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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B01J 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 B01J 審判 全部申し立て 2項進歩性 B01J |
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管理番号 | 1387471 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-04-21 |
確定日 | 2022-05-26 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第6771399号発明「照射装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6771399号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜4〕について訂正することを認める。 特許第6771399号の請求項1〜4に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6771399号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜4に係る特許についての出願は、平成29年2月2日に出願され、令和2年10月1日に特許権の設定登録がされ、令和2年10月21日に特許掲載公報が発行され、その請求項1〜4に係る発明の特許に対し、令和3年4月21日に伊藤泰和(以下「特許異議申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 特許異議の申立て以後の手続の経緯は次のとおりである。 令和3年 6月23日付け 取消理由通知 同年 8月24日 意見書・訂正請求書(特許権者) 同年 9月 1日付け 訂正請求があった旨の通知 同年10月 4日 意見書(特許異議申立人) 同年11月17日付け 取消理由通知(決定の予告) 同年12月13日 上申書(特許権者) 同年12月14日付け 通知書 令和4年 2月15日 意見書・訂正請求書(特許権者) 同年 2月22日付け 訂正請求があった旨の通知 同年 3月28日 意見書(特許異議申立人) なお、令和3年8月24日付けの訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 令和4年2月15日付けの訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の「請求の趣旨」は『特許第6771399号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜4について訂正することを求める。』というものであり、その内容は、以下の訂正事項1及び2からなるものである(なお、訂正箇所に下線を付す。)。 (1)訂正事項1 訂正前の請求項1の「前記流路構造の内部に向けて紫外光を照射する光源」との記載部分を、訂正後の請求項1の「前記流路内壁面の少なくとも一部に気泡が付着した状態で前記流路構造の内部を流れる固形物が除去された水に向けて紫外光を照射する光源」との記載に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2〜4も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 訂正前の請求項3の「前記直管の内部に向けて前記直管の軸方向に紫外光を照射」との記載部分を、訂正後の請求項3の「前記直管の内面の少なくとも一部に気泡が付着した状態で前記直管の内部を流れる固形物が除去された水に向けて前記直管の軸方向に紫外光を照射」との記載に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。)。 2.本件訂正による訂正の適否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「紫外光を照射」する「状態」及び「対象」を、本件特許明細書の段落0022の「直管20の内壁面18に気泡が付着すると、流体と気泡の屈折率差により気泡表面で反射ないし散乱が生じ、直管20の内部の紫外光照度分布に影響を及ぼす。」との記載、並びに同段落0014の「照射装置10は、直管20の内部を流れる水などの流体に紫外光を照射して」との記載、及び同段落0027の「処理された流体は、固形物が除去された後」との記載に基づいて「流路内壁面の少なくとも一部に気泡が付着した状態」及び「流路構造の内部を流れる固形物が除去された水」に限定するものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において「特許請求の範囲の減縮」を目的として訂正するものに該当する。 そして、訂正事項1は「特許請求の範囲の減縮」のみを目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、なおかつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項3の「紫外光を照射」する「状態」及び「対象」を、本件特許明細書の段落0022の「直管20の内壁面18に気泡が付着すると、流体と気泡の屈折率差により気泡表面で反射ないし散乱が生じ、直管20の内部の紫外光照度分布に影響を及ぼす。」との記載、並びに同段落0014の「照射装置10は、直管20の内部を流れる水などの流体に紫外光を照射して」との記載、及び同段落0027の「処理された流体は、固形物が除去された後」との記載に基づいて「直管の内面の少なくとも一部に気泡が付着した状態」及び「直管の内部を流れる固形物が除去された水」に限定するものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において「特許請求の範囲の減縮」を目的として訂正するものに該当する。 そして、訂正事項2は「特許請求の範囲の減縮」のみを目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、なおかつ、同法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)一群の請求項について 訂正事項1及び2に係る訂正前の請求項1〜4について、その請求項2〜4はいずれも直接又は間接的に請求項1を引用するものであるから、訂正前の請求項1〜4に対応する訂正後の請求項1〜4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 したがって、訂正事項1及び2による本件訂正は、特許法第120条の5第4項に適合するものである。 3.まとめ 以上総括するに、訂正事項1及び2による本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、なおかつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1〜4〕について訂正を認める。 第3 本件発明 本件訂正により訂正された請求項1〜4に係る発明(以下「本1発明」〜「本4発明」ともいう。)は、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 算術平均粗さが4μm以上100μm以下のフッ素系樹脂材料で流路内壁面の少なくとも一部が構成される流路構造と、 前記流路内壁面の少なくとも一部に気泡が付着した状態で前記流路構造の内部を流れる固形物が除去された水に向けて紫外光を照射する光源と、を備えることを特徴とする照射装置。 【請求項2】 前記フッ素系樹脂材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることを特徴とする請求項1に記載の照射装置。 【請求項3】 前記流路構造は、前記フッ素系樹脂材料で構成される直管を含み、 前記光源は、前記直管の内面の少なくとも一部に気泡が付着した状態で前記直管の内部を流れる固形物が除去された水に向けて前記直管の軸方向に紫外光を照射するよう配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の照射装置。 【請求項4】 前記光源は、波長が250nm〜300nmの紫外光を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の照射装置。」 第4 取消理由通知の概要 令和3年11月17日付けの取消理由通知(決定の予告)で通知された取消理由は、次の理由2からなるものである。 〔理由2〕本件特許の請求項1〜4に係る発明は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。 『1.(4)本件特許の請求項1に記載された「算術平均粗さが4μm以上100μm以下」という広範な数値範囲の「算術平均粗さRa」の値が、本件特許明細書の実施例で確認された「4μm」を超える場合(例えば、9μmや15μmや30μmや100μm程度の場合)であっても、上記『紫外光の照射効率を高めた照射装置の提供』という課題を解決できる範囲にあると直ちに認識することはできない。』 よって、本件特許の請求項1〜4に係る発明に係る特許は、同法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。 第5 当審の判断 1.理由2(サポート要件)について (1)一般に『特許請求の範囲の記載が,明細書のサポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものであり,明細書のサポート要件の存在は,特許出願人(…)が証明責任を負うと解するのが相当である。…当然のことながら,その数式の示す範囲が単なる憶測ではなく,実験結果に裏付けられたものであることを明らかにしなければならないという趣旨を含むものである。』とされている〔平成17年(行ケ)10042号判決参照。〕。 (2)そして、本件特許の請求項1〜4に係る発明の解決しようとする課題は、本件特許明細書の段落0005の記載を含む発明の詳細な説明の記載からみて『紫外光の照射効率を高めた照射装置の提供』にあるものと認められる。 (3)これに対して、本件特許明細書の段落0024には、内直径が40mmのPTFE管の内部に「純水」を満たした状態で、光源から150mm離れた位置で照度分布を計測した実施例及び比較例の試験方法が記載され、 同段落0025には「グラフより、実施例に係る光の強度は、流路内の径方向の全体にわたって比較例よりも高いことがわかる。特に、光強度が最大となる中心位置において、実施例の光強度は、比較例よりも60%以上高い。このことから、流路内壁面の表面粗さRaを4μmとすることにより、表面粗さRaが1.8μmとする場合よりも流路内の光強度を高くでき、光源からの紫外光をより遠くまで効率的に伝搬させることができる。」という試験結果が記載されている。 また、当該「グラフ」として、願書に添付された図面の【図2】には「 ![]() 」という「流路内の照度分布を模式的に示すグラフ」が記載されている。 (4)さらに、本件特許明細書の段落0022には「直管20の内壁面18に気泡が付着すると、流体と気泡の屈折率差により気泡表面で反射ないし散乱が生じ、直管20の内部の紫外光照度分布に影響を及ぼす。フッ素系樹脂材料の表面では拡散反射が主体的であり、入射する紫外光が様々な方向に散乱されるのに対し、気泡表面では鏡面反射が主体的であり、入射する紫外光が特定の方向に強く反射されやすい。その結果、流路内壁面に多数の気泡を生じさせると、流路内壁面で紫外光を鏡面反射させて紫外光をより遠くまで伝搬させることができる。本実施の形態では、気泡を発生させて紫外光の伝搬距離を長くする目的のため、内壁面18の算術平均粗さRaを4μm以上としている。」という作用機序が記載され、 同段落0028には「照射装置10では、流路内壁面の表面粗さRaが4μm以上に設定されているため、流路内壁面に好適に気泡を付着させることができる。その結果、照射装置10において高効率に紫外光を照射することができ、浄化装置70の処理能力を向上させることができる。」という作用機序が記載されている。 (5)してみると、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許の請求項1に記載された「算術平均粗さが4μm以上100μm以下」という数値範囲について、 上記(3)に示した「試験結果」の記載によって、その値が少なくとも「4μm」である場合に、上記『紫外光の照射効率を高めた照射装置の提供』という課題を解決できることが具体的に裏付けられ、 上記(4)に示した「流路内壁面の表面粗さRaが4μm以上に設定」されると「流路内壁面に好適に気泡を付着させること」ができ、気泡が生じると「流路内壁面で紫外光を鏡面反射させて紫外光をより遠くまで伝搬させること」ができるという「作用機序」の記載から、本件特許の請求項1に記載された「前記流路内壁面の少なくとも一部に気泡が付着した状態」で「紫外光を照射」するという発明特定事項を満たした場合に「算術平均粗さが4μm以上100μm以下」の全ての範囲において、上記『紫外光の照射効率を高めた照射装置の提供』という課題を解決できると認識することができるといえるので、 本件発明に係る特許請求の範囲の記載が、発明の詳細な説明において開示されている技術的事項の範囲を超えているとはいえない。 2.特許異議申立人の主張に対して (1)この点に関して、令和4年3月28日付けの意見書の第1〜2頁(ア)で、特許異議申立人は「訂正の請求書と共に提出された取消理由通知に対応する特許権者の意見書…で示された実験結果は、水が入っていない空気で満たされた状態のPTFE管の内部に純水を入れることで、PTFE管の内面に気泡が付着することが確認された実験結果であり、本件特許明細書の段落0024に記載される条件とは相違しています。」と主張する。 しかしながら、特許権者の意見書で示された実験結果を参酌せずとも、上記(3)及び(4)に示した本件特許明細書の「試験結果」と「作用機序」の記載から、本件特許の請求項1に記載された「算術平均粗さが4μm以上100μm以下」という数値範囲の全ての範囲において上記『紫外光の照射効率を高めた照射装置の提供』という課題を解決できると認識することができると認められることは上述のとおりなので、特許異議申立人の当該主張は採用できない。 (2)また、同意見書の第3頁(イ)で、特許異議申立人は『実施例、比較例において照射対象は静置した水であると解されます。つまり、本願訂正請求項1(本件請求項1)に記載の「内部を流れる固形物が除去された水」をサポートしておりません。』と主張する。 しかしながら、本1発明は「流路内壁面の少なくとも一部に気泡が付着した状態」にあることを発明特定事項とするところ、気泡が付着すれば、上記(4)に示した作用機序によって「高効率に紫外光を照射すること」ができると解するのが合理的であるから、流路構造の内部に満たされた水が「静置された水」か「流れる水」かの違いによって課題解決の可否が左右されるとは解せず、特許異議申立人の当該主張は採用できない。 (3)また、同意見書の第3〜4頁(ウ)で、特許異議申立人は「意見書の…グラフに関し…比較令のエラーバー(平均からのばらつきの誤差範囲と定義)の一部が実施例4μm、9μmのエラーバーと重なる範囲があります。」と主張する。 しかしながら、上記(6)に示したように、特許権者の意見書で示された実験結果を参酌せずとも、本1発明がサポート要件を満たすといえるので、特許異議申立人の当該主張は採用できない。 (4)また、同意見書の第4〜5頁(エ)で、特許異議申立人は『本件請求項1では、「前記流路内壁面の少なくとも一部に気泡が付着した状態で前記流路構造の内部を流れる固形物が除去された水に向けて紫外光を照射する」と特定しているだけであり、供給される水に含まれる溶存空気量、または、PTFE管の内部を水が入っていない空気で満たされた状態にすることについて特定する構成は含まれていません。従って、本件特許の作用効果を奏するためには、PTFE管の内壁面の粗さを所定の範囲に特定するだけでは不十分であると解されます。』と主張する。 しかしながら、一般に『発明を特定するための事項ではない技術的事項に着目し,実施可能要件及びサポート要件を問うことは適切ではないと解される。』とされているところ〔平成21年(行ケ)10252号判決参照〕、 本件特許の請求項1に記載された「算術平均粗さが4μm以上100μm以下のフッ素系樹脂材料で流路内壁面の少なくとも一部が構成される流路構造と、前記流路内壁面の少なくとも一部に気泡が付着した状態で前記流路構造の内部を流れる固形物が除去された水に向けて紫外光を照射する光源と、を備える」という発明特定事項の範囲のもの全てが、本件発明の課題を解決できると認識できることは、上記(3)及び(4)に示した本件特許明細書の「試験結果」と「作用機序」の記載によって裏付けられているといえるから、本件発明に係る特許請求の範囲の記載が、発明の詳細な説明において開示されている技術的事項の範囲を超えているとはいえない。 したがって、特許異議申立人の主張する「供給される水に含まれる溶存空気量」等は、本件発明において「課題を解決するための手段」に位置づけているものではないから、当該「供給される水に含まれる溶存空気量」等に関する事項が規定されていないことは、本件発明に係る特許請求の範囲の記載が発明の詳細な説明において開示されている技術的事項の範囲を超えているか否かに関係がなく、特許異議申立人の当該主張は採用できない。 (5)また、同意見書の第5頁(オ)で、特許異議申立人は『この「固形物」の定義については、本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載されておりません。…従って、「固形物が除去された水」との記載は、不明確であると思料致します。』と主張する。 しかしながら、当該「固形物」が明確であるか否かは「サポート要件の適否」に関係がなく、当該「固形物」という用語が、一般的な「用語解釈」や「常識」に照らして不明確であるといえる合理的な根拠は見当たらないので、特許異議申立人の当該主張は採用できない。 (6)また、同意見書の第5〜6頁(カ)で、特許異議申立人は「本件特許明細書の段落0024には、…PTFE管の内面に気泡が付着する点については記載されていません。」と主張する。 しかしながら、本件特許明細書の段落0028の「曝気装置64を通じて空気が供給されるため…気泡が生じやすい。…流路内壁面の表面粗さRaが4μm以上に設定されているため、流路内壁面に好適に気泡を付着させることができる。」との記載があるところ、本件特許明細書の実施例は「曝気装置」を用い、流路内壁面の表面粗さRaを「4μm以上」にして、好適に「気泡を付着」させているものと解されるので、特許異議申立人の当該主張は採用できない。 3.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)申立理由1(実施可能要件)について 特許異議申立人が主張する申立理由1(実施可能要件)は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載には不備があり、本件特許発明1〜4は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるというものである(特許法第113条第4号)。 そして、その不備として「本件特許発明1−4では特に流体についての限定がありませんので、全ての流体に利用して効果が発揮できる照射装置であると解されるところ、流体が気体である場合にはそもそも気泡は発生し得ないから所望の効果が発揮し得るとは到底思えませんし、流体が液体であって且つ水よりも粘性の高い油などである場合にも、Raが4μm以上100μm以下であれば水の場合に得られたのと同様の作用効果が発揮し得るのか甚だ疑問であります。」との点を主張している(申立書の第4頁)。 しかしながら、上記「所望の効果が発揮し得る」か否かは、本件特許の請求項1〜4に係る発明を実施できるか否かと関係がない。 したがって、特許異議申立人が主張する「不備」によっては、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、本件特許の請求項1〜4に係る発明の実施を当業者がすることできる程度に明確かつ十分に記載したものではないとはいえないので、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に適合しないとはいえず、申立理由1(実施可能要件)に理由があるとはいえない。 (2)申立理由2(サポート要件)について 特許異議申立人が主張する申立理由2(サポート要件)は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載には不備があり、本件特許発明1〜4は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるというものである(特許法第113条第4号)。 そして、その不備として「本件特許発明1−4では特に流体についての限定がありませんので、全ての流体に利用して効果が発揮できる照射装置であると解されるところ、本件明細書に記載されている具体例は、流体が水である場合のみであり、その水に関する記載だけを根拠に、油などの水に比べて粘性の高い液体に本件特許発明1−4を適用した場合に関する説明が十分であるとは到底思えませんし、流体が気体である場合に気泡が発生するという説明は到底成り立ちません。」との点を主張している(申立書の第6頁)。 しかしながら、本件特許の請求項1の「流路構造の内部を流れる固形物が除去された水に向けて紫外光を照射する」との記載にあるように、本件発明の流体は「水」に限定されており、上記主張の「流体が水である場合のみ」に該当するから、当該「不備」は存在しない。 したがって、特許異議申立人が主張する「不備」によっては、本件特許の請求項1〜4の記載が、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえないので、本件特許の請求項1及びその従属項の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合しないとはいえず、申立理由2(サポート要件違反)に理由があるとはいえない。 (3)申立理由3(進歩性)について ア.申立理由3(進歩性)の概要 特許異議申立人が主張する申立理由3(進歩性)は、本件特許発明1〜4は、甲1発明および甲4発明に基づいて、又は、甲1発明および周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定を満たしていないというものである(特許法第113条第2号)。 そして、次の甲第1〜5号証を証拠として提出している(申立書の第21頁)。 甲第1号証:特表2016−511138号公報 甲第2号証:国際公開第2015/046014号 甲第3号証:特開2002−18431号公報 甲第4号証:特開2004−270764号公報 甲第5号証:里川孝臣著、「ふっ素樹脂ハンドブック」、初版、日刊工業新聞社、1990年11月30日、表紙、第54頁 イ.甲第1〜5号証の記載事項 (ア)甲第1号証には、次の記載がある。 摘記1a:請求項1 「【請求項1】処理される液体を受ける入口及び処理された液体を排出する出口を含み、前記入口及び前記出口の間の複数の液体の流路を規定する水路と、 前記液体を照らすUV発光ダイオード(LED)モジュールアレイであって、アレイホルダの曲面の上に配置された複数のUV LEDモジュールを含むUV LEDモジュールアレイと、を含み、 前記UV LEDモジュールアレイは、望ましいUV線量分布を得るように、前記液体の流路に適した前記水路内でカスタマイズされた空間光束分布を生じるように構成されている、紫外線(UV)液体処理装置。」 摘記1b:段落0011〜0014 「【0011】…いくつかのLEDモジュールは、微生物を不活性化することのできる波長で光を発するように構成されている。例えば、LEDモジュールは、窒化アルミニウム(AlN)と、窒化ガリウム(GaN)結晶と、(すなわち、半導体ウエハ)を含み、殺菌範囲(すなわち、約200〜320nm)の波長でUV光を放射してよい。それぞれのLEDモジュールは、標準的なTO−3半導体パッケージに接続されてよい。… 【0012】LEDモジュールは、液体を運ぶ水路又は容器の外に配置されてよい。代替的に、LEDモジュールは、水路の内部に配置されてもよい。…カスタマイズされた空間の光束分布により、水路内の液体のUV殺菌処理の効率が上がるように、望ましい配分機能を有するUV線量を生じる。 【0013】図1を参照すると、図1は、発明のいくつかの例示的な実施形態による、UV液体処理装置の例示の図である。装置10は、液体を運ぶ水路11と、処理される液体を受け入れる入口12と、処理された流体が排出される出口13と、を含んでよい。水路11は、入口12と出口13の間に複数の液体流路を規定するよう設計されてよい。装置10はさらに、複数のUV発光ダイオード(LED)モジュール16を有するUV LEDモジュールアレイ15を含む。UV LEDアレイ15は、アレイホルダ18の曲面17の上に配置されて、望ましい線量配分の機能でUV線量を生じさせる水路内に、カスタマイズされた空間の光束分布を生じる。 【0014】水路11は、例えば、ステンレススチール、クォーツ、各種ポリマー等の、液体を運ぶことに適した素材を含んでよい。いくつかの実施形態では、水路11は、UV光に対して透過性の素材を含むか、少なくとも、UV光を反射する塗料が塗られてよい。本発明による水路11は、どのような断面、面積、形状を有してもよく、入口12と出口13との間で複数の液体流路を規定することを支持するように設計される。」 摘記1c:段落0017〜0018及び0052 「【0017】図2Aは、発明のいくつかの例示的な実施形態におけるUV液体処理装置を、概念的に示す。装置100は、液体を運ぶ水路110を含み、処理する液体を受け入れる入口120と、処理された液体を排出する出口125とを含んでよい。水路110は、入口120及び出口125の間で複数の液体の流路を規定するように設計されてよい。装置100は、液体を照らすために、UV LEDモジュール205のアレイを含む。UV LEDモジュールアレイ205は、アレイホルダ200の曲面235の上に配置されてよく、カスタマイズされた空間の光束分布を水路内に生じて、望ましい線量分布のUV線量を生み出す。装置100は、さらに、アレイ205と水路110の液体の間に、視覚的な窓210を含んでよい。 【0018】水路110は、水路110及び水路の端部112内に位置する内部の給水管111を含んでよい。液体は、液体入口120から給水管111に入ってよい。液体は、内側の管111を介してホルダ200へ流れ、それから管111と水路110の間に形成された隙間を介して液体出口125へ流れてよい。いくつかの実施形態では、水路110及び管111は、円筒状の同心の管であってよい。いくつかの実施形態では、水路110及び内側の管111は、視覚的に透明であり、例えば、UV光に対して透過性であってよい。代替的に、水路110は、少なくとも部分的に反射コーティングでコートされており、例えば出口125及び入口120を含む水路端部112が、反射コーティングでコートされていてよい。水路110及び内側の管111は、視覚的に透明な素材、例えば、クォーツやポリテトラフルオロエチレンを含んでよい。選択的に、水路110は、外側の管又はハウジング(図示せず)の内部に位置されてもよい。ハウジングは、水路110を保護するために適切な素材を含んでよく、例えば、外側のハウジングは、様々な金属や合金、セラミック素材等を含んでよい。空気の隙間が水路110及びハウジングの間に形成されてもよい。… 【0052】ハウジングと水路との間には、空気の隙間が形成されていてよい。いくつかの実施形態によれば、透明な素材の中を流れる液体の流れは、導波管のように働き、そして少なくとも光の一部、例えば、照射される光度(例えばUV度)の半分が、光学的に透明な水路とこれを囲む媒体との間の面に全反射してよい。本発明の実施形態によれば、照射される光度の少なくとも50%が、光学的に透明なスリーブとこれを囲む媒体との間の面に、全反射で反射される。」 (イ)甲第2号証には、次の記載がある。 摘記2a:段落0030 「[0030]…紫外線光源3が流路6に露出しないように配置することによって、流路6内周面に凹凸部が生じるのを防ぎ、紫外線光源3表面や移送管2内面に汚れが付着することができる。」 (ウ)甲第3号証には、次の記載がある。 摘記3a:段落0016 「【0016】…流体に含まれる微粒子等を吸着して堆積しないよう、流通部における流体と直接接触する領域は、表面が平滑なシームレス構造であると好ましい。」 (エ)甲第4号証には、次の記載がある。 摘記4a:段落0011 「【0011】発明1の防汚性樹脂更生管(以下、単に更生管という)において、表面の平滑性の指標となる内面の表面粗さRmax(以下、Rmaxという)は0〜5.0μmに限定され、好ましくは0.1〜4.0μmであり、さらに好ましくは0.1〜3.0μmである。上記Rmaxが、5.0μmを超えると、油脂分が付着しやすくなり、付着し始めると経時的に付着量が増大してしまう。」 (オ)甲第5号証には、次の記載がある。 摘記5a:第54頁第17〜20行 「ふっ素樹脂の機械加工品の表面仕上げは、4.0μm(Rms値)以上の仕上げが可能であるが、樹脂の圧縮特性と低摩擦係数により、通常はその必要がないことが多い。ただし、低温領域でシール性を必要とする場合は、できるだけ表面仕上げは、細かくしたほうがよい。」 ウ.甲第1号証に記載された発明 摘記1aの「入口及び…出口を含み、前記入口及び前記出口の間の…液体の流路を規定する水路と、前記液体を照らすUV発光ダイオード(LED)モジュールアレイ…と、を含み、前記UV LEDモジュールアレイは、望ましいUV線量分布を得るように、前記液体の流路に適した前記水路内でカスタマイズされた空間光束分布を生じるように構成されている、紫外線(UV)液体処理装置。」との記載、 摘記1bの「LEDモジュールは、…殺菌範囲(すなわち、約200〜320nm)の波長でUV光を放射してよい。…水路11は、…各種ポリマー等の…素材を含んでよい。…水路11は、…UV光を反射する塗料が塗られてよい。」との記載、及び 摘記1cの「図2A…水路110は、入口120及び出口125の間で複数の液体の流路を規定するように設計されてよい。装置100は、液体を照らすために、UV LEDモジュール205のアレイを含む。…水路110は、少なくとも部分的に反射コーティングでコートされており、…水路110及び内側の管111は、…ポリテトラフルオロエチレンを含んでよい。」との記載からみて、甲第1号証には、 『入口120及び出口125を含み、前記入口120及び前記出口125の間の液体の流路を規定するポリテトラフルオロエチレンを含んでよい水路110と、前記液体を照らすUV発光ダイオード(LED)モジュールアレイ205とを含む、紫外線(UV)液体処理装置100。』についての発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 エ.対比 本1発明と甲1発明とを対比する。 甲1発明の「液体の流路を規定するポリテトラフルオロエチレンを含んでよい水路110」は、本件特許の請求項2の「前記フッ素系樹脂材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である」との記載からみて、その「ポリテトラフルオロエチレン」が「フッ素系樹脂材料」であることが明らかなので、本1発明の「フッ素系樹脂材料で流路内壁面の少なくとも一部が構成される流路構造」に相当する。 甲1発明の「前記液体を照らすUV発光ダイオード(LED)モジュールアレイ205」は、水路110の内部にある液体に紫外線(UV)を照射するものであって、水路110を流れる液体は「水」であることが明らかであるから、本1発明の「前記流路構造の内部を流れる…水に向けて紫外光を照射する光源」に相当する。 甲1発明の「紫外線(UV)液体処理装置100」は、紫外線(UV)を照射するLEDモジュールアレイ205を備えるものであるから、本1発明の「照射装置」に相当する。 してみると、本1発明と甲1発明は『フッ素系樹脂材料で流路内壁面の少なくとも一部が構成される流路構造と、前記流路構造の内部を流れる水に向けて紫外光を照射する光源と、を備える照射装置。』という点で一致し、次の(α)〜(γ)の3つの点で相違する。 (α)流路内壁面の少なくとも一部を構成するフッ素系樹脂材料の算術平均粗さが、本1発明においては「4μm以上100μm以下」に特定されているのに対して、甲1発明においては算術平均粗さが特定されていない点 (β)紫外光を照射する状態が、本1発明においては「前記流路内壁面の少なくとも一部に気泡が付着した状態」でなされるのに対して、甲1発明においては「気泡が付着した状態」でなされるものではない点 (γ)流路構造の内部を流れる水が、本1発明においては「固形物が除去された水」であるのに対して、甲1発明においては「固形物が除去」された水ではない点 オ.判断 上記(α)の相違点について検討するに、流路内壁面に関連する事項として、甲第1号証の段落0014(摘記1b)には「水路11は、UV光に対して透過性の素材を含むか、少なくとも、UV光を反射する塗料が塗られてよい。」との記載があるが、甲第1号証には、流路内壁面の少なくとも一部を構成するフッ素系樹脂材料の算術平均粗さを特定の値に設定することについて、示唆を含めて記載がない。 そして、甲第2号証の段落0030(摘記2a)には「流路6内周面に凹凸部が生じるのを防ぎ、紫外線光源3表面や移送管2内面に汚れが付着することができる。」との記載があるところ、甲第2号証に記載の発明は、流路内壁面に「凹凸部」が生じるのを防ぐという技術思想にあるという点において、流路内壁面に「4μm以上」の算術平均粗さを持たせるという本1発明の技術思想と逆の技術思想にあるといえるものであり、 甲第3号証の段落0016(摘記3a)には「流通部における流体と直接接触する領域は、表面が平滑なシームレス構造であると好ましい。」との記載があるところ、甲第3号証に記載の発明は、流通部の表面が「平滑」であることが好ましいという技術思想にあるという点において、甲第3号証に記載の発明は、流路内壁面に「4μm以上」の算術平均粗さを持たせるという本1発明の技術思想と逆の技術思想にあるといえるものであり、 甲第4号証の段落0011(摘記4a)には「表面の平滑性の指標となる内面の表面粗さRmax(以下、Rmaxという)は0〜5.0μmに限定され、好ましくは0.1〜4.0μmであり、さらに好ましくは0.1〜3.0μmである。」との記載があるところ、当該「Rmax」は、表面粗さの最大値(max)の値であって、平均値を意味するものではなく、Rmaxの上限値をさらに好ましくは3.0μmとする技術思想にあるという点において、甲第4号証に記載の発明は、流路内壁面に「4μm以上」の算術平均粗さを持たせるという本1発明の技術思想と逆の技術思想にあるといえるものであり、 甲第5号証の第54頁(摘記5a)には「ふっ素樹脂の機械加工品の表面仕上げは、4.0μm(Rms値)以上の仕上げが可能であるが、…通常はその必要がないことが多い。…できるだけ表面仕上げは、細かくしたほうがよい。」との記載があるところ、甲第5号証は「照射装置」や「流路構造」に関連した技術分野に属するものではなく、そのRms値(実効値)を4.0μm以上とする必要性は通常なく、表面仕上げは細かくしたほうがよいという技術思想にあるという点において、甲第5号証に記載の技術事項は、流路内壁面に「4μm以上」の算術平均粗さを持たせるという本1発明の技術思想と逆の技術思想にあるといえるものである。 してみると、甲第1〜5号証に記載の技術事項を精査しても、流路内壁面の少なくとも一部を構成するフッ素系樹脂材料の算術平均粗さを「4μm以上100μm以下」にすることについては、示唆を含めて記載がないので、上記(α)の相違点に係る構成を甲1発明に具備させることが当業者にとって容易であるとはいえない。 また、本1発明は、上記(α)の相違点に係る構成を具備することにより、本件特許明細書の段落0011に記載の「流路内での紫外光の照射効率を高めることができる」という格別の効果を奏するに至ったものである。 したがって、上記(β)及び(γ)の相違点について検討するまでもなく、本1発明は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。 カ.本件特許の請求項2〜4に係る発明について 本2〜本4発明は、本1発明を直接又は間接的に引用し、さらに限定したものであるから、本1発明の進歩性が甲第1〜5号証によって否定できない以上、本2〜本4発明が、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものに該当するとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由、並びに特許異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すことができない。 また、他に本件特許の請求項1〜4に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 算術平均粗さが4μm以上100μm以下のフッ素系樹脂材料で流路内壁面の少なくとも一部が構成される流路構造と、 前記流路内壁面の少なくとも一部に気泡が付着した状態で前記流路構造の内部を流れる固形物が除去された水に向けて紫外光を照射する光源と、を備えることを特徴とする照射装置。 【請求項2】 前記フッ素系樹脂材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることを特徴とする請求項1に記載の照射装置。 【請求項3】 前記流路構造は、前記フッ素系樹脂材料で構成される直管を含み、 前記光源は、前記直管の内面の少なくとも一部に気泡が付着した状態で前記直管の内部を流れる固形物が除去された水に向けて前記直管の軸方向に紫外光を照射するよう配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の照射装置。 【請求項4】 前記光源は、波長が250nm〜300nmの紫外光を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の照射装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照 |
異議決定日 | 2022-05-17 |
出願番号 | P2017-017512 |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YAA
(B01J)
P 1 651・ 537- YAA (B01J) P 1 651・ 121- YAA (B01J) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
門前 浩一 |
特許庁審判官 |
瀬下 浩一 木村 敏康 |
登録日 | 2020-10-01 |
登録番号 | 6771399 |
権利者 | 日機装株式会社 |
発明の名称 | 照射装置 |
代理人 | 村田 雄祐 |
代理人 | 三木 友由 |
代理人 | 森下 賢樹 |
代理人 | 三木 友由 |
代理人 | 村田 雄祐 |
代理人 | 森下 賢樹 |