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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1387366
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-07 
確定日 2022-07-26 
事件の表示 特願2016−161271「超音波診断装置および医用画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 2日出願公開、特開2017− 42606、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」と記す。)は、平成28年(2016年)8月19日(優先権主張 平成27年8月24日)の出願であって、令和元年7月1日に審査請求がなされ、令和2年8月11日付けで拒絶理由が通知され、同年10月19日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月11日付けで最後の拒絶理由が通知され、令和3年4月20日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月31日付けで補正の却下の決定がなされるとともに同日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)されたところ、同年12月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和3年8月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願については、令和2年12月11日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって拒絶をすべきものです。

第3 令和2年12月11日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要
令和2年12月11日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は次のとおりである。

1.本願は、特許請求の範囲の請求項1ないし15の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2.本願の請求項1ないし15に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2008−284287号公報
2.特開2015−008733号公報
3.特開2010−124946号公報(周知技術を示す文献)

第4 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、以下に示すとおり、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。

1.請求項1の補正について
(1)審判請求時の補正によって、補正前の「前記血流情報の値の違いが、少なくとも色相の違いで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、少なくとも明度又は彩度の違い、且つ非グレースケールで表現された第2画像、および前記形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像を生成する画像生成部」から、補正後の「前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、前記第1の色とは異なる第2の色を用いて非グレースケールで表現された第2画像、および前記形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像を生成し、色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現される画像生成部」に変更された。
(2)上記補正は、補正前の「前記血流情報の値の違いが、少なくとも色相の違いで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、少なくとも明度又は彩度の違い、且つ非グレースケールで表現された第2画像」から、補正後に「前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、前記第1の色とは異なる第2の色を用いて非グレースケールで表現された第2画像」であって「色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現される」ものとするものであり、最後の拒絶理由において画像生成部で生成する第1画像と第2画像の内容が不明確であると指摘された点について明確にするもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするとともに、両者の内容を実質的に限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(3)また、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)の段落【0049】に画像生成機能が血流情報の値の違いが色相の違いで表現された血流画像を生成すること、段落【0052】に弾性画像が色の三要素(色相、明度、彩度)のうち色相以外の要素(明度、彩度、及び明度と彩度との組み合わせのうちのいずれか1つの違いで表現されること、及び弾性画像を単色で表現する場合は、血流画像の色相とは異なる色で表現するのが好ましいこと、段落【0054】に血流画像は色の三要素(色相、明度、彩度)のうち少なくとも色相の違い(色相、色相と明度との組み合わせ、色相と彩度との組み合わせ、色相と明度と彩度との組み合わせのうちのいずれか1つの違い)で表現されること、段落【0055】に血流情報の値の違いが少なくとも色相の違いで表現された血流画像、及び弾性情報の値の違いが色相以外の違いで表現された弾性画像とすること、段落【0081】に、画像生成機能が弾性情報の値の違いが少なくとも色相の違いで表現された弾性画像、および血流情報の値の違いが色相以外の違いで表現された血流画像を生成すること、がそれぞれ開示されていることから、補正によって変更ないし追加された事項は、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。

2.請求項2及び3の補正について
(1)審判請求時の補正によって、上記「1.」で検討した請求項1をさらに限定する事項として、請求項2、請求項3にそれぞれ「前記画像生成部は、前記血流情報の値の違いが、少なくとも色相の違いで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、少なくとも明度又は彩度の違いで表現された第2画像を生成する」という事項、「前記画像生成部は、前記組織性状情報の値の違いが、少なくとも色相の違いで表現された第2画像、前記血流情報の値の違いが、少なくとも明度又は彩度の違いで表現された第1画像を生成する」という事項を備えることとなった。これらの事項はそれぞれ当初明細書等の段落【0049】、【0052】及び段落【0081】に開示されている(上記「1.(3)」参照。)ことから、新規事項を追加するものではないといえる。
(2)そして、請求項2及び3は請求項1を引用する形式で記載されていることから、上記「1.」で請求項1について検討した点を踏まえると、請求項2及び3についての補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3.請求項6の補正について
(1)審判請求時の補正によって、請求項6の合成部は、「前記合成部は、前記第3画像に前記第1画像および前記第2画像を非透過で重畳させることで、第1の表示画像を生成し、前記制御部は、前記第1の表示画像を前記表示部に表示させる」ものから「前記合成部は、前記第1画像を透過させた状態で前記第2画像に対して重畳させ、前記第1画像を重畳させた前記第2画像を前記第3画像に対して非透過で重畳させることで、第1の表示画像を生成し、前記制御部は、前記第1の表示画像を前記表示部に表示させる」ものに変更された。
(2)上記補正は、合成部で生成する第1の表示画像について、第1画像及び第2画像を非透過で第3画像に重畳させたものから、第1画像を透過させた状態で第2画像に重畳させ、その第2画像を非透過で第3画像上に重畳させたものに変更するもので、第3画像に重畳させる第1画像及び第2画像の態様を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、当初明細書等の段落【0056】に血流画像20と弾性画像10を合成することで合成画像30を生成すること、段落【0059】に重畳される血流画像20が所定の透過度で透過させてもよいこと、段落【0061】に合成画像30を非透過でBモード画像41A上に重畳させること、がそれぞれ開示されていることから、補正によって変更された事項は当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。

4.請求項9の補正について
(1)審判請求時の補正により、請求項9の「組織性状情報」が、「組織の硬さを表す弾性情報である」という事項により限定した点は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)上記補正に関して、当初明細書等の段落【0027】に組織の弾性を表す弾性情報を生成すること、段落【0029】に組織正常情報は、血流情報の取得に用いた受信データを含む複数の受信データ間の相関演算に基づいて取得される弾性情報であること、がそれぞれ開示されていることから、「組織性状情報」が、「組織の硬さを表す弾性情報である」という事項は当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。

5.請求項10の補正について
(1)審判請求時の補正により、補正前の「被検体内の各位置における血流に基づく値を含む血流情報の値の違いが、少なくとも色相の違いで表現された第1画像、前記被検体内の各位置における組織性状に基づく値を含む組織性状情報の値の違いが、少なくとも明度又は彩度の違い、且つ非グレースケールで表現された第2画像、および前記被検体内の各位置における形態を表す値を含む形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像を記憶する記憶部」から、補正後の「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて取得された、前記被検体内の各位置における血流を表す値を含む血流情報、前記被検体内の各位置における組織性状を表す値を含む組織性状情報、および前記被検体内の各位置における形態を表す値を含む形態情報について、前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、前記第1の色とは異なる第2の色を用いて非グレースケールで表現された第2画像、および前記形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像を記憶し、色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現される記憶部」に変更された。
(2)上記補正は、「血流情報」と「組織性状情報」と「形態情報」が「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて取得された」ものであること、及び記憶部で記憶する第1画像と第2画像を「血流情報の値の違いが、少なくとも色相の違いで表現された第1画像、」「組織性状情報の値の違いが、少なくとも明度又は彩度の違い、且つ非グレースケールで表現された第2画像」から「前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像、」「前記組織性状情報の値の違いが、前記第1の色とは異なる第2の色を用いて非グレースケールで表現された第2画像」であって「色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現される」ものとするもので、最後の拒絶理由通知において第1画像と第2画像の内容が不明確であると指摘された点について明確にするもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするとともに、第1画像と第2画像の内容を実質的に限定する補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(3)また、当初明細書等の段落【0029】、【0049】、【0052】、【0054】、【0055】に上記「1.(3)」で述べた開示があることから、補正によって変更ないし追加された事項は、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。

6.請求項13ないし15の補正について
審判請求時の補正により、請求項13ないし15は削除された。よって、請求項13ないし15についての補正は、請求項の削除を目的とするものである。

7.請求項1ないし12が独立して特許することができる発明であるかについて
下記、「第5 本願発明」から「第7 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし12に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第5 本願発明
本願請求項1ないし12に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明12」という。)は、令和3年12月7日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1及び10は以下のとおりである。(下線は補正箇所を表す。)
「【請求項1】
被検体に対する超音波走査の結果に基づいて、前記被検体内の各位置における血流を表す値を含む血流情報、前記被検体内の各位置における組織性状を表す値を含む組織性状情報、および前記被検体内の各位置における形態を表す値を含む形態情報を取得する取得部と、
前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、前記第1の色とは異なる第2の色を用いて非グレースケールで表現された第2画像、および前記形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像を生成し、色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現される画像生成部と、
前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像を合成することで合成画像を生成する合成部と、
を備える、超音波診断装置。」
「【請求項10】
被検体に対する超音波走査の結果に基づいて取得された、前記被検体内の各位置における血流を表す値を含む血流情報、前記被検体内の各位置における組織性状を表す値を含む組織性状情報、および前記被検体内の各位置における形態を表す値を含む形態情報について、前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、前記第1の色とは異なる第2の色を用いて非グレースケールで表現された第2画像、および前記形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像を記憶し、色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現される記憶部と、
前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像を合成することで合成画像を生成する合成部と、
を備える、医用画像処理装置。」

なお、本願発明2ないし9、11及び12の概要は以下のとおりである。
本願発明2ないし9は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明11及び12は、本願発明10を減縮した発明である。

第6 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審が付与した。以下同じ。)
(1)「【0001】
本発明は、超音波を利用して、被検体内の撮像対象部位の断層画像、生体組織の硬さ又は軟らかさを示す弾性画像、及び撮像対象部位の血流画像を生成して表示する超音波診断装置に関する。」

(2)「【0009】
そこで、本発明は、断層画像、弾性画像、及び血流画像を診断に適した表示態様で表示する超音波診断装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の超音波診断装置は、被検体との間で超音波を送受信する超音波探触子と、超音波探触子により計測された反射エコー信号に基づいて、被検体の断層部位の組織の断層画像を生成する断層画像構成手段と、反射エコー信号に基づいて、断層部位の組織の弾性画像を生成する弾性画像構成手段と、超音波探触子により計測された反射エコー信号に基づいて血流情報を求め、断層部位の血流画像を生成する血流画像構成手段と、断層画像、弾性画像、及び血流画像の合成画像を生成する合成画像構成手段と、合成画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
すなわち、合成画像構成手段によって、同一断層部位における断層画像、弾性画像、及び血流画像の3種類の画像が1つの画像に合成されて表示されるので、検査者は、同一視線で3種類の画像情報を得ることができる。したがって、3種類の画像情報からの総合診断能を向上させながら、検査時間を短縮して検査効率を向上することができる。
【0012】
この場合において、合成画像構成手段による3種類の画像の具体的な合成手法は、以下の3態様を採用することができる。
【0013】
まず、第1態様は、血流画像を前記弾性画像上に重畳するとともに、重畳された画像を断層画像上に重畳して又は加算して合成画像を生成するものである。つまり、合成された画像は、断層部位の全体の組織構造を表す白黒断層画像が最背面となり、この断層画像上に、組織弾性に応じて例えば色相階調され半透明化された弾性画像が中間面として加算され、さらに、この画像上の最前面に、血流速度に応じて例えば色相階調された血流画像が重畳された画像となる。」

(3)「【0020】
以下、本発明を適用してなる超音波診断装置の実施例を説明する。なお、以下の説明では、同一機能部品については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0021】
図1は本発明を適用した超音波診断装置の基本構成を示すブロック図である。図1に示すように、超音波診断装置1には、被検体10に当接させて用いる超音波探触子12と、超音波探触子12を介して被検体10に時間間隔をおいて超音波を繰り返し送信する送信部14と、被検体10から発生する時系列の反射エコー信号を受信する受信部16と、送信部14と受信部16を制御する送受信制御部17と、受信部16で受信された反射エコーを整相加算する整相加算部18とが備えられている。
【0022】
また、整相加算部18からのRF信号フレームデータに基づいて被検体の濃淡断層画像、例えば白黒断層画像を構成する断層画像構成部20と、断層画像構成部20の出力信号を画像表示器26の表示に合うように変換する白黒スキャンコンバータ22とが備えられている。
【0023】
また、整相加算部18から出力されるRF信号フレームデータを記憶し、少なくとも2枚のフレームデータを選択するRFフレームデータ選択部28と、被検体10の生体組織の変位を計測する変位計測部30と、変位計測部30で計測された変位情報から歪み又は弾性率を求める弾性情報演算部32と、弾性情報演算部32での弾性演算エラーの評価などを行うエラー評価部33と、弾性情報演算部32で演算した歪み又は弾性率からカラー弾性画像を構成する弾性画像構成部34と、弾性画像構成部34の出力信号を画像表示器26の表示に合うように変換するカラースキャンコンバータ36とが備えられている。
【0024】
また、整相加算部18から出力されるRF信号フレームデータに対してドプラ復調などの演算を行うドプラ復調部47と、ドプラ復調部47の出力信号を血流情報に変換する血流演算部48と、血流演算部48からの出力信号に平滑処理やフレーム相関などの画像処理を行う画像処理部49と、画像処理部49からの出力信号を、画像表示器26の表示に合うように変換するカラースキャンコンバータ50などが備えられている。
【0025】
また、弾性情報演算部32、エラー評価部33、弾性画像構成部34、及びカラースキャンコンバータ36,50などを制御する画像制御部44と、画像制御部44に指示を与えるインターフェイス部42とが備えられている。
【0026】
そして、白黒スキャンコンバータ22,カラースキャンコンバータ36,カラースキャンコンバータ50からそれぞれ出力される白黒断層画像、カラー弾性画像、及び血流画像の3画像の合成画像を生成する本発明の特徴部である合成画像構成部24と、合成画像を表示する画像表示器26が備えられている。」

(4)「【0028】
断層画像構成部20は、整相加算部18からのRF信号フレームデータを入力してゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の信号処理を行い、断層画像データを得るものである。また、白黒スキャンコンバータ22は、断層画像構成部20からの断層画像データをデジタル信号に変換するA/D変換器と、変換された複数の断層画像データを時系列に記憶するフレームメモリと、制御コントローラを含んで構成されている。この白黒スキャンコンバータ22は、フレームメモリに格納された被検体内の断層フレームデータを1画像として取得し、取得された断像フレームデータをテレビ同期で読み出すものである。」

(5)「【0035】
カラースキャンコンバータ36は、弾性画像構成部34からの弾性フレームデータに色相情報を付与する機能を有したものである。つまり、弾性フレームデータに基づいて光の3原色すなわち赤(R)、緑(G)、青(B)に変換するものである。例えば、歪みが大きい弾性データを赤色コードに変換すると同時に、歪みが小さい弾性データを青色コードに変換する。
【0036】
そして、本発明の特徴部である合成画像構成部24は、フレームメモリと、画像処理部と、画像選択部とを備えて構成されている。ここで、フレームメモリは、白黒スキャンコンバータ22からの断層画像データとカラースキャンコンバータ36,50からの弾性画像データ,血流画像データとを格納するものである。
【0037】
また、画像処理部は、フレームメモリに確保された断層画像データ,弾性画像データ、及び血流画像データの合成処理を行う。具体的な合成処理内容は後述する。さらに、画像選択部は、フレームメモリ内の断層画像データ、弾性画像データ、血流画像データ、及び画像処理部の合成画像データのうちから画像表示器26に表示する画像を選択するものである。」

(6)「【0041】
次に、弾性画像上に血流画像を重畳する(S7)。ここで、重畳とは弾性画像上に血流画像を重ね合わせることであり、血流画像が生成された箇所は、常に血流画像が優先してカラー表示されることとなる。ただし、この弾性画像と血流画像との表示優先度を選択できるようにしてもよい。
【0042】
続いて、S7で合成された画像と断層画像の合成を行う(S8)。ここでの合成は、例えば、弾性画像を半透明カラー表示として断層画像上に加算するものである。つまり、合成画像の各画素の輝度情報及び色相情報は、白黒断層画像とカラー弾性画像との各情報を、任意に設定可能な合成割合で加算したものとなる。そして、S8で合成処理された画像を画像表示器26に表示する(S9)。」

(7)「【0058】
一方、弾性画像用のROIと血流画像用のROIとが重複しない箇所については、図10に示すように、弾性画像及び血流画像が、それぞれ断層画像と合成される。ここで、弾性画像と断層画像とを合成する場合は、弾性画像を半透明カラー表示として断層画像上に加算してもよいし、半透明化せずに断層画像上に重畳してもよい。また、血流画像と断層画像との合成については、血流画像を断層画像上に重畳すればよい。」

(8)「【図1】



上記引用文献1の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「断層画像、弾性画像、及び血流画像を診断に適した表示態様で表示する超音波診断装置及び医用画像処理装置において、
超音波診断装置1には、被検体10に当接させて用いる超音波探触子12と、超音波探触子12を介して被検体10に時間間隔をおいて超音波を繰り返し送信する送信部14と、被検体10から発生する時系列の反射エコー信号を受信する受信部16と、送信部14と受信部16を制御する送受信制御部17と、受信部16で受信された反射エコーを整相加算する整相加算部18と、
整相加算部18からのRF信号フレームデータに基づいて被検体の濃淡断層画像、例えば白黒断層画像を構成する断層画像構成部20と、断層画像構成部20の出力信号を画像表示器26の表示に合うように変換する白黒スキャンコンバータ22と、
整相加算部18から出力されるRF信号フレームデータを記憶し、少なくとも2枚のフレームデータを選択するRFフレームデータ選択部28と、被検体10の生体組織の変位を計測する変位計測部30と、変位計測部30で計測された変位情報から歪み又は弾性率を求める弾性情報演算部32と、弾性情報演算部32での弾性演算エラーの評価などを行うエラー評価部33と、弾性情報演算部32で演算した歪み又は弾性率からカラー弾性画像を構成する弾性画像構成部34と、弾性画像構成部34の出力信号を画像表示器26の表示に合うように変換するカラースキャンコンバータ36と、ここで カラースキャンコンバータ36は、弾性画像構成部34からの弾性フレームデータに色相情報を付与する機能を有したもので、弾性フレームデータに基づいて光の3原色すなわち赤(R)、緑(G)、青(B)に変換するものであり、
整相加算部18から出力されるRF信号フレームデータに対してドプラ復調などの演算を行うドプラ復調部47と、ドプラ復調部47の出力信号を血流情報に変換する血流演算部48と、血流演算部48からの出力信号に平滑処理やフレーム相関などの画像処理を行う画像処理部49と、画像処理部49からの出力信号を、画像表示器26の表示に合うように変換するカラースキャンコンバータ50と、
弾性情報演算部32、エラー評価部33、弾性画像構成部34、及びカラースキャンコンバータ36,50などを制御する画像制御部44と、画像制御部44に指示を与えるインターフェイス部42と、
白黒スキャンコンバータ22,カラースキャンコンバータ36,カラースキャンコンバータ50からそれぞれ出力される白黒断層画像、カラー弾性画像、及び血流画像の3画像の合成画像を生成する合成画像構成部24と、合成画像を表示する画像表示器26と、
が備えられており、
合成画像構成部24は、フレームメモリと、画像処理部と、画像選択部とを備えて構成されており、フレームメモリは、白黒スキャンコンバータ22からの断層画像データとカラースキャンコンバータ36,50からの弾性画像データ,血流画像データとを格納するものであり、
弾性画像上に血流画像を重畳し、その合成された画像と断層画像の合成を行う合成画像の生成において、合成された画像は、断層部位の全体の組織構造を表す白黒断層画像が最背面となり、この断層画像上に、組織弾性に応じて色相階調され半透明化された弾性画像が中間面として加算され、さらに、この画像上の最前面に、血流速度に応じて色相階調された血流画像が重畳された画像となるものである、
超音波診断装置及び医用画像処理装置。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本開示は、超音波処理装置および方法に関し、特に、エラストグラフィにおいて硬さの違いをより明瞭に描くことができるようにした超音波処理装置および方法に関する。」

(2)「【0028】
<第1の実施の形態>
[超音波画像診断装置の構成例]
図1は、本技術を適用した超音波処理装置としての、超音波画像診断装置の構成例を示す図である。」

(3)「【0031】
超音波画像診断装置11は、超音波プローブ21、超音波信号処理部22、および画像表示部23を含むように構成されている。」

(4)「【0034】
超音波信号処理部22は、送信BF部41、送受分離部42、受信BF部43、粘弾性係数演算部44、画像化信号処理部45、画像合成部46、およびスキャンコンバータ47を含むように構成されている。」

(5)「【0039】
粘弾性係数演算部44は、受信BF部43からの整相加算後のRF信号を用いて、エラストグラフィのために、検査対象を含む被写体(内部)の粘弾性係数とその空間的変化量である空間微分を演算する。なお、空間的変化量の例としては、空間微分の他に、例えば、隣接間の差分、または垂直、水平方向の相関値などがあげられる。粘弾性係数演算部44は、各ライン上のサンプル点における粘弾性係数値を表すHue(色相信号)と、粘弾性係数の微分値を表すValue(明度信号)、およびSaturation(彩度:1)を画像合成部46に出力する。
【0040】
画像化信号処理部45は、受信BF部43からの整相加算後のRF信号に対して信号処理を行い、輝度画像(B(Brightness)モード画像)に変換する。画像化信号処理部45は、変換されたBモード画像を、画像合成部46に供給する。
【0041】
画像合成部46は、粘弾性係数演算部44から入力される各HSV(Hue, Value(lightness or Brightness), Saturation)の値をある比率でブレンドし、さらに、画像化信号処理部45からのBモード画像も合成して、表示用画像を生成する。画像合成部46は、生成された表示用画像をRGB表色系に色変換して、スキャンコンバータ47に出力する。
【0042】
スキャンコンバータ47は、画像合成部46からの表示用画像を画像表示部23に表示させる。」

(6)「【0044】
以上のように、超音波画像診断装置11においては、粘弾性係数を画像として(粘弾性係数を画像化して)表示する際に、各ライン上のサンプル点における粘弾性係数値を表すHue(色相信号)に加えて、粘弾性係数の微分値を表すValue(明度信号)が出力される。
【0045】
これにより、エラストグラフィにおいて硬さの違いをより明瞭に描くことができる。」

(7)「【0051】
本技術の場合、すでにエラストグラフィとして認知されているHue(色)へのマッピング方法は変更せずに、色よりも視覚認知が敏感な明るさ(すなわち、輝度)の情報が付加される。これにより、硬さの違いをより明瞭に描くことができる。
【0052】
また、粘弾性係数そのものではなく粘弾性係数の微分値を明るさ(輝度)に割り当てる。例えば、図2に示されるように、粘弾性係数の微分値において、立ち下がりを白っぽく表示させ、立ち上がりを黒っぽく表示させる。
【0053】
これにより、図3の色と明るさによる粘弾性係数の表示画像Bに示されるように、色による粘弾性係数の表示画像bと比して、硬さの異なる部位の境界付近が明瞭となり、硬さの異なる部位の形状把握のサポートにつながる。」

(8)「【0095】
さらに、上記説明においては、粘弾性係数値、粘弾性係数の微分値、1が割り当てられたHSVに、Bモード画像を合成して表示する例を説明したが、Bモード画像を合成することなしに表示させてもよい。また、合成する画像としては、Bモード画像だけに限らず、どんな画像であってもよい。具体的には、弾性係数値、粘弾性係数の微分値、1が割り当てられ得たHSVに、被写体に関する画像として、被写体のCT画像、被写体のMRI画像、被写体の内視鏡画像(内視鏡により撮影されたビデオ画像または静止画像)などを合成することも可能である。」

上記引用文献2の記載事項を総合勘案すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「エラストグラフィにおいて硬さの違いをより明瞭に描くことができるようにした超音波処理装置であって、
超音波処理装置としての超音波画像診断装置11は、超音波プローブ21、超音波信号処理部22、および画像表示部23を含むように構成されており、
超音波信号処理部22は、送信BF部41、送受分離部42、受信BF部43、粘弾性係数演算部44、画像化信号処理部45、画像合成部46、およびスキャンコンバータ47を含むように構成されており、
粘弾性係数演算部44は、受信BF部43からの整相加算後のRF信号を用いて、エラストグラフィのために、検査対象を含む被写体(内部)の粘弾性係数とその空間的変化量である空間微分を演算し、各ライン上のサンプル点における粘弾性係数値を表すHue(色相信号)と、粘弾性係数の微分値を表すValue(明度信号)、およびSaturation(彩度:1)を画像合成部46に出力し、
画像化信号処理部45は、受信BF部43からの整相加算後のRF信号に対して信号処理を行い、輝度画像(B(Brightness)モード画像)に変換し、変換されたBモード画像を、画像合成部46に供給し、
画像合成部46は、粘弾性係数演算部44から入力される各HSV(Hue, Value(lightness or Brightness), Saturation)の値をある比率でブレンドし、さらに、画像化信号処理部45からのBモード画像も合成して、表示用画像を生成し、生成された表示用画像をRGB表色系に色変換して、スキャンコンバータ47に出力し、
スキャンコンバータ47は、画像合成部46からの表示用画像を画像表示部23に表示させるものであり、
粘弾性係数を画像として(粘弾性係数を画像化して)表示する際に、各ライン上のサンプル点における粘弾性係数値を表すHue(色相信号)に加えて、粘弾性係数の微分値を表すValue(明度信号)が出力され、粘弾性係数そのものではなく粘弾性係数の微分値を明るさ(輝度)に割り当てることにより、硬さの異なる部位の境界付近が明瞭となり、硬さの異なる部位の形状把握のサポートにつながる、
超音波処理装置。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に周知技術を示す文献として引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像を表示することができる超音波診断装置及びプログラムに関する。」

(2)「【0024】
図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモード画像処理部4、弾性画像処理部5、合成部6、表示部7を備え、さらに制御部8及び操作部9を備える。」

(3)「【0028】
前記弾性画像処理部5は、物理量算出部51と弾性画像作成部52とを有しており、本発明における弾性画像処理部の実施の形態の一例である。具体的に説明すると、前記物理量算出部51は、前記送受信部3からの音線毎のエコー信号に基づいて生体組織の弾性に関する物理量として、生体組織における各部の変形による変位を算出する。具体的には、同一音線上における時間的に異なる二つのエコー信号の相関演算を行って各部の変位を算出する。
【0029】
前記弾性画像作成部52は、前記物理量算出部51によって算出された生体組織における変形による変位に基づいて弾性画像フレームデータを作成する。具体的には、前記弾性画像作成部52は、変位に応じて赤、緑、青の色相情報を付与し、カラーの情報を有する弾性画像フレームデータを作成する。
【0030】
前記合成部6は、前記Bモード画像処理部4で作成されたBモード画像フレームデータ及び前記弾性画像処理部5で作成された弾性画像フレームデータを格納するフレームメモリ(図示省略)を有し、これらBモード画像フレームデータと弾性画像フレームデータとを合成する。前記合成部6は、本発明における合成部の実施の形態の一例である。前記合成部6で合成されて得られた超音波画像は、前記表示部7に表示される。」

(4)「【0043】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。図5は、本発明の第二実施形態における超音波診断装置の構成を示すブロック図、図6は、図5に示す超音波診断装置におけるカラードップラ画像処理部の詳細構成を示すブロック図、図7は、図5に示す超音波診断装置において、弾性画像用超音波送受信、Bモード画像用超音波送受信及びカラードップラ画像用超音波送受信のタイミングを示す図である。図5において、前記第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
図5に示す超音波診断装置20は、前記送受信部3からのエコー信号に基づいてカラードップラ画像フレームデータを作成するカラードップラ画像処理部21を備えている。このカラードップラ画像処理部21は、本発明における非弾性画像処理部の実施の形態の一例である。
【0045】
前記カラードップラ画像処理部21は、図6に示すように、直交検波部211、MTI(Moving Target Indication)フィルタ212、自己相関演算部213、平均流速演算部214、分散演算部215、パワー演算部216、カラードップラ画像作成部217を有している。
【0046】
前記カラードップラ画像処理部21は、前記送受信部3によってカラードップラ画像用超音波送受信を行って得られたエコー信号を、先ず前記直交検波部211で直交検波する。次に、直交検波後の信号を、前記MTIフィルタ212でMTI処理することにより、前記超音波プローブ2によって生体組織を圧迫及び弛緩することによって生ずる生体組織の移動に起因する成分を除去し、血流成分の信号のみを抽出する。ここで、前記MTIフィルタ212は、本発明における抽出部の実施の形態の一例である。
【0047】
また、前記自己相関演算部213では、前記MTIフィルタ212の出力信号信号について自己相関演算を行う。そして、前記平均流速演算部214は前記自己相関演算部213の出力を受けて流速Vを求め、前記分散演算部215は前記自己相関演算部213の出力を受けて流速の分散Tを求め、前記パワー演算部216は前記自己相関演算部213の出力を受けてパワーPWを求める。
【0048】
前記カラードップラ画像作成部217は、流速V、分散T、パワーPWに基づいてカラードップラ画像フレームデータを作成する。カラードップラ画像フレームデータとしては、流速Vと分散Tとを組み合わせた流速分布画像フレームデータ、パワーPWを用いたパワードップラ画像フレームデータ又はパワーPWと分散Tとを組み合わせた分散付パワードップラ画像フレームデータ、及び分散Tを用いた分散画像フレームデータの少なくとも一つが作成される。そして、カラードップラ画像フレームデータは、前記合成部6へ出力される。
【0049】
ちなみに、カラードップラ画像フレームデータは、カラードップラ画像として前記表示部7に表示された時、弾性画像との区別ができるような色相情報を有する。
【0050】
さて、本例の超音波診断装置20の作用について説明する。本例では、前記Bモード画像処理部4から出力されたBモード画像フレームデータと前記弾性画像処理部5から出力された弾性画像フレームデータのほか、前記カラードップラ画像処理部21から出力されたカラードップラ画像フレームデータが、前記合成部6のフレームメモリ(図示省略)に格納される。そして、この合成部6は、Bモード画像フレームデータ、カラードップラ画像フレームデータ及び弾性画像フレームデータを合成して、Bモード画像上にカラードップラ画像及び弾性画像が重畳された超音波画像を作成する。」

上記引用文献3の記載事項を総合勘案すると、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

「Bモード画像フレームデータ、カラードップラ画像フレームデータ及び弾性画像フレームデータを合成部6で合成して、Bモード画像上にカラードップラ画像及び弾性画像が重畳された超音波画像を作成し、表示部7で表示する超音波診断装置において、
弾性画像フレームデータは、変位に応じて赤、緑、青の色相情報を付与したカラーの情報を有するものであり、
カラードップラ画像フレームデータは、カラードップラ画像として表示された時、弾性画像との区別ができるような色相情報を有するものである、
超音波診断装置。」

また、上記引用発明3を踏まえると、引用文献3には次の技術(以下「引用文献3開示技術」という。)が記載されていると認められる。

「Bモード画像上にカラードップラ画像及び弾性画像が重畳された超音波画像を作成し、表示部7で表示する超音波診断装置において、弾性画像は色相情報を付与されたカラー画像であり、カラードップラ画像が、弾性画像との区別ができるような色相情報を有するカラー画像である、とする技術。」

第7 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1を、引用発明1と比較する。
ア 引用発明1の「被検体10に当接させて用いる超音波探触子12」を備えた「超音波診断装置1」の「受信部16で受信された反射エコー」は、本願発明1における「被検体に対する超音波走査の結果」に相当する。
イ 引用発明1の「白黒断層画像」は、本願発明1における「形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像」に相当する。
ウ 引用発明1の「受信部16で受信された反射エコーを整相加算する整相加算部18」と「整相加算部18からのRF信号フレームデータに基づいて被検体の濃淡断層画像、例えば白黒断層画像を構成する断層画像構成部20と、断層画像構成部20の出力信号を画像表示器26の表示に合うように変換する白黒スキャンコンバータ22」は、被検体の超音波走査の結果のデータを基に被検体の白黒断層画像を出力するものであるから、本願発明1における「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて」「前記被検体内の各位置における形態を表す値を含む形態情報を取得する取得部」及び「前記形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像を生成」する「画像生成部」に相当する。
エ 引用発明1の「カラー弾性画像」は、生体組織の変位から得られるものであるから、本願発明1における「組織性状情報の値の違いが、」「色を用いて非グレースケールで表現された第2画像」に相当する。
オ 上記「エ」を踏まえると、引用発明1の「受信部16で受信された反射エコーを整相加算する整相加算部18」と「整相加算部18から出力されるRF信号フレームデータを記憶し、少なくとも2枚のフレームデータを選択するRFフレームデータ選択部28と、被検体10の生体組織の変位を計測する変位計測部30と、変位計測部30で計測された変位情報から歪み又は弾性率を求める弾性情報演算部32と、弾性情報演算部32での弾性演算エラーの評価などを行うエラー評価部33と、弾性情報演算部32で演算した歪み又は弾性率からカラー弾性画像を構成する弾性画像構成部34と、弾性画像構成部34の出力信号を画像表示器26の表示に合うように変換するカラースキャンコンバータ36」は、被検体の超音波走査の結果のデータを基に被検体のカラー弾性画像を出力するものであるから、本願発明1における「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて」「前記被検体内の各位置における組織性状を表す値を含む組織性状情報」「を取得する取得部」及び「前記組織性状情報の値の違いが、」「色を用いて非グレースケールで表現された第2画像」「を生成」する「画像生成部」に相当する。
カ 引用発明1の「カラースキャンコンバータ55から」「出力される」「血流画像」は、本願発明1における「血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像」に相当する。
キ 上記「カ」を踏まえると、引用発明1の「受信部16で受信された反射エコーを整相加算する整相加算部18」と「整相加算部18から出力されるRF信号フレームデータに対してドプラ復調などの演算を行うドプラ復調部47と、ドプラ復調部47の出力信号を血流情報に変換する血流演算部48と、血流演算部48からの出力信号に平滑処理やフレーム相関などの画像処理を行う画像処理部49と、画像処理部49からの出力信号を、画像表示器26の表示に合うように変換するカラースキャンコンバータ50」は、被検体の超音波走査の結果のデータを基に被検体のカラーの血流画像を出力するものであるから、本願発明1における「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて」「前記被検体内の各位置における血流を表す値を含む血流情報」「を取得する取得部」及び「前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像」「を生成」する「画像生成部」に相当する。
ク 引用発明1の「白黒スキャンコンバータ22,カラースキャンコンバータ36,カラースキャンコンバータ50からそれぞれ出力される白黒断層画像、カラー弾性画像、及び血流画像の3画像の合成画像を生成する合成画像構成部24」は、本願発明1における「前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像を合成することで合成画像を生成する合成部」に相当する。

すると、本願発明1と、引用発明1とは、次の点で一致する。
<一致点>
「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて、前記被検体内の各位置における血流を表す値を含む血流情報、前記被検体内の各位置における組織性状を表す値を含む組織性状情報、および前記被検体内の各位置における形態を表す値を含む形態情報を取得する取得部と、
前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、色を用いて非グレースケールで表現された第2画像、および前記形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像を生成する画像生成部と、
前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像を合成することで合成画像を生成する合成部と、
を備える、超音波診断装置。」

一方で、両者は、次の点で相違する。
<相違点1>
第1画像(血流画像)と第2画像(カラー弾性画像)について、本願発明1では「色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現され」、かつ第1画像は「第1の色を用いて」、第2画像は「前記第1の色とは異なる第2の色を用いて」表現されるのに対し、引用発明1では、第1画像に相当する血流画像は「血流速度に応じて色相階調された血流画像」であり、第2画像に相当するカラー弾性画像は「組織弾性に応じて色相階調され半透明化された弾性画像」である点。

(2)判断
上記相違点1について判断する。
ア 引用文献2には、超音波エラストグラフィにより求めた粘弾性係数から、粘弾性係数を画像として(粘弾性係数を画像化して)表示する際に、各ライン上のサンプル点における粘弾性係数値を表すHue(色相信号)に加えて、粘弾性係数の微分値を表すValue(明度信号)が出力され、粘弾性係数そのものではなく粘弾性係数の微分値を明るさ(輝度)に割り当てることにより、硬さの異なる部位の境界付近が明瞭となり、硬さの異なる部位の形状把握のサポートにつながる技術が開示されている。しかしながら、上記技術は、弾性画像において、粘弾性係数の微分値を色相と異なる輝度に当てはめることにより境界を明瞭とする技術であって、血流画像と弾性画像を色相、明度、彩度の三要素のうち互いに異なる要素の違いで表現するという技術ではない。よって、引用文献2には、上記相違点1に係る構成の技術は開示されていない。
イ また、引用文献3開示技術は、弾性画像は色相情報を付与されたカラー画像とし、カラードップラ画像が、弾性画像との区別ができるような色相情報を有するカラー画像として、Bモード画像上に重畳させる技術を開示している。しかしながら、上記技術は、弾性画像と血流画像に相当するカラードップラ画像とは、ともに区別ができるような色相情報を有するカラー画像とする技術であって、血流画像と弾性画像を色相、明度、彩度の三要素のうち互いに異なる要素の違いで表現するという技術ではない。よって、引用文献3開示技術には、上記相違点1に係る構成の技術は開示されていない。
ウ 以上のことから、上記相違点1に係る発明特定事項を引用発明1ないし2及び引用文献3開示技術から当業者が導き出すことはできない。
エ また、上記相違点1に係る発明特定事項が本願の優先日前における周知の技術であると認めるに足りる証拠は無い。

(3)小括
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1ないし2及び引用文献3に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9も、本願発明1の上記相違点1に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1ないし2及び引用文献3に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明10について
(1)対比
本願発明10を、引用発明1と比較する。
ア 引用発明1の「被検体10に当接させて用いる超音波探触子12」を備えた「超音波診断装置1」の「受信部16で受信された反射エコー」は、本願発明10における「被検体に対する超音波走査の結果」に相当する。
イ 引用発明1の「白黒断層画像」は、本願発明10における「形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像」に相当する。
ウ 上記「イ」を踏まえると、引用発明1の「受信部16で受信された反射エコーを整相加算する整相加算部18」「からのRF信号フレームデータに基づいて被検体の濃淡断層画像、例えば白黒断層画像を構成する断層画像構成部20」「の出力信号を画像表示器26の表示に合うように変換する白黒スキャンコンバータ22」「からの断層画像データ」「を格納する」「フレームメモリ」は、被検体の超音波走査の結果のデータに基づいて出力された被検体の白黒断層画像データを格納するものであるから、本願発明10における「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて取得された、」「前記被検体内の各位置における形態を表す値を含む形態情報」「について」「前記形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像」「を記憶」する「記憶部」に相当する。
エ 引用発明1の「カラー弾性画像」は、生体組織の変位から得られるものであるから、本願発明10における「組織性状情報の値の違いが、」「色を用いて非グレースケールで表現された第2画像」に相当する。
オ 上記「エ」を踏まえると、引用発明1の「受信部16で受信された反射エコーを整相加算する整相加算部18」「から出力されるRF信号フレームデータを記憶し、少なくとも2枚のフレームデータを選択」し、「被検体10の生体組織の変位を計測する変位計測部30」「で計測された変位情報から歪み又は弾性率を求める弾性情報演算部32」「で演算した歪み又は弾性率からカラー弾性画像を構成する弾性画像構成部34」「の出力信号を画像表示器26の表示に合うように変換するカラースキャンコンバータ36」「からの弾性画像データ」「を格納する」「フレームメモリ」は、被検体の超音波走査の結果のデータに基づいて出力された被検体のカラー弾性画像を格納するものであるから、本願発明10における「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて取得された、」「前記被検体内の各位置における組織性状を表す値を含む組織性状情報」「について」「前記組織性状情報の値の違いが、」「色を用いて非グレースケールで表現された第2画像」「を記憶」する「記憶部」に相当する。
カ 引用発明1の「カラースキャンコンバータ55から」「出力される」「血流画像」は、本願発明10における「血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像」に相当する。
キ 上記「カ」を踏まえると、引用発明1の「受信部16で受信された反射エコーを整相加算する整相加算部18」「から出力されるRF信号フレームデータに対してドプラ復調などの演算を行うドプラ復調部47」「の出力信号を血流情報に変換する血流演算部48」「からの出力信号に平滑処理やフレーム相関などの画像処理を行う画像処理部49」「からの出力信号を、画像表示器26の表示に合うように変換するカラースキャンコンバータ50」「からの」「血流画像データ」「を格納する」「フレームメモリ」は、被検体の超音波走査の結果のデータに基づいて出力された被検体のカラーの血流画像を格納するものであるから、本願発明10における「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて取得された、」「前記被検体内の各位置における血流を表す値を含む血流情報」「について」「前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像」「を記憶」する「記憶部」に相当する。
ク 引用発明1の「白黒スキャンコンバータ22,カラースキャンコンバータ36,カラースキャンコンバータ50からそれぞれ出力される白黒断層画像、カラー弾性画像、及び血流画像の3画像の合成画像を生成する合成画像構成部24」は、本願発明10における「前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像を合成することで合成画像を生成する合成部」に相当する。
ケ 引用発明1の「超音波診断装置1」は、医用画像を処理する医用画像処理装置の一例であるから、本願発明10の「医用画像処理装置」に相当する。

すると、本願発明10と、引用発明1とは、次の点で一致する。
<一致点>
「被検体に対する超音波走査の結果に基づいて取得された、前記被検体内の各位置における血流を表す値を含む血流情報、前記被検体内の各位置における組織性状を表す値を含む組織性状情報、および前記被検体内の各位置における形態を表す値を含む形態情報について、前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、色を用いて非グレースケールで表現された第2画像、および前記形態情報の値の違いがグレースケールで表現された第3画像を記憶する記憶部と、
前記第1画像、前記第2画像、および前記第3画像を合成することで合成画像を生成する合成部と、
を備える、医用画像処理装置。」

一方で、両者は、次の点で相違する。
<相違点2>
第1画像(血流画像)と第2画像(カラー弾性画像)について、本願発明10では「色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現され」、かつ第1画像は「第1の色を用いて」、第2画像は「前記第1の色とは異なる第2の色を用いて」表現されるのに対し、引用発明1では、第1画像に相当する血流画像は「血流速度に応じて色相階調された血流画像」であり、第2画像に相当するカラー弾性画像は「組織弾性に応じて色相階調され半透明化された弾性画像」である点。

(2)判断
上記相違点2について判断する。
上記相違点2は、上記「1.(1)」で示した相違点1と同内容であり、上記「1.(2)」で検討したのと同様の理由により、上記相違点2に係る発明特定事項を引用発明1ないし2及び引用文献3開示技術から当業者が導き出すことはできない。

(3)小括
したがって、本願発明10は、当業者であっても、引用発明1ないし2及び引用文献3に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

4.本願発明11及び12について
本願発明11および12も、本願発明10の上記相違点2に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明10と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1ないし2及び引用文献3に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第8 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1ないし12は「前記血流情報の値の違いが、第1の色を用いて非グレースケールで表現された第1画像、前記組織性状情報の値の違いが、前記第1の色とは異なる第2の色を用いて非グレースケールで表現された第2画像」及び「色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現される」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
また、上記本願発明1ないし12が備える事項により、第1画像と第2画像に同一の色相が用いられる場合は除かれており、第1画像と第2画像とは色相、明度、彩度の三要素のうち、前記第1画像と前記第2画像とは互いに異なる要素の違いで表現されることにより、血流情報である第1画像と組織性状情報である第2画像とは識別可能になったことから、本願発明1ないし12は明確でないとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-07-11 
出願番号 P2016-161271
審決分類 P 1 8・ 575- WY (A61B)
P 1 8・ 121- WY (A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 長井 真一
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
伊藤 幸仙
発明の名称 超音波診断装置および医用画像処理装置  
代理人 特許業務法人虎ノ門知的財産事務所  
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