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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1387139
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-08-30 
確定日 2022-07-21 
事件の表示 特願2017−120669「パッケージ用基板、およびその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月17日出願公開、特開2019− 9151〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年11月12日付け:拒絶理由通知
令和 3年 1月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 6月28日付け:拒絶査定
令和 3年 8月30日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和3年8月30日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年8月30日の手続補正を却下する。
[理由]
1.補正の内容
令和3年8月30日の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の請求項1を本件補正における請求項1に変更する補正事項を含むものである。
そして、補正前の請求項1及び本件補正における請求項1は、それぞれ、以下のとおりである(本件補正における請求項1の下線部は、補正された箇所を示す。)。

〈補正前の請求項1〉
「【請求項1】
コア基板と、前記コア基板の片面及び/又は両面上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、を含むパッケージ用基板であって、
前記絶縁層の外周部分に溝構造を有し、
前記溝構造は、幅が前記コア基板に向かって漸次狭くなる形状に形成され、
前記絶縁層は、前記溝構造の底面から前記コア基板まで所定の長さを有する
パッケージ用基板。」

〈本件補正における請求項1〉
「【請求項1】
コア基板と、前記コア基板の片面及び/又は両面上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、を含むパッケージ用基板であって、前記絶縁層の線膨張係数が7ppm/K以上、130ppm/K以下であって、
前記絶縁層の外周部分に溝構造を有し、
前記溝構造は、幅が前記コア基板に向かって漸次狭くなる形状に形成され、
前記絶縁層は、前記溝構造の底面から前記コア基板まで所定の長さを有する
パッケージ用基板。」


2.補正の適否
本件補正による請求項1に係る補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「絶縁層」について、「線膨張係数が7ppm/K以上、130ppm/K以下」である旨限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正による請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本願明細書の段落【0029】に「絶縁層20を形成する絶縁性材料としては、線膨張係数が7〜130ppm/Kのエポキシ配合樹脂が一般的に入手し易く好ましい。なお、この範囲は、7ppm/K、及び、130ppm/Kを含む。」と記載されている。
してみると、「絶縁層の線膨張係数が7ppm/K以上、130ppm/K以下」であることは、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項であり、本件補正による請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。
また、特許法第17条の2第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正による請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記「1.」の〈本件補正による請求項1〉の欄に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項、引用発明等
ア.引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に公開された特開2011−18906号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「ダイ」について、図面とともに以下の記載がある。なお、下線は当審で付与した。
「【0001】
本出願は、概略として集積回路(IC)に関し、より詳細にはICダイの個片化に関する。」

「【0012】
ウエハ100はダイ110の製造をサポートするのに適した任意の硬質基板でよい。例えば、ウエハ100は、Si、Ge、InP、GaAs又はCdTeなど、任意の基本的な又は化合物半導体の材料でもよく、又はそれらを含んでもよい。ウエハ100はまた、結晶サファイア、結晶アルミナ、結晶シリカ又は窒化アルミニウムなどの非半導体材料でもよく、又はそれらを含んでもよい。場合によっては、ウエハ100は、半導体ガラス複合材などのガラスでもよく、又はそれを含んでもよい。場合によっては、ウエハ100は、「ハンドル」ウエハ上に形成されるエピタキシャル層を含んでもよく、このハンドル・ウエハではトランジスタがエピタキシャル層内に形成される。
【0013】
図2Aは本開示の単一のダイ110の平面図を示す。図2Bは図2Aで示したダイ110の断面図を示す。これらの図は、以下の説明において同時に参照される。ダイ110は、基板210及びその上に形成された相互接続誘電体スタック220を備える。図には示していないが、基板はウエハ100に関して上述した半導体材料などの半導体材料を含んでもよく、トランジスタ又はキャパシタもしくはダイオードなど、それぞれ能動デバイス又は受動デバイスを含んでもよいことを理解されたい。相互接続の誘電体スタック220は、本明細書においては簡潔に誘電体スタック220と呼ぶことがある。本明細書及び特許請求の範囲では、基板210は、ウエハ100の一部分、及び上に存在する任意の各層を含み、これら各層の上に誘電体スタック220が配置される。誘電体スタック220は、例えばドープされた二酸化シリコン及びドープされていない二酸化シリコン、低誘電率及び超低誘電率の材料、並びに窒化ケイ素や炭化ケイ素などの障壁層を含んでもよい。限定されない例では、誘電体スタック220は、誘電体層220a、220b、220c、220d(図2B)を含むものとして示してあり、これらの層は同じ又は異なる誘電体材料を含む。図2Bの実施形態では厚さが等しいものとして示してあるが、一般に、各層220a、220b、220c、220dの厚さは異なることになる。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲において、用語「低誘電率」は、二酸化シリコンの比誘電率、即ち約4.2よりも小さい比誘電率を有する誘電体材料を示している。「超低誘電率」材料は、比誘電率が約3よりも小さいことがある。当業者には理解されるように、低誘電率及び超低誘電率の材料によっては、二酸化シリコンよりも機械的に脆弱であり、例えば二酸化シリコンと比較して相対的に不十分な状態で、しばしば誘電体スタック内の他の層に付着する。このような材料の限定されない例には、フッ素ドープ又は炭素ドープされた二酸化シリコン、多孔質シリカ、及びSiLK(商標)などの有機材料が含まれる。
【0015】
誘電体スタック220内には、従来通りに形成されることがある相互接続部230が配置されている。相互接続部230は配線を備え、これらの配線は、基板210に概ね平行な向きに基板210内で形成されたトランジスタ(図示せず)に電気信号及び電力を送る。バイアは基板210に概ね垂直な向きに配線間で信号を送る。相互接続部230及び各トランジスタは集積回路(IC)240の構成部品である。本明細書及び特許請求の範囲では、「相互接続部」とは、IC240上のトランジスタなどの能動デバイスを相互接続するバイア及び配線を指す。各誘電体層220a、220b、220c、220dはまた、その中に相互接続部230が存在するので、相互接続誘電体層である。誘電体スタック220は、例えばパッシベーション保護膜(PO)層又は他の耐環境層など、一番上の相互接続誘電体層の上に存在する誘電体層を除く。
【0016】
トレンチ250は、その形態及び目的を以下に述べるが、相互接続誘電体層220a(当審注:「200a」は「220a」の誤記と認める。)〜220dのうちの1つ以上の層内に配置される。残部260はトレンチ250とダイ縁部255の間に配置され、シール・リング270は、誘電体スタック220内で、かつトレンチ250とIC240の間に配置される。シール・リング270は従来の方法で形成してもよく、一般に、IC240とダイ110の露出した縁部との間に配置された積み重ねたバイア及び配線を含んでもよい。しかし、単層の金属から成るシール・リング270はまた、本開示の範囲内にある。バイア及び配線は、通常同じ金属タイプ(例えば銅)から形成され、相互接続部230のバイア及び配線と同時に形成される。実施形態によっては、シール・リング270はIC240を完全に囲む連続ループである。様々な実施形態において、シール・リング270は(トランジスタなどの)いかなる能動デバイスにも電圧源にも接続されない。シール・リング270は基板210への電気接続を形成する接点に接続してもよい。従って、シール・リング270は、基板210と同じ電位でよい。」

「【0019】
しかし、本開示の各実施形態では、トレンチ250は、普通ならシール・リング270を破壊し、IC240にまで進行することもある欠陥を食い止める働きをすることがある。個片化時のウエハ切断が原因となるストレスにより、残部260の誘電体層220b内で欠陥例えば亀裂が生じる場合、この欠陥はシール・リング270に到達する前にトレンチ250に達することになる。この欠陥を食い止めることにより、普通なら欠陥によって生じることもあるIC240の歩留り損失又は初期故障が回避される。
【0020】
図3に、本開示の方法を示す。図4〜図8を同時に参照して、方法300が提示されている。ステップ310で、第1及び第2の集積回路例えばIC240の2つの実例が半導体基板、例えば基板210上に設けられる。各集積回路は、少なくとも1つの相互接続誘電体層を含むダイシング・ストリートによって分離される。本明細書において「設けられる(provided)」とは、デバイス、基板、構造要素などが、開示された方法を実行する個人もしくは企業体によって製造されてもよく、又はそれにより、他の個人もしくは企業体を含め、この個人もしくは企業体以外の供給源から得てもよいことを意味する。
【0021】
図4は図1のダイ110a、110bの断面図を示す。ダイシング・ストリート120は、ウエハ100の一部分、及び隣接するIC240に関連する2つのシール・リング270の間の上に存在する各層として画定される。例として図4を参照すると、IC240aがシール・リング270aと関連し、IC240bがシール・リング270bと関連する。ダイシング・ストリート120は、ウエハ100の一部分、及びシール・リング270aと270bの間に配置された上に存在する各層である。ダイシング・ストリート120は、例えばウエハ鋸のひき目に対応するのに十分広いW1の厚さを有し、IC240aと240bの間に試験構造体を収めることもできる。図4の実施形態では、誘電体スタック220は手を加えていないものとして示してある。実施形態によっては、ダイシング・ストリート120内の誘電体スタック220の各部分を取り除いて、例えばIC240a、240bを形成する際に使用されるフォトリソグラフィ・プロセス・ステップ用の位置合せマークを設ける。
【0022】
図3に戻ると、ステップ320で、第1のIC240aと第2のIC240bとの間のダイシング・ストリート120内の誘電体層220a、220b、220c、220dのうちの1つ以上の層内に、トレンチ例えばトレンチ250が形成される。
【0023】
図5に、トレンチ250を形成するステップの一実施形態を示す。誘電体スタック220上に、従来の方法でフォトレジスト510の層が形成される。トレンチ250が必要とされる場所の上のフォトレジスト層510内に、従来の方法で開口部520が形成される。各開口部520は、シール・リング270のうちの1つに隣接して、ダイシング・ストリート120の上に配置される。例えば、開口部520’は、シール・リング270bに隣接して、ダイシング・ストリート120の上に配置される。実施形態によっては、開口部520はIC240の周りに閉ループを形成する。従って、例えば開口部520’及び開口部520’’はIC240bの周りの閉ループの各部分でもよい。
【0024】
エッチング・プロセス530は、各開口部520によって露出した誘電体スタック220の少なくとも一部分を取り除いてトレンチ250を形成する。エッチング・プロセス530は、従来のプロセスでも、将来見つかるプロセスでもよい。実施形態によっては、エッチング・プロセス530は、様々な誘電体層220a、220b、220c、220dに対して高速エッチング速度及び低選択性を有するように構成される。例えば、ボッシュ法と同様のプロセス、例えば深掘り反応性イオン・エッチング(DRIE)を使用してもよい。このようなプロセスは、例えばカリフォルニア州レッドウッドシティーのSTSystems(USA)Inc.から入手可能なPegasusエッチング・システムで実行してもよい。このエッチングに関係するプロセスの流れの各態様、例えばフォトレジストのタイプ、厚さ、及び硬化、エッチング・パラメータ、並びにエッチング後の洗浄は、例えばSTSystemsなどのプロセス・ベンダによるプロセス・モジュールとして提供されてもよい。
【0025】
実施形態によっては、複数のエッチング・プロセスを使用してもよく、各プロセスは特定の誘電体層を取り除くように構成される。例えば、様々な誘電体層が、ケイ素ベース対炭素ベースなど著しく異なる組成を有する場合には、複数のプロセスをこのように使用することが望ましいことがある。誘電体スタック220の合計の厚さが著しい、例えば約1μmより厚いとき、高速なエッチング速度が一般には望ましいことがある。しかし、例えばより高度なプロセス制御が必要とされるとき、又はIC240へのプラズマ誘起損傷を低減させるために、より遅いエッチング速度を使用してもよい。エッチング・プロセス530は、基板210上で又は誘電体スタック220内で停止するように時間設定してもよい。あるいは、エッチング・プロセス530は基板210上又は誘電体層220内の任意の中間層上で終了してもよい。
【0026】
次に図6に移ると、エッチング・プロセス530が誘電体スタック220の一部分を取り除いた後のダイ110a、110bが示してある。取り除くことにより、シール・リング270a、270bにそれぞれ隣接したトレンチ250a、250b、及びそれらの間の誘電体ストリップ610を形成する。誘電体ストリップ610は、トレンチ250a、250bによって画定された誘電体スタック220の一部分を含む。図に示していないが、誘電体ストリップ610には、例えばインラインの試験又は位置合せに関係する様々な構造物が含まれ得る。トレンチ250a、250bは、それだけとは限らないが、基板210に延びている状態を示している。他の実施形態では、誘電体スタック220の一部分はトレンチ250内で基板210の上に残っていてもよい。」






(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
・【0001】の記載によれば、引用文献1には、個片化される「ダイ」が記載されている。
・【0012】の記載によれば、「ウエハ100は、Si」「など、任意の基本的な又は化合物半導体の材料」であり、【0013】の記載によれば、「ダイ110は、基板210及びその上に形成された相互接続誘電体スタック220を備え」、「基板210は、ウエハ100の一部分」「を含み、」「上に誘電体スタック220が配置され」、「誘電体スタック220は」「低誘電率及び超低誘電率の材料」から成り「誘電体層220a、220b、220c、220d」「を含む」。
してみると、ダイ110は、Siなどの半導体の材料を含む基板210及びその上に形成された低誘電率及び超低誘電率の材料の相互接続誘電体層220a、220b、220c、220dを含む相互接続誘電体スタック220を備える。
・【0014】の記載によれば、「低誘電率及び超低誘電率の材料」は「有機材料」である。
・【0015】の記載によれば、相互接続「誘電体スタック220内には」「相互接続部230が配置され」、「相互接続部230は配線を備え」る。
してみると、相互接続誘電体スタック220内には配線を備えた相互接続部230が配置される。
・【0016】の記載によれば、「トレンチ250は」「相互接続誘電体層220a〜220dのうちの1つ以上の層内に配置され」、「残部260はトレンチ250とダイ縁部255の間に配置」される。また、【0024】の記載によれば、相互接続「誘電体スタック220の少なくとも一部分を取り除いてトレンチ250を形成」される。
してみると、相互接続誘電体スタック220の少なくとも一部分を取り除いてトレンチ250を形成することにより、トレンチ250は相互接続誘電体220a〜220dのうちの1つ以上の層内に配置され、残部260はトレンチ250とダイ縁部255の間に配置される。
・【0026】の記載によれば、相互接続「誘電体スタック220の一部分はトレンチ250内で基板210の上に残って」いる。

(ウ)上記技術事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「Siなど半導体の材料を含む基板210及びその上に形成された低誘電率及び超低誘電率の材料の相互接続誘電体層220a、220b、220c、220dを含む相互接続誘電体スタック220を備え、
低誘電率及び超低誘電率の材料は有機材料であり、
相互接続誘電体スタック220内には配線を備えた相互接続部230が配置され、
相互接続誘電体スタック220の少なくとも一部分を取り除いてトレンチ250を形成することにより、トレンチ250は相互接続誘電体層220a〜220dのうちの1つ以上の層内に配置され、残部260はトレンチ250とダイ縁部255の間に配置され、
誘相互接続電体スタック220の一部分はトレンチ250内で基板210の上に残っている、
ダイ110。」

イ.引用文献2
(ア)原査定で引用され本願の出願日前に公開された、特開2006−282480号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

「【0014】
ガラス基板3に溝2を形成する方法としては、ガラス基板3の表面に公知のフォトリソグラフィー技術によりレジストパターンを形成し、ドライエッチングまたはウエットエッチングにより形成する方法、レーザー加工法、金属刃によるスクライブ加工法等が挙げられるが、上記の目的のために高アスペクト比およびテーパ角の小さな溝を形成できれば、特に限定されるものではない。なお、アスペクト比およびテーパ角についても、詳しくは後述する。」

「【0023】
さらに、これらの結果は垂直方向からのスパッタによるものであるが、ターゲットをガラス基板から離れた位置に設置し、シャドーイング効果を利用した成膜手法がより効果的な場合もある。すなわち、図9(実施の形態4)および10(実施の形態5)に示すように、溝側面が垂直およびテーパ状の溝を有するガラス基板に対して、入射方向を斜め(矢印方向)にしたスパッタリングを行なうことにより(例えば入射角θ1=45°)、一方の溝側面および溝底面に薄膜材料が入射し難くなり、溝内において薄膜の切断状態を容易かつ確実に生じさせることができる。なお、図10に示すようなテーパ状の溝の場合、スパッタ入射角θ1は溝のテーパ角θよりも大きい方が段差被覆性をより悪化させる上で好ましい。なお、図9および10において、15、17は薄膜、16、18はガラス基板、17、19は溝である。」

(イ)上記記載から、引用文献2には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「ドライエッチングまたはウエットエッチングにより基板3に形成される溝2をテーパ状に形成する」技術。

ウ.周知文献3
(ア)新たに提示する本願の出願日前に公開された、特開2012−109297号公報(以下、「周知文献3」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

「【0014】
半導体チップ20は、半導体基板21と、電極パッド22と、突起電極23とを有する。半導体チップ20は、裏面に貼り付けられた両面粘着剤38を介して支持体30の凹部30x内に収容されており、半導体チップ20の側面と凹部30xの内側面との隙間には樹脂部39が充填されている。半導体チップ20の厚さT1(両面粘着剤38も含む)は、例えば、300〜500μm程度とすることができる。
【0015】
半導体基板21は、例えばシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等からなる基板に半導体集積回路(図示せず)が形成されたものである。電極パッド22は、半導体チップ20の主面20a側に形成されており、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続されている。電極パッド22の材料としては、例えばアルミニウム(Al)等を用いることができる。電極パッド22の材料として、銅(Cu)とアルミニウム(Al)をこの順番で積層したもの、銅(Cu)とアルミニウム(Al)とシリコン(Si)をこの順番で積層したもの等を用いても構わない。」

「【0025】
配線構造体40は、第1絶縁層41、第1配線層42、第2絶縁層43、第2配線層44、第3絶縁層45、第3配線層46、ソルダーレジスト層47が順次積層された構造を有する。配線構造体40の厚さT3は、例えば30〜50μm程度とすることができる。図1では、支持体30の厚さ(T1+T2)と配線構造体40の厚さT3は同程度に描かれているが、実際は、配線構造体40の厚さT3は支持体30の厚さ(T1+T2)と比べて大幅に薄くなっている。」

「【0051】
次に、図6に示す工程では、各半導体チップ20の主面20a上及び支持体30の一方の面30a上に、各半導体チップ20の主面20a側に設けられた突起電極23を被覆する第1絶縁層41を形成する。第1絶縁層41の材料としては、例えば熱硬化性を有するシート状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂、又は、熱硬化性を有する液状又はペースト状のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。」

「【0060】
次に、図9に示す工程では、図6〜図8と同様な工程を繰り返すことにより、第2絶縁層43、第2配線層44、第3絶縁層45、及び第3配線層46を積層する。すなわち、第1配線層42を被覆する第2絶縁層43を形成した後に、第1配線層42上の第2絶縁層43の部分に第2ビアホール43xを形成する。」



(イ)上記記載から、周知文献3には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「シリコン(Si)等からなる半導体基板主面上に形成される配線構造体の絶縁層の材料をエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂とする」技術。

エ.周知文献4
(ア)新たに提示する本願の出願日前に公開された、特開2006−32600号公報(以下、「周知文献4」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

「【0041】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は本第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図であり、図2は図1に示す微細配線構造部12の拡大断面図である。また、図3は、本第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。図1及び図2に示すように、本第1実施形態に係る半導体装置においては、半導体基板11の表面上に微細配線構造部12が形成されている。半導体基板11は、例えばSi又はGaAsにより形成されている。微細配線構造部12上には、巨大配線構造部13が設けられている。巨大配線構造部13においては、微細配線構造部上の第1巨大配線構造部13aと、この第1巨大配線構造部13a上の第2巨大配線構造部13bとが設けられている。」

「【0043】
半導体基板11の表面上に、微細配線構造部12が配置されている。この微細配線構造部12においては、先ず、MOSトランジスタ30及び半導体基板11の表面を覆うように、第1絶縁層29の絶縁膜32が形成され、絶縁膜32上には第1配線層28が形成されている。第1配線層28は、複数個の配線31及びこの配線31を相互に絶縁する絶縁膜32によって構成されている。配線31は、前記MOSトランジスタ30を覆っている絶縁膜32内に形成されたプラグ27によって夫々前記ソース電極25及び前記ドレイン電極26と電気的に接続されている。更に、この最下層の第1配線層28上に、複数組の第1絶縁層29及び第1配線層28が交互に積層されている。第1絶縁層29においては、絶縁膜32内にその上下の第1配線層28内の配線31を接続するビア33が形成されている。即ち、異なる配線層28の配線31は相互にビア33により電気的に接続されている。このようにして、第1絶縁層29及び第1配線層28が交互に積層されて微細配線構造部12が構成されている。」

「【0046】
図1に示すように、微細配線構造部12上には、破線で囲むように第1巨大配線構造部13aの第2絶縁層14が設けられており、この第2絶縁層14上に破線で囲むように第1巨大配線構造部13aの第2配線層15が形成されている。図1には、1対の第2配線層15及び第2絶縁層14のみ図示されているが、これらの第2配線層15及び第2絶縁層14も交互に複数層積層してもよい。第2配線層15は複数個の配線21とこの配線を絶縁する絶縁膜20とにより構成されている。また、第2絶縁層14においては、絶縁膜20内にビア18が形成されており、このビア18により上下の第2配線層15の配線21が接続されている。そして、最下層の第2配線層15の配線21と微細配線構造部12の表面の配線31はビア18により電気的に接続されている。これらの第2絶縁層14及び第2配線層15により第1巨大配線構造部13aが構成されている。
【0047】
第1巨大配線構造部13a上には、第2巨大配線構造部13bが設けられている。第2巨大配線構造部13bにおいては、破線で囲む第3絶縁層16と破線で囲む第3配線層17とが複数層交互に形成されている(図示例は2組)。第3配線層17は複数個の配線23と、この配線を絶縁する絶縁膜22とで構成されている。また、第3絶縁層16においては、絶縁膜22内にビア18が形成されており、このビア18によりその上下の第3配線層17内の配線23が相互に接続されている。更に、配線23と第1巨大配線構造部13aの表面の配線21はビア18により電気的に接続されている。このように、第3絶縁層16及び第3配線層17が交互に積層されて第2巨大配線構造部13bが構成されている。そして、第1巨大配線構造部13aと第2巨大配線構造部13bとにより巨大配線構造部13が構成されている。」

「【0059】
更にまた、絶縁層14の絶縁膜20及び絶縁層16の絶縁膜22は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成されており、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)及びポリノルボルネン樹脂等で形成されている。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率及び破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。感光性の有機材料を使用する場合、ビア18を設ける絶縁膜20及び絶縁膜22の開口部はフォトリソグラフィーにより形成される。非感光性の有機材料又は、感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア18を設ける絶縁膜20及び絶縁膜22の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法又はブラスト法により形成される。また、ビア18の位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア18を形成する方法により、絶縁膜20又は22に予め開口部を設ける必要が無い。」



(イ)上記記載から、周知文献4には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「Siにより形成されている半導体基板表面上に形成される配線構造部の絶縁層はエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂で形成される」技術。

オ.周知文献5
(ア)新たに提示する本願の出願日前に公開された、特開2005−167048号公報(以下、「周知文献5」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

「【0014】
本発明では、多層配線基板1上に設けるそれぞれの微細な多層配線層の位置精度を保つために、コア基板2のコア材2aとして、シリコンが用いられる。シリコンは半導体プロセスが適用でき微細加工に好適で、精密なスルーホール加工に適しており、熱膨張係数が半導体チップと同じなので、温度変化による膨張収縮等の形状変化は半導体チップと同一となり、信頼性の高い配線基板を作製できる。」

「【0025】
導電性ペースト5を充填したスルーホール4を形成したコア基板2の片面あるいは両面には、必要に応じて、所望する配線が設けられている(図示せず)。
コア基板2の配線およびコア基板2上に設けたビルドアップ配線層3の配線7a、7bおよびビア8a、8bの材質は、銅、銀、金、クロム等の導電材料とすることができる。コア基板の少なくともビルドアップ配線層3を設ける側は、絶縁性を兼ねた材料で平坦化しておくことが好ましい。この平坦化絶縁層9a、9bの材料としては、はんだリフロー温度である250℃以下で熱硬化可能な感光性絶縁材料が用いられ、ベンゾシクロブテン樹脂、カルド樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい材料として挙げられる。また、ビルドアップ層の絶縁層10a、10b、10cの材料としては、上記と同じく、熱硬化可能な感光性絶縁材料である、ベンゾシクロブテン樹脂、カルド樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい材料として用いられる。」



(イ)上記記載から、周知文献5には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「コア材としてシリコンが用いられるコア基板上に設けたビルドアップ配線層の絶縁層の材料としてポリイミド樹脂を用いる」技術。

カ.参考文献6
(ア)新たに提示する本願の出願日前に公開された、特開2017−82313号公報(以下、「参考文献6」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

「【0017】
なお、ポリイミドの線膨張係数は1.5×10−5/℃〜5×10−5/℃であり、ニッケル又はニッケル合金の線膨張係数は1.0×10−5/℃〜1.8×10−5/℃で、両者の線膨張係数は比較的近似している。したがって、フィルム4とメタルシート5とを積層した構造の成膜マスクにおいては、線膨張係数の差によりフィルム4に発生する内部応力を抑制する目的から、フィルム4として線膨張係数が金属に近いポリイミド(PI)を使用するのが望ましい。ただし、フィルム4の材料としては、ポリイミドに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のレーザ加工(レーザアブレーション)可能な他の樹脂材料であってもよい。また、メタルシート5は、ニッケル又はニッケル合金に限られず、インバー又はインバー合金等の他の磁性金属材料であってもよい。」

(イ)上記記載から、参考文献6には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「ポリイミドの線膨張係数は1.5×10−5/℃〜5×10−5/℃(15〜50ppm/℃)」である。

キ.参考文献7
(ア)新たに提示する本願の出願日前に公開された、特開2014−220422号公報(以下、「参考文献7」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

「【0051】
ここで、温度変化により、基板21と被覆部28には膨張と収縮が生じる。
この場合、基板21をセラミックスを用いて形成すると、基板21の線膨張係数は、7ppm/K程度となる。
被覆部28をエポキシ樹脂を用いて形成すると、被覆部28の線膨張係数(硬化後のエポキシ樹脂の線膨張係数)は、60ppm/K程度となる。
被覆部28をシリコーン樹脂を用いて形成すると、被覆部28の線膨張係数(硬化後のシリコーン樹脂の線膨張係数)は、200ppm/K程度となる。」

(イ)上記記載から、参考文献7には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
「硬化後のエポキシ樹脂の線膨張係数は、60ppm/K程度」である。

(3)対比
ア.本願の明細書段落【0024】の記載によれば、「コア基板10としては、ガラス基板、シリコン基板・・・等のいずれか1の脆弱材料を用いることが」あるものである。
したがって、引用発明の「Siなど半導体の材料を含む基板210」は本願補正発明の「コア基板」に相当する。

イ.引用発明の「相互接続誘電体スタック220」は、基板210の上に形成された低誘電率及び超低誘電率の有機材料である。そして、低誘電率及び超低誘電率の有機材料が絶縁体であることは明らかである。
してみると、引用発明の「相互接続誘電体スタック220」は、本件補正発明の「前記コア基板の片面及び/又は両面上に形成された絶縁層」に相当する。

ウ.引用発明の「相互接続部230」は、相互接続誘電体スタック220内に配置され配線を備えたものであるから、本願補正発明の「前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層」に相当する。

エ.引用発明の「ダイ110」は、「基板210」、「相互接続誘電体スタック220」、「相互接続部230」を有するものであるから、上記アないしウの対比を考慮すれば、本願補正発明の「コア基板と、前記コア基板の片面及び/又は両面上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、を含むパッケージ用基板」に相当する。

オ.本願補正発明は「前記絶縁層の線膨張係数が7ppm/K以上、130ppm/K以下」であるのに対して、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。

カ.引用発明の「トレンチ250」は、相互接続誘電体スタック220の少なくとも一部分を取り除いて形成することにより相互接続誘電体層220a〜220dのうちの1つ以上の層内に配置され、残部260がトレンチ250とダイ縁部255の間に配置されるものであるから、「トレンチ250」は相互接続誘電体スタック220の外周部分に形成された溝構造であることは明らかである。
してみると、引用発明は「トレンチ250」が配置されるものであることは、本願補正発明の「前記絶縁層の外周部分に溝構造を有」することに相当する。

キ.本願補正発明は「前記溝構造は、幅が前記コア基板に向かって漸次狭くなる形状に形成され」るのに対して、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。

ク.引用発明の「相互接続誘電体スタック220の一部はトレンチ250内で基板210の上に残っている」ことは、本願補正発明の「前記絶縁層は、前記溝構造の底面から前記コア基板まで所定の長さを有する」ことに相当する。

ケ.したがって、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有するといえる。
〈一致点〉
「コア基板と、前記コア基板の片面及び/又は両面上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上及び/又は前記絶縁層内に形成された1又は複数の配線層と、を含むパッケージ用基板であって、
前記絶縁層の外周部分に溝構造を有し、
前記絶縁層は、前記溝構造の底面から前記コア基板まで所定の長さを有する
パッケージ用基板。」

〈相違点1〉
本願補正発明は「前記絶縁層の線膨張係数が7ppm/K以上、130ppm/K以下」であるのに対して、引用発明はその旨特定されていない点

〈相違点2〉
本願補正発明は「前記溝構造は、幅が前記コア基板に向かって漸次狭くなる形状に形成され」るのに対して、引用発明はその旨特定されていない点

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア.相違点1について
周知文献3ないし5に記載された技術事項(上記「(2)ウ.(イ)」ないし「(2)オ.(イ)」参照)のように、Siなどの半導体基板上に形成される配線構造体の絶縁層をエポキシ樹脂やポリイミド樹脂により構成することは本願出願日前周知技術であり、引用発明の「相互接続誘電体スタック220」(絶縁層)を構成する「有機材料」をエポキシ樹脂やポリイミド樹脂とすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。
そして、例えば、参考文献6および7に記載された技術事項(上記「(2)カ.(イ)」および「(2)キ.(イ)」参照)のように、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂の線膨張係数は、7ppm/K以上、130ppm/K以下であるから、引用発明において「相互接続誘電体スタック220」(絶縁層)を構成する「有機材料」をエポキシ樹脂やポリイミド樹脂としたものは、絶縁層の線膨張係数が7ppm/K以上、130ppm/K以下である。
よって、引用発明に周知技術を適用し、本願補正発明の相違点1に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことと認められる。

イ.相違点2について
エッチングやダイシングブレード(刃)を用いて溝を形成する場合、溝の奥へ行くほど幅が漸次狭くなる、いわゆるテーパ形状の溝となることは周知の事項であるものと認められる。また、引用文献2には、「ドライエッチングまたはウエットエッチングにより基板3に形成される溝2をテーパ状に形成する」技術が記載されている(上記「(2)イ.(イ)」参照)。
してみると、引用発明において「トレンチ250」(溝構造)の形状を、奥へ行くほど幅が漸次狭くなる形状に形成することは、当業者が適宜なし得た技術事項に過ぎない。

ウ.審判請求書での請求人の主張について
審判請求書において請求人は、「本願発明1においては、絶縁樹脂によってコア基板の微小クラックが延伸するのを、より効果的に抑制するために、その線膨張係数に制限を加えておりますが、引用文献1においては、コア材料に微小クラックが発生するという発想自体がなく、もちろんそれが、その上に積層された層から加えられる応力によって延伸するという発想もありません。ゆえに、脆弱なコア材料の上に絶縁樹脂が積層された構造において、コア材料に微小クラックが発生した場合に、その延伸を防ぐ手段として引用発明1に他の文献に記載の発明を適用しようという動機づけがありません。」と主張している(第8頁第17ないし24行)。
しかしながら、上記「ア.」で検討したように、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂により、半導体基板上に形成される配線構造体の絶縁層を構成することは本願出願日前周知技術であるから、引用発明の「相互接続誘電体スタック220」(絶縁層)を構成する「有機材料」をエポキシ樹脂やポリイミド樹脂とすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。そして、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂の請線膨張係数は7ppm/K以上、130ppm/K以下であるから、引用発明の「相互接続誘電体スタック220」(絶縁層)を構成する「有機材料」をエポキシ樹脂やポリイミド樹脂としたものは、絶縁層の線膨張係数が7ppm/K以上、130ppm/K以下であるものと認められる。
したがって、コア材料に微小クラックが発生した場合に、その延伸を防ぐ手段として引用発明1に他の文献に記載の発明を適用しようという動機の有無にかかわらず、引用発明に周知技術を適用し本願補正発明の相違点1に係る構成を得ることは当業者が容易になし得たことと認められ、請求人の主張は採用できない。

(5)まとめ
以上のとおりであるから、本願補正発明は引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するもので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年1月21日付の手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の〈補正前の請求項1〉に摘記されたとおりのものである。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

<引用文献等一覧>
1.特開2011−18906号公報
2.特開2006−282480号公報(周知技術を示す文献)

3.引用文献の記載及び引用発明等
原査定の引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記「第2」の「(2)ア.」に記載したとおりである。
また、原査定の引用文献2の記載事項および引用文献2に記載された技術事項は、上記「第2」の「(2)イ.」に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]1.」で検討した本願補正発明から「前記絶縁層の線膨張係数が7ppm/K以上、130ppm/K以下」という事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]2.(3)及び(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術から当業者が容易になし得たものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術から当業者が容易になし得たものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-05-17 
結審通知日 2022-05-24 
審決日 2022-06-09 
出願番号 P2017-120669
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 山田 正文
山本 章裕
発明の名称 パッケージ用基板、およびその製造方法  
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