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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1387307
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-15 
確定日 2022-06-21 
事件の表示 特願2020− 66035「デジタルインクの出力方法、デジタルインクの出力装置、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 7月 2日出願公開、特開2020−102275、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)11月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年11月19日(US)アメリカ合衆国 2013年11月25日(US)アメリカ合衆国 2014年3月31日(US)アメリカ合衆国 2014年8月27日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2016−511844号(以下、「原出願」という。)の一部を平成28年11月10日に新たな特許出願とした特願2016−219334号の一部を平成29年4月6日に新たな特許出願とした特願2017−75945号の一部を平成29年6月22日に新たな特許出願とした特願2017−121832号の一部を平成30年12月6日に新たな特許出願とした特願2018−228833号の一部を令和2年4月1日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

令和3年 1月25日付け :拒絶理由通知書
令和3年 3月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 8月13日付け :拒絶査定、令和3年3月30日の手続補正についての補正の却下の決定
令和3年11月15日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年8月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1−18に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1−3に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1: 特開2003−330605号公報
引用文献2: 米国特許出願公開第2005/0088427号明細書
引用文献3: 特開2010−204745号公報

第3 本願発明
本願請求項1−18に係る発明(以下、「本願発明1」−「本願発明18」という。)は、令和3年11月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1−18に記載された事項により特定される発明であり、それらのうちの本願発明1は、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
コンピュータで実行されるデジタルインクの出力方法であって、
前記コンピュータが、ポインタがパネルに接触してから前記パネルから離れるまでの軌跡を示すストロークオブジェクトを生成するステップと、
前記コンピュータが、前記ストロークオブジェクトの生成に応じて、前記ストロークオブジェクトから時刻情報を含むメタデータを抽出し、当該抽出したメタデータに基づいてメタデータオブジェクトを生成するステップと、
前記コンピュータが、生成された前記ストロークオブジェクトと生成された前記メタデータオブジェクトとの関連付けを含む1つのインクデータを出力するステップと、
を含むデジタルインクの出力方法。」

なお、本願発明2−18の概要は以下のとおりである。

本願発明2−6は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明7−12は、それぞれ本願発明1−6に対応する出力装置の発明であり、本願発明1−6とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明13−18は、それぞれ本願発明1−6に対応するプログラムの発明であり、本願発明1−6とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1、引用発明1
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「【0011】物理的インクの見た目および感じを提供するため、電子インクを、ポイントを有する1組のストロークとして記憶することができる。あるいは、インクを、より豊かなデータタイプをさらに作成するのに役立つ様々なプロパティ、メソッド、およびイベントとともに記憶するか、またはこれらに関連付けることができる。このメタデータはポイントに代えてではなくポイントに加えて存在する。インクは、一般的なプロパティ、メソッド、またはイベントに関連付けることも、あるいは、各インクデータ構造が、独自のプロパティ、メッセージ、またはイベント(およびその任意の組合せ)を有することも可能である。
【0012】インクのプロパティには、例えば、カラー、幅、スタイラスとタブレットの間の圧力、スタイラスとタブレットの間の角、およびにペン形状等が含まれることが可能である。多くのアプリケーションに関して以上のプロパティで十分であるが、本発明の実施形態は、アプリケーションによって生成されたカスタムプロパティ(および他のデータ)の広汎なストレージを可能にする。すべてのストロークおよび値を超過の情報とともに直接に記憶することができる。ただし、代替の実施形態は、可能であるとき、または実行可能であるとき、超過の情報を除外する考慮を反映する。」

「【0016】用語インク−プロパティを備えたシーケンスまたはセットのストローク。シーケンスのストロークは、順序付けされた形態のストロークを含むことが可能である。このシーケンスは、キャプチャされた時刻、またはページのどこにストロークが現れるかにより、順序付けされることが可能である。他の順序も可能である。セットのストロークは、シーケンスのストローク、または順序付けされていないストローク、またはシーケンスのストロークと順序付けされていないストロークの任意の組合せを含むことが可能である。インクは、追加のプロパティ、メソッド、およびトリガイベント等を含むように拡張することができる。インクは、以上のイベントの少なくともいくつかと組み合わせられるとき、インクオブジェクトと呼ぶことができる。」

「【0031】図2は、本発明の様々な態様に従って使用することができる例としてのタブレットPC201を示している。図1のシステムにおける特徴、サブシステム、および機能の任意のもの、またはすべてが、図2のコンピュータに含まれることが可能である。タブレットPC201は、複数のウインドウ203が表示される広い表示面202、例えば、デジタイジングフラットパネルディスプレイ、好ましくは、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンを含む。スタイラス204を使用して、ユーザは、デジタイジング表示面202上で選択、ハイライト、および/または書込みを行うことができる。(後略)」

「【0034】インクのストロークの例
例としてのインクオブジェクトの視覚上の形態を図3に示している。インクオブジェクトのストロークは、ペンダウン(pen-down)アクションが行われたポイント301で開始する。ペンダウンアクションは、スタイラス204が、表示面202に接触すること、マウスボタンのクリック、トラックボールまたはジョイスティック上のボタンの操作等であることが可能である。ユーザが、入力デバイス(スタイラス204などの)を制御し、結果のストロークが、ポイント302〜306をつなぐ。ポイント316で、ペンアップ(pen-up)アクションが行われる。ペンアップアクションは、スタイラス204を表示面204から上げること、マウスボタンのリリースまたは別の操作を行うこと、あるいはトラックボールまたはジョイスティック等の上のボタン(または他のボタン群)の操作であることが可能である。ペンアップアクションおよびペンダウンアクションは、ペンベースまたはスタイラスベースのデジタル化技術で知られている。」

「【0037】次に、インクオブジェクトを記憶する(あるいは伝送または表示等を行う)ことができる。インクオブジェクトは、様々なライン幅および様々なカラーを有する、または一定のライン幅または一定のカラーを有する単一のストロークとして表現することができる。あるいは、インクオブジェクトは、各ストロークが、独自の1組のプロパティを有する、いくつかのデータポイントを有する様々なストロークとして記憶してもよい。第3に、インクオブジェクトは、ポイント間の短いストロークとして記憶することもできる。要するに、インクオブジェクトは、インクを定義する豊富な追加のプロパティを備えた様々な形態の1つ以上のストロークを表すことができる。さらに、インクストロークは、透明、タイエイリアシング、ラスタオペレーションを含むことができる。
【0038】プロパティ、メソッド、テーブル、およびインデックス
インクオブジェクトは、様々な他のアイテムを含むことが可能である。例えば、インクオブジェクトは、3つのインクオブジェクト1〜3401、404、および407がそれぞれ、プロパティブロック402、405、および408、並びにストローク403、406、および409とともに示されている図4(a)〜(c)に示した様々なプロパティを含むことが可能である。(後略)」

「【0072】情報を獲得する、ストロークオブジェクトから情報をエクスポートする、または導出するストロークオブジェクトに関連することが可能なメソッドには、ストロークオブジェクトの中の1つ以上のストローク上の、提供されたポイントに最も近接したポイントを獲得すること(1509)、提供されたインデックス(例えば、ストローク上の比またはパーセンテージ)に基づいてストローク上の1つ以上のポイントを獲得する、または入手すること(1510および1511)、ストロークオブジェクト1500の1つ以上のストロークと提供された形状(例えば、長方形)の交差を獲得する、または入手すること(1512)が含まれる。(後略)」













(2)引用発明1
上記(1)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「様々な態様に従って使用することができるタブレットPC201における方法であって、スタイラス204を使用して、ユーザは、デジタイジング表示面202上で書込みを行うことができ、
インクオブジェクトのストロークは、ペンダウン(pen-down)アクションが行われたポイント301で開始し、結果のストロークが、ポイント302〜306をつなぎ、ポイント316で、ペンアップ(pen-up)アクションが行われ、
インクオブジェクトを伝送または表示を行うことができ、
インクを、様々なプロパティ、メソッド、およびイベントとともに記憶するか、またはこれらに関連付けることができ、このメタデータはポイントに代えてではなくポイントに加えて存在し、インクはプロパティ、メソッド、またはイベントに関連付けることが可能であり、
インクのプロパティには、カラー、幅、スタイラスとタブレットの間の圧力、スタイラスとタブレットの間の角、およびにペン形状が含まれ、
インク−プロパティを備えたシーケンスのストローク、シーケンスのストロークは、順序付けされた形態のストロークを含むことが可能であって、このシーケンスは、キャプチャされた時刻により、順序付けされることが可能であり、
インクオブジェクトは、3つのインクオブジェクト1〜3401、404、および407がそれぞれ、プロパティブロック402、405、および408、並びにストローク403、406、および409とともに示されている様々なプロパティを含むことが可能であり、
ストロークオブジェクトから情報をエクスポートすることが可能なメソッドには、提供されたポイントに最も近接したポイントを獲得すること、ストローク上の1つ以上のポイントを獲得すること、ストロークオブジェクト1500の1つ以上のストロークと提供された形状(例えば、長方形)の交差を獲得する、ことが含まれる、方法。」

2 引用文献2、引用発明2
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2(米国特許出願公開第2005/0088427号明細書)には、次の事項が記載されている。

「[0025] Electronic ink (or ink) relates to the capture and display of electronic information captured when a user uses a stylus-based input device. Electronic ink refers to a sequence of strokes, where each stroke is comprised of a sequence of points. The points may be represented using a variety of known techniques including Cartesian coordinates (X, Y), polar coordinates (r, Θ), and other techniques as known in the art. Electronic ink may include representations of properties of real ink including pressure, angle, speed, color, stylus size, and ink opacity. Electronic ink may further include other properties including the order of how ink was deposited on a page (a raster pattern of left to right then down for most western languages), a timestamp (indicating when the ink was deposited), indication of the author of the ink, and the originating device (at least one of an identification of a machine upon which the ink was drawn or an identification of the pen used to deposit the ink), among other information.」
(当審訳:
[0025]電子インク(またはインク)は、ユーザーがスタイラスベースの入力デバイスを使用するときにキャプチャされた電子情報のキャプチャと表示に関連しています。電子インクは一連のストロークを指し、各ストロークは一連のポイントで構成されます。ポイントは、デカルト座標(X、Y)、極座標(r、Θ)、および当技術分野で知られている他の技法を含む、さまざまな既知の技法を使用して表すことができます。電子インクには、圧力、角度、速度、色、スタイラスサイズ、インクの不透明度など、実際のインクのプロパティの表現が含まれる場合があります。電子インクには、他の情報とともにインクがページにどのような順序で付着したか(ほとんどの西洋言語では左から右、次に下がるラスターパターン)、タイムスタンプ(インクがいつ沈着したかを示す)、著者の表示、および元のデバイス(インクが描画されたマシンの識別またはインクを沈着させるために使用されたペンの識別の少なくとも1つ)など、他のプロパティがさらに含まれる場合があります。)

(2)引用発明2
上記(1)から、引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「電子インクには、タイムスタンプ(インクがいつ沈着したかを示す)、著者の表示など、他のプロパティがさらに含まれる場合がある」


第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明1の「タブレットPC201」は、「コンピュータ」であって、様々な態様に従って使用することができ、スタイラス204を使用して、ユーザは、デジタイジング表示面202上で書込みを行うことができるものであって、インクはプロパティ、メソッド、またはイベントに関連付けられており、「インクオブジェクト」の伝送または表示を行うから、該「タブレットPC201における方法」は、本願発明1の「コンピュータで実行されるデジタルインクの出力方法」に相当する。

(イ)引用発明1のタブレットPC201が行う「インクオブジェクトのストロークは、ペンダウン(pen-down)アクションが行われたポイント301で開始し、結果のストロークが、ポイント302〜306をつなぎ、ポイント316で、ペンアップ(pen-up)アクションが行われ」ることは、本願発明1の「前記コンピュータが、ポインタがパネルに接触してから前記パネルから離れるまでの軌跡を示すストロークオブジェクトを生成するステップ」に相当する。

(ウ)引用発明1のタブレットPC201は「インクを、様々なプロパティ、メソッド、およびイベントとともに記憶するか、またはこれらに関連付けることができ、このメタデータはポイントに代えてではなくポイントに加えて存在し、インクはプロパティ、メソッド、またはイベントに関連付けることが可能であり、インクのプロパティには、カラー、幅、スタイラスとタブレットの間の圧力、スタイラスとタブレットの間の角、およびにペン形状が含まれ、ストロークオブジェクトから情報をエクスポートすることが可能なメソッドには、提供されたポイントに最も近接したポイントを獲得すること、ストローク上の1つ以上のポイントを獲得すること、ストロークオブジェクト1500の1つ以上のストロークと提供された形状(例えば、長方形)の交差を獲得する、ことが含まれる」ことを実行していることからみて、ストロークオブジェクトからポイントおよび交差の情報をエクスポートしており、ストロークオブジェクトの生成に応じて該エクスポートしているといえ、該ポイントおよび交差のそれぞれと本願発明1の「メタデータ」とは情報である点で共通しており、該ポイントおよび交差の全体とは本願発明1の「メタデータオブジェクト」とは情報群である点で共通している。

(エ)引用発明1のタブレットPC201が行う「インクオブジェクトを伝送または表示を行うことができ」ることは、本願発明1の「1つのインクデータを出力するステップ」に相当する。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「コンピュータで実行されるデジタルインクの出力方法であって、
前記コンピュータが、ポインタがパネルに接触してから前記パネルから離れるまでの軌跡を示すストロークオブジェクトを生成するステップと、
前記コンピュータが、前記ストロークオブジェクトの生成に応じて、前記ストロークオブジェクトから情報を抽出し、当該抽出した情報に基づいて情報群を生成するステップと、
前記コンピュータが、1つのインクデータを出力するステップと、
を含むデジタルインクの出力方法。」

(相違点1)
本願発明1では「前記コンピュータが、前記ストロークオブジェクトの生成に応じて、前記ストロークオブジェクトから時刻情報を含むメタデータを抽出し、当該抽出したメタデータに基づいてメタデータオブジェクトを生成するステップ」を含むのに対して、引用発明1ではストロークオブジェクトが「時刻情報を含む」メタデータを抽出し、当該抽出したメタデータに基づいてメタデータオブジェクトを生成するステップが特定されていない点。

(相違点2)
1つのインクデータに関し、本願発明1は「生成された前記ストロークオブジェクトと生成された前記メタデータオブジェクトとの関連付けを含む」のに対して、引用発明1は「インクオブジェクトは、3つのインクオブジェクト1〜3401、404、および407がそれぞれ、プロパティブロック402、405、および408、並びにストローク403、406、および409とともに示されている様々なプロパティを含む」点。

(2)判断
ア 相違点1について検討する。
本願発明1の「メタデータ」は、ストロークオブジェクトの描画内容に関係しない「時刻情報」を含むところ、引用発明1の「ストロークオブジェクト」からエクスポートする情報はストロークオブジェクトの描画内容である「ポイントおよび交差」であって、情報の種別が異なり、引用文献1には、ストロークオブジェクトの描画内容に関係しない「時刻情報」に対応するものとして、キャプチャされた時刻が開示されているものの、該時刻の出所が不明であって、ストロークオブジェクトから抽出することまでは開示も示唆もなく、また自明なことでもない。
さらに、引用文献1〜3のいずれにも、ストロークオブジェクトの描画内容に関係しない情報をストロークオブジェクトから抽出することが開示も示唆もされておらず、そのようなことが本願の優先日前において周知技術であったともいえないから、引用発明1において「ストロークオブジェクト」から「時刻情報を含むメタデータを抽出」することは、当業者であっても容易に想到し得ない。
そうすると、当業者であっても、引用発明1の「ポイントおよび交差」を「時刻情報を含むメタデータ」とし、メソッドを「メタデータオブジェクト」とすることは容易ではない。

(3)結語
よって、本願発明1は、相違点2について検討するまでもなく、当業者であっても、引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2〜6について
本願発明2〜6も、本願発明1の「前記コンピュータが、前記ストロークオブジェクトの生成に応じて、前記ストロークオブジェクトから時刻情報を含むメタデータを抽出し、当該抽出したメタデータに基づいてメタデータオブジェクトを生成するステップと、前記コンピュータが、生成された前記ストロークオブジェクトと生成された前記メタデータオブジェクトとの関連付けを含む1つのインクデータを出力するステップ」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明7〜18について
本願発明7〜12と本願発明13〜18は、それぞれ、本願発明1〜6に対応する出力装置、プログラムの発明であり、本願発明1の「前記コンピュータが、前記ストロークオブジェクトの生成に応じて、前記ストロークオブジェクトから時刻情報を含むメタデータを抽出し、当該抽出したメタデータに基づいてメタデータオブジェクトを生成するステップと、前記コンピュータが、生成された前記ストロークオブジェクトと生成された前記メタデータオブジェクトとの関連付けを含む1つのインクデータを出力するステップ」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1は、ストロークオブジェクトから時刻情報を含むメタデータを抽出し、当該抽出したメタデータに基づいてメタデータオブジェクトを生成し、ストロークオブジェクトとの関連付けを含む1つのインクデータを出力する構成を備えるものとなっており、上記第5のとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし引用文献3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-06-07 
出願番号 P2020-066035
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 宮下 誠
富澤 哲生
発明の名称 デジタルインクの出力方法、デジタルインクの出力装置、及びプログラム  
代理人 黒瀬 泰之  

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