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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1388385
総通号数
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2022-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-09-17 
確定日 2022-06-17 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6845739号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6845739号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6845739号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6845739号(以下「本件特許」という。)についての出願(以下「本件特許出願」という。)は、平成29年5月11日に出願した特願2017−94721号であって、令和3年3月2日にその特許権の設定登録がされ、同年同月24日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許に対し、同年9月17日に特許異議申立人である日本電動式遊技機特許株式会社により特許異議の申立てがなされ、当審において同年12月7日付けで取消理由を通知し、特許権者である株式会社三共は、その指定期間内である令和4年2月10日に意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。
なお、当審において同年3月9日付けで特許異議申立人に期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、その指定期間内に何らの応答もなかった。

第2 本件訂正請求について
1 請求の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、特許第6845739号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求める、というものである。

2 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すために当審で付した。
(1)訂正事項1
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に、
「演出の制御を行う演出制御手段とを備え、」とあるのを、
「演出の制御を行う演出制御手段と、」に訂正する。

(2)訂正事項2
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において、
上記訂正事項1の「演出の制御を行う演出制御手段と、」の後に
「前記遊技制御手段により制御される遊技補助表示器とを備え、」を加える。

(3)訂正事項3
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において、
上記訂正事項2の「前記遊技制御手段により制御される遊技補助表示器とを備え、」の後に
「前記遊技補助表示器は、複数のセグメントを有する2つの表示器から構成され、それぞれの表示器に数値を表示させることが可能であり、」を加える。

(4)訂正事項4
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に、
「前記有利区間であるときに遊技者にとって有利な有利状態に制御する状態制御手段と、」とあるのを、
「前記有利区間であるときに遊技者にとって有利となる有利操作態様を報知可能な有利状態に制御する状態制御手段と、」に訂正する。

(5)訂正事項5
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の「前記有利状態を継続するための権利を付与する付与手段とを含み、」の後に、
「前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、」を加える。

(6)訂正事項6
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において、
上記訂正事項5の「前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、」の後に
「遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、」を加える。

(7)訂正事項7
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において、
上記訂正事項6の「遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、」の後に
「前記有利操作態様を報知するゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とするナビ表示データを出力バッファに設定することで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ、」を加える。

(8)訂正事項8
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において、
上記訂正事項7の「前記有利操作態様を報知するゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とするナビ表示データを出力バッファに設定することで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ、」の後に
「前記有利操作態様を報知しないゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態とし、」を加える。

(9)訂正事項9
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において、
上記訂正事項8の「前記有利操作態様を報知しないゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態とし、」の後に
「前記ナビ番号を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち一方の表示器に前記ナビ番号を表示させ、前記付与された遊技用価値の数を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち他方の表示器に前記付与された遊技用価値の数を表示させ、」を加える。

(10)訂正事項10
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に、
「前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行う」とあるのを、
「前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行い、」に訂正する。

(11)訂正事項11
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において、
上記訂正事項10の「前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行い、」の後に
「前記有利区間において第1有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であり、」を加える。

(12)訂正事項12
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において、
上記訂正事項11の「前記有利区間において第1有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であり、」の後に
「前記有利区間において第2有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態に制御可能であり、」を加える。

(13)訂正事項13
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において、
上記訂正事項12の「前記有利区間において第2有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態に制御可能であり、」の後に
「前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、前記第1有利状態カウンタ及び前記第2有利状態カウンタの双方を初期化する」を加える。

(14)訂正事項14
願書に添付した明細書の【0008】に、
「(A) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技の制御を行う遊技制御手段と、
演出の制御を行う演出制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、
通常区間と有利区間のいずれかに制御する区間制御手段と、
前記有利区間であるときに遊技者にとって有利な有利状態に制御する状態制御手段と、
前記有利区間中に消化されたゲーム数に対応する特定値を計数する計数手段と、
前記有利区間であるときに遊技制御側ランプを点灯させることで前記有利区間中である旨を示唆する遊技制御側示唆手段と、
前記有利状態を継続するための権利を付与する付与手段とを含み、
前記計数手段によって計数された前記特定値が上限値未満であるときは、前記有利状態に関わる特定処理を実行し、
前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記特定処理を実行することなく、記憶部に記憶された前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化処理を実行した後に、前記遊技制御側ランプを消灯させる消灯処理を実行する初期化手段を含み、
前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行う。
……」とあるのを、
「(A) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技の制御を行う遊技制御手段と、
演出の制御を行う演出制御手段と、
前記遊技制御手段により制御される遊技補助表示器とを備え、
前記遊技補助表示器は、複数のセグメントを有する2つの表示器から構成され、それぞれの表示器に数値を表示させることが可能であり、
前記遊技制御手段は、
通常区間と有利区間のいずれかに制御する区間制御手段と、
前記有利区間であるときに遊技者にとって有利となる有利操作態様を報知可能な有利状態に制御する状態制御手段と、
前記有利区間中に消化されたゲーム数に対応する特定値を計数する計数手段と、
前記有利区間であるときに遊技制御側ランプを点灯させることで前記有利区間中である旨を示唆する遊技制御側示唆手段と、
前記有利状態を継続するための権利を付与する付与手段とを含み、
前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、
遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、
前記有利操作態様を報知するゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とするナビ表示データを出力バッファに設定することで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ、
前記有利操作態様を報知しないゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態とし、
前記ナビ番号を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち一方の表示器に前記ナビ番号を表示させ、前記付与された遊技用価値の数を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち他方の表示器に前記付与された遊技用価値の数を表示させ、
前記計数手段によって計数された前記特定値が上限値未満であるときは、前記有利状態に関わる特定処理を実行し、
前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記特定処理を実行することなく、記憶部に記憶された前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化処理を実行した後に、前記遊技制御側ランプを消灯させる消灯処理を実行する初期化手段を含み、
前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行い、
前記有利区間において第1有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であり、
前記有利区間において第2有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態に制御可能であり、
前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、前記第1有利状態カウンタ及び前記第2有利状態カウンタの双方を初期化する。
……」に訂正する。

3 訂正の適否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1は、「演出の制御を行う演出制御手段とを備え、」とあったものを、訂正事項2の訂正によりその後に「前記遊技制御手段により制御される遊技補助表示器とを備え、」を加えることに伴い、「演出の制御を行う演出制御手段と、」に訂正することで特許請求の範囲の記載を整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

新規事項の追加について
訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項1は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項1は、構成要件の削除や、請求項の追加、発明の詳細な説明又は図面の記載の訂正ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記遊技制御手段により制御される遊技補助表示器とを備え、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0020】に「遊技用表示部13には、……メダルの払出枚数やエラー時にエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、……が設けられている。」と記載され、【0034】に「メイン制御部41からは、遊技用表示部13に含まれる各種表示器を点灯制御あるいは表示制御するための制御信号が遊技用表示部13に出力される。遊技用表示部13に含まれる各種表示器は、メイン制御部41からの制御信号に基づき、点灯あるいは所定情報を表示する。」と記載されている。訂正事項2は、これらの記載から、「前記遊技制御手段(メイン制御部41)により制御される遊技補助表示器」を備えることが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項2は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項2は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3は、「前記遊技補助表示器は、複数のセグメントを有する2つの表示器から構成され、それぞれの表示器に数値を表示させることが可能であり、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0077】に「図9(a)は、ナビ対象役の例、正解手順となる押し順、遊技補助表示器12におけるナビ演出の表示例、および液晶表示器51におけるナビ演出の表示例を説明するための図である。たとえば、左ベル1など、正解手順として左第1停止が定められているナビ対象役に当選したときには、遊技補助表示器12において「1−」といった情報が表示されるとともに、……」と記載され、【0083】に「図9(b)に示すように、払出枚数表示データを出力バッファに設定する際には、メダルの払出枚数を表示させるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とする払出枚数表示データを出力バッファに設定することで、遊技補助表示器12にメダルの払出枚数を表示するように制御する。たとえば、8枚のメダルが払い出されるときには、遊技補助表示器12を構成する左側の表示器と右側の表示器とのうちの右側の表示器の第1〜第7セグメントを点灯させる。これにより、遊技補助表示器12に払い出されるメダルの枚数を表示させる。」と記載され、図9(a)(b)に、遊技補助表示器12を構成する左側の表示器と右側の表示器にそれぞれ数値が表示された態様が記載されている。訂正事項3は、これらの記載から、「前記遊技補助表示器は、複数のセグメントを有する2つの表示器(左側の表示器及び右側の表示器)から構成され、それぞれの表示器に数値を表示させることが可能」であることが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項3は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項3は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、請求項1の「遊技者にとって有利な有利状態」が「遊技者にとって有利となる有利操作態様を報知可能な有利状態」であることを限定する訂正であるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0089】に「有利区間は、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様(操作手順(押し順)、操作タイミング)を遊技者に指示する指示機能に係る性能を持つ区間である。有利区間においては、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ演出が少なくとも1回実行される。具体的には、押し順ベルに当選したときに、正解手順を報知するナビ演出が実行される。通常区間においては、ナビ演出が実行されない。つまり、有利区間は、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ演出が少なくとも1回実行される点で、通常区間よりも遊技者にとって有利である。」と記載され、【0090】に「また、「有利区間」には、ATのような報知状態に制御されている区間と、CZ(チャンスゾーン)のような有利状態に制御されている区間とが含まれる。CZとは、報知状態であるATへの制御に関する有利度が通常区間に比べて高い状態である。ATへの制御に関する有利度が高いとは、ATに制御されやすいこと、ATに制御するための権利であるATゲームが多く付与されやすいことが含まれる。」と記載され、【0192】に「……CZやATといった有利区間においては押し順ベル当選時にナビ演出が少なくとも1回実行され、ボーナスに移行する場合には例外的にナビ演出が実行されないようになっている。」と記載されている。訂正事項4は、これらの記載から、「遊技者にとって有利な有利状態」が「遊技者にとって有利となる有利操作態様を報知可能な有利状態(AT、CZ)」であることが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項4は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項4は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項4は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、「前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0077】に「図9(a)は、ナビ対象役の例、正解手順となる押し順、遊技補助表示器12におけるナビ演出の表示例、および液晶表示器51におけるナビ演出の表示例を説明するための図である。たとえば、左ベル1など、正解手順として左第1停止が定められているナビ対象役に当選したときには、遊技補助表示器12において「1−」といった情報が表示されるとともに、……」と記載され、【0079】に「メイン制御部41は、前述したとおり、遊技補助表示器12においてナビ演出(ナビ報知)を行うためのナビ報知表示データを設定する。具体的に、図9(a)に示す表示例(以下ではナビ番号ともいう)となるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とするナビ報知表示データを出力バッファに設定する……」と記載され、図9(a)に、正解手順となる押し順に対応して「1−」、「2−」、「3−」といった情報が表示された態様が記載されている。訂正事項5は、これらの記載から、「前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を前記遊技補助表示器に表示させることが可能」であることが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項5は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項5は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項5は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、「遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0083】に「図9(b)に示すように、払出枚数表示データを出力バッファに設定する際には、メダルの払出枚数を表示させるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とする払出枚数表示データを出力バッファに設定することで、遊技補助表示器12にメダルの払出枚数を表示するように制御する。たとえば、8枚のメダルが払い出されるときには、遊技補助表示器12を構成する左側の表示器と右側の表示器とのうちの右側の表示器の第1〜第7セグメントを点灯させる。これにより、遊技補助表示器12に払い出されるメダルの枚数を表示させる。」と記載され、図9(b)に、払出枚数が8枚であることに対応して「8」という数値が表示された態様が記載されている。訂正事項6は、これらの記載から、「遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数(払い出されるメダルの枚数)を前記遊技補助表示器に表示させることが可能」であることが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項6は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項6は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項6は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(7)訂正事項7
ア 訂正の目的について
訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記有利操作態様を報知するゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とするナビ表示データを出力バッファに設定することで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0079】に「メイン制御部41は、前述したとおり、遊技補助表示器12においてナビ演出(ナビ報知)を行うためのナビ報知表示データを設定する。具体的に、図9(a)に示す表示例(以下ではナビ番号ともいう)となるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とするナビ報知表示データを出力バッファに設定することで、遊技補助表示器12においてナビ演出を実行するように制御する。」と記載され、【0177】に「[ゲーム処理]メイン制御部41は、ゲーム処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。」と記載され、【0178】に「賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると、入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理が行われる。」と記載され、【0179】に「また、内部抽選処理においては、内部抽選が行われた後、当該内部抽選の結果に応じたコマンドを設定するための内部抽選時コマンド設定処理が実行される。メイン制御部41は、内部抽選により設定された内部当選フラグを読み出し、いずれかの抽選対象役に当選したときには当該抽選対象役が属するグループを特定するための内部当選コマンドをコマンドキューに設定する。」と記載され、【0180】に「図4のグループ欄に、抽選対象役が属するグループが示されている。たとえば、図4に示すように、ベルに対して“ベル”、左ベル1〜右ベル4に対して“押し順ベル”、弱スイカ1〜4に対して“弱スイカ”、強スイカに対して“強スイカ”、弱チェリー1〜4に対して”弱チェリー”、強チェリー1〜3に対して“強チェリー”、中段チェリーに対して“中段チェリー”、ボーナス1〜12に対して”BB”がそれぞれ定められている。」と記載され、【0181】に「また、通常リプレイに対して”通常リプレイ”、リプレイGR1〜6、11〜13、21〜23、31〜33に対して”押し順リプレイ”、リプレイGR41〜43に対して“特別リプレイ”がそれぞれ定められている。メイン制御部41は、内部抽選において当選した抽選対象役が属するグループを特定し、当該グループに対応する内部当選コマンドを送信する。たとえば、メイン制御部41は、“ベル”であれば、「1」を特定可能な内部当選コマンドを送信し、“押し順ベル”であれば「2」を特定可能な内部当選コマンドを送信する。」と記載され、【0182】に「一方、サブ制御部91は、内部当選コマンドから当選したグループを特定し、当該グループに応じた演出を実行する。」と記載され、【0183】に「メイン制御部41は、AT中においてナビ対象役に当選していると判定したときには、当該ナビ対象役に対応する正解手順を特定するための押し順コマンドをコマンドキューに設定する。これにより、サブ制御部91側においては、押し順コマンドに基づきナビ演出が実行可能となる。」と記載され、【0184】に「一方、メイン制御部41は、AT中でないか、あるいはナビ抽選対象役に当選していないときには、予め定められた標準手順を特定可能な押し順コマンドをコマンドキューに設定する。これにより、サブ制御部91側において不正が行われた場合であっても正解手順を特定できないようにしつつ、内部当選コマンドから特定されるグループに応じた演出を実行することができる。」と記載され、【0185】に「なお、メイン制御部41は、ナビ演出を実行する場合、遊技補助表示器12の各セグメントのうち、正解手順を特定可能となるように対応するセグメント(「8」を構成する第1〜第7セグメント)を点灯状態にするとともに、ナビ報知であるか否かを特定するためのセグメント(右下の「。」を構成する第8セグメント)を点灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。これにより、メイン制御部41側において正解手順を特定するためのナビ演出が実行可能となる。一方、メイン制御部41は、標準手順を報知、つまりナビ演出を実行しない場合には、遊技補助表示器12の全てのセグメント(第1〜第8セグメント)を消灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。」と記載され、【0186】に「内部抽選処理が終了すると、リール回転処理が行われる。リール回転処理では、前回ゲームのリール回転開始から所定時間(たとえば、4.1秒)経過していることを条件に、リール2L,2C,2Rの回転を開始させた後、ストップスイッチ8L,8C,8Rを有効化し、停止操作に応じてリールの回転を停止させる。」と記載されている。訂正事項7は、これらの記載から、「前記有利操作態様を報知するゲーム(ナビ演出を行うゲーム)においては、前記可変表示部の変動表示(リール回転)を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とするナビ表示データ(ナビ報知表示データ)を出力バッファに設定することで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ」ることが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項7は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項7は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項7は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(8)訂正事項8
ア 訂正の目的について
訂正事項8は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記有利操作態様を報知しないゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態とし、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0079】に「一方、ナビ演出を実行しない場合(標準手順報知時)には、ナビ報知表示データとして出力バッファの初期値を設定、すなわち遊技補助表示器12の出力バッファを初期化して、遊技補助表示器12のセグメントを全て消灯状態に設定することで、遊技補助表示器12を非表示に制御する。」と記載され、【0177】に「[ゲーム処理]メイン制御部41は、ゲーム処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。」と記載され、【0178】に「賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると、入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理が行われる。」と記載され、【0179】に「また、内部抽選処理においては、内部抽選が行われた後、当該内部抽選の結果に応じたコマンドを設定するための内部抽選時コマンド設定処理が実行される。メイン制御部41は、内部抽選により設定された内部当選フラグを読み出し、いずれかの抽選対象役に当選したときには当該抽選対象役が属するグループを特定するための内部当選コマンドをコマンドキューに設定する。」と記載され、【0180】に「図4のグループ欄に、抽選対象役が属するグループが示されている。たとえば、図4に示すように、ベルに対して“ベル”、左ベル1〜右ベル4に対して“押し順ベル”、弱スイカ1〜4に対して“弱スイカ”、強スイカに対して“強スイカ”、弱チェリー1〜4に対して”弱チェリー”、強チェリー1〜3に対して“強チェリー”、中段チェリーに対して“中段チェリー”、ボーナス1〜12に対して”BB”がそれぞれ定められている。」と記載され、【0181】に「また、通常リプレイに対して”通常リプレイ”、リプレイGR1〜6、11〜13、21〜23、31〜33に対して”押し順リプレイ”、リプレイGR41〜43に対して“特別リプレイ”がそれぞれ定められている。メイン制御部41は、内部抽選において当選した抽選対象役が属するグループを特定し、当該グループに対応する内部当選コマンドを送信する。たとえば、メイン制御部41は、“ベル”であれば、「1」を特定可能な内部当選コマンドを送信し、“押し順ベル”であれば「2」を特定可能な内部当選コマンドを送信する。」と記載され、【0182】に「一方、サブ制御部91は、内部当選コマンドから当選したグループを特定し、当該グループに応じた演出を実行する。」と記載され、【0183】に「メイン制御部41は、AT中においてナビ対象役に当選していると判定したときには、当該ナビ対象役に対応する正解手順を特定するための押し順コマンドをコマンドキューに設定する。これにより、サブ制御部91側においては、押し順コマンドに基づきナビ演出が実行可能となる。」と記載され、【0184】に「一方、メイン制御部41は、AT中でないか、あるいはナビ抽選対象役に当選していないときには、予め定められた標準手順を特定可能な押し順コマンドをコマンドキューに設定する。これにより、サブ制御部91側において不正が行われた場合であっても正解手順を特定できないようにしつつ、内部当選コマンドから特定されるグループに応じた演出を実行することができる。」と記載され、【0185】に「なお、メイン制御部41は、ナビ演出を実行する場合、遊技補助表示器12の各セグメントのうち、正解手順を特定可能となるように対応するセグメント(「8」を構成する第1〜第7セグメント)を点灯状態にするとともに、ナビ報知であるか否かを特定するためのセグメント(右下の「。」を構成する第8セグメント)を点灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。これにより、メイン制御部41側において正解手順を特定するためのナビ演出が実行可能となる。一方、メイン制御部41は、標準手順を報知、つまりナビ演出を実行しない場合には、遊技補助表示器12の全てのセグメント(第1〜第8セグメント)を消灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。」と記載され、【0186】に「内部抽選処理が終了すると、リール回転処理が行われる。リール回転処理では、前回ゲームのリール回転開始から所定時間(たとえば、4.1秒)経過していることを条件に、リール2L,2C,2Rの回転を開始させた後、ストップスイッチ8L,8C,8Rを有効化し、停止操作に応じてリールの回転を停止させる。」と記載されている。訂正事項8は、これらの記載から、「前記有利操作態様を報知しないゲーム(ナビ演出を行わないゲーム)においては、前記可変表示部の変動表示(リール回転)を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態と」することが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項8は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項8は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(9)訂正事項9
ア 訂正の目的について
訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記ナビ番号を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち一方の表示器に前記ナビ番号を表示させ、前記付与された遊技用価値の数を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち他方の表示器に前記付与された遊技用価値の数を表示させ、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0077】に「図9(a)は、ナビ対象役の例、正解手順となる押し順、遊技補助表示器12におけるナビ演出の表示例、および液晶表示器51におけるナビ演出の表示例を説明するための図である。たとえば、左ベル1など、正解手順として左第1停止が定められているナビ対象役に当選したときには、遊技補助表示器12において「1−」といった情報が表示されるとともに、……」と記載され、【0083】に「図9(b)に示すように、払出枚数表示データを出力バッファに設定する際には、メダルの払出枚数を表示させるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とする払出枚数表示データを出力バッファに設定することで、遊技補助表示器12にメダルの払出枚数を表示するように制御する。たとえば、8枚のメダルが払い出されるときには、遊技補助表示器12を構成する左側の表示器と右側の表示器とのうちの右側の表示器の第1〜第7セグメントを点灯させる。これにより、遊技補助表示器12に払い出されるメダルの枚数を表示させる。」と記載され、図9(a)に、遊技補助表示器12を構成する左側の表示器にナビ番号に対応する数値が表示される態様が記載され、図9(b)に、遊技補助表示器12を構成する右側の表示器に払い出されたメダルの枚数が表示される態様が記載されている。訂正事項9は、これらの記載から、「前記ナビ番号を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち一方の表示器(左側の表示器)に前記ナビ番号(1〜3)を表示させ、前記付与された遊技用価値の数を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち他方の表示器(右側の表示器)に前記付与された遊技用価値の数(払い出されたメダルの枚数)を表示させ」ることが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項9は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項9は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項9は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(10)訂正事項10
ア 訂正の目的について
訂正事項10は、「前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行う」とあったものを、訂正事項11の訂正によりその後に「前記有利区間において第1有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であり、」を加えることに伴い、「前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行い、」に訂正することで特許請求の範囲の記載を整合させるものであるから、特許法第129条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

新規事項の追加について
訂正事項10は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項10は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項10は、構成要件の削除や、請求項の追加、発明の詳細な説明又は図面の記載の訂正ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(11)訂正事項11
ア 訂正の目的について
訂正事項11は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記有利区間において第1有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であり、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0090】に「また、「有利区間」には、ATのような報知状態に制御されている区間と、CZ(チャンスゾーン)のような有利状態に制御されている区間とが含まれる。CZとは、報知状態であるATへの制御に関する有利度が通常区間に比べて高い状態である。ATへの制御に関する有利度が高いとは、ATに制御されやすいこと、ATに制御するための権利であるATゲームが多く付与されやすいことが含まれる。」と記載され、【0116】に「メイン制御部41は、CZゲームカウンタが1以上である場合にCZに制御し、ATゲームカウンタが1以上である場合にATに制御する。」と記載されている。訂正事項11は、これらの記載から、「前記有利区間において第1有利状態カウンタ(ATゲームカウンタ)に1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第1有利状態(AT)に制御可能で」あることが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項11は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項11は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項11は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(12)訂正事項12
ア 訂正の目的について
訂正事項12は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記有利区間において第2有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態に制御可能であり、」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0090】に「また、「有利区間」には、ATのような報知状態に制御されている区間と、CZ(チャンスゾーン)のような有利状態に制御されている区間とが含まれる。CZとは、報知状態であるATへの制御に関する有利度が通常区間に比べて高い状態である。ATへの制御に関する有利度が高いとは、ATに制御されやすいこと、ATに制御するための権利であるATゲームが多く付与されやすいことが含まれる。」と記載され、【0116】に「メイン制御部41は、CZゲームカウンタが1以上である場合にCZに制御し、ATゲームカウンタが1以上である場合にATに制御する。」と記載されている。訂正事項12は、これらの記載から、「前記有利区間において第2有利状態カウンタ(CZゲームカウンタ)に1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態(CZ)に制御可能で」あることが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項12は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項12は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項12は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(13)訂正事項13
ア 訂正の目的について
訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項1に新たに「前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、前記第1有利状態カウンタ及び前記第2有利状態カウンタの双方を初期化する」なる発明特定事項を加えて「スロットマシン」を限定する訂正であるから、訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

新規事項の追加について
本件特許明細書等には、【0207】には、「次に、メイン制御部41は、クリアカウンタに1を加算する(S37)。そして、メイン制御部41は、クリアカウンタの値が1500に達していないか否か、すなわちカウントゲーム数が1500ゲームに達していないか否かを判定する(S38)。メイン制御部41は、カウントゲーム数が1500ゲームに達している場合(S38でNO)、リミット処理を実行して(S42)、有利区間処理を終了する。」と記載され、【0212】に「[リミット処理]図18を参照しながら、メイン制御部41が実行するリミット処理について説明する。図18は、メイン制御部41が実行するリミット処理を示すフローチャートである。リミット処理は、有利区間を終了するための終了条件が成立したときに実行される処理である。」と記載され、【0213】に「図18に示すように、メイン制御部41は、クリアカウンタ、ATゲームカウンタ、CZゲームカウンタに0を設定する(S421)。……」と記載されている。訂正事項13は、これらの記載から、「前記計数手段によって計数された前記特定値(カウントゲーム数)が前記上限値(1500ゲーム)以上であるときは、前記第1有利状態(AT)及び前記第2有利状態(CZ)のいずれに制御されているかに関わらず、前記第1有利状態カウンタ(ATゲームカウンタ)及び前記第2有利状態カウンタ(CZゲームカウンタ)の双方を初期化する」ことが導き出せることに基づくものである。
したがって、訂正事項13は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項13は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項13は、上記アで述べたように特許請求の範囲を減縮するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

(14)訂正事項14
ア 訂正の目的について
訂正事項14は、訂正前の請求項1に一致させていた本件特許明細書等の【0008】の記載を、訂正事項1〜13により請求項1が訂正されることに伴い、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから、当該訂正事項14は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

新規事項の追加について
訂正事項14は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものである。
よって、訂正事項14は本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項14は、構成要件の削除、請求項の追加、実施例の追加ではなく、また、カテゴリーや対象を変更するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

4 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正事項1ないし14は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同条第4項の規定に適合し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正請求に係る訂正を認める。

第3 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、符号A等は、分説するため当審が付した(以下、分説された本件訂正発明の発明特定事項を、符号に基づき「発明特定事項A」等という。)。

「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技の制御を行う遊技制御手段と、
D 演出の制御を行う演出制御手段と、
E 前記遊技制御手段により制御される遊技補助表示器とを備え、
F 前記遊技補助表示器は、複数のセグメントを有する2つの表示器から構成され、それぞれの表示器に数値を表示させることが可能であり、
G 前記遊技制御手段は、
H 通常区間と有利区間のいずれかに制御する区間制御手段と、
I 前記有利区間であるときに遊技者にとって有利となる有利操作態様を報知可能な有利状態に制御する状態制御手段と、
J 前記有利区間中に消化されたゲーム数に対応する特定値を計数する計数手段と、
K 前記有利区間であるときに遊技制御側ランプを点灯させることで前記有利区間中である旨を示唆する遊技制御側示唆手段と、
L 前記有利状態を継続するための権利を付与する付与手段とを含み、
M 前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、
N 遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、
O 前記有利操作態様を報知するゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とするナビ表示データを出力バッファに設定することで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ、
P 前記有利操作態様を報知しないゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態とし、
Q 前記ナビ番号を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち一方の表示器に前記ナビ番号を表示させ、前記付与された遊技用価値の数を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち他方の表示器に前記付与された遊技用価値の数を表示させ、
R 前記計数手段によって計数された前記特定値が上限値未満であるときは、前記有利状態に関わる特定処理を実行し、
S 前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記特定処理を実行することなく、記憶部に記憶された前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化処理を実行した後に、前記遊技制御側ランプを消灯させる消灯処理を実行する初期化手段を含み、
T 前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行い、
U 前記有利区間において第1有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であり、
V 前記有利区間において第2有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態に制御可能であり、
W 前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、前記第1有利状態カウンタ及び前記第2有利状態カウンタの双方を初期化する、
X スロットマシン。」

第4 特許異議の申立てについて
1 申立ての理由の概要
特許異議申立人は、特許異議申立書において、証拠方法として甲第1号証を提出し、本件訂正請求前の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正請求前の本件特許は、特許法第29条第1項第3号又は同法同条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである旨主張した。

<証拠方法>
甲第1号証:特許第6112527号公報

2 取消理由の概要
令和3年12月7日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、本件訂正請求前の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正請求前の本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるため、本件訂正請求前の本件特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。

3 特許権者が提出した意見書の概要
特許権者は、令和4年2月9日付け意見書において、本件訂正発明は、進歩性を有しており、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではないので、同法第113条第2号に該当するものではなく、取り消されるべきものではない旨を主張する。

第5 当審の判断
1 甲第1号証に記載された事項、及び、甲1発明
(1)甲第1号証には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。
ア 「【0020】
以下の実施形態では、「指示機能」は、「有利な操作態様」を遊技者に表示する機能を指すものとし、「指示機能の作動」は、押し順ベル当選時に正解押し順を表示すること、及びリプレイ重複当選時に有利なリプレイを入賞させる正解押し順を表示することの双方を含む意味で使用する。
なお、「指示」内容を遊技者に見せることが「表示」であり、指示内容を遊技者に知らせることが「報知」である。よって、「指示機能」は、「表示機能」でもあり、「報知機能」でもある。
また、「指示」とは、「命令」の意味合いを有する概念であるが、「指示」に従わなかったからといって、遊技者に何らかのペナルティが課されることはない。ただし、指示機能の作動により表示された正解押し順に従わなければ、押し順ベル当選時に高目ベルが入賞しないことや、リプレイ重複当選時に不利なリプレイが入賞する場合がある。」

イ 「【0022】
本実施形態において、「遊技区間」には、「通常区間」、「待機区間」、及び「有利区間」を備える。
まず、「通常区間」とは、指示機能に係る信号、具体的には後述する押し順指示番号や入賞及びリプレイ条件装置番号(正解押し順を判別可能な情報)を周辺基板(たとえば、サブ制御基板)に送信することを禁止する遊技区間であり、かつ、指示機能に係る性能に一切影響を及ぼさない(指示機能を作動させない)遊技区間を指す。ただし、条件装置(役)の抽選に加え、有利区間に移行するか否かの決定(抽選等)を行うことができる。
通常区間では、指示機能を作動させてはならないため、メイン制御基板と電気的に接続された所定の表示装置(LED等)での押し順指示情報の表示を行うことができないし、指示機能に係る信号を周辺基板に送信しないので、後述するサブ制御基板に電気的に接続された画像表示装置による有利な操作態様の表示(報知)を行うこともできない。」

ウ 「【0028】
また、「有利区間」とは、指示機能に係る性能を有する(指示機能を作動させてよい)遊技区間であり、具体的には、指示機能を作動させる場合には、メイン制御基板において指示内容(有利な操作態様)が識別できるように押し順指示情報を表示する場合に限り、指示機能に係る信号をサブ制御基板に送信することができる遊技区間を指す。有利区間中の遊技は、報知可能遊技とも称することがある。逆に、通常区間中の遊技や待機区間中の遊技は、報知不可能遊技と称することがある。
ただし、サブ制御基板は、メイン制御基板が行う指示内容や、受信した指示機能に係る信号に反する演出を出力することはできない。」

エ 「【0033】
さらにまた、「待機区間」とは、有利区間に移行することに決定した後、未だ有利区間に移行していないときの遊技区間を指す。待機区間は、設けてもよく、設けなくてもよい。すなわち、通常区間から有利区間に移行してもよく、通常区間から待機区間に移行し、さらにこの待機区間から有利区間に移行してもよい。なお、有利区間から待機区間に移行することはできず、有利区間の終了後は常に通常区間に移行する。待機区間は、当選情報を次回遊技以降に持越し可能な特別役が含まれる条件装置の当選に基づき有利区間に移行することに決定したときに限り、移行することができ、当該特別役に対応する図柄の組合せが表示された遊技では必ず終了しなければならない。もちろん、当該特別役に対応する図柄の組合せが表示される遊技よりも前に終了してもよい。
また、待機区間では、メイン制御基板において指示機能を作動させることや、指示機能に係る信号をサブ制御基板に送信することはできない。メイン制御基板において指示機能を作動させ、指示機能に係る信号をサブ制御基板に送信する場合には、有利区間中であることが条件となる。」

オ 「【0050】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態におけるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。
スロットマシン10に設けられた代表的な制御基板として、メイン制御基板50とサブ制御基板80とを備える。
メイン制御基板50は、入力ポート51及び出力ポート52を有し、RWM53、ROM54、メインCPU55等を備える(図1で図示したもののみを備える意味ではない)。」

カ 「【0052】
RWM53は、遊技の進行等に基づいた各種データ(変数)を記憶(更新)可能な記憶媒体である。後述する管理情報を表示するために必要なデータ(総遊技回数等)は、RWM53に記憶される。
……」

キ 「【0053】
メインCPU55は、メイン制御基板50上に設けられたCPUを指し、遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行い、具体的には、役の抽選、リール31の駆動制御、及び入賞時の払出し等を実行する。
メインCPU55は、レジスタを内蔵する。特に本実施形態では、複数(たとえばAレジスタ〜Lレジスタ、及び送信用レジスタ等)設けられている。」

ク 「【0062】
また、図1に示すように、メイン制御基板50には、表示基板75が電気的に接続されている。……
……
【0063】
表示基板75には、貯留数表示LED76、有利区間表示LED77、及び獲得数表示LED78が搭載されている。……」

ケ 「【図1】


上記のとおり、図1には、メイン制御基板50のメインCPU55が、役抽選手段61、有利区間制御手段69、制御コマンド送信手段71、上限カウンタ69bを備えることが記載されていると認められる。

コ 「【0072】
また、有利区間表示LED77は、デジット2のセグメントDPによって構成されている。有利区間表示LED77は、通常区間及び待機区間では消灯状態に制御されるが、有利区間中は、その間、点灯状態に制御される。したがって、遊技者は、有利区間表示LED77の点灯/消灯状態を確認すれば、現在、有利区間に滞在しているか否かを一目で判断することができる。」

サ 「【0074】
さらにまた、獲得数表示LED78は、役の入賞時に、払出し数(遊技者の獲得数)を表示するLEDであり、上位桁を表示するデジット3と、下位桁を表示するデジット4とから構成されている。したがって、獲得数表示LED78は、貯留数表示LED76と同様に、2桁を表示する。
獲得数表示LED78は、払い出されるメダルがないときは、表示は「00」であるが、たとえば後述する9枚役が入賞して9枚のメダルが払い出されると、獲得数表示LED78の表示は、「00」から「09」となる。
……
【0075】
……
さらにまた、獲得数表示LED78は、指示機能を作動させたときに、有利な操作態様(押し順指示情報)を表示するLEDとして機能する。よって、本実施形態における獲得数表示LED78は、獲得数、エラー内容、及び指示機能の作動による有利な操作態様の表示を兼ねるLEDである。なお、指示機能を作動させたときの有利な押し順の報知は、サブ制御基板80に接続された画像表示装置23によっても実行される。
【0076】
ここで、本明細書では、メイン制御基板50による獲得数表示LED78を用いた押し順の表示を「指示機能の作動」と称し、サブ制御基板80による押し順の表示を「押し順の報知」と称する。
また、後述する図20に示すように、有利な押し順に対応する番号を「押し順指示番号」と称する。
さらに、指示機能の作動により獲得数表示LED78に表示される押し順であって、たとえば図20中、「=1」のような情報を、「押し順指示情報」と称する。すなわち、指示機能の作動により、獲得数表示LED78に押し順指示情報が表示される。」

シ 「【0087】
図1において、メイン制御基板50には、図柄表示装置のモータ32等が電気的に接続されている。
図柄表示装置は、図柄を表示する(本実施形態では3つの)リール31と、各リール31をそれぞれ駆動するモータ32と、リール31の位置を検出するためのリールセンサ33とを含む。
【0088】
モータ32は、リール31を回転させるためのものであり、各リール31の回転中心部に連結され、後述するリール制御手段65によって制御される。ここで、リール31は、左リール31、中リール31、右リール31からなり、左リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が左ストップスイッチ42であり、中リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が中ストップスイッチ42であり、右リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が右ストップスイッチ42である。
【0089】
リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したものである。なお、リール31上の図柄の具体的配列は、後述する。
また、各リール31には、1個(2個以上であってもよい)のインデックスが設けられている。インデックスは、リール31のたとえば周側面に凸状に設けられており、リール31が所定位置を通過したか否かや、1回転したか否か等を検出するときに用いられる。そして、各インデックスは、リールセンサ33により検知される。リールセンサ33の信号は、メイン制御基板50に電気的に接続されている。そして、インデックスがリールセンサ33を検知する(切る)と、その入力信号がメイン制御基板50に入力され、そのリール31が所定位置を通過したことが検知される。」

ス 「【0098】
図1において、サブ制御基板80は、遊技中及び遊技待機中における演出(情報)の選択や出力等を制御するものである。
ここで、メイン制御基板50とサブ制御基板80とは、電気的に接続されており、メイン制御基板50(後述する制御コマンド送信手段71)は、パラレル通信によってサブ制御基板80に一方向で、演出の出力に必要な情報(制御コマンド)を送信する。
なお、メイン制御基板50とサブ制御基板80とは、電気的に接続されることに限らず、光通信手段を用いた接続であってもよい。さらに、電気的接続及び光通信接続のいずれも、パラレル通信に限らず、シリアル通信であってもよく、シリアル通信とパラレル通信とを併用してもよい。」

セ 「【0103】
また、図6(A)は、スロットマシン10のフロントドア(前面扉。図示せず。)に設けられた表示窓(透明窓)17と、各リール31の位置関係と、有効ライン(図柄の組合せを表示する表示ライン)とを示す図である。
各リール31は、本実施形態では横方向に並列に3つ(左リール31、中リール31、及び右リール31)設けられている。さらに、各リール31は、表示窓17から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。よって、スロットマシン10の表示窓17から、合計9個の図柄(コマ)が見えるように配置されている。なお、各図柄の右下の数字は図柄番号を示している。」

ソ 「【0120】
遊技を開始するときは、遊技者は、ベットスイッチ40の操作により予め貯留されたメダルを投入するか(貯留ベット)、又はメダル投入口43からメダルを手入れ投入する(手入れベット)。規定数のメダルがベットされた状態でスタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力される。メイン制御基板50(具体的には、後述するリール制御手段65)は、この信号を受信すると、役抽選手段61による役の抽選を行うとともに、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御する。このようにしてリール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓17内で上下方向に移動表示される。
【0121】
そして、遊技者は、ストップスイッチ42を押すことで、そのストップスイッチ42に対応するリール31(たとえば、左ストップスイッチ42に対応する左リール31)の回転を停止させる。ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力される。メイン制御基板50(具体的には、後述するリール制御手段65)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、役抽選手段61の役抽選結果に対応するように、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行う。
【0122】
そして、すべてのリール31の停止時における図柄の組合せにより、今回遊技の遊技結果を表示する。さらに、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したとき(その役の入賞となったとき)は、入賞した役に対応するメダルの払出し等が行われる。
【0123】
次に、メイン制御基板50の具体的構成について説明する。
図1に示すように、メイン制御基板50のメインCPU55は、以下の役抽選手段61等を備える。本実施形態における以下の各手段は例示であり、本実施形態で示した手段に限定されるものではない。」

タ 「【0308】
有利区間制御手段69は、通常区間から有利区間への移行(待機区間を含む)、有利区間を終了するか否かの判断、有利区間中の上乗せ、指示機能の作動制御等を実行する手段である。
まず、有利区間制御手段69は、通常区間かつ非内部中遊技では、有利区間に移行するか否かを決定する。
また、有利区間制御手段69は、有利区間かつ非内部中遊技では、有利区間の遊技回数を上乗せするか否かを決定する。」

チ 「【0323】
また、有利区間制御手段69は、通常区間から有利区間に移行することに決定したときに、所定のタイミングが到来するまでに、有利区間表示LED77を点灯するように制御し、有利区間以外(通常区間又は待機区間)であるときは、有利区間表示LED77を消灯するように制御する。
有利区間制御手段69は、第1に、有利区間に移行することに決定したときは、有利区間に移行することに決定した遊技の終了後(全リール31が停止し、払出しがあるときはメダル払出し後)の次回遊技のメダル投入(ベット)が可能になるまで、及び貯留メダルを有するときは精算スイッチ46の操作(精算処理操作)が可能となるまでに、有利区間表示LED77を点灯するように制御する。」

ツ 「【0339】
有利区間表示LED77を点灯させるための具体的処理としては、デジット2を表示するためのセグメントデータの8ビット目を「0」から「1」に変更する。デジット2を表示するためのセグメントデータは、RWM53に記憶されているので、そのセグメントデータの変更を行う。たとえば、それまでのセグメントデータと、「10000000」とをOR演算したデータを、新たなデータとしてRWM53に記憶することが挙げられる。これにより、デジット2のセグメントデータ中、セグメントDPに対応する値が「1」となる。
【0340】
また、上述したように、本実施形態のデジットは、デジット1〜9の合計9個を備えるが、これらのデジットを点灯させる方法としては、以下のように制御することが挙げられる。
メイン制御基板50は、毎遊技繰り返す処理である「(遊技進行)メイン処理」の他に、このメイン処理と並行して、2.235msごとに「割込み処理」を実行する。この割込み処理では、LEDの点灯制御、リール31の駆動制御、外部信号の送信処理等を行う。そして、本実施形態では、デジット1〜9に対して、一割込み処理ごとに1個のデジットを点灯させるダイナミック点灯を実行する。たとえば、今回の割込み処理ではデジット1のみを点灯し、次回の割込み処理ではデジット2を点灯することである。これを繰り返すことで、9回の割込み処理で1回の割合で1つのデジットを点灯させる。なお、このようなダイナミック点灯に限らず、デジットごとに信号線を接続したスタティック点灯を実行してもよい。
【0341】
したがって、有利区間表示LED77を点灯させるタイミングとなったときに、上記のようにセグメントデータを変更する。その変更後、割込み処理により、デジット2の点灯タイミングが到来したときに、有利区間表示LED77が点灯する。
【0342】
また、有利区間制御手段69は、有利区間中において、指示機能を作動させるべき遊技では、後述するサブ制御基板80による正解押し順の報知とは別個に、指示機能を作動させることにより、獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示する。たとえば、小役B1に当選したときは、押し順指示番号「A1」に対応する押し順指示情報「=1」を、獲得数表示LED78に表示する。この制御が、本実施形態における「指示機能の作動」に相当するものとなる。」

テ 「【0349】
本実施形態では、有利区間に関する遊技回数をカウントするカウンタとして、有利区間カウンタ69a及び上限カウンタ69bを備える(図1参照)。
有利区間カウンタ69aは、有利区間に移行することに決定したときに、その時点で決定された遊技回数(たとえば「100」)の初期値をセットする。そして、1遊技消化するごとにカウント値をデクリメントし、「0」になったときは、有利区間を終了する。なお、デクリメントは、有利区間に移行した遊技から行うものもあれば、1BB遊技の終了後から行うものもある。また、有利区間カウンタ69aは、有利区間に移行することに決定したときに、その時点で決定された遊技回数(たとえば「100」)の初期値をセットしなくてもよく、1BB遊技の終了後に初期値をセットするものでもよい。
さらに、有利区間中に有利区間が上乗せされたときは、有利区間カウンタ69aの現在のカウント値に、上乗せ値に対応する値を加算する。」

ト 「【0370】
図1において、サブ制御基板80のサブCPU85は、演出出力制御手段91を備える。
演出出力制御手段91は、上述したように、メイン制御基板50から送信されてくる制御コマンド、具体的には、RT番号、押し順指示番号、演出グループ番号、役物条件装置番号等の各制御コマンドに基づいて、どのようなタイミングで(スタートスイッチ41の操作時や各ストップスイッチ42の操作時等)、どのような演出を出力するか(ランプ21をどのように点灯、点滅又は消灯させるか、スピーカ22からどのようなサウンドを出力するか、及び画像表示装置23にどのような画像を表示させるか等)等の、具体的な演出内容を抽選によって決定する。」

ナ 「【0385】
続いて、指示機能の作動(押し順指示情報の表示)、及び正解押し順の報知を行う場合を、より具体的に説明する。図26は、遊技の流れ(図中、上から下に向かう流れ)と、獲得数表示LED78の表示、及び画像表示装置23の報知例を説明する図である。なお、図26の例は、図24の「例1」に相当するタイミングである。
【0386】
有利区間中における指示機能作動遊技では、まず、スタートスイッチ41が操作されると、メイン制御基板50は、指示機能を作動させて、獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示する。図26の例では、小役B1に当選した例を示している。したがって、獲得数表示LED78は、押し順指示番号「A1」に対応する押し順指示情報、すなわち「=1」と表示する。
そして、リール31が定速回転に到達する前に、画像表示装置23により、正解押し順を報知する。図26の例では、「1○○」と表示した例を示している。
……
【0391】
全リール31が停止すると、入賞判定が行われる。ここで、小役01が入賞し、9枚のメダルが払い出されると、獲得数表示LED78の表示は、押し順指示情報の表示「=1」から、9枚のメダルが払い出されたことを示す「09」に変化する。なお、押し順ミス等により、1枚役が入賞したときは、「01」の表示となり、役のとりこぼし時は、「00」(又は「**」)の表示となる。なお、押し順指示情報の表示「=1」から、メダル払出し枚数「09」を表示するまでの間において、「=1」→「00」(一旦、表示をリセットするため、「00」と表示)→「09」と表示してもよい。
【0392】
あるいは、「=1」→「**」(一旦、表示をリセットするため、上位桁及び下位桁を消灯する)→「09」と表示してもよい。
さらに、遊技者がベットスイッチ40を操作するか、メダルを手入れ投入してメダルがベットされると、獲得数表示LED78に表示した獲得枚数の内容をクリアするため、表示内容を「00」に変化させる(「**」にしてもよい。)。」

ニ 「【図26】



ヌ 「【0501】
図41は、スロットマシン10の基体部1を示す外観斜視図である。図41では、フロントドアの図示を省略している。なお、フロントドアは、図41中、「フロントドア開閉軸」(図中、左側)を支持軸として、基体部1の前面を開放/閉塞する。また、図41は、第2実施形態の説明で用いるが、第1実施形態の構造も図41と同一である。
図41に示すように、基体部1の内部には、電源スイッチ11を含む電源ユニット、ホッパー35を含むメダル払出し装置、3個のリール31を含む図柄表示装置等が収容されている。
また、サブ制御基板80は、基体部1の内面側の左側面に取り付けられている。これに対し、基板ケース16及びその内部に収容されたメイン制御基板50は、基体部1の内面内側の背面に取り付けられている。さらにまた、基板ケース16及びメイン制御基板50は、図柄表示装置よりも上方部に取り付けられ、フロントドアを開放したときに、基板ケース16のかしめ部16aの状態を目視で容易に確認できるようにするために、基体部1内の比較的見やすい位置に取り付けられている。
このため、メイン制御基板50上に搭載された管理情報表示LED74についても、目視で比較的容易に確認できるようになっている。」

ネ 「【0551】
続いて、本願発明の第3実施形態以降について説明する。
第3実施形態以降において、用語の意味は、以下の通りである。
「指示遊技区間」とは、有利区間において、ストップスイッチの有利な操作態様を有する遊技で指示機能作動遊技を常に実行するか、又は実行頻度を高くした遊技区間を指す。
「指示遊技区間」は、従来のAT(「アシストタイム」の略称。リプレイ当選確率の高いRTにおいてATを実行する場合にあっては、「ART」。)に類似するものである。
なお、以下の説明では、「指示遊技区間」を、必要に応じて「AT」と称する。
【0552】
「指示機能作動遊技を常に実行する」とは、ストップスイッチの有利な操作態様を有する遊技、具体的には、実施形態のリプレイB群当選時、リプレイC群当選時、小役B群当選時、及び小役C群当選時に、指示機能を必ず作動させることをいう。
なお、本実施形態のATは、原則としてRT3(リプレイ高確率)で実行するので、原則「ART」であるが、遊技者のストップスイッチの操作ミスにより、RT2に転落する場合もある。RT3からRT2に転落しても、ATを継続する。さらに、RT3やRT2以外のRTでもATを実行する場合がある。したがって、RT3のようなリプレイ高確率でないRTでのATは、厳密には「ART」ではない。また、AT中にRT3からRT2に転落してしまったときは、リプレイB群当選時に指示機能を作動させることにより、RT3に復帰させるために、指示機能の作動により正解押し順を表示する。
【0553】
一方、「実行頻度を高くした」とは、たとえば、小役B群当選時や小役C群当選時に、「100%」で指示機能を作動させないこと、たとえば95%で指示機能を作動させるような場合を含む概念である。
後述するように、指示遊技期間において、小役B群当選時には、指示機能を作動させるか否かの抽選を行い、この抽選に当選したときは、指示機能を作動させることが考えられるので、このような場合には、「常に指示機能を作動させる」ことにはならないので、「実行頻度を高くした」と規定した。
【0554】
上述したように、指示遊技区間は、指示機能作動遊技を実行する遊技区間であるので、その前提として、有利区間であることが必要である。したがって、指示遊技区間中は常に有利区間であり、指示遊技区間が通常区間や待機区間(以下、通常区間と待機区間とを総称して「非有利区間」と称する場合がある。)である場合はない。
また、指示遊技区間の開始及び終了については、任意に設定することができる。たとえば、有利区間の開始と同時に指示遊技区間を開始してもよい。あるいは、有利区間を開始しても、直ちに指示遊技区間を開始せずに、有利区間において指示遊技区間の開始条件を満たしたときに指示遊技区間を開始することが挙げられる。」

ノ 「【0566】
<第3実施形態>
第3実施形態は、ATの遊技回数を上乗せ可能にすることを特徴とする。
上述したように、ATのパラメータについては種々挙げられるが、第3実施形態では、ATの終了条件は、遊技回数で定められるものとする。
第3実施形態では、メイン制御基板50側の処理として、図43(例1)〜図52(例10)について説明する。
また、サブ制御基板80側の処理として、例1(図53)及び例2(図54)について説明する。
また、以下の例では、有利区間の開始と同時にATを開始する。そして、ATの終了と同時に有利区間を終了する。すなわち、「AT=有利区間」としている。
ただし、上述した第1実施形態や後述する第4実施形態等のように、有利区間であるが非AT期間(たとえば前兆、CZ、引戻し期間、特別遊技等)である場合を有することは、もちろんである(この点については後述する)。
【0567】
さらにまた、以下の例で説明する上限カウンタは、第1実施形態の上限カウンタ69bに相当する。さらに、以下の例1〜例10では、ATカウンタ、上乗せカウンタ、有利区間カウンタなどが設けられる(すべての例において、これら3つのカウンタが常に設けられるという意味ではない)。
なお、図43(例1)〜図52(例10)のフローチャートにおいて、同様の処理については、同一のステップ番号を付している。そして、既に説明したステップ番号と同一のステップ番号については、説明を適宜割愛する。
また、カウンタによるカウント値を、「カウンタ値」と略称する。
さらにまた、カウンタ値の「クリア」とは、カウンタ値を初期化すること(インクリメントカウンタにおいてはカウンタ値を「0」にすること)を意味する。」

ハ 「【0569】
第3実施形態においては、上記のように「AT=有利区間」であり、第1実施形態と同様に、有利区間の上限は、1500遊技である。したがって、ATについても、最長で1500遊技となる。
ここで、ATを開始するときは、ATの遊技回数の初期値を定め、AT中には、当選した条件装置に応じてATの(残り)遊技回数を上乗せする。
ATの遊技回数を上乗せする場合、ATの総遊技回数(ATの消化遊技回数と残り遊技回数との和を意味する。以下同じ。)が「1500」を超えるか否かにかかわらず、無制限に上乗せを実行する場合と、「1500」を超える上乗せを実行しない場合とが挙げられる。
なお、ATの遊技回数を上乗せした結果、ATの総遊技回数が「1500」を超えたとしても、実行されるATの遊技回数は「1500」までに限られる。」

ヒ 「【図43】



フ 「【0579】
(例1)
図43は、メイン制御基板50側における制御処理の例1を示すフローチャートである。
まず、メイン制御基板50は、カウンタとして、AT中の消化遊技回数をカウントするATカウンタと、有利区間の上限遊技回数「1500」をカウントする上限カウンタを備える。
第3実施形態では、AT開始時に、初期値(遊技回数)として「100」が付与される。このため、AT開始時に、ATカウンタには「100」がセットされる。そして、毎遊技、「1」ずつ減算される(デクリメントカウンタ)。
【0580】
また、上限カウンタは、AT開始時に初期値「1500」がセットされる。そして、毎遊技、「1」ずつ減算される(デクリメントカウンタ)。
以上より、ATカウンタ又は上限カウンタが「0」となったときは、ATの終了条件を満たす。
なお、AT中に1BBに当選すると、1BB遊技の終了までATカウンタを更新しない(カウントを中断する)。一方、上限カウンタは、1BB遊技中であっても毎遊技更新する。すなわち、内部中遊技と1BB遊技中はATカウンタを更新しないため、1BB終了後は、1BB当選時のATカウンタ値から再開する。
さらにまた、有利区間フラグは、第1実施形態において、デジット2のセグメントデータ中、8ビット目に相当するものであり、有利区間中は「1」がセットされ、有利区間でないときは「0」がセットされる。
【0581】
図43中、(a)において、ステップS401では、メイン制御基板50(メインCPU55)は、サブ制御基板80に対し、遊技開始時のコマンド送信処理を行う。この処理は、後述する図中(b)に示す処理である。次にステップS402に進み、スタートスイッチ41操作時の制御を実行する。ステップS402では、スタートスイッチ41が操作されたか否かを検知し続け、スタートスイッチ41が操作されたと判断したときは、次のステップS403に進む。
【0582】
ステップS403では、内部抽選処理を実行する。この処理は、第1実施形態において、役抽選手段61による役の抽選と同じである。次のステップS404では、上乗せ抽選を行う。ここで、「上乗せ」とは、ATの遊技回数の上乗せである。したがって、当該遊技がAT中でないとき(通常区間のとき、及び有利区間であるが非ATのとき)は、ステップS404の上乗せ抽選は実行されない。ステップS404の上乗せ抽選は、図中(c)に示す処理である。
なお、本実施形態では、第1実施形態の図17で示した条件装置の当選時に、ATの上乗せ抽選を実行するものとする。
また、上乗せ数とその当選確率については、後述する抽選テーブルに定められているものとする。
【0583】
次にステップS405に進み、メイン制御基板50は、サブ制御基板80に対し、スタートスイッチ41操作時のコマンド送信を行う。この処理は、後述する図中(d)に示す処理である。
次のステップS406では、全リール31が停止したか否かを判断し続け、全リール31が停止したと判断したときはステップS407に進む。ステップS407では、遊技終了時の処理として、変数更新処理を行う。この処理は、図中(e)に示す処理である。そして、本フローチャートによる処理を終了する。
【0584】
図43(a)のステップS401に進むと、同図(b)の遊技開始時コマンド送信処理を実行する。
まず、ステップS411では、ATカウンタ値を送信する。次のステップS412では、上限カウンタ値を送信する。さらに次のステップS413で、有利区間フラグの値を送信する。有利区間フラグの値は、有利区間中であるときは「1」を送信し、有利区間中でないときは、「0」を送信する。そして、本フローチャートによる処理を終了する。以上の処理により、メイン制御基板50は、サブ制御基板80に対し、ATカウンタ値、上限カウンタ値、及び有利区間フラグの値の3つのパラメータを送信する。
【0585】
図43(a)のステップS404に進むと、同図(c)の上乗せ抽選を実行する。
まず、ステップS421では、抽選テーブルをセットする。この抽選テーブルは、予めROM54に記憶されているものであり、当選役に対応する上乗せ数とその当選確率を定めたものである。具体的には、たとえば、小役E1単独当選時の置数「250」に当選したときは、上乗せ数を「50」に決定する確率を60%、上乗せ数を「40」に決定する確率を40%に設定することが挙げられる。また、小役E1単独当選時の置数「750」に当選したときは、上乗せ数を「30」に決定する確率を50%、上乗せ数を「20」に決定する確率を50%に設定することが挙げられる。他の条件装置についても、当選確率及び上乗せ数が定められている。
【0586】
次のステップS422では、ステップS421でセットした抽選テーブルを用いて上乗せ抽選を行う。そして、ステップS423に進み、ステップS422で抽選した結果(決定した上乗せ数)をATカウンタ値に加算する。たとえば、それまでのATカウンタ値が「50」(残り遊技回数)で、上乗せ数を「20」に決定したときは、ATカウンタ値を「70」に更新する。そして本フローチャートによる処理を終了する。
【0587】
図43(a)のステップS405に進むと、同図(d)のスタートスイッチ操作時コマンド送信を実行する。
ここでは、ステップS431において、ATカウンタ値を送信する。そして、本フローチャートによる処理を終了する。したがって、遊技開始時にステップS411でATカウンタ値を送信するが、ステップS431では、再度、ATカウンタ値を送信する。当該遊技でATの遊技回数を上乗せすることに決定されていないときは、ステップS411とステップS431とで同一値を送信する。
【0588】
これに対し、ATの遊技回数を上乗せすることに決定されたときは、ステップS431では、更新後のATカウンタ値を送信する。サブ制御基板80では、ステップS411でATカウンタ値を受信した後、ステップS431で再度ATカウンタ値を受信したときは、サブ制御基板80側で記憶しているATカウンタ値を、ステップS431で受信したATカウンタ値に書き換える。
なお、ステップS431の前に、当該遊技でATの上乗せが実行されたか否かを判断し、ATの上乗せ実行されたときに限り、ステップS431において当該遊技で2回目のATカウンタ値を送信してもよい。
【0589】
図43(a)のステップS407に進むと、同図(e)の変数更新処理を実行する。
まず、ステップS441では、ATカウンタ値を「1」減算する。次にステップS442に進み、上限カウンタ値を「1」減算する。次のステップS443では、上限カウンタ値が「0」であるか否かを判断する。「0」であると判断したとき(すなわち、有利区間の遊技回数が上限の「1500」に到達したとき)は、AT及び有利区間を終了するために、ステップS445以降の処理に進む。これに対し、「0」でないと判断したときは、ステップS444に進む。
【0590】
ステップS444では、ATカウンタ値が「0」であり、かつ指示機能作動遊技の実行回数が「1」以上であるか否かを判断する。ここで、ATカウンタ値が「0」であるときは、ATの残り遊技回数が「0」であることを意味している。
また、指示機能作動遊技の実行回数が「1」以上であるか否かを判断するためには、たとえば指示機能作動カウンタや、指示機能作動フラグを設けることが挙げられる。
指示機能作動カウンタは、たとえば指示機能を作動するごとに「1」ずつ加算していくインクリメントカウンタを挙げることができ、このカウンタ値が「1」以上であれば、指示機能作動遊技の実行回数が「1」以上であると判断することができる。
【0591】
また、指示機能作動フラグは、有利区間及びATを実行した後、一度も指示機能作動遊技を実行していないときはオフとなり、最初の指示機能作動遊技を実行したときは(その後も)オンになるフラグである。この指示機能作動フラグがオンであるときは、指示機能作動遊技の実行回数が「1」以上であると判断することができる。
【0592】
なお、第1実施形態でも説明したように、有利区間に移行したときは、少なくとも1回、指示機能作動遊技(ストップスイッチ42の有利な押し順を有する遊技のうち払出し枚数が最も多い役の当選時の遊技。第1実施形態では小役B群当選時の遊技。以下同じ。)を実行しないと、有利区間を終了することはできない。このように、有利区間中に、最低1回の指示機能作動遊技を実行することは、ATの終了条件よりも優先される。
【0593】
ただし、指示機能作動遊技を1回も実行することなく有利区間の上限である1500遊技に到達したときは、有利区間を終了することが可能である(後述する第11実施形態(図69)参照)。したがって、図43の例1では、最初にステップS443で上限カウンタ値が「0」であるか否かを判断し、「0」であるときは、ステップS444の判断を行うことなく有利区間及びATを終了するようにしている。
【0594】
ステップS444において、「ATカウンタ値が「0」、かつ指示機能作動遊技の実行回数が「1」以上」であると判断されたときは、有利区間及びATの終了条件を満たすので、ステップS445に進む。これに対し、ステップS444において「No」と判断されたときは、本フローチャートによる処理を終了する(次回遊技もAT及び有利区間を継続する)。
【0595】
ステップS445では、ATカウンタ値をクリアする(「0」にする)。次にステップS446に進み、上限カウンタ値をクリアする(「0」にする)。さらにステップS447に進み、有利区間フラグの値をクリアする(「0」にする)。このように、有利区間が終了したときは、有利区間に関する全てのパラメータをクリア(リセット)することが必要である。そして本フローチャートによる処理を終了する。」

ヘ 「【0632】
以上、図43(例1)から図52(例10)までを説明したが、基本的には、ATの遊技回数をカウントするATカウンタ、ATの遊技回数の上乗せ数をカウントする上乗せカウンタ、有利区間の上限「1500」をカウントする上限カウンタ(有利区間カウンタ)を備える。
また、これらのカウンタは、インクリメントでもデクリメントでもよい。
さらにまた、ATカウンタは、図46(例4)や図49(例7)のように設けなくてもよい。この場合には、実質的に、他のカウンタでAT遊技回数をカウントする。
さらに、上記の例1〜例10では、当選した条件装置に応じて上乗せ抽選を行っている。ここで、上乗せの対象となる条件装置に当選したときは、抽選を行うことなく無条件で所定数を上乗せするようにしてもよい。」

ホ 「【0634】
一方、図43(例1)のように、上乗せを無制限に実行することも可能である。上乗せを無制限に実行すれば、たとえば、ATの残り遊技回数が「2000」、「3000」等になる場合が生じ得る。しかし、そのような遊技回数になったとしても、有利区間の上限遊技回数「1500」が優先されるので(図43(e)中、ステップS443)、その時点でATは終了する。
【0635】
しかし、図43(例1)のように無制限にAT遊技回数の上乗せを実行する場合において、その上乗せ数をそのまま遊技者に報知してしまうと、有利区間の上限遊技回数「1500」を超える上乗せ数を報知してしまう場合がある。この場合、遊技者は、上限遊技回数「1500」を超えて遊技を行うことができると誤解してしまうおそれがある。
そこで、サブ制御基板80は、上記の点に対応して、AT遊技回数や上乗せ数の報知に関して、以下に示すような種々の制御を行う。」

マ 「【0649】
図55は、AT中の上乗せに関して、サブ制御基板80による画像表示装置23の画像表示例を示す図であり、例1〜例4を示す図である。
まず、例1では、上乗せ前の画像表示装置23には、「消化G(「ATの消化遊技回数」を意味する)1200」、「残G(「ATの残り遊技回数」を意味する)300」と表示されている例を示している。したがって、「ATの消化遊技回数+残り遊技回数=1500」であるので、実行可能なAT遊技回数はすでに上限に到達している。
この場合に、例1では、500遊技が内部的に上乗せされても(たとえば、図43(c)のステップS423のような場合を意味する)、上乗せ数の表示変更や、上乗せに関する演出を行わない。したがって、上乗せ後の表示は、上乗せ前の表示のままとなる。」

ミ 「【0651】
例2は、ATの消化遊技回数が1200遊技、残り遊技回数が200遊技である場合において、500遊技が内部的に上乗せされたときは、残り遊技回数について、正しい値(上乗せ後の残り遊技回数)を表示せず、他の表示に切り替える例である。例2では、残り遊技回数について、「祝」や「おめでとう」と表示することが挙げられる。その他に、「?」のように表示することが挙げられる。
【0652】
例2では、ATの消化遊技回数と残り遊技回数の合計が「1500」以下であるときは、残り遊技回数を表示しているが、さらに上乗せが行われることにより、ATの総遊技回数が「1500」を超えると、残り遊技回数の表示を、遊技者が把握できるように表示しない。ATの残り遊技回数の表示が具体的な数値から、数値以外の表示になったことにより、上乗せが行われたことを遊技者は把握することができる。ただし、ATの残り遊技回数については具体的な数値を表示しないので、遊技者は、ATの残り遊技回数を把握することができない。
【0653】
なお、上乗せ前に、ATの消化遊技回数「1200」、残り遊技回数「200」の場合において、「500」を上乗せしたときは、カウンタ上では、ATの残り遊技回数を「700」としてもよく、あるいは「300」としてもよい。
また、ATの残り遊技回数の表示が「祝」や「おめでとう」となった場合には、上限の1500回までATが継続することが確定する仕様であるときは、「1500−ATの消化遊技回数」を遊技者が計算することで、ATの残り遊技回数を把握することが可能となる。
さらにまた、「祝」や「おめでとう」の表示により、ATの総遊技回数が「1500」を超えたことを遊技者に知らせ、かつ、それ以上の上乗せは行われないことを示す役割を果たすものとなる。」

(2)上記ア〜ミの記載事項から、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。なお、符号a等は、本件訂正発明の分説に対応させて、当審で付与した。分説された甲1発明の発明特定事項を、符号に基づき、以下「発明特定事項a」等という。

「a 基体部1の内部に図柄表示装置等が収容され(【0501】)、
図柄表示装置は、図柄を表示する3つのリール31と、各リール31をそれぞれ駆動するモータ32とを含み(【0087】)、
リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したものであり(【0089】)、
各リール31は、横方向に並列に3つ(左リール31、中リール31、及び右リール31)設けられ、各リール31は、表示窓17から、上下に連続する3図柄が見えるように配置され(【0103】)、
規定数のメダルがベットされた状態でスタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力され、メイン制御基板50(リール制御手段65)は、この信号を受信すると、役抽選手段61による役の抽選を行うとともに、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御し、このようにしてリール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓17内で上下方向に移動表示され(【0120】)、
ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力され、メイン制御基板50(リール制御手段65)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、役抽選手段61の役抽選結果に対応するように、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行い(【0121】)、

b そして、すべてのリール31の停止時における図柄の組合せにより、今回遊技の遊技結果を表示し、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したとき(その役の入賞となったとき)は、入賞した役に対応するメダルの払出し等が行われ(【0122】)、

c 代表的な制御基板として、メイン制御基板50とサブ制御基板80とを備え(【0050】)、
メインCPU55は、メイン制御基板50上に設けられたCPUを指し、遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行い、具体的には、役の抽選、リール31の駆動制御、及び入賞時の払出し等を実行し(【0053】)、

d メイン制御基板50とサブ制御基板80とは、電気的に接続されており、メイン制御基板50(制御コマンド送信手段71)は、パラレル通信によってサブ制御基板80に一方向で、演出の出力に必要な情報(制御コマンド)を送信し(【0098】)、
サブ制御基板80のサブCPU85は、演出出力制御手段91を備え、演出出力制御手段91は、メイン制御基板50から送信されてくる制御コマンドに基づいて、どのようなタイミングで(スタートスイッチ41の操作時や各ストップスイッチ42の操作時等)、どのような演出を出力するか(画像表示装置23にどのような画像を表示させるか等)等の、具体的な演出内容を決定し(【0370】)、

e メイン制御基板50には、表示基板75が電気的に接続されていて(【0062】)、表示基板75には、獲得数表示LED78が搭載されていて(【0063】)、

f 獲得数表示LED78は、役の入賞時に、払出し数(遊技者の獲得数)を表示するLEDであり、上位桁を表示するデジット3と、下位桁を表示するデジット4とから構成されていて、2桁を表示し、払い出されるメダルがないときは、表示は「00」であるが、たとえば後述する9枚役が入賞して9枚のメダルが払い出されると、獲得数表示LED78の表示は、「00」から「09」となり(【0074】)、獲得数表示LED78は、指示機能を作動させたときに、有利な操作態様(押し順指示情報)を表示するLEDとして機能し(【0075】)、

g メイン制御基板50のメインCPU55は、役抽選手段61、有利区間制御手段69、制御コマンド送信手段71、上限カウンタを備え(【0123】、【0567】、図1)、

h 遊技区間には、通常区間及び有利区間を備え、通常区間は、指示機能を作動させない遊技区間であり(【0022】)、有利区間は、指示機能を作動させてよい遊技区間であり(【0028】)、
ATはリプレイB群当選時、リプレイC群当選時、小役B群当選時、及び小役C群当選時に、指示機能を作動させる遊技区間であり、常に有利区間であり(【0551】、【0552】、【0554】)、
「指示機能の作動」は、押し順ベル当選時に正解押し順を表示すること、及びリプレイ重複当選時に有利なリプレイを入賞させる正解押し順を表示することの双方であり(【0020】)、
有利区間フラグは、デジット2のセグメントデータ中、8ビット目に相当するものであり、有利区間中は「1」がセットされ、有利区間でないときは「0」がセットされ、ATカウンタ又は上限カウンタが「0」となったときは、ATの終了条件を満たし(【0580】)、
有利区間制御手段69は、通常区間から有利区間に移行することに決定したときに、有利区間表示LED77を点灯するように制御し、有利区間以外(通常区間)であるときは、有利区間表示LED77を消灯するように制御し(【0323】)、
有利区間表示LED77を点灯させるための具体的処理としては、デジット2を表示するためのセグメントデータの8ビット目を「0」から「1」に変更し、デジット2を表示するためのセグメントデータは、RWM53に記憶されているので、そのセグメントデータの変更を行い(【0339】)、
メイン制御基板50側における制御処理のステップS443では、上限カウンタ値が「0」であるか否かを判断し、「0」であると判断したとき(すなわち、有利区間の遊技回数が上限の「1500」に到達したとき)は、AT及び有利区間を終了するために、ステップS445以降の処理に進み、ステップS445では、ATカウンタ値をクリア(「0」に」)し、ステップS446に進み、上限カウンタ値をクリア(「0」に」)し、ステップS447に進み、有利区間フラグの値をクリア(「0」に」)し(【0579】、【0589】、【0595】)、
メイン制御基板50側における制御処理のステップS444において、ATカウンタ値が「0」であると判断されたときは、ステップS445に進み、ステップS445では、ATカウンタ値をクリア(「0」に」)し、ステップS446に進み、上限カウンタ値をクリア(「0」に」)し、ステップS447に進み、有利区間フラグの値をクリア(「0」に」)し(【0579】、【0594】、【0595】)、

i 有利区間制御手段69は、有利区間中の上乗せ、指示機能の作動制御等を実行する手段であり(【0308】)、
「上乗せ」とは、ATの遊技回数の上乗せであり、通常区間のときは上乗せ実行されず(【0582】)、

j メイン制御基板50は、カウンタとして、AT中の消化遊技回数をカウントするATカウンタと、有利区間の上限遊技回数「1500」をカウントする上限カウンタを備え、AT開始時に、ATカウンタには「100」がセットされ、そして、毎遊技、「1」ずつ減算され、上限カウンタは、AT開始時に初期値「1500」がセットされ、毎遊技、「1」ずつ減算され、ATカウンタ又は上限カウンタが「0」となったときは、ATの終了条件を満たし(【0579】、【0580】)、

k 有利区間制御手段69は、通常区間から有利区間に移行することに決定したときに、有利区間表示LED77を点灯するように、デジット2を表示するためのセグメントデータの8ビット目を「0」から「1」に変更し、メイン制御基板50は、メイン処理と並行して、2.235msごとに「割込み処理」を実行し、デジット1〜9に対して、一割込み処理ごとに1個のデジットを点灯させるダイナミック点灯を実行し、これを繰り返すことで、9回の割込み処理で1回の割合で1つのデジットを点灯させ(【0323】、【0339】、【0340】)、
有利区間表示LED77は、デジット2のセグメントDPによって構成され、有利区間表示LED77は、通常区間では消灯状態に制御されるが、有利区間中は、その間、点灯状態に制御され、遊技者は、有利区間表示LED77の点灯/消灯状態を確認すれば、現在、有利区間に滞在しているか否かを一目で判断することができ(【0072】)、

l メイン制御基板50側における制御処理のステップS422で上乗せ抽選を行い、S423に進み、ステップS422で抽選した結果(決定した上乗せ数)をATカウンタ値(ATの残り遊技回数)に加算し(【0579】、【0586】、【0590】)、

m,n,o,p 有利区間中における指示機能作動遊技では、まず、スタートスイッチ41が操作されると、メイン制御基板50は、指示機能を作動させて、獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示し、小役B1に当選した場合、獲得数表示LED78は、押し順指示番号「A1」に対応する押し順指示情報、すなわち「=1」と表示し、そして、リール31が定速回転に到達する前に、画像表示装置23により、正解押し順を報知し(【0386】)、
全リール31が停止すると、入賞判定が行われ、ここで、小役01が入賞し、9枚のメダルが払い出されると、獲得数表示LED78の表示は、押し順指示情報の表示「=1」から、9枚のメダルが払い出されたことを示す「09」に変化し、押し順ミス等により、1枚役が入賞したときは、「01」の表示となり、役のとりこぼし時は、「00」(又は「**」)の表示となり(【0391】)、
遊技者がベットスイッチ40を操作するか、メダルを手入れ投入してメダルがベットされると、獲得数表示LED78に表示した獲得枚数の内容をクリアするため、表示内容を「**」に変化させ(上位桁及び下位桁を消灯)(【0392】)、

r メイン制御基板50側における制御処理のステップS443では、上限カウンタ値が「0」であるか否かを判断し、「0」でないと判断したときは、ステップS444に進み(【0579】、【0589】)、

s メイン制御基板50側における制御処理のステップS443では、上限カウンタ値が「0」であるか否かを判断し、「0」であると判断したとき(すなわち、有利区間の遊技回数が上限の「1500」に到達したとき)は、AT及び有利区間を終了するために、ステップS445以降の処理に進み、ステップS445では、ATカウンタ値をクリア(「0」に)し、ステップS446に進み、上限カウンタ値をクリア(「0」に)し、ステップS447に進み、有利区間フラグの値をクリア(「0」に)し(【0579】、【0589】、【0595】)、

t 画像表示装置23に、有利区間の消化遊技回数、残り遊技回数を表示し、有利区間の消化遊技回数が1200遊技、残り遊技回数が200遊技である場合において、500遊技が内部的に上乗せされたときは、残り遊技回数について、正しい値(上乗せ後の残り遊技回数)を表示せず、残り遊技回数について、「祝」や「おめでとう」と表示し、有利区間の消化遊技回数と残り遊技回数の合計が「1500」以下であるときは、残り遊技回数を表示しているが、さらに上乗せが行われることにより、有利区間の総遊技回数が「1500」を超えると、残り遊技回数の表示を、遊技者が把握できるように表示しないものであり、残り遊技回数の表示が「祝」や「おめでとう」となった場合には、上限の1500回まで有利区間が継続することが確定する仕様である(【0569】、【0649】、【0651】、【0652】、【0653】)、

u 有利区間であるが非AT期間(たとえばCZ)である場合を有する(【0566】)、

x スロットマシン10(【0050】)。」

2 対比・判断
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。
(1)本件訂正発明の発明特定事項A、B及びXについて
甲1発明の発明特定事項aの「左リール、中リール31、及び右リール31」、「複数種類の図柄」は、それぞれ、本件訂正発明の発明特定事項Aの「可変表示部」、「複数種類の識別情報」に相当する。
また、甲1発明の発明特定事項a及びbの「規定数のメダルがベットされた状態でスタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力され」、「メイン制御基板50(リール制御手段65)は、この信号を受信すると、役抽選手段61による役の抽選を行うとともに、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御し、このようにしてリール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓17内で上下方向に移動表示され」、「ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号がメイン制御基板50に入力され、メイン制御基板50(リール制御手段65)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、役抽選手段61の役抽選結果に対応するように、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行い」、「そして、すべてのリール31の停止時における図柄の組合せにより、今回遊技の遊技結果を表示」することは、本件訂正発明の発明特定事項Bの「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出」することに相当し、甲1発明の発明特定事項bの「いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したとき(その役の入賞となったとき)は、入賞した役に対応するメダルの払出し等が行われ」ることは、本件訂正発明の発明特定事項Bの「該表示結果に応じて入賞が発生」することに相当する。
さらにまた、甲1発明の発明特定事項xの「スロットマシン10」は、本件訂正発明の発明特定事項B及びXの「スロットマシン」に相当する。
したがって、甲1発明の発明特定事項a、b及びxは、本件訂正発明の発明特定事項A、B及びXに相当する構成を含む。

(2)本件訂正発明の発明特定事項Cについて
甲1発明の発明特定事項cの「役の抽選、リール31の駆動制御、及び入賞時の払出し等」の「遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等」は、本件訂正発明の発明特定事項Cの「遊技の制御」に相当する。
そして、甲1発明の発明特定事項cにおける「メイン制御基板50」の「メインCPU55」は、本件訂正発明の発明特定事項Cの「遊技制御手段」に相当する。
したがって、甲1発明の発明特定事項cは、本件訂正発明の発明特定事項Cに相当する構成を含む。

(3)本件訂正発明の発明特定事項Dについて
甲1発明の発明特定事項dの「サブ制御基板80のサブCPU85」は、「メイン制御基板50から送信されてくる制御コマンドに基づいて」「具体的な演出内容を決定」することにより演出の制御を行うものであるから、本件訂正発明の発明特定事項Dの「演出制御手段」に相当する。
したがって、甲1発明の発明特定事項dは、本件訂正発明の発明特定事項Dに相当する構成を含む。

(4)本件訂正発明の発明特定事項Eについて
甲1発明の発明特定事項eの「獲得数表示LED78」は、本件訂正発明の発明特定事項Eの「遊技補助表示器」に相当する。ここで、「獲得数表示LED78」は、「メイン制御基板50に」「電気的に接続されてい」る「表示基板75に」「搭載されてい」るから、「獲得数表示LED78」が「遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行」う「メイン制御基板50のメインCPU55」により制御されることも明らかである。
したがって、甲1発明の発明特定事項eは、本件訂正発明の発明特定事項Eに相当する構成を含む。

(5)本件訂正発明の発明特定事項Fについて
甲1発明の発明特定事項fによれば、「獲得数表示LED78」は、「払出し数(遊技者の獲得数)を表示するLEDであり、上位桁を表示するデジット3と、下位桁を表示するデジット4とから構成されていて、2桁を表示し、払い出されるメダルがないときは、表示は「00」であるが、たとえば後述する9枚役が入賞して9枚のメダルが払い出されると、獲得数表示LED78の表示は、「00」から「09」とな」るから、甲1発明の発明特定事項fの「獲得数表示LED78」は、「複数のセグメントを有する2つの表示器から構成され、それぞれの表示器に数値を表示させることが可能であり、」るといえる。
したがって、甲1発明の発明特定事項fは、本件訂正発明の発明特定事項Fに相当する構成を含む。

(6)本件訂正発明の発明特定事項G、H及びIについて
「有利区間制御手段69」を備える甲1発明の発明特定事項gの「メイン制御基板50のメインCPU55」は、本件訂正発明の発明特定事項Gの「遊技制御手段」に相当する。
また、甲1発明の発明特定事項hの「AT」では、「リプレイB群当選時、リプレイC群当選時、小役B群当選時、及び小役C群当選時に、指示機能を作動させる」ところ、甲1発明の発明特定事項hによれば、「「指示機能の作動」は、押し順ベル当選時に正解押し順を表示すること、及びリプレイ重複当選時に有利なリプレイを入賞させる正解押し順を表示することの双方であ」る。ここで、「正解押し順を表示すること」は、有利操作態様を報知することであり、遊技者にとって有利であることも明らかである。そうすると、甲1発明の発明特定事項hの「AT」は、本件訂正発明の発明特定事項Iの「遊技者にとって有利となる有利操作態様を報知可能な有利状態」に相当する。
また、甲1発明の発明特定事項hの「有利区間」、「通常区間」は、それぞれ、本件訂正発明の発明特定事項Hの「有利区間」、「通常区間」に相当する。
また、甲1発明の発明特定事項h及びiの「有利区間フラグ」に「0」又は「1」を「セット」すること、「指示機能の作動制御」「を実行する」ことは、それぞれ、本件訂正発明の発明特定事項H及びIの「通常区間と有利区間のいずれかに制御する」こと、「有利状態に制御する」ことに相当する。そうすると、甲1発明の発明特定事項g、h及びiの「有利区間制御手段69」は、本件訂正発明の発明特定事項H及びIの「区間制御手段」及び「状態制御手段」としての機能を有するものである。
したがって、甲1発明の発明特定事項g、h及びiは、本件訂正発明の発明特定事項G、H及びIに相当する構成を含む。

(7)本件訂正発明の発明特定事項Jについて
甲1発明の発明特定事項jの「有利区間の上限遊技回数「1500」をカウントする上限カウンタ」は、本件訂正発明の発明特定事項Jの「有利区間中に消化されたゲーム数に対応する特定値を計数する計数手段」に相当する。
そして、甲1発明の発明特定事項jの「有利区間の上限遊技回数「1500」をカウントする上限カウンタ」の値は、本件訂正発明の発明特定事項Jの「有利区間中に消化されたゲーム数に対応する特定値」に相当する。
したがって、甲1発明の発明特定事項jは、本件訂正発明の発明特定事項Jに相当する構成を含む。

(8)本件訂正発明の発明特定事項Kについて
甲1発明の発明特定事項kの「有利区間表示LED77」は、本件訂正発明の発明特定事項Kの「遊技制御側ランプ」に相当し、甲1発明の発明特定事項kの「有利区間中」に「有利区間表示LED77」が「点灯状態に制御され」、「遊技者」が、「有利区間表示LED77の点灯」「を確認すれば、現在、有利区間に滞在している」こと「を一目で判断することができ」ることは、本件訂正発明の発明特定事項Kの「有利区間であるときに遊技制御側ランプを点灯させることで前記有利区間中である旨を示唆する」ことに相当する。
そして、甲1発明の発明特定事項kの「有利区間制御手段69」は、本件訂正発明の発明特定事項Kの「遊技制御側示唆手段」に相当する。
したがって、甲1発明の発明特定事項kは、本件訂正発明の発明特定事項Kに相当する構成を含む。

(9)本件訂正発明の発明特定事項Lについて
甲1発明の発明特定事項lの「上乗せ抽選を行い、」「決定した上乗せ数」「をATカウンタ値(ATの残り遊技回数)に加算」することは、本件訂正発明の発明特定事項Lの「有利状態を継続するための権利を付与する」ことに相当する。
そうすると、甲1発明の発明特定事項iの「有利区間中の上乗せ、指示機能の作動制御等を実行する手段であ」る「有利区間制御手段69」は、本件訂正発明の発明特定事項Lの「付与手段」に相当する。
したがって、甲1発明の発明特定事項i及びlは、本件訂正発明の発明特定事項Lに相当する構成を含む。

(10)本件訂正発明の発明特定事項Mについて
甲1発明の発明特定事項m,n,o,pの「押し順指示情報」は、本件訂正発明の発明特定事項Mの「前記有利操作態様を特定可能なナビ番号」に相当する。
また、甲1発明の発明特定事項m,n,o,pの「押し順指示情報を表示」する「獲得数表示LED78」は、本件訂正発明の発明特定事項Mの「前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を」「表示させることが可能であ」る「前記遊技補助表示器」に相当する。
したがって、甲1発明の発明特定事項m,n,o,pは、本件訂正発明の発明特定事項Mに相当する構成を含む。

(11)本件訂正発明の発明特定事項Nについて
甲1発明の発明特定事項m,n,o,pの「9枚のメダルが払い出されたことを示す「09」」は、本件訂正発明の発明特定事項Nの「遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数」に相当する。
また、甲1発明の発明特定事項m,n,o,pの「押し順指示情報を表示」する「獲得数表示LED78」は、本件訂正発明の発明特定事項Nの「遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数を」「表示させることが可能であ」る「前記遊技補助表示器」に相当する。
したがって、甲1発明の発明特定事項m,n,o,pは、本件訂正発明の発明特定事項Nに相当する構成を含む。

(12)本件訂正発明の発明特定事項Oについて
甲1発明の発明特定事項fによれば、「獲得数表示LED78」は、「払出し数(遊技者の獲得数)を表示するLEDであり、上位桁を表示するデジット3と、下位桁を表示するデジット4とから構成されていて、2桁を表示」するものであり、甲1発明の発明特定事項m,n,o,pによれば、「有利区間中における指示機能作動遊技では、まず、スタートスイッチ41が操作されると、メイン制御基板50は、指示機能を作動させて、獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示」するから、甲1発明では、本件訂正発明の発明特定事項Oと同様に、「前記有利操作態様を報知するゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とする」「ことで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ」るといえる。
ここで、甲1発明の発明特定事項hによれば、甲1発明では「有利区間表示LED77を点灯させるための具体的処理として」、「デジット2を表示するためのセグメントデータは、RWM53に記憶されているので、そのセグメントデータの変更を行」うことや、技術常識を踏まえると、甲1発明において「獲得数表示LED78に押し順指示情報を表示」するときに、「押し順指示情報」に対応する「獲得数表示LED78」のセグメントを点灯状態とするセグメントデータを出力バッファに設定することは明らかである。
したがって、甲1発明の発明特定事項m,n,o,pは、本件訂正発明の発明特定事項Oに相当する構成を含む。

(13)本件訂正発明の発明特定事項Pについて
甲1発明の発明特定事項m,n,o,pによれば、「有利区間中における指示機能作動遊技では、」「遊技者がベットスイッチ40を操作するか、メダルを手入れ投入してメダルがベットされると、獲得数表示LED78に表示した獲得枚数の内容をクリアするため、」「上位桁及び下位桁を消灯」するから、上記(12)で検討したことを踏まえると、甲1発明では、本件訂正発明の発明特定事項Pと同様に、「前記有利操作態様を報知しないゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態と」するといえる。
したがって、甲1発明の発明特定事項m,n,o,pは、本件訂正発明の発明特定事項Pに相当する構成を含む。

(14)本件訂正発明の発明特定事項R及びSについて
ア 甲1発明の発明特定事項r及びsの「上限カウンタ」は、上記1(1)フ(【0580】)に示したとおり、「AT開始時に初期値「1500」がセットされ、毎遊技、「1」ずつ減算され」る「カウンタ」であるが、上記1(1)ヘ(【0632】)に示したとおり、「インクリメントでもデクリメントでもよい」「カウンタ」である。ここで、当該「上限カウンタ」を「インクリメント」の「カウンタ」とした場合は、当該「上限カウンタ」が、AT開始時に初期値「0」がセットされ、毎遊技、「1」ずつ加算される「カウンタ」となることは明らかである。
そして、当該「上限カウンタ」を「インクリメント」の「カウンタ」とした場合は、「毎遊技、「1」ずつ減算され」る「カウンタ」である場合と異なり、甲1発明の発明特定事項r及びsの「メイン制御基板50側における制御処理」が、「ステップS443では、上限カウンタ値が」「1500」「であるか否かを判断」し、「1500」「でないと判断したときは、ステップS444に進」むのに対し、「1500」「であると判断したとき(すなわち、有利区間の遊技回数が上限の「1500」に到達したとき)は、AT及び有利区間を終了するために、ステップS445以降の処理に進み、ステップS445では、ATカウンタ値をクリア(「0」に)し、ステップS446に進み、上限カウンタ値をクリア(「0」に)し、ステップS447に進み、有利区間フラグの値をクリア(「0」に)」するという処理になることも明らかである。
そうすると、当該「上限カウンタ」を「インクリメント」の「カウンタ」とした場合は、甲1発明の発明特定事項r及びsの「1500」、「ステップS444」、「ステップS447」は、それぞれ、本件訂正発明の発明特定事項R、Sの「上限値」、「特定処理」、「初期化処理」に相当する。

イ 甲1発明の発明特定事項kによれば、「有利区間制御手段69」が、「通常区間から有利区間に移行することに決定したときに、有利区間表示LED77を点灯するように、デジット2を表示するためのセグメントデータの8ビット目(当審注:「有利区間フラグ」発明特定事項h参照)を「0」から「1」に変更し」たときに、「メイン制御基板50」が、「9回の割込み処理で1回の割合で1つのデジットを点灯させ」るから、甲1発明の発明特定事項sにおける「メイン制御基板50側における制御処理」では、「有利区間フラグの値をクリア(「0」に)し」たときに、「メイン制御基板50」が、「9回の割込み処理で1回の割合で」「有利区間表示LED77」を消灯「させ」ることは明らかである。
そして、甲1発明において、発明特定事項r及びsの「メイン制御基板50側における制御処理」及び発明特定事項kの「割込み処理」を、発明特定事項cの「遊技の進行に必要なプログラムの実行、演算等を行」う「メイン制御基板50のメインCPU55」が行うことも明らかである。
そうすると、甲1発明の発明特定事項gの「メイン制御基板50のメインCPU55」は、本件訂正発明の発明特定事項Sの「初期化手段」に相当する。

ウ したがって、甲1発明の発明特定事項r及びsは、本件訂正発明の発明特定事項R及びSに相当する構成を含む。

(15)本件訂正発明の発明特定事項Tについて
甲1発明の発明特定事項tの「上乗せが行われることにより、有利区間の総遊技回数が「1500」を超え」た時点は、本件訂正発明の発明特定事項Tの「所定時点」に相当し、甲1発明の発明特定事項tの「上乗せが行われることにより、」「上限の1500回まで有利区間が継続することが確定する」ことは、本件訂正発明の発明特定事項Tの「前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する」ことに相当する。
したがって、甲1発明の発明特定事項tは、本件訂正発明の発明特定事項Tと、「前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、所定の制御を行う」点で共通する構成を含む。

(16)本件訂正発明の発明特定事項Uについて
甲1発明の発明特定事項uの「有利区間であるが非AT期間(たとえばCZ)」は、本件訂正発明の発明特定事項Uの「前記有利状態のうち第1有利状態」に相当する。そうすると、甲1発明では、本件訂正発明の発明特定事項Uと同様に、「前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であ」るといえる。
したがって、甲1発明の発明特定事項uは、本件訂正発明の発明特定事項Uと、「前記有利区間において前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であ」る点で共通する構成を含む。

(17)本件訂正発明の発明特定事項Vについて
甲1発明の発明特定事項hの「AT」は、本件訂正発明の発明特定事項Vの「前記有利状態のうち第2有利状態」にも相当する。
また、甲1発明の発明特定事項jの「ATカウンタ」は、本件訂正発明の発明特定事項Vの「第2有利状態カウンタ」に相当する。
また、甲1発明の発明特定事項jによれば、「AT開始時に、ATカウンタには「100」がセットされ、そして、毎遊技、「1」ずつ減算され」、「ATカウンタ」「が「0」となったときは、ATの終了条件を満た」すから、甲1発明では、本件訂正発明の発明特定事項Vと同様に、「前記有利区間において第2有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態に制御可能であ」るといえる。
したがって、甲1発明の発明特定事項h、jは、本件訂正発明の発明特定事項Vに相当する構成を含む。

(18)本件訂正発明の発明特定事項Wについて
上記(16)及び(17)で検討したように、甲1発明の「有利区間であるが非AT期間(たとえばCZ)」、「AT」、「ATカウンタ」は、それぞれ、本件訂正発明の「前記有利状態のうち第1有利状態」、「前記有利状態のうち第2有利状態」、「第2有利状態カウンタ」に相当する。
また、甲1発明の発明特定事項sによれば、「メイン制御基板50側における制御処理のステップS443では、上限カウンタ値が「0」であるか否かを判断し、「0」であると判断したとき(すなわち、有利区間の遊技回数が上限の「1500」に到達したとき)は、AT及び有利区間を終了するために、ステップS445以降の処理に進み、ステップS445では、ATカウンタ値をクリア(「0」に)」するところ、このときには、「有利区間であるが非AT期間(たとえばCZ)」及び「AT」のいずれに制御されているかを判断していないから、甲1発明では、本件訂正発明の発明特定事項Wと同様に、「前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、」「前記第2有利状態カウンタ」「を初期化する」といえる。
したがって、甲1発明の発明特定事項sは、本件訂正発明の発明特定事項Wと、「前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、前記第2有利状態カウンタを初期化する」点で共通する構成を含む。

(19)一致点及び相違点
上記(1)ないし(18)からみて、本件訂正発明と甲1発明は、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 遊技の制御を行う遊技制御手段と、
D 演出の制御を行う演出制御手段と、
E 前記遊技制御手段により制御される遊技補助表示器とを備え、
F 前記遊技補助表示器は、複数のセグメントを有する2つの表示器から構成され、それぞれの表示器に数値を表示させることが可能であり、
G 前記遊技制御手段は、
H 通常区間と有利区間のいずれかに制御する区間制御手段と、
I 前記有利区間であるときに遊技者にとって有利となる有利操作態様を報知可能な有利状態に制御する状態制御手段と、
J 前記有利区間中に消化されたゲーム数に対応する特定値を計数する計数手段と、
K 前記有利区間であるときに遊技制御側ランプを点灯させることで前記有利区間中である旨を示唆する遊技制御側示唆手段と、
L 前記有利状態を継続するための権利を付与する付与手段とを含み、
M 前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、
N 遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、
O 前記有利操作態様を報知するゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とするナビ表示データを出力バッファに設定することで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ、
P 前記有利操作態様を報知しないゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態とし、
R 前記計数手段によって計数された前記特定値が上限値未満であるときは、前記有利状態に関わる特定処理を実行し、
S 前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記特定処理を実行することなく、記憶部に記憶された前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化処理を実行した後に、前記遊技制御側ランプを消灯させる消灯処理を実行する初期化手段を含み、
U’ 前記有利区間において前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であり、
V 前記有利区間において第2有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態に制御可能であり、
W’ 前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、前記第2有利状態カウンタを初期化する、スロットマシンであって、
T’前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、所定の制御を行う、
X スロットマシン。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](発明特定事項Q)
本件訂正発明は、「前記ナビ番号を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち一方の表示器に前記ナビ番号を表示させ、前記付与された遊技用価値の数を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち他方の表示器に前記付与された遊技用価値の数を表示させ」るのに対し、
甲1発明では、「有利区間中における指示機能作動遊技では、」「小役B1に当選した場合、獲得数表示LED78は、押し順指示番号「A1」に対応する押し順指示情報、すなわち「=1」と表示」するものであり、「9枚のメダルが払い出されると、獲得数表示LED78の表示は、押し順指示情報の表示「=1」から、9枚のメダルが払い出されたことを示す「09」に変化」する点。

[相違点2](発明特定事項T)
「所定時点」において、
本件訂正発明は、「特殊制御」を「遊技制御手段」が行うのに対し、
甲1発明は、「画像表示装置23」に表示された「有利区間」「の残り遊技回数の表示」を「「祝」や「おめでとう」」という表示に「切り替え」るための所定の制御を「メイン制御基板50」が行っているか否かが明らかでない点。

[相違点3](発明特定事項U)
「前記有利区間において前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であ」る場合が、
本件訂正発明では、「第1有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合」であるのに対し、
甲1発明では、どのような場合であるのか明らかでない点。

[相違点4](発明特定事項W)
「前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるとき」(甲1発明の「上限カウンタ値が「0」であるか否かを判断し、「0」であると判断したとき(すなわち、有利区間の遊技回数が上限の「1500」に到達したとき)」)において、
本件訂正発明は、「前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、前記第1有利状態カウンタ及び前記第2有利状態カウンタの双方を初期化する」のに対し、
甲1発明は、「有利区間であるが非AT期間(たとえばCZ)」(第1有利状態)及び「AT」(第2有利状態)のいずれに制御されているかに関わらず、「ATカウンタ値をクリア(「0」に)」す」るものの、「非AT期間(たとえばCZ)」のカウンタを有するか否かが明らかでなく、これに加えて、「有利区間であるが非AT期間(たとえばCZ)」及び「AT」のいずれに制御されているかに関わらず、「非AT期間(たとえばCZ)」のカウンタを初期化することも明らかでない点。

(20)検討
事案に鑑み、上記相違点1について検討する。
ア 甲1発明の発明特定事項fによれば、甲1発明の「獲得数表示LED78」は、「上位桁を表示するデジット3と、下位桁を表示するデジット4とから構成されていて、2桁を表示」するものであるところ、甲1発明の発明特定事項m,n,o,pによれば、上記相違点1で示したように、「有利区間中における指示機能作動遊技では、」「小役B1に当選した場合、獲得数表示LED78は、押し順指示番号「A1」に対応する押し順指示情報、すなわち「=1」と表示」するから、甲1発明は、「押し順指示番号「A1」に対応する押し順指示情報」を「表示」させる場合に、「2桁を表示」する「獲得数表示LED78」のうち2つの表示器に「押し順指示番号「A1」に対応する押し順指示情報」を「表示」するものである。
また、甲1発明の発明特定事項m,n,o,pによれば、上記相違点1で示したように、甲1発明では、「9枚のメダルが払い出されると、獲得数表示LED78の表示は、押し順指示情報の表示「=1」から、9枚のメダルが払い出されたことを示す「09」に変化」するから、甲1発明は、「獲得数表示LED78の表示」により「9枚のメダルが払い出されたことを示す」場合に、「2桁を表示」する「獲得数表示LED78」のうち、2つの表示器に「09」を表示させるものである。
このように、甲1発明は、「押し順指示番号「A1」に対応する押し順指示情報」を「表示」させる場合(本件訂正発明の「前記ナビ番号を表示させる場合」に相当する。)、「獲得数表示LED78の表示」により「9枚のメダルが払い出されたことを示す」場合(本件訂正発明の「前記付与された遊技用価値の数を表示させる場合」に相当する。)のいずれにおいても、「獲得数表示LED78」が有する2つの表示器に「=1」や「09」を表示するものである。

イ 甲1発明の「獲得数表示LED78」は、「上位桁を表示するデジット3と、下位桁を表示するデジット4とから構成されてい」るから、桁ごとにデジットに表示させるものである。そうすると、「=1」や「09」という2桁の表示を、1つの表示器(「デジット3」又は「デジット4」)のみに表示することはできないし、ましてや、「=1」や「09」という2桁の表示を一方の表示器と他方の表示器とに異ならせることもできない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1に係る本件発明の構成のようになすことは当業者が容易になし得たものであるとはいえない。

ウ よって、他の相違点である上記相違点2、3及び4について検討するまでもなく、本件訂正発明は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

第6 取消理由において通知しなかった特許異議申立人の申立ての理由について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、取消理由において通知した理由の他に、本件訂正請求前の請求項1に係る発明は、甲1発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当する旨主張したが、本件訂正請求前の請求項1に係る発明と甲1発明とは、上記第5の2で示した相違点2で少なくとも相違するから、当該主張を採用できないことは明らかである。

第7 むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した理由及び証拠方法によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれたリールを有する可変表示部を備えており、規定の賭数が設定された状態でスタートスイッチが操作されることによりリールが回転開始し、ストップスイッチが操作されてリールの回転が停止したときに入賞ライン上に予め定められた図柄組合せ(たとえば、7−7−7、以下、図柄組合せを表示結果の組合せ、もしくは役とも称する)が導出されることにより入賞が発生する。
【0003】
役の種類としては、小役、特別役、再遊技役といった種類がある。ここで、小役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、小役の種類ごとに定められた数のメダルが払い出される。特別役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、RB(レギュラーボーナス)やBB(ビッグボーナス)といった遊技者にとって有利な特別状態に遊技状態が移行可能となる。再遊技役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行うことができる。
【0004】
このようなスロットマシンとして、ストップスイッチの操作態様が報知されるAT(アシストタイム)に制御されてから払い出されたメダルの枚数が所定枚数を超えたときに当該ATへの制御を終了するスロットマシンがあった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5759958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたスロットマシンにおいては、ATのような有利な状態への制御を終了した後について何ら鑑みられておらず、その後すぐに有利な状態に再び制御されるといった事態が生じ得る。この場合、長期間に亘って有利な状態に制御されてしまう虞があった。
【0007】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、長期間に亘って有利な状態に制御されることを防止するスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(A) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技の制御を行う遊技制御手段と、
演出の制御を行う演出制御手段と、
前記遊技制御手段により制御される遊技補助表示器とを備え、
前記遊技補助表示器は、複数のセグメントを有する2つの表示器から構成され、それぞれの表示器に数値を表示させることが可能であり、
前記遊技制御手段は、
通常区間と有利区間のいずれかに制御する区間制御手段と、
前記有利区間であるときに遊技者にとって有利となる有利操作態様を報知可能な有利状態に制御する状態制御手段と、
前記有利区間中に消化されたゲーム数に対応する特定値を計数する計数手段と、
前記有利区間であるときに遊技制御側ランプを点灯させることで前記有利区間中である旨を示唆する遊技制御側示唆手段と、
前記有利状態を継続するための権利を付与する付与手段とを含み、
前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、
遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数を前記遊技補助表示器に表 示させることが可能であり、
前記有利操作態様を報知するゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とするナビ表示データを出力バッファに設定することで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ、
前記有利操作態様を報知しないゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態とし、
前記ナビ番号を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち一方の表示器に前記ナビ番号を表示させ、前記付与された遊技用価値の数を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち他方の表示器に前記付与された遊技用価値の数を表示させ、
前記計数手段によって計数された前記特定値が上限値未満であるときは、前記有利状態に関わる特定処理を実行し、
前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記特定処理を実行することなく、記憶部に記憶された前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化処理を実行した後に、前記遊技制御側ランプを消灯させる消灯処理を実行する初期化手段を含み、
前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行い、
前記有利区間において第1有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であり、
前記有利区間において第2有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態に制御可能であり、
前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、前記第1有利状態カウンタ及び前記第2有利状態カウンタの双方を初期化する。
(B) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
特定状態(たとえば、有利区間)に制御する特定状態制御手段(たとえば、メイン制御部41による有利区間に制御する処理)と、
前記特定状態の開始契機から特定数値(たとえば、カウントゲーム数)の更新を行う更新手段(たとえば、メイン制御部41によるカウントゲーム数を計数する処理)と、
前記更新手段により更新が行われる前記特定数値が規定値(たとえば、1500ゲーム)に到達することで前記特定状態の制御を終了する終了手段(たとえば、メイン制御部41によるリミット処理)と、
前記特定状態を継続させるための権利(たとえば、ATゲーム)を付与する付与手段(たとえば、メイン制御部41によるATゲームを付与する処理)と、
前記特定状態における所定時点(たとえば、有利区間中に消化するゲーム数が1500ゲームに到達することが確定した時点)において、前記付与手段に付与された権利により前記特定数値が前記規定値に到達することが確定する場合、前記所定時点から前記終了手段により前記特定状態の制御が終了されるまでの期間において、前記権利と異なる特典(たとえば、設定値示唆,ポイント)を付与する特殊制御を行う特殊制御手段(たとえば、メイン制御部41による特殊制御を行う処理)とを備える。
【0009】
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
遊技者にとって有利な有利状態に制御する有利状態制御手段(たとえば、メイン制御部41による有利区間に制御する処理)と、
第1状態(たとえば、RT3)から当該第1状態よりも不利な第2状態(たとえば、初期RTであるRT0)へと状態を移行させるための移行制御(たとえば、初期RT移行制御)を行う移行制御手段(たとえば、メイン制御部41による図18に示すS422の処理)とを備え、
前記移行制御手段は、前記有利状態への制御の終了に伴って前記移行制御を行う(たとえば、図18に示すリミット処理において、S422の初期RT移行制御は、S421の処理に伴って行われる)。
【0010】
(2) 上記(1)に記載のスロットマシンにおいて、
前記移行制御手段は、前記第1状態でありかつ前記有利状態に制御されている場合、前記移行制御として、当該有利状態に制御された最終ゲームの次ゲームから前記第2状態に制御する(たとえば、初期RT移行制御において、RT0フラグをRAM41cの所定領域にセットすることで、次のゲームから遊技状態がRT0に制御される)。
【0011】
(3) 上記(1)に記載のスロットマシンにおいて、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)と、
前記第2状態への制御を伴う移行表示結果(たとえば、移行出目,転落リプレイ2の図柄組合せ)の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選を実行する処理)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、メイン制御部41によるリール制御)とをさらに備え、
前記移行制御手段は、前記第1状態でありかつ前記有利状態に制御されている場合、前記移行制御として、当該有利状態に制御された最終ゲームの次ゲームから前記移行表示結果を導出させるための前記導出操作手段の操作態様を示唆する(たとえば、変形例の[初期RT移行制御について]の欄に記載されているように、移行出目または転落リプレイ2の図柄組合せを導出させるためのナビ演出を実行する)。
【0012】
(4) 上記(1)に記載のスロットマシンにおいて、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)と、
前記第1状態への制御を伴う特定表示結果(たとえば、特殊リプレイの図柄組合せ)の導出を許容するか否かを決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選を実行する処理)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、メイン制御部41によるリール制御)とをさらに備え、
前記移行制御手段は、前記第1状態でありかつ前記有利状態に制御されている場合、前記移行制御として、当該有利状態に制御された最終ゲームの次ゲームから前記有利状態に制御するための権利の付与および前記特定表示結果を導出させるための前記導出操作手段の操作態様の示唆を禁止する(たとえば、変形例の[初期RT移行制御について]の欄に記載されているように、有利区間移行抽選を禁止するとともに、特殊リプレイの図柄組合せを導出するためのナビ演出の実行を禁止する)。
【0013】
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のスロットマシンにおいて、
前記有利状態への制御の終了条件には、当該有利状態における遊技数が特定遊技数(たとえば、1500)に到達したときに成立する第1条件と、当該第1条件とは異なる第2条件(たとえば、ATゲームカウンタおよびCZゲームカウンタのいずれもが0に達したこと)とが含まれ、
前記移行制御手段は、前記第1条件および前記第2条件のいずれが成立したときでも前記移行制御を行う(たとえば、図17に示すS38〜S41の処理)。
【0014】
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載のスロットマシンにおいて、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)と、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選を実行する処理)と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段(メイン制御部41によるリール制御)と、
前記導出操作手段の操作態様が報知され得る報知状態(たとえば、AT)に制御する報知状態制御手段(たとえば、メイン制御部41によるATに制御する処理)とをさらに備え、
前記有利状態においては、前記第2状態に制御されているときに比べて、前記第1状態に制御されているときの方が前記報知状態への制御に関する有利度合いが高い(たとえば、図11(a)に示すように、RT3中にのみ当選するリプレイGR41〜43に当選したことに基づいて報知状態移行抽選が行われるため、リプレイGR41〜43に当選する分、RT3中の方がRT0に比べてATに移行しやすい)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本実施形態に係るスロットマシンの正面図であり、(b)は、スロットマシンの主な内部構成の一例を示す図である。
【図2】リールの図柄配列を示す図である。
【図3】入賞役を説明するための図である。
【図4】抽選対象役を説明するための図である。
【図5】押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。
【図6】移行出目の図柄組合せを説明するための図である。
【図7】遊技状態の遷移を説明するための図である。
【図8】遊技状態の概要を示す図である。
【図9】(a)は、ナビ対象役の例、正解手順となる押し順、遊技補助表示器におけるナビ演出の表示例、および液晶表示器におけるナビ演出の表示例を説明するための図であり、(b)は、遊技補助表示器におけるメダル払出時の表示例を説明するための図である。
【図10】有利区間移行抽選テーブルを示す図である。
【図11】AT抽選テーブルを示す図である。
【図12】上乗せ抽選テーブルを示す図である。
【図13】押し順当て抽選テーブルを示す図である。
【図14】上乗せ示唆演出を説明するための図である。
【図15】メイン制御部が実行する通常区間処理を示すフローチャートである。
【図16】メイン制御部が実行する待機区間処理を示すフローチャートである。
【図17】メイン制御部が実行する有利区間処理を示すフローチャートである。
【図18】メイン制御部が実行するリミット処理を示すフローチャートである。
【図19】有利区間の割合の報知について説明するための図である。
【図20】メイン報知およびサブ報知の点灯態様を説明するための図である。
【図21】メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一覧を示す図である。
【図22】メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【図23】メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【図24】メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【図25】メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【図26】液晶表示器における到達確定演出例、およびバトル演出例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。以下の実施の形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。
【0017】
[スロットマシンの構成]
図1(a)は、本実施形態に係るスロットマシン1の正面図であり、図1(b)は、スロットマシン1の主な内部構成の一例を示す図である。図2は、リールの図柄配列を示す図である。
【0018】
図1(a)に示すように、スロットマシン1は、前面扉1bに液晶表示器51が設けられている。前面扉1bにおける液晶表示器51の下方に位置する化粧パネル1cには、透視窓3が形成されている。遊技者は、この透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L,2C,2Rが視認可能である。図2に示すように、各リールには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。
【0019】
図1(a)に示すように、前面扉1bには、操作手段の一例として、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リールの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8R、および演出に用いるための演出用スイッチ56などが設けられている。
【0020】
前面扉1bには、報知手段の一例として、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル数が表示されるクレジット表示器11、メダルの払出枚数やエラー時にエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、設定されている賭数を報知するための1BETLED14、2BETLED15、3BETLED16、メダル投入が可能であることを報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が可能であることを報知するスタート有効LED18、およびリプレイ入賞後のリプレイゲーム中であることを報知するリプレイ中LED20が設けられている。
【0021】
遊技用表示部13には、LEDランプを点灯することで後述する有利区間中であることを報知する有利区間報知ランプ19が設けられている。なお、遊技用表示部13上において有利区間報知ランプ19を示す表示は無くてもよい。あるいは、直接的に「有利区間報知ランプ」という文字が表示されてもよいし、たとえば、「チャンス」という文字のように点灯することによって遊技者にとって有利となることを示唆する文字が表示されてもよい。なお、本実施の形態においては、スタートスイッチ7の操作後においてウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリール2L,2C,2Rの回転開始を待機している状態)中であることを報知するウェイト中LEDが設けられていないが、このようなウェイト中LEDが設けられていてもよい。
【0022】
化粧パネル1cにおいて、透視窓3の下方には、後述するCZ(チャンスゾーン)の制御中である旨を点灯によって示唆するCZランプ57と、後述するAT(アシストリプレイタイム)の制御中である旨を点灯によって示唆するATランプ58とが設けられている。CZランプ57が点灯することでCZへの制御中である旨を示唆すること、およびATランプ58が点灯することでATへの制御中である旨を示唆することをまとめてサブ報知とも称する。
【0023】
非CZ中においては、CZランプ57は消灯しているため、「CZ」の文字が浮かび上がらない。一方、CZ中においては、CZランプ57は点灯しているため、「CZ」の文字が浮かび上がる。このため、遊技者は、CZランプ57が点灯することで浮かび上がった「CZ」の文字を認識すれば、現在の状態がCZ中であることを認識することができる。なお、本実施の形態においては、CZランプ57の点灯色は白色である。
【0024】
非AT中においては、ATランプ58は消灯しているため、「AT」の文字が浮かび上がらない。一方、AT中においては、ATランプ58は点灯しているため、「AT」の文字が浮かび上がる。このため、遊技者は、ATランプ58が点灯することで浮かび上がった「AT」の文字を認識すれば、現在の状態がAT中であることを認識することができる。
【0025】
なお、詳しくは後述するが、ATには、3種類のAT(通常AT,有利AT,特別AT)が設けられており、ATランプ58は、制御中のATの種類に応じた点灯態様で点灯する。具体的には、通常AT中においては、ATランプ58は白色で点灯する。有利AT中においては、ATランプ58は赤色で点灯する。特別AT中においては、ATランプ58は赤色で点滅する。このため、遊技者は、ATランプ58の点灯態様を認識すれば、制御中のATの種類を認識することができる。
【0026】
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投入するかMAXBETスイッチ6の操作などにより規定数の賭数(たとえば3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、かつスタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。賭数設定済の状態でメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0027】
入賞ラインとは、リール2L,2C,2Rの透視窓3に表示された図柄組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するためのラインである。本実施形態では、1本の入賞ラインLNのみ設けられている例について説明するが、複数の入賞ラインが設けられているものであってもよい。また、入賞を構成する図柄組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインLM1〜LM4が設けられている。
【0028】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、リール2L,2C,2Rを回転させて図柄を変動表示し、ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると対応するリールの回転を停止させることで、透視窓3の上中下段に3つの図柄を表示結果として導出表示する。入賞ラインLN上に導出表示される図柄(表示結果)として選択可能なものは、ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに入賞ラインLN上に表示されている図柄、およびそこから4コマ先までにある図柄の合計5コマ分の図柄である。規定数の賭数(たとえば、3)が設定されると、入賞ラインLNが有効化されて、ゲームが開始可能な状態となる。
【0029】
入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、入賞に応じて、所定枚数のメダルが遊技者に対して付与されて、クレジット加算か、クレジットが上限数(50)に達した場合にはメダル払出口9からメダルが払い出される。メダル払出口9からメダルが払い出されるときには、メイン制御部41によって制御された図示しないホッパーモータの駆動によって、メダル払出口9からメダルが払い出される。
【0030】
ここで、スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてから全てのリールが停止するまでをいうが、ゲームを行う際にスタートスイッチ7の操作前の賭数設定や、全てのリールの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれる。
【0031】
図1(b)に示すように、スロットマシン1の内部には、遊技の進行を制御する(遊技を制御するともいえる)とともに遊技の進行に応じて各種コマンドを出力する遊技制御基板40、およびコマンドに応じて演出を制御する演出制御基板90などが設けられている。遊技制御基板40は、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載あるいは接続された構成を制御するメイン制御部41を備える。演出制御基板90は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて演出を行う処理を行うとともに、演出制御基板90に搭載あるいは接続された構成を制御するサブ制御部91を備える。
【0032】
メイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータにて構成され、ワークメモリとして使用されるRAM41c、プログラムに従って制御動作を行うメインCPU41aが内蔵されており、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0033】
MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L,8C,8R、および精算スイッチ10が操作されると、当該操作されたことを検出するための検出信号がメイン制御部41に入力される。メイン制御部41は、これら各種スイッチからの検出信号に基づき、これら各種スイッチへの操作を検出する。
【0034】
メイン制御部41からは、遊技用表示部13に含まれる各種表示器を点灯制御あるいは表示制御するための制御信号が遊技用表示部13に出力される。遊技用表示部13に含まれる各種表示器は、メイン制御部41からの制御信号に基づき、点灯あるいは所定情報を表示する。
【0035】
サブ制御部91は、メイン制御部41と同様に1チップマイクロコンピュータにて構成され、ワークメモリとして使用されるRAM91c、プログラムに従って制御動作を行うサブCPU91aが内蔵されており、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。なお、サブ制御部91が備えるRAM91cは、メイン制御部41が備えるRAM41cよりも記憶容量が大きく、その分、演出や所定情報の報知といった処理に必要なデータを記憶させておくことができる。
【0036】
演出用スイッチ56が操作されると、当該操作されたことを検出するための検出信号がサブ制御部91に入力される。サブ制御部91は、演出用スイッチ56からの検出信号に基づき、演出用スイッチ56への操作を検出する。
【0037】
サブ制御部91からは、液晶表示器51、スピーカ53,54、CZランプ57、およびATランプ58のそれぞれを制御するための制御信号が液晶表示器51、スピーカ53,54、CZランプ57、およびATランプ58のそれぞれに出力される。液晶表示器51は、サブ制御部91からの制御信号に基づき、所定情報を表示する。スピーカ53,54は、サブ制御部91からの制御信号に基づき、音声を出力する。CZランプ57は、サブ制御部91からの制御信号に基づき点灯し、ATランプ58は、サブ制御部91からの制御信号に基づき点灯または点滅する。なお、図1(b)は、あくまで一例であり、スロットマシン1の内部にはその他の構成も設けられている。
【0038】
[入賞役]
図3は、入賞役を説明するための図である。図3の名称欄には、入賞役の名称が示され、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄組合せが示されている。また、無効ラインに揃う図柄の組合せ欄には、入賞となる図柄組合せが入賞ラインに停止したときに無効ラインに停止する図柄組合せであって遊技者が認識しやすい図柄組合せが示されており、図中の「/」は、「または」を意味する。付与欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出、再遊技付与など)が示されている。
【0039】
入賞役には、特別役、小役、および再遊技役が含まれる。特別役は小役に当選する確率が高いボーナス状態への移行を伴う役である。小役は、メダルを付与する役である。再遊技役(リプレイ)は、再遊技を付与する役である。ここで、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値(たとえば、クレジット)を用いることなく次の遊技を行うことが可能であることをいう。換言すると、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値を用いることなくリールが変動可能となることであることをいう。本実施の形態では、再遊技役が当選すると、ストップスイッチの操作タイミングに関わらず入賞する。なお変形例として、再遊技役は、当選したとしても、ストップスイッチの操作タイミングによっては、入賞しない役(つまり、取りこぼしのある役)であってもよい。
【0040】
図3に示すように、入賞役のうち特別役にはBBが含まれる。BBは、ボーナス(たとえば、ビッグボーナス)という有利な状態への移行を伴う入賞役である。BBの付与欄には、入賞により移行されるボーナスの終了条件が示されている。ボーナスは、予め定められたメダル枚数以上払出されることにより終了する。具体的には、BBに当選・入賞して制御されるボーナスについては、当該ボーナス中に払い出されたメダル枚数が351枚以上となったときに終了する。
【0041】
図3に示すように、入賞役のうちの小役には、中段ベル、右下がりベル、上段ベル1〜8、右下がりスイカ、上段スイカ、中段スイカ、下段チェリー、右上がりチェリー、中段チェリー、および1枚役1,2が含まれる。各小役は、それぞれ図柄組合せが設定されている。
【0042】
ここで、上段ベル1〜8のそれぞれを構成する中リール2Cの「白BAR]や「黒BAR」は、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。また、上段ベル1〜8のそれぞれを構成する右リール2Rの「白BAR]や「黒BAR」は、右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていない。このため、上段ベル1〜8が後述する内部抽選で当選しても、中リール2Cや右リール2Rの停止操作を適正なタイミングで行わなければ、当選している上段ベル1〜8を入賞させることができず、上段ベル1〜8の入賞を取りこぼすことになる。なお、このときに導出される取りこぼし目は、遊技状態を移行させる図柄組合せであるため、移行出目ともいう。各小役に対応する図柄組合せが導出されると、小役の入賞が発生し、予め決められた枚数分のメダルが払い出される。
【0043】
図3に示すように、入賞役のうちの再遊技役には、通常リプレイ、下段リプレイ、転落リプレイ1,2、昇格リプレイ1,2、特殊リプレイ、および特別リプレイが含まれる。特別リプレイを構成する左リール2Lの「リプレイ」/「プラム」、中リール2Cの「白BAR」/「黒BAR」、および右リール2Rの「黒7」/「網7」/「白7」/「プラム」は、各リールにおいて5コマ以内に配置されている。このため、特別リプレイに当選した場合、ストップスイッチの操作タイミングに関わらず必ず特別リプレイが入賞する。特別リプレイが入賞すると、無効ライン上にBAR図柄が揃う。
【0044】
[抽選対象役]
次に、抽選対象役について説明する。図4は、抽選対象役を説明するための図である。抽選対象役は、スロットマシン1が実行する内部抽選の対象となる役である。内部抽選は、メイン制御部41によって実行され、導出を許容する図柄組合せを決定する処理である。なお、内部抽選によって図柄組合せの導出が許容されたことを当選ともいう。
【0045】
図4の「抽選対象役」欄と「入賞役の組合せ」欄に示すように、内部抽選においては、一の抽選対象役に当選することで、複数の入賞役に同時に当選し得る。たとえば、強スイカに当選した場合は、右下がりスイカ、上段スイカおよび1枚役1の入賞が許容される。換言すると、内部抽選で強スイカに当選したときには、右下がりスイカ、上段スイカおよび1枚役1に同時当選したことになる。
【0046】
[遊技状態ごとに読み出される抽選対象役]
図4に示すように、メイン制御部41は、遊技状態ごとに決まった抽選対象役を読出し、内部抽選を行い、入賞の発生を許容するか否かを決定する。たとえば、メイン制御部41が備える乱数回路(図示省略)は、所定範囲(1〜65536)に属する判定値を所定の更新規則にしたがって更新する。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたときに乱数回路が更新している判定値を抽出する。そして、メイン制御部41は、抽出した判定値が抽選対象役ごとに予め定められた所定範囲に属する判定値に該当すれば、該当した抽選対象役の当選を決定する。
【0047】
図4中の抽選対象役欄には、その名称を示し、遊技状態欄には、RTの種類ごとに、丸印でその抽選対象役が抽選対象であることを示し、丸印の下の数値により当選確率にかかわる判定値数を示している。スロットマシン1では、制御可能な遊技状態として、RT0、RT1、RT2、RT3、RT4、およびボーナスが設けられている。
【0048】
図4に示すように、抽選対象役のうちの特別役には、ボーナス1〜12が含まれる。ボーナス1〜12のうち、ボーナス1はBBに単独で当選する役であって、ボーナス2〜12は、小役である弱スイカ1〜3、強スイカ、弱チェリー1〜3、強チェリー1〜3、および中段チェリーのうちのいずれかとBBとが同時当選する役である。
【0049】
図8に示すように、抽選対象役のうちの小役には、ベル、左ベル1〜4、中ベル1〜4、右ベル1〜4、弱スイカ1〜4、強スイカ、弱チェリー1〜4、強チェリー1〜3、中段チェリー、および1枚役1,2が含まれる。抽選対象役のうちの再遊技役(リプレイ)には、通常リプレイ、リプレイGR1〜6、リプレイGR11〜13、リプレイGR21〜23、リプレイGR31〜33、およびリプレイGR41〜43が含まれる。以下では、弱スイカ1〜4および強スイカをまとめてスイカともいう。弱チェリー1〜4、強チェリー1〜3、および中段チェリーをまとめてチェリーともいう。
【0050】
ボーナス1〜12は、RT0〜3中において、内部抽選の抽選対象となる役である。小役および通常リプレイは、RT0〜4において、内部抽選の抽選対象となる役である。リプレイGR1〜6、リプレイGR11〜13、リプレイGR21〜23、リプレイGR31〜33、およびリプレイGR41〜43は、遊技状態ごとに、内部抽選の抽選対象となるか否かが予め定められている役である。たとえば、リプレイGR41〜43は、RT3においてのみ、抽選対象となる役である。
【0051】
[設定値]
本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率(賭数設定に用いられたメダルの総数と、入賞によって払い出されたメダルの総数との比率)が変わる。詳しくは、内部抽選などにおいて設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わる。設定値は1〜6の6段階からなり、たとえば、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち払出率の点からでは、設定値として6が設定されているときが遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
【0052】
[複数の入賞役が同時当選したときのリール制御]
図5および図6を用いて、複数の入賞役が同時当選したときのリール制御を説明する。図5は、押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。図6は、移行出目の図柄組合せを説明するための図である。
【0053】
図5に示すように、当選役欄には、当選した抽選対象役を示す。押し順欄には、ストップスイッチを操作する順番を示す。たとえば、「左中右」とは、左ストップスイッチ8L、中ストップスイッチ8C、右ストップスイッチ8Rの順で操作して、左リール2L、中リール2C、右リール2Rの順でリールを停止させることを示す。また、「左第1停止」とは、左ストップスイッチ8Lを最初に操作し、それ以降の操作手順は問わないことを意味する。停止する図柄組合せ欄には、押し順欄に示す押し順で停止操作されたときに発生する入賞役を示す。
【0054】
なお、スタートスイッチ7の操作によってリール2L,2C,2Rが回転している場合において、ストップスイッチ8L,8C,8Rのうち、第1の操作(最初の操作)によって第1のリールを停止させることを第1停止操作、第2の操作(2番目の操作)によって第2のリールを停止させることを第2停止操作、第3の操作(最後の操作)によって第3のリールを停止させることを第3停止操作あるいは最終停止操作ともいう。
【0055】
本実施の形態においては、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様(操作手順)に応じて導出される表示結果が異なる押し順役が設けられている。操作態様には、操作順序(ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作する順番、押し順ともいう)と、操作タイミング(各ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作するタイミング)とが含まれる。
【0056】
図5に示すように、押し順役のうち、押し順に応じて導出される表示結果が異なる役には、左ベル1〜4、中ベル1〜4、右ベル1〜4、リプレイGR1〜6、リプレイGR11〜13、リプレイGR21〜23、リプレイGR31〜33、およびリプレイGR41〜43が含まれる。
【0057】
たとえば、左ベル1〜4のうちのいずれかに当選した場合に、押し順が左第1停止であるときは、右下がりベルが入賞するように右下がりベルを構成する図柄組合せが導出される。左ベル1〜4のうちのいずれかに当選した場合に、押し順が左第1停止以外であれば、上段ベルが入賞するように上段ベルを構成する図柄組合せが導出されるか、あるいは図5に示す移行出目が導出される。移行出目は、上段ベルの入賞を取りこぼした場合に導出される取りこぼし目であって、いずれの入賞も発生しない図柄組合せである。移行出目は、左ベル1〜4、中ベル1〜4、右ベル1〜4のうちのいずれかに当選した場合にのみ導出が許容される出目である。
【0058】
なお、スロットマシン1が内部抽選においていずれの抽選対象役にも当選しなかった場合には、いずれの入賞も発生しない図柄組合せであって、移行出目とは異なる出目が導出される。ここで、スロットマシン1が内部抽選において抽選対象役にも当選しなかったことを、内部抽選に外れたともいう。
【0059】
また、リプレイGR1に当選した場合に、押し順が左中右であるときには、昇格リプレイ1が導出される。一方、リプレイGR1に当選した場合に、押し順が左中右以外であるときには、通常リプレイが導出される。また、リプレイGR41に当選した場合に、押し順が左第1停止であるときには、特別リプレイが導出される。一方、リプレイGR41に当選した場合に、押し順が左第1停止以外であるときには、通常リプレイが導出される。
【0060】
なお、複数の入賞役に同時当選する同時当選役に当選しているときには、当該同時当選役に当選していないときと異なるリール制御が行われ得る。たとえば、弱スイカ1〜4に当選しているときには、右下がりスイカあるいは上段スイカよりも中段スイカを優先して入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。これに対して、強スイカに当選しているときには、右下がりスイカおよび上段スイカを優先して入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。また、弱チェリー1〜4が当選しているときには、下段チェリーを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われ、強チェリー1〜3が当選しているときには、右上がりチェリーを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われ、中段チェリーが当選しているときには、中段チェリーを入賞ライン上に引き込むリール制御が行われる。これにより、リールが停止したときの図柄組合せから、チェリーかスイカか、弱か強か、あるいは、中段チェリーか否かなどを推定できる。
【0061】
[遊技状態]
図7および図8を用いて、スロットマシン1が制御する遊技状態を説明する。図7は、遊技状態の遷移を説明するための図である。図8は、遊技状態の概要を示す図である。
【0062】
前述したように、スロットマシン1では、制御可能な遊技状態として、RT0、RT1、RT2、RT3、RT4、およびボーナスが設けられている。RT0、RT1、およびRT4は、内部抽選におけるリプレイの合算確率が約1/7.3である。RT2は、内部抽選におけるリプレイの合算確率が約1/2.08である。RT3は、内部抽選におけるリプレイの合算確率が約1/1.37である。すなわち、RT3は、RT0、RT1、RT2、およびRT4よりもリプレイの合算確率が高い遊技状態である。また、RT2は、RT0、RT1、およびRT4よりもリプレイの当選確率が高い遊技状態である。このため、RT0およびR1を不利RT、RT2およびRT3を有利RTともいう。
【0063】
なお、RT0〜RT4においては、再遊技役以外の抽選対象役である小役に当選する確率は変わらないように設定されている。また、RT0、RT1、RT4におけるリプレイの合算確率は、当選した小役を取りこぼすことなく入賞させた場合に払い出されるメダルの合計枚数が、メダルあるいはクレジットを賭数の設定に用いたメダルの合計枚数を超えず、メダルが増加しない確率に設定されている。
【0064】
ボーナス中は、たとえば、ベルが極めて高い確率で当選するように定められている。ベルは、操作タイミングに関わらず入賞を発生し得る役である。このため、ボーナス中においては、操作タイミングおよび押し順に関わらず、極めて高い確率でベル入賞を発生させることができ、メダル枚数を効率的に増加させることができる。このため、ボーナスは、遊技者にとって有利な状態である。
【0065】
BBに当選し、かつ当該BB入賞を取りこぼしたときには、RT4に制御される。BBに当選したときに設定される当選フラグは、当選しているBBの入賞が発生するまで持ち越される。また、RT4についても、BB当選からBB入賞発生まで継続して制御される。RT4中においてBB入賞が発生すると、ボーナスに制御されて、図3を用いて説明したメダル枚数以上払出されることによりボーナス終了となり、RT0へ制御される。
【0066】
なお、BBが他の抽選対象役と同時当選している場合は、BB以外の抽選対象役が優先的に入賞するようにリール制御される。そのため、RT4において小役または再遊技役に当選する確率が高い場合は、BB入賞が発生しにくく、ボーナスに移行しにくくなる。そこで、前述したように、RT4においては、再遊技役に当選する確率がRT2またはRT3に比べて低くなるように設定されている。これにより、RT4においては、BBに単独で当選しやすく、いつまでもボーナスに移行できないということが起こりにくくなっている。
【0067】
図7に示すとおり、RT0〜RT3へは、出目によって移行する。入賞役の当選確率を設定するための設定変更を終えた直後の遊技状態はRT0である。つまり、設定変更が行われた後(たとえば、開店後)において、遊技者が最初に遊技する遊技状態はRT0である。このため、RT0を初期RTともいう。RT0からRT1へは移行出目の導出により移行する。
【0068】
RT1からRT2へは昇格リプレイ1,2の入賞により移行する。RT2からRT3へは特殊リプレイの入賞により移行する。また、RT2において移行出目が出るか、または転落リプレイ1が入賞するとRT1に戻る。RT3において移行出目が出るとRT1に戻り、転落リプレイ2が入賞するとRT2に戻る。
【0069】
したがって、遊技者は、現状の有利な遊技状態に留まるか、あるいはより有利な状態へ移行するために、出目に注意を払う必要がある。ところが、昇格リプレイ1、昇格リプレイ2、特殊リプレイ、転落リプレイ1、転落リプレイ2のいずれが導出されるかが、内部抽選の当選状況のみならず、リール2L,2C,2Rの停止順によって変化する。つまり、現状の有利な遊技状態に留まることができるか、より有利な状態へ移行できるか、あるいは不利な遊技状態へ転落するかが、ストップスイッチ8L、8C、8Rの押し順によって決まる。
【0070】
たとえば、図5に示すように、昇格リプレイ1,2および特殊リプレイは、リプレイGR1〜6またはリプレイGR31〜33が当選し、かつ対応する押し順でストップスイッチが操作されたときに入賞する。また、図5に示すように、転落リプレイ1,2は、リプレイGR11〜13またはリプレイGR21〜23が当選し、かつ通常リプレイの入賞条件となるリール以外を第1停止とした場合に入賞する。
【0071】
本実施の形態に係るスロットマシン1は、遊技者にとって有利となる押し順(正解手順)を報知する機能を備えている。そのような報知のための演出をナビ演出という。また、ナビ演出が行われる期間をAT(アシストタイム)という。ATは、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様を遊技者に報知するナビ演出が実行される報知状態である。
【0072】
ここで、押し順役のうち、左ベル1〜4、中ベル1〜4、および右ベル1〜4は、押し順によって、払い出されるメダルの枚数が変化する。このような押し順役を、まとめて押し順ベルともいう。また、押し順役のうち、リプレイGR1〜6、リプレイGR11〜13、リプレイGR21〜23、およびリプレイGR31〜33は、押し順によって、遊技状態が移行する。このような押し順役をまとめて押し順リプレイともいう。
【0073】
押し順ベルにおいては、純増枚数を増加させる主役(本実施の形態においては、中段ベル,右下がりベル)を入賞させるための押し順が正解手順である。また、押し順リプレイにおいては、有利な遊技状態に移行する契機となる役または有利な遊技状態に留まるための役を入賞させるための押し順が正解手順である。ここで、純増枚数とは、払い出されたメダル枚数から使用したメダル枚数を引いた枚数をいう。また、正解手順ではない手順を不正解手順ともいう。なお、正解手順は、押し順に限らず、操作タイミングであってもよいし、押し順と操作タイミングとが組み合わされたものでもよい。
【0074】
所定の条件が成立するとATに制御される。AT中においては、押し順役のうち、押し順ベルまたは押し順リプレイに当選したときに当選した押し順役の正解手順が報知される。これにより、押し順ベルに当選した場合は移行出目を導出することなく、右下がりベルまたは中段ベルに入賞することができ、メダルを獲得することができるとともに、不利RTであるRT1に制御されることを防止することができる。また、押し順リプレイに当選したときは、昇格リプレイ1,2または特殊リプレイに入賞させることができるため、遊技状態をRT3に移行させることができる。また、RT2においては、転落リプレイ1への入賞を回避することができ、RT3においては、転落リプレイ2への入賞を回避することができるため、RT3に留まることができる。なお、AT中に正解手順を報知する対象となる役を、まとめてナビ対象役ともいう。
【0075】
[ナビ演出]
AT中は、当選状況に応じて、遊技者にとって有利な図柄組合せを入賞ラインLN上に停止させるための押し順(正解手順)を特定可能なナビ演出が実行される。AT中において、メイン制御部41は、遊技補助表示器12を用いて、内部抽選処理において当選したナビ対象役に応じた正解手順を特定可能な情報を報知するための処理を実行する。なお、遊技補助表示器12は、メダル払出枚数およびエラー時にエラーコードを表示するものである。
【0076】
メイン制御部41は、AT中においてナビ対象役に当選したときには、当該ナビ対象役に応じた正解手順を特定可能な押し順コマンドを出力する。その結果、サブ制御部91は、押し順コマンドに基づきナビ演出を実行可能となる。AT中において、サブ制御部91は、液晶表示器51を用いて、押し順コマンドに応じた正解手順を特定可能な情報(たとえば、押し順)を報知するための処理を実行する。このように、メイン制御部41およびサブ制御部91双方において、正解手順を特定可能な情報を報知することによりナビ演出が実行される。
【0077】
図9(a)は、ナビ対象役の例、正解手順となる押し順、遊技補助表示器12におけるナビ演出の表示例、および液晶表示器51におけるナビ演出の表示例を説明するための図である。たとえば、左ベル1など、正解手順として左第1停止が定められているナビ対象役に当選したときには、遊技補助表示器12において「1−」といった情報が表示されるとともに、液晶表示器51において「123」または「132」といった情報が表示される。これにより、左から1番目のリール2Lを第1停止させることを報知できる。なお、サブ制御部91は、「123」および「132」のいずれでナビ演出を実行するかを抽選で決定するものであってもよく、また、「123」および「132」のうちのいずれか一方のみによりナビ演出を実行するものであってもよい。
【0078】
また、ナビ演出を実行する場合には、遊技補助表示器12において数値(図9(b)では「8」)を表示するための第1〜第7セグメントを正解手順に対応させて点灯制御することに加えて、右下に第8セグメント(図9(b)では「。」)を点灯制御する。一方、ナビ演出を実行していない場合には、第8セグメントを消灯制御する。これにより、遊技補助表示器12でナビ演出が行われているか、たとえば払い出されるメダルの枚数の報知が行われているかが誤認されることを防止できる。
【0079】
メイン制御部41は、前述したとおり、遊技補助表示器12においてナビ演出(ナビ報知)を行うためのナビ報知表示データを設定する。具体的に、図9(a)に示す表示例(以下ではナビ番号ともいう)となるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とするナビ報知表示データを出力バッファに設定することで、遊技補助表示器12においてナビ演出を実行するように制御する。一方、ナビ演出を実行しない場合(標準手順報知時)には、ナビ報知表示データとして出力バッファの初期値を設定、すなわち遊技補助表示器12の出力バッファを初期化して、遊技補助表示器12のセグメントを全て消灯状態に設定することで、遊技補助表示器12を非表示に制御する。これにより、標準手順である場合には、遊技補助表示器12によるナビ演出が実行されない。
【0080】
このように、当選したナビ対象役が押し順リプレイおよび押し順ベルのいずれであっても、正解手順が共通態様のナビ演出により報知される。このため、当選しているナビ対象役が、押し順リプレイのいずれであるのか、押し順ベルのいずれであるのか、押し順リプレイあるいは押し順ベルのいずれであるのかなどがナビ演出の態様から遊技者に特定されてしまうことを防止できる。また、ナビ演出の実行に用いる演出用データの数を抑えることができるため、メイン制御部41およびサブ制御部91のROMの記憶容量を削減できる。
【0081】
また、ナビ演出が実行されたときに発生し得る入賞役の種類が再遊技役である場合と小役である場合とを生じさせることができるため、再遊技役が発生するのかあるいは小役が発生するのかに遊技者を注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0082】
メイン制御部41は、ゲームが進行されて、全てのリール2L,2C,2Rが停止されたときに、いずれかの役の入賞が発生しているか否かを判定し、払い出しを伴ういずれかの役(小役)の入賞が発生している場合には、当該入賞の発生により払い出されるメダルの枚数を払出枚数表示データとして出力バッファに設定して、遊技補助表示器12に払い出されるメダル枚数を表示させる。
【0083】
図9(b)に示すように、払出枚数表示データを出力バッファに設定する際には、メダルの払出枚数を表示させるように遊技補助表示器12の各セグメントを点灯状態とする払出枚数表示データを出力バッファに設定することで、遊技補助表示器12にメダルの払出枚数を表示するように制御する。たとえば、8枚のメダルが払い出されるときには、遊技補助表示器12を構成する左側の表示器と右側の表示器とのうちの右側の表示器の第1〜第7セグメントを点灯させる。これにより、遊技補助表示器12に払い出されるメダルの枚数を表示させる。
【0084】
本実施の形態のメイン制御部41は、所定内容としてゲームの結果に関する情報であり、ゲームの終了時に入賞の発生により遊技者に払い出されるメダルの払出枚数を表示するために用いる遊技補助表示器12に、所定内容とは異なる表示内容として遊技者にとって有利なストップスイッチの有利操作態様(停止順および停止タイミング)を識別可能なナビ番号を表示させるようになっており、遊技者にとって有利なストップスイッチの有利操作態様をゲーム中に表示させるのに対して、所定内容としての払出枚数をゲームの終了後に表示させるので、遊技補助表示器12においてナビ番号の表示期間と、払出枚数の表示期間とが重複せずに済む。
【0085】
本実施の形態のメイン制御部41は、遊技者にとって有利となる停止態様を特定可能なナビ番号と、小役の入賞に伴い払い出されるメダルの払出枚数とを、遊技補助表示器12に表示させることが可能な構成であり、遊技補助表示器12に表示させるナビ番号の表示態様と、メダルの払出枚数の表示態様とは、共通の態様を含まないので、ナビ番号が表示されているのか、所定内容として払出枚数が表示されているのか、が誤認されることを防止できる。
【0086】
なお、遊技補助表示器12に表示させるナビ番号の表示態様と、メダルの払出枚数の表示態様とは、遊技補助表示器12の2つの表示器での表示を一体の表示としたときに、共通の態様を含まない構成であればよく、たとえば、ナビ番号の表示態様が、払出枚数の表示態様の一部を含む構成やその逆の関係を含む構成であってもよい。
【0087】
また、本実施の形態では、ナビ報知による表示態様に、払い出されるメダル枚数の表示態様(たとえば、8枚払出時の「8」)を含まない。これにより、ナビ報知とメダル枚数の報知とで、遊技補助表示器12の表示態様を同じ態様に制御されることがなく、ナビ報知による表示態様と払い出されるメダル枚数の報知による表示態様とが誤認されることを防止できる。
【0088】
[遊技区間]
メイン制御部41は、図7に示す遊技状態に関わらず遊技区間に制御する。遊技区間には、通常区間、待機区間、および有利区間が含まれる。
【0089】
有利区間は、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様(操作手順(押し順)、操作タイミング)を遊技者に指示する指示機能に係る性能を持つ区間である。有利区間においては、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ演出が少なくとも1回実行される。具体的には、押し順ベルに当選したときに、正解手順を報知するナビ演出が実行される。通常区間においては、ナビ演出が実行されない。つまり、有利区間は、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ演出が少なくとも1回実行される点で、通常区間よりも遊技者にとって有利である。
【0090】
また、「有利区間」には、ATのような報知状態に制御されている区間と、CZ(チャンスゾーン)のような有利状態に制御されている区間とが含まれる。CZとは、報知状態であるATへの制御に関する有利度が通常区間に比べて高い状態である。ATへの制御に関する有利度が高いとは、ATに制御されやすいこと、ATに制御するための権利であるATゲームが多く付与されやすいことが含まれる。
【0091】
設定変更後は、通常区間に制御され、有利区間に移行するための有利区間移行抽選(後述する図10の有利区間移行抽選)に当選したことに基づいて有利区間に移行する。なお、有利区間移行抽選による当選がBB当選と同じタイミングであった場合、BB入賞するまで有利区間への制御が待機される待機区間となることがある。待機区間に制御されている場合、BB入賞したことに基づいて有利区間に移行する。
【0092】
有利区間に制御されている場合、所定の終了条件が成立したことに基づいて通常区間に移行する。所定の終了条件には、有利区間に連続して制御した期間が所定期間を超えたときに成立する条件と、有利区間に制御するための権利がなくなったときに成立する条件とが含まれる。有利区間に制御するための権利としては、CZに制御するためのCZゲームおよびATに制御するためのATゲームが挙げられる。
【0093】
有利区間に制御されている間は、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様を遊技者に指示する指示機能に係る抽選が行われる。指示機能に係る抽選には、たとえば、報知状態であるATに制御するか否かを決定する抽選(後述する図11のAT抽選)、ATに制御する期間を決定する抽選(後述する図11のAT抽選)、ATに制御する期間を延長する抽選(後述する図12の上乗せ抽選,図13の押し順当て抽選)、上乗せ抽選の当選確率が高い状態に移行するか否かを決定する抽選(後述する図11のAT抽選)などが含まれる。待機区間に制御されている間は、ナビ演出、有利区間移行抽選、および指示機能に係る抽選のいずれも行われない。
【0094】
有利区間移行抽選は、完全確率である。具体的には、有利区間移行抽選は、設定値が1〜6のいずれであっても当選確率が変化しない。また、有利区間移行抽選は、設定値に応じて内部抽選の当選確率が変化するような役(たとえば、図4に示す弱チェリー4)の当選を契機に実行されない。また、有利区間移行抽選は、遊技状態に応じて内部抽選の当選確率が変化するような役(たとえば、図4に示すリプレイGR1〜6)の当選を契機に実行されない。また、有利区間移行抽選は、1ゲームの遊技に要する賭数(規定数)に応じて当選確率が変化しない。また、有利区間移行抽選は、遊技状態に応じて当選確率が変化しない。さらに、有利区間移行抽選は、規定数や遊技状態に応じて抽選契機が変化しない。
【0095】
たとえば、図4の設定差欄と有利区間移行抽選欄に示すように、有利区間移行抽選の抽選契機となる役になっていない弱チェリー4、弱スイカ4、およびベルは、設定差がある。なお、弱チェリー4、弱スイカ4、およびベルは、設定差がなくてもよい。一方、有利区間移行抽選の抽選対象役である弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、および中段チェリーは、設定差がない。
【0096】
また、図4に示すように、有利区間移行抽選の対象役になっていない通常リプレイは、遊技状態(RT)の種類に応じて判定値数が変化し、内部抽選の当選確率が変化する。一方、移行抽選対象役である弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、および中段チェリーは、遊技状態の種類に応じて判定値数が変化しないため、内部抽選の当選確率が変化しない。
【0097】
また、一の遊技状態において所定の役が当選するための判定値数と、他の遊技状態において所定の役が当選するための判定値数との差分は、有利区間移行抽選における有利区間を付与するか否かの決定に用いられない。たとえば、通常リプレイは有利区間移行抽選の対象役ではない。このため、RT1において通常リプレイが当選するための判定値数(1500)と、RT3において通常リプレイが当選するための判定値数(39007)との差分は、CZ抽選における当選するか否かの決定に用いられない。
【0098】
有利区間移行抽選においては、所定確率(たとえば、1/17500)よりも高い確率で有利区間に当選するようになっている。なお、有利区間移行抽選は、通常区間中であってBBの当選を持ち越したRT4中、およびボーナス中においては実行されない。RT4中において有利区間移行抽選をしてしまうと遊技者によってBB入賞の発生を回避されてしまう虞があるため、RT4中においては有利区間移行抽選は行われない。また、ボーナス中においては小役の当選確率が変動するため、有利区間移行抽選は行われない。
【0099】
指示機能に係る抽選は、設定値が1〜6のいずれであっても当選確率が変化しない。また、指示機能に係る抽選は、設定値に応じて内部抽選の当選確率が変化するような役(たとえば、図4に示す弱チェリー4)の当選を契機に実行されない。なお、指示機能に係る抽選は、遊技状態に応じて内部抽選の当選確率が変化するような役(たとえば、図4に示すリプレイGR1〜6)の当選を契機に実行されてもよいし、1ゲームの遊技に要する賭数(規定数)に応じて当選確率が変化してもよい。さらに、指示機能に係る抽選は、遊技状態に応じて当選確率が変化してもよいし、規定数や遊技状態に応じて抽選契機が変化してもよい。本実施の形態では、指示機能に係る抽選である報知状態移行抽選の実行契機となる役としてボーナス2〜12、弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、中段チェリー、および特別リプレイが設定されている(図4の報知状態移行抽選欄参照)。
【0100】
そのため、図4の設定差欄と報知状態移行抽選欄とに示すように、報知状態移行抽選対象役になっていない弱チェリー4、弱スイカ4、およびベルは、設定差がある。なお、弱チェリー4、弱スイカ4、およびベルは、設定差がなくてもよい。一方、報知状態移行抽選の抽選対象役であるボーナス2〜12、弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、中段チェリー、および特別リプレイは、設定差がない。
【0101】
また、複数種類の抽選対象役のうち、AT中にナビ演出の対象にならない抽選対象役は、設定差があってもよい。一方、複数種類の抽選対象役のうち、AT中にナビ演出の対象となることで純増枚数を増やすための抽選対象役は、必ず設定差がない。たとえば、AT中のナビ対象役ではないベルは、設定差がある。一方、AT中のナビ対象役である押し順ベルは、設定差がない。なお、押し順ベルは、有利区間移行抽選の対象になっていてもよい。
【0102】
また、複数種類の抽選対象役のうち、遊技状態が遷移する契機となる出目が導出されない抽選対象役は、設定差があってもよい。一方、複数種類の抽選対象役のうち、遊技状態が遷移する契機となる出目が導出され得る抽選対象役は、必ず設定差がない。たとえば、遊技状態が遷移する契機となる移行出目が導出されない弱チェリー4、弱スイカ4、およびベルは、設定差がある。一方、遊技状態が遷移する契機となる移行出目が導出され得る押し順ベルは、設定差がない。また、遊技状態が遷移する契機となる昇格リプレイ1,2、転落リプレイ1,2、または特殊リプレイが導出され得る押し順リプレイは、設定差がない。
【0103】
なお、有利区間移行抽選は、ボーナス中(通常区間中におけるボーナス中)においては実行されない。一方、指示機能に係る抽選は、ボーナス中(有利区間中におけるボーナス中)において実行可能である。
【0104】
メイン制御部41は、有利区間への制御を終了する終了条件が成立したときにリミット処理をして、通常区間への制御を開始する。リミット処理が実行されると、有利区間に関するデータが全て初期化され、実行中の有利区間が終了して通常区間に戻る。たとえば、実行中の有利区間がCZである場合、CZゲーム数が未だ残っていてもCZが終了する。また、たとえば、実行中の有利区間がATである場合、ATゲーム数が未だ残っていてもATが終了する。
【0105】
たとえば、メイン制御部41は、有利区間中における消化ゲーム数をカウントする。そして、メイン制御部41は、カウントしたゲーム数(カウントゲーム数とも称する)が所定ゲーム数(本実施の形態においては、1500ゲーム)に達すると、カウントゲーム数をリセットするとともにリミット処理を実行する。
【0106】
さらに、リミット処理においては、初期RTであるRT0に移行させるための初期RT移行制御が行われる。なお、ボーナス中に有利区間の終了条件が成立した場合は、有利区間に関するデータは全て初期化されるものの、遊技状態はボーナスに制御されたままとなり、ボーナスが終了すると初期RTであるRT0に移行する。つまり、ボーナス中に有利区間の終了条件が成立した場合、メイン制御部41は、有利区間への制御は終了するものの、ボーナスへの制御は継続する。
【0107】
設定変更後においては通常区間に制御され、有利区間に移行するための有利区間移行抽選に当選したことに基づいて有利区間に移行する。有利区間が終了した後はリミット処理によって通常区間に制御されるが、図7に示すように、RT1〜3において有利区間への制御を終了する場合には、通常区間に移行するとともに、初期RTであるRT0に遊技状態も移行する。このため、有利区間への制御を終了した後は、設定変更を行った直後の状態と同じ状態に制御される。
【0108】
ここで、たとえば、スロットマシン1における1ゲーム当たりの純増枚数は2枚未満である。このため、カウントゲーム数が制限回数となる1500ゲームに達した場合の合計純増枚数は最大でも3000枚を超えることがない。つまり、本実施の形態においては、有利区間が継続して純増枚数が増え続けたとしても、リミット処理によって有利区間および有利RTが終了することで、純増枚数が3000枚を超えることがない。これにより、遊技の射幸性が高まることを抑えることができる。なお、リミット処理が実行される条件は、有利区間中の消化ゲーム数と1ゲーム当たりの純増枚数との積を考慮して適宜設定すればよい。たとえば、1ゲーム当たりの純増枚数が3枚未満であれば、カウントゲーム数の制限回数を1000ゲームにすればよい。また、リミット処理が実行されるときの合計純増枚数は最大3000枚に限らず、2000枚など、その他の枚数を適用させてもよい。たとえば、合計純増枚数を最大2000枚に設定した場合、純増枚数が2枚未満であれば、カウントゲーム数の制限回数を1000ゲームにすればよい。
【0109】
さらに、総ゲーム数に対する有利区間中における消化ゲーム数の割合は、70%未満に抑えられているため、これによっても、遊技の射幸性が高まることを抑えることができる。
【0110】
[有利区間移行抽選]
通常区間中に実行される有利区間移行抽選について図10を用いて詳細に説明する。図10は、有利区間移行抽選テーブルを示す図である。
【0111】
本実施の形態において、通常区間中は、図10に示す有利区間移行抽選テーブルに従って、有利区間移行抽選を行う。ATには、ATに制御する権利であるATゲーム数が上乗せされる確率がそれぞれ異なる通常AT、有利AT、および特別ATが含まれる。メイン制御部41は、有利区間移行抽選を実行することで、移行しない、または、CZ、通常AT、有利AT、および特別ATのうちのいずれかの状態に移行することを決定する。ここで、移行しないと決定することを有利区間移行抽選に当選しなかったともいう。
【0112】
メイン制御部41は、有利区間移行抽選においてCZに制御することを決定した場合には、CZに制御する権利となるCZゲームを30ゲーム付与する。メイン制御部41は、通常ATに制御することを決定した場合には、通常ATに制御する権利としてATゲームを20ゲーム付与する。同様に、メイン制御部41は、有利ATに制御することを決定した場合にはATゲームを50ゲーム付与し、特別ATに制御することを決定した場合には100ゲーム付与する。
【0113】
有利区間移行抽選を実行する契機となる抽選対象役(以下、移行抽選対象役とも称する)には、設定差のない弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、中段チェリー、およびこれらの抽選対象役とBBとが同時当選するボーナス2〜12が含まれる。
【0114】
メイン制御部41は、図10に示す抽選確率に基づき、抽選対象役の種類に応じて有利区間移行抽選に当選するか否か、および、有利区間移行抽選に当選した場合には、いずれの状態に制御するかを決定する。
【0115】
メイン制御部41は、CZに制御することを決定した場合には、CZに制御することを示すCZフラグをRAM41cの所定領域にセットするとともに、CZに制御する期間を管理するために、RAM41cの所定領域に格納されたCZゲームカウンタに30ゲームをセットする。メイン制御部41は通常ATに制御することを決定した場合には、通常ATに制御することを示す通常ATフラグをRAM41cの所定領域にセットするとともに、ATに制御する期間を管理するために、RAM41cの所定領域に格納されたATゲームカウンタに20ゲームをセットする。同様に、メイン制御部41は、有利ATに制御することを決定した場合には有利ATフラグをRAM41cの所定領域にセットするとともにATゲームカウンタに50ゲームをセットし、特別ATに制御することを決定した場合には特別ATフラグをRAM41cの所定領域にセットするとともにATゲームカウンタに100ゲームをセットする。CZフラグ、通常ATフラグ、有利ATフラグ、および特別ATフラグをまとめて有利フラグともいう。
【0116】
メイン制御部41は、CZゲームカウンタが1以上である場合にCZに制御し、ATゲームカウンタが1以上である場合にATに制御する。また、メイン制御部41は、AT中においては、RAM41cの所定領域に格納された有利フラグに基づいて、いずれのATに制御するかを決定する。メイン制御部41は、CZに制御してから1ゲーム消化するごとに、CZゲームカウンタの値を1ずつ減算する。メイン制御部41は、ATに制御されてからRT状態がRT3に移行するまでの期間はATゲームカウンタの値を減算しないものの、RT3に移行した後は、1ゲーム消化するごとにATゲームカウンタの値を1ずつ減算する。ここで、ATに制御されてから遊技状態がRT3に移行するまでの期間を準備期間ともいう。
【0117】
[指示機能に係る抽選]
有利区間中に実行される指示機能に係る抽選には、AT抽選、上乗せ抽選、および押し順当て抽選が含まれる。後述する図11(a)に示すように、AT抽選では、CZ中においてATに移行するか否かが決定される。CZ中におけるAT抽選は、ATという報知状態に移行するか否かを決定するための抽選であるため、報知状態移行抽選ともいう。また、後述する図11(b),(c)に示すように、AT抽選では、AT中において他のATに昇格するか否か、および昇格するATの種類が決定される。AT中におけるAT抽選は、制御中のATよりも有利なATに移行するか否かを決定する抽選であるため、移行抽選ともいう。
【0118】
後述する図12に示すように、上乗せ抽選では、AT中においてチェリーやスイカに当選したときに、ATゲーム数を上乗せするか否か、および上乗せするATゲーム数が決定される。後述する図13に示すように、押し順当て抽選では、AT中において特別リプレイを含むリプレイGR41〜GR43に当選したときに、上乗せするATゲーム数が決定される。なお、AT中においてリプレイGR41〜GR43に当選したときには、第3停止操作によって特別リプレイが入賞することによって決定されたATゲーム数が上乗せされる。ここで、上乗せとは、すでに付与済みのATゲーム数にATゲーム数を加算することで、ATに制御する期間を延長することを意味する。
【0119】
本実施の形態において、メイン制御部41は、AT抽選により通常AT、有利AT、および特別ATのうちのいずれかに移行することを決定した場合、ATゲームまたはCZゲームが残っていたとしても、決定したATに制御するために制御中のATまたはCZを終了させ、次ゲームから新たに決定したATに制御する。また、メイン制御部41は、ATに制御している場合に、異なる種類のATに制御することが決定した場合に、残っているATゲーム数は一度リセットした上で、新たに移行するATに応じたATゲーム数をATゲームカウンタにセットする。なお、ATゲームカウンタをリセットせずに、残っているATゲーム数に新たに移行するATに応じたATゲーム数を加算するようにしてもよい。
【0120】
たとえば、RAM41cに通常ATフラグがセットされており、かつATゲームカウンタの値が10である場合に、AT抽選が行われ、特別ATに制御されることが決定された場合、メイン制御部41は、通常ATフラグとATゲームカウンタとをリセットしたうえで、RAM41cに特別ATフラグをセットし、ATゲームカウンタに100ゲームをセットする。
【0121】
また、メイン制御部41は、ATゲームを上乗せすることを決定した場合、ATゲームカウンタに上乗せゲーム数を加算する処理を実行する。たとえば、メイン制御部41は、ATゲームカウンタが10で、5ゲーム上乗せすることを決定した場合、ATゲームカウンタに5を追加する処理をし、ATゲームカウンタを15にする。
【0122】
ATの昇格とATゲーム数の上乗せとが同時に発生した場合には、新たに制御するATのゲーム数が加算される。たとえば、有利ATに制御する期間が残り5ゲームであるときに、特別ATへの移行と5ゲームの上乗せとが同時に決定した場合、メイン制御部41は、ATゲームカウンタに105をセットする。なお、ATの昇格とATゲーム数の上乗せとが同時に発生した場合、ATゲームカウンタをリセットせずに新たに制御するATのゲーム数を加算した上で、さらに決定した上乗せゲーム数を加算してもよい。
【0123】
また、ATが昇格した場合には、上乗せ抽選を行わないようにしてもよい。また、報知状態移行抽選に当選した場合に、CZへの制御を終了して、次ゲームからATに制御するものとしたが、CZゲームを全て消化してからATに制御するようにしてもよい。ATが昇格した場合も同様に、通常ATに制御するためのATゲーム数をすべて消化してから、ATを昇格するようにしてもよい。
【0124】
[AT抽選]
図11を用いて、指示機能に係る抽選のうち、AT抽選について詳細に説明する。図11は、AT抽選テーブルを示す図である。
【0125】
メイン制御部41は、CZ中において報知状態であるATに制御するか否かを決定するとともに、ATに制御すると決定した場合には、いずれのATに制御するかを決定するために、図11(a)に示す第1AT抽選テーブルに従ってAT抽選を行う。メイン制御部41は、通常AT中において、通常ATよりも遊技者にとって有利な有利ATまたは特別ATに昇格するか否かを決定するために、図11(b)に示す第2AT抽選テーブルに従ってAT抽選を行う。同様に、メイン制御部41は、有利AT中において、通常ATおよび有利ATよりも遊技者にとって有利な特別ATに昇格するか否かを決定するために、図11(c)に示す第3AT抽選テーブルに従ってAT抽選を行う。
【0126】
図11に示すように、AT抽選を実行する契機となる抽選対象役は、設定差のない弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、中段チェリー、および、これらの抽選対象役とBBとが同時当選するボーナス2〜12、ならびにリプレイGR41〜GR43である。
【0127】
また、図11(a)に示すように、内部抽選の当選結果によって、報知状態であるATに移行する確率が異なる。ATに制御される確率は、弱チェリー1〜3もしくは弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3もしくは強スイカ、中段チェリーもしくはボーナス2〜12、またはリプレイGR41〜GR43のいずれに当選したかに応じて異なる。
【0128】
また、付与されるATゲーム数の期待値は、弱チェリー1〜3もしくは弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3もしくは強スイカ、中段チェリーもしくはボーナス2〜12、またはリプレイGR41〜GR43のいずれに当選したかに応じて異なる。
【0129】
前述したように、リプレイGR41〜GR43は、RT3中においてのみ抽選対象役として読み出される役である。一方、弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、中段チェリー、およびボーナス2〜12に当選する確率は、RT0〜2において変わらない。このため、RT3中は、リプレイGR41〜GR43に当選する分、RT0〜2に比べて、報知状態に移行しやすく、かつ、報知状態に移行すると決定された場合に付与されるATゲーム数も多くなりやすい。したがって、有利区間中においては、RT0〜2に制御されているときに比べて、RT3に制御されているときの方が、報知状態への制御に関する有利度合いが高くなる。
【0130】
なお、報知状態への制御に関する有利度合いが高いこととして、報知状態に移行しやすく、かつ、ATゲーム数が付与されやすいこととしたが、少なくともいずれか一方を満たしていれば、有利度合いが高いといえる。
【0131】
[上乗せ抽選]
図12を用いて、指示機能に係る抽選のうち、上乗せ抽選について詳細に説明する。図12は、上乗せ抽選テーブルを示す図である。
【0132】
メイン制御部41は、通常AT中においてチェリーやスイカに単独あるいはBBと同時に当選したときに、図12(a)に示す第1上乗せ抽選テーブルに従って上乗せ抽選を行う。メイン制御部41は、有利AT中においてチェリーやスイカに単独あるいはBBと同時に当選したときに、図12(b)に示す第2上乗せ抽選テーブルに従って上乗せ抽選を行う。メイン制御部41は、特別AT中においてチェリーやスイカに単独あるいはBBと同時に当選したときに、図12(c)に示す第2上乗せ抽選テーブルに従って上乗せ抽選を行う。
【0133】
図12に示すように、有利AT中においては、通常AT中よりも上乗せ抽選で当選する確率が高く、かつ上乗せされるATゲーム数の期待値も高い。このため、有利ATは、通常ATよりも遊技者にとって有利である。また、特別AT中においては、通常AT中および有利AT中のいずれよりも上乗せ抽選で当選する確率が高く、かつ上乗せされるATゲーム数の期待値も高い。このため、特別ATは、通常ATおよび有利ATのいずれよりも遊技者にとって有利である。
【0134】
図12の備考欄に示すように、上乗せ抽選は、チェリーやスイカに当選したタイミングで実行され、当該タイミングで上乗せするか否か、および上乗せするATゲーム数が決定される。つまり、AT中においてチェリーやスイカに内部抽選で当選したときには、当選したチェリーやスイカに対応する図柄組合せが導出するか否か(言い換えると、チェリーやスイカの入賞が発生するか否か)に関わらず、内部抽選における当選時に上乗せの有無が決定される。よって、AT中にチェリーやスイカに当選したときには、ストップスイッチが操作される前に上乗せの有無が決定される。
【0135】
[押し順当て抽選]
図13を用いて、指示機能に係る抽選のうち、押し順当て抽選について詳細に説明する。図13は、押し順当て抽選テーブルを示す図である。
【0136】
メイン制御部41は、通常AT中において特別リプレイを含むリプレイGR41〜GR43に当選したときに、図13(a)に示す第1押し順当て抽選テーブルに従って押し順当て抽選を行う。有利AT中において特別リプレイを含むリプレイGR41〜GR43に当選したときに、図13(b)に示す第2押し順当て抽選テーブルに従って押し順当て抽選を行う。特別AT中において特別リプレイを含むリプレイGR41〜GR43に当選したときに、図13(c)に示す第3押し順当て抽選テーブルに従って押し順当て抽選を行う。
【0137】
図13に示すように、有利AT中においては、通常AT中よりも上乗せされるATゲーム数の期待値が高い。このため、有利ATは、通常ATよりも遊技者にとって有利である。また、特別AT中においては、通常AT中および有利AT中のいずれよりも上乗せされるATゲーム数の期待値が高い。このため、特別ATは、通常ATおよび有利ATのいずれよりも遊技者にとって有利である。
【0138】
図13の備考欄に示すように、押し順当て抽選では、リプレイGR41〜GR43に当選したときに上乗せするATゲーム数が先ず決定される。その後、遊技者によるストップスイッチの停止操作に応じて押し順当てが正解となり特別リプレイに入賞したときには、決定されていたATゲーム数が付与される一方、押し順当てが不正解となり通常リプレイに入賞したときには、ATゲーム数が付与されない。つまり、AT中においてリプレイGR41〜GR43に当選したときには、当選した特別リプレイに対応する図柄組合せが導出するか否か(言い換えると、特別リプレイの入賞が発生するか否か)に応じて、上乗せの有無が決定される。よって、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、ストップスイッチが操作された後、具体的には最終停止操作が行われた後に上乗せの有無が報知される。
【0139】
[上乗せ示唆演出]
図14を用いて、上乗せ示唆演出について説明する。図14は、上乗せ示唆演出を説明するための図である。
【0140】
本実施の形態においては、AT中にチェリーやスイカに当選して上乗せ抽選が実行されたとき、あるいはリプレイGR41〜GR43に当選して押し順当て抽選が実行されたときに、ATゲームの上乗せを示唆する上乗せ示唆演出が実行される。
【0141】
先ず、図14(A)を参照しながら、強スイカに当選したときの上乗せ示唆演出について説明する。図14(A)の(a),(b)に示すように、前回ゲームが終了した後、スタート操作によって次のゲームが開始される。このとき、強スイカに当選したとすると、メイン制御部41は、図12に示した上乗せ抽選テーブルに従って上乗せ抽選を実行する。この例では、上乗せ抽選によって30ゲームの上乗せが確定したとする。
【0142】
メイン制御部41からサブ制御部91に対しては、強スイカが属するグループを特定するための内部当選コマンド、および上乗せ抽選の結果を示す上乗せ抽選コマンドが送信される。サブ制御部91は、内部当選コマンドおよび上乗せ抽選コマンドを受信すると、上乗せ示唆演出を開始する。
【0143】
具体的には、図14(A)の(b)に示すように、液晶表示器51において、前回ゲームの終了時での画像が切り替わって「上乗せCHANCE」の文字画像が表示される。上乗せ示唆演出を開始することは、前回ゲームの終了時点での演出(たとえば、通常行われる背景演出)から上乗せ示唆演出に切り替えることに相当する。このため、上乗せ示唆演出を開始することは、上乗せ示唆演出を切り替えるともいえる。
【0144】
図14(A)の(c)に示すように、遊技者によって第1停止操作が行われると、上乗せ示唆演出が切り替わる。具体的には、液晶表示器51において、「上乗せCHANCE」の文字画像から「+10」の文字画像に切り替わる。この「+10」の文字画像の表示は、上乗せ抽選によって決定された30ゲームのうちの一部のATゲームを報知するものである。つまり、遊技者によって第1停止操作が行われると、上乗せ示唆演出が切り替わって、上乗せが決定されたATゲームのうちの一部のATゲームが報知される。
【0145】
図14(A)の(d)に示すように、遊技者によって第2停止操作が行われると、さらに上乗せ示唆演出が切り替わる。具体的には、液晶表示器51において、「+10」の文字画像から「+20」の文字画像に切り替わる。この「+20」の文字画像の表示は、上乗せ抽選によって決定された30ゲームのうちの一部のATゲームを報知するものである。つまり、遊技者によって第2停止操作が行われると、上乗せ示唆演出が切り替わって、上乗せが決定されたATゲームのうちの一部のATゲームが報知される。
【0146】
図14(A)の(e)に示すように、遊技者によって第3停止操作(最終停止操作)が行われると、さらに上乗せ示唆演出が切り替わる。具体的には、液晶表示器51において、「+20」の文字画像から「TOTAL+30上乗せ」の文字画像に切り替わる。この「TOTAL+30上乗せ」の文字画像の表示は、上乗せ抽選によって決定された30ゲームを最終的に上乗せする旨を報知するものである。つまり、遊技者によって最終停止操作が行われると、上乗せ示唆演出が切り替わって、最終的に上乗せされるATゲームが報知される。
【0147】
また、スタート操作時に行われた上乗せ抽選によって非当選となった場合には、上乗せ示唆演出を実行しなくてもよいし、当選したときよりも低い確率で上乗せ示唆演出をしてもよい。上乗せ抽選によって非当選となった場合の上乗せ示唆演出は、当選時と同様に、スタート操作、第1停止操作、第2停止操作、および第3停止操作(最終停止操作)のいずれにおいても上乗せ示唆演出を切り替えてもよいし、切り替えなくてもよい。たとえば、上乗せ抽選によって非当選となった場合の上乗せ示唆演出では、スタート操作時に「上乗せCHANCE」の文字画像が表示されるが、第1停止操作が行われると「残念」の文字画像が表示され、それ以降はゲームが終了するまで「残念」の文字画像が表示され続けてもよい。あるいは、上乗せ抽選によって非当選となった場合の上乗せ示唆演出では、スタート操作時に「上乗せCHANCE」の文字画像が表示され、第1停止操作および第2停止操作では「上乗せCHANCE」の文字画像が表示され続け、最終停止操作が行われたときに「残念」の文字画像が表示されてもよい。
【0148】
なお、強スイカはナビ対象役ではないため、メイン制御部41による遊技補助表示器12を用いたナビ演出、およびサブ制御部91による液晶表示器51を用いたナビ演出のいずれも実行されない。このため、図14(A)の(b)〜(e)に示すように、強スイカが当選したゲームでは、遊技補助表示器12を用いたナビ演出、および液晶表示器51を用いたナビ演出のいずれも実行されない。
【0149】
次に、図14(B)を参照しながら、特別リプレイを含むリプレイGR41に当選したときの上乗せ示唆演出について説明する。図14(B)の(a),(b)に示すように、前回ゲームが終了した後、スタート操作によって次のゲームが開始される。このとき、リプレイGR41に当選したとすると、メイン制御部41は、図13に示した押し順当て抽選テーブルに従って押し順当て抽選を実行する。この例では、押し順当て抽選によって上乗せするATゲーム数が30ゲームである旨が決定したとする。但し、最終的にこの30ゲームが付与されるか否かは、特別リプレイに対応する図柄組合せ(BAR揃い)が導出するか否か(言い換えると、特別リプレイの入賞が発生するか否か)に応じて、上乗せの有無が決定される。
【0150】
メイン制御部41からサブ制御部91に対しては、リプレイGR41が属するグループを特定するための内部当選コマンド、および押し順当て抽選の結果を示す押し順当て抽選コマンドが送信される。サブ制御部91は、内部当選コマンドおよび押し順当て抽選コマンドを受信すると、上乗せ示唆演出を開始する。
【0151】
具体的には、図14(B)の(b)に示すように、液晶表示器51において、前回ゲームの終了時での画像が切り替わって「押し順当てCHANCE」の文字画像が表示される。上乗せ示唆演出を開始することは、前回ゲームの終了時点での演出(たとえば、通常行われる背景演出)から上乗せ示唆演出に切り替えることに相当する。このため、上乗せ示唆演出を開始することは、上乗せ示唆演出を切り替えるともいえる。なお、リプレイGR41は、押し順役であるが、ナビ対象役ではない。リプレイGR41が当選したときには、液晶表示器51に「???」の文字画像が表示されるが、この文字画像は、特別リプレイを入賞させる正解手順を遊技者に予想させるためのものであり、ナビ演出ではない。また、「???」の文字画像は、ATゲームの上乗せを示唆するものでもないので、上乗せ示唆演出でもない。
【0152】
図14(B)の(c)に示すように、遊技者によって第1停止操作が行われると、停止操作されたストップスイッチに対応する位置の「?」の文字画像が消える。この例では、左ストップスイッチ8Lが操作されたため、左ストップスイッチ8Lに対応する位置の「?」の文字画像が消える。リール上においては、左リール2Lが停止して中段にリプレイ図柄が停止し、下段にBAR図柄停止する。この時点では、通常リプレイおよび特別リプレイのいずれも入賞する可能性があるため、ATゲームの付与が確定しない。
【0153】
一方、遊技者によって第1停止操作が行われたとしても、上乗せ示唆演出は切り替わらず、依然として「押し順当てCHANCE」の文字画像が表示されたままである。
【0154】
図14(B)の(d)に示すように、遊技者によって第2停止操作が行われると、停止操作されたストップスイッチに対応する位置の「?」の文字画像が消える。この例では、右ストップスイッチ8Rが操作されたため、右ストップスイッチ8Rに対応する位置の「?」の文字画像が消える。リール上においては、右リール2Rが停止して中段にリプレイ図柄が停止し、上段にBAR図柄停止する。この時点では、通常リプレイおよび特別リプレイのいずれも入賞する可能性があるため、ATゲームの付与が確定しない。
【0155】
一方、遊技者によって第2停止操作が行われたとしても、上乗せ示唆演出は切り替わらず、依然として「押し順当てCHANCE」の文字画像が表示されたままである。
【0156】
図14(B)の(e)に示すように、遊技者によって第3停止操作(最終停止操作)が行われると、停止操作されたストップスイッチに対応する位置の「?」の文字画像が消える。この例では、中ストップスイッチ8Cが操作されたため、中ストップスイッチ8Cに対応する位置の「?」の文字画像が消える。リール上においては、中リール2Cが停止して中段にBAR図柄が停止し、右上がりにBAR図柄が揃う。つまり、特別リプレイが入賞する。
【0157】
遊技者によるストップスイッチの操作によって、特別リプレイに対応するBAR揃いが導出(言い換えると、特別リプレイの入賞)したため、ATゲームの上乗せが確定する。そこで、最終停止操作が行われるときには、上乗せ示唆演出が切り替わり、ATゲームが上乗せされたことが報知される。具体的には、液晶表示器51において、「押し順当てCHANCE」の文字画像から「+30上乗せ」の文字画像に切り替わる。この「+30上乗せ」の文字画像の表示は、押し順当て抽選によって決定された30ゲームを上乗せする旨を報知するものである。つまり、遊技者によって最終停止操作が行われると、上乗せ示唆演出が切り替わって、上乗せの確定が報知される。
【0158】
ここで、図5に示したように、リプレイGR41〜GR43は、第1停止操作の種類に応じて特別リプレイの入賞が決まる。たとえば、図14(B)の例では、リプレイGR41に当選しているため、第1停止操作が左第1停止であった時点で特別リプレイの入賞が決まっている。しかしながら、特別リプレイの入賞が決まっていたとしても、第1停止操作時および第2停止操作時においては、上乗せ示唆演出が切り替わらない。
【0159】
また、最終停止操作に至るまでの第1停止操作や第2停止操作で押し順不正解が確定したとき(つまり、BAR揃いの導出しないことが確定したとき、特別リプレイの非入賞が確定したとき、通常リプレイの入賞が確定したとき)には、その時点で「残念」の文字画像が表示される。
【0160】
なお、リプレイGR41は押し順役であるがナビ対象役ではないため、メイン制御部41による遊技補助表示器12を用いたナビ演出、およびサブ制御部91による液晶表示器51を用いたナビ演出のいずれも実行されない。このため、図14(B)の(b)〜(e)に示すように、リプレイGR41が当選したゲームでは、遊技補助表示器12を用いたナビ演出、および液晶表示器51を用いたナビ演出のいずれも実行されない。
【0161】
以上、図14(A)に示すように、チェリーやスイカが当選したときには、スタート操作されたときに実行される上乗せ抽選によって、ATゲームの上乗せの有無が決定される。このため、第1停止操作、第2停止操作、あるいは最終停止操作が行われるときには既にATゲームの上乗せの有無が確定している。よって、チェリーやスイカの当選時に実行された上乗せ抽選でATゲームの上乗せが決定された場合、第1停止操作および第2停止操作のそれぞれに基づき上乗せ示唆演出が切り替わる。
【0162】
一方、図14(B)に示すように、リプレイGR41〜GR43が当選したときには、スタート操作されたときに実行される押し順当て抽選によって、上乗せされるATゲーム数は決定されるが、実際に付与するか否かは特別リプレイの入賞が確定したときに決定される。このため、第1停止操作、第2停止操作、あるいは最終停止操作が行われるときには未だATゲームの上乗せの有無が確定していない場合がある。少なくとも第1停止操作が行われるときには未だATゲームの上乗せの有無が確定していない。よって、リプレイGR41〜GR43の当選したときには、第1停止操作および第2停止操作のいずれに基づいても上乗せ示唆演出が切り替わらない。
【0163】
[有利区間中と通常区間中の遊技性]
有利区間中と通常区間中の遊技性について説明する。有利区間中は、CZまたはATに制御される。CZ中は図11(a)の第1AT抽選テーブルに示す確率に従って報知状態移行抽選(AT抽選)が行われる。30ゲーム以内に報知状態移行抽選に当選した場合は、ATに制御される。なお、有利区間中に、ナビ演出が少なくとも1回実行されるとしたが、ナビ演出は、RT0中には実行されない。RT0中にナビ演出が実行され、ナビ演出に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると、移行出目は導出されず、RT0に留まることになってしまう。そのため、RT0においては、ナビ演出は実行されない。
【0164】
AT中は、ナビ対象役に当選した場合に、ナビ演出によりナビ対象役の正解手順が報知される。RT1中にATが開始され、リプレイGR1〜6のうちのいずれかに当選し、遊技者がナビ演出に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rを操作すると、昇格リプレイ1または2が導出されRT2に移行する。その後、RT2中にリプレイGR31〜33に当選し、遊技者がナビ演出に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rを操作すると、特殊リプレイが導出されRT3に移行する。
【0165】
RT3中にリプレイGR21〜23に当選した場合であっても、ナビ演出に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されていれば、転落リプレイ2は導出されないため、RT2へ移行しない。同様に、RT3中に押し順ベルに当選した場合であっても、ナビ演出に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されていれば、RT1へ移行しない。つまり、遊技者がナビ演出に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rを操作していれば、RT3から他の遊技状態に移行することはない。また、RT3中に、遊技者がストップスイッチ8L,8C,8Rを、正解手順とは異なる不正解手順で操作したことにより、RT2またはRT1に移行した場合であっても、その後、ナビ演出に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されていれば、RT3に再び戻る。
【0166】
一方、通常区間中は、ナビ対象役に当選した場合であっても、ナビ演出は実行されない。このため、押し順ベルに当選した場合に正解手順で操作される確率は1/3となる。2/の確率で不正解手順で操作した場合に、上段ベル1〜8を取りこぼした場合は移行出目が導出される。同様に、リプレイGR11〜13のいずれかに当選した場合に転落リプレイ1に入賞する確率は2/3であり、リプレイGR21〜23のいずれかに当選した場合に転落リプレイ2に入賞する確率は2/3である。また、リプレイGR1〜6のうちのいずれかに当選した場合に昇格リプレイ1または昇格リプレイ2に入賞する確率は1/6であって、リプレイGR31〜33のうちのいずれかに当選した場合に特殊リプレイに入賞する確率は1/3である。つまり、非AT中においては、移行出目が導出されやく、転落リプレイ1,2に入賞しやすい。また、非AT中においては、昇格リプレイ1,2および特殊リプレイに入賞しにくい。通常区間中は、正解手順で操作することができたとしても、ナビ演出が実行されないため、RT3に留まりにくく、RT1に留まりやすい。
【0167】
つまり、有利区間中に、移行出目や、転落リプレイ1,2の入賞を発生させる表示結果が導出されて、有利RTであるRT2やRT3から、不利RTであるRT1に移行した場合であっても、AT中であればナビ演出に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することで、RT2またはRT3に復帰することができる。
【0168】
一方、通常区間中は、ATに制御されないため、RT1に留まり易い。たとえば、有利区間中にATに制御されている場合は、RT3に留まり易いため、有利区間を終了するタイミングで、RT3に制御されている可能性は高い。有利区間の終了に伴って、初期RT移行制御が行われ、RT3からRT0に移行する。この場合に、移行出目が導出されてRT1に移行することはあるものの、有利区間が終了して通常区間に制御されるため、有利区間の終了に伴って、RT3からRT0に移行した場合には、RT3に復帰することが困難である。
【0169】
また、本実施の形態においては、有利区間中にATゲーム数は1ずつ減算するものの、ATゲーム数が上乗せされたり、異なる種類のATに制御されたりする場合は、ATゲームカウンタが再度セットされる。このため、有利区間の終了条件であるATゲーム数が全て消化されるタイミングは変動する。
【0170】
[メイン報知]
有利区間移行抽選で当選した場合、有利区間報知ランプ19が点灯する。たとえば、有利区間報知ランプ19は、CZ当選したときには白色に点灯する。その後、ATに移行した後も、有利区間報知ランプ19は一度も消灯することなく白色に点灯し続ける。
【0171】
有利区間報知ランプ19が点灯した以降では、有利区間に制御される。有利区間報知ランプ19が点灯することによって、有利区間への制御中である旨が遊技者に示唆される。有利区間報知ランプ19が点灯することで有利区間(CZ,AT)への制御中である旨を示唆することをメイン報知とも称する。
【0172】
メイン報知には、先報知と後報知とがある。先報知は、有利区間移行抽選で当選したゲーム内で行われるメイン報知である。先報知が行われるタイミングを先報知タイミングとも称する。具体的には、先報知タイミングは、有利区間移行抽選で当選してから当該有利区間移行抽選に当選したゲームの次のゲームの賭数設定(リプレイ入賞による自動賭数設定も同様)が可能となるまでのいずれかのタイミングであればよい。たとえば、先報知タイミングは、有利区間移行抽選で当選したゲームの第3停止が行われて入賞結果が出たときのタイミングであってもよい。
【0173】
後報知は、有利区間移行抽選による当選がBB当選とともに行われることで待機区間に制御された場合に行われ得る報知である。後報知が行われるタイミングを後報知タイミングとも称する。具体的には、後報知タイミングは、BBの図柄組合せが導出された以降のいずれかのタイミングであればよい。たとえば、後報知タイミングは、BBの図柄組合せが導出されてBB入賞したときのタイミングであってもよい。
【0174】
本実施の形態においては、有利区間移行抽選で当選する一方で内部抽選でBB当選しなかった場合、当該有利区間移行抽選で当選したゲーム内のタイミング(先報知タイミング)で先報知が行われる。
【0175】
また、本実施の形態においては、有利区間移行抽選で当選するとともに内部抽選でもBB当選した場合、有利区間移行抽選の実行契機となった移行抽選対象役の種類に応じて、当該有利区間移行抽選で当選したゲーム内のタイミング(先報知タイミング)で先報知が行われるときと、BBの図柄組合せが導出された以降のタイミング(後報知タイミング)で後報知が行われるときとがある。
【0176】
先報知が行われた場合、それ以降のRT4中では有利区間に制御されて有利区間報知ランプ19が点灯し続ける。RT4中における有利区間では、指示機能に係る処理として、ナビ演出や指示機能に係る抽選(たとえば、AT抽選や上乗せ抽選)が実行され得る。一方、先報知が行われずに後報知が行われる場合、RT4中は待機区間に制御される。RT4中における待機区間では、指示機能に係る処理が実行されない。その後、BB入賞とともに後報知が行われ、それ以降のボーナス中では有利区間に制御されて有利区間報知ランプ19が点灯し続ける。ボーナス中における有利区間では、指示機能に係る処理として、ナビ演出や指示機能に係る抽選(たとえば、AT抽選や上乗せ抽選)が実行され得る。
【0177】
[ゲーム処理]
メイン制御部41は、ゲーム処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。
【0178】
賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると、入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理が行われる。
【0179】
また、内部抽選処理においては、内部抽選が行われた後、当該内部抽選の結果に応じたコマンドを設定するための内部抽選時コマンド設定処理が実行される。メイン制御部41は、内部抽選により設定された内部当選フラグを読み出し、いずれかの抽選対象役に当選したときには当該抽選対象役が属するグループを特定するための内部当選コマンドをコマンドキューに設定する。
【0180】
図4のグループ欄に、抽選対象役が属するグループが示されている。たとえば、図4に示すように、ベルに対して“ベル”、左ベル1〜右ベル4に対して“押し順ベル”、弱スイカ1〜4に対して“弱スイカ”、強スイカに対して“強スイカ”、弱チェリー1〜4に対して“弱チェリー”、強チェリー1〜3に対して“強チェリー”、中段チェリーに対して”中段チェリー”、ボーナス1〜12に対して”BB”がそれぞれ定められている。
【0181】
また、通常リプレイに対して”通常リプレイ”、リプレイGR1〜6、11〜13、21〜23、31〜33に対して”押し順リプレイ”、リプレイGR41〜43に対して“特別リプレイ”がそれぞれ定められている。メイン制御部41は、内部抽選において当選した抽選対象役が属するグループを特定し、当該グループに対応する内部当選コマンドを送信する。たとえば、メイン制御部41は、“ベル”であれば、「1」を特定可能な内部当選コマンドを送信し、“押し順ベル”であれば「2」を特定可能な内部当選コマンドを送信する。
【0182】
一方、サブ制御部91は、内部当選コマンドから当選したグループを特定し、当該グループに応じた演出を実行する。
【0183】
メイン制御部41は、AT中においてナビ対象役に当選していると判定したときには、当該ナビ対象役に対応する正解手順を特定するための押し順コマンドをコマンドキューに設定する。これにより、サブ制御部91側においては、押し順コマンドに基づきナビ演出が実行可能となる。
【0184】
一方、メイン制御部41は、AT中でないか、あるいはナビ抽選対象役に当選していないときには、予め定められた標準手順を特定可能な押し順コマンドをコマンドキューに設定する。これにより、サブ制御部91側において不正が行われた場合であっても正解手順を特定できないようにしつつ、内部当選コマンドから特定されるグループに応じた演出を実行することができる。
【0185】
なお、メイン制御部41は、ナビ演出を実行する場合、遊技補助表示器12の各セグメントのうち、正解手順を特定可能となるように対応するセグメント(「8」を構成する第1〜第7セグメント)を点灯状態にするとともに、ナビ報知であるか否かを特定するためのセグメント(右下の「。」を構成する第8セグメント)を点灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。これにより、メイン制御部41側において正解手順を特定するためのナビ演出が実行可能となる。一方、メイン制御部41は、標準手順を報知、つまりナビ演出を実行しない場合には、遊技補助表示器12の全てのセグメント(第1〜第8セグメント)を消灯状態にするためのナビ報知表示データを遊技補助表示器12の出力バッファに設定する。
【0186】
内部抽選処理が終了すると、リール回転処理が行われる。リール回転処理では、前回ゲームのリール回転開始から所定時間(たとえば、4.1秒)経過していることを条件に、リール2L,2C,2Rの回転を開始させた後、ストップスイッチ8L,8C,8Rを有効化し、停止操作に応じてリールの回転を停止させる。
【0187】
リール2L,2C,2Rが停止してリール回転処理が終了すると、入賞ライン上の図柄組合せに基づいて入賞などが発生したか否かを判定する入賞判定処理が行われる。
【0188】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる。払出処理では、入賞の発生に応じてメダルの払い出しまたはクレジット加算や、入賞に関わらない各種の処理(たとえば、ボーナス中のメダル払出枚数を計数してボーナスの終了制御に関する処理や、持ち越しのない当選フラグ(小役・再遊技役等の当選フラグ)の消去など)が行われる。ゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。これにより、1ゲーム分のゲーム処理が終了し、次の1ゲーム分のゲーム処理が開始する。
【0189】
[区間処理]
メイン制御部41は、遊技区間にかかる処理として、通常区間処理、待機区間処理、および有利区間処理のうちのいずれかの処理を実行する。まず、メイン制御部41は、通常区間処理、待機区間処理、および有利区間処理のうち、いずれの処理を実行するかを決定する。具体的に、メイン制御部41は、RAM41cの所定領域にセットされているフラグを確認することで、通常区間に制御されているか、待機区間に制御されているか、または有利区間に制御されているかを判定する。メイン制御部41は、通常フラグがセットされていれば通常区間に制御されていると判定し、通常区間処理を実行する。同様に、メイン制御部41は、待機フラグがセットされていれば待機区間処理を実行し、有利フラグがセットされていれば有利区間処理を実行する。なお、有利フラグには、前述した、CZフラグ、通常ATフラグ、有利ATフラグ、および特別ATフラグが含まれる。区間処理は、賭け数が設定された後に実行される。なお、設定変更を終えた直後は通常区間に制御されるため、設定変更を終えたときに通常フラグがセットされる。
【0190】
[通常区間処理]
図15を参照しながら、メイン制御部41が実行する通常区間処理について説明する。図15は、メイン制御部41が実行する通常区間処理を示すフローチャートである。図15に示すように、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたか否かを判定する(S10)。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されていない場合(S10でNO)、スタートスイッチ7が操作されるまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作された場合(S10でYES)、内部抽選の結果を取得する(S11)。次に、メイン制御部41は、有利区間移行抽選を実行する(S12)。メイン制御部41は、S12において、取得した内部抽選の結果と、図10に示す有利区間移行抽選テーブルとに従って、有利区間移行抽選を実行する。
【0191】
次に、メイン制御部41は、ストップスイッチが操作されて全てのリールが停止したか否かを判定する(S13)。メイン制御部41は、未だ全てのリールが停止していない場合(S13でNO)、全てのリールが停止するまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、全てのリールが停止した場合(S13でYES)、全ての図柄を停止して表示結果を導出する(S14)。なお、有利区間ではないため、S11〜S14の処理においてはATへの制御が禁止されている。
【0192】
次に、メイン制御部41は、有利区間移行抽選で当選したか否かを判定する(S15)。メイン制御部41は、有利区間移行抽選で当選していない場合(S15でNO)、通常区間処理を終了する。一方、メイン制御部41は、有利区間移行抽選で当選した場合(S15でYES)、すなわち、CZまたはATに移行することが決定した場合、ナビカウンタに1を設定する(S16)。ナビカウンタとは、押し順ベル当選時のナビ演出が少なくとも1回は実行されるためのカウンタであり、メイン制御部41のRAM41cの所定領域に格納されている。ナビカウンタは、1が設定された後、押し順ベルに当選してナビ演出が1回実行されるか、あるいはBB当選すると、0にクリアされる。すなわち、CZやATといった有利区間においては押し順ベル当選時にナビ演出が少なくとも1回実行され、ボーナスに移行する場合には例外的にナビ演出が実行されないようになっている。
【0193】
次に、メイン制御部41は、区間移行処理を実行する。区間移行処理において、メイン制御部41は、まず移行抽選対象役がBBと同時当選したか否かを判定する(S17)。メイン制御部41は、移行抽選対象役がBBと同時当選していない場合(S17でNO)、有利区間報知ランプ19を点灯させる(S19)。それ以降、メイン制御部41は、有利区間に制御されている旨を示す有利フラグをRAM41cの所定領域にセットして(S20)、通常区間処理を終了する。
【0194】
一方、メイン制御部41は、移行抽選対象役がBBと同時当選した場合(S17でYES)、BB当選したゲームでBB入賞したか否かを判定する(S18)。メイン制御部41は、BB入賞した場合(S18でYES)、S19およびS20の処理を実行し、通常区間処理を終了する。
【0195】
一方、メイン制御部41は、BB入賞しなかった場合(S18でNO)、当選した移行抽選対象役が先報知の実行対象となる役であるか否かを判定する(S21)。本実施の形態において、先報知の実行対象となる役は、弱チェリー1,2、弱スイカ1,2、強チェリー3である。メイン制御部41は、当選した移行抽選対象役が先報知の実行対象となる役である場合(S21でYES)、S19およびS20の処理を実行し、通常区間処理を終了する。
【0196】
一方、メイン制御部41は、当選した移行抽選対象役が先報知の実行対象となる役でない場合(S21でNO)、待機区間に制御されている旨を示す待機フラグをRAM41cの所定領域にセットして(S22)、通常区間処理を終了する。
【0197】
[待機区間処理]
図16を参照しながら、メイン制御部41が実行する待機区間処理について説明する。図16は、メイン制御部41が実行する待機区間処理を示すフローチャートである。図16に示すように、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたか否かを判定する(S50)。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されていない場合(S50でNO)、スタートスイッチ7が操作されるまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作された場合(S50でYES)、内部抽選の結果を取得する(S51)。
【0198】
次に、メイン制御部41は、ストップスイッチが操作されて全てのリールが停止したか否かを判定する(S52)。メイン制御部41は、未だ全てのリールが停止していない場合(S52でNO)、全てのリールが停止するまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、全てのリールが停止した場合(S52でYES)、全ての図柄を停止して表示結果を導出する(S53)。なお、待機区間であるため、S51〜S53の処理においてはATへの制御が禁止されている。
【0199】
次に、メイン制御部41は、BB入賞したか否かを判定する(S54)。メイン制御部41は、BB入賞しなかった場合(S54でNO)、待機区間処理を終了する。一方、メイン制御部41は、BB入賞した場合(S54でYES)、有利区間報知ランプ19を点灯させる(S55)。それ以降、メイン制御部41は、有利フラグをRAM41cの所定領域にセットし(S56)、待機区間処理を終了する。
【0200】
[有利区間処理]
図17を参照しながら、メイン制御部41が実行する有利区間処理について説明する。図17は、メイン制御部41が実行する有利区間処理を示すフローチャートである。図17に示すように、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたか否かを判定する(S30)。メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されていない場合(S30でNO)、スタートスイッチ7が操作されるまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作された場合(S30でYES)、内部抽選の結果を取得する(S31)。
【0201】
次に、メイン制御部41は、指示機能抽選処理を実行する(S32)。具体的には、AT抽選、上乗せ抽選、あるいは押し順当て抽選を実行する。メイン制御部41は、内部抽選の結果と、制御されている状態(たとえば、CZ,通常AT,有利AT,特別AT)に基づいて選択される図11〜図13の抽選テーブルとに従ってAT抽選、上乗せ抽選、および押し順当て抽選を実行する。
【0202】
次に、メイン制御部41は、ストップスイッチが操作されて全てのリールが停止したか否かを判定する(S33)。メイン制御部41は、未だ全てのリールが停止していない場合(S33でNO)、全てのリールが停止するまで処理を待機する。一方、メイン制御部41は、全てのリールが停止した場合(S33でYES)、全ての図柄を停止して表示結果を導出する(S34)。なお、有利区間であるため、S31〜S34の処理においては、ATに制御されることもある。
【0203】
次に、メイン制御部41は、ATゲームカウンタおよびCZゲームカウンタを更新する(S35)。具体的には、指示機能抽選処理の結果、および、ATゲームやCZゲームの消化を、ATゲームカウンタやCZゲームカウンタに反映する。
【0204】
たとえば、CZ中において指示機能抽選処理において通常ATに当選した場合、ATゲームカウンタに20をセットするとともに、CZゲームカウンタを0にする。また、CZ中において指示機能抽選処理において非当選であった場合は、CZゲームカウンタの値を1減算する。また、AT中において特別リプレイに当選した場合、表示結果に基づいて、ATゲームカウンタを加算するか否かを決定する。また、AT中であっても、準備期間においては、ATゲームカウンタは減算されない。ここで、メイン制御部41は、S35において、CZおよびATに関する有利フラグの種類も更新する。
【0205】
なお、表示結果が導出されたS34の後において、ATゲームカウンタおよびCZゲームカウンタを実行するようにしたが、指示機能抽選処理を実行したタイミング(S32)の前後で実行してもよい。なお、表示結果が導出されなければ付与されるATゲーム数が確定しないような場合にのみS34以降にATゲームカウンタを更新するようにしてもよい。
【0206】
次に、メイン制御部41は、最大指示区間処理を実行する(S36)。最大指示区間とは、ナビ演出の実行契機(本実施の形態においては、押し順ベルに当選したとき)になったときにナビ演出を実行するための区間である。最大指示区間処理において、メイン制御部41は、押し順ベルに当選しているときにはサブ制御部91に対してコマンドを送信するとともに、ナビカウンタに0を設定する。これにより、サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに従って中段ベルや右下がりベルを入賞させるための正解手順を報知するナビ演出を実行することになる。また、最大指示区間処理において、メイン制御部41は、BBに当選しているときにはサブ制御部91に対してコマンドを送信することなくナビカウンタに0を設定する。一方、最大指示区間処理において、メイン制御部41は、押し順ベルおよびBB以外の役に当選、あるいはハズレのときにはナビカウンタを1に維持したままでS37の処理に移行する。
【0207】
次に、メイン制御部41は、クリアカウンタに1を加算する(S37)。そして、メイン制御部41は、クリアカウンタの値が1500に達していないか否か、すなわちカウントゲーム数が1500ゲームに達していないか否かを判定する(S38)。メイン制御部41は、カウントゲーム数が1500ゲームに達している場合(S38でNO)、リミット処理を実行して(S42)、有利区間処理を終了する。
【0208】
一方、メイン制御部41は、カウントゲーム数が未だ1500ゲームに達していない場合(S38でYES)、ナビカウンタの値が0であるか否かを判定する(S39)。メイン制御部41は、ナビカウンタの値が0でない場合(S39でNO)、有利区間処理を終了する。
【0209】
一方、メイン制御部41は、ナビカウンタの値が0である場合(S39でYES)、CZゲームカウンタの値が0であるか否かを判定する(S40)。メイン制御部41は、CZゲームカウンタの値が0でない場合(S40でNO)、有利区間処理を終了する。ここで、CZゲームカウンタの値が0でないということは、CZに制御する権利がまだ残っていることを意味する。
【0210】
一方、メイン制御部41は、CZゲームカウンタの値が0である場合(S40でYES)、ATゲームカウンタの値が0であるか否かを判定する(S41)。メイン制御部41は、ATゲームカウンタの値が0でない場合(S41でNO)、有利区間処理を終了する。ここで、ATゲームカウンタの値が0でないということは、ATに制御する権利がまだ残っていることを意味する。ATゲームカウンタの値が0である場合(S41でYES)、リミット処理を実行して(S42)、有利区間処理を終了する。
【0211】
このように、メイン制御部41は、カウントゲーム数が1500ゲームに達するという終了条件とは異なる終了条件が成立したか否かを判定する前に、S36でカウントゲーム数が1500ゲームに達していないか否かを必ず判定する。
【0212】
[リミット処理]
図18を参照しながら、メイン制御部41が実行するリミット処理について説明する。図18は、メイン制御部41が実行するリミット処理を示すフローチャートである。リミット処理は、有利区間を終了するための終了条件が成立したときに実行される処理である。
【0213】
図18に示すように、メイン制御部41は、クリアカウンタ、ATゲームカウンタ、CZゲームカウンタに0を設定する(S421)。次に、メイン制御部41は、初期RT移行制御を実行する(S422)。初期RT移行制御とは、初期RTであるRT0に遊技状態を移行させるための制御である。本実施形態においては、次ゲームからRT0に制御させるため、RT0フラグをRAM41cの所定領域にセットする。その後、メイン制御部41は、有利区間報知ランプ19を消灯させる(S423)。そして、メイン制御部41は、通常区間に制御されている旨を示す通常フラグをRAM41cの所定領域にセットし(S424)、リミット処理を終了する。
【0214】
メイン制御部41は、有利区間中のゲーム数をカウントする。たとえば、メイン制御部41は、AT初当りした次のゲームを1ゲーム目として、それ以降の毎ゲームをカウントして加算していく。カウントゲーム数はRAM41cの所定領域に格納されたクリアカウンタによってカウントされる。AT初当りによって付与されたATゲーム数、および当該ATゲーム数を消化している間に上乗せされたATゲーム数の全てを消化したときに、一連のATが終了する。すなわち、本実施の形態における一連のATとは、AT初当り時から、当該AT初当り後にATに制御され、全てのATゲーム数が消化されて当該ATが終了するまでの期間のことを言う。そして、本実施の形態においては、一連のATにおけるカウントゲーム数が1500ゲームに達すると、メイン制御部41によってリミット処理が実行される。リミット処理が実行されると、有利区間(たとえば、CZ,AT)を終了するとともに、有利RT(たとえば、RT2,RT3)も終了する。したがって、リミット処理が実行されると、有利RTであるRT3におけるAT状態(所謂、ART)が終了する。
【0215】
また、AT当選時に限らず、CZ当選時においてもカウントゲーム数のカウントが開始される。たとえば、CZ当選したゲームの次のゲームからカウントゲーム数がカウントされ、その後CZ中にAT当選したときには、そのままカウントゲーム数のカウントを継続する。そして、前述したように、一連のATが終了するまでカウントゲーム数がカウントされる。なお、CZ当選したゲームの次のゲームからカウントゲーム数がカウントされた場合であっても、CZ中にAT当選しなかった場合や、新たにCZ当選しなかった場合には、CZの終了とともにカウントゲーム数のカウントも終了する。このように、スロットマシン1においては、有利区間におけるゲーム数がクリアカウンタによってカウントされるようになっている。
【0216】
なお、メイン制御部41は、ゲーム数に加えて、AT初当りしたときからの一連のAT中の純増枚数をカウントしてもよい。具体的に、メイン制御部41は、AT初当りしたゲームにおける純増枚数を最初にカウントし、それ以降の毎ゲーム、純増枚数をカウントして加算してもよい。カウントされた純増枚数(カウント純増枚数とも称する)はRAM41cの所定領域に記憶される。なお、ほとんどの場合、カウント純増枚数が上限量となる2999枚に達する前にはカウントゲーム数が1500ゲームに達するが、カウントゲーム数が1500ゲームに達する前にカウント純増枚数が2999枚に達した場合は、メイン制御部41によってリミット処理が実行されてもよい。すなわち、メイン制御部41は、一連のAT中におけるカウントゲーム数が1500ゲームに達するか、あるいはカウント純増枚数が2999枚に達する場合に、リミット処理を実行してもよい。なお、カウントゲーム数が1500ゲームに達するか、あるいはカウント純増枚数が2999枚に達する前であっても、付与されたATゲーム数が全て消化されると、ATが終了する。
【0217】
ゲーム数および純増枚数のカウントは、リミット処理が実行されたときにリセット(RAM41cの記憶領域が初期化)される。また、ゲーム数および純増枚数のカウントは、設定変更されたときにもリセットされる。さらに、ゲーム数および純増枚数のカウントは、スロットマシン1への電力が遮断された後、午前3時を跨いで当該電力が再び供給されたときにもリセットされる。ここで、電断からの復帰が午前3時を跨いだか否かを判断する理由は、遊技店の営業中に遊技者が遊技している最中に瞬断などによってゲーム数および純増枚数のカウントがリセットされてしまうと、また一からゲーム数および純増枚数をカウントすることになり、実質的に遊技者が3000枚以上のメダルを獲得するといった事態が生じ得るためである。そこで、確実に遊技店の営業時間外となる特定時刻(本実施の形態においては、午前3時)を跨いで電断から復帰したか否かが判断されるようになっている。
【0218】
また、本実施の形態においては、カウントゲーム数およびカウント純増枚数がカウントされている期間中、スロットマシン1の試験用に用いられる試験用信号が外部出力基板1000から外部の試験装置に対して出力される。これにより、外部の試験装置は、試験用信号に基づき、スロットマシン1においてカウントゲーム数およびカウント純増枚数がカウントされている期間を認識することができる。
【0219】
[カウントゲーム数およびカウント純増枚数の表示]
本実施の形態においては、カウントゲーム数およびカウント純増枚数に関する情報が報知される。具体的に、遊技者は、演出用スイッチ56を操作することによって、液晶表示器51にメニュー画面を表示させることができる。メニュー画面には、カウントゲーム数およびカウント純増枚数に関する情報を示す画像を表示する表示領域が設けられている。AT初当りしたときには未だAT初当り報知されていないため、メニュー画面には何らの画像も表示されない。その後、AT初当りした後にAT初当りを示唆する示唆演出によってAT初当り報知されると、カウントゲーム数およびカウント純増枚数がメニュー画面に表示される。
【0220】
なお、このとき表示されるカウントゲーム数およびカウント純増枚数は、AT初当りしてからメニュー画面に表示されるまでのカウントを考慮した値になる。たとえば、AT初当りしてからメニュー画面に表示されるまで30ゲーム消化している場合、メニュー画面には、カウントゲーム数として「30G」の画像が表示される。そして、カウントゲーム数が1250ゲームに達すると、リミット処理が実行されるまでの残りゲームが250ゲームと少なくなるため、残りゲーム数のみがメニュー画面に表示される。そして、リミット処理が実行されると、メニュー画面における画像表示は消える。
【0221】
[有利区間の割合の報知]
次に、図19を参照しながら、有利区間の割合の報知について説明する。本実施の形態においては、クリアカウンタによる有利区間におけるゲーム数のカウントとは別に、所定期間(たとえば、1か月間)におけるゲーム数を蓄積した総ゲーム数と、当該所定期間(たとえば、1か月間)における有利区間のゲーム数を蓄積した有利区間ゲーム数とがカウントされる。そして、総ゲーム数に対する有利区間ゲーム数の割合が、設定値表示器24に表示される。前述したように、スロットマシン1では、総ゲーム数に対する有利区間中における消化ゲーム数の割合は、70%未満に抑えられているが、このことを確認するために有利区間の割合が報知される。
【0222】
たとえば、図19に示すように、総ゲーム数が0〜17500ゲームの間においては、有利区間の割合が70%未満および70%以上のいずれであっても、設定値表示器24により、7セグメントLEDによる表示(7セグ表示)のみで有利区間の割合を示す数値が表示される。
【0223】
また、17501ゲーム以上のゲーム数においては、有利区間の割合が70%未満であるときには設定値表示器24による7セグ表示のみで有利区間の割合を示す数値が表示される一方、有利区間の割合が70%以上であるときには設定値表示器24による7セグ表示で有利区間の割合を示す数値が表示されるとともに当該数値が点滅する。
【0224】
なお、17500ゲームは、スロットマシン1の市場導入時に試験されるゲーム数であるが、その他のゲーム数を用いてもよい。すなわち、スロットマシン1の市場導入時に試験される所定のゲーム数を基準にして、有利区間の割合の表示態様を変えてもよい。
【0225】
また、0〜17500ゲームにおいては、有利区間の割合を示す数値は点滅しないものとしたが、点滅するようにしてもよい。このような場合に、総ゲーム数が0〜17500ゲームにおいて点滅する態様と、総ゲーム数が17500ゲーム以上において点滅する態様とを異ならせるようにしてもよい。具体的には、0〜17500ゲームにおいては、70%未満では7セグ表示のみとし、70%以上では7セグ表示に加えて遅い速度で点滅してもよい。一方、17501ゲーム以上においては、70%未満では7セグ表示のみとし、70%以上では7セグ表示に加えて早い速度で点滅してもよい。このようにすれば、0〜17500ゲームにおいても70%以上になったときに管理者に注意喚起することができる。さらに、17500ゲーム以上のときには、0〜17500ゲームのときよりも、管理者により多く注意喚起することができる。
【0226】
なお、管理者は、「設定キーON」+「前面扉開放検出」の条件を満たすことで設定確認状態に移行し、当該設定確認状態において設定値表示器24に表示された7セグ表示によって有利区間の割合を確認することができる。そして、管理者は、有利区間の割合を示す数値が点滅していれば、有利区間の割合が70%以上であることを知ることができ、さらに、当該点滅が速いテンポであれば、1か月の平均ゲーム数を超えている期間で有利区間の割合が70%以上であることを知ることができる。
【0227】
[メイン報知およびサブ報知の点灯態様]
図20を参照しながら、メイン制御部41による有利区間報知ランプ19の点灯制御によって行われるメイン報知と、サブ制御部91によるCZランプ57およびATランプ58の点灯制御によって行われるサブ報知とについて、詳細に説明する。図20は、メイン報知およびサブ報知の態様を説明するための図である。
【0228】
先ず、通常区間におけるメイン報知について説明する。通常区間においては、メイン報知は行われない。具体的には、図20に示すように、通常区間においては、有利区間報知ランプ19は、消灯したままである。
【0229】
次に、通常区間におけるサブ報知について説明する。通常区間においては、サブ報知は行われない。具体的には、通常区間においては、CZランプ57およびATランプ58は、いずれも消灯しており、CZやATの文字が表示されない。
【0230】
次に、有利区間におけるメイン報知について説明する。有利区間においては、メイン報知が行われる。しかし、メイン報知は、有利区間の種類に応じてその態様を変化させない。具体的には、有利区間では、CZ,通常AT、有利AT、特別ATの順に遊技区間が昇格し得る。先ず、通常区間からCZに移行すると、有利区間報知ランプ19が白色に点灯する。その後、CZから通常AT、有利AT、特別ATの順に遊技区間が昇格しても、有利区間報知ランプ19は白色に点灯したままである。
【0231】
このように、メイン報知では、有利区間の種類に関わらず一定の態様で有利区間の制御中である旨が示唆される。
【0232】
なお、メイン報知における有利区間報知ランプ19の点灯色は、図20に示す例(白色)に限らず、青色や黄色など他の色であってもよい。また、メイン報知における有利区間報知ランプ19の点灯態様は、図20に示す例(点灯)に限らず、点滅など他の態様であってもよい。ただし、いずれの態様を採用したとしても、メイン報知では、有利区間の種類に関わらず一定の態様で有利区間の制御中である旨が示唆される。
【0233】
次に、有利区間におけるサブ報知について説明する。有利区間においては、サブ報知が行われる。さらに、サブ報知は、有利区間の種類に応じてその態様を変化させる。具体的には、先ず、通常区間からCZに移行すると、CZランプ57が白色で点灯する。CZランプ57が点灯することで、CZランプ57において「CZ」の文字が表示される。その後、CZから通常ATに移行すると、CZランプ57が消灯し、代わりにATランプ58が白色で点灯する。CZランプ57が消灯することで、CZランプ57において「CZ」の文字が消えるが、ATランプ58が点灯することで、ATランプ58において「AT」の文字が表示される。
【0234】
その後、通常ATから有利ATに移行すると、ATランプ58が赤色で点灯する。このように、通常ATから有利ATに移行すると、ATランプ58の点灯色が変化する。その後、有利ATから特別ATに移行すると、ATランプ58が点灯から点滅に変わる。このように、有利ATから特別ATに移行すると、ATランプ58の点灯態様が変化する。
【0235】
このように、サブ報知では、有利区間の種類に応じた態様で有利区間の制御中である旨が示唆される。
【0236】
なお、サブ報知におけるCZランプ57の点灯色は、図20に示す例(白色)に限らず、青色や黄色など他の色であってもよい。また、サブ報知におけるCZランプ57の点灯態様は、図20に示す例(点灯)に限らず、点滅など他の態様であってもよい。同様に、サブ報知におけるATランプ58の点灯色は、図20に示す例(通常ATが白色、有利ATおよび特別ATが赤色)に限らない。たとえば、通常AT、有利AT、および特別ATのそれぞれが異なる点灯色で点灯してもよい。また、サブ報知におけるATランプ58の点灯態様は、図20に示す例(通常ATおよび有利ATが点灯、特別ATが点滅)に限らない。たとえば、通常AT、有利AT、および特別ATのそれぞれが異なる点灯態様で点灯してもよい。具体的には、通常ATが点灯、有利ATが遅い点滅、特別ATが早い点滅であってもよい。
【0237】
[BB示唆演出]
前述したように、弱スイカ1〜4、強スイカ、弱チェリー1〜4、強チェリー1〜3、および中段チェリーは、単独当選することもあるし、BBと同時当選することもある。このようなBBと同時当選可能な抽選対象役が当選したときには、当該抽選対象役が当選したゲーム以降のゲームにおいて、BB当選しているか否かを示唆するBB示唆演出が実行され得る。
【0238】
たとえば、強チェリーに当選したときには、ストップスイッチの操作タイミングに応じて右上がりにチェリー図柄が揃う。このとき、遊技者は、強チェリーに当選したことを認識でき、さらにBBにも当選していることを期待する。そこで、強チェリーに当選したゲーム以降でBB示唆演出が実行される。
【0239】
たとえば、BB示唆演出では、キャラクタによるバトル演出が行われ、当該バトル演出の結果として味方キャラクタが敵キャラクタに勝利すればBB当選確定となる。BB当選の確定報知では、たとえば、「WIN」の文字画像が液晶表示器51に表示される。そして、BB当選が確定すれば、当選を持ち越しているBBを入賞させることができるゲーム(たとえば、内部抽選でハズレになったゲーム)において、7図柄揃いを促す「7を狙え」の文字画像が液晶表示器51に表示される。一方、バトル演出の結果として味方キャラクタが敵キャラクタに敗北すればBB当選がなかったことになる。なお、BB示唆演出は、1ゲーム内で完結するものであってもよいし、複数ゲームに亘る連続演出であってもよい。
【0240】
このように、BBと同時当選可能な抽選対象役が当選した以降のゲームでBB示唆演出が実行されることにより、BB当選していることに対して遊技者に期待させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0241】
[メイン報知およびBB示唆演出]
図21を参照しながら、メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無について説明する。図21は、メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一覧を示す図である。
【0242】
前述したように、有利区間移行抽選の実行契機となる移行抽選対象役は、BBと同時当選可能である。そして、移行抽選対象役が当選したときに、有利区間移行抽選に当選したか否か、およびBB当選したか否かに基づき、メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無が異なる。さらに、当選した移行抽選対象役の種類によって、メイン報知の報知タイミングが異なる。
【0243】
たとえば、弱チェリー1〜3が当選した場合について説明する。図21に示すように、弱チェリー1,2がBBと同時当選した場合、有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われ、かつBB示唆演出も実行される。一方、有利区間移行抽選に当選しなかったときには、メイン報知は行われないが、BB示唆演出は実行される。
【0244】
弱チェリー1,2がBBと同時当選しなかった場合、有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われ、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。一方、有利区間移行抽選に当選しなかったときには、メイン報知は行われないが、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。たとえば、BB示唆演出は、所定確率(たとえば、50%)で実行され、実行された場合は所謂ガセ演出になる。
【0245】
また、弱チェリー3がBBと同時当選した場合、有利区間移行抽選に当選したときには、後報知が行われ、かつBB示唆演出も実行される。一方、有利区間移行抽選に当選しなかったときには、メイン報知は行われないが、BB示唆演出は実行される。
【0246】
弱チェリー3がBBと同時当選しなかった場合、有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われ、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。一方、有利区間移行抽選に当選しなかったときには、メイン報知は行われないが、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。
【0247】
このように、弱チェリー1,2がBBと同時当選しかつ有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われる。このため、先報知タイミング(たとえば、弱チェリー1,2が当選したゲーム内のタイミング)において、有利区間への制御が決定された旨を遊技者に認識させることができる。一方、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしても、弱チェリー1〜3が当選したゲーム以降のゲームにおいてBB示唆演出が実行されることがあるため、BB当選していることに対して遊技者に期待させることができる。これにより、遊技者が注目する有利区間への制御の示唆やボーナスへの制御の示唆について遊技の興趣を向上させることができる。
【0248】
また、仮に、弱チェリー1〜3がBBと同時当選せずかつ有利区間移行抽選に当選したときには一律に先報知が行われ、弱チェリー1〜3がBBと同時当選しかつ有利区間移行抽選に当選したときには一律に後報知が行われるように構成されていた場合、先報知タイミングで先報知が行われなかった時点でBB当選していることが否定されてしまう。しかしながら、本実施の形態においては、弱チェリー1〜3がBBと同時当選しかつ有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われる場合(弱チェリー1、2が当選した場合)と、後報知が行われる場合(弱チェリー3が当選した場合)とがある。このため、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしてもBB当選していることが否定されず、BB当選に対して遊技者に期待させることができる。
【0249】
また、弱チェリーがBBと同時当選せずかつ有利区間移行抽選に当選したときには、弱チェリー1,2が当選している場合には先報知が行われ、弱チェリー3が当選している場合には後報知が行われる。つまり、移行抽選対象役となっている弱チェリーに当選したときには、2/3の確率で先報知が行われ、1/3の確率で後報知が行われる。言い換えると、下段チェリーが入賞したときには、2/3の確率で先報知が行われ、1/3の確率で後報知が行われる。このように、当選している弱チェリーの種類が弱チェリー1,2および弱チェリー3のいずれであるのかに応じて異なる割合でメイン報知の報知タイミングが異なるため、メイン報知の報知タイミングが単調なものとならず、遊技の興趣を向上させることができる。
【0250】
次に、強チェリーが当選した場合について説明する。図21に示すように、強チェリー1,2がBBと同時当選した場合、有利区間移行抽選に当選したときには、後報知が行われ、かつBB示唆演出も実行される。一方、有利区間移行抽選に当選しなかったときには、メイン報知は行われないが、BB示唆演出は実行される。
【0251】
強チェリー1,2がBBと同時当選しなかった場合、有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われ、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。一方、有利区間移行抽選に当選しなかったときには、メイン報知は行われないが、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。たとえば、BB示唆演出は、所定確率(たとえば、50%)で実行され、実行された場合は所謂ガセ演出になる。
【0252】
また、強チェリー3がBBと同時当選した場合、有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われ、かつBB示唆演出も実行される。一方、有利区間移行抽選に当選しなかったときには、メイン報知は行われないが、BB示唆演出は実行される。
【0253】
強チェリー3がBBと同時当選しなかった場合、有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われ、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。一方、有利区間移行抽選に当選しなかったときには、メイン報知は行われないが、BB示唆演出は実行されることもあれば実行されないこともある。
【0254】
このように、強チェリー3がBBと同時当選しかつ有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われる。このため、先報知タイミング(たとえば、強チェリー3が当選したゲーム内のタイミング)において、有利区間への制御が決定された旨を遊技者に認識させることができる。一方、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしても、強チェリー1〜3が当選したゲーム以降のゲームにおいてBB示唆演出が実行されることがあるため、BB当選していることに対して遊技者に期待させることができる。これにより、遊技者が注目する有利区間への制御の示唆やボーナスへの制御の示唆について遊技の興趣を向上させることができる。
【0255】
また、仮に、強チェリー1〜3がBBと同時当選せずかつ有利区間移行抽選に当選したときには一律に先報知が行われ、強チェリー1〜3がBBと同時当選しかつ有利区間移行抽選に当選したときには一律に後報知が行われるように構成されていた場合、先報知タイミングで先報知が行われなかった時点でBB当選していることが否定されてしまう。しかしながら、本実施の形態においては、強チェリーがBBと同時当選しかつ有利区間移行抽選に当選したときには、先報知が行われる場合(強チェリー3が当選した場合)と、後報知が行われる場合(強チェリー1,2が当選した場合)とがある。このため、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしてもBB当選していることが否定されず、BB当選に対して遊技者に期待させることができる。
【0256】
また、強チェリーがBBと同時当選せずかつ有利区間移行抽選に当選したときには、強チェリー3が当選している場合には先報知が行われ、強チェリー1,2が当選している場合には後報知が行われる。つまり、移行抽選対象役となっている強チェリーに当選したときには、1/3の確率で先報知が行われ、2/3の確率で後報知が行われる。言い換えると、右上がりチェリーが入賞したときには、1/3の確率で先報知が行われ、2/3の確率で後報知が行われる。このように、当選している強チェリーの種類が強チェリー1,2および強チェリー3のいずれであるのかに応じて異なる割合でメイン報知の報知タイミングが異なるため、メイン報知の報知タイミングが単調なものとならず、遊技の興趣を向上させることができる。
【0257】
さらに、弱チェリーと強チェリーとの関係に注目すると、以下の事がいえる。すなわち、移行抽選対象役となっている弱チェリー,あるいは強チェリーに当選した場合、当選した移行抽選対象役が弱チェリーであるときには2/3の確率で先報知が行われ、1/3の確率で後報知が行われ、当選した移行抽選対象役が強チェリーであるときには1/3の確率で先報知が行われ、2/3の確率で後報知が行われる。このように、当選しているチェリーの種類が弱チェリーおよび強チェリーのいずれであるのかに応じて異なる割合でメイン報知の報知タイミングが異なる。本実施の形態においては、弱チェリーが当選したときには、強チェリーが当選したときよりも高い確率で先報知が行われる。言い換えると、下段チェリーが入賞したときには、右上がりチェリーが入賞したときよりも高い確率で先報知が行われる。このため、メイン報知の報知タイミングが単調なものとならず、遊技の興趣を向上させることができる。
【0258】
また、図4に示すように、弱チェリー1〜3は、強チェリー1〜3よりもBBと同時当選する確率が低い。このため、下段チェリーが入賞して弱チェリーに当選したことを遊技者が認識した場合において先報知が行われなかった場合、その後BB示唆演出が実行されたとしても、遊技者は、強チェリー1〜3が当選したときよりもBB当選に対してそれほど期待することができない。一方、右上がりチェリーが入賞して強チェリーに当選したことを遊技者が認識した場合においては、先報知が行われなかったとしても、その後BB示唆演出が実行されることで、遊技者は、弱チェリー1〜3が当選したときよりもBB当選に対して期待することができる。このため、前述したように、下段チェリーが入賞したときには、右上がりチェリーが入賞したときよりも高い確率で先報知が行われるようにすることで、弱チェリー当選時におけるBB当選に対する期待感の低下を極力抑えることができる。さらに、図8に示すように、弱チェリーは、強チェリーよりも当選確率が高いため、弱チェリー当選時には強チェリー当選時よりも高い確率で先報知を行うことで、先報知が比較的頻繁に行われるようになる。これにより、遊技全体が単調なものとならない。
【0259】
その他の移行抽選対象役についても、弱チェリーおよび強チェリーと同様に、有利区間移行抽選に当選したか否か、およびBB当選したか否かに基づき、メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無が異なり、さらに、当選した移行抽選対象役の種類によって、メイン報知の報知タイミングが異なる。
【0260】
[メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例]
図22を参照しながら、メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明する。図22〜図25は、メイン報知の報知タイミングおよびBB示唆演出の有無の一例を説明するための図である。
【0261】
図22(a)は、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつ有利区間移行抽選においてCZ当選したことによって先報知が行われる場合の一例を示す。
【0262】
図22(a)に示すように、タイミングt1で移行抽選対象役がBBと同時当選しかつCZ当選した場合、当該移行抽選対象役が当選したゲーム内のタイミングt2で先報知が行われる。その後、移行抽選当選役に当選したゲームの次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt3で有利区間に制御される。また、このとき、BB示唆演出の実行が開始する。
【0263】
複数ゲームに亘ってBB示唆演出が実行された後、内部抽選でハズレになったタイミングt4でBB当選の確定報知が行われる。たとえば、内部抽選でハズレになったゲームのスタート操作時に「WIN」の文字画像が液晶表示器51に表示され、その後、7図柄揃いを促す「7を狙え」の文字画像が液晶表示器51に表示される。タイミングt5においてBBが入賞すると、次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt6からボーナスに制御される。それ以降は、ボーナス中における有利区間となる。
【0264】
図22(b)は、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつ有利区間移行抽選に当選しなかった場合の一例を示す。図22(b)に示す例では、図22(a)に示す例と異なり、メイン報知が行われず有利区間にも制御されない。それ以外の制御については、図22(a)に示す例と同じである。
【0265】
図23(c)は、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつ有利区間移行抽選においてCZ当選したことによって先報知が行われる場合の一例を示す。さらに、図23(c)は、BB示唆演出が実行される場合の一例である。なお、BB当選していないため、このBB示唆演出は所謂ガセ演出になる。
【0266】
図23(c)に示すように、タイミングt1で移行抽選対象役が単独当選しかつCZ当選した場合、当該移行抽選対象役が当選したゲーム内のタイミングt2で先報知が行われる。その後、有利区間移行抽選に当選したゲームの次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt3で有利区間に制御される。また、このとき、BB示唆演出の実行が開始する。
【0267】
複数ゲームに亘ってBB示唆演出が実行された後、タイミングt4でBB当選のハズレ報知が行われる。たとえば、「LOSE」の文字画像が液晶表示器51に表示される。
【0268】
図23(d)は、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつ有利区間移行抽選においてCZ当選したことによって先報知が行われる場合の一例を示す。図23(b)に示す例では、図23(c)に示す例と異なり、BB示唆演出が実行されない。それ以外の制御については、図23(c)に示す例と同じである。
【0269】
図24(e)は、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつ有利区間移行抽選に当選しなかった場合の一例を示す。さらに、図24(e)は、BB示唆演出が実行される場合の一例である。なお、BB当選していないため、このBB示唆演出は所謂ガセ演出になる。
【0270】
図24(e)に示すように、タイミングt1で移行抽選対象役が単独当選しかつ有利区間移行抽選に当選しなかった場合、メイン報知が行われない。有利区間移行抽選に当選したゲームの次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt2でBB示唆演出の実行が開始する。
【0271】
複数ゲームに亘ってBB示唆演出が実行された後、タイミングt3でBB当選のハズレ報知が行われる。たとえば、「LOSE」の文字画像が液晶表示器51に表示される。
【0272】
図24(f)は、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつ有利区間移行抽選に当選しなかった場合の一例を示す。図24(f)に示す例では、図24(e)に示す例と異なり、BB示唆演出が実行されない。それ以外の制御については、図24(f)に示す例と同じである。
【0273】
図25(g)は、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつ有利区間移行抽選においてCZ当選したことによって後報知が行われる場合の一例を示す。
【0274】
図25(g)に示すように、タイミングt1で移行抽選対象役がBBと同時当選しかつCZ当選しているが、この例では先報知が行われない。このため、移行抽選当選役に当選したゲームの次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt2で待機区間に制御される。また、このとき、BB示唆演出の実行が開始する。
【0275】
複数ゲームに亘ってBB示唆演出が実行された後、内部抽選でハズレになったタイミングt3でBB当選の確定報知が行われる。タイミングt4においてBBが入賞するときには、後報知が行われる。その後、次のゲームの賭数設定が可能となったタイミングt5からボーナスに制御されるとともに、有利区間に制御される。それ以降は、ボーナス中における有利区間となる。
【0276】
以上、図23(c),(d)に示すように、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつ有利区間移行抽選においてCZ当選したときには、先報知が行われる。このため、移行抽選対象役が当選したゲーム内において、有利区間に制御される旨を遊技者に認識させることができる。一方、図22(b),図24(e),図25(g)に示すように、先報知が行われなかったときには、それ以降のタイミングでBB示唆演出が実行される。このため、移行抽選対象役が当選したゲーム内において先報知が行われなかったとしても、BB示唆演出によってBB当選を遊技者に期待させることができる。これにより、遊技者が注目する有利区間への制御の示唆やボーナスへの制御の示唆について遊技の興趣を向上させることができる。
【0277】
図22(a),図25(g)に示すように、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつ有利区間移行抽選においてCZ当選したときには、先報知が行われる場合と、後報知が行われる場合とがある。このため、先報知タイミングで先報知が行われなかったとしてもBB当選していることが否定されず、BB当選に対して遊技者に期待させることができる。
【0278】
図21に示すように、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつ有利区間移行抽選においてCZ当選したときには、当選した移行抽選対象役の種類に応じて異なる割合でメイン報知の報知タイミングが異なるため、メイン報知の報知タイミングが単調なものとならず、遊技の興趣を向上させることができる。
【0279】
図25(g)に示すように、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつCZ当選したときには、BB入賞に対応する7図柄揃いが導出された以降で有利区間に制御される。これにより、移行抽選対象役がBBと同時当選し、かつCZ当選したときには、BB入賞に対応する7図柄揃いが導出された以降において、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつCZ当選したときと同じように有利区間に制御することができる。したがって、BBに当選したときと、BBに当選しなかったときとで、制御するタイミングは異なるが、有利フラグをセットするという共通の処理(図15のS20の処理、図16のS56の処理)によって有利区間に制御することができる。
【0280】
図10に示すように、移行抽選対象役の当選を契機に有利区間移行抽選が実行され、その抽選結果は、入賞結果に関わらない。よって、図22(a),図23(c),(d)に示すように、当選した移行抽選対象役が入賞しなくても、先報知が行われる。このため、移行抽選対象役が入賞したか否かに応じてメイン報知が行われるか否かが左右されない。したがって、移行抽選対象役を入賞させることができる遊技者と、入賞させることができない遊技者との間で有利度合いに差が出ない。
【0281】
[到達確定演出]
本実施の形態において、有利区間の終了条件の一つである、有利区間中に消化するゲーム数が1500ゲームに到達することが確定した場合に、メイン制御部41は、到達確定コマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、到達確定コマンドを受信したことに基づいて、到達確定演出を実行する。有利区間中に消化するゲーム数が1500ゲームに到達することが確定する状況とは、たとえば、クリアカウンタの値にATゲームカウンタの値を加算した後の値が1500を超えるような状況である。メイン制御部41は、1500ゲームに到達することが確定したゲームから、1500ゲームに到達するまでの間、ATを延長させるための上乗せゲーム数とは異なる特典を付与する特殊制御を行う。
【0282】
メイン制御部41は、特殊制御が行われている場合には、抽選条件が成立したときに特典を付与するか否かの抽選を行う。特典を付与する場合の抽選条件は、上記ATを上乗せさせるための権利の場合の抽選条件と同じく、チェリー当選である。そして、本実施形態において、上乗せゲーム数と異なる特典は、設定値示唆、およびポイント付与である。設定値示唆とは、上述した払出率を示す設定値の示唆である。設定値示唆は、設定値示唆演出により行われる。
【0283】
なお、設定値示唆演出は、1500ゲームに到達することが確定後に行われるバトル演出により、敵の体力を0にして敵を撃破した場合に行われる。バトル演出は、メイン制御部41から受信した上乗せゲーム数に対応する値を敵の体力から減らす演出である。たとえば、上乗せゲーム数が500であれば、敵の体力から500を減らす演出である。従って、1500ゲームまでの残りゲーム数が少なかったり、上乗せがあまり発生しなかったりしたことにより、1500ゲームに到達するまでに敵を撃破できなかった場合には、設定値示唆演出は行われない。すなわち、1500ゲームに到達することが確定したからといって直ちに設定値が示唆されるものではない。
【0284】
一方、ポイント付与におけるポイントとは、携帯連動システムで使用可能なポイントである。携帯連動システムは、一般に、所定条件の成立にもとづいて所定情報を出力する遊技機と、遊技機によって出力された所定情報にもとづいて、遊技者に対して所定の特典を付与する処理を行う特典付与装置とを備える。
【0285】
たとえば、スロットマシンは、ゲーム数、ART回数、ミッション達成回数などの所定条件(パチンコ遊技機ではたとえば変動回数、大当り回数、および連荘数(確変状態継続中の大当り回数)に係る条件)の成立を遊技履歴として蓄積し、遊技終了時などに所定情報として2次元コードなどを表示する。この2次元コードに付与されたポイントを示す情報が含まれる。
【0286】
図26は、液晶表示器51における到達確定演出例、およびバトル演出例を示す図である。図26(a)は、サブ制御部91により行われる到達確定演出例を示す図である。図26(a)に示される到達確定演出例では、1500ゲームまで到達することが確定したこと、およびバトルモードに突入することが表示される。このように、特典を得ることが可能なバトルモードが行われることを遊技者に報知することで、遊技者はこれから特典を得ることを楽しみに感じながら遊技を行うことができるので、遊技者の興趣を持続および向上させることができる。
【0287】
図26(b)は、サブ制御部91により行われるバトル演出例を示す図である。図26(b)に示される到達確定演出例では、敵と敵の残り体力を示す体力ゲージとが表示される。このように、スロットマシン1は、上乗せ数に対応する値を敵の体力から減らすというバトル演出を行うことができ、その結果遊技者は特典を得ることできるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
【0288】
[主な効果]
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
【0289】
(1)本実施の形態においては、図20に示すように、メイン制御部41による有利区間報知ランプ19の点灯制御によって行われるメイン報知では、有利区間の種類に関わらず一定の態様で有利区間の制御中である旨が示唆される。一方、サブ制御部91によるCZランプ57およびATランプ58の点灯制御によって行われるサブ報知では、有利区間の種類に応じた態様で有利区間の制御中である旨が示唆される。
【0290】
メイン制御部41が備えるRAM41cは、サブ制御部91が備えるRAM91cよりも記憶容量が小さい。このため、メイン報知の態様を、有利区間の種類に関わらず一定にすることで、記憶容量の増大を極力抑えることができる。また、メイン制御部41による有利区間の制御中である旨の示唆に係る処理負担の増大を極力抑えることもできる。一方、サブ制御部91が備えるRAM91cでは、サブ報知に必要なデータをある程度記憶させておくことができる。このため、サブ報知の態様を、有利区間の種類に応じて変化させることで、メイン報知による有利区間の制御中である旨の示唆の簡素化を補うことができる。
【0291】
具体的には、メイン報知は、通常区間であるか、あるいは有利区間であるかのみを遊技者に示唆するものであり、有利区間の種類までは示唆することができない。しかし、サブ報知によって有利区間の種類までは示唆することで、遊技の興趣を向上させることができる。
【0292】
(2)本実施の形態においては、図14に示すように、AT中にチェリーやスイカに当選したときには、スタート操作時にATゲームの上乗せの有無、および上乗せするATゲーム数が決定される。このように、AT中にチェリーやスイカに当選したときには、遊技者によるストップスイッチの操作が行われる前にATゲームの上乗せの有無が確定する。そこで、AT中にチェリーやスイカに当選したときには、第1停止操作および第2停止操作がそれぞれ行われるごとに、上乗せ示唆演出が切り替わり、上乗せされるATゲーム数が段階的に報知される。
【0293】
一方、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、スタート操作時に上乗せするATゲーム数のみを決定し、その後、遊技者によるストップスイッチの操作に応じて特別リプレイの入賞が確定したときにATゲームを上乗せすることが決定される。このように、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、遊技者によるストップスイッチの操作に依存してATゲームを上乗せするか否かが決まる。そこで、AT中にプレイGR41〜GR43に当選したときには、第1停止操作および第2停止操作がそれぞれ行われたとしても、上乗せ示唆演出が切り替わることなく、最終的な入賞結果が確定する最終停止操作時に、上乗せ示唆演出が切り替わり、上乗せされるATゲーム数が報知される。
【0294】
このように、遊技者によるストップスイッチの操作に依存してATゲームを上乗せするか否かが決まるような状況(AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したとき)においては、上乗せするか否かが決まるまで上乗せ示唆演出を切り替えないようになっている。よって、未だ上乗せするか否かが確定していないにも関わらず上乗せ示唆演出が切り替わってしまうことがないため、遊技の上乗せ示唆演出が切り替わってしまうことによる遊技の興趣の低下を防ぐことができる。
【0295】
また、遊技者によるストップスイッチの操作に関わらずATゲームを上乗せするか否かが決まるような状況(AT中にチェリーやスイカに当選したとき)においては、遊技者によるストップスイッチの操作が行われる過程で上乗せ示唆演出を切り替えるようになっている。よって、ストップスイッチの操作が行われる過程において、上乗せ示唆演出によってATゲームの上乗せに対する期待感を向上させることができる。このように、ATゲームの上乗せを示唆する上乗せ示唆演出によって遊技の興趣を向上させることができる。
【0296】
(2−1)図14(A)の(e),(B)の(e)に示すように、AT中にチェリーやスイカに当選したとき、およびAT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときのいずれであっても、遊技者によって最終停止操作が行われたときに上乗せ示唆演出が切り替わって、上乗せされるATゲーム数が報知される。このように、最終停止操作がされたときには既にATゲームの上乗せが決定しているため、上乗せ示唆演出を切り替えて遊技者にATゲームが上乗せされることを報知することで、遊技の興趣を向上させることができる。
【0297】
(2−2)図14(A)の(b),(B)の(b)に示すように、AT中にチェリーやスイカに当選したとき、およびAT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときのいずれであっても、スタート操作時に上乗せ示唆演出が切り替わって、上乗せ示唆演出が開始されることが報知される。これにより、スタート操作時において、ATゲームの上乗せに対して遊技者に期待させることができる。
【0298】
(2−3)図14(A)の(b)に示すように、AT中にチェリーやスイカに当選したときには、スタート操作時にATゲームの上乗せの有無、および上乗せするATゲーム数が決定される。一方、図14(B)の(b)に示すように、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、スタート操作時に上乗せするATゲーム数が決定される。これにより、スタート操作時の演出に遊技者を注目させることができる。
【0299】
(2−4)AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、正解手順でストップスイッチが操作されて特別リプレイが入賞しても、正解手順でストップスイッチが操作されずに通常リプレイが入賞しても、いずれにしても、再遊技が付与される。つまり、いずれの状況においても、遊技に使用できる遊技用価値の付与に関しては、次のゲームにおいて自動で賭数(3枚)が設定されることになる。これにより、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、遊技者によるストップスイッチの操作に依存して、遊技に使用できる遊技用価値の付与の差が生まれることがない。
【0300】
(2−5)図14(B)の(c),(d)に示すように、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、スタート操作から最終停止操作までの間では上乗せ示唆演出の態様が変化しない。これにより、未だ上乗せするか否かが確定していない場合において、遊技者に過度に期待させることがない。
【0301】
(2−6)リプレイGR41〜GR43は、第1停止操作の種類に応じて特別リプレイの入賞が決まるが、たとえ第1停止操作が行われたときに特別リプレイの入賞が決まっていたとしても、スタート操作から最終停止操作までの間では上乗せ示唆演出が切り替わらない。これにより、上乗せ示唆演出が切り替わることによって、特別リプレイに入賞することが遊技者に認識されてしまうことを防止することができる。
【0302】
(3−1)図7に示すように、本実施の形態において、メイン制御部41は、通常区間に比べて遊技者にとって有利な有利区間への終了することに伴って、初期RTであるRT0に移行させるための初期RT移行制御を行う。初期RTであるRT0は、RT2およびRT3に比べてリプレイの合算確率が低い不利な状態である。
【0303】
ここで、仮に、有利区間を終了することに伴って、初期RT移行制御が行われなかった場合を考える。有利区間中は、ATに制御され得る。AT中は、昇格リプレイ1,2および特殊リプレイを導出するためのナビ演出と、転落リプレイ1,2および移行出目を導出しないようなナビ演出とが実行される。これにより、AT中はRT3に制御されやすい。そのため、有利区間終了時にATに制御されている場合は、高確率でRT3に制御されている。RT3中に有利区間が終了し、他の状態に移行することなく有利区間移行抽選に当選した場合、通常区間に制御される期間があるものの、当該期間においてもRT3に制御されているため、有利な状態である。つまり、有利区間という有利な状態が終了したにも関わらず、有利な状態が続くことになる。その結果、有利区間を終了するときにおいて、有利な状態から不利な状態に移行しない場合、一度有利区間に入ったあと、長く有利な状態に制御されるようなことが生じ得るため、遊技の射幸性が高まる。
【0304】
一方、RT0中に有利区間移行抽選に当選した場合、RT3に移行するまでには、押し順ベルに当選して移行出目を導出してRT1に移行し、リプレイGR1〜GR6に当選して昇格リプレイ1,2を入賞させてRT2に移行し、さらに、リプレイGR31〜GR33に当選して特殊リプレイを入賞させなければならず、所定期間必要となる。つまり、本実施形態のように、有利区間への終了することに伴って、初期RTであるRT0に移行させるための初期RT移行制御を行うことで、有利区間を終了させた後、すぐに有利区間移行抽選に当選した場合であっても、所定期間はRT3という有利な状態に制御されない。よって、有利区間に入ったあとに、長く有利な状態に制御されてしまうことないため、遊技の射幸性を抑えることができる。
【0305】
(3−2)有利区間への制御の終了条件には、有利区間中における消化ゲーム数が1500ゲームに達したことと、ATゲーム数またはCZゲーム数をすべて消化したことが含まれる。いずれの終了条件が成立した場合であっても、有利区間への制御の終了に伴って、初期RT移行制御が行われる。これにより、いずれの終了条件が成立した場合であっても、有利区間に入ったあとに、長く有利な状態に制御されてしまうことないため、遊技の射幸性を抑えることができる。
【0306】
(3−3)図8に示すように、リプレイGR41〜GR43は、RT3中においてのみ、抽選対象役として読み出される役である。一方、弱チェリー1〜3、弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3、強スイカ、中段チェリー、およびボーナス2〜12の抽選対象役に当選する確率は、RT0〜2において変わらない。また、図11(a)に示すように、ATに制御される確率、および付与されるATゲーム数の期待値は、弱チェリー1〜3あるいは弱スイカ1〜3、強チェリー1〜3あるいは強スイカ、中段チェリーあるいはボーナス2〜12あるいはリプレイGR41〜GR43の順で高くなるように設定されている。このため、RT3中は、リプレイGR41〜GR43に当選する分、RT0〜2に比べて、報知状態に移行しやすく、かつ、報知状態に移行すると決定された場合に付与されるATゲーム数も多くなりやすい。
【0307】
つまり、有利区間中であるCZ中は、有利RTであるRT3に制御されているときの方が、初期RTであるRT0に制御されているときに比べて、報知状態であるATに制御されやすく、かつ、多くのATゲーム数が付与されやすい。このため、RT3中にCZに当選して有利区間に制御された場合と、RT0中にCZに当選して有利区間に制御された場合とを比較すると、RT3中は、CZからATに移行しやすく、ATに長く制御されやすい。その結果、RT0中にCZに当選して有利区間に制御された場合と、RT3中にCZに当選して有利区間に制御された場合とを比べると、RT3中の方が有利区間に長く制御されやすい。
【0308】
本実施の形態においては、有利区間への制御の終了に伴って、初期RT移行制御が行われるため、有利区間への制御が終了したあとRT3で有利区間に移行し、長く有利区間に制御されてしまうことを防止することができる。具体的には、初期RT移行制御が行われると、RT0に移行する。その後、移行出目が導出されるとRT1に制御される。前述のように、ナビ演出が行われていない間はRT1に留まりやすいため、RT1で有利区間に当選する可能性が高い。RT1中に有利区間に当選した場合、RT3に比べてATに移行しにくいため、RT3中に比べて、そのままATに移行することなく有利区間への制御を終了する可能性が高くなる。よって、有利区間中において、RT3に制御されているときの方が、RT0に制御されているときに比べて、報知状態であるATに制御されやすい。さらに、多くのATゲーム数が付与されやすいため、RT3中に有利区間に移行した場合は、RT0中に比べて長く有利区間に制御される。しかし、有利区間への制御の終了に伴って、初期RT移行制御が行われるため、RT1中に有利区間に移行する確率の方が、RT3中に有利区間に移行する確率の方が高いことで、より長く有利な状態に制御されやすいものの、有利区間に入ったあとに、長く有利な状態に制御されてしまうことを防止することができ、遊技の射幸性を抑えることができる。
【0309】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0310】
[サブ報知について]
本実施の形態においては、図20に示すように、CZの種類が1種類で、ATの種類が3種類であり、その種類に応じた態様でサブ報知が行われるものであった。しかし、CZの種類は1種類に限らず、たとえば、ATに制御される確率が段階的に異なる複数種類のCZを備え、当該CZの種類に応じた態様でサブ報知が行われるものであってもよい。
【0311】
本実施の形態においては、前面扉1bにおける化粧パネル1cに設けられたCZランプ57やATランプ58によってサブ報知が行われるものであった。しかし、化粧パネル1cに設けられたランプに限らず、有利区間への制御中である旨を示唆するものであればいずれの手段を用いてもよい。たとえば、液晶表示器51の画面に表示される画像(たとえば、CZ中を示唆する画像,AT中を示唆する画像)によって有利区間への制御中である旨を示唆してもよいし、スピーカ53,54による音声(たとえば、CZ中を示唆する音声,AT中を示唆する音声)によって有利区間への制御中である旨を示唆してもよい。これらの場合において、CZの種類やATの種類に応じた態様でサブ報知が行われてもよい。
【0312】
[上乗せ示唆演出について]
上乗せ示唆演出は、スタート操作時に演出の開始を示唆する画像が液晶表示器51に表示されるが、その画像の表示態様を変えることで上乗せされるゲーム数を示唆するものであってもよい。たとえば、上乗せされるゲーム数に応じて「CHANCE」の文字画像の色が異なってもよい。このようにすれば、スタート操作時に行われる上乗せ示唆演出の切り替えについて遊技者をより注目させることができる。
【0313】
本実施の形態においては、AT中の上乗せを示唆する上乗せ示唆演出に関して、チェリーやスイカが当選したときと、リプレイGR41〜GR43が当選したときとで演出の切り替え態様を変えていたが、これに限らない。たとえば、CZ中のATに制御することを示唆する示唆演出に関して、チェリーやスイカが当選したときには第1停止操作や第2停止操作で示唆演出が切り替わるのに対して、リプレイGR41〜GR43が当選したときには第1停止操作や第2停止操作で示唆演出が切り替わらないようにしてもよい。
【0314】
本実施の形態においては、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、特別リプレイに入賞することで100%ATゲームを上乗せしていたが、これに限らない。たとえば、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、特別リプレイに入賞することでATゲームを上乗せするか否かの抽選を行ってもよい。そして、当該抽選によって当選したときに、スタート操作時に決定していたATゲーム数を付与してもよい。
【0315】
本実施の形態においては、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、スタート操作時に付与するATゲーム数を決定していたが、これに限らない。たとえば、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、特別リプレイに入賞することで付与するATゲーム数を決定してもよい。また、たとえば、AT中にリプレイGR41〜GR43に当選したときには、特別リプレイに入賞することで、ATゲームを上乗せするか否か、および付与するATゲーム数の両方を決定してもよい。
【0316】
[終了条件について]
本実施の形態においては、有利区間を終了する終了条件に、カウントゲーム数が1500ゲームに達するという終了条件以外に、ATおよびCZに制御する権利がないという終了条件が含まれる。しかし、有利区間を終了する終了条件は、これに限られず、たとえば、ATおよびCZのうちの少なくともいずれかに制御する期間が所定期間を超えたことなどであってもよい。
【0317】
[初期RTについて]
本実施の形態において、有利区間の終了に伴って移行する際の移行先である初期RTをRT0としたが、これに限られない。たとえば、RT0とリプレイ確率が等しいRT1に移行してもよい。また、報知状態であるATへの制御に関する有利度合いがRT0中と変わらないRT1またはRT2に移行してもよい。
【0318】
なお、本実施の形態においては、設定変更後、ボーナス終了後、および有利区間終了後は、初期RTに移行するものとした。このように、いずれのタイミングにおいても初期RTに移行させることで、たとえば、処理を共通にさせることができるという効果が得られる。しかし、設定変更後、ボーナス終了後、および有利区間終了後は、それぞれ異なる有利状態に移行するようにしてもよい。
【0319】
また、本実施の形態において、初期RTは、移行出目が導出されることに基づいて、異なる遊技状態に移行するRT0とした。しかし、初期RTは、所定期間に亘って制御されたことに基づいて他の遊技状態に移行するような遊技状態であってもよい。
【0320】
[初期RT移行制御について]
初期RTであるRT0に移行させるための初期RT移行制御について、次ゲームからRT0に制御するために、RT0フラグをRAM41cの所定領域にセットするものとした。つまり、有利区間の終了時に、遊技状態を移行させるものとした。しかし、初期RTに移行させるための初期RT移行制御はこれに限らない。
【0321】
たとえば、移行表示結果が導出されたことに伴って、初期RTに移行するような場合に、初期RT移行制御として、移行表示結果を導出するためのナビ演出を実行してもよい。具体的には、有利区間の終了に伴って、初期RTとしてRT1に移行するための制御が行われる場合に、押し順ベルに当選した場合は、移行出目を導出させるための不正解手順をナビ演出によって報知してもよい。また、リプレイGR21〜GR23に当選した場合には転落リプレイ2を導出させるための不正解手順をナビ演出によって報知し、その後RT2に移行した場合は、押し順ベルに当選した場合は移行出目を導出させるための不正解手順を、リプレイGR11〜GR13に当選した場合は転落リプレイ1を導出させるための不正解手順をナビ演出によって報知してもよい。
【0322】
このような場合であっても、有利区間に移行した後に、長く有利な状態に制御されてしまうことを防止することができ、遊技の射幸性を抑えることができる。
【0323】
また、初期RT移行制御として、有区区間に制御された最終ゲームの次ゲームから有利区間移行抽選を禁止するとともに、特殊リプレイを導出するためのナビ演出の実行を禁止してもよい。このようにすることで、有利区間移行抽選が禁止されることで、有利区間に制御されることが禁止され、かつ、特殊リプレイを導出するためのナビ演出が行われないため、RT3に制御されにくくなる。なお、特殊リプレイだけでなく、昇格リプレイ1,2を導出させるためのナビ演出も禁止するようにしてもよい。また、有利区間移行抽選およびナビ演出は、所定期間に亘って禁止するようにしてもよい。所定期間は、予め定められたゲーム数を消化するまででもよく、また、RT1に移行するまででもよい。
【0324】
このような場合であっても、有利区間に移行した後に、長く有利な状態に制御されてしまうことを防止することができ、遊技の射幸性を抑えることができる。
【0325】
また、初期RT移行制御として、有利区間移行抽選を禁止するとともに、移行表示結果を導出するための操作態様を示唆するようにしてもよい。
【0326】
また、本実施の形態においては、ボーナス以外のいずれの遊技状態に制御されているかに関わらず、初期RT移行制御を実行するものとした。これにより、遊技状態ごとに処理を変える必要がなく、遊技状態ごとの処理を一元化することができる。しかし、初期RTと有利度の変わらない遊技状態を複数備える場合に、初期RTと有利度の変わらない遊技状態において有利区間を終了させる終了条件が成立した場合には、初期RT移行制御を実行しないようにしてもよい。ここで、有利度とは、リプレイの合算確率に関する有利度、報知状態への制御に関する有利度などが含まれる。
【0327】
たとえば、初期RTをRT0とし、RT0とリプレイの合算確率および報知表対への制御に関する有利度が変わらないRT1中に有利区間を終了する終了条件が成立した場合は、初期RT移行制御を実行せず、有利区間を終了して通常区間に移行した後も、RT1に制御するようにしてもよい。また、初期RTをRT0とし、RT0と報知表対への制御に関する有利度が変わらないRT2中に有利区間を終了する終了条件が成立した場合は、初期RT移行制御を実行せず、有利区間を終了して通常区間に移行した後も、RT2に制御するようにしてもよい。
【0328】
また、初期RT中に有利区間を終了する終了条件が成立した場合は、初期RT移行制御を実行してもよく、また、初期RT移行制御を実行しないようにしてもよい。たとえば、初期RTが所定期間に亘って制御されたことを条件に他の遊技状態に移行するような遊技状態である場合は、初期RT移行制御として初期RTに制御されていた期間をリセットしてもよく、また、初期RT移行制御を実行しないようにしてもよい。初期RT移行制御を実行した場合は、初期RTに制御される期間が延長されることとなるものの、初期RT移行制御を実行しない場合は、初期RTに制御される期間に変化はない。
【0329】
[報知状態移行抽選について]
本実施の形態においては、RT3においてのみ当選する特別リプレイを報知状態移行抽選の実行契機となる役としたが、遊技状態ごとに当選確率が異なる通常リプレイや押し順リプレイに当選したことに基づいて報知状態移行抽選を実行してもよい。このように、抽選が実行される契機を変えることで、遊技状態ごとに報知状態への制御に関する有利度合いを変えてもよい。
【0330】
また、遊技状態ごとに当選確率が等しい抽選対象役への当選を契機に報知状態移行抽選を実行する場合であっても、遊技状態ごとに報知状態移行抽選に当選する確率を変えることで、遊技状態ごとに報知状態への制御に関する有利度合いを変えてもよい。たとえば、遊技状態ごとに当選確率の変わらない中段チェリーに当選したことに基づいて報知状態移行抽選を行う場合に、RT3中であれば100%の確率で移行すると決定し、RT2中は80%、RT1中は70%、RT0中は50%の確率でそれぞれ移行すると決定するようにしてもよい。
【0331】
[有利RTから不利RTの移行について]
本実施の形態において、有利区間中であって、かつRT3に制御されている場合に、有利区間の終了に伴って、RT3からRT0に移行する。一方、有利区間中であって、かつRT3に制御されている場合に、ナビ演出によって報知された正解手順とは異なる手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作され、移行出目または転落リプレイ2が導出されると、RT0とは異なるRT1またはRT2に移行する。つまり、本実施の形態においては、RT3中といった有利なRT中に、リミット処理により不利なRTに移行する場合と、表示結果の導出によって不利なRTに移行する場合とで、移行先のRTが異なる。
【0332】
しかし、有利なRTから不利なRTに移行する場合に、移行する契機がリミット処理による契機であったとしても、表示結果の導出による契機であったとしても、移行先は同じであるようにしてもよい。たとえば、RT3においては、リミット処理によっても、移行出目の導出によっても、転落リプレイ2の入賞によっても、初期RTであるRT0に移行するようにしてもよい。
【0333】
[CZゲームカウンタについて]
本実施の形態において、CZゲーム数は上乗せされないものとした。そのため、CZゲームカウンタは、1ゲーム消化されるごとに、1ずつ減算されるのみで、加算されないものとした。しかし、CZゲームカウンタを加算するために、CZゲーム数上乗せ抽選を実行してもよい。また、複数種類のCZを設け、異なる種類のCZに移行するタイミングで、CZゲームカウンタを再度セットするようにしてもよい。このようにした場合、有利区間の終了条件であるCZゲーム数が全て消化されるタイミングが変動する。
【0334】
[メイン報知について]
本実施の形態においては、図21に示すように、内部抽選によって当選した移行抽選対象役の種類とBB同時当選したか否かとに基づき、先報知および後報知のうちのいずれにするかが予め決められていた。つまり、内部抽選の結果とメイン報知の報知タイミングとが予め紐付けられていた。しかしながら、これに限らず、内部抽選の結果に紐付けられることなく、先報知および後報知のうちのいずれにするかを抽選によって決定してもよい。
【0335】
たとえば、弱チェリー1,2が当選(BB同時当選あるいは単独当選)しかつCZ当選したときには、先報知および後報知のいずれにするかを抽選によって決定してもよい。また、弱チェリー3が当選(BB同時当選あるいは単独当選)しかつCZ当選したときにおいても、先報知および後報知のいずれにするかを抽選によって決定してもよい。その他の移行抽選対象役が当選したときにも同様である。
【0336】
この場合において、弱チェリーが当選しかつCZ当選したときには、強チェリーが当選しかつCZ当選したときよりも、高い確率で先報知に決定するようにしてもよい。このようにすれば、強チェリーよりも内部抽選で当選する確率が高い弱チェリーが当選したときには、強チェリーが当選したときよりも頻繁に先報知が行われるようになる。
【0337】
先報知タイミングとしては、有利区間移行抽選で当選してから当該有利区間移行抽選に当選したゲームの次のゲームの賭数設定(リプレイ入賞による自動賭数設定も同様)が可能となるまでのいずれかのタイミングであってもよい。たとえば、先報知タイミングは、有利区間移行抽選で当選したゲームのスタート操作時であってもよいし、リール回転開始時であってもよいし、第3停止時であってもよい。また、内部抽選によって当選した移行抽選対象役の種類とBB同時当選したか否かとに基づき、先報知タイミングを複数種類のタイミングの中から決定してもよい。
【0338】
後報知タイミングとしては、BBの図柄組合せが導出された以降のいずれかのタイミングであってもよい。たとえば、後報知タイミングは、BBの図柄組合せが導出されてBB入賞したときであってもよいし、BB入賞後の次のゲームの賭数設定時であってもよいし、当該次のゲームのスタート操作時であってもよい。また、内部抽選によって当選した移行抽選対象役の種類とBB同時当選したか否かとに基づき、後報知タイミングを複数種類のタイミングの中から決定してもよい。
【0339】
本実施の形態においては、有利区間報知ランプ19によって有利区間のメイン報知を行っていたが、これに限らない。たとえば、ストップスイッチと同じ配置で遊技者が認識しやすい場所にメイン報知LEDを設けてもよい。また、クレジット表示器11や遊技補助表示器12、ペイアウトランプのような既存の手段を用いてメイン報知を行ってもよい。さらに、スピーカ53,54などから所定音を出力することによってCZ当選やAT当選を報知してもよい。
【0340】
また、有利区間報知ランプ19の点灯は、単に7セグメントディスプレイのように数字などを表示するのではなく、たとえばペイアウトランプによって単一のLED(ドットポイント)を点灯させるのみであってもよい。さらに、ナビ演出時に操作手順が報知される際、クレジット表示器11や遊技補助表示器12のような既存の手段を用いて行われてもよい。この場合においては、操作手順の報知に対して7セグメントディスプレイを用いる一方で、メイン報知を単一のLEDを用いてもよい。
【0341】
CZ抽選契機とAT抽選契機とを同じ(たとえば、チェリー当選契機)にするとともに、CZ当選時とAT当選時とで同じ態様で有利区間報知ランプ19が点灯してもよい。このようにすれば、有利区間報知ランプ19が点灯したときに、CZ当選およびAT当選のいずれになっているのかを遊技者に注目させることができる。さらに、有利区間報知ランプ19が点灯した後、CZ当選およびAT当選のいずれになっているのかを遊技者に期待させる期待演出を実行してもよい。たとえば、チェリー当選契機でCZ当選したときに有利区間報知ランプ19を点灯させて10ゲーム間のCZに制御し、その間、バトル演出を実行し、CZ中にAT当選すれば、バトル演出の結果で味方キャラクタが勝利してWINの文字画像を表示する一方、CZ中にAT当選しなければ、バトル演出の結果で味方キャラクタが敗北してLOSEの文字画像を表示してもよい。
【0342】
[BB示唆演出について]
本実施の形態においては、移行抽選対象役がBBと同時当選しなかった場合、BB示唆演出が予め決められた所定確率(たとえば、50%)で実行されるものであった。しかし、これに限らず、移行抽選対象役がBBと同時当選しなかった場合、BB示唆演出を実行するか否かを抽選によって決定してもよい。この場合において、たとえば、弱チェリーや弱スイカよりもBBと同時当選する確率の高い強チェリーや強スイカ、中段チェリーに当選したときには、弱チェリーや弱スイカが当選したときよりも高い確率でBB示唆演出を実行してもよい。このようにすれば、強チェリーや強スイカ、中段チェリーは、弱チェリーや弱スイカが当選したときよりも先報知が行われる確率が低いが、その分、BB示唆演出を高い確率で実行することができる。
【0343】
また、移行抽選対象役がBBと同時当選せず、かつCZに当選した場合において、BB示唆演出を実行する場合、先報知が行われていればBB示唆演出中では有利区間に制御されることになる。このため、このBB示唆演出中にATに当選した場合、BB示唆演出の結果を利用して、AT当選の確定報知を行ってもよい。
【0344】
[有利区間の制御について]
本実施の形態においては、移行抽選対象役がBBと同時当選した場合において先報知が行われたときには、RT4中における有利区間に制御して、指示機能に係る処理として、ナビ演出や指示機能に係る抽選(たとえば、AT抽選や上乗せ抽選)が実行されるものであった。しかし、これに限らず、RT4中における有利区間に制御する一方で、このようなRT4中における有利区間では、指示機能に係る処理を実行することなく、その後、BB入賞によってボーナスに制御された以降で指示機能に係る抽選を実行してもよい。
【0345】
また、移行抽選対象役がBBと同時当選した場合において先報知が行われたときには、その後のRT4中においては有利区間に制御することなく、その後、BB入賞によってボーナスに制御された以降で有利区間に制御してもよい。
【0346】
また、移行抽選対象役がBBと同時当選した場合において先報知が行われたときには、BB示唆演出によってBB当選の確定報知が行われた以降で指示機能に係る処理を実行してもよい。
【0347】
[ボーナスと同時当選する役の組合せについて]
本実施の形態においては、図4に示すように、ボーナスを1種類のみ設けていたが、ボーナスを2種類以上設けてもよい。たとえば、特別役として、BB1とBB2の2種類を設けてもよい。この場合において、チェリーやスイカなどの移行抽選対象役は、BB1と同時当選する一方で、BB2とも同時当選するものであってもよい。
【0348】
具体的には、BB1+弱スイカ1、BB1+弱スイカ2、BB1+弱スイカ3、BB1+強スイカ、BB1+弱チェリー1、BB1+弱チェリー2、BB1+弱チェリー3、BB1+強チェリー1、BB1+強チェリー2、およびBB1+中段チェリーといった、BB1と移行抽選対象役との同時当選群に加えて、BB2+弱スイカ1、BB2+弱スイカ2、BB2+弱スイカ3、BB2+強スイカ、BB2+弱チェリー1、BB2+弱チェリー2、BB2+弱チェリー3、BB2+強チェリー1、BB2+強チェリー2、およびBB2+中段チェリーといったBB2と移行抽選対象役との同時当選群を、抽選対象役に含めてもよい。
【0349】
さらに、移行抽選対象役がボーナス(BB1またはBB2)と同時当選し、かつCZ当選したときには、当選した同時当選群の種類に応じて異なる割合でメイン報知の報知タイミングを異ならせてもよい。
【0350】
たとえば、BB1+弱チェリー1に当選しかつCZ当選したときには先報知が行われるのに対して、BB2+弱チェリー1に当選しかつCZ当選したときには後報知が行われてもよい。あるいは、BB1+弱チェリー1に当選しかつCZ当選したときには先報知が行われるのに対して、BB2+強チェリー1に当選しかつCZ当選したときには後報知が行われてもよい。さらには、BB1+弱チェリー1に当選しかつCZ当選したときには先報知が行われるのに対して、BB2+強スイカに当選しかつCZ当選したときには後報知が行われてもよい。BB1、BB2、および移行抽選対象役がいずれの組合せであっても、移行抽選対象役がボーナス(BB1またはBB2)と同時当選し、かつCZ当選したときには、当選した同時当選群の種類に応じて異なる割合でメイン報知の報知タイミングを異ならせてもよい。
【0351】
また、上述した例は、BBであったが、RBなどのBB以外の種類のボーナスにおいても、当選した同時当選群の種類に応じて異なる割合でメイン報知の報知タイミングを異ならせてもよい。
【0352】
[有利区間の割合の報知について]
本実施の形態においては、総ゲーム数に対する有利区間ゲーム数の割合が設定確認状態において設定値表示器に表示されることで、有利区間の割合を確認することができたが、これに限らない。
【0353】
たとえば、設定値表示器に限らず、スロットマシン1の筐体内部、たとえば遊技制御基板に設けられた表示器(たとえば、7セグメントLED)に有利区間の割合などが表示されてもよい。なお、遊技制御基板は、かしめによって分解できないようになっていれば、表示器が外部から不正に操作されることもない。また、設定値についても、設定値表示器ではなく遊技制御基板に設けられた表示器に表示されてもよい。なお、クレジット表示器11や遊技補助表示器12、液晶表示器51などに有利区間の割合が表示されてもよい。
【0354】
また、有利区間の割合に限らず、総ゲーム数および有利区間ゲーム数についても、設定値表示器や遊技制御基板に設けられた表示器に表示されてもよい。また、所定の操作が行われたことを条件に有利区間の割合などが表示されてもよい。たとえば、演出用スイッチ56が押下されたことを条件に有利区間の割合などが表示されてもよい。あるいは、スロットマシン1の筐体内部に確認用スイッチを設け、当該確認用スイッチが押下されたことを条件に有利区間の割合などが表示されてもよい。なお、前面扉1bの開放検出がされていないときに確認用スイッチが押下されたときにはエラー報知が行われてもよい。
【0355】
また、賭数設定がされている状態においては、設定確認状態に移行しないものであってもよい。つまり、有利区間の割合は、賭数設定がされている状態においては確認することができないものであってもよい。さらに、再遊技役が入賞したときには自動で賭数設定されるため、有利区間の割合は、再遊技役が入賞したときにおいても確認することができないものであってもよい。なお、賭数設定がされている状態においては、有利区間の割合を確認することができるものであってもよい。
【0356】
また、本実施の形態においては、ATやCZに制御された有利区間の割合が7セグメントLEDによって報知されたが、その他の割合が報知されてもよい。
【0357】
たとえば、スロットマシン1の市場導入時に行われる試験において、短時間(たとえば、400ゲーム)におけるメダルの払出率(出玉率)について、第1割合(たとえば、300%)≦払出率であるときには市場導入できない場合、短時間におけるメダルの払出率が7セグメントLEDによって報知されてもよい。この場合、本実施の形態のように、短時間におけるメダルの払出率が第1割合≦払出率であるか否かで報知態様を異ならせてもよい(第1割合≦払出率である場合はエラー報知)。また、スロットマシン1の市場導入時に行われる試験において、中時間(たとえば、6000ゲーム)におけるメダルの払出率(出玉率)について、第2割合(たとえば、150%)≦払出率であるときには市場導入できない場合、中時間におけるメダルの払出率が7セグメントLEDによって報知されてもよい。この場合、本実施の形態のように、中時間におけるメダルの払出率が第2割合≦払出率であるか否かで報知態様を異ならせてもよい(第2割合≦払出率である場合はエラー報知)。また、スロットマシン1の市場導入時に行われる試験において、長時間(たとえば、17500ゲーム)におけるメダルの払出率(出玉率)について、第3割合(たとえば、55%)<払出率<第4割合(たとえば、120%)であるときには市場導入できない場合、長時間におけるメダルの払出率が7セグメントLEDによって報知されてもよい。この場合、本実施の形態のように、長時間におけるメダルの払出率が第3割合<払出率<第4割合であるか否かで報知態様を異ならせてもよい(払出率≧第3割合、あるいは第4割合≦払出率である場合はエラー報知)。
【0358】
また、たとえば、役物比率が7セグメントLEDによって報知されてもよい。役物比率とは、所定回数(たとえば、6000回)に亘って遊技された場合において、トータル払出枚数に対するボーナス(たとえば、RB、SB、CB)中の払出枚数の比率のことを言う。たとえば、RBのみが搭載されたスロットマシンであれば、役物比率は6割が上限であるため、役物比率が6割であるか否かで7セグメントLEDの報知態様を異ならせてもよい(役物比率が6割を超えるとエラー報知)。また、SBやCBが搭載されたスロットマシンであれば、役物比率は7割が上限であるため、役物比率が7割であるか否かで7セグメントLEDの報知態様を異ならせてもよい(役物比率が7割を超えるとエラー報知)。
【0359】
このように、スロットマシン1の市場導入時に行われる試験で規定されている割合やスロットマシン1の性能に関わる割合などを7セグメントLEDによって報知されてもよい。
【0360】
[メイン側報知装置について]
前述した実施の形態では、メイン制御部41によるナビ演出を遊技補助表示器12において実行する例(兼用する例)について説明したが、メイン制御部41により制御され、遊技の進行に応じて所定情報を報知するメイン側報知装置であればこれに限らず、たとえば、クレジット表示器11や1〜3BETLED14〜16など、どのようなものであってもよい。このように、メイン側報知装置を兼用してナビ演出を実行することにより、コストを削減できる。
【0361】
なお、上述した本実施の形態および変形例における各種構成、各種処理、各種処理のタイミングなどは、適宜組合せることができる。
【0362】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0363】
1 スロットマシン、2L,2C,2Rリール、8L,8C,8Rストップスイッチ、12 遊技補助表示器、19 有利区間報知ランプ、41 メイン制御部、41c RAM、51 液晶表示器、56 演出用スイッチ 57 CZランプ、58 ATランプ、91 サブ制御部、91c RAM。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技の制御を行う遊技制御手段と、
演出の制御を行う演出制御手段と、
前記遊技制御手段により制御される遊技補助表示器とを備え、
前記遊技補助表示器は、複数のセグメントを有する2つの表示器から構成され、それぞれの表示器に数値を表示させることが可能であり、
前記遊技制御手段は
通常区間と有利区間のいずれかに制御する区間制御手段と、
前記有利区間であるときに遊技者にとって有利となる有利操作態様を報知可能な有利状態に制御する状態制御手段と、
前記有利区間中に消化されたゲーム数に対応する特定値を計数する計数手段と、
前記有利区間であるときに遊技制御側ランプを点灯させることで前記有利区間中である旨を示唆する遊技制御側示唆手段と、
前記有利状態を継続するための権利を付与する付与手段とを含み、
前記有利操作態様を特定可能なナビ番号を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、
遊技用価値が付与されたときに付与された遊技用価値の数を前記遊技補助表示器に表示させることが可能であり、
前記有利操作態様を報知するゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記ナビ番号に対応する前記遊技補助表示器のセグメントを点灯状態とするナビ表示データを出力バッファに設定することで、前記遊技補助表示器に前記ナビ番号を表示させ、
前記有利操作態様を報知しないゲームにおいては、前記可変表示部の変動表示を開始するときに前記出力バッファを初期化して、前記遊技補助表示器のセグメント全てを消灯状態とし、
前記ナビ番号を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち一方の表示器に前記ナビ番号を表示させ、前記付与された遊技用価値の数を表示させる場合に、前記2つの表示器のうち他方の表示器に前記付与された遊技用価値の数を表示させ、
前記計数手段によって計数された前記特定値が上限値未満であるときは、前記有利状態に関わる特定処理を実行し、
前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記特定処理を実行することなく、記憶部に記憶された前記有利状態に関わる情報を初期化する初期化処理を実行した後に、前記遊技制御側ランプを消灯させる消灯処理を実行する初期化手段を含み、
前記有利状態における所定時点において、前記付与手段に付与された権利により前記特定値が前記上限値に到達することが確定する場合、特殊制御を行い、
前記有利区間において第1有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第1有利状態に制御可能であり、
前記有利区間において第2有利状態カウンタに1以上の値が設定されている場合に、前記有利状態のうち第2有利状態に制御可能であり、
前記計数手段によって計数された前記特定値が前記上限値以上であるときは、前記第1有利状態及び前記第2有利状態のいずれに制御されているかに関わらず、前記1有利状態カウンタ及び前記第2有利状態カウンタの双方を初期化する、スロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照
異議決定日 2022-06-07 
出願番号 P2017-094721
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A63F)
P 1 651・ 121- YAA (A63F)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
太田 恒明
登録日 2021-03-02 
登録番号 6845739
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 石川 好文  
代理人 大久保 岳彦  
代理人 林 修身  
代理人 重信 和男  
代理人 石川 好文  
代理人 重信 和男  
代理人 弁理士法人武和国際特許事務所  
代理人 大久保 岳彦  
代理人 林 修身  

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