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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 B65D 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B65D 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B65D 審判 全部申し立て 2項進歩性 B65D |
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管理番号 | 1387452 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-09-25 |
確定日 | 2022-04-28 |
異議申立件数 | 5 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6497601号発明「ポリオレフィン樹脂フィルム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6497601号の明細書及び特許請求の範囲を令和3年7月9日提出の訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3〜15〕、2、16、17、18、19、20について訂正することを認める。 特許第6497601号の請求項1〜20に係る特許を取り消す。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6497601号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜15に係る特許についての出願は、平成23年5月31日に出願した特願2011−122064号の出願の一部を、平成27年10月27日に新たな特許出願とした特願2015−210635号の出願の一部を、さらに平成28年8月26日に新たな特許出願とした特願2016−166072号の出願の一部を、さらに平成30年4月23日に新たな特許出願としたものであって、平成31年3月22日にその特許権の設定登録(特許掲載公報発行日:平成31年4月10日)がされた。 本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和元年9月25日 :特許異議申立人土田裕介(以下「申立人1」という。)による請求項1〜15に係る特許に対する特許異議の申立て 令和元年10月10日 :特許異議申立人白澤榮樹(以下「申立人2」という。)による請求項1〜15に係る特許に対する特許異議の申立て 令和元年10月10日 :特許異議申立人アクシス国際特許業務法人(以下「申立人3」という。)による請求項1〜15に係る特許に対する特許異議の申立て 令和元年10月10日 :特許異議申立人松永明彦(以下「申立人4」という。)による請求項1〜15に係る特許に対する特許異議の申立て 令和元年10月10日 :特許異議申立人鈴木清司(以下「申立人5」という。)による請求項1〜15に係る特許に対する特許異議の申立て 令和2年1月15日付け:取消理由通知書 令和2年3月23日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求 令和2年4月28日 :申立人2による意見書の提出 令和2年4月30日 :申立人3による意見書の提出 令和2年5月7日 :申立人4による意見書の提出 令和2年5月21日 :申立人1による意見書の提出 令和2年9月29日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和2年11月30日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求 令和3年2月2日付け :訂正拒絶理由通知書 令和3年3月8日 :特許権者による意見書の提出 令和3年4月27日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和3年7月9日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正そのものを「本件訂正」という。) 令和3年9月10日付け:訂正拒絶理由通知書 令和3年10月18日 :特許権者による意見書の提出 令和3年11月26日 :申立人2による意見書の提出 令和3年12月1日 :申立人1による意見書の提出 令和3年12月1日 :申立人4による意見書の提出 なお、令和2年3月23日提出の訂正請求書による訂正の請求、及び令和2年11月30日提出の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正請求は、「特許第6497601号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜20について訂正することを求める。」ものであり、その訂正の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、次のとおりである。 (1)訂正事項1 明細書の【0067】を削除する。 (2)訂正事項2 本件訂正前の請求項1に記載された「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.96g/cm3の密度を有する、包装製品用樹脂フィルム。」を、 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.96g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム(但し、前記化石燃料由来のポリエチレンが、リサイクルされたポリエチレンのみであるものを除く)。」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3〜15も同様に訂正する。)。 (3)訂正事項3 本件訂正前の請求項2に記載された「前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する、請求項1に記載の樹脂フィルム。」を、 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。」に訂正する。 (4)訂正事項4 本件訂正前の請求項3に記載された「前記樹脂組成物が、1〜30g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1または2に記載の包装製品用樹脂フィルム。」を、「前記樹脂組成物が、1〜30g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。」に訂正する(請求項3の記載を直接的又は間接的に引用する請求項4〜15も同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 本件訂正前の請求項4に記載された「前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを、前記樹脂組成物全体に対して5〜95質量%含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルム。」を、「前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを、前記樹脂組成物全体に対して5〜95質量%含んでなる、請求項1または3のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。」に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用する請求項5〜15も同様に訂正する。)。 (6)訂正事項6 本件訂正前の請求項5に記載された「前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルム。」を、「前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンをさらに含む、請求項1,3,4のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。」に訂正する(請求項5の記載を直接的又は間接的に引用する請求項6〜15も同様に訂正する。)。 (7)訂正事項7 本件訂正前の請求項6に記載された「前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、バイオマス由来のα−オレフィンをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルム。」を、「前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、バイオマス由来のα−オレフィンをさらに含む、請求項1,3〜5のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。」に訂正する(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用する請求項7〜15も同様に訂正する。)。 (8)訂正事項8 本件訂正前の請求項7に記載された「前記樹脂組成物が、5〜90質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、10〜95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルム。」を、「前記樹脂組成物が、5〜90質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、10〜95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなる、請求項1,3〜6のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。」に訂正する(請求項7の記載を直接的又は間接的に引用する請求項8〜15も同様に訂正する。)。 (9)訂正事項9 本件訂正前の請求項8に記載された「前記α−オレフィンが、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルム。」を、「前記α−オレフィンが、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンである、請求項1,3〜7のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。」に訂正する(請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項9〜15も同様に訂正する。)。 (10)訂正事項10 本件訂正前の請求項9に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムの製造方法であって、 前記樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、製造方法。」を、「請求項1,3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムの製造方法であって、 前記樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、製造方法。」に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10も同様に訂正する。)。 (11)訂正事項11−1 本件訂正前の請求項11に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備えた、包装製品。」を、「請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、包装製品。」に訂正する。 (12)訂正事項11−2 本件訂正前の請求項11に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備えた、包装製品。」を、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.95g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、包装製品。」に訂正し、新たに請求項16とする。 (13)訂正事項12−1 本件訂正前の請求項12に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備えた、シート成形品。」を、「請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、シート成形品。」に訂正する。 (14)訂正事項12−2 本件訂正前の請求項12に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備えた、シート成形品。」を、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.95g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、シート成型品。」に訂正し、新たに請求項17とする。 (15)訂正事項13−1 本件訂正前の請求項13に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備える、ラベル材料。」を、「請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラベル材料。」に訂正する。 (16)訂正事項13−2 本件訂正前の請求項13に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備える、ラベル材料。」を、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.95g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラベル材料。」に訂正し、新たに請求項18とする。 (17)訂正事項14−1 本件訂正前の請求項14に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備える、蓋材。」を、「請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、蓋材。」に訂正する。 (18)訂正事項14−2 本件訂正前の請求項14に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備える、蓋材。」を、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、蓋材。」に訂正し、新たに請求項19とする。 (19)訂正事項15−1 本件訂正前の請求項15に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備える、ラミネートチューブ。」を、「請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラミネートチューブ。」に訂正する。 (20)訂正事項15−2 本件訂正前の請求項15に記載された「請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装製品用樹脂フィルムを備える、ラミネートチューブ。」を、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラミネートチューブ。」に訂正し、新たに請求項20とする。 2 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1〜15は、請求項2〜15が、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、請求項1の記載の訂正に連動して訂正されるものであるから、本件訂正請求による訂正は、一群の請求項ごとにされたものである。 また、本件訂正後の請求項2、16〜20について、特許権者は、当該訂正が認められるときに、本件訂正前の一群の請求項とは別の訂正単位とすることを求めている。 3 訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の適否について (1)訂正事項1について 本件特許の明細書【0067】には、「基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面に形成された蒸着層とを有するバリア性フィルムであって、前記基材層が、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる樹脂組成物からなり、前記樹脂組成物が、ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールであり、ジカルボン酸単位が化石燃料由来のジカルボン酸であるポリエステルを、樹脂組成物全体に対して、50〜95質量%含んでなり、前記蒸着層が、無機物または無機酸化物の蒸着膜からなるバリア性フィルム」について記載されているところ、本件特許は「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルム」に関するものであり、かつ、本件特許の明細書には、【0067】を除き、ポリエステルについては記載されていない。 そのため、本件特許の明細書【0067】の記載は、本件特許の明細書【0067】以外の記載及び特許請求の範囲の記載との関係で、不合理が生じているために不明瞭となっている記載である。 そして、訂正事項1は、当該不明瞭となっている記載を含む【0067】を削除し、明細書に生じている記載上の不備を訂正によって治癒し、本来の意を明らかにするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載された事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 また、訂正事項1は、明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てについて行うものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項1の「化石燃料由来のポリエチレン」について、本件訂正前は「化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンのモノマーが重合してなる」もの、すなわち、化石燃料由来のエチレンのモノマーを重合してなるもの、化石燃料由来のα−オレフィンを重合してなるもの、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなるものであったものを、本件訂正後は「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる」ものに限定し、また、本件訂正前の請求項1の「包装製品用樹脂フィルム」について、「ヒートシール性」のものであり、「(但し、前記化石燃料由来のポリエチレンが、リサイクルされたポリエチレンのみであるものを除く)」ものに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について (ア)「化石燃料由来のポリエチレン」を限定する点について 訂正事項2のうち、本件訂正前の請求項1の「化石燃料由来のポリエチレン」についての限定は、請求項1の「化石燃料由来のポリエチレン」について、「化石燃料由来のα−オレフィンを重合してなるもの」を削除するものであるから、新規事項の追加に該当しない。 (イ)「包装製品用樹脂フィルム」を「ヒートシール性」のものに限定する点について 本件特許の明細書には、「【0092】・・・上記の実施例4〜7および比較例2で得られた樹脂フィルムを、・・・シール温度は90〜150℃、シール圧力は30N/cm2、シール時間は1秒でヒートシールして、シールが開始される温度(℃)を特定した。」と記載され、【0093】の【表2】には、実施例4〜7の「シール開始温度」が100〜120℃であることが記載されているから、「包装製品用樹脂フィルム」が「ヒートシール性」とすることは、新規事項の追加に該当しない。 (ウ)「包装製品用樹脂フィルム」を「(但し、前記化石燃料由来のポリエチレンが、リサイクルされたポリエチレンのみであるものを除く)」ものに限定する点について 本件特許の明細書には、「【0059】 上記の樹脂組成物は、化石燃料由来のエチレンと、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンとを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含んでもよい。つまり、本発明においては、樹脂組成物は、バイオマス由来のポリオレフィンと、化石燃料由来のポリオレフィンとの混合物であってもよい。混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法で混合することができる。例えば、ドライブレンドでもよいし、メルトブレンドでもよい。」と記載されているから、「包装製品用樹脂フィルム」の「樹脂組成物」に含まれる「化石燃料由来のポリエチレン」が特に限定されていないものであったところ、訂正事項2により、「化石燃料由来のポリエチレンが、リサイクルされたポリエチレンのみであるものを除く」ことによって、「包装製品用樹脂フィルム」について、新たな機能・作用を奏する等、本件特許明細書等から導かれる技術的事項に何らかの変更を生じさせるものではないから、訂正事項は新たな技術的事項を導入しないものである。 (エ)訂正事項2の新規事項の有無についてのまとめ したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2は、本件訂正前の請求項1の発明特定事項をさらに限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、本件訂正前の請求項2が請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項に改めるとともに、本件訂正前の請求項2の「包装製品用樹脂フィルム」について限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。 訂正事項3は、本件特許の明細書【0083】〜【0085】、【0087】、【0092】、【0093】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項3は、本件訂正前の請求項2に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (4)訂正事項4〜10について 訂正事項4〜10、11−1、12−1、13−1、14−1、15−1は、それぞれ本件訂正前の請求項3〜9、11〜15について、引用する請求項から請求項2を削除するとともに、「包装製品用樹脂フィルム」について限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項4〜10、11−1、12−1、13−1、14−1、15−1は、本件特許の明細書【0083】〜【0085】、【0087】、【0092】、【0093】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項4〜10、11−1、12−1、13−1、14−1、15−1は、それぞれ本件訂正前の請求項3〜9、11〜15に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (5)訂正事項11−2、12−2、13−2、14−2、15−2について 訂正事項11−2、12−2、13−2、14−2、15−2は、それぞれ本件訂正前の請求項11〜15が請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項に改めるとともに、「化石燃料由来のポリエチレン」、「樹脂組成物」の「密度」、及び「包装製品用樹脂フィルム」について限定をするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。 また、訂正事項11−2、12−2、13−2、14−2、15−2は、本件特許の明細書【0056】、【0083】〜【0085】、【0087】、【0092】、【0093】の記載に基づくものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。 また、訂正事項11−2、12−2、13−2、14−2、15−2は、それぞれ本件訂正前の請求項11〜15に係る発明の発明特定事項をさらに限定するものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (6)小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに第9項で準用する同法第126条第4ないし6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3〜15〕、2、16、17、18、19、20について訂正することを認める。 第3 本件訂正後の本件発明 上記第2のとおり本件訂正が認められたことから、本件特許の請求項1〜20に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜20に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.96g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム(但し、前記化石燃料由来のポリエチレンが、リサイクルされたポリエチレンのみであるものを除く)。 【請求項2】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項3】 前記樹脂組成物が、1〜30g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項4】 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを、前記樹脂組成物全体に対して5〜95質量%含んでなる、請求項1または3に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項5】 前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンをさらに含む、請求項1,3,4のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項6】 前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、バイオマス由来のα−オレフィンをさらに含む、請求項1,3〜5のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項7】 前記樹脂組成物が、5〜90質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、10〜95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなる、請求項1,3〜6のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項8】 前記α−オレフィンが、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンである、請求項1,3〜7のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項9】 請求項1,3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムの製造方法であって、 前記樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、製造方法。 【請求項10】 前記押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われる、請求項9に記載の製造方法。 【請求項11】 請求項1,3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、包装製品。 【請求項12】 請求項1,3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、シート成形品。 【請求項13】 請求項1,3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラベル材料。 【請求項14】 請求項1,3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、蓋材。 【請求項15】 請求項1,3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラミネートチューブ。 【請求項16】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.95g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、包装製品。 【請求項17】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.95g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、シート成形品。 【請求項18】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.95g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、ラベル材料。 【請求項19】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、蓋材。 【請求項20】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、ラミネートチューブ。」 第4 取消理由の概要 本件訂正前の請求項に係る特許に対して、当審が令和3年4月27日付け取消理由通知書(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 1 取消理由1(新規性) 本件特許の請求項1、3、4、7、9、11、13に係る発明は、引用文献20に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2 取消理由2(進歩性) 本件特許の請求項1〜15に係る発明は、引用文献20に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 [引用文献等一覧] 以下、申立人〇が申立書に添付した甲第□号証を「甲〇−□」、特許権者が提出した乙第△号証を「乙△」等という。 引用文献3 杉山英路ら、「地球環境に優しい『サトウキビ由来のポリエチレン』」、コンバーテック、株式会社加工技術研究会、2009年8月15日、第37巻、第8号、通巻437号、第63〜67ページ(甲1−4、甲3−6、甲5−2) 引用文献9 特開2010−30902号公報(甲1−2) 引用文献10 国際公開第2007/055361号(甲1−3) 引用文献20 米国特許出願公開第2011/0120902号明細書 引用文献21 特開2009−91694号公報 引用文献22 特開2010−162748号公報 引用文献23 特開2011−51613号公報 引用文献24 特開2004−209769号公報 第5 当審の判断 1 引用文献の記載 令和3年4月27日付け取消理由通知書(決定の予告)で提示した引用文献に加えて、周知技術を例示する文献として下記引用文献14、25〜30を追加して提示する。 引用文献14 特開2002−187962号公報(甲3−3) 引用文献25 特開2000−281846号公報(乙13) 引用文献26 特開2010−143583号公報 引用文献27 特開平7−166328号公報 引用文献28 特開平6−230725号公報 引用文献29 特開2006−143272号公報 引用文献30 特開2010−254331号公報 (1)引用文献3 引用文献3には、次の事項が記載されている。なお、原文中において○で囲まれた算用数字は、「○1」等と、○の次に算用数字を記載し、下線を付して、代用表記した。 ア 「1.はじめに 私たち人類は、あらゆる利便性を追求した結果、社会は豊かになった。しかしその半面、大量消費→大量廃棄した結果、〇1資源、エネルギーの不足、〇2CO2(炭酸ガス)の増加による地球温暖化等の問題が明確になってきた。 ・・・ 当社は、南米・ブラジルのBraskem社と共同で、プラスチック類の中で最も多く生産されているポリエチレンを従来の石油由来から植物由来にするため、2006年より技術開発に着手した。次いで07年にパイロットプラントにて技術検証を行い、08年に商業化が決定した。10年にプラントが完成予定であり、11年初旬より年間20万トンのポリエチレンの生産が開始される予定である。 ポリエチレン原料を従来の石油系原料から再生可能なサトウキビ(バイオマス系)に置き換えることは、植物の生育時のCO2吸収と燃焼時の排出が同一(カーボンニュートラル)になり、地球上のCO2を増やさないので地球環境にやさしく、また石油資源利用の節約にも貢献する。」(63ページ左欄1〜末行) イ 「2.サトウキビ由来ポリエチレンの製造工程 サトウキビ由来ポリエチレンの製造フローを図1に示す。サトウキビ畑より刈り取ったサトウキビを圧延ローラーで糖液を加熱濃縮して結晶化する粗糖分(砂糖原料)と残糖液(廃糖蜜)を遠心分離器により分離する。この廃糖蜜を適切な濃度まで水で希釈して酵母菌により発酵させエタノールを作る。次にバイオエタノールを300〜400℃に加熱してアルミナ等の触媒により分子内脱水反応させると高い収率でエチレンが生成される。生成物にはエチレン以外に水分、有機酸、一酸化炭素等の不純物が含まれるので必要な純度までエチレンを精製して、次の工程のポリエチレン重合プラントへ導入する。ポリエチレン重合プラントで重合触媒によりエチレンを高分子化(重合)してポリエチレンを生産する。」(63ページ中欄1〜21行) ウ 「 ![]() 」(63ページ図1) エ 「3.サトウキビ由来ポリエチレンの同等性 当社とBraskem社は共同でトリウンフォ工場内の研究開発センターで図2にある試験設備により同等性を評価した。 (1)エチレン 試験設備にバイオマス由来エタノールを導入し、出来上がったエチレンの成分分析を行った結果、従来の石油由来エチレンとの品質同等性を確認した。 (2)ポリエチレン 試験重合機に石油系エチレンとバイオマス系エチレンをそれぞれ投入し、同1条件でポリエチレン重合し、出来上がったポリマーの同等性を検討した。この結果を表1に示す。多少の数値上の差異はあるが、テスト重合機の条件設定に影響されていると考えられ、基本的にはいずれの用途グレードとも石油系、バイオマス系の品質は同等であることが確認できた。」(63ページ右欄4〜末行) オ 「 ![]() 」(64ページ表1) カ 「4.サトウキビ由来ポリエチレンの生産概要と生産予定グレード サトウキビ由来ポリエチレンはBraskem社のトリウンフォ工場で、2011年から高密度ポリエチレン(HDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を合わせて年産20万トン生産される計画である。・・・ 表2に生産予定の代表的なグレードを示すが、今後、ユーザーニーズにより変わる可能性がある。」(64ページ左欄1行〜右欄6行) キ 「 ![]() 」(64ページ表2) ク 「図6は、Braskem社の試験プラントで試作したサトウキビ由来のHDPEを米国のベータアナリティック社においてASTM D68662)測定法に基づいて炭素分析した結果であるが、100%バイオベースであることが確認された。」(65ページ中欄5〜10行) (2)引用文献9 引用文献9には、次の事項が記載されている。 「【0019】 原料がバイオマス由来のエタノールの場合、得られたエチレンには、エタノール発酵工程で混入した不純物であるケトン、アルデヒド、エステルなどのカルボニル化合物及びその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・きょう雑物であるアミン、アミノ酸など含窒素化合物及びその分解物であるアンモニアなどが極微量含まれる。エチレンの用途によっては、これら極微量の不純物が問題となるおそれがあるので、精製により除去しても良い。精製は、公知のいかなる方法でもよいが、好適な精製操作として吸着精製法をあげることができる。用いる吸着剤は特に限定されないが、高表面積の材料が好ましく、吸着剤の種類としては、バイオマス由来のエタノールの脱水反応により得られるエチレン中の不純物の種類・量に応じて選択される。」 (3)引用文献10 引用文献10には、次の事項が記載されている。 「[0006] ところが、バイオマス資源力得られるエタノールは、水以外に、発酵工程の不純物であるカルボニル化合物や酵素の分解物・きょう雑物である含窒素化合物を含んでおり、脱水反応でエチレンを得る際に化合物自体又はその分解物がエチレンに混入し、メタセシス触媒の活性へ悪影響を与えるため、その精製法の開発が望まれていた。」 (4)引用文献20 ア 引用文献20の記載事項 引用文献20には、日本語に訳すと次の事項が記載されている。 「技術分野 [0001] 本発明は、バージン石油系化合物を実質的に含まない持続可能な物品に関する。本物品は、各々再生可能な材料、リサイクル材料、粉砕再生材料又はこれらの混合物から作製される、容器、キャップ及びラベルを包含する。本物品は、少なくとも2年の品質保持期間を有し、典型的なリサイクルシステムに従って完全にリサイクルすることができる。 背景技術 [0002] プラスチック包装は、全てのポリマー製品のうちのほぼ40%を占め、そのほとんどは、パーソナルケア物品(例えば、シャンプー、コンディショナー及び石鹸ボトル)用の包装、及び家庭用の包装(例えば、洗濯洗剤及びクリーニング組成物用)など、消費者製品のために使用される。プラスチック包装用途向けの、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート及びポリプロピレンなどのポリマーを製造するのに使用される材料の大部分は、モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、テレフタル酸、エチレングリコール)から得られ、これらは石油、天然ガス及び石炭などの化石系の再生不能資源から得られる。・・・ [0004] 当該技術分野における現在のプラスチック包装は、再生可能な材料から得られるポリマーから部分的に構成され得るが、この現在の包装は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンなどの少なくとも一部のバージン石油系材料を含む少なくとも1つの構成要素(例えば、容器、キャップ、ラベル)を含有する。現在のプラスチック包装の中で、バージン石油系化合物を実質的に含まず、100%持続可能であり、100%リサイクル可能であり、一方で、少なくとも2年の品質保持期間を有するものは全く存在しない。 [0005] 現在のプラスチック包装はまた、リサイクルの際に困難に直面し得る。典型的なリサイクル手順の最初の数工程において一般的に使用される比重分離プロセスは、密度に基づいて混合物中のポリマーを分離するために使用される。水よりも密度が高いポリエチレンテレフタレートなどのポリマーは溶液の底に沈み、一方、水よりも密度が低いポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリマーは溶液の上部に浮上する。・・・ [0006] したがって、バージン石油系化合物を実質的に含まず、100%持続可能であり、100%リサイクル可能であり、長期にわたる品質保持期間を有し、リサイクルの際の混入を最小化又は排除することができる、プラスチック包装を提供することが望ましい。 発明の概要 [0007] 本発明は、持続可能な材料から製造されるリサイクル可能な物品に関する。本物品は、少なくとも2年の品質保持期間を有し、バージン石油系化合物を実質的に含まない。 ・・・ [0010] 更に、本発明のこの態様の物品は、インク(例えば、大豆系、植物系又はこれらの混合物)と、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約93%、より好ましくは少なくとも約95%、例えば、約100%のバイオベースの含有量を有するポリエチレン、消費者使用後にリサイクルされたポリエチレン(PCR−PE)、産業廃棄物からリサイクルされたポリエチレン(PIR−PE)、紙及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む基材と、からなるラベルを含む。・・・ラベルがポリエチレン又はポリプロピレンからなる場合には、ラベルは、約1g/mL未満の密度を有する。・・・」 「[0020] 本発明の物品は、バージン石油系原料から製造された同様の物品と同じ外観及び感触、バージン石油系原料から製造された物品と同様の性能特性(例えば、同様の落下及び天井荷重)を有し、同様に(例えば、物品をリサイクルすることにより)処分することができるので、有利であり、更には、本発明の物品は、バージン石油系原料に由来する物品よりも、持続可能性が改善されている。」 「持続可能、リサイクル可能な物品 [0026] 本明細書に記載の発明は、少なくとも約2年の品質保持期間を有し、100%リサイクル可能であり、バージン石油系材料を実質的に含まない(すなわち、物品の総重量に基づいて約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約3重量%未満のバージン石油系材料)、持続可能な物品に関する。本明細書で使用するとき、「バージン石油系」は、石油、天然ガス又は石炭などの石油原料から得られ、産業的にも又は消費者の廃棄物の流れを通してのいずれでもリサイクルされていない材料を指す。 [0027] 本発明の持続可能な物品は、容器、キャップ及びラベルを含み、これらの構成要素は各々再生可能な材料、リサイクル可能な材料、粉砕再生材料又はこれらの混合物から得られる。・・・ [0028] 再生可能な材料の例としては、バイオポリエチレン、バイオポリエチレンテレフタレート及びバイオポリプロピレンが挙げられる。本明細書で使用するとき、特に指示がない限り、「ポリエチレン」は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び超低密度ポリエチレン(ULDPE)を包含する。・・・ [0029] 本明細書で使用するとき、「リサイクルされた」材料は、消費者使用後にリサイクルされた(PCR)材料、産業廃棄物からリサイクルされた(PIR)材料及びこれらの混合物を包含する。・・・一部の実施形態では、ラベルは、容器からリサイクルされた高密度ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートからなる。 ・・・ [0031] 本明細書で使用するとき、接頭辞「バイオ−」は、再生可能資源から得られた材料を指定するために使用される。」 「[0035] 好ましい実施形態では、バイオエチレンは、サトウキビから製造される。サトウキビからのエチレン製造のライフサイクル段階は、(i)サトウキビを栽培すること、(ii)サトウキビを発酵させてバイオエタノールを生成すること、及び(iii)バイオエタノールを脱水してエチレンを生成すること、を含む。具体的には、サトウキビを洗浄し、ミルに移送し、そこで濾滓を残してサトウキビ汁を抽出する。残渣は肥料及びバガス(破砕後に得られたサトウキ ビの残留木質繊維)として使用される。バガスは焼却されて、蒸気及びサトウキビミルの動力に使用される電力を生じ、これにより、石油系燃料の使用を低減する。サトウキビ汁は、酵母を使用して発酵させると、エタノール及び水の溶液が生成される。エタノールを、水から蒸留すると、純度約95%のバイオエタノールが生成される。バイオエタノールを触媒脱水(例えば、アルミナ触媒を用いる)にかけて、エチレンを製造し、これを続いて重合してポリエチレンを生成させる。 [0036] 有利なことに、サトウキビから製造されたエチレンのライフサイクルアセスメント及びインベントリは、一部の態様において、地球温暖化可能性、非生物枯渇及び化石燃料消費について、石油原料から製造されるエチレンよりも好ましい効果を示す。例えば、一部の研究は、前述したようにバージン石油系原料から約1トンのポリエチレンを製造した場合、環境に対して最大で約2.5トンの二酸化炭素の放出が生じることを示している。それゆえに、サトウキビなどの再生可能資源から製造されたポリエチレンを最大で約1トン使用した場合、石油系資源から得られたポリエチレンを1トン使用した場合と比較して、環境における二酸化炭素は最大で約5トン低減される。 [0037] BRASKEMは、サトウキビからの高密度ポリエチレン(HDPE)及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造を実証した(HDPE製造についてHostalen/Basell技術を使用、LLDPEについてはSpherilene/Basell技術を使用)。・・・」 「[0045] C.ラベル [0046] 本発明のこの態様におけるラベルは、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約93%、より好ましくは少なくとも約95%、例えば、約100%のバイオベースの含有量を有するポリエチレン、消費者使用後にリサイクルされたポリエチレン(PCR−PE)、産業廃棄物からリサイクルされたポリエチレン(PIR−PE)、紙及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む基材からなる。このポリエチレンとしては、LDPE、LLDPE又はHDPEを挙げることができる。・・・ [0047] ラベルはインクを更に含み、インクは溶剤系又は水系であり得る。一部の実施形態では、インクは、ダイズ、植物又はこれらの混合物などの再生可能資源に由来する。インクは、熱又は紫外線(UV)を使用して硬化することができる。一部の好ましい実施形態では、インクはUVにより硬化され、これにより硬化時間及びエネルギー出力が低減される。インクの非限定例としては、GansInk&SupplyCo.製のECO−SURE!(商標)、並びに、EFI製の溶剤系VUTEk(登録商標)及びBioVu(商標)インクが挙げられ、これらは完全に再生可能資源(例えば、トウモロコシ)に由来する。 [0048] ラベルは、接着剤を使用して容器に固定することができる。一部の好ましい実施形態では、接着剤は、完全に生分解性及び堆肥化可能で、欧州規格EN 13432に従っており、FDAにより認可されているBerkshire Labels製のBioTAK(登録商標)などの、再生可能な接着剤であり、収縮スリーブを使用して、あるいは、製造中に容器上でラベルを溶融することにより、取り付けることができる。あるいは、ラベルは、プラスチック容器に直接成型することができる。」 「物質のバイオベースの含有量の評価 [0086] 本明細書で使用するとき、「バイオベースの含有量」は、生成物中の総有機炭素の重量(質量)の百分率としての、物質中のバイオ炭素の量を指す。例えば、ポリエチレンは、その構造単位中に2個の炭素原子を含有する。エチレンが再生可能資源由来である場合、ポリエチレンのホモポリマーは炭素原子の全てが再生可能資源に由来することになるため、理論上は100%のバイオベースの含有量を有する。ポリエチレンのコポリマーもまた、エチレン及びコモノマーの両方が各々再生可能資源由来である場合、理論上は100%のバイオベースの含有量を有し得る。コモノマーが再生可能資源に由来しない実施形態では、HDPEは典型的には、わずか約1重量%〜約2重量%の再生不能なコモノマーを含むことになり、100%より若干低い理論上のバイオベースの含有量を有するHDPEをもたらす。・・・」 h 「[0135] C.ラベル [0136] 本発明のラベルは、フィルム押出を使用して形成することができる。フィルム押出では、熱可塑性材料を溶融し、連続外形に形成する。一部の実施形態では、多層フィルムを共押出する。フィルム押出及び共押出は、当業者に既知の任意の方法により行うことができる。」 i 「実施例5 [0150] 以下の例は、本発明のポリエチレン及びポリプロピレンラベルを形成するのに好適な組成物の代表例である。一部の好ましい実施形態では、インクは、前述のように、再生可能資源に由来する。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− バイオ リサイク バイオ リサイク 紙 インク PE1 ルされた PP3 ルされた PE2 PP4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 層 (重量%) (重量%) (重量%) (重量%) (重量%) (重量%) A 単層 99 0 0 0 0 1 B 単層 64 35 0 0 0 1 C 単層 59 40 0 0 0 1 D 単層 0 99 0 0 0 1 E 単層 0 0 99 0 0 1 F 単層 0 0 64 35 0 1 G 単層 0 0 59 40 0 1 H 単層 0 0 0 99 0 1 I 単層 0 0 0 0 99 1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1BRASKEMによる開発段階 2KW/PCA製の101〜150 3BRASKEMによる開発段階 4WELLMARK製のWM054」 「1.・・・ (c)インクと基材とを含むラベルであって、基材が、 (i)少なくとも約90%のバイオベースの含有量を有するポリエチレン、消費者使用後にリサイクルされたポリエチレン(PCR−PE)、産業廃棄物からリサイクルされたポリエチレン(PIR−PE)、紙及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー、 ・・・を含む、ラベル、 を含み、前記容器、キャップ、PEラベル及びPPラベルは各々、約1g/mL未満の密度を呈し、・・・物品。」(明細書20ページ右欄8行〜21ページ左欄15行) イ 引用文献20に記載された発明 上記アから、特に、[0046]、[0047]、特許請求の範囲の1及び実施例5のB及びCに着目すると、引用文献20には、次の発明(以下「引用発明20」という。)が記載されていると認められる。 「インクと基材とを含むラベルであって、 インクが1重量%であり、 基材が、BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなるポリマーからなる、 プラスチック包装の構成要素であるラベル。」 また、上記アから、特に、[0136]に記載されたラベルの形成方法、実施例5のB及びCに着目すると、引用文献20には、次の発明(以下「引用方法発明20」という。)が記載されていると認められる。 「インクと基材とを含むラベルであって、 インクが1重量%であり、 基材が、BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなるポリマーからなる、 プラスチック包装の構成要素であるラベルの製造方法。」 (5)引用文献21 引用文献21には、次の事項が記載されている。 「【0014】 本発明のPETとしては、既述のとおり、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするものであるが、例えば、エチレンテレフタレートのみからなる場合、ポリマーを構成する炭素は、テレフタル酸モノマーで8原子、エチレングリコールモノマーで2原子存在し、テレフタル酸とエチレングリコールが1:1のモル比で反応したものとなる。ここで、テレフタル酸をバイオマス原料から誘導することは、現状では技術的な確立はなされていない。したがって、バイオマス由来のPETとしては、石油由来のテレフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコールの組み合わせとなり、バイオマス由来のエチレングリコールのみを使用したPETでは、計算上バイオマス由来の炭素の含有割合は20.0%となる。また、上記エチレングリコールのうち、50モル%をバイオマス由来、残り50モル%を石油由来のエチレングリコールとした場合、得られるPET中のバイオマス由来炭素の含有割合は10%となる。或は、100%バイオマス由来のエチレングリコールからなるPETと100%化石資源由来からなるPETとのブレンド又は共重合体についても、バイオマス由来炭素の含有割合は10.0%となる。」 (6)引用文献22 引用文献22には、次の事項が記載されている。 「【0030】 以下、本発明を実施例に基づき説明する。まず、使用する樹脂組成などを以下に示す。 <ポリエチレンA> エチレン(サトウキビ原料)97重量% 1−ヘキセン(石化原料)3重量% 重合触媒:チグラー触媒 (MFR:5密度:0.96植物由来度:0.96) 【0031】 <ポリエチレンB> エチレン(サトウキビ原料)94重量% 1−ヘキセン(石油原料)6重量% 重合触媒:メタロセン触媒 (MFR:4密度:0.93植物由来度:0.93)」 (7)引用文献23 引用文献23には、次の事項が記載されている。 「【0023】 包装袋10を構成する可撓性フィルムとしては、この種の包装袋10に用いられる汎用的なものを使用することができ、例えば、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを使用することができる。可撓性フィルムは、いくつかのフィルムを積層したラミネートフィルムであってもよい。ポリエチレン樹脂フィルムとしては、直鎖状又は直鎖状短鎖分岐のポリエチレン樹脂組成物のフィルムを用いることができる。ポリエチレンテレフタレートと直鎖状又は直鎖状短鎖分岐のポリエチレン樹脂組成物のラミネートフィルムは好適である。なお、直鎖状又は直鎖状短鎖分岐のポリエチレン樹脂組成物は、LLDPEとも称され、メタロセン触媒を用いる既知の方法にて製造可能である。このLLDPEは、ヒートシール性に優れる。また、他のフィルムとして、LDPEと称される汎用性が高く安価なものを用いることもできる。」 (8)引用文献24 「【0017】 そして、この請求項4に係る発明によれば、複合フィルムを厚み方向に接合された内側フィルムと外側フィルムとによって形成し、かつ、外側フィルムを機械適性に優れた前記CPPフィルムとし、内側フィルムをヒートシール性に優れた前記LLDPEフィルムとすることによって、包装袋をさらに簡便かつ適正に形成することが可能となる。」 (9)引用文献14 「【0028】本発明のポリエチレン系フィルムは、イージーカット性、透明性、ヒートシール性を有し実用的な強度を有するという特性を活かし、ポリエチレン系フィルム及び積層包装材料として広く用いることができる。・・・また、積層包装材料の使用形態にも特に制限がなく、袋、フタ材、カップ、チューブ、スタンディングパウチなどとして広く実用化できる。」 (10)引用文献25 「【0015】・・・ 【表1】 ![]() 」 (11)引用文献26 「【0018】 次に、本発明の密封容器1に使用される材料について説明する。・・・ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂の射出成形品あるいは上記熱可塑性樹脂シートを真空成形、圧空成形して得られるシート成形品を使用できる。・・・」 (12)引用文献27 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は蒸着フィルムに関し、特に、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−αオレフィン共重合体フィルムに、金属または金属酸化物の薄膜を形成してなることを特徴とする蒸着フィルムに関する。」 「【0041】上記本発明の蒸着フィルムおよびその包装体の用途は特に限定されないが、例えば、・・・の包装用に使用する蒸着フィルムおよびその包装体(袋体および紙容器)として好適に使用される。またま、本発明の蒸着フィルムおよびその蒸着フィルムを含む積層体は、ラミネートチューブ、輸液バッグ、容器用蓋材、ラベル等の用途にも使用される。」 (13)引用文献28 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明はヒートシール性ラベルに関する。ヒートシール性ラベルは、樹脂の中空成形、射出成形、差圧成形等により容器を成形する際に、その成形と同時に成形された該容器に貼着させるラベル、或いはカップ容器、ヨーグルト等の容器のヒートシール性蓋材等に有用である。・・・」 (14)引用文献29 「【0024】 次に、本発明において、ヒートシール層2を構成する材質について説明すると、かかる層としては、レトルト加工処理に耐え、更に熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよい。 具体的には、例えば、低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、線状低密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂フィルム、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂フィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム、メチルペンテン樹脂フィルム、ポリブテン樹脂フィルム、酸変性ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂の未延伸フィルムを使用することができる。・・・」 「【0033】 次に、本発明において、上記のような積層体を使用して製袋する方法について説明すると、・・・ その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)、スパウトパウチ等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチューブ容器、インモールドラベル、カップ用蓋材等も製造することができる。・・・」 (15)引用文献30 「【0019】 本発明の包装材において、一般的な表示等の印刷が可能な基材としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ビニロン、セロハン等の合成樹脂を主体とする各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。・・・」 「【0027】 尚、本発明に係る包装材を用いて形成されるのは上記包装袋に限定されるものではなく、例えば、蓋材、壜体や缶体或いは前述の袋体等に用いられるラベル、単位商品や集積商品の帯体や外包体等にも使用することができる。」 2 本件発明1について (1)対比 本件発明1と引用発明20とを対比する。 引用発明20の「バイオPE」は本件発明1の「バイオ由来のポリエチレン」に相当し、同様に、「ポリマー」は「樹脂組成物」に相当するから、引用発明20の「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなるポリマー」と、本件発明の「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物」「(但し、前記化石燃料由来のポリエチレンが、リサイクルされたポリエチレンのみであるものを除く)」とは、「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物」の限りで一致する。 引用発明20の「プラスチック包装の構成要素であるラベル」と本件発明1の「包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム」とは、「包装製品用樹脂フィルム」の限りで一致する。 そうすると、本件発明1と引用発明20とは、次の点で一致し、相違する。 [一致点1] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる、包装製品用樹脂フィルム。」 [相違点1−1] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物」に関して、本件発明1は、「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」「(但し、前記化石燃料由来のポリエチレンが、リサイクルされたポリエチレンのみであるものを除く)」を含んでなるのに対して、引用発明20は、「リサイクルされたPE」を含む点。 [相違点1−2] 本件発明1は、「前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含」むのに対して、引用発明20は、その点が不明である点。 [相違点1−3] 「樹脂組成物」に含まれる「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」に関して、本件発明1は、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るのに対して、引用発明20は、「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなる」点。 [相違点1−4] 本件発明1は、「前記樹脂組成物が、0.91〜0.96g/cm3の密度を有する」のに対して、引用発明20は、「ポリマー」の密度が不明な点。 [相違点1−5] 「包装製品用樹脂フィルム」に関して、本件発明1は、「包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム」であるのに対して、引用発明20の「ラベル」は、ヒートシール性が不明である点。 (2)判断 相違点について検討する。 ア 相違点1−1について 引用文献20の「当該技術分野における現在のプラスチック包装は、再生可能な材料から得られるポリマーから部分的に構成され得るが、この現在の包装は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンなどの少なくとも一部のバージン石油系材料を含む少なくとも1つの構成要素(例えば、容器、キャップ、ラベル)を含有する」(上記1(4)ア [0004])、「本発明の持続可能な物品は、容器、キャップ及びラベルを含み、これらの構成要素は各々再生可能な材料、リサイクル可能な材料、粉砕再生材料又はこれらの混合物から得られる」(上記1(4)ア [0027])の記載から、引用発明20の「リサイクルされたPE」は、化石燃料由来のポリエチレンを含むものである。 本件特許の出願時において、一般にプラスチック包装として流通しているポリエチレンは化石燃料由来であり、すなわち、化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンを含むことは技術常識であることから、引用発明20における「リサイクルされたPE」は、「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」である。 また、引用文献20には、発明が解決しようとする課題に関して、「したがって、バージン石油系化合物を実質的に含まず、100%持続可能であり、100%リサイクル可能であり、長期にわたる品質保持期間を有し、リサイクルの際の混入を最小化又は排除することができる、プラスチック包装を提供することが望ましい。」(上記1(4)ア [0006])と記載され、「バージン石油系化合物を実質的に含ま」ないことに関して、「バージン石油系材料を実質的に含まない(すなわち、物品の総重量に基づいて約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約3重量%未満のバージン石油系材料)」、「本明細書で使用するとき、「バージン石油系」は、石油、天然ガス又は石炭などの石油原料から得られ、産業的にも又は消費者の廃棄物の流れを通してのいずれでもリサイクルされていない材料を指す。」(上記1(4)ア [0026])と記載されている。 そうすると、引用文献20における上記記載を参照して、引用発明20におけるリサイクルされたPEを、リサイクルされていない材料からなるポリエチレンを含むようにすることに格別の困難性はない。 したがって、引用発明20において、相違点1−1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点1−2について バイオマス由来のエチレンには、カルボニル化合物及びその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・きょう雑物であるアミン、アミノ酸など含窒素化合物及びその分解物であるアンモニアなどが不純物として含まれることは、引用文献9(上記1(2))、引用文献10(上記1(3))に示されるように技術常識というべき事項であり、引用発明20における「バイオPE」についても、バイオマス由来のエチレンに含まれる上記不純物が含まれることは明らかである。 そうすると、相違点1−2は実質的な相違点ではない。 ウ 相違点1−3について 引用発明20における「ポリマー」は、「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%」又は「59重量%」含むものである。 ここで、引用文献20の「本発明のこの態様におけるラベルは、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約93%、より好ましくは少なくとも約95%、例えば、約100%のバイオベースの含有量を有するポリエチレン」(上記1(4)ア [0046])の記載から、引用発明20の「バイオPE」の少なくとも約90%はバイオベースであり、引用発明20の「ポリマー」は、バイオマス由来のエチレンを少なくとも約57.6質量%(=64重量%×0.9)、又は約53.1質量%(=59重量%×0.9)程度含んでおり、本件発明1のバイオマス由来のエチレンの質量%の数値範囲に含まれる。 そうすると、相違点1−3は実質的な相違点ではない。 エ 相違点1−4について 石油由来のエチレンから製造したポリエチレンとサトウキビ由来のエチレンから製造したポリエチレンとが同等性を有することは、引用文献3(上記1(1)エ、オ)の記載及び引用文献20(上記1(4)ア[0020])の記載から、周知であるから、引用発明20の「ポリマー」は、一般的なポリエチレンと同程度の特性を有していると認められる。 そして、ポリエチレンの密度として、0.916〜0.96g/cm3程度のものは一般的なものである(例えば、引用文献3の表1(上記1(1)オ)、引用文献25(上記1(10)))から、引用発明20の「ポリマー」の密度は0.916〜0.96g/cm3程度であり、本件発明1の密度の数値範囲に含まれる。 そうすると、相違点1−4は実質的な相違点ではない。 オ 相違点1−5について ポリエチレンは熱可塑性であり、外部から熱を加え、加圧することで熱溶着することができることは技術常識である。引用発明20に係る「ラベル」は、その99重量%がポリエチレンからなるから、上記技術常識に鑑みると引用発明20の「ラベル」はヒートシール性を有している。 そうすると、相違点1−5は実質的な相違点ではない。 カ よって、本件発明1は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 本件発明2について (1)対比 本件発明2と引用発明20とは、一致点1において一致し、次の点で相違する。 [相違点2−1] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物」に関して、本件発明2は、「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」を含んでなるのに対して、引用発明20は、「リサイクルされたPE」を含む点。 [相違点2−2] 本件発明2は、「前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含」むのに対して、引用発明20は、その点が不明である点。 [相違点2−3] 「樹脂組成物」に含まれる「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」に関して、本件発明2は、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るのに対して、引用発明20は、「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなる」点。 [相違点2−4] 本件発明2は、「前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する」のに対して、引用発明20は、「ポリマー」の密度が不明な点。 [相違点2−5] 「包装製品用樹脂フィルム」に関して、本件発明2は、「包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム」であるのに対して、引用発明20の「ラベル」は、ヒートシール性が不明である点。 (2)判断 ア 相違点2−1について 引用文献20の「当該技術分野における現在のプラスチック包装は、再生可能な材料から得られるポリマーから部分的に構成され得るが、この現在の包装は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンなどの少なくとも一部のバージン石油系材料を含む少なくとも1つの構成要素(例えば、容器、キャップ、ラベル)を含有する」(上記1(4)ア [0004])、「本発明の持続可能な物品は、容器、キャップ及びラベルを含み、これらの構成要素は各々再生可能な材料、リサイクル可能な材料、粉砕再生材料又はこれらの混合物から得られる」(上記1(4)ア [0027])の記載から、引用発明20の「リサイクルされたPE」は、化石燃料由来のポリエチレンを含むものである。 本件特許の出願時において、一般にプラスチック包装として流通しているポリエチレンは化石燃料由来であり、すなわち、化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンを含むことは技術常識であることから、引用発明20における「リサイクルされたPE」は、「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」である。 そうすると、相違点2−1は実質的な相違点ではない。 イ 相違点2−2、2−3、2−5について 相違点2−2、2−3、2−5については、相違点1−2、1−3、1−5についての検討と同様である。 ウ 相違点2−4について 引用文献20には、ラベルの基材に含まれるポリエチレンに関して、「本発明のこの態様におけるラベルは、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約93%、より好ましくは少なくとも約95%、例えば、約100%のバイオベースの含有量を有するポリエチレン、・・・から選択されるポリマーを含む基材からなる。このポリエチレンとしては、LDPE、LLDPE又はHDPEを挙げることができる。」(上記1(4)ア [0046])と記載されている。 また、引用文献20の「製造中に容器上でラベルを溶融することにより、取り付けることができる」(上記1(4)ア [0048])の記載から、引用発明20のラベルをヒートシール性に優れたものとすることが示唆されている。 ここで、例えば、引用文献23(上記1(7))、引用文献24(上記1(8))に示されるように、ポリエチレンにおいて、LLDPEのヒートシール性が優れていることは技術常識であるから、引用発明20における「バイオPE」及び「リサイクルされたPE」として、「LDPE、LLDPE又はHDPE」の中から「LLDPE」を選択することは当業者が適宜なし得たことである。 そして、引用文献3の上記1(1)オを参考にすると、LLDPEの密度が0.916g/cm3であるから、「バイオPE」及び「リサイクルされたPE」としてLLDPEを選択したものにおける「ポリマー」の密度は0.916g/cm3程度となり、本件発明2の密度の数値範囲に含まれる。 仮に、引用文献20の「ラベルは、容器からリサイクルされた高密度ポリエチレン・・・からなる」(上記1(4)ア [0029])との記載を参考にして、「リサイクルされたPE」として高密度ポリエチレン(HDPE)を選択したとしても、引用文献3の上記1(1)オを参考にすると、高密度ポリエチレン(HDPE)の密度が0.96g/cm3程度、LLDPEの密度が0.916g/cm3であり、引用発明20において、「バイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%」の「混合物からなるポリマー」の密度は0.932g/cm3(=(0.916×64+0.96×35)÷(64+35))となり、「バイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなるポリマー」の密度は0.934g/cm3(=(0.916×59+0.96×40)÷(59+40))程度となり、本件発明2の密度の数値範囲に含まれる。 したがって、本件発明2は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ よって、本件発明2は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 本件発明3について (1)対比 本件発明3と引用発明20とは、一致点1において一致し、相違点1−1〜1−5に加えて、次の点で相違する。 [相違点3] 本件発明3は、「前記樹脂組成物が、1〜30g/10分のメルトフローレートを有する」のに対して、引用発明20は、その点が不明である点。 (2)判断 相違点1−1〜1−5については、上記2(2)のとおり。 相違点3について検討する。 引用文献3の表1、表2(上記1(1)オ、キ)、引用文献22(上記1(6))、引用文献25(上記1(10))に示されるように、ポリエチレンのメルトフローレートとして、本件発明3の樹脂組成物の数値範囲に含まれるものは一般的なものである。 したがって、引用発明20における「ポリマー」のメルトフローレートを、上記一般的な範囲のものとすることに格別の困難性はない。 よって、本件発明3は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 本件発明4について (1)対比 引用発明20は、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPEが、ポリマーに対して、64.6%(=64÷99×100)又は59.6%(=59÷99×100)含まれているから、引用発明20の「ポリマー」が「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなる」ことは、本件発明4の「前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを、前記樹脂組成物全体に対して5〜95質量%含んでなる」ことに相当する。 そうすると、本件発明4と引用発明20とは、次の点で一致し、相違点1−1〜1−5で相違する。 [一致点4] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを、前記樹脂組成物全体に対して5〜95質量%含んでなる、包装製品用樹脂フィルム。」 (2)判断 相違点1−1〜1−5については、上記2(2)のとおり。 よって、本件発明4は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6 本件発明5について (1)対比 本件発明5と引用発明20とは、一致点1において一致し、相違点1−1〜1−5に加えて、次の点で相違する。 [相違点5] 本件発明5は、「前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンをさらに含む」のに対して、引用発明20はそうではない点。 (2)判断 相違点1−1〜1−5については、上記2(2)のとおり。 相違点5について検討する。 引用文献21(上記1(5))には、バイオマス由来の構成要素と化石燃料由来の構成要素とをモノマーに含めることが記載されている。 引用文献22(上記1(6))には、バイオマス由来のエチレンと化石燃料由来のα−オレフィンをモノマーに含めることが記載されている。 引用文献20の上記1(4)ア [0026]に記載されるように、引用発明20の「ポリマー」には、「物品の総重量に基づいて約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約3重量%未満のバージン石油系材料」を含み得るものであるから、引用発明20における「バイオPE」において、上記引用文献21に記載された事項を参考にして、当該バイオPEに重合するモノマーとして、バイオマス由来の構成要素であるエチレンに加えて化石燃料由来の構成要素であるエチレンを含むようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 引用文献20には、「エチレンが再生可能資源由来である場合、ポリエチレンのホモポリマーは炭素原子の全てが再生可能資源に由来することになるため、理論上は100%のバイオベースの含有量を有する。・・・コモノマーが再生可能資源に由来しない実施形態では、HDPEは典型的には、わずか約1重量%〜約2重量%の再生不能なコモノマーを含むことになり、100%より若干低い理論上のバイオベースの含有量を有するHDPEをもたらす。」(上記1(4)ア [0086])と記載されている。 したがって、引用発明20における「バイオPE」について、引用文献20の上記記載を参考にして、当該バイオPEに重合するモノマーとして、バイオマス由来のエチレンに加えて化石燃料由来のα−オレフィンを含むようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、本件発明5は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 本件発明6について (1)対比 本件発明6と引用発明20とは、一致点1において一致し、相違点1−1〜1−5に加えて、次の点で相違する。 [相違点6] 本件発明6は、「前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、バイオマス由来のα−オレフィンをさらに含む」のに対して、引用発明20はそうではない点。 (2)判断 相違点1−1〜1−5については、上記2(2)のとおり。 相違点6について検討する。 引用文献20には、「エチレンが再生可能資源由来である場合、ポリエチレンのホモポリマーは炭素原子の全てが再生可能資源に由来することになるため、理論上は100%のバイオベースの含有量を有する。ポリエチレンのコポリマーもまた、エチレン及びコモノマーの両方が各々再生可能資源由来である場合、理論上は100%のバイオベースの含有量を有し得る。・・・」(上記1(4)ア [0086])と記載されている。 したがって、引用発明20における「バイオPE」について、引用文献20の上記記載を参考にして、当該バイオPEに重合するモノマーとして、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーに加えて、バイオマス由来のα−オレフィンを含むようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、本件発明6は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 8 本件発明7について (1)対比 引用発明20における「ポリマー」は、「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%又は59重量%、リサイクルされたPE35重量%又は40重量%の混合物からなる」ものであり、本件発明7の数値範囲に含まれる。 そうすると、本件発明7と引用発明20とは、次の点で一致し、相違点1−1〜1−5で相違する。 [一致点7] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記樹脂組成物が、5〜90質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、10〜95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなる、包装製品用樹脂フィルム。」 (2)判断 相違点1−1〜1−5については、上記2(2)のとおり。 よって、本件発明7は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 9 本件発明8について (1)対比 本件発明8と引用発明20とは、一致点1において一致し、相違点1−1〜1−5に加えて、次の点で相違する。 [相違点8] 本件発明8は、「前記α−オレフィンが、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンである」のに対して、引用発明20はそうではない点。 (2)判断 相違点1−1〜1−5については、上記2(2)のとおり。 相違点8について検討する。 ポリエチレンを構成するモノマーに含まれるα−オレフィンとして、何を用いるかは当業者が適宜決め得る事項であり、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンとすることに格別の困難性はなく、例えば、引用文献3(上記1(1)オ)にはポリエチレンを構成するコモノマーとして「C4」(ブチレン)が記載されており、また、引用文献22(上記1(6))には、ポリエチレンを構成するモノマーに「1−ヘキセン」を含めることが記載されている。 よって、本件発明8は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 10 本件発明9について 本件発明9と引用方法発明20とは、一致点9で一致し、相違点1−1〜1−5に加えて、次の点で相違する。 [一致点9] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムの製造方法。」 [相違点9] 本件発明9は、「前記樹脂組成物を押出成形する」のに対して、引用方法発明20は、その点が不明である点。 (2)判断 相違点1−1〜1−5については、上記2(2)のとおり。 相違点9について検討する。 引用文献20には、「本発明のラベルは、フィルム押出を使用して形成することができる。」(上記1(4)ア [0136])と記載されており、当該記載を参考にして、引用方法発明20において、ポリマーを押出成形するようにし、相違点9に係る本件発明9の構成とすることに格別の困難性はない。 よって、本件発明9は、引用方法発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 11 本件発明10について (1)対比 本件発明10と引用方法発明20とは、一致点9において一致し、相違点1−1〜1−5及び相違点9に加えて、次の点で相違する。 [相違点10] 本件発明10は、「前記押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われる」のに対して、引用方法発明20は、その点が不明である点。 (2)判断 相違点1−1〜1−5及び相違点9については、上記2(2)のとおり。 相違点10について検討する。 引用文献3の表2(上記1(1)オ、キ)には、サトウキビ由来ポリエチレンの用途として、「インフレフィルム用」、「キャストフィルム用」が記載されている。 引用文献20には、「フィルム押出及び共押出は、当業者に既知の任意の方法により行うことができる」(上記1(4)ア [0135])と記載されているから、引用文献3の上記記載を参考にして、引用発明20の製造方法として、樹脂組成物を、従来周知のTダイ法またはインフレーション法により行われる押出成形することは、当業者が適宜設計し得たことである。 よって、本件発明10は、引用方法発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 12 本件発明11について 引用文献20には、背景技術として、「プラスチック包装を提供することが望ましい。」(上記1(4)ア[0006])と記載されていることから、従来周知の包装製品が、引用発明20の「ラベル」を備えるようにすることは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。 よって、本件発明11は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 13 本件発明12、14、15について 包装製品用樹脂フィルムやシートの用途として、シート成形品、蓋材、ラミネートチューブは、例えば、引用文献26(上記1(11);シート成形品について)、引用文献14(上記1(9);蓋材について)、引用文献27(上記1(12);蓋材、ラミネートチューブについて)、引用文献28(上記1(13);蓋材について)、引用文献29(上記1(14);蓋材について)、引用文献30(上記1(15);蓋材について)に示されるように周知の事項である。 また、フィルムであるラベルを他の用途に用いることは、例えば、引用文献27、引用文献28、引用文献29、引用文献30に示されるように周知の事項であるから、包装製品用樹脂フィルムである引用発明20のラベルを、従来周知のシート成形品、蓋材、ラミネートチューブに用いて、本件発明12、14、15とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 14 本件発明13について 引用発明20の「ラベル」は、本件発明13の「ラベル部材」にも相当する。 そうすると、本件発明13と引用発明20とは、次の点で一致し、相違点1−1〜1−5で相違する。 [一致点13] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムを備える、ラベル材料。」 (2)判断 相違点1−1〜1−5については、上記2(2)のとおり。 よって、本件発明13は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 15 本件発明16について (1)対比 本件発明16と引用発明20とは、一致点16において一致し、次の点で相違する。 [一致点16] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムを備えた、包装製品。」 [相違点16−1] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物」に関して、本件発明16は、「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」を含んでなるのに対して、引用発明20は、「リサイクルされたPE」を含む点。 [相違点16−2] 本件発明16は、「前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含」むのに対して、引用発明20は、その点が不明である点。 [相違点16−3] 「樹脂組成物」に含まれる「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」に関して、本件発明16は、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るのに対して、引用発明20は、「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなる」点。 [相違点16−4] 本件発明16は、「前記樹脂組成物が、0.91〜0.95g/cm3の密度を有する」のに対して、引用発明20は、「ポリマー」の密度が不明な点。 [相違点16−5] 「包装製品用樹脂フィルム」に関して、本件発明16は、「包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム」であるのに対して、引用発明20の「ラベル」は、ヒートシール性が不明である点。 (2)判断 ア 相違点16−1、16−2、16−3、16−5について 相違点16−1、16−2、16−3、16−5については、相違点2−1、1−2、1−3、1−5についての検討と同様である。 イ 相違点16−4について 引用文献20には、ラベルの基材に含まれるポリエチレンに関して、「本発明のこの態様におけるラベルは、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約93%、より好ましくは少なくとも約95%、例えば、約100%のバイオベースの含有量を有するポリエチレン、・・・から選択されるポリマーを含む基材からなる。このポリエチレンとしては、LDPE、LLDPE又はHDPEを挙げることができる。」(上記1(4)ア [0046])と記載されている。 また、引用文献20の「製造中に容器上でラベルを溶融することにより、取り付けることができる」(上記1(4)ア [0048])の記載から、引用発明20のラベルをヒートシール性に優れたものとすることが示唆されている。 ここで、例えば、引用文献23(上記1(7))、引用文献24(上記1(8))に示されるように、ポリエチレンにおいて、LLDPEのヒートシール性が優れていることは技術常識であるから、引用発明20における「バイオPE」及び「リサイクルされたPE」として、「LDPE、LLDPE又はHDPE」の中から「LLDPE」を選択することは当業者が適宜なし得たことである。 そして、引用文献3の上記1(1)オを参考にすると、LLDPEの密度が0.916g/cm3であるから、「バイオPE」及び「リサイクルされたPE」としてLLDPEを選択したものにおける「ポリマーからなる基材」の密度は0.916g/cm3程度となり、本件発明2の密度の数値範囲に含まれる。 仮に、引用文献20の「ラベルは、容器からリサイクルされた高密度ポリエチレン・・・からなる」(上記1(4)ア [0029])との記載を参考にして、「リサイクルされたPE」として高密度ポリエチレン(HDPE)を選択したとしても、引用文献3の上記1(1)オを参考にすると、高密度ポリエチレン(HDPE)の密度が0.96g/cm3程度、LLDPEの密度が0.916g/cm3であり、引用発明20において、「バイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%」の「混合物からなるポリマーからなる基材」の密度は0.932g/cm3(=(0.916×64+0.96×35)÷(64+35))となり、「バイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなるポリマーからなる基材」の密度は0.934g/cm3(=(0.916×59+0.96×40)÷(59+40))程度となり、本件発明16の密度の数値範囲に含まれる。 ウ よって、本件発明16は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 18 本件発明17について (1)対比 引用発明20の「ラベル」と本件発明17の「シート成形品」とは、「物品」の限りで一致する。 本件発明17と引用発明20とは、一致点17において一致し、次の点で相違する。 [一致点17] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムを備えた、物品。」 [相違点17−1] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物」に関して、本件発明17は、「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」を含んでなるのに対して、引用発明20は、「リサイクルされたPE」を含む点。 [相違点17−2] 本件発明17は、「前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含」むのに対して、引用発明20は、その点が不明である点。 [相違点17−3] 「樹脂組成物」に含まれる「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」に関して、本件発明17は、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るのに対して、引用発明20は、「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされた40重量%の混合物からなる」点。 [相違点17−4] 本件発明17は、「前記樹脂組成物が、0.91〜0.95g/cm3の密度を有する」のに対して、引用発明20は、「ポリマー」の密度が不明な点。 [相違点17−5] 「包装製品用樹脂フィルム」に関して、本件発明17は、「包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム」であるのに対して、引用発明20の「ラベル」は、ヒートシール性が不明である点。 [相違点17−6] 「物品」に関して、本件発明17は、「シート成形品」であるのに対して、引用発明20は、「ラベル」である点。 (2)判断 相違点17−1、17−2、17−3、17−5については、相違点2−1、1−2、1−3、1−5についての検討と、相違点17−4については、相違点16−4についての検討と、相違点17−6については、本件発明12、14、15についての検討と同様である。 よって、本件発明17は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 19 本件発明18について (1)対比 本件発明18と引用発明20とは、一致点18において一致し、次の点で相違する。 [一致点18] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムを備える、ラベル材料。」 [相違点18−1] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物」に関して、本件発明18は、「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」を含んでなるのに対して、引用発明20は、「リサイクルされたPE」を含む点。 [相違点18−2] 本件発明18は、「前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含」むのに対して、引用発明20は、その点が不明である点。 [相違点18−3] 「樹脂組成物」に含まれる「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」に関して、本件発明18は、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るのに対して、引用発明20は、「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなる」点。 [相違点18−4] 本件発明18は、「前記樹脂組成物が、0.91〜0.95g/cm3の密度を有する」のに対して、引用発明20は、「ポリマー」の密度が不明な点。 [相違点18−5] 「包装製品用樹脂フィルム」に関して、本件発明18は、「包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム」であるのに対して、引用発明20の「ラベル」は、ヒートシール性が不明である点。 (2)判断 相違点18−1、18−2、18−3、18−5については、相違点2−1、1−2、1−3、1−5についての検討と、相違点18−4については、相違点16−4についての検討と同様である。 よって、本件発明18は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 20 本件発明19について (1)対比 引用発明20の「ラベル」と本件発明19の「蓋材」とは、「物品」の限りで一致する。 本件発明19と引用発明20とは、一致点19において一致し、次の点で相違する。 [一致点19] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムを備えた、物品。」 [相違点19−1] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物」に関して、本件発明19は、「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」を含んでなるのに対して、引用発明20は、「リサイクルされたPE」を含む点。 [相違点19−2] 本件発明19は、「前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含」むのに対して、引用発明20は、その点が不明である点。 [相違点19−3] 「樹脂組成物」に含まれる「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」に関して、本件発明19は、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るのに対して、引用発明20は、「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなるポリマーからなる」点。 [相違点19−4] 本件発明19は、「前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する」のに対して、引用発明20は、「ポリマー」の密度が不明な点。 [相違点19−5] 「包装製品用樹脂フィルム」に関して、本件発明19は、「包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム」であるのに対して、引用発明20の「ラベル」は、ヒートシール性が不明である点。 [相違点19−6] 「物品」に関して、本件発明19は、「蓋材」であるのに対して、引用発明20は、「ラベル」である点。 (2)判断 相違点19−1、19−2、19−3、19−5については、相違点2−1、1−2、1−3、1−5についての検討と、相違点19−4については、相違点2−4についての検討と、相違点19−6については、本件発明12、14、15についての検討と同様である。 よって、本件発明19は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 21 本件発明20について (1)対比 引用発明20の「ラベル」と本件発明20の「ラミネートチューブ」とは、「物品」の限りで一致する。 本件発明20と引用発明20とは、一致点20において一致し、次の点で相違する。 [一致点20] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムを備えた、物品。」 [相違点20−1] 「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなる樹脂組成物」に関して、本件発明20は、「化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン」を含んでなるのに対して、引用発明20は、「リサイクルされたPE」を含む点。 [相違点20−2] 本件発明20は、「前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含」むのに対して、引用発明20は、その点が不明である点。 [相違点20−3] 「樹脂組成物」に含まれる「バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレン」に関して、本件発明20は、「前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでな」るのに対して、引用発明20は、「BRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE64重量%及びリサイクルされたPE35重量%、又はBRASKEMによる開発段階の、サトウキビから製造されるバイオエチレンを重合して生成されるバイオPE59重量%及びリサイクルされたPE40重量%の混合物からなる」点。 [相違点20−4] 本件発明20は、「前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する」のに対して、引用発明20は、「ポリマー」の密度が不明な点。 [相違点20−5] 「包装製品用樹脂フィルム」に関して、本件発明20は、「包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム」であるのに対して、引用発明20の「ラベル」は、ヒートシール性が不明である点。 [相違点20−6] 「物品」に関して、本件発明20は、「ラミネートチューブ」であるのに対して、引用発明20は、「ラベル」である点。 (2)判断 相違点20−1、20−2、20−3、20−5については、相違点2−1、1−2、1−3、1−5についての検討と、相違点20−4については、相違点2−4についての検討と、相違点20−6については、本件発明12、14、15についての検討と同様である。 よって、本件発明20は、引用発明20に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本件発明1〜20は引用発明20に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1〜20に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、請求項1〜20に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ポリオレフィン樹脂フィルム 【技術分野】 【0001】 本発明は、バイオマス由来のポリオレフィンを含む樹脂フィルムに関し、より詳細には、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィンを含んでなる樹脂組成物からなるポリオレフィン樹脂フィルムに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、各種の樹脂をバイオマス原料から製造する試みも行われている。 【0003】 バイオマス由来の樹脂としては、乳酸発酵を経由して製造されるポリ乳酸(PLA)が先行して商業生産が始まったが、生分解性であることをはじめ、プラスチックとしての性能が現在の汎用プラスチックとは大きく異なるため、製品用途や製品製造方法に限界があり広く普及するには至っていない。また、PLAに対しては、ライフサイクルアセスメント(LCA)評価が行われており、PLA製造時の消費エネルギーおよび汎用プラスチック代替時の等価性等について議論がなされている。 【0004】 ここで、汎用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂等、様々な種類が用いられている。特に、ポリエチレンは、フィルム、シート、ボトル等に成形され、包装材等の種々の用途に供されており、世界中での使用量が多い。そのため、従来の化石燃料由来のポリエチレンを用いることは環境負荷が大きい。 【0005】 そのため、ポリエチレンの製造にバイオマス由来の原料を用いて、化石燃料の使用量を削減することが望まれている。例えば、現在までに、ポリオレフィン樹脂の原料となるエチレンやブチレンを、再生可能な天然原料から製造することが研究されてきた(例えば、特許文献1を参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 【特許文献1】特表2011−506628号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明者らは、ポリオレフィン樹脂フィルムの原料であるエチレンに着目し、従来の化石燃料から得られるエチレンに代えて、バイオマス由来のエチレンをその原料としたポリオレフィン樹脂フィルムは、従来の化石燃料から得られるエチレンを用いて製造されたポリオレフィン樹脂フィルムと、機械的特性等の物性面で遜色ないものが得られるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。 【0008】 したがって、本発明の目的は、バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリオレフィンを含む樹脂組成物からなる樹脂フィルムを提供することであって、従来の化石燃料から得られる原料から製造された樹脂フィルムと機械的特性等の物性面で遜色ないポリオレフィン樹脂フィルムを提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明の態様によれば、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.96g/cm3の密度を有する、包装製品用樹脂フィルムが提供される。 【0010】 本発明の態様においては、上記の樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有してもよい。 【0011】 本発明の態様においては、上記の樹脂組成物が、1〜30g/10分のメルトフローレートを有してもよい。 【0012】 本発明の態様においては、上記のバイオマス由来のエチレンを、上記の樹脂組成物全体に対して5〜95質量%含んでもよい。 【0013】 本発明の態様においては、上記のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンをさらに含んでもよい。 【0014】 本発明の態様においては、上記のバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、バイオマス由来のα−オレフィンをさらに含んでもよい。 【0015】 本発明の態様においては、上記の樹脂組成物が、5〜90質量%の上記のバイオマス由来のポリエチレンと、10〜95質量%の上記の化石燃料由来のポリエチレンとを含んでもよい。 【0016】 本発明の別の態様においては、前記α−オレフィンが、ブチレン、ヘキセン、またはオ クテンであってもよい。 【0017】 本発明の別の態様においては、上記の樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、包装製品用樹脂フィルムの製造方法が提供される。 【0018】 本発明の別の態様においては、上記の押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われてもよい。 【0019】 本発明の態様においては、上記の包装製品用樹脂フィルムを備えた、包装製品であってもよい。 【0020】 本発明の態様においては、上記の包装製品用樹脂フィルムを備えた、シート成形品であってもよい。 【0021】 本発明の態様においては、上記の包装製品用樹脂フィルムを備えた、ラベル材料であってもよい。 【0022】 本発明の態様においては、上記の包装製品用樹脂フィルムを備えた、蓋材であってもよい。 【0023】 本発明の態様においては、上記の包装製品用樹脂フィルムを備えた、ラミネートチュー ブであってもよい。 【発明の効果】 【0024】 本発明によれば、ポリオレフィン樹脂フィルムが、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィンを含んでなる樹脂組成物からなり、バイオマス由来のエチレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなることで、カーボンニュートラルなポリオレフィン樹脂フィルムを実現できる。したがって、従来に比べて化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。 また、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたポリオレフィン樹脂フィルムと比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来のポリオレフィン樹脂フィルムを代替することができる。 【発明を実施するための形態】 【0025】 バイオマス由来のエチレン 本発明において、バイオマス由来のポリオレフィンの原料となるバイオマス由来のエチレンの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により得ることができる。以下、バイオマス由来のエチレンの製造方法の一例を説明する。 【0026】 バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。 【0027】 本発明において、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。 【0028】 本発明のエチレンを得るために、この段階で、エタノール中の不純物総量が1ppm以下にする等の高度な精製をさらに行ってもよい。 【0029】 エタノールの脱水反応によりエチレンを得る際には通常触媒が用いられるが、この触媒は、特に限定されず、従来公知の触媒を用いることができる。プロセス上有利なのは、触媒と生成物の分離が容易な固定床流通反応であり、例えば、γ−アルミナ等が好ましい。 【0030】 この脱水反応は吸熱反応であるため、通常加熱条件で行う。商業的に有用な反応速度で反応が進行すれば、加熱温度は限定されないが、好ましくは100℃以上、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは300℃以上の温度が適当である。上限も特に限定されないが、エネルギー収支および設備の観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下である。 【0031】 反応圧力も特に限定されないが、後続の気液分離を容易にするため常圧以上の圧力が好ましい。工業的には触媒の分離の容易な固定床流通反応が好適であるが、液相懸濁床、流動床等でもよい。 【0032】 エタノールの脱水反応においては、原料として供給するエタノール中に含まれる水分量によって反応の収率が左右される。一般的に、脱水反応を行う場合には、水の除去効率を考えると水が無いほうが好ましい。しかしながら、固体触媒を用いたエタノールの脱水反応の場合、水が存在しないと他のオレフィン、特にブテンの生成量が増加する傾向にあることが判明した。恐らく、少量の水が存在しないと脱水後のエチレン二量化を押さえることができないためと推察している。許容される水の含有量の下限は、0.1%以上、好ましくは0.5%以上必要である。上限は特に限定されないが、物質収支上および熱収支の観点から、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。 【0033】 このようにしてエタノールの脱水反応を行うことによりエチレン、水および少量の未反応エタノールの混合部が得られるが、常温において約5MPa以下ではエチレンは気体であるため、これら混合部から気液分離により水やエタノールを除きエチレンを得ることができる。この方法は公知の方法で行えばよい。 【0034】 気液分離により得られたエチレンはさらに蒸留され、このときの操作圧力が常圧以上であること以外は、蒸留方法、操作温度、および滞留時間等は特に制約されない。 【0035】 原料がバイオマス由来のエタノールの場合、得られたエチレンには、エタノール発酵工程で混入した不純物であるケトン、アルデヒド、およびエステル等のカルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・夾雑物であるアミンおよびアミノ酸等の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニア等が極微量含まれる。エチレンの用途によっては、これら極微量の不純物が問題となるおそれがあるので、精製により除去しても良い。精製方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。好適な精製操作としては、例えば、吸着精製法をあげることができる。用いる吸着剤は特に限定されず、従来公知の吸着剤を用いることができる。例えば、高表面積の材料が好ましく、吸着剤の種類としては、バイオマス由来のエタノールの脱水反応により得られるエチレン中の不純物の種類・量に応じて選択される。 【0036】 なお、エチレン中の不純物の精製方法として苛性水処理を併用してもよい。苛性水処理をする場合は、吸着精製前に行うことが望ましい。その場合、苛性処理後、吸着精製前に水分除去処理を施す必要がある。 【0037】 ポリオレフィン 本発明において、バイオマス由来のポリオレフィンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるものである。バイオマス由来のエチレンには、上記の製造方法により得られたものを用いることが好ましい。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。なお、ポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。 【0038】 バイオマス由来のポリオレフィンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα−オレフィンをさらに含んでもよい。 【0039】 上記のα−オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3〜20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであることが好ましい。ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであれば、バイオマス由来の原料であるエチレンの重合により製造することが可能となるからである。また、このようなα−オレフィンを含むことで、重合されてなるポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。 【0040】 上記のポリオレフィンが、ポリエチレンであることが好ましい。バイオマス由来の原料であるエチレンを用いることで、理論上100%バイオマス由来の成分により製造することが可能となるからである。 【0041】 上記のポリオレフィン中のバイオマス由来のエチレン濃度(以下、「バイオマス度」ということがある)は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリオレフィン中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、ポリオレフィン中のC14の含有量をPc14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。 Pbio(%)=Pc14/105.5×100 【0042】 本発明においては、理論上、ポリオレフィンの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス由来のエチレン濃度は100%であり、バイオマス由来のポリオレフィンのバイオマス度は100%となる。また、化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料由来のポリオレフィン中のバイオマス由来のエチレン濃度は0%であり、化石燃料由来のポリオレフィンのバイオマス度は0%となる。 【0043】 本発明において、バイオマス由来のポリオレフィンやバイオマス由来の樹脂フィルムは、バイオマス度が100%である必要はない。樹脂フィルムの一部にでもバイオマス由来の原料が用いられていれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減するという本発明の趣旨に沿うからである。 【0044】 本発明において、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。重合温度や重合圧力は、重合方法や重合装置に応じて、適宜調節するのがよい。重合装置についても特に限定されず、従来公知の装置を用いることができる。以下、エチレンを含むモノマーの重合方法の一例を説明する。 【0045】 ポリオレフィン、特に、エチレン重合体やエチレンとα−オレフィンの共重合体の重合方法は、目的とするポリエチレンの種類、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の密度や分岐の違いにより、適宜選択することができる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。 【0046】 上記のシングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成しうる触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物や非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより、調整される。シングルサイト触媒は、マルチサイト触媒に比べて、活性点構造が均一であるため、高分子量かつ均一度の高い構造の重合体を重合することができるため好ましい。シングルサイト触媒としては、特に、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。メタロセン系触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と、助触媒と、必要により有機金属化合物と、担体の各触媒成分とを含む触媒である。 【0047】 上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、そのシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1〜30の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも一種の置換基を有するものである。その置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また置換基同士が互いに結合して環を形成し、インデニル環、フルオレニル環、アズレニル環、その水添体等を形成してもよい。置換基同士が互いに結合し形成された環がさらに互いに置換基を有していてもよい。 【0048】 シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、その遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウム、ハフニウムが好ましい。該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常2個を有し、各々のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は架橋基により互いに結合しているものが好ましい。なお、架橋基としては炭素数1〜4のアルキレン基、シリレン基、ジアルキルシリレン基、ジアリールシリレン基等の置換シリレン基、ジアルキルゲルミレン基、ジアリールゲルミレン基等の置換ゲルミレン基等が挙げられる。好ましくは、置換シリレン基である。 【0049】 周期律表第IV族の遷移金属化合物において、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基等が挙げられる。 【0050】 上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、一種または二種以上の混合物を触媒成分とすることができる。 【0051】 助触媒としては、上記の周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させうるものをいう。助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状珪酸塩、ホウ素化合物、活性水素基含有あるいは非含有のカチオンと非配位性アニオンからなるイオン性化合物、酸化ランタン等のランタノイド塩、酸化スズ、フルオロ基を含有するフェノキシ化合物等が挙げられる。 【0052】 シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、モンモリロナイト等のイオン交換性層状珪酸塩、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物が挙げられる。 【0053】 また更に必要により使用される有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物等が例示される。このうち有機アルミニウムが好適に使用される。 【0054】 また、ポリオレフィンとして、エチレンの重合体やエチレンとα−オレフィンの共重合体を、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。 【0054】 また、ポリオレフィンとして、エチレンの重合体やエチレンとα−オレフィンの共重合体を、単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。 【0055】 樹脂組成物 本発明において、樹脂組成物は、上記のポリオレフィンを主成分として含むものである。樹脂組成物は、バイオマス由来のエチレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上、好ましくは5〜95質量%、より好ましくは25〜75質量%含んでなるものである。樹脂組成物中のバイオマス由来のエチレンの濃度が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルなポリオレフィン樹脂フィルムを実現できる。 【0056】 上記の樹脂組成物は、0.91〜0.96g/cm3、好ましくは0.915〜0.955g/cm3、より好ましくは0.92〜0.95g/cm3の密度を有するものである。樹脂組成物の密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。樹脂組成物の密度が0.91g/cm3以上であれば、該樹脂組成物からなる樹脂フィルムの剛性を高めることができる。また、樹脂組成物の密度が0.96g/cm3以下であれば、該樹脂組成物からなる樹脂フィルムの透明性や機械的強度を高めることができる。 【0057】 上記の樹脂組成物は、1〜30g/10分、好ましくはインフレ法では1.5〜6.0g/10分、Tダイ法では、4〜20g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。樹脂組成物のMFRが1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、樹脂組成物のMFRが30g/10分以下であれば、該樹脂組成物からなる樹脂フィルムの機械的強度を高めることができる。 【0058】 上記の樹脂組成物は、異なるバイオマス度のポリオレフィンを2種以上含むものであってもよく、樹脂組成物全体として、バイオマス由来のエチレンの濃度が、上記範囲内であればよい。 【0059】 上記の樹脂組成物は、化石燃料由来のエチレンと、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンとを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含んでもよい。つまり、本発明においては、樹脂組成物は、バイオマス由来のポリオレフィンと、化石燃料由来のポリオレフィンとの混合物であってもよい。混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法で混合することができる。例えば、ドライブレンドでもよいし、メルトブレンドでもよい。 【0060】 本発明の態様によれば、樹脂組成物は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは25〜75質量%のバイオマス由来のポリオレフィンと、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは25〜75質量%の化石燃料由来のポリオレフィンとを含むものである。このような混合物の樹脂組成物を用いた場合でも、樹脂組成物全体として、バイオマス由来のエチレンの濃度が、上記範囲内であればよい。 【0061】 上記の樹脂組成物の製造工程において、または製造された樹脂組成物には、その特性が損なわれない範囲において、主成分であるポリオレフィン以外に、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。これら添加剤は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲で添加される。 【0062】 樹脂フィルム 本発明による樹脂フィルムは、上記の樹脂組成物からなり、樹脂組成物がバイオマス由来のエチレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなることで、カーボンニュートラルなポリオレフィン樹脂フィルムを実現できる。したがって、従来に比べて化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明のポリオレフィン樹脂フィルムは、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたポリオレフィン樹脂フィルムと比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来のポリオレフィン樹脂フィルムを代替することができる。 【0063】 本発明による樹脂フィルムの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。本発明においては、押出成形されてなることが好ましく、押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われることがより好ましい。 【0064】 例えば、以下の方法で、押出成形により樹脂フィルムを成形することができる。上記した樹脂組成物を乾燥させた後、ポリオレフィンの融点以上の温度(Tm)〜Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイ等のダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラム等で急冷固化することによりフィルムを成形することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。 【0065】 上記のようにして得られる樹脂フィルムの厚さは、その用途に応じて任意であるが、通常、5〜500μm程度、好ましくは5〜200μm程度である。また、樹脂フィルムは、単層のフィルムとして用いてもよいし、複数枚をラミネートして積層フィルムとして用いてもよい。 【0066】 用途 本発明による樹脂フィルムは、容器や袋等の包装製品、化粧シートやトレー等のシート成形品、積層フィルム、光学フィルム、樹脂板、各種ラベル材料、蓋材、およびラミネートチューブ等の各種用途に好適に使用することができ、特に、包装製品およびシート成形品が好ましい。 【0067】(削除) 【実施例】 【0068】 以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0069】 測定・条件 下記の実施例1〜7および比較例1〜2において、バイオマス度とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量の値である。 【0070】 樹脂フィルムの製造 下記の実施例1〜7および比較例1〜2で用いた押出製膜機の条件は、以下のとおりであった。 スクリュー径:90mm スクリュー型式:フルフライト L/D:28 Tダイ:11S型ストレートマニホールド Tダイ有効開口長:560mm 【0071】 実施例1 バイオマス由来の高密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SHA7260、バイオマス度:94.5%、密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分)を290℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、積層フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。 【0072】 実施例2 バイオマス由来の高密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SHA7260、バイオマス度:94.5%、密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分)50質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC701、バイオマス度:0%、密度:0.919g/cm3、MFR:14g/10分)50質量部とをドライブレンドした樹脂(バイオマス度:48%、密度:0.937g/cm3、MFR:17g/10分)を、290℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、積層フィルムを得た。 押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。 【0073】 実施例3 バイオマス由来の高密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SHA7260、バイオマス度:94.5%、密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分)33質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC701、バイオマス度:0%、密度:0.919g/cm3、MFR:14g/10分)67質量部とをドライブレンドした樹脂(バイオマス度:32%、密度:0.931g/cm3、MFR:16g/10分)を、290℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、積層フィルムを得た。 【0074】 比較例1 化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC701、バイオマス度:0%、密度:0.919g/cm3、MFR:14g/10分)を290℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、積層フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。 【0075】 樹脂組成物および樹脂フィルムの評価 上記の実施例1〜3および比較例1で用いた樹脂組成物の加工適性および得られたフィルムの特性について、以下の各種評価:(1)ドローダウン、(2)ネックイン、(3)モーター負荷、(4)樹脂圧力、(5)ループスティフネス、を行った。 【0076】 (1)ドローダウン 上記の実施例1〜3および比較例1で用いた樹脂組成物を、上記の押出製膜機を用いて、Tダイ幅560mm、樹脂温度290℃、スクリュー回転数34rpmの条件で、押出コーティング膜が膜切れするか、サージングする最高引取り速度(m/分)を測定した。 測定結果は、下記の表1に示される通りであった。 【0077】 (2)ネックイン 上記の実施例1〜3および比較例1で用いた樹脂組成物を、上記の押出製膜機を用いて、Tダイ幅560mm、スクリュー回転数105rpmの条件で、引取り速度140m/分、エアーギャップ120mmの時の両耳ネックイン(mm)を測定した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。 【0078】 (3)モーター負荷 上記の実施例1〜3および比較例1において、上記の押出製膜機を用いて樹脂フィルムを製造した際のモーター負荷(A)を測定した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。 【0079】 (4)樹脂圧力 上記の実施例1〜3および比較例1において、上記の押出製膜機を用いて樹脂フィルムを製造した際の樹脂圧力(MPa)を測定した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。 【0080】 (5)ループスティフネス 上記の実施例1〜3および比較例1で得られた樹脂フィルムを、幅15m、長さ150mmに切り出し、剛性試験機(東洋精機製作所社製、商品名:ループステフネステスタ)を用いてフィルムの剛性(N)の測定を行った。ループの長さは60mmとした。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。 【0081】 【表1】 【0082】 実施例4 バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)を320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、積層フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。 【0083】 実施例5 バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2,7g/10分)33質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC604、バイオマス度:0%、密度:0.918g/cm3、MFR:8g/10分)67質量部とをメルトブレンドした樹脂(バイオマス度:29%、密度:0.918g/cm3、MFR:6.3g/10分)を、320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、積層フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。 【0084】 実施例6 バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)33質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(目本ポリエチレン社製、商品名:LC604、バイオマス度:0%、密度:0.918g/cm3、MFR:8g/10分)37質量部と、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:KC573、バイオマス度:0%、密度:0.910g/cm3、MFR:15g/10分)30質量部とをメルトブレンドした樹脂(バイオマス度:29%、密度:0.916g/cm3、MFR:8.4g/10分)を、320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、積層フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。 【0085】 実施例7 バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)33質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC604、バイオマス度:0%、密度:0.918g/cm3、MFR:8g/10分)37質量部と、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:KS560T、バイオマス度:0%、密度:0.898g/cm3、MFR:16g/10分)30質量部とをメルトブレンドした樹脂(バイオマス度は29%、密度は0.912g/cm3、MFRは8.7g/10分)を、320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、積層フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。 【0086】 比較例2 化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC600A、 バイオマス度:0%、密度:0.919g/cm3、MFR:7g/10分)を320℃ の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上 に押し出して、積層フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚み は30μm、押出速度は100m/分に設定した。 【0087】 樹脂組成物および樹脂フィルムの評価 上記の実施例4〜7および比較例2で用いた樹脂組成物の加工適性および得られたフィルムの特性について、以下の各種評価:(6)ドローダウン、(7)ネックイン、(8)モーター負荷、(9)樹脂圧力、(10)シール開始温度、を行った。 【0088】 (6)ドローダウン 上記の実施例4〜7および比較例2で用いた樹脂組成物を、上記の押出製膜機を用いて、Tダイ幅560mm、樹脂温度290℃、スクリュー回転数34rpmの条件で、押出コーティング膜が膜切れするか、サージングする最高引取り速度(m/分)を測定した。 測定結果は、下記の表2に示される通りであった。 【0089】 (7)ネックイン 上記の実施例4〜7および比較例2で用いた樹脂組成物を、上記の押出製膜機を用いて、Tダイ幅560mm、スクリュー回転数105rpmの条件で、引取り速度140m/分、エアーギャップ120mmの時の両耳ネックイン(mm)を測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。 【0090】 (8)モーター負荷 上記の実施例4〜7および比較例2において、上記の押出製膜機を用いて樹脂フィルムを製造した際のモーター負荷(A)を測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。 【0091】 (9)樹脂圧力 上記の実施例4〜7および比較例2において、上記の押出製膜機を用いて樹脂フィルムを製造した際の樹脂圧力(MPa)を測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。 【0092】 (10)シール開始温度 上記の実施例4〜7および比較例2で得られた樹脂フィルムを、厚さ幅15mm、長さ200mmに切り出し、シール温度は90〜150℃、シール圧力は30N/cm2、シール時間は1秒でヒートシールして、シールが開始される温度(℃)を特定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。 【0093】 【表2】 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.96g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム(但し、前記化石燃料由来のポリエチレンが、リサイクルされたポリエチレンのみであるものを除く)。 【請求項2】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.937g/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項3】 前記樹脂組成物が、1〜30g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項4】 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを、前記樹脂組成物全体に対して5〜95質量%含んでなる、請求項1または3に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項5】 前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンをさらに含む、請求項1,3,4のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項6】 前記バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが、バイオマス由来のα−オレフィンをさらに含む、請求項1,3〜5のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項7】 前記樹脂組成物が、5〜90質量%の前記バイオマス由来のポリエチレンと、10〜95質量%の前記化石燃料由来のポリエチレンとを含んでなる、請求項1,3〜6のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項8】 前記α−オレフィンが、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンである、請求項1,3〜7のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルム。 【請求項9】 請求項1,3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムの製造方法であって、 前記樹脂組成物を押出成形することを特徴とする、製造方法。 【請求項10】 前記押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われる、請求項9に記載の製造方法。 【請求項11】 請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、包装製品。 【請求項12】 請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、シート成形品。 【請求項13】 請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラベル材料。 【請求項14】 請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、蓋材。 【請求項15】 請求項3〜8のいずれか一項に記載の包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラミネートチューブ。 【請求項16】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.95/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、包装製品。 【請求項17】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.95/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備えた、シート成形品。 【請求項18】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.95/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラベル材料。 【請求項19】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.937/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、蓋材。 【請求項20】 バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンと、 化石燃料由来のエチレンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレン、または化石燃料由来のエチレンおよびα−オレフィンのモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリエチレンと、 を含んでなる樹脂組成物からなる包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムであって、 前記バイオマス由来のポリエチレンが、カルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガス、酵素の分解物、夾雑物であるアミンおよびアミノ酸の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニアからなる群より選択される1種または2種以上の不純物を含み、 前記樹脂組成物が、前記バイオマス由来のエチレンを前記樹脂組成物全体に対して5質量%以上含んでなり、前記樹脂組成物が、0.91〜0.937/cm3の密度を有する、包装製品用ヒートシール性樹脂フィルムを備える、ラミネートチューブ。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照 |
異議決定日 | 2022-03-15 |
出願番号 | P2018-082549 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZAA
(B65D)
P 1 651・ 537- ZAA (B65D) P 1 651・ 113- ZAA (B65D) P 1 651・ 536- ZAA (B65D) |
最終処分 | 06 取消 |
特許庁審判長 |
石井 孝明 |
特許庁審判官 |
久保 克彦 藤井 眞吾 |
登録日 | 2019-03-22 |
登録番号 | 6497601 |
権利者 | 大日本印刷株式会社 |
発明の名称 | ポリオレフィン樹脂フィルム |
代理人 | 阿部 寛 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 柏 延之 |
代理人 | 浅野 真理 |
代理人 | 朝倉 悟 |
代理人 | 小島 一真 |
代理人 | 宮嶋 学 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 柏 延之 |
代理人 | 黒木 義樹 |
代理人 | 朝倉 悟 |
代理人 | 宮嶋 学 |
代理人 | 浅野 真理 |
代理人 | 小島 一真 |