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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  F21S
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F21S
審判 全部申し立て 2項進歩性  F21S
管理番号 1388347
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-02 
確定日 2022-06-24 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6752174号発明「照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6752174号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第6752174号の請求項1及び2に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経過
特許第6752174号の請求項1、2に係る特許についての出願は、平成29年4月20日に出願され、令和2年8月20日に特許が設定登録され、同年9月9日に特許掲載公報が発行された。その後、令和3年3月2日に特許異議申立人飯田進(以下、「申立人A」という。)により特許異議の申立てがされ、同年3月5日に特許異議申立人伊藤直宏(以下、「申立人B」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、同年12月16日付けで取消理由を通知した。それに対して、特許権者は、令和4年2月18日に意見書を提出するとともに訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、本件訂正請求に対して、申立人Bは、同年4月8日に意見書を提出した。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の(1)、(2)(なお、下線部は訂正箇所である。)のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の訂正前の請求項1に、
「照明装置本体と、
常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、
前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、
前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニットと、
を有する照明装置。」とあるのを、
「照明装置本体と、
常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、
前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、
前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニットと、
を有する照明装置。」に訂正する(請求項1を引用する請求項2も同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
明細書の【0007】に、
「照明装置本体と、常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニットと、を有する。」とあるのを、
「照明装置本体と、常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニットと、を有する。」に訂正する。

(3)一群の請求項
本件訂正請求による訂正は、一群の請求項〔1、2〕に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニット」との事項を「前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニット」との事項に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
そして、訂正事項1は、本件の図7等に開示されているのは明らかであるから、新規事項を追加するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正事項1の特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。そうすると、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当しない。

(3)小括
以上によれば、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正請求による訂正は認められたから、訂正後の本件特許の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。

「【請求項1】
照明装置本体と、
常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、
前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、
前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニットと、
を有する照明装置。
【請求項2】
前記蓄電池と前記非常用光源ユニットとは、コネクタにより電気的に接続可能である請求項1に記載の照明装置。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1、2に係る特許に対して、当審が令和3年12月16日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

[取消理由1]
本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願の日前の特許出願又は実用新案登録出願であって、本件特許出願後に出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が本件特許出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
[取消理由2]
本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
[取消理由3]
本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、下記の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、この出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。


[引用文献等一覧]
先願1:特願2017−38503号(特開2018−147584号)
文献1:特開2015−88433号公報
文献2:特開2005−129517号公報
文献3:特開2009−272135号公報
文献4:特開2013−127917号公報
文献5:Panasonic、「一体型LEDベースライト iDシリーズ シンプルセルコン階段灯 階段通路誘導灯・非常用照明器具兼用型 施工説明書 取扱説明書」
文献6:Panasonic、「施設・屋外・店舗照明 総合カタログ 2016」

なお、申立人Aが提出した「甲第1号証」で示される出願を「先願1」といい、申立人Bが提出した「甲第1号証」〜「甲第4号証」、「甲第6号証」、「甲第6号証−1」は、それぞれ、「文献1」〜「文献6」という。

[取消理由と請求項及び引用文献等の関係]
○取消理由1
・請求項 1、2
・引用文献等:先願1

○取消理由2
・請求項 1
・引用文献等:文献1

○取消理由3
・請求項 2
・引用文献等:文献1〜4

・請求項 1
・引用文献等:文献5

・請求項 2
・引用文献等:文献5、文献2〜4

第5 引用文献等の記載事項等
1 先願1について
(1)先願当初明細書等の記載事項
先願1の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下、「先願当初明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。

「【0011】
(2)照明器具の各構成要素
本実施形態の照明器具1は、図1〜図3に示すように、常用照明を行う常用照明装置2と、非常用照明を行う非常用照明装置3と、常用照明装置2及び非常用照明装置3を収容する器具本体10とを備えている。さらに、照明器具1は、非常用照明装置3に給電する非常用電源ユニット9を備えている。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、図1に示す向きにおいて、照明器具1の上下、左右及び前後の各方向を規定する。
【0012】
(2.1)器具本体
器具本体10は、長尺状であり、常用照明装置2及び非常用照明装置3が取り付けられている。器具本体10は、長尺の矩形平板状の天板11と、天板11の長手方向(左右方向)に沿った2つの端縁のそれぞれから下向きに突出する一対の第1側板12とを有している。器具本体10は、さらに、天板11の短手方向(前後方向)に沿った2つの端縁のそれぞれから下向きに突出する一対の第2側板13と、各第1側板12の下端から斜め下向きに突出する一対の反射板14とを有している。すなわち、器具本体10は、天板11に対向する下面に開口部を有した矩形の箱状に形成されている。・・・」

「【0017】
(2.2)常用照明装置
常用照明装置2は、図2及び図4に示すように、LEDモジュール20(常用光源)と、LEDモジュール20を支持する支持板21と、LEDモジュール20を支持した支持板21を内部に収容するケース22と、電源装置と、2つの固定具23と、2つの取付具24とを備える。常用照明装置2は、器具本体10に支持されており、常用照明を行う。」

「【0020】
電源装置は、常用電源(例えば、商用の交流電源)から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力をLEDモジュール20に供給することでLEDモジュール20を点灯するように構成されている。電源装置は、支持板21の底板210の上面に取り付けられる。LEDモジュール20と電源装置は、底板210に設けられた挿通孔に挿通される電線によって電気的に接続される。」

「【0027】
非常用照明装置3は、図5及び図6に示すように、非常用光源ユニット4と、非常用光源ユニット4を支持する支持部材7と、非常用光源ユニット4を点灯する制御装置6と、非常用光源ユニット4、支持部材7及び制御装置6を収容する筐体5とを備えている。非常用照明装置3は、更に、第1ガスケット53、第2ガスケット54及び第3ガスケット55を備えている。非常用照明装置3は、器具本体10に支持されており、非常用照明を
行う。」

「【0032】
制御装置6は、図8に示すように、第1回路ブロック60、第2回路ブロック61及びケース62を備えている。第1回路ブロック60は、矩形板状の第1プリント配線板600、複数種類の電子部品601、受け側コネクタ64、入力端子台603、出力コネクタ602及び第1コネクタ604を有している。・・・」

「【0034】
受け側コネクタ64は、第1コンタクト受け641と、第2コンタクト受け642と、ベース640とを有している(図8参照)。ベース640は、電気絶縁性を有した合成樹脂材料によって矩形の板状に形成されている。第1コンタクト受け641及び第2コンタクト受け642は棒状に形成されて、ベース640を厚み方向に貫通した状態でベース640に支持されている。受け側コネクタ64は、中継用の電気ケーブルを介して、非常用電源ユニット9の電気ケーブルと電気的に接続される。」

「【0057】
(2.4)非常用電源ユニット
非常用電源ユニット9は、非常用照明装置3に給電するように構成されている。非常用電源ユニット9は、図2及び図3に示すように、非常用照明装置3に給電する電池ユニット9A(図13参照)と、電池ユニット9Aを器具本体10に固定する固定金具91と、電池ユニット9Aから引き出される電気ケーブル92(図14参照)とを備える。
【0058】
(2.5)電池ユニット
電池ユニット9Aは、図13〜図15、図16A及び図16Bに示すように、乾電池型の複数本の蓄電池9B(蓄電池ブロック)と、複数本の蓄電池9Bを収容する電池ケース90とを有する。」

「【0091】
(3.3)器具本体への常用照明装置の取付
作業者は、常用照明装置2の上部(2つの取付具24の第2固定部241よりも上側の部分)を器具本体10内に挿入する。そして、作業者は、右側のエンド部材221のカバー部2214の凹部2215にドライバの軸を挿入し、凹部2215の底壁に設けられている孔2216を通して、第2固定部241のねじ挿通孔243に挿通されている取付ねじを締め込む。作業者がドライバを使って取付ねじを締め込めば、取付ねじが、器具本体10の右側の取付片130のねじ孔131にねじ込まれる。その結果、右側の取付具24の第2固定部241が器具本体10の右側の取付片130にねじ止めされる。続いて、作業者は、左側のエンド部材221のカバー部2214の凹部2215にドライバの軸を挿入し、凹部2215の底壁に設けられている孔2216を通して、第2固定部241のねじ挿通孔243に挿通されている取付ねじを締め込む。作業者がドライバを使って取付ねじを締め込めば、取付ねじが、固定部材56の固定孔563に保持されているナットにねじ込まれる。その結果、左側の取付具24の第2固定部241が固定部材56の固定片560にねじ止めされる。最後に、作業者は、カバー部2214の表面に露出している凹部2215の口をテープなどで塞いで目隠しする。このようにして、常用照明装置2が器具本体10に取り付けられることで照明器具の組立が完了する(図1参照)。
【0092】
(4)電池ユニットの交換手順
次に、電池ユニット9Aの交換手順を説明する。まず、固定金具91のねじ止め部919からねじを外して、固定金具91の引掛部917を器具本体10から外す。次に、電池ユニット9Aを取り出して、新しい電池ユニット9Aに交換する。新しい電池ユニット9Aを固定金具91の内部に入れた状態で、固定金具91の引掛部917を器具本体10に引っ掛ける。そして、ねじ止め部919にねじを挿入して、固定金具91をねじ止めする。」

図1


図2

図11

図14


(2)先願当初明細書等の記載から認められること
ア 【0011】の記載によれば、照明器具1は、照明機器1は、器具本体10と、常用照明装置2と、非常用電源ユニット9と、非常用照明装置3とを備えることが認められ、【0012】の記載によれば、器具本体10は、天板11に対向する下面に開口部を有した矩形の箱状に形成されることが認められる。

イ 【0017】及び【0020】の記載によれば、常用照明装置2は、LEDモジュール20と電源装置を備え、電源装置が常用電源から供給される交流電力を直流電力に変換してLEDモジュール20に供給することでLEDモジュール20を点灯することが認められ、【0091】及び図2の記載も参照すると、常用照明装置2は、器具本体10に着脱可能に取り付けられることが認められる。

ウ 【0057】、【0058】、図2及び図11の記載によれば、非常用電源ユニット9は、常用照明装置2よりも天井側で、器具本体10の内部の天板11に着脱可能に取り付けられることが認められる。

エ 【0011】、【0012】及び図1の記載によれば、非常用照明装置3は、非常用電源ユニット9から給電されて点灯し、器具本体10の長手方向の一端に取り付けられることが認められる。

オ 【0027】の記載によれば、非常用照明装置3は、制御装置6を備えることが認められ、【0032】の記載によれば、制御装置6は、受け側コネクタ64を有することが認められ、【0034】の記載によれば、受け側コネクタ64は、非常用電源ユニット9の電気ケーブルと電気的に接続されることが認められるから、非常用電源ユニット9と非常用照明装置3とは、受け側コネクタ64を介して電気的に接続することが認められる。

(3)先願発明
上記(2)ア〜オを総合すると、先願当初明細書等には,以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる。

「天板11に対向する下面に開口部を有した矩形の箱状に形成される器具本体10と、
LEDモジュール20と電源装置を備え、電源装置が常用電源から供給される交流電力を直流電力に変換してLEDモジュール20に供給することでLEDモジュール20を点灯し、器具本体10に着脱可能に取り付けられる常用照明装置2と、
常用照明装置2よりも天井側で、器具本体10の内部の天板11に着脱可能に取り付けられる非常用電源ユニット9と、
非常用電源ユニット9から給電されて点灯し、器具本体10の長手方向の一端に取り付けられる非常用照明装置3を備え、
非常用電源ユニット9と非常用照明装置3とは、受け側コネクタ64を介して電気的に接続する照明器具1。」

2 文献1について
(1)文献1の記載事項
文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0013】
本実施形態の照明器具10は、天井直付け型の照明器具であって、吊ボルト200(図3参照)を用いて天井材100(造営材)に取り付けられる器具本体1と、器具本体1に対して着脱自在に取り付けられる光源ユニット2と、非常用光源部3とを備える。
【0014】
器具本体1は、板金に曲げ加工を施すことで長尺且つ上面(天井材100との対向面)が開口する扁平な箱状に形成され、天井材100と反対側(つまり下側)には光源ユニット2を収容するための矩形の収容凹部11が器具本体1の全長に亘って設けられている。また、器具本体1の左右方向(幅方向)において収容凹部11の両側には、収容凹部11の開口端縁から延出し且つ外側に行くほど上側(天井材100側)に傾斜する傾斜面12,12がそれぞれ設けられている。」

「【0016】
光源ユニット2は、図3に示すように、基板22と、基板22が取り付けられる取付部材21と、基板22を覆うようにして取付部材21に取り付けられるカバー部材23と、基板22に所定の点灯電力を供給する電源装置(図示せず)とを有する。
【0017】
基板22は、前後方向(図3中の紙面に垂直な方向)に長い矩形板状に形成されたプリント基板221からなり、プリント基板221の下面には複数のLED(発光ダイオード)222が前後方向(長手方向)に沿って実装されている。」

「【0021】
非常用光源部3は、図2に示すように、非常用光源31と、電源装置32と、非常用電源33と、点検スイッチ34と、モニタ用ランプ(図示せず)とを有する。
【0022】
非常用光源31は、図4(a)に示すように、発光ダイオード(LED)が実装された基板(図示せず)と、基板の前方に配置されるガラス製のレンズ311と、両端が開口する円管状に形成された放熱部材312とで構成される。そして、基板及びレンズ311は、レンズ311の出射面を露出させた状態で放熱部材312の筒内に配置される。この非常用光源31は、図2に示すように、器具本体1の長手方向における一端部(図2中の左端部)に配置される。
【0023】
電源装置32は、例えば商用電源などの外部電源が正常に供給されている状態では商用電源により非常用電源33を充電し、商用電源が停電になると非常用電源33により非常用光源31を点灯させる。この電源装置32は、器具本体1の収容凹部11内で且つ器具本体1の長手方向における一端部(図2中の左端部)に配置される。
【0024】
非常用電源33は、円筒状に形成されたケース331を有し、ケース331の内部には複数の蓄電池が収納されている。この非常用電源33は、器具本体11の収容凹部11内で且つ器具本体1の長手方向における他端部(図2中の右端部)に配置される。」

「【0027】
モニタ用ランプ(図示せず)は、非常用電源33に正常に充電が行われているかどうか及び点検結果を表示するためのものであり、例えば非常用電源33が正常である場合には点灯し、非常用電源33が外れている場合には消灯し、非常用電源33の交換時期が近い場合には点滅する。このモニタ用ランプは、カバー13の孔133を臨んで配置される。」

図2

(2)文献1の記載により認められること
ア 【0013】の記載によれば、照明器具10は、器具本体1と、光源ユニット2と、非常用光源部3とを備えることが認められ、【0021】の記載によれば、非常用光源部3は、非常用光源31と、非常用電源33とを有することが認められるから、照明器具10は、器具本体1と、光源ユニット2と、非常用電源33と、非常用光源31とを備えることが認められる。

イ 【0014】の記載によれば、器具本体1は、光源ユニット2を収容するための矩形の収容凹部11が設けられることが認められる。

ウ 【0016】及び【0017】の記載によれば、光源ユニット2は、複数のLED222が実装された基板22と、基板22に所定の点灯電力を供給する電源装置を有することが認められ、【0013】の記載によれば、光源ユニット2は、器具本体1に対して着脱自在に取り付けられることが認められる。

エ 【0013】,【0027】及び図2の記載によれば、非常用電源33は、光源ユニット2よりも天井側で、器具本体1に着脱自在に取り付けられることが認められ、【0024】も参照すると、非常用電源33は、光源ユニット2よりも天井側で、器具本体11の収容凹部11内で且つ器具本体1の長手方向における他端部に着脱自在に取り付けられること、及び、非常用電源33は、複数の蓄電池を有することが認められる。

オ 【0022】及び【0023】の記載によれば、非常用光源31は、商用電源が停電になると非常用電源33により点灯し、器具本体1の長手方向における一端部に取り付けられることが認められる。

(3)引用発明1
上記(2)ア〜オを総合すると、文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「光源ユニット2を収容するための矩形の収容凹部11が設けられる器具本体1と、
複数のLED222が実装された基板22と、基板22に所定の点灯電力を供給する電源装置を有し、器具本体1に対して着脱自在に取り付けられる光源ユニット2と、
光源ユニット2よりも天井側で、器具本体11の収容凹部11内で且つ器具本体1の長手方向における他端部に着脱自在に取り付けられ、複数の蓄電池を有する非常用電源33と、
商用電源が停電になると非常用電源33により点灯し、器具本体1の長手方向における一端部に取り付けられる非常用光源31と、
を備える照明器具10。」

3 文献2について
文献2には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「【0032】
図1において、LED照明器具としてのLED非常灯1は、LED2、レンズ3、点灯装置4、バッテリ5および器具本体6を有して構成されている。LED2は、基体7の中央部に1個が配設され、発光(点灯)により白色光を放射するように形成されている。レンズ3は、例えば強化ガラスからなり、入射端3a、出射端3bおよび側面3cを有する略樽状に形成されている。そして、中心軸上の入射端3aに対向して、LED2が配設されている。レンズ3については、以下で詳述する。」

「【0034】
そして、充電回路9に接続されている電源線13,13が導出され、この電源線13,13は商用交流電源Vsに接続されている。また、充電回路9または点灯装置4と電気的に接続されるリード線14,14が導出され、このリード線14,14はコネクタ15およびヒューズF1を介してバッテリ5に接続されている。さらに、点灯装置4に接続されているランプ線16,16が導出されており、このランプ線16,16はLED2に接続されている。」

図2

4 文献3について
文献3には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「【0024】
更に、非常灯点灯ユニット35には、コネクタ40とヒューズ32とを介し、バッテリ36(例えば、4.8V3000mA)が接続されている。バッテリ36は、LED33と並列に非常灯点灯ユニット35に接続されている。」

「【0027】
地震等の非常時に、交流電源15からの電力供給が停止すると、照明灯用回路21のランプ22が消灯すると共に、非常灯用回路34にも通電しなくなる。しかし、ダイオード31により、LED33とバッテリ36とヒューズ32とからなる非常灯用回路34が、独立回路となる。このため、非常灯用回路34は、バッテリ36からヒューズ32とコネクタ40とを介して、LED33に通電し、点灯し続ける。従って、交流電源15からの電力の供給が停止しても、LED33が点灯しているので、地震等で停電しても避難誘導灯として使用できる。特に、ダイオード31を接続してあるので、電流が非常灯点灯ユニット35とランプ22とに流れず、無駄な放電を防止でき、LED33を長時間、例えば3日間、連続して点灯させることができる。また、ダイオード31により非常灯用回路34を独立回路とすることができるので、仮に照明灯用回路21から非常灯用回路34に切り替えるための切り替え回路を用いた場合と比べて、照明器具10の構造が簡単になり、製造コストを低減できる。」

図2

5 文献4について
文献4には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「【0018】
電源ブロック31は、外部電源が供給されている通常時に外部電源からの電力を用いてLEDランプ1に電力を供給する。非常灯ブロック33は、通常時に蓄電池32を充電し非常時に蓄電池32からの電力を用いてLEDランプ1に電力を供給する。蓄電池32は、一端面に電線45の一端が接続される。電線45の他端には、非常灯ブロック33と接続するためのコネクタが設けられる。」

「【0026】
・・・本実施形態においては、図5および図6に示すように、光源として2本のLEDランプ13,14を用いた点が実施形態1と相違する。本実施形態では、通常時にはLEDランプ13,14の両方が点灯しており、非常時にはLEDランプ13のみが点灯する。LEDランプ13は、長手方向の両端部に口金131,132を備え、一方の口金131のみから電力が供給される。また、LEDランプ14は、長手方向の両端部に口金141,142を備え、一方の口金142のみから電力が供給される。」

図1

図5

6 文献5について
(1)文献5の記載事項
ア 1ページ


イ 2ページ


ウ 3ページ

エ 11ページ


(2)文献5の記載から認められる事項
ア 上記(1)アの上部中央の記載によれば、文献5に記載される照明器具は、シンプルセルコン階段灯であると認められる。

イ 上記(1)イの「各部のなまえと取付方法」の記載及び上記アによれば、シンプルセルコン階段灯は、本体と、ライトバーと、蓄電池と、非常用光源部とを有すること、本体は、ライトバーが取り付けられる凹部を有すること、ライトバーは、本体に着脱可能に取り付けられること、及び、非常用光源部は、本体の長手方向の端部に取り付けられることが認められる。

ウ 上記(1)イの「各部のなまえと取付方法」の記載及び上記(1)ウの「4 蓄電池の取付」の記載によれば、蓄電池は、ライトバーよりも壁面側で、本体の凹部の内面に着脱可能に取り付けられることが認められ、上記(1)ウの「10 点灯確認」の「蓄電池は設置後通電し充電しないと非常点灯しません。」との記載も参照すると、非常用光源部は、蓄電池から供給される電力で点灯することが認められる。

エ 上記(1)アの「表示された電源電圧(定格電圧±6%)・周波数で使用する。」との記載、上記(1)イの「各部のなまえと取付方法」の記載及び上記(1)エの記載によれば、ライトバーは、商用電源から供給される電力で点灯することが認められる。

(3)引用発明2
上記(2)ア〜エを総合すると、文献5には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「ライトバーが取り付けられる凹部を有する本体と、
商用電源から供給される電力で点灯し、本体に着脱可能に取り付けられるライトバーと、
ライトバーよりも壁面側で、本体の凹部の内面に着脱可能に取り付けられる蓄電池と、
蓄電池から供給される電力で点灯し、本体の長手方向の端部に取り付けられる非常用光源部と、
を有するシンプルセルコン階段灯。」

第6 対比・判断
1 取消理由1について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と先願発明とを対比すると、後者の「器具本体10」は、その機能や構造からみて、前者の「照明装置本体」に相当し、以下同様に、「常用照明装置2」は「常用光源ユニット」に、「非常用照明装置3」は「非常用光源ユニット」に、「備え」ることは「有する」ことに、「照明器具1」は「照明装置」に、それぞれ相当する。
後者の「非常用電源ユニット9」は、複数本の蓄電池9Bを収容する電池ケース90を有する電池ユニット9Aと、固定金具91とを備えるもの(先願1の当初明細書等の【0057】、【0058】参照。)であり、前者の「蓄電池」は、複数個のニッケル水素電池を樹脂で覆い纏めたものも含む(本件明細書の【0026】参照。)から、後者の「非常用電源ユニット9」は、前者の「蓄電池」に相当する。
後者の「常用電源から供給される交流電力を直流電力に変換してLEDモジュール20に供給することでLEDモジュール20を点灯」することは、前者の「常用電源から供給される電力で点灯」することに相当し、後者の「器具本体10に着脱可能に取り付けられる常用照明装置2」は、前者の「前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニット」に相当する。
後者の「器具本体10」は、「天板11に対向する下面に開口部を有した矩形の箱状に形成される」から、前者の「前記照明装置本体の凹部」に相当する部分があること、及び、該相当する部分に常用照明装置2及び非常用電源ユニット9が取り付けられ、常用照明装置2を取り外すと、非常用電源ユニット9が目視可能となることは、図2等から明らかであることから、後者の「常用照明装置2よりも天井側で、器具本体10の内部の天板11に着脱可能に取り付けられる非常用電源ユニット9」は、前者の「前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池」に相当する。
後者の「非常用電源ユニット9から給電されて点灯し、器具本体10の長手方向の一端に取り付けられる非常用照明装置3」は、前者の「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニット」と、「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニット」という点で共通する。
以上によれば、本件発明1と先願発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点1>
「照明装置本体と、
常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、
前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、
前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニットと、
を有する照明装置。」

<相違点1>
非常用光源ユニットについて、本件発明1では、前記照明装置本体の長手方向の「略中央」に取付けられて「前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される」のに対し、先願発明では、器具本体10の長手方向の「一端」に取り付けられる点。

イ 相違点についての判断
相違点1は、非常用光源ユニットの設けられる位置に係るものであり、本件発明1と先願発明とでは、その位置が全く異なるものであって、先願発明において、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、課題解決のための具体化手段における微差とはいえず、本件発明1と先願発明とは実質同一ではない。

(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の全ての構成を有し、さらに限定を加えたものであり、少なくとも先願発明との間に上記相違点1があるから、先願発明とは実質同一ではない。

(3)まとめ
以上によれば、取消理由1は成り立たない。

2 取消理由2、3について
(1)引用発明1を主引用発明とする場合
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明1とを対比すると、後者の「光源ユニット2」は、その機能や構造からみて、前者の「常用光源ユニット」に相当し、以下同様に、「収容凹部11」は「凹部」に、「基具本体1」は「照明装置本体」に、「電源装置」は「常用電源」に、「着脱自在」は「着脱可能」に、「複数の蓄電池を有する非常用電源33」は「蓄電池」に、「非常用光源31」は「非常用光源」に、「備える」ことは「有する」ことに、「照明器具10」は「照明装置」に、それぞれ相当する。

後者の「複数のLED222が実装された基板22と、基板22に所定の点灯電力を供給する電源装置を有し、器具本体1に対して着脱自在に取り付けられる光源ユニット2」は、前者の「常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニット」に相当する。
後者の「収容凹部11」は、光源ユニット2を収容するためのものであり、後者において、光源ユニット2を器具本体1から取り外すと、非常用電源33が目視可能となるのは、図2等から明らかであるから、後者の「光源ユニット2よりも天井側で、器具本体11の収容凹部11内で且つ器具本体1の長手方向における他端部に着脱自在に取り付けられ、複数の蓄電池を有する非常用電源33」は、前者の「前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池」に相当する。
後者の「商用電源が停電になると非常用電源33により点灯し、器具本体1の長手方向における一端部に取り付けられる非常用光源31」は、前者の「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニット」と、「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニット」という点で共通する。
以上によれば、本件発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点2>
「照明装置本体と、
常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、
前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、
前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニットと、
を有する照明装置。」

<相違点2>
非常用光源ユニットについて、本件発明1では、前記照明装置本体の長手方向の「略中央」に取付けられて「前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される」のに対し、引用発明1では、器具本体1の長手方向における「一端部」に取り付けられ、非常用電源33は、器具本体1の収容凹部11内で且つ器具本体1の長手方向の「他端部」に取り付けられる点。

(イ)相違点についての判断
相違点2は、非常用光源ユニットの設けられる位置に係るものであり、実質的な相違点であるから、本件発明1は引用発明1ではない。
次に、相違点2が容易想到であるかについて検討する。
引用発明1において、相違点2に係る本件発明1の構成とするためには、器具本体1の長手方向における一端部に取り付けられる非常用光源31を、器具本体1の長手方向の略中央に取り付け、器具本体1の収容凹部11内で且つ器具本体1の長手方向の他端部に取り付けられる非常用電源33を、器具本体1の長手方向の略中央に取り付けるとともに、非常用光源31と非常用電源33を器具本体1の短手方向に横並びに配置する必要がある。
それに対し、引用発明1は、器具本体1の長手方向の略中央を含む部分には収容凹部11が設けられ、収容凹部11には光源ユニット2が収容されており、収容凹部11の光源ユニット2よりも天井側に取り付けられる非常用電源33は、器具本体1の長手方向の略中央の収容凹部11内に取り付けることは可能であるが、非常用光源31を器具本体1の長手方向の略中央に取り付けることは、光源ユニット2が妨げとなり、このままの構造ではできないことは明らかである。
以上のことを勘案すると、引用発明1において、非常用光源31を、器具本体1の長手方向の略中央に取り付けるためには、器具本体1の長手方向の略中央に、収容凹部11と横並びで、非常用光源31のための取付部材を別途設ける、非常用光源31を配置するスペースのために、光源ユニット2を長手方向に二分割する等の必要があると思慮されるところ、そのような取付部材をわざわざ追加する、光源ユニットを2分割して部品点数を増加させることに値する、何らかの利点があると認めるに足る証拠はない。
そうすると、引用発明1において、器具本体1の長手方向の略中央に非常用光源31を取り付けることに動機付けがあるとは認められず、むしろ、阻害要因があるとさえいえる。
したがって、引用発明1において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。

(ウ)申立人Bの主張について
a 申立人Bの主張の内容
申立人Bは、令和4年4月8日の意見書において、文献4には、蓄電池32から供給される電力で点灯し、器具本体2の短手方向に横並びに配されるLEDランプ13(非常用光源ユニット)が開示されており、上記意見書とともに提出した参考資料1(三菱照明総合カタログ2016−2017、632〜641ページ)、及び参考資料2(実願昭47−37738号(実開昭48−114277号)のマイクロフィルム)には、照明装置本体の長手方向の略中央に非常用光源ユニットが開示されているから、本件発明1は、引用発明1、及び、文献4に記載の構成、参考資料1に記載の構成、又は、参考資料2に記載の構成に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。

b 主張についての判断
文献4の図1をみると、非常用光源ユニットの一部と解される非常灯ブロック33は、蓄電池32と、器具本体2の長手方向に並んでおり、図5をみると、LEDランプ13は、蓄電池と、器具本体2の短手方向に横並びであるとは認められない。また、参考資料1、2にも、非常用光源ユニットと蓄電池が短手方向に横並びである位置関係が開示されていない。
よって、引用発明1に、文献4に記載の構成、参考資料1に記載の構成、又は、参考資料2に記載の構成を適用したとしても、相違点2に係る本件発明1の構成とならないのは明らかである。
そして、文献4、参考資料1、2は、上記(イ)で示した上記取付部材をわざわざ追加することに値する利点について、何ら記載されていない。
以上によれば、申立人Bの上記主張は、当を得たものとはいえず、採用することはできない。

(エ)小括
以上によれば、本件発明1は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の全ての構成を含み、さらに限定を加えたものであるから、上記アで説示したのと同様に、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)引用発明2を主引用発明とする場合
ア 引用発明2について
文献6には、奥付の右下に「このカタログの記載内容は2016年4月現在のものです。」と記載され、352ページの「5 器具を壁面に取り付けた状態のまま簡単に蓄電池交換が可能」の項に「■蓄電池交換手順 ※詳しくは「施工説明書・取扱説明書」をご確認ください。」と記載され、353ページの上方に、器具本体の品番が「NNLF40065」であり、ライトバーの品番が「NNL4300FN LE9」である、品番が「直付XLF436ATN LE9」である製品について、「大臣認定番号:LAE−0048」等と記載されていることを勘案すると、対象の製品の1つが、器具本体の品番が「NNLF40065」であり、ライトバーの品番が「NNL4300FN LE9」であり、品番が「直付XLF436ATN LE9」である製品の「施工説明書 取扱説明書」である文献5は、照明器具の施工説明書、取扱説明書は販売される製品に添付されることが一般的であることや、1ページ右上に枠囲みで「保管用」と記載され、同ページ上方に黒背景で「工事店様へ、この説明書は保守のためお客様に必ずお渡しください。」と記載されていることを踏まえると、少なくとも文献6と同時期の2016年(平成28年)4月には、頒布されていたものと推認される。
以上のことより、引用発明2は、本件特許の出願前に頒布された刊行物に記載された発明であると認められる。

イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明2とを対比すると、後者の「ライトバー」は、その機能や構造からみて、前者の「常用光源ユニット」に相当し、以下同様に、「凹部」は「凹部」に、「本体」は「照明装置本体」に、「商用電源」は「常用電源」に、「蓄電池」は「蓄電池」に、「非常用光源部」は「非常用光源ユニット」に、「シンプルセルコン階段灯」は「照明装置」に、それぞれ相当する。
後者の「商用電源から供給される電力で点灯し、本体に着脱可能に取り付けられるライトバー」は、前者の「常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニット」に相当し、後者の「蓄電池から供給される電力で点灯し、本体の長手方向の端部に取り付けられる非常用光源部」は、前者の「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニット」と、「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニット」という点で共通する。
後者の「壁面側」は、前者の「天井面側」と、「凹部の内面側」という点で共通し、後者において、ライトバーを本体から取り外すと、蓄電池が目視可能となるのは、文献5の2ページ(上記「第2 6(1)イ」等から明らかであるから、後者の「ライトバーよりも壁面側で、本体の凹部の内面に着脱可能に取り付けられる蓄電池」は、前者の「前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池」と、「前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも前記凹部の内面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池」という点で共通する。
そうすると、本件発明1と引用発明2の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点3>
「照明装置本体と、
常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、
前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも前記凹部の内面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、
前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニットと、
を有する照明装置。」

<相違点3>
非常用光源ユニットについて、本件発明1では、前記照明装置本体の長手方向の「略中央」に取付けられて「前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される」のに対し、引用発明2では、本体の長手方向の「端部」に取り付けられる点。

<相違点4>
凹部の内面側について、本件発明1では、「天井面側」であるのに対し、引用発明2では、「壁面側」である点。

(イ)相違点についての判断
事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。
上記(1)ア(イ)で説示した事項と同様に、引用発明2においても、非常用光源部を、本体の長手方向の略中央に取り付けるためには、本体の長手方向の略中央に、本体の凹部と横並びで、非常用光源部のための取付部材を別途設ける、非常用光源部を設置するスペースのために、ライトバーを長手方向に分割する等の必要であると思慮されるところ、そのような取付部材をわざわざ追加することに値する、何らかの利点があると認めるに足る証拠はないから、引用発明2において、本体の長手方向の略中央に非常用光源部を取り付けることに動機付けがあるとは認められず、むしろ、阻害要因があるとさえいえる。
したがって、引用発明2において、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

(ウ)申立人Bの主張について
a 申立人Bの主張の内容
申立人Bは、令和4年4月8日の意見書において、上記(1)ア(ウ)aと同様に、本件発明2は、引用発明1、及び、文献4に記載の構成、参考資料1に記載の構成、又は、参考資料2に記載の構成に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。

b 主張についての判断
上記(1)ア(ウ)bで説示したのと同様の理由により、申立人Bの上記主張は、当を得たものとはいえず、採用することができない。

(エ)小括
以上によれば、相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の全ての構成を含み、さらに限定を加えたものであるから、上記イで説示したのと同様に、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)まとめ
以上によれば、取消理由2、3も成り立たない。

第7 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の内容
申立人Bは、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正前発明1」、「本件訂正前発明2」という。)について、以下の(1)〜(6)を主張する。

[引用文献等一覧]
文献7:Panasonic、「施設・屋外・店舗用 LED照明 総合カタログ 2015」
文献8:特開2016−134202号公報
文献9:特開2017−50257号公報

なお、申立人Bが提出した、「甲第5号証」、「甲第7号証」、及び、「甲第8号証」は、それぞれ、「文献7」〜「文献9」という。

(1)特許異議申立理由1−1
本件訂正前発明1は文献5、文献7に記載の発明である。
(2)特許異議申立理由1−2
本件訂正前発明1、2は、文献7に記載の発明を主引用発明として、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)特許異議申立理由2−1
本件訂正前発明1は文献8に記載の発明である。
(4)特許異議申立理由2−2
本件訂正前発明1、2は、文献8に記載の発明を主引用発明として、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)特許異議申立理由3−1
本件訂正前発明1は文献9に記載の発明である。
(6)特許異議申立理由3−2
本件訂正前発明1、2は、文献9に記載の発明を主引用発明として、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 引用文献等の記載事項等
(1)文献7について
文献5は、文献7に記載された製品についての、施工業者向けの施工説明書であり取扱説明書であるから、前記製品について、文献7より詳しく記載されていることを勘案すると、文献7に記載された発明(以下、「引用発明3」という。)は、文献5に記載された発明である引用発明2と実質的に同じものであると認める。

(2)文献8について
ア 記載事項
文献8には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「【0011】
本実施形態の照明器具は、図1〜図4に示すように常用光源ユニット2と、非常用照明装置と、器具本体1とで構成される。器具本体1は、吊りボルト200に固定され、天井材100の下面(天井面)に直付けされる。常用光源ユニット2は、器具本体1に対して着脱可能に取り付けられる。非常用照明装置は、非常用光源ユニット3と、非常用電源5と、制御装置4とで構成されることが好ましい。
【0012】
器具本体1は、板金に曲げ加工を施すことで長尺且つ上面(天井材100との対向面)が開口する扁平な箱状に形成される。また、器具本体1は、天井材100と反対側(下側)に、常用光源ユニット2及び非常用光源ユニット3を収容するための矩形の凹部11が長手方向(前後方向)の全長に亘って設けられている。また、器具本体1の左右方向(幅方向)における凹部11の両側には、凹部11の開口端縁から延出し且つ外側に向かって上方へ傾斜する傾斜部12がそれぞれ設けられている(図3及び図4参照)。」

「【0014】
常用光源ユニット2は、図4に示すように、複数(例えば、2つ)のLEDモジュール22と、LEDモジュール22が取り付けられる取付部材21とを備える。また、常用光源ユニット2は、LEDモジュール22を覆うようにして取付部材21に取り付けられるカバー23と、電源装置24とを備える。」

「【0026】
非常用電源5は、例えば、乾電池型の複数の蓄電池50と、これら複数の蓄電池50を収納する合成樹脂材料製の電池ケース51とで構成されることが好ましい(図10及び図11参照)。・・・」

「【0051】
・・・ただし、一対の電線60は、非常用電源5の交換を容易にするため、コネクタ64によって分断可能に構成されることが好ましい(図14参照)。・・・」

図2

図3

図7


イ 文献8の記載から認められること
(ア)【0011】の記載によれば、照明器具は、器具本体1と、常用光源ユニット2と、非常用電源5と、非常用光源ユニット3とを有すること,及び、非常用光源ユニット3は、非常用電源5から供給される電力で点灯することが認められ、【0014】の記載も参照すると、常用光源ユニット2は、電源装置24から供給される電力で点灯し、器具本体1に着脱可能であることが認められる。

(イ)【0012】の記載によれば、器具本体1は、常用光源ユニット2及び非常用光源ユニット3を収容するための凹部11が長手方向の全長に亘って設けられることが認められ、図2、3の記載も参照すると、非常用光源ユニット3は、器具本体1の長手方向の端部に取り付けられることが認められ、更に、図7の記載も参照すると、非常用電源5は、非常用光源ユニット3に内蔵され、非常用光源ユニット3とともに器具本体1の凹部11に取り付けられることが認められる。

(ウ)【0026】及び【0051】の記載によれば、非常用電源5は、複数の蓄電池50で構成され、交換可能であることが認められる。

ウ 引用発明4
上記イ(ア)〜(ウ)を総合すると、文献8には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されると認められる。

「常用光源ユニット2及び非常用光源ユニット3を収容するための凹部11が長手方向の全長に亘って設けられる器具本体1と、
電源装置24から供給される電力で点灯し、器具本体1に着脱可能な常用光源ユニット2と、
複数の蓄電池50で構成され、非常用光源ユニット3に内蔵され、非常用光源ユニット3とともに器具本体1の凹部11に取り付けられて、交換可能な非常用電源5と、
非常用電源5から供給される電力で点灯し、器具本体1の長手方向の端部に取り付けられる非常用光源ユニット3と、
を有する照明器具。」

(3)文献9について
ア 記載事項
文献9には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「【0010】
本実施形態に係る非常用照明器具Xは、図1〜図3に示すように第1光源部(常用光源ユニット1)と、2つの第2光源部(非常用光源ユニット2)と、器具本体3と、第2点灯部(非常用電源ユニット4)と、非常用電源(電池ユニット6)とを備える。非常用照明器具Xは、さらに、制御ユニット5と、人検知ユニット7とを備えることが好ましい。
【0011】
器具本体3は、長尺の矩形平板状に形成される背板30と、長尺の矩形平板状であり、かつ、背板30よりも短い上板31及び下板32とを有する(図2参照)。上板31は、背板30の上端における長手方向の両端部を除く部分から背板30の法線方向に沿って前方へ突出するように形成されている。同じく、下板32は、背板30の下端における長手方向の両端部を除く部分から背板30の法線方向に沿って前方へ突出するように形成されている。ただし、背板30と上板31及び下板32とは、金属板が曲げ加工されることで一体に形成されることが好ましい(図2参照)。」

「【0013】
電池ユニット6は、ニッケル水素電池などの2次電池を複数有し、これら複数の2次電池が合成樹脂成形体のケースに収容されて構成される。なお、電池ユニット6は、背板30の前面における左端の部位に取り付けられることが好ましい(図2参照)。
【0014】
非常用電源ユニット4は、常用電源から給電される交流電力を直流電力に変換して電池ユニット6を充電する充電回路と、常用電源が停電したときに電池ユニット6から非常用光源ユニット2に供給される直流電流を調整する点灯回路とを有する。さらに、非常用電源ユニット4は、後述する点検スイッチが押操作されたとき、充電回路を強制的に停止し、かつ、電池ユニット6から給電される直流電力で点灯回路に非常用光源ユニット2を点灯させるように構成される。なお、非常用電源ユニット4は、図2に示すように、背板30の前面における右端の部位に取り付けられることが好ましい。」

「【0018】
常用光源ユニット1は、図4に示すように、LEDモジュール10と、LEDモジュール10が取り付けられる取付部材11とを備える。また、常用光源ユニット1は、LEDモジュール10を覆うようにして取付部材11に取り付けられるカバー12と、第1点灯部(電源ユニット13)とを備える。」

「【0024】
上述のように構成される常用光源ユニット1は、一対の引掛ばね114の両端が、器具本体3の下板32に設けられている引掛板320の溝の縁に引っ掛けられることで器具本体3に仮保持される。そして、常用光源ユニット2は、一対の引掛金具113の鉤形の先端が器具本体3の上板31に設けられる受け金具310に引っ掛けられることで器具本体3に取り付けられる(図4参照)。」

図1

図2


イ 文献9の記載から認められること
(ア)【0010】の記載によれば、非常用照明器具Xは、器具本体3と、常用光源ユニット1と、電池ユニット6と、非常用光源ユニット2とを備えることが認められ、【0011】の記載によれば、器具本体3は、背板30と上板31と下板32を有することが認められる。

(イ)【0018】の記載によれば、常用光源ユニット1は、電源ユニット13から供給される電力で点灯することが認められ、【0024】の記載によれば、常用光源ユニット1は、器具本体3の上板31と下板32の間に着脱可能に取り付けられることが認められる。

(ウ)【0013】の記載によれば、電池ユニット6は、器具本体3の背板30の前面に着脱可能であることが認められる。

(エ)【0014】、図1及び図2の記載によれば、非常用光源ユニット2は、電池ユニット6から供給される電力で点灯し、器具本体3の長手方向の端部に取り付けられることが認められる。

ウ 引用発明5
上記イ(ア)〜(エ)を総合すると、文献9には、以下の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。

「背板30と上板31と下板32とを有する器具本体3と、
電源ユニット13から供給される電力で点灯し、器具本体3の上板31と下板32の間に着脱可能に取り付けられる常用光源ユニット1と、
器具本体3の背板30の前面に着脱可能な電池ユニット6と、
電池ユニット6から供給される電力で点灯し、器具本体3の長手方向の端部に取り付けられる非常用光源ユニット2と、
を備える非常用照明器具X。」

3 対比・判断
(1)特許異議申立理由1−1、1−2について
上記「第6 2(2)」で説示したとおり、本件発明1と引用発明2とは、相違点3、4で相違するから、本件発明1は、引用発明2ではない。
また、引用発明3は、引用発明2と実質的に同じものであるから、上記「第6 2(2)」で説示したのと同じ理由により、本件発明1は、引用発明3ではなく、また、本件発明1、2は、引用発明3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)特許異議申立理由2−1、2−2について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明4とを対比すると、後者の「常用光源ユニット2」は、その機能や構造からみて、前者の「常用光源ユニット」に相当し、以下同様に、「非常用光源ユニット3」は「非常用光源ユニット」に、「凹部11」は「凹部」に、「器具本体1」は「照明装置本体」に、「電源装置24」は「常用電源」に、「複数の蓄電池50で構成され」る「非常用電源5」は「蓄電池」に、「交換可能な」は「着脱可能な」に、「取り付けられ」ることは「取付けられ」ることに、「照明器具」は「照明装置」に、それぞれ相当する。
後者の「電源装置24から供給される電力で点灯し、器具本体1に着脱可能な常用光源ユニット2」は、前者の「常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニット」に相当する。
常用照明装置2を取り外すと、非常用電源ユニット9が目視可能となることは、図2等から明らかであることから、後者の「複数の蓄電池50で構成され、非常用光源ユニット3に内蔵され、非常用光源ユニット3ともに器具本体1の凹部11に取り付けられて、交換可能な非常用電源5」は、前者の「前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池」と、「前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部」「に着脱可能な蓄電池」という点で共通し、後者の「非常用電源5から供給される電力で点灯し、器具本体1の長手方向の一端に取り付けられる非常用光源ユニット3」は、前者の「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニット」と、「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体」「に取付けられ」る「非常用光源ユニット」という点で共通する。
そうすると、本件発明1と引用発明4の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点4>
「照明装置本体と、
常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、
前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部に着脱可能な蓄電池と、
前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取り付けられる非常用光源ユニットと、
を有する照明装置。」

<相違点5>
蓄電池について、本件発明1では、「前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に」取付けられるのに対し、引用発明4では、非常用光源ユニット3に内蔵され、非常用光源ユニット3ともに器具本体1の凹部11に取り付けられる点。

<相違点6>
非常用光源ユニットについて、本件発明1では、前記照明装置本体の長手方向の「略中央」に取付けられて「前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される」のに対し、引用発明4では、器具本体1の長手方向の「端部」に取り付けられる点。

(イ)相違点についての判断
事情に鑑み、まず、相違点6について検討する。
相違点6は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、引用発明4ではない。
また、相違点6は、実質的に相違点2と同じであるから、上記「第6 2(1)ア(イ)」で説示したのと同様の理由により、引用発明4において、相違点6に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

(ウ)小括
以上によれば、本件発明1は、引用発明4ではなく、また、相違点5を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の全ての構成を含み、さらに限定を加えたものであるから、上記アで説示したのと同様に、引用発明4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(3)特許異議申立理由3−1、3−2について
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明5とを対比すると、後者の「器具本体3」は、その機能や構造からみて、前者の「照明装置本体」に相当し、以下同様に、「電源ユニット13」は「常用電源」に、「常用光源ユニット1」は「常用光源ユニット」に、「電池ユニット6」は「蓄電池」に、「非常用光源ユニット2」は「非常用光源ユニット」に、「備える」ことは「有する」ことに、「非常用照明器具X」は「照明装置」に、それぞれ相当する。
後者の「電源ユニット13から供給される電力で点灯し、器具本体3」「に着脱可能に取り付けられる常用光源ユニット1」は、前者の「常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニット」に相当する。
後者の「背板30」、「上板30」及び「下板32」からなるものは、前者の「凹部」に相当し、後者の「器具本体3の上板31と下板32の間」は、「常用光源ユニット1」が取り付けられるから、前者の「前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部」に相当し、後者の「背板30」は、前者の「天井面」に相当し、後者の「背板30の前面」は、前者の「前記凹部の内面」に相当し、文献9の図2等から、後者の「電池ユニット6」は、「器具本体3の上板31と下板32の間」から「常用光源ユニット1」を外すと目視可能になることは明らかであるから、後者の「器具本体3の背板30の前面に着脱可能な電池ユニット6」は、前者の「前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池」に相当する。
後者の「電池ユニット6から供給される電力で点灯し、器具本体3の長手方向の端部に取り付けられる非常用光源ユニット2」は、前者の「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニット」と、「前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体」「に取付けられ」る「非常用光源ユニット」という点で共通する。
そうすると、本件発明1と引用発明5の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点5>
「照明装置本体と、
常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、
前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、
前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に取付けられる非常用光源ユニットと、
を有する照明装置。」

<相違点7>
非常用光源ユニットについて、本件発明1では、前記照明装置本体の長手方向の「略中央」に取付けられて「前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される」のに対し、引用発明5では、器具本体3の長手方向の「端部」に取り付けられる点。

(イ)相違点についての判断
相違点7について検討する。
相違点7は実質的な相違点であるから、本件発明1は、引用発明5ではない。
また、相違点7は、実質的に相違点2と同じであるから、上記「第6 2(1)ア(イ)」で説示したのと同様の理由により、引用発明5において、相違点7に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

(ウ)小括
以上によれば、本件発明1は、引用発明5ではなく、また、引用発明5に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の全ての構成を含み、さらに限定を加えたものであるから、上記アで説示したのと同様に、引用発明5に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4)まとめ
以上によれば、特許異議申立理由1−1〜3−2は成り立たない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】照明装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に一般照明と非常用照明を兼用する照明装置(以下、非常用照明装置という)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば一般照明として使用される常用光源は照明装置本体に着脱可能な長尺形状で、非常用照明として使用される常用光源の端部でかつ同列に配置された光学部品である略半球状のレンズ部材で構成される非常用光源は照明装置本体に固定配置されている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−91947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで非常用照明装置は、非常点灯時の電力を供給するための蓄電池が搭載されていることが大半である。蓄電池は一般的に経年劣化するため非常用照明装置としての性能を維持するためには定期的に蓄電池を交換する必要がある。
【0005】
ところが、特許文献1に記載の照明装置では、常用光源の端部に非常用光源が配置されており、蓄電池は非常用光源の背面に収納されているために容易に目視することができず交換作業が容易にできない課題があった。
【0006】
本発明は、前記した課題を解決するために考案したものであり、非常用蓄電池の交換作業が容易にできる非常用照明装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
照明装置本体と、常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニットと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、常用光源ユニットを取り外した状態で容易に目視できる位置に蓄電池を配置することで蓄電池の交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る照明装置の床方向から見た斜視図である。
【図2】実施形態に係る照明装置の床方向から見た分解斜視図である。
【図3】実施形態に係る照明装置の左側面図である。
【図4】実施形態に係る照明装置の左断面側面図である。
【図5】実施形態に係る照明装置の正面図である。
【図6】実施形態に係る照明装置の底面図である。
【図7】実施形態に係る照明装置の常用光源ユニットを取り外した底面図である。
【図8】実施形態に係る照明装置の常用光源ユニットを取り外した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
本実施形態の非常用照明装置は、図1〜図8に示すように照明装置本体10と、常用光源ユニット20と、非常用光源ユニット30と、非常用蓄電池(以下、蓄電池40という)で構成される。照明装置本体10は天井材90の下面(天井面)に図示しない吊ボルト94などにより固定される。常用光源ユニット20は照明装置本体10に着脱可能であり、交換時または清掃時を除く通常使用される状態では照明装置本体10に取り付けられて使用される。
【0012】
照明装置本体10は、板金に曲げ加工を施したもので長尺且つ上面が天井材90に接する平面の外側取付面12aを有し、下方向(天井材90との対向側)が開口した逆凹部14を有し、逆凹部14の端縁から左右の外側且つ斜め上方向に向かって延出する傾斜部16が設けられており、傾斜部16左右どちらか一方には非常用光源ユニット30を貫通できる貫通穴161が設けられている。また、取付面12、逆凹部14、傾斜部16は照明装置本体10の長尺方向の全体にわたり形成されている。尚、傾斜部は、逆凹部14の端縁から左右の外側且つ天井面方向とは逆の斜め下方向に向かって延出されていてもよい。あるいは、傾斜せず逆凹部14の端部から左右の外側へ天井面と平行に延出されていてもよい。
【0013】
取付面12には、天井面からの図示しない電源線92を貫通させるための通線孔17、図示しない吊ボルト94を貫通させ照明装置本体10を天井材90に固定するための取付穴18が設けられている。また、凹部14内面の内側取付面12bには、蓄電池40、電源接続端子台50が取り付けられている。
【0014】
常用光源ユニット20は、常用光源ユニット20の骨格となる取付板21と、発光部材である複数個の常用LEDモジュール22と、常用LEDモジュール22を覆うように取付板21に取り付けられるLEDカバー24と、常用LEDモジュール22の発光を制御する電源装置25を備える。
LEDモジュール22は、長尺で矩形板状に形成された常用光源基板23に実装されている。常用光源基板23と電源装置25は電線により電気的に接続され、電源装置25と電源接続端子台50は図示しない接続コネクタ27により電気的に接続されている。
商用電源の常用回路より電源線92から電源接続端子台50を中継し電源装置25に駆動電力が供給され、電源装置25によりLED点灯電力に変換して常用LEDモジュール22を点灯させる。尚、常用回路には常用光源をON−OFFさせるスイッチが設けられることが一般的である。
【0015】
非常用光源ユニット30の外郭は、不燃材(金属、ガラスなど)で構成されている。収納ボックス31、非常用LEDモジュール32、非常用光源基板33、レンズカバー34、ガラスカバー35、非常用制御基板36、図示しない非常用接続コネクタ37、化粧カバー38、取付板39を備える。
【0016】
商用電源のON−OFFスイッチが設けられていない非常用専用回路により、図示しない電源線92から電源接続端子台50を中継し非常用制御基板36に駆動電力が供給され、非常用制御基板36により変換された充電電力を図示しない非常用接続コネクタ37で接続された蓄電池40をトリクル充電している。
【0017】
収納ボックス31は、非常用光源ユニット30を構成する電気部品および光学部品を収納する樹脂製で断面形状が略Hであり、上面側(天井面側)と下面側(床面側)が形成できるよう仕切られている箱形形状である。
【0018】
非常用制御基板36は、長尺で矩形板状のプリント基板で電子部品などを実装し、通常は蓄電池40をトリクル充電し、また常用電源遮断時には蓄電池に蓄えたエネルギーで非常用LEDモジュール32の発光を制御するための電子回路構成しており、収納ボックス31内の仕切り上面側に配置されている。
【0019】
非常用光源基板33は、長尺で矩形板状のプリント基板で複数個のLEDモジュール32を常用光源ユニット20に並列となるよう配置、且つ前後(長手)方向に略直線配置で実装しており、収納ボックス内の仕切り下面側にLEDモジュール32実装面が床面側になるよう配置されている。非常用光源基板33と非常用制御基板36は、収納ボックス31の上下の仕切りを貫通する図示しない電線により電気的に接続されている。
【0020】
レンズカバー34は、非常用光源基板33に複数個実装された非常用LEDモジュール32を個々に覆うようにレンズ341を形成し、非常用LEDモジュール32から放射される光の方向(または強さなど)を制御する。非常用光源基板33の照射面側を覆うよう収納ボックス31内の仕切り下面側に固定されている。尚、レンズ341は複数個のLEDモジュール32を纏めて覆うようなレンズでもよい。
【0021】
レンズカバー34は、透光性に優れた合成樹脂材料(例えば、ポリスチレン樹脂など)で形成されることが望しい。レンズ341の形状は、凹非球面形状の入射面から非常用LEDモジュール32からの光を入射させ、凸非球面形状の出射面から出射させる広配光レンズであることが望ましい。
【0022】
化粧カバー38は、不燃性の鋼飯で収納ボックス31の上面側を除く面を覆う略箱形状で、収納ボックス31に配置したガラスカバー35が床面方向から見えるよう底面38aには略長方形の光路孔382が形成されている。また、化粧カバー38の外郭の色は、照明装置本体10の外郭色と合わせることで一体感を高めることができる。
【0023】
ガラスカバー35は、長尺で矩形板状の平板であり収納ボックス31の下面側の光路孔382を塞ぐよう配置されている。透光性に優れ破損時の安全性を考慮し割れにくい強化ガラス製であるが望ましい。また、ガラス破損時に危険なガラス破片の飛散を防ぐため製品外郭面のガラスカバーには飛散防止フィルムを貼り付けてもよい。
【0024】
取付蓋39は、収納ボックス31を覆った化粧カバー38の開口側でネジなどにより締結し、収納ボックス31の上面側の蓋をする。また、取付蓋39は、収納ボックス31の上面開口側を塞ぐ蓋部391と、蓋部391から照明装置本体10方向に延出させた蓋締結部392を形成することで、照明装置本体10とネジなどによる締結を可能にする。
【0025】
収納ボックス31と化粧カバー38の常用光源側の長手立壁面には図示しない通線溝311と図示しない通線溝383が同位置に形成されており、非常用制御基板33と電源接続端子台50を電気的に接続する図示しない非常用電源線51、および非常用制御基板33と蓄電池40を電気的に接続する図示しない充電線331の非常用光源ユニット30外への引き出しを可能にしている。尚、充電線331の先端には非常用接続コネクタ図示しない332が接続されており蓄電池の取り付け・取り外しを容易にしている。
【0026】
蓄電池40は、例えば、複数個の円筒形状ニッケル水素電池を合成樹脂材料などの電気絶縁性を有する材料で覆い纏め、各種電池の正極と負極を電気的に接続された引出線41が引き出されている。尚、引出線41の先端は図示しない非常用接続コネクタ42が接続されている。
【0027】
また、蓄電池40は経時劣化により非常用光源を設定照度・設定時間点灯されるための電池性能が失われるため、定期的に交換が必要な消耗部品である。そのことから蓄電池40の取付位置は、常用光源ユニット20を取り外した状態で目視確認できる照明装置本体10の凹部14内面の平面12bに押え金具43にて固定することで蓄電池40の交換作業を容易にする。尚、蓄電池の固定は押え金具43以外の部品で固定してもよい。
【0028】
本実施形態の照明装置が上述のよう構成されれば、蓄電池の交換作業時には着脱可能な常用光源ユニットを取り外した状態で蓄電池が容易に視認できることで、蓄電池の交換作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 従来技術の照明装置1
2 本考案技術の照明装置2
100 照明装置
10 照明装置本体
12 照明装置本体10の取付面
12a 外側取付面
12b 内側取付面
14 照明装置本体10の逆凹部
16 照明装置本体10の傾斜部
161 傾斜部16に形成した貫通穴
17 照明装置本体10に形成した通線孔
18 照明装置本体10に形成した取付穴
20 常用光源ユニット
21 常用光源ユニット20の取付板
22 常用光源ユニット20の常用LEDモジュール
23 常用LEDモジュール22を実装する常用光源基板
24 常用光源ユニット20のLEDカバー
25 常用光源ユニット20の電源装置
27 常用光源ユニット20の常用接続コネクタ
30 非常用光源ユニット
31 非常用光源ユニット30の収納ボックス
311 収納ボックス31の通線溝
32 非常用光源ユニット30の非常用LEDモジュール
33 非常用LEDモジュール23を実装する常用光源基板
331 充電線
332 充電線331先端の非常用接続コネクタ
34 非常用光源ユニット30のレンズカバー
341 レンズカバー34のレンズ部
35 非常用光源ユニット30のガラスカバー
36 非常用光源ユニット30の非常用制御基板
37 非常用光源ユニット30の非常用接続コネクタ
38 非常用光源ユニット30の化粧カバー
381 化粧カバー38の底面
382 化粧カバー38の光路孔
383 化粧カバー38の通線溝
39 非常用光源ユニット30の取付蓋
391 取付蓋39の蓋部
392 取付蓋391を延出させて蓋締結部
40 蓄電池
41 蓄電池40の引出線
42 引出線41先端の非常用接続コネクタ
43 蓄電池40の押え金具
50 電源接続端子台
51 非常用電源線
90 天井材
92 電源線
94 吊ボルト
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置本体と、
常用電源から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体に着脱可能な常用光源ユニットと、
前記常用光源ユニットの取付け部分である前記照明装置本体の凹部、かつ前記常用光源ユニットを取り付けた状態で前記常用光源ユニットよりも天井面側、かつ前記常用光源ユニットを取り外した状態で目視確認できる前記凹部の内面に着脱可能な蓄電池と、
前記蓄電池から供給される電力で点灯し、前記照明装置本体の長手方向の略中央に取付けられて前記照明装置本体の短手方向に前記蓄電池と横並びに配置される非常用光源ユニットと、
を有する照明装置。
【請求項2】
前記蓄電池と前記非常用光源ユニットとは、コネクタにより電気的に接続可能である請求項1に記載の照明装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-06-15 
出願番号 P2017-083300
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (F21S)
P 1 651・ 16- YAA (F21S)
P 1 651・ 121- YAA (F21S)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 一ノ瀬 覚
特許庁審判官 筑波 茂樹
八木 誠
登録日 2020-08-20 
登録番号 6752174
権利者 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
発明の名称 照明装置  
代理人 ポレール弁理士法人  
代理人 ポレール特許業務法人  

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