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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F01L
管理番号 1387759
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-30 
確定日 2022-08-10 
事件の表示 特願2017−534647「ピボットおよびシリンダヘッドにより軸方向に止められるタイミングフィンガーフォロア」拒絶査定不服審判事件〔平成28年7月7日国際公開、WO2016/108002、平成30年 1月11日国内公表、特表2018−500503〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
この出願(以下、「本願」という。)は、2015年(平成27年)12月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年(平成26年)12月29日(FR)フランス共和国)を国際出願日とする出願であって、令和元年8月23日付けで拒絶理由(発送日:令和元年8月27日)が通知され、令和2年2月27日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年3月16日付けで最後の拒絶理由(発送日:令和2年3月24日)が通知され、令和2年5月28日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年6月3日付けで令和2年5月28日の手続補正の却下の決定とともに拒絶査定(発送日:令和2年6月30日)がされ、これに対して、令和2年10月30日に拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に手続補正書が提出され、当審において令和3年4月26日付けで拒絶理由(発送日:令和3年4月27日)が通知され、令和3年9月16日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2.本願発明
本願の請求項1ないし11に係る発明は、令和3年9月16日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「自動車用装置であって、
内燃機関のシリンダヘッド(10)と、
前記シリンダヘッド(10)に対して回転するカムシャフト(11)と、
前記シリンダヘッド(10)に固定され、前記カムシャフト(11)の回転軸に対して偏位した少なくとも1つのピボットポイント部(15)と、
少なくとも1つのタイミングフィンガーフォロア(14)とを備え、
前記タイミングフィンガーフォロア(14)は、内燃機関の吸排気バルブ(13)を制御するように構成され、前記ピボットポイント部(15)に取り付けられて、前記カムシャフト(11)のロータリーカム(111)により前記ピボットポイント部(15)まわりで振動運動するように作動し、
前記タイミングフィンガーフォロア(14)の前記ピボットポイント部(15)に沿った軸方向止め部が、一方の側では前記シリンダヘッド(10)に画定される軸方向遮断壁(101)により、他方の側では前記軸方向遮断壁(101)と向かい合い、前記ピボットポイント部(15)に画定される軸方向遮断面(157)により構成されて、前記タイミングフィンガーフォロア(14)の軸方向の動きが前記軸方向遮断壁(101)から前記軸方向遮断面(157)までの範囲に規制され、前記タイミングフィンガーフォロア(14)が前記ピボットポイント部(15)に取り付けられる範囲は、前記軸方向遮断壁(101)から前記軸方向遮断面(157)までの規制範囲内であり、当該規制範囲内に前記タイミングフィンガーフォロア(14)が介在する状態で取り付けられている、
装置。」

第3.当審において通知した拒絶理由について
当審において令和3年4月26日付けで通知した拒絶理由の概要は以下のとおりである。

本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

《引用文献等一覧》
1.米国特許出願公開第2004/0000279号明細書

第4.当審の判断
(1)引用発明
引用文献1には、「VALVE CLEARANCE ADJUSTMENT MECHANISM」(当審訳:バルブクリアランス調整機構)に関して、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付与。)。

ア.「[0003] The present invention relates to a mechanism for adjusting the clearance between a valve and a valve actuator in a small internal combustion engine of the type which are used in lawn mowers, lawn and garden tractors, sport vehicles, and other small implements.
当審訳:[0003]本発明は、芝刈り機、ガーデントラクター、スポーツカーなどに使用されるタイプの小型内燃機関において、バルブとバルブアクチュエータの間のクリアランスを調整する機構に関するものである。」

イ.「[0005] Small internal combustion engines, such as single or two cylinder engines, include at least one intake and at least one exhaust valve per cylinder, the intake valve openable to allow an air/fuel mixture into the combustion chamber of the cylinder for combustion, and the exhaust valve openable to allow venting of exhaust from the combustion chamber after combustion. In a side valve or L-head engine, the intake and exhaust valves are typically actuated by respective lifters driven by rotating cam lobes. In an overhead valve (OHV) engine, the intake and exhaust valves are typically actuated by rocker arms connected to push rods, which in turn are actuated by lifters. In an overhead cam (OHC) engine, the intake and exhaust valves are typically directly actuated by the cam lobes of an overhead camshaft.
当審訳:[0005]単気筒や2気筒などの小型内燃機関には、シリンダーごとに少なくとも1つの吸気弁と少なくとも1つの排気弁があり、吸気弁はシリンダーの燃焼室に空気と燃料の混合物を入れて燃焼させるために開閉可能で、排気弁は燃焼後に燃焼室からの排気を排出するために開閉可能である。サイドバルブエンジンやLヘッドエンジンでは、吸気バルブと排気バルブは、回転するカムローブによって駆動されるリフターによって作動するのが一般的である。オーバーヘッドバルブ(OHV)エンジンでは、吸気バルブと排気バルブは、プッシュロッドに接続されたロッカーアームによって作動し、そのプッシュロッドがリフターによって作動するのが一般的である。オーバーヘッドカム(OHC)エンジンでは、吸気バルブと排気バルブは、オーバーヘッドカムシャフトのカムローブによって直接駆動される。」

ウ.「[0009] The present invention provides a valve clearance adjustment mechanism for use in small internal combustion engines such as, for example, side valve engines which generally include intake and exhaust valves actuated by lifters pivotally mounted within the engine housing, which in turn are actuated by cam lobes driven in timed rotation with the crank shaft. An adjustment member is provided for mounting each lifter to a shaft, wherein the adjustment member is eccentric relative to the shaft, such that rotation of the adjustment member modifies the position of the lifter and in turn modifies the valve clearance between the lifter and the valve. After the valve clearance has been properly set, the adjustment member is fixed in position.
当審訳:[0009]本発明は、例えばサイドバルブエンジンのような小型内燃機関に使用されるバルブクリアランス調整機構を提供する。サイドバルブエンジンは、一般に、エンジンハウジング内に揺動可能に取り付けられたリフターによって作動する吸気弁および排気弁を含み、これらのリフターは、クランクシャフトと時限的に回転して駆動されるカムローブによって作動する。各リフターを軸に取り付けるための調整部材が設けられており、調整部材が軸に対して偏心していることで、調整部材の回転によりリフターの位置が変化し、リフターとバルブの間のバルブクリアランスが変化するようになっている。バルブクリアランスが適切に設定された後、調整部材は所定の位置に固定される。」

エ.「[0010] The adjustment members are mounted upon shafts attached to the cylinder block in an exemplary side valve engine. The adjustment members include eccentric boss portions mounted on the shafts, the boss portions in turn received within apertures of the lifters to thereby pivotally mount the lifters. The boss portions of the adjustment members are eccentric with respect to the shafts, such that rotation of each adjustment member in a first direction causes corresponding movement of the lifter which reduces the clearance between the lifter and the valve, and rotation of the adjustment member in an opposite direction causes corresponding movement of the lifter which increases the clearance between the lifter and the valve. In this manner, the adjustment member may be rotated as necessary until a proper clearance between the lifter and the valve is obtained, whereupon the position of the adjustment member may be fixed to set the proper valve clearance.
当審訳:[0010]調整部材は、典型的なサイドバルブエンジンのシリンダーブロックに取り付けられたシャフトに取り付けられている。調整部材は、シャフトに取り付けられた偏心したボス部を含み、ボス部は、リフタの開口部内に受け入れられ、それによってリフタを回動可能に取り付ける。調整部材のボス部は、シャフトに対して偏心しており、各調整部材の第1の方向への回転は、リフターの対応する動きを引き起こし、リフターとバルブとの間のクリアランスを減少させ、調整部材の反対方向への回転は、リフターの対応する動きを引き起こし、リフターとバルブとの間のクリアランスを増加させるようになっている。このようにして、リフターとバルブとの間の適切なクリアランスが得られるまで、必要に応じて調整部材を回転させ、その後、調整部材の位置を固定して適切なバルブクリアランスを設定することができる。」

オ.「[0018] FIG.1 is a perspective view of a cylinder block and cylinder head of a small internal combustion engine, having a valve train therein which includes a valve clearance adjustment mechanism according to the present invention;
[0019] FIG.2 is a perspective view of the valve train of FIG.1, shown without the cylinder block and cylinder head;
[0020] FIG.3 is a perspective view of a portion of the valve train of FIG.2, wherein one lifter, adjustment mechanism, and valve assembly have been omitted;
[0021] FIG.4 is an exploded view of the engine components of FIG. 1 , including the cylinder block, cylinder head, and components of the valve train;
[0022] FIG.5 is a sectional view taken along line 5-5 of FIG.1;
[0023] FIG.6 is a top view of an adjustment member;
[0024] FIG.7 is a right side view of the adjustment member of FIG.6;
[0025] FIG.8 is a bottom view of the adjustment member of FIG.6; and
[0026] FIG.9 is a perspective view, looking upwardly, of the adjustment member of FIG.6.
当審訳:[0018]図1は、本発明によるバルブクリアランス調整機構を含むバルブトレインをその中に有する、小型内燃機関のシリンダブロックおよびシリンダヘッドの透視図である。
[0019]図2は、シリンダブロックおよびシリンダヘッドなしで示された、図1のバルブトレインの透視図である。
[0020]図3は、図2のバルブトレインの一部の透視図であり、ここでは、1つのリフター、調整機構、およびバルブアセンブリが省略されている。
[0021]図4は、シリンダブロック、シリンダヘッド、およびバルブトレインの構成要素を含む、図1のエンジン構成要素の分解図である。
[0022]図5は、図1の線5−5に沿って取った断面図である。
[0023]図6は、調整部材の上面図である。
[0024]図7は、図6の調整部材の右側面図である。
[0025]図8は、図6の調整部材の底面図である;そして
[0026]図9は、図6の調整部材の、上方向を見た透視図である。」

カ.「[0028] Referring to FIG.1, a portion of an internal combustion engine of a side valve type is shown, which may be a single or multi-cylinder engine, including cylinder block 10 and cylinder head 12 attached to cylinder block 10. ・・・
当審訳:[0028]図1を参照すると、サイドバルブタイプの内燃機関の一部が示されており、この内燃機関は、シリンダブロック10およびシリンダブロック10に取り付けられたシリンダヘッド12を含む、単気筒または多気筒のエンジンであってもよい。・・・」

キ.「[0030] Referring to FIGS.2-5, valve train 24 is shown, including cam gear and lobe assembly 28 in timed driven relationship with the engine crankshaft (not shown). Cam gear and lobe assembly 28 includes cam gear 30 and a pair of cam lobes 32a, 32b, which may comprise separate components attached to one another in a suitable manner. Alternatively, cam gear 30 and cam lobes 32a, 32b may be integrally formed as a single component. Referring to FIG.4, cam gear and lobe assembly 28 is rotatably mounted upon fixed shaft 34 of plate 36, which is in turn fixedly mounted to cylinder block 10 within valve train pocket 24. Referring to FIGS.2, 3, and 5, cam lobes 32a, 32b each include base circle 38 and lobe portion 40 which extends outwardly of base circle 38. A pair of lifters 42a, 42b are mounted to cylinder block in a manner described below, and include cam followers 44a, 44b engaging cam lobes 32a, 32b, respectively, and also include valve contact portions 46a, 46b for periodically actuating valve stems 48a, 48b, respectively, of the valves in responsive to rotation of cam lobes 32.
当審訳:[0030]図2〜5を参照すると、エンジンのクランクシャフト(図示せず)と時限駆動関係にあるカムギアおよびローブアセンブリ28を含む、バルブトレイン24が示されている。カムギアおよびローブアセンブリ28は、カムギア30および一対のカムローブ32a、32bを含み、これらは、適切な方法で互いに取り付けられた別個のコンポーネントから構成されてもよい。あるいは、カムギア30およびカムローブ32a,32bは、単一のコンポーネントとして一体的に形成されていてもよい。図4を参照すると、カムギアおよびローブアセンブリ28は、プレート36の固定軸34に回転可能に取り付けられており、このプレート36は、バルブトレインポケット24内でシリンダブロック10に固定的に取り付けられている。図2、図3、および図5を参照すると、カムローブ32a、32bはそれぞれ、ベースサークル38と、ベースサークル38の外側に延びるローブ部分40とを含む。一対のリフタ42a,42bは、後述する方法でシリンダブロックに取り付けられており、カムローブ32a,32bにそれぞれ係合するカムフォロア44a,44bを含み、また、カムローブ32の回転に応答してバルブのバルブステム48a,48bをそれぞれ周期的に作動させるためのバルブ接触部46a,46bを含んでいる。」

ク.「[0031] Referring to FIG.5, valve stems 48a, 48b are slidably supported within valve guides 50 in cylinder block 10, and each include ends 52 for contact with contact portions 46a, 46b of lifters 42a, 42b and heads 54 which close against valve seats 56.・・・
当審訳:[0031]図5を参照すると、バルブステム48a,48bは、シリンダブロック10のバルブガイド50内に摺動可能に支持されており、それぞれ、リフタ42a,42bの接触部46a,46bと、バルブシート56に対して閉じるヘッド54とに接触するための端部52を含んでいる。・・・」

ケ.「[0033] Also, in an overhead valve engine, drive train 24 includes a pair of push rods in the place of valve stems 48a, 48b, which push rods are actuated by lifters 42a, 42b to rotate rocker arms mounted in cylinder head 12, which rocker arms in turn actuate intake and exhaust valves in cylinder head 12 in a conventional manner. In the foregoing arrangement, a clearance is present between contact portions 46a, 46b of lifters 42a, 42b and the ends of the push rods, wherein such clearance is adjustable by valve clearance adjustment mechanism 64, which is described below. In this manner, valve clearance adjustment mechanism 64 described herein may be used with various different types of engines, including side valve engines and overhead valve engines.
[0034] Referring to FIG.5, valve clearance adjustment mechanism 64 is provided for mounting each lifter 42a, 42b to cylinder block 10, and for adjusting the position of each lifter 42a, 42b in order to adjust the clearance between contact portions 46a, 46b of lifters 42a, 42b and ends 52 of valve stems 48a, 48b. Although valve adjustment mechanisms 64 are described herein with reference to a side valve engine, valve adjustment mechanisms 64 may also be used with engines of other valve train configurations, such as overhead valve (OHV) engines, for example.
当審訳:[0033]また、オーバーヘッドバルブエンジンでは,駆動系24はバルブステム48a,48bの代わりに一対のプッシュロッドを含み,このプッシュロッドはリフタ42a,42bによってシリンダヘッド12に取り付けられたロッカアームを回転させ,このロッカアームによってシリンダヘッド12の吸気バルブおよび排気バルブが従来の方法で作動される。前述の配置では、リフタ42a,42bの接触部46a,46bとプッシュロッドの端部との間にクリアランスが存在するが、このようなクリアランスは、後述するバルブクリアランス調整機構64によって調整可能である。このように、本明細書で説明するバルブクリアランス調整機構64は、サイドバルブエンジンやオーバーヘッドバルブエンジンなど、様々な異なるタイプのエンジンに使用することができる。
[0034]図5を参照すると、バルブクリアランス調整機構64は、各リフタ42a,42bをシリンダブロック10に取り付け、リフタ42a,42bの接触部46a,46bとバルブステム48a,48bの端部52との間のクリアランスを調整するために、各リフタ42a,42bの位置を調整するために設けられている。本明細書では、サイドバルブエンジンを参照してバルブ調整機構64を説明しているが、バルブ調整機構64は、例えばオーバーヘッドバルブ(OHV)エンジンなど、他のバルブトレイン構成のエンジンでも使用することができる。」

コ.「[0035] Valve clearance adjustment mechanisms 64 each include an adjustment member 66, shown in FIGS. 6-9, which generally includes plate portion 68 having a pair of notches 70 therein, and cylindrical boss portion 72 extending from plate portion 68. Central bore 74 is disposed through plate portion 68 and boss portion 72. Referring to FIGS.8 and 9, line 11-11, which passes through the center of central bore 74, is not co-linear with line 12,-12, which passes through the center of boss portion 72. Therefore, boss portion 72 is eccentric with respect to central bore 74.
当審訳:[0035]バルブクリアランス調整機構64はそれぞれ、図6〜9に示す調整部材66を含み、この調整部材66は、その中に一対のノッチ70を有するプレート部分68と、プレート部分68から延びる円筒形のボス部72とを概して含む。中央ボア74は、プレート部分68およびボス部72を貫通して配置されている。図8および図9を参照すると、中央ボア74の中心を通る線11−11は、ボス部72の中心を通る線12−l2と共線ではない。したがって、ボス部72は、中央ボア74に対して偏心している。」

サ.「[0036] Referring to FIGS.4 and 5, a shaft 76 is inserted through central bore 74 of each adjustment member 66 and includes an end portion threaded into a corresponding hole (not shown) in cylinder block 10. Shafts 76 may be bolts, for example, including heads and threaded shank portions threadably received into cylinder block 10. Each shaft 76 includes head 78 with tool fitting 80, which may be engaged by a suitable tool (not shown) to rotate shaft 76 to thread same into the holes within cylinder block 10. In this manner, the positions of adjustment members 66 may be fixed by capturing adjustment members 66 between heads 78 of shaft 76 and cylinder block 10. As shown in FIG.4, lifters 42a, 42b include mounting arms 82a, 82b with apertures 84 therein through which boss portions 72 of adjustment members 66 are disposed to pivotally mount lifters 42a, 42b to cylinder block 10. Thus, during operation of the engine, the positions of shafts 76 and adjustment members 66 are fixed, with lifters 42a, 42b pivotable about boss portions 72 of adjustment members 66. As discussed in more detail below, however, rotation of adjustment members 66 causes movement of lifters 42a, 42b by virtue of the eccentricity of boss portions 72 of adjustment members 66 relative to shafts 76.
当審訳:[0036]図4および図5を参照すると、シャフト76は、各調整部材66の中央ボア74を介して挿入され、シリンダブロック10の対応する穴(図示せず)にねじ込まれる端部を含む。シャフト76は、例えば、シリンダブロック10にねじ込み可能に受容されたヘッドおよびねじ切りされたシャンク部分を含む、ボルトであってもよい。各シャフト76は、ツールフィッティング80を備えたヘッド78を含み、これは、シャフト76を回転させてシリンダブロック10内の穴にねじ込むために、適切なツール(図示せず)によって係合することができる。このようにして、シャフト76の頭部78とシリンダブロック10との間に調整部材66を挟み込むことで、調整部材66の位置を固定することができる。図4に示すように、リフタ42a,42bは、調整部材66のボス部72が配置されてリフタ42a,42bをシリンダブロック10に回動可能に取り付けるための開口部84が設けられた取付アーム82a,82bを含む。このように、エンジンの運転時には、シャフト76および調整部材66の位置は固定され、リフタ42a,42bは調整部材66のボス部72を中心に揺動可能である。しかし、詳細は後述するが、調整部材66の回転により、シャフト76に対する調整部材66のボス部72の偏心により、リフタ42a,42bが移動する。」

シ.「図3



ス.「図4



セ.「図6〜図9



ソ.上記エ、コ、サで摘記した記載、上記ス及びセで摘記した図4及び図6ないし9の図示内容から、プレート部分68と、当該プレート部分68から延びる円筒形のボス部72と、前記プレート部分68およびボス部72を貫通して配置されている中央ボア74と、シリンダブロック10の対応する穴(図示せず)にねじ込まれる端部を含み、前記中央ボア74を介して挿入されるシャフト76と、を有する調整部材66は、前記ボス部72が、前記中央ボア74に対して偏心しており、適切なバルブクリアランスが得られるまで回転された後、前記シャフト76によりシリンダブロック10に固定されるものであることが把握される。

タ.上記サで摘記した記載及び上記スで摘記した図4の図示内容から、調整部材66のボス部72を中心に揺動可能であるリフタ42a,42bは、前記ボス部72の軸方向の動きは、シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面と、調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面との間で、規制され、リフタ42a,42bが調整部材66に取り付けられる範囲は、シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面から調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面までの規制範囲内であり、当該規制範囲内にリフタ42a,42bが介在する状態で取り付けられていることが把握される。

以上を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
《引用発明》
芝刈り機、ガーデントラクター、スポーツカーなどに使用されるサイドバルブエンジンにおいて、バルブとバルブアクチュエータの間のクリアランスを調整するバルブクリアランス調整機構64であって、
シリンダブロック10に固定的に取り付けられているプレート36の固定軸34に回転可能に取り付けられているカムギアおよびローブアセンブリ28と、
プレート部分68と、当該プレート部分68から延びる円筒形のボス部72と、前記プレート部分68およびボス部72を貫通して配置されている中央ボア74と、シリンダブロック10の対応する穴にねじ込まれる端部を含み前記中央ボア74を介して挿入されるシャフト76と、を有し、前記ボス部72が、前記中央ボア74に対して偏心しており、適切なバルブクリアランスが得られるまで回転された後、前記シャフト76によりシリンダブロック10に固定される調整部材66と、
カムギアおよびローブアセンブリ28のカムローブ32a,32bにそれぞれ係合するカムフォロア44a,44bを含み、また、カムローブ32の回転に応答してバルブのバルブステム48a,48bをそれぞれ周期的に作動させるためのバルブ接触部46a,46bを含み、前記調整部材66のボス部72を中心に揺動可能であるリフタ42a,42bと、を備え、
前記リフタ42a,42bは、前記ボス部72の軸方向の動きが、シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面と、調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面との間で、規制され、リフタ42a,42bが調整部材66に取り付けられる範囲は、シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面から調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面までの規制範囲内であり、当該規制範囲内にリフタ42a,42bが介在する状態で取り付けられている、
バルブクリアランス調整機構64。

(2)本願発明について
引用発明と本願発明とを対比する。
ア 引用発明の「シリンダブロック10」、「カムギアおよびローブアセンブリ28」と、本願発明1の「シリンダヘッド(10)」、「カムシャフト(11)」とは、おのおの「内燃機関のシリンダ関連部品」、「カム関連部品」という限りにおいて一致する。

イ 引用発明の「カムギアおよびローブアセンブリ28」は、「シリンダブロック10に固定的に取り付けられているプレート36の固定軸34に回転可能に取り付けられている」ものであり、「シリンダブロック10」に対して回転するものであることを踏まえると、引用発明の「シリンダブロック10に固定的に取り付けられているプレート36の固定軸34に回転可能に取り付けられているカムギアおよびローブアセンブリ28」と、本願発明の「シリンダヘッド(10)に対して回転するカムシャフト(11)」とは、「シリンダ関連部品に対して回転するカム関連部品」という限りにおいて一致する。

ウ 引用発明の「調整部材66」は、「シャフト76によりシリンダブロック10に固定される」ものであるところ、「シャフト76」は、「カムギアおよびローブアセンブリ28」の回転軸となる「固定軸34」とは異なる軸であることを踏まえると、前記「調整部材66」は、「カムギアおよびローブアセンブリ28」の回転軸となる「固定軸34」に対して、偏った位置、すなわち、偏位したものといえる。
一方、本願発明の「ピボットポイント部(15)」は、その形状や構造が何ら限定されていないものである。
ゆえに、引用発明の「プレート部分68と、当該プレート部分68から延びる円筒形のボス部72と、前記プレート部分68およびボス部72を貫通して配置されている中央ボア74と、シリンダブロック10の対応する穴にねじ込まれる端部を含み前記中央ボア74を介して挿入されるシャフト76と、を有し、前記ボス部72が、前記中央ボア74に対して偏心しており、適切なバルブクリアランスが得られるまで回転された後、前記シャフト76によりシリンダブロック10に固定される調整部材66」と、本願発明の「前記シリンダヘッド(10)に固定され、前記カムシャフト(11)の回転軸に対して偏位した少なくとも1つのピボットポイント部(15)」とは、「前記シリンダ関連部品に固定され、前記カム関連部品の回転軸に対して偏位した少なくとも1つのピボットポイント部」という限りにおいて一致する。

エ 引用発明の「カムローブ32a,32b」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明1の「ロータリーカム」に相当するものであるところ、引用発明の「リフタ42a,42b」は、「カムギアおよびローブアセンブリ28のカムローブ32a,32bにそれぞれ係合するカムフォロア44a,44bを含み、また、カムローブ32の回転に応答してバルブのバルブステム48a,48bをそれぞれ周期的に作動させるためのバルブ接触部46a,46bを含み、前記調整部材66のボス部72を中心に揺動可能である」から、内燃機関の吸排気バルブを制御するように構成され、前記調整部材66のボス部72に取り付けられて、前記カムローブ32a,32bにより前記調整部材66のボス部72まわりで振動運動するように作動するといえるものである。
ゆえに、引用発明の「カムギアおよびローブアセンブリ28のカムローブ32a,32bにそれぞれ係合するカムフォロア44a,44bを含み、また、カムローブ32の回転に応答してバルブのバルブステム48a,48bをそれぞれ周期的に作動させるためのバルブ接触部46a,46bを含み、前記調整部材66のボス部72を中心に揺動可能であるリフタ42a,42bと、を備え」と、本願発明の「少なくとも1つのタイミングフィンガーフォロア(14)とを備え、前記タイミングフィンガーフォロア(14)は、内燃機関の吸排気バルブ(13)を制御するように構成され、前記ピボットポイント部(15)に取り付けられて、前記カムシャフト(11)のロータリーカム(111)により前記ピボットポイント部(15)まわりで振動運動するように作動し」とは、「少なくとも1つのタイミングフィンガーフォロアとを備え、前記タイミングフィンガーフォロアは、内燃機関の吸排気バルブを制御するように構成され、前記ピボットポイント部に取り付けられて、前記カム関連部品のロータリーカムにより前記ピボットポイント部まわりで振動運動するように作動し」という限りにおいて一致する。

オ 引用発明の「シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面」、「調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面」は、その作用及び構造から本願発明の「前記シリンダヘッド(10)に画定される軸方向遮断壁(101)」、「前記軸方向遮断壁(101)と向かい合い、前記ピボットポイント部(15)に画定される軸方向遮断面(157)」におのおの相当するものであることを踏まえると、引用発明の「前記リフタ42a,42bは、前記ボス部72の軸方向の動きが、シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面と、調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面との間で、規制され、リフタ42a,42bが調整部材66に取り付けられる範囲は、シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面から調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面までの規制範囲内であり、当該規制範囲内にリフタ42a,42bが介在する状態で取り付けられている」と、本願発明の「前記タイミングフィンガーフォロア(14)の前記ピボットポイント部(15)に沿った軸方向止め部が、一方の側では前記シリンダヘッド(10)に画定される軸方向遮断壁(101)により、他方の側では前記軸方向遮断壁(101)と向かい合い、前記ピボットポイント部(15)に画定される軸方向遮断面(157)により構成されて、前記タイミングフィンガーフォロア(14)の軸方向の動きが前記軸方向遮断壁(101)から前記軸方向遮断面(157)までの範囲に規制され、前記タイミングフィンガーフォロア(14)が前記ピボットポイント部(15)に取り付けられる範囲は、前記軸方向遮断壁(101)から前記軸方向遮断面(157)までの規制範囲内であり、当該規制範囲内に前記タイミングフィンガーフォロア(14)が介在する状態で取り付けられている」とは、「前記タイミングフィンガーフォロアの前記ピボットポイント部に沿った軸方向止め部が、一方の側では前記シリンダ関連部品に画定される軸方向遮断壁により、他方の側では前記軸方向遮断壁と向かい合い、前記ピボットポイント部に画定される軸方向遮断面により構成されて、前記タイミングフィンガーフォロアの軸方向の動きが前記軸方向遮断壁から前記軸方向遮断面までの範囲に規制され、前記タイミングフィンガーフォロアが前記ピボットポイント部に取り付けられる範囲は、前記軸方向遮断壁から前記軸方向遮断面までの規制範囲内であり、当該規制範囲内に前記タイミングフィンガーフォロアが介在する状態で取り付けられている」という限りにおいて一致する。

カ 引用発明における「ガーデントラクター」や「スポーツカー」はいずれも「自動車」といえるものであるから、引用発明の「芝刈り機、ガーデントラクター、スポーツカーなどに使用されるサイドバルブエンジンにおいて、バルブとバルブアクチュエータの間のクリアランスを調整するバルブクリアランス調整機構64」は「自動車用装置」である。

以上を踏まえると、本願発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。

《一致点》
自動車用装置であって、
内燃機関のシリンダ関連部品と、
前記シリンダ関連部品に対して回転するカム関連部品と、
前記シリンダ関連部品に固定され、前記カム関連部品の回転軸に対して偏位した少なくとも1つのピボットポイント部と、
少なくとも1つのタイミングフィンガーフォロアとを備え、
前記タイミングフィンガーフォロアは、内燃機関の吸排気バルブを制御するように構成され、前記ピボットポイント部に取り付けられて、前記カム関連部品のロータリーカムにより前記ピボットポイント部まわりで振動運動するように作動し、
前記タイミングフィンガーフォロアの前記ピボットポイント部に沿った軸方向止め部が、一方の側では前記シリンダ関連部品に画定される軸方向遮断壁により、他方の側では前記軸方向遮断壁と向かい合い、前記ピボットポイント部に画定される軸方向遮断面により構成されて、前記タイミングフィンガーフォロアの軸方向の動きが前記軸方向遮断壁から前記軸方向遮断面までの範囲に規制され、前記タイミングフィンガーフォロアが前記ピボットポイント部に取り付けられる範囲は、前記軸方向遮断壁から前記軸方向遮断面までの規制範囲内であり、当該規制範囲内に前記タイミングフィンガーフォロアが介在する状態で取り付けられている、
装置。

《相違点》
本願発明は、シリンダ関連部品及びカム関連部品が、「シリンダヘッド」及び「カムシャフト」であるのに対し、引用発明は、シリンダ関連部品及びカム関連部品が、「シリンダブロック10」及び「カムギアおよびローブアセンブリ28」である点。

上記相違点について検討する。
引用文献1の上記(1)イ及びケの摘記事項には、引用発明の「バルブクリアランス調整機構64」を、サイドバルブエンジンの他、オーバーヘッドバルブ(OHV)エンジンや、吸気バルブと排気バルブが、オーバーヘッドカムシャフト、すなわち、シリンダヘッドの上に設けられるカムシャフトのカムローブによって直接駆動されるオーバーヘッドカム(OHC)エンジン等の様々な異なるタイプのエンジンに使用することができることが記載されている。
さらに、カムシャフトのロータリーカムにより揺動運動する部材が、シリンダヘッド取り付けられることは、例えば原査定の拒絶理由に引用した特開平5−256110号公報の図10(排気ロッカアーム184がシリンダヘッド104に取り付けられている。)、原査定の拒絶理由に引用した米国特許第02264649号明細書Fig.1(arm 5がengine head 1に取り付けられている。)等に記載されているように本願の優先日前の周知技術である。
してみると、引用発明の「バルブクリアランス調整機構64」を、吸気バルブと排気バルブが、オーバーヘッドカムシャフトのカムローブによって直接駆動されるオーバーヘッドカム(OHC)エンジンにおいて実施し、「シリンダブロック10」及び「カムギアおよびローブアセンブリ28」を、「シリンダヘッド」及び「カムシャフト」に変更することは、上記記載に接した当業者であれば、容易になし得たことである。

そして、本願発明が奏する作用効果は、引用発明、引用文献1記載事項及び周知技術からみて、当業者が普通に予測し得た程度のものである。

したがって、本願発明1は引用発明、引用文献1記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5.請求人の主張について
令和3年9月16日に提出された意見書において、請求人は、「「相違点」として、引用文献1の発明にあっては、セットアップの際に、バルブクリアランスの大きさを回転方向に応じて可変に調整するために、回転する調整部材66が必須であるのに対して、本願発明1の要旨を規定する請求項1には回転する調整部材に関する記載はなく、本願発明1にとって回転する調整部材は不要であることが指摘されなければならないところ、通知書はかかる相違点の指摘を欠いています。」(前記意見書第10ページ)という旨、「「引用発明の『バルブクリアランス調整機構64』を、吸気バルブと排気バルブが、オーバーヘッドカムシャフトのカムローブによって直接駆動されるオーバーヘッドカム(OHC)エンジンにおいて実施し、『シリンダブロック10』及び『カムギアおよびローブアセンブリ28』を、『シリンダヘッド』及び『オーバーヘッドカムシャフト』に変更したとしても、全く、本願発明1には到達しないからであります。なんとなれば、引用発明の「バルブクリアランス調整機構64」は、本願発明1にはないものであって、本願発明1にはないものを基礎としてそれを変形したとしても基礎の本質に変化が生まれようがないからです」(前記意見書第11ページ)という旨を主張している。

しかし、本願特許請求の範囲の請求項1において「ピボットポイント部」については、「シリンダヘッド(10)に固定され、カムシャフト(11)の回転軸に対して偏位した」ものであること、「タイミングフィンガーフォロア(14)」が「取り付けられて」「ピボットポイント部(15)まわりで振動運動するように作動」すること、「タイミングフィンガーフォロア(14)の前記ピボットポイント部(15)に沿った軸方向止め部が、」「軸方向遮断壁(101)と向かい合い、ピボットポイント部(15)に画定される軸方向遮断面(157)により構成されて」「タイミングフィンガーフォロア(14)がピボットポイント部(15)に取り付けられる範囲は、軸方向遮断壁(101)から軸方向遮断面(157)までの規制範囲内であ」ることが特定されているのみである。
よって、上記特定事項に相当する事項を備える部材は本願発明の「ピポットポイント部」といえるものであるところ、引用発明における「調整部材66」は上記特定事項に相当する事項をすべて備えており「ピポットポイント部」といえるものである。
言い換えれば、本願発明は「調整部材66」や「バブルクリアランス調整機構64」が不要であることや、それらがないことを特定しているものではなく、請求人の上記主張はいずれも特許請求の範囲の記載に基づかない、根拠のないものである。

同じく、請求人は、「主張タ(当審において通知した拒絶理由の「タ.上記サで摘記した記載及び上記スで摘記した図4の図示内容から、調整部材66のボス部72を中心に揺動可能であるリフタ42a,42bは、前記ボス部72の軸方向の動きは、シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面と、調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面との間で、規制されていることが把握される。」という部分)によれば、「調整部材66のボス部72は軸方向(ボス部の長手方向)に制限的に移動可能」であることになりますが、上記サで摘記した記載及び上記スで摘記した図4の図示内容のどこにも、「調整部材66のボス部72が軸方向(ボス部の長手方向)に移動可能であることを示唆する記載はございません。よって、主張タは後知恵に基づいています。」、「要するに、主張タは、引用文献1に記載された発明に基づいた主張でなく、しかもその意味するところが不明です。」(前記意見書第14ページ)という旨を主張している。

しかし、「リフタ42a,42bは、前記ボス部72の軸方向の動きは、シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面と、調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面との間で、規制されている」という構文は複文であり、「前記ボス部72の軸方向の動きは、シリンダブロック10においてシャフト76の端部がねじ込まれる穴が設けられる箇所の面と、調整部材66のプレート部分68のシリンダブロック10側の面との間で、規制されている」という節は主語である「リフタ42a,42b」について説明しているものである。
よって、当審において通知した拒絶理由は「調整部材66のボス部72は軸方向(ボス部の長手方向)に制限的に移動可能」であると認定したものでないことは明らかであり、請求人の上記主張は拒絶理由の記載を誤解したものである。

以上のとおり、令和3年9月16日に提出された意見書における請求人の主張はいずれも採用することができない。

第6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献1記載事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 佐々木 正章
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2022-03-03 
結審通知日 2022-03-08 
審決日 2022-03-22 
出願番号 P2017-534647
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F01L)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐々木 正章
特許庁審判官 西中村 健一
山本 信平
発明の名称 ピボットおよびシリンダヘッドにより軸方向に止められるタイミングフィンガーフォロア  
代理人 園田・小林特許業務法人  

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