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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1388210
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-24 
確定日 2022-08-04 
事件の表示 特願2017−212214「登録方法、登録システム側の登録制御方法、プログラム、管理装置及び登録システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月 6日出願公開、特開2019− 86853〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成29年11月1日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和3年 1月20日付け:拒絶理由通知
令和3年 3月29日:意見書、手続補正書の提出
令和3年 8月18日付け:拒絶査定
令和3年11月24日:審判請求書の提出

2.本願発明
本願の請求項に係る発明は、令和3年3月29日提出の手続補正書により特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
情報端末と施設に設置された管理装置とを前記施設外に設置された登録システムに登録させる登録方法であって、
前記情報端末と前記管理装置とが前記施設内の同一のネットワークに接続された状態で前記管理装置に関する管理情報を前記情報端末で取得する取得ステップと、
前記情報端末と前記管理装置との登録を前記登録システムに行わせるように前記管理情報を外部ネットワークを介して前記登録システムに前記情報端末から送信する送信ステップとを
含む登録方法。」

3.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。
この出願の請求項1−11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1−3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1: 国際公開第2013/111244号
引用文献2: 特開2015−114724号公報
引用文献3: 国際公開第2015/125952号

4.引用文献の記載及び引用発明について
(1) 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1(国際公開第2013/111244号)には、以下の事項が記載されている(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 段落[0043]
「[0043]
管理装置10は、家電情報管理装置に相当する。管理装置10は、RFIDタグを利用したサービスプラットフォームを提供する業者によって運営される。管理装置10は、家電情報を収集し、収集した家電情報から得られる情報である提供情報をユーザに提供するなどのサービスを行う。サービス例として、各家電の消費電力状況などの使用履歴をユーザに対して提示したり、管理装置10側から家電の制御コマンドや、家電の設定情報などを送信したりすることが挙げられる。サービスの詳細については、本発明の本質ではないので本実施の形態では言及しない。」

イ 段落[0202]−[0207]、及び、[図25]
「[0202]
(実施の形態5)
実施の形態5では、家電から家電情報を自動的に収集し、家電を登録したユーザ間で家電情報を共有する家電情報共有システム2を説明する。
[0203]
17.システムの構成
図25は、実施の形態5における家電情報共有システム2の全体構成図である。図25に示すように、家電情報共有システム2は、管理装置11と、ゲートウェイ端末50と、携帯端末22と、無線アダプタ41が実装された家電31とを備える。
[0204]
携帯端末22は、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル機器である。本実施の形態5では、ゲートウェイ端末50と無線アダプタ41とのネットワークは無線通信17である。無線通信とは、例えば無線LAN(IEEE802.11など)やBluetooth(登録商標)、ZigBee、特定小電力無線であったりしてもよい。
[0205]
管理装置11は、家電の情報を収集し、サービスを提供する家電情報管理装置である。サービスの詳細については、本発明の本質ではないので本実施の形態では言及しない。
[0206]
携帯端末22は、管理装置11に蓄積されている家電情報を表示したり、管理装置11に家電のリモート制御の依頼を送信したりする。
[0207]
ゲートウェイ端末50は、無線アダプタ41と通信し、家電31の状態の変化や家電31への操作が行われたときに、ネットワーク15を介して管理装置11へ情報を送信する。」

「[図25]



ウ 段落[0215]−[0216]、及び、[図27]
「[0215]
図27は、実施の形態5における家電情報リスト1055の一例を示した図である。家電情報リスト1055は、ゲートウェイ端末を識別するためのGW機器ID、家電を識別するための家電機器ID、ユーザを識別するためのユーザID、家電履歴情報を共有するために用いる共有パスワード、および家電履歴情報から構成される。つまり、当該共有パスワードが、家電情報を共有するための共有情報である。
[0216]
GW機器IDは、ゲートウェイ端末を識別するためのユニークなIDである。家電機器IDは、家電を識別するためのユニークなIDである。また、ユーザIDは、ユーザを識別するためのユニークなIDである。共有パスワードは、ユーザが他のユーザと家電履歴情報を共有したり、家電へのリモート制御をしたりするために設定するパスワードである。家電履歴情報は、家電の操作履歴や家電の設定情報などである。なお、家電情報リスト1055には、家電の消費電力情報などの上記以外の情報が含まれていてもよい。


「[図27]




エ 段落[0232]−[0240]、及び、[図31]
「[0232]
22.家電登録処理の動作
管理装置11へ家電の登録を行う家電登録処理の動作について説明する。本実施の形態の家電登録処理では、管理装置11にゲートウェイ端末50が登録されていない場合、ゲートウェイ端末50が管理する家電31や共有パスワードが登録されていない。この場合、管理装置11は、共有パスワードの設定から家電31の登録までを行う。一方、管理装置11にゲートウェイ端末50が登録されている場合、家電31や共有パスワードが既に登録されている。このとき、管理装置11は、受信した共有パスワードが登録されている共有パスワードと一致する場合にのみ、ゲートウェイ端末50が管理する家電31の登録を許可する。詳細な処理の流れを説明する。
[0233]
図31および図32は、実施の形態5における家電登録処理の流れを示すシーケンス図である。
[0234]
携帯端末22を使うユーザは、管理装置11へのログインを行うために、携帯端末22のデータ入力部224を介して、携帯端末22にユーザIDとパスワードとを入力する。そして、携帯端末22の制御部222は、ユーザから入力されたユーザIDとパスワードとを通信部221を介して管理装置11へ送信する(S5001)。
[0235]
次に、携帯端末22の制御部222は、管理装置11へゲートウェイ端末50を登録するために、ゲートウェイ端末50を識別するためのGW機器IDを取得する(S5002)。ここで、GW端末IDがゲートウェイ端末50本体に記載されている場合は、携帯端末22は、GW端末IDをゲートウェイ端末50本体から直接読み取ってもよい。また、ゲートウェイ端末50に携帯端末22との通信機能がある場合には、携帯端末22は、ゲートウェイ端末50から通信でGW端末IDを取得してもよい。
[0236]
そして、携帯端末22の制御部222は、取得したGW機器IDをゲートウェイ端末登録要求とともに管理装置11へ送信する(S5003)。
[0237]
そして、管理装置11の制御部112は、携帯端末22からゲートウェイ端末登録要求を受信すると、受信したGW機器IDのゲートウェイ端末に共有パスワードが設定されているか否かを判断する(S5004)。
[0238]
管理装置11の制御部112は、共有パスワードが設定されていないと判断した場合(S5004でN)、携帯端末22に共有パスワードの登録要求を送信する(S5005)。
[0239]
次に、携帯端末22の制御部222は、データ入力部224を介してユーザに共有パスワードを入力させ、ユーザが入力した共有パスワードを管理装置11へ送信する(S5006)。
[0240]
そして、管理装置11の家電情報管理部113は、受信した共有パスワードを、GW機器IDおよびログインしているユーザIDと紐付けて家電情報リスト1055に登録することにより、ゲートウェイ端末50を登録する(S5007)。」

「[図31]



(2) 引用発明
よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には、特に「実施の形態5」に関連して、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「家電から家電情報を自動的に収集し、家電を登録したユーザ間で家電情報を共有する家電情報共有システム2は、管理装置11と、ゲートウェイ端末50と、携帯端末22と、無線アダプタ41が実装された家電31とを備え、
携帯端末22は、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル機器であり、
管理装置11は、家電の情報を収集し、サービスを提供する家電情報管理装置であり、
携帯端末22は、管理装置11に蓄積されている家電情報を表示したり、管理装置11に家電のリモート制御の依頼を送信し、
ゲートウェイ端末50は、無線アダプタ41と通信し、家電31の状態の変化や家電31への操作が行われたときに、ネットワーク15を介して管理装置11へ情報を送信し、
家電情報リスト1055は、ゲートウェイ端末を識別するためのGW機器ID、家電を識別するための家電機器ID、ユーザを識別するためのユーザID、家電履歴情報を共有するために用いる共有パスワード、および家電履歴情報から構成され、
GW機器IDは、ゲートウェイ端末を識別するためのユニークなIDであり、
ユーザIDは、ユーザを識別するためのユニークなIDであり、
なお、家電情報リスト1055には、家電の消費電力情報などが含まれていてもよく、
管理装置11へ家電の登録を行う家電登録処理の動作について、
管理装置11にゲートウェイ端末50が登録されていない場合、
携帯端末22の制御部222は、ユーザから入力されたユーザIDとパスワードとを通信部221を介して管理装置11へ送信し(S5001)、
携帯端末22の制御部222は、管理装置11へゲートウェイ端末50を登録するために、ゲートウェイ端末50を識別するためのGW機器IDを取得し(S5002)、ここで、ゲートウェイ端末50に携帯端末22との通信機能がある場合には、携帯端末22は、ゲートウェイ端末50から通信でGW端末IDを取得してもよく、
携帯端末22の制御部222は、取得したGW機器IDをゲートウェイ端末登録要求とともに管理装置11へ送信し(S5003)、
管理装置11の制御部112は、携帯端末22からゲートウェイ端末登録要求を受信すると、受信したGW機器IDのゲートウェイ端末に共有パスワードが設定されているか否かを判断し(S5004)。
管理装置11の制御部112は、共有パスワードが設定されていないと判断した場合(S5004でN)、携帯端末22に共有パスワードの登録要求を送信し(S5005)、
携帯端末22の制御部222は、データ入力部224を介してユーザに共有パスワードを入力させ、ユーザが入力した共有パスワードを管理装置11へ送信し(S5006)、
管理装置11の家電情報管理部113は、受信した共有パスワードを、GW機器IDおよびログインしているユーザIDと紐付けて家電情報リスト1055に登録することにより、ゲートウェイ端末50を登録する(S5007)、
方法。」

(3) 引用文献3について
原査定の拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用された、引用文献3(国際公開第2015/125952号)には、以下の記載がある。

ア 段落[0030]−[0041]、及び、[図2]
「[0030]
<第1の実施形態>
まず、本実施形態の電子機器制御システムの全体像について、図2を用いて説明する。 図2には、ユーザAの宅内に形成されたLAN41A、ユーザBの宅内に形成されたLAN41B、電子機器制御サービスの提供者が管理するサーバ(例:クラウドサーバ)10、及び、ユーザAが所有する操作用端末装置50A等が、インターネット70を介して互いに接続されている様子が示されている。
[0031]
ユーザAのLAN41A内には、ルータ40A、コントローラ20A及び登録用端末装置30Aのほか、エアコン60A−1、TV(Television)60A−2等の家電機器が位置する。
[0032]
一方、ユーザBのLAN41B内には、ルータ40B、コントローラ20B、登録用端末装置30B及び操作用端末装置50Bのほか、エアコン60B−1、TV60B−2等の家電機器が位置する。
[0033]
コントローラ20A及び20Bは、例えば電子機器制御サービスの提供者が当該サービスを受ける各ユーザに提供し、各ユーザのLAN内に設置される。コントローラ20A及び20Bは同一のLAN内に位置する電子機器からのみアクセスできるよう、システムを構成してもよい。例えば、コントローラ20Aが位置するLAN41Aの外に位置する電子機器(例:登録用端末装置30B)は、コントローラ20Aにアクセスできないようにシステムを構成してもよい。なお、コントローラ20AからLAN41Aの外に位置する電子機器(例:サーバ10)へのアクセスはできるようにシステムを構成してもよい。当該システム構成は、例えば、ルータ40Aの設定により実現してもよい。
[0034]
コントローラ20A及び20Bは、同一のLAN41A及び41B内に位置する家電機器(エアコン60A−1及び60B−1等)に制御信号を送信し、所定の動作(例:電源のON/OFFの切替等)を実行させる。
[0035]
操作用端末装置50A及び50Bは、家電機器(エアコン60A−1及び60B−1等)を遠隔操作するために用いられる端末装置である。操作用端末装置50A及び50Bを用いて入力された指示は、コントローラ20A及び20Bに取得される。そして、コントローラ20A及び20Bは、取得した指示に基づいて(指示に従い)、所定の家電機器に所定の動作を実行させる。
[0036]
操作用端末装置50A及び50Bは、サーバ10が各操作用端末装置を識別するための情報及び/又は機能を有する。例えば、操作用端末装置50A及び50Bは、出荷段階から各々を識別する情報(端末識別情報、マックアドレス等)が付され、自装置の記憶装置に記憶させられていてもよい。または、操作用端末装置50A及び50Bは、クッキーにより、サーバ10が各操作用端末装置に付した識別情報を記憶する機能を備えてもよい。また、操作用端末装置50A及び50Bは、インターネット70に接続可能である。なお、操作用端末装置50A及び50Bは、携帯性を備えているのが好ましい。このような操作用端末装置50A及び50Bとしては、例えば、PC(Personal Computer)、ノート型PC、タブレット、スマートフォン等が該当する。

・・・(中略)・・・

[0041]
なお、図2では、各ユーザが所有する登録用端末装置30A及び30Bと操作用端末装置50A及び50Bを別々に表現しているが、これらは同じ端末装置であってもよい。例えば、ユーザAは、1つの端末装置を、登録用端末装置30A及び操作用端末装置50Aとして用いてもよい。」

「[図2]



イ 段落[0062]、及び、[図5]
「[0062]
ここで、図5に、サーバ10が管理する情報の一例を模式的に示す。図示する情報は、ユーザ識別情報、ログインパスワード、コントローラ識別情報、コントローラアドレス、及び、操作用端末識別情報の欄を有する。」

「[図5]




ウ 段落[0105]、[図9]
「[0105]
アクセスされたサーバ10は、当該操作用端末装置50の操作用端末装置識別情報を取得し、当該ユーザのコントローラ識別情報と対応付けて登録する(S22)。例えば、サーバ10は、図5の操作用端末識別情報の欄に、取得した操作用端末装置識別情報を登録する。例えば、サーバ10は、アクセスしてきた操作用端末装置50から受信した情報の中(例:パケットのヘッダー)に操作用端末装置識別情報が含まれている場合、これを取得し、登録する。その他、サーバ10は、自ら操作用端末装置識別情報を発行し、これを取得して登録してもよい。この場合、サーバ10は、クッキー等を利用して、発行した操作用端末装置識別情報を操作用端末装置50に記憶させてもよい。」

「[図9]



5.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1) 引用発明の「携帯端末22」は、本願発明の「情報端末」に相当する。
引用発明の「ゲートウェイ端末50」は、「家電31の状態の変化や家電31への操作が行われたときに、ネットワーク15を介して管理装置11へ情報を送信」する点で、家電を「管理」する機能を備えるといえるから、本願発明の「施設に設置された管理装置」と、「管理装置」である点で共通するといえる。
引用発明の「管理装置11」は、「受信した共有パスワードを、GW機器IDおよびログインしているユーザIDと紐付けて家電情報リスト1055に登録する」から、本願発明の「登録システム」に相当する。
また、引用発明において「携帯端末22は、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル機器であ」る。ここで、一般に、「携帯電話やスマートフォンなどのモバイル機器」では、モバイル機器を携帯するユーザ個人と、ユーザ個人が所持するモバイル機器とは、通常相互に関連しているから、モバイル機器を携帯するユーザのユーザIDと、ユーザが所持するモバイル機器の機器IDも、互いに「関連する情報」といえる。
よって、引用発明の「管理装置11の家電情報管理部113は、受信した共有パスワードを、GW機器IDおよびログインしているユーザIDと紐付けて家電情報リスト1055に登録する」方法は、本願発明の「情報端末と施設に設置された管理装置とを前記施設外に設置された登録システムに登録させる登録方法」と、「情報端末に関連する情報と、管理装置とを、登録システムに登録させる登録方法」である点で共通するといえる。

(2) 引用発明の「GW端末ID」は、本願発明の「前記管理装置に関する管理情報」に相当する。
よって、引用発明の「ステップS5002」は、「次に、携帯端末22の制御部222は、管理装置11へゲートウェイ端末50を登録するために、ゲートウェイ端末50を識別するためのGW機器IDを取得し(S5002)、ここで、ゲートウェイ端末50に携帯端末22との通信機能がある場合には、携帯端末22は、ゲートウェイ端末50から通信でGW端末IDを取得してもよ」いステップであるから、本願発明の「前記情報端末と前記管理装置とが前記施設内の同一のネットワークに接続された状態で前記管理装置に関する管理情報を前記情報端末で取得する取得ステップ」と、「前記情報端末と前記管理装置とが、接続された状態で前記管理装置に関する管理情報を前記情報端末で取得する取得ステップ」である点で共通するといえる。

(3) 引用発明の「ステップS5003」は、「携帯端末22の制御部222は、取得したGW機器IDをゲートウェイ端末登録要求とともに管理装置11へ送信」するステップであって、これによって、「管理装置11の家電情報管理部113は、受信した共有パスワードを、GW機器IDおよびログインしているユーザIDと紐付けて家電情報リスト1055に登録することにより、ゲートウェイ端末50を登録する(S5007)」ことが実行されるから、本願発明の「前記情報端末と前記管理装置との登録を前記登録システムに行わせるように前記管理情報を外部ネットワークを介して前記登録システムに前記情報端末から送信する送信ステップ」と、「前記情報端末に関連する情報と前記管理装置との登録を前記登録システムに行わせるように前記管理情報を、前記登録システムに前記情報端末から送信する送信ステップ」である点で共通するといえる。

(4) 引用発明の「受信した共有パスワードを、GW機器IDおよびログインしているユーザIDと紐付けて家電情報リスト1055に登録する」方法は、本願発明の「登録方法」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点・相違点があるといえる。

[一致点]
「情報端末に関連する情報と、管理装置とを、登録システムに登録させる登録方法であって、
前記情報端末と前記管理装置とが、接続された状態で前記管理装置に関する管理情報を前記情報端末で取得する取得ステップと、
情報端末に関連する情報と前記管理装置との登録を前記登録システムに行わせるように前記管理情報を、前記登録システムに前記情報端末から送信する送信ステップとを
含む登録方法。」

[相違点1]
本願発明は、「情報端末と施設に設置された管理装置とを前記施設外に設置された登録システムに登録させる登録方法」であるのに対して、引用発明では、「情報端末」と「施設に設置された」管理装置とを「前記施設外に設置された」登録システムに登録させることが特定されていない点。

[相違点2]
「取得ステップ」において、本願発明では、「前記情報端末と前記管理装置とが前記施設内の同一のネットワークに接続された状態で前記管理装置に関する管理情報を前記情報端末で取得する」のに対して、引用発明では、「前記施設内の同一のネットワークに」情報端末と管理装置とが接続された状態で、管理情報を情報端末で取得することが特定されていない点。

[相違点3]
「送信ステップ」において、本願発明では、「前記情報端末と前記管理装置との登録を前記登録システムに行わせるように前記管理情報を外部ネットワークを介して前記登録システムに前記情報端末から送信する」のに対して、引用発明では、「前記情報端末」と前記管理装置との登録のために、「外部ネットワークを介して」登録システムに情報端末から送信することが特定されていない点。

6.当審の判断
[相違点1]−[相違点3]について、まとめて検討する。

一般に、ユーザを識別するための「ユーザID」としてどのような情報を選択するかは、ユーザの利便性や管理の容易性等を考慮して、当業者が適宜選択すべき設計的事項である。
そして、「ユーザID」として、ユーザが所持するモバイル機器の「携帯電話番号」などの「情報端末ID」を利用することは、文献を挙げるまでもなく、周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。

また、一般に、機器の設置場所や、機器間を接続するネットワークの構成は、各機器の機能や用途、ネットワーク規模等に応じて、当業者が適宜選択すべき設計的事項である。
そして、必要ならば、引用文献3に記載されるように、複数のクライアントとサーバからなるシステムにおいて、クライアント側の機器は、ユーザの宅内に設置して、無線LAN等の小規模な単一のネットワークで相互接続する一方、ユーザに各種サービスを提供する事業者等のサーバ側の機器は、遠隔地に設置して、インターネット等の広域ネットワーク経由で接続する構成は、周知技術(以下、「周知技術2」という。)である。
さらに、引用文献1の段落[0043]には、「実施の形態1」についてであるが、「管理装置10は、家電情報管理装置に相当する。管理装置10は、RFIDタグを利用したサービスプラットフォームを提供する業者によって運営される」と記載されるから、同一の名称であり、(特に「実施の形態5」に関連する)引用発明の「管理装置10」(本願発明の「登録システム」に相当する。)についても、同様に、サービス事業者によって管理される機器と理解するのが自然である。

よって、引用発明において、上記周知技術1,及び、周知技術2を採用することによって、「情報端末」と「施設に設置された」管理装置とを「前記施設外に設置された」登録システムに登録させ(上記[相違点1])、「前記施設内の同一のネットワークに」情報端末と管理装置とが接続された状態で、管理情報を情報端末で取得させ(上記[相違点2])、「前記情報端末」と前記管理装置との登録のために、「外部ネットワークを介して」登録システムに情報端末から送信する(上記[相違点3])、上記[相違点1]−[相違点3]に係る構成とすることは、当業者が適宜選択すべき設計的事項である。

さらに、本願発明の効果も、引用発明、及び、各周知技術に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。

なお、請求人は、審判請求書の「(b)引用文献等の説明、および本願発明との対比」において、引用文献1−3には、「情報端末と管理装置とが施設内の同一のネットワークに接続された状態で管理情報を情報端末で取得し、取得した管理情報を、施設外の登録システムに外部ネットワークを介して送信する」構成の記載や示唆はない旨を主張している。
しかしながら、上記[相違点1]−[相違点3]についての判断に記載したとおり、引用発明の各機器の設置場所、及び、機器間を接続するネットワークの構成として、周知技術である、クライアント側の機器を、宅内の単一のネットワークで相互接続して、サーバ側の機器とは、広域ネットワーク経由で接続する構成を採用することによって、「情報端末と管理装置とが施設内の同一のネットワークに接続された状態で管理情報を情報端末で取得し、取得した管理情報を、施設外の登録システムに外部ネットワークを介して送信する」構成とすることは、当業者が適宜選択すべき設計的事項であるため、請求人の主張は採用できない。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2022-06-01 
結審通知日 2022-06-07 
審決日 2022-06-22 
出願番号 P2017-212214
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 宮下 誠
稲葉 和生
発明の名称 登録方法、登録システム側の登録制御方法、プログラム、管理装置及び登録システム  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  

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