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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04B
管理番号 1386995
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-17 
確定日 2022-07-21 
事件の表示 特願2016−171348「無線通信装置、無線通信システム、および無線通信状態確認方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月 8日出願公開、特開2018− 37967〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月2日に出願された特願2016−171348号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和2年 8月21日付け:拒絶理由通知
令和2年10月19日 :意見書・手続補正書
令和3年 3月23日付け:拒絶査定
令和3年 6月17日 :審判請求・手続補正書
令和4年 1月14日付け:拒絶理由通知
令和4年 2月17日 :意見書・手続補正書


第2 本願発明
令和4年 2月17日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「 相手局と無線通信を行う無線通信部と、
前記相手局における、前記無線通信部が送信した無線信号の受信強度である相手局受信強度を取得する相手局受信強度取得部と、
前記無線通信部が前記相手局から受信した無線信号の受信強度である自局受信強度を検出する自局受信強度検出部と、
前記相手局受信強度取得部が取得した前記相手局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する相手局受信強度出力部と、
前記自局受信強度検出部が検出した前記自局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する自局受信強度出力部と、を備え、
前記相手局受信強度出力部は、7セグメントを用いた第1表示器で前記相手局受信強度に応じた値を数値で表示し、
前記自局受信強度出力部は、7セグメントを用いた第2表示器で前記自局受信強度に応じた値を数値で表示する、
無線通信装置。」


第3 拒絶の理由
令和4年 1月14日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、理由2の概要は、次のとおりである。
「2.(進歩性)この出願の請求項1−6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2010−177805号公報」


第4 引用文献の記載及び引用発明
1 令和4年 1月14日付けの拒絶理由で引用した特開2010−177805号(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、親機と子機とが無線回線を介して接続する無線通信システム,無線通信方法及び無線通信用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
親機と子機からなる無線LANシステムにおいては、気象状況の変化や地理的条件の変化などによって通信条件が少し変化した場合においても、親機と子機の間の通信が安定に行われるようにするため、親機及び子機の互いの受信レベルができるだけ大きくなるように両者のアンテナの向きを調整しておくことが重要である。しかし、通常は、親機と子機の設置場所が離れているので、それぞれの受信レベルを確認しながら互いのアンテナの向きを調整するのは手間がかかっていた。」

(2)「【0013】
以下、本発明にかかる一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
本実施形態の無線通信システムは、無線LAN装置であり、親機1と子機2とを備えた構成である。図1は、本実施形態の親機1の構成を示す機能ブロック図である。また、図2は、本実施形態の子機2の構成を示す機能ブロック図である。
【0015】
本実施形態の親機1は、図1に示すように、無線回線から電波を送受信する通信用アンテナ10と、子機2から送られた信号をアンテナ10を介して受信する受信部11と、アンテナ10を介して子機2へ信号を送信する送信部12と、サーバなどの情報機器に接続するインタフェース部13と、子機2から送られてくる子機側受信レベルを表示する子機側受信レベル表示部14と、受信部11が受信した信号のレベルを親機側受信レベルとして測定する受信レベル測定部15と、受信レベル測定部15で測定された親機側受信レベルを表示する親機側受信レベル表示部16と、子機2から送られてくる子機側受信レベルに基づいて送信部12から送信する信号のレベルを調整する送信レベル調整部17と、アンテナ10を駆動しアンテナ10の向きを変えるアンテナ駆動部18と、これら受信部11,送信部12,インタフェース部13,子機側受信レベル表示部14,受信レベル測定部15,親機側受信レベル表示部16,送信レベル調整部17,アンテナ駆動部18の動作を制御する主制御部19とを備えている。
【0016】
また、子機2は、図2に示すように、通信用のアンテナ20と、親機1から送られた信号をアンテナ20を介して受信する受信部21と、アンテナ20を介して親機1へ信号を送信する送信部22と、情報端末に接続するインタフェース部23と、受信部21に受信された信号のレベルを測定する受信レベル測定部24と、子機2の全体動作を制御する主制御部29とを備えている。主制御部29は、受信レベル測定部24が測定した受信レベルを送信部22へ送り、親機1へ送信させる受信レベル通知部としての機能を備えている。
【0017】
親機1に装備された受信部11は、子機2からの信号をアンテナ10を介して受信して復調しデータ信号を復元し、このデータ信号を出力する。送信部12は、高周波の搬送波を発生させ、情報機器からインタフェース部13に入力されたデータ信号で搬送波を変調し増幅してアンテナ10へ出力する。
【0018】
子機側受信レベル表示部14は、子機2における受信レベル測定部24に測定された子機側受信レベルを受信部11を介して取得し表示する。また、子機側受信レベル表示部14は、子機側受信レベルが予め設定された下限値を下回ったらアラームを表示するアラーム表示部14aを備えている。この子機側受信レベル表示部14は、異なる色の複数のLED(Light Emitting Diode)を有しており、色の種類と点灯/点滅の組み合わせでレベルの値を段階的に表示するように構成している。図3は、子機側受信レベル表示部14の表示形式を説明する図である。
【0019】
図3に示すように、本実施形態の子機側受信レベル表示部14は、受信レベルを大きいほうから緑点滅,緑点灯,橙点滅,橙点灯,赤点灯で表示するように構成されており、アラーム表示部14aは、アラームとして赤点滅を表示するように構成されている。このように、子機側受信レベルを表示することにより、管理者は親機1側に居ながら子機2の受信状態を確認することができる。
【0020】
ここで、図1には、親機1が子機側受信レベル表示部14を1つ装備しているように示されているが、子機2が複数ある無線通信システムであれば、親機1が、複数の子機側受信レベル表示部14を備えることにより、管理者は各子機2の受信レベルを確認することができる。
【0021】
受信レベル測定部15は、アンテナ10に受信されて受信部11が入力した信号のレベルを親機側受信レベルとして測定する。親機側受信レベル表示部16は、受信レベル測定部15で測定された親機側受信レベルを表示する。また、親機側受信レベル表示部16は、親機側受信レベルが予め設定された下限値を下回ったらアラームを表示するアラーム表示部16aを備えている。この親機側受信レベル表示部16の構成は、前述した子機側受信レベル表示部14と同様であり、図3に示すような表示形式で親機側受信レベルを段階的に表示する。」

(3)【図1】


(4)【図2】



(5)【図3】


2 引用発明
上記1からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「親機1と子機2とを備えた無線通信システムの親機1であり、(【0014】)

親機1は、無線回線から電波を送受信する通信用アンテナ10と、子機2から送られた信号をアンテナ10を介して受信する受信部11と、アンテナ10を介して子機2へ信号を送信する送信部12と、サーバなどの情報機器に接続するインタフェース部13と、子機2から送られてくる子機側受信レベルを表示する子機側受信レベル表示部14と、受信部11が受信した信号のレベルを親機側受信レベルとして測定する受信レベル測定部15と、受信レベル測定部15で測定された親機側受信レベルを表示する親機側受信レベル表示部16と、主制御部19とを備え、(【0015】)

子機2は、通信用のアンテナ20と、親機1から送られた信号をアンテナ20を介して受信する受信部21と、アンテナ20を介して親機1へ信号を送信する送信部22と、情報端末に接続するインタフェース部23と、受信部21に受信された信号のレベルを測定する受信レベル測定部24と、主制御部29とを備え、主制御部29は、受信レベル測定部24が測定した受信レベルを送信部22へ送り、親機1へ送信させる受信レベル通知部としての機能を備え、(【0016】)

親機1の子機側受信レベル表示部14は、子機2における受信レベル測定部24に測定された子機側受信レベルを受信部11を介して取得し表示するものであり、異なる色の複数のLED(Light Emitting Diode)を有しており、色の種類と点灯/点滅の組み合わせでレベルの値を段階的に表示するように構成され、(【0018】、図3)

親機1の親機側受信レベル表示部16は、子機側受信レベル表示部14と同様であり、親機側受信レベルを段階的に表示する、(【0021】)

親機1。」


第5 対比
1 本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「親機1」は、子機2とともに無線通信システムを構成する装置であるから、「無線通信装置」に含まれる。

(2)「相手局と無線通信を行う無線通信部」について

引用発明において、「親機1」は、子機2から送られた信号を受信し、子機2に信号を送信するから、「子機2」は、「親機1」から見て無線通信を行う「相手局」に相当する。
また、引用発明において、「受信部11」により子機2から送られた信号を受信し、「送信部12」により子機2へ信号を送信するから、引用発明の「受信部11」及び「送信部12」は、本願発明の「無線通信を行う無線通信部」に相当する。
よって、本願発明と引用発明とは、「相手局と無線通信を行う無線通信部」を備える点で一致する。

(3)「前記無線通信部が前記相手局から受信した無線信号の受信強度である自局受信強度を検出する自局受信強度検出部」について

引用発明は、「受信部11が受信した信号のレベルを親機側受信レベルとして測定する受信レベル測定部15」を備えている。
そして、引用発明の「受信部11が受信した信号」は、上記(2)を踏まえれば「前記無線通信部が相手局から受信した無線信号」に相当する。
また、「受信した信号のレベル」を「測定する」ことは、「受信強度」を「検出する」ことに他ならない。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「前記無線通信部が前記相手局から受信した無線信号の受信強度である自局受信強度を検出する自局受信強度検出部」を備える点で一致する。

(4)「前記相手局における、前記無線通信部が送信した無線信号の受信強度である相手局受信強度を取得する相手局受信強度取得部」、及び「前記相手局受信強度取得部が取得した前記相手局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する相手局受信強度出力部」について

引用発明は、「子機2における受信レベル測定部24に測定された子機側受信レベルを受信部11を介して取得し表示する」「子機側受信レベル表示部14」を備えている。
ここで、「受信レベル測定部24」は、子機2の「受信部21に受信された信号のレベルを測定する」ものであり、「受信部21」は、「親機1から送られた信号をアンテナ20を介して受信する」ものであるから、引用発明の「子機側受信レベル」は、本願発明の「前記相手局における、前記無線通信部が送信した無線信号の受信強度である相手局受信強度」に相当する。
そして、引用発明の「子機側受信レベル表示部14」は、「子機側受信レベル」を「取得」するから、本願発明の「前記相手局における、前記無線通信部が送信した無線信号の受信強度である相手局受信強度を取得する」機能を有しているといえる。

また、引用発明の「子機側受信レベル表示部14」は、「子機側受信レベル」を「表示」するものであり、「レベルの値を段階的に表示するように構成」されている。
そして、「段階的」に「表示」することから、「多値」であり、「知覚できる形態により出力」されているといえるから、本願発明の「相手局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する」機能を有しているといえる。

以上を踏まえると、本願発明と引用発明は、相手局受信強度を「取得」し、相手局受信強度に応じた値を「表示」する機能を、別の構成で行っているか、一つの構成で行っているかを除いて、「前記相手局における、前記無線通信部が送信した無線信号の受信強度である相手局受信強度を取得し」、「前記相手局受信強度取得部が取得した前記相手局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する」機能部を備える点で一致する。


(5)「前記自局受信強度検出部が検出した前記自局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する自局受信強度出力部」について

引用発明は、「親機側受信レベルを段階的に表示する」「親機側受信レベル表示部16」を備えている。
そして、「段階的」に「表示」することから、「多値」であり、「知覚できる形態により出力」されているといえる。
そうすると、本願発明と引用発明は、「前記自局受信強度検出部が検出した前記自局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する自局受信強度出力部」を備える点で一致する。


2 本願発明と引用発明との一致点、相違点
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「相手局と無線通信を行う無線通信部と、
前記相手局における、前記無線通信部が送信した無線信号の受信強度である相手局受信強度を取得する機能部と、
前記無線通信部が前記相手局から受信した無線信号の受信強度である自局受信強度を検出する自局受信強度検出部と、
前記相手局受信強度取得部が取得した前記相手局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する機能部と、
前記自局受信強度検出部が検出した前記自局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する自局受信強度出力部と、を備える、
無線通信装置。」

[相違点1]
「前記相手局における、前記無線通信部が送信した無線信号の受信強度である相手局受信強度を取得し」、「前記相手局受信強度取得部が取得した前記相手局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する」機能部について、本願発明は、「前記相手局における、前記無線通信部が送信した無線信号の受信強度である相手局受信強度を取得する」「相手局受信強度取得部」と「前記相手局受信強度取得部が取得した前記相手局受信強度に応じた値を多値で知覚できる形態により出力する」「相手局受信強度出力部」との2つの構成からなっているのに対して、引用発明は「子機側受信レベル表示部14」の一つの構成である点。

[相違点2]
「相手局受信強度出力部」について、本願発明は「7セグメントを用いた第1表示器で前記相手局受信強度に応じた値を数値で表示」するのに対して、引用発明は、このような表示を行っていない点。

[相違点3]
「自局受信強度出力部」について、本願発明は「7セグメントを用いた第2表示器で前記自局受信強度に応じた値を数値で表示」するのに対して、引用発明は、このような表示を行っていない点。


第6 相違点の判断
1 相違点1について
複数の機能を実現する機能部において、個々の機能毎に構成を分けるか、1つの構成にまとめるかは、適宜選択し得る事項にすぎないから、引用発明において、「子機側受信レベル表示部14」の「取得」する機能と「表示」する機能を分けて、それぞれ、取得する機能を「相手局受信強度取得部」とし、「表示」する機能を「相手局受信強度出力部」とすることは、当業者が容易になし得る事項である。

2 相違点2、3について
受信レベルを表示する際に、7セグメントを用いた表示器で受信レベルに応じた値を数値で表示することは、周知な技術(例えば、特開2013−245946号公報(【0002】〜【0003】)、特開平10−206473号公報(【0010】)参照。)である。
引用発明の「子機側受信レベル表示部14」は、「レベルの値を段階的に表示する」ものであり、上記周知技術における、数値で表示することは、段階的に表示することであるから、上記周知技術を参酌して、引用発明の「レベルの値を段階的に表示する」ことを、「7セグメントを用いた表示器で受信レベルに応じた値を数値で表示する」こととすることは、当業者が適宜なし得る事項である(相違点2)。

また、引用発明の「親機側受信レベル表示部16」における「表示」は、「親機側受信レベルを段階的に表示する」ものであり、上記周知技術における、数値で表示することは、段階的に表示することであるから、上記周知技術を参酌して、引用発明の「親機側受信レベルを段階的に表示する」ことを、「7セグメントを用いた表示器で受信レベルに応じた値を数値で表示する」こととすることは、当業者が適宜なし得る事項である(相違点3)。


そして、本願発明が奏する作用効果についても、引用発明及び周知技術から予測し得る範囲内のものであって、格別でない。

3 小括
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。


 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-05-11 
結審通知日 2022-05-17 
審決日 2022-06-03 
出願番号 P2016-171348
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04B)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 瀧内 健夫
特許庁審判官 丸山 高政
衣鳩 文彦
発明の名称 無線通信装置、無線通信システム、および無線通信状態確認方法  
代理人 弁理士法人 楓国際特許事務所  
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