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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B62M
管理番号 1388108
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-09-21 
確定日 2022-09-13 
事件の表示 特願2016− 91467号「電動補助自転車」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月 2日出願公開、特開2017−197129号、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年4月28日の出願であって、その出願の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 2月28日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 4月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年10月19日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和 2年12月24日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 6月10日付け:令和2年12月24日の手続補正について
の補正の却下の決定、拒絶査定
令和 3年 9月21日 :審判請求書、同時に手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1〜2、4
引用文献等 1、3〜5
・請求項 3〜7、9〜10
引用文献等 1〜5
・請求項 11
引用文献等 1〜2
なお、請求項8に係る発明は、拒絶の理由を発見しないとされた。
<引用文献等一覧>
1.特開平9−183394号公報
2.特開2014−196080号公報
3.特開平9−277977号公報(周知技術を示す文献)
4.独国特許出願公開第102013107623号明細書(周知技術を示す文献)
5.欧州特許出願公開第2409908号明細書(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1〜9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明9」という。)は、令和3年9月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項により特定されるものと認められるところ、独立請求項に係る発明である本願発明1、6及び9は、以下のとおりのものである。
なお、本願発明6は、原査定において拒絶の理由を発見しないとされた、令和2年4月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項8に係る発明を、独立請求項に係る発明としたものである。
「 【請求項1】
電動補助自転車であって、
前輪と、
前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、
前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットとを備え、
前記駆動ユニットは、
ハウジングと、
前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、
前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含み、
前記車体フレームは、
前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、
車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーとを含み、
前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも前方に位置し、
前記2つの取付部のうち、他方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方に位置し、
前記チェーンステーが前記ブラケットに取り付けられる領域と、前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域とが、車両の側面から見たときに、前記後輪の車軸の軸心と前記クランク軸の軸心とを結ぶ線分と重ならず、
前記ハウジングの前記一方の取付部と前記他方の取付部の間には、前記ブラケットに前記ハウジングを取り付ける取付部が設けられず、
前記ハウジングには、車両の上方に開口し、前記ハウジングが収容する基板に接続された配線を取り出すための取出口が形成されており、
前記電動補助自転車は、さらに、前記駆動ユニットに電力を供給するバッテリユニットを備え、
前記バッテリユニットは、前記取出口よりも上方に配置されており、
前記取出口は、車両の前後方向において、前記クランク軸の軸心よりも前方であって、且つ、前記一方の取付部よりも後方に位置している、電動補助自転車。
【請求項6】
電動補助自転車であって、
前輪と、
前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、
前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットとを備え、
前記駆動ユニットは、
ハウジングと、
前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、
前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含み、
前記車体フレームは、
前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、
車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーとを含み、
前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも前方に位置し、
前記2つの取付部のうち、他方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方に位置し、
前記チェーンステーが前記ブラケットに取り付けられる領域と、前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域とが、車両の側面から見たときに、前記後輪の車軸の軸心と前記クランク軸の軸心とを結ぶ線分と重ならず、
前記駆動ユニットは、さらに、
前記ハウジングに収容されたモータを含み、
車両の側面から見たときに、前記モータは、前記クランク軸よりも前方に位置しており、
前記ハウジングは、
車両の側面から見たときに、前記モータの一部と重なる凸状面を含み、
前記凸状面は、車両の左右方向で前記ハウジングの内側から外側に向かって突出し、前記モータが有するロータの回転中心に近いほど、車両の左右方向への突出高さが大きく、
前記一方の取付部は、
車両の側面から見たときに、前記ロータの径方向で前記凸状面よりも外側に位置し、且つ、前記ハウジングから車両の左右方向に突出するボスを含み、
前記ハウジングは、さらに、
前記ハウジングから前記凸状面の外周より車両の左右方向に突出し、且つ、前記ロータの回転中心となる軸線に直交する方向に延びて、前記凸状面と前記ボスの外面とを接続する接続部を含む、電動補助自転車。
【請求項9】
電動補助自転車であって、
前輪と、
前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、
前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットよりも上方に配置されるサドルと、
前記サドルを支持するシートポストとを備え、
前記駆動ユニットは、
ハウジングと、
前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、
前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含み、
前記車体フレームは、
前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、
車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーと、
前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の上方に延びて、前記シートポストが挿入されるシートチューブとを含み、
前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、前記クランク軸より前方に位置し、他方の取付部は、前記クランク軸より後方に位置し、
前記チェーンステーが前記ブラケットに取り付けられる領域は、車両の側面から見たときに前記ブラケットが延びる方向で、前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域とは異なる位置にあり、
前記ハウジングの前記一方の取付部と前記他方の取付部の間には、前記ブラケットに前記ハウジングを取り付ける取付部が設けられず、
前記ハウジングには、
車両の上方に開口し、前記ハウジングが収容する基板に接続された配線を取り出すための取出口が形成されており、
前記一方の取付部、前記取出口、前記シートチューブの前記ブラケットへの取付位置、及び前記他方の取付部は、前記ブラケットが延びる方向で、この順に並び、
前記電動補助自転車は、さらに、
前記駆動ユニットに電力を供給するバッテリユニットを備え、
前記バッテリユニットは、前記取出口よりも上方に配置されており、
前記取出口は、車両の前後方向において、前記クランク軸の軸心よりも前方であって、且つ、前記一方の取付部よりも後方に位置している、電動補助自転車。」

第4 引用文献1、引用発明
1 引用文献1の記載
本願の出願前に日本国内で頒布され、原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様である。)。
(1)記載事項
ア 「【0019】先ず、図1及び図2に基づいて電動自転車1の概略構成を説明する。
【0020】図1において、2は車体前方に位置するヘッドパイプであり、該ヘッドパイプ2内にはハンドルステム3が回動自在に挿通している。そして、このハンドルステム3の上端にはハンドル4が結着され、同ハンドルステム3の下端にはフロントフォーク5が結着されており、該フロントフォーク5の下端には前輪6が回転自在に軸支されている。尚、前輪6の上半部の一部はフロントフェンダ7によって覆われている。
【0021】又、前記ヘッドパイプ2からは下方に折曲されたメインフレーム8が車体後方に向かって斜め下方に延設されており、該メインフレーム8の後端にはシートパイプ9が車体後方向に向かって斜め上方に立設されている。そして、このシートパイプ9の上端部にはシートポスト10を介してシート11が高さ調整可能に支持されている。又、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部には、バッテリケース12がシートパイプ9に沿って着脱自在に取り付けられており、このバッテリケース12内には複数単電池13が着脱可能に収納されている。
【0022】ところで、車体の略中央下部であって、前記メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、本発明に係るパワーユニット15が板金製のブラケット16を介して取り付け支持されている。即ち、図2に詳細に示すように、ブラケット16はメインフレーム8とシートパイプ9に溶着されており、パワーユニット15は前後2本のボルト17,18によってその2箇所がブラケット16に取り付けられている。そして、パワーユニット15の車体後方であって、ブラケット16で囲まれる空間内にはコントローラ19が配設されている。尚、図1に示すように、パワーユニット15の一部は樹脂製のカバー20によって覆われている。
【0023】上記パワーユニット15は、乗員の踏力による人力駆動系と、後述の電動モータ37(図3参照)による補助動力系を並設して構成され、これにはクランク軸21が回転自在に支承されており、該クランク軸21の左右両端にはクランク22が取り付けられ、各クランク22の端部にはペダル23が軸支されている。
【0024】他方、前記ブラケット16からは左右一対のチェーンステイ24が車体後方に向かって延設されており、該チェーンステイ24の後端部と前記シートパイプ9とは左右一対のシートステイ25によって連結されている。そして、チェーンステイ24後端のシートステイ25との連結部には後輪26が後車軸27によって回転自在に軸支されており、後輪26には不図示のホイールスプロケットが結着されている。尚、後輪26の上半部はリヤフェンダ28によって覆われており、不図示のホイールスプロケット及びこれに巻装された後述のチェーン51(図2参照)はチェーンカバー29によって覆われている。
【0025】ここで、本発明に係る前記パワーユニット15の構成の詳細を図3乃至図5に基づいて説明する。
【0026】図3に示すように、パワーユニット15のケース30とこれの側面を覆うカバー31には前記クランク軸21が軸受32,33によって回転自在に支持されており、該クランク軸21の車体前方(図3の左方)にはドライブ軸34、アイドル軸35及びモータ軸36が互いに平行に、且つ、回転自在に配されている。尚、図4に鎖線にて示すように、クランク軸21、ドライブ軸34、アイドル軸35及びモータ軸36は、これらの各中心を結ぶ直線が三角形を形成するような位置関係を保って配置されており、ドライブ軸34とアイドル軸35はクランク軸21とモータ軸36の各中心を結ぶ直線Lよりも下方に配置されている。」

イ 「【0038】而して、リングギヤ56に作用する反力は乗員の踏力の大きさに比例し、スプリング66の圧縮変形量は反力の大きさに比例するため、リングギヤ56の回動角は踏力の大きさに比例する。従って、リングギヤ56の回動角を検出することによって踏力を検出することができ、このリングギヤ56の回動角は前記検出部70によって検出される。即ち、リングギヤ56の回動はプレート72を介してアングルセンサ71の入力軸71aに伝達されるため、アングルセンサ71によってリングギヤ56の回動角が検出され、その検出信号は前記コントローラ19(図1及び図2参照)に対して出力される。すると、コントローラ19はアングルセンサ71からの検出信号に基づいて踏力を求め、求められた踏力の大きさに応じた補助動力を発生させるよう電動モータ37を制御する。尚、コントローラ19と電動モータ37は、前記バッテリ13(図1及び図2参照)から電力の供給を受けて作動する。」

ウ 「【0042】以上の結果、合力軸46は乗員の踏力と補助動力によって回転駆動され、その回転はドライブスプロケット50、チェーン51及び不図示のホイールスプロケットを経て後輪26に伝達されるため、該後輪26が乗員の踏力と補助動力の双方によって回転駆動されて当該電動自転車1が走行せしめられ、この結果、乗員の走行に要する肉体的負担が軽減される。」

(2)図面
ア 図1



イ 図2



ウ 図3



エ 図4



2 引用文献1の認定事項
(1)段落【0022】に記載された「パワーユニット15は前後2本のボルト17,18によってその2箇所がブラケット16に取り付けられ」る構成、段落【0026】に記載された「パワーユニット15のケース30とこれの側面を覆うカバー31」を備える構成、及び図2〜4より、パワーユニット15のケース30及びカバー31の少なくとも一方の外面には、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所と、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所とが形成されているものと認められる。

(2)段落【0019】、【0026】、図1〜2及び上記(1)より、ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自動車1の前後方向でクランク軸21よりも前方に位置し、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自動車1の前後方向でクランク軸21よりも後方に位置するものであることが理解できる。

(3)段落【0019】、【0023】〜【0024】、図1〜2及び上記(1)より、ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自転車1の側面から見たときに、後輪26の後車軸27の軸心とクランク軸21とを結ぶ線分と重ならないことが理解できる。

(4)段落【0019】、【0024】、図1〜2及び上記(1)より、チェーンステイ24がブラケット16に取り付けられる領域は、電気自転車1の側面から見たときに、ブラケット16が延びる方向で、ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所とは異なる位置にあることが理解できる。

3 引用発明
上記1及び2から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 電動自転車1であって、
ヘッドパイプ2内にはハンドルステム3が回動自在に挿通し、ハンドルステム3の上端にはハンドル4が結着され、ハンドルステム3の下端にはフロントフォーク5が結着され、フロントフォーク5の下端には前輪6が回転自在に軸支され、
ヘッドパイプ2からはメインフレーム8が車体後方に向かって斜め下方に延設され、メインフレーム8の後端にはシートパイプ9が車体後方向に向かって斜め上方に立設され、シートパイプ9の上端部にはシートポスト10を介してシート11が高さ調整可能に支持され、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部には、バッテリケース12がシートパイプ9に沿って着脱自在に取り付けられており、このバッテリケース12内には複数単電池13が着脱可能に収納され、
車体の略中央下部であって、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、パワーユニット15がブラケット16を介して取り付け支持され、パワーユニット15は前後2本のボルト17,18によってその2箇所がブラケット16に取り付けられ、パワーユニット15の車体後方であって、ブラケット16で囲まれる空間内にはコントローラ19が配設され、
パワーユニット15は、乗員の踏力による人力駆動系と、電動モータ37による補助動力系を並設して構成され、これにはクランク軸21が回転自在に支承され、
ブラケット16からは左右一対のチェーンステイ24が車体後方に向かって延設され、
チェーンステイ24後端には後輪26が後車軸27によって回転自在に軸支され、
パワーユニット15のケース30とこれの側面を覆うカバー31にはクランク軸21が回転自在に支持され、
パワーユニット15のケース30及びカバー31の少なくとも一方の外面には、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所と、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所とが形成され、
ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自動車1の前後方向でクランク軸21よりも前方に位置し、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自動車1の前後方向でクランク軸21よりも後方に位置し、
ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自転車1の側面から見たときに、後輪26の後車軸27の軸心とクランク軸21とを結ぶ線分と重ならず、
チェーンステイ24がブラケット16に取り付けられる領域は、電気自転車1の側面から見たときに、ブラケット16が延びる方向で、ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所とは異なる位置にあり、
コントローラ19と電動モータ37は、バッテリ13から電力の供給を受けて作動し、
後輪26が乗員の踏力と補助動力の双方によって回転駆動されて電動自転車1が走行せしめられる、電気自転車1。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「電気自転車1」は、本願発明1の「電動補助自転車」に相当し、以下同様に、「前輪6」は「前輪」に、「後輪26」は「後輪」に、「パワーユニット15」は「駆動ユニット」に、「クランク軸21」は「クランク軸」に、「ブラケット16」は「ブラケット」に、「チェーンステイ24」は「チェーンステー」に、それぞれ相当する。

イ 引用発明の「ヘッドパイプ2」、「ハンドルステム3」、「ハンドル4」、「フロントフォーク5」、「メインフレーム8」、「シートパイプ9」、「ブラケット16」及び「チェーンステイ24」からなるものは、本願発明1の「車体フレーム」に相当する。

ウ 引用発明の「ケース30」及び「カバー31」からなるものは、本願発明1の「ハウジング」に相当する。

エ 引用発明の「パワーユニット15のケース30及びカバー31の少なくとも一方の外面」に形成された、「前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所」及び「後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所」は、本願発明1の「一方の取付部」及び「他方の取付部」からなる「2つの取付部」に相当する。

オ 引用発明の「複数単電池13」、「バッテリ13」はいずれも、本願発明1の「バッテリユニット」に相当する。

そして、上記ア〜オの相当関係を踏まえると、次のことがいえる。
カ 引用発明の「電動自転車1であって、ヘッドパイプ2内にはハンドルステム3が回動自在に挿通し、ハンドルステム3の上端にはハンドル4が結着され、ハンドルステム3の下端にはフロントフォーク5が結着され、フロントフォーク5の下端には前輪6が回転自在に軸支され、ヘッドパイプ2からはメインフレーム8が車体後方に向かって斜め下方に延設され、メインフレーム8の後端にはシートパイプ9が車体後方向に向かって斜め上方に立設され、シートパイプ9の上端部にはシートポスト10を介してシート11が高さ調整可能に支持され、」「車体の略中央下部であって、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、パワーユニット15がブラケット16を介して取り付け支持され、」「ブラケット16からは左右一対のチェーンステイ24が車体後方に向かって延設され、チェーンステイ24後端のシートステイ25との連結部には後輪26が後車軸27によって回転自在に軸支され、」る構成は、本願発明1の「電動補助自転車であって、前輪と、前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、」「を備え」る構成に相当する。

キ 引用発明の「車体の略中央下部であって、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、パワーユニット15がブラケット16を介して取り付け支持され、」「パワーユニット15は、乗員の踏力による人力駆動系と、電動モータ37による補助動力系を並設して構成され、」「後輪26が乗員の踏力と補助動力の双方によって回転駆動されて電動自転車1が走行せしめられる」構成は、本願発明1の「前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニット」「を備え」る構成に相当する。

ク 引用発明の「パワーユニット15のケース30とこれの側面を覆うカバー31にはクランク軸21が回転自在に支持され」る構成は、本願発明1の「前記駆動ユニットは、ハウジングと、」「前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含」む構成に相当する。

ケ 引用発明の「パワーユニット15のケース30及びカバー31の少なくとも一方の外面には、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所と、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所とが形成され」る構成は、本願発明1の「前記駆動ユニットは、」「前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、」「を含」む構成に相当する。

コ 引用発明の「車体の略中央下部であって、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、パワーユニット15がブラケット16を介して取り付け支持され、」「ブラケット16からは左右一対のチェーンステイ24が車体後方に向かって延設され、チェーンステイ24後端には後輪26が後車軸27によって回転自在に軸支され、」る構成は、本願発明1の「前記車体フレームは、前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーとを含」む構成に相当する。

サ 引用発明の「ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自動車1の前後方向でクランク軸21よりも前方に位置し、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自動車1の前後方向でクランク軸21よりも後方に位置」する構成は、本願発明1の「前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも前方に位置し、前記2つの取付部のうち、他方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方に位置」する構成に相当する。

シ 引用発明の「ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自転車1の側面から見たときに、後輪26の後車軸27の軸心とクランク軸21とを結ぶ線分と重なら」ない構成は、本願発明1の「前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域」「が、車両の側面から見たときに、前記後輪の車軸の軸心と前記クランク軸の軸心とを結ぶ線分と重なら」ない構成に相当する。

ス 引用発明の「パワーユニット15は前後2本のボルト17,18によってその2箇所がブラケット16に取り付けられ」る構成、及び「パワーユニット15のケース30及びカバー31の少なくとも一方の外面には、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所と、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所とが形成され」る構成より、前後2本のボルト17,18によって取り付けられる2箇所以外には、ブラケット16にケース30及びカバー31の少なくとも一方を取り付ける箇所は存在しないから、引用発明の上記構成は、本願発明1の「前記ハウジングの前記一方の取付部と前記他方の取付部の間には、前記ブラケットに前記ハウジングを取り付ける取付部が設けられ」ない構成に相当する。

セ 引用発明の「メインフレーム8とシートパイプ9との結合部には、バッテリケース12がシートパイプ9に沿って着脱自在に取り付けられており、このバッテリケース12内には複数単電池13が着脱可能に収納され、」「パワーユニット15は、乗員の踏力による人力駆動系と、電動モータ37による補助動力系を並設して構成され、」「電動モータ37は、バッテリ13から電力の供給を受けて作動」する構成は、本願発明1の「前記電動補助自転車は、さらに、前記駆動ユニットに電力を供給するバッテリユニットを備え」る構成に相当する。

ソ 上記ア〜セより、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点1>
「 電動補助自転車であって、
前輪と、
前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、
前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットとを備え、
前記駆動ユニットは、
ハウジングと、
前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、
前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含み、
前記車体フレームは、
前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、
車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーとを含み、
前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも前方に位置し、
前記2つの取付部のうち、他方の取付部は、車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方に位置し、
前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域が、車両の側面から見たときに、前記後輪の車軸の軸心と前記クランク軸の軸心とを結ぶ線分と重ならず、
前記ハウジングの前記一方の取付部と前記他方の取付部の間には、前記ブラケットに前記ハウジングを取り付ける取付部が設けられず、
前記電動補助自転車は、さらに、前記駆動ユニットに電力を供給するバッテリユニットを備える、電動補助自転車。」

<相違点1>
本願発明1は、「前記チェーンステーが前記ブラケットに取り付けられる領域」「が、車両の側面から見たときに、前記後輪の車軸の軸心と前記クランク軸の軸心とを結ぶ線分と重なら」ない構成であるのに対し、引用発明は、チェーンステイ24がブラケット16に取り付けられる領域の位置について、上記構成なのか否かが明らかでない点。

<相違点2>
本願発明1は、「前記ハウジングには、車両の上方に開口し、前記ハウジングが収容する基板に接続された配線を取り出すための取出口が形成されており、」「前記バッテリユニットは、前記取出口よりも上方に配置されており、前記取出口は、車両の前後方向において、前記クランク軸の軸心よりも前方であって、且つ、前記一方の取付部よりも後方に位置している」構成(以下「構成A」という。)であるのに対し、引用発明は、かかる取出口が形成されていることが特定されていない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点2について先に検討する。
引用発明は、「パワーユニット15の車体後方であって、ブラケット16で囲まれる空間内にはコントローラ19が配設され、」「コントローラ19と電動モータ37は、バッテリ13から電力の供給を受けて作動」するものであるところ、電動モータ用のコントローラは回路基板を備えることが技術常識であるから、引用発明においては、バッテリ13(バッテリユニット)から電力の供給を受ける回路基板(基板)が、パワーユニット15(駆動ユニット)のケース30及びカバー31(ハウジング)に覆われた空間の外側に設けられるものと認められる。そうすると、引用発明において、バッテリ13と回路基板とを接続する配線を有していたとしても、当該配線はケース30及びカバー31により覆われた空間の内側を通過しないから、ケース30及びカバー31に、当該配線を取り出すための取出口を形成する動機付けは存在しない。
また、仮に、引用発明において、回路基板をケース30及びカバー31により覆われた空間の内側に設け、バッテリ13と回路基板とを接続する配線を取り出すための取出口を形成することができたとしても、引用文献1の図2に示されるように、ケース30及びカバー31の上方とバッテリ13との間は、メインフレーム8により塞がれているから、上記取出口を形成する位置として、ケース30及びカバー31の上方において、電動自転車1の前後方向において、クランク軸21(クランク軸21)の前方であって、且つ、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所(一方の取付部)よりも後方の位置を選択することには、阻害要因がある。
さらに、上記構成Aは、上記第2で示した引用文献2〜5にも記載も示唆もされていない。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び引用文献3〜5に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2〜5、7〜8について
本願発明2〜5、7〜8は、請求項1を直接または間接的に引用するものであって、本願発明1の上記構成Aを備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献2に記載された技術及び引用文献3〜5に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明9について
(1)対比
本願発明9と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「電気自転車1」は、本願発明9の「電動補助自転車」に相当し、以下同様に、「前輪6」は「前輪」に、「後輪26」は「後輪」に、「パワーユニット15」は「駆動ユニット」に、「シート11」は「サドル」に、「シートポスト10」は「シートポスト」に、「クランク軸21」は「クランク軸」に、「ブラケット16」は「ブラケット」に、「チェーンステイ24」は「チェーンステー」に、「シートパイプ9」は「シートチューブ」に、それぞれ相当する。

イ 引用発明の「ヘッドパイプ2」、「ハンドルステム3」、「ハンドル4」、「フロントフォーク5」、「メインフレーム8」、「シートパイプ9」、「ブラケット16」及び「チェーンステイ24」からなるものは、本願発明9の「車体フレーム」に相当する。

ウ 引用発明の「ケース30」及び「カバー31」からなるものは、本願発明9の「ハウジング」に相当する。

エ 引用発明の「パワーユニット15のケース30及びカバー31の少なくとも一方の外面」に形成された、「前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所」及び「後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所」は、本願発明9の「一方の取付部」及び「他方の取付部」からなる「2つの取付部」に相当する。

オ 引用発明の「複数単電池13」、「バッテリ13」はいずれも、本願発明9の「バッテリユニット」に相当する。

そして、上記ア〜オの相当関係を踏まえると、次のことがいえる。
カ 引用発明の「電動自転車1であって、ヘッドパイプ2内にはハンドルステム3が回動自在に挿通し、ハンドルステム3の上端にはハンドル4が結着され、ハンドルステム3の下端にはフロントフォーク5が結着され、フロントフォーク5の下端には前輪6が回転自在に軸支され、ヘッドパイプ2からはメインフレーム8が車体後方に向かって斜め下方に延設され、メインフレーム8の後端にはシートパイプ9が車体後方向に向かって斜め上方に立設され、シートパイプ9の上端部にはシートポスト10を介してシート11が高さ調整可能に支持され、」「車体の略中央下部であって、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、パワーユニット15がブラケット16を介して取り付け支持され、」「ブラケット16からは左右一対のチェーンステイ24が車体後方に向かって延設され、チェーンステイ24後端のシートステイ25との連結部には後輪26が後車軸27によって回転自在に軸支され、」る構成は、本願発明9の「電動補助自転車であって、前輪と、前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、」「を備え」る構成に相当する。

キ 引用発明の「車体の略中央下部であって、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、パワーユニット15がブラケット16を介して取り付け支持され、」「パワーユニット15は、乗員の踏力による人力駆動系と、電動モータ37による補助動力系を並設して構成され、」「後輪26が乗員の踏力と補助動力の双方によって回転駆動されて電動自転車1が走行せしめられる」構成は、本願発明9の「前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニット」「を備え」る構成に相当する。

ク 引用発明の「シートパイプ9の上端部にはシートポスト10を介してシート11が高さ調整可能に支持され、」「車体の略中央下部であって、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、パワーユニット15がブラケット16を介して取り付け支持され」る構成は、本願発明9の「前記駆動ユニットよりも上方に配置されるサドルと、前記サドルを支持するシートポストとを備え」る構成に相当する。

ケ 引用発明の「パワーユニット15のケース30とこれの側面を覆うカバー31にはクランク軸21が回転自在に支持され」る構成は、本願発明9の「前記駆動ユニットは、ハウジングと、」「前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含」む構成に相当する。

コ 引用発明の「パワーユニット15のケース30及びカバー31の少なくとも一方の外面には、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所と、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所とが形成され」る構成は、本願発明9の「前記駆動ユニットは、」「前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、」「を含」む構成に相当する。

サ 引用発明の「車体の略中央下部であって、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、パワーユニット15がブラケット16を介して取り付け支持され、」「ブラケット16からは左右一対のチェーンステイ24が車体後方に向かって延設され、チェーンステイ24後端には後輪26が後車軸27によって回転自在に軸支され、」る構成は、本願発明9の「前記車体フレームは、前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーと、」「を含」む構成に相当する。

シ 引用発明の「メインフレーム8の後端にはシートパイプ9が車体後方向に向かって斜め上方に立設され、」「車体の略中央下部であって、メインフレーム8とシートパイプ9との結合部分には、パワーユニット15がブラケット16を介して取り付け支持され」る構成は、本願発明9の「前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の上方に延び」る「シートチューブ」「を含」む構成に相当する。

ス 引用発明の「ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自動車1の前後方向でクランク軸21よりも前方に位置し、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所は、電気自動車1の前後方向でクランク軸21よりも後方に位置」する構成は、本願発明9の「前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、前記クランク軸より前方に位置し、他方の取付部は、前記クランク軸より後方に位置」する構成に相当する。

セ 引用発明の「チェーンステイ24がブラケット16に取り付けられる領域は、電気自転車1の側面から見たときに、ブラケット16が延びる方向で、ケース30及びカバー31の少なくとも一方に形成された、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所とは異なる位置にあ」る構成は、本願発明9の「前記チェーンステーが前記ブラケットに取り付けられる領域は、車両の側面から見たときに前記ブラケットが延びる方向で、前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域とは異なる位置にあ」る構成に相当する。

ソ 引用発明の「パワーユニット15は前後2本のボルト17,18によってその2箇所がブラケット16に取り付けられ」る構成、及び「パワーユニット15のケース30及びカバー31の少なくとも一方の外面には、前方のボルト17によりブラケット16に取り付けられる箇所と、後方のボルト18によりブラケット16に取り付けられる箇所とが形成され」る構成より、前後2本のボルト17,18によって取り付けられる2箇所以外には、ブラケット16にケース30及びカバー31の少なくとも一方を取り付ける箇所は存在しないから、引用発明の上記構成は、本願発明9の「前記ハウジングの前記一方の取付部と前記他方の取付部の間には、前記ブラケットに前記ハウジングを取り付ける取付部が設けられ」ない構成に相当する。

タ 引用発明の「メインフレーム8とシートパイプ9との結合部には、バッテリケース12がシートパイプ9に沿って着脱自在に取り付けられており、このバッテリケース12内には複数単電池13が着脱可能に収納され、」「パワーユニット15は、乗員の踏力による人力駆動系と、電動モータ37による補助動力系を並設して構成され、」「電動モータ37は、バッテリ13から電力の供給を受けて作動」する構成は、本願発明9の「前記電動補助自転車は、さらに、前記駆動ユニットに電力を供給するバッテリユニットを備え」る構成に相当する。

チ 上記ア〜タより、本願発明9と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点2>
「 電動補助自転車であって、
前輪と、
前記前輪よりも車両の後方に位置する後輪と、
前記前輪及び前記後輪を支持する車体フレームと、
前記車体フレームに取り付けられ、前記後輪に伝達される駆動力を発生させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットよりも上方に配置されるサドルと、
前記サドルを支持するシートポストとを備え、
前記駆動ユニットは、
ハウジングと、
前記ハウジングの外面に形成されて、前記ハウジングを前記車体フレームに取り付けるための2つの取付部と、
前記ハウジングを車両の左右方向に貫通して配置されるクランク軸とを含み、
前記車体フレームは、
前記駆動ユニットが取り付けられるブラケットと、
車両の前後方向で前記クランク軸よりも後方において前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の後方に延びて、前記後輪の車軸を支持するチェーンステーと、
前記ブラケットに取り付けられ、前記ブラケットから車両の上方に延びるシートチューブとを含み、
前記2つの取付部のうち、一方の取付部は、前記クランク軸より前方に位置し、他方の取付部は、前記クランク軸より後方に位置し、
前記チェーンステーが前記ブラケットに取り付けられる領域は、車両の側面から見たときに前記ブラケットが延びる方向で、前記他方の取付部が前記ブラケットに取り付けられる領域とは異なる位置にあり、
前記ハウジングの前記一方の取付部と前記他方の取付部の間には、前記ブラケットに前記ハウジングを取り付ける取付部が設けられず、
前記電動補助自転車は、さらに、
前記駆動ユニットに電力を供給するバッテリユニットを備える、電動補助自転車。」

<相違点3>
本願発明9は、シートチューブに、シートポストが「挿入される」構成であるのに対し、引用発明は、「シートパイプ9の上端部にはシートポスト10を介してシート11が高さ調整可能に支持され」る構成である点。

<相違点4>
本願発明9は、「前記ハウジングには、車両の上方に開口し、前記ハウジングが収容する基板に接続された配線を取り出すための取出口が形成されており、前記一方の取付部、前記取出口、前記シートチューブの前記ブラケットへの取付位置、及び前記他方の取付部は、前記ブラケットが延びる方向で、この順に並び、」「前記バッテリユニットは、前記取出口よりも上方に配置されており、前記取出口は、車両の前後方向において、前記クランク軸の軸心よりも前方であって、且つ、前記一方の取付部よりも後方に位置している」構成(以下「構成B」という。)であるのに対し、引用発明は、かかる取出口が形成されていることが特定されていない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点4について先に検討する。
上記構成Bは、上記1(1)ソの相違点2において示した構成Aを含むものであり、相違点2(構成A)に対する判断は、上記1(2)において説示したとおりである。
したがって、上記相違点3について判断するまでもなく、本願発明9は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び引用文献3〜5に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1〜5、7〜9は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び引用文献3〜5に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-08-30 
出願番号 P2016-091467
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B62M)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 筑波 茂樹
大谷 光司
発明の名称 電動補助自転車  
代理人 上羽 秀敏  
代理人 山内 哲文  

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