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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1387309 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-11-16 |
確定日 | 2022-07-05 |
事件の表示 | 特願2020− 90346「提供者端末、ネットワークシステム、サービス提供方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月16日出願公開、特開2021−140715、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年2月28日に出願した特願2020−33466号の一部を分割して、令和2年5月25日に新たな出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年11月18日付け: 拒絶理由通知書 同 年12月28日 : 意見書、手続補正書の提出 令和3年 3月12日付け: 拒絶理由通知書 同 年 5月17日 : 意見書、手続補正書の提出 同 年 8月11日付け: 拒絶査定 同 年11月16日 : 審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和3年8月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1−16に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1−4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2019−4263号公報 2.国際公開第2018/220746号 3.国際公開第2018/220709号(周知技術を示す文献) 4.特開2004−40738号公報(周知技術を示す文献) 第3 本願発明 本願請求項1−16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明16」という。)は、令和3年11月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−16に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 通貨情報を管理するブロックチェーンと通信可能な提供者端末であって、 所定のサービスの利用を要求する旨を示す利用要求情報を、利用者端末から受信する端末通信手段と、 受信された前記利用要求情報に対応する前記所定のサービスの利用料を示す支払情報を、前記ブロックチェーンに対して送信するネットワーク通信手段と、 前記支払情報に応じた前記利用者端末と前記提供者端末との間における前記ブロックチェーンが管理する前記通貨情報の取引が完了し、前記所定のサービスの利用料の支払が完了した旨を示す支払完了通知を受信すると、前記利用者端末に対して、前記所定のサービスを提供するサービス提供手段と、 を備える提供者端末。 【請求項2】 前記端末通信手段は、ユーザに応じたアプリケーションの接続先を示す接続先情報を、前記利用者端末に対して送信するとともに、前記接続先に対して入力された前記支払情報を、前記利用者端末から受信し、 前記ネットワーク通信手段は、受信された前記支払情報を、前記ブロックチェーンに対して送信する請求項1に記載の提供者端末。 【請求項3】 前記ネットワーク通信手段は、ユーザが利用可能なアプリケーションを管理する管理装置から前記接続先情報を受信し、 前記端末通信手段は、前記ネットワーク通信手段によって受信された前記接続先情報を、前記利用者端末に対して送信する請求項2に記載の提供者端末。 【請求項4】 前記支払情報は、前記利用者端末によって秘密鍵を用いて電子署名されたデータである請求項1乃至3のいずれか一項に記載の提供者端末。 【請求項5】 前記サービス提供手段は、前記支払完了通知が受信された場合、前記利用者端末をインターネットに接続させる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の提供者端末。 【請求項6】 前記ネットワーク通信手段は、前記利用者端末のユーザの前記通貨情報の残高を示す残高情報を、前記ブロックチェーンから受信し、 前記端末通信手段は、前記ネットワーク通信手段によって受信された前記残高情報に示されている前記残高を示す残高通知を、前記利用者端末に対して送信する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の提供者端末。 【請求項7】 前記端末通信手段は、前記ネットワーク通信手段によって受信された前記残高情報に示されている前記残高が所定値以下の場合、前記利用者端末に対して前記残高通知を送信する請求項6に記載の提供者端末。 【請求項8】 前記残高情報に示されている前記残高が前記利用料の額に満たない場合、前記サービス提供手段は、前記利用者端末に対する前記所定のサービスの提供を停止する請求項6に記載の提供者端末。 【請求項9】 前記サービス提供手段は、前記利用者端末に対して、前記提供者端末から提供される前記所定のサービスを提供する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の提供者端末。 【請求項10】 前記サービス提供手段は、前記利用者端末を、前記提供者端末を介して通信ネットワーク上のインターネットへ接続させる請求項1乃至9のいずれか一項に記載の提供者端末。 【請求項11】 前記通貨情報の取引は、前記支払情報の受信に基づき、前記利用者端末を使用する利用者が保有する通貨情報に対して前記支払情報に係る利用料を減額して変更する処理と、前記提供者端末を使用する提供者が保有する通貨情報に対して前記支払情報に係る利用料を増額して変更する処理である請求項1乃至10のいずれか一項に記載の提供者端末。 【請求項12】 利用者端末と、通貨情報を管理するブロックチェーンと通信可能な提供者端末と、を備えるネットワークシステムであって、 所定のサービスの利用を要求する旨を示す利用要求情報を、前記利用者端末から受信する端末通信手段と、 受信された前記利用要求情報に対応する前記所定のサービスの利用料を示す支払情報を、前記ブロックチェーンに対して送信するネットワーク通信手段と、 前記支払情報に応じた前記利用者端末と前記提供者端末との間における前記ブロックチェーンが管理する前記通貨情報の取引が完了し、前記所定のサービスの利用料の支払が完了した旨を示す支払完了通知を受信すると、前記提供者端末から前記利用者端末に対して、前記所定のサービスを提供するサービス提供手段と、 を備えるネットワークシステム。 【請求項13】 請求項12に記載のネットワークシステムであって、更に、 前記端末通信手段は、ユーザに応じたアプリケーションの接続先を示す接続先情報を、前記利用者端末に対して送信し、 前記利用者端末は、 前記接続先にアクセスすることにより、前記利用料のデータを入力させる支払画面を表w示する表示手段を備えるネットワークシステム。 【請求項14】 請求項13に記載のネットワークシステムであって、 前記利用者端末は、更に、 前記支払画面に入力されたデータが秘密鍵を用いて電子署名された前記支払情報を生成する生成手段と、 前記支払情報を、前記提供者端末に対して送信手段と、 を備えるネットワークシステム。 【請求項15】 通貨情報を管理するブロックチェーンと通信可能な提供者端末が実行するサービス提供方法であって、 所定のサービスの利用を要求する旨を示す利用要求情報を、利用者端末から受信する端末通信ステップと、 受信された前記利用要求情報に対応する前記所定のサービスの利用料を示す支払情報を、前記ブロックチェーンに対して送信するネットワーク通信ステップと、 前記支払情報に応じた前記利用者端末と前記提供者端末との間における前記ブロックチェーンが管理する前記通貨情報の取引が完了し、前記所定のサービスの利用料の支払が完了した旨を示す支払完了通知を受信すると、前記利用者端末に対して、前記所定のサービスを提供するサービス提供ステップと、 を実行するサービス提供方法。 【請求項16】 通貨情報を管理するブロックチェーンと通信可能な提供者端末に、 所定のサービスの利用を要求する旨を示す利用要求情報を、利用者端末から受信する端末通信ステップと、 受信された前記利用要求情報に対応する前記所定のサービスの利用料を示す支払情報を、前記ブロックチェーンに対して送信するネットワーク通信ステップと、 前記支払情報に応じた前記利用者端末と前記提供者端末との間における前記ブロックチェーンが管理する前記通貨情報の取引が完了し、前記所定のサービスの利用料の支払が完了した旨を示す支払完了通知を受信すると、前記利用者端末に対して、前記所定のサービスを提供するサービス提供ステップと、 を実行させるためのプログラム。」 第4 引用文献、引用発明 1.引用文献1、引用発明 (1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。 「【0024】 図2は、本実施形態に係るゲートウェイ装置10の機能構成を示すブロック図である。 ゲートウェイ装置10は、制御部11及び記憶部12を備えた情報処理装置(コンピュータ)であり、制御部11は、記憶部12に記憶されたソフトウェア(利用制御プログラム)を読み出し実行することにより、受信部111と、登録部112と、利用制御部113として機能する。 【0025】 受信部111は、携帯端末20が通信ネットワーク200の利用を開始する際、及び終了する際のそれぞれに、携帯端末20の識別情報、通信ネットワーク200の識別情報、日時情報、及びこれらの情報に対する携帯端末20の秘密鍵による電子署名を含む利用データを受信する受信する。 【0026】 登録部112は、利用データに含まれる電子署名に対応する公開鍵証明書を検証した後に、この利用データのそれぞれを、利用開始情報又は利用終了情報として管理装置30に転送し、ブロックチェーンに登録させる。」 「【0029】 利用制御部113は、ブロックチェーンへ利用開始情報又は利用終了情報の登録が完了し、管理装置から登録完了通知を受けたことに応じて、携帯端末20に対して通信ネットワーク200の利用を開始又は終了させる。」 「【0041】 本実施形態の利用制御方法により、ブロックチェーンには、通信ネットワーク200の利用者に対する課金情報が登録されていく。 課金の単位は、利用回数、利用時間、利用期間等、適宜設定可能である。また、ゲートウェイ装置10が通信量を観測し、利用データとしてブロックチェーンに登録することで、利用量に基づく課金も可能となる。 【0042】 本実施形態によれば、利用管理システム1は、携帯端末20による通信ネットワーク200の利用履歴をブロックチェーンに登録する。この利用履歴は、課金事業者により公開鍵証明書が発行されたユーザの電子署名により検証される。 したがって、公開鍵証明書により支払保証をした課金事業者が利用履歴に基づいて利用者から徴収した使用量を、通信ネットワーク200による通信サービスを提供する各通信事業者へ分配するというモデルが構築される。これにより、利用管理システム1は、複数の通信ネットワーク200への接続サービスにおけるユーザ認証及び課金情報を一括管理できる。」 「【図2】 ![]() 」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「ゲートウェイ装置10は、受信部111と、登録部112と、利用制御部113として機能するものであって、 受信部111は、携帯端末20が通信ネットワーク200の利用を開始する際、及び終了する際のそれぞれに、携帯端末20の識別情報、通信ネットワーク200の識別情報、日時情報、及びこれらの情報に対する携帯端末20の秘密鍵による電子署名を含む利用データを受信し、 登録部112は、この利用データのそれぞれを、利用開始情報又は利用終了情報として管理装置30に転送し、ブロックチェーンに登録させ、 利用制御部113は、ブロックチェーンへ利用開始情報又は利用終了情報の登録が完了し、管理装置から登録完了通知を受けたことに応じて、携帯端末20に対して通信ネットワーク200の利用を開始又は終了させ、 ブロックチェーンには、通信ネットワーク200の利用者に対する課金情報が登録される、 ゲートウェイ装置10。」 2.引用文献2について また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(国際公開第2018/220746号)の段落【0011】−段落【0061】、段落【0074】−段落【0078】の記載からみて、当該引用文献2には、「端末装置100のユーザは管理装置300の管理者に所定の金額を前払い(プリペイド)し、管理装置300は端末装置100(又はユーザ)にトークンを発行し、端末装置100は、RAN201を使用するとき、取得したトークンをRAN201の基地局装置200(無線リソース)に提示し、基地局装置200は、トークンを確認し、端末装置100に対してアクセスを許可するものであって、リソースの使用実績に応じた使用料金を請求する形態に加えて、使用料金を前払いとして、支払った使用料金の範囲内でリソースを提供すること、ブロックチェーンネットワークを用いて、利用実績やプリペイドされた金額などの、同じ情報を記憶する」という技術的事項が記載されていると認められる。 3.引用文献3、引用文献4について 原査定の拒絶の理由において周知技術を示す文献として引用された引用文献3(国際公開第2018/220709号)の段落【0089】には「また、過去にサービス利用料や資源使用量が未払いとなったエンティティに対して、所定回数分のサービスの拒否や優先度を下げる等のペナルティを課すことも可能である。」と記載されている。 更に、原査定の拒絶の理由において周知技術を示す文献として引用された引用文献4(特開2004−40738号公報)の段落【0166】には「度数が0になった場合は、度数減算処理を終了し(ステップS0055)、中継装置120に対して切断処理を要求する(ステップS0056)。度数減算処理の終了は、図5の切断処理(ステップS0004)が行われる前に行われる。」と段落【0172】には「(3)中継装置120(または中継装置120´)の度数管理部130により度数を監視して、度数を保持する利用者情報保持部131で保持された残度数を監視し、残度数がある一定の度数よりも少なくなった時に、残度数が少ないことを端末100に対して通知するメッセージを伝達する。」と記載されている。 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 (ア)引用発明の「ゲートウェイ装置10」は、利用データを管理装置30に転送し、ブロックチェーンに登録するから、ブロックチェーンは利用データを管理しているといえ、該「利用データ」と本願発明1の「通貨情報」とは、ブロックチェーンが管理する「情報」である点で共通している。 そうすると、引用発明の「ゲートウェイ装置10」と本願発明1の「提供者端末」は、「情報を管理するブロックチェーンと通信可能な」ものである点で共通している。 (イ)引用発明の「ゲートウェイ装置10」は、携帯端末20に対して通信ネットワーク200の利用をサービスとして提供するものであるところ、当該サービスを提供する契機は「受信部111」が携帯端末20から「利用データ」のうち「利用開始情報」を受信したことであるから、該「利用データ」のうち「利用開始情報」及び「携帯端末20」は、それぞれ、本願発明1の「利用要求情報」及び「利用者端末」に相当する。 そうすると、引用発明の「受信部111」は、本願発明1の「所定のサービスの利用を要求する旨を示す利用要求情報を、利用者端末から受信する端末通信手段」に相当する。 (ウ)引用発明の「利用データ」は、ブロックチェーンに登録されるところ、通信ネットワーク200の利用とのサービスに係る課金情報でもあるから、本願発明1の「支払情報」とは、「支払関連情報」である点で共通している。 そうすると、引用発明の「登録部112」と本願発明1の「ネットワーク通信手段」とは、「受信された前記利用要求情報に対応する前記所定のサービスの利用料を示す支払」関連「情報を、前記ブロックチェーンに対して送信する」点で共通している。 (エ)引用発明の「登録完了通知」は登録部112が利用データ(利用開始情報)を転送し、該利用開始情報の登録が完了したことを示す通知であるから、本願発明1の「支払完了通知」とは「完了通知」である点で共通している。 そうすると、引用発明の「利用制御部113」と本願発明1の「サービス提供手段」とは、「前記支払」関連「情報に応じた前記利用者端末と前記提供者端末との間における前記ブロックチェーンが管理する前記」「情報の」処理「が完了し、完了通知を受信すると、前記利用者端末に対して、前記所定のサービスを提供する」点で共通している。 イ 上記アから、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 <一致点> 「情報を管理するブロックチェーンと通信可能な提供者端末であって、 所定のサービスの利用を要求する旨を示す利用要求情報を、利用者端末から受信する端末通信手段と、 受信された前記利用要求情報に対応する前記所定のサービスの利用料を示す支払関連情報を、前記ブロックチェーンに対して送信するネットワーク通信手段と、 前記支払関連情報に応じた前記利用者端末と前記提供者端末との間における前記ブロックチェーンが管理する前記情報の処理が完了し、完了通知を受信すると、前記利用者端末に対して、前記所定のサービスを提供するサービス提供手段と、 を備える提供者端末。」 <相違点> (相違点1) ブロックチェーンが管理する「情報」に関し、本願発明1では「通貨情報」であるのに対して、引用発明では「利用データ」である点。 (相違点2) 「支払関連情報」に関し、本願発明1では「受信された前記利用要求情報に対応する前記所定のサービスの利用料を示す支払情報」であるのに対し、引用発明では「利用データ」である点。 (相違点3) 「完了通知」に関し、本願発明1では「前記支払情報に応じた前記利用者端末と前記提供者端末との間における前記ブロックチェーンが管理する前記通貨情報の取引が完了し、前記所定のサービスの利用料の支払が完了した旨を示す支払完了通知」であるのに対し、引用発明では「ブロックチェーンへ利用開始情報又は利用終了情報の登録が完了し」たことを示す「登録完了通知」である点。 (2)判断 相違点1−3をまとめて検討する。 引用発明は、利用開始情報の登録が完了したことを示す登録完了通知を受けると、通信ネットワークの利用を開始させるものの、該登録は通貨情報の取引ではなく、サービスを提供した後、利用実績に応じて通貨情報の取引を行うものである。 引用文献2には、「リソースの使用実績に応じた使用料金を請求する形態に加えて、使用料金を前払いとして、支払った使用料金の範囲内でリソースを提供すること」という技術的事項が記載されているものの、基地局装置200は、端末装置100が提示したトークンを確認し、ブロックチェーンネットワークを介することなく、端末装置100に対してアクセスを許可するものであって、引用発明2の「前払い」は、端末装置100のユーザから管理装置300の管理者への支払いであって、RAN201がサービスを提供した後、利用実績に応じてRAN201を構成する基地局装置200の所有者との間で通貨情報の取引を行うものである。 このとおり、引用発明も引用文献2記載のものも、所定のサービスを提供した後で、通貨情報の取引を行うものであって、これらを組み合わせたとしても、通貨情報を管理するブロックチェーンとの間で、「前記支払情報に応じた前記利用者端末と前記提供者端末との間における前記ブロックチェーンが管理する前記通貨情報の取引が完了」させ、「前記所定のサービスの利用料の支払が完了した旨を示す支払完了通知を受信する」ものは導出できず、引用発明の「利用データ」を本願発明の「通貨情報」や「支払情報」とし、相違点3に係る構成とすることは、当業者であっても想到し得ない。 また、引用文献3ないし4にも、当該相違点1−3に係る構成は開示も示唆もない。 また、本願発明は上記相違点1−3に係る構成とすることで、提供者端末を介して接続することで、利用者端末を直接に通信ネットワークに接続させることなく、通貨情報の取引を完了することが実現でき、セキュリティリスクを低減させることができるとの効果を奏する。 よって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし4記載のものに基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2.本願発明2−11について 本願請求項2−11は本願請求項1を引用した従属項であり、本願発明2−11は、本願発明1の上記相違点1−3とした構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし4記載のものに基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3.本願発明12,15,16について 請求項1の記載と請求項15,16の記載との差異は、発明のカテゴリーの違いによる表現上の差異であり、本願発明1の上記相違点1−3とした構成に対応する構成を備えるものであるから、上記「1.本願発明1について」のとおり、当業者であっても、引用発明及び引用文献ないし4記載のものに基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 4.本願発明13−14について 本願請求項13−14は本願請求項12を引用した従属項であるところ、上記「3.本願発明12,15,16について」を踏まえれば、本願発明13ないし14は、本願発明1の上記相違点1−3とした構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2ないし4記載のものに基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1−16は「前記所定のサービスの利用料の支払が完了した旨を示す支払完了通知」という事項を有するものとなっており、本願発明1の上記相違点1−3とした構成に対応する構成を備えるものであるから、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1−4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2022-06-22 |
出願番号 | P2020-090346 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
野崎 大進 宮下 誠 |
発明の名称 | 提供者端末、ネットワークシステム、サービス提供方法およびプログラム |