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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60K
管理番号 1387836
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-04 
確定日 2022-08-12 
事件の表示 特願2018−562095号「ハイブリッドユーティリティビークル」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月21日国際公開、WO2017/218225、令和元年7月25日国内公表、特表2019−521028号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)6月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年6月14日 米国、2017年6月5日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和2年9月29日付け(発送日:令和2年10月7日)で拒絶査定がされた。これに対して、令和3年2月4日に拒絶査定不服審判が請求され、当審において令和3年6月30日付け(発送日:令和3年7月7日)で拒絶理由が通知され、令和4年1月4日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 令和3年6月20日付け拒絶理由の概要
令和3年6月20日付けで通知した拒絶理由は以下の理由を含むものである。

(1)(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
(2)(進歩性)本件出願の請求項1〜17に係る発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された下記の引用文献1及び2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
引用文献等一覧
1.特表2010−532288号公報
2.特開平9−95149号公報


第3 本願発明について
1 本願発明
本願の請求項1〜16に係る発明は、令和4年1月4日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1〜16に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「ビークルの並列ハイブリッドパワートレインであって、
エンジンと、
前記エンジンに連結された変速装置と、
プロペラシャフトを介して、前記変速装置に連結された前輪駆動装置と、
前記変速装置に連結された後輪駆動装置と、
前記前輪駆動装置に駆動連結され、前記プロペラシャフトを介して、前記変速装置に駆 動連結されたトラクションモーターであって、前記プロペラシャフトから離間したトラクションモーターと、
前記プロペラシャフトの少なくとも一部と前記前輪駆動装置との間に設けられた双方向 クラッチと、
前記トラクションモーターを作動させるバッテリーと、
を備えたことを特徴とする、ハイブリッドパワートレイン。」

2 引用発明
当審の拒絶理由に引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された引用文献1には、以下の記載がある。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電気機械を有するハイブリッド車に関し、その電気機械は、駆動段階時の、内燃機関に対する少なくとも補助駆動装置として設けられる。」
(2)「【0011】
独立した電気機械がそれぞれのクラッチを介してフロントアクセルの各ホイールに割り当てられる場合、さらなる利点が得られる。今度は、変速機入力シャフトへの連結は、フロントアクスルギヤ装置(差動装置)を介して形成される。その結果として、フロントアクスルにおいて電気による「可変トルク配分」(ホイールに限定したトルクの分配によって車両運動性能制御ができること)が可能になり、その場合に、差動装置において基本ロックトルクを調整することができる。」
(3)「【0015】
内燃機関が機械的に、すなわち、シャフトを用いてハイブリッド車のフロントアクスルに連結される場合、従来の、すなわち、内燃機関を用いた全輪駆動が可能になる。そのような場合に、従来の全輪駆動は、任意選択的に、クラッチを設けることによって駆動を切り換えることもできる。従来の全輪駆動は、この場合に、例えば、定速走行などの特定の動作範囲において、内燃機関によってリアアクスルを駆動するのに加えて、フロントアクスルを完全に電気駆動する場合よりも良好な効率レベルをもたらす。アクスルギヤ装置の効率レベルを考慮することで、エネルギ回生、動力増強、および電気走行に対して、フロントアクスルか、あるいはリアアクスルおよびフロントアクスルの両方かのいずれかを使用することが可能になる。この場合に、フロントアクスルに平行にか、または内燃機関とフロントアクスルの間のシャフトに平行に個々の電気機械を設けることもでき、あるいは独立した電気機械をフロントアクスルのホイールごとに設けることもできる。説明したすべての変形型に対して、それぞれの電気機械と、例えば、変速機シャフトなどの連結された回転質量(回転物)との間にクラッチを増設することを提案するのは有益である。これは、一方で、電気機械が無負荷の場合に、機械抵抗に抗するために本来なら必要となる電気機械のアイドリング通電をなくすことにより、省エネ化を可能にする。このために、ハイブリッド車が自由に回転している(「惰行運転している」)ときに、無負荷の電気機械が切り離される。他方で、特定の動作範囲、例えば、比較的低回転数の領域にわたって電気機械を特別に調整することができる。この範囲以外、例えば、比較的高回転数の領域では、例えば、電気機械が壊れるのを回避するために、または駆動系内の慣性モーメントをなくすことで省力化するために電気機械が切り離される。したがって、個々の電気機械が、変速機入力シャフト、又は変速機に連結されたシャフトに配置された場合に、電気機械と変速機との間にクラッチが増設される。フロントアクスルのホイールごとに独立した電気機械がある場合、そのようなクラッチが電気機械とホイールとの間にそれぞれ増設される。電気機械にもはや負荷がかかっていないか、または特定の動作パラメータが所定の動作範囲から外れた場合に、増設したクラッチを切るための相応する方法が提供される。したがって、電気機械に再び負荷がかかるか、または特定の動作パラメータが所定の動作範囲に入った場合に、増設したクラッチがつながる。」
(4)「【0018】
図1〜3は、本発明の第1の実施形態の3つの異なるバージョンを示している。この実施形態では、少なくとも1つの電気機械E1、E2が、内燃機関Vの変速機入力シャフトGEWに必ず設けられている。内燃機関Vは、車両の停止状態からと走行中の両方で(例えば、自由回転や電気走行の段階後に)電気機械E1、E2によって始動される。したがって、内燃機関Vが始動する場合に、独立した電気機械が内燃機関V自体に付いている必要はなく、これは、ハイブリッド車内の設置空間と重量配分の改善とに関して利点をもたらす。
【0019】
図1は、内燃機関Vによって駆動されるリアアクスルに電気機械E1を単に機械連結しただけの、構造的に特に単純な問題解決手段を示している。これはすでに完全なハイブリッド機能をもたらしている。したがって、変速機入力シャフトGEWおよび電気機械E1を用いて、内燃機関Vの負荷点をシフトさせることができる。電気モータとして駆動される、変速機入力シャフトGEWにつながった電気機械E1によって動力を増強でき、発電機として動作する電気機械E1によってリアアクスルからエネルギを回生することができる。リアアクスルにつながった変速機Gを電気機械E1が使用することで、電気走行も可能である。これに関連して、電気機械E1と変速機Gとの間の変速機入力シャフトGEWにクラッチを設けることもさらに可能である。アイドリング通電をなくして省力化し、例えば、低速度などの特定の動作範囲にわたって良好な調整を行うために、前記クラッチは、電気機械E1の切り離しを可能にする。」
(5)「【0024】
図5は、図4に示した構成のほかに、ハイブリッド車のリアアクスルとフロントアクスルとの間に機械式連結が形成された、本発明の第2の実施形態の構成を示している。これは、従来の全輪駆動、すなわち、内燃機関によって動力を供給される全輪駆動を形成するのを可能にする。これに関連して、任意選択の、すなわち、駆動切り換え可能な全輪駆動とするために、フロントアクスルとリアアクスルとの間のシャフトにクラッチを設けることが可能である。カルダンシャフト、クラッチ、およびアクスルギヤ装置を介して内燃機関Vの負荷点をシフトすることができ、負荷点シフトは、ギヤ装置/アクスルギヤ装置の効率レベルの影響を受ける。動力増強、エネルギ回生、および電気走行は、フロントアクスル、またはフロントアクスルおよびリアアクスルを介して可能であり、その場合に、これは、アクスルギヤ装置の効率レベルに従う。
【0025】
図6および図7は、図5の代替案である2つの構成を示し、それぞれ2つではなく単一の電気機械E1が設けられている。これは、より単純な機械構造を可能にするが、もはやフロントアクスルにおいて電気による「可変トルク配分」を行うことはできない。図6によれば、電気機械E1は、フロントアクスル上で、これに平行に配置されているが、図7では、変速機Gとフロントアクスルのアクスルギヤ装置との間のシャフトに電気機械E1を配置することができる。これに関連して、さらには、アイドル通電をなくすことで省力化し、特定の動作範囲にわたってより良好な調整を行うために電気機械E1を切り離すことを目的として、電気機械E1と変速機Gとの間にクラッチを設けることが可能である。」
(6)「【図1】


(7)「【図5】


(8)「【図6】


(9)図6から、フロントのアクスルギア装置が、変速機入力シャフトGEWを介して変速機Gに連結されている点が看取できる。
また、フロントアクスルギア装置と変速機入力シャフトGEWとの間にクラッチを設ける点が看取できる。
(10)【0025】に「電気走行」を行うことが記載されていることを参照すると、図6から、バッテリにより電気機械E1を作動させることが看取できる。
(11)上記記載を総合すると、内燃機関V、変速機G、変速機入力シャフト、フロントアクスルギア装置、リアアクスル、電気機械E1、クラッチ、バッテリ等を備えたハイブリッド車のパワートレインが記載されているといえる。

上記記載を総合し、図6に係る発明に着目して、本願発明に倣って整理すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「ハイブリッド車のパワートレインであって、
内燃機関Vと、
変速機Gと、
変速機入力シャフトGEWを介して、前記変速機Gに連結されたフロントアクスルギア装置と、
前記変速機Gにつながったリアアクスルと、
フロントアクスル上で、これに平行に配置された電気機械E1と、
前記変速機入力シャフトGEWと前記フロントアクスルギア装置との間に設けられたクラッチと、
前記電気機械E1を作動させるバッテリと、
を備えた、ハイブリッド車のパワートレイン。」

2 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「内燃機関V」は、その機能、技術的意義等からみて、本願発明の「エンジン」に相当し、同様に「変速機G」は「エンジンに連結された変速装置」に、「変速機入力シャフトGEW」は「プロペラシャフト」に、「フロントアクスルギア装置」は「前輪駆動装置」に、「電気機械E1」は「トラクションモーター」に、「バッテリ」は「バッテリー」にそれぞれ相当する。また、引用発明の「クラッチ」は、【0015】を参照すると、本願発明の「双方向クラッチ」に相当する。
(2)引用発明の「前記変速機Gに連結されたリアアクスル」は、変速機Gとリアとを連結するリアの駆動機構であるから、本願発明の「前記変速装置に連結された後輪駆動装置」に相当する。
(3)引用発明の「前記変速機入力シャフトGEWと前記フロントアクスルギア装置との間に設けられたクラッチ」は、本願発明の「前記プロペラシャフトの少なくとも一部と前記前輪駆動装置との間に設けられた双方向クラッチ」に相当する。
(4)引用発明の「ハイブリッド車のパワートレイン」は、「フロントアクスル上で、これに平行に配置された電気機械E1」を備えるから、本願発明の「ビークルの並列ハイブリッドパワートレイン」に相当する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、
<一致点>
「ビークルの並列ハイブリッドパワートレインであって、
エンジンと、
前記エンジンに連結された変速装置と、
プロペラシャフトを介して、前記変速装置に連結された前輪駆動装置と、
前記変速装置に連結された後輪駆動装置と、
前記プロペラシャフトの少なくとも一部と前記前輪駆動装置との間に設けられた双方向 クラッチと、
前記トラクションモーターを作動させるバッテリーと、
を備えたことを特徴とする、ハイブリッドパワートレイン。」
の点で一致し、以下の点で一応相違する。
<相違点>
「トラクションモーター」について、本願発明は、「前記前輪駆動装置に駆動連結され、前記プロペラシャフトを介して、前記変速装置に駆動連結されたトラクションモーターであって、前記プロペラシャフトから離間したトラクションモーター」であるのに対して、引用発明1は、「フロントアクスル上で、これに平行に配置された電気機械E1」である点。

3 判断
上記相違点について検討する。
引用発明の「フロントアクスル上で、これに平行に配置された電気機械E1」は、電気機械E1がフロントアクスルと平行に配置されて駆動連結され、変速機入力シャフトGEWを介して、変速機Gに駆動連結していることは明らかである。
そして、本願発明の「プロペラシャフトから離間したトラクションモーター」とは、プロペラシャフトとトラクションモーターが「離間」していることであって、離れて配置されていること、すなわち、別体であることを意味している。
そうすると、引用発明は、電気機械E1がフロントアクスルと平行に配置されており、変速機入力シャフトと電気機械E1とは直角に配置されているから、電気機械E1と変速機入力シャフトとは、別体であって、離間しているといえる。
そうすると、上記相違点は実質的な相違点でないから、本願発明は引用発明である。

また、仮に上記相違点が実質的な相違点であるとしても、引用発明の「フロントアクスル上で、これに平行に配置された電気機械E1」を具体化するにあたって、引用文献2の図8のトラクションモーターである電気モータ71と左右一対の駆動軸15、16との駆動連結構造(引用文献2の【0035】等)を適用して、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明の奏する効果は、引用発明及び引用文献2記載事項から、当業者が容易に想到しうる範囲のものであって、格別なものでない。

4 むすび
したがって、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない。
また、仮に本願発明が引用発明でないとしても、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。


第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。

審判長 金澤 俊郎
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
 
審理終結日 2022-03-03 
結審通知日 2022-03-09 
審決日 2022-03-24 
出願番号 P2018-562095
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (B60K)
P 1 8・ 121- WZ (B60K)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 佐々木 正章
山本 信平
発明の名称 ハイブリッドユーティリティビークル  
代理人 柳田 征史  

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