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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1387075
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-21 
確定日 2022-08-09 
事件の表示 特願2017− 54207「応対業務支援システム、応対業務支援方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日出願公開、特開2018−156523、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年3月21日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。
平成31年 3月 8日 :手続補正書・上申書の提出
令和 2年 2月19日(起案日) :拒絶理由通知
令和 2年 4月24日 :手続補正書・意見書の提出
令和 2年 9月14日(起案日) :拒絶理由通知(最後)
令和 2年11月17日 :意見書の提出
令和 3年 4月20日(起案日) :拒絶査定
令和 3年 7月21日 :拒絶査定不服審判請求
令和 4年 3月30日(起案日) :拒絶理由通知(当審)
令和 4年 5月30日 :手続補正書・意見書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年4月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.(進歩性)本願請求項1〜7に係る発明は、以下の引用文献1〜4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

請求項1〜3、6、7について:引用文献1〜3
請求項4、5について:引用文献1〜4

1.特開2015−211403号公報
2.特開2015−141428号公報
3.特開2011−160260号公報
4.特開2008−53826号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1.(新規性)本願請求項1、6、7に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

2.(進歩性)本願請求項1、2、6、7に係る発明は、以下の引用文献A〜Cに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

請求項1、6、7について:引用文献A又は引用文献A及びB
請求項2について:引用文献A〜C

A.浅野 純也,企業コンピューティングを変える Emerging Technology 第8回 人の感性を読み取る「センシビリティ・テクノロジー」,COMPUTER WORLD,(株)IDGジャパン,2004年9月1日発行、第1巻第9号,116〜119ページ
B.特開2015−211403号公報(上記引用文献1と同じである。)
C.特開2004−37989号公報

第4 本願発明
本願請求項1〜7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明7」という。)は、令和4年5月30日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1、本願発明2は以下のとおりである。

<本願発明1>
「【請求項1】
顧客とオペレータとの間の通話の内容を示す音声データを用いて、前記顧客の感情の種類および前記感情の種類における感情の度合いを解析する解析手段と、
解析された前記顧客の感情の種類ごとに、前記感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する応対業務支援システム。」

<本願発明2>
「【請求項2】
顧客とオペレータとの間の通話の内容を示す音声データを用いて、前記顧客の感情の種類および前記感情の種類における感情の度合いを解析する解析手段と、
解析された前記顧客の感情の種類ごとに、前記感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する、応対業務支援システム」
また、本願発明3〜7の概要は以下のとおりである。
本願発明3は、本願発明2を減縮した発明である。
本願発明4は、本願発明1又は本願発明2を減縮した発明である。
本願発明5は、本願発明1に対応する方法の発明、本願発明6は、本願発明2に対応する方法の発明であり、いずれも本願発明1又は本願発明2とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明7は、本願発明5又は本願発明6の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに係る発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献Aについて
令和4年3月30日付けの拒絶の理由に引用された引用文献A(浅野 純也,企業コンピューティングを変える Emerging Technology 第8回 人の感性を読み取る「センシビリティ・テクノロジー」,COMPUTER WORLD,(株)IDGジャパン,2004年9月1日発行、第1巻第9号,116〜119ページ)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

「 このようにGUIは今も進化を続けているが、一方でGUIを上回る使い勝手のよさを備えたインタフェースの研究も始まっている。そしてその1つが、今回紹介するST(Sensibility Technology:感性制御技術)である。STは、ベンチャー企業であるエー・ジー・アイ(以下、AGI)が考案した、人間の音声から感情を認識する技術で、同社は現在、事業提携を結んだ日本SGIと共同で、STを取り入れたSUI(Sensibility User Interface:感性ユーザー・インタフェース)の開発を進めている(ちなみに、AGIという社名は、最も収益性の高いコンテンツ・ビジネスと言われているアニメ、ゲーム、アイドルの各頭文字を並べたものだという)。」(116ページ、「コンピュータに「感性」を理解させようという試み」)

「図2:STの仕組み
入力された音声に対し、ノイズ除去などの前処理が行われたあと、音声認識処理とST処理が並行して施される。音声認識処理とは、データベースに蓄積されている音声モデルと言語モデルを照合し、言葉を判別することである。一方、ST処理では、「喜び」「悲しみ」「怒り」といった感情における音声の特徴点を蓄積したデータベースを用い、特徴点のマッチングを行う。さらに、音声認識で得られた文字情報と照らし合わせ、どの感情レベルにあるかを判断する。

」(117ページ、図2)

「 STによる感情認識は、図2に示すように音声認識技術と連動して行われる。音声認識処理と並行してスペクトル解析(画面1)などを行い、「喜び」「悲しみ」「怒り」という3つの感情を含む音声の「特徴点」をデータベース化したものと比較する(パターン・マッチング)。さらに、音声認識の結果として出力される文字情報と照らし合わせ、相手がどのような感情を抱いているのかを判断するのである(画面2)。ちなみに、あらかじめデータベース化されている音声の特徴点は、言語や国籍に関係なくだれでもほぼ共通しており、パラメータの微調整程度で世界各国の人間の感情を認識できるという。
現時点のSTは、上述した3つの感情に「平常」を加えた4つの感情を識別することができる。心理学上、感情は135種類に分類されるらしいが、心理力ウンセリング用のエージェント・プログラムを作成するとしても18種類の感情さえ判断できれば十分、というのが光吉氏の考えである。」(117ページ、「いかにしてコンピュータは感情を認識するのか?」)

「 また、2003年2月に販売が開始された、来訪者と社内の担当者との連絡を受け持つ受付システム「接遇」も、STを採用した製品の1つである(画面4、図3)。同システムは、STとの組み合わせにより、来訪者の感情などに応じて受付時の対応を判断することができる。例えば、来訪者がイライラを募らせている場合には丁寧な対応を行い、相手が高齢者であればゆっくりと話しかけるといった判断を下すのである。こうした機能は、従来の音声認識では不可能な、STならではのものだと言えよう。なお、同システムは、全国で数十台の導入実績があるという。
接遇のようにSTで業務をアシストする試みは、企業のコールセンターやサポートセンターでも始まっている。電話をかけてきた顧客の感情をSTによって判断し、その感情レベルに合わせて最適な応答マニュアルを表示するのである。応対者の違いに起因するサービス・レベルのバラツキを解消することがその目的だという。」(118ページ、「企業での導入や試験運用が始まっているST」)

以上の記載によれば、上記引用文献Aには次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されている。

<引用発明A>
「 企業のコールセンターやサポートセンターにおいて、ST(感性制御技術)で業務をアシストするシステムであって(118ページ)、
電話をかけてきた顧客の感情をSTによって判断し、その感情レベルに合わせて最適な応答マニュアルを表示し、それにより応対者の違いに起因するサービス・レベルのバラツキを解消する(118ページ)システム。」

2.引用文献Bについて
令和4年3月30日付けの拒絶の理由に引用された引用文献B(特開2015−211403号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、音声を自動認識し応答する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コールセンタでは、利用者が音声ガイダンスに従ってプッシュダイヤルすることによって、希望するサービスメニューを選択している。
一方で、音声データを解析することによって話者の感情を認識する技術や、音声データをテキストデータに変換する技術などの音声認識技術が実用化されている(例えば、非特許文献1及び2参照。)。
近年では、音声認識技術を用いて通話中の利用者の感情をモニタリングすることによって、感情が怒りの状態にある利用者にはベテランのオペレータをアサインする技術が提案されている。また、音声認識技術を用いて通話内容をテキストデータに変換することによって、通話内容に関連する情報をオペレータに即座に提供する技術が提案されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のコールセンタでは、上記のような音声認識技術を用いて利用者の感情を認識したとしても、利用者の感情を考慮して応対するのはオペレータであり、そのような応対が可能な人的リソースを確保しなければいけないという問題があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、コールセンタサービスの提供において、利用者の感情に応じた対応を、より少ない人的リソースで行うことができる技術を提供することを目的としている。」

「【0016】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の音声自動応答システム1のシステム構成を示すシステム構成図である。
電話機2−1〜2−3は、利用者がコールセンタ3−1〜3−3に発信するために使用する電話機である。電話機2−1〜2−3は、携帯電話やスマートフォンなどの無線通信によって通話発信する電話機であってもよいし、固定電話などの有線通信によって通話発信する電話機であってもよい。電話機2−1〜2−3はネットワーク4に接続され、ネットワーク4を介して音声自動応答システム1と通信する。以下の説明では、説明を簡単にするために、特に区別しない限り電話機2−1〜2−3を電話機2と記載する。なお、電話機2の数は、図1と異なる数であってもよい。
【0017】
コールセンタ3−1〜3−3は、事業者が顧客への電話対応業務を専門に行うために設けられた事業所や施設である。コールセンタ3−1〜3−3は、同一の事業者が複数拠点に持つコールセンタであってもよいし、異なる事業者が運営するコールセンタであってもよい。以下の説明では、説明を簡単にするために、特に区別しない限りコールセンタ3−1〜3−3をコールセンタ3と記載する。コールセンタ3には、オペレータが配置される。オペレータとは、利用者に電話応対する人員である。なお、コールセンタ3の数は、図1と異なる数であってもよい。」

「【0020】
音声自動応答システム1は、各コールセンタ3と利用者の各電話機2との間にあって、利用者の通話発信に対して一次応答する。すなわち、音声自動応答システム1は、利用者の通話に対して音声による自動応答を行う機能をコールセンタ3に提供するシステムである。音声自動応答システム1は、利用者の通話を必要に応じてコールセンタ3に転送する。
【0021】
音声自動応答システム1は、中継装置100、感情認識装置200、音声DB300、音声変換装置400、テキストDB500、自動応答装置600及び応答DB700を備える。
中継装置100は、電話機2から送信された音声信号を受信する。中継装置100は、受信した音声信号に含まれる利用者の音声とオペレータの音声とを分離する。中継装置100は、音声信号を分離することによって取得された音声データを感情認識装置200に中継する。また、中継装置100は、自動応答装置600の要求に応じて、利用者の通話をオペレータに転送する。中継装置100は、オペレータの音声や、音声自動応答システム1の自動応答機能によって生成された音声データを電話機2に中継する。
【0022】
感情認識装置200は、中継装置100によって中継された音声データを受信する。感情認識装置200は、受信した音声データを発話ごとに分割する。1つの発話は、ある人が発言を開始し、他者が発言を開始するまでに行った発言を表す。感情認識装置200は、分割した音声データごとに、その音声データに含まれる音声を発したときの利用者の感情を認識する。音声データから話者の感情を認識する手法には、既存のどのような技術が用いられてもよい。感情認識装置200は、音声データと、その音声データから認識された利用者の感情を表す情報(以下、「利用者感情情報」という。)とを対応づけて音声DB300に登録する。
【0023】
音声DB300は、音声データを蓄積するデータベースである。音声DB300は、音声データを記憶するための音声情報テーブル310を保持する。音声DB300は、音声データと利用者感情情報とを対応づけて記憶する。音声DB300は、感情認識装置200及び音声変換装置400に接続される。音声情報テーブル310は感情認識装置200によって登録される。
【0024】
図2は、音声情報テーブル310の具体例を示す図である。
音声情報テーブル310は、音声IDごとに音声情報レコードを有する。音声情報レコードは、音声ID、通話ID、通話区分、音声情報及び感情情報の各値を有する。音声IDは、音声情報テーブル310に記憶される音声データの識別情報である。通話IDは、音声IDが示す通話の識別情報である。通話区分は、音声IDが示す音声データの音声を発した主体を表す識別情報である。具体的には、通話区分は、利用者による通話か、オペレータによる通話か、音声自動応答システム1による自動応答かを示す情報である。音声情報は、音声IDが示す音声データの実データである。感情情報は、音声IDが示す音声データに基づいて認識された利用者感情情報である。音声情報レコードは、感情認識装置200によって音声情報テーブル310に登録される。
【0025】
図1の説明に戻る。
音声変換装置400は、音声DB300の音声情報テーブル310を参照し、音声データを取得する。音声変換装置400は、取得した音声データに含まれる音声をテキストデータに変換する。音声データをテキストデータに変換する手法には、既存のどのような技術が用いられてもよい。
【0026】
音声変換装置400は、取得したテキストデータからコールセンタ3が提供するサービスに関連するキーワードを抽出する。テキストデータからキーワードを抽出する手法には、既存のどのような技術が用いられてもよい。例えば、音声変換装置400は、コールセンタ3を運用する事業者の事業や業種に関する情報などを辞書情報として予め保持し、辞書情報との関連性が強い語をキーワードとして抽出してもよい。また、例えば、音声変換装置400は、蓄積されたテキストデータに統計処理を行うことによって、辞書情報を自ら学習するように構成されてもよい。音声変換装置400は、音声データの識別情報と、音声データから取得したキーワードとを対応づけてテキストDB500に登録する。
【0027】
テキストDB500は、音声データから取得されたテキストデータを蓄積するデータベースである。テキストDB500は、音声データごとのテキストデータを記憶するためのテキスト情報テーブル510を保持する。テキストDB500は、音声データと、音声データから取得されたテキストデータとを対応づけてテキスト情報テーブル510に記憶する。テキストDB500は、音声変換装置400及び自動応答装置600に接続される。テキスト情報テーブル510は音声変換装置400によって登録される。」

「【0029】
図1の説明に戻る。
自動応答装置600は、音声データから取得されたキーワード及び利用者感情情報に基づいて、利用者に応答するメッセージを選択する。具体的には、自動応答装置600は、キーワード及び利用者感情情報に基づいて、応答DB700が記憶する応答メッセージのテンプレートの中から、利用者に応答するメッセージを取得する。自動応答装置600は、取得した応答メッセージを音声データに変換する。自動応答装置600は、応答メッセージの変換によって生成された音声データを利用者の電話機2に送信する。なお、自動応答装置600は、応答メッセージを示すテキストデータを取得する代わりに、予めに変換された音声データを取得するように構成されてもよい。
なお、自動応答装置600は、利用者への応答に用いるメッセージを示すテキストデータが取得できない場合は、利用者の通話を発信先のコールセンタ3のオペレータに転送するように中継装置100に要求する。」

「【0054】
<変形例>
音声データの実データが音声情報テーブル310以外に保持される場合、音声情報テーブル310に登録される音声情報の値は、音声データの実データの格納場所を示す情報であってもよい。
自動応答装置600において、応答判断部620及び応答生成部630は、両方の機能を持つ1つの機能部として構成されてもよい。」

「【0060】
音声自動応答システム1は、自動応答装置600によって選択された応答メッセージを自動応答以外の用途に用いてもよい。例えば、自動応答装置600は、選択した応答メッセージを応答の例としてオペレータに提供するように構成されてもよい。自動応答装置600がこのように構成されることによって、例えば、経験の浅いオペレータでもより適切な応答を行うことが可能となる。さらに、自動応答装置600は、応答メッセージの選択に用いた利用者感情情報をオペレータに提供してもよい。例えば、利用者感情情報が提供されることによって、オペレータは、把握することが難しい他国の利用者の感情を知ることが可能となる。」

以上の記載によれば、上記引用文献Bには次の発明(以下、「引用発明B」という。)が記載されている。

<引用発明B>
「 中継装置、感情認識装置、音声DB、音声変換装置、テキストDB、自動応答装置及び応答DBを備える音声自動応答システムであって(【0021】)、
感情認識装置は、中継装置によって中継された音声データを受信し、受信した音声データを発話ごとに分割し、分割した音声データごとに、その音声データに含まれる音声を発したときの利用者の感情を認識し、音声データと、その音声データから認識された利用者の感情を表す利用者感情情報とを対応づけて音声DBに登録するものであり(【0022】)、
音声変換装置は、音声DBの音声情報テーブルを参照し、音声データを取得し、取得した音声データに含まれる音声をテキストデータに変換し、取得したテキストデータからコールセンタが提供するサービスに関連するキーワードを抽出し、音声データの識別情報と、音声データから取得したキーワードとを対応づけてテキストDBに登録するものであり(【0025】、【0026】)、
自動応答装置は、音声データから取得されたキーワード及び利用者感情情報に基づいて、利用者に応答するメッセージを選択し、選択した応答メッセージを応答の例としてオペレータに提供する(【0029】、【0060】)、
音声自動応答システム(【0021】)。」

3.引用文献Cについて
令和4年3月30日付けの拒絶の理由に引用された引用文献C(特開2004−37989号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。
「【0017】
S値は顧客が通常の状態であれば1の近傍の値になる。S値計算部ではS値が一定の値を超えると受付オペレータのPCにアラームを転送表示する。これは1段階で、例えば2以上で警報転送という方法あるいは複数段階にして、2以上、3以上、4以上でアラーム表示方法を変えることも可能である。」

「【0020】
【発明の効果】
このような構成になっているため、顧客から受付オペレータに着信があると同時に顧客の感情の度合いを判定し、苦情などに対する顧客の感情をオペレータに通知することができる。オペレータはPCに表示された顧客の感情の度合いを見ながら適切な応答を行うことが可能となる。また、複数のオペレータのPCに表示されている顧客の感情の度合いを別のPCで一括表示し、上級オペレータがそれを監視し、怒りの激しい顧客に対応しているオペレータと顧客の通話に介入して適切な対応をとることも可能となる。」

4.引用文献1〜4について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2015−211403号公報)は、上記引用文献Bと同じであり、その記載事項は上記2.に記載のとおりである。

(2)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2015−141428号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。
「【0001】
本発明は、サーバー装置、感情報知システム、感情報知方法、及びプログラムに関する。」

「【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るサーバー装置は、オペレーターの音声である第1の音声と、該オペレーターの通話相手である顧客の音声である第2の音声とを受け付ける音声受付部と、音声から「怒り」の度合である感情度合を特定する感情特定部と、前記感情特定部により特定される、前記第1の音声に基づく前記オペレーターの前記感情度合と、前記第2の音声に基づく前記顧客の前記感情度合と、を表示する表示情報を生成する表示情報生成部と、前記表示情報を出力する表示情報出力部と、を備えることを特徴とする。」

「【0080】
図6は、通話開始から感情度合を示す画面を表示するまでの処理の流れを示すシーケンス図である。顧客60とオペレーター側端末装置20との間で呼接続が確立されると、本シーケンスの処理が開始され、例えば所定時間毎に本シーケンス図の処理が繰り返される。
【0081】
まず、オペレーター側端末装置20の音声取得部211は、顧客60の音声とオペレーター50の音声とを取得する(ステップS11)。具体的に説明すると、まず音声取得部211は、オペレーター側端末装置20の図示しない記憶部に記憶されたオペレーターIDを取得する。また、音声取得部211は、顧客60の電話番号をサーバー装置10に送信する。サーバー装置10の通信部114は受信した電話番号を用いて顧客情報124を参照し、電話番号と関連付けられた顧客IDを特定する。電話番号が顧客情報124にない場合は、通信部114は新たな顧客IDを作成する。通信部114は、顧客IDをオペレーター側端末装置20に送信する。なお、オペレーターIDと顧客IDとは、例えば桁数の違いにより判別可能であってもよいし、特定のタグが付されていることにより判別可能であってもよい。
【0082】
音声取得部211は、入力装置であるマイクロフォンを介して取得したオペレーター50の音声に、特定したオペレーターIDを関連付けるとともに、電話回線を介して取得した顧客60の音声に、サーバー装置10から受信した顧客IDを関連付ける。
【0083】
次に、音声取得部211は、取得した顧客60の音声とオペレーター50の音声とをサーバー装置10に送信する(ステップS12)。送信された情報には、送信元であるオペレーター側端末装置20を特定するオペレーター側端末IDが含まれている。サーバー装置10の音声受付部111は、音声取得部211により送信された音声を受け付ける。
【0084】
次に、感情特定部112は、顧客60の感情とオペレーター50の感情とを特定する(ステップS13)。具体的には、感情特定部112は、音声受付部111が受け付けた音声に付されたIDを参照し、顧客IDであるかオペレーターIDであるかを特定する。感情特定部112は、顧客60の音声を用いて顧客60の感情度合を示す値を特定する。また、感情特定部112は、オペレーター50の音声を用いてオペレーター50の感情度合を示す値を特定する。
【0085】
次に、管理者端末特定部116は、対応を行う管理者側端末装置30を特定する(ステップS14)。ここでは、対応を行う管理者側端末装置30の管理者側端末IDが特定される。管理者側端末装置30の特定処理については、後に詳述する。
【0086】
次に、表示情報生成部113は、対オペレーター表示画面を表示するための表示情報を生成する(ステップS15)。対オペレーター表示画面については後述する。
【0087】
次に、通信部114は、表示情報生成部113により生成された表示情報をオペレーター側端末装置20に対して送信する(ステップS16)。ステップS12でオペレーター側端末装置20から受け付けた情報には、オペレーター側端末IDが含まれているため、通信部114は、これを用いてステップS15で生成した表示情報をオペレーター側端末装置20に送信する。
【0088】
次に、オペレーター側端末装置20のオペレーター側表示部212は、受信した表示情報に基づいて表示装置に対して対オペレーター表示画面を表示させる(ステップS17)。
【0089】
図10は、対オペレーター表示画面220の一例を示す図である。対オペレーター表示画面220は、顧客情報表示領域221と、オペレーター感情度合表示領域222と、顧客感情度合表示領域223と、テキスト表示領域224と、管理者状況表示領域225と、切替要求表示領域226と、通知ボタン227と、切替実行ボタン228とを含む。
【0090】
顧客情報表示領域221は、通話相手である顧客60の情報を表示する領域である。通信部114が、オペレーター側端末装置20から顧客60の電話番号を受信すると、表示情報生成部113は受信した電話番号を用いて顧客情報124を参照し、電話番号と関連付けられた顧客情報124を特定する。表示情報生成部113は、特定した顧客情報124を顧客情報表示領域221に表示するよう、表示情報を生成する。なお、オペレーター側端末装置20から受信した電話番号が顧客情報124にない場合、又はオペレーター側端末装置20から電話番号を受信しない場合には、顧客情報表示領域221には顧客情報124が表示されない。
【0091】
オペレーター感情度合表示領域222は、オペレーター50の感情度合を表示する領域である。表示情報生成部113は、オペレーター感情度合表示領域222に表示する感情度合を、例えばインジケーターに表示し、感情度合を示す値に応じてインジケーターの表示を異ならせる。感情度合が高くなるほど、インジケーターの表示は、より視界に強く訴える色に表示される。例えば感情度合を5段階に評価する場合、インジケーターは、青、緑、黄、オレンジ、赤と変化して表示される。
【0092】
顧客感情度合表示領域223は、顧客60の感情度合を表示する領域である。表示方法については、オペレーター感情度合表示領域222と同様である。」

(3)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2011−160260号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。
「【0001】
本発明は、電話主装置および電話機に係り、特に、回線毎に感情表示をする電話システムにおける、感情種別とその強度を電話機に表示する電話主装置および電話機に関する。」

「【0002】
従来、サポートセンター、お客様相談室など、顧客の電話に応対するコールセンターにおいて、経験の浅いオペレータとお客様との間でトラブルが発生する事がある。この場合、お客様の感情をいち早く沈めるために、ベテランのオペレータが適切な応答をするなどの処置が必要になる。」

「【0007】
上述した課題は、外線および内線を収容して呼を制御する電話主装置において、内線毎の音声を分析して話者の喜怒哀楽に係る感情の度合いを検出して数値化する感情検出手段と、感情検出手段が数値化した内線毎の感情の度合いに係る情報を所定の内線または外線に通知する感情通知手段と、を有する電話主装置により、達成できる。」

「【0010】
本発明によれば、通話相手または通話中の全オペレータの感情を把握することができるので、トラブルが起きても早急に発見できるようになる。」

「【0023】
音声通信部205は、状態管理部206から音声転送情報を受けると、受信した音声データを通話相手のアドレスに変換して、通信制御部203に送る。また、音声通信部205は、状態管理部206から回線情報を受けた音声データを感情検出部211に送る。感情検出部211は、音声データから感情の種類と感情の度合いを数値化した感情数値情報を、状態管理部206に送る。」

(4)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2008−53826号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。
「【0001】
本発明は、電話端末から到来した着信呼を複数のオペレータ端末のいずれかに分配する呼分配制御を実行して電話端末とオペレータ端末との間を通信接続する電話応答システムにおいて、電話端末とオペレータ端末との間で交信された通話データを監視する技術に関する。」

「【0003】
また、CTIシステムに電話をかけてきた顧客の個人情報、商品の購入履歴あるいはサービスの利用履歴を保存し活用する技術が開発されている。この技術により、オペレータは、顧客からの問い合わせがあったときに、その顧客に関する過去の履歴を参照して個々の顧客に応じた適切な応答を行うことができる。このようなCTIシステムに関する従来技術は、たとえば、特許文献1(特開2002−215880号公報)に開示されている。
【特許文献1】特開2002−215880号公報」

「【0010】
上記第1〜第3の電話応答システムは、電話端末を使用するユーザーの第1音声データに基づいてユーザーの感情状態を判別し、当該判別結果を当該ユーザーに関する情報に関連付けてユーザー情報記録部に記録する。したがって、オペレータと通話している電話端末のユーザーの感情状態の履歴を迅速且つ客観的に記録することができる。また、オペレータ端末のオペレータと通話している電話端末のユーザーの感情状態に関わらず、オペレータの主観に左右されずに顧客の感情状態を客観的に記録することができ、これにより電話端末のユーザーに対するオペレータの対応能力の向上が可能になる。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明Aとを対比する。
ア 引用発明Aは、コールセンターの応対者に電話をかけてきた顧客の感情を判断し、その感情レベルに合わせて最適な応答マニュアルを表示することにより、応対者の違いに起因するサービス・レベルのバラツキを解消するものであるから、本願発明1と同様の「応対業務支援システム」と言える。

イ 引用発明Aの「顧客」、「応対者」、「感情」、「感情レベル」は、それぞれ、本願発明1の「顧客」、「オペレータ」、「感情の種類」、「感情の度合い」に相当する。
引用発明Aは、「電話をかけてきた顧客の感情を判断し、その感情レベルに合わせて最適な応答マニュアルを表示」するものであって、STは人間の音声から感情を認識する技術である(116ページ、117ページ、図2)から、上記「顧客の感情を判断し、その感情レベル」を解析することは明らかであり、引用発明Aは「顧客とオペレータとの間の通話の内容を示す音声データを用いて、前記顧客の感情の種類および前記感情の種類における感情の度合いを解析」しているといえ、この解析するための「解析手段」を備えることも明らかである。
よって、引用発明Aの「電話をかけてきた顧客の感情をSTによって判断し、その感情レベルに合わせて最適な応答マニュアルを表示」する際の解析手段は、本願発明1の「顧客とオペレータとの間の通話の内容を示す音声データを用いて、前記顧客の感情の種類および前記感情の種類における感情の度合いを解析する解析手段」に相当する。

ウ 引用発明Aの「応答マニュアル」は、本願発明1の「応対指示」に相当する。
そして、引用発明Aにおいて表示される「応答マニュアル」は、電話をかけてきた顧客の感情レベルに合わせた最適なものであるから、解析された前記顧客の感情の種類ごとに、前記感情の度合いに基づいて決定されるものと言える。
また、引用発明Aは、応答マニュアルを表示するものであるから、表示する装置に表示することは明らかであり、表示するための「出力手段」を備えることも明らかである。さらに、引用発明Aの目的は応対者の違いに起因するサービス・レベルのバラツキを解消することであるから、応答マニュアルの表示先が応対者であることも明らかである。
よって、引用発明Aの「その感情レベルに合わせて最適な応答マニュアルを表示することにより、応対者の違いに起因するサービス・レベルのバラツキを解消する」出力手段は、本願発明1の「解析された前記顧客の感情の種類ごとに、前記感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する出力手段」に相当する。
エ 上記ウで示したとおり、引用発明Aの「応答マニュアル」は電話をかけてきた顧客の感情を判断し、その感情レベルに合わせた最適なものであり、「応答マニュアル」の表示先は応対者の表示する装置であるから、引用発明Aの「出力手段」による、電話をかけてきた顧客の感情を判断し、その感情レベルに合わせた「応答マニュアル」を「応対者」の表示する装置へ出力する処理と、本願発明1の「前記出力手段は、前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」こととは、「前記出力手段は、前記顧客とオペレータとの間の通話において解析された前記感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点で共通する。

オ 一致点・相違点
したがって、本願発明1と引用発明Aとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「 顧客とオペレータとの間の通話の内容を示す音声データを用いて、前記顧客の感情の種類および前記感情の種類における感情の度合いを解析する解析手段と、
解析された前記顧客の感情の種類ごとに、前記感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、前記顧客とオペレータとの間の通話において解析された前記感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する応対業務支援システム。」

[相違点]
「感情の度合いに基づいて決定される応対指示」が、本願発明1では「前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される」のに対し、引用発明Aでは、電話をかけてきた顧客の感情を判断し、その感情レベルに合わせた最適なものであるものの、これまでに解析された感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定されるものではない点。

(2)相違点についての判断
上記第5の2.によれば、当審が拒絶理由通知で提示した引用文献Bに記載された引用発明Bは、「音声データから取得されたキーワード及び利用者感情情報に基づいて、利用者に応答するメッセージを選択し、選択した応答メッセージを応答の例としてオペレータに提供する」ものであり、当該「応答メッセージ」は、応答の例としてオペレータに提供されるものであって、当該応答メッセージの提供により経験の浅いオペレータでもより適切な応答を行うことが可能となることから、引用発明Bの「応答メッセージ」は本願発明1の「応対指示」に相当する。
しかしながら、引用発明Bの「応答メッセージ」は、「前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される」ものではない。
また、上記第5の3によれば、引用文献Cには、オペレータが、オペレータのPCに表示されている顧客の感情の度合いを見ながら適切な応答を行うことが可能となることは記載されているが、「前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点については記載がない。
また、上記第5の4(2)によれば、引用文献2には、コールセンター等における、感情報知システムにおいて、オペレーターの音声、通話相手の顧客の音声を受け付け、音声から、感情度合を特定し、感情度合を表示する表示情報を生成し、出力するシステムにおいて、音声に基づいて、感情が認識され、認識された各々の感情は、感情度合を示す値、感情度合を表示画面に表示することは記載されているが、「前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点については記載がない。
また、上記第5の4(3)によれば、引用文献3には、顧客の電話に応対するコールセンター等にかかるシステムであって、音声を分析して話者の喜怒哀楽に係る感情の度合いを検出して数値化し、感情の度合いに係る情報を通知するものであり、通話相手または通話中の全オペレータの感情を把握することができるものであり、音声データから感情の種類と感情の度合いを数値化した感情数値情報を用いるシステムは記載されているが、「前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点については記載がない。
また、上記第5の4(4)によれば、引用文献4には、顧客の感情状態を客観的に記録し、その顧客に関する過去の履歴を参照して個々の顧客に応じた適切な応答を行うことは記載されているが、「前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点については記載がない。

そして、本願発明1は、相違点に係る構成により、「顧客に悪印象を与えにくい対応を行うようにオペレータを誘導することが可能となる。」(本願明細書【0046】)という効果を奏するものである。

したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明A、引用発明B、引用文献C、引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。

2.本願発明2について
(1)対比
請求項2と、請求項1とは、「応答指示」の「決定」に関する記載のみが異なり、その他の構成に関する記載は同じである。そこで、本願発明2と引用発明Aとを対比すると、上記1.(1)ア〜ウに加え、以下の事項がいえる。
エ’上記1.(1)イで示したとおり、引用発明Aは、「顧客の感情を判断し、その感情レベル」を解析するものであり、その結果である「顧客の感情を判断し、その感情レベル」は、本願発明2の「解析結果」に相当する。
また、上記1.(1)ウで示したとおり、引用発明Aの「応答マニュアル」は電話をかけてきた顧客の感情を判断し、その感情レベルに合わせた最適なものであり、「応答マニュアル」の表示先は応対者の表示する装置であるから、引用発明Aの「出力手段」による、電話をかけてきた顧客の感情や感情レベルである「解析結果」に合わせた「応答マニュアル」を「応対者」の表示する装置へ出力する処理と、本願発明2の「前記出力手段は、新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」こととは、「前記出力手段は、解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点で共通する。

オ 一致点・相違点
したがって、本願発明2と引用発明Aとの間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「 顧客とオペレータとの間の通話の内容を示す音声データを用いて、前記顧客の感情の種類および前記感情の種類における感情の度合いを解析する解析手段と、
解析された前記顧客の感情の種類ごとに、前記感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する、応対業務支援システム。」

[相違点]
「解析結果に基づいて決定される応対指示」が、本願発明2では「新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される」のに対し、引用発明Aでは、電話をかけてきた顧客の感情や、感情レベルといった解析結果に合わせて決定されるものの、引用発明Aは「過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段」を有しておらず、「応答マニュアル」が、そこから「読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される」ものではない点。

(2)相違点についての判断
上記第5の2.によれば、当審が拒絶理由通知で提示した引用文献Bに記載された引用発明Bは、「音声データから取得されたキーワード及び利用者感情情報に基づいて、利用者に応答するメッセージを選択し、選択した応答メッセージを応答の例としてオペレータに提供する」ものであり、当該「応答メッセージ」は、応答の例としてオペレータに提供されるものであって、当該応答メッセージの提供により経験の浅いオペレータでもより適切な応答を行うことが可能となることから、引用発明Bの「応答メッセージ」は本願発明2の「応対指示」に相当する。
しかしながら、引用発明Bの「応答メッセージ」は、「新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される」ものではない。
また、上記第5の3によれば、引用文献Cには、オペレータが、オペレータのPCに表示されている顧客の感情の度合いを見ながら適切な応答を行うことが可能となることは記載されているが、「新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点については記載がない。
また、上記第5の4(2)によれば、引用文献2には、コールセンター等における、感情報知システムにおいて、オペレーターの音声、通話相手の顧客の音声を受け付け、音声から、感情度合を特定し、感情度合を表示する表示情報を生成し、出力するシステムにおいて、音声に基づいて、感情が認識され、認識された各々の感情は、感情度合を示す値、感情度合を表示画面に表示することは記載されているが、「新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点については記載がない。
また、上記第5の4(3)によれば、引用文献3には、顧客の電話に応対するコールセンター等にかかるシステムであって、音声を分析して話者の喜怒哀楽に係る感情の度合いを検出して数値化し、感情の度合いに係る情報を通知するものであり、通話相手または通話中の全オペレータの感情を把握することができるものであり、音声データから感情の種類と感情の度合いを数値化した感情数値情報を用いるシステムは記載されているが、「新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点については記載がない。
また、上記第5の4(4)によれば、引用文献4には、顧客の感情状態を客観的に記録し、その顧客に関する過去の履歴を参照して個々の顧客に応じた適切な応答を行うことは記載されているが、「新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」点については記載がない。

そして、本願発明2は、相違点に係る構成により、「過去の通話においてオペレータの対応に満足できないまま通話を終了した顧客から再び連絡があった場合に、その顧客に対して悪印象を与えにくい対応を行うようにオペレータを誘導することが可能となる。」(本願明細書【0058】)という効果を奏するものである。

したがって、本願発明2は、当業者であっても、引用発明A、引用発明B、引用文献C、引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。

3.本願発明3について
本願発明3は本願発明2を減縮した発明であり、上記2.(1)に記載の相違点に係る構成を備えるものであるから、本願発明2と同様に、当業者であっても、引用発明A、引用発明B、引用文献C、引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。

4.本願発明4について
本願発明4は本願発明1又は本願発明2を減縮した発明であり、上記1.(1)に記載の相違点又は上記2.(1)に記載の相違点に係る構成を備えるものであるから、本願発明1又は2と同様に、当業者であっても、引用発明A、引用発明B、引用文献C、引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。

5.本願発明5について
本願発明5は、本願発明1に対応する方法の発明であり、上記1.(1)の相違点に係る構成と同様の「前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」という構成を備えるものである。
したがって、本願発明5は、本願発明1と同様に、当業者であっても、引用発明A、引用発明B、引用文献C、引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。

6.本願発明6について
本願発明6は、本願発明2に対応する方法の発明であり、上記2.(1)の相違点に係る構成と同様の「新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」という構成を備えるものである。
したがって、本願発明6は、本願発明2と同様に、当業者であっても、引用発明A、引用発明B、引用文献C、引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。

7.本願発明7について
本願発明7は、本願発明5又は本願発明6の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに係る発明であり、上記1.(1)又は、上記2.(1)に記載の相違点に係る構成と同様の構成を備えるものである。
したがって、本願発明7は、当業者であっても、引用発明A、引用発明B、引用文献C、引用文献2〜4に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。

第7 原査定について
令和4年5月30日にされた手続補正により、補正後の請求項1、4、5、7は(ア)「前記顧客とオペレータとの間の通話においてこれまでに解析された前記感情の度合いの中で最大の感情の度合いに基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」という技術的事項を、また、補正後の請求項2〜4、6、7は(イ)「新たな通話要求に含まれる顧客特定情報に基づいて、過去の通話における解析結果を顧客特定情報と対応付けて記憶する履歴情報記憶手段に記憶されている前記過去の通話における解析結果を読み出し、読み出した前記過去の通話における解析結果に基づいて決定される応対指示を前記オペレータ用の出力装置に出力する」という技術的事項を有するものとなった。
上記(ア)、(イ)の技術的事項は、原査定における引用文献1〜4には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1〜4に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審が通知した拒絶の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-07-26 
出願番号 P2017-054207
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
P 1 8・ 113- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 中野 浩昌
関口 明紀
発明の名称 応対業務支援システム、応対業務支援方法、およびプログラム  
代理人 速水 進治  
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