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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04W
管理番号 1387398
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-10-01 
確定日 2021-12-23 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第3908574号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3908574号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第3908574号は、平成14年3月22日の出願である特願2002−80605号の請求項1ないし8について、平成19年1月26日に特許権の設定登録がなされたものである。
そして、令和3年10月1日に本件訂正審判の請求がされた。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第3908574号の明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであり、その訂正の内容は、次の訂正事項1ないし3のとおりである。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項5に記載された「第2の移動局」を「他の移動体端末」に訂正する。すなわち、請求項5に「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な」と記載されているのを、「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記他の移動体端末と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信することが可能な」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6〜8も同様に訂正する)。

2 訂正事項2
明細書の段落【0017】に記載された「第2の移動局」を「他の移動体端末」に訂正する。すなわち、段落【0017】の「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な」と記載されているのを、「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記他の移動体端末と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信することが可能な」に訂正する。

3 訂正事項3
明細書の段落【0023】に記載された「復号器7」を「復号部7」に訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項5の第1段落には、「移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、」と記載され、第2段落に「前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、」と記載されている。(下線は当審にて付与した。以下同様。)
一方、訂正前の請求項5の第2段落には、続いて、「第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な」と記載されているが、「前記第2の移動局」の「前記」に対応する「第2の移動局」は請求項5には記載されておらず、訂正前の請求項5では通信相手として「他の移動体端末」が記載されている。よって、訂正前の請求項5の第2段落における「第2の移動局」が「他の移動体端末」の誤記であることは明らかである。
してみれば、訂正前の請求項5における「第2の移動局」を「他の移動体端末」へ訂正することは、誤記の訂正を目的とするものである。
また、訂正後の請求項6ないし8の訂正は、請求項5の訂正事項を引用するのみであるから、同様に、誤記の訂正を目的とするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

(2)願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
願書に最初に添付した明細書の段落【0017】には、「請求項5に記載の発明は、移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかに応じて、第1の復調方式、または、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうことが可能な移動体端末である。」と記載されている。
また、願書に最初に添付した明細書の段落【0053】には、「請求項5に記載の発明によれば、移動体端末は、基地局の中継を介して他の移動体端末と通信するか、あるいは、他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかに応じて、第1の復調方式、または、第1の復調方式よりも、信号復調特性が良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうことが可能である。よって、移動体端末が、基地局からの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い第2の復調方式を選択し、一方、他の移動体端末からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い第1の復調方式を選択することができる。そうすれば、基地局と移動体端末との間の通信品質を劣化させずに、基地局からの信号の送信可能範囲を広くすることが可能となる。また、移動体端末間の直接通信に適した第1の復調方式をも選択可能となる。」と記載されている。
してみれば、移動体端末が他の移動体端末と通信することは願書に最初に添付した明細書に記載されているから、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではないことについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項1は訂正前の請求項5の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項1は請求項5の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、訂正後の請求項5ないし8に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

(5)小括
以上のとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正前の段落【0017】には、「請求項5に記載の発明は、移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、」と記載されている。
一方、訂正前の段落【0017】には、続いて、「第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な移動体端末である。」と記載されているが、「前記第2の移動局」の「前記」に対応する「第2の移動局」は段落【0017】には記載されておらず、訂正前の段落【0017】では通信相手として「他の移動体端末」が記載されている。ここで、段落【0017】は請求項5に対応する記載であるから、訂正事項2は訂正事項1と同様の訂正を行っているといえる。よって、訂正前の段落【0017】における「第2の移動局」は「他の移動体端末」の誤記であることが明らかであり、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

(2)願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
願書に最初に添付した明細書の段落【0017】には、「請求項5に記載の発明は、移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかに応じて、第1の復調方式、または、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうことが可能な移動体端末である。」と記載されている。
また、願書に最初に添付した明細書の段落【0053】には、「請求項5に記載の発明によれば、移動体端末は、基地局の中継を介して他の移動体端末と通信するか、あるいは、他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかに応じて、第1の復調方式、または、第1の復調方式よりも、信号復調特性が良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうことが可能である。よって、移動体端末が、基地局からの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い第2の復調方式を選択し、一方、他の移動体端末からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い第1の復調方式を選択することができる。そうすれば、基地局と移動体端末との間の通信品質を劣化させずに、基地局からの信号の送信可能範囲を広くすることが可能となる。また、移動体端末間の直接通信に適した第1の復調方式をも選択可能となる。」と記載されている。
してみれば、移動体端末が他の移動体端末と通信することは願書に最初に添付した明細書に記載されているから、訂正事項2は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではないことについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項2は段落【0017】の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項2は請求項5に対応する段落【0017】の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、訂正後の請求項5ないし8に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

(5)小括
以上のとおり、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
願書に添付した明細書の段落【0023】には、「図1は、本実施の形態に係る移動体通信システムに採用される移動局TR1の構成例をTR1aとして示す図である。図1に示すように、この移動局TR1aは、アンテナ1、周波数変換部2、スイッチ3,6、同期検波部4、遅延検波部5、復号部7、スピーカ8、制御部9および操作部10を備えている。」と記載されている。
また、願書に添付した明細書の段落【0024】には、「この移動局TR1aは、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号に対して同期検波処理を行なう同期検波部4を、遅延検波部5とともに備えている。そして、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号が、同期検波部4および遅延検波部5のいずれで復調処理されて復号部7に出力されるかが、制御部9によりスイッチ3,6が制御されて決定される。なお、制御部9への指令は、トグルスイッチ等で構成される操作部10を移動局TR1aのユーザーが手動操作することにより与えられる。」と記載されており、願書に添付した図面の図1には、符号7を付された「復号部」が記載されている。
一方、訂正前の段落【0023】には、「周波数変換部2、遅延検波部5、復号器7およびスピーカ8の動作については、図8に示した従来の移動局TR1cと同様であるので、ここでは説明を省略する。」とも記載されており、段落【0023】では同じ符号7を付されたものに対し「復号器」と「復号部」の2つがあり、他の段落【0024】や図1の記載から、段落【0023】の当該「復号器7」は「復号部7」の誤記であることが明らかであるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。

(2)願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
願書に最初に添付した明細書の段落【0023】には、「図1は、本実施の形態に係る移動体通信システムに採用される移動局TR1の構成例をTR1aとして示す図である。図1に示すように、この移動局TR1aは、アンテナ1、周波数変換部2、スイッチ3,6、同期検波部4、遅延検波部5、復号部7、スピーカ8、制御部9および操作部10を備えている。」と記載されている。
また、願書に最初に添付した明細書の段落【0024】には、「この移動局TR1aは、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号に対して同期検波処理を行なう同期検波部4を、遅延検波部5とともに備えている。そして、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号が、同期検波部4および遅延検波部5のいずれで復調処理されて復号部7に出力されるかが、制御部9によりスイッチ3,6が制御されて決定される。なお、制御部9への指令は、トグルスイッチ等で構成される操作部10を移動局TR1aのユーザーが手動操作することにより与えられる。」と記載されている。
また、願書に最初に添付した図面の図1には、符号7を付された「復号部」が記載されている。
してみれば、「復号部7」は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載されているから、訂正事項3は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更する訂正ではないことについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項3は段落【0023】の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、また変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(4)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて
上記「(1)」のとおり、訂正事項3は段落【0023】の誤記を訂正するものであって、何ら特許請求の範囲の内容を変更するものではないことから、訂正後の請求項1ないし8に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

(5)小括
以上のとおり、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】移動体通信システムおよび移動体端末
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、移動局(すなわち移動体端末)間のデジタル無線通信を行う移動体通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、各移動局間で音声のデジタル無線通信を行うことが可能な移動体通信システムを表す図である。この移動体通信システムにおいては、各移動局TR1〜TR3同士が、基地局BSの中継を介して、あるいは、近距離の場合は直接に移動局間で、通信を行なうことが可能である。具体的には、PHS(Personal Handyphone System)や業務用無線通信システム等がこの移動体通信システムに含まれる。なお、図7では、各移動局の例として、移動局TR1を例えば自動車CRに搭載された車載端末として示し、移動局TR2,TR3を例えば携帯端末として示している。
【0003】
また、図7では、直接波により基地局BSと移動局TR1との間で行われる通信をCM1として示し、山などの障害物OBに反射した電波により基地局BSと移動局TR1との間で行われる通信をCM2として示している。また、直接波により移動局TR1と移動局TR2との間で行われる通信をCM3として示し、直接波により基地局BSと移動局TR3との間で行われる通信をCM4として示している。
【0004】
図8は、移動局TR1の従来の構成例をTR1cとして示す図である。この移動局TR1cは、アンテナ1、周波数変換部2、遅延検波部5、復号部7およびスピーカ8を備えている。周波数変換部2は、アンテナ1で受信した高周波信号をベースバンド信号に変換し、遅延検波部5に出力する。遅延検波部5はベースバンド信号に対して遅延検波処理を行なう。遅延検波処理が行なわれたベースバンド信号は復号器7にて音声信号に復号され、スピーカ8から音声が出力される。
【0005】
なお、他の移動局TR2,TR3の構成についても、図8の移動局TR1cと同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、基地局BSにおいては、送信周波数を決定する基準周波数発振器として高精度なものが設けられる。そして、送信信号の電力を高めて、基地局BSからの信号の送信可能範囲を広くすることが可能である。
【0007】
送信可能範囲を広くすると、図7中の反射波による通信CM2の影響が強くなり、各移動局では受信信号に波形歪みが加わりやすくなる。ただし、基地局BSからの送信周波数の精度が高ければ、各移動局が直接波による通信CM1を適切に選別して、反射波による波形歪みの影響を除去することは可能である。
【0008】
各移動局が直接波による通信CM1を適切に選別するためには、各移動局において信号復調の特性を良くする必要がある。ところが、各移動局TR1〜TR3の復調処理部にはサイズ面およびコスト面の要請から、信号復調特性の良い復調方式が採用されなかった。
【0009】
すなわち、各移動局TR1〜TR3の復調方式には、回路構成が容易で低コスト化が可能な遅延検波方式が採用されていた。しかし、遅延検波方式は、1シンボル前の信号を基準として検波を行なう方式であるため、雑音や歪みがある信号同士で検波を行なうことになり、受信CN比対ビット誤り率特性が悪い。これは信号復調特性が良くないことを意味する。
【0010】
近接した移動局同士の間の通信CM3では、反射波による影響が少ないので信号復調特性が悪くても通信品質に特に問題はない。また、遅延検波方式は、受信信号の周波数のずれへの耐性が高いので移動局間の直接通信に適している、という利点もある。
【0011】
一方、基地局BSを介して移動局TR1が移動局TR3と通信を行なう場合には、反射波による影響が大きくなり、移動局TR1が基地局BSから離れるに従って通信品質の劣化が問題となる。よって、基地局BSにおいて送信周波数の精度を高めたとしても、各移動局の信号復調特性が良くないことから、実質的には基地局BSからの信号の送信可能範囲を広くすることはできなかった。
【0012】
そこで、この発明の課題は、基地局と移動局との間の通信品質を劣化させずに、基地局からの信号の送信可能範囲を広くすることが可能な移動体通信システムおよび移動体端末を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、移動局同士の間の通信の中継を行なう基地局と、第1および第2の移動局とを備え、前記第1の移動局は、前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信可能であるとともに、前記第2の移動局が前記第1の移動局から所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記第2の移動局と直接に通信することも可能であって、前記第1の移動局は、前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信するか、あるいは、前記第2の移動局と直接に通信するかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な移動体通信システムである。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の移動体通信システムであって、前記第1の復調方式は遅延検波方式であり、前記第2の復調方式は同期検波方式である移動体通信システムである。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の移動体通信システムであって、前記第1の移動局は、前記第2の移動局と前記基地局との間の通信の中継をも行なうことが可能な移動体通信システムである。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の移動体通信システムであって、前記第1の移動局は、時分割多元接続(Time Division Multiple Access)方式により、前記第2の移動局との通信処理、および、前記基地局との通信処理を、時系列の各スロットに割り当てて行なう移動体通信システムである。
【0017】
請求項5に記載の発明は、移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記他の移動体端末と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信することが可能な移動体端末である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の移動体端末であって、前記第1の復調方式は遅延検波方式であり、前記第2の復調方式は同期検波方式である移動体端末である。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の移動体端末であって、前記他の移動体端末と前記基地局との間の通信の中継をも行なうことが可能な移動体端末である。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の移動体端末であって、時分割多元接続(Time Division Multiple Access)方式により、前記他の移動体端末との通信処理、および、前記基地局との通信処理を、時系列の各スロットに割り当てて行なう移動体端末である。
【0021】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
本実施の形態は、図7中の移動局(すなわち移動体端末)TR1を、基地局BSの中継を介して他の移動局と通信するか、あるいは、他の移動局と直接に通信するかのどちらかに応じて、遅延検波方式、または、遅延検波方式よりも信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い同期検波方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうように構成した移動体通信システムである。
【0022】
これにより、移動局TR1が、基地局BSからの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い同期検波方式を選択し、一方、他の移動局からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い遅延検波方式を選択することができる。
【0023】
図1は、本実施の形態に係る移動体通信システムに採用される移動局TR1の構成例をTR1aとして示す図である。図1に示すように、この移動局TR1aは、アンテナ1、周波数変換部2、スイッチ3,6、同期検波部4、遅延検波部5、復号部7、スピーカ8、制御部9および操作部10を備えている。周波数変換部2、遅延検波部5、復号部7およびスピーカ8の動作については、図8に示した従来の移動局TR1cと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0024】
この移動局TR1aは、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号に対して同期検波処理を行なう同期検波部4を、遅延検波部5とともに備えている。そして、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号が、同期検波部4および遅延検波部5のいずれで復調処理されて復号部7に出力されるかが、制御部9によりスイッチ3,6が制御されて決定される。なお、制御部9への指令は、トグルスイッチ等で構成される操作部10を移動局TR1aのユーザーが手動操作することにより与えられる。
【0025】
同期検波方式は、受信信号の周波数のずれへの耐性は遅延検波方式に比べ低いものの、遅延検波方式よりも信号復調特性が良いという利点を有する。
【0026】
具体的には、周波数のずれへの耐性は、遅延検波方式については例えば3ppm(parts per million:ここでいう1ppmとは、100MHzの周波数に対し1Hzの周波数のずれが存在することを指す)がその許容値であり、同期検波方式については例えば0.1ppmがその許容値である。これらの数値から分かるとおり、遅延検波方式の方が、同期検波方式よりも信号の周波数のずれに対して許容度が高い。
【0027】
一方、受信CN比対ビット誤り率特性については、遅延検波方式は同期検波方式に比べて例えばQPSK(Quadruple Phase Shift Keying)で約3dB低くなることが知られている。これはつまり、同期検波方式の方が、遅延検波方式よりも信号復調特性が良いことを意味する。
【0028】
すなわち、本実施の形態においては、移動局TR1aが、基地局BSからの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い同期検波方式を選択し、一方、他の移動局からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い遅延検波方式を選択することができるよう構成する。
【0029】
そうすれば、基地局BSと移動局TR1との間の通信品質を劣化させずに、基地局BSからの信号の送信可能範囲を広くすることが可能な移動体通信システムが実現できる。また、移動局間の直接通信に適した遅延検波方式をも選択可能となる。
【0030】
なお、図1中の同期検波部4および遅延検波部5には、ハードウェア的にそれぞれ、同期検波回路および遅延検波回路を用意してもよいが、一つの復調回路をソフトウェアで制御して同期検波処理および遅延検波処理の両方が可能となる構成を採用してもよい。そうすれば、図8の移動局TR1cに比べて、ハードウェアの追加が少なく、コスト増大を抑制しつつ移動局TR1aを構成することが可能となる。
【0031】
図2は、この移動局TR1aにおける同期検波処理および遅延検波処理の選択の手順を示すフローチャートである。図2に示すように、まず、移動局TR1aのユーザーが、基地局BSの中継を介して他の移動局と通信するか、あるいは、他の移動局と直接に通信するかのどちらかに応じて、遅延検波方式または同期検波方式のいずれかの通信モードを操作部10を介して選択する(ステップST11)。
【0032】
制御部9は、操作部10からの指令に基づいていずれの通信モードが選択されたか判断し(ステップST12)、その判断結果に基づいてスイッチ3,6を制御する。同期検波方式が選択された場合には、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号が同期検波部4で復調処理されて復号部7に出力されるよう、スイッチ3,6は経路選択する(ステップST13)。一方、遅延検波方式が選択された場合には、周波数変換部2で変換されたベースバンド信号が遅延検波部5で復調処理されて復号部7に出力されるよう、スイッチ3,6は経路選択する(ステップST14)。
【0033】
選択が行なわれた後は、制御部9はステップST11に戻って通信モード選択の待機状態に入る。
【0034】
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1に係る移動体通信システムの変形例であって、図7中の移動局TR1に、遅延検波方式を用いて移動局TR2と直接に通信を行わせ、同期検波方式を用いて基地局BSとも通信を行なわせることで、移動局TR2と基地局BSとの間の通信の中継を行なわせるようにしたものである。
【0035】
これにより、移動局TR2が、基地局BSからの信号の送信可能範囲から外れた位置にある場合であっても、移動局TR1を介して移動局TR2と基地局BSとの間の通信を実現できる。
【0036】
図3は、図7と同様に各移動局間で音声のデジタル無線通信を行うことが可能な、本実施の形態に係る移動体通信システムを表す図である。なお、図3では、図7の移動体通信システムと同様の機能を有する要素については同一符号を付している。
【0037】
図3の移動体通信システムでは、移動局TR2は基地局BSからの信号の送信可能範囲から外れた位置にあるものとしている。よって、移動局TR2単体では基地局BSと通信を行なうことはできない。そこで、自動車CRに搭載された移動局TR1bに、自己の通信を行なう自己通信モードだけでなく、他の移動局TR2と基地局BSとの通信の中継動作を行なう中継モードを機能として付加する。
【0038】
このような中継モードは、例えば移動局TR1bが電力会社のサービスカーに備え付けられた車載端末であり、移動局TR2が電力会社のサービスマンが携帯する携帯端末であって、そのサービスマンが基地局BSからの電波の届かない位置に移動した場合などに有効となる。
【0039】
さて、移動局TR1bの中継モードの実現は、時分割多元接続(Time Division Multiple Access)方式により、移動局TR2との通信処理、および、基地局BSとの通信処理を、時系列の各スロットに割り当てて行なう。
【0040】
ここで、時分割多元接続方式を採用するのは、移動局TR1bにハードウェアとして二組の送受信機を持たせないようにするためである。すなわち、単純に移動局TR1bに、基地局BSと送受信を行なわせつつ移動局TR2とも送受信を行なわせるためには、二組の送受信機が必要になると考えられる。しかし、時分割処理により時系列の各スロットに、移動局TR1bと移動局TR2との通信処理、および、移動局TR1bと基地局BSとの通信処理を割り当てるようにすれば、移動局TR1bは、ハードウェアとして一組の送受信機を備えるだけでよく、移動局TR1bの製造の低コスト化か可能となるのである。
【0041】
図4に、中継モード時の、移動局TR1b,TR2、基地局BSの動作タイミングチャートを示す。図4の最下段にスロット番号カウンタ値として示すように、ここでは4スロットSL1〜SL4を一単位とする時分割多元接続の場合を例示している。
【0042】
まず、移動局TR1bは、中継モードが選択される(例えば移動局TR1bのユーザーの手動操作により自己通信モードか中継モードのどちらかが選択されるとする)と、スロットSL2,SL4において常時、基地局BSと送受信し、基地局BSとの交信のタイミングを同期させておく。なお、図3および図4では、基地局BSから移動局TR1bに信号が送信される通信をCM1aとして表示し、移動局TR1bから基地局BSに信号が送信される通信をCM1bとして表示している。このうち、移動局TR1bが基地局BSから信号を受信する通信CM1aは同期検波方式で復調処理される。
【0043】
さて、移動局TR2から移動局TR1bに中継の依頼があったときには、移動局TR1bは、スロットSL1〜SL4を用いて中継処理を行なう。すなわち、スロットSL1において移動局TR1bは、移動局TR2から送信された信号を受信し、スロットSL3において移動局TR1bは、スロットSL2にて基地局から受信した信号を移動局TR2に対して送信する。そして、スロットSL4において移動局TR1bは、スロットSL1にて移動局TR2から受信した信号を基地局BSに対して送信する。なお、図3および図4では、移動局TR2から移動局TR1bに信号が送信される通信をCM3aとして表示し、移動局TR1bから移動局TR2に信号が送信される通信をCM3bとして表示している。このうち、移動局TR1bが移動局TR2から信号を受信する通信CM3aは遅延検波方式で復調処理される。
【0044】
なお、図5は移動局TR1bの構成例を示す図である。図5に示すように、この移動局TR1bは、図1に示した移動局TR1aと同様の構成であり、ただ復号部7から信号が制御部9に与えられる点のみが移動局TR1aと異なる。復号部7から制御部9に与えられる信号には、移動局TR1bが基地局BSから受信したタイミング信号が含まれ、制御部9は、このタイミング信号に基づいて時分割処理のスロットの時間間隔を判断し、スイッチ3,6を適宜切り替える。
【0045】
その他の構成は実施の形態1に係る移動体通信システムと同様のため、説明を省略する。
【0046】
なお、図6は、移動局TR1bにおける中継モードの動作手順を示すフローチャートである。図6に示すように、まず、移動局TR1bのユーザーが、操作部10を介して中継モードを選択する(ステップST21)と、制御部9は、時分割処理の現状のスロット番号を確認する(ステップST22)。
【0047】
そして、スロット番号が基地局BSからの信号を受信するスロットSL2であれば、その判断結果に基づいて同期検波方式が選択されるようスイッチ3,6を制御する(ステップST23)。一方、スロット番号が直接通信対象局たる移動局TR2からの信号を受信するスロットSL1であれば、その判断結果に基づいて遅延検波方式が選択されるようスイッチ3,6を制御する(ステップST24)。
【0048】
そして、選択が行なわれた後は、制御部9はスロット番号カウンタをインクリメントし(ステップST25)、ステップST21に戻って再び現状のスロット番号を確認する。
【0049】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、第1の移動局は、基地局の中継を介して第2の移動局と通信するか、あるいは、第2の移動局と直接に通信するかのどちらかに応じて、第1の復調方式、または、第1の復調方式よりも、信号復調特性が良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを操作部により選択して受信信号の復調を行なうことが可能である。よって、第1の移動局が、基地局からの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い第2の復調方式を選択し、一方、第2の移動局からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い第1の復調方式を選択することができる。そうすれば、基地局と移動局との間の通信品質を劣化させずに、基地局からの信号の送信可能範囲を広くすることが可能な移動体通信システムが実現できる。また、移動局間の直接通信に適した第1の復調方式をも選択可能となる。
【0050】
請求項2に記載の発明によれば、第1の復調方式は遅延検波方式であり、第2の復調方式は同期検波方式である。よって、第1の移動局が、基地局からの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い同期検波方式を選択し、一方、第2の移動局からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い遅延検波方式を選択することができる。
【0051】
請求項3に記載の発明によれば、第1の移動局は、第2の移動局と基地局との間の通信の中継をも行なうことが可能である。よって、第2の移動局が、基地局からの信号の送信可能範囲から外れた位置にある場合であっても、第1の移動局を介して第2の移動局と基地局との間の通信を実現できる。
【0052】
請求項4に記載の発明によれば、第1の移動局は、時分割多元接続方式により、第2の移動局との通信処理、および、基地局との通信処理を、時系列の各スロットに割り当てて行なう。よって、第1の移動局は、ハードウェアとして一組の送受信機を備えるだけでよく、移動局の製造の低コスト化か可能となる。
【0053】
請求項5に記載の発明によれば、移動体端末は、基地局の中継を介して他の移動体端末と通信するか、あるいは、他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択して、第1の復調方式、または、第1の復調方式よりも、信号復調特性が良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式のいずれかを選択して受信信号の復調を行なうことが可能である。よって、移動体端末が、基地局からの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い第2の復調方式を選択し、一方、他の移動体端末からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い第1の復調方式を選択することができる。そうすれば、基地局と移動体端末との間の通信品質を劣化させずに、基地局からの信号の送信可能範囲を広くすることが可能となる。また、移動体端末間の直接通信に適した第1の復調方式をも選択可能となる。
【0054】
請求項6に記載の発明によれば、第1の復調方式は遅延検波方式であり、第2の復調方式は同期検波方式である。よって、移動体端末が、基地局からの送信信号の復調を行なう際には信号復調特性が良い同期検波方式を選択し、一方、他の移動体端末からの送信信号の復調を行なう際には受信信号の周波数のずれへの耐性が高い遅延検波方式を選択することができる。
【0055】
請求項7に記載の発明によれば、移動体端末は、他の移動体端末と基地局との間の通信の中継をも行なうことが可能である。よって、他の移動体端末が、基地局からの信号の送信可能範囲から外れた位置にある場合であっても、移動体端末を介して他の移動体端末と基地局との間の通信を実現できる。
【0056】
請求項8に記載の発明によれば、移動体端末は、時分割多元接続方式により、他の移動体端末との通信処理、および、基地局との通信処理を、時系列の各スロットに割り当てて行なう。よって、移動体端末は、ハードウェアとして一組の送受信機を備えるだけでよく、移動体端末の製造の低コスト化か可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係る移動体通信システムの移動局TR1aの構成例を示す図である。
【図2】 実施の形態1に係る移動体通信システムの移動局TR1aにおける同期検波処理および遅延検波処理の選択の手順を示すフローチャートである。
【図3】 実施の形態2に係る移動体通信システムを示す図である。
【図4】 実施の形態2に係る移動体通信システムにおける中継モード時の、移動局TR1b,TR2、基地局BSの動作タイミングチャートである。
【図5】 実施の形態2に係る移動体通信システムの移動局TR1bの構成例を示す図である。
【図6】 実施の形態2に係る移動体通信システムの移動局TR1bにおける中継モードの動作手順を示すフローチャートである。
【図7】 移動体通信システムを示す図である。
【図8】 従来の移動局の構成例を示す図である。
【符号の説明】
BS 基地局、TR1a,TR1b,TR1〜TR3 移動局、1 アンテナ、2 周波数変換部、3,6 スイッチ、4 同期検波部、5 遅延検波部、7 復号部、8 スピーカ、9 制御部、10 操作部。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 移動局同士の間の通信の中継を行なう基地局と、
第1および第2の移動局と
を備え、
前記第1の移動局は、前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信可能であるとともに、前記第2の移動局が前記第1の移動局から所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記第2の移動局と直接に通信することも可能であって、
前記第1の移動局は、前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信するか、あるいは、前記第2の移動局と直接に通信するかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記第2の移動局と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記第2の移動局と通信することが可能な
移動体通信システム。
【請求項2】 請求項1に記載の移動体通信システムであって、
前記第1の復調方式は遅延検波方式であり、前記第2の復調方式は同期検波方式である
移動体通信システム。
【請求項3】 請求項1に記載の移動体通信システムであって、
前記第1の移動局は、前記第2の移動局と前記基地局との間の通信の中継をも行なうことが可能な
移動体通信システム。
【請求項4】 請求項3に記載の移動体通信システムであって、
前記第1の移動局は、時分割多元接続(Time Division Multiple Access)方式により、前記第2の移動局との通信処理、および、前記基地局との通信処理を、時系列の各スロットに割り当てて行なう
移動体通信システム。
【請求項5】 移動体端末同士の間の通信の中継を行なう基地局の中継を介して他の移動体端末と通信可能であるとともに、前記他の移動体端末が所定の距離の範囲内に存在するときは前記基地局を介さずに前記他の移動体端末と直接に通信することも可能な移動体端末であって、
前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信するか、あるいは、前記他の移動体端末と直接に通信するかのどちらかを操作部により選択し、第1の復調方式を用いて前記他の移動体端末と直接に通信を行い、前記第1の復調方式よりも、信号復調特性は良いが、受信信号の周波数のずれへの耐性は低い第2の復調方式を用いて前記基地局の中継を介して前記他の移動体端末と通信することが可能な
移動体端末。
【請求項6】 請求項5に記載の移動体端末であって、
前記第1の復調方式は遅延検波方式であり、前記第2の復調方式は同期検波方式である
移動体端末。
【請求項7】 請求項5に記載の移動体端末であって、
前記他の移動体端末と前記基地局との間の通信の中継をも行なうことが可能な
移動体端末。
【請求項8】 請求項7に記載の移動体端末であって、
時分割多元接続(Time Division Multiple Access)方式により、前記他の移動体端末との通信処理、および、前記基地局との通信処理を、時系列の各スロットに割り当てて行なう
移動体端末。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2021-11-24 
結審通知日 2021-11-30 
審決日 2021-12-15 
出願番号 P2002-080605
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 圓道 浩史
森田 充功
登録日 2007-01-26 
登録番号 3908574
発明の名称 移動体通信システムおよび移動体端末  
代理人 有田 貴弘  
代理人 吉竹 英俊  
代理人 有田 貴弘  
代理人 吉竹 英俊  

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