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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B65G
管理番号 1387526
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-08-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-03-03 
確定日 2022-07-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第6935792号発明「搬送情報生成装置、搬送システム、制御方法、プログラムおよび記録媒体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6935792号の請求項1ないし15に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6935792号の請求項1〜15に係る特許についての出願は、平成30年11月27日に出願され、令和3年8月30日にその特許権の設定登録がされ、令和3年9月15日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年3月3日に特許異議申立人市東勇(以下、「異議申立人」という。)により、その請求項1〜15に係る特許に対し特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
特許第6935792号の請求項1〜15に係る発明は、それぞれ、その願書に添付した特許請求の範囲の請求項1〜15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
搬送移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送経路を示す基本搬送情報の入力を受け付ける第1入力部と、
前記第1入力部によって受け付けられた複数の前記基本搬送情報に示される搬送作業を、1台の前記搬送移動装置によって実現する搬送経路を示す合成搬送情報を生成する第1算出部と、
前記合成搬送情報を、前記搬送移動装置の搬送移動を制御する搬送移動装置管理装置に出力する出力部と、
を備える搬送情報生成装置。
【請求項2】
前記第1算出部は、前記搬送移動装置が移動可能な経路の配置情報を参照し、前記合成搬送情報を生成する請求項1に記載の搬送情報生成装置。
【請求項3】
前記第1算出部は、少なくとも一部の搬送経路が共通している複数の前記基本搬送情報に基づいて前記合成搬送情報を生成する請求項1または2に記載の搬送情報生成装置。
【請求項4】
前記搬送移動装置の搬送状態を示す搬送状態情報を取得する搬送状態情報取得部をさらに備え、
前記第1算出部は、前記搬送状態情報取得部が取得した前記搬送状態情報を参照し、前記合成搬送情報を生成する請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送情報生成装置。
【請求項5】
前記搬送状態情報取得部は、複数の前記搬送移動装置の搬送状態情報を取得し、さらに、
前記第1算出部は、複数の前記搬送移動装置の搬送状態情報を参照して、前記合成搬送情報による搬送作業を行う前記搬送移動装置を選択する、請求項4に記載の搬送情報生成装置。
【請求項6】
前記第1算出部は、前記搬送移動装置における前記搬送対象物の積載能力情報を参照し、前記合成搬送情報を生成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送情報生成装置。
【請求項7】
搬送対象物を指示する対象物指示情報の入力を受け付ける第2入力部と、
前記第2入力部によって受け付けられた前記対象物指示情報に基づいて、前記基本搬送情報を生成する第2算出部と、
前記第2算出部によって生成された前記基本搬送情報を前記第1入力部に送信する第2出力部と、
をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の搬送情報生成装置。
【請求項8】
前記合成搬送情報の入力を受け付ける第3入力部と、
前記搬送移動装置による搬送作業が行われる時間帯に基づいて、前記第3入力部によって受け付けられた前記合成搬送情報の修正要否を判定し、修正要の場合に修正搬送情報を生成する第3算出部と、
をさらに備え、
前記出力部は、前記合成搬送情報に代えて前記修正搬送情報を、前記搬送移動装置の搬送移動を制御する搬送移動装置管理装置に出力する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の搬送情報生成装置。
【請求項9】
前記第3算出部は、前記搬送移動装置による過去の搬送作業の履歴を学習することにより、時間帯に応じた予想搬送時間を算出し、当該予想搬送時間に基づいて修正搬送情報を生成する請求項8に記載の搬送情報生成装置。
【請求項10】
搬送移動装置、搬送移動装置管理装置、および搬送情報生成装置を含んでいる搬送システムであって、
前記搬送情報生成装置は、
搬送移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送経路を示す基本搬送情報の入力を受け付ける第1入力部と、
前記第1入力部によって受け付けられた複数の前記基本搬送情報に示される搬送作業を、1台の前記搬送移動装置によって実現する搬送経路を示す合成搬送情報を生成する第1算出部と、
前記合成搬送情報を、前記搬送移動装置管理装置に出力する出力部と、
を備えており、
前記搬送移動装置は、搬送移動装置制御部を備えており、
前記搬送移動装置制御部は、前記搬送移動装置管理装置から前記合成搬送情報を受け取り、当該合成搬送情報に基づいて前記搬送移動装置に搬送作業を実行させる、搬送システム。
【請求項11】
前記搬送移動装置が前記合成搬送情報に基づく搬送作業を実行中に、当該搬送作業の搬送経路上に障害物が存在した場合、
前記搬送移動装置制御部は、前記合成搬送情報を前記搬送情報生成装置にフィードバックし、
前記搬送情報生成装置は、前記合成搬送情報を修正した修正搬送情報を生成し、当該修正搬送情報を前記搬送移動装置管理装置に出力し、
前記搬送移動装置制御部は、前記搬送移動装置管理装置から前記修正搬送情報を受け取り、当該修正搬送情報に基づいて前記搬送移動装置に搬送作業を実行させる、請求項10に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記合成搬送情報には優先度が設定されており、
前記搬送移動装置が前記合成搬送情報に基づく搬送作業を実行中に、当該搬送作業の搬送経路上に障害物が存在した場合、
前記搬送移動装置制御部は、前記優先度に応じて、前記合成搬送情報を前記搬送情報生成装置にフィードバックするか、前記障害物に対して警告を発するか、を選択する、請求項10または11に記載の搬送システム。
【請求項13】
搬送移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送経路を示す基本搬送情報の入力を受け付ける第1入力ステップと、
前記第1入力ステップによって受け付けられた複数の前記基本搬送情報に示される搬送作業を、1台の前記搬送移動装置によって実現する搬送経路を示す合成搬送情報を生成する第1算出ステップと、
前記合成搬送情報を、前記搬送移動装置の搬送移動を制御する搬送移動装置管理装置に出力する出力ステップと、
を含む、搬送情報生成装置の制御方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の搬送情報生成装置としてコンピュータを機能させるための搬送情報生成プログラムであって、コンピュータを前記第1入力部、前記第1算出部および前記出力部として機能させるための搬送情報生成プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の搬送情報生成プログラムが格納されている、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。」

第3 申立理由の概要
異議申立人は、証拠として、次の甲第1号証を提出し、請求項1、3〜7及び13〜15に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、請求項1、3〜7及び13〜15に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
また、異議申立人は、証拠として甲第1号証に加え次の甲第2号証〜甲第9号証を提出し、主たる証拠を甲第1号証とし、従たる証拠を甲第2号証〜甲第9号証として、請求項1〜15に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1〜15に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
さらに、主たる証拠を甲第9号証とし、従たる証拠を甲第1号証〜甲第7号証として、請求項1〜15に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1〜15に係る特許を取り消すべきものである旨も主張する。

甲第1号証:特開2001−240219号公報
甲第2号証:特開2002−7530号公報
甲第3号証:特開平7−334797号公報
甲第4号証:特開2018−116627号公報
甲第5号証:特開2000−293572号公報
甲第6号証:特開2017−154883号公報
甲第7号証:特開平10−232991号公報
甲第8号証:再公表特許第2017/002471号
甲第9号証:国際公開第2018/057728号

第4 各甲号証の記載
1 甲第1号証
甲第1号証(特開2001−240219号公報)には、次の記載がある(下線は、当審で付したもの。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷物、貨物等の運送管理において、運送する荷物の管理情報と運送に使用する車両の管理情報を照合し、最適な荷物と車両の組合せを選択する検索システムおよび記録媒体に関するものである。具体的には、運送車両に空車があり、車両で運ぶ荷物を欲している事業者(求荷側)が提示する車両の管理情報(求荷情報)と、運ぶ荷物があり車両を欲している事業者(求車側)が提示する荷物の管理情報(求車情報)とを結びつけるための装置(システム)であり、これら求荷側と求車側からの情報を収集して検索して、最適な情報の組合せを決定する(マッチング)ものである。」
「【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明の運送管理データの検索システムでは、運送する荷物の積地、卸地、荷物の内容を含む情報からなる求車情報記憶手段と、運送する車両の発地、着地、車両の種別を含む情報からなる求荷情報記憶手段を備えるデータベースを備えて、荷物の運送形態の条件を指定すると共に、指定内容に従って前記データベースを検索する。運送形態は運送可能条件であり、いくつかのパターンを指定することが可能である。」
「【0010】また、運送形態として他の荷物と共に1つの車両で運送することが可能であると指定されている場合には、指定された荷物の積地及び卸地に基づき前記求車情報記憶手段を検索して該当する複数の荷物を抽出することものである。該当する複数の荷物を検索抽出することにより、複数の荷物を1つの車両で運送するような運送形態の設定が可能となるものである。
【0011】さらに運送形態として1つの車両の運送経路を分割し各経路に運送する荷物を割り当てて運送することが可能であると指定されている場合には、指定された車両の発地に基づき前記求車情報記憶手段を検索して該当する荷物を抽出し、抽出した荷物の卸地に基づき次の経路に割り当てる荷物を抽出するものである。上記処理を繰り返すことにより、異なる積地、卸地に運送する複数の荷物を1つの車両で運送するような運送形態の設定が可能となるものである。」
「【0014】図1において、情報処理センタ1は、ネットワークに接続して多数の端末21から通知される求車情報および求荷情報を収集してマッチングを行い、結果を返送したりなどするものであって、ここでは、2から6、および11から15などから構成されるものである。」
「【0017】処理手段6は、図示外の記録媒体から読み出したプログラムを主記憶にローディングして起動し、以下に説明する各種処理を実行するものであって、ここでは、収集手段7、マッチング手段8、および集計手段9などから構成されるものである。
【0018】収集手段7は、ネットワークを介して複数の端末21から送信された求車情報および求荷情報を収集し、求車情報記憶手段2および求荷情報記憶手段3に格納して管理するものである。
【0019】マッチング手段8は、収集した求車情報および求荷情報をマッチングするものである(図2から図15を用いて後述する)。集計手段9は、マッチングした求車情報および求荷情報の各種集計したり、会計処理したりなどするものである。
【0020】操作端末装置10は、情報処理センタ1に各種データや操作/制御の指示を入力したり、出力(表示、印刷など)したりなどするものである。ネットワークインタフェース11は、ネットワークと接続し多数の端末21との間でデータ(求車情報、求荷情報およびマッチング結果などのデータ)の送受信を行うものである。」
「【0023】端末21は、ネットワークに接続して情報処理センタ1に求車情報および求荷情報を通知したり、マッチング結果の返答を受信したりなどするものであって、情報出力手段22、操作端末23、およびネットワークインタフェース24などから構成されるものである。
【0024】情報出力手段22は、求車情報、求荷情報およびこれらに対するマッチング結果などを出力(表示、印刷など)するものである。操作端末23は、各種操作やデータ(求車情報/求荷情報などのデータ)を入力したり、表示したりなどするものである。
【0025】ネットワークインタフェース24は、ネットワークと接続し情報処理センタ1との間でデータ(求車情報、求荷情報、およびマッチング結果などのデータ)の送受信を行うものである。
【0026】図2は、図1のシステム構成上で動作する本発明の全体動作説明フローチャートを示す。求車情報提供者31は、荷物の運送依頼者であって、図1の端末21を操作して荷物の運送依頼の情報(求車情報)を提供(ネットワークを介して情報処理センタ1に提供)するものである。
【0027】求荷情報提供者41は、荷物の運送者であって、図1の端末21を操作して荷物の運送請負の情報(求荷情報)を提供(ネットワークを介して情報処理センタ1に提供)するものである。
【0028】中央の情報処理センタ1は、図1の情報処理センタ1であって、ネットワークを介して受信した求車情報および求荷情報のマッチングを行い、その結果を求車情報提供者及び求荷情報提供者に通知すると共に、運送契約の支払い処理の仲介を行うものである。
【0029】図2において、S1では、情報処理センタ1が集めた求車情報と求荷情報を比較し、求車情報、求荷情報間でマッチングする。これは、求車情報提供者31から通知された求車情報、および求荷情報提供者41から通知された求荷情報を比較し、求車情報と求荷情報の間で最適な組合せを決定するものである。マッチングできた場合には、マッチングできた求車情報を求車情報提供者31に返答、およびマッチングできた求荷情報を求荷情報提供者41に返答する。
【0030】S21は、S1で情報処理センタ1からマッチングできた求荷情報の返答を受けた求荷情報提供者41が配車する。そして、配車了解通知を情報処理センタ1に返答する。」
「【0039】図8の(a)基本形に示す配車種別例は、運送する荷物と車両の発地及び着地条件が1対1に対応する車両を決定するものである。図8の(b)1台の車両が途中で荷積を行う配車種別例は、運送する荷物の発地及び着地の条件が一致する車両がない場合でも、運送経路の途中で荷積を行うことで着地条件が一致する車両を決定するものである。」
「【0042】次に1台の車両で複数の荷物を運送する、Nの求荷情報と1の求車情報を対応させる例(N対1のマッチング)を説明する。図8の(e)途中で荷卸、荷積を行う配車種別例は、荷物を運送したい車両の運送経路の条件が複数の荷物の条件と一致するような場合に、従来の1対1の対応では1つの荷物の運送が完了すると以降は空車となっていた経路の車両と荷物を対応づけるものである。図示のように、ある車両の発地条件と一致する荷物を途中まで輸送し、次に他の荷物を積んで輸送することにより、実車率を上げた配車を可能とするものである。
【0043】図8の(f)積合わせを行う配車種別例は、車両の発地と着地が一致する荷物について、車両の積載条件と複数の荷物の運送条件を比較し、1つの車両で複数の荷物を積み合わせて運送できるような車両を決定するものであり、1台の車両の積載率を上げた配車を可能とするものである。」
「【0045】まず図9から図11を用いて、本願発明の処理で使用する求車情報、求荷情報、配車が決定した情報を格納するデータベースについてを説明する。図9の(a)は、求車情報データベース例を示す。求車情報データベースには、荷物の運送依頼者からの通知により運送してほしい荷物の運送依頼情報を登録するものであり、図示の下記の情報を登録したものである。
・求車番号:情報毎の識別番号
・会社情報(会社コード):会社毎の識別コード
・積込情報:運送依頼する荷物の積み込み条件
積込日時、積込場所、積込住所、電話番号
・荷卸情報:運送依頼する荷物の荷卸し条件
荷卸日時、荷卸場所、荷卸住所、電話番号
・荷物情報:運送依頼する荷物の詳細情報
荷物内容、荷数、重量
・車両情報:運送を希望する車両の条件
車種、トン数
・条件情報:運賃、運送方法の条件
運賃、積合可否、分割可否、判取
・備考情報:その他の条件
・登録時間:情報を登録した時間
・配車情報:配車が決定した場合に登録される識別番号
図9の(b)は、求車情報例を示す。これは、図9の(a)の求車情報の具体例であって、左側の求車情報の項目に対して、右側に示すような具体的な情報を登録したものである。
【0046】図10の(a)は、求荷情報データベース例を示す。求荷情報データベースには、荷物の運送業者からの通知により運送を請け負う車両の情報を登録すものであり、図示の下記の情報を登録したものである。
・求荷番号:情報毎の識別番号
・会社情報(会社コード):会社毎の識別コード
・発情報:運送を請け負う車両の出発地条件
空車時間、空車地
・着情報:運送を請け負う車両の等着地条件
希望着地
・車両情報:運送を請け負う車両の条件
車種、トン数、車番、運転手
・備考情報:運送を請け負う荷物の種類などの条件
・登録時間:情報を登録した時間
・配車情報:配車が決定した場合に登録される識別番号
図10の(b)は、求荷情報例を示す。これは、図10の(a)の求荷情報の具体例であって、左側の求荷情報の項目に対して、右側に示すような具体的な情報を登録したものである。」
「【0049】S32は、求車情報から1個の求車情報を選択する。S33は、選択した求車情報の条件として設定された荷物の積込日時に、空車である車両を有する求荷情報を求荷情報データベース(図10)を検索して抽出する。」
「【0053】S39は、S37で抽出の情報の中から、S32で選択された荷物の求車情報の条件を参照し、荷物の積込地、卸地とそれぞれ同じ地域が発地、着地である車両を有する求荷情報を抽出する。」
「【0057】次に図4を用いて、N個の荷物を1台の車で運送する積合わせ運送の組み合わせを決定する処理を説明する。図4において○3(当審注:○の中に数字の3)のS44は、図3のS42のYESでS41の車両にS32の荷物を搭載後、求荷情報を参照し対象車両には更に荷物積込可能と判明したので、S32の荷物の積合わ運送可否を判別する。これは、S32の求車情報を参照して荷物の積合わせ運送の可否を判別し、可の場合に積み合わせを行う他の荷物の検索を行うため、S45に進むものである。不可の場合には、図3の○4(当審注:○の中に数字の4)に戻り、S43で1対1のマッチングと決定する。
【0058】S45は、S31の求車情報からS41の車両にS32の荷物を搭載後のスペースに更に搭載可能な荷物を有する求車情報を抽出する。S46は、S45の情報の有無を判別する。有の場合には、S47に進む。無の場合には、図3の○4(当審注:○の中に数字の4)に戻り、S43で1対1のマッチングと決定する。
【0059】S47は、S45で抽出の求車情報の中で荷物の積合わせ運送可の荷物の有無を判別する。有の場合には、S48に進む。無の場合には、図4の○4(当審注:○の中に数字の4)に戻り、S43で1対1のマッチングと決定する。
【0060】S48は、S45で抽出の情報の中から1個の求荷情報を選択する。S49は、S42とS48の求車情報とS41の求荷情報をN対1のマッチングと決定する。本例では2対1のマッチングを説明するが、該当車両にさらに搭載することが可能であれば、以上の処理を繰り返すことにより求車情報と求荷情報とのN対1のマッチングが可能となるものである。
【0061】図15の(e−1)と(e−2)は求車情報の例を示し、図15の(e−3)は求荷情報の例を示す。本例のN対1の積合わせ輸送(求車情報と求荷情報とがN対1の積合わせ輸送)の場合には、図8の(d)の模式図からも判明するように、図15の(e−1)と(eー2)の求車情報の条件で積合わせが可能であると設定されているため、その他の求車情報(積込情報、荷卸情報、荷物情報、車両情報)と、図15の(e−3)の求荷情報(発情報、着情報、車両情報)とがN対1に対応する組み合わせを決定するものである。」
「【0067】次に図5を用いて、1台の車両が運送するルートを複数に分け、ルートの途中で荷卸し、荷積みをすることにより、1台の車両でN個の荷物を運送する組み合わせを決定する処理を説明する。
【0068】図5において○2(当審注:○の中に数字の3)のS61は、S37で抽出の情報の中から、S32の荷物の積込地と同じ地域の発地で荷物卸地が着地の途中である車両を有する求荷情報を抽出する。
【0069】S62は、S61の情報の有無を判別する。有の場合には、S62に進む。無の場合には、図6の○5(当審注:○の中に数字の5)に進む。S63は、S61で抽出の情報の中から1個の求荷情報を選択する。
【0070】S64は、S63の車両で運送可能な荷物を有し、S32の荷物卸地が積込み地で、かつS63の車両の着地が卸地で、更に、S32の荷物の卸時間以降に荷物積込時間となる荷物を有する求車情報を抽出する。
【0071】S65は、S64の情報の有無を判別する。有の場合には、S66に進む。無の場合には、S68でS32の求車情報とS63の求荷情報を1対1にマッチングする。
【0072】S66は、S64で抽出の情報の中から1個の求荷情報を選択する。S67は、S32とS66の求車情報とS64の求荷情報のN対1のマッチングと決定する。本例では2対1のマッチングを説明するが、運送車両の運送経路が長く、経路をいくつかに分割して複数の荷物の荷卸、荷積を繰り返して運送することが必要な場合であれば、以上の処理を繰り返すことにより求車情報と求荷情報とがN対1に対応する組み合わせを決定するものである。」
「【図1】


「【図3】


「【図5】


「【図6】


「【図14】


「【図15】



2 甲第2号証
甲第2号証(特開2002−7530号公報)には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばトラックなどの車両および船舶などの輸送媒体を用いて、輸送対象を輸送する計画を作成する方法および装置に関する。」
「【0045】単独直送便13は、1つの発店11から1つの着店12に輸送すべき荷物を、その荷物のある1つの発店11を出発して荷物を到着させるべき1つの着店12に直接到着するトラックに積載して、輸送する便である。単独経由便14は、1つの発店11から少なくとも2つの着店12に輸送すべき荷物を、その荷物のある1つの発店11を出発して荷物を到着させるべき少なくとも2つの着店12に順次的に、すなわち1つの最終到着店となる着店12に経由店となる他の着店12を経由して、到着するトラックに積載して、輸送する便である。」
「【0081】図3(3)の直送便から経由便への変更は、同一の発店11から出発する積載率が低い複数の単独直送便13がある場合に、これら各単独直送便13を統合して仕立てられる。立案工程において得られる計画では、積載率の低い複数の単独直送便13、たとえば積載率がそれぞれ20%、30%および40%の3つの単独直送便13が仕立てられている場合がある。
【0082】このような場合において、各単独直送便13を統合して単独経由便14に変更し、これらの荷物のある発店11から近い着店12の順に経由する単独経由便14を仕立てるように補正編集する。この例では、最初の着店12までの積載率が90%であり、1店経由後50%に2店経由後に30%になる単独経由便14が仕立てられる。これによって各ブロック20,21間を移動する便数(トラック台数)を少なくし、かつ積載率を向上して、輸送効率をさらに向上することができる。」
「【図3】



3 甲第3号証
甲第3号証(特開平7−334797号公報)には、次の記載がある。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車生産系といった大規模生産系における物流の合理化技術に関する。例えば自動車生産系では、図1に例示するように、エンジン工場F1がエンジンを出荷し、ミッション工場F2がミッションを出荷するなど極めて多くの出荷地点が存在している。また同一のエンジンが第1工場T1に入荷されたり第2工場T2に入荷されるなど、入荷地点も複数存在している。そして出荷地点F1,F2…と入荷地点T1,T2…の間は、荷運搬車両、例えばトラック等で荷物が運搬される。しかも、その荷の大部分は物流在庫を抑えるために、1日のうちに複数回にわけて運搬されている。この場合、とくに、荷運搬車両の積載率が高いこと、荷運搬車両の稼動率(回転効率)が高いこと、入荷地点に荷運搬車両が集中して到着しないことといったことが好ましい。本発明はこの要請に応えて、合理的なルートや合理的な運搬ダイヤが決定される技術を提案するものである。」
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】この手法では、トリップとトラックが1:1に割付けられ、混載を前提としたルートが算出されない。ここでいう混載とは、一台の荷運搬車両が2以上の出荷地点で荷を積んだあとに一つの入荷地点に運搬することやあるいは一台の荷運搬車両が2以上の入荷地点に荷を運搬することをいう。この混載を考慮に入れないと、積載率の向上が図れないし、また稼動率も充分に向上させることができない。しかるに従来の技術では、混載しないという前提のなかで好ましい運搬計画を立案するにすぎない。より合理的な計画を決定するためには混載を前提としなければならない。
【0004】本発明の一つの課題は、混載の可能性を検討したうえで最適な運搬計画が算出される装置を実現しようとするものである。他の一つの課題は、入荷地点において荷運搬車両や荷降作業が集中することのない運搬計画が算出される装置を実現しようとするものである。さらに他の一つの課題は、稼動時間や休憩時間をそれぞれに異にする出荷地点ごとの特性を加味したうえで、好ましい納品スケジュールが得られるダイヤが算出される装置を実現しようとするものである。」
「【0033】図8のステップ83はオペレータが入出力装置31に表示されている図6の表から、荷量の大きいFとTを指定する処理を示している。最初はFとTを1つ指定し(この場合混載しない)、次に後述のステップ96で入荷地点を同じくして出荷地点を異にする組合せ(この場合混載する)を検討する。これについては後述する。
【0034】さて図8のステップ83でFとTが指定されると、次にオペレータが入出力装置31から車種を指定する。このときオペレータはデータベース39に記憶されている車両情報を参照する。ここでいう車種とは運搬能力の相違を示しており、例えば4トン車とか2トン車といった車種が指定される。」
「【0045】さてステップ83で指定したFとT間では、車種を変更しても最低運搬回数の要請を満たすことができないとき、高い積載率が得られないとき、あるいは台数と荷量がマッチせず高い稼動率が得られないときにはステップ96で混載候補を指定する。
【0046】この場合、入荷地点(例えばT1)を同じくして出荷地点を異にする組合せ(例えばF1→T1,F2→T1)をオペレータが指定する。この場合この組合せについて図5,6のF−T荷量が集計され、その集計値に基づいてステップ84以下の処理が再度実行される。またF1→T1の最低運搬回数とF2→T1の最低運搬回数の最大値で最低運搬回数とされる。この場合、F1→F2→T1ないしF2→F1→T1のルートをとることによって、最低運搬回数の要請が満され、満足のゆく積載率と稼動率が得られると、ステップ99にまで進み、一方どこかでうまくゆかないと再度ステップ96に戻る。これを繰返すうちに混載の可能性を考慮にいれたうえで、最適のルートが決定される。なお図8のステップ96では、ステップ82で指定されたグループ内で混載の可能性が検討される。」

4 甲第4号証
甲第4号証(特開2018−116627号公報)には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、走行制御装置、走行装置、走行制御システム、走行制御方法及び走行制御プログラムに係り、特に、複数の走行装置の走行を制御する走行制御装置、走行装置、走行制御システム、走行制御方法及び走行制御プログラムに関する。」
「【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、複数の走行装置(走行車両)の走行を制御するときに、先行している走行装置が走行不能となった場合に、追従する走行装置が先行する走行車両の走行不能となった原因に遭遇することなく安全に走行することができるように走行ルートを設定できる走行制御装置、走行装置、走行制御システム、走行制御方法及び走行制御プログラムを提供することを目的とする。」
「【0011】
本発明は、複数の走行装置の走行を制御する走行制御装置において、経路情報に基づいて、前記走行装置が自律走行を行なうための各走行装置の走行ルートを生成する走行ルート生成手段と、前記走行装置から発信された生存信号を受信する生存信号受信手段と、前記生存信号が途絶えた場合に、前記生存信号に基づいて、前記生存信号が受信されない走行装置の影響領域を判定する判定手段と、前記影響領域の少なくとも一部が生存する他の走行装置の走行ルートに含まれないように各走行装置の走行ルートを再生成する走行ルート再生成手段と、を備えることを特徴とするものである。」
「【0056】
そして、地図データ上に一時的な障害物データとして登録する(ステップS107)。そして、影響のありそうな車両が従うルールセットの更新を行ない(ステップS108)、その走行ルートの状態が更新される(ステップS109)。
このようにして、自律走行車両20の走行ルートの管理が行なわれる。」

5 甲第5号証
甲第5号証(特開2000−293572号公報)には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,配送員,セールスマン,保守員等の巡回員が配送先や顧客先を配送/巡回する際の巡回方法を決定する巡回経路設定システムおよび配車依頼を受けた車の現在位置から顧客が配車を希望する位置までの経路(ルート)を生成してその車に指示する配車システムに関するものである。」
「【0061】また,配車経路設定部213は,交通状況情報などを管理するデータベース,交通情報センタからの情報,各ドライバーからの情報などを利用して,計画した目的地までの経路の途中に渋滞箇所などがあることがわかった場合には,渋滞箇所を迂回するような経路を設定することもできる。
【0062】例えば図20に示すように,地図72において,地点Bから地点Cの間に工事箇所(×印で表す)があり付近が渋滞している場合には,配車経路を手動または自動で修正する。例えば,「車両位置A→地点D→地点E→地点F→地点C→顧客位置P」のような配車経路に修正して再設定する。・・・」

6 甲第6号証
甲第6号証(特開2017−154883号公報)には、次の記載がある。
「【0006】
本発明は、状況に応じた効率の良い配達を可能とする宅配支援システム、電子機器及び宅配支援方法を提供することを目的とする。」
「【0019】
図2は、ドライバ端末2によって表示されるナビゲーション画面4−1の例を示す。このナビゲーション画面には、現在地411の周辺の地図41が描画され、この地図41上に配達ルート43が描画されている。この配達ルート43は、複数の荷物の配達先412〜417を効率的に経由するためのルートである。配達ルート43は、例えば、それぞれの荷物の配達の時間帯が指定されているか否か、指定されている場合にはその配達の時間帯、道路の渋滞状況、ドライバの熟練度、等に基づいて決定される。なお、配達先412〜417を示す記号には、配達予定時刻(すなわち、到着予定時刻)が表示されていてもよい。」

7 甲第7号証
甲第7号証(特開平10−232991号公報)には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷物の集荷・配送、セールスマンの客先訪問、パトロール等のように、複数の地点を1台の車両ですべて、又は複数台の車両で分担して訪問する車両の運行計画を作成する装置、特に、車両及び各地点に関連する制約を満たし、車両の移動時間の和を含む目的関数を最小化する運行計画を作成し、さらには運行計画の訪問経路を表示する車両運行計画作成装置、車両運行計画作成方法及び車両運行システムに関する。」
「【0006】本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、車両の移動時間に大きな影響を与える渋滞のような交通事情には、1日のうちの朝・昼・午後・夕方等の時間帯、曜日、週、月、季節、行事、交通規制等の時期的要素がその変動傾向に深く関わっている点に注目し、時期別の走行時間の、例えば実績に基づく予測値を、最小コストの訪問順序の探索に用いることにより、実情に即した道路状況を予測した信頼度の高い運行計画の作成が可能であって、現場での利便性が高く、また、運行計画作成において最小コストの訪問順序を探索するために必要な、走行時期及び/又は車種に応じた車両の走行時間を記憶しておくことにより、最小コストの訪問順序を探索する都度、走行時間を算出する必要がなくて運行計画の作成時間を大幅に短縮する車両運行計画作成方法、車両運行計画作成装置、車両運行システム、及び車両運行計画を作成するコンピュータに用いる記録媒体の提供を目的とする。」
「【0018】所要時間テーブル3は、図2(a) (b) 及び図3にその記憶状態の概念図の一例を示すように、各ノード(v,w,…)のノード番号、各ノードに隣接する隣接ノードのノード番号、及び、例えば、一定時間毎、又は交通状況が変動するような朝、午前中、午後、夕方で区切られた複数の時間帯1〜Tそれぞれにおいて、車両が隣接ノードまでの走行に要する所要時間(リンクコスト)を格納したテーブル(図2(a) )、又は車種に応じて通行が可能な道路を経由した車種別の車両の移動時間を格納したテーブル(図2(b) )、又は車種に応じて通行が可能な道路を経由した、移動する時間帯に応じて予測される車両の車種別の2地点間の移動時間を格納したテーブル(図3)である。なお、本例では一定時間毎の時間帯別の所要時間を格納しておく場合について説明したが、その時間帯は1日のうちの朝・昼・午後・夕方等といった分類であっても、また、曜日、週、月、季節、行事、交通規制等での分類であってもよい。」
「【0020】運行計画作成処理部5は、後述する探索手法(図9乃至図11にその手順を例示する)を用いて、所要時間テーブル3を参照しながら運行計画を作成し、目的関数(例えば、車両の走行時間の和、使用車両台数、これらの加重和)を最小化する訪問順序を探索する。」

8 甲第8号証
甲第8号証(再公表特許第2017/002471号)には、次の記載がある。
「【0001】
この技術は、車両制御装置と車両制御方法およびプログラムに関し、例えば自動運転等の走行車両に対して外部から車両制動制御を容易に行うことができるようにする。」
「【0013】
<1.車両制御装置の構成>
図1は、車両制御装置の構成を示している。車両制御装置10は、環境情報取得部20と、電子制御ユニット60を有している。また、車両制御装置10は、緊急停止ボタン41、運転者モニタリング部42、設定・制御操作部43、マニュアル運転操作部44、アクチュエータ部45、運転者警報部46、外部通知部47が設けられている。」
「【0033】
電子制御ユニット60は、車両制御処理部61、記録再生処理部62等を有している。車両制御処理部61は、環境情報取得部20で取得された周辺環境情報に基づき外部からの車両制動指示の判別を行い、判別結果に基づき車両制動制御例えば車両制動シーケンスを開始する。車両制動シーケンスは、ハザードランプの点灯、ブレーキランプの点灯、自動走行レーンからの退避、自車両の減速、自車両の徐行、自車両の停止のいずれか1つを少なくとも含む。・・・」
「【0037】
ステップST2で車両制御処理部61は、意思確認手続きを行う。車両制御処理部61は、走行ルートや走行モード等に対する運転者の承認操作を確認する。例えば、走行ルートは、走行距離が最短となるルート、所要時間が最短となるルート、料金が最も安くなるルート、幹線道路を優先するルート、景色の良好な場所を通過するルート、過去の走行履歴等に基づいて学習されたルート等が選択可能とされている。また、走行モードは、通常走行モード、燃費優先走行モード等が選択可能とされている。車両制御処理部61は、ステップST1の自律走行準備で選択された走行ルートや走行モード等に対する運転者の承認操作を確認してステップST3に進む。
【0038】
ステップST3で車両制御処理部61は、走行を開始する。車両制御処理部61は、承認された走行モードおよび走行ルートで自律自動運転を開始してステップST4乃至ステップST6に進む。」

9 甲第9号証
甲第9号証(国際公開第2018/057728号)には、次の記載がある(訳は、対応公表特許公報に基づくもの。)
「[0033] The robotic device(s) can be autonomous guided vehicles (AGV) such as, for example, pallet jacks, fork trucks, truck loaders/unloaders, and/or other de vices. Each robotic device may be autonomous or partially autonomous. Further, each robotic device can include a vision system having a camera, which facilitates the robotic device navigating through the warehouse and/or manipulating items. In examples, the robotic device can use the camera to capture image data to sense its environment and/or manipulate items while carrying out warehouse operations. For instance, the robotic device can use the camera to avoid obstacles while navigating the warehouse and/or to operate grippers or forklifts that can deposit and remove an item at a storage location. The image data captured for these and perhaps other purposes may include images of one or more storage-location barcodes and/or one or more on-item barcodes in the warehouse environment.
[0034] In an example, the WMS can receive the image data captured by camera of the robotic device. The WMS can analyze the received image data to detect the one or more storage-location barcodes and/or the one or more on-item barcodes. Responsive to the WMS detecting a storage-location barcode, the WMS can access the database to determine the physical location in the warehouse that corresponds to the storage location associated with the detected storage-location barcode. Similarly, responsive to the WMS detecting an on- item barcode, the WMS can access the database to determine the record for the storage location corresponding to the detected on-item barcode and then, based on the determined storage location, the WMS can determine the physical location in the warehouse at which the item associated with the on-item barcode is stored.
[0035] In one example, the WMS can determine that the physical location of the detected storage-location barcode(s) and/or on-item barcode(s) is the physical location of the robotic device. In another example, the WMS can further analyze the captured image data to determine a distance and/or orientation of the robotic device relative to the determined physical location of the detected barcode(s). For example, the WMS may analyze the captured image data to determine a size and/or shape of the detected barcode(s) and then compare the determined size and/or shape to a reference size and/or a reference shape stored by the WMS for the detected barcode(s). Based on the comparison, the WMS can determine the distance and/or orientation of the robotic device relative to the detected barcode(s).
[0036] Based on the location of the robotic device determined from the detected barcode(s), the WMS can provide the robotic device with navigation instructions. In examples, the WMS can provide the robotic device with navigation instructions for completing a new task and/or the WMS can update navigation instructions for a previously assigned task. Additionally or alternatively, the WMS can determine the location of the robotic device for purposes of tracking the progress of the robotic device along a route assigned to the robotic device for completing a task.」
「訳:[0033] ロボット・デバイス(1つまたは複数)は、たとえば、パレット・ジャッキ、フォーク・トラック、トラック・ローダ/アンローダ、および/または他のデバイスなどの無人搬送車(AGV)とすることができる。各ロボット・デバイスは、自律式または部分的に自律式とすることができる。さらに、各ロボット・デバイスは、ロボット・デバイスが倉庫を通ってナビゲートし、かつ/または品目を操作するのを容易にする、カメラを有する視覚システムを含むことができる。例では、ロボット・デバイスは、倉庫動作を実行する間にその環境を感知し、かつ/または品目を操作するために画像データを取り込むのにカメラを使用することができる。たとえば、ロボット・デバイスは、倉庫をナビゲートする間に障害物を回避し、かつ/または貯蔵位置に品目を置き、除去することのできるグリッパもしくはフォークリフトを操作するのに、カメラを使用することができる。これらおよびおそらくは他の目的のために取り込まれる画像データは、倉庫環境内の、1つもしくは複数の貯蔵位置バーコードおよび/または1つもしくは複数の品目上バーコードを含むことができる。
[0034] 一例では、WMSは、ロボット・デバイスのカメラによって取り込まれた画像データを受信することができる。WMSは、1つもしくは複数の貯蔵位置バーコードおよび/または1つもしくは複数の品目上バーコードを検出するために、受信された画像データを分析することができる。WMSが貯蔵位置バーコードを検出することに応答して、WMSは、検出された貯蔵位置バーコードに関連する貯蔵位置に対応する倉庫内の物理位置を判定するためにデータベースにアクセスすることができる。同様に、WMSが品目上バーコードを検出することに応答して、WMSは、検出された品目上バーコードに対応する貯蔵位置のレコードを判定するためにデータベースにアクセスすることができ、その後、判定された貯蔵位置に基づいて、WMSは、品目上バーコードに関連する品目が貯蔵されている倉庫内の物理位置を判定することができる。
[0035] 一例では、WMSは、検出された貯蔵位置バーコード(1つまたは複数)および/または品目上バーコード(1つまたは複数)の物理位置がロボット・デバイスの物理位置であると判定することができる。別の例では、WMSは、検出されたバーコード(1つまたは複数)の判定された物理位置に対する相対的なロボット・デバイスの距離および/または方位を判定するために、取り込まれた画像データをさらに分析することができる。たとえば、WMSは、検出されたバーコード(1つまたは複数)のサイズおよび/または形状を判定するために取り込まれた画像データを分析し、その後、判定されたサイズおよび/または形状を、検出されたバーコード(1つまたは複数)に関してWMSによって記憶された基準サイズおよび/または基準形状と比較することができる。この比較に基づいて、WMSは、検出されたバーコード(1つまたは複数)に対する相対的なロボット・デバイスの距離および/または方位を判定することができる。
[0036] 検出されたバーコード(1つまたは複数)から判定されたロボット・デバイスの位置に基づいて、WMSは、ロボット・デバイスにナビゲーション命令を与えることができる。例では、WMSは、新しいタスクを完了するためのナビゲーション命令をロボット・デバイスに与えることができ、かつ/またはWMSは、以前に割り当てられたタスクのナビゲーション命令を更新することができる。それに加えてまたはその代わりに、WMSは、タスクを完了するためにロボット・デバイスに割り当てられた進路に沿ったロボット・デバイスの進行を追跡するために、ロボット・デバイスの位置を判定することができる。」
「[0079] Figure 3 illustrates a system 300, according to an example implementation. System 300 includes a computing system 350 implementing a WMS (e.g., the WMS 150) and a robotic device 302 deployed in a warehouse environment. The warehouse environment can include a plurality of inventory items stored at a plurality of storage locations in the warehouse. The robotic device 302 may be an AGV, or may take the form of one or more other robotic devices such as those shown in Figures 2A-D. Other forms are possible as well.
[0080] The warehouse environment can include one or more of the mobile components 1 10 and/or the fixed components 120 described above in connection with the example warehouse environment of Figure 1A and the example robotic warehouse fleet 100 of Figure IB. For ease of illustration and description, Figure 3 depicts a representative inventory item 306 stored at a representative storage location 324; however, the warehouse environment may include a plurality of inventory items 306 stored at a plurality of storage locations 324. These inventory items 306 may be arranged and stored on shelves of storage racks organized into aisles within the warehouse environment. This organization may allow the robotic device 302 to navigate through the aisles to access one or more inventory items 306. Additionally or alternatively, the storage locations 324 may include designated locations on the warehouse floor where items 306 may be stored.
[0081] As shown in Figure 3, the storage location 324 has a storage-location barcode 360 that identifies the storage location 324 and the item 306 has an on-item barcode 362 that identifies the item 306. The storage-location barcode 360 and the on-item barcode 362 each can be a one-dimensional barcode (i.e., a linear barcode) and/or a two-dimensional barcode (i.e., a matrix barcode). The on-item barcode 362 can be placed on the outside of the inventory item 306, such as on the packaging or wrapping. Similarly, the storage-location barcode 360 can positioned so as to be visible for inspection from an aisle in the warehouse. For example, the storage-location barcode 360 can be provided on a label coupled to an exterior surface of a storage rack facing an aisle.
[0082] The computing system 350 can store information related to the items 306, the storage locations 324, and the robotic devices 302. In particular, the computing system 350 can store information relating to the identity and physical location in the warehouse of the items 306 and the storage locations 324. This information can be stored in the computing system 350 to facilitating tracking inventory items in the warehouse. The computing system 350 can also use this information to instruct the robotic devices 302 to carry out one or more functions, such as fulfilling an order for a customer.」
「訳:[0079] 図3は、例の実施形態によるシステム300を示す。システム300は、WMS(たとえば、WMS150)を実施するコンピューティング・システム350および倉庫環境内で展開されるロボット・デバイス302を含む。倉庫環境は、倉庫内の複数の貯蔵位置に貯蔵された複数の在庫品目を含むことができる。ロボット・デバイス302は、AGVとすることができ、あるいは、図2A〜図2Dに示されたものなどの1つまたは複数の他のロボット・デバイスの形をとることができる。他の形態も可能である。
[0080] 倉庫環境は、図1Aの例の倉庫環境および図1Bの例のロボット倉庫隊100に関連して上記で説明した可動構成要素110および/または固定構成要素120のうちの1つまたは複数を含むことができる。図示および説明の簡単さのために、図3は、代表的な貯蔵位置324に貯蔵された代表的な在庫品目306を示すが、倉庫環境は、複数の貯蔵位置324に貯蔵された複数の在庫品目306を含むことができる。これらの在庫品目306は、倉庫環境内の通路に編成された貯蔵ラックの棚の上に配置され、貯蔵され得る。この編成は、ロボット・デバイス302が、1つまたは複数の在庫品目306にアクセスするために通路を通ってナビゲートすることを可能にすることができる。それに加えてまたはその代わりに、貯蔵位置324は、品目306が貯蔵され得る、倉庫床上の指定された位置を含むことができる。
[0081] 図3に示されているように、貯蔵位置324は、貯蔵位置324を識別する貯蔵位置バーコード360を有し、品目306は、品目306を識別する品目上バーコード362を有する。貯蔵位置バーコード360および品目上バーコード362は、それぞれ、1次元バーコード(すなわち、直線バーコード)および/または2次元バーコード(すなわち、マトリックス・バーコード)とすることができる。品目上バーコード362は、パッケージング上またはラッピング上など、在庫品目306の外側に配置され得る。同様に、貯蔵位置バーコード360は、倉庫内の通路からの視察のために可視になるように位置決めされ得る。たとえば、貯蔵位置バーコード360は、通路に面する貯蔵ラックの外部表面に結合されたラベル上に設けられ得る。
[0082] コンピューティング・システム350は、品目306、貯蔵位置324、およびロボット・デバイス302に関する情報を記憶することができる。具体的には、コンピューティング・システム350は、品目306および貯蔵位置324のアイデンティティおよび倉庫内の物理位置に関する情報を記憶することができる。この情報は、倉庫内で在庫品目を追跡するのを容易にするためにコンピューティング・システム350内で記憶され得る。コンピューティング・システム350は、顧客の注文の達成など、1つまたは複数の機能を実行するようにロボット・デバイス302に指示するのにもこの情報を使用することができる。」
「[0087] As also shown in Figure 3, the robotic device 302 includes a camera 304, which can capture image data. The captured image data can be used for one or more piuposes discussed herein, such as navigation, obstacle avoidance, item identification, item manipulation, and robotic device identification. The camera 304 can include one or more optical sensors configured to capture visual information, such as size, shape, depth, texture, and color, for example. In one embodiment, camera 304 can include a stereo pair of lenses, which can operate in tandem to provide a 3D image of the field of view of the camera. The camera 304 can also or alternatively include one or more lenses, RADAR sensors, LIDAR sensors, 3D sensors, or other type of sensing equipment capable of capturing a storage- location barcode 360 and/or an on-item barcode 362. More or fewer lenses may be used as well.」
「訳:[0087] やはり図3に示されているように、ロボット・デバイス302は、画像データを取り込むことのできるカメラ304を含む。取り込まれた画像データは、ナビゲーション、障害物回避、品目識別、品目操作、およびロボット・デバイス識別など、本明細書で議論される1つまたは複数の目的に使用され得る。カメラ304は、たとえばサイズ、形状、奥行き、テクスチャ、および色などの視覚情報を取り込むように構成された1つまたは複数の光センサを含むことができる。一実施形態では、カメラ304は、カメラの視野の3D画像を提供するために連繋して動作することのできるレンズのステレオ・ペアを含むことができる。カメラ304は、それに加えてまたはその代わりに、1つまたは複数のレンズ、レーダ・センサ、ライダ・センサ、3Dセンサ、または貯蔵位置バーコード360および/もしくは品目上バーコード362を取り込むことのできる他のタイプの感知機器を含むことができる。より多数またはより少数のレンズも、使用され得る。」
「[0095] Responsive to the computing system 350 determining the physical location of the robotic device 302, the computing system 350 can carry out one or more actions. For example, based on the determined location of the robotic device 302, the computing system 350 can determine navigation instructions for the robotic device 302. To do so, the computing system 350 can determine a target inventory item that is located in a target location, and then generate navigation instructions to move the robotic device 302 from the determined location to the target location. The computing system 350 can retrieve the target location of the target item, for instance, from the database. The computing system 350 can further generate the navigation instructions based on the mapping of the fixed components 120, as described above, so as to generate a path for the robotic device 302 to travel from the determined location to the target location.
[0096] Once robotic device 302 is positioned at the target location, the robotic device 302 can use the camera 304 to capture additional image data. The computing system 350 can receive and analyze the additional image data to detect a target barcode, which can be the on- item barcode that identifies the target inventory item. Responsive to the computing system 350 detecting the target barcode, the computing system 350 can determine that the robotic device 302 successfully navigated to the target location. In this way, the robotic device 302 can use barcodes 360, 362 to navigate to a target item and then confirm successful navigation.」
「訳:[0095] コンピューティング・システム350がロボット・デバイス302の物理位置を判定することに応答して、コンピューティング・システム350は、1つまたは複数のアクションを実行することができる。たとえば、ロボット・デバイス302の判定された位置に基づいて、コンピューティング・システム350は、ロボット・デバイス302のナビゲーション命令を判定することができる。それを行うために、コンピューティング・システム350は、目標位置に配置された目標在庫品目を判定し、その後、判定された位置から目標位置へロボット・デバイス302を移動するためのナビゲーション命令を生成することができる。コンピューティング・システム350は、たとえばデータベースから、目標品目の目標位置を取り出すことができる。コンピューティング・システム350は、ロボット・デバイス302が判定された位置から目標位置へ移動するための進路を生成するために、上記で説明したように、固定構成要素120の地図作成に基づいてナビゲーション命令をさらに生成することができる。
[0096] ロボット・デバイス302が目標位置に位置決めされた後に、ロボット・デバイス302は、カメラ304を使用して、追加の画像データを取り込むことができる。コンピューティング・システム350は、追加の画像データを受信し、分析して、目標バーコードを検出することができ、この目標バーコードは、目標在庫品目を識別する品目上バーコードとすることができる。コンピューティング・システム350が目標バーコードを検出することに応答して、コンピューティング・システム350は、ロボット・デバイス302が目標位置に成功裡にナビゲートしたと判定することができる。この形で、ロボット・デバイス302は、目標品目にナビゲートするのにバーコード360、362を使用し、その後、成功裡のナビゲーションを確認することができる。」
「[0103] In Figure 4, the camera 304 is angled downward in a first position to capture image data with a first field of view 408 including the ground in front of robotic device 302. The camera 304 in this first position may capture image data including obstacle 420. In response, the computing system 350 can generate navigation instructions that cause robotic device 302 to change its movement direction to avoid the obstacle 420.」
「訳:[0103] 図4では、カメラ304は、ロボット・デバイス302の前の地面を含む第1の視野408に関する画像データを取り込むために第1の位置で下方に曲げられる。第1の位置のカメラ304は、障害物420を含む画像データを取り込むことができる。それに応答して、コンピューティング・システム350は、障害物420を回避するためにロボット・デバイス302にその移動方向を変更させるナビゲーション命令を生成することができる。」
「[0108] Furthermore, it is noted that the functionality described in connection with the flowcharts described herein can be implemented as special-function and/or configured general-function hardware modules, portions of program code executed by a processor for achieving specific logical functions, determinations, and/or steps described in connection with the flowchart shown in Figures 6-9. Where used, program code can be stored on any type of computer-readable medium, for example, such as a storage device including a disk or hard drive. Method」
「[0108] さらに、本明細書で説明する流れ図に関連して説明される機能性が、図6〜図9に示された流れ図に関連して説明される特定の論理機能、判定、および/またはステップを達成するための、特殊機能ハードウェア・モジュールおよび/または構成された一般機能ハードウェア・モジュール、プロセッサによって実行されるプログラム・コードの諸部分として実施され得ることに留意されたい。使用される場合に、プログラム・コードは、たとえばディスクまたはハード・ドライブを含むストレージ・デバイスなど、任意のタイプのコンピュータ可読媒体上に記憶され得る。方法」
「FIG.3



第5 当審の判断
1 甲第1号証に記載の発明
上記「第4 1」の摘記事項から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されているといえる。

[甲1発明1]
「情報処理センタ1と端末21とからなる荷物の運送管理データの検索システムであって、
端末21の操作によって求車情報及び求荷情報が情報処理センタ1に提供され、
求車情報には、運転手によって運転される車両によって運送される荷物の積込場所、荷卸場所が含まれ、
情報処理センタ1の処理手段6はマッチング手段8などから構成され、
マッチング手段8は、2つの求車情報にマッチングする1つの求荷情報の組み合わせ(マッチング)を決定し、
端末21はマッチング結果を受信し、求荷情報提供者41に通知する、
荷物の運送管理データの検索システム。」

また、甲第1号証には、甲1発明1の「荷物の運送管理データの検索システム」でマッチングした結果に従って、運転手によって車両を運転し、荷物を運送するシステムが記載されているといえる。
したがって、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明2」という。)も記載されているといえる。

[甲1発明2]
「荷物を運送する運転手によって運転される車両及び荷物の運送管理データの検索システムを含んでいる運送システムであって、
荷物の運送管理データの検索システムは情報処理センタ1と端末21とからなり、
端末21の操作によって求車情報及び求荷情報が情報処理センタ1に提供され、
求車情報には、運転手によって運転される車両によって運送される荷物の積込場所、荷卸場所が含まれ、
情報処理センタ1の処理手段6はマッチング手段8などから構成され、
マッチング手段8は、2つの求車情報にマッチングする1つの求荷情報の組み合わせ(マッチング)を決定し、
端末21はマッチング結果を受信し、求荷情報提供者41に通知し、
車両は、マッチング結果にしたがって運転手によって運転されるものである、
運送システム。」

2 甲第2号証に記載の技術的事項
上記「第4 2」の摘記事項から、甲第2号証には、「発店11を共通にし、着店12を異にする複数の搬送経路を合成し、複数の搬送経路に係る搬送作業を1台の車両によって実現する搬送経路を生成する技術的事項」が記載されているといえる。

3 甲第3号証に記載の技術的事項
上記「第4 3」の摘記事項から、甲第3号証には、「入荷地点を共通にし、出荷地店を異にする複数の経路を合成し、複数経路に係る搬送作業を1台の車両によって実現する搬送経路を生成する技術的事項」が記載されているといえる。

4 甲第9号証に記載の発明
上記「第4 9」の摘記事項から、甲第9号証には、次の発明(以下、「甲9発明」という。)が記載されているといえる。

[甲9発明]
「コンピューティング・システム350が、倉庫内において、在庫品目306の拾い上げ(ピッキング)のためにロボット・デバイス302の判定された物理位置に基づいて目標位置に移動するためのナビゲーション命令を決定し、ナビゲーション命令に従ってロボット・デバイス302を移動させるシステム」

5 請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)について
(1)甲1発明1を主引用発明として
ア 対比
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
(ア)甲1発明1の「荷物」は、本件発明1の「搬送対象物」に相当する。
(イ)甲1発明1の「運転手によって運転される車両」は、運転手によって運転される荷物を搬送するために移動する装置であるから、本件発明1の「搬送移動装置」との対比において、「搬送対象物を搬送するための移動装置」との限度で一致する。
(ウ)甲1発明1の「荷物の積込場所、荷卸場所」は、本件発明1の「搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置」に相当する。
そして、甲1発明1の「求車情報」は、被搬送物たる荷物を搬送するための情報といえるから、本件発明1の「基本搬送情報」との対比において、「搬送情報」との限度で一致する。
したがって、甲1発明1の「車両によって運送される荷物の積込場所、荷卸場所が含まれ」る「求車情報」は、本件発明1の「搬送移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送経路を示す基本搬送情報」との対比において、「搬送対象物を搬送するための移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送情報」との限度で一致する。
(エ)甲1発明1の「端末21」は、端末21の操作によって「求車情報」が提供されものであり、情報の入力を受け付ける入力部といえ、本件発明1の「基本搬送情報の入力を受け付ける第1入力部」との対比において、「搬送情報の入力を受け付ける第1入力部」との限度で一致する。
(オ)甲1発明1の「2つの求車情報にマッチングする1つの求荷情報の組み合わせ(マッチング)」は、2つの搬送情報たる求車情報に示される搬送作業を1台の車両によって実現する荷物を搬送するためのマッチング結果であるので、本件発明1の「複数の前記基本搬送情報に示される搬送作業を、1台の前記搬送移動装置によって実現する搬送経路を示す合成搬送情報」との対比において、「複数の前記搬送情報に示される搬送作業を、1台の搬送対象物を搬送するための移動装置によって実現する合成搬送情報」の限度で一致する。
そして、甲1発明1において「求車情報」が「端末21」の操作によって提供される(受け付けられる)ことを踏まえると、甲1発明1の「2つの求車情報にマッチングする1つの求荷情報の組み合わせ(マッチング)を決定する」「マッチング手段8」は、本件発明1の「前記第1入力部によって受け付けられた複数の前記基本搬送情報に示される搬送作業を、1台の前記搬送移動装置によって実現する搬送経路を示す合成搬送情報を生成する第1算出部」との対比において、「前記第1入力部によって受け付けられた複数の前記搬送情報に示される搬送作業を、1台の搬送対象物を搬送するための移動装置によって実現する合成搬送情報を生成する第1算出部」の限度で一致する。
(カ)甲1発明1の「端末21」は、「マッチング結果を受信し、求荷情報提供者41に通知する」ものであり、マッチング結果を出力するものであるともいえるから、本件発明1の「出力部」に相当する。
したがって、甲1発明1の「マッチング結果を受信し、求荷情報提供者41に通知する」「端末21」は、本件発明1の「前記合成搬送情報を、前記搬送移動装置の搬送移動を制御する搬送移動装置管理装置に出力する出力部」との対比において、「前記合成搬送情報を出力する出力部」の限度で一致する。
(キ)甲1発明1の「荷物の運送管理データ」は、荷物の搬送情報といえる。そして、甲1発明1の「検索システム」は、最適な荷物と車両の組合せを選択することによって荷物の搬送情報を生成するシステム(甲第1号証の段落【0001】を参照。)であるといえる。したがって、甲1発明1の「荷物の運送管理データの検索システム」は、本件発明1の「搬送情報生成装置」に相当する。
(ク)以上のとおりであるから、本件発明1と甲1発明1との一致点及び相違点は次のとおりとなる。

[一致点A]
「搬送対象物を搬送するための移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送情報の入力を受け付ける第1入力部と、
前記第1入力部によって受け付けられた複数の前記搬送情報に示される搬送作業を、1台の搬送対象物を搬送するための移動装置によって実現する合成搬送情報を生成する第1算出部と、
前記合成搬送情報を、出力する出力部と、
を備える搬送情報生成装置。」

[相違点1]
搬送対象物を搬送するための移動装置が、本件発明1では、「搬送移動装置管理装置」によって「制御」される「搬送移動装置」であり、「出力部」による「合成搬送情報」の出力先が「搬送移動装置管理装置」であるのに対し、搬送対象物を搬送するための移動装置が、甲1発明1では、「運転手によって運転される車両」であり、「端末21」は、「マッチング結果を受信し、求荷情報提供者に通知する」ものである点。

[相違点2]
搬送情報が、本件発明1では、「搬送経路を示す基本搬送情報」であり「搬送経路を示す」ことも特定しているとともに、合成搬送情報が、「搬送経路を示す合成搬送経路」であるのに対し、甲1発明1では、「求車情報」及び「マッチング結果」が搬送経路を示すものであることが特定されていない点。

イ 判断
(ア)相違点1及び2は、実質的相違点であるといえるから、本件発明1は、甲第1号証に記載された甲1発明1であるとはいえない。

(イ)相違点1について
甲1発明1は、「荷物の運送者」(段落【0027】参照。)である求荷情報提供者41に通知されたマッチング結果に基づいて運転手が車両を運転し、荷物を積込場所から荷卸場所まで運送する技術に関するものである。ここで、甲第1号証には、車両を運転手が運転することに代えて、車両の移動を制御する車両移動管理装置を備え、かかる車両移動管理装置がマッチング結果に基づいて車両を制御し、荷物を積込場所から荷卸場所まで運送することを可能とすることの記載ないし示唆は一切ない。また、運転手が車両を運転して荷物を積込場所から荷卸場所まで運送することに関し、運転手に代わって車両の移動を制御する車両移動管理装置を備えることによって荷物の運送を可能にすることが、この出願の出願前において当業者にとって周知・慣用の技術であるとの証拠もない。
一方、甲第9号証には、上記「第5 4」で記載した甲9発明が記載されているといえる。
ここで、甲9発明の「ロボット・デバイス302」、「コンピューティング・システム350」及び「ナビゲーション命令に従って移動される」ことは、本件発明1の「搬送移動装置」、「搬送移動装置管理装置」及び「搬送移動を制御する」ことに相当するといえる(下記「(2)ア」を参照。)。
したがって、甲9発明は、本件発明1の「搬送移動装置管理装置」によって、「搬送移動装置の搬送移動を制御する」ことに相当する構成を具備しているといえる。
しかしながら、甲9発明は、従来運転手が車両を運転して荷物を積込場所から荷卸場所まで運送していたものを、運転手に代わって車両の移動を制御する車両移動管理装置たるコンピューティング・システムを備えることによって荷物の自動運送を可能にするという技術に関するものではないし、甲第9号証には甲9発明を運転手が車両を運転して荷物を積込場所から荷卸場所まで運送する技術に応用可能であることを示唆する記載もない。
してみると、甲9発明を甲1発明1に適用する動機付けはなく、甲1発明1において、甲9発明を適用し、運転手に代わって車両の移動を制御する車両移動管理装置を備え、かかる車両移動管理装置によって車両を制御するよう構成することは、当業者が容易に想到しうるものではない。
その他の甲第2号証〜甲第8号証にも、本件発明1の「搬送移動装置管理装置」によって、「搬送移動装置の搬送移動を制御する」ことに相当する構成は記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明1において、運転手に代わって車両の移動を制御する車両移動管理装置を備えるとともに出力部による合成搬送情報の出力先を車両移動装置管理装置とし、かかる車両移動管理装置によって車両を制御するよう構成することは、当業者が容易に想到しうるものではない。

(ウ)相違点2について
甲第1号証において、例えば、段落【0068】、【0074】、【図5】及び【図6】の記載から、求車情報と求荷情報とのマッチング時において、求荷情報における車両の発地と着地との途中の地域を考慮している場合があるといえるとしても、求車情報が荷物の搬送経路を含むことを示唆するものではない
また、上記「第5 2及び3」に説示のとおり、甲第2号証及び第3号証には、複数の搬送情報を合成し、複数の搬送情報に係る搬送作業を1台の車両によって実現する搬送情報経路を生成する技術的事項が記載されているといえる。
しかしながら、甲第2号証の段落【0081】、【0082】及び【図3】(3)に示される態様において、複数の単独直送便13を統合して単独経由便14を仕立てる(合成する)際に、着ブロック21の中の複数の着店12におけるある発店11からの距離を考慮しているものであるとしても、複数の単独直送便13における経路を考慮する(示す)ものではない。
同じく、甲第3号証の段落【0046】に示される態様、すなわち、荷物運搬車両のルート決定装置において、入荷地点を同じくして出荷地点を異にする2つのルートに基づいて最適の1つのルートを決定する態様においても、入荷地点を同じくして出荷地点を異にする2つのルートにおいて経路を示し、かかる経路をも考慮して最適な1つのルートを決定するものではない。
このように、甲第1号証〜甲第3号証のいずれにも、本件発明1の「基本搬送情報」に「搬送経路を示す」という点(基本搬送情報が搬送経路を含むという点)については記載も示唆もされていない。
加えて、その他の甲第4号証〜甲第9号証においても、本件発明1の「基本搬送情報」に「搬送経路を示す」という点については記載も示唆もされていない。
してみると、甲1発明1において、甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基づいて、相違点2に係る本件発明1の構成となすことは当業者が容易に想到しうるものではない。

(エ)小括
したがって、本件発明1は、甲1発明1であるとはいえないし、甲1発明1及び甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)甲9発明を主引用発明として
ア 対比
本件発明1と甲9発明とを対比する。
甲9発明の「ロボット・デバイス302」は、「在庫品目306の拾い上げ(ピッキング)」を行うために移動するものであるから、本件発明1の「搬送移動装置」に相当する。
甲9発明の「ナビゲーション命令に従って」「移動させる」ことは、本件発明1の「搬送移動を制御する」ことに相当するといえる。
甲9発明の「コンピューティング・システム350」は、「ナビゲーション命令に従ってロボット・デバイス302を移動させる」ものであるから、ロボット・デバイス302を管理する装置であるといえ、本件発明1の「搬送移動装置管理装置」に相当する。
したがって、甲9発明の「コンピューティング・システム350が」、「ロボット・デバイス302の判定された物理位置に基づいて目標位置に移動するためのナビゲーション命令を決定し、ナビゲーション命令に従ってロボット・デバイス302を移動させる」構成は、本件発明1の「搬送移動装置管理装置」によって、「搬送移動装置の搬送移動を制御する」構成に相当するといえる。
また、甲9発明の「ロボット・デバイス302の判定された物理位置に基づいて目標位置に移動するためのナビゲーション命令」ないし「ナビゲーション命令」は、甲9発明の「コンピューティング・システム350」によって生成されたロボット・デバイス302への搬送経路を示す搬送情報であるといえるから、本件発明1の「搬送経路を示す合成搬送情報」との対比において、「搬送経路を示す搬送情報」との限度で一致する。
そして、甲9発明の「コンピューティング・システム350」は、「ロボット・デバイス302」が「目標位置に移動するためのナビゲーション命令を決定」するものであり、ナビゲーション命令が搬送情報であることを踏まえると、搬送情報を生成する装置であるといえ、本件発明1の「搬送情報生成装置」にも相当する。そして、甲9発明の「コンピューティング・システム350」が搬送情報たるナビゲーション命令を生成する構成(本件発明1の「第1算出部」に相当する構成)を具備しているといえる。
つまり、甲9発明の「コンピューティング・システム350」は、自身に備えられたナビゲーション命令生成手段によってロボット・デバイス302の移動のための搬送経路を示す搬送情報たるナビゲーション命令を生成し、自身に備えられたロボット・デバイス302の移動を制御する手段にナビゲーション命令を出力し、ロボット・デバイス302の移動を制御しているものといえる。
したがって、本件発明1と甲9発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。

[一致点B]
「搬送情報を生成する第1算出部と、
前記搬送情報を、搬送移動装置の搬送移動を制御する搬送移動装置管理装置に出力する出力部と、
を備える搬送情報生成装置。」

[相違点3]
本件発明1の「搬送情報生成装置」は「第1入力部」を備え、「第1入力部」は、「搬送移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送経路を示す基本搬送情報の入力を受け付ける」ものであり、「第1算出部」は、「前記第1入力部によって受け付けられた複数の前記基本搬送情報に示される搬送作業を、1台の前記搬送移動装置によって実現する搬送経路を示す合成搬送情報を生成する」ものであり、また、「出力部」は、「前記合成搬送情報を」「出力する」ものであるのに対し、
甲9発明の「コンピューティング・システム350」が基本搬送情報に相当する搬送情報を受け付ける入力部を備えるものであるとの特定はなく、また、複数の基本搬送情報に相当する搬送情報から1台のロボット・デバイス302によって実現する搬送経路を示すナビゲーション命令を生成し出力するとの特定もされておらず、このため、甲9発明のコンピューティング・システム350が出力するナビゲーション命令は、搬送情報ではあるものの合成搬送情報とはいえない点。

イ 判断
上記「第5 1」に説示のとおり、甲第1号証には甲1発明1が記載されており、この甲1発明1は上記(1)アに説示のとおり、本件発明1と「搬送対象物を搬送するための移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送情報の入力を受け付ける第1入力部と、前記第1入力部によって受け付けられた複数の前記搬送情報に示される搬送作業を、1台の搬送対象物を搬送するための移動装置によって実現する合成搬送情報を生成する第1算出部と、前記合成搬送情報を、出力する出力部と、を備える搬送情報生成装置」である点で一致する。
ここで、甲1発明1は、求荷情報提供者に通知されたマッチング結果に基づいて運転手が車両を運転し、荷物を積込場所から荷卸場所まで運送する技術に関するものであり、甲9発明のような、倉庫内のロボット・デバイス302をナビゲーションする技術に関するものとは技術分野が異なる(前者が、人間による車両の運転により荷物を搬送するものであるのに対し、後者は、コンピューティング・システム350がロボット・デバイス302を運転制御し荷物を自動搬送するものである。)。
また、甲9発明を記載する甲第9号証は、倉庫内のロボット・デバイス302の位置を判定しナビゲーションを容易にするという課題を解決するためのシステムについて開示するものである。
一方、甲1発明1は、最適な荷物と車両の組み合わせを選択するという課題を解決するための発明であり、甲9発明と甲1発明1とは、解決すべき課題も異なる。
このように、甲9発明と甲1発明1とは技術分野及び解決すべき課題が異なるから、当業者が甲9発明に甲1発明1を適用しようとする動機付けがあるとはいえない。

そして、甲第2号証〜甲第8号証にも、相違点3に係る本件発明1の構成については、記載も示唆もされていない。
したがって、本件発明1は、甲9発明及び甲第1号証〜甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

6 請求項2〜9に係る発明について
請求項2〜9は、請求項1を直接又は間接的に引用するから、請求項2〜9に係る発明は、本件発明1の発明特定事項を全て含みさらに限定したものであるといえる。
上記「5(1)イ(ア)」に説示のとおり、本件発明1は、甲1発明1であるとはいえないのであるから、請求項3〜7に係る発明も同様の理由により、甲1発明1であるとはいえない。
また、上記「5(1)イ(イ)及び(ウ)」並びに「5(2)イ」に説示のとおり、本件発明1は、甲1発明1及び甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないし、また、甲9発明及び甲第1号証〜甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないのであるから、請求項2〜9に係る発明も同じ理由により、甲1発明1及び甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないし、また、甲9発明及び甲第1号証〜甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

7 請求項10に係る発明(以下、「本件発明10」という。)について
(1)甲1発明2を主引用発明として
ア 対比
本件発明10と甲1発明2を対比する。
(ア)甲1発明2の「運送システム」は、荷物を運送するものであり、運送すると搬送するとは同義であるので、本件発明10の「搬送システム」に相当する。
(イ)甲1発明2の「車両は、マッチング結果にしたがって運転手によって運転される」ことは、運転手に車両の運転により搬送情報たるマッチング結果に基づく荷物の搬送作業を実行するものといえるから、上記5(1)ア(ウ)及び(カ)を踏まえると、本件発明10の「前記搬送移動手段は、搬送移動装置制御部を備えており、前記搬送移動装置制御部は、前記搬送移動装置管理装置から前記合成搬送情報を受け取り、当該合成搬送情報に基づいて前記搬送移動装置に搬送作業を実行させる」こととの対比において、「前記搬送対象物を搬送するための移動装置は、前記搬送情報に基づいて前記搬送対象物を搬送する」ことの限度で一致する。
(エ)さらに、上記5(1)ア(ウ)〜(カ)を踏まえると、本件発明10と甲1発明2との一致点及び相違点は次のとおりとなる。

[一致点C]
「搬送対象物を搬送するための移動装置、および搬送情報生成装置を含んでいる搬送システムであって、
前記搬送情報生成装置は、
搬送対象物を搬送するための移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送情報の入力を受け付ける第1入力部と、
前記第1入力部によって受け付けられた複数の前記搬送情報に示される搬送作業を、1台の搬送対象物を搬送するための移動装置によって実現する合成搬送情報を生成する第1算出部と、
前記合成搬送情報を、出力する出力部と、
を備えており、
前記搬送対象物を搬送するための移動装置は、前記搬送情報に基づいて前記搬送対象物を搬送する
搬送システム。」

[相違点4]
本件発明10が、「搬送情報生成装置」が出力した「合成搬送情報」を受取り、当該「合成搬送情報」を「搬送移動装置制御部」に受け渡す「搬送移動装置管理装置」を含むものであるのに対し、甲1発明2は、マッチング結果は「求荷情報提供者41」に受信され、「車両は、マッチング結果にしたがって運転手によって運転される」ものである点。

[相違点5]
搬送対象物を搬送するための移動装置が、本件発明10では、「搬送移動装置制御部を備えて」いる「搬送移動装置」であり、「前記搬送移動装置制御部」は、「前記搬送移動装置管理装置から前記合成搬送情報を受け取り、当該合成搬送情報に基づいて前記搬送移動装置に搬送作業を実行させる」ものであるのに対し、搬送対象物を搬送するための移動装置が、甲1発明2では、「荷物を運搬する運転手によって運転される車両」であり、車両の移動を制御する制御部を備えるものではない点。

[相違点6]
搬送情報が、本件発明10では、「搬送経路を示す基本搬送情報」であり「搬送経路を示す」ことも特定しているとともに、合成搬送情報が、「搬送経路を示す合成搬送経路」であるのに対し、甲1発明2では、「求車情報」及び「マッチング結果」が搬送経路を示すものであることが特定されていない点。

イ 判断
(ア)相違点4について
甲第9号証には、上記「第5 4」で記載した甲9発明が記載されているといえる。
してみると、下記(2)アに説示のとおり、甲9発明は、本件発明10の「搬送移動装置管理装置」を備えており、しかも、「搬送移動装置制御部」が、「前記搬送移動装置管理装置から搬送情報を受け取り、当該搬送情報に基づいて前記搬送移動装置に搬送作業を実行させる」構成を具備しているといえる。
しかしながら、甲9発明は、求荷情報提供者が受信したマッチング結果にしたがって運転手が車両を運転して荷物を積込場所から荷卸場所まで運送していたものを、マッチング結果に基づいて自動的に車両の移動を制御する手段を備えることによって荷物の自動運送を可能にする技術に関するものではないし、甲第9号証には甲9発明を求荷情報提供者が受信したマッチング結果にしたがって運転手が車両を運転して荷物を積込場所から荷卸場所まで運送していた技術に応用可能であることを示唆する記載もない。
したがって、甲9発明を甲1発明2に適用する動機付けはなく、甲1発明2において、甲9発明を適用し、運転手に代わって車両の移動を制御する制御部を備え、マッチング結果をかかる制御部に受け渡し、かかる制御部によって車両を制御するよう構成することは、当業者が容易に想到しうるものではない。

(イ)相違点5について
甲1発明2は、求荷情報提供者41に通知されたマッチング結果にしたがって運転手が車両を運転し、荷物を積込場所から荷卸場所まで運送する技術に関するものである。ここで、甲第1号証には、車両を運転手が運転することに代えて、車両の移動を制御する車両制御部を備え、かかる車両制御部がマッチング結果に基づいて車両を制御し、荷物を積込場所から荷卸場所まで運送することを可能とする記載ないし示唆は一切ない。
また、上記5(1)イ(イ)で説示のとおり、甲9発明は、従来運転手が車両を運転して荷物を積込場所から荷卸場所まで運送していたものを、車両の移動を制御するコンピューティングシステム・システムを備えることによって荷物の自動運送を可能にするという技術に関するものではなく、相違点5に係る本件発明10の構成を示唆するものではない。
その他の甲第2号証〜甲第8号証にも、本件発明10の「前記搬送移動装置は、搬送移動装置制御部を備えており、前記搬送移動装置制御部は、前記搬送移動装置管理装置から前記合成搬送情報を受け取り、当該合成搬送情報に基づいて前記搬送移動装置に搬送作業を実行させる」に相当する構成は記載も示唆もされていない。
よって、甲1発明2において、運転手に代わって車両の移動を制御する制御部を備え、かかる制御部によって車両を制御するよう構成することは、当業者が容易に想到しうるものではない。

(ウ)相違点6について
相違点6は、上記「5(1)ア」の相違点2と実質的に同じである。
したがって、上記「5(1)イ(ウ)」での説示と同様の理由により、甲1発明2において、甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基づいて、相違点6に係る本件発明10の構成となすことは当業者が容易に想到しうるものではない。

(エ)小括
したがって、本件発明10は、甲1発明2及び甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)甲9発明を主引用発明として
ア 対比
本件発明10と甲9発明とを対比する。
甲9発明の「ロボット・デバイス302」は、「在庫品目306の拾い上げ(ピッキング)」を行うために移動するものであるから、本件発明10の「搬送移動装置」に相当する。
甲9発明の「コンピューティング・システム350」は、「ナビゲーション命令に従ってロボット・デバイス302を移動させる」ものであるから、ロボット・デバイス302を管理する装置であるといえ、本件発明10の「搬送移動装置管理装置」に相当する。
また、甲9発明の「ナビゲーション命令」は、ロボット・デバイス302に搬送作業を行わせる搬送情報であり、1つのナビゲーション命令は1台のロボット・デバイス302への搬送作業のための情報であるので、本件発明10の「搬送経路を示す合成搬送情報」との対比において、「搬送経路を示す搬送情報」との限度で一致する。さらに、甲9発明の「コンピューティング・システム350」は、「ロボット・デバイス302」が「目標位置に移動するためのナビゲーション命令を決定する」ものであり、ナビゲーション命令が搬送情報であることを踏まえると、搬送情報を生成する装置であるといえ、本件発明10の「搬送情報生成装置」にも相当する。
そして、甲9発明の「ナビゲーション命令」は「コンピューティング・システム350」によって生成されているから「ナビゲーション命令」を生成する算出部(本件発明10の「第1算出部」に相当する)を備えているといえる。
上記のように、甲9発明の「コンピューティング・システム350」は、本件発明10の「搬送移動装置管理装置」及び「搬送情報生成装置」を兼ねるものであるところ、搬送情報生成装置に相当する部分で決定したナビゲーション命令を搬送移動装置管理装置に相当する部分に出力する出力部を有するものといえる。
そして、甲9発明の「ロボット・デバイス302」がコンピューティング・システム350からのナビゲーション命令に従い、ロボット・デバイス302を制御し移動させる制御装置、すなわち、本件発明10の「搬送移動装置制御部」を備えることは技術的に明らかである。
してみると、甲9発明は、本件発明10の「前記搬送移動装置は、搬送移動装置制御部を備えており、前記搬送移動装置制御部は、前記搬送移動装置管理装置から搬送情報を受け取り、当該搬送情報に基づいて前記搬送移動装置に搬送作業を実行させる」構成を具備しているといえる。
甲9発明の「システム」は、「在庫品目306の拾い上げ(ピッキング)のための搬送システムであり、本件発明10の「搬送システム」に相当する。
以上のとおりであるから、本件発明10と甲9発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。

[一致点D]
「搬送移動装置、搬送移動装置管理装置、および搬送情報生成装置を含んでいる搬送システムであって、
前記搬送情報生成装置は、
搬送経路を示す搬送情報を生成する第1算出部と、
前記搬送情報を、前記搬送移動装置管理装置に出力する出力部と、
を備えており、
前記搬送移動装置は、搬送移動装置制御部を備えており、
前記搬送移動装置制御部は、前記搬送移動装置管理装置から前記搬送情報を受け取り、当該搬送情報に基づいて前記搬送移動装置に搬送作業を実行させる、搬送システム。」

[相違点7]
本件発明10の「搬送情報生成装置」は「第1入力部」を備え、「第1入力部」は、「搬送移動装置が搬送対象物を積み込む第1位置、および、当該搬送対象物を積み下ろす第2位置の情報を含む搬送経路を示す基本搬送情報の入力を受け付ける」ものであり、「第1算出部」は、「前記第1入力部によって受け付けられた複数の前記基本搬送情報に示される搬送作業を、1台の前記搬送移動装置によって実現する搬送経路を示す合成搬送情報を生成する」ものであり、また、「出力部」は、「前記合成搬送情報を」「出力する」ものであるのに対し、
甲9発明の「コンピューティング・システム350」が基本搬送情報に相当する搬送情報を受け付ける入力部を備えるものであるとの特定はなく、また、複数の基本搬送情報に相当する搬送情報から1台のロボット・デバイス302によって実現する搬送経路を示すナビゲーション命令を生成し出力するとの特定もされていないため、コンピューティング・システム350が出力するナビゲーション命令は、搬送情報ではあるものの合成搬送情報とはいえず、このため、ロボット・デバイス302が合成搬送情報たるナビゲーション命令に従って移動させられるものとはされていない点。

イ 判断
相違点7は上記5(2)アの相違点3と実質的に同じである。
したがって、上記5(2)イと同様の理由により、本件発明10は、甲9発明及び甲第1号証〜甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

8 請求項11及び12に係る発明について
請求項11及び12は、請求項10を直接又は間接的に引用するから、請求項11及び12に係る発明は、本件発明10の発明特定事項を全て含みさらに限定したものであるといえる。
したがって、請求項11及び12に係る発明は、本件発明10と同様の理由により、甲1発明2及び甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、また、甲9発明及び甲第1号証〜甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

9 請求項13に係る発明(以下、「本件発明13」という。)について
本件発明13は、本件発明1を制御方法として表現した発明であって、本件発明1の発明特定事項に対応する発明特定事項を全て備えるものである。
してみると、上記5(1)イ及び(2)イで説示のとおり、本件発明1は甲1発明1であるとはいえないし、甲1発明1及び甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、また、本件発明1が甲9発明及び甲第1号証〜甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできないとされた理由と同様の理由により、本件発明13は甲1発明1であるとはいえないし、甲1発明1及び甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、また、甲9発明及び甲第1号証〜甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

10 請求項14及び15に係る発明について
請求項14及び15は、請求項13を直接又は間接的に引用するから、請求項14及び15に係る発明は、本件発明13の発明特定事項を全て含みさらに限定したものであるといえる。
したがって、請求項14及び15に係る発明は、本件発明13と同様の理由により、甲1発明1であるとはいえないし、甲1発明1及び甲第2号証〜甲第9号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、また、甲9発明及び甲第1号証〜甲第8号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

11 異議申立人の主張について
(1)異議申立人は、異議申立人が異議申立書において主張するところの甲1発明(甲第1号証に記載された発明)の、求車情報における積込場所及び積込住所が、本件発明1における「第1位置」に相当し、荷卸場所及び荷卸住所が、本件発明1における「第2位置」に相当し、これらの情報を含む搬送経路を示す情報である求車情報が、本件発明1の「基本搬送情報」に相当する旨主張する(特許異議申立書第37頁第25行〜第38頁第13頁)。
しかしながら、上記5(1)イ(ウ)で説示のとおり、上記1において当審が認定した甲1発明1及び2並びに異議申立人が異議申立書において主張するところの甲1発明の「求車情報」においては、積込場所と荷卸場所との間の搬送経路を必要としているものではなく、このことを示唆する記載もないから、甲1発明の「求車情報」が本件発明1の「基本搬送情報」に相当する旨の異議申立人の上記主張は採用できない。
(2)異議申立人は、甲1発明の、「端末21」は、配車という運送車両の搬送移動の制御のために使用されていることから、本件発明1における「搬送移動装置管理装置」に相当する旨主張する(特許異議申立書第39頁第3行〜第16行)。
しかしながら、本件発明1の「搬送移動装置管理装置」は、「前記搬送移動装置の搬送移動を制御する」ものとして特定されているのに対し、甲1発明の車両(搬送対象物を搬送するための移動装置との限度で本件発明1の搬送移動装置に相当する。)は、端末21に通知されたマッチング結果に基づいて運転手が運転するものとされており、車両を制御しているのは運転手であって端末21ではないから、甲1発明の「端末21」が、本件発明1の「搬送移動装置管理装置」に相当する旨の異議申立人の上記主張は採用できない。
(3)異議申立人は、搬送対象物の積込位置及び積み下ろし位置を含む複数の搬送経路に係る複数の搬送作業を1台の搬送移動装置によって実現する搬送経路を示す情報を生成することは、甲第2号証及び甲第3号証に記載されているから、本件発明1の「前記第1入力部によって受け付けられた複数の基本搬送情報に示される搬送作業を、1台の前記搬送移動装置によって実現する搬送経路を示す合成搬送情報を生成する第1算出部」に示される構成が、甲第1号証に記載されていないとしても、本件発明1は、甲1発明に、甲第2号証及び甲第3号証に記載の技術的事項を適用することにより当業者が容易に想到し得たものといえる旨主張する(特許異議申立書第40頁第4行〜第27行)。
しかしながら、上記5(1)イ(ウ)で説示のとおり、甲第2号証及び甲第3号証に記載のものは、荷物の積込場所と荷卸場所との間の搬送経路を考慮して、合成搬送情報に相当する搬送経路を生成するというものではないし、そのことを示唆する記載もないから、異議申立人の上記主張は採用できない。

第6 むすび
上記「第5」で述べたとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1〜15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1〜15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。


 
異議決定日 2022-07-06 
出願番号 P2018-221306
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B65G)
P 1 651・ 113- Y (B65G)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 尾崎 和寛
段 吉享
登録日 2021-08-30 
登録番号 6935792
権利者 オムロン株式会社
発明の名称 搬送情報生成装置、搬送システム、制御方法、プログラムおよび記録媒体  
代理人 村上 尚  

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