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審決分類 |
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する G06Q |
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管理番号 | 1387397 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-08-24 |
確定日 | 2022-05-02 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6813477号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6813477号の図面を本件審判請求書に添付された訂正図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第6813477号(以下「本件特許」という。)は、2015年(平成27年)5月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年5月9日 米国)を国際出願日とする出願の請求項1〜19に係る発明について、令和2年12月21日に特許権の設定登録がされたものであって、本件特許についての訂正の経緯は以下のとおりである。 令和 3年 8月24日 本件訂正審判請求 令和 3年11月29日 訂正拒絶理由通知(起案日) 令和 4年 1月19日 意見書の提出 令和 4年 1月31日 訂正拒絶理由通知(起案日) 令和 4年 3月23日 意見書、手続補正書の提出 第2 審判請求書の補正の適否について 令和4年3月23日にされた審判請求書の補正(以下「本件補正」という。)の適否について、以下検討する。 1 補正の内容 本件補正の概要は以下のとおり。 (1)請求の趣旨 審判請求書の「5.請求の趣旨」の項目における「特許第6813477号の明細書及び図面を、本審判請求書に添付した訂正明細書及び訂正図面のとおり訂正することを認める、との審決を求める」との記載を、「特許第6813477号の図面を、本審判請求書に添付した訂正図面のとおり訂正することを認める、との審決を求める」に変更する。 (2)請求の理由 ア 審判請求書の「6.請求の理由」の項目に記載した「(2)訂正事項」のサブ項目において、明細書の訂正に関する「ア 訂正事項1」の記載をすべて削除するとともに、「イ 訂正事項2」を「ア 訂正事項1」に変更する。 イ 審判請求書の「6.請求の理由」の項目に記載した「(3)訂正の理由」のサブ項目において、明細書の訂正に関する「(ア)訂正事項1」の記載をすべて削除するとともに、「(イ)訂正事項2」を「(ア)訂正事項1」に繰り上げるとともにその記載を変更する。 (3)添付書類又は添付物件の目録 審判請求書の「7.添付書類又は添付物件の目録」の項目に記載した「(1)訂正明細書、訂正図面」との記載を、「(1)訂正図面」に変更する。 2 本件補正の適否 本件補正は、「6.請求の理由」において、明細書の訂正に関する本件補正前の訂正事項1を削除するとともに、本件補正前の訂正事項2を訂正事項1に繰り上げたものであり、それに伴い、「5.請求の趣旨」及び「7.添付書類又は添付物件の目録」の記載を変更したものであるから、請求の趣旨の減縮的変更に該当し、審判請求書の要旨を変更するものではない。 したがって、本件補正は、特許法第131条の2第1項に適合するから、本件補正を認める。 第3 請求の趣旨と訂正の内容 1 上記第2のとおり本件補正は認められたから、本件訂正審判の訂正の趣旨は、本件補正により補正された審判請求書に記載された「特許第6813477号の図面を、本審判請求書に添付した訂正図面のとおり訂正することを認める、との審決を求める」というものであって、本件訂正審判の請求に係る訂正の内容は以下の訂正事項1のとおりである。 2 訂正事項1 訂正事項1は、図9について、 「 ![]() 」 を、 「 ![]() 」 に訂正するものである。 第4 当審の判断 訂正事項1についての訂正が適法であるか否かを以下検討する。 1 訂正の目的について 訂正前の図9は、ソース取引とコミット取引を備える信用状に関する事項が記載されたものであるところ、明細書の図9に関する説明は「コミット取引」と「有効期限取引」を有する信用状に関する説明がなされており、両者の記載が整合していなかったものを、図9を訂正することで、両者の記載を整合するものであるから、訂正事項1についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるかについて (1)明細書及び図面の記載 願書に添付した明細書及び図面には、以下の事項が記載されている。 「【0041】【図9】図9はコミット取引、有効期限取引を含む信用状に関連する一実施形態の側面を示している。」 「【0056】図2は、一つまたは複数のソース取引およびコミット取引を含むスワップに関する一実施形態の態様を示す。図示のように、コミット取引は第一のソース取引(すなわち、第一の当事者)から第一の量を受け入れるための第一の入力と、第二のソース取引から(すなわち、第二の当事者から) 第二の量を、そしてこれらの量の部分を一つ以上の他の取引(図示せず)に向けるための一つ以上の出力を備えており、多くの場合第一及び第二の量は同等であるが必ずしもそうではなく、場合によっては複数の図に示されているように元本額の(P)および(任意の)担保量(C)を含む予想される量の合計である。」 「【0059】図3は、コミットを含むスワップに関する一実施形態の態様を示す。取引および払い戻し取引を含む。コミット取引は、第一元本量(PA)を受信するための第一入力、第二元本量(PB )を受信するための第二入力、およびコミット出力を含む。払い戻し取引ではコミット出力から金額を受け取るための入力と、第一当事者への第一返金出力、第二当事者への第二返金出力とを含む。典型的な実施形態では、払い戻し取引記録はコミット取引の一定期間後に生成されるか、または将来の一定時間後にコミット出力がまだ使用いない場合にのみ有効であるように生成される。これにより、別の取引優先的にコミット出力を使用することが可能であり、そのような他の取引が作成されていない場合は払い戻し取引記録を転送メカニズムに送信して、当事者を元の立場に戻すこともできる。」 「【0086】図8はソース取引およびコミット取引を備えた信用状に関連する一実施形態の態様を示している。図示のようにコミット取引は第一の金額を第一のソース取引(例:第一の当事者)から受け入れるための第一の入力、または第一の金額を一つ以上の取引に注入するための出力(図示なし)を含んでいる。他の実施形態での(他の図に示されている)コミット取引は、第二のソース取引から第二の金額を受け入れるための第二の入力を含む。ここで第一の金額と第二の金額の合計は様々な図に示されているようにいくつかのケースでは元本額(P)、および(任意で)担保額(C)を含む。第一のソース取引のみ図8に示されているが。本発明の限定として解釈されるべきではない。 【0087】図9はコミット取引、前述の実施形態に示された払い戻し取引と同義の有効期限取引、信用状に関連する一実施形態の態様を示している。ただし、払い戻し取引は例外が発生した場合の資金の回収のために排他的な意味を持つことに加え(ファシリテータが支払い記録を作成または署名できなくなる場合など)、資金回収に加え有効期限取引の使用はオファー(ファシリテータが参加していたのに設定された条件が期限タイムスタンプ内に満たされていないなど)により想定される。違いは大部分が概念的である。本発明の範囲内では二つはほとんど同じ機能である。コミット取引は第一の元本(PA)およびコミット出力を受信するための第一の入力を含んでいる。有効期限取引は第一の当事者への第一の出力であるコミット出力の金額を受信するための入力を含み、第二の金額を受信するための第二の入力を含む他の実施形態では第二当事者のための第二出力を含む。」 「 ![]() 」(図3) (2)判断 ア 訂正後の図9の「コミット Commit」及び「期限切れ Expiration」について 明細書の段落【0041】に「図9はコミット取引、有効期限取引を含む信用状に関連する一実施形態の側面を示している。」と記載され、図9の説明である段落【0087】には「図9はコミット取引、前述の実施形態に示された払い戻し取引と同義の有効期限取引、信用状に関連する一実施形態の態様を示している。」と記載されているから、図9には、「コミット取引」と「有効期限取引」についての信用状を記載すべきことは明らかである。そして、「コミット取引」については、図面では「コミット Commit」(例えば図3、図8)と表記され、「有効期限取引」については、「期限切れ Expiration」(例えば図12、図13)と表記される。 イ 訂正後の図9の「PAi」及び「PAo」について 本願明細書に「元本額の(P)」(段落【0056】)、「元本額(P)」(段落【0086】)と記載されるように、本願明細書では、「P」は「元本額」またはそれに相当する量を表す記号として記載されている。そして、本願明細書では、例えば段落【0059】の記載のように第一当事者と第二当事者が「P」の添え字である「A」、「B」で区別される。さらに、図3の「PAi」及び「PAo」は、それぞれ段落【0059】の「第一元本量(PA)を受信するための第一入力」及び「第一当事者への第一返金出力」に対応するといえるから、「i」及び「o」は、それぞれ「入力」及び「出力」を表す添え字であることが明らかである。 そうすると、図9の説明である段落【0087】に記載された「コミット取引」の「第一の元本(PA) 」「を受信するための第一の入力」及び「有効期限取引」の「第一の当事者への第一の出力」がそれぞれ「PAi」及び「PAo」で表されることが明らかである。 ウ 訂正後の図9について 段落【0087】の「図9はコミット取引、前述の実施形態に示された払い戻し取引と同義の有効期限取引、信用状に関連する一実施形態の態様を示している。ただし、払い戻し取引は例外が発生した場合の資金の回収のために排他的な意味を持つことに加え(ファシリテータが支払い記録を作成または署名できなくなる場合など)、資金回収に加え有効期限取引の使用は オファー(ファシリテータが参加していたのに設定された条件が期限タイムスタンプ内に満たされていないなど)により想定される。」(下線追加)との記載から、「払い戻し取引」は、「例外が発生した場合の資金の回収のために排他的な意味を持つ」(つまり、例外が発生した場合の資金の回収を専ら意味している)のに対し、「有効期限取引」は、「資金回収に加え有効期限取引の使用は オファー(ファシリテータが参加していたのに設定された条件が期限タイムスタンプ内に満たされていないなど)により想定される」(つまり、資金回収に加えてオファー(例えば、設定された条件が期限タイムスタンプ内に満たされないこと)の存在が想定されている)ものといえる。すなわち、「払い戻し取引」と「有効期限取引」は、いずれも、資金の回収を伴うという基本的な本質的機能が共通しており、ただ、資金回収の条件が、前者は例外の発生であり、後者はオファーの内容成就(例えば、設定された条件が期限タイムスタンプ内に満たされないこと)であるという点で異なるのみといえ、さらに、上記段落【0087】の「有効期限取引は第一の当事者への第一の出力であるコミット出力の金額を受信するための入力を含み、 第二の金額を受信するための第二の入力を含む他の実施形態では第二当事者のための第二出力を含む」(下線追加)ことを考慮すると、前記条件が満たされると第一当事者及び第二当事者に返金出力を行う点で共通する。 そのような状況を段落【0087】では、「前述の実施形態に示された払い戻し取引と同義の有効期限取引」及び「違いは大部分が概念的である。本発明の範囲内では二つはほとんど同じ機能である」と表現するものである。 したがって、上記ア、イも考慮すれば、段落【0087】の説明は、コミット取引と払い戻し取引を含む信用状の図3の記載において、「払い戻し取引」の記載を払い戻し取引と同義の「有効期限取引」を表現する「期限切れ Expiration」に変更したものを説明したものであることが明らかである。 ここで、段落【0087】の「有効期限取引は第一の当事者への第一の出力であるコミット出力の金額を受信するための入力を含み、第二の金額を受信するための第二の入力を含む他の実施形態では第二当事者のための第二出力を含む」(下線追加)との記載からみて、「有効期限取引は第一の当事者への第一の出力であるコミット出力の金額を受信するための入力を含」むものが「実施形態」として記載され、さらに「第二の金額を受信するための第二の入力を含む」ものが「他の実施形態」といえるから、訂正後の図9は、当該「実施形態」を示したものに他ならない。 エ 上記アないしウより、訂正事項1についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第126条第5項に適合する。 3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記1のとおり、訂正事項1は、図9を明細書の記載に整合することを目的として、上記2のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。 したがって、訂正事項1についての訂正は、特許法第126条第6項に適合する。 第5 むすび 以上のとおり、訂正事項1についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、かつ、同法同条第5項及び第6項に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 【図7】 【図8】 【図9】 【図10】 【図11】 【図12】 【図13】 【図14】 【図15】 【図16】 【図17】 【図18】 【図19】 【図20】 【図21】 【図22】 【図23】 【図24】 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2022-04-04 |
結審通知日 | 2022-04-06 |
審決日 | 2022-04-20 |
出願番号 | P2017-511157 |
審決分類 |
P
1
41・
841-
Y
(G06Q)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
高瀬 勤 |
特許庁審判官 |
中野 浩昌 吉田 誠 |
登録日 | 2020-12-21 |
登録番号 | 6813477 |
発明の名称 | 信頼度が低い、または信頼度が皆無の当事者間での価値転送を円滑化する装置、システム、または方法 |
代理人 | 特許業務法人鷲田国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人鷲田国際特許事務所 |