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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1387833
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-04 
確定日 2022-08-17 
事件の表示 特願2019−163628「動画像符号化データ」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月30日出願公開、特開2020− 17970、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2011年(平成23年)3月31日(優先権主張 平成22年4月9日)を国際出願日とする出願である特願2012−509307号の一部を平成26年10月8日に出願した特願2014−207401号の一部を平成28年3月1日に出願した特願2016−39080号の一部を平成30年3月22日に出願した特願2018−54476号の一部を令和元年9月9日に特願2019−163628号として新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 元年 9月 9日 :上申書
令和 2年 8月20日付け :拒絶理由通知書
同年10月23日 :意見書及び手続補正書の提出
同年11月24日付け :拒絶査定
令和 3年 2月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 5月10日 :上申書
令和 4年 4月18日付け :拒絶理由通知書(当審)
同年 6月 9日 :意見書及び手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

(発明該当性)この出願の下記の請求項に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

請求項1の「動画像符号化データ」は、「複数のブロックの符号化データ」が多重化されたものであり、前記「符号化データ」は、「符号化モード」と、「圧縮データ」と、「識別子」と、「2値文字列」とを有するものであり、当該「動画像符号化データ」は、「動画像復号装置」が、「符号化データ」における、「符号化モード」と、「圧縮データ」と、「識別子」と、「2値文字列」に基づいて動画像を生成する処理、に用いられるものである。
ここで、「符号化モード」、「圧縮データ」、「識別子」、「2値文字列」という各情報について検討すると、請求項1には、「符号化データ」が、単に、当該各情報を有することが特定されるのみであるから、当該各情報は、データ構造を有するものとはいえず、「動画像復号装置」が行う処理は、データ構造に基づくものとはいえない。
そして、請求項1の「動画像符号化データ」は、当該動画像符号化データが有する各情報の内容と用途を特定したものに過ぎないから、情報の単なる提示を行うものに該当し、技術的思想ではない。
以上によれば、請求項1の「動画像符号化データ」は、自然法則を利用した技術的思想の創作とはいえず、特許法第29条第1項柱書でいう「発明」に該当しない。

第3 当審拒絶理由の概要
令和4年4月18日付けの当審が通知した拒絶理由の概要は次のとおりである。

1.(サポート要件)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


令和3年2月4日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1(以下、当該請求項1に係る発明を本件発明という)は以下のとおり記載されている。(記号A〜E41は当審において合議体が付した。以下、構成A〜E41という。)

「【請求項1】
A1 動画像の画像を符号化モードに応じて複数のブロックに分割し、
A2 当該ブロックの単位に圧縮符号化されたブロック単位の情報と当該ブロック内の複数の変換ブロックの圧縮データとを含む
A 動画像符号化データであって、
B 前記動画像符号化データは、前記複数のブロックの当該ブロック単位の情報と前記圧縮データとが多重化され、
C 前記圧縮データは、
C1 前記ブロックから、前記ブロックに対してインター予測処理を行うことで生成された予測画像を減算することにより生成された予測差分信号を、
C2 前記符号化モードに応じた変換ブロックサイズセットから選択された、前記ブロックに対する変換ブロックサイズを示す圧縮パラメータに基づいて
C3 変換ブロック単位に変換および量子化することにより生成された
C 圧縮データであり、
D 前記ブロック単位の情報は、
D1 前記ブロックの符号化モードと、
D2 前記圧縮パラメータに対する2値文字列の割り当てを定義する複数の2値化テーブルのうちの1つを特定する識別子と、
D3 前記ブロック毎に前記識別子により特定された前記2値化テーブルに応じて前記圧縮パラメータを2値化処理することにより取得され、エントロピ符号化された2値文字列とを有し、
E 動画像復号装置が、
E1 前記ブロック単位の情報から、前記符号化モード、前記識別子および前記2値文字列を復号し、
E2 前記識別子に基づいて、前記圧縮パラメータに対する2値文字列の割り当てを定義する複数の2値化テーブルから1つのテーブルを特定し、
E3 前記特定された2値化テーブルに基づいて、前記2値文字列を逆2値化処理することにより前記圧縮パラメータを取得し、
E4 前記符号化モードおよび前記圧縮パラメータに基づいて、変換ブロックサイズを特定し、
E41 前記圧縮データに対して当該変換ブロック単位に逆変換および逆量子化を行い予測差分信号を算出するとともに、前記予測差分信号と、復号済みの画像を参照して生成した予測画像とに基づいて、動画像を生成する処理、に用いられるものである
A 動画像符号化データ。」

本件明細書の発明の詳細な説明にサポートされている「ブロック」ないし「ブロック単位」等の記載について、以下のことがいえる。

構成A1における「複数のブロック」や、この「ブロック」を指し示している、構成A2、B、D、E1の「当該ブロック単位の情報」における「当該ブロック」や、構成A1の上記「ブロック」を指し示している、構成C1、C2、D1、D3の「前記ブロック」は、「サブブロック」または「サブブロック」を分割したものであり、
一方、これとは別に、構成Dを踏まえた構成D1の「ブロックの符号化モード」や、構成E1のうちの「ブロック単位の情報」の「前記符号化モード」を含む、「ブロック」ないし「ブロック単位」は、「マクロブロック」であり、構成Dを踏まえた構成D3の「2値文字列」や構成E2、E3の「圧縮パラメータ」を取得するための「2値文字列」を含む、「ブロック」ないし「ブロック単位」は、符号化モードに応じて「マクロブロック」「サブブロック」のどちらかに決定されるものであり、
構成Dの「ブロック単位の情報」に含まれる構成D2の「識別子」や、構成E1、E2の「識別子」は、「スライス単位」に含まれうるものである。
そうすると、本件発明の構成A〜E41に含まれる複数個の「ブロック」ないし「ブロック単位」等について、「ブロック」の粒度を首尾一貫するように開示している記載は本件明細書及び図面には見いだせないことから、本件発明は、明細書の発明の詳細な説明に記載されたものではないといえる(理由1の1)。

また、本件発明の「ブロック」ないし「ブロック単位」等の記載について、当該「ブロック」の粒度が請求項中において首尾一貫して特定できるものではなく、明確ではないともいえる(理由2の1)。

次に、本件発明の構成D〜D3における「ブロック単位の情報」について、「ブロック単位」をどのように特定しても、当該「ブロック単位」中に構成D1の「ブロックの符号化モード」と、構成D2の「識別子」と、構成D3の「2値文字列」を含むような記載は明細書の発明の詳細な説明には見いだせない(理由1の2)。

さらに、本件発明の構成Aを踏まえた構成A2の「当該ブロックの単位に圧縮符号化されたブロック単位の情報と当該ブロック内の複数の変換ブロックの圧縮データとを含む」「動画像符号化データ」について、当該構成は、
・「圧縮符号化されたブロック単位の情報」と「当該ブロック内の複数の変換ブロックの圧縮データ」が1組になって「当該ブロック単位」毎に含まれているような、「動画像符号化データ」を特定しているのか、
・「当該ブロックの単位の圧縮符号化されたブロック単位の情報」と「当該ブロック内の複数の変換ブロックの圧縮データ」が「動画像符号化データ」のどこかに含まれているのであって、「ブロック単位」毎に含まれていることを限定しない「動画像符号化データ」を特定しているのか、
・その他何らかの別の動画像符号化データを特定しているのか、これらは相異なる技術事項を特定するにもかかわらず、現在の構成Aを踏まえた構成A2の記載ではどのような技術事項を特定しているのか不明確である。(理由2の2)

さらに、本件発明の構成Bの「ブロック単位の情報」と「前記圧縮データ」(すなわち「当該ブロック内の複数の変換ブロックの圧縮データ」)が「多重化され」た「動画像符号化データ」も、明細書の発明の詳細な説明の記載には見いだせないし、「ブロック単位の情報」と「前記圧縮データ」が1組になって多重化されていることも見いだせない(理由1の3)。

第4 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和4年6月9日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、本件補正発明という)であり、以下のとおりのものである。
なお、各構成の符号A1’〜E41は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成A1’〜構成E41と称する。また、下線は令和4年6月9日の手続補正により補正された箇所を示す。

【請求項1】
A1’ 動画像の画像を分割したマクロブロック毎の符号化モードに応じて当該マクロブロックを複数のブロックに分割し、
A2’ 当該ブロックの単位に圧縮符号化された動画像符号化データであって、
B’ 前記動画像符号化データは、マクロブロック毎に決定された符号化モードと、複数のブロックの単位に多重化された識別子と、ブロック単位の情報および当該ブロック単位の圧縮データとを含み構成され、
C 前記圧縮データは、
C1 前記ブロックから、前記ブロックに対してインター予測処理を行うことで生成された予測画像を減算することにより生成された予測差分信号を、
C2 前記符号化モードに応じた変換ブロックサイズセットから選択された、前記ブロックに対する変換ブロックサイズを示す圧縮パラメータに基づいて
C3 変換ブロック単位に変換および量子化することにより生成された圧縮データであり、
D0 前記識別子は、前記圧縮パラメータに対する2値文字列の割り当てを定義する複数の2値化テーブルのうちの1つを特定する識別子であり、
D’ 前記ブロック単位の情報は、
D3’ 前記ブロック毎に、前記識別子により特定された前記2値化テーブルに応じて前記圧縮パラメータを2値化処理することにより取得され、エントロピ符号化された2値文字列を有する情報であり、
E 動画像復号装置が、
E1’ 前記符号化モードおよび前記識別子を復号し、前記ブロック単位の情報から、前記2値文字列を復号し、
E2 前記識別子に基づいて、前記圧縮パラメータに対する2値文字列の割り当てを定義する複数の2値化テーブルから1つのテーブルを特定し、
E3 前記特定された2値化テーブルに基づいて、前記2値文字列を逆2値化処理することにより前記圧縮パラメータを取得し、
E4’ 前記符号化モードおよび前記圧縮パラメータに基づいて、前記ブロックの圧縮データにおける各変換ブロックを特定し、
E41 前記圧縮データに対して当該変換ブロック単位に逆変換および逆量子化を行い予測差分信号を算出するとともに、前記予測差分信号と、復号済みの画像を参照して生成した予測画像とに基づいて、動画像を生成する処理、に用いられるものである
A 動画像符号化データ。

第5 当審拒絶理由が解消したかどうかについての判断
1 上記本件補正発明に関連して、明細書の発明の詳細な説明には以下の記載がある。

(1) 「【0015】
図1は、この発明の実施の形態1に係る動画像符号化装置の構成を示すブロック図である。図1に示す動画像符号化装置は、入力映像信号1の各フレーム画像をマクロブロックサイズ4の複数ブロックに分割したマクロブロック画像を、符号化モード7に応じて1以上のサブブロックに分割したマクロ/サブブロック画像5を出力するブロック分割部2と、マクロ/サブブロック画像5が入力されると、当該マクロ/サブブロック画像5に対し、イントラ予測用メモリ28の画像信号を用いてフレーム内予測して予測画像11を生成するイントラ予測部8と、マクロ/サブブロック画像5が入力されると、当該マクロ/サブブロック画像5に対し、動き補償予測フレームメモリ14の参照画像15を用いて動き補償予測を行って予測画像17を生成する動き補償予測部9と、符号化モード7に応じてマクロ/サブブロック画像5をイントラ予測部8または動き補償予測部9のいずれか一方に入力する切替部6と、ブロック分割部2が出力するマクロ/サブブロック画像5から、イントラ予測部8または動き補償予測部9のいずれか一方が出力する予測画像11,17を差し引いて、予測差分信号13を生成する減算部12と、予測差分信号13に対し、変換および量子化処理を行って圧縮データ21を生成する変換・量子化部19と、圧縮データ21をエントロピ符号化してビットストリーム30へ多重化する可変長符号化部23と、圧縮データ21を逆量子化および逆変換処理して局所復号予測差分信号24を生成する逆量子化・逆変換部22と、逆量子化・逆変換部22にイントラ予測部8または動き補償予測部9のいずれか一方が出力する予測画像11,17を加算して局所復号画像信号26を生成する加算部25と、局所復号画像信号26を格納するイントラ予測用メモリ28と、局所復号画像信号26をフィルタ処理して局所復号画像29を生成するループフィルタ部27と、局所復号画像29を格納する動き補償予測フレームメモリ14とを含む。
【0016】
符号化制御部3は、各部の処理に必要な情報(マクロブロックサイズ4、符号化モード7、最適符号化モード7a、予測パラメータ10、最適予測パラメータ10a,18a、圧縮パラメータ20、最適圧縮パラメータ20a)を出力する。以下、マクロブロックサイズ4および符号化モード7の詳細を説明する。その他の情報の詳細は後述する。
【0017】
符号化制御部3は、ブロック分割部2へ、入力映像信号1の各フレーム画像のマクロブロックサイズ4を指定すると共に、符号化対象のマクロブロック毎に、ピクチャタイプに応じて選択可能なすべての符号化モード7を指示する。
なお、符号化制御部3は符号化モードのセットの中から所定の符号化モードを選択可能であるが、この符号化モードのセットは任意であり、例えば以下に示す図2Aまたは図2Bのセットの中から所定の符号化モードを選択可能とする。」

(2) 「【0020】
また、図2Bは、時間方向の予測符号化を行うPピクチャの符号化モードの別の例を示す図である。図2Bにおいて、mb_mode0〜6は、マクロブロック(M×L画素ブロック)をフレーム間予測により符号化するモード(inter)である。mb_mode0はマクロブロック全体に対して1つの動きベクトルを割り当てるモードであり、mb_mode1〜6はそれぞれマクロブロックを水平、垂直または対角方向に分割し、分割された各サブブロックにそれぞれ異なる動きベクトルを割り当てるモードである。
mb_mode7は、マクロブロックを4分割し、分割された各サブブロックに異なる符号化モード(sub_mb_mode)を割り当てるモードである。」

(3) 「【0032】
予測パラメータ10が指定するすべてのイントラ予測モードに応じて各々生成された予測差分信号13は符号化制御部3にて評価され、最適なイントラ予測モードを含む最適予測パラメータ10aが決定される。評価方法として例えば、予測差分信号13を変換・量子化して得られる圧縮データ21を用いて後述の符号化コストJ2を計算し、符号化コストJ2を最小にするイントラ予測モードを選択する。
【0033】
符号化制御部3は、イントラ予測部8または動き補償予測部9において符号化モード7に含まれるすべてのモードに対し各々生成された予測差分信号13を評価し、評価結果に基づいて、符号化モード7のうちから最適な符号化効率が得られる最適符号化モード7aを決定する。また、符号化制御部3は、予測パラメータ10,18および圧縮パラメータ20のうちから最適符号化モード7aに対応する最適予測パラメータ10a,18aおよび最適圧縮パラメータ20aを決定する。それぞれの決定手順については後述する。
なお、上述したように、フレーム内予測モードの場合、予測パラメータ10および最適予測パラメータ10aにはイントラ予測モードが含まれる。一方、フレーム間予測モードの場合、予測パラメータ18および最適予測パラメータ18aには動きベクトル、各動きベクトルが指す参照画像の識別番号(参照画像インデックス)等が含まれる。
また、圧縮パラメータ20および最適圧縮パラメータ20aには、変換ブロックサイズ、量子化ステップサイズ等が含まれる。
【0034】
この決定手順の結果、符号化制御部3は、符号化対象のマクロブロックまたはサブブロックに対する最適符号化モード7a、最適予測パラメータ10a,18a、最適圧縮パラメータ20aを可変長符号化部23へ出力する。また、符号化制御部3は、圧縮パラメータ20のうちの最適圧縮パラメータ20aを変換・量子化部19および逆量子化・逆変換部22へ出力する。
【0035】
変換・量子化部19は、符号化モード7に含まれるすべてのモードに対応して生成された複数の予測差分信号13のうち、符号化制御部3が決定した最適符号化モード7aと最適予測パラメータ10a,18aとに基づいて生成された予測画像11,17に対応する予測差分信号13(以下、最適予測差分信号13aと呼ぶ)を選択し、この最適予測差分信号13aに対して、符号化制御部3にて決定された最適圧縮パラメータ20aの変換ブロックサイズに基づいてDCT等の変換処理を実施することで変換係数を算出すると共に、その変換係数を符号化制御部3から指示される最適圧縮パラメータ20aの量子化ステップサイズに基づいて量子化し、量子化後の変換係数である圧縮データ21を逆量子化・逆変換部22および可変長符号化部23へ出力する。
・・・
【0039】
可変長符号化部23は、変換・量子化部19から出力された圧縮データ21と、符号化制御部3から出力される最適符号化モード7aと、最適予測パラメータ10a,18aと、最適圧縮パラメータ20aとをエントロピ符号化して、それらの符号化結果を示すビットストリーム30を生成する。なお、最適予測パラメータ10a,18aと最適圧縮パラメータ20aは、最適符号化モード7aが指す符号化モードに応じた単位に符号化される。」

(4) 「【0059】
2.圧縮パラメータの決定手順
ここでは、上記「1.予測パラメータの決定手順」にて符号化モード7毎に決定された予測パラメータ18に基づいて生成される予測差分信号13を、変換・量子化処理する際に用いる圧縮パラメータ20(変換ブロックサイズ)を決定する手順を説明する。
【0060】
図5は、図2Bに示す符号化モード7に応じた変換ブロックサイズの適応化の一例を示す図である。図5では、M×L画素ブロックとして32×32画素ブロックを例に用いる。符号化モード7の指定するモードがmb_mode0〜6のとき、変換ブロックサイズは16×16または8×8画素のいずれか一方を適応的に選択可能である。符号化モード7がmb_mode7のとき、変換ブロックサイズはマクロブロックを4分割した16×16画素サブブロック毎に、8×8または4×4画素の中から適応的に選択可能である。
なお、それぞれの符号化モードごとに選択可能な変換ブロックサイズのセットは、符号化モードによって均等分割されるサブブロックサイズ以下の任意の矩形ブロックサイズの中から定義することができる。
【0061】
図6は、図2Bに示す符号化モード7に応じた変換ブロックサイズの適応化の別の例を示す図である。図6の例では、符号化モード7の指定するモードが前述のmb_mode0,5,6のとき、選択可能な変換ブロックサイズとして16×16、8×8画素に加え、動き補償の単位であるサブブロックの形状に応じた変換ブロックサイズを選択可能である。mb_mode0の場合には、16×16、8×8、32×32画素の中から適応的に選択可能である。mb_mode5の場合には、16×16、8×8、16×32画素の中から適応的に選択可能である。mb_mode6の場合には、16×16、8×8、32×16画素の中から適応的に選択可能である。また、図示は省略するが、mb_mode7の場合には16×16、8×8、16×32画素の中から適応的に選択可能であり、mb_mode1〜4の場合には、矩形でない領域に対しては16×16、8×8画素の中から選択し、矩形の領域に対しては8×8、4×4画素の中から選択するというような適応化を行ってもよい。
【0062】
符号化制御部3は、図5および図6に例示した符号化モード7に応じた変換ブロックサイズのセットを圧縮パラメータ20とする。
なお、図5および図6の例では、マクロブロックの符号化モード7に応じて選択可能な変換ブロックサイズのセットを予め決めておき、マクロブロック単位またはサブブロック単位に適応的に選択できるようにしたが、同様にマクロブロックを分割したサブブロックの符号化モード7(図2Bのsub_mb_mode1〜8等)に応じて、選択可能な変換ブロックサイズのセットを予め決めておき、サブブロック単位またはサブブロックをさらに分割したブロック単位に適応的に選択できるようにしてもよい。
同様に、符号化制御部3は、図2Aに示す符号化モード7を用いる場合にはその符号化モード7に応じた変換ブロックサイズのセットを予め決めておき、適応的に選択できるようにしておけばよい。
【0063】
変換・量子化部19は、符号化制御部3と連携して、マクロブロックサイズ4で指定されるマクロブロック単位に、または当該マクロブロック単位を符号化モード7に応じてさらに分割したサブブロック単位に、変換ブロックサイズの中から最適な変換ブロックサイズを決定する。以下、その詳細な手順について説明する。」

(5) 「【0076】
次に、本実施の形態1に係る動画像復号装置を説明する。
図8は、この発明の実施の形態1に係る動画像復号装置の構成を示すブロック図である。図8に示す動画像復号装置は、ビットストリーム60から、マクロブロック単位に最適符号化モード62をエントロピ復号すると共に、当該復号された最適符号化モード62に応じて分割されたマクロブロックまたはサブブロック単位に最適予測パラメータ63、圧縮データ64、最適圧縮パラメータ65をエントロピ復号する可変長復号部61と、最適予測パラメータ63が入力されると、当該最適予測パラメータ63に含まれるイントラ予測モードとイントラ予測用メモリ77に格納された復号画像74aとを用いて予測画像71を生成するイントラ予測部69と、最適予測パラメータ63が入力されると、当該最適予測パラメータ63に含まれる動きベクトルと、当該最適予測パラメータ63に含まれる参照画像インデックスで特定される動き補償予測フレームメモリ75内の参照画像76とを用いて動き補償予測を行って予測画像72を生成する動き補償予測部70と、復号された最適符号化モード62に応じて、可変長復号部61が復号した最適予測パラメータ63をイントラ予測部69または動き補償予測部70のいずれか一方に入力する切替部68と、最適圧縮パラメータ65を用いて、圧縮データ64に対して逆量子化および逆変換処理を行い、予測差分信号復号値67を生成する逆量子化・逆変換部66と、予測差分信号復号値67に、イントラ予測部69または動き補償予測部70のいずれか一方が出力する予測画像71,72を加算して復号画像74を生成する加算部73と、復号画像74を格納するイントラ予測用メモリ77と、復号画像74をフィルタ処理して再生画像79を生成するループフィルタ部78と、再生画像79を格納する動き補償予測フレームメモリ75とを含む。
【0077】
可変長復号部61は、本実施の形態1に係る動画像復号装置がビットストリーム60を受け取ると、そのビットストリーム60をエントロピ復号処理して、1フレーム以上のピクチャから構成されるシーケンス単位あるいはピクチャ単位にマクロブロックサイズおよびフレームサイズを復号する。なお、マクロブロックサイズがビットストリームに直接多重化されずにプロファイル等で規定されている場合には、シーケンス単位にビットストリームから復号されるプロファイルの識別情報に基づいて、マクロブロックサイズが決定される。各フレームの復号マクロブロックサイズおよび復号フレームサイズをもとに、各フレームに含まれるマクロブロック数が決定され、フレームに含まれる各マクロブロックの最適符号化モード62、最適予測パラメータ63、圧縮データ64(即ち、量子化変換係数データ)、最適圧縮パラメータ65(変換ブロックサイズ情報、量子化ステップサイズ)等を復号する。
なお、復号装置側で復号した最適符号化モード62、最適予測パラメータ63、圧縮データ64、最適圧縮パラメータ65は、符号化装置側で符号化した最適符号化モード7a、最適予測パラメータ10a,18a、圧縮データ21、最適圧縮パラメータ20aに対応するものである。

(6) 「【0092】
実施の形態2.
本実施の形態2では、上記実施の形態1に係る動画像符号化装置の可変長符号化部23の変形例と、同じく上記実施の形態1に係る動画像復号装置の可変長復号部61の変形例を説明する。
・・・
【0094】
図9に示す可変長符号化部23は、符号化モード7(または最適予測パラメータ10a,18a、最適圧縮パラメータ20a)を表す多値信号のインデックス値と2値信号との対応関係を指定した2値化テーブルを格納する2値化テーブルメモリ105と、この2値化テーブルを用いて、符号化制御部3が選択した多値信号の最適符号化モード7a(または最適予測パラメータ10a,18a、最適圧縮パラメータ20a)の多値信号のインデックス値を2値信号103に変換する2値化部92と、コンテキスト生成部99の生成するコンテキスト識別情報102、コンテキスト情報メモリ96、確率テーブルメモリ97および状態遷移テーブルメモリ98を参照して2値化部92が変換した2値信号103を算術符号化して符号化ビット列111を出力し、当該符号化ビット列111をビットストリーム30へ多重化させる算術符号化処理演算部104と、最適符号化モード7a(または最適予測パラメータ10a,18a、最適圧縮パラメータ20a)の発生頻度をカウントして頻度情報94を生成する頻度情報生成部93と、頻度情報94に基づいて2値化テーブルメモリ105の2値化テーブルの多値信号と2値信号との対応関係を更新する2値化テーブル更新部95とを含む。
・・・
【0121】
また、2値化テーブル更新部95は、2値化テーブルを更新した場合に、更新した2値化テーブルを復号装置側で識別できるようにするための2値化テーブル更新識別情報112を生成して、ビットストリーム30に多重化させる必要がある。例えば、符号化対象パラメータ毎に複数の2値化テーブルがある場合、各符号化対象パラメータを識別できるIDを符号化装置側および復号装置側にそれぞれ予め付与しておき、2値化テーブル更新部95は、更新後の2値化テーブルのIDを2値化テーブル更新識別情報112として出力し、ビットストリーム30に多重化させるようにしてもよい。
【0122】
更新タイミングの制御は、符号化制御部3が、スライスの先頭で符号化対象パラメータの頻度情報94を参照して、符号化対象パラメータの発生頻度分布が所定の許容範囲以上に大きく変わったと判定した場合に、2値化テーブル更新フラグ113を出力して行う。
可変長符号化部23は、2値化テーブル更新フラグ113をビットストリーム30のスライスヘッダに多重化すればよい。また、可変長符号化部23は、2値化テーブル更新フラグ113が「2値化テーブルの更新あり」を示している場合には、符号化モード、圧縮パラメータ、予測パラメータの2値化テーブルのうち、どの2値化テーブルを更新したかを示す2値化テーブル更新識別情報112をビットストリーム30へ多重化する。
【0123】
また、符号化制御部3は、スライスの先頭以外のタイミングで2値化テーブルの更新を指示してもよく、例えば任意のマクロブロックの先頭で2値化テーブル更新フラグ113を出力して更新指示してもよい。この場合には、2値化テーブル更新部95が、2値化テーブルの更新を行ったマクロブロック位置を特定する情報を出力し、可変長符号化部23がその情報もビットストリーム30に多重化する必要がある。」

(7) 「【0125】
次に、本実施の形態2に係る動画像復号装置の可変長復号部61を説明する。
図15は、この発明の実施の形態2に係る動画像復号装置の可変長復号部61の内部構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態2に係る動画像復号装置の構成は上記実施の形態1と同じであり、可変長復号部61を除く各構成要素の動作も上記実施の形態1と同じであるため、図1〜図8を援用する。
【0126】
図15に示す可変長復号部61は、コンテキスト生成部122が生成するコンテキスト識別情報126、コンテキスト情報メモリ128、確率テーブルメモリ131、および状態遷移テーブルメモリ135を参照してビットストリーム60に多重化された最適符号化モード62(または最適予測パラメータ63、最適圧縮パラメータ65)を表す符号化ビット列133を算術復号して2値信号137を生成する算術復号処理演算部127と、2値信号で表された最適符号化モード62(または最適予測パラメータ63、最適圧縮パラメータ65)と多値信号との対応関係を指定した2値化テーブル139を格納する2値化テーブルメモリ143と、2値化テーブル139を用いて、算術復号処理演算部127が生成した2値信号137を多値信号の復号値140へ変換する逆2値化部138とを含む。
・・・
【0128】
なお、本実施の形態2のビットストリーム60には、符号化装置側にて多重化されたコンテキスト初期化情報121、符号化ビット列133、2値化テーブル更新フラグ142、2値化テーブル更新識別情報144が含まれている。各情報の詳細は後述する。
・・・
【0139】
逆2値化部138は、2値化テーブルメモリ143に格納されている復号対象パラメータの種別毎に用意された2値化テーブルの中から、符号化時と同じ2値化テーブル139を選択して参照し、算術復号処理演算部127から入力された2値信号137から復号対象パラメータの復号値140を出力する。
なお、復号対象パラメータの種別がマクロブロックの符号化モード(最適符号化モード62)のとき、2値化テーブル139は図10に示した符号化装置側の2値化テーブルと同じである。
【0140】
2値化テーブル更新部141は、ビットストリーム60から復号された2値化テーブル更新フラグ142および2値化テーブル更新識別情報144に基づき、2値化テーブルメモリ143に格納されている2値化テーブルの更新を行う。
【0141】
2値化テーブル更新フラグ142は、符号化装置側の2値化テーブル更新フラグ113に対応する情報であり、ビットストリーム60のヘッダ情報等に含まれ、2値化テーブルの更新の有無を示す情報である。2値化テーブル更新フラグ142の復号値が「2値化テーブルの更新あり」を示す場合には、ビットストリーム60からさらに2値化テーブル更新識別情報144が復号されることとなる。
【0142】
2値化テーブル更新識別情報144は、符号化装置側の2値化テーブル更新識別情報112に対応する情報であり、符号化装置側で更新したパラメータの2値化テーブルを識別するための情報である。例えば、上述したように、符号化対象パラメータ毎に予め複数の2値化テーブルがある場合、各符号化対象パラメータを識別できるIDおよび2値化テーブルのIDを符号化装置側および復号装置側にそれぞれ予め付与しておき、2値化テーブル更新部141はビットストリーム60から復号された2値化テーブル更新識別情報144中のID値に対応した2値化テーブルを更新する。」

2 上記1の(1)〜(7)の記載から、以下のことがいえる。
(1)上記1(1)から、
動画像符号化装置は、入力映像信号1の各フレーム画像をマクロブロックサイズ4の複数ブロックに分割したマクロブロック画像を、符号化モード7に応じて1以上のサブブロックに分割したマクロ/サブブロック画像5について、マクロ/サブブロック画像5が入力されると、当該マクロ/サブブロック画像5に対し、動き補償予測フレームメモリ14の参照画像15を用いて動き補償予測を行って予測画像17を生成し、マクロ/サブブロック画像5から予測画像17を差し引いて、予測差分信号13を生成し、予測差分信号13に対し、変換および量子化処理を行って圧縮データ21を生成する変換・量子化部19と、圧縮データ21をエントロピ符号化してビットストリーム30へ多重化する可変長符号化部23とを含み、符号化対象のマクロブロック毎に、符号化モード7を指示するものであることがいえる。

そうすると、上記記載における「各フレーム画像をマクロブロックサイズ4の複数ブロックに分割したマクロブロック画像」、及び「マクロブロック画像を、符号化モード7に応じて1以上のサブブロックに分割したマクロ/サブブロック画像5」のうち2以上のサブブロックに分割したものが、それぞれ本件補正発明の構成A1’の「動画像の画像を分割したマクロブロック」、及び「当該マクロブロックを」「分割し」た「複数のブロック」を裏付けるといえる。
また、上記記載において「マクロブロック毎に、符号化モード7を指示する」ことは、本件補正発明の構成A1’の「マクロブロック毎」に「符号化モード」があることを裏付けるといえる。
以上から、本件補正発明の構成A1’の「動画像の画像を分割したマクロブロック毎の符号化モードに応じて当該マクロブロックを複数のブロックに分割」することは、明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。

また、上記記載において、マクロブロックをサブブロックに分割したマクロ/サブブロック画像5に対して、動き補償予測を行って予測画像17を生成し、マクロ/サブブロック画像5から予測画像17を差し引いて生成した予測差分信号13に対して変換・量子化部19により変換および量子化処理を行って圧縮データを生成し、可変長符号化部23により圧縮データ21をエントロピ符号化してビットストリーム30へ多重化するから、サブブロックに対して圧縮データが生成されビットストリームに多重化されるといえる。
これは本件補正発明の構成A2’、Cの「当該ブロックの単位に圧縮された動画像符号化データ」のうち、構成B’の「ブロック単位の圧縮データ」が、構成C1の「予測差分信号」を、C3の「変換および量子化することにより生成」されることを裏付けるといえる。
以上から、本件補正発明の構成A2’、Cの「当該ブロックの単位に圧縮符号化された動画像符号化データ」のうち、構成B’の「ブロック単位の圧縮データ」、構成C1、C3の「前記ブロックから、前記ブロックに対してインター予測処理を行うことで生成された予測画像を減算することにより生成された予測差分信号を」、「変換および量子化することにより生成された圧縮データ」、は明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。

(2)上記1(3)から、
符号化制御部3は、符号化モード7に含まれるすべてのモードに対し各々生成された予測差分信号13を評価し、最適符号化モード7aを決定し、最適符号化モード7aに対応する最適圧縮パラメータ20aを決定するものであり、最適圧縮パラメータ20aには、変換ブロックサイズ、量子化ステップサイズが含まれており、
符号化制御部3は、符号化対象のマクロブロックに対する最適符号化モード7a、最適圧縮パラメータ20aを可変長符号化部23へ出力し、最適圧縮パラメータ20aを変換・量子化部19へ出力し、最適圧縮パラメータ20aの変換ブロックサイズに基づいて変換処理を実施し、最適圧縮パラメータ20aの量子化ステップサイズに基づいて量子化し、量子化後の変換係数である圧縮データ21を可変長符号化部23へ出力し、
可変長符号化部23は、圧縮データ21と、最適符号化モード7aと、最適圧縮パラメータ20aとをエントロピ符号化して、それらの符号化結果を示すビットストリーム30を生成することがいえる。

そうすると、明細書の発明の詳細な説明中には、最適符号化モード7aと、圧縮データ21とをビットストリーム30の含めることが記載されているといえ、本件補正発明の構成B’の「動画像符号化データ」が「マクロブロック毎に決定された符号化モード」と「ブロック単位の圧縮データ」とを含むことが明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。

また、最適符号化モード7aに応じた変換ブロックサイズを含む最適圧縮パラメータ20aを決定し、変換・量子化部19は、最適圧縮パラメータ20aの変換ブロックサイズに基づいて変換処理を実施することは、明細書の発明の詳細な説明中に記載されているといえる。
ここで、上記1(2)(4)から、
生成される予測差分信号13を変換・量子化処理する際に用いる圧縮パラメータ20(変換ブロックサイズ)を決定するにあたって、マクロブロック(M×L画素ブロック)をフレーム間予測により符号化するモードmb_mode0〜6に関し、M×L画素ブロックとして32×32画素ブロックを例に用いると、符号化モード7の指定するモードがmb_mode0〜6のとき、変換ブロックサイズは16×16または8×8画素のいずれか一方を適応的に選択可能であったり、符号化モード7の指定するモードがmb_mode0,5,6のとき、mb_mode0の場合には、16×16、8×8、32×32画素の中から、mb_mode5の場合には、16×16、8×8、16×32画素の中から、mb_mode6の場合には、16×16、8×8、32×16画素の中から適応的に選択可能であり、変換・量子化部19は、マクロブロック単位を符号化モード7に応じてさらに分割したサブブロック単位に、変換ブロックサイズの中から最適な変換ブロックサイズを決定することがいえる。
そうすると、変換・量子化部19は、符号化モード7に応じてさらに分割したサブブロック単位に、2つまたは3つの変換ブロックサイズの中から最適な変換ブロックサイズを決定することも、明細書の発明の詳細な説明中に記載されているといえる。

これらを総合すると、変換・量子化部19は、符号化モード7から決定された最適符号化モード7に応じてさらに分割したサブブロック単位に、2つまたは3つの変換ブロックサイズの中から最適な変換ブロックサイズを決定し、当該変換ブロックサイズを含む最適圧縮パラメータ20aを用いて変換を行うといえる。
ここで、上記「最適な変換ブロックサイズ」が、本件補正発明の構成C2の「前記符号化モードに応じた変換ブロックサイズセットから選択された、前記ブロックに対する変換ブロックサイズ」に相当し、
「変換ブロックサイズを含む圧縮パラメータ20aを用いて変換を行う」ことが、本件補正発明の構成C3の「変換ブロック単位に変換」することに相当するといえる。

以上から、上記(1)と合わせると、本件補正発明の構成C2、C3の「前記符号化モードに応じた変換ブロックサイズセットから選択された、前記ブロックに対する変換ブロックサイズを示す圧縮パラメータに基づいて変換ブロック単位に変換および量子化することにより生成された圧縮データ」は、明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。

(3)上記1(6)から、
可変長符号化部23は、最適圧縮パラメータ20aを表す多値信号のインデックス値と2値信号との対応関係を指定した2値化テーブルを用いて、最適圧縮パラメータ20aを2値信号103に変換し、2値信号103を算術符号化して符号化ビット列111を出力し、ビットストリーム30へ多重化させること、
2値化テーブルの多値信号と2値信号との対応関係を更新し、2値化テーブルを更新した場合に、更新した2値化テーブルを復号装置側で識別できるようにするための2値化テーブル更新識別情報112を生成して、ビットストリーム30に多重化させ、符号化対象パラメータ毎に複数の2値化テーブルがある場合、各符号化対象パラメータを識別できるIDを符号化装置側および復号装置側にそれぞれ予め付与しておき、2値化テーブル更新部95は、更新後の2値化テーブルのIDを2値化テーブル更新識別情報112として出力し、ビットストリーム30に多重化させること、
更新タイミングの制御は、スライスの先頭で2値化テーブル更新フラグ113を出力して行うものであり、可変長符号化部23は、2値化テーブル更新フラグ113をビットストリーム30のスライスヘッダに多重化し、2値化テーブル更新フラグ113が「2値化テーブルの更新あり」を示している場合には、符号化モード、圧縮パラメータの2値化テーブルのうち、どの2値化テーブルを更新したかを示す2値化テーブル更新識別情報112をビットストリーム30へ多重化すること、
スライスの先頭以外のタイミングで2値化テーブルの更新を指示してもよく、例えば任意のマクロブロックの先頭で2値化テーブル更新フラグ113を出力して更新指示してもよいこと、
がいえる。

そうすると、
最適圧縮パラメータ20aを表す多値信号のインデックス値と2値信号との対応関係を指定した2値化テーブルが、本件補正発明の構成D0の「圧縮パラメータに対する2値文字列の割り当てを定義する」「2値化テーブル」に、
更新した2値化テーブルを復号装置側で識別できるようにするための2値化テーブル更新識別情報112であって、ビットストリーム30に多重化されたものが、当該構成D0の「複数の2値化テーブルのうちの1つを特定する識別子」に相当する。
また、上記の2値化テーブルは、スライスの先頭またはマクロブロックの先頭で更新されることから、2値化テーブル更新識別情報112はスライスの先頭またはマクロブロックの先頭でビットストリームに多重化されるといえる。
したがって、本件補正発明の構成B’のうち、「複数のブロック単位に多重化された識別子」が「動画像符号化データ」に含まれていることが明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。

さらに、最適圧縮パラメータ20aを2値信号103に変換し、2値信号103を算術符号化して符号化ビット列111を出力し、ビットストリーム30へ多重化させるにあたり、2値化テーブル更新識別情報112により識別される特定の2値化テーブルを用いているといえる。
これは前記識別子により特定された前記2値化テーブルに応じて前記圧縮パラメータを2値化処理し、エントロピ符号化の一種である算術符号化された符号化ビット列111がビットストリーム30に含まれること、すなわち本件補正発明の構成D3’を踏まえた構成Dの「上記ブロック単位の情報」である構成B’の「ブロック単位の情報」が、構成B’の「動画像符号化データ」に含まれることが明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。

(4) 上記1(5)から、
動画像復号装置は、ビットストリーム60から、マクロブロック単位に最適符号化モード62をエントロピ復号すると共に、当該復号された最適符号化モード62に応じて分割されたサブブロック単位に圧縮データ64(即ち、量子化変換係数データ)、最適圧縮パラメータ65(変換ブロックサイズ情報、量子化ステップサイズ)をエントロピ復号する可変長復号部61を含むものであり、参照画像76を用いて動き補償予測を行って予測画像72を生成し、最適圧縮パラメータ65を用いて圧縮データ64に対して逆量子化および逆変換処理を行い、予測差分信号復号値67を生成し、予測差分信号復号値67に、予測画像72を加算して復号画像74を生成し、復号画像74をフィルタ処理して再生画像79を生成するものであることがいえる。
そして、ビットストリーム60から、マクロブロック単位に最適符号化モード62をエントロピ復号することは、本件補正発明の構成E1’のうち「符号化モード」「を復号する」ことを裏付けており、最適圧縮パラメータ65を用いて圧縮データ64に対して逆量子化および逆変換処理を行うことから最終的に再生画像79を生成するまでの事項は、本件補正発明の構成E41を裏付けているといえる。
また、上記(1)(2)のとおり、本件補正発明の構成C〜C3の「圧縮データは」「予測差分信号を」「符号化モードに応じた変換ブロックサイズセットから選択された、前記ブロックに対する変換ブロックサイズを示す圧縮パラメータに基づいて変換ブロック単位に変換及び量子化することにより生成され」ることが明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられていることから、本件補正発明の構成E4’の「前記符号化モードおよび前記圧縮パラメータに基づいて、前記ブロックの圧縮データにおける各変換ブロックを特定」することもまた発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。

(5) 上記1(7)から、
動画像復号装置の可変長復号部61は、ビットストリーム60に多重化された最適圧縮パラメータ65を表す符号化ビット列133を算術復号して2値信号137を生成し、2値信号で表された最適圧縮パラメータ65と多値信号との対応関係を指定した2値化テーブルを用いて生成した2値信号137を復号対象パラメータの復号値である多値信号の復号値140へ変換するものであり、
ビットストリーム60には、符号化ビット列133、2値化テーブル更新フラグ142、2値化テーブル更新識別情報144が含まれており、
2値化テーブル更新フラグ142は、符号化装置側の2値化テーブル更新フラグ113に対応する情報であり、ビットストリーム60のヘッダ情報等に含まれ、2値化テーブルの更新の有無を示す情報であり、2値化テーブル更新フラグ142の復号値が「2値化テーブルの更新あり」を示す場合には、ビットストリーム60からさらに2値化テーブル更新識別情報144が復号され、2値化テーブル更新識別情報144は、符号化装置側の2値化テーブル更新識別情報112に対応する情報であり、符号化装置側で更新したパラメータの2値化テーブルを識別するための情報であることがいえる。

そして、2値化テーブル更新識別情報112に対応する情報であり、符号化装置側で更新したパラメータの2値化テーブルを識別するための情報である2値化テーブル更新識別情報144がビットストリームから復号されることにより、本件補正発明の構成E1’のうち「前記識別子を復号」すること、及び構成E2が明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。
また、ビットストリーム60に多重化された、最適圧縮パラメータ65を表す符号化ビット列133は、算術復号されて2値信号137となり、最終的に指定された2値化テーブルを用いて復号対象パラメータ即ち最適圧縮パラメータ65を示す多値信号140へ変換されるといえるが、これにより本件補正発明の構成E2を踏まえた構成E3が明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。
さらに、当該符号化ビット列133は、上記(3)を考慮すると、ブロック単位の情報であるといえ、これにより本件補正発明の構成E1’のうち、「前記ブロック単位の情報から、前記2値文字列を復号」することが明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。

(6) そして、本件補正発明は、「マクロブロック」及び「ブロック」について、その粒度は首尾一貫するように明確に理解できるものとなり、かつ本件補正発明は本件明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。
また、本件補正発明は、「ブロック単位の情報」及び「圧縮データ」について、本件明細書の発明の詳細な説明中に裏付けられているといえる。
さらに、本件補正発明は、「動画像符号化データ」の構成が明確に理解できるように特定されるものとなった。

(7) 以上のとおりであるから、当審拒絶理由は解消したものといえる。

第6 原査定についての判断
本件補正発明が、特許法第29条第1項柱書でいう「発明」(「自然法則を利用した技術的思想の創作」)に該当するか、以下に検討する。

1 本件補正発明の「動画像符号化データ」の発明特定事項について
(1)「動画像符号化データ」の構成
ア 本件補正発明の「動画像符号化データ」は、「動画像の画像を分割したマクロブロック毎の符号化モードに応じて当該マクロブロックを複数のブロックに分割し」、「当該ブロックの単位に圧縮符号化された」(構成A1’、A2’)ものであって、「マクロブロック毎に決定された符号化モードと、複数のブロックの単位に多重化された識別子と、ブロック単位の情報および当該ブロック単位の圧縮データとを含み構成され」(構成B’)たデータである。

イ 本件補正発明の構成B’、D0の「識別子」は、「前記圧縮パラメータに対する2値文字列の割り当てを定義する複数の2値化テーブルのうちの1つを特定する識別子」である。

ウ 本件補正発明の構成B’、D’の「ブロック単位の情報」は、「前記ブロック毎に、前記識別子により特定された前記2値化テーブルに応じて前記圧縮パラメータを2値化処理することにより取得され、エントロピ符号化された2値文字列を有する情報」(構成D3’)である。

(2)「動画像符号化データ」に基づき実行される情報処理
本件補正発明の「動画像符号化データ」における構成B’の「マクロブロック毎に決定された符号化モード」、「複数のブロック単位に多重化された識別子」、「ブロック単位の情報」及び「ブロック単位の圧縮データ」は、構成Eの動画像復号装置において、構成E1’〜E41に特定される復号処理に供する情報である。
構成E1’〜E41の復号処理は、
「前記符号化モードおよび前記識別子を復号し、前記ブロック単位の情報から、前記2値文字列を復号し」(構成E1’)、
「前記識別子に基づいて、前記圧縮パラメータに対する2値文字列の割り当てを定義する複数の2値化テーブルから1つのテーブルを特定し」(構成E2)、
「前記特定された2値化テーブルに基づいて、前記2値文字列を逆2値化処理することにより前記圧縮パラメータを取得し」(構成E3)、
「前記符号化モードおよび前記圧縮パラメータに基づいて、前記ブロックの圧縮データにおける各変換ブロックを特定し」(構成E4’)、
「前記圧縮データに対して当該変換ブロック単位に逆変換および逆量子化を行い予測差分信号を算出するとともに、前記予測差分信号と、復号済みの画像を参照して生成した予測画像とに基づいて、動画像を生成する処理」(構成E41)である。

2 本件補正発明の発明該当性についての判断
(1)「動画像符号化データ」のデータ構造について
上記1(1)から、本件補正発明の「動画像符号化データ」の「データ構造」について、以下のことがいえる。
ア 上記1(1)アから、
本件補正発明の構成B’の「動画像符号化データ」は、
・「符号化モード」と、
・「識別子」と、
・「ブロック単位の情報」と
・「ブロック単位の圧縮データ」
からなることから、
本件補正発明の「動画像符号化データ」は「符号化モード」と、「識別子」と、「ブロック単位の情報」と「ブロック単位の圧縮データ」からなるという、「データ構造」を有するといえる。

イ 本件補正発明の構成B’に含まれる「符号化モード」は「マクロブロック毎に決定された」ことから、マクロブロック単位に決定されるものといえる。

ウ 本件補正発明の構成B’に含まれる「識別子」は「複数のブロック単位に多重化」されるものであって、構成C2、D0に特定されるとおり「ブロックに対する変換ブロックサイズを示す」「圧縮パラメータに対する2値文字列の割り当てを定義する」「2値化テーブル」を「特定する」ものである。
ところで、構成A’に特定されるとおり「複数のブロック」は「マクロブロックを」「分割」して得られるといえる。
そうすると、上記構成B’の「識別子」は、マクロブロックを分割したブロック単位に決定され、複数のブロック単位に多重化されるものであるといえる。

エ 一方、本件補正発明B’に含まれる「ブロック単位の情報」は、構成D3’に特定されるとおり「前記ブロック毎に」「取得され」るものであるから、ブロック単位に取得されるものといえる。同様に「ブロック単位の圧縮データ」もブロック単位に取得されるものといえる。

オ ア〜エを総合すると、本件補正発明の構成B’の「動画像符号化データ」は、少なくとも「ブロック単位」に取得される「ブロック単位の情報」や「ブロック単位の圧縮データ」と、ブロック単位に決定され、複数のブロック単位に多重化される「識別子」を含むものであり、ブロック単位に取得される「ブロック単位の情報」や「ブロック単位の圧縮データ」と、ブロック単位に決定され複数のブロック単位に多重化される「識別子」との間には、データ要素間の階層的な関係が含まれているといえる。

(2)「データ構造に基づく情報処理を具体的に行うもの」について
ア 構成E1’〜E41の情報処理について
構成E1’〜E41の情報処理に用いられるデータ要素について検討する。
当該情報処理に用いられるデータ要素は、上記1(2)のとおり、「マクロブロック毎に決定された符号化モード」、「複数のブロック単位に多重化された識別子」、「ブロック単位の情報」及び「ブロック単位の圧縮データ」である。

ここで、「識別子」は、「識別子を復号し」、「前記識別子に基づいて、前記圧縮パラメータに対する2値文字列の割り当てを定義する複数の2値化テーブルから1つのテーブルを特定」するものである。
また、「ブロック単位の情報」は、「前記特定された2値化テーブルに基づいて、前記2値文字列を逆2値化処理することにより前記圧縮パラメータを取得」した後、「前記符号化モードおよび前記圧縮パラメータに基づいて、前記ブロックの圧縮データにおける各変換ブロックを特定」するものである。
そして最終的に「前記圧縮データに対して」「逆変換及び逆量子化を行い」「動画像を生成」する処理が行われる。
そうすると、「複数のブロック単位に多重化された識別子」に基づいて、「前記ブロックの圧縮データにおける変換ブロックを特定」し、最終的に「圧縮データに対して」「逆変換及び逆量子化を行い」「動画像を生成する」ものといえる。

すなわち、構成E1’、E2、E3、E4’、E41の情報処理は、複数のブロック単位に多重化された「識別子」と、「ブロック単位の情報」に基づいて、「ブロックの圧縮データにおける各変換ブロックを特定し」、最終的に「ブロック単位」の圧縮データを処理して動画像を生成するといえる。

イ データ構造に基づく情報処理を具体的に行うものかどうかの検討
上記(1)及び(2)アを踏まえて、上記「識別子」と「ブロック単位の情報」及び「ブロック単位の圧縮データ」についての関係について検討する。

上記「識別子」と「ブロック単位の情報」のいずれも、「前記ブロックの圧縮データ」、すなわち「ブロック単位の圧縮データ」に対して最終的に逆変換及び逆量子化を行い、動画像処理を行うものである。
一方、「識別子」は「ブロック単位」に決定されるが、「複数のブロック単位に多重化され」るのに対して、「ブロック単位の情報」は「ブロック単位」に構成されるものであるといえる。

そうすると、本件補正発明の情報処理は、「動画像符号化データ」に含まれる、ブロック単位に取得される「ブロック単位の情報」や「ブロック単位の圧縮データ」と、ブロック単位に決定され複数のブロック単位に多重化される「識別子」の間の、データ要素間の階層的な関係により定められる情報処理であるといえる。
したがって、本件補正発明の情報処理は、「動画像符号化データ」に含まれる「ブロック単位の情報」や「ブロック単位の圧縮データ」と、「識別子」の間の「データ要素間の階層的関係が表されたデータ構造に基づく情報処理」を具体的に行うものといえる。

(3) 小括
以上のとおり、本件補正発明は、データ構造に基づく情報処理を具体的に行うものということができるから、「情報の単なる提示」を行うものに該当するものではなく、情報の提示それ自体に「動画像符号化データ」の情報及び構造に関する技術的特徴を有するものであり、特許法第2条第1項における「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当し、特許法第29条第1項柱書でいう「発明」に該当する。
よって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
上記第5のとおり、令和4年4月18日付け当審拒絶理由は令和4年6月9日付け手続補正により解消した。
また、上記第6のとおり、本願は、原査定の理由によって拒絶することはできない。
さらに、他に拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-08-01 
出願番号 P2019-163628
審決分類 P 1 8・ 1- WY (H04N)
P 1 8・ 537- WY (H04N)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 畑中 高行
特許庁審判官 新井 寛
川崎 優
発明の名称 動画像符号化データ  
代理人 特許業務法人山王内外特許事務所  
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