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審決分類 |
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 C09J 審判 一部申し立て 2項進歩性 C09J |
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管理番号 | 1387459 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-12-24 |
確定日 | 2022-06-02 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6715669号発明「粘着剤層付セパレートフィルム、セパレートフィルム付光学部材、及びこれらの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6715669号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 特許第6715669号の請求項1、3についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6715669号の請求項1〜6の発明に係る特許についての出願は、平成28年4月22日になされたものであって、令和2年6月11日にその特許権の設定登録がなされ、同年7月1日にその特許掲載公報が発行されたものである。 その後、その特許についての異議申立ての経緯は、以下のとおりである。 令和2年12月24日 特許異議申立人である前田洋志による、請求 項1、3に係る特許に対する特許異議の申立て 令和3年4月14日付け 取消理由通知 同年6月21日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 同年同月30日付け 訂正請求があった旨の通知 同年7月29日付け 意見書の提出(特許異議申立人) 令和3年10月27日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年12月27日 訂正請求書及び意見書の提出(特許権者) 令和4年1月11日付け 訂正請求があった旨の通知 なお、令和4年1月11日付けで訂正請求があった旨を通知し期間を指定して意見書を提出する機会を設けたが、特許異議申立人は、意見書を提出しなかった。 また、令和3年12月27日になされた訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 請求の趣旨及び内容について 令和3年12月27日になされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の請求の趣旨は、「特許第6715669号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜3について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、特許請求の範囲の訂正に係る以下の訂正事項1〜3からなるものである。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に、 「前記粘着剤層は、前記表面に凹凸鋳型が押圧されて前記凹部が形成されている、請求項1に記載の粘着剤層付セパレートフィルム。」 と記載されているのを、独立形式に改め、 「セパレートフィルムと、前記セパレートフィルム上に形成された粘着剤層と、を有し、 前記粘着剤層の前記セパレートフィルムと反対側の表面は、凹部を有し、 前記凹部の深さは、0.05〜0.5μmであり、 前記粘着剤層は、フレキシブルディスプレイを構成する二つの光学部材を貼合するために用いられ、 前記粘着剤層は、前記表面に凹凸鋳型が押圧されて前記凹部が形成されている、粘着剤層付セパレートフィルム。」 に訂正する。 (3) 訂正事項3 ア 特許請求の範囲の請求項3に、 「光学部材と、前記光学部材に貼合された請求項1または2に記載の粘着剤層付セパレートフィルムと、を有し、 前記粘着剤層付セパレートフィルムは、前記粘着剤層の前記表面で前記光学部材に貼合されている、セパレートフィルム付光学部材。」 とあるうち、請求項1を引用するものについて削除し、請求項2を引用するものについて、独立形式に改め、 「光学部材と、前記光学部材に貼合された粘着剤層付セパレートフィルムと、を有し、 前記粘着剤層付セパレートフィルムは、 セパレートフィルムと、前記セパレートフィルム上に形成された粘着剤層と、を有し、 前記粘着剤層の前記セパレートフィルムと反対側の表面は、凹部を有し、 前記凹部の深さは、0.05〜0.5μmであり、 前記粘着剤層は、フレキシブルディスプレイを構成する二つの光学部材を貼合するために用いられ、 前記粘着剤層は、前記表面に凹凸鋳型が押圧されて前記凹部が形成されており、 前記粘着剤層付セパレートフィルムは、前記粘着剤層の前記表面で前記光学部材に貼合されている、セパレートフィルム付光学部材。」 に訂正する。 2 訂正の適否 (1) 一群の請求項について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の記載を訂正するものであるところ、請求項2〜3はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、訂正事項2、3は、それぞれ、本件訂正前の請求項2、3の記載を訂正するものであるところ、これらの訂正に連動して訂正される請求項は、請求項3である。 したがって、本件訂正は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。 (2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、したがって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5、6項に適合するものである。 イ 訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 また、訂正事項2は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 ウ 訂正事項3について 訂正事項3は、要するに、訂正事項3に係る訂正前の請求項3が、請求項1を引用するもの、及び、請求項1を引用する請求項2を引用するものからなるところ、前者を削除して後者のみにするととともに、請求項間の引用関係を解消し、請求項2の記載を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」及び、同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 そして、訂正事項3は、いずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5、6項に適合するものである。 (3) 別の単位とする求めについて 訂正後の請求項2及び3については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することが求められているところ、これらの請求項に係る訂正事項は、それぞれ、訂正事項2、及び、訂正事項3であり、かつ、こられの訂正事項は、上記のとおり、いずれも認められるものである。 したがって、訂正後の請求項2、及び、訂正後の請求項3については、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを認める。 (4) 独立特許要件について 本件特許異議申立ての対象は、請求項1及び3であり、上記1のとおり、本件訂正請求の対象は、請求項1〜3である。 また、上記(2)イのとおり、請求項2に係る訂正事項は、訂正事項2であり、その訂正の目的は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」である。 そうすると、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項(独立特許要件)が適用される請求項はない。 (5) 小括 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5、6項の規定に適合するものである。 したがって、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められたので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1〜6に係る発明(以下、項番にしたがって「本件発明1」などといい、まとめて、「本件発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 削除 【請求項2】 セパレートフィルムと、前記セパレートフィルム上に形成された粘着剤層と、を有し、 前記粘着剤層の前記セパレートフィルムと反対側の表面は、凹部を有し、 前記凹部の深さは、0.05〜0.5μmであり、 前記粘着剤層は、フレキシブルディスプレイを構成する二つの光学部材を貼合するために用いられ、 前記粘着剤層は、前記表面に凹凸鋳型が押圧されて前記凹部が形成されている、粘着剤層付セパレートフィルム。 【請求項3】 光学部材と、前記光学部材に貼合された粘着剤層付セパレートフィルムと、を有し、 前記粘着剤層付セパレートフィルムは、 セパレートフィルムと、前記セパレートフィルム上に形成された粘着剤層と、を有し、 前記粘着剤層の前記セパレートフィルムと反対側の表面は、凹部を有し、 前記凹部の深さは、0.05〜0.5μmであり、 前記粘着剤層は、フレキシブルディスプレイを構成する二つの光学部材を貼合するために用いられ、 前記粘着剤層は、前記表面に凹凸鋳型が押圧されて前記凹部が形成されており、 前記粘着剤層付セパレートフィルムは、前記粘着剤層の前記表面で前記光学部材に貼合されている、セパレートフィルム付光学部材。 【請求項4】 セパレートフィルムと、前記セパレートフィルム上に形成された粘着剤層と、を有する粘着剤層付セパレートフィルムの製造方法であって、 前記セパレートフィルム上に粘着剤組成物を塗工して塗工層を形成する塗工工程と、 前記塗工層を乾燥させることにより、粘着剤層を有する前記セパレートフィルムを得る乾燥工程と、 前記粘着剤層の前記セパレートフィルムと反対側の表面に凹凸鋳型を押圧して凹部を形成する凹部形成工程と、を順に含み、 前記凹部の深さは、0.05〜0.5μmであり、 前記粘着剤層は、フレキシブルディスプレイを構成する二つの光学部材を貼合するために用いられる、粘着剤層付セパレートフィルムの製造方法。 【請求項5】 前記凹凸鋳型がエンボスロールである、請求項4に記載の粘着剤層付セパレートフィルムの製造方法。 【請求項6】 光学部材と、前記光学部材に貼合された粘着剤層付セパレートフィルムと、を有するセパレートフィルム付光学部材の製造方法であって、 請求項4または5に記載の製造方法により前記粘着剤層付セパレートフィルムを製造する工程と、 前記粘着剤層付セパレートフィルムを、前記粘着剤層の前記表面で前記光学部材に貼合する貼合工程と、を順に含む、セパレートフィルム付光学部材の製造方法。」 第4 特許異議の申立てに係る特許について 特許異議の申立てに係る特許は、特許異議申立書の1頁の「1.特許異議の申立てに係る特許の表示」の項に記載されているとおり、特許第6715669号の請求項1、3に係る発明の特許であり、請求項2に係る発明の特許に対しては、特許異議の申立てがされていない。 次に、請求項3は、請求項1または2を引用するものであるが、特許異議申立書の「3.申立ての理由」の項をみても、請求項2を引用する請求項3に係る発明の特許に対する具体的な申立ての理由は何も記載されていない(請求項1を引用する請求項3に係る発明の特許に対する具体的な申立ての理由のみが記載されている)。 以上によれば、特許異議の申立てに係る特許は、実質的に、特許第6715669号の請求項1に係る発明の特許、及び、請求項1を引用する請求項3に係る発明の特許であると認められる。 これに対し、上記第2のとおり、本件訂正により、請求項1、及び、請求項1を引用する請求項3が削除されたから、本件請求項1、3に係る特許異議の申立ては、対象となる請求項が実質的に存在しないものとなった。 なお、上記第1のとおり、訂正請求があった旨を通知し(本件発明3について)期間を指定して意見書を提出する機会を設けたが、特許異議申立人は、意見書を提出しなかった。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件請求項1、3に係る特許異議の申立ては、対象となる請求項が実質的に存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (削除) 【請求項2】 セパレートフィルムと、前記セパレートフィルム上に形成された粘着剤層と、を有し、 前記粘着剤層の前記セパレートフィルムと反対側の表面は、凹部を有し 前記凹部の深さは0.05〜0.5μmであり、 前記粘着剤層は、フレキシブルディスプレイを構成する二つの光学部材を貼合するために用いられ、 前記粘着剤層は、前記表面に凹凸鋳型が押圧されて前記凹部が形成されている、粘着剤層付セパレートフィルム。 【請求項3】 光学部材と、前記光学部材に貼合された粘着剤層付セパレートフィルムと、を有し、 前記粘着剤層付セパレートフィルムは、 セパレートフィルムと、前記セパレートフィルム上に形成された粘着剤層と、を有し、 前記粘着剤層の前記セパレートフィルムと反対側の表面は、凹部を有し、 前記凹部の深さは、0.05〜0.5μmであり、 前記粘着剤層は、フレキシブルディスプレイを構成する二つの光学部材を貼合するために用いられ、 前記粘着剤層は、前記表面に凹凸鋳型が押圧されて前記凹部が形成されており、 前記粘着剤層付セパレートフィルムは、前記粘着剤層の前記表面で前記光学部材に貼合されている、セパレートフィルム付光学部材。 【請求項4】 セパレートフィルムと、前記セパレートフィルム上に形成された粘着剤層と、を有する粘着剤層付セパレートフィルムの製造方法であって、 前記セパレートフィルム上に粘着剤組成物を塗工して塗工層を形成する塗工工程と、 前記塗工層を乾燥させることにより、粘着剤層を有する前記セパレートフィルムを得る乾燥工程と、 前記粘着剤層の前記セパレートフィルムと反対側の表面に凹凸鋳型を押圧して凹部を形成する凹部形成工程と、を順に含み、 前記凹部の深さは、0.05〜0.5μmであり、 前記粘着剤層は、フレキシブルディスプレイを構成する二つの光学部材を貼合するために用いられる、粘着剤層付セパレートフィルムの製造方法。 【請求項5】 前記凹凸鋳型がエンボスロールである、請求項4に記載の粘着剤層付セパレートフィルムの製造方法。 【請求項6】 光学部材と、前記光学部材に貼合された粘着剤層付セパレートフィルムと、を有するセパレートフィルム付光学部材の製造方法であって、 請求項4または5に記載の製造方法により前記粘着剤層付セパレートフィルムを製造する工程と、 前記粘着剤層付セパレートフィルムを、前記粘着剤層の前記表面で前記光学部材に貼合する貼合工程と、を順に含む、セパレートフィルム付光学部材の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2022-05-25 |
出願番号 | P2016-086371 |
審決分類 |
P
1
652・
113-
XA
(C09J)
P 1 652・ 121- XA (C09J) |
最終処分 | 10 決定却下(不適法な申立に |
特許庁審判長 |
門前 浩一 |
特許庁審判官 |
蔵野 雅昭 瀬下 浩一 |
登録日 | 2020-06-11 |
登録番号 | 6715669 |
権利者 | 住友化学株式会社 |
発明の名称 | 粘着剤層付セパレートフィルム、セパレートフィルム付光学部材、及びこれらの製造方法 |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |
代理人 | 弁理士法人深見特許事務所 |