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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1387326
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-18 
確定日 2022-07-19 
事件の表示 特願2018−139690「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年1月30日出願公開、特開2020−14677〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成30年7月25日の出願であって、令和2年8月21日に手続補正書が提出され、同年12月14日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年4月13日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月11日付け(送達日:同年同月20日)で、拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年11月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年4月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(記号A〜Kは、分説するために当審で付した。)。
「A 遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤と、
B 前記遊技領域に打ち込まれた遊技球が入球可能な始動口と、
C 前記始動口に遊技球が入球したことに基づいて抽選を行う抽選手段と、
D 前記抽選手段による前記抽選の結果に応じて発光可能な複数の発光体と、
E 前記遊技盤に設けられ、発光体が実装される複数の発光基板と、
F 操作手段の操作に応じて発光輝度を変化させることが可能な調光手段と、を備え、
G 前記複数の発光基板のうちの第1発光基板の発光体が実装される表実装面には、白色である第1塗膜が形成されると共に、該第1塗膜上に黄色で形成されて表実装面に実装される電子部品を特定可能にする第1表記部が形成され、
H 該第1発光基板の発光体が実装されない裏実装面には、白色である第2塗膜が形成されると共に、該第2塗膜上に黄色で形成されて裏実装面に実装される電子部品を特定可能にする第2表記部が形成され、
I 前記第1発光基板の表実装面の前方には、発光体および前記第1表記部を直視困難とする特定透光部が設けられ、
J 前記操作手段が操作された場合に、前記第1発光基板に実装される発光体の輝度を変化させて発光可能である一方、前記複数の発光基板のうちの第2発光基板に実装される発光体の輝度を変化させることなく予め設定されている輝度で発光可能とされる、
K ことを特徴とする遊技機。」

3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概ね次のとおりである。
進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1
・引用文献等 1、2、4〜6

<引用文献等一覧>
1.特開2006−141683号公報
2.特開2018−30034号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2005−246854号公報(周知技術を示す文献)
4.ALLPCB,"White Soldermask is Commonly Used in LED PCB Applications",[online],2017年 2月21日,INTERNETARCHIVE waybackmachine,[2020年12月7日検索],インターネット<URL,https://web.archive.org/web/20170221212558/https://www.allpcb.com/soldermask/white_soldermask.html>
5.STM32F4基板,OSQZSS[online],2014年 3月 8日,[2020年1月22日検索],インターネット<URL,https://blog.goo.ne.jp/osqzss/e/5509fd23c1672827a8f81e4bad56f816>
6.特開2018−94205号公報

4 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1(特開2006−141683号公報)について
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。
ア 記載事項
(ア)
「【0006】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、外部への光の放射効率の向上を図ることができ、しかも熱源が発する熱による悪影響を低減することができる表示用基板を提供することを目的とするものである。」

(イ)
「【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態である遊技機の概略正面図、図2はその遊技機の概略制御ブロック図である。ここでは、遊技機が、いわゆるパチスロ機といわれる回胴式遊技機である場合について説明する。」

(ウ)
「【図1】



(エ)
「【0029】
電飾表示部40は、各種の遊技状態を報知したり、遊技の演出を行ったりするものである。かかる電飾表示部40は、図1及び図2に示すように、三つのトップLEDユニット41a,41b,41cと、八つのパネルLEDユニット42a,42b,・・・,42hと、三つのバックライト(不図示)と、冷陰極管(不図示)と、三つのトップLED基板44a,44b,44cと、八つのパネルLED基板45a,45b,・・・,45hと、三つのバックライト基板46a,46b,46cと、冷陰極管基板47とを有する。
【0030】
三つのトップLEDユニット41a,41b,41cはそれぞれ、前扉の内側上部の左側、中央、右側に設けられている。これらのトップLEDユニット41a,41b,41cは、それぞれトップLED基板44a,44b,44cに搭載されており、演出制御基板80に搭載されたLED用の駆動回路(不図示)により駆動される。」

(オ)
「【0041】
また、CPU73は、遊技状態の管理をも行っている。本実施形態の回胴式遊技機では、遊技機の遊技状態として、「BB未作動時の一般遊技状態」、「BB内部中状態」、「RB内部中状態」、「BB作動時の一般遊技状態」等の各種の遊技状態が設定されている。CPU73は、役の抽選結果に基づいて遊技状態の移行を制御する。」

(カ)
「【0047】
次に、演出制御基板80により点灯が制御されるLED基板について説明する。本実施形態には、各種のLED基板44a〜44c,45a,45b〜45hが配置されているが、どのLED基板も、同じ特徴を備えているので、以下では、トップLED基板44cを例に挙げて説明する。なお、以下では、このトップLED基板44cを、単にLED基板44cとも称する。図3は、本実施形態のLED基板44cの一例を示す概略正面図、図4はその概略裏面図である。なお、図4に示す概略裏面図は、説明を簡易にするために、LED基板44cを正面から透視したときの裏面に配列された電子部品の配置状態を示している。また、図3に示すLED基板44cは、実際に遊技機に取着するときには、カラーLED10120や赤色LED10310が配置されている、幅の広い方の基板端部を上に、幅の狭い方の基板端部を下にして遊技機に取着する。」

(キ)
【図3】の部分拡大図




(ク)
【図4】の部分拡大図




(ケ)
「【0048】
本実施形態のLED基板44cの表面には、マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜(以下、この薄膜をレジスト薄膜とも称する。)111が形成されている。また、本実施形態のLED基板44cの表面には、トップLEDユニット41cとして、図3に示すように、20個のカラーLED1011〜10120と、10個の赤色LED1031〜10310とが搭載されている。また、LED基板44cの表面には、演出制御基板80と接続するためのコネクタ110が配置されている。
【0049】
本実施形態のLED基板44cの裏面には、図4に示すように、カラーLED101に流れる電流を制御するための20個の電流制限抵抗105と、赤色LEDに流れる電流を制御するための1個の電流制限抵抗107と、カラーLED101の発光素子を保護するためのツェナーダイオード109とが配置されている。」

(コ)
「【0053】
本実施形態の遊技機に電源を投入すると、LED基板44c等も点灯駆動される。本実施形態のLED基板44cでは、各LED101,103の発光素子から発せられた光は、各LEDの表面に配置されたレンズ等を通って、遊技機前面の外部に放射される。また、発光素子が発した光のうちの一部の光は、レンズ表面等により反射されて、再びLED基板に戻り、LED基板の表面に形成された白色のレジスト膜により反射されて遊技機前面の外部に放射される。
【0054】
上記の本実施形態によれば、LED基板の表面に白色のレジスト膜111を形成し、カラーLED101と赤色LED103とを表面に配置し、電流制限抵抗105,107やツェナーダイオード109を裏面に配置したので、基板の表面に、従来のLED基板に比べて白色のレジスト膜のための広い領域を確保でき、したがって発光素子が発した光を効率よく反射して遊技機の外部に放射することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、LEDを表面に、電流制限抵抗を裏面に分散配置したことにより、従来のLED基板に比べて、電流制限抵抗同士の間を広く開けて熱源の集中を避けることができる。したがって、本実施形態によれば、電流制限抵抗の発熱による発光素子等への悪影響を低減して、発光素子の長寿命化を図ることができる。更に、LEDを表面に、電流制限抵抗を裏面に配置することにより、従来のLED基板に比べて、部品を配置するスペースに余裕ができ、部品レイアントが容易になる。」

(サ)
「【0057】
また、上記の実施形態では、本発明を、遊技媒体としてメダルを使用した回胴式遊技機に適用した場合について説明したが、例えば、パロット機、パチロット機等と称される、遊技媒体としてパチンコ球を使用したスロットマシン遊技機に適用してもよい。更に、本発明をパチンコ遊技機に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明の表示用基板によれば、表面に光源を配置し、光源の点灯制御に用いる電子部品を裏面に配置したことにより、表面に形成された、光を反射するための薄膜の表面積を大きくして、光源が発する光を効率よく反射して、外部に放射することができる。また、光源の点灯制御ために用いる電子部品を裏面に分散配置したことにより、熱源となる電子部品の間隔を十分に離して配置することができるので、熱源となる電子部品が発する熱による光源等への悪影響を低減することかできる。したがって、本発明は、回胴式遊技機等の遊技機の表示用基板に適用することができる。」

イ 認定事項
(ア)引用文献1の【0048】の「本実施形態のLED基板44cの表面には、マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜・・・111が形成されている。・・・LED基板44cの表面には、・・・図3に示すように、20個のカラーLED1011〜10120と、10個の赤色LED1031〜10310とが搭載されている。」との記載、【0058】の「・・・表面に形成された、光を反射するための薄膜の表面積を大きくして、光源が発する光を効率よく反射して、外部に放射することができる。」との記載、および、【図3】の図示内容からみて、引用文献1には、「トップLED基板44cの表面には、各LEDのそれぞれの近傍に電子部品番号(U1ないしU20、LED1ないしLED10)が表示される」こと(以下「認定事項ア」という。)が示されていると認められる。

(イ)引用文献1の【0049】の「LED基板44cの裏面には、図4に示すように、カラーLED101に流れる電流を制御するための20個の電流制限抵抗105と、赤色LEDに流れる電流を制御するための1個の電流制限抵抗107と、カラーLED101の発光素子を保護するためのツェナーダイオード109とが配置されている。」との記載、および、【図4】の図示内容からみて、引用文献1には、「トップLED基板44cの裏面には、電流制限抵抗105,107、ツェナーダイオード109のそれぞれの近傍に電子部品番号(R1ないしR20、ZD1ないしZD10)が表示される」こと(以下「認定事項イ」という。)が示されていると認められる。

(ウ)一般的な電飾表示部が前面カバーを有することは技術常識であり、当該技術常識を踏まえて図1を参酌すれば、電飾表示部を構成する三つのトップLEDユニット41a,41b,41cが、それぞれ前面カバーとしての機能を有することが示されていると認められる。
したがって、当該認定事項と引用文献1の【0029】、【0030】の記載からみて、引用文献1には、「電飾表示部40が、トップLED基板44a,44b,44cにそれぞれ搭載される、前面カバーとしての機能を有する三つのトップLEDユニット41a,41b,41cから構成される」こと(以下「認定事項ウ」という。)が示されていると認められる。

ウ 引用発明
上記アの記載事項および上記イの認定事項によると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a〜kは、本願発明のA〜Kに概ね対応させて付与した。)。
「d、e 役の抽選結果に基づいて遊技状態の移行を制御する(【0041】)、回胴式遊技機(パチスロ機)(【0013】)であって、
三つのトップLEDユニット41a,41b,41cと、演出制御基板80により点灯が制御される三つのトップLED基板44a,44b,44cを有する各種の遊技状態を報知したり遊技の演出を行ったりする電飾表示部40(【0029】、【0047】)を備え、
トップLED基板44a,44b,44cの表面には、それぞれトップLEDユニット41a,41b,41cとして、カラーLEDと赤色LEDが搭載されており(【0030】、【0047】、【0048】)、
g、h
トップLED基板44cは、
20個のカラーLED1011〜10120と、10個の赤色LED1031〜10310と、コネクタ110とが搭載された表面(【0048】)と、カラーLED101に流れる電流を制御するための20個の電流制限抵抗105と、赤色LEDに流れる電流を制御するための1個の電流制限抵抗107と、カラーLED101の発光素子を保護するためのツェナーダイオード109とが配置された裏面(【0049】)と、
表面の各LEDのそれぞれの近傍に表示された電子部品番号(U1〜U20、LED1〜10)(認定事項ア)と、
外部への光の放射効率の向上を図るために(【0006】)、トップLED基板44cの表面に形成された、マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜111(【0048】)と、
を有し、
トップLED基板44cの表面に演出制御基板80と接続するためのコネクタ110が配置され(【0048】)、
トップLED基板44cの裏面には、電流制限抵抗105,107、ツェナーダイオード109のそれぞれの近傍に電子部品番号(R1ないしR20、ZD1ないしZD10)が表示され(認定事項イ)、


電飾表示部40は、トップLED基板44a,44b,44cにそれぞれ搭載される、前面カバーとしての機能を有する三つのトップLEDユニット41a,41b,41cから構成される(認定事項ウ)

aないしc、k
回胴式遊技機(パチスロ機)を適用したパチンコ遊技機(【0013】、【0057】))。」

(2)引用文献4(ALLPCB,"White Soldermask is Commonly Used in LED PCB Applications",[online],2017年 2月21日,INTERNETARCHIVE waybackmachine,[2020年12月7日検索],インターネット<URL,https://web.archive.org/web/20170221212558/https://www.allpcb.com/soldermask/white_soldermask.html>)について
引用文献4には、「White Soldermask is Commonly Used in LED PCB Applications ・・・」(日本語訳)「白色のソルダーマスクが、LEDプリント基板の分野において、一般に用いられている。」と題して、その("Notice")には、「White silkscreen cannot be used if the soldermask is white. You can use black,yellow,red,and other colors,so as to see the characters clearly.」(日本語訳)「LED基板のソルダーマスクが白色である場合には、白色のシルクスクリーンは使用できないこと。文字等を鮮明に見るために、黒色、黄色、赤色、他の色が使えること。」が記載されている。

(3)引用文献5(STM32F4基板,OSQZSS[online],2014年 3月 8日,[2020年1月22日検索],インターネット<URL,https://blog.goo.ne.jp/osqzss/e/5509fd23c1672827a8f81e4bad56f816>)について
引用文献5には、「STM32F4基板」と題して、「・・・最近、白レジスト+パステルカラーのシルクという基板が増えてきた気がします。綺麗なので自分でも試してみたくなりPCBメーカを探したのですが、カラーのシルクに対応しているところが見つかりません。
たまたまあった黄色を今回は選んでみたのですが、コレジャナイ感がハンパない・・・」ことが、ブログ形式で記載されている。

(4)引用文献6(特開2018−94205号公報)
引用文献6には、次の記載がある。
「【1180】
左サイド下装飾基板402bのLED実装面402bx,LED非実装面402byには、白色のレジストがベタ塗りされている。本実施形態では、左サイド下装飾基板402bのLED実装面402bxにベタ塗りされた白色のレジストにより、フルカラーLEDであるhdLED1〜hdLED10の発光による前方(つまりパチンコ機1の正面側)への反射率を高めることができるようになっている。
・・・
【1183】
これに対して、左サイド下装飾基板402bのLED非実装面402byには、LED定電流駆動回路402baを構成する定電流駆動回路402bax、最大電流設定回路402bayの抵抗Rr,Rb,Rg、各種分散抵抗等の電子部品と対応する部品番号と、これらの電子部品を配置する位置を示す領域と、がシルク印刷として図示しない黄色の実線によりそれぞれ印刷されている。・・・」

5 周知例の記載及び周知技術
(1)周知技術1及び慣用手段
ア 特開2018−30034号公報
「【0011】
パチンコ遊技機には、音声(音)を出力させるための音出力手段としてのスピーカSPと、所定の発光態様で発光する発光手段としての装飾ランプLAとが配設されている。この装飾ランプLAには、遊技盤YBに設けられる第1発光手段としての遊技盤側装飾ランプLAaと、枠体WTに配設される第2発光手段としての枠体側装飾ランプLAbと、が含まれている。・・・」

「【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 パチンコ遊技機を示す正面図。
・・・」

「【図1】



「【0013】
図1に示すように、遊技盤YBには、複数の発光部を有する特別図柄表示装置11が配設されている。この特別図柄表示装置11では、複数種類の特別図柄(図柄)を変動させて表示する変動ゲーム(単位遊技、図柄変動ゲーム)が行われる。」

「【0076】
そして、統括制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、当該変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに基づき、サブ変動パターンを決定し、そのサブ変動パターンを示すサブ変動パターン指定コマンドと、決定した図柄組み合わせを示す飾り図柄指定コマンドとを表示制御基板32に出力する。また、統括制御用CPU31aは、決定されたサブ変動パターンに基づき、変動ゲーム(飾り図柄変動ゲーム)に伴う演出を実行させるように装飾ランプLA、スピーカSPを制御する。その後、統括制御用CPU31aは、全図柄停止コマンドを入力すると、全図柄停止コマンドを表示制御基板32に出力する。
・・・
【0080】
なお、本実施形態において、演出表示装置16に画像を表示させる画像表示演出、スピーカSPから音を出力(再生)させる音出力演出、装飾ランプLAを発光させるランプ発光演出が実行される。特に、本実施形態において、演出ボタンBTの操作に応じて、音出力演出において出力される音の音量と、ランプ発光演出において発光される光量とが調整可能である。また、このランプ発光演出としては、遊技盤側装飾ランプLAaと枠体側装飾ランプLAbとで実行可能であるが、遊技盤側装飾ランプLAaは、演出ボタンBTの操作に応じて光量が調整可能である一方で、枠体側装飾ランプLAbは、演出ボタンBTの操作に応じて光量が調整不可能である。」

イ 特開2014−171736号公報
「【図面の簡単な説明】
【0022】
・・・
【図2】同パチンコ機におけるLEDの配置状態を示す説明図である。
・・・」

「【図2】



「【0025】
ガラス扉7には、遊技盤5の前面側に設けられた遊技領域10に対応するガラス窓11が設けられており、遊技者は遊技機本体1の前側からこのガラス窓11を介して遊技領域10内の様子を視認可能となっている。また、ガラス扉7の前面側は、ガラス窓11を除く略全面が合成樹脂製の前面パネル12により覆われている。」

「【0030】
中央表示ユニット22は、例えば遊技領域10の左右方向略中央における上部側に配置され、例えば遊技盤5の裏側に装着される液晶式等の画像表示手段31と、画像表示手段31用の表示窓32を備え且つ遊技盤5に設けられた表示ユニット装着孔(図示省略)に前側から着脱自在に装着される表示枠体33とを備えている。表示枠体33は、例えば表示窓32が遊技領域10の略中央に位置するように配置されており、その前面側には、例えば普通図柄を変動表示する普通図柄表示手段34、特別図柄を変動表示する特別図柄表示手段35等が配置されている。画像表示手段31上では、例えば特別図柄と同期して演出図柄が変動表示される等、遊技状態に応じて種々の演出画像等が表示される。」

「【0036】
また、遊技領域(中央領域の一例)10内には、図2に示すように例えばユニット部品22〜27上に多数の盤側LED(中央発光体)44が配置されている。この盤側LED44は、例えば中央の表示窓32からの距離に応じて複数組、例えば表示窓32に近い内周側LED44aと外周側LED44bとの2組に分類されている。」

「【0050】
画像表示制御手段52aは、画像表示手段31の表示制御を行うもので、例えば主制御基板51から変動パターンコマンド及び停止図柄コマンドを受信した場合に、変動パターンコマンドで指定された変動パターンに基づいて画像表示手段31上で演出図柄の変動を開始させると共に演出図柄の変動後の停止図柄を抽選により決定し、また変動停止コマンドを受信したときに、抽選により決定された停止図柄で演出図柄の変動を停止させる等、遊技状態に応じた各種演出画像、報知画像等を画像表示手段31上に表示させるように構成されている。
・・・
【0052】
発光制御手段52cは、枠側LED20、盤側LED44等の発光制御を行うもので、遊技状態に応じて、例えば画像表示手段31への演出画像、報知画像等の表示と同期して所定の発光パターンで枠側LED20、盤側LED44等を発光させるように構成されている。
【0053】
本実施形態では、枠側LED20及び盤側LED44は全て輝度調整可能に構成されており、発光制御手段52cは各LED20,44に対して個別の輝度切り替えパターンに従って輝度を切り替えることにより発光制御を行うようになっている。なお、本実施形態では枠側LED20及び盤側LED44は全て最高輝度が同一であるとし、各LED20,44の輝度を、点灯時の最高輝度を100%、消灯時を0%として百分率で示すものとする。」

「【0106】
図16は本発明の第13の実施形態を例示し、枠側LED(周辺発光体)20と盤側LED(中央発光体)44とをそれぞれ所定の調整可能範囲内で個別に輝度調整可能とした例を示している。本実施形態では、第12の実施形態と同様、輝度調整用操作手段81(図14)により、枠側LED20と盤側LED44の輝度(発光時の輝度)を複数段階、例えば調整レベル1〜5の5段階の何れかに設定可能となっているが、枠側LED20と盤側LED44とを異なる調整レベルに設定することも可能となっている。」

ウ 小括
上記ア、イに示したように、「パチンコ遊技機の技術分野において、遊技盤に設けられた発光体が実装される複数の盤側装飾体と、輝度(光量)を調整する調光手段とを備え、操作手段の操作に応じて装飾体の光量を調整して、変動ゲームに伴う発光演出を実行可能とすること」は、本願出願前に周知の技術事項(以下「周知技術1」という)である。
また、上記ア、イに示したように、パチンコ遊技機の技術分野において、「遊技盤に操作手段の操作では輝度が変化しない、複数の発光部を有し、変動表示を行う特図表示器が備えられること」は、本願出願前から慣用的に行われていた技術事項(以下「慣用手段」という)である。

(2)周知技術2
ア 特開平11−54896号公報
「【0080】実施形態例2
第2の発明の実施形態例にかかるプリント配線板について,図9〜図13を用いて説明する。本例のプリント配線板8は,図9に示すごとく,接続端子6を接合するためのパッド5を有する。パッド5は,絶縁基板7の表面に設けられている。絶縁基板7の表面は,パッド5の外周縁502を含めて,黒色のソルダーレジスト層2が形成されている。
・・・
【0085】また,図10,図13に示すごとく,ソルダーレジスト層2は,ボンディングパッド54,スルーホール52及びサーマルビアホール50の開口部周辺を除いて,絶縁基板7の表面及び裏面の全体を被覆している。ソルダーレジスト層2は30μmの厚みを有する。開口穴10は,ソルダーレジスト層2にエキシマレーザーを照射して形成する。」

「【0091】実施形態例3
第3の発明の実施形態例にかかるプリント配線板について説明する。本例のプリント配線板は,白色のソルダーレジスト層を用いている。ソルダーレジスト層は,エポキシ系樹脂60重量%と,酸化チタニウムを主成分とする無機フィラー40重量%とからなる。無機フィラーは,平均粒径が3μmの粉末である。無機フィラーの成分は,58重量%の酸化チタニウムと,1.5重量%のAl2O3と,0.3重量%のK2Oとからなる。
【0092】なお,ソルダーレジスト層の厚みは40μmである。また,接続端子接合用のパッドは,その外周縁の幅Aが0.100mmである(図9参照)。その他は,実施形態例2と同様である。
【0093】次に,本例の作用及び効果について説明する。ソルダーレジスト層は,酸化チタニウムを含む無機フィラーを含有しているため,熱を吸収しやすい。そのため,ソルダーレジスト層は,電子部品が発する熱を積極的に吸収した後に,遠赤外線を発生し,熱を大気中に速やかに放出する。遠赤外線の発生量は,電子部品の発熱量が大きいほど多くなり,効率よく放熱される。」

「【図面の簡単な説明】
・・・・
【図10】図11,図12のB−B線矢視断面を示す,実施形態例2のプリント配線板の断面図。
・・・」

「【図10】



イ 特開2010−20264号公報
「【0073】
上記ベースポリマー(A)、エチレン性不飽和化合物(B)および光重合開始剤(C)とともに用いられる顔料(D)は、感光性樹脂組成物を白色に着色するものであれば特に限定されないが、典型的には、ルチル型、アナターゼ型などの各種の酸化チタンが使用できる。なかでもルチル型酸化チタン顔料が少量で反射率を確保できるので好ましい。また、レジスト樹脂中での分散を安定させる目的で、顔料粒子に表面処理を行うことが一般的である。市販の酸化チタンとしては、例えば、タイトーンSR−1、同R−650、同R−3L、同A−110、同A−150、同R−5N(以上、堺化学工業(株)製)、タイペークR−580、同R−930、同A−100、同A−220、同CR−58(以上、石原産業(株)製)、クロノスKR−310、同KR−380、同KR−480、同KA−10、同KA−20、同KA−30(以上、チタン工業(株)製)、タイピュアR−900、同R−931(デュポン・ジャパン・リミテッド社製)、チタニックスJR−300、同JR−600A、同JR−800、同JR−801(以上、テイカ(株)製)、等が挙げられる。」

「【0097】
本発明のソルダーレジストフィルムのレジスト層SRは、回路基板21のLED実装面に少なくとも積層されていれば良く、LEDを実装しない面については、本発明のソルダーレジストフィルムのレジスト層SRを用いてもよく、或いは他のソルダーレジストフィルムや液状ソルダーレジストを用いてもよい。」

「【0149】
【図1】表面実装型LEDが搭載された発光装置を模式的に示す断面図である。」

「【図1】



ウ 小括
上記ア、イや、引用文献6の【1180】に示したように、「回路基板の技術分野において、放熱効率を高めたり、反射率を高めるために、基板の両表面に白色のレジスト膜を形成すること」は、本願の出願前に周知の技術事項(以下「周知技術2」という。)である。

(3)周知の課題
特開2003−198092号公報(引用文献1に従来技術として提示された文献)には、次の記載がある。
「【発明の属する技術分野】この発明はパチンコ機におけるランプ、LED等表示部品、電気部品を組み付けるプリント配線基板の前面を改良して表示効果を向上し、表示部品の装着を簡単とするパチンコ機における表示基板構造に関する。」

「【0014】プリント配線基板50にマスキング処理を行う作業工程について説明する。マスキング処理の第1の方法。マスキングを行う材料は、UV硬化樹脂材、基板上にUV硬化樹脂材を貼着(塗布)してマスキング面が形成される。貼着したUV硬化樹脂に対し紫外線を投射してマスキング処理面54が定着される。マスキング処理の第2の方法。熱可塑性シートをプリント配線基板50上に貼着してマスキング処理面を形成し、熱を投射してマスキング処理面54が定着される。マスキングを行う材料にはインク、顔料を混入して適正な色彩を調合する。マスキング面を白色、白系とすることにより光、拡散、投射、反射機能をはかる。」

「【0025】
【発明の効果】この発明によれば、プリント配線基板の取付け孔と導体面を除く全面にマスキング処理を施すことにより絶縁保護機能を高め、基板とプリント配線部分との色彩の差をなくしてランプ、LED等表示部品の表示時にマスキング面により光を拡散して投射でき、反射機能を生じすることにより表示効果を向上することができ、そのマスキング面に印刷した表示記号、文字を見やすくすることができ、作業能率を向上できる。また、表示部品に取着手段を一体的に形成し、プリント配線基板の取付け孔に簡単に脱着できるとともに、表示部品の取付け孔への嵌着時に表示部品の導線がプリント配線の導体面に接続できるので、表示部品のプリント配線基板上の所定位置への装着を簡便化できる。」

したがって、遊技機に用いられるLED基板において、マスキング面の反射機能の向上、および、マスキング面に印刷した表示記号、文字を視認性の向上を両立させることは、本願の出願前に周知の技術課題(以下「周知の課題」という。)である。

6 対比
本願発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)ないし(c)
引用発明は、「パチンコ遊技機」であって、パチンコ遊技機が、本願発明の「遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤」および「遊技領域に打ち込まれた遊技球が入球可能な始動口」に相当する構成を備えることは、当業者にとって自明である。
そして、引用発明の「役の抽選結果」は、所定の抽選手段によって得られるものであって、当該所定の抽選手段を「パチンコ遊技機」に適用したものは、本願発明の「始動口に遊技球が入球したことに基づいて抽選を行う抽選手段」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の構成AないしCに相当する構成を備える。

(d)
引用発明は、「演出制御基板80により点灯が制御される三つのトップLED基板44a,44b,44cを有する各種の遊技状態を報知したり遊技の演出を行ったりする電飾表示部40」を備えるものであって、「役の抽選結果」を報知する際に、「三つのトップLED基板44a,44b,44c」の「点灯」が制御されることは明らかである。
そうすると、引用発明の「電飾表示部40」が有する「トップLED基板44a,44b,44c」に「搭載されている」「カラーLEDと赤色LED」を「パチンコ遊技機」に適用したものは、本願発明の「抽選手段による抽選の結果に応じて発光可能な複数の発光体」に相当する。
したがって、引用発明の構成d、eは、本願発明の構成Dを備える。

(e)
上記(d)より、引用発明の「カラーLEDと赤色LED」は、本願発明の「発光体」に相当する。
そうすると、引用発明の「表面に」「それぞれトップLEDユニット41a,41b,41cとして、カラーLEDと赤色LEDが搭載されている」「演出制御基板80により点灯が制御される三つのトップLED基板44a,44b,44c」は、本願発明の「発光体が実装される複数の発光基板」に相当する。
したがって、引用発明と、本願発明の構成Eとは、「発光体が実装される複数の発光基板」であることで共通する。

(g、h)
上記(e)より、引用発明の「トップLED基板44c」は、「三つのトップLED基板44a,44b,44c」のうちの1つの基板であるから、本願発明の「複数の発光基板のうちの第1発光基板」に相当する。
そうすると、引用発明の「トップLED基板44c」が有する「20個のカラーLED1011〜10120と、10個の赤色LED1031〜10310と、コネクタ110とが搭載された表面」は、本願発明の「第1発光基板の発光体が実装される表実装面」に相当する。
同様に、引用発明の「トップLED基板44c」が有する「カラーLED101に流れる電流を制御するための20個の電流制限抵抗105と、赤色LEDに流れる電流を制御するための1個の電流制限抵抗107と、カラーLED101の発光素子を保護するためのツェナーダイオード109とが配置された裏面」は、LEDが配置されていないことから、本願発明の「第1発光基板の発光体が実装されない裏実装面」に相当する。

そして、引用発明の「トップLED基板44c」の「表面に」「マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜111」が「形成され」ることは、本願発明の「白色である第1塗膜が形成される」ことに相当する。

また、引用発明の「トップLED基板44c」の「表面の各LEDのそれぞれの近傍に」「電子部品番号」を「表示」することは、「電子部品番号」が、電子部品としての各LEDを特定するための識別番号であって、「薄膜111」上に「薄膜111」と識別可能に「表示」されるものであるから、本願発明の「第1塗膜上に黄色で形成されて表実装面に実装される電子部品を特定可能にする第1表記部が形成され」ることとは、「第1塗膜上に形成されて表実装面に実装される電子部品を特定可能にし、表実装面と識別可能な第1表記部が形成され」ることで共通する。
同様に、引用発明の「トップLED基板44cの裏面には、電流制限抵抗105,107、ツェナーダイオード109のそれぞれの近傍に電子部品番号」「が表示され」ることと、本願発明の「第2塗膜上に黄色で形成されて裏実装面に実装される電子部品を特定可能にする第2表記部が形成され」とは、本願発明の「裏実装面に実装される電子部品を特定可能にし、裏実装面と識別可能な第2表記部が形成され」ることで共通する。

したがって、引用発明の構成g、hと本願発明の構成Gとは、「複数の発光基板のうちの第1発光基板の発光体が実装される表実装面には、白色である第1塗膜が形成されると共に、該第1塗膜上に」「形成されて表実装面に実装される電子部品を特定可能にし、表実装面と識別可能な第1表記部が形成され」ることで共通する。
同様に、引用発明の構成g、hと本願発明の構成Hとは、「第1発光基板の発光体が実装されない裏実装面に」「実装される電子部品を特定可能にし、裏実装面と識別可能な第2表記部が形成され」ることで共通する。

(i)
上記(g、h)より、引用発明の「トップLED基板」「44c」は、本願発明の「第1発光基板」に相当する。
そして、引用発明の「前面カバーとしての機能を有する三つのトップLEDユニット」「41c」は、「トップLEDユニット」「41c」が「トップLED基板」「44cに」「搭載される」ものであるから、「トップLED基板」「44c」の前方にLEDからの光を透過させる機能を有する部材が設けられることは明らかである。
したがって、引用発明の「トップLEDユニット」「41c」と、本願発明の構成Iとは、「発光体および前記第1表記部を直視困難とする特定透光部」とは、「透光部」である点で共通する。
よって、引用発明の「トップLEDユニット」「41c」と、本願発明の構成Iとは、「第1発光基板の表実装面の前方には、透光部が設けられ」ることで共通する。

(k)
引用発明の「パチンコ遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

上記(a)〜(k)によれば、本願発明と引用発明は、
「A 遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤と、
B 前記遊技領域に打ち込まれた遊技球が入球可能な始動口と、
C 前記始動口に遊技球が入球したことに基づいて抽選を行う抽選手段と、
D 前記抽選手段による前記抽選の結果に応じて発光可能な複数の発光体と、
E´ 発光体が実装される複数の発光基板と、を備え、
G´ 前記複数の発光基板のうちの第1発光基板の発光体が実装される表実装面には、白色である第1塗膜が形成されると共に、該第1塗膜上に形成されて表実装面に実装される電子部品を特定可能ににし、表実装面と識別可能な第1表記部が形成され、
H´ 該第1発光基板の発光体が実装されない裏実装面には、裏実装面に実装される電子部品を特定可能ににし、裏実装面と識別可能な第2表記部が形成され、
I´ 前記第1発光基板の表実装面の前方には、透光部が設けられる、
K 遊技機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成E)
発光体が実装される複数の発光基板が、本願発明では、遊技盤に設けられているのに対して、引用発明では、「電飾表示部40」に設けられるが、遊技盤に設けられていない点。

[相違点2](構成F)
本願発明が、「操作手段の操作に応じて発光輝度を変化させることが可能な調光手段」を備えるのに対して、引用発明は、そのような構成を備えない点。

[相違点3](構成G)
第1表記部の色が、本願発明では、「黄色」で形成されているが、引用発明では、「トップLED基板44cの表面」と識別可能であるが、「黄色」かどうか不明である点。

[相違点4](構成H)
本願発明では、「第1発光基板の発光体が実装されない裏実装面に」「白色である第2塗膜が形成されると共に、該第2塗膜上に黄色で形成されて裏実装面に実装される電子部品を特定可能にする第2表記部が形成され」るが、引用発明では、「トップLED基板の裏面44c」に、表面と同様に、「マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜111」が形成されるか否か不明であるとともに、「トップLED基板44cの裏面」と識別可能に形成される「電子部品番号(R1ないしR20、ZD1ないしZD10)」の色が「黄色」かどうか不明である点。

[相違点5](構成I)
「第1発光基板の表実装面の前方に」「設けられ」る「透光部」が、本願発明では、「発光体および第1表記部を直視困難とする特定透光部」であるのに対して、引用発明は、「前面カバーとしての機能を有する」「トップLEDユニット41c」である点。

[相違点6](構成J)
本願発明は、「前記操作手段が操作された場合に、前記第1発光基板に実装される発光体の輝度を変化させて発光可能である一方、前記複数の発光基板のうちの第2発光基板に実装される発光体の輝度を変化させることなく予め設定されている輝度で発光可能とされる」のに対して、引用発明は、そのような構成を備えない点。

7 当審判合議体の判断
(1)相違点1、2、6(構成E、F、J)について
上記相違点1、2、6は、発光体の発光について関連する事項なのでまとめて検討する。
上記5の(1)に周知技術1として示したように、「パチンコ遊技機の技術分野において、遊技盤に設けられた発光体が実装される複数の盤側装飾体と、輝度(光量)を調整する調光手段とを備え、操作手段の操作に応じて装飾体の輝度(光量)を調整して、変動パターンに基づく変動ゲームに伴う発光演出を実行可能とすること」は、本願出願前に周知の技術事項である。
パチンコ遊技機の技術分野において、遊技盤に操作手段の操作では輝度が変化しない、複数の発光部が設けられた基板を有する特図表示器が備えられることは、当業者にとって自明であるか、上記5の(1)に示したように慣用手段である。
したがって、引用発明に上記周知技術1を適用して、「電飾表示部40」を遊技盤に設けて操作手段の操作に応じて輝度を調整可能として、変動ゲームに伴う発光演出を行」い、上記相違点1、2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものであり、そして、慣用手段を考慮すれば、引用発明の「パチンコ遊技機」において、「遊技盤に操作手段の操作では輝度が変化しない、複数の発光部が設けられた基板を有する変動表示を行う特図表示器」を備えること、すなわち、上記相違点6に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって自明である。

(2)相違点3(構成G)について
上記相違点3について検討する。
引用文献4には、上記4の(2)に示したように、LEDプリント基板に白色のソルダーマスクを形成し、文字等を鮮明に見るために、シルクスクリーンの色として黄色を選択可能であることが記載されている。
また、引用文献5には、上記4の(3)に示したように、プリント基板に白レジストを形成し、パステルカラーのシルクとして黄色を選択可能であることが記載されている。
すなわち、引用文献4や引用文献5は、プリント基板に白色の膜が形成されている場合、その表面に表示されるシルクの色として黄色を選択可能にするという技術事項を示す文献である。
一方、引用発明は、「外部への光の放射効率の向上を図る」ことを目的として、「トップLED基板44cの表面に」「マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜111」を形成するものである。
そうすると、電子部品番号の表示にも、反射率向上を考慮する必要のあることが導かれる。そして、一般に、反射率が明色において高いことは、広く知られていることであり、その中から黄色を選択することに格別の困難性は認められない。
一方、引用発明において、「電子部品番号」は、基板に表示されるものであって、電子部品を識別するための番号であるから、「電子部品番号」の表示色は、視認性の向上のために基板の表面色と異ならせる必要があることも明らかである。
さらに、上記5の(3)に示したように、遊技機の技術分野において、LED基板の表面の反射率の向上および電子部品番号等の視認性の向上を両立させることは、本願出願前から周知の課題である。
これらのことからみて、引用発明に上記引用文献4または引用文献5に記載された技術事項を適用して、「白色レジストを用いた、光を反射する薄膜111」に表示される「電子部品番号(U1〜U20、LED1〜10)」を黄色のシルクにより形成し、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(3)相違点4(構成H)について
上記相違点4について検討する。
引用文献1の「本実施形態のLED44c基板の一例を示す概略裏面図である」【図4】には、2箇所に符号「111」が振られている。
そして、引用文献1において、符号「111」は、引用発明として認定したように「マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜111」を意味するものである。
そうすると、引用発明において、「電流制限抵抗105,107、ツェナーダイオード109」が実装されるが、「LED」の実装されない「トップLED基板44cの裏面」に、表面と同様に「マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜111」が形成されているものと認められる。
この場合、引用文献1には、本願発明の構成Eのうち、「発光体が実装されない前記裏実装面には白色塗膜が形成される」構成について記載されているといえる。

ここでは、別の観点からさらに検討する。
上記5の(2)に周知技術2として示したように、「回路基板の技術分野において、放熱効率を高めたり、反射率を高めるために、基板の両表面に白色のレジスト膜を形成すること」は、本願出願前に周知の技術事項である。
また、基板の両表面に同じ材料からなるレジスト膜を形成することは、周知技術2を示す文献も含め回路基板(遊技機に用いられる回路基板も含む)の技術分野において、当業者における技術常識でもある。
そして、引用発明は、「外部への光の放射効率の向上を図る」ものであり、引用文献1の【0055】、【0058】には、熱源となる電流制限抵抗の発熱による発光素子等への悪影響を低減させる機能について記載されている。

したがって、引用発明において、光の反射率の向上および熱の低減等を考慮して、「トップLED基板44c」に周知技術2を適用して、「トップLED基板44c」の表面のみならず、裏面についても「マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜111」を形成することは、当業者が適宜なし得たものである。

ところで、引用発明において、「トップLED基板44cの表面」に形成した「薄膜」、および、「電子部品番号」の表示の形成を、他方の面である「トップLED基板44cの裏面」においても同一工程で行うことにより、LED基板の製造効率が向上することも、当業者に自明である。

さらに、引用文献6の【1180】、【1183】の記載から、引用文献6には、次の技術事項が記載されている。
「左サイド下装飾基板402bのLED非実装面402byには、白色のレジストがベタ塗りされ、さらに、LED定電流駆動回路402baを構成する定電流駆動回路402bax、最大電流設定回路402bayの抵抗Rr,Rb,Rg、各種分散抵抗等の電子部品と対応する部品番号と、これらの電子部品を配置する位置を示す領域と、がシルク印刷として黄色の実線によりそれぞれ印刷されている。」(以下「引用文献6に記載された技術事項」という。)
ここで、引用文献6に記載された技術事項の
「左サイド下装飾基板402bのLED非実装面402by」、
「白色のレジストがベタ塗りされ」ること、
「LED定電流駆動回路402baを構成する定電流駆動回路402bax、最大電流設定回路402bayの抵抗Rr,Rb,Rg、各種分散抵抗等の電子部品」、
「電子部品と対応する部品番号と、これらの電子部品を配置する位置を示す領域」は、それぞれ、本願発明の
「第1発光基板の発光体が実装されない裏実装面」、
「白色である第2塗膜が形成される」こと、
「電子部品」、
「第2表記部」に相当する。
そうすると、引用文献6に記載された技術事項は、本願発明の構成Hに相当する。
そして、引用発明と上記引用文献6に記載された技術事項とは、LED基板を備える遊技機である点で共通する。

上記における検討内容からみて、「トップLED基板44cの裏面には、電流制限抵抗105,107、ツェナーダイオード109のそれぞれの近傍に付され、基板の表面色と区別可能な色で電子部品番号(R1ないしR20、ZD1ないしZD10)が表示され」る引用発明において、「トップLED基板44cの裏面」についても、表面同様に、「マスキング剤として白色のレジストを用いた、光を反射する薄膜111」を形成し、さらに、上記「(2)相違点3(構成G)について」において検討した上記引用文献4又は5に加え、引用文献6に記載された技術事項を考慮して、「色レジストを用いた、光を反射する薄膜111」に表示される「電子部品番号」(R1ないしR20、ZD1ないしZD10)を黄色のシルクにより形成し、上記相違点4に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(4)相違点5(構成I)について
上記相違点5について検討する。
遊技機の技術分野において、電飾表示部の前面カバーを、その後方に配置されているLEDやLED基板が遊技者から直接視認できないように、乳白色や半透明のカバーやレンズ体により構成することは、本願の出願前に周知技術である(例えば、特開2013−144185号公報の【0034】に「…有色透明なLEDカバー58…」と記載され、特開2004−201980号公報の【0344】に「LEDカバー体550L、550Rは、白色透明の合成樹脂により後面が開口する縦長の箱状に一体成型されており、」と記載されている。以下「周知技術3」という。)。
したがって、引用発明に上記周知技術3を適用して、「前面カバーとしての機能を有する」「トップLEDユニット41c」を乳白色や半透明に形成し、上記相違点5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(5)効果について
本願発明により奏される効果は、当業者が、引用発明、引用文献4ないし6に記載された技術事項、及び、周知技術1ないし3から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。

(6)小括
上記(1)ないし(5)の検討内容からみて、本願発明は、引用発明、引用文献4ないし6に記載された技術事項、及び、周知技術1ないし3に基づいて当業者が容易になし得たものである。

(7)請求人の主張について
請求人は、令和3年11月18日付けの審判請求書において、次の点について主張をする。
「しかしながら、引用文献1は、上記の通り白色のレジストの記載があるもののシルクの色については記載がなく、シルクの色がLEDの発する光の反射効率に影響があるとの技術課題を持っていません。
また、引用文献5(「STM32F4基板」)に開示される技術は、「将来的な汎用性を考えて、FPGAに実装するGPS受信機の機能は相関処理のみにして、信号追尾や即位演算などは外付けのマイコンで処理する方針にしました」と書かれているようにいわゆる制御基板であり、視覚的効果を有する装飾基板(LEDを搭載して機器の外に光の装飾効果を発する基板)ではないことは明らかです。また、「STM32F4基板」にLEDが搭載されているとの記載はありませんし、白色のレジストと黄色のシルクはLEDの発した光に対する反射効率を良くするために採用したとの記載もありません。「たまたまあった黄色を今回は選んでみた」と記載されていることから、なんらかの課題を解決するために黄色のシルクを採用したものでもなく、LEDの発した光に対する反射効率にシルクの色が影響するとの課題を解決するために採用したものでもないことは明らかです。
また、引用文献6は、・・・LED実装面にレジストの白色とシルクの黄色とを組み合わせて使用することを否定しているばかりか、LED実装面については、色に係らずシルク印刷することを明確に否定しています。
そうすると、引用文献6は、LED実装面には、白色のレジストが使用されているが、LED等の部品番号を特定するシルク印刷が全く印刷されておらず、LED非実装面には、白色のレジストと黄色のシルク印刷が使用されているという技術が開示されているに過ぎません。
・・・
すなわち、白色のレジストの記載があるもののシルクの色については記載がなくシルクの色がLEDの発する光の反射効率に影響があるとの技術課題を持たない引用文献1の発明に対して、LEDが搭載されていない基板であり「たまたまあった黄色を今回は選んでみた」と記載されているようにLEDが発した光の反射効率にシルクの色が影響するとの課題を解決するために採用したものでもなく、そのような課題も持っていない引用文献5や、LEDが実装されていない実装面には白色のレジストと黄色のシルク印刷が使用されているがLED実装面には白色のレジストはあるもののシルクを採用することを否定している引用文献6の発明を採用しようとしても、LED実装面に白色のレジストと黄色のシルクを採用できるものではありません。
よって、引用文献1に記載の発明においてLED実装面のシルクの色を選ぶときに、引用文献5、6を見て黄色を選ぶことは当業者であっても困難であると思料いたします。」

そこで、請求人の上記主張について検討する。
ア 引用文献5に関する請求人の主張について
上記「(2)相違点3(構成G)について」において検討したように、引用発明は「外部への光の放射効率の向上を図る」ことを目的とするものであって、電子部品番号の表示にも、反射率向上を考慮する必要があるといえる。
そして、一般に、反射率が明色において高いことは、広く知られていることであり、その中から黄色を選択することに格別の困難性は認められない。
一方、引用発明において、「電子部品番号」は、基板に表示されるものであって、電子部品を識別するためのものであるから、「電子部品番号」の表示色は、基板の表面色白色と異ならせる必要があることも明らかである。
これらのことからみて、引用発明に、引用文献5に記載された技術事項を適用する動機付けは十分にある。

イ 引用文献6に関する請求人の主張について
上記「(2)相違点3(構成G)について」において検討したように、相違点3の判断においては、引用文献4または引用文献5に記載された技術事項を進歩性の判断に用いているが、引用文献6に記載された技術事項を進歩性の判断に用いていない。
引用文献6に記載された技術事項は、上記主張において請求人も「LED非実装面には、白色のレジストと黄色のシルク印刷が使用されているという技術が開示されているに過ぎません。」と、引用文献6に実質的に相違点4に係る構成が記載されている旨認めているように、相違点4(構成H)の判断において用いているのみである。

ウ 小括
上記ア、イより、請求人の上記主張を採用することはできない。

8 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基いて特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-05-26 
結審通知日 2022-05-27 
審決日 2022-06-07 
出願番号 P2018-139690
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 蔵野 いづみ
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
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