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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない D04B 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正しない D04B 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正しない D04B 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正しない D04B 審判 訂正 判示事項別分類コード:857 訂正しない D04B |
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管理番号 | 1387400 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2021-12-07 |
確定日 | 2022-07-04 |
事件の表示 | 特許第4945115号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件審判の請求に係る特許第4945115(以下、「本件特許」という。)は、平成17年11月7日を出願日とする出願(特願2005−322923号)の請求項1〜9に係る発明について、平成24年3月9日に特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:平成24年6月6日)がされたものであって、令和3年12月7日に本件審判が請求されたものである。 そして、当審において令和4年2月8日付けで訂正拒絶理由を通知し、かつ、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、当該期間内に請求人らからは何らの応答もない。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 本件審判の請求の趣旨は、審判請求書の「5 請求の趣旨」の欄に記載されたとおり、「特許第4945115号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項6〜12について訂正することを認める、との審決を求める。」というものであって、本件審判に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(当審注:下線部分が訂正箇所である)。 1.訂正事項1 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6の、 「前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の経編地。」 について、 「非弾性糸と弾性糸を編糸とする伸縮性経編地であって、これら非弾性糸と弾性糸とはいずれもアトラス組織で且つ同行する組織とし、 前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させていることを特徴とする経編地。」 に訂正する。 (請求項6を引用する請求項7〜9も同様に訂正する。) 2.訂正事項2 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6の、 「前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の経編地。」 について、 「非弾性糸と弾性糸を編糸とする伸縮性経編地であって、これら非弾性糸と弾性糸とはいずれもアトラス組織で且つ同行する組織とし、 前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させており、 裁断端は、融着処理や接着剤塗布処理無しで編組織だけで、裁断状態のままで縁始末不要としていることを特徴とする経編地。」 に訂正し、新たに請求項10とする。 3.訂正事項3 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6の、 「前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の経編地。」 について、 「非弾性糸と弾性糸を編糸とする伸縮性経編地であって、これら非弾性糸と弾性糸とはいずれもアトラス組織で且つ同行する組織とし、 前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させており、 前記非弾性糸はフロント筬、弾性糸はバック筬で編成していることを特徴とする経編地。」 に訂正し、新たに請求項11とする。 4.訂正事項4 本件訂正前の特許請求の範囲の請求項6の、 「前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の経編地。」 について、 「非弾性糸と弾性糸を編糸とする伸縮性経編地であって、これら非弾性糸と弾性糸とはいずれもアトラス組織で且つ同行する組織とし、 前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させており、 裁断端は、融着処理や接着剤塗布処理無しで編組織だけで、裁断状態のままで縁始末不要としており、 前記非弾性糸はフロント筬、弾性糸はバック筬で編成していることを特徴とする経編地。」 に訂正し、新たに請求項12とする。 第3 訂正拒絶理由の概要 当審が令和4年2月8日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 訂正事項1〜4は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項のいずれを目的とするものでなく、さらに、特許法第126条第6項の規定に適合するものでもないから、これらの訂正事項からなる本件審判に係る訂正は認めない。 第4 当審の判断 1.訂正事項1について (1)訂正の目的について ア.本件訂正前の請求項6のうち請求項1を引用するものについて、その発明特定事項は、「非弾性糸と弾性糸を編糸とする伸縮性経編地であって、これら非弾性糸と弾性糸とはいずれもアトラス組織で且つ同行する組織とし、前記非弾性糸のアトラス組織と前記弾性糸のアトラス組織は、互いの組織の閉じ目同士が重なり合わないように互いの組織のループ同士を重ね合わせて編成されていることを特徴とする経編地であって、前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させている経編地。」である。 ここで、本件訂正前の請求項6のうち請求項1を引用する発明に係る発明特定事項と、訂正事項1による訂正後の請求項6に係る発明特定事項とを対比すると、本件訂正前のものは、「前記非弾性糸のアトラス組織と前記弾性糸のアトラス組織は、互いの組織の閉じ目同士が重なり合わないように互いの組織のループ同士を重ね合わせて編成されていること」を発明特定事項として包含しているのに対して、訂正事項1による訂正後のものは、当該発明特定事項を含まない。 そうすると、訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項6のうち請求項1を引用するものについて、「前記非弾性糸のアトラス組織と前記弾性糸のアトラス組織は、互いの組織の閉じ目同士が重なり合わないように互いの組織のループ同士を重ね合わせて編成されていること」との発明特定事項を削除する訂正を含むものである。 以下、この訂正が、特許法第126条第1項に規定される訂正の目的の、いずれかに該当するものであるか検討する。 イ.特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものか否かについて 上記ア.のとおり、訂正事項1は、上記発明特定事項を削除する訂正を含むものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするではなく、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものにも該当しない。 ウ.明瞭でない記載の釈明を目的とするものか否かについて (ア)本件訂正前の請求項6のうち請求項1を引用する発明に係る発明特定事項は、「閉じ目」及び「開き目」に関して、非弾性糸のアトラス組織の閉じ目と弾性糸のアトラス組織の閉じ目同士が重なり合わないこと、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させていることをそれぞれ記載し、これらの「閉じ目同士が重なり合わないこと」と、「閉じ目位置と開き目位置とを一致させていること」は、技術的に相反するものではなく、共に備えることは可能であり、記載は明瞭である。 そうすると、本件訂正前の請求項6は、明瞭でないとはいえないから、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当しない。 (イ)審判請求人は、審判請求書において、 「訂正前の請求項6において、「前記非弾性糸と弾性糸とは1針毎に閉じ目と開き目を交互に繰り返す一方、非弾性糸と弾性糸とは閉じ目位置と開き目位置とを一致させている」と記載されている一方、訂正前の請求項6が引用する請求項1には、「前記非弾性糸のアトラス組織と前記弾性糸のアトラス組織は、互いの組織の閉じ目同士が重なり合わないように互いの組織のループ同士を重ね合わせて編成されている」と記載されており、相反する技術的特徴が併せて記載されているため、非弾性糸と弾性糸とが閉じ目位置を一致させているのか重なり合わないようにしているのかが不明である。 請求項1を引用する請求項6を明確なものとするため、請求項6を独立形式請求項に書き改め、非弾性糸と弾性糸とが閉じ目位置を一致させている点を明確にした。」と主張している。 しかし、「閉じ目同士が重なり合わない」ことは、閉じ目と閉じ目が重なり合わないことを記載しているのであって、閉じ目と開き目が一致することや閉じ目とその他の部材とが重なることを排除する記載ではない。「閉じ目同士が重なり合わない」ことと、「閉じ目位置と開き目位置とを一致させている」ことは、相反する技術的特徴ではなく、共に備えることは可能であり、明瞭でない記載であったとはいえない。 したがって、審判請求人の主張は採用することができない。 エ.他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること 上記ア.のとおり、訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の上記発明特定事項を削除する訂正を含むものであり、これは、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当しない。 オ.小括 上記ア.〜エ.のとおり、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正、明瞭でない記載の釈明、他の請求項の記載を引用する請求項を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることのいずれを目的とするものにも該当しない。 (2)訂正事項1が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものか否かについて 上記(1)ア.のとおり、訂正事項1は、上記発明特定事項を削除する訂正を含むものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである。 (3)まとめ 以上のとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項のいずれを目的としたものでなく、特許法第126号第6項の規定に適合するものでもない。 2.訂正事項2〜4について 訂正事項2〜4は、訂正事項1と同様に、上記発明特定事項を削除する訂正を含むところ、当該訂正事項に対する判断は、「1.訂正事項1について」で述べたとおりである。 第5 むすび 以上のとおり、訂正事項1〜4は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項のいずれを目的とするものでなく、さらに、特許法第126条第6項の規定に適合するものでもないから、これらの訂正事項からなる本件訂正は認められない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2022-05-11 |
結審通知日 | 2022-05-13 |
審決日 | 2022-05-24 |
出願番号 | P2005-322923 |
審決分類 |
P
1
41・
854-
Z
(D04B)
P 1 41・ 851- Z (D04B) P 1 41・ 853- Z (D04B) P 1 41・ 857- Z (D04B) P 1 41・ 852- Z (D04B) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
井上 茂夫 |
特許庁審判官 |
久保 克彦 塩治 雅也 |
登録日 | 2012-03-09 |
登録番号 | 4945115 |
発明の名称 | 経編地および該経編地を有する衣料 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 安田 亮輔 |
代理人 | 黒木 義樹 |
代理人 | 安田 亮輔 |
代理人 | 阿部 寛 |
代理人 | 阿部 寛 |
代理人 | 黒木 義樹 |