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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1388275
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-01-21 
確定日 2022-09-12 
事件の表示 特願2019−560331「リソース指示方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月 8日国際公開、WO2018/202163、令和 2年 6月25日国内公表、特表2020−519168、請求項の数(21)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)5月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2017年5月4日 中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年12月11日 :手続補正書の提出
令和3年 2月 3日付け:拒絶理由通知書
令和3年 5月17日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 9月13日付け:拒絶査定
令和4年 1月21日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和4年 5月11日 :上申書の提出
令和4年 8月 9日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和3年9月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由2(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

理由2について
・請求項1、5ないし7、11ないし25に対して、引用文献1及び引用文献3
・請求項2、3、8、9に対して、引用文献1及び引用文献3
・請求項4、10に対して、引用文献1及び引用文献3

引用文献等一覧
1.Intel Corporation,On slot aggregation for data transmission,3GPP TSG RAN WG1 #88b R1−1704767,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_88b/Docs/R1-1704767.zip>、2017年03月25日アップロード(以下、「引用文献1」という。)
3.国際公開第2015/158056号(以下、「引用文献3」という。)

第3 本願発明
本願請求項1ないし21に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明21」という。)は、令和4年1月21日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし21に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
通信方法であって、
基地局からダウンリンク制御情報(DCI)において第1の指示情報を受信するステップであって、前記第1の指示情報は、データのリソース構成を指示するために使用され、前記リソース構成は、単一のスロットにおける時間領域位置の構成を含む、ステップと、
前記第1の指示情報に基づいて前記データを送信または受信するステップであって、前記単一のスロットにおける、前記第1の指示情報によって示される前記時間領域位置の前記構成は、1つまたは複数の連続するスロットの各スロットに対して有効であり、前記スロットの量は、前記データのアグリゲーションレベルによって表される、ステップと
を含み、
前記単一のスロットにおける前記時間領域位置の前記構成は、前記時間領域位置の開始シンボルと、前記時間領域位置のシンボルの量とを含み、
前記第1の指示情報は、前記時間領域位置の前記開始シンボルと、前記時間領域位置の前記シンボルの量と、前記データの前記アグリゲーションレベルとを指示するビット値である、方法。
【請求項2】
前記アグリゲーションレベルは、スロットの前記量を示すことによって示される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
送信される前記データは、前記基地局へのアップリンクデータであり、受信される前記データは、前記基地局からのダウンリンクデータである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の指示情報は、前記DCIにおける1つのフィールドで搬送される、請求項1から3のいずか一項に記載の方法。
【請求項5】
通信方法であって、
ダウンリンク制御情報(DCI)において第1の指示情報を端末に送信するステップであって、前記第1の指示情報は、データのリソース構成を指示するために使用され、前記リソース構成は、単一のスロットにおける時間領域位置の構成を含む、ステップと、
前記データを送信または受信するステップであって、前記第1の指示情報によって示される前記時間領域位置の前記構成は、1つまたは複数の連続するスロットの各スロットに対して有効であり、前記スロットの量は、前記データのアグリゲーションレベルによって表される、ステップと
を含み、
前記単一のスロットにおける前記時間領域位置の前記構成は、前記時間領域位置の開始シンボルと、前記時間領域位置のシンボルの量とを含み、
前記第1の指示情報は、前記時間領域位置の前記開始シンボルと、前記時間領域位置の前記シンボルの量と、前記データの前記アグリゲーションレベルとを指示するビット値である、方法。
【請求項6】
前記アグリゲーションレベルは、スロットの前記量を示すことによって示される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
送信される前記データは、前記端末へのダウンリンクデータであり、受信される前記データは、前記端末からのアップリンクデータである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の指示情報は、前記DCIにおける1つのフィールドで搬送される、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
基地局からダウンリンク制御情報(DCI)において第1の指示情報を受信するように構成される受信機であって、前記第1の指示情報は、データのリソース構成を指示するために使用され、前記リソース構成は、単一のスロットにおける時間領域位置の構成を含む、受信機と、
前記第1の指示情報に基づいて前記データを送信または受信するように構成されるプロセッサであって、前記単一のスロットにおける、前記第1の指示情報によって示される前記時間領域位置の前記構成は、1つまたは複数の連続するスロットの各スロットに対して有効であり、前記スロットの量は、前記データのアグリゲーションレベルによって表される、プロセッサと
を含み、
前記単一のスロットにおける前記時間領域位置の前記構成は、前記時間領域位置の開始シンボルと、前記時間領域位置のシンボルの量とを含み、
前記第1の指示情報は、前記時間領域位置の前記開始シンボルと、前記時間領域位置の前記シンボルの量と、前記データの前記アグリゲーションレベルとを指示するビット値である、通信装置。
【請求項10】
前記通信装置が、端末または端末のためのチップである、請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
ダウンリンク制御情報(DCI)において第1の指示情報を端末に送信するように構成される送信機であって、前記第1の指示情報は、データのリソース構成を指示するために使用され、前記リソース構成は、単一のスロットにおける時間領域位置の構成を含む、送信機と、
前記データを送信または受信するように構成されるプロセッサであって、前記第1の指示情報によって示される前記時間領域位置の前記構成は、1つまたは複数の連続するスロットの各スロットに対して有効であり、前記スロットの量は、前記データのアグリゲーションレベルによって表される、プロセッサと
を含み、
前記単一のスロットにおける前記時間領域位置の前記構成は、前記時間領域位置の開始シンボルと、前記時間領域位置のシンボルの量とを含み、
前記第1の指示情報は、前記時間領域位置の前記開始シンボルと、前記時間領域位置の前記シンボルの量と、前記データの前記アグリゲーションレベルとを指示するビット値である、通信装置。
【請求項12】
前記通信装置が、基地局または基地局のためのチップである、請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
通信装置であって、
メモリ、通信インタフェース、およびプロセッサを備え、
前記メモリは、コンピュータ実行可能プログラムコードを格納するように構成され、
前記プロセッサは、前記メモリおよび前記通信インタフェースに接続され、
前記メモリに格納された前記プログラムコードは命令を含み、前記プロセッサが前記命令を実行すると、前記命令は前記通信装置に請求項1から4のいずれか一項に記載の方法を実行させる、通信装置。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記媒体は命令を格納し、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1から4のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは命令を含み、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1から4のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項16】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1から4のいずれか一項に記載の方法を実行させる、プログラム。
【請求項17】
通信装置であって、
メモリ、通信インタフェース、およびプロセッサを備え、
前記メモリは、コンピュータ実行可能プログラムコードを格納するように構成され、
前記プロセッサは、前記メモリおよび前記通信インタフェースに接続され、
前記メモリに格納された前記プログラムコードは命令を含み、前記プロセッサが前記命令を実行すると、前記命令は前記通信装置に請求項5から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる、通信装置。
【請求項18】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記媒体は命令を格納し、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項5から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは命令を含み、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項5から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項20】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項5から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる、プログラム。
【請求項21】
請求項9に記載の通信装置と、請求項11に記載の通信装置とを含む、または
請求項13に記載の通信装置と、請求項17に記載の通信装置とを含む、通信システム。」

第4 引用文献の記載及び引用発明、先願発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献1(Intel Corporation,On slot aggregation for data transmission(当審訳:データ伝送のためのスロットアグリゲーションについて),3GPP TSG RAN WG1 #88b R1−1704767,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_88b/Docs/R1-1704767.zip>、2017年03月25日アップロード)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「1. Introduction
At the RAN1#86bis meeting, the following agreements were made regarding slot aggregation for data channel [1]:
(中略)
・ Timing between DL assignment and corresponding DL data transmission is indicated by a field in the DCI from a set of values
(中略)
・ Timing between UL assignment and corresponding UL data transmission is indicated by a field in the DCI from a set of values
」(1ページ7行目ないし1ページ20行目)

(当審訳:
1 序論
RAN1#86bis会議では、データチャネルのスロットアグリゲーションに関して、以下の合意がされた[1]。
(中略)
・ DL割り当てと対応するDLデータ送信のタイミングは、値のセットからのDCI内のフィールドによって示される
(中略)
・ UL割り当てと対応するULデータ送信のタイミングは、値のセットからのDCI内のフィールドによって示される)

(2)「2 Discussion on slot aggregation for data transmission
2.1 Scheduling of data transmission with slot aggregation
(中略)
Based on the coverage status of one UE, e.g., whether UE is located at cell center or cell edge, gNB can configure the number of slots allocated for data transmission via RRC signalling. It is FFS whether dynamic indication or a combination of high layer configuration and dynamic indication can be used to signal the number of slots for data transmission.
Proposal 1:
・ The number of slots in slot aggregation is at least configured by higher layers.
(中略)
2.2 Slot aggregation in time domain
(中略)
When scheduling the data transmission with slot aggregation, the position for data transmission including starting/end symbol in each slot can be signalled in the DCI. To achieve maximum scheduling flexibility, a bitmap can be defined to indicate the starting/end symbol of data transmission in each slot. This option, however, would substantially increase signalling overhead and may not be scalable given that the number of slots for data transmission can vary depending on coverage enhancement level and numerology employed for the data transmission.」(1ページ25行目ないし2ページ15行目)

(当審訳:
2 データ伝送のためのスロットアグリゲーションに関する考察
2.1 スロットアグリゲーションによるデータ送信のスケジューリング
(中略)
UEがセル・センターとセル・エッジのどちらに位置するかなど、UEのカバレッジ状況に基づいて、gNBはRRC信号によりデータ伝送用に割り当てられたスロット数を設定することができる。データ送信のためのスロット数をシグナリングするために、動的な表示、または上位層の設定と動的な表示の組み合わせを使用することができるかどうかは、FFSである。
提案1:
・スロットアグリゲーションにおけるスロット数は、少なくとも上位レイヤで設定される。
(中略)
2.2 時間領域でのスロットアグリゲーション
(中略)
スロットアグリゲーションによるデータ送信のスケジューリングを行う場合、各スロットにおけるデータ送信の開始/終了シンボルを含む位置をDCIでシグナリングすることができる。最大限のスケジューリング柔軟性を実現するために、各スロットのデータ送信の開始/終了シンボルを示すビットマップを定義することができる。しかし、このオプションは、信号のオーバーヘッドを大幅に増加させ、データ送信のためのスロット数は、データ送信に採用されたカバレッジエンハンスメントレベルと数値に依存して変化することを考えると、スケーラブルではない可能性がある。)

上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

(1)上記(1)の「1 序論」には、「データチャネルのスロットアグリゲーションに関して、以下の合意がされた」と記載され、合意内容として「DL割り当てと対応するDLデータ送信のタイミングは、値のセットからのDCI内のフィールドによって示される」、「UL割り当てと対応するULデータ送信のタイミングは、値のセットからのDCI内のフィールドによって示される」と記載されている。
そうすると、引用文献1には、「データチャネルのスロットアグリゲーションに関して、DL割り当て及びUL割り当ては、DCI内のフィールドによって示される」ことが記載されているといえる。

(2)上記(2)の「2 データ伝送のためのスロットアグリゲーションに関する考察」の「2.1 スロットアグリゲーションによるデータ送信のスケジューリング」には、「gNBはRRC信号によりデータ伝送用に割り当てられたスロット数を設定することができる。」と記載され、上記(2)の「2 データ伝送のためのスロットアグリゲーションに関する考察」の「2.2 時間領域でのスロットアグリゲーション」には、「スロットアグリゲーションによるデータ送信のスケジューリングを行う場合、各スロットにおけるデータ送信の開始/終了シンボルを含む位置をDCIでシグナリングすることができる。」と記載されている。
そうすると、引用文献1には、「スロットアグリゲーションにおいて、gNBがRRC信号によりデータ伝送用に割り当てられたスロット数を設定し、スロットアグリゲーションによるデータ送信のスケジューリングを行う場合、各スロットにおけるデータ送信の開始/終了シンボルを含む位置をDCIでシグナリングする」ことが記載されているといえる。

(3)上記(1)及び(2)で検討したとおり、引用文献1は、データ伝送のためのスロットアグリゲーションにおいて「DL割り当て及びUL割り当ては、DCI内のフィールドによって示され、スロット数は、gNBがRRC信号によりデータ伝送用に割り当てられたスロット数を設定し、データ送信のスケジューリングを行う場合、各スロットにおけるデータ送信の開始/終了シンボルを含む位置をDCIでシグナリングする」ものであって、データ伝送のためのスロットの割り当て方法であるといえるから、引用文献1には、「データ伝送のためのスロットの割り当て方法」が記載されているといえる。

以上を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「データ伝送のためのスロットの割り当て方法であって、
データチャネルのスロットアグリゲーションに関して、DL割り当て及びUL割り当ては、DCI内のフィールドによって示され、
スロットアグリゲーションにおいて、gNBがRRC信号によりデータ伝送用に割り当てられたスロット数を設定し、スロットアグリゲーションによるデータ送信のスケジューリングを行う場合、各スロットにおけるデータ送信の開始/終了シンボルを含む位置をDCIでシグナリングする、
方法。」

2 引用文献3について
原査定の拒絶の理由で引用された、引用文献3(国際公開第2015/158056号)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)



」(14ページ5行目〜10行目)

(当審訳:
時間領域長さはh個の時間領域シンボルを含む。好ましくは、hは、例えば1、2、3、4、8、10である予め設定された値、又は1つのタイムスロットに含まれる時間領域シンボルの数、又は1つのサブフレームに含まれる時間領域シンボルの数、又は複数のサブフレームに含まれる全部或いは一部の時間領域シンボルの数を少なくとも含み、1つ又は複数のサブフレームに含まれる時間領域シンボルの数の適用シーンは主に、1つ又は複数のサブフレームの時間領域長さが1msよりも小さいこと、又はより大きなデータパケットの伝送を実現し、複数の小さいデータパケットに分割する場合の発生を避けるためのものである。)

そうすると、引用文献3には、「時間領域長さはh個の時間領域シンボルを含む」という技術事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)特許法第29条第2項について
ア 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

(ア)引用発明の「データ伝送のためのスロットの割り当て方法」が、通信方法の一種であることは明らかである。そうすると、引用発明の「データ伝送のためのスロットの割り当て方法」は、本願発明1の「通信方法」に含まれる。

(イ)引用発明の「gNB」は、本願発明1の「基地局」に相当する。そして、引用発明の、gNBはDCIをシグナリングするものであり、引用発明のDCIはDL割り当て及びUL割り当てを示すことから、引用発明のDCIにより示される割り当てたリソースを指示するための情報、すなわちリソース指示情報は、本願発明1の指示情報に含まれる。そして、指示情報を、gNBから端末に対する第1の指示情報と称することは任意である。更に、引用発明のDCIは、gNBから端末がデータを送受信するためにgNBから端末に対して送信されるものであるから、端末側から見れば、gNBからDCIにおいて第1の指示情報を受信するステップを有することは明らかである。

また、引用発明のDCIは、各スロットにおけるデータ送信の開始/終了シンボルを含む位置をDCIでシグナリングすることから、DCIは、データ送信のためのリソース構成の指示といえ、DCI開始/終了シンボルを含む位置は単一のスロットにおける時間領域位置の構成といえる。
そして、DCIは、DL割り当て及びUL割り当てを示すものであり、当該割り当てもリソースを指示する情報は、すなわち第1の指示情報に含まれるものであるといえるから、引用発明は、第1の指示情報に基づいて前記データを送信または受信するものといえる。
そうすると、引用発明の第1の指示情報であるDCIは、データのリソース構成を指示するために使用され、前記リソース構成は、単一のスロットにおける時間領域位置の構成を含み、第1の指示情報に基づいて前記データを送信または受信するものといえる。


よって、本願発明1の「基地局からダウンリンク制御情報(DCI)において第1の指示情報を受信するステップであって、前記第1の指示情報は、データのリソース構成を指示するために使用され、前記リソース構成は、単一のスロットにおける時間領域位置の構成を含む、ステップと、前記第1の指示情報に基づいて前記データを送信または受信するステップを含」むことと、引用発明の「データチャネルのスロットアグリゲーションに関して、DL割り当て及びUL割り当ては、DCI内のフィールドによって示され、スロットアグリゲーションによるデータ送信のスケジューリングを行う場合、各スロットにおけるデータ送信の開始/終了シンボルを含む位置をDCIでシグナリングする」ことは、「基地局からダウンリンク制御情報(DCI)において第1の指示情報を受信するステップであって、前記第1の指示情報は、データのリソース構成を指示するために使用され、前記リソース構成は、単一のスロットにおける時間領域位置の構成を含む、ステップと、前記第1の指示情報に基づいて前記データを送信または受信するステップを含む」点で共通する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「 通信方法であって、
基地局からダウンリンク制御情報(DCI)において第1の指示情報を受信するステップであって、前記第1の指示情報は、データのリソース構成を指示するために使用され、前記リソース構成は、単一のスロットにおける時間領域位置の構成を含む、ステップと、
前記第1の指示情報に基づいて前記データを送信または受信するステップ、
を含む、方法。」

(相違点)
本願発明1は、「前記単一のスロットにおける、前記第1の指示情報によって示される前記時間領域位置の前記構成は、1つまたは複数の連続するスロットの各スロットに対して有効であり、前記スロットの量は、前記データのアグリゲーションレベルによって表される、ステップ」を含み、「前記単一のスロットにおける前記時間領域位置の前記構成は、前記時間領域位置の開始シンボルと、前記時間領域位置のシンボルの量とを含み、前記第1の指示情報は、前記時間領域位置の前記開始シンボルと、前記時間領域位置の前記シンボルの量と、前記データの前記アグリゲーションレベルとを指示するビット値である」ものであるのに対し、引用発明においては、当該発明特定事項は特定されていない点。

イ 相違点についての判断
相違点に係る、「前記単一のスロットにおける、前記第1の指示情報によって示される前記時間領域位置の前記構成は、1つまたは複数の連続するスロットの各スロットに対して有効であり、前記スロットの量は、前記データのアグリゲーションレベルによって表される、ステップ」を含み、「前記単一のスロットにおける前記時間領域位置の前記構成は、前記時間領域位置の開始シンボルと、前記時間領域位置のシンボルの量とを含み、前記第1の指示情報は、前記時間領域位置の前記開始シンボルと、前記時間領域位置の前記シンボルの量と、前記データの前記アグリゲーションレベルとを指示するビット値である」という発明特定事項は、引用文献1及び引用文献3には記載も示唆もされていない。さらに、当該無線通信の技術分野において周知技術であるともいえない。
よって、当業者といえども、引用発明において、上記相違点に係る「前記単一のスロットにおける、前記第1の指示情報によって示される前記時間領域位置の前記構成は、1つまたは複数の連続するスロットの各スロットに対して有効であり、前記スロットの量は、前記データのアグリゲーションレベルによって表される、ステップ」を含み、「前記単一のスロットにおける前記時間領域位置の前記構成は、前記時間領域位置の開始シンボルと、前記時間領域位置のシンボルの量とを含み、前記第1の指示情報は、前記時間領域位置の前記開始シンボルと、前記時間領域位置の前記シンボルの量と、前記データの前記アグリゲーションレベルとを指示するビット値である」ものとすることは、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2及び4について
本願発明2及び4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明5ないし8について
本願発明5ないし8は、本願発明1の通信方法と対になる基地局側の通信方法を記載したものであって、少なくとも上記相違点に係る本願発明1に記載の発明特定事項に対応する発明特定事項を含むから、本願発明1と同様の理由により、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び並び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 本願発明9及び10について
本願発明9及び10は、本願発明1の端末による通信方法を、端末として動作する通信装置としたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、本願発明9は、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5 本願発明11及び12について
本願発明11及び12は、本願発明5の基地局による通信方法を、基地局として動作する通信装置としたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項に対応する発明特定事項を全て含むから、本願発明5と同じ理由により、本願発明11は、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

6 本願発明13について
本願発明13は、本願発明1ないし4の端末による通信方法を実行させる、メモリ、通信インタフェース、及びプロセッサを備えた通信装置としたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

7 本願発明14について
本願発明14は、本願発明1ないし4の端末による通信方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体としたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

8 本願発明15について
本願発明15は、本願発明1ないし4の端末による通信方法を実行させる、コンピュータプログラムとしたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

9 本願発明16について
本願発明16は、本願発明1ないし4の端末による通信方法を実行させる、プログラムとしたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

10 本願発明17について
本願発明17は、本願発明5ないし8の端末による通信方法を実行させる、メモリ、通信インタフェース、及びプロセッサを備えた通信装置としたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項に対応する発明特定事項を全て含むから、本願発明5と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

11 本願発明18について
本願発明18は、本願発明5ないし8の端末による通信方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体信装置としたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項に対応する発明特定事項を全て含むから、本願発明5と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

12 本願発明19について
本願発明19は、本願発明5ないし8の端末による通信方法を実行させる、コンピュータプログラムとしたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項に対応する発明特定事項を全て含むから、本願発明5と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

13 本願発明20について
本願発明20は、本願発明5ないし8の端末による通信方法を実行させる、プログラムとしたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項を全て含むから、本願発明5と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

14 本願発明21について
本願発明21は、本願発明9に記載の通信装置と、本願発明11に記載の通信装置とを含む、または、本願発明13に記載の通信装置と、本願発明17に記載の通信装置とを含む、通信システムとしたものであって、少なくとも本願発明1に記載の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 原査定について
令和4年1月21日にされた手続補正により、本願発明1ないし21は、「前記単一のスロットにおける、前記第1の指示情報によって示される前記時間領域位置の前記構成は、1つまたは複数の連続するスロットの各スロットに対して有効であり、前記スロットの量は、前記データのアグリゲーションレベルによって表される、ステップ」を含み、「前記単一のスロットにおける前記時間領域位置の前記構成は、前記時間領域位置の開始シンボルと、前記時間領域位置のシンボルの量とを含み、前記第1の指示情報は、前記時間領域位置の前記開始シンボルと、前記時間領域位置の前記シンボルの量と、前記データの前記アグリゲーションレベルとを指示するビット値である」という発明特定事項又はそれに対応する発明特定事項を備えているから、上記「第5」のとおり、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載に記載された技術事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2022-08-30 
出願番号 P2019-560331
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 石田 紀之
本郷 彰
発明の名称 リソース指示方法および装置  
代理人 野村 進  
代理人 実広 信哉  

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