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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06Q
管理番号 1388364
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-07-07 
確定日 2022-06-10 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6811225号発明「個人間カーシェアの車両提案方法およびシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6811225号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜5〕、6、7、8について訂正することを認める。 特許第6811225号の請求項1〜3、5〜8に係る特許を維持する。 特許第6811225号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6811225号の請求項1〜8に係る特許についての出願は、平成30年11月14日に出願され、令和2年12月16日にその特許権の設定登録がされ、令和3年1月13日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、同年7月7日に特許異議申立人 大森桂子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和3年11月8日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和3年12月24日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)を行い、その訂正の請求に対して、申立人は令和4年3月2日に意見書を提出した。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下の(1)〜(6)のとおりである。

(1)訂正事項1
請求項1に係る「前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、を含む、」を「前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、を含み、 前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、 前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる、」に訂正する。

(2)訂正事項2
請求項4を削除する。

(3)訂正事項3
請求項5の「請求項1から4のいずれか一項」を「請求項1から3のいずれか一項」に訂正する。

(4)訂正事項4
請求項6の「前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。」を
「 オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、を含み、
前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる、方法。」に訂正する。

(5)訂正事項5
請求項7の「 前記制御部に、 前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。」を「 オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、
前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップと、を含む、方法。」に訂正する。

(6)訂正事項6
請求項8の「 前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出し、
前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供する、
ように構成されている、システム。」を
「 前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出する、
ように構成され、
前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、
前記制御部は、前記車両候補情報とともに前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供するように構成されている、システム。」に訂正する。


2 訂正の適否
(1)一群の請求項について
訂正事項1〜5に係る訂正前の請求項1〜7について、請求項2〜6はそれぞれ請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1〜7は、特許法120条の5第4項に規定される一群の請求項に該当するものであり、訂正事項1〜5に係る訂正は、一群の請求項に対して請求されたものである。
また、訂正事項6に係る訂正前の請求項8は、他の請求項と引用関係を有しない請求項である。
よって、本件訂正請求は、一群の請求項ごとに請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項に適合する。

(2)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「点検整備情報」について「前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み」と限定し、訂正前の請求項1に記載された「提供させるステップ」について、「前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」と限定するものであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された事項を、訂正前の請求項4に記載された事項で限定するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。

(3)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項4を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合することは明らかである。

(4)訂正事項3
訂正事項3は、引用する請求項を「請求項1から4のいずれか一項」から「請求項1から3のいずれか一項」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項3は、上記のとおり訂正前の請求項5で引用する請求項を限定するのみであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。

(5)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項6に「請求項1から5のいずれか一項に記載の方法」と記載されていたところ、訂正前の請求項6について、請求項1を引用するもののみに限定したうえで、請求項間の引用関係の解消を図ったものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合することは明らかである。

(6)訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項7に「請求項1から6のいずれか一項に記載の方法」と記載されていたところ、訂正前の請求項7について、請求項1を引用するもののみに限定したうえで、請求項間の引用関係の解消を図ったものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合することは明らかである。

(6)訂正事項6
訂正事項6は、訂正前の請求項8に記載された「点検整備情報」について、「前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み」と限定し、訂正前の請求項8に記載された「制御部」について、「前記制御部は、前記車両候補情報とともに前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供する」と限定するものであるから、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項6は、訂正前の請求項8に記載された事項を、訂正前の請求項4に記載された事項で限定するものであり、訂正後の請求項1と請求項8とは、カテゴリ表現が異なるのみであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合する。

3 小括
以上のとおり、訂正事項1〜3及び6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項、及び第6項の規定に適合する。また、訂正事項4及び5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項、及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件訂正請求による訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜7〕、8について訂正することを認める。
訂正後の請求項6に係る訂正事項4及び訂正後の請求項7に係る訂正事項5は、引用関係の解消を目的とする訂正、及びそれに付随する訂正であって、その訂正は認められるものである。そして、特許権者から、訂正後の請求項6について訂正が認められるときは請求項〔1〜7〕とは別の訂正単位として扱われることの求め、及び、訂正後の請求項7について訂正が認められるときは請求項〔1〜7〕とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項〔1〜5〕、6、7、8について一群の請求項ごとに訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1〜8に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」…「本件発明8」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、を含み、
前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、
前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる、方法。
【請求項2】
前記点検整備情報は、点検整備された最新の日時を含み、
前記提供させるステップにおいて、前記最新の日時を前記端末に提供させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記点検整備情報は、点検整備された最新の日時を含み、
前記提供させるステップにおいて、前記最新の日時が現時点より前の所定期間内であるか否かを示す情報を前記端末に提供させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記所定の条件は、前記ドライバーの希望する、前記オーナーの評価ランク及び前記点検整備情報の少なくとも一つを含んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、を含み、
前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる、方法。
【請求項7】
オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、
前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップと、を含む、方法。
【請求項8】
オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアの車両提案システムであって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、
前記データベースと通信可能な制御部と、
を備え、前記制御部は、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得し、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出する、ように構成され、
前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、
前記制御部は、前記車両候補情報とともに前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供するように構成されている、システム。」

第4 特許異議の申立ての理由
1 特許異議の申立ての理由の概要は以下のとおり。
・訂正前の請求項1、5〜6、及び8
甲第1号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第2号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第3号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第1号証、及び甲第4号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第2号証、及び甲第4号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第3号証、及び甲第4号証に記載された発明から容易に想到し得る。

・訂正前の請求項2、及び4
甲第1号証、及び甲第5号証〜甲第6号証に記載された発明から、又は、甲第1号証、及び甲第4号証〜甲第6号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第2号証、及び甲第5号証〜甲第6号証に記載された発明から、又は、甲第2号証、及び甲第4号証〜甲第6号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第3号証、及び甲第5号証〜甲第6号証に記載された発明から、又は、甲第3号証〜甲第6号証に記載された発明から容易に想到し得る。

・訂正前の請求項3
甲第1号証、及び甲第7号証〜甲第8号証に記載された発明から、又は、甲第1号証、甲第4号証、及び甲第7号証〜甲第8号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第2号証、及び甲第7号証〜甲第8号証に記載された発明から、又は、甲第2号証、甲第4号証、及び甲第7号証〜甲第8号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第3号証、及び甲第7号証〜甲第8号証に記載された発明から、又は、甲第3号証〜甲第4号証、及び甲第7号証〜甲第8号証に記載された発明から容易に想到し得る。

・訂正前の請求項5
甲第1号証、及び甲第9号証に記載された発明から、又は、甲第1号証、及び甲第4号証、甲第9号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第2号証、及び甲第9号証に記載された発明から、又は、甲第2号証、及び甲第4号証、甲第9号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第3号証、及び甲第9号証に記載された発明から、又は、甲第3号証〜甲第4号証、及び甲第9号証に記載された発明から容易に想到し得る。

・訂正前の請求項6〜7
甲第1号証、及び甲第7号証に記載された発明から、又は、甲第1号証、及び甲第4号証、甲第7号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第2号証、及び甲第7号証に記載された発明から、又は、甲第2号証、及び甲第4号証、甲第7号証に記載された発明から容易に想到し得る。
甲第3号証、及び甲第7号証に記載された発明から、又は、甲第3号証〜甲第4号証、及び甲第7号証に記載された発明から容易に想到し得る。

2 証拠方法
甲第1号証:特開2003−168057号公報
甲第2号証:特開2011−209960号公報
甲第3号証:特開2018−028850号公報
甲第4号証:特開2018−073002号公報
甲第5号証:特開2018−092630号公報
甲第6号証:特開2005−346170号公報
甲第7号証:特開2005−004239号公報
甲第8号証:国際公開第2016/075808号
甲第9号証:特開2001−331563号公報

第5 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1〜3、5及び8に係る特許に対して、当審が令和3年11月8日に特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

請求項1〜3、5及び8に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、請求項1〜3、5及び8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

2 当審の判断
訂正後の請求項1は、訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項4に記載された事項で限定するものであり、訂正前の請求項1を引用する請求項4と同一のものである。
また、訂正後の請求項2は、訂正前の請求項2を引用する請求項4と同一のものであり、訂正後の請求項3は、訂正前の請求項3を引用する請求項4と同一のものであり、訂正後の請求項5は、訂正前の請求項4を引用する請求項5と同一のものである。
訂正後の請求項6は、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項6と同一のものである。
訂正後の請求項7は、訂正前の請求項1の記載を引用する請求項7と同一のものである。
訂正前の請求項8は、訂正前の請求項1の「車両提案方法」の発明を「車両提案システム」として記載したものであり、訂正後の請求項8は、訂正前の請求項8に訂正前の請求項4に記載された事項と同様の構成を付加したものである。
したがって、訂正後の請求項1〜3、5、6に係る発明については、取消理由を通知していないものとなり、訂正後の請求項8に係る発明は、取消理由を通知していない訂正前の請求項4に記載された事項と同様の構成を有するから、訂正後の請求項1〜3、5〜8に係る特許は、当審が通知した取消理由によっては取り消すことはできない。

第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項1〜8は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第3号証に記載された発明のそれぞれを主たる引用発明として、甲第1〜9号証に基づいて容易に発明をすることができたものである旨を主張する。
そこで、本件発明1〜8が、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明、甲第3号証に記載された発明のそれぞれを主たる引用発明として、甲第1〜9号証に基づいて容易に発明をすることができたものであるか否か検討する。

2 甲号証の記載
(1) 甲第1号証の記載事項及び甲1発明
ア 甲第1号証の記載事項
甲第1号証(特開2003−168057号公報)には、次の事項が記載されている。

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農機具レンタルシステム、プログラム、及び記録媒体、より詳細には、農家が保有する農機具を一括管理してレンタルサービスを提供できるようにした農機具レンタルシステム、プログラム、及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の農業における農家を取り巻く環境は厳しく、米価の下落や、転作面積の拡大が続く中、稲作経営安定のためには生産コストの引き下げが急務となっている。中でも、後継者不足から高齢化が問題となっている農家や、小規模の農家では、少ない労働力をカバーするために設備投資として、例えば、コンバインやトラクタ等の高価な農機具を購入して営農を行っている。しかしながら、このような農家にとって一定期間(数日)しか使用しない農機具は、非効率で、かつ、その農機具の購入費用が大きな負担となっている。また、縦長の日本においては同一種類の農機具であっても、使用する地域により使用のタイミングにずれが生じる。これらのことにより、設備投資して農機具を保有する農家にとっては、農機具を使用しない期間であっても、その農機具を有効利用できるようになれば、せっかくの設備投資が無駄にならずにすみ、また、農機具を保有しない農家にとっては、上記のごとく農機具を保有する農家から農機具をレンタル等出来るようになれば、大きな設備投資をせずとも営農が可能となる。ここで農機具とは、例えば、トラクタ、コンバイン、田植機等の農業用機械全般をいうものとする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、農家が保有する農機具をサーバ装置により一括管理して、農機具を保有しない農家に対しレンタルサービスを提供できるようにした農機具レンタルシステム、該システムの機能を実現するためのプログラム、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供すること、を目的としてなされたものである。」

「【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態である農機具レンタルシステムの構成例を説明するための図で、図中、1はネットワーク、10は各種農機具を一括管理する管理センタで、該管理センタ10は、農機具レンタルサービスを提供するためのサーバ装置11、農機具情報を格納した農機具情報DB12、オペレータ情報を格納したオペレータ情報DB13とを有している。20は貸し手側農家で、該貸し手側農家20は、貸し手側クライアント装置21、農機具22を有している。30は借り手側農家で、該借り手側農家30は、借り手側クライアント装置31を有している。本実施形態におけるサーバ装置11は、貸し手側クライアント装置21、借り手側クライアント装置31とネットワーク1を介して接続され、農機具情報DB12、オペレータ情報DB13にアクセス可能とする。この農機具情報DB12には、1又は複数の貸し手側農家20が保有する複数の農機具に関する情報が格納されており、オペレータ情報DB13には、農機具情報DB12に登録された農機具情報に関連付けて農機具のオペレータに関する情報が格納されている。サーバ装置11は、借り手側農家30からのレンタル依頼に応じて該当する農機具を農機具情報DB12から検索する。本発明における他の実施形態として、借り手側農家30が、例えば、管理センタ10に電話して農機具のレンタル依頼を行ったり、管理センタ10を直接訪問して受付窓口でレンタル依頼を行う形態もとりうる。
【0025】本発明における管理センタ10は、複数の貸し手側農家20が保有する農機具に関する情報を格納した農機具情報DB12から検索した農機具を、農機具を保有しない借り手側農家30にレンタルすることでレンタル料を得るようにした農機具レンタルサービスを提供することができる。ここで、上記のごとく管理センタ10が農機具を自己保有せずに、農家等から貸し出される農機具を利用してレンタルサービスを提供する形態だけでなく、管理センタ10が農機具を自己保有してレンタルサービスを提供する形態も可能なことは言うまでもない。すなわち、管理センタ10は、複数台の農機具を自己保有してレンタルサービスを提供可能な農家や、農機具を保有する農家から提供される農機具情報を一括管理してレンタルサービスを提供可能なレンタル業者等により運営する形態が可能である。
【0026】ここで、本農機具レンタルシステムの実施形態として、サーバ装置11に農機具情報DB12及びオペレータ情報DB13が物理的に含まれている場合や、ネットワークを介して接続され、物理的に離散している場合のどちらの形態も取りうる。サーバ装置11には、後述する各手段が有する機能を実行するためのプログラムが格納されていればよい。これらのプログラムには、後述する各手段を管理センタ10の従業員等が使用する際に、操作が容易になるようにGUI(グラフィカルユーザインタフェイス)を備えるようにするとよい。」

「【0029】図2は、本発明に係わるサーバ装置11が有する各手段を説明するための図で、サーバ装置11は、登録手段11a、レンタル依頼受付手段11b、検索手段11c、提示手段11d、選択手段11e、生成手段11f、記憶手段11g、スケジュール提示手段11h、オペレータ登録手段11i、オペレータ選択手段11jとを有している。
【0030】ここで、上記各手段の有する機能について、以下詳細に説明する。サーバ装置11が有する登録手段11aは、貸し手側農家20から提供される農機具情報を農機具の種類毎に農機具情報DB12に登録する。この農機具の種類とは、例えば、トラクタやコンバインといった農機具の種別のことをいう。また、登録手段11aは、農機具情報DB12に登録された農機具それぞれにおける、少なくとも保守履歴に関する情報と、レンタル履歴に関する情報とを上記農機具情報に含めて登録することが可能である。レンタル依頼受付手段11bは、借り手側農家30に関する、例えば住所、氏名、電子メールアドレスといった固有のID情報や、レンタル依頼するトラクタ、コンバイン等農機具の種別、レンタル利用したい期間とが少なくとも入力されたレンタル依頼を借り手側農家30から、例えばWeb上で受け付ける。検索手段11cは、農機具情報DB12に登録された複数の農機具情報の中から、レンタル依頼受付手段11bにより受け付けたレンタル依頼に応じた農機具情報を検索する。提示手段11dは、検索手段11cにより検索した農機具情報の一覧を借り手側クライアント装置31の画面上に提示する。選択手段11eは、提示手段11dにより借り手側クライアント装置31の画面上に提示された農機具情報の一覧の中から、借り手側農家30によりレンタルする農機具を選択させることができる。
【0031】管理センタ10は、選択手段11eにより選択された農機具を手配して、借り手側農家30にレンタルする。この際、管理センタ10は、農機具の所在地を農機具情報として管理することができるため、その農機具の所在地から借り手側農家30まで農機具の輸送を行うサービスを提供することもできる。農機具の所在地として、例えば、管理センタ10、貸し手側農家20(農機具の保有者)、当該農機具を直前にレンタルした借り手側農家30、その他の格納場所等があるが、農機具の所在地が管理センタ10の場合に、管理センタ10から借り手側農家30までレンタル対象の農機具を輸送するようにする。もちろん、借り手側農家30により農機具の輸送が可能な場合、借り手側農家自身でレンタル対象の農機具の所在地まで引き取りにいく形態も可能である。また、管理センタ10は、レンタル対象として農機具情報DB12に登録した農機具の保守/メンテナンスを行って、その保守履歴を農機具情報に登録するようにしてもよい。この農機具の保守/メンテナンスは、貸し手側農家20や、借り手側農家30により適宜行うことが可能であることは言うまでもない。保守点検を行う頻度は農機具の使用状態に応じて、例えば、レンタルする毎や、月に1回といったように任意に設定することができる。
【0032】また、サーバ装置11が有する生成手段11fは、農機具情報DB12に登録された農機具を保有する貸し手側農家20が、自己保有する農機具を使用しない未使用期間に関する情報を登録し、その登録した未使用期間に関する情報に基づいて農機具それぞれのレンタル利用可能なスケジュールを生成することができる。この農機具それぞれのレンタル利用可能なスケジュールは、例えば、月間、年間等、任意に期間を設定して生成可能とする。記憶手段11gは、生成手段11fにより生成したスケジュールを、そのスケジュールに応じた農機具情報に関連付けて記憶する。これは、例えば、農機具情報それぞれに固有の登録番号等に関連付けて記憶することで、農機具情報とスケジュールとの対応をとることができる。また、上記検索手段11cは、記憶手段11gにより記憶されたスケジュールに基づいて農機具情報DB12に登録された農機具情報の中から、借り手側農家30からのレンタル依頼に含まれるレンタル利用期間でレンタル可能な農機具情報を検索することが可能である。これにより、借り手側農家30は、レンタルする農機具の種類と、利用期間とをレンタル依頼として入力するだけで、農機具情報DB12に登録された農機具の中で、レンタル可能な農機具を検索することが可能となる。借り手側農家30は、例えば、レンタルする農機具として「トラクタ」を、利用期間として「11月14日〜11月20日」までレンタルしたい場合、これらの条件を入力するだけで、11月14日〜11月20日の期間で利用可能なトラクタを検索してレンタルすることができる。
【0033】また、上記記憶手段11gは、農機具情報DB12に登録された農機具の画像情報を、その画像情報に応じた農機具情報に関連付けて記憶することができる。サーバ装置11は、提示手段11dにより借り手側クライアント装置31に提示された農機具情報に対応する画像情報のリンクを設定し、設定したリンクが借り手側農家30により選択されると、選択されたリンクに応じた画像情報を借り手側クライアント装置31に対して提示することが可能である。この際、例えば、農機具情報として提示される登録番号や、農機具の型式等に対してリンクを設定することが可能である。これにより、借り手側農家30は、レンタル依頼する農機具の画像を閲覧した上で、所望の農機具をレンタルすることができる。
【0034】上記提示手段11dは、検索手段11cにより検索された農機具情報の一覧を借り手側クライアント装置31に提示する際に、農機具情報DB12に登録された農機具を年式の新しい順に並べ替えて、農機具の種類毎に農機具情報の一覧を提示することが可能である。この際、提示手段11dにより農機具情報の一覧を提示する順序は、これに限定されず、任意の条件に基づいて適宜ソート等を行って借り手側農家に提示することが可能である。さらに、提示手段11dは、検索手段11cにより検索された農機具情報の一覧を借り手側クライアント装置31に提示する際に、提示された農機具それぞれの、少なくとも登録番号、農機具名称、型式、年式、主要性能、レンタル料金のいずれか1又は複数を農機具情報に含めて提示することが可能である。この際、レンタル料金は、農機具情報DB12に登録された農機具の種類、型式、年式のいずれか1又は複数に応じて、例えば、時間単位、日数単位、作業面積単位、走行距離単位等に基づいて設定される。これらのレンタル料金の単位は、任意に指定可能である。また、このレンタル料金は、基本となる料金であって、農機具に取り付け可能な各種のオプション機材等を使用する場合、適宜料金設定を行うことが可能である。」

「【0040】図3は、農機具情報DB12に登録された農機具情報テーブルの一例を示す図で、図中、40は農機具情報DB12に登録された農機具情報テーブルで、該農機具情報テーブル40は、農機具固有の登録番号41、農機具名称42、農機具の型式43、農機具の年式44、農機具の主要性能45、農機具のレンタル料46、農機具保有元(農機具の保有農家)47等を有している。これらの農機具情報は、貸し手側農家20から提供され、サーバ装置11が有する登録手段11aにより農機具情報DB12に登録される。この際、サーバ装置11は、これらの農機具情報を農機具の種類毎に登録し、農機具の登録番号41は、農機具情報テーブル40に登録される時に自動的に採番される。本農機具情報テーブル40は、農機具として「トラクタ」を例として示したものである。本例に示す登録番号「001」は、農機具名称42に「トラクタ」、型式43に「T1000」、年式44に「H13年式」、主要性能45に「出力135ps、水冷6気筒」、レンタル料46に「3,000円/時間、オペレータ10,000円/日」、農機具保有元47に「農家A、秋田県○×群」等が登録された状態である。これらの登録項目以外にも、前述したように、保守履歴や、レンタル履歴等を付与することができる。以下同様に、レンタルの対象とする農機具を農機具情報テーブル40に登録する。
【0041】図4は、レンタル依頼の入力を行うためのレンタル依頼受付ページの一例を示す図で、図中、50はWeb上で提供されるレンタル依頼受付ページで、該レンタル依頼受付ページ50は、借り手側農家30のID情報として、例えば、住所、氏名、電子メールアドレス、レンタルする農機具名、レンタル利用期間、その他のコメント等を入力するための入力欄を有している。ただし、入力する項目は、これらに限定されず、例えば、農機具の受け渡し方法や、レンタル料金の決済方法等を設定してもよい。借り手側農家30は、このレンタル依頼受付ページ50に指定された各項目に入力して「OK」ボタンをクリックすることにより、レンタル依頼をサーバ装置11に対して送信する。サーバ装置11は、送信されたレンタル依頼受付ページ50の条件に応じて該当する農機具を検索する。本例の場合、「農機具種別:トラクタ」、「レンタル利用期間:H13.11.20〜11.27」の条件で農機具情報DB12から検索される。」

「【0043】図6は、サーバ装置11により検索された農機具情報の一覧を示す図で、図中、70は農機具情報の一覧で、該農機具情報の一覧70は、農機具情報71、選択欄72、リンク73とを有している。この農機具情報の一覧70は、借り手側クライアント装置31の画面上に表示された状態を示しており、前述したレンタル依頼受付ページ50により指定された条件に基づき、スケジュール一覧60を参照して該当する農機具を検索し、その検索結果を表示したものである。借り手側農家30は、借り手側クライアント装置31に表示された農機具情報の一覧70の中から、所望の農機具を選択し、さらにオペレータの派遣が必要であれば、この画面上で選択してレンタル依頼を行う。この際、リンク73が設定された登録番号をクリックすることにより、その登録番号に応じた農機具の画像情報を閲覧することが可能である。本例では、登録番号「001」のトラクタが選択され、そのオペレータの派遣についても選択された状態を示している。借り手側農家30は、農機具情報の一覧70からレンタルする農機具を選択するとともに、オペレータの派遣依頼をするかどうか選択して「OK」ボタンをクリックする。管理センタ10は、借り手側農家30から送信されたこれらの情報に基づき該当する農機具や、オペレータの手配を行う。
【0044】図7は、本発明が適用される農機具レンタル方法の一例を説明するためのフローチャートである。まず、サーバ装置11は、貸し手側農家20からの農機具情報に基づき農機具情報DB12にレンタル対象とする農機具情報を登録し(ステップS1)、借り手側クライアント装置31からのレンタル依頼を前述したレンタル依頼受付ページ50を用いて受け付ける(ステップS2)。サーバ装置11は、レンタル依頼受付ページ50により受け付けたレンタル依頼に応じて該当する農機具を農機具情報DB12から検索する。この際、前述したスケジュール一覧60を参照して借り手側農家30の希望日程に合致した農機具を検索するようにする。次に、該当する農機具が有るかどうか判断し(ステップS4)、該当する農機具が有った場合(YESの場合)、借り手側クライアント装置31に対し前述した農機具情報の一覧70を提示する(ステップS5)。ステップS4において、該当する農機具が無かった場合(NOの場合)、ステップS2から処理をやり直す。」

「【0047】なお、以上には、説明を簡明にするために、レンタルされる対象を農家が所有する農機具について説明したが、これは単に代表例であって、本発明が適用される対象物は、その他に、例えば、別荘、キャンピングカー、クルーザ等を包含するものである。」











イ 甲1発明
上記アの記載を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

(甲1発明)
農機具レンタルサービスを提供するためのサーバ装置11、農機具情報を格納した農機具情報DB12、オペレータ情報を格納したオペレータ情報DB13とを有する管理センタと、
貸し手側クライアント装置21、農機具22を有する貸し手側農家20と、
借り手側クライアント装置31を有する借り手側農家30と、により構成される農機具レンタルシステムを用いた農機具レンタル方法であって(【0024】、【0044】)、
サーバ装置11は、貸し手側クライアント装置21、借り手側クライアント装置31とネットワーク1を介して接続され、農機具情報DB12、オペレータ情報DB13にアクセス可能であり(【0024】)、
サーバ装置11は、登録手段11a、レンタル依頼受付手段11b、検索手段11c、提示手段11d、選択手段11e、生成手段11f、記憶手段11g、スケジュール提示手段11h、オペレータ登録手段11i、オペレータ選択手段11jとを有し(【0029】)、
レンタル依頼受付手段11bは、借り手側農家30に関する、例えば住所、氏名、電子メールアドレスといった固有のID情報や、レンタル依頼するトラクタ、コンバイン等農機具の種別、レンタル利用したい期間とが少なくとも入力されたレンタル依頼を借り手側農家30から、例えばWeb上で受け付けるものであり(【0030】)、
検索手段11cは、農機具情報DB12に登録された複数の農機具情報の中から、レンタル依頼受付手段11bにより受け付けたレンタル依頼の条件に応じて、該当する農機具情報を検索するものであり(【0030】、【0041】)、
提示手段11dは、検索手段11cにより検索した農機具情報の一覧を借り手側クライアント装置31の画面上に提示するものであって、検索手段11cにより検索された農機具情報の一覧を借り手側クライアント装置31に提示する際に、提示された農機具それぞれの、少なくとも登録番号、農機具名称、型式、年式、主要性能、レンタル料金のいずれか1又は複数を農機具情報に含めて提示することが可能であり(【0030】、【0034】)、
選択手段11eは、提示手段11dにより借り手側クライアント装置31の画面上に提示された農機具情報の一覧の中から、借り手側農家30によりレンタルする農機具を選択させ(【0030】)、
管理センタ10は、選択手段11eにより選択された農機具を手配して、借り手側農家30にレンタルするものであって(【0031】)、
農機具情報DB12に登録された農機具情報テーブルは、農機具固有の登録番号41、農機具名称42、農機具の型式43、農機具の年式44、農機具の主要性能45、農機具のレンタル料46、農機具保有元(農機具の保有農家)47等を有しており、これらの登録項目以外にも保守履歴を付与することができ(【0040】)、
農機具の所在地を農機具情報として管理することができる(【0031】)、
農機具レンタル方法。」

(2)甲第2号証の記載事項及び甲2発明
ア 甲第2号証の記載事項
甲第2号証(特開2011−209960号公報)には、次の事項が記載されている。
「【0007】
また、カーシェアリングでは、レンタカーなどと異なり、自動車の返却時にサービス提供者による車内チェックや清掃が常に行われるわけではないため、自動車の使用状態(綺麗度)は、各会員のマナーによるところが大きい。そのため、例えば、予約画面でリスト上位に表示された自動車を、それほど綺麗好きではない会員が予約し、その後、綺麗好きな会員が続けて予約したような場合には、綺麗好きな会員は、利用後の自動車を見て自動車が汚れていると感じ、カーシェアリングのサービス自体に不快感をもってしまう可能性がある。また、予約画面でリスト上位に表示された自動車に予約が集中すると、当該自動車の使用状態(綺麗度)は低下しやすいため、自動車の車内整備・清掃などについて会員からクレームが出やすいという問題もある。」

「【0021】
【図1】予約システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】会員マスタのデータ構造の一例を表す図である。
【図3】会員お気に入り情報マスタのデータ構造の一例を表す図である。
【図4】車両マスタのデータ構造の一例を表す図である。
【図5】ステーションマスタのデータ構造の一例を表す図である。
【図6】車両整備マスタのデータ構造の一例を表す図である。
【図7】車種マスタのデータ構造の一例を表す図である。
【図8】予約DBのデータ構造の一例を表す図である。
【図9】予約処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】第1最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】第1最適化処理における画面構成の一例を示す図である。
【図12】第1最適化処理における画面構成の一例を示す図である。
【図13】第2最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】第2最適化処理における画面構成の一例を示す図である。
【図15】第3最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】第3最適化処理における画面構成の一例を示す図である。
【図17】第4最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図18】第4最適化処理における画面構成の一例を示す図である。
【図19】第5最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図20】第5最適化処理における画面構成の一例を示す図である。
【図21】第6最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図22】第6最適化処理における画面構成の一例を示す図である。
【図23】第7最適化処理の流れの一例を示すフローチャートである。」

「【0023】
[カーシェアリング予約システムの概略構成]
図1は、本実施形態におけるカーシェアリング予約システム(以下、「予約システム」という。)の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、予約システム100は、予約サーバ1と、ユーザ端末装置2と、車載機3とを主に備えている。」

「【0026】
[予約サーバ]
次に、予約サーバ1の機能について詳細に説明する。同図に示すように、予約サーバ1は、通信手段11、予約条件受付手段12、車両リスト作成手段13、車両リスト最適化手段14、画面表示制御手段15、予約登録手段16、マスタ管理手段17、マスタDB(マスタ情報記憶手段)18、予約DB(予約情報記憶手段)19等の機能実現手段を含んでいる。なお、予約サーバ1は、CPU、ROM、RAM、HDD、ユーザインタフェース、ディスプレイ、および通信インタフェース等のハードウェアを備える汎用又は専用のコンピュータにより構成することができ、例えば、CPUが、メモリに記憶された所定のプログラムを実行することにより、上記機能実現手段として機能する。なお、予約サーバ1は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成されるものであってもよい。
【0027】
通信手段11は、通信ネットワークNを介してユーザ端末装置2や車載機3等に対して所定の情報を入出力可能に構成されており、例えばTCP/IPドライバ等の通信モジュールを備えている。
【0028】
予約条件受付手段12は、カーシェアリングの対象となる車両をユーザが予約するための予約条件を受け付ける機能を有する。具体的には、予約条件受付手段12は、ユーザの操作に基づいてユーザ端末装置2より送信される予約条件を受け付ける。なお、車載機3などから予約条件が送信される場合は、これを受け付けることもできる。予約条件の内容は、設計に応じて適宜設定することができるが、例えば、住所情報(利用場所)、希望利用開始日時、希望利用終了日時などが該当する。なお、住所情報は、車両が配備された場所(ステーションなど)を特定可能な情報であればよく、例えば、都道府県情報や市区町村情報などが該当する。また、希望利用開始日時から希望利用終了日時までの期間を希望利用期間ともいう。
【0029】
車両リスト作成手段13は、予約条件受付手段12が受け付けた予約条件に合致する車両の情報をマスタDB18及び予約DB19から抽出して車両リストを作成(作成)する機能を有する。車両リストの内容は、設計に応じて適宜設定することができるが、例えば、車両情報(車両ID、車両ナンバー、車両カラー、車種名等)と、当該車両の予約情報(予約済み日時)などが該当する。具体的には、車両リスト作成手段13は、予約条件が住所情報、予約開始日時及び予約終了日時である場合、当該住所情報に合致するステーション(以下、「利用ステーション」という。)情報をマスタDB18のステーションマスタから検索して特定し、当該利用ステーションに配備されている車両(以下、「配備車両」という。)の車両情報をマスタDB18の車両マスタや車種マスタから検索して特定する。また、検索日時条件として、検索開始日時に「希望利用開始日時」を設定し、検索終了日時に「希望利用終了日時」を設定する。そして、当該検索日時条件に合致する配備車両の予約情報を予約DBから抽出する。これにより、利用ステーションの配備車両の車両情報と、利用開始/終了日時における当該配備車両の予約状況が取得され、車両リストが作成される。
【0030】
車両リスト最適化手段14は、車両リスト作成手段13により作成された車両リストの情報をカーシェアリング用に最適化する機能を有する。車両リストの最適化は、具体的には、カーシェアリングの実情に鑑みて設定される各種条件に従って車両リストを並び替えることにより行う。ここで、車両リストを並び替えるソート条件について特に限定はないが、本実施形態では、稼働率の均等化を図るための第1のソート条件、ガソリン不足による利便性低下防止を図るための第2のソート条件、予約可能な車両の特定を容易にするための第3のソート条件、利用者の嗜好に応じた車両選択を容易にするための第4のソート条件、利用者の性格に応じた車両選択を容易にするための第5のソート条件、車両の使用状態等に対するクレーム防止を図るための第6のソート条件などが含まれる。なお、これらのソート条件に基づく車両リストの最適化の詳細については、後述する。
【0031】
画面表示制御手段15は、カーシェアリング予約処理に係る画面がユーザ端末装置2のディスプレイに表示されるように制御する機能を有する。表示制御の対象となる画面は、特にその内容に限定はないが、例えば、予約条件を受け付けるための予約条件受付画面や、車両リストを含む予約登録画面などが該当する。なお、画面表示制御手段15は、ユーザ端末装置2のディスプレイに限られず、車載機3などが有するディスプレイにも画面を表示するように制御することができる。」

「【0034】
マスタDB18は、カーシェアリングに関する各種マスタ情報を格納する記憶手段であり、データベースとしての機能を有する。マスタDB18は、その内容に特に限定はないが、例えば、会員情報を保持するマスタとして、会員マスタと会員お気に入り情報マスタを有する。また、車両情報を保持するマスタとして、車両マスタ、ステーションマスタ、車両整備マスタ、車種マスタを有する。なお、後述するマスタDB18や予約DB19のデータ構成は、その内容に特に限定はなく、仕様に応じて、項目の追加・変更・削除をすることができる。また、同図に示すようなデータ構造は、例えばリレーショナルデーターベース等の従来のデータベース技術を用いて構成することができる。」

「【0037】
図4は、車両マスタのデータ構造の一例を表す図である。車両マスタは、カーシェアリングの対象となる車両に関する情報を格納するものであり、そのデータ構造に特に限定はないが、例えば、車両を一意的に識別する識別情報を格納する「車両ID」、車両のナンバーを格納する「車両ナンバー」、車両の車種の識別情報を格納する「車種ID」、車両のカラーを格納する「カラー」、車両が配備される配備ステーション(配備場所)の識別情報を格納する「配備ステーションID」、車両の積算走行距離を格納する「積算走行距離」、車両の燃料残量としての燃料電圧を格納する「現在燃料電圧」、車両の登録日を格納する「車両登録日」などのデータ項目を有する。」

「【0039】
図6は、車両整備マスタのデータ構造の一例を表す図である。車両整備マスタは、カーシェアリングの対象となる車両の整備に関する情報を格納するものであり、そのデータ構造に特に限定はないが、例えば、車両の期間設定の識別情報を格納する「車両期間ID」、「車両ID」、車両の期間設定区分を格納する「車両期間設定区分」、車両期間の適用開始日を格納する「適用開始日」、車両期間の適用終了日を格納する「適用終了日」などのデータ項目を有する。」

「【0045】
[カーシェアリング予約処理の流れ]
図9〜図23を参照して、本実施形態に係る予約サーバによるカーシェアリング予約処理について説明する。なお、後述するフローチャートに示す各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。また、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0046】
前提として、ユーザ端末装置2は、ユーザの操作に基づいて予約サーバ1にアクセスし、カーシェアサイト画面をディスプレイに表示する。そして、ユーザよりログイン情報が入力された場合は、入力されたログイン情報を予約サーバ1に送信する。
【0047】
予約サーバ1は、ユーザ端末装置2から送信されたログイン情報を受け付けると、ログイン処理を実行する(S101)。ログイン処理は、例えば、ログイン情報に含まれる会員ID及びパスワードを、会員マスタに格納される会員ID及びパスワードと照合することにより行う。
【0048】
ログインが成功した場合(S102;Yes)、予約条件選択画面データがユーザ端末装置2に送信される。ユーザ端末装置2は、予約条件選択画面データに基づく画面をディスプレイに表示し、ユーザより予約条件が入力されると、入力された予約条件を予約サーバ1に送信する。予約条件受付手段12は、ユーザ端末装置2から送信される予約条件を受け付ける(S103)。予約条件には、例えば、住所情報(例えば、都道府県CDと市区町村CD)と希望利用開始日時及び希望利用終了日時が含まれている。
【0049】
車両リスト作成手段13は、予約条件に含まれる住所情報に対応する利用ステーションをステーションマスタから抽出する(S104)。そして、抽出した利用ステーションに配備されている配備車両の情報を車両マスタと車種マスタから抽出する(第1抽出結果)(S105)。具体的には、都道府県CDと市区町村CDを有するステーションIDをステーションマスタから抽出し、抽出したステーションIDを有する車両ID、車両ナンバー、車両カラー、車種IDを車両マスタから抽出し、当該車種IDに該当する車種名を車種マスタから抽出する。
【0050】
また、車両リスト作成手段13は、検索日時条件を設定する(S106)。検索日時条件の設定は、例えば、検索開始日時に「予約開始日時」を設定し、検索終了日時に「予約終了日時」を設定することにより行う。そして、予約DBから、配備車両の車両IDと検索日時条件に合致する予約データを抽出する(第2抽出結果)(S107)。
【0051】
車両リスト作成手段13は、第1抽出結果と第2抽出結果とに基づいて、車両リストを作成する(S108)。車両リストには、例えば、第1抽出結果である車両情報(車両ID、車種名、車両ナンバー、車両カラー)と、第2抽出結果である予約情報(予約日時)が含まれる。
【0052】
車両リストが作成されると、車両リスト最適化手段14は、カーシェアリング用に当該車両リストを最適化するための最適化処理を実行する(S109)。なお、最適化処理の詳細については、後述する。
【0053】
画面表示制御手段は、最適化された車両リストの情報を含む予約登録画面データをユーザ端末装置2へ送信し、ユーザ端末装置2は、予約登録画面データに基づく予約登録画面をディスプレイに表示する(S110)。ユーザが、予約登録画面に表示された車両リストから所望の車両を選択して予約を指示すると、ユーザ端末装置2は、選択された車両の車両ID、希望利用開始日時、希望利用終了日時、会員ID等を含む予約登録要求を予約サーバ1へ送信する。
【0054】
予約サーバ1の予約登録手段16は、予約登録要求を受け付けると、当該予約登録要求に基づいて予約情報を予約DBに登録する。
【0055】
次に、上記のように構成されるカーシェアリング予約処理における車両リストの最適化について第1最適化処理〜第7最適化処理を用いて説明する。」

「【0083】
[第6最適化処理]
次に、図21〜図22を用いて、カーシェアリングにおける車両の使用状態などに対するクレームを防止又は減少させるという観点から車両リストの最適化を実行する第6最適化処理について説明する。
【0084】
なお、前提として、各車両については、車両のメンテナンスや清掃が終了した時点で、所定の車両実績登録画面311(図22(A)参照)を介してメンテンナンス実績情報を登録している。具体的には、メンテンナンス実績情報は、各車両に搭載された車載機3から予約サーバ1へ送信され、マスタ管理手段17によって車両整備マスタに登録される。
【0085】
車両リスト最適化手段14は、車両リスト中の各車両の直近のメンテナンス終了日を各車両の車両IDに基づいて車両整備マスタから取得する(S801)。そして、ソート条件として、ソートキーに「メンテナンス終了日」かつソート順に「降順」を設定し(S802)、ソート条件に従って車両リストをソートする(S803)。
【0086】
図22(B)は、第6最適化処理の結果、ユーザ端末装置2に表示される予約登録画面の一例を示す図である。同図の車両リスト310では、メンテナンス終了日が新しい順にリスト表示されている。したがって、従来と同様にユーザがリスト上位に表示される車両を予約した場合には、メンテナンス終了日が新しい車両が選択されることになるので、車両の使用状態などに対するクレームを減少させることが可能になる。」

「【0087】
[第7最適化処理]
次に、図23を用いて、上記第1最適化処理(2)の変形例である第7最適化処理について説明する。第1最適化処理(2)では、稼働率の均等化を図るために積算走行距離をソート条件に設定したが、第7最適化処理は、積算走行距離に他の項目を加えた複合条件をソート条件に設定している。
【0088】
車両リスト最適化手段14は、各車両の積算走行距離を、各車両の車両IDに基づいて車両マスタから取得する(S901)。各車両の車種クラスを、各車両の車両IDに基づいて車種マスタから取得する(S902)。そして、第1ソート条件として「ソートキー=車種クラス、ソート順=昇順」、第2ソート条件として「ソートキー=車種名、ソート順=昇順」、第3ソート条件として「ソートキー=積算走行距離、ソート順=昇順」を設定し(S903)、ソート条件に従って車両リストをソートする(S904)。
【0089】
本実施形態では、車種クラスは、値が小さいほど料金が安価に設定されている。したがって、上記最適化処理によれば、車両リストは、料金が安価順(車種クラスが小さい順)であり、車種名順であり、かつ、走行距離が少ない順に表示されるので、ユーザがリスト上位に表示された車両に着目した場合には、安価な車両を容易に選択することができるとともに、同一ステーションに配備された複数車両間で稼働率の均等化を図ることが可能になる。」







段落【0045】、図1、図9より、甲第2号証に記載されたカーシェアリング予約システムを構成する予約サーバが行うカーシェアリング予約処理は、「予約サーバによるカーシェアリング予約方法」と捉えることができる。
そうすると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。

(甲2発明)
予約サーバ1と、ユーザ端末装置2と、車載機3とを主に備えているカーシェアリング予約システムの予約サーバ1によるカーシェアリング予約方法であって(【0023】、【0045】)、
予約サーバ1は、通信手段11、予約条件受付手段12、車両リスト作成手段13、車両リスト最適化手段14、画面表示制御手段15、予約登録手段16、マスタ管理手段17、マスタDB(マスタ情報記憶手段)18、予約DB(予約情報記憶手段)19等の機能実現手段を含み(【0026】)、
マスタDB18は、カーシェアリングに関する各種マスタ情報を格納する記憶手段であり、データベースとしての機能を有するものであり、車両情報を保持するマスタとして、車両マスタ、ステーションマスタ、車両整備マスタ、車種マスタを有し(【0034】)、
車両マスタは、カーシェアリングの対象となる車両に関する情報を格納するものであり、車両を一意的に識別する識別情報を格納する「車両ID」、車両のナンバーを格納する「車両ナンバー」、車両の車種の識別情報を格納する「車種ID」、車両のカラーを格納する「カラー」、車両が配備される配備ステーション(配備場所)の識別情報を格納する「配備ステーションID」、車両の積算走行距離を格納する「積算走行距離」、車両の燃料残量としての燃料電圧を格納する「現在燃料電圧」、車両の登録日を格納する「車両登録日」などのデータ項目を有し(【0037】)、
車両整備マスタは、カーシェアリングの対象となる車両の整備に関する情報を格納するものであり、車両の期間設定の識別情報を格納する「車両期間ID」、「車両ID」、車両の期間設定区分を格納する「車両期間設定区分」、車両期間の適用開始日を格納する「適用開始日」、車両期間の適用終了日を格納する「適用終了日」などのデータ項目を有し(【0039】)、
ユーザ端末装置2により、ユーザの操作に基づいて予約サーバ1にアクセスされ、カーシェアサイト画面がディスプレイに表示されてユーザよりログイン情報が入力されて、入力されたログイン情報が予約サーバ1に送信されると(【0046】)、
予約サーバ1は、ユーザ端末装置2から送信されたログイン情報を受け付け、ログイン処理を実行し(【0047】)、
ログインが成功した場合(S102;Yes)、予約条件選択画面データがユーザ端末装置2に送信され、ユーザ端末装置2には、予約条件選択画面データに基づく画面がディスプレイに表示され、ユーザより予約条件が入力され、予約条件が予約サーバ1に送信されると、予約条件受付手段12は、ユーザ端末装置2から送信される、例えば、住所情報と希望利用開始日時及び希望利用終了日時が含まれる予約条件を受け付け(【0048】)、
車両リスト作成手段13は、予約条件受付手段12が受け付けた予約条件に合致する車両の情報をマスタDB18及び予約DB19から抽出して車両リストを作成し(【0029】、【0049】〜【0051】)、
車両リストが作成されると、車両リスト最適化手段14は、カーシェアリング用に当該車両リストを、車両リスト中の各車両の直近のメンテナンス終了日を各車両の車両IDに基づいて車両整備マスタから取得し、ソート条件として、ソートキーに「メンテナンス終了日」かつソート順に「降順」を設定し、ソート条件に従って車両リストをソートする最適化処理を実行し(【0052】、【0085】)、
画面表示制御手段は、最適化された車両リストの情報を含む予約登録画面データをユーザ端末装置2へ送信し、ユーザ端末装置2において、予約登録画面データに基づく予約登録画面がディスプレイに表示され、ユーザにより、予約登録画面に表示された車両リストから所望の車両が選択されて予約が指示されると、ユーザ端末装置2により、選択された車両の車両ID、希望利用開始日時、希望利用終了日時、会員ID等を含む予約登録要求が予約サーバ1へ送信され(【0053】)、
予約サーバ1の予約登録手段16は、予約登録要求を受け付けると、当該予約登録要求に基づいて予約情報を予約DBに登録する(【0054】)、
カーシェアリング予約方法。

(2) 甲第3号証の記載事項及び甲3発明
ア 甲第3号証の記載事項
甲第3号証(特開2018−28850号公報)には、次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、個人間のカーレンタルを支援するシステムに関するものである。尚、この出願において、「カーレンタル」とは、「カーシェアリング」の名称で呼ばれる形態を含むものとする。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の個人間カーレンタル仲介サービスは、車やキーの受け渡しは個人間で行われるため、車の受け渡し場所の確保が必要であるという煩わしさがある。車を貸す個人オーナーは、ある程度の時間車を停められる場所を選定し、その場所を相手に伝え、両者が落ち合う必要がある。車の返却の際にはさらに面倒で、ユーザーが戻る時間を指定し、その時間に両者が落ち合うことになるが、その時間に遅れる場合もあり、オーナーはユーザーが帰着するまで待たなければならない。
【0005】
また、従来の個人間カーレンタル仲介サービスでは、予約と同時に保険加入がされ、保険には車両保険を含ませることができるものの、車が傷ついて帰着した場合、その傷がユーザーの責任なのかどうかの判断が難しい。車の受け渡しの際に当初からあった傷を両者が確認し、帰着の際、その傷以外の傷が新たに発生しているかどうか判断することになるが、第三者が介在していないので、トラブルになり易い。
【0006】
本願の発明は、従来の個人間カーレンタル仲介サービスにおける上記各問題を解決するために為されたものであり、貸す側にとっても借りる側にとっても煩わしさのない利用し易い個人間カーレンタルサービスを可能にするものであり、傷付き等の事故があった際にもトラブルにならないようにした個人間カーレンタルサービスを可能にすることを目的とする。」

「【発明の効果】
【0008】
以下に説明する通り、本願の請求項1記載の発明によれば、カーサービス場が車の受け渡し場所として利用されるので、オーナー又はユーザーが車の受け渡し場所を探す必要はなく、この点で利便性が高い。また、カーサービス場という第三者が間に入って車の貸し渡し時と帰着時に確認しているので、傷付き等の事故があった際にもトラブルになりくい。さらに、カーサービス場は、車の点検整備を日常的に行っている場所であるので、車の受け渡し仲介サービスの際に車の点検整備のサービスを行うことが容易である。オーナーにとっては、車の貸し出しの際についでに点検もしてもらえるので、一石二丁である。カーサービス場にとっても、車の受け渡し場所の提供、受け渡しや帰着の確認という簡単な業務の提供で仲介手数料が入るので、本来の業務にしわ寄せがいくようなことはなく効果的に売り上げを増大させることができる。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、支援サーバ経由で点検の要否がカーサービス場に連絡されるので、オーナーは点検の要否をカーサービス場に連絡する必要がなく、この点で便利である。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、点検整備の代金を車のレンタルの料金から差し引く精算プログラムが支援サーバに実装されているので、点検整備が行われた場合のオーナーへのレンタル料金の支払いが簡便となる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記効果に加え、一定期間内に同一の第一仲介業者によって行われた貸し渡し確認及び返却確認の業務の数を集計してその数に基づいて手数料を算出する手数料計算プログラムが支援サーバに実装されているので、第二仲介業者が第一仲介業者に手数料を支払うのが簡便となる。
また、請求項5記載の発明によれば、上記効果に加え、オーナーによるユーザー及びもしくはカーサービス場の評価、又はユーザーによるオーナー及びもしくはカーサービス場の評価が入力されて記録されるので、ユーザーがレンタルの予約の申し込みをしたりオーナーが予約の承諾をしたりする際に参考にすることができる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記効果に加え、貸し渡された車の位置情報をオーナーが閲覧できるので、ユーザーが当初に告知した方面への運行であるか等の確認が行える。」

「【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本願発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。図1は、第一の実施形態に係る個人間カーレンタル支援システムの概略図である。
図1に示す個人間カーレンタル支援システム(以下、支援システムと略称する。)は、個人間のカーレンタルを受け渡しする場所として、カーサービス場が想定されている。この実施形態において、カーサービス場とは、レンタルされる車の受け渡しすることが可能なスペースを有し、当該レンタルされる車及びそれ以外の車に対して点検整備のサービスを提供する施設を意味する。「点検整備」とは、車の各部を点検し、消耗品や部品の交換が必要であれば交換をし、修理が必要であれば修理をする作業を意味する。点検のみで終了する場合もあるし、点検の後に必要な交換や修理がされる場合もある。それら各ケースを含んで「点検整備」という。
【0011】
カーサービス場としては、新車を販売する会社(いわゆるディーラー)の営業所や、車の整備工場、修理工場、ガソリンスタンド等が該当する。これらは、車の点検整備のためのスペース、工具類、人員等を備えている。車の点検整備を行うことから、車の駐車スペースも備えており、このスペースが車の受け渡しのためのスペースとなり得る。尚、ガソリンスタンドの場合、セルフ式のガソリンスタンドであっても良く、コンビニに付設されたセルフ式のガソリンスタンドであっても良い。
【0012】
支援システムについて具体的に説明すると、図1に示すように、支援システムは、支援サーバ1を備えている。支援サーバ1は、ユーザー端末2、オーナー端末3及びカーサービス場端末4に対してネットワークを介して接続されている。ネットワークとしては、インターネット5が想定されている。ユーザー端末2は、車を借りることを希望するユーザーが操作する端末である。オーナー端末3は、レンタルされる車を保有する個人オーナーが操作する端末である。
【0013】
カーサービス場端末4は、カーサービス場の担当者が操作する端末である。カーサービス場の担当者とは、個人間カーレンタルにおける車の貸し渡しの確認及び車の返却の確認を行う担当者のことである。サービス場の担当者は、この他、車の点検整備を行う担当者である場合もあるが、車の点検整備は別の担当者によって行われても良い。これらのケースを含めて、「カーサービス場の担当者」と総称する。」

「【0015】
支援サーバ1は、ウェブサーバであり、Appacheのようなウェブサーバソフトウェアが実装されている。支援サーバ1は、記憶部11を備えている。記憶部11は、支援サーバ1が備えるハードディスクのような記憶装置の場合もあるし、支援サーバ1とは別に設けられたストレージサーバの場合もある。特に、後述するデータベースファイル群は容量が大きくなるので、別のサーバ上に記憶される場合が多い。」

「【0017】
図1に示すように、支援サーバ1は、第二仲介業者端末12に対してもネットワークを介して接続されている。第二仲介業者端末12は、第二仲介業者における担当者が操作する端末である。図1の例では、支援サーバ1が第二仲介業者のイントラネット10上に設置されており、第二仲介業者端末12がイントラネット10を介して支援サーバ1に接続されている。但し、第二仲介業者端末12は、インターネット5のような外部ネットワークを介して支援サーバ1に接続されている場合もある。
【0018】
支援サーバ1の記憶部11には、後述する各種ウェブページのためのHTMLファイル(符号省略)が記憶されている。各端末2,3,4,12から要求に従い、ウェブサーバソフトウェアがこれらのファイルを送信し、ウェブページを各端末2,3,4,12に表示する。
また、支援サーバ1の記憶部11には、各種のデータベースファイルが記憶されている。これらデータベースファイルには、ユーザー情報を記録したユーザー情報ファイル61、オーナー情報を記録したオーナー情報ファイル62、貸し出される車の情報を記録したカー情報ファイル63、カーサービス場の情報を記録したカーサービス場情報ファイル64、カーレンタルの予約情報を記録した予約情報ファイル65、カーレンタルの実績情報を記録した実績情報ファイル66が含まれる。」

「【0020】
図2は、カー情報ファイル63の構造の一例を示した概略図である。カー情報ファイル63は、レンタル対象の車の情報を記録したデータベースファイルである。
図2に示すように、カー情報ファイル63は、「オーナーID」、「カーID」、「車種」、「車名」、「年式」、「ナンバー」、「不可曜日」等の各フィールドから成る多数のレコードを記録したデータベースファイルである。「ナンバー」は、陸運局登録番号である。「不可曜日」は、貸し出しが出来ない曜日が入力されるフィールドである。また、「3時間」、「6時間」等の時間が名称になっている各フィールドは、当該時間のレンタル料金が記録されるフィールドである。
【0021】
また、カー情報ファイル63には、「サービス場ID」のフィールドが設けられている。このフィールドは、当該レンタル対象の車について登録されたカーサービス場のサービス場IDが記録されるフィールドである。この情報は、後述するように、支援システムが選択して登録する場合と、オーナーが選択して登録する場合とがある。
カー情報ファイル63は、支援システムを利用して貸し出しが行われる全ての車についての情報が記録される。したがって、カー情報ファイル63のレコード数は、登録されている車の台数に一致している。
尚、カー情報ファイル63には、車検に関する情報が記録される場合があり得る。例えば、車検の有効期限を記録するフィールドが設けられる。また、第二仲介業者は、車検証のコピーをオーナーから送ってもらうようにし、支援サーバ1に登録された情報が実際の情報と一致しているか確認する場合もあり得る。
【0022】
図3は、カーサービス場情報ファイル64の構造の一例を示した概略図である。カーサービス場情報ファイル64は、貸し出される車の受け渡し場所に利用されるカーサービス場の情報を記録したデータベースファイルである。具体的には、図3に示すように、カーサービス場情報ファイル64は、「サービス場ID」、「サービス場名称」、「種別ID」、「所在地」、「第一仲介業者ID」、「第一仲介業者名」、「担当者名」、「メールアドレス」等のフィールドから成るレコードを、登録されているカーサービス場の数だけ記録したデータベースファイルである。」

「【0027】
一方、支援サーバ1は、個人間カーレンタルの仲介サービスのためのウェブサイト(以下、仲介サイトと略称する。)を提供するものとなっている。仲介サイトのトップページには、“個人”、“カーレンタル”、“カーシェアリング”、“レンタカー”、等のキーワードが設定されており、検索サービスにおいてこれらのキーワードでヒットするようになっている。
図6は、仲介サイトのトップページの概略図である。図6に示すように、トップページには、実施形態の支援システムを利用して提供される個人間カーレンタルの仲介サービス(以下、単に仲介サービスという。)について説明したテキストやイメージに加え、「ユーザー登録」と表記されたボタン(以下、ユーザー登録ボタン)71、「オーナー登録」と表記されたボタン(以下、オーナー登録ボタン)72等が設けられている。」

「【0031】
図7は、カー情報登録ページの一例を示した概略図である。図7に示すように、カー情報登録ページには、レンタル対象の車の車種、車名、年式、ナンバー、色、総走行距離等の車情報の入力欄が設けられている。「車名」とは、車のブランド名である。さらに、不可曜日入力欄と、車をレンタルする際の料金を入力する料金入力欄とが設けられている。不可曜日入力欄は、貸し出しができない曜日を入力する欄であり、この例ではチェックボックスとなっている。オーナー自身が使用する等の事情により貸し出しができない曜日がここで指定される。料金入力欄は、幾つかの時間単位で入力するようになっており、例えば、3時間、6時間、9時間、12時間、24時間、36時間、48時間等の単位で入力するようになっている。
尚、不可曜日ではなく、レンタルが可能な曜日を入力させてカー情報ファイルに記録する構成が採用されることもあり得る。
また、料金入力欄における時間単位は、1時間単位のようにさらに細かい料金設定であってもよい。尚、料金については第二仲介業者で標準料金が設定され、それに基づいて入力がされる場合もあり得る。
【0032】
また、図7に示すように、カー情報登録ページには、「受け渡し場所入力」と表記された欄(以下、場所入力欄という。)が含まれている。この欄は、車の貸し出しの際に利用するカーサービス場を選定するための入力欄である。この実施形態では、オーナーが指定するカーサービス場を登録して利用する場合と、支援システム側で選定したカーサービス場を登録して利用する場合とがあり、いずれにするかをオーナーが選べるようになっている。」

「【0039】
次に、カーレンタルの予約のための構成について説明する。
図6に示すように、トップページには、ログインボタン76が設けられている。ログインボタン76にはログインページがリンクしており、ログインページでユーザーID及びパスワードが入力されると、ユーザートップページが表示されるようになっている。ログイン中、ユーザーIDはセッション情報としてCookie等で保持される。ユーザートップページには、「車検索」と表記されたボタン(以下、車検索ボタンという。)84が設けられており、車検索ボタン84には、車検索ページがリンクしている。
【0040】
図9は、車検索ページの一例を示した概略図である。図9に示すように、車検索ページには、開始日時、利用時間、車種等の入力欄と、希望する車の受け渡し場所(以下、希望場所という。)を入力する場所入力欄と、送信ボタン77とが設けられている。希望日及び開始時間は、貸し渡しの希望日時である。この例では、希望日はカレンダーコントロールで入力し、開始時間はプルダウンリストで時刻を選ぶようになっている。利用時間は、カーレンタルの時間であり、プルダウンリストにより例えば「3時間」、「6時間」、「12時間」、「24時間」等から選択されるものとなっている。さらに細かく分けられた時間から選択されることもある。場所入力欄は、ユーザーの自宅付近を選択するか、別の希望場所(自宅付近以外の場所)を選択する欄となっている。「別の希望場所」のボタンをクリックすると、全国の都道府県から市区町村を単位として選択する欄が別に表示され、そこから任意の市区町村を選択するようプログラミングされている。
【0041】
支援サーバ1には、車検索プログラムが実装されており、送信ボタン77は車検索プログラムの実行ボタンとなっている。図10は、車検索プログラムの概略を示したフローチャートである。
日付、時間、車種が入力され、場所入力欄で場所が入力されて送信ボタン77がタップされると、車検索プログラムが実行される。車検索プログラムは、入力された車種に従ってカー情報ファイル63を検索し、該当するレコードを全て抽出する。次に、抽出された各レコードにおけるサービス場IDを取得し、サービス場IDでカーサービス場情報ファイル64を検索し、その車について登録されているカーサービス場の所在地が希望場所から一定範囲内であるかどうか判断する。具体的には、希望場所としてユーザーの自宅付近が入力された場合、カーサービス場の所在地がユーザーの住所と同一の市区町村又は近隣の市区町村であるかどうか判断する。また、自宅とは別の市区町村が選択された場合も同様で、選択された市区町村と同一又は隣接の市区町村にカーサービス場の所在地があるかどうか判断する。
【0042】
図10に示すように、車検索プログラムは、当該カー情報ファイル63のレコードに記録されているサービス場IDが同一又は隣接の市区町村にあるカーサービス場のものである場合、そのレコードのカーIDによって予約情報ファイル65を検索する。そして、そのカーIDに一致するIDのレコードがあるかどうか判断し、ある場合には、「受け渡し予定日時」の値と「帰着予定日時」の値とを参照し、車検索ページで入力された日時が重なるかどうか判断する。重ならなければ、ヒットした車情報として当該カーIDをメモリ変数に格納する。
車検索プログラムは、車種検索でヒットした全てのカー情報ファイル63のレコードについて同様の処理を繰り返し、カーサービス場が希望場所から一定の範囲内にあり、且つ予約が重なっていない車のレコードを全て抽出する。そして、抽出した全ての車の情報をリストにして検索結果としてユーザー端末2に送信し、ユーザー端末2に表示させる。
【0043】
図11は、車検索プログラムの実行結果の一例を示した概略図である。図11に示すように、車検索プログラムが実行されると、ヒットした車の情報が、「車種」、「車名」、「年式」、「料金(円)」、「受け渡し場所名」、「受け渡し場所所在地」等の項目で表示される。
図11に示すように、リストの各行には、「予約する」と表記されたコマンドボタン(以下、予約ボタン)78が設けられている。支援サーバ1の記憶部11には、予約ページ用のHTMLファイルが記憶されており、予約ボタン78は予約ページにリンクしている。
【0044】
図12は、予約ページの一例を示した概略図である。図12に示すように、予約ページでは、検索ページで入力された各情報が確認のため表示される。これらは、グローバル変数として保持され、予約ページに組み込まれて表示される。
予約ページには、「予約を申し込む」と表記されたボタン(以下、申し込みボタンという。)79が設けられている。支援サーバ1には、予約申し込みプログラムが実装されており、申し込みボタン79は予約申し込みプログラムの実行ボタンとなっている。
予約申し込みプログラムは、支援サーバ1上に承諾入力ページを自動生成し、そのURLをハイパーリンクの状態で電子メールに組み込んでオーナー端末3に送信するプログラムとなっている。
【0045】
具体的に説明すると、予約申し込みプログラムは、予約ページで入力された情報とカーIDとを引数にして実行される。予約申し込みプログラムは、予約情報ファイル65に新しいレコードを追加し、予約ページで入力された情報を記録して登録する。ここでの登録は、仮の登録であり、「オーナー承諾」のフィールドはデフォルト値として偽値が入力される。そして、オーナーによる承諾がされなかった場合、即ち、一定期間内に「オーナー承諾」のフィールドが真値に切り替わらなかった場合、当該レコードは削除される。
【0046】
また、予約申し込みプログラムは、予約ページで入力された情報をウェブページのテンプレートファイルに組み込んで承諾入力ページのHTMLファイルとそのURLを自動生成する。承諾入力ページのHTMLファイルは、支援サーバ1の記憶部11に記憶される。
さらに、予約申し込みプログラムは、カーIDによりカー情報ファイル63を検索し、該当するレコードからオーナーIDを取得する。そして、オーナーIDによりオーナー情報ファイル62を検索し、該当するレコードから電子メールアドレスを取得する。そして、予約ページに入力された情報を、予め作成されるメールフォームに組み込んで電子メール(以下、承諾問い合わせメールという。)を自動生成し、取得した電子メールアドレスに送信する。これで、予約申し込みプログラムは終了である。
【0047】
図示は省略するが、予約申し込みプログラムによりオーナーに対して送信された承諾問い合わせメールには、予約が申し込まれたので、URL(ハイパーリンク)をクリックして承諾入力ページで承諾の有無を入力して欲しい旨が記載されている。
図13は、承諾入力ページの一例を示した概略図である。図13に示すように、承諾入力ページには、予約ページで入力された各情報が表示される。また、承諾入力ページには、車の点検の要否に関する入力欄(点検要否入力欄)が設けられる。点検要否入力欄は、この例では、「簡易点検」、「法定点検12ヶ月」、「法定点検24ヶ月」のいずれかを選ぶラジオボタンとなっている。「簡易点検」は、タイヤのエアチェック、エンジンオイルのチェック等の最低限の点検を行うことを意味している。デフォルトは「簡易点検」であり、この実施形態では簡易点検が標準のサービスとして提供されるようになっている。
【0048】
図13に示すように、承諾入力ページには「承諾する」と表記されたコマンドボタン(以下、承諾ボタンという。)80が設けられている。支援サーバ1には、予約確定プログラムが実装されており、承諾ボタン80は予約確定プログラムの実行ボタンとなっている。
予約確定プログラムは、予約IDを引数にして実行されるようになっており、予約確定プログラムは、予約IDで予約情報ファイル65を検索し、該当するレコードの「オーナー承諾」のフィールドを真値に変更する。また、点検要否入力欄で入力された値を、「点検要否」のフィールドに記録する。
【0049】
支援サーバ1には、予約確定プログラムのサブルーチンとして、ユーザー側予約確認メール送信モジュール及びオーナー側予約確認メール送信モジュールが実装されている。予約確定プログラムは、予約情報ファイル65への情報記録の後、ユーザー側予約確認メール送信モジュール、オーナー側予約確認メール送信モジュール及びサービス場側予約確認メール送信モジュールを実行すると、終了である。
尚、上記説明から解るように、予約確定プログラム及びそのサブルーチンは、実施形態において点検要連絡プログラムを構成するものとなっている。」

「【0057】
尚、いずれの支払い方法の場合でも、支払い先は第二仲介業者の口座となっている。即ち、この実施形態では、カーレンタルの料金は、第二仲介業者が代位受領するものとなっている。第二仲介業者は、受領した料金から自身の手数料を差し引いてオーナーに支払いをする。
また、ユーザーが支払う料金の一部は、第一仲介業者の手数料となっており、第二仲介業者が代位受領する料金にはこの手数料も含まれている。この手数料は、車の受け渡し場所の提供及び受け渡しのサービス(傷等の有無のチェックを含む)に対する対価である。第二仲介業者は、ユーザーが支払った料金からこの第一仲介業者の手数料も差し引いてオーナーに支払う。このためのプログラム(以下、精算プロプログラムという。)が支援サーバ1に実装されている。」





段落【0012】、【0041】、【0044】、【0048】より、甲3に記載されたカーレンタルを支援するシステムにおける支援サーバ1において、車検索プログラム、予約申し込みプログラム、及び、予約確定プログラムが行う一連の検索処理、予約申し込み処理、予約確定処理は、全体として「支援サーバにおけるカーレンタル支援方法」と捉えることができる。

イ 甲3発明
上記アの記載を総合すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されているといえる。

(甲3発明)
個人間のカーレンタルを支援するシステムにおける、ユーザー端末、オーナー端末及びカーサービス場端末に対してネットワークを介して接続されている支援サーバにおけるカーレンタル支援方法であって(【0001】、【0012】、【0041】、【0044】、【0048】)、
支援サーバ1の記憶部11には、各種のデータベースファイルが記憶され、これらデータベースファイルには、ユーザー情報を記録したユーザー情報ファイル61、オーナー情報を記録したオーナー情報ファイル62、貸し出される車の情報を記録したカー情報ファイル63、カーサービス場の情報を記録したカーサービス場情報ファイル64、カーレンタルの予約情報を記録した予約情報ファイル65、カーレンタルの実績情報を記録した実績情報ファイル66が含まれるものであり(【0018】)、
カー情報ファイル63は、支援システムを利用して貸し出しが行われる全ての車についての情報が記録されるものであって、「オーナーID」、「カーID」、「車種」、「車名」、「年式」、「ナンバー」、「不可曜日」等の各フィールドから成る多数のレコードを記録したデータベースファイルであり、車検に関する情報が記録される場合があり得るものであって、例えば、車検の有効期限を記録するフィールドが設けられるものであり、また、当該レンタル対象の車について登録されたカーサービス場のサービス場IDが記録されるフィールドである「サービス場ID」のフィールドが設けられており(【0020】、【0021】)、
カーサービス場情報ファイル64は、「サービス場ID」、「サービス場名称」、「種別ID」、「所在地」、「第一仲介業者ID」、「第一仲介業者名」、「担当者名」、「メールアドレス」等のフィールドから成るレコードを、登録されているカーサービス場の数だけ記録したデータベースファイルであり(【0022】)、
支援サーバ1はウェブサーバであり(【0015】)、
カーレンタルの予約のための構成について、トップページには、ログインボタン76が設けられており、ログインボタン76にはログインページがリンクしており、ログインページでユーザーID及びパスワードが入力されると、ユーザートップページが表示されるようになっており、ユーザートップページには、「車検索」と表記されたボタン(以下、車検索ボタンという。)84が設けられており、車検索ボタン84には、車検索ページがリンクしており(【0039】)、
車検索ページには、開始日時、利用時間、車種等の入力欄と、希望する車の受け渡し場所を入力する場所入力欄と、送信ボタン77とが設けられ、支援サーバ1には、車検索プログラムが実装されており、送信ボタン77は車検索プログラムの実行ボタンとなっており、日付、時間、車種が入力され、場所入力欄で場所が入力されて送信ボタン77がタップされると、車検索プログラムが実行され、入力された車種に従ってカー情報ファイル63を検索し、該当するレコードを全て抽出し、抽出された各レコードにおけるサービス場IDを取得し、サービス場IDでカーサービス場情報ファイル64を検索し、その車について登録されているカーサービス場の所在地が希望場所から一定範囲内であるかどうか判断するものであり、車検索プログラムは、当該カー情報ファイル63のレコードに記録されているサービス場IDが同一又は隣接の市区町村にあるカーサービス場のものである場合、そのレコードのカーIDによって予約情報ファイル65を検索し、そのカーIDに一致するIDのレコードがあるかどうか判断し、ある場合には、「受け渡し予定日時」の値と「帰着予定日時」の値とを参照し、車検索ページで入力された日時が重なるかどうか判断し、重ならなければ、ヒットした車情報として当該カーIDをメモリ変数に格納し(【0040】、【0041】、【0042】)、
車検索プログラムは、車種検索でヒットした全てのカー情報ファイル63のレコードについて同様の処理を繰り返し、カーサービス場が希望場所から一定の範囲内にあり、且つ予約が重なっていない車のレコードを全て抽出する。そして、抽出した全ての車の情報をリストにして検索結果としてユーザー端末2に送信し、ユーザー端末2に表示させるものであり(【0042】)、
車検索プログラムが実行されると、ヒットした車の情報が、「車種」、「車名」、「年式」、「料金(円)」、「受け渡し場所名」、「受け渡し場所所在地」等の項目で表示され、リストの各行には、「予約する」と表記されたコマンドボタン(以下、予約ボタン)78が設けられている。支援サーバ1の記憶部11には、予約ページ用のHTMLファイルが記憶されており、予約ボタン78は予約ページにリンクしており(【0043】)、
予約ページでは、検索ページで入力された各情報が確認のため表示され、予約ページには、「予約を申し込む」と表記されたボタン(以下、申し込みボタンという。)79が設けられており、申し込みボタン79は支援サーバの予約申し込みプログラムの実行ボタンとなっており(【0044】)、
予約申し込みプログラムは、予約情報ファイル65に新しいレコードを追加し、予約ページで入力された情報を記録して登録するものであり、また、予約申し込みプログラムは、予約ページで入力された情報をウェブページのテンプレートファイルに組み込んで承諾入力ページのHTMLファイルとそのURLを自動生成し、承諾入力ページのHTMLファイルは、支援サーバ1の記憶部11に記憶され、さらに、予約申し込みプログラムは、カーIDによりカー情報ファイル63を検索し、該当するレコードからオーナーIDを取得し、オーナーIDによりオーナー情報ファイル62を検索し、該当するレコードから電子メールアドレスを取得し、予約ページに入力された情報を、予め作成されるメールフォームに組み込んで電子メール(以下、承諾問い合わせメールという。)を自動生成し、取得した電子メールアドレスに送信するものであり(【0045】、【0046】)、
予約申し込みプログラムによりオーナーに対して送信された承諾問い合わせメールには、予約が申し込まれたので、URL(ハイパーリンク)をクリックして承諾入力ページで承諾の有無を入力して欲しい旨が記載されており、承諾入力ページには「承諾する」と表記されたコマンドボタン(以下、承諾ボタンという。)80が設けられており、承諾ボタン80は予約確定プログラムの実行ボタンとなっており、予約確定プログラムは、予約IDで予約情報ファイル65を検索し、該当するレコードの「オーナー承諾」のフィールドを真値に変更するものであり(【0047】、【0048】)、
支援サーバ1には、予約確定プログラムのサブルーチンとして、ユーザー側予約確認メール送信モジュール及びオーナー側予約確認メール送信モジュールが実装されており、予約確定プログラムは、予約情報ファイル65への情報記録の後、ユーザー側予約確認メール送信モジュール、オーナー側予約確認メール送信モジュール及びサービス場側予約確認メール送信モジュールを実行する(【0049】)、
カーレンタル支援方法。」

(3) 甲第4号証の記載事項
甲第4号証(特開2018−73002号公報)には、次の事項が記載されている。

「【0011】
[実施形態1]
図1は管理システム1及び自転車2の外観を示す図である。管理システム1は、ポートと呼ばれる駐輪設備で自転車2を貸し出すサービスにおいて用いられる。駐輪設備は、離れた場所に複数設けられてよい。これにより、ユーザは、借用した自転車を借用した場所と異なる場所で返却することが可能である。管理システム1は提示部15を有し、当該提示部15を介して、管理システム1を利用するユーザに各種情報を提示する。」

「【0015】
管理システム1は送電部11、取得部12、入力部13、コントローラ14、提示部15及び通信部16を有する。」

「【0019】
コントローラ14は、一つまたは複数のプロセッサを含む。コントローラ14又はプロセッサは、種々の処理のためのプログラム及び演算中の情報を記憶する1または複数のメモリを含んでよい。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが含まれる。メモリには、プロセッサと独立しているメモリ、及びプロセッサの内蔵メモリが含まれる。プロセッサには、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、特定の処理に特化した専用のプロセッサが含まれる。専用のプロセッサには、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)が含まれる。プロセッサには、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)が含まれる。PLDには、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が含まれる。コントローラ14は、一つまたは複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、及びSiP(System In a Package)のいずれかであってよい。」

「【0028】
管理システム1の取得部12は、任意の時点で、駐輪されている自転車2からバッテリに関する情報を取得する。バッテリに関する情報は、例えば第1バッテリ23のバッテリ残量を示す情報を含む。管理システム1のコントローラ14は、出発地の駐輪設備に駐輪されている自転車2のそれぞれにつき、バッテリ残量が閾値以上か否かを判定する。閾値は例えば満充電の80%であるが任意に設定可能である。コントローラ14は送電部11を制御して、バッテリ残量が閾値未満の情報端末2aに対して、電波による送電を行う。コントローラ14は、通信部16を制御して、電波による通信を行う。具体的にはコントローラ14は、通信部16を制御して自転車2から、バッテリに関する情報又は自転車に関する情報等を取得する。
【0029】
自転車に関する情報は、例えば、自転車の外観画像、識別番号、稼働年数、過去の走行距離、整備年月日、色及び種別(日常生活用、又は、高速走行用等)、バッテリ残量[%]、バッテリ残量に基づいて算出される走行可能距離、バッテリ残量に基づいて算出される推定稼働時間、及びバッテリの充放電回数等を含んでよい。自転車に関する情報は、管理システム1のメモリ又は対応する自転車2のメモリにおいて関連付けて記憶されている。」

「【0031】
出発地の駐輪設備における管理システム1のコントローラ14は、入力部13を介して、自転車2の貸し出し要求を示すユーザ操作を受け付けると、ユーザ認証を実行する。ユーザ認証の後、コントローラ14は、第1バッテリ23のバッテリ残量が最大の自転車2を特定し、図4に示すように提示部15に提示させる。具体的にはコントローラ14は、特定された自転車に関する情報B1を提示部15に提示する。」

「【0050】
[実施形態5]
実施形態1では、コントローラ14は、貸し出し可能な自転車2を特定して、当該特定された自転車2に関する情報を提示部15に提示させる。実施形態5ではコントローラ14は、駐輪されている自転車2の台数とバッテリに関する情報とを管理サーバに送信する。管理サーバは複数の管理システム1から自転車2の台数とバッテリに関する情報とを受信して記憶する。自転車2の借用を所望するユーザは、駐輪設備から離れている任意の場所、例えば自宅において、自身が携帯するユーザ端末を操作して自転車の貸し出しサービスを受けるための専用アプリケーションを起動し、管理サーバに接続する。このときユーザ端末は、管理サーバから、貸し出し可能な自転車2に関する情報と、貸し出し可能な自転車2が駐輪されている駐輪設備の位置情報とを受信し、ユーザ端末の表示部に表示させる。これによりユーザは、駐輪設備にいなくても、いずれの駐輪設備に行けば自転車2を借用することができるかを認識することができる。」



(4) 甲第5号証の記載事項
甲第5号証(特開2018−92630号公報)には、次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、主にガソリンスタンドの車両整備における情報管理に係る、車両整備情報管理システム、車両整備情報管理システムの制御方法、車両整備情報管理システムのプログラム及び記録媒体に関する。」

「【0045】
次に、車両整備情報管理システムにおいて、対象となる車両の点検結果情報を管理する点検結果管理情報130について、図13に従って説明する。点検結果管理情報130は、点検結果管理情報の情報を格納する点検結果管理情報欄131、点検結果管理情報の管理情報を格納する点検結果管理欄132、個別の点検結果管理情報を示す、点検結果欄13301、対応内容欄13302、次回車検欄13303、中間対応欄13304、・・・、等を備えている。また、点検結果管理欄132は、内容欄1320、実施法定点検項目欄1321、実施装置欄1322、実施詳細欄1323、・・・等、実施法定点検項目欄1321は、かじ取り装置欄13211、制動装置欄13212、・・・、等を、さらに、実施詳細欄1323は、ハンドル欄132111、ギヤ欄132112、・・・、車輪欄132121、パワステ欄132122、・・・、等とを、さらに備えて構成される。なお、点検結果管理情報130は、例えば管理装置DB21に格納されたプログラムに従って管理装置サーバ22により、関連する情報から算出した情報、または、管理出力装置23のディスプレイに表示する点検結果管理情報設定画面(図示せず)に従って、例えば管理システム20の管理入力装置24のキーボードから操作者により入力された情報を、管理装置DB21に格納されたプログラムに従い、管理装置サーバ22により、管理装置DB21上に格納するものとする。また、点検結果管理情報設定画面(図示せず)は、点検結果管理情報130と同一形式を有するものとする。さらに、必要に応じて、点検結果管理情報130の内容に従った点検結果管理情報表示画面(図示せず)を、例えば管理システム20の管理出力装置23、店舗システム30の店舗出力装置33に表示するものとする。なお、点検結果管理情報130は、店舗システム30側で入力、メモリ等に格納してもかまわない。また、管理システム20側で入力、格納した情報を、例えばネットワーク10を介して、店舗システム30側に送信してもかまわないし、店舗システム30側で入力、格納した情報を、管理システム20側に送信してもかまわない。
【0046】
次に、点検結果管理情報130に格納する情報について説明する。まず、点検結果管理情報欄131には、例えば店舗番号が01、点検を実施した年月日が2016年1月1日で、該当する車両の車番が品川 ・・・、車マスタ番号が0001、管理番号が160101−・・・であった場合、例えば「点検結果管理情報 店舗No.01 年月日:2016.01.01 車番:品川・・・ 車マスタ:0001 管理No.160101−・・・」という情報を格納する。また、点検結果管理欄132の、内容欄1320には例えば「内容」、実施法定点検項目欄1321には例えば「実施法定点検項目」、実施装置欄1322の、かじ取り装置欄13211には例えば「かじ取り装置」、制動装置欄13212には例えば「制動装置」、・・・、等、実施詳細欄1323の、ハンドル欄132111には例えば「ハンドル」、ギヤ欄132112には例えば「ギヤ」、・・・、等、制動装置欄13212の、車輪欄132121には例えば「車輪」、パワステ欄132122には例えば「パワステ欄」、・・・、等の情報をそれぞれ格納する。さらに、内容欄1320の、点検結果欄13301には例えば「点検結果」、対応内容欄13302には例えば「対応内容」、次回車検欄13303には例えば「次回車検」、中間対応欄13304には例えば「中間対応」、・・・、等の情報をそれぞれ格納する。次に、具体的な情報の格納について説明する。例えば、情報管理No.160101−・・・により管理される、店舗No.01において、2016年1月1日に実施された、車番が品川・・・ 、車マスタ番号が0001である車両点検結果に関し、かじ取り装置のハンドルは合格、ギヤは問題有り、・・・、制御装置の車輪は不合格であった場合、点検結果欄13301の、ハンドル欄132111には例えば「〇」、ギヤ欄132112には例えば「△」、・・・、車輪欄132121には例えば「×」、・・・、等の情報をそれぞれ格納する。以下同様に、対応内容欄13302、次回車検欄13303、中間対応欄13304、・・・、等にも、例えば今回の車検期日から次回車検期日までの間に行う点検項目等と該当する点検結果とを格納するものとする。なお、点検結果管理情報130には、法定点検項目だけでなく、他の点検項目をも含むもとして、例えば、車両の搭載されているコンピュータ制御において記録されている、エンジン、ブレーキ、バッテリ等に関する過去情報を専用装置(図示せず)等によって吸い上げて、この情報を格納してもかまわない。また、中間対応欄13304の内容に関し、すでに点検結果管理情報欄131に格納された車番の車両が店舗を訪れた時点で、中間対応に関し、例えば店舗従業員から顧客に説明してもかまわない。さらに、車検を行った後に、上記中間対応欄13304に格納した点検内容を日程とともに一覧表(図示せず)等にまとめ、顧客に説明し、顧客の意向、同意に従い、上記点検項目について、例えば該当する店舗において順次対応するよう、顧客との間で例えば契約した場合には、その情報についても、中間対応欄13304に格納してもかまわない。」

(5) 甲第6号証の記載事項
甲第6号証(特開2005−346170号公報)には、次の事項が記載されている。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、中古車輌の販売を支援するための、中古車輌に関する情報の提供技術に関する。」

「【0051】
また、整備履歴データベース15内には、図9に示す、対象となる中古車輌の過去の整備記録やその履歴情報を格納した車輌整備履歴情報テーブル15aが構築されている。この車輌整備履歴情報テーブル15aには、車台番号,区分(整備,法定点検,故障,事故等)或いは事故履歴等の情報が格納されている。」

「【0066】
検査入力画面には、検査を行った日時,検査対象の車輌の車台番号,車名,検査を実施した場所名,検査結果とともに添付する各種診断書や記録書などの各種書類名,検査結果が表示されている。
【0067】
本実施形態における検査項目とその内容を以下に示す。
1)総合検査
車検ラインによる車検と同様の検査。(制動力,光軸)
2)主要消耗品の消耗度
ディスクパッド等の重要消耗部品の消耗度を検査しデータ化する。
3)アライメント測定
通常車検では検査されない、走行上最も大事な直進性を検査しデータ化する。
4)車体精密測定
衝突などの衝撃により発生した車体のゆがみを計測しデータ化する。
5)ブレーキ検査
ブレーキ性能を検査しデータ化する。」

「【0069】
また、上記検査が行われた履歴は、図2に示す整備履歴データベース15に記録される。そして、優良点検工場端末3には、図14に示す検査履歴を示した画面が表示される。この画面には、検査を実施した日時を入力する項目と車台番号を入力する項目とが表形式で表示されている。」

(6)甲第7号証の記載事項
甲第7号証(特開2005−4239号公報)には、次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の管理システムに関し、特にユーザが所有する車両の整備上必要な情報をユーザに伝える際に有効なシステムに関する。」

「【0018】
ポイント管理部2fは、整備売上に基づくユーザのポイント残高と、ユーザが引出したポイントの控除を行うもので、ユーザ管理と販売促進に用いる。」

「【0029】
事業者のオペレータは、当該ユーザの今回の整備事項に応じた入力処理をする(図8 S207)。この入力処理は、例えば、エンジンオイルを交換したとすると、図9に示した画面に対して「お買上げ日」、「お買上げ品」及び「お買上げ金額」を入力する。そうすると、お買上げ金額に応じたポイントが図10の表示画面の「ポイント」の欄に表示され、かつ「合計ポイント」の欄に蓄積されていたポイントに上記ポイントを加えた合計ポイントが表示される。このポイントの処理は、ポイント管理部2fが行う。また、整備項目「エンジンオイル」の「次回交換日」、「次回交換キロ数」及び「安全指数」、つまり整備履歴が更新される。「次回交換日」、「次回交換キロ数」は判断部2bが求め、「安全指数」は安全指数算出部2eが求める。このとき、図4に示したユーザ情報マスタ3aの整備履歴も更新される(図8 S209)。
ユーザ情報が更新されると、事業者端末1のカード処理部1bは、受付けている整備状態管理カード5内に記憶されている情報を書き換えた後に(図8 S211)、処理を終了する。ユーザは書き換えられた整備状態管理カード5を受け取り、以後の車両整備の参考情報とすることができる。」



(7) 甲第8号証の記載事項
甲第8号証(国際公開第2016/075808号)には、次の事項が記載されている。

「[0001] 本発明は、複数のユーザによって利用される複数の共用車両を管理する共用車両管理装置及び共用車両管理方法に関する。」

「[0027] さらに、制御装置230は、図示しないディスプレイやスピーカなどを用いて、共用車両管理装置100から送信された情報などを、ユーザに通知する。本実施形態では、制御装置230は、たとえば、共用車両管理装置100から、各ステーションの情報や、各ステーションにおける利用可能な共用車両Vnの情報、後述する共用車両Vnの整備スケジュール情報などを受信して、ユーザに通知する。」

「[0065] また、制御装置10は、通知機能により、各車載装置200Vn及び各ユーザ端末装置400Xと通信して、ユーザに対して、上述した整備スケジュールの情報を通知してもよい。」

(8) 甲第9号証の記載事項
甲第9号証(特開2001−331563号公報)には、次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信網を利用した車両情報管理システムに関し、より詳細には、車両の契約情報、整備情報、または事故情報などの管理情報を、簡単かつ効率的に利用者に提供する車両情報管理システムに関する。」

「【0034】図4は、データベースに格納された情報テーブルの詳細項目の一例を示した図である。図2で示した各情報テーブルの詳細項目が示されている。ここで第1ファイルに格納された事業所コードは、顧客を識別し、顧客毎に配下の事業所を識別するためのコードで、情報提供装置内で一意的である。第2ファイルおよび第3ファイルに格納された契約コードは、賃貸契約車両に対し一契約毎に発行され、情報提供装置内で一意的である。第2ファイルおよび第3ファイルに格納された登録コードは、賃貸契約車両毎に発行され情報提供装置内で一意的である。また、車両の点検・整備に関する整備履歴テーブルおよび整備計画テーブルには、車両の点検・整備の種類に応じて点検整備コードが格納されている。さらに、事故情報を格納する事故情報テーブルにおいては、事故コードとして、運転社名、損害区分、責任割合または進捗状況などが用いられる。契約情報を格納する契約情報テーブルにおいては、車種コードとして、メーカー、車種または車名などが用いられる。」

「【0046】図14は、車両情報管理システムを用いて、点検整備コードによる情報提供の一例を示したフロー図である。顧客は、スタートメニューから整備報告を要求する場合、整備報告メニューの一部にある選択画面から、点検整備区分を選択する(S141)。インターネットサーバーは、データベース20から、顧客の指定した点検整備区分の点検整備コードを抽出し、該当する賃貸契約車両の整備情報を検索し絞り込む(S142)。その結果を、表形式のHTML文書である整備総括表として提供し(S143)、顧客はこれを閲覧することができる。」


3 当審の判断
(1) 甲1発明を主たる引用例とする場合についての検討
ア 本件発明1について
(ア) 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下のことがいえる。

あ 甲1発明の「農機具」は、車両であるトラクタを含むから、甲1発明の「農機具」は、本件発明1の「車両」に相当する。そうすると、甲1発明の「貸し手側農家20」は、農機具(車両)を保有するから、本件発明1の「オーナー」に相当し、甲1発明の農機具情報テーブルの「登録番号、農機具名称、農機具の型式、農機具の年式、農機具の主要性能」は、本件発明1の「車両情報」に相当する。
また、甲1発明において、農機具情報として管理される「農機具の所在地」は、本件発明1の「車両情報に関連付けられた位置情報」に相当する。
さらに、甲1発明の「保守履歴」は、過去に農機具に対して行われた保守の情報であって、保守は、点検して必要に応じて整備を行うことといえるから、甲1発明の「保守履歴」は、本件発明1と同様の「点検整備情報」といえる。
そうすると、「登録番号、農機具名称、農機具の型式、農機具の年式、農機具の主要性能」と、「農機具の所在地」と、「保守履歴」とを含む農機具情報を格納する「農機具情報DB12」は、本件発明1の「前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベース」に相当する。
さらに、甲1発明の「サーバ装置11」は、農機具情報DB12にアクセス可能であり、サーバ装置11が有する各手段が実行することにより農機具レンタルの機能を実現するものであるから、本件発明1と同様の「制御部」といえ、甲1発明の「農機具レンタルシステム」は本件発明1と同様の「システム」といえる。
よって、甲1発明の、農機具情報DB12と、当該農機具情報DB12にアクセス可能なサーバ装置11とを含む農機具レンタルシステムと、本件発明1の「前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステム」とは、「前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステム」である点で共通する。

い 甲1発明のサーバ装置11が備えるレンタル依頼受付手段は、借り手側農家30に関する、例えば住所、氏名、電子メールアドレスといった固有のID情報や、レンタル依頼するトラクタ、コンバイン等農機具の種別、レンタル利用したい期間とが少なくとも入力されたレンタル依頼を借り手側農家30から、Web上で受け付けるものであるから、当該レンタル依頼を借り手側クライアント装置31から受け付ける構成であることは明らかであり、また、レンタル依頼には条件が含まれるから、甲1発明のサーバ装置11が有するレンタル依頼受付手段が、「借り手側農家30に関する、例えば住所、氏名、電子メールアドレスといった固有のID情報や、レンタル依頼するトラクタ、コンバイン等農機具の種別、レンタル利用したい期間とが少なくとも入力されたレンタル依頼を借り手側農家30」の借り手側クライアント装置31から、受け付ける処理と、本件発明1の「前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップ」とは、「借り手の端末から所定の条件を取得させるステップ」である点で共通する。

う 甲1発明の農機具は、貸し手側農家が所有するものであり、検索の結果から選択された農機具はレンタルされるものであるから、検索された農機具情報はレンタル候補の情報といえる。よって、甲1発明の、サーバ装置11が備える検索手段11cが、農機具情報DB12に登録された複数の農機具情報の中から、レンタル依頼受付手段11bにより受け付けたレンタル依頼の条件に応じて、該当する農機具情報を検索する処理は、本件発明1の「前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップ」に相当する。

え 甲1発明の「検索手段11cにより検索された農機具情報の一覧を借り手側クライアント装置31に提示する際に、提示された農機具それぞれの、少なくとも登録番号、農機具名称、型式、年式、主要性能、レンタル料金のいずれか1又は複数を農機具情報に含めて提示する」ことと、本件発明1の「前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップ」であって「前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」ステップとは、「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」である点で共通する。

お 上記「あ」で示したように甲1発明の「貸し手側農家」は本件発明1の「オーナー」に相当するものであり、借り手側クライアント装置31の画面上に提示された、検索された農機具は、選択された場合にレンタルされるから、検索された農機具を提示することは車両の提案といえるものである。
よって、甲1発明の「貸し手側農家20」と「借り手側農家30」との間で農機具を貸し借りする「農機具レンタル方法」と、本件発明1の「オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法」とは、「オーナーと借り手との間で車両を貸し借りする車両提案方法」という点で共通する。

か してみると、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致・相違している。
<一致点>
オーナーと借り手との間で車両を貸し借りする車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
借り手の端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップと、を含む、方法。

<相違点>
(相違点1−1)
オーナーと借り手との間の車両を貸し借りが、本件発明1では、オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアであるのに対し、甲1発明では、農家である貸し手と借り手との間でトラクタ等の農機具を貸し借りするものであって、個人間カーシェアではない点。

(相違点1−2)
「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」が、本件発明1では、「前記車両候補の前記点検整備情報とともに」前記端末に提供させるのに対し、甲1発明では「前記車両候補の前記点検整備情報」を提供させることが特定されていない点。

(相違点1−3)
上記相違点1−2に関連して、本件発明1では、「点検整備情報が点検項目と、前記点検項目の点検結果とを含み、前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」のに対し、甲1発明ではこの点が特定されていない点。

(イ)相違点の判断
あ 相違点1−2について検討する。
甲1の【0031】には、「管理センタ10は、レンタル対象として農機具情報DB12に登録した農機具の保守/メンテナンスを行って、その保守履歴を農機具情報に登録するようにしてもよい。この農機具の保守/メンテナンスは、貸し手側農家20や、借り手側農家30により適宜行うことが可能であることは言うまでもない。保守点検を行う頻度は農機具の使用状態に応じて、例えば、レンタルする毎や、月に1回といったように任意に設定することができる。」と記載されており、レンタル対象としての農機具は、保守/メンテナンスが適切に行われていることを前提として、レンタルされるものといえるから、甲1発明において、農機具情報の一覧を借り手側クライアント装置31に提示する際に、提示された農機具それぞれの農機具情報に保守履歴の情報を含めて提示することの動機付けがない。
一方、甲4には、貸し出し可能な自転車を特定して、当該特定された自転車に関する情報として、「整備年月日」という項目と対応する年月日を提示部に提示させる技術的事項が記載されているが、上述のとおり農機具情報に保守履歴の情報を含めて提示することの動機付けがない甲1発明において、甲4の「整備年月日」を提示することを適用する動機付けがない。
さらに、甲5には、車両整備情報管理システムにおいて、点検結果管理情報は、実施法定点検項目欄と点検結果欄とを含み、点検結果管理情報の内容に従った点検結果管理情報表示画面が、例えば管理システムの管理出力装置、店舗システムの店舗出力装置に表示される技術事項が記載されるが、甲5は車両のレンタルを前提としたものでなく、車両情報を検索した結果車両候補を提示することを前提とするものでないから、甲1発明に甲5記載事項を適用する動機付けがない。
また、甲6には、中古車両の販売を支援するために中古車両に関する情報を提供する技術事項であって、優良点検工場において点検を行い、優良点検工場端末の検査入力画面の検査項目に対応する検査結果を入力し、検査結果を表示するとともに、検査結果を優良中古車情報サーバに送信して優良中古車両に適合するか否かを判断し、優良であると判断された中古車両についての整備履歴の登録等を行ってICチップ情報と関連づけ、ICチップ情報をキーとして端末から車両情報を取得する技術事項が記載されている。しかし、甲6はレンタルを前提とした構成でなく、また、情報の取得もICチップ情報をキーとして行うものであるから、複数の車両の情報を一度に取得して提供することを想定したものでもない。よって、甲1発明に甲6記載事項を適用する動機付けがない。
また、相違点1−2に係る構成は、甲7〜甲9にも記載がないことは明らかである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2〜3、5について
本件発明2〜3、5は本件発明1の発明特定事項と同一の構成を備えるものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2〜3、5は、甲1発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明6について
本件発明6は、本件発明1から「前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、 前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」点、すなわち、上記相違点1−3に係る構成を削除するとともに、新たに「前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる」点を特定したものといえる。
そこで、上述した本件発明1と甲1発明との対比を考慮すると、本件発明6と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致するといえる。

(相違点1−4)
オーナーと借り手との間の車両を貸し借りが、本件発明6では、オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアであるのに対し、甲1発明では、農家である貸し手と借り手との間でトラクタ等の農機具を貸し借りするものであって、個人間カーシェアではない点。

(相違点1−5)
「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」が、本件発明6では、「前記車両候補の前記点検整備情報とともに」前記端末に提供させるのに対し、甲1発明では「前記車両候補の前記点検整備情報」を提供させることが特定されていない点。

(相違点1−6)
本件発明6は、「前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる」のに対し、甲1発明は、この点が特定されていない点。

そうすると、本件発明1と甲1発明との相違点である相違点1−2と、相違点1−5とは同じ相違点であり、本件発明6は、相違点1−2に係る構成を備えるから、本件発明1で検討した上記ア(イ)と同様の理由により、本件発明6は、甲1発明及び甲4〜9記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 本件発明7について
本件発明7は、本件発明1から「前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、 前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」点、すなわち、上記相違点1−3に係る構成を削除するとともに、新たに「前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップ」を含む点を特定したものといえる。
そこで、上述した本件発明1と甲1発明との対比を考慮すると、本件発明7と甲1発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致するといえる。

(相違点1−7)
オーナーと借り手との間の車両を貸し借りが、本件発明7では、オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアであるのに対し、甲1発明では、農家である貸し手と借り手との間でトラクタ等の農機具を貸し借りするものであって、個人間カーシェアではない点。

(相違点1−8)
「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」が、本件発明7では、「前記車両候補の前記点検整備情報とともに」前記端末に提供させるのに対し、甲1発明では「前記車両候補の前記点検整備情報」を提供させることが特定されていない点。

(相違点1−9)
本件発明7は、「前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップ」を含むのに対し、甲1発明は、この点が特定されていない点。

そうすると、本件発明1と甲1発明との相違点である相違点1−2と相違点1−8とは同じ相違点であり、本件発明7は、相違点1−2に係る構成を備えるから、本件発明1で検討した上記ア(イ)と同様の理由により、本件発明7は、甲1発明及び甲4〜9記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ 本件発明8について
本件発明8は、本件発明1の「車両提案方法」の発明を「車両提案システム」として記載した発明であって、上記(相違点1−1)〜(相違点1−3)に対応する構成を有しているから、本件発明1と同様の理由により、本件発明8は、甲1発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2) 甲2発明を主たる引用例とする場合についての検討
ア 本件発明1について
(ア) 対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、以下のことがいえる。
あ 甲2発明の「カーシェアリングの対象となる車両に関する情報」と本件発明1の「オーナーの車両の車両情報」とは、「車両の車両情報」である点で共通し、「車両が配備される配備ステーション(配備場所)の識別情報」は、本件発明1の「車両情報に関連付けられた位置情報」に相当する。
また、甲2発明の「メンテナンス終了日」は、車両整備マスタから取得される車両の整備に関する情報であり、甲2の図6より、整備には「車検」が含まれること、さらに、「メンテナンス終了日」はメンテナンスが終了した日という過去の点検整備の履歴を表すものであるから、甲2発明の「メンテナンス終了日」と、本件発明1の「車両の点検整備履歴を含む点検整備情報」であって、「点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含」む点検整備情報とは、「車両の点検整備履歴を含む点検整備情報」である点で共通する。
そして、甲2発明の「予約サーバ11」は、「マスタDB(マスタ情報記憶手段)18」を備えており、甲2発明の「カーシェアリングの対象となる車両に関する情報」と「車両が配備される配備ステーション(配備場所)の識別情報」を格納した「車両マスタ」と、「各車両の直近のメンテナンス終了日」を有する「カーシェアリングの対象となる車両の整備に関する情報」を格納した「車両整備マスタ」を保持する「マスタDB(マスタ情報記憶手段)18」は、本件発明1の「前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベース」に相当する。
また、甲2発明の「予約サーバ11」は、「CPU」を備え、当該CPUが、プログラムを実行することにより、マスタDB(マスタ情報記憶手段)18をデータベースとして機能させる「マスタ管理手段17」等として機能実現するものであるから、当該CPUはマスタDB18と通信可能であることは明らかである。
よって、甲2発明の「予約サーバ11」はマスタDB18、及びCPUを備えており、甲2発明の「カーシェアリングの対象となる車両に関する情報」と「車両が配備される配備ステーション(配備場所)の識別情報」を格納した「車両マスタ」と、「各車両の直近のメンテナンス終了日」を有する「カーシェアリングの対象となる車両の整備に関する情報」を格納した「車両整備マスタ」を保持する「マスタDB(マスタ情報記憶手段)18」と、マスタDB(マスタ情報記憶手段)18と通信可能なCPUと、を備える「予約サーバ11」を含む「カーシェアリング予約システム」と、本件発明1の「前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステム」とは、「車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の、点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステム」である点で共通する。

い 甲2発明において、「ユーザ」は、カーシェアリングの対象となる車両を予約し、車両を借りて運転する者であるから、甲2発明の「ユーザ」、「ユーザ端末装置2」は、それぞれ、本件発明1の「ドライバー」、「ドライバーの端末」に相当する。
また、甲2発明の「予約条件」は、「合致する車両の情報をマスタDB18及び予約DB19から抽出」するための条件であり、本件発明1の「所定の条件」は、「合致する所定の」「車両候補」を抽出するための条件であるから、甲2発明の「予約条件」は、本件発明1の「所定の条件」に相当する。
さらに、甲2発明において、予約サーバの予約条件受付手段12は、ユーザ端末装置2から送信される予約条件を受け付けるものであり、予約条件受付手段は、予約サーバの備えるCPUが、メモリに記憶された所定のプログラムを実行することにより、機能するものであるから、甲2発明の、予約サーバの予約条件受付手段が、ユーザ端末装置2から送信される予約条件を受け付ける処理は、本件発明1の「ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップ」に相当する。

う 甲2発明において、「車両リスト作成手段13は、予約条件受付手段12が受け付けた予約条件に合致する車両の情報をマスタDB18及び予約DB19から抽出」する際に、マスタDB18を参照することは明らかであり、また、予約条件に合致するとして抽出された「車両」は、ユーザが予約する車両を選択するためにユーザ端末装置に表示される、車両リストを作成するために用いられることから、「車両候補」といえ、甲2発明の予約条件に合致するとして抽出された「車両の情報」は、「車両候補情報」といえる。
よって、甲2発明の「車両リスト作成手段13」が「前記所定の条件に合致する車両の情報を前記データベース及び予約DB19から抽出して車両リストを作成」する処理と、本件発明1の「前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップ」とは、「前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップ」である点で共通する。

え 甲2発明において、「車両リストが作成されると、車両リスト最適化手段14は、カーシェアリング用に当該車両リストを、車両リスト中の各車両の直近のメンテナンス終了日を各車両の車両IDに基づいて車両整備マスタから取得し、ソート条件として、ソートキーに「メンテナンス終了日」かつソート順に「降順」を設定し、ソート条件に従って車両リストをソートする最適化処理を実行し、最適化された車両リストの情報を含む予約登録画面データをユーザ端末装置2へ送信」することと、本件発明1の「前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップ」とは、「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」という点で共通する。

お 上記「い」で示したように、甲2発明の「ユーザ」は本件発明1の「ドライバー」に相当するものであり、また、甲2発明では、「最適化された車両リストの情報を含む予約登録画面データをユーザ端末装置2へ送信し、ユーザ端末装置2において、予約登録画面データに基づく予約登録画面がディスプレイに表示」されるから車両を提案するといえる。よって、後述する相違点は別にして、甲2発明の「カーシェアリング予約方法」と、本件発明1の「オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法」とは、「ドライバーに車両を貸し出すカーシェアにおける車両提案方法」という点で共通する。

か してみると、本件発明1と甲2発明とは、次の点で一致・相違している。
<一致点>
ドライバーに車両を貸し出すカーシェアにおける車両提案方法であって、
車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末の端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップと、を含む、方法。

<相違点>
(相違点2−1)
ドライバーに車両を貸し出すカーシェアが、本件発明1では、車両が「オーナー」のものであり、カーシェアが「個人間」で行われるものであるのに対し、甲2発明では、車両の所有者は特定されておらず、カーシェアが個人間に特定されていない点。

(相違点2−2)
「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」が、本件発明1では、「前記車両候補の前記点検整備情報とともに」前記端末に提供させるのに対し、甲2発明では「前記車両候補の前記点検整備情報」を提供させることが特定されていない点。

(相違点2−3)
上記相違点2−2に関連して、本件発明1では、「点検整備情報が点検項目と、前記点検項目の点検結果とを含み、前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」のに対し、甲2発明ではこの点が特定されていない点。

(相違点2−4)
本件発明1では、車両の点検整備履歴を含む点検整備情報が、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含むのに対し、甲2発明では、車両の点検整備履歴を含む点検整備情報が、点検項目と前記点検項目ごとの点検結果とを含むものではない点。

(相違点2−5)
本件発明1では、車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報である点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とともに前記端末に提供するのに対し、甲2発明では、点検整備情報は提供しておらず、点検項目と前記点検項目ごとの点検結果を提供していない点。

(イ) 相違点の判断
あ 相違点2−1について検討する。
本件出願時において、カーシェアの形態として、個人(オーナー)が所有する車両を貸し出す個人間カーシェアは周知であるから、甲2発明において、カーシェアの形態を、個人(オーナー)が所有する車両を貸し出す個人間カーシェアとすることは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎない。

い 関連する相違点2−2、2−3についてまとめて検討する。
甲2発明は、端末に提供される車両候補情報を、車両の直近のメンテナンス終了日の降順にソートされたものとすることで、「リストの上位に表示される車両を予約した場合には、メンテナンス終了日が新しい車両が選択されることになるので、車両の使用状態などに対するクレームを減少させることが可能となる」(甲2段落【0086】)ものである。そうすると、クレームを減少させるために、車両候補情報に、ソートに利用したメンテナンス最終日についての情報を付加して、端末に送付すること、すなわち、相違点2−2に係る構成である点検整備情報を端末に送付することまでは、容易に想到し得るものといえるものの、さらに、相違点2−3に係る構成である点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果を端末に提供することは甲2に記載がなく、自明な事項でもないため、当業者が甲2発明に基づいて、容易に想到し得たものとはいえない。
一方、甲4には、貸し出し可能な自転車を特定して、当該特定された自転車に関する情報として、「整備年月日」という項目と対応する年月日を提示部に提示させる技術的事項が記載されている。しかし、甲4の「整備年月日」は整備した年月日を表す情報であって、点検項目及び点検結果を表す情報でない。
さらに甲5には、車両整備情報管理システムにおいて、点検結果管理情報は、実施法定点検項目欄と点検結果欄とを含み、点検結果管理情報の内容に従った点検結果管理情報表示画面が、例えば管理システムの管理出力装置、店舗システムの店舗出力装置に表示される技術事項が記載されるが、甲5は車両のレンタルを前提としたものでなく、車両情報を検索した結果車両候補を提示することを前提とするものでないから、甲2発明に甲5記載事項を適用する動機がない。
また、甲6には、中古車両の販売を支援するために中古車両に関する情報を提供する技術事項であって、優良点検工場において点検を行い、優良点検工場端末の検査入力画面の検査項目に対応する検査結果を入力し、検査結果を表示するとともに、検査結果を優良中古車情報サーバに送信して優良中古車両に適合するか否かを判断し、優良であると判断された中古車両についての整備履歴の登録等を行ってICチップ情報と関連づけ、ICチップ情報をキーとして端末から車両情報を取得する技術事項が記載されている。しかし、甲6はレンタルを前提とした構成でなく、また、情報の取得もICチップ情報をキーとして行うものであるから、複数の車両の情報を一度に取得して提供することを想定したものでもない。よって、甲2発明に甲6記載事項を適用する動機付けがない。
また、相違点2−3に係る構成は、甲7〜甲9にも記載がないことは明らかである。
したがって、本件発明1は甲2発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件発明2〜3、5について
本件発明2〜3、5は本件発明1の発明特定事項と同一の構成を備えるものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2〜3、5は、甲2発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明6について
本件発明6は、本件発明1から「前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、 前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」点、すなわち、上記相違点2−3に係る構成を削除するとともに、新たに「前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる」点を特定したものといえる。
そこで、上述した本件発明1と甲2発明との対比を考慮すると、本件発明6と甲2発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致するといえる。

(相違点2−4)
ドライバーに車両を貸し出すカーシェアが、本件発明6では、車両が「オーナー」のものであり、カーシェアが「個人間」で行われるものであるのに対し、甲2発明では、車両の所有者は特定されておらず、カーシェアが個人間に特定されていない点。

(相違点2−5)
「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」が、本件発明6では、「前記車両候補の前記点検整備情報とともに」前記端末に提供させるのに対し、甲2発明では「前記車両候補の前記点検整備情報」を提供させることが特定されていない点。

(相違点2−6)
本件発明6は、「前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる」のに対し、甲2発明は、この点が特定されていない点。

そこで、相違点2−6について検討する。
甲2には、車両候補情報を「メンテナンス終了日」でソートするのとは別の例として、端末に提供される車両候補情報を車種クラスでソートされたものとすることで、車種クラスは値が小さいほど料金が安価に設定されているため、料金が安価順(車種クラスが小さい順)に表示され、ユーザがリスト上位に表示された車両に着目した場合には、安価な車両を容易に選択することができることが記載されている(甲2段落【0089】)。しかし、甲2発明は、車両候補情報に利用料、仲介手数料及び保険料を含むものでなく、利用料や、仲介手数料、保険料を変動させることについても記載がなく、自明な事項でもないから、点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させることは、当業者が甲2発明に基づいて、容易に想到し得たものとはいえない。
また、甲7には、整備売上に基づいて車両を所有するユーザにポイントが付与されることが記載されているが、カーシェアを前提としたものではなく、車両の利用料や仲介手数料、保険料に関するものでもないから、甲2発明に甲7記載事項を適用しても相違点2−6に係る構成は得られない。
また、相違点2−6に係る構成は、甲4〜6、甲8〜9にも記載がないことは明らかである。
一方、本件発明6は、相違点2−6に係る構成により、点検整備が促進されより安全な車両を提供することができる(【0048】)という効果を奏するものである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明6は甲2発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件発明7について
本件発明7は、本件発明1から「前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、 前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」点、すなわち、上記相違点2−3に係る構成を削除するとともに、新たに「前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップ」を含む点を特定したものといえる。
そこで、上述した本件発明1と甲2発明との対比を考慮すると、本件発明7と甲2発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致するといえる。

(相違点2−7)
ドライバーに車両を貸し出すカーシェアが、本件発明7では、車両が「オーナー」のものであり、カーシェアが「個人間」で行われるものであるのに対し、甲2発明では、車両の所有者は特定されておらず、カーシェアが個人間に特定されていない点。

(相違点2−8)
「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」が、本件発明7では、「前記車両候補の前記点検整備情報とともに」前記端末に提供させるのに対し、甲2発明では「前記車両候補の前記点検整備情報」を提供させることが特定されていない点。

(相違点2−9)
本件発明7は、「前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップ」を含むのに対し、甲2発明は、この点が特定されていない点。

そこで、上記相違点2−9について検討する。
甲2発明は、端末に提供される車両候補情報を、車両の直近のメンテナンス終了日の降順にソートされたものとすることで、「リストの上位に表示される車両を予約した場合には、メンテナンス終了日が新しい車両が選択されることになるので、車両の使用状態などに対するクレームを減少させることが可能となる」(甲2段落【0086】)ものである。
しかし、甲2発明は、点検整備情報に基づいてクーポン情報を通知させるものでなく、自明な事項でもないため、当業者が甲2発明に基づいて、容易に想到し得たものとはいえない。
また、甲7には、整備売上に基づいて車両を所有するユーザにポイントが付与されることが記載されているが、カーシェアを前提としたものでないから、甲2発明に甲7記載事項を適用する動機付けがない。
また、相違点2−9に係る構成は、甲4〜6、甲8〜9にも記載がないことは明らかである。
一方、本件発明7は、相違点2−9に係る構成により、点検整備が促進されより安全な車両を提供することができる(【0048】)という効果を奏するものである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は甲2発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 本件発明8について
本件発明8は、本件発明1の「車両提案方法」の発明を「車両提案システム」として記載した発明であって、上記(相違点2−3)に対応する構成を有しているから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2〜3、5は、甲2発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2) 甲3発明を主たる引用例とする場合についての検討
ア 本件発明1について
(ア) 対比
本件発明1と甲3発明とを対比すると、以下のことがいえる。

あ 甲3発明のデータベースファイルである「カー情報ファイル」は、「オーナーID」、「カーID」、「車種」、「車名」、「年式」、「ナンバー」、「不可曜日」等の各フィールドから成る多数のレコードを記録したものであって、このうち、「カーID」、「車種」、「車名」、「年式」、「ナンバー」の各フィールドの値は、「オーナーの車両の車両情報」に相当する。
また、甲3発明の「カー情報ファイル」の「サービス場ID」フィールドの値は、カーサービス場情報ファイル64の「サービス場ID」フィールドの値を示すものであって、カーサービス場情報ファイル64は、「所在地」フィールドを有するものであるから、カーサービス場情報ファイル64の「所在地」フィールドの値は、車両情報に関連付けられたものであり、「所在地」は位置を表すから「位置情報」といえる。
よって、甲3発明の、カーサービス場情報ファイル64の「所在地」フィールドの値は、本件発明1の「車両情報に関連付けられた位置情報」に相当する。
また、車検は点検整備に関する情報であるから、甲3発明の「カー情報ファイル」の「車検に関する情報」は、本件発明1の「車両の点検整備履歴を含む点検整備情報」であって、「点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含」む点検整備情報と、「点検整備情報」である点で共通する。
よって、甲3発明のデータベースファイルである、「カーID」、「車種」、「車名」、「年式」、「ナンバー」の各フィールドを有し、「車検に関する情報」を記録する「カー情報ファイル」、及び「所在地」フィールドを有する「カーサービス場情報ファイル」を記憶する「記憶部」に記憶したデータベースと、本件発明1の「前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベース」とは、「オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、点検整備情報とを含むデータベース」である点で共通する。
また、甲3発明の「支援サーバ」は、カー情報ファイル及びカーサービス場情報ファイルを記憶する「記憶部」と通信可能であることは明らかであり、支援サーバ各プログラムを実行することによりカーレンタル支援機能を実現するから、本件発明1と同様に「制御部」が処理しているといえ、甲3発明の「個人間のカーレンタルシステム」は本件発明1と同様の「システム」といえる。
よって、甲3発明のデータベースファイルである、「カーID」、「車種」、「車名」、「年式」、「ナンバー」の各フィールドを有し、「車検に関する情報」を記録する「カー情報ファイル」、及び「所在地」フィールドを有する「カーサービス場情報ファイル」を記憶する「記憶部」に記憶したデータベースと、当該データベースと通信可能な支援サーバの制御部とを含む「個人間のカーレンタルシステム」と、本件発明1の「前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステム」とは、「前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステム」である点で共通する。

い 甲3発明において「ユーザー端末」は、車を借りることを希望するユーザーが操作する端末であり、「ユーザー」は車を借りて車両を運転するから「ドライバー」といえ、甲3発明の「ユーザー端末」は、本件発明1の「ドライバーの端末」に相当する。
また、甲3発明において、車検索ページはカーレンタルの予約を行うためのものであるから、ユーザー端末に表示され、日付、時間、車種、場所の入力を受け付けて送信ボタンがタップされるのは明らかである。
さらに、甲3発明において、支援サーバ1に車検索プログラムが実装されており、日付、時間、車種が入力され、場所入力欄で場所が入力されて送信ボタン77がタップされると、車検索プログラムが実行され、入力された車種に従ってカー情報ファイル63を検索し、該当するレコードを全て抽出し、抽出された各レコードにおけるサービス場IDを取得し、サービス場IDでカーサービス場情報ファイル64を検索し、その車について登録されているカーサービス場の所在地が希望場所から一定範囲内であるかどうか判断し、当該カー情報ファイル63のレコードに記録されているサービス場IDが同一又は隣接の市区町村にあるカーサービス場のものである場合、そのレコードのカーIDによって予約情報ファイル65を検索し、そのカーIDに一致するIDのレコードがあるかどうか判断し、ある場合には、「受け渡し予定日時」の値と「帰着予定日時」の値とを参照し、車検索ページで入力された日時が重なるかどうか判断し、重ならなければ、ヒットした車情報として当該カーIDをメモリ変数に格納し、抽出した車の情報をリストにして検索結果としてユーザ端末2に送信し、表示させるものである。
よって、甲3発明の車検索ページにおいて入力された日付、時間、車種及び場所は、カー情報ファイルから、車種、場所、日付、時間の順にヒットする車を検索するための条件となっているから、甲3発明の車検索ページにおいて入力された日付、時間、車種及び場所は、本件発明1の「所定の条件」に相当する。
また、甲3発明は、車検索ページにおいて送信ボタンがタップされることにより、支援サーバに、ユーザー端末2から「日付、時間、車種及び場所」を取得させているといえ、甲3発明の、ユーザー端末2から「日付、時間、車種及び場所」を取得させる処理は、本件発明1の「前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップ」に相当する。
また、甲3発明の車種、場所、日付、時間の条件でカー情報ファイルからヒットした車情報は、レンタルされる車両候補であるから、甲3発明の、車種、場所、日付、時間の条件でカー情報ファイルからヒットした車情報する一連の処理は、本件発明1の「前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップ」に相当する。

う 甲3発明は、抽出した全ての車の情報をリストにして検索結果としてユーザー端末2に送信し、ユーザー端末2に表示させる構成であって、当該処理は支援サーバが行っていることは明らかであるから、甲3発明の、支援サーバが、抽出した全ての車の情報をリストにして検索結果としてユーザー端末2に送信し、ユーザー端末2に表示させる処理と、本件発明1の「前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップ」であって、「前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」ステップとは、「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」である点で共通する。

え 甲3発明の「カーレンタル」はカーシェアリングを含むから、甲3発明の「個人間のカーレンタル」は、本件発明1の「個人間カーシェア」に相当する。
また、上記「い」で示したように、甲3発明の「ユーザー」は、「ドライバー」といえ、さらに、甲3発明の個人間のカーレンタルにおいて、車を貸し出す個人はオーナーといえる。それに加え、甲3発明において、ユーザー端末に検索結果として提供される車の情報は、レンタルの予約申し込みを受け付ける対象であるから、検索結果の提供は提案といえる。
よって、甲3発明の「支援サーバにおけるカーレンタル支援方法」は、本件発明1と同様の「オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法」といえる。

お してみると、本件発明1と甲3発明とは、次の点で一致・相違している。

<一致点>
オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップとを含む方法。

<相違点>
(相違点3−1)
「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」が、本件発明1では、「前記車両候補の前記点検整備情報とともに」前記端末に提供させるのに対し、甲3発明では、「前記車両候補の前記点検整備情報」を提供させることが特定されていない点。

(相違点3−2)
上記相違点3−1に関連して、本件発明1では、「点検整備情報が点検項目と、前記点検項目の点検結果とを含み、前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」のに対し、甲3発明ではこの点が特定されていない点。

(イ)相違点の判断
あ 相違点3−1について検討する。
点検整備に関して、甲3には、個人間カーレンタルにおいて、車に対して点検整備のサービスを提供する施設であるカーサービス場を、車の受け渡し場所として利用すること(【0008】、【0010】、【0011】)、カーレンタルの予約が成立した場合に、車のオーナーが貸し渡し日時よりも前の時刻にカーサービス場にレンタル対象の車を持ち込み、点検を受けることができること(【0065】、【0066】)、が記載されている。
そうすると、甲3発明は、カーレンタルの予約が成立した際に必要な点検を行うのであって、車両候補情報を提供する際に、前記車両候補の前記点検整備情報を端末に提供する動機付けがない。
また、甲4には、貸し出し可能な自転車を特定して、当該特定された自転車に関する情報として、「整備年月日」という項目と対応する年月日を提示部に提示させる技術的事項が記載されているが、上述のとおり車両候補情報を提供する際に、前記車両候補の前記点検整備情報を端末に提供する動機付けがない甲3発明において、甲4の「整備年月日」を提示することの動機付けはない。
さらに甲5には、車両整備情報管理システムにおいて、点検結果管理情報は、実施法定点検項目欄と点検結果欄とを含み、点検結果管理情報の内容に従った点検結果管理情報表示画面が、例えば管理システムの管理出力装置、店舗システムの店舗出力装置に表示される技術事項が記載されるが、甲5は車両のレンタルを前提としたものでなく、車両情報を検索した結果車両候補を提示することを前提とするものでないから、甲3発明に甲5記載事項を適用する動機付けがない。
また、甲6には、中古車両の販売を支援するために中古車両に関する情報を提供する技術事項であって、優良点検工場において点検を行い、優良点検工場端末の検査入力画面の検査項目に対応する検査結果を入力し、検査結果を表示するとともに、検査結果を優良中古車情報サーバに送信して優良中古車両に適合するか否かを判断し、優良であると判断された中古車両についての整備履歴の登録等を行ってICチップ情報と関連づけ、ICチップ情報をキーとして端末から車両情報を取得する技術事項が記載されている。しかし、甲6はレンタルを前提とした構成でなく、また、情報の取得もICチップ情報をキーとして行うものであるから、複数の車両の情報を一度に取得して提供することを想定したものでもない。よって、甲3発明に甲6記載事項を適用する動機付けがない。
また、相違点3−1に係る構成は、甲7〜9にも記載がないことは明らかである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲3発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2〜3、5について
本件発明2〜3、5は本件発明1の発明特定事項と同一の構成を備えるものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2〜3、5は、甲3発明及び甲4〜9記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件発明6について
本件発明6は、本件発明1から「前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、 前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」点、すなわち、上記相違点3−2に係る構成を削除するとともに、新たに「前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる」点を特定したものといえる。
そこで、上述した本件発明1と甲3発明との対比を考慮すると、本件発明6と甲3発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致するといえる。

(相違点3−3)
「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」が、本件発明6では、「前記車両候補の前記点検整備情報とともに」前記端末に提供させるのに対し、甲3発明では「前記車両候補の前記点検整備情報」を提供させることが特定されていない点。

(相違点3−4)
本件発明6では、「前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる」のに対し、甲3発明では、この点が特定されていない点。

そうすると、本件発明6と甲3発明との相違点である相違点3−1と、相違点3−3とは同じ相違点であり、本件発明6は、相違点3−1に係る構成を備えるから、本件発明1で検討した上記ア(イ)と同様の理由により、本件発明6は、甲3発明及び甲4〜9記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 本件発明7について
本件発明7は、本件発明1から「前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、 前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる」点、すなわち、上記相違点3−2に係る構成を削除するとともに、新たに「前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップ」を含む点を特定したものといえる。
そこで、上述した本件発明1と甲3発明との対比を考慮すると、本件発明7と甲3発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致するといえる。

(相違点3−5)
「前記車両候補情報を、前記端末に提供させるステップ」が、本件発明7では、「前記車両候補の前記点検整備情報とともに」前記端末に提供させるのに対し、甲3発明では「前記車両候補の前記点検整備情報」を提供させることが特定されていない点。

(相違点3−6)
本件発明7は、「前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップ」を含むのに対し、甲3発明は、この点が特定されていない点。

そうすると、本件発明7と甲3発明との相違点である相違点3−1と、相違点3−5とは同じ相違点であり、本件発明7は、相違点3−1に係る構成を備えるから、本件発明1で検討した上記ア(イ)と同様の理由により、本件発明7は、甲3発明及び甲4〜9記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ 本件発明8について
本件発明8は、本件発明1の「車両提案方法」の発明を「車両提案システム」として記載した発明であって、上記(相違点3−1)〜(相違点3−2)に対応する構成を有しているから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2〜3、5は、甲3発明及び甲4〜6記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1〜3、5〜8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3、5〜8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項4に係る発明は、本件訂正により削除され、同請求項に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整骨晴報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、を含み、
前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、
前記提供させるステップにおいて、前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供させる、方法。
【請求項2】
前記点検整備情報は、点検整備された最新の日時を含み、
前記提供させるステップにおいて、前記最新の日時を前記端末に提供させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記点検整備情報は、点検整備された最新の日時を含み、
前記提供させるステップにおいて、前記最新の日時が現時点より前の所定期間内であるか否かを示す情報を前記端末に提供させる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
前記所定の条件は、前記ドライバーの希望する、前記オーナーの評価ランク及び前記点検整備情報の少なくとも一つを含んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、を含み、
前記提供させるステップにおいて、前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両と点検整備を受けていない車両とで、前記車両候補情報に含まれる利用料、仲介手数料および保険料のうち少なくとも一つを変動させる、方法。
【請求項7】
オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアにおける車両提案方法であって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、前記データベースと通信可能な制御部とを含むシステムを用いて、
前記制御部に、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得させるステップと、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出させるステップと、
前記車両候補情報を、前記車両候補の前記点検整備情報とともに前記端末に提供させるステップと、
前記点検整備情報に基づいて、点検整備を受けた車両のオーナーおよび点検整備を受けた車両を選択したドライバーの少なくとも一方に対して、クーポン情報を通知させるステップと、を含む、方法。
【請求項8】
オーナーとドライバーとの間で車両を貸し借りする個人間カーシェアの車両提案システムであって、
前記オーナーの車両の車両情報と、前記車両情報に関連付けられた位置情報と、前記車両の点検整備履歴を含む点検整備情報とを含むデータベースと、
前記データベースと通信可能な制御部と、
を備え、前記制御部は、
前記ドライバーの端末から所定の条件を取得し、
前記データベースを参照して前記所定の条件に合致する所定のオーナーの車両である車両候補の前記車両情報を車両候補情報として抽出する、
ように構成され、
前記点検整備情報は、点検項目と、前記点検項目ごとの点検結果とを含み、
前記制御部は、前記車両候補情報とともに前記点検項目および前記点検結果を前記端末に提供するように構成されている、システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2022-06-02 
出願番号 P2018-213829
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G06Q)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 吉田 誠
中野 浩昌
登録日 2020-12-16 
登録番号 6811225
権利者 コスモ石油マーケティング株式会社
発明の名称 個人間カーシェアの車両提案方法およびシステム  
代理人 特許業務法人 信栄特許事務所  
代理人 特許業務法人 信栄特許事務所  

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