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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正する H05K
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H05K
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H05K
管理番号 1387399
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2021-11-26 
確定日 2022-05-23 
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第5455433号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5455433号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5455433号に係る出願は、平成21年5月18日に特許出願され、平成26年1月17日に特許権設定登録がされたものであって、令和3年11月26日に本件訂正審判が請求されたものである。
その後、上申書が令和4年1月11日付けで提出され、当審において、令和4年2月8日付けで訂正拒絶理由を通知し、令和4年3月1日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 審判請求書の補正とその適否について
当審が令和4年2月8日付けで請求人に通知した訂正拒絶理由の趣旨は、「訂正事項1及び訂正事項2(請求項1の記載を引用する請求項2乃至6も同様に訂正する。)は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるが、訂正事項1及び訂正事項2によって、請求項2ないし請求項5における「蝶番ピン操作バー」及び「蝶番ピン保持具」の構成がより具体的に特定されるようになった一方で、該特定により、請求項2ないし請求項5に記載された他の構成との関係が不明確となったため、訂正後の請求項2ないし請求項5の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないものとなった。
よって、訂正後の請求項2ないし5に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであり、訂正事項1及び訂正事項2による訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合するものではない。」というものである。
この訂正拒絶理由に対し、請求人は令和4年3月1日に意見書及び審判請求書(これに添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲を含む。)を補正(以下、「本件補正」という。)する手続補正書を提出した。
本件補正の内容は、訂正事項として、特許請求の範囲の請求項2ないし5を削除する訂正事項(訂正事項6)、及び請求項2ないし5に対応する明細書の【0009】ないし【0012】を削除する訂正事項(訂正事項7)を追加するとともに、審判請求書の訂正の理由から請求項2ないし請求項5に関する記載を削除するものであり、審理対象の拡張変更を伴わないから、本件補正は審判請求書の要旨を変更するものではない。
よって、本件補正は、特許法第131条の2第1項本文の規定に適合するから、これを認める。
そして、本件補正により、訂正拒絶理由の対象であった請求項2ないし5は削除されたから、上記の訂正拒絶理由は解消した。

第3 請求の趣旨及び訂正事項
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5455433号の明細書、特許請求の範囲を令和4年3月1日の手続補正書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その訂正事項は以下のとおりである。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて突出させた蝶番ピン操作バー」とあるのを、「扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた蝶番ピン操作バー」と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項6も同様に訂正する。)

2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「蝶番ピン操作バーを備えることを特徴とする」とあるのを、「蝶番ピン操作バーを備え、前記蝶番ピン保持具は、蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能とする移動溝部と、蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる第1の水平溝部とを備え、これらに対応する扉の位置に前記孔部が形成されており、蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納したことを特徴とする」と訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項6も同様に訂正する。)

3 訂正事項3
明細書の【0008】に「扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて突出させた蝶番ピン操作バー」とあるのを、「扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた蝶番ピン操作バー」と訂正する。

4 訂正事項4
明細書の【0008】に「蝶番ピン操作バーを備えることを特徴とする」とあるのを、「蝶番ピン操作バーを備え、前記蝶番ピン保持具は、蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能とする移動溝部と、蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピンを水平移動して固定させる第1の水平溝部とを備え、これらに対応する扉の位置に前記孔部が形成されており、蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納したことを特徴とする」と訂正する。

5 訂正事項5
明細書の【0014】に「扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて突出させた」とあるのを、「扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた」と訂正する。

6 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項2〜5を削除する。

7 訂正事項7
明細書の【0009】〜【0012】を削除する。

第4 当審の判断
1 訂正事項1及び訂正事項2について
(1)訂正の目的
●訂正事項1について
訂正前の請求項1に係る発明では、「扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて突出させた蝶番ピン操作バー」と記載され、蝶番ピン操作バーの突出する方向は明確であるが、蝶番ピン操作バーが孔部の内部に留まるものを含むのか否かを明確に特定していなかった。
これに対して訂正後の請求項1に係る発明では、「扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた蝶番ピン操作バー」とすることによって、蝶番ピン操作バーが孔部の内部に留まるのではなく、扉の裏面方向に向けて孔部より突出することを明確にした。これは蝶番ピン操作バーの先端が孔部の内部に留まるものを除いて特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項1は特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項6は、訂正後の請求項1に記載された「扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた蝶番ピン操作バー」との記載を引用することにより、訂正後の請求項6に係る発明を更に限定するものであるため、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

●訂正事項2について
訂正前の請求項1に係る発明では、蝶番ピン保持具に形成された溝部に関する特定はなかった。
これに対して訂正後の請求項1に係る発明では、「前記蝶番ピン保持具は、蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能とする移動溝部と、蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる第1の水平溝部とを備え、これらに対応する扉の位置に前記孔部が形成されており、蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納した」との特定を加えることによって蝶番ピン保持具に形成された溝部の構造とこれに対応する扉の孔部の位置、及び蝶番ピン収納部に収納したばねの機能を限定し、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項2は特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項6についても、訂正後の請求項1の記載を引用することにより、訂正後の請求項6に係る発明を更に限定するものであるため、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更する訂正でないこと
●訂正事項1について
訂正事項1は発明特定事項を具体的に限定するものであり、カテゴリー、対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に訂正前の請求項6について訂正するものではなく、請求項6のカテゴリー、対象、目的を変更するものではない。

●訂正事項2について
訂正事項2は請求項1に蝶番ピン保持具の構造に関する特定を加えるものであり、カテゴリー、対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
また、訂正事項2は、訂正前の請求項1の記載以外について訂正するものではなく、請求項6のカテゴリー、対象、目的を変更するものではない。

(3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
●訂正事項1について
明細書の【0019】には、「蝶番ピン操作バー31を扉4に形成した孔部4aより裏面方向に突出させ」との記載がある。また明細書の【0027】には、「蝶番ピン操作バー31が、扉4の孔部4a及び補強金具の挿通孔62を貫通して扉4の裏面方向に突出する構造としている。」との記載がある。さらに図4には、蝶番ピン操作バー31の先端が扉の裏面方向に向けて扉4の孔部4aより突出した状態が示されている。よって当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

●訂正事項2について
明細書の【0019】には、「蝶番ピン保持具1には、蝶番ピン3が収納される蝶番ピン収納部11と、蝶番ピン操作バー31を扉4に形成した孔部4aより裏面方向に突出させ、上下に移動可能に保持する垂直方向に形成した移動溝部12が形成されている。」と記載されている。また請求項2にも「該蝶番ピン保持具には、蝶番ピン収納部と、蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能に保持する移動溝部と、蝶番ピンを摺動させた位置で固定する蝶番ピン固定手段とを備える」との記載がある。訂正事項2の「前記蝶番ピン保持具は、蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能とする移動溝部・・・を備え」との部分は、この記載に基づくものと認められる。
明細書の【0022】には、「キャビネットから扉を取り外す場合には、・・・蝶番ピン操作バー31押下げながら移動溝部12の下端部まで移動して、蝶番ピン3は蝶番ピン収納部11の内部に完全に収納させる。そして、当該位置で、蝶番ピン操作バー31を水平移動して第一の水平溝部12aで固定させて蝶番ピン保持具1と蝶番受具2の係止状態は解除すればよい。」と記載されている。また請求項4にも、「蝶番ピン収納部の内部に完全に収納された蝶番ピンを、該位置で固定する第一の水平溝部」との記載がある。訂正事項2中の「蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる第1の水平溝部とを備え、」との部分は、上記した記載に基づくものと認められる。
明細書の【0027】には、「蝶番ピン保持具1の移動溝部12・第一の水平溝部12a・第二の水平溝部12bに対応する扉の位置には、孔部4aが形成される」との記載がある。訂正事項2中の「これらに対応する扉の位置に前記孔部が形成されており、」との部分は、この記載に基づくものと認められる。
明細書の【0023】には、「逆に、キャビネットに扉を取りつける場合には、まず、該扉のおもて面端部に取り付けた蝶番ピン保持具1内で、蝶番ピン操作バー31を第一の水平溝部12aに固定させておく。・・・そして、当該位置で、蝶番ピン操作バー31を水平移動すると、ばね32の付勢力により蝶番ピン3が蝶番ピン収納部11から外側に突出し、蝶番受具2の蝶番ピン挿入部21に貫入する。」と記載されている。また請求項5には、「蝶番ピン収納部の内部にはバネが収納され、該蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンを付勢する」との記載がある。訂正事項2中の、「蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納した」との部分はこれらの記載に基づくものと認められる。
よって、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

(4)独立特許要件について
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明1」という。)及び訂正後の特許請求の範囲の請求項6に係る発明(以下、「本件訂正発明6」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
ア 無効の抗弁の根拠となる証拠
令和4年1月11日付け上申書とともに提出された証拠である乙第1号証の1ないし乙第44号証のうち、本件訂正発明1、6に最も関連した書証は、上申書の「4 上申の理由」欄に「本件特許権に基づく特許侵害訴訟において、これまでに被告側から提出された全ての書証(乙第1号証〜乙第43号証)(当審注、乙第44号証の誤記と認められる。)の写しを提出します。被告が無効抗弁の根拠としている主要な証拠は、乙第1号証、乙第2号証、乙第24号証の3文献です。」とあるとおり、次の乙第1号証の1、乙第2号証及び乙第24号証と認められる。
乙第1号証の1,実願昭50−98053号(実開昭52−13187号)のマイクロフィルム
乙第2号証,特開平8−38720号公報
乙第24号証,特開2005−152445号公報
よって、当審では、職権で、乙第1号証の1(以下、「引用文献1」という。)、乙第2号証(以下、「引用文献2」という。)及び乙第24号証(以下、「引用文献3」という。)について検討する。

イ 本件訂正発明1及び本件訂正発明6
本件訂正発明1及び本件訂正発明6は、訂正特許請求の範囲の請求項1及び請求項6に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
箱体に扉を枢着する電気電子機器用キャビネットの蝶番であって、
蝶番ピンと、
該蝶番ピンを扉のおもて面側で保持し該扉のおもて面端部に取り付ける蝶番ピン保持具と、
箱体の外枠部に取り付ける蝶番受具とから構成され、
前記蝶番ピン保持具には、前記蝶番ピンを収納する蝶番ピン収納部を備え、
前記蝶番ピンには、該蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンを上下に摺動させ、前記蝶番受具に形成された蝶番ピン挿入部に抜き差し自在とする手段として、蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンの側面部から、扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた蝶番ピン操作バーを備え、
前記蝶番ピン保持具は、蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能とする移動溝部と、蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる第1の水平溝部とを備え、これらに対応する扉の位置に前記孔部が形成されており、蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納したことを特徴とする電気電子機器用キャビネットの蝶番。
【請求項6】
扉のおもて面の端部に蝶番ピン保持具を配置し、扉の裏面の端部には補強金具を配置し、これら蝶番ピン保持具と補強金具の2部材で扉を挟みこんで固定することを特徴とする請求項1記載の電気電子機器用キャビネットの蝶番。」

ウ 引用文献、引用発明
(ア)引用文献1
本件特許の出願前に頒布された引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(なお、下線部は当審において付したものである。)
「1.考案の名称
パチンコ機における前枠の蝶着装置
2.実用新案登録請求の範囲
パチンコ機の前枠を開閉可能に枢着するための回動ピンの少くとも一つを上下の出没自在に取着したことを特徴とするパチンコ機における前枠の蝶着装置。
3.考案の詳細な説明
この考案はパチンコ機における前枠の蝶着装置に関するもので、その目的は前記回動ピンを出没自在に取着して、前記前枠の係脱を簡易化しうる蝶着装置を提供することである。
以下、本考案の一実施例を図面に従って説明すると、図中(1)はパチンコ機の本機で、その前側にはガラス窓(3)を有する前枠(2)が螺着されていて、図示しない遊技盤側に生じやすいトラブルを解消する際には、この前枠(2)が開放される。
(4a)(4b)は本機(1)前面の1側の上下に固着された片蝶番板であって、それぞれピン穴(5)(5)をもつ。


上部蝶番金具(6)は、前枠(2)の1側上部に固着されていて、上方の片蝶番板(4a)に対設されている。
しかして、この上部蝶番金具(6)に対し上下動可能に挿入された回動ピン(7)はバネ(8)で常に上方へ付勢されており、また、その一部より横設した操作ピン(9)はバネ(9S)を介して外装された筒状のホルダー(10)でカギ状の穴(11)に沿って、その上下の位置が決められるようにしてある。
すなわち、ホルダー(10)を引くと操作ピン(9)のみがカギ道(11c)を通るが、上下の丸穴部(11a)(11b)内にホルダー(10)がバネ(9S)で挿入されると、回動ピン(7)の位置が固止状になる。



次に、下部蝶番金具(16)は単純に植設された支持ピン(17)により下方の片蝶番板(4b)のピン穴(5)に軸支されている。
続いて、上記構成の実施例の作用と効果を具体的に説明する。
さて、前枠(2)が上下のピン(7)(17)で蝶着されているときは、従来のものと同様にガラス窓(3)をもつ前枠(2)を欲するときに開放しうることはもちろんであるが、この前枠(2)を本機(1)側より取外したいときには、上方の回動ピン(7)を下げて、上方の片蝶番板(4a)より分離すれば、両前枠(2)を若干傾けることにより下方の片蝶番板(4b)からも支持ピン(17)を抜取ることができ、前枠(2)全体を簡単に取外すことができる。
この場合、回動ピン(7)は操作ピン(9)で下動され、かつその下動位置がホルダー(10)と丸穴部(11b)の係止作用で固止状になしうるため、前枠(2)を取外すための操作を円滑にすることができる特徴がある。
しかも、その蝶着作用時には操作ピン(9)の上位位置がホルダー(10)と丸穴部(11a)で係止されるため、パチンコ機の表側にいる第3者たとえば遊技者がこの回動ピンを押し下げることができないからこれまた便利である。
すなわち、本考案は「実用新案登録請求の範囲」に記載された構成を要旨となし、この構成によって、上記した作用効果を示し、もって本考案所期の目的を巧みに達成するので、パチンコ機における前枠の蝶着装置として、まことに実用性に富む考案であり、これによってパチンコ機の管理をより容易になしうるので本考案はまことに好ましい考案である。
4 図面の簡単な説明
図面は本考案の一実施例を示すもので,第1図はパチンコ機前面の略体正面図、第2図は第1図のY2−Y2軸の拡大断面図、第3図は第2図のP矢視図、第4図は上部片蝶番板の拡大斜視図である。」(明細書第1頁第1行ないし第5頁第5行)

よって、引用文献1には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
a 「パチンコ機における前枠の蝶着装置」であって、「前枠を開閉可能に枢着するための回動ピン」を備え、
b 「パチンコ機の本機」「(1)」「の前側には」「ガラス窓(3)を有する前枠(2)が螺着され」、「本機(1)前面の1側の上に固着された片蝶番板」「(4a)」は「ピン穴(5)をも」ち、
c 「上部蝶番金具(6)は、前枠(2)の1側上部に固着されていて、上方の片蝶番板(4a)に対設され」、「回動ピンを出没自在に取着」し、
d 「上部蝶番金具(6)に対し上下動可能に挿入された回動ピン(7)はバネ(8)で常に上方へ付勢されており、また、その一部より横設した操作ピン(9)はバネ(9S)を介して外装された筒状のホルダー(10)でカギ状の穴(11)に沿って、その上下の位置が決められるようにしてあ」り、
e 「ホルダー(10)を引くと操作ピン(9)のみがカギ道(11c)を通るが、上下の丸穴部(11a)(11b)内にホルダー(10)がバネ(9S)で挿入されると、回動ピン(7)の位置が固止状にな」り、
f 「前枠(2)を本機(1)側より取外したいときには、上方の回動ピン(7)を下げて、上方の片蝶番板(4a)より分離す」るが、「この場合、回動ピン(7)は操作ピン(9)で下動され、かつその下動位置がホルダー(10)と丸穴部(11b)の係止作用で固止状になしうるため、前枠(2)を取外すための操作を円滑にすることができ」、
g 「蝶着作用時には操作ピン(9)の上位位置がホルダー(10)と丸穴部(11a)で係止されるため、パチンコ機の表側にいる第3者たとえば遊技者がこの回動ピンを押し下げることができない」、
h 「蝶着装置」
i また、図1ないし図3より、「上下の丸穴部(11a)(11b)」及び「カギ道(11c)」で構成される「カギ状の穴(11)」が、「ガラス窓(3)を有する前枠(2)」の孔部に形成されていることが見て取れる。

引用文献1において「パチンコ機の本機」の符号に「(1)」を用いているから、「1側」とは「パチンコ機の本機」側の意味と認められる。よって、上記aないしiより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「パチンコ機における前枠の蝶着装置であって、前枠を開閉可能に枢着するための回動ピンを備え、
パチンコ機の本機(1)の前側にはガラス窓(3)を有する前枠(2)が螺着され、
本機(1)前面の1側(本機側)の上に固着された片蝶番板(4a)はピン穴(5)をもち、
上部蝶番金具(6)は、前枠(2)の1側(本機側)上部に固着されていて、上方の片蝶番板(4a)に対設され、回動ピンを出没自在に取着し、
上部蝶番金具(6)に対し上下動可能に挿入された回動ピン(7)はバネ(8)で常に上方へ付勢されており、また、その一部より横設した操作ピン(9)はバネ(9S)を介して外装された筒状のホルダー(10)でカギ状の穴(11)に沿って、その上下の位置が決められるようにしてあり、
カギ状の穴(11)は、上下の丸穴部(11a)(11b)及びカギ道(11c)で構成され、ガラス窓(3)を有する前枠(2)の孔部に形成され、
ホルダー(10)を引くと操作ピン(9)のみがカギ道(11c)を通るが、上下の丸穴部(11a)(11b)内にホルダー(10)がバネ(9S)で挿入されると、回動ピン(7)の位置が固止状になり、
前枠(2)を本機(1)側より取外したいときには、上方の回動ピン(7)を下げて、上方の片蝶番板(4a)より分離するが、この場合、回動ピン(7)は操作ピン(9)で下動され、かつその下動位置がホルダー(10)と丸穴部(11b)の係止作用で固止状になしうるため、前枠(2)を取外すための操作を円滑にすることができ、
蝶着作用時には操作ピン(9)の上位位置がホルダー(10)と丸穴部(11a)で係止されるため、パチンコ機の表側にいる第3者たとえば遊技者がこの回動ピンを押し下げることができない、
蝶着装置。」

(イ)引用文献2
引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はパチンコ機の前枠および外枠のヒンジ構造に関するものであり、より詳しくはパチンコ機の前枠を容易に外枠に取付けることが可能なパチンコ機の前枠および外枠のヒンジ構造に関する。」

「【0006】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1乃至図12に従って説明する。図2に示すように、本実施例のパチンコ機の前枠および外枠のヒンジ構造1は、パチンコ機の前枠20の上端部22に設けられた前枠ヒンジ40と、外枠30の上端部32に設けられた外枠ヒンジ80とから構成されている。」

「図2



「【0007】前枠ヒンジ40は、図1に示すように、枠体21と、前枠20の内部に設けられたヒンジ本体55および支持バネ65とからなる。枠体21は、後述するヒンジ本体55を前枠20に取付けるための部材であり、図1に示すように、基片部43と直角状に曲げられた取付部45とからなる。基片部43は、枠体21を前枠20に固定するための部材であり、略方形状に形成されるとともに、取付孔47を介して前枠20の上端部22に螺着によって固定される。また、基片部43には、解除レバ−59を挿通させながら前枠20の外方に突出させるための孔部49が穿設されている。取付部45は、取付ピン57を前枠20に取付けるための部材であり、図3に示すように、前枠20の板厚と略同一長さだけ基片部43から垂直状に突出して形成されている。そして、取付部45の表面には取付ピン57を挿通するための孔部51が穿設され、また取付部45の裏面側には取付ピン57を上下方向にのみ可動状態とするためのボス53が形成されている。」

「図1



「図3



「【0008】ヒンジ本体55は、前枠ヒンジ40の主要部分を構成する部材であり、図3に示すように、取付ピン57と解除レバ−59と支持バネ取付部61とからなるとともに、前枠20の上端部22に形成された空洞部67内に設けられている。取付ピン57は、後述する外枠ヒンジ80の前枠取付部83に穿設された孔部84に挿通されることにより前枠ヒンジ40と外枠ヒンジ80とを係合し、前枠20を外枠30に取付けるための部材であり(図1参照)、解除レバ−59の一方の端部側に突出して形成されている。
また、取付ピン57の上端部には、取付ピン57を前枠取付部83の孔部84へ容易に挿通するために、テ−パ−部63が形成されている。
【0009】解除レバ−59は、孔部84に挿通された取付ピン57を孔部84から抜き出すことによって、前枠ヒンジ40と外枠ヒンジ80との係合を解除するための部材であり、細長の板状体として形成されている。また、支持バネ65は、ヒンジ本体55を前枠20の内部にて支持するための部材であり、本発明の支持手段に対応するものである。すなわち、支持バネ65は、解除レバ−59の略中央下面に形成された支持バネ取付部61と、前枠20の空洞部67の下面に形成された支持バネ取付部61aとの間に取付けられ、ヒンジ本体55を支持するとともに上方に付勢するものである。
【0010】しかして、前枠ヒンジ40が構成される。すなわち、図3に示すように、ヒンジ本体55は前枠20の空洞部67内にて上下方向に可動とされ、通常は支持バネ65の付勢作用により、空洞部67の上端部69に当接した状態で支持されるものである。」

「【0015】上述のように、本実施例において用いられる前枠ヒンジ40および外枠ヒンジ80については、前枠20および外枠30の上端部22、32に取付けられるものである。なお、本実施例では、前枠20および外枠30の下端部21、31については、図2および図8に示すように、従来のヒンジ構造を有する前枠ヒンジ100および外枠ヒンジ101をそれぞれ用いた。すなわち、前枠ヒンジ100にはヒンジ孔105が穿設され、また、外枠ヒンジ101には取付ピン103が設けられている。」

「【0017】次に、前枠20を外枠30から取り外す場合には、解除レバ−59を下降させて取付ピン57を前枠取付部83の孔部84から抜き取り、前枠ヒンジ40と外枠ヒンジ80との係合を解除する。そして前枠20を外枠30から取り外すのである。」

「図8



よって、引用文献2には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
a 段落【0001】より、引用文献2は、「パチンコ機の前枠を容易に外枠に取付けることが可能なパチンコ機の前枠および外枠のヒンジ構造」に関するものであることがわかる。

b 段落【0006】、【0007】より、「パチンコ機の前枠および外枠のヒンジ構造1は、パチンコ機の前枠20の上端部22に設けられた前枠ヒンジ40と、外枠30の上端部32に設けられた外枠ヒンジ80とから構成され、」「前枠ヒンジ40は」、「枠体21と、前枠20の内部に設けられたヒンジ本体55および支持バネ65とからな」り、「枠体21は、」「ヒンジ本体55を前枠20に取付けるための部材であり、」「基片部43と直角状に曲げられた取付部45とからな」り、「基片部43には、解除レバ−59を挿通させながら前枠20の外方に突出させるための孔部49が穿設され」、「取付部45は、取付ピン57を前枠20に取付けるための部材であり」、「取付部45の表面には取付ピン57を挿通するための孔部51が穿設され、また取付部45の裏面側には取付ピン57を上下方向にのみ可動状態とするためのボス53が形成され」るとの技術事項を読み取ることができる。

c 段落【0008】より、「ヒンジ本体55は、前枠ヒンジ40の主要部分を構成する部材であり」、「取付ピン57と解除レバ−59と支持バネ取付部61とからなるとともに、前枠20の上端部22に形成された空洞部67内に設けられ」るとの技術事項を読み取ることができる。

d 段落【0009】より、「解除レバ−59は、孔部84に挿通された取付ピン57を孔部84から抜き出すことによって、前枠ヒンジ40と外枠ヒンジ80との係合を解除するための部材であり、細長の板状体として形成され」るとの技術事項を読み取ることができる。

e 段落【0010】より、「ヒンジ本体55は前枠20の空洞部67内にて上下方向に可動とされ」るとの技術事項を読み取ることができる。

f 段落【0017】より、「前枠20を外枠30から取り外す場合には、解除レバ−59を下降させて取付ピン57を前枠取付部83の孔部84から抜き取り、前枠ヒンジ40と外枠ヒンジ80との係合を解除する」との技術事項を読み取ることができる。

よって、上記aないしfより、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。
「パチンコ機の前枠を容易に外枠に取付けることが可能なパチンコ機の前枠および外枠のヒンジ構造において、
パチンコ機の前枠および外枠のヒンジ構造1は、パチンコ機の前枠20の上端部22に設けられた前枠ヒンジ40と、外枠30の上端部32に設けられた外枠ヒンジ80とから構成され、前枠ヒンジ40は、枠体21と、前枠20の内部に設けられたヒンジ本体55および支持バネ65とからなり、
ヒンジ本体55は、前枠ヒンジ40の主要部分を構成する部材であり、取付ピン57と解除レバ−59と支持バネ取付部61とからなるとともに、前枠20の上端部22に形成された空洞部67内に設けられ、
解除レバ−59は、孔部84に挿通された取付ピン57を孔部84から抜き出すことによって、前枠ヒンジ40と外枠ヒンジ80との係合を解除するための部材であり、細長の板状体として形成され、
ヒンジ本体55は前枠20の空洞部67内にて上下方向に可動とされ、
前枠20を外枠30から取り外す場合には、解除レバ−59を下降させて取付ピン57を前枠取付部83の孔部84から抜き取り、前枠ヒンジ40と外枠ヒンジ80との係合を解除する」技術。

(ウ)引用文献3
引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は、遊技領域を視認可能にする窓部を備えた可動扉を遊技機本体に回動自在に支持する弾球遊技機のヒンジ機構に関する。」

「【0005】
本発明は、上記問題点を考慮してなされたもので、ワイヤ等の外部から差し込まれる道具を用いて金属ピンが操作されることをなくし、ガラス扉を取り外す不正行為を防止できる弾球遊技機のヒンジ機構を提供することを目的とする。」

「【0012】
図1において、弾球遊技機10は、遊技機本体11とガラス扉(可動扉)12を備えるように構成されている。遊技機本体11には、遊技盤13が着脱自在に組み込まれている。ガラス扉12は、遊技機本体11に対して回動自在に取り付けられている。」

「図1



「【0014】
図2において、遊技機本体11は、遊技盤13を保持する保持枠25と、上述した受け皿20等が設けられた本体基部とに分離自在である。」

「図2



「【0015】
ガラス扉12は、保持枠25によって回動自在に支持されている。すなわち、保持枠25が本体基部に取り付けられることにより、ガラス扉12が遊技機本体11に対して回動自在に支持される。ガラス扉12は閉じられた状態で保持枠25に固定され、遊技盤13に外部から触れることができないように施錠される。一方、施錠を解除すると、ガラス扉12を回動させて開放することができる。」

「図3



「【0017】
ガラス板30は、扉本体28にその背面側から取り付けられ、ガラス扉12が開放される向きと逆向きに回動する。ガラス板30は、ガラス表面や周囲の縁を清掃するときには容易に取り外せるようになっている。扉本体28は、中央にガラス板30が嵌め込まれる開口が設けられた枠体からなる。扉本体28の前面側部には、その上端隅にヒンジ軸となる金属ピン31が設けられ、下端隅にはヒンジ穴32が設けられている。金属ピン31とヒンジ穴32はその中心が同一直線上に位置し、金属ピン31は保持枠25に形成された軸受け穴25a(図4参照)に差し込まれ、ヒンジ穴32には保持枠25に形成されたヒンジ突起(図示なし)が差し込まれる。保持枠25は、外装部材29とガラス板30とが取り付けられた扉本体28を回動自在に支持し、ガラス扉12の回動を可能にする。
【0018】
図4において、金属ピン31は、扉本体28の前面に取付けられるピン保持金具(軸保持部)33によって保持される。金属ピン31は、略直角に曲げられてL字形状をしており、ピン保持金具33に保持された主軸部31aと、主軸部31aを変位させるための操作がなされるレバー部31bとを有する。扉本体28には、ピン保持金具33が取付けられる位置の下に、ピン収容部(軸収容部)34が設けられている。」

「図4



「【0019】
ピン収容部34は、ピン保持金具33が取付けられる面に対して突出して形成されており、その内部には、金属ピン31のレバー部31bが収納される。主軸部31aにはバネ部材35が取り付けられており、主軸部31aは常時上方に付勢されている。ピン収容部34は、金属ピン31が下方に移動することを規制する下面壁34aと、レバー部31bの回動を規制して扉本体28の前方に飛び出すことを防ぐ正面壁34bと、バネ部材31cの付勢によるレバー部31bの上方向の移動を規制する上面壁34cとを有する。レバー部31bは、その上方及び下方と前方への動きがピン収容部34により阻止され、扉本体28の背面側に向かって回動させる操作以外の操作ができなくなる。」

「図5



「【0021】
扉本体28には、金具押さえ33dが差し込まれる凸の字形をした差し込み穴42と、金属ピン31を操作するためのL字形状をした操作穴(開口部)43とが設けられている。なお、ピン収容部34は、操作穴43に対して扉本体28の前面側に設けられる。ピン保持金具33は、金具押さえ33dを差し込み穴42に差し込み、位置決め突起37に位置決め穴38を嵌合させると、平板部33aの背面が扉本体28の前面に当接し、又、金具押さえ33dの先端部分が扉本体28の背面に当接し、ガラス扉12がその前後方向に多少傾けられても脱落しないように保持される。
【0022】
操作穴43は、縦長の第1開口部43aと、第1開口部43aに連接する横長の第2開口部43bとからなる。第2開口部43bは、第1開口部43aに垂直であり、その水平方向の長さがレバー部31bの長さよりも長い。ピン保持金具33に保持された金属ピン31は、レバー部31bが第1開口部43aを貫通して扉本体28の背面側に突出する。レバー部31bを扉本体28の背面側から操作することにより、第1開口部43aの縦長の形状に沿って、金属ピン31を上下方向にスライドさせることができる。
【0023】
レバー部31bを第1開口部43aの下端まで移動させると、主軸部31aの先端面31cは折り曲げ片33cの保持穴40の位置まで退避する。また、レバー部31bを第1開口部43aの上端まで移動させると、主軸部31aは、保持枠25の軸受け穴25aに対して確実に差し込まれる位置までスライドして保持片33cの上方に突出する。金属ピン31のレバー部31bを、第1開口部43aの上端の位置まで操作した後、主軸部31aを中心として金属ピン31を回動させる操作を行うと、レバー部31bは第2開口部43bに入り込み、第2開口部43bの横長の形状に沿って第2開口部43bを通過し、扉本体28の前面側に設けられたピン収容部34にレバー部31bが収納される。」

「図6



「【0027】
ピン保持金具33は、ビス36によって扉本体28に固着される。ピン保持金具33が固着された扉本体28には、外装部材29とガラス板30とが取付けられ、ガラス扉12が組み立てられる。組み立てられたガラス扉12は、保持枠25に組み付けられる。保持枠25にガラス扉12を組み付けるには、扉本体28の下端に金属ピン31の主軸部31aと同軸上に設けられたヒンジ穴32に、保持枠25のヒンジ突起(図示なし)を貫通させて差し込む。また、金属ピン31を退避させたままガラス扉12の上端を保持枠25に宛がい、金属ピン31の主軸部31aと軸受け穴25aの位置を合わせる。下方に押さえていた金属ピン31のレバー部31bを解放すると、バネ部材35の力によりレバー部31bは操作穴43の第1開口部43aに沿って上方に移動し、主軸部31aが保持枠25の軸受け穴25a向かって上方向へスライドし、主軸部31aが軸受け穴25aに嵌合する。
【0028】
レバー部31bが第1開口部43aの上端まで移動した後、主軸部31aを中心として金属ピン31を回動させる操作を行うと、レバー部31bが第1開口部43aから抜け出て第2開口部43b内に進入する。金属ピン31をそのまま回動させると、レバー部31bの先端面31dが第2開口部43bを抜け出てピン収容部34の正面壁34bに接触する。レバー部31bは、正面壁34bによって金属ピン31を回動する操作が規制される位置まで回動することによりピン収容部34の内部に完全に収納される。」
「【0030】
一方、ガラス扉12を保持枠25から取り外す際には、ガラス扉12を開放してその背面を露呈させ、可動部材45の摺動部45cを操作穴43から離れる位置まで図中白矢印とは反対の方向に回動させる操作を行う。可動部材45が金属ピン31の操作が可能になる位置まで退避した後、金属ピン31のレバー部31bをピン収容部34から摘み出し、レバー部31bをピン収容部34に収納する時とは逆方向に、金属ピン31の主軸部31aを回動させる。これによって、レバー部31bを第2開口部43bに進入させ、第2開口部43bを抜け出て第1開口部43aに位置させるようにする。レバー部31bが第1開口部43bに位置することによって、金属ピン31をスライド自在とすることができるようになる。レバー部31bを介して金属ピン31をバネ部材35の付勢に抗して下方向にスライドさせると、主軸部31aが保持枠25の軸受け穴25aから引き抜かれる。扉本体28の下端隅に設けられたヒンジ穴32を保持枠25のヒンジ突起(図示なし)から引き抜くと、軸支状態が解除され、ガラス扉12を取り外すことができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、ヒンジ軸として略直角に折り曲げられたL字形状の金属ピン31を用いているが、これに限られず、主軸部から略直角に突出したレバー部を有するヒンジ軸であれば本発明を等しく適用でき、ヒンジ軸の具体的な形状や材質等に限定されない。」

よって、引用文献3には、次の技術事項が記載されているものと認められる。
a 段落【0001】より、引用文献3に記載されたものは、「弾球遊技機のヒンジ機構」に関するものであることがわかる。

b 段落【0012】より、「弾球遊技機10は、遊技機本体11とガラス扉(可動扉)12を備えるように構成され」、「ガラス扉12は、遊技機本体11に対して回動自在に取り付けられている」との技術事項を読み取ることができる。

c 段落【0015】より、「保持枠25が本体基部に取り付けられることにより、ガラス扉12が遊技機本体11に対して回動自在に支持される」との技術事項を読み取ることができる。

d 段落【0017】より、「扉本体28の前面側部には、その上端隅にヒンジ軸となる金属ピン31が設けられ、」「金属ピン31は保持枠25に形成された軸受け穴25a」「に差し込まれ、」「保持枠25は、」「扉本体28を回動自在に支持し、ガラス扉12の回動を可能にする」との技術事項を読み取ることができる。

e 段落【0018】より、「金属ピン31は、扉本体28の前面に取付けられるピン保持金具(軸保持部)33によって保持され」、「金属ピン31は、」「主軸部31aと、主軸部31aを変位させるための操作がなされるレバー部31bとを有す」るとの技術事項を読み取ることができる。

f 【0019】より、「ピン収容部34」「の内部には、金属ピン31のレバー部31bが収納され」、「主軸部31aにはバネ部材35が取り付けられ」、「ピン収容部34は、金属ピン31が下方に移動することを規制する下面壁34aと」、「正面壁34bと」、「バネ部材31cの付勢によるレバー部31bの上方向の移動を規制する上面壁34cとを有」し、「レバー部31bは、その上方及び下方と前方への動きがピン収容部34により阻止され」るとの技術事項を読み取ることができる。

g 段落【0021】、【0022】より、「扉本体28には、」「金属ピン31を操作するための」「操作穴(開口部)43」「が設けられ」、「ピン収容部34は、操作穴43に対して扉本体28の前面側に設けられ」、「操作穴43は、縦長の第1開口部43aと、第1開口部43aに連接する横長の第2開口部43bとからな」り、「金属ピン31は、レバー部31bが第1開口部43aを貫通して扉本体28の背面側に突出」し、「レバー部31bを扉本体28の背面側から操作することにより」、「金属ピン31を上下方向にスライドさせることができる」との技術事項を読み取ることができる。

h 段落【0023】、【0027】、【0028】より、「保持枠25にガラス扉12を組み付けるには、」「金属ピン31のレバー部31bを解放すると、バネ部材35の力によりレバー部31bは操作穴43の第1開口部43aに沿って上方に移動し、主軸部31aが」「上方向へスライドし、主軸部31aが軸受け穴25aに嵌合」し、「主軸部31aを中心として金属ピン31を回動させる操作を行うと」「レバー部31bは」「扉本体28の前面側に設けられたピン収容部34にレバー部31bが収納される」との技術事項を読み取ることができる。

i 段落【0030】より、「ガラス扉12を保持枠25から取り外す際には、」「金属ピン31のレバー部31bをピン収容部34から摘み出し、レバー部31bをピン収容部34に収納する時とは逆方向に、金属ピン31の主軸部31aを回動させ」、「金属ピン31をスライド自在と」し、「レバー部31bを介して金属ピン31をバネ部材35の付勢に抗して下方向にスライドさせると、主軸部31aが保持枠25の軸受け穴25aから引き抜かれる」との技術事項を読み取ることができる。

j 段落【0031】より、「ヒンジ軸として略直角に折り曲げられたL字形状の金属ピン31」「に限られず、主軸部から略直角に突出したレバー部を有するヒンジ軸であれば」「等しく適用でき」る、との技術事項を読み取ることができる。

よって、上記aないしjより、引用文献3には、次の技術(以下、「引用文献3に記載された技術」という。)が記載されているものと認められる。
「弾球遊技機のヒンジ機構において、
弾球遊技機10は、遊技機本体11とガラス扉(可動扉)12を備えるように構成され、ガラス扉12は、遊技機本体11に対して回動自在に取り付けられ、
保持枠25が本体基部に取り付けられることにより、ガラス扉12が遊技機本体11に対して回動自在に支持され、
扉本体28の前面側部には、その上端隅にヒンジ軸となる金属ピン31が設けられ、金属ピン31は保持枠25に形成された軸受け穴25aに差し込まれ、保持枠25は、扉本体28を回動自在に支持し、ガラス扉12の回動を可能にし、
金属ピン31は、扉本体28の前面に取付けられるピン保持金具(軸保持部)33によって保持され、金属ピン31は、主軸部31aと、主軸部31aを変位させるための操作がなされるレバー部31bとを有し、
ピン収容部34の内部には、金属ピン31のレバー部31bが収納され、主軸部31aにはバネ部材35が取り付けられ、ピン収容部34は、金属ピン31が下方に移動することを規制する下面壁34aと、正面壁34bと、バネ部材31cの付勢によるレバー部31bの上方向の移動を規制する上面壁34cとを有し、レバー部31bは、その上方及び下方と前方への動きがピン収容部34により阻止され、
扉本体28には、金属ピン31を操作するための操作穴(開口部)43が設けられ、ピン収容部34は、操作穴43に対して扉本体28の前面側に設けられ、操作穴43は、縦長の第1開口部43aと、第1開口部43aに連接する横長の第2開口部43bとからなり、金属ピン31は、レバー部31bが第1開口部43aを貫通して扉本体28の背面側に突出し、レバー部31bを扉本体28の背面側から操作することにより、金属ピン31を上下方向にスライドさせることができ、
保持枠25にガラス扉12を組み付けるには、金属ピン31のレバー部31bを解放すると、バネ部材35の力によりレバー部31bは操作穴43の第1開口部43aに沿って上方に移動し、主軸部31aが上方向へスライドし、主軸部31aが軸受け穴25aに嵌合し、主軸部31aを中心として金属ピン31を回動させる操作を行うとレバー部31bは扉本体28の前面側に設けられたピン収容部34にレバー部31bが収納され、
ガラス扉12を保持枠25から取り外す際には、金属ピン31のレバー部31bをピン収容部34から摘み出し、レバー31bをピン収容部34に収納する時とは逆方向に、金属ピン31の主軸部31aを回動させ、金属ピン31をスライド自在とし、レバー部31bを介して金属ピン31をバネ部材35の付勢に抗して下方向にスライドさせると、主軸部31aが保持枠25の軸受け穴25aから引き抜かれ、
ヒンジ軸として略直角に折り曲げられたL字形状の金属ピン31に限られず、主軸部から略直角に突出したレバー部を有するヒンジ軸であれば等しく適用できる」技術。

エ 本件訂正発明1について
(ア)対比
引用発明1と本件訂正発明1とを対比する。
a 引用発明1における「パチンコ機の本機(1)」及び「ガラス窓(3)を有する前枠(2)」が、それぞれ、本件訂正発明1における「箱体」及び「扉」に相当する。
よって、引用発明1における「パチンコ機における前枠の蝶着装置」と、本件訂正発明1における「箱体に扉を枢着する電気電子機器用キャビネットの蝶番」とは、「箱体に扉を枢着する機器用キャビネットの蝶番」の点で共通する。
しかしながら、本件訂正発明1では、機器が「電気電子機器」であるのに対し、引用発明1では「パチンコ機」である点で相違する。

b 引用発明1における「回動ピン(7)」は、「前枠を開閉可能に枢着するための」ものであるから、本件訂正発明1における「蝶番ピン」に相当する。

c 引用発明1における「上部蝶番金具(6)」は、引用文献1の「第1図」、つまり「パチンコ機前面の略体正面図」に記載され、第2図では「前枠(2)」のおもて面に取り付けられていることが見て取れる。
そして、引用発明1における「回動ピン(7)」は「上部蝶番金具(6)に対し上下動可能に挿入され」ているから、「上部蝶番金具(6)」は「前枠(2)」のおもて面側で「回動ピンを出没自在に取着し」ていることも明らかである。
よって、引用発明1における「上部蝶番金具(6)」は、本件訂正発明1における「該蝶番ピンを扉のおもて面側で保持し該扉のおもて面端部に取り付ける蝶番ピン保持具」に相当する。

d 引用発明1における「本機(1)前面の1側(本機側)の上に固着された片蝶番板(4a)」が、本件訂正発明1における「箱体の外枠部に取り付ける蝶番受具」に相当する。

e 引用発明1における「上部蝶番金具(6)」は「回動ピンを出没自在に取着し」ているから、「回動ピンを出没自在に」収納している部分を備えていることは明らかである。よって、引用発明1は、本件訂正発明1における「前記蝶番ピン保持具には前記蝶番ピンを収納する蝶番ピン収納部を備え」る構成を有しているといえる。

f 引用発明1における、「回動ピン(7)」の「一部より横設した操作ピン(9)」及び「バネ(9S)を介して」「回動ピン(7)」に「外装され」た「筒状のホルダー(10)」(以下、「操作ピン(9)及びホルダー(10)」という。)は、
(a)「上部蝶番金具(6)」に「出没自在に取着」された「回動ピン(7)」を、「前枠(2)を本機(1)側より取外したいときには、上方の回動ピン(7)を下げて、上方の片蝶番板(4a)より分離」し、また「蝶着作用時」には「操作ピン(9)の上位位置」で「回動ピン(7)」を「片蝶番板(4a)」の「ピン穴(5)」に「螺着」していることが明らかであるから、本件訂正発明1における「該蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンを上下に摺動させ、前記蝶番受具に形成された蝶番ピン挿入部に抜き差し自在とする手段」に相当するといえる。
(b)引用発明1では「パチンコ機の表側にいる第3者たとえば遊技者がこの回動ピンを押し下げることができない」ことから、引用発明1における「操作ピン(9)」が「ガラス窓(3)を有する前枠(2)」の裏面方向に向けて突出していることは明らかである。
そして、引用発明1における「操作ピン(9)」は、「上部蝶番金具(6)」に「出没自在に取着」された「回動ピン(7)」の「一部より横設した」ものであるから、引用発明1における「操作ピン(9)」及び「バネ(9S)を介して」「外装され」た「筒状のホルダー(10)」と、本件訂正発明1における「蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンの側面部から、扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた蝶番ピン操作バー」とは「蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンの側面部から、扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて突出させた蝶番ピン操作バー」の点で共通する。
しかしながら、本件訂正発明1では、「蝶番ピン操作バー」を扉に形成された「孔部より突出させ」ているのに対し、引用発明1では、「操作ピン(9)及びホルダー(10)」を「ガラス窓(3)を有する前枠(2)」の孔部に「裏面方向に向けて突出させ」ているものの、「ガラス窓(3)を有する前枠(2)」の孔部より突出させることは示されていない点で相違する。

g 引用発明1における「上部蝶番金具(6)」における「カギ状の穴(11)」は、「ホルダー(10)がバネ(9S)で挿入される」「上下の丸穴部(11a)(11b)」と「操作ピン(9)のみが」「通る」「カギ道(11c)」とを備えている。すると、
(a)引用発明1の「上部蝶番金具(6)」における「カギ状の穴(11)」のうち、「ホルダー(10)を引くと操作ピン(9)のみが」「通る」「カギ道(11c)」が、本件訂正発明1における「蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能とする移動溝部」に相当する。
(b)引用発明1の「丸穴部(11b)」は、「前枠(2)を本機(1)側より取外したいときには、上方の回動ピン(7)を下げて、上方の片蝶番板(4a)より分離するが、この場合」、「回動ピン(7)」を「下動」して「その下動位置」で「ホルダー(10)と」「の係止作用で」「回動ピン(7)の位置が固止状にな」るようにするためのものである。よって、引用発明1における「丸穴部(11b)」と本件訂正発明1における「蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる第1の水平溝部」とは「蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピン操作バーを移動して固定させる第1の止部」の点で共通する。
しかしながら、本件訂正発明1では、係止状態を解除させた位置で蝶番ピン操作バーを固定させる第1の止部の形状が「蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる」「水平溝部」であるのに対し、引用発明1では「回動ピン(7)」を「下動」して「その下動位置」で「ホルダー(10)と」「の係止作用で」「回動ピン(7)の位置が固止状にな」る「丸穴部(11b)」である点で相違する。

h 引用発明1の「上部蝶番金具(6)」において、「操作ピン(9)」の「上下の位置」を「決め」る「筒状のホルダー(10)」が「係止」される「上下の丸穴部(11a)(11b)」及び「操作ピン(9)のみが」「通る」「カギ道(11c)」で構成される「カギ状の穴(11)」が、「ガラス窓(3)を有する前枠(2)」の孔部に形成されていることが、本件訂正発明1における「これらに対応する扉の位置に前記孔部が形成されて」いることに相当する。

i 引用発明1では「上部蝶番金具(6)」が「上部蝶番金具(6)に対し上下動可能に挿入された回動ピン(7)」を「常に上方へ付勢」する「バネ(8)」を備えていることから、「丸穴部(11b)」と「ホルダー(10)と」「の係止作用で」「回動ピン(7)の位置が固止状にな」っている状態から「ホルダー(10)を引くと操作ピン(9)のみがカギ道(11c)を通る」ようになった際に、該「バネ(8)」が、「回動ピン(7)」を「上方へ付勢」し、「回動ピン(7)」を「上(下)動」させていることは明らかである。
よって、「上部蝶番金具(6)」が「上部蝶番金具(6)に対し上下動可能に挿入された回動ピン(7)」を「常に上方へ付勢」する「バネ(8)」を備えていることと、本件訂正発明1における「蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納したこと」とは、「蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを非固定状態としたとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納した」点で共通する。
しかしながら、本件訂正発明1では、蝶番ピン操作バーの非固定状態が「蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき」であるのに対し、引用発明1では「丸穴部(11b)」から「ホルダー(10)を引」いたときである点で相違する。

j 引用発明1における「前側に」「ガラス窓(3)を有する前枠(2)が螺着され」た「パチンコ機の本機(1)」の「蝶着装置」と、本件訂正発明1における「電気電子機器用キャビネットの蝶番」とは、「機器用キャビネットの蝶番」の点で共通する。
しかしながら、本件訂正発明1では、機器が「電気電子機器」であるのに対し、引用発明1では「パチンコ機」である点で相違する。

よって、上記aないしjより、本件訂正発明1と引用発明1とは、次の一致点、相違点を有しているものと認められる。
(一致点)
「箱体に扉を枢着する機器用キャビネットの蝶番であって、
蝶番ピンと、
該蝶番ピンを扉のおもて面側で保持し該扉のおもて面端部に取り付ける蝶番ピン保持具と、
箱体の外枠部に取り付ける蝶番受具とから構成され、
前記蝶番ピン保持具には、前記蝶番ピンを収納する蝶番ピン収納部を備え、
前記蝶番ピンには、該蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンを上下に摺動させ、前記蝶番受具に形成された蝶番ピン挿入部に抜き差し自在とする手段として、蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンの側面部から、扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて突出させた蝶番ピン操作バーを備え、
前記蝶番ピン保持具は、蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能とする移動溝部と、蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピン操作バーを移動して固定させる第1の止部とを備え、
これらに対応する扉の位置に前記孔部が形成されており、蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを非固定状態としたとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納したことを特徴とする機器用キャビネットの蝶番。」

(相違点1)
本件訂正発明1では、機器が「電気電子機器」であるのに対し、引用発明1では「パチンコ機」である点。

(相違点2)
本件訂正発明1では、「蝶番ピン操作バー」を扉に形成された「孔部より突出させ」ているのに対し、引用発明1では、「操作ピン(9)及びホルダー(10)」を「ガラス窓(3)を有する前枠(2)」の孔部より突出させることは示されていない点。

(相違点3)
本件訂正発明1では、係止状態を解除させた位置で蝶番ピン操作バーを固定させる第1の止部の形状が「蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる」「水平溝部」であるのに対し、引用発明1では「回動ピン(7)」を「下動」して「その下動位置」で「ホルダー(10)と」「の係止作用で」「回動ピン(7)の位置が固止状にな」る「丸穴部(11b)」である点。

(相違点4)
本件訂正発明1では、蝶番ピン操作バーの非固定状態が「蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき」であるのに対し、引用発明1では「丸穴部(11b)」から「ホルダー(10)を引」いたときである点。

(イ)判断
事案に鑑み、先ず、上記相違点3について検討する。
a 引用文献2に記載された技術には「解除レバ−59は、孔部84に挿通された取付ピン57を孔部84から抜き出すことによって、前枠ヒンジ40と外枠ヒンジ80との係合を解除するための部材であり、細長の板状体として形成され」、「前枠20を外枠30から取り外す場合には、解除レバ−59を下降させて取付ピン57を前枠取付部83の孔部84から抜き取り、前枠ヒンジ40と外枠ヒンジ80との係合を解除する」ことが示されている。したがって、引用文献2に記載された技術には「解除レバ−59を下降させ」ることが示されているだけであって、下降させた状態で「固定させ」ることについては何ら考慮されていない。まして「解除レバ−59を下降させた状態」で「固定させ」るための具体的手段として、「解除レバ−59」を「水平移動して固定させる」「水平溝部」を備えることは、記載も示唆もない。

b よって、引用文献2に記載された技術を引用発明1に適用しても、相違点3に係る構成とはならない。

c 次に、引用文献3に記載された技術について検討する。

d 引用文献3に記載された技術における「ピン収容部34」は、「金属ピン31が下方に移動することを規制する下面壁34aと、正面壁34bと、バネ部材31cの付勢によるレバー部31bの上方向の移動を規制する上面壁34cとを有し」、「扉本体28の前面側に設けられ」、「主軸部31aを中心として金属ピン31を回動させる操作を行」なうと「レバー部31bが収納され」、「その上方及び下方と前方への動き」を「阻止する」のであるから、本件訂正発明1における「蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる」「水平溝部」に相当する。

e しかしながら、本件訂正発明1における「水平溝部」は、「係止状態を解除させた位置で蝶番ピン操作バーを固定させる」のに対し、引用文献3に記載された「ピン収容部34」は、「保持枠25にガラス扉12を組み付け」た位置で「レバー部31b」の「動き」を「阻止」するものであるから、引用文献3に記載された技術を引用発明1に適用しても、「回動ピン(7)」を「上」「動位置」(すなわち、本件訂正発明1における「係止状態」とした位置)で「固止状」となるにすぎず、「回動ピン(7)」を「下動位置」(すなわち、本件訂正発明1における「係止状態を解除させた位置」)で「固止状」とする構成である相違点3に係る構成とはならない。

(ウ)まとめ
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本件訂正発明1は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、引用文献3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 本件訂正発明6について
本件訂正発明6に係る請求項6は、請求項1を引用しているから、上記相違点3に係る構成を備えるものである。
よって、本件訂正発明6は、上記オ(イ)、(ウ)で述べたのと同様の理由により、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、引用文献3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

カ まとめ
以上のとおり、本件訂正発明1及び本件訂正発明6は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2、引用文献3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、他に、本件訂正発明1及び本件訂正発明6が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由も見当たらない。
よって、本件訂正発明1及び本件訂正発明6が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものとすることはできないから、訂正事項1及び訂正事項2による訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

(5)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1及び訂正事項2による訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

2 訂正事項3、訂正事項4及び訂正事項5について
訂正事項3、訂正事項4及び訂正事項5は、請求項1及び請求項6が訂正事項1及び訂正事項2によって訂正されたことに伴い、明細書における記載が訂正後の請求項1及び請求項6と整合するようにするための訂正であって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項1及び訂正事項2について述べたのと同様の理由により、訂正事項3、訂正事項4及び訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更する訂正でなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

3 訂正事項6、訂正事項7
訂正事項6は、請求項2ないし5を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項7は、訂正事項6により請求項2ないし5が削除されたことに伴い、請求項2ないし5に対応する明細書の【0009】ないし【0012】を削除する訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項6及び訂正事項7は、請求項の削除とそれに伴ない、対応する明細書の記載を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更する訂正でなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書きに掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】電気電子機器用キャビネットの蝶番
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器用キャビネットのキャビネット本体に扉を枢着する蝶番であって、蝶番ピンがキャビネット本体の外部にある蝶番(以下、外側蝶番という)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャビネット本体の開口を蝶番により取り付けた扉により開閉する分電盤や配電盤及び通信機器等の電気電子機器収納用キャビネットは、キャビネット本体内に電気・電子機器類の作業等において扉が邪魔となる場合には扉を外して工事作業を行い作業終了後に再度扉を取り付けることがある。扉の取り付けおよび取り外し作業は、通常、蝶番から蝶番ピンを外し、蝶番を分離して行われる。
【0003】
扉の取り付けおよび取り外し作業を容易にする技術として、蝶番ピンにレバー等の蝶番ピン操作手段を設けることにより、工具を使用することなく、蝶番ピンの着脱を容易に行う技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
電気電子機器用キャビネットの蝶番としては、蝶番ピンが、箱体の内部にあるタイプの内側蝶番(例えば、特許文献1図11参照)と、箱体の外部にあるタイプの外側蝶番(例えば、特許文献2図6参照)が一般的である。特許文献1等に記載の、蝶番ピンにレバー等の蝶番ピン操作手段を設けた蝶番をキャビネット扉の外側に取り付けて使用する場合、キャビネットの外側からレバー等の蝶番ピン操作手段を操作して、容易にキャビネット扉を取り外すことが可能となる。この場合、扉を鎖錠してあっても、キャビネット内へのアクセスが可能となる。したがって、蝶番ピンにレバー等の蝶番ピン操作手段を設けた構造を外側蝶番に適用することは、データセンター等で使用される電気電子機器用キャビネットとしては特にキュリティーの観点から好ましくないという問題があった。
【0005】
一方、内側蝶番を採用する場合には、扉を開かないと蝶番を操作することができないため、セキュリティ面では好ましいものである反面、扉端部に形成される折曲部分が蝶番と接触するため、扉を180度に開放することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−315023号公報
【特許文献2】特開2007−211490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記問題を解決し、扉を箱体に対して180度に開放可能に支持する外側蝶番であって、蝶番ピンの着脱を、工具を使用することなく容易に行うことができ、しかも、キャビネットの外側からは、蝶番ピンの着脱操作を行えないようにした外側蝶番を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の電気電子機器用キャビネットの蝶番は、箱体に扉を枢着する電気電子機器用キャビネットの蝶番であって、蝶番ピンと、該蝶番ピンを扉のおもて面側で保持し該扉のおもて面端部に取り付ける蝶番ピン保持具と、箱体の外枠部に取り付ける蝶番受具とから構成され、前記蝶番ピン保持具には、前記蝶番ピンを収納する蝶番ピン収納部を備え、前記蝶番ピンには、該蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンを上下に摺動させ、前記蝶番受具に形成された蝶番ピン挿入部に抜き差し自在とする手段として、蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンの側面部から、扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた蝶番ピン操作バーを備え、前記蝶番ピン保持具は、蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能とする移動溝部と、蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる第1の水平溝部とを備え、これらに対応する扉の位置に前記孔部が形成されており、蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納したことを特徴とするものである。
【0009】(削除)
【0010】(削除)
【0011】(削除)
【0012】(削除)
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の電気電子機器用キャビネットの蝶番において、扉のおもて面の端部に蝶番ピン保持具を配置し、扉の裏面の端部には補強金具を配置し、これら蝶番ピン保持具と補強金具の2部材で扉を挟みこんで固定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電気電子機器用キャビネットの蝶番は、箱体に扉を枢着する電気電子機器用キャビネットの蝶番であって、蝶番ピンと該蝶番ピンを扉のおもて面側で保持し該扉のおもて面端部に取り付ける蝶番ピン保持具と、箱体の外枠部に取り付ける蝶番受具とから構成され、該蝶番ピンは、扉の裏面側から蝶番ピンを上下に摺動させる蝶番ピン摺動手段を備えたものである。該構成によれば、外側蝶番でありながら蝶番ピンの摺動を扉を開いた後にしか行うことができず、セキュリティを確保できるものである。さらに、本発明では、前記蝶番ピン保持具には、前記蝶番ピンを収納する蝶番ピン収納部を備え、前記蝶番ピンには、該蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンを上下に摺動させ、前記蝶番受具に形成された蝶番ピン挿入部に抜き差し自在とする手段として、蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンの側面部から、扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた蝶番ピン操作バーを備える構成とした。該構成によれば、工具を使用することなく蝶番ピン操作バーの操作により、蝶番ピンの着脱を容易にすることができる。また、該蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に向けて、水平に突出させたことにより、キャビネットの外側からは蝶番ピンの着脱操作を行えず、キャビネットの内側にアクセス権限を有する正規作業者以外による蝶番ピンの着脱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の蝶番の分解説明図である。
【図2】蝶番ピンの説明図である。
【図3】蝶番ピン保持具の説明図である。
【図4】蝶番ピン保持具の補強金具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0017】
図1には、本発明の蝶番の分解説明図を示している。本発明の蝶番は、蝶番ピン3と、扉4のおもて面端部に蝶番ピン3を保持する蝶番ピン保持具1(図1−(a))と、箱体の外枠部5に取り付ける蝶番受具2(図1−(b))から構成される。本発明の蝶番は、蝶番ピン保持具1内に保持された蝶番ピン3の一部を、蝶番受具2の端部に形成された蝶番ピン挿入部21に貫入させて、扉4を箱体に取り付けるものである。なお、外枠部とはキャビネットの前面開口周縁部を意味するものであり、フレーム状の支柱部材に限定されるものではない。
【0018】
図2には、蝶番ピンの説明図を示している。蝶番ピン3には、側面に蝶番ピン操作バー31を設けている。
【0019】
図3−(a)と図3−(b)には、それぞれ異なる角度から見た、蝶番ピン保持具の説明図を示している。蝶番ピン保持具1には、蝶番ピン3が収納される蝶番ピン収納部11と、蝶番ピン操作バー31を扉4に形成した孔部4aより裏面方向に突出させ、上下に移動可能に保持する垂直方向に形成した移動溝部12が形成されている。
【0020】
移動溝部12内で、蝶番ピン操作バー31を垂直方向に操作することによって、蝶番ピン3を完全に蝶番ピン収納部11に収納したり、蝶番ピン3の上部を蝶番ピン収納部11から突出させることができる。
また、該移動溝部12の両端部には、当該高さ位置で蝶番ピン操作バー31を固定保持するために、蝶番ピン固定手段である第一の水平溝部12aおよび第二の水平溝部12bが形成されている。なお、蝶番ピン収納部11の底部に、ばね32を収納し、該蝶番ピン収納部11に収納された蝶番ピンを上方に付勢する構造とすることが好ましい。
【0021】
該扉4のおもて面端部に取り付けた蝶番ピン保持具1と、箱体の外枠部に取り付けた蝶番受具2と、蝶番ピン3とから構成された蝶番において、蝶番ピン操作バー31が第一の水平溝部12aに固定されている場合には、蝶番ピン3は蝶番ピン収納部11の内部に完全に収納され、蝶番ピン保持具1と蝶番受具2の係止状態は解除されている。一方、蝶番ピン操作バー31が第二の水平溝部12bに固定されている場合には、蝶番ピン3の一部が、蝶番受具2に形成された蝶番ピン挿入部21に装入され、蝶番ピン保持具1と蝶番受具2は係止状態にある。
【0022】
従って、キャビネットから扉を取り外す場合には、まず、第二の水平溝部12bにある蝶番ピン操作バー31を、移動溝部12に移動させる。ここで、ばね32の付勢力に抗して蝶番ピン操作バー31押下げながら移動溝部12の下端部まで移動して、蝶番ピン3は蝶番ピン収納部11の内部に完全に収納させる。そして、当該位置で、蝶番ピン操作バー31を水平移動して第一の水平溝部12aで固定させて蝶番ピン保持具1と蝶番受具2の係止状態は解除すればよい。
【0023】
逆に、キャビネットに扉を取りつける場合には、まず、該扉のおもて面端部に取り付けた蝶番ピン保持具1内で、蝶番ピン操作バー31を第一の水平溝部12aに固定させておく。次に、箱体の外枠部に取り付けた蝶番受具2に形成された蝶番ピン挿入部21の位置と、該扉のおもて面端部に取り付けた蝶番ピン保持具1に形成された蝶番ピン収納部11の開口部とが、対向配置されるように調整しながら、蝶番ピン保持具1と蝶番受具2を組み合わせる。そして、当該位置で、蝶番ピン操作バー31を水平移動すると、ばね32の付勢力により蝶番ピン3が蝶番ピン収納部11から外側に突出し、蝶番受具2の蝶番ピン挿入部21に貫入する。ここで、蝶番ピン操作バー31を第二の水平溝部12bに水平移動して固定させればよい。
【0024】
図4には、蝶番ピン保持具1を取り付けた扉の裏面図を示している。
【0025】
扉のおもて面には、図1に示すように、蝶番ピン保持具1が取り付けられる。蝶番ピン保持具1の取り付け位置から、扉を挟んで、扉の裏面の対応する位置には、補強金具6が取り付けられる。
【0026】
蝶番ピン保持具1を扉に取り付けた取付部分には、蝶番受具2からの反作用による荷重が働く。したがって、扉に対する補強構造として、蝶番ピン保持具1の裏面に配置された補強金具6の上下端部及び一方の側部に、折曲部65を形成することが好ましい。
【0027】
蝶番ピン保持具1の移動溝部12・第一の水平溝部12a・第二の水平溝部12bに対応する扉の位置には、孔部4aが形成されると共に、蝶番ピン保持具1の蝶番ピン3を嵌込する嵌込作業を確認するために形成された確認孔14に対応する孔部4bが扉4の対応位置に形成されている。また、該蝶番ピン保持具1とともに扉4を挟付けて補強する補強金具6には前記孔部4a、孔部4bに対応する単一の挿通孔62が形成され、蝶番ピン操作バー31が、扉4の孔部4a及び補強金具の挿通孔62を貫通して扉4の裏面方向に突出する構造としている。
【0028】
なお、蝶番ピン保持具1と補強金具6には、扉4を挟んでねじ固定するための、取付孔部13、63が形成されている。扉4の対応位置にも、同様の孔部が形成されている。
【符号の説明】
【0029】
1 蝶番ピン保持具
11 蝶番ピン収納部
12 移動溝部
12a 第一の水平溝部
12b 第二の水平溝部
13 取付孔部
14 確認孔
2 蝶番受具
21 蝶番ピン挿入部
3 蝶番ピン
31 蝶番ピン操作バー
32 ばね
4 扉
4a 孔部
4b 孔部
5 箱体の外枠部
6 補強金具
62 挿通孔
63 取付孔部
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体に扉を枢着する電気電子機器用キャビネットの蝶番であって、
蝶番ピンと、
該蝶番ピンを扉のおもて面側で保持し該扉のおもて面端部に取り付ける蝶番ピン保持具 と、
箱体の外枠部に取り付ける蝶番受具とから構成され、
前記蝶番ピン保持具には、前記蝶番ピンを収納する蝶番ピン収納部を備え、
前記蝶番ピンには、該蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンを上下に摺動させ、前記蝶番受具に形成された蝶番ピン挿入部に抜き差し自在とする手段として、蝶番ピン収納部に収納された蝶番ピンの側面部から、扉に形成された孔部を通じて、扉の裏面方向に向けて孔部より突出させた蝶番ピン操作バーを備え、
前記蝶番ピン保持具は、蝶番ピン操作バーを扉の裏面方向に突出させ上下に移動可能とする移動溝部と、蝶番ピン保持具と蝶番受具の係止状態を解除させた位置で、蝶番ピン操作バーを水平移動して固定させる第1の水平溝部とを備え、これらに対応する扉の位置に前記孔部が形成されており、蝶番ピン収納部には、蝶番ピン操作バーを前記第1の水平溝部から水平移動したとき、蝶番ピンを蝶番ピン収納部から突出させるばねを収納したことを特徴とする電気電子機器用キャビネットの蝶番。
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】
扉のおもて面の端部に蝶番ピン保持具を配置し、扉の裏面の端部には補強金具を配置し、これら蝶番ピン保持具と補強金具の2部材で扉を挟みこんで固定することを特徴とする請求項1記載の電気電子機器用キャビネットの蝶番。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2022-04-21 
結審通知日 2022-04-27 
審決日 2022-05-12 
出願番号 P2009-119618
審決分類 P 1 41・ 853- Y (H05K)
P 1 41・ 121- Y (H05K)
P 1 41・ 856- Y (H05K)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 井上 信一
特許庁審判官 山本 章裕
清水 稔
登録日 2014-01-17 
登録番号 5455433
発明の名称 電気電子機器用キャビネットの蝶番  
代理人 弁理士法人 クスノキ特許事務所  
代理人 特許業務法人なじま特許事務所  

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