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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1387334
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-22 
確定日 2022-08-09 
事件の表示 特願2017−141874「勤務状況確認システム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月 7日出願公開、特開2019− 21251、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年7月21日の出願であって、令和3年2月17日付けで拒絶理由が通知され、令和3年3月12日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年8月31日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和3年11月22日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和3年8月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1−6に係る発明は、以下の引用文献1−4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特許第5134737号公報
2.国際公開第2004/070639号
3.特開2007−41918号公報
4.特開2014−38324号公報

第3 本願発明
本願請求項1−6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明6」という。)は、令和3年11月22日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−6に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ユーザにより設定された稼働情報に基づいて、前記ユーザが勤務中であるか勤務中でないかの勤務状況を判断する勤務状況判断手段と、
各時間間隔における応答要求時間をランダムに決定する決定手段と、
前記ユーザの勤務時間を累積する勤務時間累積手段と、
前記ユーザが勤務中であると判断され、かつ前記累積されたユーザの勤務時間の対応する時間間隔の始まりからの勤務時間が前記決定された応答要求時間以上である場合、前記ユーザの端末に応答要求を出力する応答要求出力手段と、
前記ユーザの端末からの前記応答要求に対する前記ユーザによる応答に基づいて、前記ユーザが勤務していることを特定する勤務状況特定手段と
を具備する勤務状況確認システム。」

なお、本願発明2−6は、本願発明1を減縮した発明である。

第4 各引用文献、引用発明等

1 引用文献1及び引用発明

(1) 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落【0048】
「【0048】
図1は、本発明の一実施の形態における情報伝達システムの全体システム構成の一例を示す図である。本実施の形態では、本発明を、在宅就労支援システムに適用した場合について説明する。ただし、本発明をeラーニングシステムに適用することも可能である。その場合には、本実施の形態における「勤務」を「学習」と読み替えればよい。」

イ 段落【0054】−【0057】
「【0054】
表示画像生成部2011は、表示部1021への表示画像を生成する。図4は、本実施の形態における表示画像の一例について説明するための図である。本実施の形態では、表示画像生成部2011より、表示部1021の画面上に、ユーザが「勤務中」であるか「休憩中」であるかを示す状態情報(ここでは、「勤務中」(状態情報表示領域301))、ユーザが「勤務中」である場合に押下するためのボタン画像「IN」(勤務中指示領域302)、ユーザが「休憩中」である場合に押下するためのボタン画像「OUT」(休憩中指示領域303)が表示される。なお、本実施の形態では、「勤務中」は、「勤務中又は学習中」の一例であり、eラーニングシステムにおける「学習中」に置き換えてもよい(以下の全ての「勤務中」について同様)。
【0055】
ユーザは、自らが勤務中(eラーニングシステムにおいては学習中)である場合には、入力受付部(例えばマウス)1022を用いて、勤務中指示領域302を押下する。勤務中指示領域302が押下されると、表示画像生成部2011よって状態情報表示領域301の表示が「勤務中」になるとともに、状態情報切替部2012が、状態情報保持部2021に保持される状態情報のうちで当該ユーザに対応する状態情報を「勤務中」を示す情報(例えば、「1」)に切り替える。状態情報保持部2021に保持される状態情報はユーザ毎に管理されている。状態情報切替部2012はユーザID追加部2017を介して状態情報保持部2021に保持される状態情報の中から、ユーザにより入力されたユーザIDに基づいて、該当するユーザIDに対応する状態情報を切り替える。なお、ここでユーザにより入力されたユーザIDは、ユーザが情報端末102のOSにログインする際に入力受付部1022を操作することにより入力したユーザIDである。勤務中指示領域302が押下されるとさらに、表示画像生成部2011によって、「勤務中」を示すテーマにOS(オペレーティングシステム)の表示形態が切り替えられる。具体的には、「勤務中」のテーマにおいて、表示画像生成部2011は、ウィンドウの表示形態を青系統の色で表示させ、背景画像として青系統の画像(例えば青空などの写真)を表示部1021に表示させる。本実施の形態では、状態情報保持部2021は、RAM202中に設けられる。状態情報が、「勤務中」を示す情報に切り替えられると、情報送信部2015により「勤務中」を示す状態情報が管理サーバに送信され、さらに計測部2016により、その切り替えたタイミングが記録されるとともに、時間の計測が開始される。計測部2016としては、例えばCPU201中のタイマを用いることができる。
【0056】
一方、入力受付部1022により、休憩中指示領域303が押下された場合、表示画像生成部2011よって状態情報表示領域301の表示が「休憩中」になるとともに、状態情報切替部2012が、状態情報保持部2021に保持される当該ユーザに対応する状態情報を「休憩中」を示す情報(例えば、「0」)に切り替える。休憩中指示領域303が押下されるとさらに、表示画像生成部2011によって、「休憩中」を示すテーマにOSの表示形態が切り替えられる。具体的には、「休憩中」のテーマにおいて、表示画像生成部2011は、ウィンドウの表示形態を赤系統の色で表示させ、背景画像として赤系統の画像(例えば夕焼け空などの写真)を表示部1021に表示させる。本実施の形態では、状態情報保持部2021に保持される情報が「勤務中」を示す情報である場合にだけ、画像キャプチャ部2013により、表示部1021の画面に表示されている画像データを予め定められた頻度でキャプチャする。キャプチャする頻度は、頻度情報として、予め頻度情報保持部2022に保持されており、例えば、「1時間に6回」という頻度でキャプチャするように設定されている。この頻度情報保持部2022は、RAM202中に設けてユーザにより変更可能とすることもできるし、ROM203中に設けてもよい。また、管理サーバ101の管理者が、管理サーバ101の側から画像キャプチャの頻度を設定するようにすることもできる。
【0057】
なお、本実施の形態では、画像キャプチャリングにおける「頻度」とは、一定時間内に何回キャプチャを行うかであり、ランダムなタイミングで一定時間内に一定回数のキャプチャを行うことを示している。例えば、「1時間に6回」という頻度である場合、画像キャプチャ部2013は、乱数を用いることにより、7分後、18分後、21分後、33分後、42分後、55分後、というように、事前に、ランダムな6回分(1時間分)のキャプチャリング時刻を決定し、その時刻になったら画像キャプチャを行う。これによって、ユーザが推測しにくいタイミングで画像がキャプチャされる。


ウ 段落【0060】
「【0060】
スクリーンセーバー動作検出部2014は、情報端末102において、スクリーンセーバーが動作を開始したこと、及び、動作を終了したことを検出する。通常、スクリーンセーバーは、一定時間、情報端末に対して何の操作もされない場合に起動するところ、入力操作を要する作業(例えば、データエントリー業務、ソフトウェアのコーディング等)であれば、スクリーンセーバーの動作開始を検出することにより、状態情報が「勤務中」であっても、ユーザが実際には勤務していない、というような事態(サボタージュ)を検出することができる。具体的には、スクリーンセーバー動作検出部2014は、状態情報が「勤務中」になっているときに、スクリーンセーバーの動作開始を検出した場合、一定の処理、たとえば、表示画像生成部2011に指示することよって「在席の有無」の確認画面を表示部1021にポップアップ表示させる処理を行う。これに対して、ユーザが入力受付部1022を介して「在席」している旨を通知した(例えば、確認画面におけるボタン「在席」を押した)場合には、スクリーンセーバー動作検出部2014は、状態情報を「勤務中」のまま維持し、一方、一定時間、入力受付部1022からの指示がない場合には、スクリーンセーバー動作検出部2014は、その旨を状態情報切替部2012に通知し、その通知を受けた状態情報切替部2012は、状態情報保持部2021に保持された状態情報(「勤務中」)を、「休憩中」を示す情報に切り替える。これと連動して、状態情報表示領域301の表示も「勤務中」から「休憩中」に切り替わり、またOSの表示形態も「休憩中」を示すテーマに切り替わる。」

エ 段落【0063】
「【0063】
状態情報が「勤務中」となって継続していた個々の時間(つまり、細切れの勤務時間、ただし、eラーニングシステムでは学習時間)は、計測部2016により計測され、計測された勤務時間の情報は、ユーザID追加部2017によってユーザのID情報が追加された上で勤務時間情報保持部2052に保持される。図5は、勤務時間情報保持部2052に保持される情報(勤務時間情報)の一例を示す図である。同図の例では、状態情報が「勤務中」に切り替わった時刻(「開始時刻」)、「勤務中」から「休憩中」に切り替わった時刻(「終了時刻」)、及び、「勤務中」として継続していた時間(「勤務時間」)が、その事象ごとに、保持されている。」

オ 段落【0085】−【0086】
「【0085】
集計部4011aは、情報端末102から送信されてきた状態情報に関する情報(ここでは、勤務時間情報)に基づいて、当該情報端末102が備える状態情報保持部2021に保持されている状態情報が「勤務中」として継続していた時間(つまり、勤務時間情報における「勤務時間」)の累計値(総勤務時間)を算出する。なお、この累計値は、本実施形態では、カレンダーにおける直近の月曜日から金曜日までの5日間のような所定期間における勤務時間の累計値として初期設定されている。なお、ここにいう「カレンダーにおける直近の月曜日から金曜日までの5日間」とは、その日の前の週の月曜日から金曜日までの5日間を指しており、2011年1月25日の時点を例にして説明すると、この場合は2011年1月17日から1月21日までの5日間における総勤務時間が累計値として算出されることになる。なお、累計値の算出にかかる所定期間は、上記のような1週間単位(本実施形態では、勤務日のみを算出するため5日間となる)に限らずに、1日(つまり24時間)単位や、10日間単位、2週間単位、1ヶ月単位などであってもよい。また、集計部は集計時間設定部4013により設定される集計開始時間から累計値の算出(累計)を開始し、集計開始時間から累計期間が経過すると累計値の算出(累計)を終了して1つの単位とする。つまり、管理者からの入力に基づいて、集計時間設定部は、累計期間として上述した1週間ような所定期間を設定する。また、管理者からの入力に基づいて、集計時間設定部4013は、累計を行う集計開始時間を例えば午前0時などに設定する。集計開始時間は、本実施形態では、全てのユーザについて初期設定として0時に設定されている。管理者は、入力を行うことで集計時間設定部4013にユーザ毎に異なる集計開始時間(例えば、23時、1時、2時など)の設定を行うことができる。
【0086】
時間判定部4011bは、集計部4011aが算出した所定期間中における累計値が所定値を超えているか否かを判定する。本実施形態では、時間判定部4011bは、カレンダーにおける直近の月曜日から金曜日までの5日間における累計値(総勤務時間)が50時間(所定値)を超えているか否かを判定する。時間判定部4011bの当該判定により5日間の総勤務時間が50時間を超えていると判定されたユーザが一目で判別できるように、表示画像生成部4011は、ユーザの総勤務時間を表す情報に加えて、オーバーワークを示す情報として時間判定部4011bによる判定の結果を表示部1011に表示させる。」

(2) 引用発明
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。

「在宅就労支援システムであって、
表示部1021の画面上に、ユーザが「勤務中」であるか「休憩中」であるかを示す状態情報が表示され、
ユーザは、自らが勤務中である場合には、入力受付部(例えばマウス)1022を用いて、勤務中指示領域302を押下し、勤務中指示領域302が押下されると、表示画像生成部2011によって状態情報表示領域301の表示が「勤務中」になるとともに、状態情報切替部2012が、状態情報保持部2021に保持される状態情報のうちで当該ユーザに対応する状態情報を「勤務中」を示す情報(例えば、「1」)に切り替え、
一方、入力受付部1022により、休憩中指示領域303が押下された場合、表示画像生成部2011によって状態情報表示領域301の表示が「休憩中」になるとともに、状態情報切替部2012が、状態情報保持部2021に保持される当該ユーザに対応する状態情報を「休憩中」を示す情報(例えば、「0」)に切り替え、
状態情報保持部2021に保持される情報が「勤務中」を示す情報である場合にだけ、画像キャプチャ部2013により、表示部1021の画面に表示されている画像データを予め定められた頻度でキャプチャし、キャプチャする頻度は、頻度情報として、予め頻度情報保持部2022に保持されており、
例えば、「1時間に6回」という頻度である場合、画像キャプチャ部2013は、乱数を用いることにより、7分後、18分後、21分後、33分後、42分後、55分後、というように、事前に、ランダムな6回分(1時間分)のキャプチャリング時刻を決定し、その時刻になったら画像キャプチャを行い、
通常、スクリーンセーバーは、一定時間、情報端末に対して何の操作もされない場合に起動するところ、
スクリーンセーバー動作検出部2014は、状態情報が「勤務中」になっているときに、スクリーンセーバーの動作開始を検出した場合、表示画像生成部2011に指示することよって「在席の有無」の確認画面を表示部1021にポップアップ表示させる処理を行い、
これに対して、ユーザが入力受付部1022を介して「在席」している旨を通知した(例えば、確認画面におけるボタン「在席」を押した)場合には、スクリーンセーバー動作検出部2014は、状態情報を「勤務中」のまま維持し、
一方、一定時間、入力受付部1022からの指示がない場合には、スクリーンセーバー動作検出部2014は、その旨を状態情報切替部2012に通知し、その通知を受けた状態情報切替部2012は、状態情報保持部2021に保持された状態情報(「勤務中」)を、「休憩中」を示す情報に切り替え、
状態情報が「勤務中」となって継続していた個々の時間(つまり、細切れの勤務時間)は、計測部2016により計測され、計測された勤務時間の情報は、ユーザID追加部2017によってユーザのID情報が追加された上で勤務時間情報保持部2052に保持され、
集計部4011aは、情報端末102から送信されてきた状態情報に関する情報(ここでは、勤務時間情報)に基づいて、当該情報端末102が備える状態情報保持部2021に保持されている状態情報が「勤務中」として継続していた時間(つまり、勤務時間情報における「勤務時間」)の累計値(総勤務時間)を算出し、
時間判定部4011bは、カレンダーにおける直近の月曜日から金曜日までの5日間における累計値(総勤務時間)が50時間(所定値)を超えているか否かを判定し、5日間の総勤務時間が50時間を超えていると判定されたユーザが一目で判別できるように、表示画像生成部4011は、ユーザの総勤務時間を表す情報に加えて、オーバーワークを示す情報として時間判定部4011bによる判定の結果を表示部1011に表示させる、
在宅就労支援システム。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。

(1) 1ページ12行−3ページ4行
「背景技術
企業における求人やタレントのオーディション等の人材募集において、募集者が応募者と対面して行う面接は重要な選考手段となるが、多数の応募者に対して個別に面接を行うことは、募集者にとって場所や人員の 確保が必要となるなど、時間的・費用的に大きな負担が生ずる。また、応募者にとっても指定された時間に面接場所まで出向くことが必要となり、地理的,時間的な制約が大きい。
近年、通信技術の発達により、テレビ電話により遠隔地の端末間で映像と音声による実用レベルでの対談が可能となってきたことから、応募者と募集者がテレビ電話を用いて遠隔で面接を行う方法が取り入れられつつある。

・・・(中略)・・・

しかしながら、かかる従来の面接システムでは、募集者の負担を軽減するために事前選考としてあらかじめ登録した問題を画面に表示し、これに対して応募者がキ一ボ一ドから入力した回答をコンピュータにより集計して選考するため、本人以外が回答したり、本人が第3者のアドバイスを受けて回答することができるため、一次選考により選ばれた応募者は必ずしも適切な人材でない場合があるという問題があった。
また、 バーチャル面接やチャット面接においても、同様に本人以外が回答したり、本人が第3者のアドバイスを受けて回答することができ、最終的に選考される人材は必ずしも適切な人材とならない場合がある。一方、人材の選考において募集者の質問に対する応募者の受け答えや表情は人材を評価する上で極めて重要な要素である。従って、単に選択回答式のオンライン選考試験の点数によって事前選考したり、選択回答式のバーチャル面接の点数のみによって応募者を選考すると、優秀な人材を見落としてしまう可能性が高く、適切な人材を選考できない場合が生ずるという問題を有している。
それゆえに、本願発明の主たる目的は、応募者にとって地理的・時間的制約が少なく、募集者にとって適切な人材を効率的に選考できる遠隔面接システムを提供することである。」

(2) 42ページ24行−43ページ21行
「第11図に、本人確認処理の処理手順の例を示す。図のように、本人確認の時刻になったら(S802)、「本人確認を行いますので画面中央を見てください」のメッセージ画面(図示省略)を表示する(S804)。本人確認は、一定時間間隔で行うようにしてもよいが、応募者が確認時刻を予測できないようにランダムな時刻に行うことが望ましい。メッセージ画面に設けられた「確認」ポタンがクリックされたら(S806),応募者端末のテレビ映像を受信して静止画像を切り出して取得し(S808)、応募テ一ブルに登録されている応募者画像と照合する(S810)。画像の照合は、登録されている応募者画像をテンプレートとして取得された画像に対して直接マッチング処理を行い、最も一致度の高い点を求める。尚、取得された画像について外形輪郭、目・鼻・口等の位置や形状等の特徴点を求める特徴抽出演算を行って画像サイズを正規化した上でマッチング処理を行ってもよく、当該応募者画像について特徴抽出した結果と比較するようにしてもよい。照合の結果、所定の一致度が得られない場合は(S812)、「画像が一致しませんので画像を記録します」のメッセ一ジを出し(S814)、前述のように募集者があとで画像を確認できるように取得した画像を応募者テーブルに追加登録し(S816)、不正検知フラグをセッ卜する(S818)。ここで、所定の一致度が得られない場合に画像を追加登録するようにしたのは、画像の照合は必ずしも十分な信頼性を有しない場合があるので、所定の一致度が得られない場合はその画像を記録しておき、後日募集者が確認できるようにしたものである。従って、画像の照合が十分な信頼性を有する場合は、応募者に対して例えば「不正受験を検出しました」のメッセ一ジを出して選考試験を打切るようにしてもよい。また、逆に試験中は画像の照合を行うことなく単に画像を記録するに留め、採点時に募集者が記録された画像を順次取出して確認するようにしてもよい。以上の処理をS802から繰り返し、終了フラグがセットされたら(S820)、本人確認の処理を終了する。」

3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、段落【0041】に、次の事項が記載されている。

「【0041】
本実施の形態に示されている制御プログラム28においては、ユーザは著作物と広告を同時に興味深く閲覧することができる。しかし中には、ポイントの獲得のみを目的として、著作物と広告をいずれもあまり閲覧せず、広告の終了だけを監視していてクリックを行う登録ユーザの存在も考えられる。このようなユーザに、著作物と広告をより注意して閲覧してもらうためには、図5に示すフレーム40を適用して著作物と広告を1の画面で表示できるように編集することが好適である。図5のフレームに設けられた閲覧確認ボタン42はフレーム34の下部に常時表示されており、クリックしてユーザ用カウンタに加算できる状態と、クリックできない状態を交互にとることができる。クリックできる状態とクリックできる状態との間隔は、一定であっても、ランダムであってもよい。また、クリックできる時間の長さは、ユーザがクリック可能な状態を認識してから実際にクリックするまでに必要な時間が設定されており、通常5秒程度に設定される。閲覧確認ボタン42は、クリック可能な状態では点滅して表示されるために、クリックできない状態から容易に識別することができる。閲覧を確認できる時間を予測できない時間間隔で発生させることにより、ユーザは画面全体を注視するようになり、著作物と広告を常に集中して閲覧する。尚、クリックできる状態とクリックできない状態を識別可能にするために、閲覧確認ボタン42をクリック可能な状態で点滅させる代わりに、高輝度にしたり、色を変えたりすることが可能である。」

4 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、段落【0047】−【0048】に、次の事項が記載されている。

「【0047】
なお、演習問題が提示されるタイミングは不定期であることが好ましい。このとき、受講者の集中力を保つため、講義途中で5分〜10分毎に演習問題を挟むと効果的である。
なお、本実施例のように講義映像と演習問題とを組み合わせて一つの動画像データとしてもよいし、講義映像と演習問題とは、別々の動画像データとしてもよい。
【0048】
このように、本実施例のウェブラーニングシステム10では、演習問題に対して受講者が回答していない場合でも、回答無しと記録して講義は先に進んでしまう。すなわち、演習問題に気付かず見逃してしまうと回答しないまま講義が進んでしまう。そうなると、演習問題に対して無回答、つまり、その受講者はサボっていることがサーバ装置14に記録されてしまうので、受講者としては、従来のように講義を真剣に視聴せずにだらだらと流していて、演習問題のときにだけ画面に戻ってきて適当に回答を入力するということができない。
そのため、受講者に対して、演習問題を見落とさないように講義を真剣に集中して視聴しようという動機付けになり、受講者の学習意欲の低下や怠慢を防止することができ、集中力向上及びモチベーション維持に効果的である。
また、サーバ装置14には、各受講者がきちんと講義を受講して演習問題に回答しているか否か、また、どのような回答をしているかという履歴が残るので、管理者側(社員研修を課す企業の人事担当者等)としても、受講生がきちんと真面目に受講していたかどうかの判断が容易にできる。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明が「状態情報保持部2021」を具備することは、「ユーザは、自らが勤務中である場合には、入力受付部(例えばマウス)1022を用いて、勤務中指示領域302を押下し、勤務中指示領域302が押下されると、表示画像生成部2011によって状態情報表示領域301の表示が「勤務中」になるとともに、状態情報切替部2012が、状態情報保持部2021に保持される状態情報のうちで当該ユーザに対応する状態情報を「勤務中」を示す情報(例えば、「1」)に切り替え、
一方、入力受付部1022により、休憩中指示領域303が押下された場合、表示画像生成部2011によって状態情報表示領域301の表示が「休憩中」になるとともに、状態情報切替部2012が、状態情報保持部2021に保持される当該ユーザに対応する状態情報を「休憩中」を示す情報(例えば、「0」)に切り替え」ているから、本願発明1の「ユーザにより設定された稼働情報に基づいて、前記ユーザが勤務中であるか勤務中でないかの勤務状況を判断する勤務状況判断手段」を具備することに相当する。

イ 引用発明が「状態情報保持部2021に保持される情報が「勤務中」を示す情報である場合にだけ、画像キャプチャ部2013により、表示部1021の画面に表示されている画像データを予め定められた頻度でキャプチャし、キャプチャする頻度は、頻度情報として、予め頻度情報保持部2022に保持されており、
例えば、「1時間に6回」という頻度である場合、画像キャプチャ部2013は、乱数を用いることにより、7分後、18分後、21分後、33分後、42分後、55分後、というように、事前に、ランダムな6回分(1時間分)のキャプチャリング時刻を決定し、その時刻になったら画像キャプチャを行」うことは、本願発明1の「各時間間隔における応答要求時間をランダムに決定する決定手段」を具備することと、「各時間間隔における所定の動作を行う時間をランダムに決定する決定手段」を具備する点で共通するといえる。

ウ 引用発明の「集計部4011a」は、「情報端末102から送信されてきた状態情報に関する情報(ここでは、勤務時間情報)に基づいて、当該情報端末102が備える状態情報保持部2021に保持されている状態情報が「勤務中」として継続していた時間(つまり、勤務時間情報における「勤務時間」)の累計値(総勤務時間)を算出し」ているから、本願発明1の「前記ユーザの勤務時間を累積する勤務時間累積手段」に相当する。

エ 引用発明において「スクリーンセーバー動作検出部2014は、状態情報が「勤務中」になっているときに、スクリーンセーバーの動作開始を検出した場合、表示画像生成部2011に指示することよって「在席の有無」の確認画面を表示部1021にポップアップ表示させる処理を行」うことは、本願発明1の「前記ユーザが勤務中であると判断され、かつ前記累積されたユーザの勤務時間の対応する時間間隔の始まりからの勤務時間が前記決定された応答要求時間以上である場合、前記ユーザの端末に応答要求を出力する応答要求出力手段」を具備することと、「前記ユーザが勤務中であると判断され、かつ所定の条件を満たす場合、前記ユーザの端末に応答要求を出力する応答要求出力手段」を具備する点で共通するといえる。

オ 引用発明において、「これに対して、ユーザが入力受付部1022を介して「在席」している旨を通知した(例えば、確認画面におけるボタン「在席」を押した)場合には、スクリーンセーバー動作検出部2014は、状態情報を「勤務中」のまま維持し、
一方、一定時間、入力受付部1022からの指示がない場合には、スクリーンセーバー動作検出部2014は、その旨を状態情報切替部2012に通知し、その通知を受けた状態情報切替部2012は、状態情報保持部2021に保持された状態情報(「勤務中」)を、「休憩中」を示す情報に切り替え」ることは、本願発明1において、「前記ユーザの端末からの前記応答要求に対する前記ユーザによる応答に基づいて、前記ユーザが勤務していることを特定する勤務状況特定手段」を具備することに相当する。

カ 引用発明の「在宅就労支援システム」は、「表示部1021の画面上に、ユーザが「勤務中」であるか「休憩中」であるかを示す状態情報が表示され」るから、本願発明1の「勤務状況確認システム」に相当する。

(2) よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「ユーザにより設定された稼働情報に基づいて、前記ユーザが勤務中であるか勤務中でないかの勤務状況を判断する勤務状況判断手段と、
各時間間隔における所定の動作を行う時間をランダムに決定する決定手段と、
前記ユーザの勤務時間を累積する勤務時間累積手段と、
前記ユーザが勤務中であると判断され、かつ所定の条件を満たす場合、前記ユーザの端末に応答要求を出力する応答要求出力手段と、
前記ユーザの端末からの前記応答要求に対する前記ユーザによる応答に基づいて、前記ユーザが勤務していることを特定する勤務状況特定手段と
を具備する勤務状況確認システム。」

[相違点1]
「決定手段」に関して、本願発明1では、「各時間間隔における応答要求時間をランダムに決定する」のに対して、引用発明では、「画像キャプチャ部2013」は、画像キャプチャを行う「キャプチャリング時刻」をランダムに決定しており、「応答要求時間」をランダムに決定するものではない点。

[相違点2]
「応答要求出力手段」に関して、本願発明1では、「前記ユーザが勤務中であると判断され、かつ前記累積されたユーザの勤務時間の対応する時間間隔の始まりからの勤務時間が前記決定された応答要求時間以上である場合」であるのに対して、引用発明では、「スクリーンセーバー動作検出部2014」は、「状態情報が「勤務中」になっているときに、スクリーンセーバーの動作開始を検出した場合」、応答要求をしており、「前記ユーザが勤務中であると判断され、かつ前記累積されたユーザの勤務時間の対応する時間間隔の始まりからの勤務時間が前記決定された応答要求時間以上である場合」、応答要求をするものではない点。

(3) 当審の判断
事情に鑑みて、上記[相違点2]について、先に検討する。

本願発明1の上記[相違点2]に係る、「応答要求出力手段」が、「前記ユーザが勤務中であると判断され、かつ前記累積されたユーザの勤務時間の対応する時間間隔の始まりからの勤務時間が前記決定された応答要求時間以上である場合、前記ユーザの端末に応答要求を出力する」という構成は、上記引用文献1−4には記載されておらず、周知技術であるともいえない。

引用発明では、「スクリーンセーバー動作検出部2014」が、「状態情報が「勤務中」になっているときに、スクリーンセーバーの動作開始を検出した場合」、応答要求をしており、「前記ユーザが勤務中であると判断され、かつ前記累積されたユーザの勤務時間の対応する時間間隔の始まりからの勤務時間が前記決定された応答要求時間以上である場合」に応答要求をしていない。
また、引用発明では、「集計部4011a」が、「情報端末102から送信されてきた状態情報に関する情報(ここでは、勤務時間情報)に基づいて、当該情報端末102が備える状態情報保持部2021に保持されている状態情報が「勤務中」として継続していた時間(つまり、勤務時間情報における「勤務時間」)の累計値(総勤務時間)を算出し」ているが、この累積値(「総勤務時間」)は、「オーバーワークを示す情報として時間判定部4011bによる判定の結果を表示部1011に表示させる」ことに用いられており、応答要求には用いられていない。

引用文献2(上記「第4」「2」を参照。)には、テレビ電話を用いた遠隔面接において、応募者の本人確認のため、ランダムな時刻に、「確認」ボタンを表示して、「確認」ボタンがクリックされたら、応募者の画像を取得して照合することが記載され、引用文献3(上記「第4」「3」を参照。)には、ユーザに著作物と広告をより注意して閲覧してもらうために、ランダムなタイミングで、「閲覧確認ボタン42」をクリック可能な状態に切り替えることが記載され、引用文献4(上記「第4」「4」を参照。)には、受講者の集中を保つため、不定期なタイミングで、講義中に演習問題を表示して、回答させることが記載されているものの、本願発明1の上記[相違点2]のように、「応答要求出力手段」が、「前記ユーザが勤務中であると判断され、かつ前記累積されたユーザの勤務時間の対応する時間間隔の始まりからの勤務時間が前記決定された応答要求時間以上である場合、前記ユーザの端末に応答要求を出力する」という構成は開示されていない。

したがって、[相違点1]について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2−6について
本願発明2−6も、本願発明1の上記[相違点2]の構成と、同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1−6は、当業者が引用発明及び引用文献2−4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2022-07-26 
出願番号 P2017-141874
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 野崎 大進
稲葉 和生
発明の名称 勤務状況確認システム  
代理人 井上 正  
代理人 飯野 茂  
代理人 河野 直樹  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 野河 信久  

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