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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C07K 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C07K |
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管理番号 | 1387447 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2022-03-07 |
確定日 | 2022-05-11 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6832887号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6832887号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第6832887号は、平成25年12月12日(パリ条約による優先権主張 2012年12月14日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2015−547567号の一部を平成30年5月23日に新たに特許出願されたものであって、その請求項1〜8に係る発明について、令和3年2月4日に特許権の設定登録がされ、その後、令和4年3月7日に本件の訂正審判が請求されたものである。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 1 請求の趣旨 本件請求の趣旨は、特許第6832887号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。 2 訂正の内容 請求人が求めている訂正の内容は、以下のとおりである(訂正箇所は下線部である。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、「前記AXLポリペプチドのGAS6への結合の親和性を野生型GAS6と比較して増大させる少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み」と記載されているのを、「前記AXLポリペプチドのGAS6への結合の親和性を野生型AXLと比較して増大させる少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み」に訂正する(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2〜8も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1において、「、ただし、当該アミノ酸修飾の位置番号をnとした場合、n+7が配列番号1における位置番号に等しく」との記載を、「・・・アミノ酸修飾を含み」の後に追加する(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2〜8も同様に訂正する。)。 第3 当審の判断 1 訂正事項1について (1)訂正の目的について 本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、「前記阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートが野生型AXLと比較して増大した親和性でGAS6に結合することができ」と記載されており、また、本件特許の明細書の段落【0012】に「該阻害剤は、野生型AXL、MER又はTyro3と比べて高い親和性でGAS6に結合することができる。」、段落【0032】に「該ポリペプチドは、機能性フィブロネクチン(FN)ドメインを欠き、及び/又は野生型AXL、MER又はTyro3と比べて、GAS6への結合性における該AXL、MER又はTyro3変異体ポリペプチドの向上した親和性を示す。」と記載されているように、阻害剤ポリペプチドのGAS6への結合の親和性は、野生型AXLと比較して増大させるものとして記載されている。 したがって、本件特許の特許請求の範囲及び明細書の記載から、「前記AXLポリペプチドのGAS6への結合の親和性を野生型GAS6と比較して増大させる少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み」という記載における「野生型GAS6」は誤りであり、「野生型AXL」が正しい記載であることは当業者に明らかであるから、訂正事項1は、誤りである「野生型GAS6」を正しい記載である「野生型AXL」に訂正するものである。 そうすると、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。 (2)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて AXLポリペプチドのGAS6への結合の親和性を野生型AXLと比較して増大させることは、願書に最初に添付した明細書の段落【0012】、【0032】に記載されているから、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 上記(1)で述べたとおり、訂正事項1は、誤記を訂正するものであり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)独立特許要件について 訂正後の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見出せないから、訂正事項1は、特許法第126条第7項に適合するものである。 2 訂正事項2について (1)訂正の目的について 訂正前の請求項1には、「前記可溶性AXLポリペプチドが:・・・・・・;11)A72V、16)D87G、19)V92A、V92G又はV92D、1)A19T、2)T23M、3)E26G、4)E27G又はE27K、5)G32S、6)N33S、7)T38I、8)T44A、9)H61Y、10)D65N、12)S74N、13)Q78E、14)V79M、15)Q86R、17)D88N、18)I90M又はI90V、20)I97R、21)T98A又はT98P、22)T105M、23)Q109R、24)V112A、25)F113L、26)H116R、27)T118A、28)G127R又はG127E、及び29)G129E、並びにそれらの組み合せからなる群より選択される、前記AXLポリペプチドのGAS6への結合の親和性を野生型GAS6と比較して増大させる少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み」と記載されているが、配列表の配列番号1のアミノ酸配列の72位、87位、92位、19位、等のアミノ酸は、それぞれ、A(Ala)、D(Asp)、V(Val)、A(Ala)、等ではなく、A72、D87、V92、A19、等は、それぞれ、配列表の配列番号1のアミノ酸配列の79(72+7)位、94(87+7)位、99(92+7)位、26(19+7)位、等のアミノ酸に対応するものであり、上記アミノ酸修飾の位置と配列表の配列番号1のアミノ酸の位置と7個ずれていることは明らかである。 そして、「、ただし、当該アミノ酸修飾の位置番号をnとした場合、n+7が配列番号1における位置番号に等しく」という事項は、上記アミノ酸修飾の位置と配列表の配列番号1のアミノ酸の位置が7個ずれている不明瞭な記載を解消するために、上記アミノ酸修飾の位置の番号に7を加えた番号が、配列表の配列番号1のアミノ酸配列の位置の番号に対応するものであることを明らかにするための記載であるから、訂正事項2は、配列表の配列番号1のアミノ酸配列の記載との整合を図るための訂正であるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものである。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 「、ただし、当該アミノ酸修飾の位置番号をnとした場合、n+7が配列番号1における位置番号に等しく」という事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に明示的に記載されていないが、「、ただし、当該アミノ酸修飾の位置番号をnとした場合、n+7が配列番号1における位置番号に等しく」という事項は、上記アミノ酸修飾の位置と配列表の配列番号1のアミノ酸の位置が7個ずれている不明瞭な記載を解消するために、上記アミノ酸修飾の位置の番号に7を加えた番号が、配列表の配列番号1のアミノ酸配列の位置の番号に対応するものであることを明らかにするための記載であり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて 上記(1)で述べたとおり、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 AXL−GAS6相互作用の阻害剤である阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートであって、前記阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートが野生型AXLと比較して増大した親和性でGAS6に結合することができ;および 前記阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートが、配列番号1に基づく可溶性AXLポリペプチドであり、 前記可溶性AXLポリペプチドが:AXL膜貫通ドメインを欠き;機能性フィブロネクチン(FN)ドメインを欠き;1つのIg1ドメイン及び1つのIg2ドメインを有し;11)A72V、16)D87G、19)V92A、V92G又はV92D、1)A19T、2)T23M、3)E26G、4)E27G又はE27K、5)G32S、6)N33S、7)T381、8)T44A、9)H61Y、10)D65N、12)S74N、13)Q78E、14)V79M、15)Q86R、17)D88N、18)190M又は190V、20)197R、21)T98A又はT98P、22)T105M、23)Q109R、24)V112A、25)F113L、26)H116R、27)T118A、28)G127R又はG127E、及び29)G129E、並びにそれらの組み合せからなる群より選択される、前記AXLポリペプチドのGAS6への結合の親和性を野生型AXLと比較して増大させる少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、ただし、当該アミノ酸修飾の位置番号をnとした場合、n+7が配列番号1における位置番号に等しく;前記AXL変異体ポリペプチドにリンカーによって連結されたFcドメインを含む; ことを特徴とする阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲート。 【請求項2】 請求項1に記載の阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートにおいて、前記可溶性AXLポリペプチドがAXL細胞内ドメインを欠くことを特徴とする阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲート。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートにおいて、前記ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートが単一のGAS6上の2以上のエピトープに結合し、任意に、前記エピトープの少なくとも1つがGAS6の主要又は副次AXL結合部位であることを特徴とする阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲート。 【請求項4】 請求項3に記載の阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートにおいて、前記可溶性AXLポリペプチドが、単一のGAS6の主要又は副次AXL結合部位の両方と結合することができることを特徴とする阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲート。 【請求項5】 請求項3又は4に記載の阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートにおいて、前記可溶性AXLポリペプチドが直接的又は間接的に連結した免疫グロブリンドメインを含むことを特徴とする阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲート。 【請求項6】 請求項1に記載の可溶性AXLポリペプチドにおいて、前記リンカーが1又は複数の(Gly)4Ser単位を含むことを特徴とする可溶性AXLポリペプチド。 【請求項7】 請求項1乃至6の何れか1項に記載の阻害剤ポリペプチド又はポリペプチドコンジュゲートを含むことを特徴とする医薬組成物。 【請求項8】 哺乳動物患者における腫瘍の治療方法に使用するための請求項7に記載の医薬組成物であって、前記腫瘍の転移又は浸潤を治療、減少又は予防することを特徴とする医薬組成物。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2022-04-07 |
結審通知日 | 2022-04-12 |
審決日 | 2022-04-26 |
出願番号 | P2018-098435 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(C07K)
P 1 41・ 852- Y (C07K) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
福井 悟 |
特許庁審判官 |
松野 広一 高堀 栄二 |
登録日 | 2021-02-04 |
登録番号 | 6832887 |
発明の名称 | 改変AXLペプチド及び抗転移療法のAXLシグナル伝達阻害におけるその使用 |
代理人 | 特許業務法人北青山インターナショナル |
代理人 | 特許業務法人北青山インターナショナル |
代理人 | 特許業務法人北青山インターナショナル |