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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01G 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01G 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01G |
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管理番号 | 1387713 |
総通号数 | 9 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-06-26 |
確定日 | 2022-08-12 |
事件の表示 | 特願2015−117533「低ノイズコンデンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月21日出願公開、特開2016− 12722〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年6月10日(パリ条約による優先権主張 平成26年6月11日 米国、平成27年6月8日 米国)の出願であって、平成30年2月22日に手続補正書が提出され、同年12月17日付けで拒絶理由が通知され、平成31年3月28日に意見書及び手続補正書が提出され、令和1年7月30日付けで拒絶理由が通知され、同年11月5日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年2月25日付けで令和1年11月5日にした手続補正の却下の決定と拒絶査定がされたところ、令和2年6月26日に拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がされ、同年10月15日付けで上申書が提出されたものである。その後、当審において令和3年5月25日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年10月26日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし2に係る発明は、令和3年10月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載されたとおりのものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「 表面実装可能な比較的低ノイズの積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリであって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体と、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部であって、前記終端部は、電気機械的ノイズを比較的低減させるために、当該コンデンサアセンブリの前記本体と当該コンデンサアセンブリが実装される基板の表面との間の振動を比較的減衰させるためのコンプライアント層を含む、該第1の極性の終端部および第2の極性の終端部と を備え、 前記終端部の前記コンプライアント層は、フラッシュ層又は銅フラッシュ層上に銀ポリマー又は導電性のポリマーを有するコンプライアントポリマー層を含み、前記コンプライアントポリマー層は5Gpa未満の弾性率を有し、これによって前記終端部はクッションの役割をして前記本体と前記基板との間の振動を減衰させることを特徴とするコンデンサアセンブリ。」 第3 当審拒絶理由の概要 本願の請求項1に対して令和3年5月25日付けで当審が通知した拒絶理由の理由1の概要は、次のとおりである。 「この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された引用文献1ないし5に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (引用文献等一覧) 1.特開2013−235807号公報 2.特開2013−69713号公報 3.特表2012−503314号公報 4.特開2011−134907号公報 5.特表2007−520081号公報」 第4 引用文献の記載、引用発明、及び公知技術 1 引用文献1について (1)当審拒絶理由に引用した引用文献1(特開2013−235807号公報)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。 「【0008】 従って、上記問題点を解決するため、外部電極層とめっき層との間に伝導性物質を含む樹脂組成物を塗布することで、外部衝撃を吸収すると共に、めっき液の浸透を効果的に遮断して信頼性を向上させるようにしている。」 「【0034】 図1及び図2を参照すると、本実施例による積層セラミックキャパシタ100は、複数の誘電体層111が積層されたセラミック素体110と、誘電体層111の少なくとも一面に形成された複数の第1及び第2内部電極層121、122と、セラミック素体110の両端面に形成され、第1及び第2内部電極層121、122と電気的に連結された第1及び第2外部電極層137、138と、第1及び第2外部電極層137、138の表面に形成された第1及び第2導電性樹脂層131、132と、第1及び第2導電性樹脂層131、132の表面に形成された第1及び第2めっき層133、134、135、136と、を含む。 ・・・・(中略)・・・・ 【0043】 第1及び第2内部電極層121、122は、誘電体層111を形成するセラミックシート上に形成されて積層された後、焼成によって一つの誘電体層111を介して、セラミック素体110の内部に形成される。 【0044】 このような第1及び第2内部電極層121、122は、異なる極性を有する一双の電極であり、誘電体層111の積層方向に沿って対向配置され、中間に配置された誘電体層111によって電気的に絶縁される。 ・・・・(中略)・・・・ 【0048】 第1及び第2外部電極層137、138は、良好な電気特性を有すると共に、優れた耐ヒートサイクル性及び耐湿性等の高信頼性を提供するため、銅(Cu)を含む外部電極用導電性ペーストの焼成によって形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。 ・・・・(中略)・・・・ 【0051】 導電性樹脂層131、132(当審注:「伝導性樹脂層」は「導電性樹脂層」の誤記と認める。)は、エポキシ樹脂、銅粉末及び非窒素系硬化剤を含む導電性樹脂組成物で形成することができる。上記銅粉末は、必要に応じて、表面が銀でコーティングすることができる。」 図1、図2として以下の図面が記載されている。 「 図1 図2 」 (2)上記(1)から以下のことがいえる。 ・段落【0034】の記載によれば、積層セラミックキャパシタ100は、複数の誘電体層111が積層されたセラミック素体110と、誘電体層111の少なくとも一面に形成された複数の第1及び第2内部電極層121、122と、セラミック素体110の両端面に形成され、第1及び第2内部電極層121、122と電気的に連結された第1及び第2外部電極層137、138と、第1及び第2外部電極層137、138の表面に形成された第1及び第2導電性樹脂層131、132とを含むものといえる。 ・段落【0044】の記載によれば、第1及び第2内部電極層121、122は、異なる極性を有する一双の電極であり、誘電体層111の積層方向に沿って対向配置されている。 ・段落【0048】の記載によれば、第1及び第2外部電極層137、138は、銅(Cu)を含む外部電極用導電性ペーストの焼成によって形成されている。 ・段落【0051】の記載によれば、導電性樹脂層131、132は、導電性樹脂組成物で形成されている。 ・段落【0008】の記載によれば、第1及び第2導電性樹脂層は外部衝撃を吸収するために設けられるものといえる。 ・図1から積層セラミックキャパシタはチップ部品としての外観を有しており、表面実装可能であることが見てとれる。 (3)引用発明 上記(1)、(2)を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「表面実装可能な積層セラミックキャパシタであって、 複数の誘電体層が積層されたセラミック素体と、前記誘電体層の少なくとも一面に形成された複数の第1及び第2内部電極層と、前記セラミック素体の両端面に形成され、前記第1及び第2内部電極層と電気的に連結された第1及び第2外部電極層と、前記第1及び第2外部電極層の表面に形成された第1及び第2導電性樹脂層とを含み、 前記第1及び第2内部電極層は、異なる極性を有する一双の電極であり、前記誘電体層の積層方向に沿って対向配置されており、 前記第1及び第2外部電極層は、銅を含む外部電極用導電性ペーストの焼成によって形成されており、 前記導電性樹脂層は、導電性樹脂組成物で形成され、外部衝撃を吸収する、 積層セラミックキャパシタ。」 2 引用文献2に記載された技術 (1)当審拒絶理由に引用した引用文献2(特開2013−69713号公報)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。 「【0047】 また、回路基板に実装されたチップ型電子部品10は、誘電体15に発生する電歪現象に起因した音鳴りが発生したり、セラミック素体11にクラックが発生したりすることがある。端子電極20、30は、第1の樹脂層21、31及び第2の樹脂層22、32を有するので、電歪現象によるチップ型電子部品10の変形を吸収して、前記音鳴り及び前記クラックを抑制することもできる。特に、端子電極20、30は、ヤング率が第1の樹脂層21、31よりも低い第2の樹脂層22、32を有するので、電歪現象によるチップ型電子部品10の変形を吸収して、前記音鳴り及び前記クラックをより効果的かつ確実に抑制することができる。このように、チップ型電子部品10は、誘電体15を有する場合には、第1の樹脂層21、31及び第2の樹脂層22、32を含む端子電極20、30が音鳴り及びクラックを抑制できるという利点がある。チップ型電子部品10は、誘電体15を有していなくてもよく、この場合は、端子電極20、30が外部からの応力及び熱応力を緩和するという効果が得られる。 【0048】 本実施形態において、第1の樹脂層21、31のヤング率は第2の樹脂層22、32のヤング率よりも高く、2GPa以上6GPa以下が好ましい。また、第2の樹脂層22、32のヤング率は、0.1GPa以上3GPa以下とすることが好ましく、1GPa以下とすることが特に好ましい。第1の樹脂層21、31のヤング率と第2の樹脂層22、32のヤング率とを上述した範囲とすることにより、第1の樹脂層21、31とチップ型電子部品10の内部電極17、18及び端面13、14とを確実に密着させ、かつチップ型電子部品10に作用する外的な応力及び熱応力を確実に緩和することができる。また、チップ型電子部品10の第1の樹脂層21、31及び第2の樹脂層22、32は、誘電体15の電歪現象に起因した音鳴り及びクラックを抑制することもできる。」 (2)公知技術 上記記載事項によれば、引用文献2によれば、次の技術(以下、「公知技術」という。)が本願優先日前に公知であったものと認められる。 「チップ型電子部品において、電歪現象による部品の変形の吸収や外部から受ける応力(外部応力)を緩和するため、ヤング率が2GPa以上6GPa以下の第1の樹脂層、0.1GPa以上3GPa以下の第2の樹脂層を有する端子電極を備えること。」 第5 対比・判断 1 対比 引用発明と本願発明とを対比すると、 ・引用発明の「表面実装可能な積層セラミックキャパシタは、本願発明の「表面実装可能な」「積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリ」に相当する。 ただし、引用発明は「比較的低ノイズ」であることが特定されていない点で、本願発明と相違する。 ・引用発明の「誘電体層」「第1内部電極層」「第2内部電極層」は、それぞれ本願発明の「セラミック層」「第1の極性の導電層」「第2の極性の導電層」に相当し、引用発明の「誘電体層」と「第1内部電極層」を合わせた構成、及び「誘電体層」と「第2内部電極層」を合わせた構成が、いずれも本願発明の「コンデンサプレート」に相当する。そして、引用発明において「第1内部電極層」「第2内部電極層」はキャパシタを構成するように「誘電体層」に交互に積層されていることは明らかであるから、引用発明の「セラミック素体」が、本願発明の積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する「本体」に相当する。 ・引用発明の「第1外部電極層」及び「第2外部電極層」は、セラミック素体の両端面の第1及び第2導電性樹脂層の下に形成され、第1及び第2内部電極層と電気的に連結されているから、「両端面電極層」といえる点で本願発明の「フラッシュ層又は銅フラッシュ層」に相当する。 ただし、引用発明の「第1外部電極層」及び「第2外部電極層」は銅を含む外部電極用導電性ペーストの焼成によって形成されており、本願発明のようにフラッシュ蒸着やフラッシュめっきにより形成されたフラッシュではない点で相違する。 ・引用発明の「第1および第2導電性樹脂層」は、第1及び第2外部電極層の表面に形成され、導電性樹脂組成物で形成され、外部衝撃を吸収するから、一定の弾性を有していることは明らかであり、本願発明のフラッシュ層又は銅フラッシュ層上に銀ポリマーまたは導電性ポリマーを有する「コンプライアントポリマー層」に相当する。 ただし、引用発明は5Gpa未満の弾性率を有していることが明らかでない点で相違する。 そして、引用発明の「第1及び第2外部電極層」と「第1および第2導電性樹脂層」とを含む構成は、導電性樹脂層が外部衝撃を吸収することから、本願発明の「コンプライアント層」に相当する。 ただし、引用発明の「第1及び第2外部電極層」と「第1および第2導電性樹脂層」とを含む構成が、本願発明のように「電気機械的ノイズを比較的低減させるために、当該コンデンサアセンブリの前記本体と当該コンデンサアセンブリが実装される基板の表面との間の振動を比較的減衰させ」ることまで明示されていない点で相違する。 ・引用発明の「第1及び第2外部電極層」と「第1および第2導電性樹脂層」とを含む構成が、本願発明において本体の両端部で第1及び第2の極性の導電層に電気的に接続され、「コンプライアント層」を含む「第1の極性の終端部」及び「第2の極性の終端部」に相当する。 ただし、引用発明の「第1及び第2導電性樹脂層」は樹脂により構成され、一定の弾性を有していることは明らかであるものの、本願発明の「終端部」が「クッションの役割をして前記本体と前記基板との間の振動を減衰させる」動作をするのに対して、引用発明の「第1及び第2外部電極層」と「第1及び第2導電性樹脂層」とを含む構成が同様の動作をすることまでは明示されていない点で相違する。 そうしてみると、引用発明と本願発明とは以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「 表面実装可能な積層セラミックコンデンサ(MLCC)のコンデンサアセンブリであって、 積層された配列内に対向するコンデンサプレートのそれぞれの対を形成するように複数のセラミック層と交互配置されたそれぞれ第1の極性および第2の極性である複数の導電層を有する本体と、 前記本体の両端部における、前記第1の極性の導電層および前記第2の極性の導電層にそれぞれ電気的に接続されたそれぞれの第1の極性の終端部および第2の極性の終端部であって、前記終端部は、コンプライアント層を含む、該第1の極性の終端部および第2の極性の終端部と を備え、 前記終端部の前記コンプライアント層は、両端面電極層上に導電性のポリマーを有するコンプライアントポリマー層を含み、前記コンプライアントポリマー層が弾性を有することを特徴とするコンデンサアセンブリ。」 (相違点1)本願発明の積層セラミックコンデンサは「比較的低ノイズ」の積層セラミックコンデンサであり、コンプライアント層が、電気機械的ノイズを比較的低減させるために、当該コンデンサアセンブリの前記本体と当該コンデンサアセンブリが実装される基板の表面との間の振動を比較的減衰させ、終端部がクッションの役割をして前記本体と前記基板との間の振動を減衰させるのに対して、引用発明では当該事項が明らかではない点。 (相違点2)「両端面電極層」が本願発明では「フラッシュ層又は銅フラッシュ層」であるのに対して引用発明では、銅を含む外部電極用導電性ペーストの焼成によって形成される第1及び第2外部電極層である点。 (相違点3)本願発明の「コンプライアントポリマー層」は5Gpa未満の弾性率を有しているのに対して、引用発明の第1及び第2導電体性樹脂層の弾性率は明らかではない点。 2 判断 相違点1について検討する。 引用発明の積層セラミックキャパシタについても、第1及び第2導電性樹脂層は導電性樹脂組成物で形成され、外部衝撃を吸収する特性を有している。ここで、基板上に実装されたコンデンサアセンブリは基板の表面との間に振動が伝わり電気機械的ノイズとなることは技術常識である。そうしてみると、導電性樹脂組成物により外部衝撃を吸収する特性を有する引用発明において、基板上に実装された場合には基板との間の振動を減衰させるクッションの役割をし、電気機械的なノイズを抑制し比較的低ノイズのコンデンサを構成しているといえるから、相違点1とした構成は実質的な相違点ではない。 相違点2について検討する。 引用発明では、第1及び第2外部電極層は銅を含む外部電極用導電性ペーストの焼成によって形成されている。しかしながら、引用文献1の【0048】には、第1及び第2外部電極層は銅(Cu)を含む外部電極用導電性ペーストの焼成に限定されないことが明示されており(上記「第4 1(1)」を参照)、また、フラッシュ蒸着やフラッシュめっきにより導電層を形成することは周知技術にすぎない(特表2012−503314号公報(引用文献3)の段落【0103】、特開2011−134907号公報(引用文献4)の段落【0080】ないし【0081】、特表2007−520081号公報(引用文献5)の段落【0067】を参照。)ことから、引用発明において当該周知技術を参照して外部電極層を「フラッシュ層」により構成することは当業者が容易になし得る事項である。 相違点3について検討する。 上記「第4 2(2)」で述べたように、「チップ型電子部品において、電歪現象による部品の変形の吸収や外部から受ける応力(外部応力)を緩和するため、ヤング率が2GPa以上6GPa以下の第1の樹脂層、0.1GPa以上3GPa以下の第2の樹脂層を有する端子電極を備えること。」は公知技術である。 そうしてみると、上記公知技術では樹脂層を2層有しているものの、外部から受ける応力を緩和するために、樹脂層の弾性率としてヤング率を本願発明の5GPa未満と共通する範囲を含む2GPa以上6GPa以下、0.1GPa以上3GPa以下としており、樹脂層として当該程度の弾性率が妥当であることが示されている。また、本願発明の5Gpaという値は本願明細書の段落【0031】をみても「おおむね5GPa未満の弾性率を有してよく」と記載されているにとどまり、5GPaに臨界的意義が存在するとは認められない。してみると、引用発明において樹脂の弾性率を5Gpa未満とすることは、公知技術の樹脂層のヤング率を参照し、当業者が格別の創作能力を必要とすることなく容易に想到できたものである。 したがって、本願発明は引用発明、引用文献2に記載の公知技術及び周知技術を参照して当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 請求人の主張について 請求人は令和3年10月26日に提出された意見書において、 「特に、D2(引用文献2)は、電子構成要素10の、端子の一部として、フラッシング層又は電極層を教示ないので、D1(引用文献1)と組み合わせられた場合に、樹脂層が、同じ弾性率を有し、同じ特性を維持することは自然に導かれません。」と主張している。 しかしながら、引用文献2において、外部からの応力や電歪現象に伴う音鳴り等を防止し、振動を吸収するのは、第1及び第2の樹脂層の弾性特性によるものであり、一方、外部電極層と導電性樹脂層を有する引用発明においても、外部衝撃の吸収は導電性樹脂層の弾性によるものであるから、引用文献2の樹脂層のヤング率を引用発明の導電性樹脂層の弾性率の設定に適用することに格別の困難はなく、上記「2 判断」で相違点3について判断したように5Gpa未満とすることは容易に想到できたものである。 したがって、上記請求人の主張を採用することはできない。 第6 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明、公知技術、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 審判長 井上 信一 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |
審理終結日 | 2022-03-15 |
結審通知日 | 2022-03-16 |
審決日 | 2022-03-29 |
出願番号 | P2015-117533 |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(H01G)
P 1 8・ 121- WZ (H01G) P 1 8・ 113- WZ (H01G) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
井上 信一 |
特許庁審判官 |
山本 章裕 清水 稔 |
発明の名称 | 低ノイズコンデンサ |
代理人 | 山本 修 |
代理人 | 中西 基晴 |
代理人 | 大牧 綾子 |
代理人 | 宮前 徹 |