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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1387230
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-19 
確定日 2022-05-10 
事件の表示 特願2019−526791「重合性液晶組成物、それを用いた光学フィルム、及びその製造方法。」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月 3日国際公開、WO2019/003934、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特願2019−526791号(以下「本件出願」という。)は、2018年6月14日(先の出願に基づく優先権主張 平成29年6月29日)を国際出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和 3年 3月 4日付け :拒絶理由通知書
令和 3年 3月 30日提出:意見書
令和 3年 3月 30日提出:手続補正書
令和 3年 7月 13日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 3年10月 19日提出:審判請求書

第2 原査定の概要
原査定の概要は以下のとおりである。
本件出願の請求項1−6に係る発明(令和3年3月30日に提出された手続補正後のもの)は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:特開2013−87109号公報

第3 本件発明
本件出願の請求項1−6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」−「本件発明6」という。)は、令和3年3月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−6に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本件発明1−6は、以下のとおりのものである。

【請求項1】
第一成分として下記一般式(I−1)
【化4】

(式中、P111及びP112はそれぞれ独立して重合性官能基を表し、
Sp111及びSp112はそれぞれ独立して炭素原子数1〜18のアルキレン基又は単結合を表し、該アルキレン基中の1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良く、該アルキレン基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子又はCN基によって置換されても良く、
X111及びX112はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し(ただし、P111−Sp111、P112−Sp112、Sp111−X111及びSp112−X112において、酸素原子同士の直接結合を含まない。)、
q111及びq112はそれぞれ独立して0又は1を表し、
A11及びA12は各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良く、
Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いフェニルアルキル基、置換されていても良いシクロヘキシルアルキル基、又は、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−OCO−O−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−N=N−、−CR0=N−、−N=CR0−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−(式中、R0は水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、化合物内にLが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A12が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z11及びZ12は各々独立して、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CH2CH2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z12が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m111及びm112はそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、
R1及びR2は各々独立して、水素原子又はメチル基を表すが、R1又はR2のいずれか一方はメチル基を表す。)で表される重合性液晶化合物、
第二成分として、下記一般式(II−2)
【化2】



(式中、P221は重合性官能基を表し、Sp221は炭素原子数1〜18のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−によって置換されても良く、該アルキレン基の有する1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)又はCN基によって置換されても良く、X221は−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し(ただし、P221−Sp221、及びSp221−X221において、C、H以外のヘテロ原子同士の直接結合を含まない。)、MG221はメソゲン基を表し、R221は、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルケニル基を表し、該アルキル基及びアルケニル基中の1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NH−、−N(CH3)−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良く、該アルキル基及び該アルケニル基の有する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)又はシアノ基によって置換されても良く、複数置換されている場合それぞれ同一であっても、異なっていても良い。)で表される化合物から選択される重合性液晶化合物、
第三成分として、下記一般式(II−1)
【化3】



(一般式(II−1)中、P211は重合性官能基を表し、
A211及びA212は各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良く、
Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、置換されていても良いフェニル基、置換されていても良いフェニルアルキル基、置換されていても良いシクロヘキシルアルキル基、又は、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−OCO−O−、−CO−NR0−、−NR0−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−N=N−、−CR0=N−、−N=CR0−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−(式中、R0は水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表す。)によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、化合物内にLが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A212が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z211は、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CH2CH2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z211が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m211は1〜3の整数を表し、
T211は水素原子、−OH基、−SH基、−CN基、−COOH基、−NH2基、−NO2基、−COCH3基、−O(CH2)nCH3、又は−(CH2)nCH3を表し、nは0〜20の整数を表す。)で表される重合性液晶化合物、及び第4成分としてキラル化合物を含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
【請求項2】
重合性液晶組成物に用いる重合性液晶化合物の合計量のうち、前記一般式(II−1)及び前記一般式(II−2)で表される化合物の合計が、50〜95質量%の範囲である請求項1記載の重合性液晶組成物。
【請求項3】
前記第1成分〜第4成分に加え、更に、重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤又はα-アミノアルキルフェノン系開始剤を含有する請求項1又は2記載の重合性液晶組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物を用いた光学フィルム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物を重合させる工程を含む、光学
フィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載の光学フィルムを用いた画像表示装置。

(なお、請求項1における「R1及びR2は各々独立して、水素原子又はメチル基を表すが、R1又はR2のいずれか一方はメチル基を表す。」との要件を、便宜のため、以下「特定第一成分要件」という。)

第4 引用文献
1 引用文献1に記載された事項
(1)引用文献1には以下の記載がある。(下線は合議体が付した。以下同様。)

「【0060】
一般式(II)で表される重合性化合物は具体的には、一般式(II−1)〜一般式(II−22)で表される化合物が好ましい。
【0061】
【化21】


【0062】
【化22】


【0063】
【化23】

【0064】
(式中、p及びqはお互い独立して0〜12の整数を表すが、p及び/又はqが0の場合は2個の酸素原子直接結合することはなく、一方の酸素原子を除去する。)・・・」

「【0088】
・・・
(実施例1)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に3−(p−ヒドロキシフェニル)安息香酸 33.2g(240ミリモル)、ヨウ化カリウム 4g、テトラブチルアンモニウムブロミド 1g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 24gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、ベンジルブロミド 50g(288ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して式(1)で表す化合物を38g合成した。
【0089】
【化27】
(化学構造式は省略)
【0090】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記で合成した式(1)で表す化合物28g(123ミリモル)、イソソルビド 7.7g(55ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 1.8g、ジクロロメタン 500mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 19g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液にジクロロメタン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(2)で表す化合物23gを得た。
【0091】
【化28】
(化学構造式は省略)
【0092】
次いで、撹拌装置備えたオートクレーブ容器に、上記で合成した式(2)で表す化合物23g(40.5ミリモル)、パラジウムカーボン 1g、エタノール150mlを仕込み、0.1MPaの水素にて還元反応(反応温度50℃、3時間)を行った。反応液をろ過した後、反応溶媒を留去して式(3)で表す化合物14gを得た。
【0093】
【化29】
(化学構造式は省略)
【0094】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(3)で表す化合物4g(10.3ミリモル)、アクリル酸クロリド 2.26g(25ミリモル)、ジクロロメタン50mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。次いでトリエチルアミン 2.5g(25ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、20℃以下で3時間反応させた。反応終了後、ジクロロメタンを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、2倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(4)で表す目的の化合物 4.2gを得た。
【0095】
【化30】



【0096】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.05−4.11(m,4H),4.67(m,1H),5.06(m,1H),5.42(m,1H),5.49(s,1H),6.04(d,2H),6.29(m,2H),6.65(d,2H),7.21−7.26(m,4H),8.06(dd,4H)13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:70.7,73.4,74.5,78.5,81.1,86.1,121.7,126.9,127.0,127.5,131.3,133.3,154.5,163.8,164.7,165.1赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809(融点)125℃
下記で表すネマチック液晶組成物に式(4)で示される化合物を5.0%添加して光学
顕微鏡より求めるピッチよりHTPを算出した結果、HTP=31と高い値を示した。
【0097】
【化31】



「【0119】
・・・(実施例6) 重合性液晶組成物の調製
以下で表す組成の重合性液晶組成物(組成物1) を調製した。
【0120】
【化42】


【0121】
重合性液晶組成物は、良好な相溶安定性を有し、コレステリック液晶相を示した。この組成物に光重合開始剤ベンジルジメチルケタール( 商品名イルガキュアー651 チバスペシャリティーケミカル社製)を組成物1の100g に対し1g添加して重合性液晶組成物( 組成物2 )を調製した。この組成物2を、真空注入法により、縦5cm、横5cm、ギャップ5μmのポリイミド付きセルに注入した。これに高圧水銀ランプを用いて4mW/cm2 の紫外線を120秒間照射したところ、組成物2が均一な配向状態を保ったまま重合し、光学異方体が得られた。この光学異方体は良好な円偏光特性を有していた。・・・」

(2)引用発明
上記(1)の【0088】−【0097】にある実施例1より、引用文献1には次の事項(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(引用発明)
【化30】の化合物と、【化31】の液晶組成物とを含有する、組成物。

第5 対比判断
1 本件発明1
(1)対比
引用発明と本件発明1を対比する。
引用発明の【化30】の化合物は、その構造式からキラル化合物であって、本件発明1の「第4成分」に相当する。
引用発明の【化31】の液晶組成物のうち3番目に記載された液晶化合物における、


」は、アクリロイルオキシ基であるから、本件発明1の「第二成分」における「重合性官能基を表」す「P221」に相当する。以下同様に、


」は、「Sp221」に相当する。


」は、「X221」に相当する。


」は、「MG221」に相当する。


」は、「R221」に相当する。
総合すると、引用発明の【化31】の液晶組成物のうち3番目に記載された液晶化合物は、本件発明1の「一般式(II−2)」「で表される化合物から選択される重合性液晶化合物」である「第二成分」に相当する。

引用発明の【化31】の液晶組成物のうち4番目に記載された液晶化合物において、


」は、アクリロイルオキシ基であるから、本件発明1の「重合性官能基を表」す「第三成分」の「P211」に相当する。以下同様に、


」は、「A211」に相当する。


」は、「Z211」に相当する。(m211は1)


」は、「A212」に相当する。(m211は1)


」は、「T211」に相当する。(nは2)
総合すると、引用発明の【化31】の液晶組成物のうち4番目に記載された液晶化合物は、本件発明1の「一般式(II−1)」「で表される重合性液晶化合物」である「第三成分」に相当する。

引用発明の【化31】の液晶組成物のうち5番目に記載された液晶化合物において、


」は、アクリロイルオキシ基であるから、本件発明1の「重合性官能基を表」す「第三成分」の「P211」に相当する。以下同様に、


」は、「A211」に相当する。


」は、「Z211」に相当する。(m211は1)


」は、「A212」に相当する。(m211は1)


」は、「T211」に相当する。(nは4)
総合すると、引用発明の【化31】の液晶組成物のうち5番目に記載された液晶化合物は、本件発明1の「一般式(II−1)」「で表される重合性液晶化合物」である「第三成分」に相当する。

引用発明の【化31】の液晶組成物のうち1番目に記載された液晶化合物において、


」は、アクリロイルオキシ基であるから、本件発明1の「重合性官能基を表」す「第一成分」の「P111」に相当する。以下同様に、


」は、「Sp111」に相当する。(q111は1)


」は、「X111」に相当する。(q111は1)


」は、「A11」に相当する。(m111は1)


」は、「Z11」に相当する。(m111は1)


」は、「Z12」に相当する。(m112は1)


」は、「A12」に相当する。(m112は1)


」は、「X112」に相当する。(q112は1)


」は、「Sp112」に相当する。(q112は1)


」は、「P112」に相当する。
総合すると、引用発明の【化31】の液晶組成物のうち1番目に記載された液晶化合物と、本件発明1の「第一成分」とは、特定第一成分要件以外の点において構造が共通する重合性液晶化合物である。

引用発明の【化31】の液晶組成物のうち2番目に記載された液晶化合物において、


」は、アクリロイルオキシ基であるから、本件発明1の「重合性官能基を表」す「第一成分」の「P111」に相当する。以下同様に、


」は、「Sp111」に相当する。(q111は1)


」は、「X111」に相当する。(q111は1)


」は、「A11」に相当する。(m111は1)


」は、「Z11」に相当する。(m111は1)


」は、「Z12」に相当する。(m112は1)


」は、「A12」に相当する。(m112は1)


」は、「X112」に相当する。(q112は1)


」は、「Sp112」に相当する。(q112は1)


」は、「P112」に相当する。
総合すると、引用発明の【化31】の液晶組成物のうち2番目に記載された液晶化合物と、本件発明1の「第一成分」とは、特定第一成分要件以外の点において構造が共通する重合性液晶化合物である。

したがって、引用発明と本件発明1の一致点、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
第一成分として、一般式(I−1)で表される重合性液晶化合物(ただし、特定第一成分要件を除く。)、
第二成分として、一般式(II−2)で表される重合性液晶化合物、
第三成分として、一般式(II−1)で表される重合性液晶化合物、
第4成分としてキラル化合物を含有する、重合性液晶組成物。
(当合議体注:上記一般式(I−1)〜(II−1)は、それぞれ上記「第3」に示したものである。)

(相違点)
第一成分の一般式(I−1)で表される重合性液晶化合物が、本件発明1では特定第一成分要件を満たすのに対して、引用発明では、当該要件を満たさない(R1及びR2がいずれも水素原子である)点。

(2)判断
引用発明の第一成分の重合性液晶化合物において、水素原子であるR1、R2について、そのいずれか一方をメチル基に変更しようとする動機は、引用文献1を検討しても見当たらない。
また、引用文献1の【0060】−【0064】には、一般式(II)で表される重合性化合物(本件発明1の「第1成分」に相当するもの)の具体例が22個列挙され、その中に(II−14)として、本件発明1の第一成分の一般式(I−1)で表される重合性液晶化合物においてR1又はR2の一方がメチル基である化合物が挙げられているものの、その他の21個はすべてR1とR2がいずれも水素原子である化合物であって、全22個の中から(II−14)を選択して、引用発明の第一成分として採用する動機は見当たらない。また、引用文献1の【0119】−【0121】に記載されている実施例6では、【化42】の一番上に記載されている化合物が、本件発明1の第一成分の一般式(I−1)で表される重合性液晶化合物においてR1又はR2の一方がメチル基である化合物であるが、実施例6では第二成分や第三成分に該当する化合物が使用されていないし、実施例6において第二成分や第三成分を採用する動機も見当たらない。ましてや、実施例6の「第一成分」のみに着目して、それを実施例1の「第一成分」と置換ないし追加採用するという動機を見いだすことはできない。
そうしてみると、当業者であっても、本件発明1は、引用文献1に記載された発明及び同文献に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたものであるとは言えない。

2 本件発明2−6
本件発明2−6は、本件発明1の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたものであるとは言えない。

第6 原査定について
上記「第5」で述べたように、本件発明1−6は、当業者であっても引用文献1に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたものであるとは言えない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本件出願を拒絶することはできない。
また、他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


 
審決日 2022-04-21 
出願番号 P2019-526791
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 里村 利光
特許庁審判官 加々美 一恵
清水 康司
発明の名称 重合性液晶組成物、それを用いた光学フィルム、及びその製造方法。  
代理人 大野 孝幸  
代理人 岩本 明洋  
代理人 小川 眞治  
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