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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1387968 |
総通号数 | 9 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2022-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-06-25 |
確定日 | 2022-08-04 |
事件の表示 | 特願2017− 15971「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 9日出願公開、特開2018−121848〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年1月31日の出願であって、令和2年10月22日付けで拒絶の理由が通知され、同年12月25日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和3年3月17日付け(送達日:同年同月30日)で拒絶査定がなされ、それに対して、同年6月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年6月25日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 (1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和2年12月25日提出の手続補正書によって補正された補正された本件補正前の請求項1に、 「遊技領域に設けられ、遊技球の入球が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能な入球口と、 前記入球口への遊技球の入球に基づいて当否判定を行う当否判定手段と、 所定の図柄の変動をおこない、停止図柄に基づいて前記当否判定手段の当否判定の結果を報知する図柄制御手段と、 前記遊技領域に設けられ、遊技球の入賞が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能であって、内部に特定領域が設けられ、入賞した遊技球の前記特定領域への通過が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能な入賞口と、 前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて、前記入賞口に遊技球が入賞できるようにする小当たり遊技を実行するとともに、前記小当たり遊技中に、入賞した遊技球のうちの少なくとも1つが前記特定領域を通過するように制御し、遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて、大当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、 前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技および前記大当たり遊技を実行している時に、所定の演出をおこなう演出実行手段と、 前記入球口に遊技球が相対的に入球しにくい遊技状態である通常状態と、前記通常状態よりも前記入球口に遊技球が入球しやすい遊技状態である特定状態とを切り替え可能であって、前記大当たり遊技の終了後において、前記図柄制御手段による前記図柄の変動回数が特定回数となるまで、遊技状態を前記特定状態にするとともに、前記変動回数が前記特定回数を超えると、遊技状態を前記通常状態にする遊技状態制御手段と、 前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて、前記特定状態における前記特定回数がそれぞれ異なる複数の当たり種別のうちから1つを選択する当たり種別選択手段と、を備え、 前記遊技状態制御手段は、前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて前記大当たり遊技が実行された場合、前記大当たり遊技の終了後において、前記変動回数が、前記当たり種別選択手段によって選択された当たり種別の特定回数となるまで遊技状態を前記特定状態にし、 前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、前記当たり遊技実行手段が前記大当たり遊技を実行しているときの演出を実行する ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、 「遊技領域に設けられ、遊技球の入球が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能な入球口と、 前記入球口への遊技球の入球に基づいて当否判定を行う当否判定手段と、 所定の図柄の変動をおこない、停止図柄に基づいて前記当否判定手段の当否判定の結果を報知する図柄制御手段と、 前記遊技領域に設けられ、遊技球の入賞が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能であって、内部に特定領域が設けられ、入賞した遊技球の前記特定領域への通過が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能な入賞口と、 前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて、前記入賞口に遊技球が入賞できるようにする小当たり遊技を実行するとともに、前記小当たり遊技中に、入賞した遊技球のうちの少なくとも1つが前記特定領域を通過するように制御し、遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて、大当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、 前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技および前記大当たり遊技を実行している時に、所定の演出をおこなう演出実行手段と、 前記入球口に遊技球が相対的に入球しにくい遊技状態である通常状態と、前記通常状態よりも前記入球口に遊技球が入球しやすい遊技状態である特定状態とを切り替え可能であって、前記大当たり遊技の終了後において、前記図柄制御手段による前記図柄の変動回数が特定回数となるまで、遊技状態を前記特定状態にするとともに、前記変動回数が前記特定回数を超えると、遊技状態を前記通常状態にする遊技状態制御手段と、 前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて、前記特定状態における前記特定回数がそれぞれ異なる複数の当たり種別のうちから1つを選択する当たり種別選択手段と、を備え、 前記遊技状態制御手段は、前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて前記大当たり遊技が実行された場合、前記大当たり遊技の終了後において、前記変動回数が、前記当たり種別選択手段によって選択された当たり種別の特定回数となるまで遊技状態を前記特定状態にし、 前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始する ことを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。 (2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正事項からなる。 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、前記当たり遊技実行手段が前記大当たり遊技を実行しているときの演出を実行する」との記載を「前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始する」とする補正。 2 請求人の主張する補正の根拠 請求人は、審判請求書の請求の理由において、以下のように補正の根拠を主張している。 「(1)請求項1の補正について 「前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始する」は、例えば、出願当初の明細書の段落0198〜0202、図45の記載に基づいています。」 3 新規事項の追加の有無について (1)本件補正後の請求項1の「前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに」、「遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始する」という記載(以下「記載事項」という。)は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載されていない。 (2)当初明細書等の記載 請求人が補正の根拠とする、【0198】〜【0202】、図45には、以下の事項が記載されている(下線は合議体が付した。)。 ア「【0198】 [当たり遊技演出] 図45は、特図2抽選に当選したときの当たり遊技演出を例示した説明図である。この当たり遊技演出は、特図2の抽選において大当たり、または、小当たりしたときに実行される。具体的には、演出制御用マイコン91が主制御基板80から大当たり遊技または小当たり遊技のオープニングコマンド受信し(図37:ステップS4475:YES)、オープニング演出パターン決定処理(図37:ステップS4480)において、このコマンドに含まれる特図停止図柄データに関する情報から特図2の大当たり、または、小当たりであると判別されたときに、対応するオープニング演出開始コマンドがセットされることで実行される。この当たり遊技演出:図45(A)は、例えば、大当たり遊技が実行されることを示唆する演出(Vの期待成功演出:図44(I)、Vルーレット成功演出:図46(C)、的当て成功演出:図48(C))の後に続いて実行される。 【0199】 まず、1種大当たりに伴う大当たり遊技の開始時、または、小当たりに伴う小当たり遊技の開始時には、図45(A)に示すように、所定のキャラクタの所作によって大当たり遊技が実行されることを示唆する画像GB1と、右打ち示唆画像GB2とを表示する。続いて、図45(B)に示すように、所定のキャラクタなどを用いて大当たり遊技が実行されることを示唆する画像GB3と、右打ち示唆画像GB2とを表示する。 【0200】 図45(A)と図45(B)の演出は、1種大当たり遊技において、大当たり遊技の開始から所定の期間(以後、「第1の遊技期間」とも呼ぶ)が経過するまで継続される。また、小当たり遊技において、小当たり遊技の開始から第1の遊技期間が経過するまで継続される。すなわち、1種大当たり遊技と小当たり遊技のどちらにおいても、第1の遊技期間の間、同じ内容(同様)の演出がおこなわれる。なお、この第1の遊技期間は、少なくとも、小当たり遊技(開放パターン23)のオープニング時間(ここでは、0.01秒)と、第2大入賞口35の開放時間(ここでは、1.6秒)との合計時間(1.61秒)以上の時間である。ここでは、第1の遊技期間は、小当たり遊技の開始から小当たり遊技が終了するまでの期間(オープニング時間(0.01秒)+第2大入賞口35の開放時間(1.6秒)+エンディング時間(3秒))の4.61秒が設定されている。1種大当たりに伴う大当たり遊技開始から第1の遊技期間が経過したとき、または、小当たり遊技の開始から第1の遊技期間が経過しときであってV通過による2種大当たりが確定したときには、図45(C)に示すように、大当たり遊技中であることを明確に示唆する画像GB4と、右打ち示唆画像GB2とを表示する。すなわち、小当たり遊技後に2種大当たりした場合には、1種大当たりしたときと同様に図45(A)、(B)、(C)の演出が実行される。 【0201】 一方、小当たりに伴う小当たり遊技の開始から第1の遊技期間が経過したときであってV非通過によって大当たり遊技の非実施が確定したときには、画像GB4の代わりに、図45(D)に示すように、大当たり遊技が実行されないことを示唆する画像GB5を表示する。 【0202】 本実施形態における当たり遊技演出では、1種大当たり遊技中の演出と、小当たりに伴う小当たり遊技および2種大当たり遊技中の演出とが同様の演出(図45(A)、(B)、(C))となるように構成されている。言い換えれば、1種大当たり遊技の開始から大当たり遊技が終了するまでの演出と、小当たり遊技開始から2種大当たり遊技が終了するまでの演出とが同様の演出となるように構成されている。なお、小当たりに伴う小当たり遊技後に2種大当たりが実行されなかった場合であっても、少なくとも小当たり遊技中は、1種大当たりの場合と同様の演出(図45(A)、(B))がおこなわれ、第1の遊技期間経過後に、1種大当たりの場合と異なる演出(図45(D))がおこなわれる。ここでいう「同様(同じ)の演出」とは、遊技者に対して、大当たりと小当たりの演出の区別がつきにくくなる程度に内容が近ければよく、演出が完全に同じである必要はない。例えば、一部のキャラクタが異なっている場合、所定のキャラクタの態様(例えば、服装、服の色、装備)の一部などが異なる場合、または、所定のキャラクタの登場タイミングが若干異なる場合などは当然に同様の演出に含まれる。また、本実施形態における当たり遊技演出では、小当たり遊技後に2種大当たりとなる場合、小当たり遊技によってV通過したことに基づいて、大当たり遊技演出(図45(A)、(B))を開始するのではなく、小当たり遊技開始時に(すなわち、小当たり図柄の確定表示に基づいて)大当たり遊技演出を開始するように構成されている。言い換えれば、本実施形態では、小当たりした場合、小当たり遊技時に小当たり遊技を示唆する演出(例えば、Vを狙うように遊技者に指示する演出)がおこなわれない。この構成により、小当たりの場合であっても、遊技者は小当たり遊技に気がつかず、1種大当たりに当選したと思わせることができる。また、本実施形態では、特別図柄表示器41に小当たり図柄が確定表示されてから小当たり遊技演出(図45(A)、(B)、(C))が開始されるまでのタイミング(時間)と、大当たり図柄が確定表示されてから大当たり遊技演出(図45(A)、(B)、(C))が開始されるまでのタイミング(時間)と、が等しくなるように構成されている。上記のことから明らかなように、大当たり遊技が実行されることを示唆する一連の演出(Vの期待成功演出:図44(I)→図45(A)→図45(B))は、小当たりの場合と、1種大当たりの場合とで、一連の演出の開始から所定の期間、同じ内容(同様の演出)となる。所定の期間とは、小当たり当選時において、Vの期待成功演出の開始から小当たり遊技が終了するまでの期間以上の期間である。例えば、Vの期待成功演出時間が5秒、小当たり遊技時間が4.61秒の場合には、所定の期間は9.61秒となる。なお、大当たり遊技が実行されることを示唆する一連の演出は、Vの期待成功演出:図44(I)の代わりに、Vルーレット成功演出:図46(C)、的当て成功演出:図48(C))であってもよい。ここでは、Vルーレット成功演出時間と的当て成功演出時間はともに5秒である。」 イ「【図45】 」 (3)上記記載事項に対応する記載として、当初明細書等には、【0198】に「図45は、特図2抽選に当選したときの当たり遊技演出を例示した説明図である。この当たり遊技演出は、特図2の抽選において・・・小当たりしたときに実行される。具体的には、演出制御用マイコン91が主制御基板80から大当たり遊技または小当たり遊技のオープニングコマンド受信し・・・、このコマンドに含まれる特図停止図柄データに関する情報から特図2の・・・小当たりであると判別されたときに、対応するオープニング演出開始コマンドがセットされることで実行される。この当たり遊技演出:図45(A)は、例えば、大当たり遊技が実行されることを示唆する演出・・・の後に続いて実行される。」、【0200】に「図45(A)と図45(B)の演出は、1種大当たり遊技において、大当たり遊技の開始から所定の期間(以後、「第1の遊技期間」とも呼ぶ)が経過するまで継続される。また、小当たり遊技において、小当たり遊技の開始から第1の遊技期間が経過するまで継続される。」、【0202】に「本実施形態における当たり遊技演出では、1種大当たり遊技中の演出と、小当たりに伴う小当たり遊技および2種大当たり遊技中の演出とが同様の演出(図45(A)、(B)、(C))となるように構成されている。・・・また、本実施形態における当たり遊技演出では、小当たり遊技後に2種大当たりとなる場合、小当たり遊技によってV通過したことに基づいて、大当たり遊技演出(図45(A)、(B))を開始するのではなく、小当たり遊技開始時に(すなわち、小当たり図柄の確定表示に基づいて)大当たり遊技演出を開始するように構成されている。」と記載されている。 これらの記載からみて、当初明細書等には、「前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに」、「遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで」図45に示される当たり遊技演出(大当たり遊技演出)「を開始する」ことが記載されているといえる。 一方、上記記載事項において「大当たり遊技に関する演出」の「に関する」が何を含むのか不明であり、そうすると、「大当たり遊技に関する演出」は、大当たり遊技を実行しているときの演出が実行されるタイミング以前(例えば、変動演出中等)に実行される、大当たり遊技が実行されることを示唆する演出等も含むものと認められる。 しかしながら、このような構成は、当初明細書等の【0198】〜【0202】、図45に記載されているとも、示唆されているとも認められない。また、当初明細書等の他の箇所にも、記載ないし示唆されているとは認められない。 してみると、「前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、前記当たり遊技実行手段が前記大当たり遊技を実行しているときの演出を実行する」との記載を「前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始する」とする補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでない。 したがって、上記1(2)とする補正を含む本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものでないので、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではない。 (4)本件補正は、以上のとおり、当初明細書等に記載した事項の範囲内でなされたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 4 補正の目的について 上記3(3)における説示のとおり、上記記載事項において「大当たり遊技に関する演出」の「に関する」が何を含むのか不明であり、そうすると、本件補正後の「小当たり遊技を実行しているときに」、「前記大当たり遊技に関する演出を開始する」ことは、「小当たり遊技を実行しているときに」、大当たり遊技演出が実行されるタイミング以前(例えば、変動演出中等)に実行される、大当たり遊技が実行されることを示唆する演出等を開始することも含むものであるから、本件補正前の「小当たり遊技を実行しているときに」、「前記大当たり遊技を実行しているときの演出を実行する」ことという発明特定事項を限定するものとはいえない。 したがって、上記1(2)の補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当しない。 そして、上記1(2)の補正が、同法第17条の2第5項第1、3及び4号にそれぞれ掲げる請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは明らかである。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。 5 独立特許要件について 本件補正が目的外補正であるであることは、上記4で説示したとおりであるが、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AないしKは、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。 「A 遊技領域に設けられ、遊技球の入球が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能な入球口と、 B 前記入球口への遊技球の入球に基づいて当否判定を行う当否判定手段と、 C 所定の図柄の変動をおこない、停止図柄に基づいて前記当否判定手段の当否判定の結果を報知する図柄制御手段と、 D 前記遊技領域に設けられ、遊技球の入賞が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能であって、内部に特定領域が設けられ、入賞した遊技球の前記特定領域への通過が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能な入賞口と、 E 前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて、前記入賞口に遊技球が入賞できるようにする小当たり遊技を実行するとともに、前記小当たり遊技中に、入賞した遊技球のうちの少なくとも1つが前記特定領域を通過するように制御し、遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて、大当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、 F 前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技および前記大当たり遊技を実行している時に、所定の演出をおこなう演出実行手段と、 G 前記入球口に遊技球が相対的に入球しにくい遊技状態である通常状態と、前記通常状態よりも前記入球口に遊技球が入球しやすい遊技状態である特定状態とを切り替え可能であって、前記大当たり遊技の終了後において、前記図柄制御手段による前記図柄の変動回数が特定回数となるまで、遊技状態を前記特定状態にするとともに、前記変動回数が前記特定回数を超えると、遊技状態を前記通常状態にする遊技状態制御手段と、 H 前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて、前記特定状態における前記特定回数がそれぞれ異なる複数の当たり種別のうちから1つを選択する当たり種別選択手段と、を備え、 I 前記遊技状態制御手段は、前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて前記大当たり遊技が実行された場合、前記大当たり遊技の終了後において、前記変動回数が、前記当たり種別選択手段によって選択された当たり種別の特定回数となるまで遊技状態を前記特定状態にし、 J 前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始する K ことを特徴とする遊技機。」 (2)引用文献の記載事項 ア 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015−173939号公報(平成27年10月5日出願公開、以下同じく「引用文献1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(なお、下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。 (ア)「【0013】 以下、遊技機としてのパチンコ遊技機の一実施形態を説明する。 図1に示すように、パチンコ遊技機には、遊技盤YBが備えられている。パチンコ遊技機には、発射ハンドルHDが備えられており、発射ハンドルHDが回動動作されることにより、遊技盤YBへ遊技球が発射される。 【0014】 図2に示すように、遊技盤YBには、複数の発光部を有する第1特別図柄表示装置11が配設されている。この第1特別図柄表示装置11では、複数種類の図柄(特別図柄)を変動表示する変動ゲーム(図柄変動ゲーム)が行われる。本実施形態では、第1特別図柄表示装置11で行われる変動ゲームを単に「第1の変動ゲーム」と示す場合がある。また、遊技盤YBには、複数の発光部を有する第2特別図柄表示装置12が配設されている。第2特別図柄表示装置12では、複数種類の図柄(特別図柄)を変動表示する変動ゲームが行われる。本実施形態では、第2特別図柄表示装置12で行われる変動ゲームを単に「第2の変動ゲーム」と示す場合がある。第1の変動ゲームと第2の変動ゲームは、同時に実行されないように構成されている。」 (イ)「【0020】 また、演出表示装置13の下方であって、第1始動入賞口14の下方には、第2アクチュエータとしての普通電動役物ソレノイドSOL1の作動により開閉動作を行う開閉扉(普通電動役物)15が備えられた第2特定領域としての第2始動入賞口16が配設されている。第2始動入賞口16は、常には開閉扉15が閉状態とされて閉鎖されている。第2変位部材としての開閉扉15が閉鎖されている状態において第2始動入賞口16は、入球不能な状態(入球が規制された状態、第4位置)とされる。そして、予め定めた開放条件が成立すると、開閉扉15は、1回又は複数回だけ予め定めた開放時間の間、開放される。開閉扉15が開放されている状態において第2始動入賞口16は、入球可能な状態(入球が許容された状態、第3位置)とされる。」 (ウ)「【0024】 また、演出表示装置13の右下方(第1始動入賞口14の右上方)には、第1大入賞口ソレノイドSOL2の作動により開閉動作を行う第1大入賞口扉17を備えた第1大入賞装置18が配設されている。第1大入賞口扉17が開放動作を行うと、第1大入賞装置18に設けられた第1大入賞口19が開放され、第1大入賞装置18内への遊技球の入球が可能となる。第1大入賞装置18は、その内部に遊技球が転動可能な特別入賞領域18aが形成されており、第1大入賞口19から入球した遊技球は、当該特別入賞領域18aに流入するようになっている。特別入賞領域18aには、遊技球が入球可能な第1特定領域としての特典入賞口20が設けられている。特典入賞口20には、第1アクチュエータとしての特別電動役物ソレノイドSOL3の作動により開閉動作を行う特別開閉扉21が設けられている。第1変位部材としての特別開閉扉21が閉鎖されている状態において特典入賞口20は、入球不能な状態(入球が規制される状態、第2位置)とされる。そして、予め定めた開放条件が成立すると、特別開閉扉21は、予め定めた開放時間(本実施形態では260ms又は1500ms)の間、開放される。特別開閉扉21が開放されている状態(第1位置)において特典入賞口20は、入球可能な状態(入球が許容される状態)とされる。また、特別入賞領域18aには、特典入賞口20に入球しない遊技球が入球する通常領域としての排出口22が設けられている。特典入賞口20及び排出口22に入球した遊技球は、特別入賞領域18aの外部、より詳しくは、パチンコ遊技機から外部に排出される。このように、特別開閉扉21は、第1大入賞装置18に入球した遊技球を特典入賞口20と排出口22との何れに通過させるか振分可能な振分部材であるといえる。 【0025】 また、第1大入賞装置18には、第1大入賞口19を介して特別入賞領域18aへ入球した遊技球を検知する第1カウントスイッチSW3が配設されている。第1大入賞装置18の第1カウントスイッチSW3は、第1大入賞口19に入球した遊技球を検知することにより、予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件が成立する。また、特典入賞口20に入球した遊技球を検知する特典入賞スイッチSW4が配設されている。特典入賞スイッチSW4が特典入賞口20に入球した遊技球を検知することにより、特典の付与条件が成立し、小当り遊技の終了後に、大当り遊技を付与することを決定する。また、特典入賞口20及び排出口22を介して特別入賞領域18aから排出された遊技球を検知する排出スイッチSW5が配設されている。排出スイッチSW5が排出された遊技球を検知することにより、特別入賞領域18a内から遊技球が排出されたか否かを判定できるようになっている。なお、第1カウントスイッチSW3は、特別入賞領域18aの入口に配置されている。つまり、排出スイッチSW5及び特典入賞スイッチSW4よりも先に遊技球を検知することが可能に配置されている。また、特典入賞スイッチSW4は、特典入賞口20の入口に配置されている。つまり、排出スイッチSW5よりも先に遊技球を検知することが可能に配置されている。また、排出スイッチSW5は、特典入賞口20及び排出口22と連通している通路に配置されている。つまり、特典入賞スイッチSW4が遊技球を検知した後に、当該遊技球を検知することが可能に配置されている。」 (エ)「【0037】 また、発射装置により遊技盤YB上の遊技球が転動可能な遊技領域に遊技球が発射される。そして、第2流下経路RY2を遊技球が流れた場合に、当該遊技球の一部が第2始動入賞口16や、第1大入賞装置18、第2大入賞装置24、第2作動ゲート29bに誘導されるように、遊技盤YB上に配置された遊技釘等の障害部材や、第2始動入賞口16等が配置されている。つまり、発射装置により遊技盤YB上に発射され、演出表示装置13の右側を通過する遊技球の一部は、遊技盤YBを流下する際、遊技盤YB上に配置された遊技釘等により第2始動入賞口16や、第1大入賞装置18、第2大入賞装置24、第2作動ゲート29bに誘導される。なお、第2流下経路RY2に遊技球が流れた場合、第1始動入賞口14及び第1作動ゲート29aには、誘導されにくく構成されている。 【0038】 また、本実施形態では、変動時間短縮(以下、「変短」と示す)機能を備えている。変短機能は、大当り遊技の終了後に、遊技者に有利な変動時間短縮状態(以下、「変短状態」と示す)を付与することができる機能である。変短状態では、普図当り抽選の抽選結果を導出する普図ゲームの変動時間が、変短状態が付与されていないとき(非変短状態)と比べて短縮される。また、変短状態では、普通当り抽選に当選する確率が非変短状態よりも変短状態の方が高確率となる。また、変短状態では、普図当り抽選に当選した際、1回の普図当り抽選に当選したことに基づく開閉扉15の開放時間が、非変短状態中に比して長くなる。また、変短状態中は、変動ゲームの変動時間が非変短状態中に比して短縮される場合があり、特に、はずれ表示結果が停止表示される変動ゲームの変動時間が短縮される場合が多い。 【0039】 本実施形態において変短状態は、予め決められた変短終了条件が成立するまで、付与される。変短状態は、開閉扉15が遊技者にとって有利に動作し、単位時間あたりの第2始動入賞口16への入球率が向上するため、遊技者にとって有利な状態となり得る。以上のことから、変短状態では、遊技球の第2始動入賞口16への入球率が通常よりも向上する入球率向上状態が付与されることとなっている。」 (オ)「【0041】 次に、本実施形態における大当り遊技について、説明する。 大当り遊技は、変動ゲームにて大当り図柄が停止表示されて該ゲームが終了した後、又は小当り遊技において特典入賞口20に遊技球が入球し、特典入賞スイッチSW4により遊技球が検知されると、開始される。大当り遊技が開始すると、オープニング時間が設定される。そして、このオープニング時間において、最初に大当り遊技の開始を示すオープニング演出が行われる。また、オープニング時間が終了すると、第2大入賞装置24の第2大入賞口25が開放されるラウンド遊技が、予め定めた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。1回のラウンド遊技中に第2大入賞口25は、入球上限個数の遊技球が入賞するまでの間、又は規定時間が経過するまでの間、開放される。また、ラウンド遊技では、ラウンド演出が行われる。そして、すべてのラウンド遊技が終了すると、エンディング時間が設定される。また、このエンディング時間において、大当り遊技の終了を示すエンディング演出が行われる。また、エンディング時間が終了すると、大当り遊技は終了される。」 (カ)「【0047】 また、図7,図10では、小当り遊技中に設定される有効期間において、特典入賞スイッチSW4が遊技球を検知したときに付与される大当り遊技の内容について小当り遊技毎に図示している。「図柄」は、大当り遊技が付与される契機となった小当り遊技の種類(小当り図柄)を示したものである。また、「大当り遊技後に付与される変短回数」は、特典入賞スイッチSW4により遊技球が検知されたことを契機に付与された大当り遊技の終了後に付与される変短状態が、いつまで付与されるかを小当り遊技の種類毎に示す。本実施形態では、特典入賞スイッチSW4により遊技球が検知された時における遊技状態(変短状態の有無)に応じて、変短回数が変化する場合がある。「OP」は、特典入賞スイッチSW4により遊技球が検知されたことを契機に付与された大当り遊技のオープニング時間を小当り遊技の種類毎に示す。「大入賞口の開放態様」は、特典入賞スイッチSW4により遊技球が検知されたことを契機に付与された大当り遊技のラウンド遊技において、第2大入賞口扉23が開状態となる最大開放時間を小当り遊技の種類毎に示す。また、「ED」は、特典入賞スイッチSW4により遊技球が検知されたことを契機に付与された大当り遊技のエンディング時間を小当り遊技の種類毎に示す。」 (キ)「【0048】 次に、図3に基づき、パチンコ遊技機の制御構成について説明する。 パチンコ遊技機の機裏側には、主制御基板30が装着されている。主制御基板30は、パチンコ遊技機に関する各種処理を実行し、該処理結果に応じて遊技を制御するための各種の制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、演出制御基板31が装着されている。演出制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置13の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)の決定に関する処理などを実行し、処理結果に応じて表示内容を制御する。また、主制御基板30には、遊技球(賞球など)の払出しを制御する払出制御基板32が接続されている。払出制御基板32には、遊技球を払出す払出装置33が接続されている。」 (ク)「【0054】 次に、図3に基づき演出制御基板31について説明する。 演出制御基板31には、演出制御用CPU31aが備えられている。該演出制御用CPU31aには、演出制御用ROM31b及び演出制御用RAM31cが接続されている。また、演出制御用RAM31cには、パチンコ遊技機の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグ等)が記憶される。例えば、演出制御用RAM31cには、変短状態(入球率向上状態)が付与されているか否かを示す副作動フラグが記憶される。また、演出制御用CPU31aは、各種乱数の値を所定の周期毎に更新し、更新後の値を演出制御用RAM31cの設定領域に記憶(設定)して更新前の値を書き換えている。 【0055】 また、演出制御用ROM31bには、遊技演出を実行させるための演出制御プログラムが記憶されている。演出制御用CPU31aは、各種制御コマンドを入力すると、当該演出制御プログラムに基づき各種制御を実行する。また、演出制御用ROM31bには、各種の画像データ(図柄、各種背景画像、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。また、演出制御用CPU31aには、演出表示装置13が接続されており、各種制御コマンドを入力すると、演出制御プログラムに基づき、演出表示装置13の表示内容を制御する。また、演出制御用CPU31aには、スピーカSP、装飾ランプLAが接続されており、各種制御コマンドを入力すると、演出制御プログラムに基づき、スピーカSPからの音声出力、装飾ランプLAの点灯及び消灯を制御する。」 (ケ)「【0059】 また、第1保留判定の判定結果が否定の場合(第1始動入賞口14に入球しなかった場合)、主制御用CPU30aは、第2始動入賞口16に遊技球が入球したか否かを判定する第2保留判定を実行する。すなわち、主制御用CPU30aは、第2保留判定において、第2始動スイッチSW2が遊技球を検知した時に出力する第2検知信号を入力したか否かを判定する。第2保留判定の判定結果が肯定の場合(入球した場合)、主制御用CPU30aは、賞球の払出しを指示する第1の払出制御コマンドを払出制御基板32に出力する。払出制御基板32は、当該第1の払出制御コマンドを入力すると、所定個数の賞球を払い出させるように払出装置33を制御する。また、第2保留判定の判定結果が肯定の場合(入球した場合)、主制御用CPU30aは、第2保留記憶数がその上限値(本実施形態では「4」)よりも少ないか否かを判定する第2保留記憶数判定を実行する。第2保留記憶数判定の判定結果が否定の場合(第2保留記憶数の上限値に達していた場合)、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。 【0060】 第2保留記憶数判定の判定結果が肯定の場合(上限値に達していない場合)、主制御用CPU30aは、各種乱数の値を取得し、主制御用RAM30cの所定の記憶領域に取得した乱数値を記憶する。その際、第2の変動ゲームに係わる乱数値であること、及びその取得順序が認識できるように記憶する。なお、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの記憶内容(未だ変動ゲームで利用されていない乱数値の記憶量)に基づき、第2保留記憶数を特定可能に構成されている。そして、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの記憶内容が更新され、第2保留記憶数が変化すると、更新後の第2保留記憶数を表示させるように第2保留表示装置27を制御する。また、主制御用CPU30aは、更新後の第2保留記憶数を指定する保留指定コマンドを出力する。そして、特別図柄入力処理を終了する。」 (コ)「【0065】 主制御用CPU30aは、取得した当り判定用乱数の値が主制御用ROM30bに記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定して大当り判定(大当り抽選)を行う。大当り判定の判定結果が肯定の場合(大当りの場合)、主制御用CPU30aは、取得した図柄振分用乱数の値に基づき、大当り遊技の種類を決定すると共に、特別図柄による大当り図柄の中から第1特別図柄表示装置11(第2の変動ゲームのときには、第2特別図柄表示装置12)にて停止表示される最終停止図柄を決定する。その後、主制御用CPU30aは、取得した変動パターン振分用乱数に基づき、大当り変動パターンの中から変動パターンを決定する。 【0066】 変動パターン及び最終停止図柄を決定した主制御用CPU30aは、演出制御基板31(演出制御用CPU31a)に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する等、第1の変動ゲームに関する各種処理(第2の変動ゲームのときには第2の変動ゲームに関する各種処理)を実行する。 【0067】 具体的に言えば、主制御用CPU30aは、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを最初に出力する。なお、変動パターン指定コマンドには、第1の変動ゲームと第2の変動ゲームのいずれが実行されるかについての情報も指示する。変動パターン指定コマンドを出力すると同時に、主制御用CPU30aは、特別図柄を変動開始させるように第1特別図柄表示装置11(第2の変動ゲームのときには第2特別図柄表示装置12)の表示内容を制御する。また、同時に、主制御用CPU30aは、第1の変動ゲーム(又は第2の変動ゲーム)の演出時間の計測を開始する。また、主制御用CPU30aは、最終停止図柄及び当り遊技の種類を指定するための特別図柄指定コマンド(当り種別指定コマンド)を出力する。そして、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。 【0068】 その後、特別図柄開始処理とは別の処理で、主制御用CPU30aは、前記指定した変動パターンに定められている演出時間(変動時間)に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように第1特別図柄表示装置11(第2の変動ゲームのときには第2特別図柄表示装置12)の表示内容を制御する。また、主制御用CPU30aは、前記指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、飾り図柄の変動停止を指示し、図柄組み合わせを停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。 【0069】 一方、大当り判定の判定結果が否定の場合(大当りでない場合)、主制御用CPU30aは、取得した当り判定用乱数の値が主制御用ROM30bに記憶されている小当り判定値と一致するか否かを判定して小当り判定(小当り抽選)を行う。なお、図4に示すように、第1の変動ゲームを実行させるときにおける小当り判定にて使用される小当り判定値の数と、第2の変動ゲームを実行させるときにおける小当り判定にて使用される小当り判定値の数が異なっている。このため、第1の変動ゲームを実行させるときにおける小当り判定の当選確率と、第2の変動ゲームを実行させるときにおける小当り判定の当選確率は、異なっている。具体的には、第2の変動ゲームを実行させるとき、第1の変動ゲームを実行させるときと比較して、小当り判定の当選確率が高確率となっている。 【0070】 小当り判定の判定結果が肯定の場合(小当りの場合)、主制御用CPU30aは、取得した図柄振分用乱数の値に基づき、小当り遊技の種類を決定すると共に、特別図柄による小当り図柄の中から第1特別図柄表示装置11(第2の変動ゲームのときには、第2特別図柄表示装置12)にて停止表示される最終停止図柄を決定する。その後、主制御用CPU30aは、取得した変動パターン振分用乱数に基づき、小当り変動パターンの中から変動パターンを決定する。 【0071】 変動パターン及び最終停止図柄を決定した主制御用CPU30aは、前述(大当りの場合)同様、演出制御基板31(演出制御用CPU31a)に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する等、第1の変動ゲームに関する各種処理(第2の変動ゲームのときには第2の変動ゲームに関する各種処理)を実行する。そして、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。 【0072】 一方、小当り判定の判定結果が否定の場合(小当り遊技を付与しない場合)、主制御用CPU30aは、はずれ図柄を第1特別図柄表示装置11(第2の変動ゲームのときには第2特別図柄表示装置12)にて停止表示される最終停止図柄として決定する。次に、主制御用CPU30aは、取得した変動パターン振分用乱数の値に基づき、はずれ変動パターンの中から変動パターンを決定する。 【0073】 そして、変動パターン及び最終停止図柄を決定した主制御用CPU30aは、前述(大当りの場合)同様、演出制御基板31(演出制御用CPU31a)に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する等、第1の変動ゲームに関する各種処理(第2の変動ゲームのときには第2の変動ゲーム関する各種処理)を実行する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。 ・・・ 【0075】 次に、主制御用CPU30aは、第2の変動ゲームに係わる(第2の変動ゲームに利用される)乱数値のうち、取得順序に従って最も早く実行される第2の変動ゲームに係わる乱数値(当り判定用乱数、変動パターン振分用乱数、及び特別図柄振分用乱数の値)を取得する。具体的には、第2の変動ゲームに係わる乱数値であって、まだ第2の変動ゲームを実行させるために利用されていない乱数値のうち、最も早く取得された乱数値を取得する。また、主制御用CPU30aは、特定した第2保留記憶数を1減算し、当該第2保留記憶数を表すように第2保留表示装置27の表示内容を変更させる。また、主制御用CPU30aは、更新後の第2保留記憶数を示す保留指定コマンドを出力する。以下、取得した乱数に基づき、第2の変動ゲームに係わる処理を実行するが、第1の変動ゲームにおける処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。」 (サ)「【0077】 次に、小当りを決定した場合における制御について説明する。 主制御用CPU30aは、小当りを決定した場合、決定した変動パターンに基づく図柄変動ゲームの終了後、最終停止図柄に基づき特定された種類の小当り遊技の制御を開始し、演出制御基板31(演出制御用CPU31a)に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する。また、主制御用CPU30aは、小当り遊技中に設定される特典入賞スイッチSW4の有効期間において、特典入賞スイッチSW4が遊技球を検知した場合には、大当り遊技を付与することを決定する。小当りを決定した場合における制御の具体的な内容は、後述する。なお、主制御用CPU30aは、第1カウントスイッチSW3から遊技球を検知した旨を通知する検知信号を入力する毎に、賞球の払出しを指示する第2の払出制御コマンドを払出制御基板32に出力する。払出制御基板32は、当該第2の払出制御コマンドを入力すると、所定個数の賞球を払い出させるように払出装置33を制御する。 【0078】 次に、大当りを決定した場合における制御について説明する。 そして、主制御用CPU30aは、図柄変動ゲームにて大当りを決定した場合、決定した変動パターンに基づく図柄変動ゲームの終了後、最終停止図柄(大当り図柄)に基づき特定された種類の大当り遊技の制御を開始する。同様に、主制御用CPU30aは、小当り遊技の有効期間において特典入賞スイッチSW4が遊技球を検知したことを契機に、小当り遊技の終了後、最終停止図柄(小当り図柄)に基づき特定された種類の大当り遊技の制御を開始する。」 (シ)「【0082】 大当り遊技を終了する際、主制御用CPU30aは、停止表示された大当り図柄となる特別図柄(最終停止図柄)の種類(すなわち、大当り遊技の種類)に基づき、変短状態を付与するか否かを特定する。なお、付与された大当り遊技が、小当り遊技中に特典入賞口20への遊技球の入球を契機に付与された場合には、主制御用CPU30aは、停止表示された小当り図柄となる特別図柄(最終停止図柄)の種類(すなわち、小当り遊技の種類)に基づき、変短状態を付与するか否かを特定する。 【0083】 主制御用CPU30aは、変短状態を付与する場合には、主作動フラグに変短状態が付与されていることを示す値を設定する。また、主制御用CPU30aは、大当り判定当選時における遊技状態(変短状態の有無)及び大当り遊技の種類に基づき、変短状態を付与する回数を特定し、その値を主作動回数フラグに設定する。なお、付与された大当り遊技が、小当り遊技中に特典入賞口20への遊技球の入球を契機に付与された場合には、主制御用CPU30aは、特典入賞スイッチSW4による遊技球の検知時における遊技状態(変短状態の有無)及び小当り遊技の種類に基づき、変短状態を付与する回数を特定し、その値を主作動回数フラグに設定する。 【0084】 主作動回数フラグは、変動ゲームが実行される毎に「1」減算され、「0」となった場合、主制御用CPU30aは、主作動フラグの値をリセットする。なお、主制御用CPU30aは、大当り遊技が付与された場合、主作動フラグ及び主作動回数フラグの値を一旦リセットする。」 (ス)「【0100】 次に、主制御用CPU30aは、小当り図柄が停止表示され、所定時間経過後、小当り判定に当選した図柄変動ゲームの遊技状態に応じて、オープニング時間を設定する。具体的には、変短状態の有無により、オープニング時間を異ならせる。また、主制御用CPU30aは、オープニング時間が開始したことを指示するオープニングコマンドを演出制御基板31に出力する。 【0101】 主制御用CPU30aは、オープニング時間の終了後、第1大入賞口扉17の開放及び閉鎖を制御する。すなわち、主制御用CPU30aは、オープニング時間の経過後、第1大入賞口扉17を入球上限個数の遊技球が入賞するまでの間、又は予め決められた規定時間が経過するまでの間、第1大入賞口扉17を開放する。なお、第1大入賞口扉17を開放させる際には、主制御用CPU30aは、第1大入賞口ソレノイドSOL2に対して第1大入賞口扉17の開放を示す開放コマンドを出力する。また、第1大入賞口扉17を閉鎖させる際には、主制御用CPU30aは、第1大入賞口ソレノイドSOL2に対して第1大入賞口扉17の閉鎖を示す閉鎖コマンドを出力する。また、主制御用CPU30aは、オープニング時間の経過後、決定した開閉パターンに基づき、特別開閉扉21を開閉させる。なお、特別開閉扉21を開放させる際には、主制御用CPU30aは、特別電動役物ソレノイドSOL3に対して特別開閉扉21の開放を示す開放コマンドを出力する。また、特別開閉扉21を閉鎖させる際には、主制御用CPU30aは、特別電動役物ソレノイドSOL3に対して特別開閉扉21の閉鎖を示す閉鎖コマンドを出力する。 【0102】 また、主制御用CPU30aは、小当り遊技中に設定された有効期間において、特典入賞スイッチSW4による遊技球の入球検知が行われた場合、小当り遊技の付与契機となった小当り図柄に基づき、大当り遊技の種類を特定する。そして、主制御用CPU30aは、小当り遊技が終了してから所定時間経過後に、特定した大当り遊技を付与する。これにより、主制御用CPU30aは、第2大入賞口扉23を開閉させることとなる。このように、本実施形態では、主制御用CPU30aは、有効期間において特典入賞スイッチSW4により遊技球の入球が検知された場合には、大当り遊技を付与することを決定するようになっている。」 (セ)「【0165】 ・上記実施形態において、小当り遊技において、特別開閉扉21を開放させるか否か判定したが、必ず開放するようにしても良い。また、特別開閉扉21を設けなくても良い。また、小当り遊技において、必ず特典入賞口20に遊技球が入球されるように構成しても良い。」 (コ)「【図10】 」 (サ)【0047】の「図10では、小当り遊技中に設定される有効期間において、特典入賞スイッチSW4が遊技球を検知したときに付与される大当り遊技の内容について小当り遊技毎に図示している」の記載及び「「大当り遊技後に付与される変短回数」は、特典入賞スイッチSW4により遊技球が検知されたことを契機に付与された大当り遊技の終了後に付与される変短状態が、いつまで付与されるかを小当り遊技の種類毎に示す」の記載、また、図10には「大当り遊技後に付与される変短回数」として、「10回」、「30回」、「100回」が示されていることからみて、引用文献1には、「特典入賞スイッチSW4により遊技球が検知されたことを契機に付与された大当り遊技の終了後に付与される変短状態の回数は、小当り遊技の種類に応じて、10回、30回、100回のいずれかであること」(以下「認定事項」という。)が記載されていると認められる。 (シ)上記(ア)ないし(サ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、aないしkについては本願補正発明のAないしKに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した(以下同様。)。 「a 遊技盤YB上の遊技球が転動可能な遊技領域に発射され誘導された遊技球が、開閉扉15が閉鎖されている状態において入球不能な状態とされ、開閉扉15が開放されている状態において入球可能な状態とされる第2始動入賞口16と(【0020】、【0037】)、 d 開閉動作を行う第1大入賞口扉17を備え、遊技盤YB上の遊技球が転動可能な遊技領域に発射された遊技球が誘導される第1大入賞装置18に設けられる第1大入賞口19であって、第1大入賞口扉17が開放動作を行うと、開放され第1大入賞装置18内への遊技球の入球が可能となり、第1大入賞口19から入球した遊技球が流入する特別入賞領域18aには遊技球が入球可能な第1特定領域としての特典入賞口20が設けられ、第1大入賞装置18には、特典入賞口20に入球した遊技球を検知する特典入賞スイッチSW4が配設され、特典入賞口20には、開閉動作を行う特別開閉扉21が設けられ特別開閉扉21が閉鎖されている状態において入球不能な状態とされる、第1大入賞口19と(【0024】、【0025】、【0037】)、 f 主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置13の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)の決定に関する処理などを実行し、処理結果に応じて表示内容を制御する演出制御基板31に備えられ、演出表示装置13が接続され、各種制御コマンドを入力すると、演出制御プログラムに基づき、演出表示装置13の表示内容を制御する演出制御用CPU31aと(【0048】、【0054】、【0055】)、 b、c、e、g〜i 主制御用CPU30aと、を備え、 主制御用CPU30aは、 第2始動入賞口16に遊技球が入球した場合、第2の変動ゲームに係わる各種乱数値(当り判定用乱数、変動パターン振分用乱数、及び特別図柄振分用乱数の値)を取得し(【0059】、【0060】、【0075】)、 取得した当り判定用乱数の値が主制御用ROM30bに記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定して大当り判定(大当り抽選)を行い、 大当り判定の判定結果が肯定の場合(大当りの場合)、取得した図柄振分用乱数の値に基づき、大当り遊技の種類を決定すると共に、特別図柄による大当り図柄の中から第2特別図柄表示装置12にて停止表示される最終停止図柄を決定し(【0065】)、 遊技盤YBに配設されている第2特別図柄表示装置12で行われる複数種類の特別図柄を変動表示する第2の変動ゲーム(図柄変動ゲーム)に関する各種処理として、 特別図柄を変動開始させるように第2特別図柄表示装置12の表示内容を制御し、 決定した最終停止図柄を表示させるように第2特別図柄表示装置12の表示内容を制御し(【0014】、【0066】〜【0068】)、 大当り判定の判定結果が否定の場合(大当りでない場合)、取得した当り判定用乱数の値が主制御用ROM30bに記憶されている小当り判定値と一致するか否かを判定して小当り判定(小当り抽選)を行い(【0069】)、 小当り判定の判定結果が肯定の場合(小当りの場合)、取得した図柄振分用乱数の値に基づき、小当り遊技の種類を決定すると共に、特別図柄による小当り図柄の中から第2特別図柄表示装置12にて停止表示される最終停止図柄を決定し、第2の変動ゲームに関する各種処理を実行し(【0070】、【0071】)、 小当り判定の判定結果が否定の場合(小当り遊技を付与しない場合)、はずれ図柄を第2特別図柄表示装置12にて停止表示される最終停止図柄として決定し、第2の変動ゲームに関する各種処理を実行し(【0072】、【0073】)、 小当りを決定した場合、図柄変動ゲームの終了後、最終停止図柄に基づき特定された種類の小当り遊技の制御を開始し(【0077】)、 小当り図柄が停止表示され、オープニング時間の経過後、第1大入賞口扉17を入球上限個数の遊技球が入賞するまでの間、又は予め決められた規定時間が経過するまでの間、第1大入賞口扉17を開放し、また、オープニング時間の経過後、決定した開閉パターンに基づき、特別開閉扉21を開閉させ(【0100】、【0101】)、 小当り遊技において、必ず特典入賞口20に遊技球が入球され(【0165】)、 小当り遊技中に設定された有効期間において、特典入賞スイッチSW4による遊技球の入球検知が行われた場合、小当り遊技の付与契機となった小当り図柄に基づき、大当り遊技の種類を特定し、小当り遊技が終了してから最終停止図柄(小当り図柄)に基づき特定された種類の大当り遊技の制御を開始し(【0078】、【0102】)、 大当り遊技の終了後に、開閉扉15が遊技者にとって有利に動作し、単位時間あたりの第2始動入賞口16への入球率が向上するため遊技者にとって有利な状態である変短状態を付与することができる機能を備え(【0038】、【0039】)、 大当り遊技を終了する際、付与された大当り遊技が、小当り遊技中に特典入賞口20への遊技球の入球を契機に付与された場合には、停止表示された小当り図柄となる特別図柄(最終停止図柄)の種類(すなわち、小当り遊技の種類)に基づき、変短状態を付与するか否かを特定し、特典入賞スイッチSW4による遊技球の検知時における遊技状態(変短状態の有無)及び小当り遊技の種類に基づき、変短状態を付与する回数を特定し、その値を主作動回数フラグに設定し、主作動回数フラグは、変動ゲームが実行される毎に「1」減算され、「0」となった場合、主作動フラグの値をリセットし(【0082】〜【0084】)、 小当り遊技中に設定される有効期間において、特典入賞スイッチSW4が遊技球を検知したときに付与される大当り遊技の終了後に付与される変短状態の回数は、小当り遊技の種類に応じて、10回、30回、100回のいずれかであり(【0047】、認定事項)、 j 大当り遊技が開始すると、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出が行われる(【0041】)、 k パチンコ遊技機(【0013】)。」 イ 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−198156号公報(平成28年12月1日出願公開、以下同じく「引用文献2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。 (ア)「【0016】 (パチンコ機10について) 実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられている。また、中枠12の前面側には、遊技盤20を透視可能に保護する透明部材13aで前後に開口する窓口を覆うよう構成された装飾枠としての前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例では、前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。」 (イ)「【0020】 (始動入賞部30について) 前記始動入賞部30は、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口30aを備えている。この始動入賞部30の始動入賞口30aは、遊技領域20a内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、該始動入賞口30aは、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成される。また始動入賞部30は、前記始動入賞口30aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての始動入賞検出センサ34を備えている。始動入賞検出センサ34は、パチンコ機10の裏側に配設されたメイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に配線接続されており(図7参照)、該始動入賞検出センサ34によるパチンコ球の検出(すなわち始動入賞口30aへのパチンコ球の入賞)を契機として、該メイン制御基板60の制御下に所定数の賞球が払い出されるようになっている。」 (ウ)「【0022】 (可変入賞部40について) 前記遊技盤20に配設される可変入賞部40(特別入賞部)は、図2に示す如く、本体45を介して遊技盤20に装着セットされる。この本体45は、入賞球用の通入出経路を形成すると共に各種部材を装着するために、その全体が複合組立式の筺型化されるものであって、該本体45の上部左右位置に、特定入賞口(入賞口)41が形成されると共に、該特定入賞口41を開閉可能に変化してパチンコ球を2方向から本体内に入賞可能にする左右一組の開閉部材(開閉手段)43,43が配設されている。両開閉部材43,43は、互いに同様(対称)な構造、形状に成形された内外方向への傾動形態とされて、駆動手段としての特定入賞ソレノイド42(図7参照)の駆動に伴って開閉部材43,43が特定入賞口41を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。実施例の開閉部材43,43は、起立対向位置が通常の閉鎖状態とされ、上端が外向きに傾倒する位置が開放状態とされる。 【0023】 前記本体45の内部には、所要の奥行きで入賞空間45aが画成されており、前記特定入賞口41に入賞したパチンコ球は、前記入賞空間45aの奥側に通入した後、該入賞空間45aを前側に向けて転動するよう構成される。また本体45には、前記特定入賞口41に入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての特定入賞検出センサ44を備えている。特定入賞検出センサ44は、前記メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に配線接続されており(図7参照)、該特定入賞検出センサ44によるパチンコ球の検出(すなわち特定入賞口41へのパチンコ球の入賞)を契機として、該メイン制御基板60の制御下に所定数の賞球が払い出されるようになっている。 【0024】 前記入賞空間45aの前部側に、該入賞空間45aを転動するパチンコ球が入球可能な特定領域46が設けられ、前記可変入賞部40は、該特定領域46に入球したパチンコ球を検出する特定領域入球検出手段としての特定領域入球検出センサ47を備えている。特定領域入球検出センサ47は、前記メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)に配線接続されており(図7参照)、該特定領域入球検出センサ47によるパチンコ球の検出(すなわち特定領域46へのパチンコ球の入球)を契機として、該メイン制御基板60の制御下に後述する特定大当り遊技が実行されるように構成されている。また、入賞空間45aの前部側には、特定領域46とは別に一般領域48が設けられ、該一般領域48に入球したパチンコ球は本体裏側に排出される。すなわち、入賞空間45aに通入したパチンコ球は、特定領域46または一般領域48の何れかに入球するよう構成される。 【0025】 ここで、前記可変入賞部40は、前記開閉部材43,43により特定入賞口41を常には閉鎖(入賞不能状態と)するよう構成され、後述する当り遊技(大当り遊技や小当り遊技)の発生に伴って特定入賞口41を開放(入賞可能状態と)するよう構成されている。すなわち、可変入賞部40は、当り遊技状態(特別遊技状態)で開放可能な特別入賞装置として機能する。前記開閉部材43,43は、前記始動入賞部30の始動入賞口30aへのパチンコ球の入賞を契機として、メイン制御基板60における当り判定の結果として当りが発生した場合に開放されるようになっており、実施例では、メイン制御基板60における当り判定の判定結果が当りであることによって、開閉部材43,43を開放するための所定条件が成立するよう設定されている。」 (エ)「【0036】 (小当り遊技について) 次に、実施例のパチンコ機10で付与される小当り遊技について説明する。小当り遊技は、特図変動表示の結果として特図表示部50に小当り図柄が停止表示された後に開始されるよう設定されており、小当り遊技の開始を示すオープニング演出と、オープニング演出終了後に行われる開放遊技と、小当り遊技の終了を示すエンディング演出とにより構成されている。前記開放遊技では、小当り遊技に設定された開放態様で前記可変入賞部40の開閉部材43,43が開閉動作される。 【0037】 小当り遊技の開放遊技では、パチンコ球を連続的に発射する条件において、数個のパチンコ球が入賞可能な時間だけ可変入賞部40の開閉部材43,43が開放する開閉動作が行われるよう構成される。すなわち、前記小当り遊技は、後述する長時間開放動作よりも開放時間が短く設定された短時間開放動作を含んだ開放動作を可変入賞部40の開閉部材43,43に行わせる当り遊技を構成している。具体的には、図9に示す如く、小当り遊技における開放遊技では、前記開閉部材43,43が、開放時間が「0.3(秒)」に設定された短時間開放動作を2回行うと共に、1回目の開放動作と2回目の開放動作との間のインターバル時間として「0.8(秒)」が設定されている。そして、実施例のパチンコ機10では、開放遊技において開閉部材43,43の1回目の開放開始から2回目に開放した開閉部材43,43が閉鎖するまでの特定期間中に前記特定入賞口41に入賞したパチンコ球が、前記特定領域46に入球(具体的には前記特定領域入球検出センサ47がパチンコ球を検出した)場合に、前記メイン制御CPU60aが特定大当り遊技を付与することを決定し、小当り遊技終了後に、特定大当り遊技が付与されるよう構成されている。」 (オ)「【0040】 (大当り遊技の種類について) 実施例のパチンコ機10では、小当り遊技(小当りに当選)を経ることなく付与される大当り遊技と、小当り遊技(小当りに当選)を経た後に付与される可能のある大当り遊技との2つの種別の大当り遊技が設定されている。具体的に、小当り遊技(小当りに当選)を経ることなく付与される大当り遊技は、前記当り判定で大当りに当選した場合に付与される大当り遊技であって、該大当り遊技について直撃大当り遊技と指称する。また、小当り遊技(小当りに当選)を経た後に付与される可能のある大当り遊技は、前記当り判定で小当りに当選し、小当り遊技中(特定期間中)に前記特定入賞口41に入賞したパチンコ球が前記特定領域46に入球した場合に付与される大当り遊技であって、該大当り遊技について特定大当り遊技と指称する。また、実施例では、1種類の直撃大当り遊技と、2種類の特定大当り遊技との合計3種類の大当り遊技があり、これら3種類の大当り遊技は、遊技者に与える価値が夫々異なるように設定されている。なお、大当り遊技の種類は、3種類に限られるものではなく、適宜に設定可能である。 ・・・ 【0042】 (直撃大当り遊技について) 図柄Aに分類された大当り図柄としての特図が特図表示部50に表示された場合には、大当り遊技として直撃大当り遊技が付与されるようになっている。直撃大当り遊技は、当該直撃大当り遊技をメイン制御CPU60aが決定した際に、前記可変入賞部40の開閉部材43,43を短時間開放動作と長時間開放動作とを組み合わせた大当り遊技として設定される。この直撃大当り遊技は、規定ラウンド数が「16回」に設定されたラウンド大当り遊技であって、各ラウンド遊技の入賞上限個数が「9個」に設定されている(図3参照)。」 (カ)「【0065】 (特図入力処理について) 特図入力処理では、図4に示すように、始動入賞部30の始動入賞口30aにパチンコ球が入賞したか否かをメイン制御CPU60aが判定する(ステップA11)。すなわち、ステップA11においてメイン制御CPU60aは、始動入賞口30aに対応する始動入賞検出センサ34がパチンコ球を検出した時に出力する検出信号が入力されたか否かを判定する。そして、ステップA11の判定結果が否定の場合には、メイン制御CPU60aは、特図入力処理を終了する。ステップA11の判定結果が肯定の場合には、メイン制御CPU60aは、メイン制御RAM60cに記憶されている特図始動保留情報の保留数が上限数の4未満であるか否かを判定する(ステップA12)。ステップA12の判定結果が否定(すなわち特図始動保留情報の保留数が4)の場合には、メイン制御CPU60aは、特図入力処理を終了する。 【0066】 ステップA12の判定結果が肯定(特図始動保留情報の保留数<4)の場合には、特図始動保留情報の保留数を1加算し、メイン制御RAM60cが記憶する特図始動保留情報の保留数を書き換える(ステップA13)。続いて、メイン制御RAM60cから入賞情報(特図当り判定用乱数の値、特図決定用乱数の値および特図変動パターン振分用乱数等の各種乱数の値)をメイン制御CPU60aが読み出して、当該入賞情報(乱数の値)を特図始動保留情報として保留数に対応付けたメイン制御RAM60cの所定の記憶領域に設定する(ステップA14)。そして、メイン制御CPU60aは、特図入力処理を終了する。」 (キ)「【0069】 前記ステップB15の処理により特図始動保留情報としての各種乱数が取得されると、図6に示すように、メイン制御CPU60aは、取得した特図当り判定用乱数の値がメイン制御ROM60bに記憶されている大当り判定値または小当り判定値と一致するか否かを判定する当り判定(当り抽選)を行う(ステップB16)。そして、ステップB16における当り判定の判定結果、大当りに当選している場合には(大当りが発生する場合には)、大当りの変動であることを示す大当りフラグに「1」が設定され、小当りに当選している場合には(小当りが発生する場合には)、小当りの変動であることを示す小当りフラグに「1」が設定される(ステップB17)。そして、メイン制御CPU60aは、取得した特図決定用乱数の値に基づき、特図表示部50に確定停止表示される大当り図柄または小当り図柄となる最終停止図柄(特図)を決定する(ステップB18)。 ・・・ 【0071】 ステップB16の当り判定の判定結果が否定の場合には(すなわち大当りおよび小当りでない場合には)、メイン制御CPU60aは、特図表示部50にて確定停止表示されるはずれ図柄を最終停止図柄(特図)として決定する(ステップB21)。次に、メイン制御CPU60aは、特図変動パターン振分用乱数の値に基づいてはずれ用の特図変動パターンの中から1つの特図変動パターンを決定する(ステップB22)。 【0072】 前記ステップB19,B22において特図変動パターンを決定したメイン制御CPU60aは、演出制御基板65に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する(ステップB20)。具体的には、メイン制御CPU60aは、メイン制御RAM60cが備える特図用の変動タイマに、決定された特図変動パターンに定められている変動時間をセットし、特図変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する特図変動パターン指定コマンドを出力し、変動タイマでの減算を開始して特図変動パターンで特定された変動時間の計測を開始する。これと同時に、メイン制御CPU60aは、特図変動表示を開始させるように特図表示部50を制御する。また、メイン制御CPU60aは、最終停止図柄となる特図を指示するための特図指定コマンドを出力する。そして、メイン制御CPU60aは、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理で、メイン制御CPU60aは、前記指定した特図変動パターンに定められている変動時間に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示部50の表示内容を制御する。具体的には、前記変動タイマが変動時間を計時した場合(変動タイマの時間が「0」となった場合)に、メイン制御CPU60aは、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示部50の表示内容を制御する。また、メイン制御CPU60aは、当り判定の結果(大当り、小当りまたははずれ)に応じて、大当りコマンド、小当りコマンドまたははずれコマンド等の演出コマンドを出力する。」 (ク)「【0073】 (演出制御について) 次に、前記演出制御基板65で実行される処理について説明する。演出制御基板65の演出制御CPU65aは、前記メイン制御CPU60aから入力された演出コマンドに基づいて、大当り遊技中や小当り遊技中またははずれの場合に実行する演出内容を特定する演出パターンを決定し、決定した演出パターンを指定する演出パターン指定コマンドを表示制御基板70やランプ制御基板72、音制御基板73等に出力する。 ・・・ 【0076】 ここで、前記表示装置17で実行される表示内容は、メイン制御CPU60aから出力される演出コマンドまたは演出制御CPU65aから出力される演出パターン指定コマンドに応じて設定されるものであり、メイン制御CPU60aおよび演出制御CPU65aが表示演出の内容を特定する演出内容を決定する表示演出決定手段としての機能を有している。また、前記演出制御CPU65aは、表示装置17で表示演出を実行させるように該表示装置17を制御する演出制御手段として機能する。」 (ケ)「【0080】 (当り演出について) 前記表示制御ROM70bには、小当り遊技や大当り遊技に際して表示装置17で行われる遊技演出(当り演出)のベースとなるパターンを示す複数種類の当り演出パターンが記憶されている。そして、前記当り判定の判定結果が当りの場合に、前記特図の種類に応じて決定された当りの種類に応じて、表示制御CPU70aは、前記演出制御CPU65aから出力された演出パターン指定コマンドに基づいて複数種類の当り演出パターンの中から1つの当り演出パターンを決定する。実施例では、前記小当り遊技および直撃大当り遊技が決定された場合には、これら当り遊技において選択可能な複数種類の共通の当り演出パターンの中から1つの当り演出パターンが決定される。すなわち、小当り遊技および直撃大当り遊技が決定された際には、基本的に共通した演出内容の当り演出が行われる。言い替えると、小当り遊技および直撃大当り遊技において表示装置17で行われる当り演出の内容(共通演出)から何れの当り遊技が付与されたかは判別し得ないようになっている。なお、当り演出は、大当り遊技および小当り遊技におけるオープニング演出、エンディング演出およびラウンド遊技中に実行されるラウンド演出を含めたものである。」 (コ)「【0082】 (報知演出について) 前記表示制御ROM70bには、前記小当り遊技において、前記特定期間中に前記特定入賞口41に入賞したパチンコ球が前記特定領域46に入球した場合(具体的には、特定有効時間中に前記特定領域入球検出センサ47がパチンコ球を検出した場合)に、前記表示装置17で実行させ得る第1当り報知演出(継続演出)が記憶されている。この第1当り報知演出は、前記特定領域46に入球したことで大当りが付与されることを認識させ得る、例えば「大当り」の文字を表示する演出内容(表示内容)に設定されている(図11(a)参照)。また、表示制御ROM70bには、前記小当り遊技において、前記特定期間中に前記特定入賞口41への入賞がない場合または該特殊期間中に前記特定入賞口41に入賞したパチンコ球が前記特定領域46へ入球しなかった場合(具体的には、前記特定有効時間中に前記特定領域入球検出センサ47がパチンコ球を検出しなかった場合)に、前記表示装置17で実行させ得る小当り終了報知演出(第1の当り遊技終了演出)が記憶されている。この小当り終了報知演出は、前記特定領域46に入球しなかったことで小当り遊技が終了、すなわち大当り遊技が付与されないことを認識させ得る、例えば「残念、大当り成らず」の文字を表示する演出内容(表示内容)に設定されている(図11(b)参照)。 【0083】 前記表示制御ROM70bには、前記直撃大当り遊技(第2の大当り遊技)における前記特殊期間中に前記特定入賞口41に入賞したパチンコ球が前記特定領域46に入球した場合(具体的には、特殊有効時間中に前記特定領域入球検出センサ47がパチンコ球を検出した場合)に、前記表示装置17で実行させる第2当り報知演出が記憶されている。この第2当り報知演出は、大当りが付与されることを認識させ得る、例えば「大当り」の文字を表示する演出内容(表示内容)に設定されている(図11(a)参照)。すなわち、第2当り報知演出の演出内容は、前記第1当り報知演出の演出内容と同じに設定されて、第1当り報知演出および第2当り報知演出は区別できないようになっている。言い替えると、特殊有効時間中にパチンコ球が特定領域46に入球した場合に、表示装置17で第2当り報知演出が実行されることで(図10参照)、遊技者に、特定領域46にパチンコ球が入球したことで大当りが付与されると錯覚させることができ、始動入賞部30への入賞を契機とした当り判定において小当りに当選したのか大当りに当選したのかを認識できないようになっている。なお、第1当り報知演出および第2当り報知演出について、演出内容が同じであるので、以後は共通当り報知演出と指称する場合がある。」 (サ)「【図10】 」 (シ)図10から、「小当り遊技」及び「直撃大当り遊技」において、いずれも「開閉部材の開放開始」とともに「当り演出」が開始されることが見てとれる。 よって、引用文献2には、「小当り遊技および直撃大当り遊技において、開閉部材の開放開始とともに当り演出が開始されること」(以下「認定事項」という。)が記載されていると認められる。 (ス)上記(ア)ないし(シ)から、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載の事項」という。)が記載されている。 「a 遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口30aと(【0020】)、 d 本体45を介して遊技盤20に配設される可変入賞部40に形成され、左右一組の開閉部材43,43により常には閉鎖(入賞不能状態と)するよう構成され、当り遊技(大当り遊技や小当り遊技)の発生に伴って特定入賞口41を開放(入賞可能状態と)するよう構成され、入賞し、前記本体45の内部に所要の奥行きで画成された入賞空間45aを転動するパチンコ球が入賞空間45aの前部側に設けられ、入球したパチンコ球が特定領域入球検出センサ47に検出される特定領域46に入球可能な特定入賞口41と(【0022】〜【0025】)、 f メイン制御CPU60aから入力された演出コマンドに基づいて、大当り遊技中や小当り遊技中またははずれの場合に実行する演出内容を特定する演出パターンを決定し、決定した演出パターンを指定する演出パターン指定コマンドを表示制御基板70等に出力し、表示装置17で表示演出を実行させるように該表示装置17を制御する演出制御手段として機能する演出制御CPU65aと(【0073】、【0076】)、 b、c、e メイン制御CPU60aと、を備え、 メイン制御CPU60aは、 始動入賞部30の始動入賞口30aにパチンコ球が入賞したか否かを判定し、判定の結果が肯定の場合には、メイン制御RAM60cから入賞情報(特図当り判定用乱数の値、特図決定用乱数の値および特図変動パターン振分用乱数等の各種乱数の値)をメイン制御CPU60aが読み出して、当該入賞情報(乱数の値)をメイン制御RAM60cの所定の記憶領域に設定し(【0065】、【0066】)、 取得した特図当り判定用乱数の値がメイン制御ROM60bに記憶されている大当り判定値または小当り判定値と一致するか否かを判定する当り判定(当り抽選)を行い、当り判定の判定結果、大当りまたは小当りに当選している場合には、取得した特図決定用乱数の値に基づき、特図表示部50に確定停止表示される大当り図柄または小当り図柄となる最終停止図柄(特図)を決定し(【0069】)、 当り判定の判定結果が否定の場合には(すなわち大当りおよび小当りでない場合には)、メイン制御CPU60aは、特図表示部50にて確定停止表示されるはずれ図柄を最終停止図柄(特図)として決定し(【0071】)、 特図変動表示を開始させるように特図表示部50を制御し、 決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示部50の表示内容を制御し(【0072】)、 小当り遊技は、特図変動表示の結果として特図表示部50に小当り図柄が停止表示された後に開始されるよう設定されており、小当り遊技の開始を示すオープニング演出と、オープニング演出終了後に行われる開放遊技と、小当り遊技の終了を示すエンディング演出とにより構成され、開放遊技では、小当り遊技に設定された開放態様で可変入賞部40の開閉部材43,43が開閉動作され(【0036】)、 開放遊技において開閉部材43,43の1回目の開放開始から2回目に開放した開閉部材43,43が閉鎖するまでの特定期間中に特定入賞口41に入賞したパチンコ球が、特定領域46に入球(具体的には特定領域入球検出センサ47がパチンコ球を検出)した場合に、メイン制御CPU60aが特定大当り遊技を付与することを決定し、小当り遊技終了後に、特定大当り遊技が付与され(【0037】)、 大当り図柄としての特図が特図表示部50に表示された場合には、小当り遊技(小当りに当選)を経ることなく付与される大当り遊技として直撃大当り遊技が付与され、直撃大当り遊技は、可変入賞部40の開閉部材43,43を短時間開放動作と長時間開放動作とを組み合わせた大当り遊技として設定され(【0040】、【0042】)、 j 小当り遊技および直撃大当り遊技が決定された場合には、これら当り遊技において選択可能な複数種類の共通の当り演出パターンの中から1つの当り演出パターンが決定され、小当り遊技および直撃大当り遊技が決定された際には、基本的に共通した演出内容の当り演出が行われ、小当り遊技および直撃大当り遊技において表示装置17で行われる当り演出の内容(共通演出)から何れの当り遊技が付与されたかは判別し得ないようになっており(【0080】)、 小当り遊技および直撃大当り遊技において、開閉部材43,43の開放開始とともに当り演出が開始され(認定事項、【0036】、【0042】)、 小当り遊技において、特定期間中に特定入賞口41に入賞したパチンコ球が特定領域46に入球した場合(具体的には、特定有効時間中に特定領域入球検出センサ47がパチンコ球を検出した場合)に、表示装置17で第1当り報知演出を実行させ(【0082】)、 直撃大当り遊技における特殊期間中に特定入賞口41に入賞したパチンコ球が特定領域46に入球した場合(具体的には、特殊有効時間中に特定領域入球検出センサ47がパチンコ球を検出した場合)に、表示装置17で第2当り報知演出を実行させ(【0083】)、 第2当り報知演出の演出内容は、第1当り報知演出の演出内容と同じに設定されて、第1当り報知演出および第2当り報知演出は区別できないようになっている(【0083】)、 k パチンコ機10(【0016】)。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「遊技球が、開閉扉15が閉鎖されている状態において入球不能な状態とされ、開閉扉15が開放されている状態において入球可能な状態とされる」ことは、本願補正発明の「遊技球の入球が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能」であることに相当する。 また、引用発明の「第2始動入賞口16」は、「遊技領域に発射され誘導された遊技球が」「入球可能」であり、「遊技領域に設けられ」ていることは明らかであるから、本願補正発明の「遊技領域に設けられ」た「入球口」に相当する。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Aを備える。 イ 引用発明の「第2始動入賞口16に遊技球が入球した場合、第2の変動ゲームに係わる各種乱数値(当り判定用乱数、変動パターン振分用乱数、及び特別図柄振分用乱数の値)を取得し、取得した当り判定用乱数の値が主制御用ROM30bに記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定して大当り判定(大当り抽選)を行」うことは、本願補正発明の「前記入球口への遊技球の入球に基づいて当否判定を行う」ことに相当する。 したがって、引用発明の「主制御用CPU30a」は、本願補正発明の「当否判定手段」の機能を備える。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Bを備える。 ウ 引用発明の「特別図柄を変動開始させる」ことは、本願補正発明の「所定の図柄の変動をおこな」うことに相当する。 また、引用発明の「大当り判定の判定結果」に応じて「決定」した「最終停止図柄を表示」することは、本願補正発明の「停止図柄に基づいて前記当否判定手段の当否判定の結果を報知する」ことに相当する。 したがって、引用発明の「主制御用CPU30a」は、本願補正発明の「図柄制御手段」の機能を備える。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Cを備える。 エ 引用発明の「第1大入賞口19」は、「開閉動作を行う」「第1大入賞口扉17が開放動作を行うと、開放され第1大入賞装置18内への遊技球の入球が可能とな」ることから、「第1大入賞口扉17」が閉鎖動作を行うと、閉鎖され第1大入賞装置18内への遊技球の入球が不可能となることは明らかである。 そうすると、引用発明の「開閉動作を行う」「第1大入賞口扉17が開放動作を行うと、開放され第1大入賞装置18内への遊技球の入球が可能とな」る「第1大入賞口19」は、本願補正発明の「遊技球の入賞が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能であ」る「入賞口」に相当する。 また、引用発明の「特典入賞口20」は、「第1大入賞口19から入球した遊技球が流入する特別入賞領域18aに」「設けられ」、「開閉動作を行う特別開閉扉21が設けられ特別開閉扉21が閉鎖されている状態において入球不能な状態とされる」ことから、「特別開閉扉21」が開放されている状態において入球可能な状態とされることは明らかである。 そうすると、引用発明の「第1大入賞口19から入球した遊技球が流入する特別入賞領域18aに」「設けられ」、「開閉動作を行う特別開閉扉21が設けられ特別開閉扉21が閉鎖されている状態において入球不能な状態とされる」「特典入賞口20」は、本願補正発明の「入賞口」の「内部に」「設けられ、入賞した遊技球の」「通過が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能な」「特定領域」に相当する。 以上のことから、引用発明の「第1大入賞口19」は、本願補正発明の「入賞口」に相当する。 よって、引用発明は、本願発明の特定事項Dを備える。 オ 引用発明の「小当り判定の判定結果が肯定の場合(小当りの場合)」及び「小当りを決定した場合」は、いずれも本願補正発明の「前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたこと」に相当する。 そして、引用発明の「小当り遊技の制御を開始し、小当り図柄が停止表示され、オープニング時間の経過後、第1大入賞口扉17を入球上限個数の遊技球が入賞するまでの間、又は予め決められた規定時間が経過するまでの間、第1大入賞口扉17を開放」することは、本願補正発明の「前記入賞口に遊技球が入賞できるようにする小当たり遊技を実行する」ことに相当する。 さらに、引用発明の「小当り遊技の制御を開始し、小当り図柄が停止表示され」、「オープニング時間の経過後、決定した開閉パターンに基づき、特別開閉扉21を開閉させ、小当り遊技において、必ず特典入賞口20に遊技球が入球され」ることは、本願補正発明の「前記小当たり遊技中に、入賞した遊技球のうちの少なくとも1つが前記特定領域を通過するように制御」することに相当する。 ここで、引用発明のdより、「第1大入賞装置18には、特典入賞口20に入球した遊技球を検知する特典入賞スイッチSW4が配設され」ることから、引用発明の「小当り遊技中に設定された有効期間において、特典入賞スイッチSW4による遊技球の入球検知が行われた場合」は、本願補正発明の「前記小当たり遊技中に」、「入賞した」「遊技球が前記特定領域を通過した」ことに相当するから、引用発明の「小当り遊技中に設定された有効期間において、特典入賞スイッチSW4による遊技球の入球検知が行われた場合」、「小当り遊技が終了してから最終停止図柄(小当り図柄)に基づき特定された種類の大当り遊技の制御を開始」することは、本願補正発明の「遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて、大当たり遊技を実行する」ことに相当する。 以上のことから、引用発明の「主制御用CPU30a」は、本願補正発明の「当たり遊技実行手段」の機能を備える。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Eを備える。 カ 引用発明のjより、引用発明は「大当り遊技が開始すると、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出が行われる」ものである。 遊技機の技術分野において、遊技の実行中に演出表示装置等において何らかの演出を実行することは技術常識であるから、引用発明においても、「大当り遊技が開始」したときと同様に「小当り遊技」を開始したときにも何らかの演出を行っていることは自明である。 そして、引用発明の「演出制御用CPU31a」は、「演出表示装置13の表示内容を制御する」ものであるから、本願補正発明の「所定の演出をおこなう演出実行手段」の機能を備える。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Fを備える。 キ(ア)引用発明の「大当り遊技の終了後に」、「付与」される「変短状態」は、「開閉扉15が遊技者にとって有利に動作し、単位時間あたりの第2始動入賞口16への入球率が向上するため遊技者にとって有利な状態である」から、「変短状態」が「付与」されていない状態は、「変短状態」と比較して「開閉扉15が遊技者にとって有利に動作」せず、「単位時間あたりの第2始動入賞口16への入球率が向上」しない「状態」といえる。 そうすると、引用発明は「大当り遊技の終了後に」「変短状態」が「付与」されるのであるから、「変短状態」が「付与」されている状態と、「変短状態」が「付与」されていない状態とに切り替え可能であるといえる。 そして、引用発明の「変短状態」と比較して「開閉扉15が遊技者にとって有利に動作」せず、「単位時間あたりの第2始動入賞口16への入球率が向上」しない「状態」は、本願補正発明の「前記入球口に遊技球が相対的に入球しにくい遊技状態である通常状態」に、相当するといえるから、引用発明の「大当り遊技の終了後に、開閉扉15が遊技者にとって有利に動作し、単位時間あたりの第2始動入賞口16への入球率が向上するため遊技者にとって有利な状態である変短状態を付与することができる機能を備え」ることは、本願補正発明の「前記入球口に遊技球が相対的に入球しにくい遊技状態である通常状態と、前記通常状態よりも前記入球口に遊技球が入球しやすい遊技状態である特定状態とを切り替え可能であ」ることに相当する。 (イ)引用発明は「大当り遊技を終了する際」、「変短状態を付与する回数を特定し、その値を主作動フラグに設定し、主作動回数フラグは、変動ゲームが実行される毎に「1」減算され、「0」となった場合、主作動フラグの値をリセット」するものである。 ここで、引用発明の「変動ゲーム」は「特別図柄を変動表示する」ものであるから、引用発明の「変短状態を付与する回数」の「値」である「主作動フラグ」の「値」が「変動ゲームが実行される毎に「1」減算され、「0」とな」ることは、「変短状態」において、「変短状態を付与する回数」、「特別図柄」が「変動表示」されることということができる。 また、上記(ア)より、引用発明の「変短状態」は、本願補正発明の「特定状態」に相当するから、引用発明の「変短状態を付与する」際に「設定」される「主作動フラグ」「の値をリセット」することは、本願補正発明の「遊技状態を前記通常状態にする」ことに相当する。 そうすると、引用発明の「変短状態を付与する回数」は、本願補正発明の「特定回数」に相当するといえ、引用発明の「大当り遊技を終了する際」、「変短状態を付与する回数を特定し、その値を主作動回数フラグに設定し、主作動回数フラグは、変動ゲームが実行される毎に「1」減算され、「0」となった場合、主作動フラグの値をリセット」することは、本願補正発明の「前記大当たり遊技の終了後において、前記図柄制御手段による前記図柄の変動回数が特定回数となるまで、遊技状態を前記特定状態にするとともに、前記変動回数が前記特定回数を超えると、遊技状態を前記通常状態にする」ことに相当する。 (ウ)以上のことから、引用発明の「主制御用CPU30a」は、本願補正発明の「遊技状態制御手段」の機能を備える。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Gを備える。 ク 引用発明の「小当り図柄となる特別図柄(最終停止図柄)」が「停止表示された」ことは、本願補正発明の「前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたこと」に相当する。 そして、引用発明のその「種類(すなわち、小当り遊技の種類)」「に応じて」、「付与される変短状態の回数は」、「10回、30回、100回のいずれかであ」る「小当り図柄となる特別図柄(最終停止図柄)」を「停止表示」させることは、本願補正発明の「前記特定状態における前記特定回数がそれぞれ異なる複数の当たり種別のうちから1つを選択する」ことに相当する。 そうすると、引用発明の「主制御用CPU30a」は、本願補正発明の「当たり種別選択手段」の機能を備える。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Hを備える。 ケ 上記キ、クの説示より、引用発明の「主制御用CPU30a」は、「大当り遊技を終了する際」、「停止表示された小当り図柄となる特別図柄(最終停止図柄)の種類(すなわち、小当り遊技の種類)に基づき」、「変短状態を付与する回数を特定し、その値を主作動回数フラグに設定し、主作動回数フラグは、変動ゲームが実行される毎に「1」減算され、「0」となった場合、主作動フラグの値をリセット」することは、本願補正発明の「前記遊技状態制御手段は、前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて前記大当たり遊技が実行された場合、前記大当たり遊技の終了後において、前記変動回数が、前記当たり種別選択手段によって選択された当たり種別の特定回数となるまで遊技状態を前記特定状態に」することに相当する。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Iを備える。 コ 引用発明の「オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出」は、本願補正発明の「大当たり遊技に関する演出」に相当する。 また、引用発明の「演出制御用CPU31a」が「オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出」を「行」うことは技術常識からみて自明である。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Jと、「前記演出実行手段は」、「大当たり遊技に関する演出」を行う点で共通する。 サ 引用発明の「パチンコ遊技機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。 よって、引用発明は、本願補正発明の特定事項Kを備える。 シ 上記ア〜サからみて、本願補正発明と引用発明とは、 「A 遊技領域に設けられ、遊技球の入球が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能な入球口と、 B 前記入球口への遊技球の入球に基づいて当否判定を行う当否判定手段と、 C 所定の図柄の変動をおこない、停止図柄に基づいて前記当否判定手段の当否判定の結果を報知する図柄制御手段と、 D 前記遊技領域に設けられ、遊技球の入賞が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能であって、内部に特定領域が設けられ、入賞した遊技球の前記特定領域への通過が可能な状態と困難な状態とに切り替え可能な入賞口と、 E 前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて、前記入賞口に遊技球が入賞できるようにする小当たり遊技を実行するとともに、前記小当たり遊技中に、入賞した遊技球のうちの少なくとも1つが前記特定領域を通過するように制御し、遊技球が前記特定領域を通過したことに基づいて、大当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、 F 前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技および前記大当たり遊技を実行している時に、所定の演出をおこなう演出実行手段と、 G 前記入球口に遊技球が相対的に入球しにくい遊技状態である通常状態と、前記通常状態よりも前記入球口に遊技球が入球しやすい遊技状態である特定状態とを切り替え可能であって、前記大当たり遊技の終了後において、前記図柄制御手段による前記図柄の変動回数が特定回数となるまで、遊技状態を前記特定状態にするとともに、前記変動回数が前記特定回数を超えると、遊技状態を前記通常状態にする遊技状態制御手段と、 H 前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて、前記特定状態における前記特定回数がそれぞれ異なる複数の当たり種別のうちから1つを選択する当たり種別選択手段と、を備え、 I 前記遊技状態制御手段は、前記当否判定手段の当否判定で当たりと判定されたことに基づいて前記大当たり遊技が実行された場合、前記大当たり遊技の終了後において、前記変動回数が、前記当たり種別選択手段によって選択された当たり種別の特定回数となるまで遊技状態を前記特定状態にし、 J’前記演出実行手段は、大当たり遊技に関する演出を行う K 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点](特定事項J) 本願補正発明は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始するのに対し、 引用発明は、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出が行われる点。 (4)判断 上記相違点について検討する。 引用文献2記載の事項の「小当り遊技」、「特定領域46」は、それぞれ本願補正発明の「小当たり遊技」、「特定領域」に相当する。 そして、引用文献2記載の事項において、「小当り遊技」「が決定された際には」、「当り演出が行われ」、「当り演出の内容(共通演出)から何れの当り遊技が付与されたかは判別し得ない」ことから、「当り演出」は、「小当たり遊技が実行されることを報知」するものではないといえる。 よって、引用文献2記載の事項は、本願補正発明の特定事項Jの「前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず」という構成を備えるものである。 また、引用文献2記載の事項において、「小当り遊技」「が決定された際に」「行われ」る「当り演出」は、「開閉部材43,43の開放開始とともに」「開始され」るものであるから、「パチンコ球が特定領域46に入球した」タイミングとは無関係のタイミングであって、「小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミング」に開始されるものである。 そして、引用文献2記載の事項において、「小当り遊技」「が決定された際に」「行われ」る「当り演出」は、「直撃大当り遊技が決定された際に」「行われ」る「当り演出」と「共通した演出内容」であり、「直撃大当り遊技が決定された際に」「行われ」る「当り演出」は、本願補正発明の「大当たり遊技に関する演出」に相当するといえる。 よって、引用文献2記載の事項は、本願補正発明の特定事項Jの「遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始する」という構成を備えるものである。 以上のことから、引用文献2記載の事項は、本願補正発明の特定事項Jを備える。 そして、引用発明も、引用文献2記載の事項も、いずれも大当り抽選の結果、大当りに当選することで(小当り遊技を経ることなく)大当り遊技が付与される大当り(1種大当り)と、小当りに当選し、小当り遊技中に遊技球が特定領域に入球することにより大当り遊技が付与される大当り(2種大当り)とを備えるパチンコ遊技機、すなわち、1種2種混合機である点で共通し、1種2種混合機に特有の遊技興趣の向上という課題を内在する点でも共通するから、引用発明において、引用文献2記載の事項を適用して、大当たり遊技に関する演出として、小当り遊技が決定された際に、直撃大当り遊技が決定された際と共通した演出内容の当り演出を、開閉部材43,43の開放開始とともに開始するようにして、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (5)審判請求人の主張について 審判請求人は、審判請求書において、 「4 本願発明が特許されるべき理由 (1)理由1(進歩性)について (1−1)請求項1に係る発明の概要 ・・・ 構成[10] 前記演出実行手段は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始する点 ・・・ (1−2)請求項1に係る発明と引用文献1、2との対比・・・ ・・・ 上記から、引用文献2に記載された発明は、小当たり遊技時と、直撃大当たり時の両方とも特定領域46にパチンコ球が入球した場合に、特定領域に入球したとこで大当たりが付与されたことを認識させる当たり報知演出を実行します。これにより、直撃大当たりであっても、遊技者に特定領域46にパチンコ球が入球したことで大当たりが付与されると錯覚させることができ、始動入賞部30への入賞を契機とした当たり判定において小当たりに当選したのか大当たりに当選したのかを認識できないようにしています。 一方、本願発明は、小当たり遊技を実行しているときに、特定領域にパチンコ球を入球させる小当たり遊技が実行されることを報知せず、遊技球が特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで大当たり遊技に関する演出を開始させます。 このことから、引用文献2には、本願発明の構成[10]について、開示も示唆もされていません。」 と、主張している。 しかしながら、引用文献2には、小当り遊技開始時と、直撃大当り遊技開始時とにおいて、共通した演出内容の「当り演出」を開始することが記載されるものであり、また、「当り演出」は、「開閉部材43,43の開放開始とともに開始され」るものであるから、特定領域を通過したタイミングとは無関係であることは明らかである。 また、請求人は上記において「一方、本願発明は、・・・特定領域にパチンコ球を入球させる小当たり遊技が実行されることを報知せず・・・開始させます。」と述べているが、請求項1には「特定領域にパチンコ球を入球させる小当たり遊技」との特定はなされていないことから、この主張は、請求項1に係る発明に基づくものではない。 よって、請求人の主張は採用できない。 (6)独立特許要件のむすび 以上のとおりであるから、本願補正発明は、当業者が、引用発明及び引用文献2記載の事項から容易に発明できたものである。 よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 6 小括 本件補正は、上記3のとおり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また、本件補正は、上記4のとおり、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 さらに、本願補正発明は、上記5のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和2年12月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1.特開2015−173939号公報 引用文献2.特開2016−198156号公報 3 引用文献 引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]5(2)アに記載したとおりである。 また、引用文献2の記載事項及び引用文献2記載の事項は、上記第2[理由]5(2)イに記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2[理由]5で検討した本願補正発明のうち、「遊技球が前記特定領域を通過したタイミングとは無関係のタイミングであって、前記小当たり遊技を開始してから予め決められたタイミングで前記大当たり遊技に関する演出を開始する」(特定事項Jの一部)を削除し、「前記当たり遊技実行手段が前記大当たり遊技を実行しているときの演出を実行する」を追加するものである。 そうすると、本願発明と引用発明は、次の点で相違し、その余の点で一致する。 [相違点] 本願発明は、前記当たり遊技実行手段が前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず、前記当たり遊技実行手段が前記大当たり遊技を実行しているときの演出を実行するのに対し、 引用発明は、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出が行われる点。 上記相違点について検討する。 引用文献2記載の事項の「小当り遊技」、「直撃大当り遊技」は、それぞれ本願補正発明の「小当たり遊技」、「大当たり遊技」に相当する。 そして、引用文献2記載の事項において、「小当り遊技」「が決定された際には」、「当り演出が行われ」、「当り演出の内容(共通演出)から何れの当り遊技が付与されたかは判別し得ない」ことから、「当り演出」は、「小当たり遊技が実行されることを報知」するものではないといえる。 よって、引用文献2記載の事項は、本願発明の「前記小当たり遊技を実行しているときに、前記小当たり遊技が実行されることを報知せず」という構成を備えるものである。 また、引用文献2記載の事項において、「小当り遊技」「が決定された際に」「行われ」る「当り演出」は、「直撃大当り遊技が決定された際に」「行われ」る「当り演出」と「共通した演出内容」であり、「直撃大当り遊技が決定された際に」「行われ」る「当り演出」は、本願発明の「大当たり遊技を実行しているときの演出」に相当するといえる。 よって、引用文献2記載の事項は、本願発明の「前記小当たり遊技を実行しているときに」、「前記大当たり遊技を実行しているときの演出を実行する」という構成を備えるものである。 以上のことから、引用文献2記載の事項は、上記相違点に係る本願発明の構成を備える。 そして、引用発明も、引用文献2記載の事項も、いずれも1種2種混合機である点で共通するから、引用発明の演出制御用CPU31aが、引用文献2記載の事項の、小当り遊技が決定された際に、直撃大当り遊技が決定された際と共通した演出内容の当り演出を実行するようにして、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2022-05-31 |
結審通知日 | 2022-06-07 |
審決日 | 2022-06-21 |
出願番号 | P2017-015971 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F) P 1 8・ 575- Z (A63F) P 1 8・ 572- Z (A63F) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
澤田 真治 蔵野 いづみ |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 田邊 淳也 |