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審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する C07K 審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する C07K 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する C07K 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C07K |
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管理番号 | 1387437 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2022-02-01 |
確定日 | 2022-06-08 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6216162号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6216162号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1−4、6、7〕、〔5、8〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判に係る特許第6216162号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成16年6月2日(パリ条約による優先権主張 2003年7月8日 アメリカ合衆国(US)、2003年7月11日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願2006−518636号の一部を、特許法第44条第1項の規定により平成22年4月7日に新たな特許出願とした特願2010−088577号の一部を、さらに特許法第44条第1項の規定により平成25年6月12日に新たな特許出願とした特願2013−123566号であって、その請求項1−8に係る発明について平成29年9月29日に特許権の設定登録されたものである。 第2 請求の趣旨と訂正の内容 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6216162号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1−8について訂正することを認める、との審決を求めるというものであって、その訂正の内容は、下記訂正事項1−4のとおりである。 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「ヒト抗体」および「ヒト化抗体」とあるのをそれぞれ「ヒトモノクローナル抗体」および「ヒト化モノクローナル抗体」に訂正する。(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2−4、6−7も同様に訂正する。) 2 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に「請求項1に記載の抗体。」とあるのを「請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体。」に訂正する。(請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項3−4、6−7も同様に訂正する。) 3 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2に記載の抗体」とあるのを「請求項1又は2に記載の単離されたモノクローナル抗体」に訂正する。(請求項3の記載を直接的または間接的に引用する請求項4、6−7も同様に訂正する。) 4 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に「・・・に結合し、」とあるのを「・・・に特異的に結合し、」に訂正する。(請求項5の記載を引用する請求項8も同様に訂正する。) 第3 当審の判断 1 訂正事項1について (1) 訂正の目的について 訂正事項1は、「ヒト抗体」および「ヒト化抗体」を、それぞれの一態様である、「ヒトモノクローナル抗体」および「ヒト化モノクローナル抗体」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 特許第6216162号の願書に添付した明細書及び図面(以下,「本件特許明細書」という。)には、「その他の実施態様では、本発明は、上記又は下記に記載のポリペプチドの何れかに特異的に結合する抗体を提供する。随意的には、この抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片又は一本鎖抗体である。一態様では、本発明は、IL−17A/Fポリペプチドと結合する単離された抗体に関する。その他の態様では、抗体はIL−17A/Fポリペプチド(アゴニスト抗体)の活性を模倣するか、或いは逆に抗体はIL−17A/Fポリペプチド(アンタゴニスト抗体)の活性を阻害又は中和する。」(段落【0012】)とあり、「抗体」の一態様として「モノクローナル抗体」が記載されているから、訂正事項1は、本件特許明細書の記載から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(1)で述べたとおり、訂正事項1は、「ヒト抗体」および「ヒト化抗体」を、それぞれの一態様である、「ヒトモノクローナル抗体」および「ヒト化モノクローナル抗体」にそれぞれ限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4) 独立特許要件について 訂正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとする理由は見いだせない。 請求項1を引用する請求項2−4、6−7についても同様である。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 (5) 小括 以上のとおり、訂正事項1による請求項1−4、6−7の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 2 訂正事項2について (1) 訂正の目的について 訂正事項2による請求項2の訂正は、「請求項1に記載の抗体。」を「請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体。」と訂正するものであり、「抗体」の一態様である「モノクローナル抗体」に限定するとともに、請求項2が引用する請求項1の「単離されたヒト抗体又はヒト化抗体」なる記載から、確認的に「単離された」なる記載を追加したものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項2による請求項3−4、6−7の訂正は、訂正後の請求項2を直接的または間接的に引用することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件特許明細書には、「その他の実施態様では、本発明は、上記又は下記に記載のポリペプチドの何れかに特異的に結合する抗体を提供する。随意的には、この抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片又は一本鎖抗体である。一態様では、本発明は、IL−17A/Fポリペプチドと結合する単離された抗体に関する。その他の態様では、抗体はIL−17A/Fポリペプチド(アゴニスト抗体)の活性を模倣するか、或いは逆に抗体はIL−17A/Fポリペプチド(アンタゴニスト抗体)の活性を阻害又は中和する。」(段落【0012】)とあり、「抗体」の一態様として「モノクローナル抗体」が記載されているから、訂正事項2は、本件特許明細書の記載から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(1)で述べたとおり、訂正事項2による請求項2の訂正は、「抗体」の一態様である「モノクローナル抗体」に限定するとともに、請求項2が引用する請求項1の「単離されたヒト抗体又はヒト化抗体」なる記載から、確認的に「単離された」なる記載を追加したものであるからものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 請求項2を引用する請求項3−4、6−7についても同様である。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4) 独立特許要件について 訂正後の請求項2に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとする理由は見いだせない。 請求項2を引用する請求項3−4、6−7についても同様である。 したがって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 (5) 小括 以上のとおり、訂正事項2による請求項2−4、6−7の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 3 訂正事項3について (1) 訂正の目的について 訂正事項3は、「請求項1又は2に記載の抗体」を「請求項1又は2に記載の単離されたモノクローナル抗体」と訂正するものであり、「抗体」の一態様である「モノクローナル抗体」に限定するとともに、請求項3が直接的または間接的に引用する請求項1の「単離されたヒト抗体又はヒト化抗体」なる記載から、確認的に「単離された」なる記載を追加したものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項3による請求項4、6−7の訂正は、訂正後の請求項3を直接的または間接的に引用することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件特許明細書には、「その他の実施態様では、本発明は、上記又は下記に記載のポリペプチドの何れかに特異的に結合する抗体を提供する。随意的には、この抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片又は一本鎖抗体である。一態様では、本発明は、IL−17A/Fポリペプチドと結合する単離された抗体に関する。その他の態様では、抗体はIL−17A/Fポリペプチド(アゴニスト抗体)の活性を模倣するか、或いは逆に抗体はIL−17A/Fポリペプチド(アンタゴニスト抗体)の活性を阻害又は中和する。」(段落【0012】)とあり、「抗体」の一態様として「モノクローナル抗体」が記載されているから、訂正事項3は、本件特許明細書の記載から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(1)で述べたとおり、訂正事項3による請求項3の訂正は、「抗体」の一態様である「モノクローナル抗体」に限定するとともに、請求項3が直接的または間接的に引用する請求項1の「単離されたヒト抗体又はヒト化抗体」なる記載から、確認的に「単離された」なる記載を追加したものであるからものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 請求項3を引用する請求項4、6−7についても同様である。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4) 独立特許要件について 訂正後の請求項3に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとする理由は見いだせない。 請求項3を引用する請求項4、6−7についても同様である。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 (5) 小括 以上のとおり、訂正事項3による請求項4、6−7の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 4 訂正事項4について (1) 訂正の目的について 訂正事項4は、ヒトモノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体の、IL−17AとIL−17Fの共有結合性ヘテロ二量体への結合性が特異的であるように限定することで特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件特許明細書には、「その他の実施態様では、本発明は、上記又は下記に記載のポリペプチドの何れかに特異的に結合する抗体を提供する。随意的には、この抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片又は一本鎖抗体である。一態様では、本発明は、IL−17A/Fポリペプチドと結合する単離された抗体に関する。その他の態様では、抗体はIL−17A/Fポリペプチド(アゴニスト抗体)の活性を模倣するか、或いは逆に抗体はIL−17A/Fポリペプチド(アンタゴニスト抗体)の活性を阻害又は中和する。」(段落【0012】)とあり、抗体がIL−17A/Fポリペプチドに特異的に結合することが記載されているから、訂正事項4は、本件特許明細書の記載から導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものといえる。 したがって、訂正事項4は、特許法第126条第5項の規定に適合する。 (3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(1)で述べたとおり、訂正事項4は、ヒトモノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体の、IL−17AとIL−17Fの共有結合性ヘテロ二量体への結合性が特異的であるように限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項4は、特許法第126条第6項の規定に適合する。 (4) 独立特許要件について 訂正後の請求項5に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないとする理由は発見できない。 請求項5を引用する請求項8についても同様である。 したがって、訂正事項4は、特許法第126条第7項の規定に適合する。 (5) 小括 以上のとおり、訂正事項4による請求項5,8の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。 第4 むすび したがって、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 よって、結論のとおりに審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 IL−17AとIL−17Fの共有結合性ヘテロニ量体に特異的に結合し、前記共有結合性ヘテロニ量体誘発性のIL−6及びIL−8の生成を阻害する、単離されたヒト抗体又はヒト化抗体であって、前記共有結合性ヘテロニ量体が、関連するシグナルペプチドを有していない配列番号:3のポリペプチド及び配列番号:4のポリペプチドからなる、単離されたヒトモノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体。 【請求項2】 抗原結合断片である、請求項1に記載の単離されたモノクローナル抗体。 【請求項3】 細胞障害剤にコンジュゲートされた、請求項1又は2に記載の単離されたモノクローナル抗体を含む、コンジュゲート。 【請求項4】 前記細胞障害剤が化学治療薬、成長阻害剤、毒素及び放射性同位元素からなる群から選択される、請求項3に記載のコンジュゲート。 【請求項5】 哺乳動物の炎症疾患を治療するための医薬であって、 医薬が、関連するシグナルペプチドを有していない配列番号:3のポリペプチド及び配列番号:4のポリペプチドからなるIL−17AとIL−17Fの共有結合性ヘテロニ量体に特異的に結合し、中和するヒトモノクローナル抗体又はヒト化モノクローナル抗体の治療的有効量を含む、医薬。 【請求項6】 哺乳動物のIL−17AとIL−17Fの共有結合性ヘテロニ量体のT細胞刺激活性に関連した免疫媒介炎症疾患を治療するための医薬であって、 医薬が、関連するシグナルペプチドを有していない配列番号:3のポリペプチド及び配列番号:4のポリペプチドからなるIL−17AとIL−17Fの共有結合性ヘテロニ量体に結合し、中和する、請求項3に記載のコンジュゲートの治療的有効量を含む、医薬。 【請求項7】 前記細胞障害剤が化学治療薬、成長阻害剤、毒素及び放射性同位元素からなる群から選択される、請求項6に記載の医薬。 【請求項8】 前記抗体が抗原結合断片である、請求項5に記載の医薬。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2022-04-28 |
結審通知日 | 2022-05-09 |
審決日 | 2022-05-24 |
出願番号 | P2013-123566 |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(C07K)
P 1 41・ 854- Y (C07K) P 1 41・ 856- Y (C07K) P 1 41・ 855- Y (C07K) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
長井 啓子 |
特許庁審判官 |
川合 理恵 上條 肇 |
登録日 | 2017-09-29 |
登録番号 | 6216162 |
発明の名称 | IL−17異種ポリペプチドとその治療上の用途 |
代理人 | 大木 信人 |
代理人 | 森田 裕 |
復代理人 | 大栗 由美 |
代理人 | 大野 聖二 |
代理人 | 大木 信人 |
復代理人 | 大栗 由美 |
代理人 | 森田 裕 |
代理人 | 大野 聖二 |