1〉
本願発明1の「第1入出力端子」、「第2入出力端子」、「第3入出力端子」及び「第4入出力端子」は「端子」であるが、引用発明の「第1端」、「第2端」、「第3端」及び「第4端」は「端子」であるか否かが明らかではない点。

〈相違点2〉
本願発明1の「第1入出力端子」、「第2入出力端子」、「第1フィルタ」、「第3入出力端子」、「第4入出力端子」及び「第2フィルタ」は「第1基板」に設けられているが、引用発明の「第1端」、「第2端」、「第1フィルタ66」、「第3端」、「第4端」及び「第2フィルタ68」がどこに設けられているかは限定されていない点。

〈相違点3〉
本願発明1の「第1スイッチ」は「第1配線とグランドとの導通および非導通を切り替える」ものであるが、引用発明の「第1スイッチ24」は、「送信スイッチ16または送信機12」によって選択されない場合、「スイッチへの入力信号14を」「スイッチに示す端子“2”の抵抗体32で終端させ」る(構成L)ものであって、「第1配線」と「グランド」との導通・非導通を切り替えるものであるか否かが不明である点。

〈相違点4〉
本願発明1の「第2スイッチ」は「第2配線とグランドとの導通および非導通を切り替える」ものであるが、引用発明の「第2スイッチ26」は、「送信スイッチ16または送信機12」によって選択されない場合、「スイッチへの入力信号14を」「スイッチに示す端子“2”の抵抗体32で終端させ」る(構成L)ものであって、「第2配線」と「グランド」との導通・非導通を切り替えるものであるか否かが不明である点。

〈相違点5〉
本願発明1は「第3スイッチ」及び「第4スイッチ」を備えるのに対し、引用発明はこれらに対応するスイッチを備えない点。

〈相違点6〉
本願発明1は「前記第1スイッチによって前記第1配線とグランドとが導通となっており、かつ、前記第3スイッチによって前記第3配線とグランドとが導通となっているときには、前記第2スイッチによって前記第2配線とグランドとは非導通となり、かつ、前記第4スイッチによって前記第4配線とグランドとは非導通となり」、「前記第2スイッチによって前記第2配線とグランドとが導通となっており、かつ、前記第4スイッチによって前記第4配線とグランドとが導通となっているときには、前記第1スイッチによって前記第1配線とグランドとは非導通となり、かつ、前記第3スイッチによって前記第3配線とグランドとは非導通とな」るものであるのに対し、
引用発明は、「送信スイッチ16」が「共通ポート“C”を、出力1〜4のうちの一つの出力に接続するように構成され」(構成K)、「第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、及び第4スイッチ30の内、送信スイッチ16または送信機12によって選択されない残りのスイッチ群は、これらのスイッチへの入力信号14を、これらのスイッチの各スイッチに示す端子“2”の抵抗体32で終端させ」る(構成L)ものである点。

〈相違点7〉
本願発明1は、「前記第1入出力端子と前記第3入出力端子とは、隣接」し、「前記第2入出力端子と前記第4入出力端子とは、隣接」しているが、引用発明の「第1端」〜「第4端」の隣接関係は不明である点。

〈相違点8〉
本願発明1は「第1の基板上配線」及び「第2の基板上配線」を有するのに対し、引用発明はそれらに対応する配線を有するか否かが不明である点。
これに付随し、本願発明1は「前記第1の基板上配線の少なくとも一部と、前記第2の基板上配線の少なくとも一部とは、前記第1基板上で隣接している」のに対し、引用発明ではそのような隣接関係が不明である点。

(2)判断
事案に鑑み、相違点6について検討する。

ア 本願発明1は「前記第1スイッチによって前記第1配線とグランドとが導通となっており、かつ、前記第3スイッチによって前記第3配線とグランドとが導通となっているときには、前記第2スイッチによって前記第2配線とグランドとは非導通となり、かつ、前記第4スイッチによって前記第4配線とグランドとは非導通となり」、「前記第2スイッチによって前記第2配線とグランドとが導通となっており、かつ、前記第4スイッチによって前記第4配線とグランドとが導通となっているときには、前記第1スイッチによって前記第1配線とグランドとは非導通となり、かつ、前記第3スイッチによって前記第3配線とグランドとは非導通とな」るものである。
要するに、本願発明1は、第1スイッチ〜第4スイッチによって、第1フィルタ及び第2フィルタの一方がグランドと導通されているときは、他方がグランドと非導通となっている。

イ 引用発明は、送信スイッチ16は、共通ポート“C”を、出力1〜4のうちの一つの出力に接続するように構成され(構成K)、第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、及び第4スイッチ30の内、送信スイッチ16または送信機12によって選択されない残りのスイッチ群は、これらのスイッチへの入力信号14を、これらのスイッチの各スイッチに示す端子“2”の抵抗体32で終端させ(構成L)るものである。
引用発明の各スイッチの端子“2”を抵抗体32で終端させることは、本願発明1におけるグランドと導通することではないが、仮に、抵抗体32で終端させることがグランドと導通することと同義であるとしても、引用発明において、送信スイッチ16が第3スイッチ28又は第4スイッチ30に接続された場合、第1スイッチ24及び第2スイッチ26の両者は、入力信号14を抵抗体32で終端させることになる。すなわち、第1スイッチ24及び第2スイッチ26に接続された第1フィルタ66及び第2フィルタ68は、共に、入力信号14を抵抗体32で終端させた状態となるため、本願発明1のように、第1フィルタ66及び第2フィルタ68の一方がグランドと導通し、他方がグランドと非導通とはならない。

ウ 加えて、引用発明が解決しようとする課題は、「安定した出力インピーダンスを実現」(【0005】)することにある。
引用発明は、「抵抗体32を…(中略)…スイッチに取り付けることにより、安定した出力インピーダンスが、模式図に示す出力ピン64から見たときに分かるように、…(中略)…得られる。」(【0045】)もの、すなわち、「スイッチマルチプレクサ回路10を出力ピン64から当該回路の方向に眺めると、第1信号経路34、第2信号経路36、第3信号経路38、または第4信号経路40のうちのいずれが送信スイッチ16によって選択されるかどうかに関係なく、出力インピーダンスの測定値はほぼ一定であ」るもの(構成M)であるから、引用発明の「抵抗体32」は引用発明の課題を解決するために必要不可欠のものであり、「抵抗体32」を取り去ること、ないし、第1スイッチ24及び第2スイッチ26の端子“2”を「抵抗体32」を介さずにグランドと導通させるよう構成することは、引用発明の課題に反することである。

エ 文献3技術の「スイッチモジュール1」は、シャント接続スイッチとしての「第4スイッチSW4」及び「第6スイッチSW6」を備えないようにするものであり、「第4スイッチSW4」及び「第6スイッチSW6」は、フィルタと接地点との間の導通及び非導通を切り替えるものである。
文献3技術の「スイッチモジュール1」を引用発明に適用しようとすると、引用発明の「第1スイッチ24」及び「第2スイッチ26」を設けないようにすることになり、それに伴って「第1スイッチ24」及び「第2スイッチ26」に接続された「抵抗体32」を取り去ることになるが、「抵抗体32」は、前記ウのとおり、引用発明の課題を解決するために必要不可欠のものであるから、引用発明に文献3技術の「スイッチモジュール1」を適用することには阻害要因がある。

オ 文献3技術の「スイッチモジュール1A」は、「2つのフィルタの通過帯域が重複している場合」に「シャント接続スイッチが必要になる」ものであるところ、引用発明の「第1フィルタ66」〜「第4フィルタ72」は、通過帯域が重複しておらず(構成J)、引用発明に文献3技術の「スイッチモジュール1A」を適用する動機付けは存在しない。

カ 文献3技術の「スイッチモジュール1B」は、「複数の入出力端子を1つの共通端子にまとめる」ものであるが、前記エ及びオと同様の理由により、引用発明に文献3技術の「スイッチモジュール1B」を適用することには、阻害要因があるか又は動機付けがない。

キ 文献3技術の「スイッチモジュール2」は、「共通端子P1から各入出力端子までのインピーダンスをオープン状態とする方法」として、前記エのような「シャント接続スイッチを備えない」ことではなく、「スイッチの導通および非導通によらずシャント接続スイッチを非導通と制御する」ことを採用したものである。
文献3技術の「スイッチモジュール2」を引用発明に適用しようとすると、引用発明の送信スイッチ16の接続の如何によらず、「第1スイッチ24」及び「第2スイッチ26」を常に非導通にすることになり、この場合、引用発明の「抵抗体32」による課題解決は得られないことが明らかであるから、引用発明に文献3技術の「スイッチモジュール2」を適用することには阻害要因がある。

ク 文献3技術の「スイッチモジュール2A」及び「スイッチモジュール2B」についても、前記オ及びカと同様に(阻害要因については前記キに準ずる)、引用発明に「スイッチモジュール2A」及び「スイッチモジュール2B」を適用することには、阻害要因があるか又は動機付けがない。

ケ 前記エ〜クのとおりであるから、引用発明に文献3技術を適用するには、阻害要因があるか又は動機付けがない。

コ また、本願発明1の相違点6に係る構成については、文献2及び4にも記載されていない。

サ 加えて、引用発明において、第1フィルタ66及び第2フィルタ68の一方がグランドと導通されているときに他方がグランドと非導通となるように構成することを動機付ける文献は存在しない。

シ 以上によれば、本願発明1の相違点6に係る構成は、引用発明及び文献2〜4の記載から当業者といえども容易に想到し得るものではない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び文献2〜4の記載から当業者が容易に想到し得るものではない。

2 本願発明2〜20について
本願発明2〜20は、いずれも、本願発明1の従属発明であるから、前記相違点6を含む。
したがって、前記1(2)のとおりであるから、本願発明2〜20は、いずれも、引用発明及び文献2〜4の記載から当業者が容易に想到し得るものではない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1〜20は、当業者が引用発明及び文献2〜4の記載に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-01-26 
出願番号 P2019-562159
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H03H)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 丸山 高政
衣鳩 文彦
発明の名称 フィルタモジュール  
代理人 傍島 正朗  
代理人 吉川 修一  
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